JP4249356B2 - 電気接点材料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気接点材料に関するものであり、特に電気接点材料の耐アークエロージョン特性を向上させる技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電気回路を開閉し、電気の入れ切りを行うためには開閉機器を必要とするが、これらの開閉機器には、発電所、変電所の送配電系統を制御するもの、工場におけるモーター、電熱炉の制御をするもの、また、それらの電力を制御するリレーなどがあり、100Vから数十万Vにいたる広範な領域で使用されている。
【0003】
これらを負荷の大きさにより区分すると次のようになる。
【0004】
第1は、常時の電流と異常時の短絡電流を支障なく開閉できるもので、開閉の頻度は一般に少なく、遮断器(ブレーカー)がこれに属している。遮断器の種類には、油中遮断器、気中遮断器、磁気吹消遮断器、ガス遮断器、真空遮断器、配線用遮断器などがあり、電気回路に漏電が発生した場合に安全を守る漏電遮断器もこれに含まれる。
【0005】
第2は、常時の比較的大きな負荷電流を多数回開閉できるもので、真空開閉器、電磁開閉器、タップ切替器などの開閉器がこれに該当する。
【0006】
第3は、比較的小さな負荷電流を多数回開閉するもので、制御用、電装用、電子・通信用に使用される電磁継電器(リレー)、スイッチがこれに該当する。なお、このほかに、回路の接続替えや接続を断つことを目的とし、無電流あるいはそれに近い状態での回路開閉に使用される断路器などがある。
【0007】
高圧用の遮断器、開閉器では耐アーク性、耐溶着性にすぐれた銅−タングステン、銀−タングステン、銀−炭化タングステンなどの焼結接点が使用されている。すなわち、耐酸化性にすぐれた銀−炭化タングステンは中負荷の気中開閉器に、比較的耐酸化性にすぐれた銀−タングステンは高負荷用の気中開閉器に、耐酸化性は劣るが耐消耗性にすぐれた銅−タングステンは、油中、ガス、真空遮断器においてすぐれた機能を発揮する。
【0008】
一方、電流を遮断しない通電用接点としては、銅あるいは銀などの材料が使用されている。低圧用の気中遮断器、配線用遮断器のうち、大容量のものにはアーキングチップとして銀−タングステン、銀−炭化タングステンなどが使用され、メインコンタクト(主接点)としては、銀−ニッケルが使用されている。また、中容量以下のアーク・通電兼用接点としては、通電性及び耐溶着性にすぐれた銀−炭化タングステン、銀−酸化カドミウムなどが多用されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
経済性と環境調和の観点から、電力機器の高電圧・大容量化とコンパクト化は必須課題であり、継続的な開発が進められている。これらの開発では、変電機器を構成する材料にとってはきわめて過酷な環境となる。
【0010】
つまり、電力機器における電気接点は、さらに過酷な環境において、(1)消耗量の少ないこと、(2)耐溶着性のあること、(3)接触抵抗の低いこと、(4)電気伝導体であることが求められている。
【0011】
高圧用の遮断器、開閉器は、高融点材料であるタングステンまたはモリブデン、高電気及び熱伝導率材料である銅または銀の複合材料が、接点材料として使用されている。これらの材料は、現用接点材料の中で最も苛酷な条件の用途に適合するものとして、各種機器に用いられている。しかし、高圧下で繰り返し遮断を繰り返すと、上記の材料はアークエロージョンにより先端部が約10mm以上も損耗する。さらに、システムのコンパクト化で電気接点径が小さくなると、電流密度が増し、上記の苛酷な条件下での使用には耐えられない。
【0012】
本発明は、上記従来の接点材料が持つ問題点を解決すべくなされたものであり、耐アークエロージョン特性に優れた電気接点材料を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記のアークエロージョンによる損傷メカニズムは、次のような現象で説明される。高融点材料であるタングステンまたはモリブデン、高電気伝導率及び高熱伝導率を持つ材料である銅または銀の複合材料では、アーキング時に銅または銀の部分に陰陽極点が形成され、表面の銅または銀が蒸発する。銅または銀の欠損により、表面の熱伝導率が低下し、タングステンまたはモリブデン部分が焼結開始し、焼結収縮により亀裂が発生し、タングステンまたはモリブデン部分が脱落、損耗する。
【0014】
本発明による電気接点材料は、上記の損傷メカニズムを考慮して公知の銅−タングステン材料を改良したものであり、陰陽極点がつきやすい銅に、融点および蒸発熱の高い金属を添加することによって、銅の蒸発による欠損を抑制し、耐アークエロージョン特性を向上させて遮断時に発生するアークエロージョンによる損耗量の減少を図るものである。
【0015】
すなわち、本発明の特徴は、電気機器、電気回路の接点に用いる電気接点材料を、タングステンと、銅と、クロムとから構成することにある。
【0016】
電気接点材料の組成は、タングステンの含有量が体積比で80〜30%、銅およびクロ ムの含有量の総和が体積比で20〜70%として、銅およびクロムの含有量の総和に対する銅の割合が少なくとも体積比で50%以上とすることが好ましい。このような組成とすることにより、特に優れた耐アークエロージョン特性を呈する電気接点材料が得られる。
【0017】
更に、タングステンの含有量を体積比で60〜40%とするとともに、銅およびクロムの含有量の総和に対する銅の割合が体積比で70〜90%とすることが更に好ましく、この場合、更に優れた耐アークエロージョン特性を呈する電気接点材料が得られる。
【0018】
また、材料を構成するタングステンは、アルミニウム、カリウムおよびシリコンからなる群より選ばれた少なくとも1種の材料をドープしたドープタングステンとすることができる。
【0019】
また、耐アークエロージョン特性を更に向上させるという観点からは、材料の気孔率を10%未満とすることが好ましく、5%以下とすることが更に好ましい。材料の気孔率を5%以下とすることにより、特に優れた耐アークエロージョン特性を呈する電気接点材料が得られる。
【0020】
材料組成は、タングステン粒子(図1の符号1)と、第2相としてタングステン粒子間を埋める銅−クロムの合金相(図1の符号2)から形成される。このとき、クロムは、一部あるいは全部が銅から分離して析出した形態(図1の符号3)をとる。
【0021】
本発明剤利用では、アークによる陰陽極点が形成される銅に、融点および気化熱の高いクロムを添加することによって、銅の蒸発による欠損を抑制するため、金属Xは銅中に均質に分散していることが好ましい。
【0022】
なお、クロムが銅から分離して析出する場合には、析出相の粒径は100μm以下であることが好ましい。
【0023】
また、電気接点材料の導電率は20%IACS以上であることが好ましく、硬度はHv170以上であることが好ましい。
【0024】
本発明による電気接点材料は、発電所、変電所における遮断器、断路器、開閉器等に好適に適用できる。
【0025】
発明による電気接点材料の製造方法としては、すべての構成成分をまとめて焼結する方法(焼結法)と、銅以外の構成成分を焼結して焼結体(例えばスケルトン)を形成し、しかる後に該焼結体に銅を溶浸する方法(溶浸法)とのいずれも適用することができる。
【0026】
前者、すなわち焼結法による場合には、タングステン粉末と、銅粉末と、クロム粉末とを所定の比率で混合した後、成形を行い、さらにこれを焼結することにより電気接点材料を製造する。この場合、焼結温度は1400℃以下とすることが好ましい。また、混合される原料粉末、すなわちタングステン粉末、銅粉末およびクロム粉末は、粒径が200μm以下で、純度が98%以上であることが好ましい。
【0027】
後者、すなわち溶浸法による場合は、2通りの方法を適用することができる。
【0028】
第1の溶浸法は、タングステン粉末およびクロム粉末を所定の比率で混合した後、成形を行い、さらにこれを焼結して、得られた焼結体に銅を溶浸して製造する方法である。この場合、焼結温度は1400℃以下とすることが好ましく、また溶浸温度は1200℃とすることが好ましい。また、この場合、焼結体を形成する際に、混合される原料粉末、すなわちタングステン粉末およびクロム粉末は、粒径が200μm以下で、純度が98%以上であることが好ましい。
【0029】
第2の溶浸法は、タングステン粉末を成形、焼結して、得られた焼結体に銅およびクロムを溶浸して製造する方法である。この場合、焼結温度は1400℃以下とすることが好ましく、溶浸温度も1400℃以下とすることが好ましい。また、この場合、焼結体の原料粉末、すなわちタングステン粉末は、粒径が200μm以下で、純度が98%以上であることが好ましい。
【0030】
【実施例】
以下に、実施例により本発明を詳細に説明する。
【0031】
[第1の実施例]
平均粒径10μm純度99.9%のタングステン粉末と、平均粒径10μm純度99%の銅粉末と、平均粒径10μm純度99%のチタン粉末とを混合した。この混合粉末を成形した後、不活性雰囲気、真空雰囲気および還元雰囲気のいずれかの雰囲気中において、1000〜1400℃の温度で焼結し、銅/タングステン−チタン材料を作製した。このとき、焼結後におけるタングステン、銅およびチタンの体積比が、およそ50:35:15になるように、粉末の混合比、及び焼結温度を選定した。
【0032】
更に、チタン粉末に代えて、バナジウム、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、ハフニウム、タンタル、レニウム、オスミウムおよびイリジウム(チタンおよびここに列挙した金属を金属Xという)の粉末をそれぞれ用いて、上記のプロセスと同様のプロセスにより、銅/タングステン−金属X材料をそれぞれ作製した。
【0033】
た、チタン粉末に代えて、平均粒径10μm、純度99%のアルミニウム、亜鉛の粉末をそれぞれ用いて、上記のプロセスと同様のプロセスにより、銅/タングステン−アルミニウム材料および銅/タングステン−亜鉛材料を作成した。さらに、添加物なしの銅/タングステン材料も併せて作成した。
【0034】
各焼結体から、図2に示すアーク放電エロージョン試験片を切り出し、アーク放電エロージョン試験を行った。アーク放電エロージョン試験は、減圧プラズマ溶射装置(Plasma Tecknik A-2000V)を用いて、移行アークによる試験片表面のエロージョン試験を行った。アーク放電エロージョン試験は、常温、2.5kPaのアルゴン雰囲気中で、試験片を陰極とし、水冷銅陽極との間に電圧をかけることにより、移行アークを発生させる。試験条件は電源電圧50V、アーク電流490Aの一定とし、陰極である試験片表面の損傷が定常状態に達するまで、7〜13分間実施した。なお、アーク放電エロージョン試験片の表面粗さは、Rmax=0.5μmとした。
【0035】
図3に、各試験片について、上記アーク放電エロージョン試験後の試験片の損耗量を示した。損耗量は、試験前後の試験片の重量を測定して求めた。図3から、銅/タングステン−金属X材料は、金属Xを添加していない材料に対して、損耗量が半分以下から約1/10まで低減することが明らかになった。アルミニウムや亜鉛を添加した材料では、逆に損耗量が増大することが確認された。すなわち、金属Xを含む銅−タングステン材料は、優れた耐アークエロージョン特性を示すことが確認された。また、図3より明らかなように、金属Xがクロムである場合に損耗量が最も少なかった
【0036】
[第2の実施例]
タングステンを体積比で50〜90%含む銅/タングステン−クロム材料を焼結法で、タングステンを体積比で30〜50%含む銅/タングステン−クロム材料を溶浸法で作製した。
【0037】
焼結法による銅/タングステン−クロム材料(実施例)の作製は、第1実施例に記載したのと同様に、まず平均粒径10μm純度99.9%のタングステン粉末、平均粒径10μm純度99%の銅粉末および平均粒径10μm純度99%のクロム粉末を混合して、成形し、不活性雰囲気、真空雰囲気および還元雰囲気のいずれかの雰囲気中において、1000〜1400℃の温度で焼結することにより行った。
【0038】
このとき、焼結後におけるタングステン、銅およびクロムの体積比が、50:35:15; 60:28:12; 70:21:9; 80:14:6となるように、粉末の混合比及び焼結温度を選定した。
【0039】
また、焼結後におけるタングステンおよび銅の体積比が、50:50; 60:40; 70:30; 80:20; 90:10となるように、粉末の混合比及び焼結温度を選定して、同様なプロセスで添加物無しの銅/タングステン材料を作製した。
【0040】
溶浸法による銅/タングステン−クロム材料の作製は、まず平均粒径10μm、純度99.9%のタングステン粉末、平均粒径10μm、純度99%のクロム粉末を混合して、成形し、不活性雰囲気、真空雰囲気、還元雰囲気のいずれかの雰囲気中において、1000〜1400℃の温度で仮焼結し、これに純度99%以上の銅を、不活性雰囲気、真空雰囲気、還元雰囲気のいずれかの雰囲気中において、1200℃以下の温度で溶浸することにより行った。
【0041】
このとき、溶浸後におけるタングステン、銅およびクロムの体積比が、30:49:21; 40:42:18; 50:35:15となるように、粉末の混合比、及び仮焼結温度を選定した。
【0042】
方、溶浸後におけるタングステンおよび銅の体積比が、10:90; 20:80; 30:70; 40:60; 50:50となるように、粉末の混合比、及び仮焼結温度を選定して、上記と同様なプロセスで添加物なしの銅/タングステン材料を作製した。
【0043】
次に、各材料から、図2に示すアーク放電エロ−ジョン試験片を切り出した。そして第1の実施例に記載したのと同様の方法でアーク放電エロージョン試験を行い、損耗量を評価した。
【0044】
図4は、焼結法で作製した銅/タングステン材料(クロム添加無し)および銅/タングステン−クロム材料の、タングステン含有量と損耗量との関係を示すグラフである。ここに示すように、銅/タングステン材料の場合は、タングステン量が、タングステン量が80%以下の場合に、損耗量が低減することが確認された。また、クロムを添加した銅/タングステン−クロム材料では、クロム無添加の場合に比べて損耗量は大幅に低減することが確認された。
【0045】
図5は、溶浸法で作製した銅/タングステン材料(クロム添加無し)および銅/タングステン−クロム材料の、タングステン含有量と損耗量との関係を示すグラフである。ここに示すように、銅/タングステン材料の場合は、タングステン量が、タングステン量が30%以上の場合に、損耗量が低減することが確認された。また、クロムを添加した銅/タングステン−クロム材料では、クロム無添加の場合に比べて損耗量は大幅に低減することが確認された。
【0046】
以上のように、銅/タングステン−クロム材料は、材料構成が、体積比でタングステンが30〜80%、そして残りの20〜70%が銅とクロムからなる場合、非常に優れた耐アークエロージョン特性を示すことが確認された。
【0047】
[第3の実施例]
ここでは、銅/タングステン−クロム材料における銅とクロムの組成比について検討した。
【0048】
各々の銅/タングステン−クロム材料は、第1の実施例と同様に、まず平均粒径10μm純度99.9%のタングステン粉末、平均粒径10μm純度99%の銅粉末および平均粒径10μm純度99%のクロム粉末を混合して、成形し、不活性雰囲気、真空雰囲気、還元雰囲気のいずれかの雰囲気中において、1000〜1400℃の温度で焼結することにより作製した。
【0049】
このとき、焼結後におけるタングステン、銅およびクロムの体積比が、
50:45:5(Cu/(Cu+Cr)=0.9);
50:35:15(Cu/(Cu+Cr)=0.7);
50:25:25(Cu/(Cu+Cr)=0.5);
となるように、粉末の混合比、及び焼結温度を選定した。
【0050】
また、焼結後におけるタングステン、銅およびクロムの体積比が50:15:35(Cu/(Cu+Cr)=0.3)となるように、粉末の混合比、及び仮焼結温度を選定して、上記と同様なプロセスで添加物なしの銅/タングステン材料を作製した。
【0051】
各材料の焼結体から、図2に示すアーク放電エロ−ジョン試験片を切り出した。そして第1の実施例と同様の方法で、アーク放電エロージョン試験を行い、損耗量を評価した。図6に、銅/タングステン−クロム材料における銅含有量およびクロム含有量の総和に対するクロム含有量の比率と損耗量との関係に示した。
【0052】
銅/タングステン材料に、銅含有量およびクロム含有量の総和に対するクロム含有量の比率を50%以下となるようにクロムを添加することによって、損耗量を大きく低減でき、耐アークエロージョン特性を向上させることができることが確認された。
【0053】
[第4の実施例]
ここでは、銅/タングステン−クロム材料の気孔率が、アーク放電エロージョン試験による損耗量に及ぼす影響を調べた。
【0054】
各材料の製造に際しては、第1の実施例と同様に、平均粒径10μm純度99.9%のタングステン粉末、平均粒径10μm純度99%の銅粉末および平均粒径10μm純度99%のクロム粉末を混合して、成形し、不活性雰囲気、真空雰囲気、還元雰囲気のいずれかの雰囲気中において、1000〜1400℃の温度で焼結し、銅/タングステン−クロム材料を作製した。このとき、焼結後の気孔率が、2%、5%、10%になるように、粉末の混合比及び焼結温度を選定した。なお、気孔率は水銀圧入法を用いて測定した。
【0055】
また、焼結後の銅/タングステン−クロム材料の気孔率が、およそ15%になるよう、粉末の混合比及び焼結温度を選定して、同様なプロセスで作製した。
【0056】
各材料について、焼結体から図2に示すアーク放電エロ−ジョン試験片を切り出した。第1の実施例と同様に、アーク放電エロージョン試験を行い、損耗量を評価した。図7に、銅/タングステン−クロム材料の気孔率と損耗量について示した。
【0057】
銅/タングステン−クロム材料において、気孔率が10%以下の場合に損耗量を低減できることが確認された。
【0058】
[第5の実施例]
ここでは、銅/タングステン−クロム材料の材料組織中のタングステン粒子径が、アーク放電エロージョン試験における損耗量に及ぼす影響を調べた。
【0059】
各実施例の製造に際しては、第1の実施の形態と同様に、各種粒径の純度99.9%タングステン粉末、平均粒径10μm純度99%の銅粉末および平均粒径10μm純度99%のクロム粉末を混合して、成形し、不活性雰囲気、真空雰囲気、還元雰囲気のいずれかの雰囲気中において、1000〜1400℃の温度で焼結し、銅/タングステン−クロム材料を作製した。このとき、焼結後の銅/タングステン−クロム複合材料におけるタングステン粒子径が2μm、10μm、30μm、100μm、180μmになるように、タングステン粉末の粒径、及び焼結温度を選定した。
【0060】
なお、焼結後のタングステン相(図1の符号1参照)の大きさ(粒径)の測定は、焼結後の試験片を切断後鏡面研磨を行い、走査型電子顕微鏡により観察することにより行った。なお、ここに表記した粒径は、走査型電子顕微鏡の一視野に含まれる粒すべての平均値であり、また、ここでは各粒を交差する最も長い線分の長さをもってその粒の大きさとしている。本明細書中において表記される相(粒)の大きさはすべてこの測定方法による。
【0061】
なお、比較例として、焼結後の銅/タングステン−クロム複合材料におけるタングステン粒子径が400μmになるように、タングステン粉末の粒径、及び焼結温度を選定して、同様なプロセスで作製した。
【0062】
各実施例および比較例について、焼結体から図2に示すアーク放電エロ−ジョン試験片を切り出した。第1の実施の形態と同様に、アーク放電エロージョン試験を行い、損耗量を評価した。図8に、銅/タングステン−クロム材料のタングステン粒子径と損耗量について示した。
【0063】
銅/タングステン−クロム材料で、タングステン粒子径が200μm以下の場合、クロムを添加した銅/タングステン材料は、損耗量を低減できることが確認された。
【0064】
[第6の実施例]
ここでは、銅/タングステン−クロム材料の導電率、硬度が、アーク放電エロージョン試験による損耗量に及ぼす影響を調べている。
【0065】
各実施例の製造に際しては、第1の実施例と同様に、平均粒径10μm純度99.9%のタングステン粉末、平均粒径10μm純度99%の銅粉末および平均粒径10μm純度99%のクロム粉末を混合して、成形し、不活性雰囲気、真空雰囲気、還元雰囲気のいずれかの雰囲気中において、1000〜1400℃の温度で焼結し、銅/タングステン−クロム材料を作製した。このとき、焼結後の導電率が、20%IACS、40%IACS、60%IACS、またビッカース硬度が、170、220、300になるように、粉末の混合比及び焼結温度を選定した。なお、ビッカース硬度の測定はJIS Z 2244に準拠して行い、試験荷重は10kgとした。
【0066】
なお、比較例は、焼結後の銅/タングステン−クロム材料の導電率が10%IACS、ビッカース硬度が100及び140になるよう、粉末の混合比及び焼結温度を選定して、同様なプロセスで作製した。
【0067】
各実施例および比較例について、焼結体から図2に示すアーク放電エロ−ジョン試験片を切り出した。第1の実施の形態と同様に、アーク放電エロージョン試験を行い、損耗量を評価した。図9に銅/タングステン−クロム材料の導電率と損耗量について、図10に銅/タングステン−クロム材料の硬度と損耗量について示した。
【0068】
図9および図10に示すように、銅/タングステン−クロム材料で、導電率が20%IACS以上の場合、またビッカース硬度が170以上の場合、損耗量が低減することが確認された。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、耐アークエロージョン特性に優れた電気接点材料を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による電気接点材料の材料組織を模式的に示す図。
【図2】 アーク放電エロージョン試験片を示す図。
【図3】 添加元素とアークエロージョンによる損耗量との関係を示すグラフ。
【図4】 焼結法で作製した銅/タングステン材料および銅/タングステン−クロム材料のタングステン量と損耗量の関係を示すグラフ。
【図5】 溶浸法で作製した銅/タングステン材料および銅/タングステン−クロム材料のタングステン量と損耗量の関係を示すグラフ。
【図6】 銅/タングステン−クロム材料の銅−クロム中のクロム量と損耗量の関係を示すグラフ。
【図7】 銅/タングステン−クロム材料の気孔率と損耗量の関係を示すグラフ。
【図8】 銅/タングステン−クロム材料のタングステン粒子径と損耗量の関係を示すグラフ。
【図9】 銅/タングステン−クロム材料の導電率と損耗量の関係を示すグラフ。
【図10】 銅/タングステン−クロム材料の硬度と損耗量の関係を示すグラフ。

Claims (4)

  1. タングステンと、
    銅と、
    クロムと、を含んでなる電気接点材料であって、
    タングステンの含有量が体積比で60〜40%であり、
    銅およびクロムの含有量の総和が体積比で40〜60%であり、
    かつ、
    銅およびクロムの含有量の総和に対する銅の割合が、体積比で70〜90%である
    ことを特徴とする電気接点材料。
  2. タングステンが、アルミニウム、カリウムおよびシリコンからなる群より選ばれた少なくとも1種の材料をドープしたドープタングステンであることを特徴とする、請求項1に記載の電気接点材料。
  3. 材料組織が、粒径が200μm以下のタングステン相と、前記タングステン相間を埋める銅およびクロムからなる第2相と、を含んでなることを特徴とする、請求項1に記載の電気接点材料。
  4. 前記第2相は、銅から分離して析出するクロムからなる粒径が100μm以下の析出相を含んでいることを特徴とする、請求項3に記載の電気接点材料。
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