JP2001255324A - フサライドの抗体及び測定方法 - Google Patents

フサライドの抗体及び測定方法

Info

Publication number
JP2001255324A
JP2001255324A JP2000066367A JP2000066367A JP2001255324A JP 2001255324 A JP2001255324 A JP 2001255324A JP 2000066367 A JP2000066367 A JP 2000066367A JP 2000066367 A JP2000066367 A JP 2000066367A JP 2001255324 A JP2001255324 A JP 2001255324A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antibody
fusalide
compound
hapten
antigen
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000066367A
Other languages
English (en)
Inventor
Shigehisa Ito
茂壽 伊東
Shozo Kanai
正三 金井
Kazuaki Watanabe
和明 渡辺
Yasuhiro Kagawa
康浩 香川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
KANKYO MENEKI GIJUTSU KENKYUSH
Kankyo Meneki Gijutsu Kenkyusho KK
Original Assignee
KANKYO MENEKI GIJUTSU KENKYUSH
Kankyo Meneki Gijutsu Kenkyusho KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by KANKYO MENEKI GIJUTSU KENKYUSH, Kankyo Meneki Gijutsu Kenkyusho KK filed Critical KANKYO MENEKI GIJUTSU KENKYUSH
Priority to JP2000066367A priority Critical patent/JP2001255324A/ja
Publication of JP2001255324A publication Critical patent/JP2001255324A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 いもち病専用の防除剤であるフサライドの免
疫化学的測定方法の提供。 【解決手段】 以下の式(1): [式(1)中、nは1−10の整数である。]で表され
る構造を有する化合物と高分子化合物を結合させること
により抗原を作製し、当該抗原を用いることにより、以
下の式(2): で表される構造を有する化合物、すなわちフサライドに
反応性を示す抗体を製造することを特徴とする、式
(2)で表される構造を有する化合物に反応性を示す抗
体又はそのフラグメントの製造方法。上記抗体又はフラ
グメントを用いるフサライドの免疫化学的測定方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、4,5,6,7−
テトラクロロフタリド(以下、本明細書中「フサライ
ド」と言う)のハプテン化合物、抗原、抗体及びそのフ
ラグメントに関する。
【0002】本発明はさらに、前記抗原、抗体及びその
フラグメントを用いた免疫化学的測定方法に関する。
【0003】
【従来の技術】フサライドは、以下の式(2):
【0004】
【化3】
【0005】で表される構造を有する殺菌剤である。詳
細には、フサライドはいもち病専用の防除剤で、予防効
果があり、残効の長い特徴がある。作用機構としては、
in vitroの抗菌力はなく、in vivoでイ
ネいもち病菌付着器の稲体への侵入能を特異的に阻害す
る。この作用はメラニン生合成系の阻害に基づくことが
最近明らかにされた。耐雨性があり、予防効果並びに浸
透移行性も認められている(農薬ハンドブック 第24
6頁−第247頁及び第666頁 1998年版
(社)日本植物防疫協会)。
【0006】近年、土壌、水、大気等の環境中での残留
農薬や、最近特に増加してきた輸入農産物のポストハー
ベスト農薬等の残留に大きな社会的関心が寄せられてい
る。フサライドについては、農薬登録保留基準が、米で
1ppmと定められている。また、水に関する基準につ
いても、公共用水域等に関する基準値が0.1mg/m
lと定められている(最新 農薬の規制・基準値便覧、
1995年版、第298頁、(社)日本植物防疫協
会)。よって、環境や食品に関する安全確保のために
は、これらに含有される、フサライドの量を迅速かつ正
確に測定することが必要である。
【0007】従来、例えば農作物中のフサライドは米か
ら抽出し、精製した後、ガスクロマトグラフィー(G
C)により分析されてきた。即ち、例えば、試料をアセ
トンで抽出し、多孔性ケイソウ土カラムクロマトグラフ
ィー(CC)で精製後、ヘキサン−アセトニトリル分配
してアセトニトリル層を濃縮乾固し、さらにシリカゲル
CCで精製後、GCで測定する方法等が採用されている
(「最新 農薬の残留分析法」 第334頁−第235
頁、中央法規出版 1995年4月1日発行))。これ
らの方法は、試料の調製が煩雑で多大の手順と時間を必
要とし、分析に熟練を要すること、並びに、測定装置や
設備等に高額の費用を必要とする等の問題点がある。フ
サライドの測定は短時間で膨大な数の試料の分析結果を
出す必要があり、精度面だけでなく、簡便性、迅速性及
び経済性をも具備した新規測定方法が要求されてきてい
る。
【0008】免疫化学的測定方法は、抗体が抗原を特異
的に認識する抗原抗体反応に基づいて抗原や抗体の検出
を行う方法であり、その優れた精度、簡便性、迅速性、
経済性から近年注目を集めてきている。免疫化学的測定
方法においては検出方法として非常に多種の標識、例え
ば、酵素、放射性トレーサー、化学発光あるいは蛍光物
質、金属原子、ゾル、ラテックス及びバクテリオファー
ジが適用されてきた。
【0009】免疫化学的測定方法の中でも、酵素を使用
する酵素免疫測定法(EIA)は経済性・利便性から特
に優れたものとして広く使用されるに至っている。酵素
免疫測定法についての優れた論評が、Tijssen
P,“Practice and theory of
enzyme immunoassays” inL
aboratory techniques in b
iochemistry and molecular
biology, Elsevier Amster
dam New York, Oxford ISBN
0−7204−4200−1(1990)に記載され
ている。
【0010】一般に、分子量が大きな分子については、
それ以上修飾することなく動物に接種することにより、
適当な免疫反応を惹起し、抗原を認識する抗体を産生さ
せることができる。しかし、フサライドのような低分子
化合物は通常動物に接種したとき免疫応答を引き出すこ
とができない。これらの分子は免疫原性を有する高分子
化合物(タンパク質や多糖類など)に結合させることに
よって初めて一団のエピトープとして行動し、T細胞受
容体の存在下で免疫応答を起こし、その結果、一群のB
リンパ球により抗体が産生される。このように高分子化
合物と結合させて初めて免疫原性を生じる分子を総称し
て「ハプテン」と言う。
【0011】しかし、低分子化合物を高分子化合物と結
合させたものを抗原としても、得られた抗体は望む分子
を認識しないか、あるいはごく低い親和性しかもたない
場合がしばしばある。そのため、一般に低分子化合物そ
のものではなく、結合に利用できる官能基と共にスペー
サーアーム(結合手)を導入したものをハプテンとして
使用する必要がある。しかしその場合に、結合手/官能
基の配置、結合手の大きさ等の全ての問題を考慮して導
入が適切に行われたものを使用しないと、好ましい抗体
は得られない。適切な導入は個々の分子に応じて工夫し
なければならない。
【0012】フサライドについては、その必要性が非常
に高かったにもかかわらず、適切な抗体はもとより、そ
のような抗体を作製するためのハプテンも本発明前には
得られていなかった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、フサライド
に反応する新規な抗体若しくはそのフラグメント、及び
その作製方法を提供することを目的とする。尚、本明細
書において抗体の「フラグメント」とは、抗原と結合可
能な抗体の一部分、例えばFab断片等を意味する。
【0014】本発明はその一態様において、フサライド
に反応性を有するモノクローナル抗体を提供する。
【0015】本発明は、また、フサライドに反応性を有
する新規な抗体を作製するための抗原を構成するハプテ
ン化合物(フサライドハプテン)を提供することを目的
とする。
【0016】本発明は、さらに、フサライドハプテンと
高分子化合物との結合体を提供することを目的とする。
【0017】本発明は、さらにまた、前記抗体又はその
フラグメントを産生するハイブリドーマを提供すること
を目的とする。
【0018】本発明は、さらに、前記抗体若しくはその
フラグメント及び/又は前記フサライドハプテンと高分
子化合物若しくは標識物質との結合体を使用することを
含む、フサライドの免疫化学的測定方法を提供すること
を目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、フサライド又はその部分にスペーサーア
ーム及び高分子化合物との結合に利用できる官能基を導
入した、フサライドの誘導体をハプテンとして使用する
ことにより、前記化合物に反応性を有する抗体を得るこ
とに成功し、本発明の完成に至った。
【0020】本発明の対象となるフサライドは、以下の
式(2):
【0021】
【化4】
【0022】で表される構造を有する化合物である。本
発明の抗体は、例えば、フサライドの一部分にスペーサ
ーアーム及び結合に利用できる官能基を導入した誘導体
をハプテンとして適当な高分子化合物と結合させたもの
を抗原として用いることによって得ることができる。例
えば、以下の式(1):
【0023】
【化5】
【0024】[式(1)中、nは1−10の整数であ
る]で表される構造を有する化合物を、抗体作製のため
のハプテンとして使用する。
【0025】式(1)中、好ましくは、nは5である。
なお、式(1)のハプテン化合物において窒素原子を含
む5員の複素環は2個の酸素で置換されているが、対象
化合物のフサライドと同様に1個の酸素で置換されてい
てもよい。
【0026】本発明は、前記ハプテン化合物、ハプテン
化合物と高分子化合物との結合体、フサライドに反応す
る抗体及びその作製方法、並びに該ハプテン化合物又は
該抗体を用いるフサライドの免疫化学的測定方法に関す
る。
【0027】フサライドハプテンの作製 式(1)で表されるフサライドハプテンは、公知の方法
に従って製造することができる。限定するわけではない
が、例えば以下のような方法を用いることができる。
【0028】例えば、以下の式(X1):
【0029】
【化6】
【0030】で表される構造を有する無水テトラクロロ
フタール酸に、以下の式(X2):
【0031】
【化7】
【0032】[式(X2)中、nは1−10の整数であ
る]で表される構造を有するアミノカルボン酸を反応さ
せて、式(1)の化合物を得ることができる。
【0033】反応は、0℃から溶媒の沸点の温度、好ま
しくは50℃から150℃で、5分から15時間、好ま
しく30分から4時間行う。反応は通常無溶媒で行う
が、トルエン、キシレン、N,N−ジメチルホルムアミ
ド等の不活性溶媒中で行ってもよい。
【0034】なお、式(X1)の化合物は市販されてい
るものを使用することができる。あるいは、公知の方法
を用いて市販の化合物より合成することも可能である。
【0035】上述したような製造方法によって得られた
化合物を、必要に応じシリカゲルクロマトグラフィー又
は再結晶操作等を行うことにより、さらに高純度の精製
品とすることができる。
【0036】以下、本発明の抗原、抗体の作製、及び免
疫化学的測定法について説明する。尚、これらの調製は
公知の方法、例えば続生化学実験講座、免疫生化学研究
法(日本生化学会編)等に記載の方法に従って行うこと
ができる。
【0037】フサライドハプテンと高分子化合物との結
合体の作製 上述のように合成されたフサライドハプテンを適当な高
分子化合物に結合させてから免疫用抗原若しくは固相化
用抗原として使用する。
【0038】好ましい高分子化合物の例としては、スカ
シガイへモシアニン(以下、「KLH」と言う)、卵白
アルブミン(以下、「OVA」と言う)、ウシ血清アル
ブミン(以下、「BSA」と言う)、ウサギ血清アルブ
ミン(以下、「RSA」と言う)などがある。KLH及
びBSAが好ましい。
【0039】フサライドハプテンと高分子化合物との結
合は、例えば、混合酸無水物法(B.F.Erlang
er et al.:J.Biol.Chem.234
1090‐1094(1954))、又は活性化エス
テル法(A.E.KARUet al.:J.Agri
c.Food Chem.42 301−309(19
94))等の公知の方法によって行うことができる。
【0040】混合酸無水物法において用いられる酸無水
物は、通常のショッテン−バウマン反応により得られ、
これを高分子化合物と反応させることにより目的とする
ハプテン−高分子化合物結合体が製造される。ショッテ
ン−バウマン反応は塩基性化合物の存在下に行われる。
塩基性化合物としては、ショッテン−バウマン反応に慣
用の化合物を使用することができ、例えば、トリブチル
アミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、N−メ
チルモルホリン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリ
ン、DBN、DBU、DABCO等の有機塩基、炭酸カ
リウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素
ナトリウム等の無機塩基等が挙げられる。該反応は、通
常マイナス20℃から150℃、好ましくは0℃から1
00℃において行われ、反応時間は5分から10時間、
好ましくは5分から2時間である。得られた混合酸無水
物と高分子化合物との反応は、通常マイナス20℃から
100℃、好ましくは0℃から50℃において行われ、
反応時間は5分から10時間、好ましくは5分から5時
間である。混合酸無水物法は一般に溶媒中で行われる。
溶媒としては、混合酸無水物法に慣用されているいずれ
の溶媒も使用可能であり、具体的にはジオキサン、ジエ
チルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン
等のエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム、ジク
ロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トル
エン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸メチル、酢
酸エチル等のエステル類、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリン酸トリア
ミド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。混合酸
無水物法において使用されるハロ蟻酸エステルとして
は、例えばクロロ蟻酸メチル、ブロモ蟻酸メチル、クロ
ロ蟻酸エチル、ブロモ蟻酸エチル、クロロ蟻酸イソブチ
ル等が挙げられる。当該方法におけるハプテンとハロ蟻
酸エステルと高分子化合物の使用割合は、広い範囲から
適宜選択され得る。
【0041】一方、活性化エステル法は、一般に以下の
ように行うことができる。まず、ハプテン化合物を有機
溶媒に溶解し、カップリング剤の存在下にてN−ヒドロ
キシこはく酸イミドと反応させ、N−ヒドロキシこはく
酸イミド活性化エステルを生成させる。
【0042】カップリング剤としては、縮合反応に慣用
されている通常のカップリング剤を使用でき、例えば、
ジシクロヘキシルカルボジイミド、カルボニルジイミダ
ゾール、水溶性カルボジイミド等が含まれる。有機溶媒
としては、例えば、ジメチルスルホキシド(以下、「D
MSO」と言う)、N,N−ジメチルホルムアミド(以
下、「DMF」と言う)、ジオキサン等が使用できる。
反応に使用するハプテン化合物とN−ヒドロキシこはく
酸イミドのモル比は好ましくは1:10から10:1、
より好ましくは1:1から1:10、最も好ましくは
1:1である。反応温度は、0℃から100℃、好まし
くは5℃から50℃、より好ましくは22℃から27℃
で、反応時間は5分から24時間、好ましくは30分か
ら6時間、より好ましくは1時間から2時間である。
【0043】カップリング反応後、反応液を高分子化合
物を溶解した溶液に加え反応させると、例えば高分子化
合物が遊離のアミノ基を有する場合、当該アミノ基とハ
プテン化合物のカルボキシル基の間に酸アミド結合が生
成される。反応温度は、0℃から60℃、好ましくは5
℃から40℃、より好ましくは22℃から27℃で、反
応時間は5分から24時間、好ましくは1時間から16
時間、より好ましくは1時間から2時間である。反応物
を、透析、脱塩カラム等によって精製して、フサライド
ハプテンと高分子化合物との結合体を得ることができ
る。
【0044】また、上記と同様の方法により、酵素等の
標識物質をフサライドハプテンに結合させたものを、免
疫化学的測定方法において使用することができる。標識
物質としては、西洋わさびペルオキシダーゼ(以下「H
RP」と言う)、アルカリフォスファターゼ等の酵素、
フルオレセインイソシアネート、ローダミン等の蛍光物
質、32P、125I等の放射性物質、化学発光物質などが
ある。
【0045】ポリクローナル抗体の作製 フサライドハプテンと高分子化合物との結合体を使用し
て、常法により本発明のポリクローナル抗体を作製する
ことができる。例えば、フサライドハプテンとKLHと
の結合体をリン酸ナトリウム緩衝液(以下、「PBS」
と言う)に溶解し、フロイント完全アジュバント又は不
完全アジュバント、あるいはミョウバン等の補助剤と混
合したものを、免疫用抗原として動物に免疫することに
よって得ることができる。免疫される動物としては当該
分野で常用されるものをいずれも使用できるが、例え
ば、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ウマ等を挙げるこ
とができる。ただし、ヒトは含まれない。
【0046】免疫の際の投与法は、皮下注射、腹腔内注
射、静脈内注射、皮内注射、筋肉内注射のいずれでもよ
いが、皮下注射又は腹腔内注射が好ましい。免疫は1回
又は適当な間隔で、好ましくは1週間ないし5週間の問
隔で複数回行うことができる。
【0047】免疫した動物から血液を採取し、そこから
分離した血清を用い、フサライドと反応するポリクロー
ナル抗体の存在を評価することができる。
【0048】モノクローナル抗体の作製 フサライドハプテンと高分子化合物との結合体を使用し
て、公知の方法により本発明のモノクローナル抗体を作
製することができる。
【0049】モノクローナル抗体の製造にあたっては、
少なくとも下記のような作業工程が必要である。 (a)免疫用抗原として使用するフサライドハプテンと
高分子化合物との結合体の作製 (b)動物への免疫 (c)血液の採取、アッセイ、及び抗体産生細胞の調製 (d)ミエローマ細胞の調製 (e)抗体産生細胞とミエローマ細胞との細胞融合とハ
イブリドーマの選択的培養 (f)目的とする抗体を産生するハイブリドーマのスク
リーニングと細胞クローニング (g)ハイブリドーマの培養又は動物へのハイブリドー
マの移植によるモノクローナル抗体の調製 (h)調製されたモノクローナル抗体の反応性の測定等 モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを作製す
るための常法は、例えば、ハイブリドーマ テクニック
ス(Hybridoma Techniques),コ
ールド スプリング ハーバー ラボラトリーズ(Co
ld Spring Harbor Laborato
ry,1980年版)、細胞組織化学(山下修二ら、日
本組織細胞化学会編;学際企画、1986年)に記載さ
れている。
【0050】以下、本発明のフサライドに対するモノク
ローナル抗体の作製方法を説明するが、これに制限され
ないことは当業者によって明らかであろう。
【0051】(a)−(b)の工程は、ポリクローナル
抗体に関して記述した方法とほぼ同様の方法によって行
うことができる。
【0052】(c)の工程における抗体産生細胞はリン
パ球であり、これは一般には脾臓、胸腺、リンパ節、末
梢血液又はこれらの組み合わせから得ることができるが
脾細胞が最も一般的に用いられる。従って、最終免疫
後、抗体産生が確認されたマウスより抗体産生細胞が存
在する部位、例えば脾臓を摘出し、脾細胞を調製する。
【0053】(d)の工程に用いることのできるミエロ
ーマ細胞としては、例えば、Balb/cマウス由来骨
髄腫細胞株のP3/X63−Ag8(X63)(Nat
ure,256,495−497(1975))、P3
/X63−Ag8.U1(P3U1)(Current
Topics.in Microbiologyan
d Immunology,81, 1−7(198
7))、P3/NSI−1−Ag 4−1(NS−1)
(Eur.J.Immunol.,6,511−519
(1976))、Sp2/0−Ag14(Sp2/0)
(Nature, 276,269−270(197
8))、FO(J.Immuno.Meth.,35,
1−21(1980))、MPC−11、X63.6
53、S194等の骨髄腫株化細胞、あるいはラット由
来の210.RCY3.Ag 1.2.3.(Y3)
(Nature, 277,131−133,(197
9))等を使用できる。
【0054】上述したミエローマ細胞をウシ胎児血清を
含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)又はイス
コフ改変ダルベッコ培地(IMDM)で継代培養し、融
合当日に約1×106以上の細胞数を確保する。
【0055】(e)の工程の細胞融合は公知の方法、例
えばミルスタイン(Milstein)らの方法(Me
thods in Enzymology,73,3
(1981))等に準じて行うことができる。現在最も
一般的に行われているのはポリエチレングリコール(P
EG)を用いる方法である。PEG法については、例え
ば、細胞組織化学、山下修二ら(上述)に記載されてい
る。別の融合方法としては、電気処理(電気融合)によ
る方法を採用することもできる(大河内悦子ら、実験医
学 5.1315−19、1987)。その他の方法を
適宜採用することもできる。また、細胞の使用比率も公
知の方法と同様でよく、例えばミエローマ細胞に対して
脾細胞を3倍から10倍程度用いればよい。
【0056】脾細胞とミエローマ細胞とが融合し、抗体
分泌能及び増殖能を獲得したハイブリドーマ群の選択
は、例えば、ミエローマ細胞株としてヒポキサンチング
アニンホスホリボシルトランスフェラーゼ欠損株を使用
した場合、例えば上述のDMEMやIMDMにヒポキサ
ンチン・アミノプテリン・チミジンを添加して調製した
HAT培地の使用により行うことができる。
【0057】(f)の工程では、選択されたハイブリド
ーマ群を含む培養上清の一部をとり、例えば後述するE
LISA法により、フサライドに対する抗体活性を測定
する。
【0058】さらに、測定によりフサライドに反応する
抗体を産生することが判明したハイブリドーマの細胞ク
ローニングを行う。この細胞クローニング法としては、
限界希釈により1ウェルに1個のハイブリドーマが含ま
れるように希釈する方法「限界希釈法」;軟寒天培地上
に撒きコロニーをとる方法;マイクロマニピュレーター
によって1個の細胞を取り出す方法;セルソーターによ
って1個の細胞を分離する「ソータークローン法」等が
挙げられる。限界希釈法が簡単であり、よく用いられ
る。
【0059】抗体価の認められたウェルについて、例え
ば限界希釈法によりクローニングを1−4回繰り返して
安定して抗体価の得られたものを、抗フサライドモノク
ローナル抗体産生ハイブリドーマ株として選択する。ハ
イブリドーマを培養する培地としては、例えば、ウシ胎
児血清(FCS)を含むDMEM又はIMDM等が用い
られる。ハイブリドーマの培養は、例えば二酸化炭素濃
度5−7%程度及び37℃(100%湿度の恒温器中)
で培養するのが好ましい。
【0060】(g)の工程で抗体を調製するための大量
培養は、フォローファイバー型の培養装置等によって行
われる。又は、同系統のマウス(例えば、上述のBal
b/c)あるいはNu/Nuマウスの腹腔内でハイブリ
ドーマを増殖させ、腹水液より抗体を調製することも可
能である。
【0061】これらにより得られた培養上清液あるいは
腹水液を抗フサライドモノクローナル抗体として使用す
ることできるが、さらに透析、硫酸アンモニウムによる
塩析、ゲル濾過、凍結乾燥等を行い、抗体画分を集め精
製することにより抗フサライドモノクローナル抗体を得
ることができる。さらに、精製が必要な場合には、イオ
ン交換カラムクロマトグラフィー、アフィニティークロ
マトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPL
C)などの慣用されている方法を組合わせることにより
実施できる。
【0062】以上のようにして得られた抗フサライドモ
ノクローナル抗体は、例えばELISA法などの公知の
方法を使用して、サブクラス、抗体価等を決定すること
ができる。
【0063】抗体によるフサライドの測定 本発明で使用する抗体によるフサライドの測定法として
は、放射性同位元素免疫測定法(RIA法)、ELIS
A法(Engvall,E.,Methodsin E
nzymol.,70,419−439(198
0))、蛍光抗体法、プラーク法、スポット法、凝集
法、オクタロニー(Ouchterlony)等の一般
に抗原の検出に使用されている種々の方法(「ハイブリ
ドーマ法とモノクローナル抗体」、株式会社R&Dプラ
ニング発行、第30頁−第53頁、昭和57年3月5
日)が挙げられる。感度、簡便性等の観点からELIS
A法が汎用されている。
【0064】フサライドの測定は、各種ELISA法の
うち例えば間接競合ELISA法により、以下のような
手順により行うことができる。
【0065】(a)まず、固相化用抗原であるフサライ
ドハプテンと高分子化合物との結合体を担体に固相化す
る。
【0066】(b)固相化用抗原が吸着していない固相
表面を抗原と無関係な物質、例えばタンパク質によりブ
ロッキングする。
【0067】(c)これに各種濃度のフサライドを含む
試料及び抗体を加え、該抗体を前記固相化抗原及びフサ
ライドに競合的に反応させて、固相化抗原−抗体複合体
及び、フサライド−抗体複合体を生成させる。
【0068】(d)固相化抗原−抗体複合体の量を測定
することにより、予め作成した検量線から試料中のフサ
ライドの量を決定することができる。
【0069】(a)工程において、固相化用抗原を固相
化する担体としては、特別な制限はなく、ELISA法
において常用されるものをいずれも使用することができ
る。例えば、ポリスチレン製の96ウェルのマイクロタ
イタープレートが挙げられる。
【0070】固相化用抗原を担体に固相化させるには、
例えば、固相化用抗原を含む緩衝液を担体上に載せ、イ
ンキュベーションすればよい。緩衝液としては公知のも
のが使用でき、例えば、リン酸緩衝液を挙げることがで
きる。緩衝液中の抗原の濃度は広い範囲から選択できる
が、通常0.01μg/mlから100μg/ml程
度、好ましくは0.05μg/mlから5μg/mlが
適している。また、担体として96ウェルのマイクロタ
イタープレートを使用する場合には、300μl/ウェ
ル以下で20μl/ウェルから150μl/ウェル程度
が望ましい。更に、インキュベーションの条件にも特に
制限はないが、通常4℃程度で一晩インキュベーション
が適している。
【0071】なお、担体に固相化させる抗原としては、
抗体を作製したフサライドハプテンと高分子化合物との
結合体自体のみならず、式(1)で表される他のハプテ
ンと高分子化合物との結合体を固相化抗原として使用す
ることも可能である。例えば、式(1)においてnが抗
体作製用と相違する化合物を、固相化抗原として使用す
ることもできる。さらに、式(1)に含まれない他のフ
サライドを固相化抗原として使用することも可能であ
る。
【0072】(b)工程のブロッキングは、抗原(フサ
ライドハプテンと高分子化合物との結合体)を固相化し
た担体において、フサライドハプテン部分以外に後で添
加する抗体が吸着され得る部分が存在する場合があり、
もっぱらそれを防ぐ目的で行われる。ブロッキング剤と
して、例えば、BSAやスキムミルク溶液を使用でき
る。あるいは、ブロックエース(「Block‐Ac
e」、雪印乳業社製、コードNo.UK−25B)等の
ブロッキング剤として市販されているものを使用するこ
ともできる。具体的には、限定されるわけではないが、
例えば抗原を固相化した部分にブロッキング剤を含む緩
衝液[例えば、1%BSAと60mM NaClを添加
した85mM ホウ酸緩衝液(pH8.0)]を適量加
え、約4℃で、1時間ないし5時間インキュベーション
した後、洗浄液で洗浄することにより行われる。洗浄液
としては特に制限はないが、例えば、PBSを用いるこ
とができる。
【0073】次いで(c)工程において、フサライドを
含む試料と抗体を固相化抗原と接触させ、抗体を固相化
抗原及びフサライドと反応させることにより、固相化抗
原−抗体複合体及びフサライド−抗体複合体が生成す
る。
【0074】この際、抗体としては、第一抗体として本
願発明のフサライドに対する抗体を加え、更に第二抗体
として標識酵素を結合した第一抗体に対する抗体を順次
加えて反応させる。
【0075】第一抗体は緩衝液に溶解して添加する。限
定されるわけではないが、反応は、10℃から40℃、
好ましくは約25℃で約1時間行えばよい。反応終了
後、緩衝液で担体を洗浄し、固相化抗原に結合しなかっ
た第一抗体を除去する。洗浄液としては、例えば、PB
Sを用いることができる。
【0076】次いで第二抗体を添加する。例えば第一抗
体としてマウスモノクローナル抗体を用いる場合、酵素
(例えば、ペルオキシダーゼ又はアルカリホスファター
ゼ等)を結合したマウス抗体に対する抗体を用いるのが
適当である。担体に結合した第一抗体に好ましくは最終
吸光度が4以下、より好ましくは0.5−3.0となる
ように希釈した第二抗体を反応させるのが望ましい。希
釈には緩衝液を用いる。限定されるわけではないが、反
応は室温で約1時間行い、反応後、緩衝液で洗浄する。
以上の反応により、第二抗体が第一抗体に結合する。ま
た、標識した第一抗体を用いてもよく、その場合、第二
抗体は不要である。
【0077】次いで(d)工程において担体に結合した
第二抗体の標識物質と反応する発色基質溶液を加え、吸
光度を測定することによって検量線からフサライドの量
を算出することができる。
【0078】第二抗体に結合する酵素としてペルオキシ
ダーゼを使用する場合には、例えば、過酸化水素、並び
に3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン又はo
−フェニレンジアミン(以下、「OPD」と言う)を含
む発色基質溶液を使用することができる。限定されるわ
けではないが、発色基質溶液を加え室温で約10分間反
応させた後、1Nの硫酸を加えることにより酵素反応を
停止させる。3,3’,5,5’−テトラメチルベンジ
ジンを使用する場合、450nmの吸光度を測定する。
OPDを使用する場合、492nmの吸光度を測定す
る。一方、第二抗体に結合する酵素としてアルカリホス
ファターゼを使用する場合には、例えばp−ニトロフェ
ニルリン酸を基質として発色させ、2NのNaOH溶液
を加えて酵素反応を止め、415nmでの吸光度を測定
する方法が適している。
【0079】フサライドを添加しない反応溶液の吸光度
に対して、それらを添加して抗体と反応させた溶液の吸
光度の減少率を阻害率として計算する。既知の濃度のフ
サライドを添加した反応液の阻害率により予め作成して
おいた検量線を用いて、試料中のフサライドの濃度を算
出できる。
【0080】あるいはフサライドの測定は、例えば以下
に述べるような本発明のモノクローナル抗体を用いた直
接競合ELISA法によって行うこともできる。
【0081】(a)まず、本発明のモノクローナル抗体
を、担体に固相化する。 (b)抗体が固相化されていない担体表面を抗原と無関
係な物質、例えばタンパク質により、ブロッキングす
る。
【0082】(c)上記工程とは別に、各種濃度のフサ
ライドを含む試料に、フサライドハプテンと酵素を結合
させた酵素結合ハプテンを加えた混合物を調製する。
【0083】(d)上記混合物を上記抗体固相化担体と
反応させる。 (e)固相化抗体−酵素結合ハプテン複合体の量を測定
することにより、あらかじめ作成した検量線から試料中
のフサライドの量を決定する。
【0084】(a)工程においてモノクローナル抗体を
固相化する担体としては、特別な制限はなくELISA
法において常用されるものを用いることができ、例えば
96ウェルのマイクロタイタープレートが挙げられる。
モノクローナル抗体の固相化は、例えばモノクローナル
抗体を含む緩衝液を担体上にのせ、インキュベートする
ことによって行える。緩衝液の組成・濃度は前述の間接
競合ELISA法と同様のものを採用できる。
【0085】(b)工程のブロッキングは、抗体を固相
化した担体において、後に添加する試料中のフサライド
並びに酵素結合ハプテンが、抗原抗体反応とは無関係に
吸着される部分が存在する場合があるので、それを防ぐ
目的で行う。ブロッキング剤及びその方法は、前述の間
接競合ELISA法と同様のものを使用できる。
【0086】(c)工程において用いる酵素結合ハプテ
ンの調製は、フサライドハプテンを酵素に結合する方法
であれば特に制限なく、いかなる方法で行ってもよい。
例えば、前述した活性化エステル法を採用することがで
きる。調製した酵素結合ハプテンは、フサライドを含む
試料と混合する。
【0087】なお、酵素等の標識物質に結合させるハプ
テンとしては、間接競合ELISA法における固相化抗
原の場合と同様に、抗体作製に使用したフサライドハプ
テン自体のみならず、式(1)で表される他のハプテン
と高分子化合物との結合体を標識用抗原として使用する
ことも可能である。例えば、式(1)においてnが抗体
作製用と相違する化合物を、標識用抗原として使用する
こともできる。さらに、式(1)に含まれない他のフサ
ライドも、標識用抗原として使用可能である。
【0088】(d)工程においてフサライドを含む試料
及び酵素結合ハプテンを抗体固相化担体に接触させ、フ
サライドと酵素結合ハプテンとの競合阻害反応により、
これらと固相化抗体との複合体が生成する。フサライド
を含む試料は適当な緩衝液で希釈して使用する。限定さ
れるわけではないが、反応は例えば、室温でおよそ1時
間行う。反応終了後、緩衝液で担体を洗浄し、固相化抗
体と結合しなかった酵素結合ハプテンを除去する。洗浄
液は例えばPBSを使用することができる。
【0089】さらに、(e)工程において酵素結合ハプ
テンの酵素に反応する発色基質溶液を前述の間接競合E
LISA法と同様に加え、吸光度を測定することにより
検量線からフサライドの量を算出することができる。
【0090】本発明のモノクロ−ナル抗体FLD1F9
は、直接競合ELISA法で約0.5ng/mlないし
約1000ng/ml、好ましくは約1.0ng/ml
ないし約100ng/mlの濃度範囲でフサライドと反
応する。さらに、約1.0ng/mlないし約1000
ng/ml、好ましくは約1.0ng/mlないし約1
00ng/mlの濃度範囲でクロロタロニルとも反応す
る。(実施例8、図1)。
【0091】さらに前述したように直接競合ELISA
法において抗体作製用と異なるハプテンを標識用抗原と
して使用でき、その組み合わせによって直接競合ELI
SA法において固有の反応性を示す。
【0092】本発明の抗体の交差反応性 上述した直接競合ELISA法又は間接競合ELISA
法により、本発明のモノクローナル抗体の交差反応性を
調べることができる。
【0093】例えば、モノクローナル抗体FLD1F9
は他のフサライド類似化合物のクロロタロニルに約27
%の交差反応性を有し、他のキントゼン、CNPには反
応性を示さない。よって、フサライド並びにクロロタロ
ニルに対して高い特異性を有する。(実施例9、図
2)。
【0094】以下、実施例によって本発明を具体的に説
明するが、これらは本発明の技術的範囲を制限するため
のものではない。当業者は本明細書の記載に基づいて容
易に本発明に修飾、変更を加えることができ、それらは
本発明の技術的範囲に含まれる。
【0095】
【実施例】実施例1 フサライドハプテンの合成
【0096】
【化8】
【0097】6−(3、4、5、6−テトラクロロフタ
ールイミド)ヘキサン酸(2)の合成 無水テトラクロロフタール酸(1)1.4g(5.0m
mol)と6−アミノヘキサン酸0.72g(5.5m
mol)の混合物を70℃で3時間撹拌した。反応混合
物を加温下で30mlの酢酸に溶かし、濾過した。濾液
を室温まで冷やし、析出した固体を濾取した。固体をエ
タノールで再結晶化し1.1g(収率55%)の目的化
合物(2)を得た。融点:241−242℃上記フサラ
イドハプテン(2)の1H−NMRによる物性データ
(ケミカルシフトδ)を以下に示す。
【0098】
【表1】1 H−NMR(DMSO−D6,400MHz)δ 1.29(2H,m,CH3), 1.55(4H,
m,2CH2),2.19(2H,t,CH2), 3.
55(2H,t,CH2),11.99(1H,s,C
OOH)実施例2 免疫用抗原の作製 免疫用抗原としてフサライドハプテンとKLHとの結合
体を以下のように混合酸無水物法を用いて作製した。
【0099】実施例1で作製したフサライドハプテンの
7mgを無水ジオキサン0.7mlに溶解し、10℃な
いし12℃に冷却した後、トリ−N−ブチルアミン4μ
lおよびクロロ蟻酸イソブチル24μlを添加し、10
〜12℃にて30分間撹拌した(以下これを「A液」と
いう)。
【0100】一方、蒸留水1mlにKLHを20mg溶
解し、0.5% NaHCO3 pH9.4を外液とし
て一晩透析した。透析後3000rpm、30分間遠心
し得られた上清1.5mlにA液をゆっくり添加した。
4℃にて2時間反応させた後、スパーテル1杯のグリシ
ンを添加してさらに4℃にて30分間撹拌することによ
り反応を終了させた。この反応液を145mM NaC
l−10mM PBS(pH7.4)中で1週間透析
し、フサライドハプテンとKLHとの結合体(以下、
「フサライドハプテン/KLH」と言う)を調製した。
以下、免疫用抗原として用いた。
【0101】実施例3 スクリーニング用抗原の作製 実施例2と同様の方法を用いて、フサライドハプテンと
BSAとの結合体(以下、「フサライド/BSA」と言
う)を作製し、スクリーニング用抗原として用いた。
【0102】実施例4 免疫感作 免疫にはBalb/cマウスを用いた。実施例2で作製
したフサライド/KLH(免疫用抗原)100μgをP
BS100μlに溶解し、等量のフロイント完全アジュ
バントと混合した後、Balb/cマウスに接種した。
初回免疫後14日目、31日目、58日目、79日目に
フロイント不完全アジュバントを用いて前記と同様の操
作により調製した免疫用抗原を、マウスに追加免疫し
た。また、115日後にはPBSに溶解した免疫抗原を
マウスに追加免疫した。122日後に免疫したマウスの
尾静脈より採血を行い、血清を分離しこれを抗血清とし
た。
【0103】実施例5 抗血清のフサライドに対する反
応性 実施例3で調製したスクリーニング用抗原(フサライド
ハプテン/BSA)を用い、間接競合ELISA法によ
り、実施例4で調製した抗血清のフサライドに対する反
応性を調べた。
【0104】まず、実施例3で調製したフサライドハプ
テン/BSAのPBS溶液(5μg/ml)を100μ
l/ウェルにて96ウェルプレートにコーティングした
(0.5μg/100μl/ウェル)。PBSで洗浄の
後、4倍に希釈したブロックエース(「Block A
ce」:大日本製薬、コードNo.UK−25B)でブ
ロッキングした後、抗血清の1000倍希釈液と各種濃
度のフサライドあるいはその類似化合物を含む10%メ
タノ−ル溶液とを等量混合し、その100μlをウェル
に入れ、37℃にて1時間反応させた。
【0105】反応終了後、0.05% Tween20
−PBSにて1回洗浄の後、PBSを用いて5000倍
希釈したペルオキシダ−ゼ結合抗マウスIgGヤギ抗体
(Cappel社製)を100μlずつ各ウェルに添加
し、37℃にて1時間反応させた。
【0106】さらに反応終了後、0.05% Twee
n20−PBSにて2回洗浄し、0.4mg/mlのO
PD及び0.04%の過酸化水素を含む0.05Mリン
酸クエン酸緩衝液(pH4.5)を100μlずつ各ウ
ェルにいれ、室温にて20分間放置し発色させた。反応
後、2N硫酸100μlを各ウェルに加え、反応を停止
させた後、490nmの吸光度を測定した。
【0107】実施例6 ハイブリド−マの作製 実施例5で抗血清の力価を測定したマウスについて、モ
ノクローナル抗体の作製を行った。
【0108】先ず、実施例4に続き、血清中の抗フサラ
イド抗体の活性が高くなったマウスの脾臓細胞と、マウ
スミエロ−マ細胞(P3U1)とを電気融合法にて細胞
融合をおこなった。細胞増殖が認められた培養上清液に
ついて以下の方法でフサライドに対する抗体活性を調べ
た。
【0109】フサライドハプテン/BSAの溶液(5μ
g/ml)を50μl/ウェルにて96ウェルプレート
にコーティングした。洗浄の後、4倍に希釈したブロッ
クエースでブロッキングした後、培養上清液と各種濃度
のフサライドあるいはその類似化合物を含む10%メタ
ノ−ル溶液とを等量混合し、その100μlをウェルに
入れ、37℃にて1時間反応させた。反応終了後、0.
05% Tween20−PBSにて1回洗浄の後、P
BSを用いて、5000倍希釈したペルオキシダ−ゼ結
合抗マウスIgGヤギ抗体(Cappel社製)を50
μlずつ各ウェルに入れて37℃で1時間反応させた。
【0110】さらに反応終了後、0.05% Twee
n20−PBSにて2回洗浄の後、0.4mg/mlの
OPD及び0.04%の過酸化水素を含む0.05Mリ
ン酸クエン酸緩衝液(pH4.5)を100μlずつ各
ウェルにいれ、室温にて20分間放置し発色させた。反
応後、2N硫酸100μlを各ウェルに加え、発色反応
を停止させた後、490nmの吸光度を測定し、特異性
のある抗体活性が認められたものを選抜した。
【0111】次に、選抜されたウェルの細胞について限
界希釈法を用いた細胞クロ−ニングをおこなった。その
結果、抗フサライド抗体を産生するハイブリド−マを数
株クロ−ン化した。そのうちのFLD1F9を平成12
年2月22日に寄託番号FERM P−17740とし
て工業技術院生命工学工業研究所(〒305−0046
茨城県つくば市東1丁目1番3号)に寄託した。
【0112】実施例7 フサライドハプテンとHRPと
の結合体の作製 実施例2と同様に混合無水物法により、フサライドハプ
テンとHRPの結合体を作製した。
【0113】1mgのフサライドハプテンを無水ジオキ
サン0.2mlに溶解した後、トリ−N−ブチルアミン
0.5μl、クロロ蟻酸イソブチル0.3μlを添加
し、10−12℃にて30分間撹拌した。(以下、これ
を「B液」とする) 一方、0.5%NaHCO3をNaOHでpH9.4に
調整した溶液1mlにHRP5mgを溶解し、B液をこ
の中に滴下した。4℃にて2時間撹拌し、さらにグリシ
ンを添加して30分間撹拌することにより反応を終了さ
せた。反応物をPBSにて透析することにより、HRP
結合フサライドハプテンを得た。
【0114】実施例8 直接競合ELISA法によるフ
サライドの測定 実施例6で得られたハイブリド−マ(FLD1F9)を
マウスの腹腔に移植し、10日後ないし15日後に得ら
れた腹水を採取し、硫安分画法によりモノクロ−ナル抗
体を分取した。(以後、各モノクローナル抗体はこれら
を産生するモノクローナル抗体産生細胞と同一の名称を
用いる。)得られた精製モノクローナル抗体FLD1F
を用いて以下の方法にてフサライドを測定した。
【0115】上記FLD1F9モノクロ−ナル抗体溶液
(2μg/ml)を100μl/ウェルで96ウェルプ
レ−トに加え、4℃で一晩静置し、翌日4倍希釈したブ
ロックエ−スでブロッキング行い、アッセイ用のプレー
トを作成した。次いで、フサライド及び実施例7で作製
した適度に希釈されたHRP結合フサライドハプテンを
含む10%メタノ−ル−PBS溶液を50μl/ウェル
で加え、37℃で1時間静置した。
【0116】反応終了後、0.05% Tween20
−PBSにて2回洗浄の後、0.4mg/mlのOPD
及び0.04%過酸化水素を含む0.05Mリン酸クエ
ン酸緩衝液(pH4.5)を100μlずつ各ウェルに
いれ室温にて20分間放置し、発色させた。
【0117】反応後、2N硫酸100μlを各ウェルに
加え、反応を停止させた後、490nmの吸光度を測定
した。結果を図1に示す。直接競合ELISA法におい
て、フサライドを0.5ng/mlないし1000ng
/mlの範囲で測定できた。
【0118】実施例9 モノクロ−ナル抗体の交差反応
フサライドハプテンに由来する、クロ−ン化したハイブ
リド−マFLD1F9の産生するモノクロ−ナル抗体F
LD1F9について実施例8と同様の方法を用いてフサ
ライドおよび他のチアゾール環を有する類似化合物に対
する交差反応性を調べた。結果を図2に示す。モノクロ
ーナル抗体FLD1F9は類似化合物のクロロタロニル
に約27%の交差反応性を有し、他のキントゼン、CN
Pに反応性を示さず、フサライド並びにクロロタロニル
に対して高い特異性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のモノクロ−ナル抗体FLD1
F9の直接競合ELISA法によるフサライドの測定を
示す。
【図2】図2はモノクロ−ナル抗体FLD1F9を用い
た直接競合ELISA法によるフサライドおよび他の類
似化合物の測定を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12P 21/08 G01N 33/577 B G01N 33/531 C12N 5/00 B 33/577 15/00 C (72)発明者 渡辺 和明 東京都港区浜松町1丁目27番14号 株式会 社環境免疫技術研究所内 (72)発明者 香川 康浩 東京都港区浜松町1丁目27番14号 株式会 社環境免疫技術研究所内 Fターム(参考) 4B024 AA11 BA53 GA01 HA15 4B064 AG27 CA10 CA19 CC24 DA13 4B065 AA91X AB05 AC14 BA08 CA25 CA46 4H045 AA11 BA10 CA40 DA76 EA50 FA72 FA74

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】以下の式(1): 【化1】 [式(1)中、nは、1−10の整数である]で表され
    る構造を有する化合物と高分子化合物を結合させること
    により抗原を作製し、当該抗原を用いることにより、以
    下の式(2): 【化2】 で表される構造を有する化合物に反応性を示す抗体を製
    造することを特徴とする、式(2)で表される構造を有
    する化合物に反応性を示す抗体又はそのフラグメントの
    製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の方法により製造された、
    式(2)で表される構造を有する化合物に反応性を示す
    抗体又はそのフラグメント。
  3. 【請求項3】モノクローナル抗体である、請求項2に記
    載の抗体又はフラグメント。
  4. 【請求項4】寄託番号FERM P−17740で寄託
    されているハイブリドーマによって産生されるモノクロ
    ーナル抗体FLD1F9である、請求項2若しくは3に
    記載の抗体又はフラグメント。
  5. 【請求項5】請求項2ないし4のいずれか1項に記載の
    抗体又はフラグメントを産生するハイブリドーマ。
  6. 【請求項6】寄託番号FERM P−17740で寄託
    されている、請求項5に記載のハイブリドーマ。
  7. 【請求項7】請求項2ないし4のいずれか1項に記載の
    抗体又はフラグメントを用いることを特徴とする、式
    (2)で表される構造を有する化合物の免疫化学的測定
    方法。
  8. 【請求項8】さらに、請求項1において式(1)で表さ
    れる構造を有する化合物、および/又は、請求項1にお
    いて式(1)で表される化合物と高分子化合物若しくは
    標識物質との結合体を用いることを含む、請求項7に記
    載の免疫化学的測定方法。
JP2000066367A 2000-03-10 2000-03-10 フサライドの抗体及び測定方法 Pending JP2001255324A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000066367A JP2001255324A (ja) 2000-03-10 2000-03-10 フサライドの抗体及び測定方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000066367A JP2001255324A (ja) 2000-03-10 2000-03-10 フサライドの抗体及び測定方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001255324A true JP2001255324A (ja) 2001-09-21

Family

ID=18585738

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000066367A Pending JP2001255324A (ja) 2000-03-10 2000-03-10 フサライドの抗体及び測定方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001255324A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010169507A (ja) * 2009-01-22 2010-08-05 Eiken Chem Co Ltd 試料中のエクオールの免疫測定法
WO2011145664A1 (ja) * 2010-05-18 2011-11-24 味の素株式会社 含硫黄アミノ酸誘導体
CN113281501A (zh) * 2021-05-12 2021-08-20 北京勤邦生物技术有限公司 一种五氯硝基苯人工抗原在酶联免疫试剂盒中的应用

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010169507A (ja) * 2009-01-22 2010-08-05 Eiken Chem Co Ltd 試料中のエクオールの免疫測定法
WO2011145664A1 (ja) * 2010-05-18 2011-11-24 味の素株式会社 含硫黄アミノ酸誘導体
US9127039B2 (en) 2010-05-18 2015-09-08 Ajinomoto Co., Inc. Sulfur-containing amino acid derivative
JP5817720B2 (ja) * 2010-05-18 2015-11-18 味の素株式会社 含硫黄アミノ酸誘導体
CN113281501A (zh) * 2021-05-12 2021-08-20 北京勤邦生物技术有限公司 一种五氯硝基苯人工抗原在酶联免疫试剂盒中的应用
CN113281501B (zh) * 2021-05-12 2023-07-07 北京勤邦科技股份有限公司 一种五氯硝基苯人工抗原在酶联免疫试剂盒中的应用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3884586B2 (ja) イミダクロプリドのハプテン化合物、抗体及び測定方法
JP3947283B2 (ja) イプロジオン及びその代謝物のハプテン化合物、抗体及び測定方法
JP3940245B2 (ja) アセタミプリドのハプテン化合物、抗体及び測定方法
JP2001272401A (ja) フタル酸エステル類のハプテン化合物、抗体及び測定方法
JPH10248565A (ja) ミクロブタニルのハプテン化合物、抗体及び測定方法
JP3188642B2 (ja) イマザリルのハプテン化合物、抗体及び測定方法
JP2001255324A (ja) フサライドの抗体及び測定方法
JP2000191624A (ja) カルバリルのハプテン化合物、抗体及び測定方法
JP3842919B2 (ja) クロルフェナピルのハプテン化合物、抗体及び測定方法
JP3026942B2 (ja) ダイアジノンのハプテン化合物、抗体及び測定方法
JP3950600B2 (ja) フェニトロチオンのハプテン化合物、抗体及び測定方法
JP2000095769A (ja) プロベナゾールのハプテン化合物、抗体及び測定方法
JP2993902B2 (ja) トリフルミゾールのハプテン化合物、抗体及び測定方法
JPH10262662A (ja) ホキシムのハプテン化合物、抗体及び測定方法
JP2000086654A (ja) イソプロチオランのハプテン化合物、抗体及び測定方法
JP2005035893A (ja) アラクロールハプテン、アラクロールに対する抗体およびそれを用いる免疫学的測定方法
JP4221119B2 (ja) ドウモイ酸に対する特異的抗体及びドウモイ酸の免疫学的分析方法
JP2000270862A (ja) プレチラクロールのハプテン化合物、抗体及び測定方法
JP3015306B2 (ja) 酸アミド系化合物のハプテン化合物、抗体および測定方法
JP2001089484A (ja) トリシクラゾールのハプテン化合物、抗体及び測定方法
JP2000236875A (ja) マラチオンのハプテン化合物、抗体及び測定方法
JP2001039953A (ja) ピリミノバックメチルのハプテン化合物、抗体及び測定方法
JP2001002628A (ja) カルプロパミドのハプテン化合物、抗体及び測定方法
JP2001261631A (ja) フルフェノクスロンのハプテン化合物、抗体及び測定方法
JPH11255786A (ja) トルクロホスメチルのハプテン化合物、抗体及び測定方法