JPH10182638A - プロピコナゾール及びその類縁化合物のハプテン化合物、抗体及び測定方法 - Google Patents

プロピコナゾール及びその類縁化合物のハプテン化合物、抗体及び測定方法

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JPH10182638A
JPH10182638A JP8343185A JP34318596A JPH10182638A JP H10182638 A JPH10182638 A JP H10182638A JP 8343185 A JP8343185 A JP 8343185A JP 34318596 A JP34318596 A JP 34318596A JP H10182638 A JPH10182638 A JP H10182638A
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propiconazole
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JP8343185A
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Inventor
Shigehisa Ito
茂壽 伊東
Masao Hayashi
昌郎 林
Atsushi Fujii
淳 藤井
Naiki Omoda
内記 面田
Shigeyuki Watanabe
繁幸 渡邊
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KANKYO MENEKI GIJUTSU KENKYUSH
Kankyo Meneki Gijutsu Kenkyusho KK
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KANKYO MENEKI GIJUTSU KENKYUSH
Kankyo Meneki Gijutsu Kenkyusho KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、プロピコナゾール及びその類縁化
合物のハプテン化合物、抗体及び測定方法を提供するこ
とを目的とする。 【解決手段】 本発明のハプテン化合物は、プロピコナ
ゾール類縁化合物にスペーサー、並びに高分子化合物と
の結合に利用できる官能基を結合させたことを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、1−[2−(2,
4−ジクロロフェニル)−4−プロピル−1,3−ジオ
キソラン−2−イルメチル]−1H−1,2,4−トリア
ゾール(以下、本明細書中「プロピコナゾール」と言
う)及びその類縁化合物(以下、「プロピコナゾール類
縁化合物」と言う)のハプテン化合物、抗原、抗体及び
そのフラグメントに関する。
【0002】本発明は、さらに前記抗原、抗体及びその
フラグメントを用いた免疫学的測定方法に関する。
【0003】
【従来の技術】プロピコナゾール類縁化合物は、以下の
式(3)または(4):
【化6】 [式(3)及び(4)中、Lはハロゲン原子であり(本
明細書中、ハロゲン原子はF、Cl、BrまたはIを意
味する);Yは無置換であるか、または炭素数1−3の
アルキル基であり;そしてm及びm'は1−4の整数で
ある]で表される構造を有する、一連の化合物である。
これらの化合物はトリアゾール系のエルゴステロール生
合成阻害剤(以下、「EBI剤」と言う)に属する。
【0004】エルゴステロールは、藻菌類を除く多くの
糸状菌が体内で合成するステロール類の内の一つで、生
体膜のリン脂質の二重層の間に存在し、細胞膜の強度
や、透過性、各種の膜酵素の機能に重要な影響を与えて
いる。エルゴステロールは、生体内では、酢酸からメバ
ロン酸、スクワレンなどを経て合成されるが、この経路
のいずれかの反応を特異的に阻害する一連の化合物群を
EBI剤と総称する。EBI剤は、幅広い抗菌スペクト
ルと浸透性、治療性など優れた特性を有する。子のう菌
類、担子菌類、不完全菌類などに有効で、中でも各種作
物のうどんこ病に卓効を有することが特徴である。従来
の薬剤と比較すると低薬量で効力を発揮し、植物体内へ
速やかに浸透するため耐雨性もある。また、ミツバチな
ど訪花昆虫に対する毒性が低いので、果樹などの開花期
の散布が可能である。EBI剤は化学構造から、トリア
ゾール系、イミダゾール系、ピリミジン系等に分けられ
る。本発明の化合物は、これらのうちトリアゾール系の
EBI剤に属する(農薬ハンドブック 第224頁−第
230頁 1994年版 日本植物防疫協会)。
【0005】本発明の代表的な化合物であるプロピコナ
ゾールは、以下の式:
【化7】 で表される構造を有し、ムギ、イネをはじめ様々な作物
の病害防除に世界50か国以上の国々で登録、使用され
ている。プロピコナゾールは浸透性殺菌剤で、病原菌に
対しては菌糸の生育は強く阻害するが、分子胞子発芽に
対する阻害作用は弱い(農薬ハンドブック 同上)。
【0006】また、1−[2−(2,4−ジクロロフェ
ニル)−4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−イル
メチル]−1H−1,2,4−トリアゾール(以下、「ア
ザコナゾール」と言う)、1−[2−(2,4−ジクロ
ロフェニル)−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2
−イルメチル]−1H−1,2,4−トリアゾール(以
下、「エタコナゾール」と言う)、及び1−[2−[4
−(4−クロロフェノキシ)−2−クロロフェニル]−
4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イルメチル]
−1H−1,2,4−トリアゾール(以下、「ジフェノコ
ナゾール」と言う)も本発明のプロピコナゾール類縁化
合物に含まれる。
【0007】近年、土壌、水、大気等の環境中での残留
農薬や、最近特に増加してきた輸入農産物のポストハー
ベスト農薬等の残留に大きな社会的関心が寄せられてい
る。例えば、前出のプロピコナゾールについては、食品
衛生法に基づき残留基準値が落花生・てんさい・さとう
きびで0.05ppm、マンゴー・なたね・ペカン・ア
ーモンドで0.05ppm、米(玄米)・バナナ・コー
ヒー豆で0.1ppm、ぶどうで0.50ppm、小麦・
大麦・そば・トウモロコシ・ライ麦・その他の穀類で
1.0ppm、もも・ネクタリン・あんず・すもも・う
め・黄桃で1.0ppmと定められている(農薬登録保
留基準 残留農薬基準ハンドブック 農薬環境保全対策
研究会編 第806頁−第807頁)。環境や食品に関
する安全確保のためには、これらに含有される、プロピ
コナゾールを始めとするプロピコナゾール類縁化合物の
量を迅速、かつ正確に測定することが必要である。
【0008】従来、プロピコナゾール類縁化合物は、果
実、穀類等の試料から抽出し、精製した後、ガスクロマ
トグラフィー(GC)により分析されてきた。例えば、
プロピコナゾールの場合、試料をアセトンで抽出して、
酢酸エチルに転溶した後、さらにGCで分析する方法が
採用されている。これらの方法は、試料の調製が煩雑で
多大の手間と時間を必要とし、分析に熟練を有するこ
と、並びに、測定装置や設備等に高額の費用を必要とす
る等の問題点がある。プロピコナゾール類縁化合物の測
定は、特に輸入農産物等の残留農薬の分析においては、
短時間で膨大な数の試料の分析結果を出す必要があり、
精度面だけでなく、簡便性、迅速性及び経済性をも具備
した新規測定方法が要求されてきている。
【0009】免疫学的測定方法は、抗体が抗原を特異的
に認識する、抗原抗体反応に基づいて抗原の検出を行う
方法であり、その優れた精度、簡便性、迅速性、経済性
から近年注目を集めてきている。免疫学的測定方法にお
いては検出方法として非常に多種の標識、例えば、酵
素、放射性トレーサー、化学発光あるいは蛍光物質、金
属原子、ゾル、ラテックス及びバクテリオファージが適
用されてきた。
【0010】免疫学的測定方法の中でも、酵素を使用す
る酵素免疫測定法(EIA)は特に優れたものとして広
く使用されるに至っている。酵素免疫測定法についての
優れた論評が、Tijssen P,“Practice and theory of e
nzyme immunoassays" in Laboratory techniques in bi
ochemistry and molecular biology, Elsevier Amsterd
am New York, Oxford ISBN 0-7204-4200-1 (1990) に記
載されている。
【0011】一般に、分子量が大きな分子については、
それ以上修飾することなく動物に接種することにより、
適当な免疫反応を惹起し、抗原を認識する抗体を産生さ
せることができる。しかし、プロピコナゾール類縁化合
物のような低分子化合物は通常動物に接種したとき免疫
応答を引き出すことができない。これらの分子は免疫原
性を有する高分子化合物に結合させることによって初め
て一団のエピトープとして行動し、T細胞受容体の存在
下で免疫応答を起こし、その結果、一群のBリンパ球に
より抗体が産生される。このように高分子化合物と結合
させて初めて免疫原性を生じる分子を総称して「ハプテ
ン」と言う。
【0012】しかし、低分子化合物を高分子化合物と結
合させたものを抗原としても、得られた抗体は望む分子
を認識しないか、あるいはごく低い親和性しかもたない
場合がしばしばある。そのため、一般に低分子化合物そ
のものではなく、結合に利用できる官能基と共にスペー
サーアーム(結合手)を導入したものをハプテンとして
使用する必要がある。しかしその場合に、結合手/官能
基の配置、結合手の大きさ等の全ての問題を考慮して導
入が適切に行われたものを使用しないと、好ましい抗体
は得られない。適切な導入は個々の分子に応じて工夫し
なけらばならない。
【0013】プロピコナゾール類縁化合物についてはそ
の必要性が非常に高かったにもかかわらず、適切な抗体
はもとより、抗体を作製するためのハプテンも本発明前
には得られていなかった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、プロピコナ
ゾール類縁化合物に特異的に反応する新規な抗体を作製
するための抗原を構成するハプテン化合物となる、当該
化合物の誘導体を提供することを目的とする。
【0015】本発明は、また、プロピコナゾール類縁化
合物誘導体と高分子化合物との結合体を提供することを
目的とする。当該結合体はプロピコナゾール類縁化合物
に特異的に反応する抗体を作製するための抗原となる。
【0016】本発明は、さらに、プロピコナゾール類縁
化合物に反応する新規な抗体もしくはそのフラグメン
ト、及びその作製方法を提供することを目的とする。
尚、本明細書において抗体の「フラグメント」とは、抗
原と結合可能な抗体の一部分、例えばFab断片等を意味
する。
【0017】本発明はその一態様において、前記化合物
に反応性を有するモノクローナル抗体を提供する。
【0018】本発明は、さらにまた、前記抗体及びその
フラグメントを産生するハイブリドーマを提供すること
を目的とする。
【0019】本発明は、さらに、前記抗体を使用するこ
とを含む、プロピコナゾール類縁化合物の免疫学的測定
方法を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、プロピコナゾール類縁化合物にスペーサ
ーアーム及び高分子との結合に利用できる官能基を導入
した、プロピコナゾール類縁化合物の誘導体をハプテン
として使用することにより、前記化合物に特異的な抗体
を得ることに成功し、本発明の完成に至った。
【0021】本発明の対象となるプロピコナゾール類縁
化合物は、以下の式(3)または(4):
【化8】 [式(3)及び(4)中、Lはハロゲン原子であり;Y
は無置換であるか、または炭素数1−3のアルキル基で
あり;そしてm及びm'は1−4の整数である]で表さ
れる一連の化合物である。
【0022】抗体作製のためのハプテンとして使用され
る誘導体は、前記プロピコナゾール類縁化合物の
【化9】 の部分を
【化10】 [式中、Rはカルボキシル基、ホルミル基、ヒドロキシ
ル基、アミノ基又はメルカプト基であり;Xは、以下の
式:
【化11】 からなる群より選択された基であるか、あるいは直接結
合であり;nは1−10の整数であり、好ましくは2−
5であり;そしてL、m及びm'は先に定義した通りで
ある]に変化させたものである。即ち、本発明のプロピ
コナゾール類縁化合物誘導体は、以下の式(1)または
(2):
【化12】 [式(1)または(2)中、R、X、L、Y、n、m及
びm'は前述した通りである]で表される構造を有する
化合物である。
【0023】本発明において、化合物の立体異性体は特
に限定されず全ての立体異性体を含む。
【0024】限定するわけではないが、本発明の対象と
なる好ましい化合物は、式(1)または(2)中、Rが
カルボキシル基であり、Xが以下の式:
【化13】 で表される基であり、かつYが炭素数1−3のアルキル
基である。より好ましい化合物は、Rがカルボキシル基
であり、Xが以下の式:
【化14】 で表される基であり、かつYがプロピル基である。特に
好ましくはプロピコナゾール、アザコナゾール、エタコ
ナゾール及びジフェノコナゾールの誘導体である。最も
好ましい化合物は、プロピコナゾールの誘導体である。
【0025】本発明のプロピコナゾール類縁化合物にス
ペーサーアーム及び結合に利用できる官能基を結合させ
た誘導体をハプテンとして適当な高分子化合物と結合さ
せたものを抗原として用いることによって、プロピコナ
ゾール類縁化合物に特異的な抗体を得ることができる。
【0026】本発明は、前記ハプテン化合物、ハプテン
化合物と高分子化合物との結合体、プロピコナゾール類
縁化合物に反応する抗体及びその作製方法、ならびに該
ハプテン化合物または該抗体を用いるプロピコナゾール
類縁化合物の免疫学的測定方法に関する。
【0027】プロピコナゾール類縁化合物の誘導体の作
式(1)または(2)で表されるプロピコナゾール類縁
化合物誘導体は、公知の方法によって合成することがで
きる。例えば式(1)の化合物は、以下に記載するよう
な方法に従って合成することができる。
【0028】 Xが−O−、−S−、−NH−または−NHCO−の場
I−1 Rが−COOH、−OH、−NH2または−SHの場合 以下の式(Z1):
【化15】 [式中、X'は−O−、−S−、−NH−または−NH
CO−を表し、L及びmは先に定義した通りである]で
表される化合物を、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジ
クロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジエチルエ
ーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトン、
メチルエチルケトン、アセトニトリル、酢酸エチル、ジ
メチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の不活性
溶媒中、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ナト
リウムメチラート、水素化ナトリウム、ブチルリチウ
ム、トリエチルアミン、ピリジン、ジイソプロピルアミ
ン等の塩基の存在下に、以下の式(Z2):
【化16】 [式中、Pはアルキル基、アルコキシ基またはベンジル
オキシ基であり、Lは先に定義した通りである]で表さ
れる化合物と反応させ、式(Z3):
【化17】 [式中、P、X'、L及びmは先に定義した通りであ
る]で表される化合物を合成する。反応は−80℃から
溶媒の沸点の温度、好ましくは室温から100℃で、5
分から10時間、好ましくは1−5時間行う。
【0029】式(Z3)の化合物を精製後、メタノー
ル、1,2−ジヒドロキシエタン、四塩化炭素、ベンゼ
ン、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジエチ
ルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセト
ニトリル、酢酸エチル、酢酸、ジメチルホルムアミド、
ジメチルスルホキシド等の溶媒中、臭素、塩化スルフリ
ル等のハロゲン化剤を加えて反応させ、式(Z4):
【化18】 [式中、L'はハロゲン原子を表し、P、X'、L及びm
は先に定義した通りである]で表される化合物を合成す
る。反応は0℃から溶媒の沸点の温度、好ましくは室温
から100℃の温度で、5分から20時間、好ましくは
1−5時間行う。
【0030】次に、式(Z4)のα−ハロアセトフェノ
ン誘導体に、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベ
ンゼン、シクロヘキサン等の溶媒中、触媒としてp−ト
ルエンスルホン酸、塩酸等の強酸の存在下、以下の式:
【化19】 [式中、Yは先に定義した通りである]で表される化合
物と反応させ、式(Z5):
【化20】 [式中、L、L'、P、X'、Y及びmは先に定義した通
りである]で表される化合物を合成する。反応は0℃か
ら溶媒の沸点の温度、好ましくは溶媒の沸点の温度で、
1−20時間、好ましくは1−10時間、析出する水を
除きながら行う。
【0031】式(Z5)の化合物に、1H−1,2,4−
トリアゾールをN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−
ジメチルアセトアミド、アセトン、アセトニトリル等の
溶媒中、またはこれらの混合溶媒中、ナトリウムメチラ
ート、ナトリウムエチラート、水素化ナトリウム等の塩
基の存在下に反応させ、式(Z6):
【化21】 [式中、L、P、X'、Y及びmは先に定義した通りで
ある]で表される化合物を合成する。反応は−80℃か
ら溶媒の沸点の温度、好ましくは室温から150℃の温
度で、1−20時間、好ましくは1−5時間行う。
【0032】式(Z6)の化合物を精製後、アルカリ加
水分解などで加水分解することにより式(Z7):
【化22】 [式中、L、X'、Y及びmは先に定義した通りであ
る]で表される化合物を合成する。
【0033】式(Z7)の化合物をメタノール、エタノ
ール、ベンゼン、トルエン、ジクロロメタン、クロロホ
ルム、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、ジメチ
ルホルムアミド等の溶媒中、炭酸ナトリウム、水酸化カ
リウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム等の塩基
の存在下、以下の式:
【化23】 [式中、P'はRの保護基であり;R'は−COO−、−
O−、−NH−または−S−であり;そしてL及びnは
先に定義した通りである]で表される化合物と反応さ
せ、式(Z8):
【化24】 [式中、P'、R'、X'、Y、L、n及びmは先に定義
した通りである]で表される化合物を合成する。反応は
0℃から溶媒の沸点の温度、好ましくは室温から100
℃の温度で、5分から10時間、好ましくは1−5時間
行う。
【0034】P'で表される保護基は公知のものでよ
く、具体例として、R'が−COO−の場合には、例え
ば、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ベンジ
ル基、p−メトキシベンジル基、トリクロロエチル基、
トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル
基、tert−ブチルジフェニルシリル基、トリエチル
シリル基、トリイソプロピルシリル基、トリメチルシリ
ルエトキシメチル基等を挙げることができる。また、
R'が−O−、−NH−もしくは−S−の場合には、例
えば以下の式:
【化25】 [式中、Pは先に定義した通りである]で表される基を
挙げることができる。
【0035】最後に、式(Z8)の化合物からP'で表
される保護基を除去することにより、以下の式(Z
9):
【化26】 [式中、R”は−COOH、−OH、−NH2または−
SHであり、X'、Y、L、n及びmは先に定義した通
りである]で表される化合物を製造できる。保護基の除
去は、酸加水分解、アルカリ加水分解などの公知の方法
で行うことができる。
【0036】例えば、アルカリ加水分解の場合には、式
(Z8)の化合物を、好ましくはメタノール、エタノー
ル、テトラヒドロフラン、エチレングリコール等の有機
溶媒、またはこれらの有機溶媒と水との混合溶媒に水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムまたは
炭酸カリウム等を加えて、0℃から溶媒の沸点の温度、
好ましくは室温から100℃の温度で、1−2時間撹拌
反応させることにより合成することができる。
【0037】また、保護基がtert−ブチル基である
場合には、式(Z6)の化合物を含む有機溶媒に酸触媒
を加えて、好ましくは撹拌下で反応させることにより行
われる。有機溶媒としては、例えばベンゼン等の芳香族
炭化水素類、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン
などのハロゲン化炭素類、またはこれらの混合溶媒等を
使用できる。酸溶媒としては公知のもの、例えばトリフ
ルオロ酢酸等のカルボン酸、p−トルエンスルホン酸等
のスルホン酸、塩酸、硝酸等の鉱酸等が使用できるが、
その中でもトリフルオロ酢酸が好ましい。反応温度は、
通常0℃−50℃、好ましくは室温がよく、反応時間は
通常0.5−3時間程度とすればよい。
【0038】更に、ベンジル基の除去は水素による接触
還元によっても行うことができる。
【0039】また、トリメチルシリル基、tert−ブ
チルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシ
リル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル
基、トリメチルシリルエトキシメチル基は、フッ化水
素、テトラブチルアンモニウムフルオリド、ピリジニウ
ムフルオリド等のフッ素イオンを発生させる試薬により
特異的に除去することもできる。
【0040】I−2 Rが−CHOの場合 式(Z7)の化合物に、以下の式:
【化27】 [式中、L及びnは先に定義した通りである]で表され
る化合物を、式(Z7)の化合物から式(Z8)の化合
物を得る場合と同様の方法で反応させることにより、式
(Z10):
【化28】 [式中、X'、L、Y、n及びmは先に定義した通りで
ある]で表される化合物を合成することができる。
【0041】II Xが−COO−または−CONH−の場合 II−1−1 Rが−COOH、−OH、−NH2または−SHの場合 式(Z7)の化合物の中で、X'が−O−または−NH
−の化合物に、以下の式:
【化29】 [式中、P'、R'、Lまたはnは先に定義した通りであ
る]で表される化合物を、式(Z1)の化合物から式
(Z3)の化合物を合成する場合と同様の方法で反応さ
せることにより、式(Z11):
【化30】 [式中、X”は−COO−または−CONH−であり、
そして、P'、R'、L、Y、m及びnは先に定義した通
りである]で表される化合物を合成することができる。
【0042】ついで、式(Z11)の化合物から、式
(Z8)の化合物から式(Z9)を合成する場合と同様
の方法で保護基を除去することにより、式(Z12):
【化31】 [X”、R”、L、Y、m及びnは先に定義した通りで
ある]で表される化合物を合成することができる。
【0043】II−1−2 Rが−COOHで、nが2と3の場合 式(Z7)の化合物の中で、X'が−O−または−NH
−の化合物に、以下の式:
【化32】 [式中、n'は2と3の整数である]で表される化合物
を、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、4−ピロ
リジロピリジン等の塩基の存在下、または非存在下にア
セトニトリル、ジメチルスルホキシド等の溶媒中または
先の塩基を溶媒として使用することにより反応させ、式
(Z13):
【化33】 [式中、X”、L、Y、m及びnは先に定義した通りで
ある]で表される化合物を合成することができる。反応
は0℃から溶媒の沸点の温度、好ましくは室温から10
0℃の温度で、5分から30時間、好ましくは1−10
時間行う。
【0044】II−2 Rが−CHOの場合 式(Z7)の化合物の中で、X'が−O−または−NH
−の化合物に、以下の式:
【化34】 [式中、L及びnは先に定義した通りである]で表され
る化合物を、式(Z1)の化合物から式(Z3)の化合
物を合成する場合と同様の方法で反応させることによ
り、式(Z14):
【化35】 [式中、X”、L、Y、m及びnは先に定義した通りで
ある]で表される化合物を合成することができる。
【0045】なお、合成方法IIにおいて用いる、X'
が−NH−である式(Z7)の化合物は、以下の式(Z
15):
【化36】 [式中、L及びmは先に定義した通りである]で表され
る化合物を、式(Z3)の化合物から式(Z6)の化合
物を合成する場合と同様の方法で反応させることによ
り、式(Z16):
【化37】 [式中、L、Y及びmは先に定義した通りである]で表
される化合物を合成し、次にこの化合物を還元すること
によっても、合成することができる。還元反応はPd−
C、PtO2等の触媒の存在下、水、メタノール、エタ
ノール、酢酸エチル、酢酸等の溶媒中で、常圧または加
圧下に行われる。反応温度は0℃から溶媒の沸点の温
度、好ましくは室温から50℃の温度で、1−24時間
撹拌反応させることにより、一般式(Z7)のX'が−
NH−の化合物を得ることができる。
【0046】また、出発材料となる式(Z1)の化合物
は例えば、以下の式(Z17):
【化38】 [式中、P、X'、L及びmは、先に定義した通りであ
る]で表される安息香酸のクロリドを、例えばJour
nal of OrganicChemistry 50
巻、2622頁(1985)に記載された方法でマロン
酸ジエチルエステルと、塩化マグネシウム及びトリエチ
ルアミン、ピリジン等の塩基の存在下に反応させて、以
下の式(Z18):
【化39】 [式中、P、X'、L及びmは、先に定義した通りであ
る]で表される化合物を合成し、この化合物を精製し、
または精製することなしに、例えばJournal o
f American Chemical Societ
y 67巻、143頁(1945)に記載された方法で
加水分解することにより製造することができる。
【0047】式(Z15)の化合物も同様に製造するこ
とができる。
【0048】式(2)の化合物も式(1)の化合物と同
様の方法により合成することができる。
【0049】以上の製造法によって得られた化合物を、
必要に応じシリカゲルクロマトグラフィーまたは再結晶
操作等を行うことにより、さらに高純度の精製品とする
ことができる。
【0050】以下、本発明の抗原、抗体の作製、及び免
疫学的測定方法について説明する。尚、これらの調製は
公知の方法、例えば続生化学実験講座、免疫生化学研究
法(日本生化学会編)等に記載の方法に従って行うこと
ができる。
【0051】プロピコナゾール類縁化合物誘導体と高分
子化合物との結合体の作製 上述のように合成されたプロピコナゾール類縁化合物誘
導体を適当な高分子化合物に結合させてから免疫用抗原
として使用する。
【0052】好ましい高分子化合物の例としては、スカ
シガイのヘモシアニン(以下、「KLH」と言う)、卵
白アルブミン(以下、「OVA」と言う)、ウシ血清ア
ルブミン(以下、「BSA」と言う)、ウサギ血清アル
ブミン(以下、「RSA」と言う)などがある。
【0053】プロピコナゾール類縁化合物誘導体と高分
子化合物との結合は、例えば、混合酸無水物法(B.F.Er
langer et al.:J.Biol.Chem. 234 1090-1094 (195
4))、または活性化エステル法(A.E. KARU et al.:J.
Agric. Food Chem. 42 301-309 (1994))等の公知の方
法によって行うことができる。
【0054】混合酸無水物法において用いられる混合酸
無水物は、カルボン酸とハロ蟻酸エステルとの反応によ
り得られ、これを高分子化合物と反応させることにより
目的とするハプテン−高分子化合物結合体が製造され
る。この反応は塩基性化合物の存在下に行われる。塩基
性化合物としては例えば、N−メチルモルホリン、トリ
エチルアミン、トリメチルアミン、ピリジン、N,N−
ジメチルアニリン、DBN、DBU、DABCO等の有
機塩基、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリ
ウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基等が挙げられ
る。該反応は、通常マイナス20℃−100℃、好まし
くは0℃−50℃において行われ、反応時間は5分−1
0時間、好ましくは5分−2時間である。得られた混合
酸無水物と高分子化合物との反応は、通常マイナス20
℃−150℃、好ましくは0℃−100℃において行わ
れ、反応時間は5分−10時間、好ましくは5分−5時
間である。混合酸無水物法は一般に溶媒中で行われる。
溶媒としては、混合酸無水物法に慣用されているいずれ
の溶媒も使用可能であり、具体的にはジオキサン、ジエ
チルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン
等のエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム、ジク
ロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トル
エン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸メチル、酢
酸エチル等のエステル類、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリン酸トリア
ミド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。混合酸
無水物法において使用されるハロ蟻酸エステルとして
は、例えばクロロ蟻酸イソブチル、クロロ蟻酸メチル、
ブロモ蟻酸メチル、クロロ蟻酸エチル、ブロモ蟻酸エチ
ル等が挙げられる。当該方法におけるハプテンとハロ蟻
酸エステルと高分子化合物の使用割合は、広い範囲から
適宜選択され得る。
【0055】一方活性化エステル法は、一般に以下のよ
うに行うことができる。まず、ハプテン化合物を有機溶
媒に溶解し、カップリング剤の存在下にてN−ヒドロキ
シこはく酸イミドと反応させ、N−ヒドロキシこはく酸
イミドエステルを生成する。
【0056】カップリング剤としては、縮合反応に慣用
されている通常のカップリング剤を使用でき、例えば、
ジシクロヘキシルカルボジイミド、カルボニルジイミダ
ゾール、水溶性カルボジイミド等が含まれる。有機溶媒
としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(D
MF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジオキサ
ン等が使用できる。反応に使用するハプテン化合物とN
−ヒドロキシこはく酸イミドのモル比は好ましくは1:
10−10:1、より好ましくは、1:1−1:10、
最も好ましくは1:1である。反応温度は、0℃−10
0℃、好ましくは5℃−50℃、より好ましくは22℃
−27℃で、反応時間は5分−24時間、好ましくは3
0分−6時間、より好ましくは1−2時間である。反応
温度は各々の融点以上沸点以下の温度で行うことができ
る。
【0057】カップリング反応後反応液を遠心し、上清
液を高分子化合物を溶解した溶液に加え反応させると、
例えば高分子化合物が遊離のアミノ基を有する場合、当
該アミノ基とハプテン化合物のカルボキシル基の間に酸
アミド結合が生成される。反応温度は、0℃−60℃、
好ましくは5℃−40℃、より好ましくは22℃−27
℃で、反応時間は5分−24時間、好ましくは1−16
時間、より好ましくは1−2時間である。反応物を、透
析、脱塩カラム等によって精製して、プロピコナゾール
類縁化合物誘導体と高分子化合物との結合体を得ること
ができる。
【0058】また、上記と同様の方法により、酵素等の
標識物質をプロピコナゾール類縁化合物誘導体に結合さ
せたものを、免疫測定法において使用することができ
る。標識物質としては、西洋わさびペルオキシダーゼ
(以下、「HRP」と言う)やアルカリフォスファター
ゼ等の酵素、フルオレセインイソチオシアネートやロー
ダミン等発色物質、32P、125I等の放射性物質などが
ある。
【0059】ポリクローナル抗体の作製 プロピコナゾール類縁化合物誘導体と高分子化合物との
結合体を使用して、慣用化された方法により本発明のポ
リクローナル抗体を作製することができる。例えば、プ
ロピコナゾール類縁化合物誘導体−KLH結合体をリン
酸緩衝液(以下、「PBS」と言う)に溶解し、フロイ
ント完全アジュバントまたは不完全アジュバント、ある
いはミョウバン等の補助剤と混合したものを、免疫用抗
原として動物に免疫することによって行う。免疫される
動物としては当該分野で常用されるものをいずれも使用
できるが、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ウ
マ等を挙げることができる。
【0060】免疫の際の投与法は、皮下注射、腹腔内注
射、静脈内注射、皮内注射、筋肉内注射のいずれでもよ
いが、皮下注射または腹腔内注射が好ましい。投与は1
回または適当な間隔で、好ましくは1週間ないし5週間
の間隔で複数回行うことができる。
【0061】免疫した動物から血液を採取し、そこから
分離した血清を用い、プロピコナゾール類縁化合物と反
応するポリクローナル抗体の存在を評価することができ
る。
【0062】本発明のプロピコナゾール類縁化合物誘導
体と高分子化合物との結合体により免疫感作させたマウ
スの抗血清は、後述する間接競合ELISA法におい
て、プロピコナゾールの量を0.01−100μg、好
ましくは0.1−100μgの範囲で測定できる(実施
例4、図1)。
【0063】モノクローナル抗体の作製 プロピコナゾール類縁化合物誘導体と高分子化合物との
結合体を使用して、公知の方法により本発明のモノクロ
ーナル抗体を作製することができる。
【0064】モノクローナル抗体の作製にあたっては、
少なくとも下記のような作業工程が必要である。
【0065】(a)免疫用抗原として使用するプロピコ
ナゾール類縁化合物誘導体と高分子化合物との結合体の
作製 (b)動物への免疫 (c)血液の採取、アッセイ、及び抗体産生細胞の調製 (d)ミエローマ細胞の調製 (e)抗体産生細胞とミエローマ細胞との細胞融合とハ
イブリドーマの選択的培養 (f)目的とする抗体を産生するハイブリドーマのスク
リーニングと細胞クローニング (g)ハイブリドーマの培養または動物へのハイブリド
ーマの移植によるモノクローナル抗体の調製 (h)調製されたモノクローナル抗体の反応性の測定等
【0066】モノクローナル抗体を産生するハイブリド
ーマを作製するための常法は、例えば、ハイブリドーマ
テクニックス(Hybridoma Techniques),コールド
スプリング ハーバーラボラトリーズ(Cold Spring Ha
rbor Laboratory),1980年版)、細胞組織化学
(山下修二ら、日本組織細胞化学会編;学際企画、19
86年)に記載されている。
【0067】以下、上述の本発明のプロピコナゾール類
縁化合物に対するモノクローナル抗体の作製方法を説明
するが、これに制限されないことは当業者によって明ら
かであろう。
【0068】(a)−(b)の工程は、ポリクローナル
抗体に関して記述した方法とほぼ同様の方法によって行
うことができる。
【0069】(c)の工程における抗体産生細胞はリン
パ球であり、これは一般には脾臓、胸腺、リンパ節、末
梢血液またはこれらの組み合わせから得ることができる
が脾細胞が最も一般的に用いられる。従って、最終免疫
後、抗体産生が確認されたマウスより抗体産生細胞が存
在する部位、例えば脾臓を摘出し、脾細胞を調製する。
【0070】(d)の工程に用いることができるミエロ
ーマ細胞としては、例えば、Balb/cマウス由来骨
髄腫細胞株のP3/X63−Ag8(X63)(Natur
e,25 6, 495-497 (1975))、P3/X63−Ag8.U
1(P3U1)(Current Topics.in Microbiology and
Immunology, 81 1-7 (1987))、P3/NSI−1−A
g4−1(NS−1)(Eur.J.Immunol., 6, 511-519
(1976))、Sp2/0−Ag14(Sp2/0)(Natu
re 276, 269-270 (1978))、FO(J. Immuno.Meth., 3
5, 1-21 (1980))、MPC−11、X63.653、S
194等の骨髄腫株化細胞、あるいはラット由来の21
0.RCY3.Ag1.2.3.(Y3)(Nature 277, 1
31-133, (1979))等を使用できる。
【0071】上述した株化細胞をウシ胎児血清を含むダ
ルベッコ改変イーグル培地(DMEM)またはイスコフ
改変ダルベッコ培地(IMDM)で継代培養し、融合当
日に1×106以上の細胞数を確保する。
【0072】(e)の工程の細胞融合は公知の方法、例
えばミルシュタイン(Milstein)らの方法(Methods in
Enzymology, 73, 3 (1981))等に準じて行うことがで
きる。現在最も一般的に行われているのは、ポリエチレ
ングリコール(PEG)を用いる方法である。PEG法
については、例えば、細胞組織化学、山下修二ら(上
述)に記載されている。その他の融合方法としては、電
気処理(電気融合)による方法等を適宜採用することも
できる(大河内悦子ら、実験医学 5.1315−1
9、1987)。また、細胞の使用比率も公知の方法と
同様でよく、例えばミエローマ細胞に対して脾細胞を3
−10倍程度用いればよい。脾細胞とミエローマ細胞と
が融合し、抗体産生能及び増殖能を獲得したハイブリド
ーマ群の選択は、例えば、ミエローマ細胞株としてヒポ
キサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ
欠損株を使用した場合、例えば上述のDMEMやIMD
Mにヒポキサンチン・アミノプテリン・チミジンを添加
して調製したHAT培地の使用により行うことができ
る。
【0073】(f)の工程では、選択されたハイブリド
ーマ群を含む培養上清の一部をとり、例えば後述するE
LISA法により、プロピコナゾール類縁化合物に対す
る抗体活性を測定する。さらに、測定によりプロピコナ
ゾール類縁化合物に反応する抗体を産生することが判明
したハイブリドーマの細胞クローニングを行う。この細
胞クローニング法としては、限界希釈により1ウェルに
1個のハイブリドーマが含まれるように希釈する方法
「限界希釈法」;軟寒天培地上に撒きコロニーをとる方
法;マイクロマニピュレーターによって1個の細胞を取
り出す方法;セルソーターによって1個の細胞を分離す
る「ソータークローン法」等が挙げられる。限界希釈法
が簡単であり、よく用いられる。
【0074】抗体価の認められたウェルについて、例え
ば限界希釈法により細胞クローニングを1−4回繰り返
して安定して抗体価の得られたものを、抗プロピコナゾ
ール類縁化合物モノクローナル抗体産生ハイブリドーマ
株として選択する。
【0075】ハイブリドーマを培養する培地としては、
例えば、ウシ胎児血清を含むDMEMまたはIMDM等
が用いられる。ハイブリドーマの培養は、例えば二酸化
炭素濃度5−7%程度及び37℃(100%湿度中の恒
温器中)で培養するのが好ましい。
【0076】(g)の工程で抗体を調製するための大量
培養は、フォローファイバー型の培養装置等によって行
われる。または、同系統のマウス(例えば、上述のBa
lb/c)あるいはNu/Nuマウスの腹腔内でハイブ
リドーマを増殖させ、腹水液より抗体を調製することも
可能である。
【0077】これらにより得られた培養上清液あるいは
腹水液を抗プロピコナゾール類縁化合物モノクローナル
抗体として使用することできるが、さらに透析、硫酸ア
ンモニウムによる塩析、ゲル濾過、凍結乾燥等を行い、
抗体画分を集め精製することにより抗プロピコナゾール
類縁化合物モノクローナル抗体を得ることができる。さ
らに精製が必要な場合には、イオン交換カラムクロマト
グラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、高速
液体クロマトグラフィー(HPLC)などの慣用されて
いる方法を組み合わせることにより実施できる。
【0078】以上のようにして得られた抗プロピコナゾ
ール類縁化合物モノクローナル抗体は、例えば後述する
ELISA法などの公知の方法を使用して、サブクラ
ス、抗体価等を決定することができる。
【0079】抗体によるプロピコナゾール類縁化合物の
測定 本発明で使用する抗体によるプロピコナゾール類縁化合
物の測定方法としては、放射性同位元素免疫測定方法
(RIA法)、ELISA法(Engvall,E.,Meth.Enzymo
l., 70, 419-439 (1980))、蛍光抗体法、プラーク法、
スポット法、凝集法、オクタロニー(Ouchterl
ony)法等の一般に抗原の検出に使用されている種々
の方法(「ハイブリドーマ法とモノクローナル抗体」、
株式会社R&Dプラニング発行、第30頁−第53頁、
昭和57年3月5日)が挙げられる。感度、簡便性等の
観点からELISA法が汎用されている。
【0080】プロピコナゾール類縁化合物の測定は各種
ELISA法のうち、例えば間接競合阻害ELISA法
により、以下のような手順により行うことができる。
(a)まず、抗原であるプロピコナゾール類縁化合物誘
導体と高分子化合物との結合体を担体に固相化する。
(b)抗原が吸着していない固相表面を抗原と無関係
な、例えばタンパク質によりブロッキングする。(c)
これに各種濃度のプロピコナゾール類縁化合物を含む試
料及び抗体を加え、該抗体を前記固相化抗原及び遊離プ
ロピコナゾール類縁化合物に競合的に反応させて、固相
化抗原−抗体複合体及び遊離プロピコナゾール類縁化合
物−抗体複合体を生成させる。(d)固相化抗原−抗体
複合体の量を測定することにより、予め作成した検量線
から試料中の遊離プロピコナゾール類縁化合物の量を決
定することができる。
【0081】(a)工程において、抗原を固相化する担
体としては、特別な制限はなく、ELISA法において
常用されるものをいずれも使用することができる。例え
ば、ポリスチレン製の96ウェルのマイクロタイタープ
レートが挙げられる。
【0082】抗原を担体に固相化させるには、例えば、
抗原を含む緩衝液を担体上に載せ、インキュベーション
すればよい。緩衝液としては公知のものが使用でき、例
えば、ダルベッコのリン酸緩衝液を挙げることができ
る。緩衝液中の抗原の濃度は広い範囲から選択できる
が、通常0.01−100μg/ml程度、好ましくは
0.05−10μg/mlが適している。また、担体と
して96ウェルのマイクロタイタープレートを使用する
場合には、300μl/ウェル以下で50−150μl
/ウェル程度が望ましい。更に、インキュベーションの
条件にも特に制限はないが、通常4℃程度で一晩インキ
ュベーションが適している。
【0083】(b)工程のブロッキングは、抗原(プロ
ピコナゾール類縁化合物誘導体と高分子化合物との結合
体)を固相化した担体において、プロピコナゾール類縁
化合物誘導体部分以外に後で添加する抗体が吸着され得
る部分が存在する場合があり、もっぱらそれを防ぐ目的
で行われる。ブロッキング剤として、例えば、BSAや
スキムミルク溶液を使用できる。あるいは、ブロックエ
ース(「BlockAce」、雪印乳業社製、コードN
o.UK−25B)等のブロッキング剤として市販され
ているものを使用することもできる。具体的には、限定
されるわけではないが、例えば抗原を固相化した部分
に、ブロッキング剤を含む緩衝液[例えば、1%BSA
と60mM NaClを添加した85mM ホウ酸緩衝
液(pH8.0)]を適量加え、約4℃で、一晩インキ
ュベーションした後、緩衝液で洗浄することにより行わ
れる。洗浄液としては特に制限はないが、例えば、PB
Sが適している。
【0084】次いで(c)工程において、プロピコナゾ
ール類縁化合物を含む試料と抗体を固相化抗原と接触さ
せ、抗体を固相化抗原及び遊離プロピコナゾール類縁化
合物と反応させることにより、固相化抗原−抗体複合体
及び遊離プロピコナゾール類縁化合物−抗体複合体が生
成する。
【0085】この際、抗体としては、第一抗体として本
願発明のプロピコナゾール類縁化合物に対する抗体を加
え、更に第二抗体として標識物質を結合した第一抗体に
対する抗体を順次加えて反応させる。
【0086】第一抗体は緩衝液に溶解して添加する。限
定されるわけではないが、反応は、25℃程度で約1時
間行えばよい。反応終了後、緩衝液で担体を洗浄し、未
反応の第一抗体を除去する。洗浄液としては、例えば、
PBSが好ましい。
【0087】次いで第二抗体を添加する。例えば第一抗
体としてマウスモノクローナル抗体を用いる場合、酵素
(例えば、ペルオキシダーゼまたはアルカリホスファタ
ーゼ等)を結合した抗マウス抗体−ヤギ抗体を用いるの
が適当である。担体に結合した第一抗体に最終吸光度が
4以下で、好ましくは0.5−3.0となるように希釈
した第二抗体を反応させるのが望ましい。希釈には緩衝
液を用いる。限定されるわけではないが、反応は室温で
約1時間行い、反応後、緩衝液で洗浄する。以上の反応
により、第二抗体が第一抗体に結合する。また、標識し
た第一抗体を用いてもよく、その場合、第二抗体は不要
である。
【0088】次いで(d)工程において担体に結合した
第二抗体の標識物質と反応する発色基質溶液を加え、吸
光度を測定することによって検量線からプロピコナゾー
ル類縁化合物の量を算出することができる。
【0089】第二抗体に結合する酵素としてペルオキシ
ダーゼを使用する場合には、例えば発色基質として過酸
化水素、o−フェニレンジアミン(以下、「OPD」と
言う)を使用する。限定されるわけではないが、発色基
質溶液を加え室温で約10分間反応させた後、1Nの硫
酸を加えることにより酵素反応を停止させる。OPDを
使用する場合、490nmの吸光度を測定する。一方、
第二抗体に結合する酵素としてアルカリホスファターゼ
を使用する場合には、例えばp−ニトロフェニルリン酸
を基質として発色させ、2NのNaOHを加えて酵素反
応を止め、415nmでの吸光度を測定する方法が適し
ている。
【0090】上述した間接競合阻害ELISA法によれ
ば、本発明のモノクローナル抗体8E1−1−1は、プ
ロピコナゾールを0.001−1μM、好ましくは0.0
1−1μMの範囲で測定できる。モノクローナル抗体8
E1−1−1は、プロピコナゾールに特異的に反応し、
他のトリアゾール系化合物とはほとんど反応しなかった
(実施例6、図2)。
【0091】あるいは、プロピコナゾール類縁化合物の
測定は、例えば以下に述べるような本発明のモノクロー
ナル抗体を用いた直接競合阻害ELISA法によって行
うこともできる。
【0092】(a)まず、本発明のモノクローナル抗体
を担体に固相化する。 (b)抗体が固相化されていない担体表面を抗原と無関
係な、例えばタンパク質によりブロッキングする。 (c)上記工程とは別に、各種濃度のプロピコナゾール
類縁化合物を含む試料に、プロピコナゾール類縁化合物
誘導体と酵素を結合させた酵素結合ハプテンを加えた混
合物を調製する。 (d)上記混合物を上記抗体固相化担体と反応させる。 (e)固相化抗体−酵素結合ハプテン複合体の量を測定
することにより、あらかじめ作成した検量線から試料中
のプロピコナゾール類縁化合物の量を決定する。
【0093】(a)工程においてモノクローナル抗体を
固相化する担体としては、特別な制限はなくELISA
法において常用されるものを用いることができ、例えば
96ウェルのマイクロタイタープレートが挙げられる。
モノクローナル抗体の固相化は、例えばモノクローナル
抗体を含む緩衝液を担体上にのせ、インキュベートする
ことによって行える。緩衝液の組成・濃度は前述の間接
競合阻害ELISA法と同様のものを採用できる。ある
いは、アミノ基結合型のマイクロタイタープレートに化
学結合法を用いて抗体を結合させたものを使用すること
もできる。
【0094】(b)工程のブロッキングは、抗体を固相
化した担体において、後に添加する試料中のプロピコナ
ゾール類縁化合物及び酵素結合ハプテンが抗原抗体反応
とは無関係に吸着される部分が存在する場合があるの
で、それを防ぐ目的で行う。ブロッキング剤及びその方
法は、前述の間接競合阻害ELISA法と同様のものを
採用できる。
【0095】(c)工程において用いる酵素結合ハプテ
ンの調製は、プロピコナゾール類縁化合物誘導体を酵素
に結合する方法であれば、特に制限なくいかなる方法で
行ってもよい。例えば、前述した活性化エステル法を採
用することができる。調製した酵素結合ハプテンは、プ
ロピコナゾール類縁化合物を含む試料と混合する。
【0096】(d)工程において当該混合物を抗体固相
化担体に接触させ、混合物中のプロピコナゾール類縁化
合物と酵素結合ハプテンとの競合阻害反応により、これ
らと固相化抗体との複合体が生成する。プロピコナゾー
ル類縁化合物を含む試料は適当な緩衝液で希釈して使用
する。限定されるわけではないが、反応は例えば室温で
およそ1時間行う。反応終了後、緩衝液で担体を洗浄
し、未反応の酵素結合ハプテンを除去する。洗浄液は、
例えばPBSを採用することができる。
【0097】さらに、(e)工程において酵素結合ハプ
テンの酵素に反応する発色基質溶液を前述の間接競合阻
害ELISA法と同様に加え、吸光度を測定することに
より検量線からプロピコナゾール類縁化合物の量を算出
することができる。
【0098】本発明のモノクローナル抗体8E1−1−
1は、直接競合阻害ELISA法において0.01−1
00ng/mlの範囲でプロピコナゾールを測定できる
(実施例8、図3)。
【0099】以下、実施例によって本発明を具体的に説
明するが、これらは本発明の技術的範囲を限定するため
のものではない。当業者は本明細書の記載の基づいて容
易に本発明に修飾、変更を加えることができ、それらは
本発明の技術的範囲に含まれる。
【0100】
【実施例】実施例1 プロピコナゾール誘導体の合成
【化40】
【0101】2'−クロロ−4'−ニトロアセトフェノン
(1)の合成 アセトニトリル100mlに塩化マグネシウム8.6g
(90mmol)を懸濁し、これにマロン酸ジエチルエ
ステル14.6g(90mmol)を加えた。この混合
物に10℃−15℃でトリエチルアミン18.4g(1
80mmol)を加え、5℃で15分間撹拌した。更に
2−クロロ−4−ニトロベンゾイルクロリド20g(9
0mmol)を0℃で加え、0℃で1時間、室温で16
時間撹拌反応させた。この反応混合物に5Nの塩酸45
mlを5℃−15℃で加え、エーテルで抽出した。エー
テル層を水洗い後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮
した。抽出物の残渣に酢酸30ml、濃硫酸3.6ml
及び水18mlを加え、4時間還流した。この反応混合
物をトルエンで抽出し、トルエン層を水洗い後、無水硫
酸マグネシウムで乾燥、濃縮した。残渣を真空蒸留に付
し、16.4g(収率91%)の2'−クロロ−4'−ニ
トロアセトフェノン(1)を得た。沸点;136℃/3
mmHg
【0102】2−(2−クロロ−4−ニトロフェニル)
−2−ブロモメチル−4−プロピル−1,3−ジオキソ
ラン(2)の合成 2'−クロロ−4'−ニトロアセトフェノン(1)4.0
g(20mmol)をメタノール30mlに溶解し、こ
の溶液に臭素3.2g(20mmol)を5℃−7℃で
加え、室温で1時間撹拌した。次にこの反応混合物を濃
縮し、残渣をトルエン50mlに溶解した。この溶液に
1,2−ペンタンジオール2.3g(22mmol)及び
p−トルエンスルホン酸一水和物0.2gを加え、水分
離器で水を除きながら8時間還流させた。反応混合物を
濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(n−ヘ
キサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、5.5g
(収率93%)の2−(2−クロロ−4−ニトロフェニ
ル)−2−ブロモメチル−4−プロピル−1,3−ジオ
キソラン(2)を得た。
【0103】2−(2−クロロ−4−ニトロフェニル)
−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メ
チル−4−プロピル−1,3−ジオキソラン(3)の合
ジメチルスルホキシド25ml中の水素化ナトリウム
0.68g(17mmol)に1H−1,2,4−トリア
ゾール1.3g(19mmol)を加え、室温で1時間
撹拌後、2−(2−クロロ−4−ニトロフェニル)−2
−ブロモメチル−4−プロピル−1,3−ジオキソラン
(2)4g(11mmol)を加えて140℃で2時間
撹拌した。この反応混合物をトルエンで抽出し、トルエ
ン層を水洗い後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮し
た。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(n−ヘキサ
ン:酢酸エチル=1:1)で精製し、2.4g(収率6
2%)の2−(2−クロロ−4−ニトロフェニル)−2
−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチル
−4−プロピル−1,3−ジオキソラン(3)を得た。
【0104】2−(4−アミノ−2−クロロ)−2−
(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチル−
4−プロピル−1,3−ジオキソラン(4)の合成 エタノール50mlに2−(2−クロロ−4−ニトロフ
ェニル)−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−
イル)メチル−4−プロピル−1,3−ジオキソラン
(3)2.7g(7.7mmol)、濃塩酸2ml及び1
00mgの10%パラジウムカーボンを加え、この混合
物に水素ガスを室温下に5時間かけて吹き込んだ。この
反応混合物を濾過し、濾液を濃縮した。残渣を20ml
の水に溶解し、アルカリ性になるまで20%の苛性ソー
ダ水溶液を加え、析出した油分をエーテルで抽出した。
エーテル層を水洗い後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、
濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(n−
ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し、0.8g
(収率57%)の2−(4−アミノ−2−クロロ)−2
−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチル
−4−プロピル−1,3−ジオキソラン(4)を得た。
【0105】3'−クロロ−4'−[4−プロピル−2−
(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−1,3
−ジオキサン−2−イル]スクシンアニリド酸(プロピ
コナゾール誘導体)の合成 2−(4−アミノ−2−クロロ)−2−(1H−1,2,
4−トリアゾール−1−イル)メチル−4−プロピル−
1,3−ジオキソラン(4)0.8g(2.5mmol)
をピリジン10mlに溶解し、この溶液にアセトニトリ
ル30mlに溶かした無水こはく酸0.29(2.9mm
ol)を加え、50℃で1.5時間撹拌した。反応混合
物を濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢
酸エチル:メタノール=10:1)で精製し、0.45
g(収率39%)の3'−クロロ−4'−[4−プロピル
−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−
1,3−ジオキサン−2−イル]スクシンアニリド酸
(プロピコナゾール誘導体)を得た。
【0106】 1H−NMR(DMSO−D6,ppm) 0.81−0.85(3H,m) 1.15−1.40
(4H,m) 2.50−2.90(4H,t) 3.30−3.41
(1H,m) 3.79−4.17(2H.m) 4.68−4.83
(2H,m) 7.35−8.44(5H,m) 10.17(1H,
d) 12.20(1H,br)
【0107】実施例2 免疫用抗原の作製 免疫用抗原としてプロピコナゾール誘導体とBSAとの
結合体を混合酸無水物法を用いて作製した。実施例1で
作製したプロピコナゾール誘導体12mgを無水ジオキ
サン1mlに溶解し、次にN−メチルモルフォリン25
μlを添加し、室温で15分間撹拌した。次にクロロ蟻
酸イソブチル10μlを添加し、室温で20分間撹拌し
た(これを、以下「A液」と言う)。
【0108】一方、BSA40mgを蒸留水1mlに溶
解し、0.5M水酸化ナトリウムでpHを8.0に調整
した後に無水ジオキサン1.3mlを加えた。このBS
A溶液にA液をpH8.0になるように調整しながら滴
下し、10℃にて4時間反応させた後、蒸留水にて4℃
で透析した。こうして得たプロピコナゾール誘導体−B
SA結合体を免疫用抗原として用いた。
【0109】また、BSAの代わりにRSAとの結合体
も同様の方法で調製した。
【0110】実施例3 免疫感作 免疫用抗原100μgを145mM NaCl−0.0
1M PBS(pH7.2)100μlに溶解し、等量
のフロイント完全アジュバンドと混合して、Balb/
cマウスの皮下に接種した。さらに、2週間後にフロイ
ント不完全アジュバンドを用いて前記と同様に調製した
免疫用抗原を追加免疫した。また、4週間目にPBSに
溶解した免疫用抗原をマウスの尾静脈に追加免疫した。
【0111】実施例4 抗血清によるプロピコナゾール
の測定 実施例3におけるマウス尾静脈への接種直前、採血した
抗血清を希釈調製して、以下に詳述する間接競合阻害E
LISA法にてプロピコナゾールを測定した。
【0112】免疫用抗原と同様に調製したプロピコナゾ
ール誘導体−RSA結合体の溶液(0.1μg/ml)
を50μl/ウェルの量で96穴プレートにコーティン
グし、4倍希釈したブロックエース(雪印乳業社製)で
ブロッキングしてアッセイ用プレートを作製した。これ
に抗血清希釈液と、各種濃度のプロピコナゾールを含む
20%メタノール溶液とを等量混合し、その50μlを
ウェルに入れ、室温で1時間反応させた。
【0113】PBSで5回洗浄した後に、10倍希釈の
ブロックエースを用いて2000倍に希釈したペルオキ
シダーゼ結合抗マウスIgGヤギ抗体(Tago社製)
を50μl/ウェルの量で加え、室温で1時間反応させ
た。
【0114】PBSで5回洗浄後、2mg/mlのOP
D及び0.02%の過酸化水素を含む0.1M クエン酸
−PBS(pH5.0)を50μl/ウェルの量で加
え、室温で10分間反応させて発色させた。
【0115】次に、1N硫酸を50μl/ウェルの量で
加えて反応を停止し、490nmの吸光度を測定した。
その結果を図1に示す。図1より、マウスの抗血清(ポ
リクローナル抗体)を使用することにより、プロピコナ
ゾールの量を0.1−100μg/mlの範囲で測定で
きた。
【0116】実施例5 ハイブリドーマの作製 実施例3に続いて、血清中の抗プロピコナゾール抗体活
性が高くなったマウスの脾細胞と、ミエローマ細胞(S
p2/0−Ag14)とを山下修二らの方法(組織細胞
化学:日本組織細胞化学会編:学際企画.1986年)
に従ってポリエチレングリコール法により融合し、培養
した。細胞の増殖が認められた培養上清液は、実施例4
と同様の方法でコーティング及びブロッキングしたプレ
ートにそれぞれ50μl/ウェルの量で加え、室温で1
時間反応させた。
【0117】PBSで5回洗浄後、10倍希釈のブロッ
クエースを用いて2000倍に希釈したペルオキシダー
ゼ結合抗マウスIgGヤギ抗体(Tago社製)を50
μl/ウェルの量で加え、室温で1時間反応させた。
【0118】PBSで5回洗浄後、2mg/mlのOP
D及び0.02%の過酸化水素を含む0.1M クエン酸
−PBS(pH5.0)を50μl/ウェルの量で加
え、室温で10分間反応させて発色させた。
【0119】次に、1N硫酸を50μl/ウェルの量で
加えて、反応を停止し、490nmの吸光度を測定し、
反応性を示す細胞(ハイブリドーマ)を選抜した。
【0120】次に、各ウェルのプロピコナゾールに対す
る反応性を実施例4に記載した間接競合阻害ELISA
法で調べ、目的の抗体を産生している細胞について限界
希釈法によりクローニングを行った。その結果、数株の
ハイブリドーマが抗プロピコナゾール抗体を産生する細
胞としてクローン化された。そのうちの8E1−1−1
を平成8年12月4日に、寄託番号FERM P−15
978で、工業技術院生命工学工業技術研究所(〒30
5 茨城県つくば市東1丁目1番3号)に寄託した。
【0121】実施例6 モノクローナル抗体の評価:8
E1−1−1抗体の間接競合阻害ELISA法による反
応性 クローン化したハイブリドーマ 8E1−1−1に由来
するモノクローナル抗体8E1−1−1について、その
培養上清を用いて実施例4に記載した方法で各種トリア
ゾール系及びイミダゾール系化合物に対する吸光度を測
定した。得られた吸光度から以下の式:
【化41】 を用いて阻害率を算出し、トリアゾール系及びイミダゾ
ール系化合物に対する反応性を調べた。
【0122】この結果を図2に示す。図2より、この抗
体はプロピコナゾールに対して特異的に反応することを
確認した。
【0123】実施例7 プロピコナゾール誘導体とHR
Pとの結合体の作製 直接競合阻害ELISAを行うために必要なプローブ結
合プロピコナゾール誘導体を作製するため、活性化エス
テル法を用いてプロピコナゾール誘導体とHRPとの結
合を行った。
【0124】プロピコナゾール誘導体を、0.05mm
ol秤量し、無水N,N−ジメチルホルムアミド(以
下、「無水DMF」と言う)0.25mlに溶解した。
次にN−ヒドロキシこはく酸イミド0.05mmol、
ジシクロヘキシルカルボジイミド0.05mmolを加
え、室温にて3.5時簡撹拌し、反応させた。反応後、
10000rpmで15分間遠心し、上清と沈殿とに分
離した。
【0125】一方、HRP25mgをPBS2.5ml
に溶解し、無水DMF0.5mlを加えた溶液を調製し
ておき、その溶液に上記の上清0.125mlを加え、
4℃にて1晩撹拌し、反応させた。反応後、HRP結合
プロピコナゾール誘導体をPBSによる透析によって精
製し、作製した。
【0126】実施例8 直接競合阻害ELISA法によ
るプロピコナゾールの測定 実施例5で得られたハイブリドーマ8E1−1−1をマ
ウスの腹腔に移植し、10−15日後に得られた腹水を
採取し、硫安分画法によりモノクローナル抗体を精製
し、以下の試験法(直接競合阻害ELISA法)にてプ
ロピコナゾールの量を測定した。
【0127】モノクローナル抗体溶液(10μg/m
l)を50μl/ウェルの量で96穴ウェルプレートに
入れ、4℃で一晩静置してコーティングし、さらに4倍
希釈のブロックエース(雪印乳業社製)でブロッキング
を行い、アッセイ用のプレートを作製した。各濃度のプ
ロピコナゾール及び実施例7で作製したHRP結合ブロ
ピコナゾール誘導体を含む10%メタノール−PBS溶
液を50μlずつ各ウェルに入れ、25℃で1時間反応
させた。
【0128】反応後、PBSで5回洗浄した後、2mg
/mlのOPD及び0.02%の過酸化水素を含むクエ
ン酸−リン酸緩衝液(pH5.0)を50μlずつ各ウ
ェルに入れ、室温で10分間静置して発色反応を行っ
た。
【0129】次に、1N硫酸を50μlずつ各ウェルに
加えて発色反応を停止させ、490nmの吸光度を測定
した。この結果を図3に示した。図3より直接競合阻害
ELISA法において、本発明のモノクーナル抗体8E
1−1−1はプロピコナゾールの量を0.01−100
ng/mlの範囲で測定することが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、マウス抗血清を用いた、間接競合阻
害ELISA法によるビテルタノールの測定を示す。
【図2】 図2は、本発明のモノクローナル抗体8E1
−1−1のトリアゾール系及びイミダゾール系の化合物
に対する感度を間接競合阻害ELISA法によって調べ
た結果を示す。
【図3】 図3は、本発明のモノクローナル抗体8E1
−1−1を用いた、直接競合阻害ELISA法によるプ
ロピコナゾールの測定の結果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G01N 33/53 C12N 5/00 B 15/00 C //(C12N 5/10 C12R 1:91) (C12P 21/08 C12R 1:91) (72)発明者 面田 内記 東京都港区浜松町1丁目27番14号 株式会 社環境免疫技術研究所内 (72)発明者 渡邊 繁幸 東京都港区浜松町1丁目27番14号 株式会 社環境免疫技術研究所内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】以下の式(1)または(2): 【化1】 [式(1)または(2)中、 Rは、カルボキシル基、ホルミル基、ヒドロキシル基、
    アミノ基又はメルカプト基であり;Xは、以下の式: 【化2】 からなる群より選択された基であるか、あるいは直接結
    合であり;Lは、ハロゲン原子であり;Yは、無置換で
    あるか、または炭素数1−3のアルキル基であり;nは
    1−10の整数であり;そしてm及びm'は1−4の整
    数である]で表される構造を有する化合物。
  2. 【請求項2】式(1)または(2)中、Rがカルボキシ
    ル基であり、Xが以下の式: 【化3】 で表される基であり、かつ、Yが炭素数1−3のアルキ
    ル基である、請求項1に記載の化合物。
  3. 【請求項3】式(1)または(2)中、Xが以下の式: 【化4】 で表される基であり、かつ、Yがプロピル基である、請
    求項2に記載の化合物。
  4. 【請求項4】請求項1ないし3のいずれか1項に記載の
    化合物と高分子化合物又は標識物質との結合体。
  5. 【請求項5】請求項1ないし3のいずれか1項に記載の
    化合物と高分子化合物を結合させることにより抗原を作
    製し、当該抗原を用いることにより、以下の式(3)ま
    たは(4): 【化5】 [式(3)または(4)中、L、Y、m及びm'は、式
    (1)または(2)で定義した通りである]で表される
    構造を有する化合物に反応性を示す抗体を製造すること
    を特徴とする、式(3)または(4)の化合物と反応性
    を示す抗体またはそのフラグメントの製造方法。
  6. 【請求項6】請求項4に記載の結合体を抗原として用い
    ることにより製造された、式(3)または(4)の化合
    物と反応性を示す抗体またはそのフラグメント。
  7. 【請求項7】式(3)または(4)に記載の化合物が、
    1−[2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−プロピ
    ル−1,3−ジオキソラン−2−イルメチル]−1H−
    1,2,4−トリアゾール、1−[2−(2,4−ジクロ
    ロフェニル)−4−エチル−1,3−ジオキソラン−2
    −イルメチル]−1H−1,2,4−トリアゾール、1−
    [2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1,
    3−ジオキソラン−2−イルメチル]−1H−1,2,4
    −トリアゾールまたは、1−[2−[4−(4−クロロ
    フェノキシ)−2−クロロフェニル]−4−メチル−1,
    3−ジオキソラン−2−イルメチル]−1H−1,2,4
    −トリアゾールである、請求項6に記載の抗体またはそ
    のフラグメント。
  8. 【請求項8】モノクローナル抗体である、請求項6また
    は7に記載の抗体またはそのフラグメント。
  9. 【請求項9】8E1−1−1である、請求項6ないし8
    のいずれか1項に記載の抗体またはそのフラグメント。
  10. 【請求項10】請求項6ないし9のいずれか1項に記載
    の抗体またはそのフラグメントを産生するハイブリドー
    マ。
  11. 【請求項11】寄託番号FERM P−15978で寄
    託されている、請求項10に記載のハイブリドーマ。
  12. 【請求項12】請求項1ないし3のいずれか1項に記載
    された化合物、及び/または請求項6ないし9のいずれ
    か1項に記載の抗体またはそのフラグメントを用いるこ
    とを特徴とする、式(3)または(4)で表される化合
    物の免疫学的測定方法。
JP8343185A 1996-12-24 1996-12-24 プロピコナゾール及びその類縁化合物のハプテン化合物、抗体及び測定方法 Withdrawn JPH10182638A (ja)

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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105294862A (zh) * 2015-11-23 2016-02-03 天津科技大学 一种高特异性苯醚甲环唑多克隆抗体的制备方法
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CN113698394A (zh) * 2021-09-24 2021-11-26 南京农业大学 一种丙环唑半抗原及其制备方法和应用
CN114621175A (zh) * 2022-03-14 2022-06-14 华南农业大学 一种苯醚甲环唑半抗原、人工抗原、抗体及其制备方法和应用
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