JPH10262662A - ホキシムのハプテン化合物、抗体及び測定方法 - Google Patents

ホキシムのハプテン化合物、抗体及び測定方法

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JPH10262662A
JPH10262662A JP9071139A JP7113997A JPH10262662A JP H10262662 A JPH10262662 A JP H10262662A JP 9071139 A JP9071139 A JP 9071139A JP 7113997 A JP7113997 A JP 7113997A JP H10262662 A JPH10262662 A JP H10262662A
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JP
Japan
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antibody
compound
phoxime
formula
antigen
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Application number
JP9071139A
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English (en)
Inventor
Michiyasu Kawada
充康 川田
Kosuke Morimune
孝介 森宗
Shiyunichi Takewaki
俊一 竹脇
Shiro Miyake
司郎 三宅
Takashi Hironaka
孝史 弘中
Masaki Yamaguchi
優樹 山口
Yoshinori Beppu
佳紀 別府
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KANKYO MENEKI GIJUTSU KENKYUSH
Kankyo Meneki Gijutsu Kenkyusho KK
Original Assignee
KANKYO MENEKI GIJUTSU KENKYUSH
Kankyo Meneki Gijutsu Kenkyusho KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、ホキシムのハプテン化合物、抗体
及び測定方法を提供することを目的とする。 【解決手段】 本発明の化合物は、以下の式(1) 【化1】 または式(2) 【化2】 [式中、Xは、SまたはOであり;そしてnは1−10
の整数である]で表される構造を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、O,O−ジエチル
α−シアノベンジリデンアミノオキシホスホノチオアー
ト(以下、本明細書中「ホキシム」と言う)のハプテン
化合物、抗原、抗体及びそのフラグメントに関する。
【0002】本発明は、さらに前記抗原、抗体及びその
フラグメントを用いた免疫学的測定方法に関する。
【0003】
【従来の技術】ホキシムは、以下の式(3):
【化4】 で表される構造を有する、有機リン系化合物である。
【0004】ホキシムは、日本では農薬登録されていな
いので農薬としての使用はされていないが、木材防虫
剤、防蟻剤等の殺虫剤として使用されている。外国では
穀物貯蔵庫、サイロ、船倉などの害虫駆除、家庭での衛
生害虫駆除、穀物、わた、とうもろこしなどで土壌害虫
駆除を目的として使われている(「最新農薬の残留分析
法」 第489頁−第490頁、農薬残留分析法研究班
編集 中央法規出版)。
【0005】近年、土壌、水、大気等の環境中での残留
農薬や、最近特に増加してきた輸入農産物のポストハー
ベスト農薬等の残留に大きな社会的関心が寄せられてい
る。ホキシムについては、食品衛生法に基づき残留基準
値が、米・穀類(0.05ppm)、ばれいしょ(0.
05ppm)、野菜(0.05−0.2ppm)、綿実
(0.05ppm)等、定められている(「最新農薬の
残留分析法」、前述)。環境や食品に関する安全確保の
ためには、これらに含有される、ホキシムの量を迅速、
かつ正確に測定することが必要である。
【0006】従来、ホキシムは、穀類等の試料から抽出
し、精製した後、高速液体カラムクロマトグラフィー
(HPLC)等により分析されてきた。例えば、試料を
アセトンで抽出して、フロリジルカラムクロマトグラフ
ィーで精製した後、HPLCで分析する方法が採用され
ている。これらの方法は、試料の調製が煩雑で多大の手
間と時間を必要とし、分析に熟練を有すること、並び
に、測定装置や設備等に高額の費用を必要とする等の問
題点がある。ホキシムの測定は、特に輸入農産物等の残
留農薬の分析においては、短時間で膨大な数の試料の分
析結果を出す必要があり、精度面だけでなく、簡便性、
迅速性及び経済性をも具備した新規測定方法が要求され
てきている。
【0007】免疫学的測定方法は、抗体が抗原を特異的
に認識する、抗原抗体反応に基づいて抗原の検出を行う
方法であり、その優れた精度、簡便性、迅速性、経済性
から近年注目を集めてきている。免疫学的測定方法にお
いては検出方法として非常に多種の標識、例えば、酵
素、放射性トレーサー、化学発光あるいは蛍光物質、金
属原子、ゾル、ラテックス及びバクテリオファージが適
用されてきた。
【0008】免疫学的測定方法の中でも、酵素を使用す
る酵素免疫測定法(EIA)は特に優れたものとして広
く使用されるに至っている。酵素免疫測定法についての
優れた論評が、Tijssen P,“Practice and theory of e
nzyme immunoassays" in Laboratory techniques in bi
ochemistry and molecular biology, Elsevier Amsterd
am New York, Oxford ISBN 0-7204-4200-1 (1990) に記
載されている。
【0009】一般に、分子量が大きな分子については、
それ以上修飾することなく動物に接種することにより、
適当な免疫反応を惹起し、抗原を認識する抗体を産生さ
せることができる。しかし、ホキシムのような低分子化
合物は通常動物に接種したとき免疫応答を引き出すこと
ができない。これらの分子は免疫原性を有する高分子化
合物に結合させることによって初めて一団のエピトープ
として行動し、T細胞受容体の存在下で免疫応答を起こ
し、その結果、一群のBリンパ球により抗体が産生され
る。このように高分子化合物と結合させて初めて免疫原
性を生じる分子を総称して「ハプテン」という。
【0010】しかし、低分子化合物を高分子化合物と結
合させたものを抗原としても、得られた抗体は望む分子
を認識しないか、あるいはごく低い親和性しかもたない
場合がしばしばある。そのため、一般に低分子化合物そ
のものではなく、結合に利用できる官能基と共にスペー
サーアーム(結合手)を導入したものをハプテンとして
使用する必要がある。しかしその場合に、結合手/官能
基の配置、結合手の大きさ等の全ての問題を考慮して導
入が適切に行われたものを使用しないと、好ましい抗体
は得られない。適切な導入は個々の分子に応じて工夫し
なければならない。
【0011】しかしながら、ホキシムについてはその必
要性が非常に高かったにもかかわらず、適切な抗体はも
とより、そのような抗体を作製するためのハプテンも本
発明前には得られていなかった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ホキシムに
特異的に反応する新規な抗体を作製するための抗原を構
成するハプテン化合物となる、当該化合物の誘導体を提
供することを目的とする。
【0013】本発明は、また、前記ホキシム誘導体と高
分子化合物又は標識物質との結合体を提供することを目
的とする。当該結合体はホキシムに特異的に反応する抗
体を作製するための抗原となる。
【0014】本発明は、さらに、ホキシムに強い親和性
を有する新規な抗体もしくはそのフラグメント、及びそ
の作製方法を提供することを目的とする。尚、本明細書
において抗体の「フラグメント」とは、抗原と結合可能
な抗体の一部分、例えばFab断片等を意味する。
【0015】本発明はその一態様において、ホキシムに
反応性を有するモノクローナル抗体を提供する。
【0016】本発明は、さらにまた、前記抗体またはそ
のフラグメントを産生するハイブリドーマを提供するこ
とを目的とする。
【0017】本発明は、さらに、前記抗体またはそのフ
ラグメントを使用することを含む、ホキシムの免疫学的
測定方法を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、ホキシムにスペーサーアーム及び高分子
との結合に利用できる官能基を導入した、ホキシムの誘
導体をハプテンとして使用することにより、前記化合物
に特異的な抗体を得ることに成功し、本発明の完成に至
った。
【0019】本発明の対象となるホキシムは、以下の式
(3):
【化5】 で表される化合物である。
【0020】抗体作製のためのハプテンとして使用され
る誘導体は、前記ホキシムの
【化6】 の部分を
【化7】 [式中、Xは、SまたはOであり;そしてnは1−10
の整数であり、好ましくは2−7である]に変化させた
ものである。即ち、本発明のホキシム誘導体は、以下の
式(1):
【化8】 または式(2)
【化9】 [式(1)または(2)中、Xおよびnは前述した通り
である]で表される構造を有する化合物である。
【0021】本発明のホキシムにスペーサーアーム及び
結合に利用できる官能基を結合させた誘導体をハプテン
として適当な高分子化合物と結合させたものを抗原とし
て用いることによって、ホキシムに特異的な抗体を得る
ことができる。
【0022】本発明は、前記ハプテン化合物、ハプテン
化合物と高分子化合物との結合体、ホキシムに反応する
抗体及びその作製方法、ならびに該ハプテン化合物又は
該抗体を用いるホキシムの免疫学的測定方法に関する。
【0023】ホキシムの誘導体の作製 式(1)または(2)で表されるホキシム誘導体は、公
知の方法に従って作製することができる。例えば、以下
に記載するような方法がある。
【0024】I.式(1)の化合物の合成 a)XがSの場合 式(1)において、XがSである化合物は、例えば以下
の方法に従って行うことができる。
【0025】先ず、以下の式(Z1):
【化10】 で表されるジクロロチオリン酸エチルと、以下の式(Z
2):
【化11】 [式(Z2)中、Rはカルボキシル基の保護基であり、
nは前述した通りである]で表されるエステルとを、有
機溶媒中、塩基の存在下で反応させて、以下の式(Z
3):
【化12】 [式(Z3)中、Rおよびnは前述した通りである]で
表されるクロロチオリン酸誘導体を得る。
【0026】式(Z2)で表されるエステル化合物は、
公知の方法、例えば、Skerrittらの文献(J.
Agric. Food Chem. 1992,40,1
466−1470)に記載されている方法に従って、容
易に合成することができる。
【0027】式(Z3)の合成には有機溶媒としては、
例えば、アセトニトリル、アセトン、ヘキサン、ペンタ
ン、ベンゼン、トルエン、ジクロロメタン、クロロホル
ム、1,2−ジクロロエタン、酢酸エチル、エタノー
ル、ジグリム、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサ
メチルリン酸トリアミド等、またはこれらの混合溶媒を
用いることができる。塩基としては、例えば、炭酸カリ
ウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸水素カリウ
ム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラー
ト、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、水
酸化ナトリウム、リチウムジイソプロピルアミド等を用
いることができる。反応は、マイナス10℃から溶媒の
沸点の温度、好ましくは20℃−30℃で、10−50
時間、好ましくは、20−30時間行う。ジクロロチオ
リン酸エチルと式(Z2)のアミノエステルはモル比
で、2.0:1.0−1.0:2.0、好ましくは 1.
2:1.0−1.0:1.2の割合で使用する。
【0028】Rで示されるカルボキシル基の保護基は公
知のものでよく、具体例として、例えば、メチル基、エ
チル基、tert−ブチル基、ベンジル基、p−メトキ
シベンジル基、トリクロロエチル基、トリメチルシリル
基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブ
チルジフェニルシリル基、トリエチルシリル基、トリイ
ソプロピルシリル基、トリメチルシリルエトキシメチル
基等を挙げることができる。
【0029】次に、式(Z3)のクロロチオリン酸誘導
体と以下の式(Z4):
【化13】 で表されるオキシムを、有機溶媒中、塩基の存在下で反
応させて、以下の式(Z5):
【化14】 [式(Z5)中、Rおよびnは前述した通りである]表
される、ホキシム誘導体のエステル化合物を得る。
【0030】有機溶媒および塩基は、上述した式(Z
3)の化合物を合成する場合と同様のものを使用するこ
とができる。反応は、マイナス10℃から溶媒の沸点の
温度、好ましくは 60℃−85℃で、0.5−5時
間、好ましくは、2−3時間行う。式(Z3)のクロロ
チオリン酸誘導体と式(Z4)のオキシムはモル比で、
2.0:1.0−1.0:2.0、好ましくは1.2:1.0
−1.0:1.2の割合で使用する。
【0031】さらに、式(Z5)のエステル化合物か
ら、Rで示されるカルボキシル基の保護基を除去するこ
とにより、XがSである、式(1)の化合物を得ること
ができる。カルボキシル基の保護基の除去は、アルカリ
加水分解、酸加水分解等の公知の方法で行うことができ
る。
【0032】すなわち、酸加水分解の場合は、式(Z
5)のエステル化合物を、好ましくは酢酸、蟻酸、ベン
ゼン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等の有
機溶媒に溶解し、次いで塩酸、硫酸、三フッ化ホウ素、
トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p
−トルエンスルホン酸を加えて、0℃から溶媒の沸点の
温度、好ましくは室温から50℃で、5分−10時間、
好ましくは1−5時間撹拌反応させることにより式
(1)のカルボン酸化合物を得ることができる。
【0033】また、アルカリ加水分解の場合は、式(Z
5)のエステル化合物を、好ましくはメタノール、エタ
ノール、テトラヒドロフラン、エチレングリコール等の
有機溶媒に溶解し、次いで水酸化ナトリウムまたは水酸
化カリウム水溶液を加えて、0℃から溶媒の沸点の温
度、好ましくは室温から50℃で、5分−5時間、好ま
しくは1−2時間撹拌反応させることにより式(1)の
ホキシム誘導体カルボン酸化合物を得ることができる。
【0034】更に、Rがベンジル基の場合、除去は水素
による接触還元反応によっても行うことができる。
【0035】更にまた、Rがシリル基の場合、脱保護は
テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリド、ピリジニ
ウムフルオリド等のフッ素アニオンを発生させる試薬に
よっても行うことができる。
【0036】b)XがOの場合 式(1)において、XがOであるホスホリル体化合物
は、例えば、XがSであるチオホスホリル体化合物から
以下のようにして合成することができる。
【0037】チオホスホリル体である式(1)の化合物
を、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロ
エタン、ベンゼン、トルエン等の有機溶媒に溶解させ
て、同様の有機溶媒に溶解させた2−クロロ過安息香
酸、過酢酸、過酸化水素等を加えて、反応させる。これ
により式(1)の化合物のP原子に二重結合しているS
原子がO原子に置換され、ホスホリル体化合物が得られ
る。反応は、マイナス20℃から溶媒の沸点の温度、好
ましくはマイナス10℃−10℃で、0.5−5時間、
好ましくは、1−2時間行う。
【0038】II.式(2)の化合物の合成 式(2)の化合物は、式(1)の合成方法において、式
(Z2)のエステル化合物の代わりに、以下の式(Z
6):
【化15】 で表される、トラネキサム酸tert−ブチルを用いる
ことにより得ることができる。
【0039】式(Z6)のトラネキサム酸tert−ブ
チルは、式(Z2)のエステル化合物と同様に、公知の
方法、例えば、Skerrittらの文献(J. Agr
ic. Food Chem. 1992,40,1466
−1470)に記載されている方法に従って、容易に合
成することができる。
【0040】以上の製造法によって得られた化合物を、
必要に応じシリカゲルクロマトグラフィーまたは再結晶
操作等を行うことにより、さらに高純度の精製品とする
ことができる。
【0041】以下、本発明の抗原、抗体の作製、及び免
疫学的測定方法について説明する。尚、これらの調製は
公知の方法、例えば続生化学実験講座、免疫生化学研究
法(日本生化学会編)等に記載の方法に従って行うこと
ができる。
【0042】ホキシム誘導体と高分子化合物との結合体
の作製 上述のように合成されたホキシム誘導体を適当な高分子
化合物に結合させてから免疫用抗原として使用する。
【0043】好ましい高分子化合物の例としては、スカ
シガイヘモシアニン(以下、「KLH」と言う)、卵白
アルブミン(以下、「OVA]と言う)、ウシ血清アル
ブミン(以下、「BSA」と言う)、ウサギ血清アルブ
ミン(以下、「RSA」と言う)などがあるが、KLH
及びBSAが好ましい。
【0044】ホキシム誘導体と高分子化合物との結合
は、例えば、活性化エステル法(A.E.KARU et al.:J. A
gric. Food Chem. 42 301-309 (1994))、又は混合酸無
水物法(B.F.Erlanger et al.:J.Biol.Chem. 234 1090-
1094 (1954))等の公知の方法によって行うことができ
る。
【0045】活性化エステル法は、一般に以下のように
行うことができる。まず、ハプテン化合物を有機溶媒に
溶解し、カップリング剤の存在下にてN−ヒドロキシこ
はく酸イミドと反応させ、N−ヒドロキシこはく酸イミ
ドエステルを生成させる。
【0046】カップリング剤としては、縮合反応に慣用
されている通常のカップリング剤を使用でき、例えば、
ジシクロヘキシルカルボジイミド、カルボニルジイミダ
ゾール、水溶性カルボジイミド等が含まれる。有機溶媒
としては、例えば、ジメチルスルホキシド(以下、「D
MSO」という)、N,N−ジメチルホルムアミド(D
MF)、ジオキサン等が使用できる。反応に使用するハ
プテン化合物とN−ヒドロキシこはく酸イミドのモル比
は好ましくは1:10−10:1、より好ましくは、
1:1−1:10、最も好ましくは1:1である。反応
温度は、0−100℃、好ましくは5−50℃、より好
ましくは22−27℃で、反応時間は5分−24時間、
好ましくは30分−6時間、より好ましくは1−2時間
である。反応温度は各々の融点以上沸点以下の温度で行
うことができる。
【0047】カップリング反応後反応液を遠心し、上清
液を高分子化合物を溶解した溶液に加え反応させると、
例えば高分子化合物が遊離のアミノ基を有する場合、当
該アミノ基とハプテン化合物のカルボキシル基の間に酸
アミド結合が生成される。反応温度は、0−60℃、好
ましくは5−40℃、より好ましくは22−27℃で、
反応時間は5分−24時間、好ましくは1−16時間、
より好ましくは1−2時間である。反応物を、透析、脱
塩カラム等によって精製して、ホキシム誘導体と高分子
化合物との結合体を得ることができる。
【0048】一方、混合酸無水物法において用いられる
混合酸無水物は、通常のショッテン−バウマン反応によ
り得られ、これを高分子化合物と反応させることにより
目的とするハプテン−高分子化合物結合体が製造され
る。ショッテン−バウマン反応は塩基性化合物の存在下
に行われる。塩基性化合物としてはショッテン−バウマ
ン反応において慣用されている化合物を使用することが
できる。例えば、トリブチルアミン、トリエチルアミ
ン、トリメチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジ
ン、N,N−ジメチルアニリン、DBN、DBU、DA
BCO等の有機塩基、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、
炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基等
が挙げられる。該反応は、通常マイナス20℃−100
℃、好ましくは0℃−50℃において行われ、反応時間
は5分−10時間、好ましくは5分−2時間である。得
られた混合酸無水物と高分子化合物との反応は、通常マ
イナス20℃−150℃、好ましくは0℃−100℃に
おいて行われ、反応時間は5分−10時間、好ましくは
5分−5時間である。混合酸無水物法は一般に溶媒中で
行われる。溶媒としては、混合酸無水物法に慣用されて
いるいずれの溶媒も使用可能であり、具体的にはジオキ
サン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメト
キシエタン等のエーテル類、ジクロロメタン、クロロホ
ルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ベン
ゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸
メチル、酢酸エチル等のエステル類、N,N−ジメチル
ホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリ
ン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられ
る。混合酸無水物法において使用されるハロ蟻酸エステ
ルとしては、例えばクロロ蟻酸イソブチル、クロロ蟻酸
メチル、ブロモ蟻酸メチル、クロロ蟻酸エチル、ブロモ
蟻酸エチル等が挙げられる。当該方法におけるハプテン
とハロ蟻酸エステルと高分子化合物の使用割合は、広い
範囲から適宜選択され得る。
【0049】また、上記と同様の方法により、酵素等の
標識物質をホキシム誘導体に結合させたものを、免疫学
測定方法において使用することができる。標識物質とし
ては、西洋わさびペルオキシダーゼ(以下、「HRP」
と言う)、アルカリフォスファターゼ等の酵素、フルオ
レセインイソチオシアネート、ローダミン等の発色物
質、32P、125I等の放射性物質、化学発光物質などが
ある。
【0050】ポリクローナル抗体の作製 ホキシム誘導体と高分子化合物との結合体を使用して、
慣用化された方法により本発明のポリクローナル抗体を
作製することができる。例えば、ホキシム誘導体−KL
H結合体をリン酸緩衝液(以下、「PBS」と言う)に
溶解し、フロイント完全アジュバント又は不完全アジュ
バント、あるいはミョウバン等の補助剤と混合したもの
を、免疫用抗原として動物に免疫することによって行
う。免疫される動物としては当該分野で常用されるもの
をいずれも使用できるが、例えば、マウス、ラット、ウ
サギ、ヤギ、ウマ等を挙げることができる。
【0051】免疫の際の投与法は、皮下注射、腹腔内注
射、静脈内注射、皮下注射、筋肉内注射のいずれでもよ
いが、皮下注射又は腹腔内注射が好ましい。投与は1回
又は適当な間隔で、好ましくは1週間ないし5週間の間
隔で複数回行うことができる。
【0052】免疫した動物から血液を採取し、そこから
分離した血清を用い、ホキシムと反応するポリクローナ
ル抗体の存在を評価することができる。
【0053】モノクローナル抗体の作製 ホキシム誘導体と高分子化合物との結合体を使用して、
公知の方法により本発明のモノクローナル抗体を作製す
ることができる。
【0054】モノクローナル抗体の作製にあたっては、
少なくとも下記のような作業工程が必要である。 (a)免疫用抗原として使用するホキシム誘導体と高分
子化合物との結合体の作製 (b)動物への免疫 (c)血液の採取、アッセイ、及び抗体産生細胞の調製 (d)ミエローマ細胞の調製 (e)抗体産生細胞とミエローマ細胞との細胞融合とハ
イブリドーマの選択的培養 (f)目的とする抗体を産生するハイブリドーマのスク
リーニングと細胞クローニング (g)ハイブリドーマの培養又は動物へのハイブリドー
マの移植によるモノクローナル抗体の調製 (h)調製されたモノクローナル抗体の反応性の測定等
【0055】モノクローナル抗体を産生するハイブリド
ーマを作製するための常法は、例えば、ハイブリドーマ
テクニックス(Hybridoma Techniques),コールド
スプリング ハーバーラボラトリーズ(Cold Spring Ha
rbor Laboratory),1980年版)、細胞組織化学
(山下修二ら、日本組織細胞化学会編;学際企画、19
86年)に記載されている。
【0056】以下、上述の本発明のホキシムに対するモ
ノクローナル抗体の作製方法を説明するが、これに制限
されないことは当業者によって明らかであろう。
【0057】(a)−(b)の工程は、ポリクローナル
抗体に関して記述した方法とほぼ同様の方法によって行
うことができる。
【0058】(c)の工程における抗体産生細胞はリン
パ球であり、これは一般には脾臓、胸腺、リンパ節、末
梢血液又はこれらの組み合わせから得ることができるが
脾細胞が最も一般的に用いられる。従って、最終免疫
後、抗体産生が確認されたマウスより抗体産生細胞が存
在する部位、例えば脾臓を摘出し、脾細胞を調製する。
【0059】(d)の工程に用いることができるミエロ
ーマ細胞としては、例えば、Balb/cマウス由来骨
髄腫細胞株のP3/X63−Ag8(X63)(Natur
e,25 6, 495-497 (1975))、P3/X63−Ag8.U
1(P3U1)(Current Topics.in Microbiology and
Immunology, 81 1-7 (1987))、P3/NSI−1−A
g4−1(NS−1)(Eur.J.Immunol., 6, 511-519
(1976))、Sp2/0−Ag14(Sp2/0)(Natu
re 276, 269-270 (1978))、FO(J. Immuno.Meth., 3
5, 1-21 (1980))、MPC−11、X63.653、S
194等の骨髄腫株化細胞、あるいはラット由来の21
0.RCY3.Ag1.2.3.(Y3)(Nature 277, 1
31-133, (1979))等を使用できる。
【0060】上述した株化細胞をウシ胎児血清を含むダ
ルベッコ改変イーグル培地(DMEM)又はイスコフ改
変ダルベッコ培地(IMDM)で継代培養し、融合当日
に約3×103以上の細胞数を確保する。
【0061】(e)の工程の細胞融合は公知の方法、例
えばミルシュタイン(Milstein)らの方法(Methods in
Enzymology, 73, 3 (1981))等に準じて行うことがで
きる。現在最も一般的に行われているのはポリエチレン
グリコール(PEG)を用いる方法である。PEG法に
ついては、例えば、細胞組織化学、山下修二ら(上述)
に記載されている。別の融合方法としては、電気処理
(電気融合)による方法を採用することもできる(大河
内悦子ら、実験医学 5.1315−19、198
7)。その他の方法を適宜採用することもできる。ま
た、細胞の使用比率も公知の方法と同様でよく、例えば
ミエローマ細胞に対して脾細胞を3−10倍程度用いれ
ばよい。
【0062】脾細胞とミエローマ細胞とが融合し、抗体
産生能及び増殖能を獲得したハイブリドーマ群の選択
は、例えば、ミエローマ細胞株としてヒポキサンチング
アニジンホスホリボシルトランスフェラーゼ欠損株を使
用した場合、例えば上述のDMEMやIMDMにヒポキ
サンチン・アミノプテリン・チミジンを添加して調製し
たHAT培地の使用により行うことができる。
【0063】(f)の工程では、選択されたハイブリド
ーマ群を含む培養上清の一部をとり、例えば後述するE
LISA法により、ホキシムに対する抗体活性を測定す
る。
【0064】さらに、測定によりホキシムに反応する抗
体を産生することが判明したハイブリドーマの細胞クロ
ーニングを行う。この細胞クローニング法としては、限
界希釈により1ウェルに1個のハイブリドーマが含まれ
るように希釈する方法「限界希釈法」;軟寒天培地上に
撒きコロニーをとる方法;マイクロマニピュレーターに
よって1個の細胞を取り出す方法;セルソーターによっ
て1個の細胞を分離する「ソータークローン法」等が挙
げられる。限界希釈法が簡単であり、よく用いられる。
【0065】抗体価の認められたウェルについて、例え
ば限界希釈法により細胞クローニングを1−4回繰り返
して安定して抗体価の得られたものを、抗ホキシムモノ
クローナル抗体産生ハイブリドーマ株として選択する。
ハイブリドーマを培養する培地としては、例えば、10
%ウシ胎児血清を含むDMEM又はIMDM等が用いら
れる。ハイブリドーマの培養は、例えば二酸化炭素濃度
5−7%程度及び37℃(100%湿度中の恒温器中)
で培養するのが好ましい。
【0066】(g)の工程で抗体を調製するための大量
培養は、フォローファイバー型の培養装置等によって行
われる。又は、同系統のマウス(例えば、上述のBal
b/c)あるいはNu/Nuマウスの腹腔内でハイブリ
ドーマを増殖させ、腹水液より抗体を調製することも可
能である。
【0067】これらにより得られた培養上清液あるいは
腹水液を抗ホキシムモノクローナル抗体として使用する
ことができるが、さらに透析、硫酸アンモニウムによる
塩析、ゲル濾過、凍結乾燥等を行い、抗体画分を集め精
製することにより抗ホキシムモノクローナル抗体を得る
ことができる。さらに高度な精製が必要な場合には、イ
オン交換カラムクロマトグラフィー、アフィニティーク
ロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HP
LC)などの慣用されている方法を組合わせることによ
り実施できる。
【0068】以上のようにして得られた抗ホキシムモノ
クローナル抗体は、例えば後述するELISA法などの
公知の方法を使用して、サブクラス、抗体価等を決定す
ることができる。
【0069】抗体によるホキシムの測定 本発明で使用する抗体によるホキシムの測定方法として
は、放射性同位元素免疫測定方法(RIA法)、ELI
SA法(Engvall,E., Methods in Enzymol.,70, 419-4
39 (1980))、蛍光抗体法、プラーク法、スポット法、
凝集法、オクタロニー(Ouchterlony)法等
の一般に抗原の検出に使用されている種々の方法(「ハ
イブリドーマ法とモノクローナル抗体」、株式会社R&
Dプラニング発行、第30頁−第53頁、昭和57年3
月5日)が挙げられる。感度、簡便性等の観点からEL
ISA法が汎用されている。
【0070】ホキシムの測定は各種ELISA法のう
ち、例えば間接競合阻害ELISA法により、以下のよ
うな手順により行うことができる。(a)まず、抗原で
あるホキシム誘導体と高分子化合物との結合体を担体に
固相化する。(b)抗原が吸着していない固相表面を抗
原と無関係な、例えばタンパク質によりブロッキングす
る。(c)これに各種濃度のホキシムを含む試料及び抗
体を加え、該抗体を前記固相化抗原及び遊離ホキシムに
競合的に反応させて、固相化抗原−抗体複合体及び遊離
ホキシム−抗体複合体を生成させる。(d)固相化抗原
−抗体複合体の量を測定することにより、予め作成した
検量線から試料中の遊離ホキシムの量を決定することが
できる。
【0071】(a)工程において、抗原を固相化する担
体としては、特別な制限はなく、ELISA法において
常用されるものをいずれも使用することができる。例え
ば、ポリスチレン製の96ウェルのマイクロタイタープ
レートが挙げられる。
【0072】抗原を担体に固相化させるには、例えば、
抗原を含む緩衝液を担体上に載せ、インキュベーション
すればよい。緩衝液としては公知のものが使用でき、例
えば、ダルベッコのリン酸緩衝液を挙げることができ
る。緩衝液中の抗原の濃度は広い範囲から選択できる
が、通常0.01−100μg/ml程度、好ましくは
0.05−5μg/mlが適している。また、担体とし
て96ウェルのマイクロタイタープレートを使用する場
合には、300μl/ウェル以下で20−150μl/
ウェル程度が望ましい。更に、インキュベーションの条
件にも特に制限はないが、通常4℃程度で一晩インキュ
ベーションが適している。
【0073】なお、担体に固相化させる抗原としては、
抗体作製に使用したホキシム誘導体と高分子化合物との
結合体のみならず、式(1)または(2)で表される他
の誘導体と高分子化合物との結合体を用いることもでき
る。例えば、式(1)または(2)においてXがSであ
るチオホスホリル体を抗原として抗体を作製した場合、
XがOである対応するホスホリル体を固相化抗原として
用いることもできる。また、式(1)の化合物で、nの
数が相違する抗原を各々抗体作製用と固相化用に用いる
こともできる。さらに、式(1)および(2)に含まれ
ない他のホキシム類似化合物も、固相化抗原として使用
することも可能である。
【0074】(b)工程のブロッキングは、抗原(ホキ
シム誘導体と高分子化合物との結合体)を固相化した担
体において、ホキシム誘導体部分以外に後で添加する抗
体が吸着され得る部分が存在する場合があり、もっぱら
それを防ぐ目的で行われる。ブロッキング剤として、例
えば、BSAやスキムミルク溶液を使用できる。あるい
は、ブロックエース(「Block Ace」、大日本
製薬社製、コードNo.UK−25B)等のブロッキン
グ剤として市販されているものを使用することもでき
る。具体的には、限定されるわけではないが、例えば抗
原を固相化した部分に、ブロッキング剤を含む緩衝液
[例えば、1%BSAと60mM NaClを添加した
85mM ホウ酸緩衝液(pH8.0)]を適量加え、
約4℃−室温で、1時間−5時間インキュベーションし
た後、緩衝液で洗浄することにより行われる。洗浄液と
しては特に制限はないが、例えば、60mM NaCl
を添加したホウ酸緩衝液を用いることができる。
【0075】次いで(c)工程において、ホキシムを含
む試料と抗体を固相化抗原と接触させ、抗体を固相化抗
原及び遊離ホキシムと反応させることにより、固相化抗
原−抗体複合体及び遊離ホキシム−抗体複合体が生成す
る。
【0076】この際、抗体としては、第一抗体として本
願発明のホキシムに対する抗体を加え、更に第二抗体と
して標識物質を結合した第一抗体に対する抗体を順次加
えて反応させる。
【0077】第一抗体は緩衝液に溶解して添加する。限
定されるわけではないが、反応は、37℃程度で約1時
間行えばよい。反応終了後、緩衝液で担体を洗浄し、未
反応の第一抗体を除去する。洗浄液としては、例えば、
60mM NaClを添加したホウ酸緩衝液を用いるこ
とができる。
【0078】次いで第二抗体を添加する。例えば第一抗
体としてマウスモノクローナル抗体を用いる場合、酵素
(例えば、ペルオキシダーゼ又はアルカリホスファター
ゼ等)を結合した抗マウス抗体−ヤギ抗体を用いるのが
適当である。担体に結合した第一抗体に約500−10
000倍、好ましくは最終吸光度が4以下、より好まし
くは0.5−3.0となるように希釈した第二抗体を反
応させるのが望ましい。希釈には緩衝液を用いる。限定
されるわけではないが、反応は室温で約1時間行い、反
応後、緩衝液で洗浄する。以上の反応により、第二抗体
が第一抗体に結合する。また、標識した第一抗体を用い
てもよく、その場合、第二抗体は不要である。
【0079】次いで(d)工程において担体に結合した
第二抗体の標識物質と反応する発色基質溶液を加え、吸
光度を測定することによって検量線からホキシムの量を
算出することができる。
【0080】第二抗体に結合する酵素としてペルオキシ
ダーゼを使用する場合には、例えば基質として過酸化水
素、発色試薬として3,3',5,5'−テトラメチルベン
ジジンまたはo−フェニレンジアミン(以下、「OP
D」と言う)を使用する。限定されるわけではないが、
発色溶液を加え室温で約10分間反応させた後、1Nの
硫酸を加えることにより酵素反応を停止させる。3,
3',5,5'−テトラメチルベンジジンを使用する場合、
450nmの吸光度を測定する。OPDを使用する場
合、490nmの吸光度を測定する。一方、第二抗体に
結合する酵素としてアルカリホスファターゼを使用する
場合には、例えばp−ニトロフェニルリン酸を基質とし
て発色させ、2NのNaOHを加えて酵素反応を止め、
415nmでの吸光度を測定する方法が適している。
【0081】遊離のホキシムを添加しない反応溶液の吸
光度に対して、ホキシムを添加して抗体と反応させた溶
液の吸光度の減少率を阻害率として計算する。既知の濃
度のホキシムを添加した反応液の阻害率により予め作成
しておいた検量線を用いて、試料中のホキシムの濃度を
算出できる。
【0082】上述した間接競合阻害ELISA法によれ
ば、本発明のモノクローナル抗体POX53−3は、間
接競合阻害ELISA法によってホキシムを約10−1
00ng/mlの範囲で測定するすることができる(実
施例8、図1)。
【0083】あるいは、ホキシムの測定は、例えば以下
に述べるような本発明のモノクローナル抗体を用いた直
接競合阻害ELISA法によって行うこともできる。 (a)まず、本発明のモノクローナル抗体を担体に固相
化する。 (b)抗体が固相化されていない担体表面を抗原と無関
係な、例えばタンパク質によりブロッキングする。 (c)上記工程とは別に、各種濃度のホキシムを含む試
料に、ホキシム誘導体と酵素を結合させた酵素結合ハプ
テンを加えた混合物を調製する。 (d)上記混合物を上記抗体固相化担体と反応させる。 (e)固相化抗体−酵素結合ハプテン複合体の量を測定
することにより、あらかじめ作成した検量線から試料中
のホキシムの量を決定する。
【0084】(a)工程においてモノクローナル抗体を
固相化する担体としては、特別な制限はなくELISA
法において常用されるものを用いることができ、例えば
96ウェルのマイクロタイタープレートが挙げられる。
モノクローナル抗体の固相化は、例えばモノクローナル
抗体を含む緩衝液を担体上にのせ、インキュベートする
ことによって行える。緩衝液の組成・濃度は前述の間接
競合阻害ELISA法と同様のものを採用できる。ある
いは、アミノ基結合型のマイクロタイタープレートに化
学結合法を用いて抗体を結合させたものを使用すること
もできる。
【0085】(b)工程のブロッキングは、抗体を固相
化した担体において、後に添加する試料中のホキシム及
び酵素結合ハプテンが抗原抗体反応とは無関係に吸着さ
れる部分が存在する場合があるので、それを防ぐ目的で
行う。ブロッキング剤及びその方法は、前述の間接競合
阻害ELISA法と同様のものを使用できる。
【0086】(c)工程において用いる酵素結合ハプテ
ンの調製は、ホキシム誘導体を酵素に結合する方法であ
れば、特に制限なくいかなる方法で行ってもよい。例え
ば、前述した活性化エステル法を採用することができ
る。調製した酵素結合ハプテンは、ホキシムを含む試料
と混合する。
【0087】なお、酵素等の標識化合物に結合させるハ
プテンとしては、間接競合阻害ELISA法における固
相化抗原の場合と同様に、抗体作製に使用したホキシム
誘導体自体のみならず、式(1)または(2)で表され
る他の誘導体、さらに、式(1)および(2)に含まれ
ない他のホキシム類似化合物も使用可能である。
【0088】(d)工程において当該混合物を抗体固相
化担体に接触させ、混合物中のホキシムと酵素結合ハプ
テンとの競合阻害反応により、これらと固相化抗体との
複合体が生成する。ホキシムを含む試料は適当な緩衝液
で希釈して使用する。限定されるわけではないが、反応
は例えば室温でおよそ1時間行う。反応終了後、緩衝液
で担体を洗浄し、未反応の酵素結合ハプテンを除去す
る。洗浄液は、例えば60mM NaClを添加したホ
ウ酸緩衝液を使用することができる。
【0089】さらに、(e)工程において酵素結合ハプ
テンの酵素に反応する発色基質溶液を前述の間接競合阻
害ELISA法と同様に加え、吸光度を測定することに
より検量線からホキシムの量を算出することができる。
【0090】本発明のモノクローナル抗体POX53−
3は、直接競合阻害ELISA法によってホキシムを約
4−80ng/mlの範囲で測定することができる(実
施例11、図2)。
【0091】本発明の抗体のメタノール耐性 本発明の一態様であるモノクローナル抗体POX53−
3はさらに、上述した直接競合阻害ELISA法によれ
ば約0−10%の濃度のメタノール存在下においてホキ
シムを濃度依存的に認識できる(実施例12、図3)。
ホキシムは有機溶媒に易溶性であり、一般に分析はメタ
ノール等の有機溶媒中で行われることを考慮すると、本
発明のモノクローナル抗体のこのような特性は非常に有
効である。
【0092】本発明の抗体の交差反応性 上述した直接競合阻害ELISA法または間接競合阻害
法により、本発明のモノクローナル抗体の交差反応性を
調べることができる。POX53−3は、例えば直接競
合阻害ELISA法において類縁化合物、例えば、パラ
チオン、クロルフェンビンホス、フェニトロチオンとは
0.2%以下しか交差反応しない。したがって、POX
53−3はホキシムとの反応特異性が高いことが明らか
になった(実施例13 表1)。
【0093】以下、実施例によって本発明を具体的に説
明するが、これらは本発明の技術的範囲を限定するため
のものではない。当業者は本明細書の記載に基づいて容
易に本発明に修飾、変更を加えることができ、それらは
本発明の技術的範囲に含まれる。
【0094】
【実施例】実施例1 ホキシム誘導体−1の合成
【化16】
【0095】ジクロロチオリン酸エチル(1)1.8g
(10mmol)と4−アミノ酪酸tert−ブチル
1.6g(10mmol)をアセトニトリル150ml
に溶解させ、炭酸カリウム4.3g(30mmol)を
加えて室温で24時間撹拌した。反応液をセライトで濾
過して、濃縮後、シリカゲルカラム(n−へキサン:酢
酸エチル=4:1)で精製すると、透明液体として1.
6g(収率59%)の(2)を得た。
【0096】クロロチオリン酸誘導体(2)2.8g
(10mmol)とオキシム2.2g(15mmol)
のアセトニトリル溶液100mlに、炭酸カリウム6g
(43mmol)を加えて85℃で2.5時間撹拌し
た。反応液を室温に戻した後にセライトで濾過した。そ
の濾液を濃縮して、シリカゲルクロマトグラフィー(n
−へキサン:酢酸エチル=9:1)で精製すると、透明
液体として1.0g(収率24%)の(3)を得た。
【0097】ハプテンエステル(3)1.0g(2.4
mmol)を80mlのジクロロメタンに溶解させ、ト
リフルオロ酢酸5mlを加えて室温で3時間撹拌した。
反応溶液を減圧濃縮して、シリカゲルクロマトグラフィ
ー(n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製する
と、透明液体として0.8g(収率93%)の(4)を
得た。
【0098】1H−NMR(CDCl3) 1.24−1.51(t,3H)、1.75−2.00
(m,2H) 2.32−2.58(t,2H)、3.00−3.41
(m,2H) 4.18−4.40(m,2H)、7.40−7.62
(m,3H) 7.80−8.03(m,2H)
【0099】実施例2 ホキシム誘導体−2の合成
【化17】
【0100】ジクロロチオリン酸エチル(1)4.1g
(23mmol)と6−アミノカプロン酸tert−ブ
チル3.8g(20mmol)をアセトニトリル100
mlに溶解させ、炭酸カリウム8.4g(61mmo
l)を加えて室温で24時間撹拌した。反応液をセライ
トで濾過して、濃縮後、シリカゲルカラム(n−ヘキサ
ン:酢酸エチル=9:1から4:1)で精製すると、透
明液体として3.9g(収率58%)の(2)を得た。
【0101】クロロチオリン酸誘導体(2)3.4g
(10mmol)とオキシム1.5g(10mmol)
のアセトニトリル溶液150mlに、炭酸カリウム4.
3g(27mmol)を加えて80℃で3時間撹拌し
た。反応液を室温に戻した後にセライトで濾過した。そ
の濾液を濃縮して、シリカゲルクロマトグラフィー(n
−へキサン:酢酸エチル=19:1)で粗精製した。こ
の粗生成物をそのまま次の反応に用いた。
【0102】(3)を含んだ粗生成物を80mlのジク
ロロメタンに溶解させ、トリフルオロ酢酸50mlを加
えて室温で1時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮して、
シリカゲルクロマトグラフィー(n−へキサン:酢酸エ
チル=4:1から1:1)で精製すると、透明液体とし
て1.2g(2段階の通算収率30%)の(4)を得
た。
【0103】1H−NMR(CDC13) 1.28−1.48(重複,5H)、1.51−1.7
3(重複,4H) 2.30−2.40(t, 2H)、3.03−3.2
1(m, 2H) 3.25−3.41(m, 1H)、4.20−4.3
8(m, 2H) 7.40‐7.60(m, 3H)、7.81−7.9
4(m, 2H)
【0104】実施例3 ホキシム誘導体−3の合成
【化18】
【0105】チオホスホリル化合物(1)200mg
(0.52mmol)をジクロロメタン400gに溶解
させて、氷冷下で2−クロロ過安息香酸100mg
(0.58mmol)のジクロロメタン溶液5.8ml
を滴下した。氷冷下で2時間撹拌後に反応液を濃縮し
て、シリカゲルカラム(n−へキサン:酢酸エチル=
4:1から1:1、そして酢酸エチル)で精製すると、
透明液体として40mg(収率21%)の(2)を得
た。
【0106】1H−NMR(CDCl3) 1.30−1.49(重複,5H)、1.49−1.7
3(重複,4H) 2.27−2.41(t, 2H)、2.97−3.1
4(m, 2H) 3.70−3.83(m, 1H)、4.23−4.4
0(m, 2H) 7.34−7.62(m, 3H)、7.81−7.9
3(m, 2H)
【0107】実施例4 ホキシム誘導体−4の合成 A.4−(アミノメチル)シクロヘキサンカルボン酸te
rt−ブチル(4)の合成
【化19】
【0108】4−(ベンジルオキシカルボニルアミノメ
チル)シクロヘキサンカルボン酸(2)の合成 25g(160mmol)の4−(アミノメチル)シクロ
ヘキサンカルボン酸(1)を2Nの水酸化ナトリウム溶
液80mlに溶解して氷冷した。この溶液を激しく撹拌
しながらクロロ蟻酸ベンジル(36g、210mmo
l)と2Nの水酸化ナトリウム溶液104mlをそれぞ
れ2回に分けて交互に滴下した。滴下終了後、室温に戻
して一晩撹拌した。氷冷したジエチルエーテル(50m
l×3回)で未反応のクロロ蟻酸ベンジルを抽出除去し
た後、氷冷下で濃塩酸を添加してpHを約2に調整し
た。ジエチルエーテル(50ml×4回)で抽出し、集
めたジエチルエーテル抽出物を無水硫酸ナトリウムで脱
水した。次に、吸引濾過で硫酸ナトリウムを除き、減圧
濃縮した。その濃縮物を酢酸エチルに溶解し、ヘキサン
を加えると白色結晶として、4−(ベンジルオキシカル
ボニルアミノメチル)シクロヘキサンカルボン酸(2)
を得た(収量30.6g、収率66%)。
【0109】4−(ベンジルオキシカルボニルアミノメ
チル)シクロヘキサンカルボン酸tert−ブチル
(3)の合成 10.6g(36mmol)の4−(ベンジルオキシカル
ボニルアミノメチル)シクロヘキサンカルボン酸(2)
のジクロロメタン溶液(150ml)を食塩−氷でマイ
ナス16℃に冷却して、その溶液中にイソブテンの気流
を5分間ゆっくりと流し込んだ。次に、濃硫酸0.4m
lをシリンジでゆっくりと滴下して、再びイソブテンを
10分間ゆっくりと流し込んだ。この溶液をそのまま一
日撹拌し続けた。反応液をそのまま減圧濃縮してシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エ
チル=4:1)で精製して白色結晶として、4−(ベン
ジルオキシカルボニルアミノメチル)シクロヘキサンカ
ルボン酸tert−ブチル(3)を得た(収量7.5
g、収率59%)。
【0110】4−(アミノメチル)シクロヘキサンカル
ボン酸tert−ブチル(4)の合成 7.2g(20.1mmol)の4−(ベンジルオキシカ
ルボニルアミノメチル)シクロヘキサンカルボン酸te
rt−ブチル(3)のメタノール溶液(200ml)
に、1.0gのパラジウムカーボンを加えて水素存在下
で水素の吸収が終了するまで撹拌した。次に、反応溶液
を濾過後に減圧濃縮して、真空ポンプで完全に溶媒を除
くと白色固体として4−(アミノメチル)シクロヘキサ
ンカルボン酸tert−ブチル(4)を得た(収量4.
4g、収率100%)。
【0111】B.ホキシム誘導体−4の合成
【化20】
【0112】ジクロロチオリン酸エチル(1)4.1g
(22mmol)と上記Aで合成した4−(アミノメチ
ル)シクロヘキサンカルボン酸tertーブチル4.2
g(20mmol)をアセトニトリル150mlに溶解
させ、炭酸カリウム8.0g(58mmol)を加えて
室温で24時間撹拌した。反応液をセライトで濾過し
て、濃縮後、シリカゲルカラム(n−ヘキサン:酢酸エ
チル=9:1)で精製すると、透明液体として1.5g
(収率21%)の(2)を得た。
【0113】クロロチオリン酸誘導体(2)1.7g
(4.8mmol)とオキシム0.7g(4.8mmo
l)のアセトニトリル溶液100mlに、炭酸カリウム
2.0g(14mmol)を加えて80℃で3時間撹拌
した。反応液を室温に戻した後にセライトで濾過した。
その濾液を濃縮して、シリカゲルクロマトグラフィー
(n−へキサン:酢酸エチル=4:1)で粗精製した。
この粗生成物をそのまま次の反応に用いた。
【0114】ハプテンエステル(3)を含んだ粗生成物
を100mlのジクロロメタンに溶解させ、トリフルオ
ロ酢酸20mlを加えて室温で1.5時間捜拝した。反
応溶液を減圧濃縮して、シリカゲルクロマトグラフィー
(n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製すると、
透明液体として0.63g(2段階の通算収率55%)
の(4)を得た。
【0115】1H−NMR(CDC13) 0.80−1.06(m, 2H)、1.19一1.5
5(重複,6H) 1.78−2.12(重複,4H)、2.13−2.3
4(m, 1H) 2.86−3.07(m, 2H)、3.48−3.6
7(m, 1H) 4.19−4.38(m, 2H)、7.41−7.6
1(m, 3H) 7.81−7.97(m, 2H)
【0116】実施例5 免疫用抗原の作製 免疫用抗原として、ホキシム誘導体とKLHまたはBS
Aとの結合体を以下のように活性化エステル法によって
作製した。
【0117】実施例1−4で作製したホキシム誘導体−
1から−4を.各々 3. 5μmolを秤量し、DMS
O 50μlに溶解した。次にこれらの溶液にN−ヒド
ロキシこはく酸イミド(5μmol)をDMSO 10
μlに溶解したものを添加した。さらに1−エチル−3
−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸
塩(4μmol)をDMS0 20μlに溶解し添加し
た。室温にて1.5時間反応させた後、この反応溶液に
85mMホウ酸緩衝液(pH8.0)500μlに溶解
したKLHまたはBSA10mgをさらに添加し、再び
室温にて1.5時間反応させた。反応終了後、ダルベッ
コのリン酸緩衝液(以下、「PBS(−)」という)に
対して透析し、ホキシム誘導体−KLH結合体、ホキシ
ム誘導体−BSA結合体を各々調製した。
【0118】実施例6 免疫感作 免疫には、Balb/cマウスを用いた。実施例5で調
製したホキシム誘導体−KLH結合体100μgをPB
S(−)50μlに溶解し、等量のフロイント完全アジ
ュバントと乳化混合した後、マウスの腹腔内に接種し
た。さらに1カ月後に初回免疫の1/4量を追加免疫
し、さらにその10日後に追加免疫と同量を最終免疫し
た。
【0119】実施例7 モノクローナル抗体の作製 細胞融合は、実施例6の最終免疫後3日目のマウスの脾
細胞を用いて行った。ステンレスメッシュで大きな固形
物を除去しながら、DMEM中に取り出した脾細胞をD
MEMにて3回洗浄した後、マウスのミエローマ細胞P
3−X63−Ag8.653と細胞数の比で5:1(脾
細胞:ミエローマ細胞)になるように混合し、遠心
(1,200rpm、5分間)して細胞残渣を集めた。
この細胞残渣に予め37℃に加温しておいた50%ポリ
エチレングリコール(分子量1,500)1mlを加
え、細胞を融合した。次いで、DMEM 10mlを徐
々に添加し、ウシ胎児血清(以下、「FBS」という)
1mlを更に添加することにより、融合を停止した。D
MEMにて1回洗浄後、10%FBSを添加したDME
Mにヒポキサンチン(100μM)、アミノプテリン
(0.4μM)、およびチミジン(16μM)を添加し
たHAT培地に懸濁し、96ウェルのポリスチレンプレ
ートに2×105細胞/ウェルで分注し、37℃、5%
二酸化炭素存在下で10日−14日間培養した。培養
後、ウェル中の抗体活性の有無をそれぞれスクリーニン
グした。
【0120】抗体活性は、実施例5で調製したホキシム
誘導体−BSA結合体を用いたELISA法にて測定し
た。まずPBS(−)に溶解したホキシム誘導体−BS
A結合体(4μg/ml)を、96ウェルのマイクロタ
イタープレートに100μl/ウェルで添加し、4℃で
1晩静置することにより、固相化した。次に300μl
/ウェルでブロッキング緩衝液[1%BSAと60mM
NaClを添加した85mMホウ酸緩衝液(pH8.
0)]に置換え、室温で1時間ブロッキングした。この
ウェルを洗浄液(60mM NaClを添加したホウ酸
緩衝液)で洗浄した後、ハイブリドーマの培養上清を1
00μl/ウェルで加え、室温で1時間反応した。洗浄
液で3回洗浄した後、第二抗体希釈液 [0.3% BS
Aと60mM NaClを添加した85mMホウ酸緩衝
液(pH8.0)]で1000倍希釈したペルオキシダ
ーゼ結合抗マウスIgG抗体(カペル社製)を100μ
l/ウェルで添加し、室温で1時間反応した。洗浄液で
3回洗浄した後、ペルオキシダーゼの基質溶液 [3,
3',5,5'−テトラメチルベンジジン(100μg/
ml)、0.006%過酸化水素を添加した0.1M
酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)] で10分間発
色し、1N硫酸で反応停止後450nmの吸光度を測定
した。
【0121】抗体活性を示したウェル中のハイブリドー
マは、限界希釈法によって細胞クローニングし、モノク
ローナル抗体産生細胞とした。これらの結果、ホキシム
誘導体−BSA結合体に反応するモノクローナル抗体を
産生するハイブリドーマを6株(POX1−2、POX
2−4、POX3−6、POX4−2、POX51−
5、POX53−3)を分離した。これらの抗体のサブ
クラスは、すべてIgG1だった。
【0122】これらのうち、ホキシム誘導体−1−BS
A結合体を抗原として得られたPOX53−3を平成9
年3月21日に、寄託番号FERM P−16146で
工業技術院生命工学工業技術研究所(〒305 茨城県
つくば市東1丁目1番3号)に寄託した。
【0123】実施例8 間接競合阻害ELISA法にお
けるPOX53−3抗体のホキシムとの反応性 実施例7で得られた6株のハイブリドーマが産生するモ
ノクローナル抗体(以後モノクローナル抗体は、これら
を産生するハイブリドーマと同一名称を用いる)のホキ
シムとの反応性を間接競合阻害ELISA法によって検
討した。
【0124】まず実施例7に示したELISA法と同様
に固相化し、ブロッキングしたマイクロタイタープレー
トへ、希釈液 [150mM NaClを添加した85m
Mホウ酸緩衝液(pH8.0)]で適当な濃度に希釈し
たホキシム溶液を50μl/ウェルで加え、その後、直
ちに同じ希釈液で適当な濃度に希釈した抗体溶液を50
μl/ウェルで加えて混合し、室温で1時間反応した。
3回洗浄した後、実施例7に示したELISA法と同様
の方法で第二抗体と反応させ、発色後450nmの吸光
度を測定した。
【0125】その結果、これら6種類のモノクローナル
抗体は、いずれもホキシムと反応した。そこでこれらの
モノクローナル抗体のうち、POX53−3について得
られた各濃度における吸光度から以下の式:
【化21】 を用いて阻害率を計算した。図1に示したように、PO
X53−3を用いて約10−100ng/mlの範囲で
ホキシムを測定することができた。
【0126】実施例9 モノクローナル抗体の精製 POX53−3について抗体精製を行った。まず、ハイ
ブリドーマを10%FBSを添加したDMEM培地を用
いて培養し、その培養上清に50%飽和となるように硫
安を加え、4℃で1時間撹拌した。生じた沈殿物にPB
S(一)を加えて可溶化した後、PBS(−)で透析
し、プロテインG(ファルマシア社製)カラムクロマト
グラフィーによって精製した。純度はSDSポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動で、少なくとも90%以上であっ
た。
【0127】実施例10 ホキシム誘導体とHRPとの
結合体の作製 実施例5と同様の活性化エステル法により、実施例1お
よび3で作製したホキシム誘導体とHRPとの結合体を
作製した。
【0128】まず、2種類のホキシム誘導体−1および
−3の1.25μmolを各々DMSO 50μlに溶
解した。これらの溶液へDMSOに溶解したNーヒドロ
キシこはく酸イミド(5.5μmol)3μl、および
1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロビル)カル
ボジイミド塩酸塩(3.5μmol)7μlを加え、室
温にて1時間反応させた。これらの反応液に1M 炭酸
水素ナトリウム40μlを加え、更にHRP溶液(20
mg/ml)250μlを加えて混合し、室温にて3時
間反応した。得られた反応液を、ゲル濾過カラム(セフ
ァデックスG−25)に通してHRP画分を得て、HR
P結合ハプテンとした。
【0129】実施例11 直接競合阻害ELISA法で
のモノクローナル抗体POX53−3とホキシムの反応
次に実施例9で精製したモノクローナル抗体POX53
−3と実施例10で調製した2種類のHRP結合ハプテ
ンを用いて、ホキシムとの反応性を直接競合阻害ELI
SA法で比較した。直接競合阻害ELISA法は、以下
の手順で実施した。
【0130】まず実施例9で精製したモノクローナル抗
体POX53−3を4μg/mlの濃度で50mM 炭
酸ナトリウム緩衝液(pH9.6)に溶解し、96ウェ
ルのマイクロタイタープレートに100μl/ウェルで
加えた後、4℃で1晩静置することにより固相化した。
つぎに300μl/ウェルでブロッキング緩衝液に置き
換え、室温で1時間ブロッキングした。一方、これとは
別に希釈液で適当な濃度に調整したホキシムと、HRP
結合ホキシム誘導体(−1または−3)を混合した。こ
れらの混合液を先にブロッキングしたプレートに100
μl/ウェルで加えた後、室温にて1時間反応した。洗
浄液で5回洗浄した後、実施例7に示したELISA法
と同様の方法で発色させ、450nmの吸光度を測定し
た。
【0131】結果は図2に示したように、本願発明のモ
ノクローナル抗体POX53−3は、抗原作製用のハプ
テンとして使用したホキシム誘導体−1(チオホスホリ
ル体)とHRPとの結合体を使用した場合には、約8−
80ng/mlの濃度、また、ホキシム誘導体−3(ホ
スホリル体)とHRPとの結合体を使用した場合には、
約4−40ng/mlの濃度のホキシムと反応した。従
って、POX53−3は、抗原作製用のハプテンとして
使用した化合物とは異なる、ホキシム誘導体−3と標識
化合物との結合体を使用した場合の方が、高感度でホキ
シムを測定できることが明らかとなった。
【0132】実施例12 モノクローナル抗体POX5
3−3とホキシムとの反応におけるメタノールの影響 実施例7に示した直接競合阻害ELISA法において、
ホキシム誘導体−3を標識ハプテンとして、メタノール
の測定系に与える影響を調べた。その結果、図3に示し
たように、メタノール濃度に依存して吸光度が低下する
ものの、10%メタノールまではホキシムを測定可能で
あった。
【0133】実施例13 モノクローナル抗体POX5
3−3のホキシム類縁化合物との交差反応性 直接競合阻害EしISA法で、POX53−3のホキシ
ム類縁化合物との交差反応性を調べた。競合反応時のメ
タノールの最終濃度は0%で行った。結果を、化合物未
添加時の反応を50%阻害する化合物の濃度を各々IC
50値として、表1に示す。
【0134】
【表1】
【0135】結果から明らかなとおり、POX53−3
は類縁化合物のパラチオン、クロルフェンビンホス、フ
ェニトロチオンとはほとんど反応せず、ホキシムと特異
的に反応することが明らかとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のモノクローナル抗体POX5
3−3の間接競合阻害ELISA法によるホキシムとの
反応性を示す。
【図2】図2は、本発明のモノクローナル抗体POX5
3−3の直接競合阻害ELISA法において、標識化合
物を変えた場合のホキシムとの反応性を示す。
【図3】図3は、本発明のモノクローナル抗体POX5
3−3の直接競合阻害ELISA法における、ホキシム
との反応性に与えるメタノールの影響を示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12N 5/10 C12P 21/08 C12P 21/08 G01N 33/53 J G01N 33/53 G 33/577 B 33/577 C12N 5/00 B //(C12N 5/10 C12R 1:91) (C12P 21/08 C12R 1:91) (72)発明者 三宅 司郎 東京都港区浜松町1丁目27番14号 株式会 社環境免疫技術研究所内 (72)発明者 弘中 孝史 東京都港区浜松町1丁目27番14号 株式会 社環境免疫技術研究所内 (72)発明者 山口 優樹 東京都港区浜松町1丁目27番14号 株式会 社環境免疫技術研究所内 (72)発明者 別府 佳紀 東京都港区浜松町1丁目27番14号 株式会 社環境免疫技術研究所内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】以下の式(1): 【化1】 または式(2) 【化2】 [式(1)および(2)中、Xは、SまたはOであり;
    そしてnは、1−10の整数である]で表される構造を
    有する化合物。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の化合物と高分子化合物又
    は標識物質との結合体。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の化合物と高分子化合物を
    結合させることにより抗原を作製し、当該抗原を用いる
    ことにより、以下の式(3): 【化3】 で表される構造を有する化合物に反応性を示す抗体を製
    造することを特徴とする、式(3)の化合物に反応性を
    示す抗体又はそのフラグメントの製造方法。
  4. 【請求項4】請求項2に記載の結合体を抗原として用い
    ることにより製造された、式(3)の化合物と反応性を
    示す抗体又はそのフラグメント。
  5. 【請求項5】モノクローナル抗体である、請求項4に記
    載の抗体又はそのフラグメント。
  6. 【請求項6】POX53−3である、請求項4又は5に
    記載の抗体又はそのフラグメント。
  7. 【請求項7】請求項4ないし6のいずれか1項に記載の
    抗体又はそのフラグメントを産生するハイブリドーマ。
  8. 【請求項8】寄託番号FERM P−16146で寄託
    されている、請求項7に記載のハイブリドーマ。
  9. 【請求項9】請求項4ないし6のいずれか1項に記載の
    抗体又はそのフラグメントを用いることを特徴とする、
    式(3)で表される化合物の免疫学的測定方法。
  10. 【請求項10】さらに、式(1)または(2)で表され
    る化合物と高分子化合物との結合体を使用することを含
    む、請求項9に記載の免疫学的測定方法。
  11. 【請求項11】さらに、式(1)または(2)で表され
    る化合物と標識物質との結合体を使用することを含む、
    請求項9に記載の免疫学的測定方法。
  12. 【請求項12】式(1)または(2)で表される化合物
    が、請求項4ないし6のいずれか1項に記載の抗体又は
    そのフラグメントを作製するための用いた化合物とは異
    なるものである、請求項10または11に記載の免疫学
    的測定方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104237507A (zh) * 2014-09-25 2014-12-24 句容市农业技术推广中心 一种辛硫磷胶体金快速检测试纸条及其制备方法
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CN113788856A (zh) * 2021-10-20 2021-12-14 青岛农业大学 一组肟酯硫代磷酰胺化合物及其制备方法和应用

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