JP3015306B2 - 酸アミド系化合物のハプテン化合物、抗体および測定方法 - Google Patents

酸アミド系化合物のハプテン化合物、抗体および測定方法

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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸アミド系化合
物、特にベンズアニリド系化合物のハプテン化合物、抗
原、抗体に関する。
【0002】本発明はさらに、前記抗原または抗体を用
いた免疫化学的測定方法に関する。
【0003】
【従来の技術】酸アミド系化合物は殺菌剤として広く使
用されており、そのうち、カルボキシン、オキシカルボ
キシン、メプロニル、フルトラニルはミトコンドリア内
の呼吸に関与している電子伝達系に作用し、その呼吸阻
害作用は高い選択性を有し、担子菌及び近縁の不完全菌
のみに活性を示す。また、担子菌以外の菌類に効果のあ
るものとして例えば白葉枯病に効果のあるテクロフタラ
ムが開発されている。
【0004】それらの酸アミド系化合物は、以下の式
(3):
【化5】 [式中、R1は、1ないし3不飽和で5または6員の、
炭素環あるいは1または2個のN、O、SもしくはSO
2を含む複素環であって、前記炭素環および複素環は所
望により1ないし4個の低級アルキル基、ハロゲン原
子、トリフルオロメチル基、ヒドロキシ基またはカルボ
キシル基で置換されていてもよく;そしてR2は、ベン
ゼン環またはシクロヘキサン環であって、前記ベンゼン
環は所望により1個ないし3個の、低級アルキル基、塩
素、フッ素等のハロゲン原子、トリフルオロメチル基等
のハロゲン化アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン
化アルコキシ基で置換されていてもよく、あるいは前記
ベンゼン環のとなり合う2個の炭素は、間にOを含んで
もよい炭素数2ないし4個のメチレン基で架橋されてい
てもよく、当該メチレン基は1ないし3個のメチル基で
置換されていてもよい]で表される一群の化合物であ
る。
【0005】酸アミド系化合物の代表的なものとして、
3'−イソプロポキシ−2−メチルベンズアニリド[式
(3)中、R1は2位がメチル基で置換されたベンゼン
環であり、R2は3位がイソプロポキシ基で置換された
ベンゼン環である]、並びにα,α,α−トリフルオロ−
3'−イソプロポキシ−o−トルアニリド[式(3)
中、R1は2位がトリフルオロメチル基で置換されたベ
ンゼン環であり、R2は3位がイソプロポキシ基で置換
されたベンゼン環である]がある。
【0006】3'−イソプロポキシ−2−メチルベンズ
アニリドは一般名をメプロニルといい、リゾトニア菌な
どの担子菌に属する病原菌に特異的に高い抗菌活性を有
し、イネ紋枯病、ムギ、シバのさび病、雪腐菌核病、ジ
ャガイモの黒あざ病、ナシやリンゴの赤星病、野菜の苗
立枯病などの防除に用いられる。予防効果と治療効果を
合わせ持ち、水溶性が小さいために雨露による流亡が少
なく、効果の持続性、安定性に優れている。
【0007】α,α,α−トリフルオロ−3'−イソプロ
ポキシ−o−トルアニリドは一般名をフルトラニルとい
い、イネ紋枯病に対して予防効果および治療効果を有す
る。また、浸透移行性があるので、根あるいは葉髄下部
に処理した薬剤が吸収され上部へと移行し、安定した効
果が得られる。リゾトニア菌、さび病菌などの担子菌類
によって起こる諸病害に有効である。(農薬ハンドブッ
ク 1994年版 日本植物防疫協会; 最新農薬の残
留分析法 農薬残留分析法研究班編集 中央法規出版)
【0008】近年、土壌、水、大気等の環境中での残留
農薬や、最近特に増加してきた輸入農産物のポストハー
ベスト農薬等の残留に大きな社会的関心が寄せられてい
る。例えば、メプロニルについても以下のように食品に
残留する基準値が定められている:穀類(2ppm)、
果実類(2−5ppm)、野菜類(1−5ppm)、種
実類(2ppm)(最新農薬の残留分析法 前出)。環
境や食品に関する安全確保のためには、これらに含有さ
れる酸アミド系化合物の量を迅速、かつ正確に測定する
ことが必要である。
【0009】従来酸アミド系化合物は、主に穀類、果実
等の試料から農薬を抽出し、精製後、ガスクロマトグラ
フィー(GC)や高速液体クロマトグラフィー(HPL
C)により分析されている。例えばメプロニルおよびフ
ルトラニルの場合、試料をアセトンで抽出し、転溶した
後、フロリジルカラムクロマトグラフィー(CC)で溶
出し、さらにGCで測定する方法が採用されている(最
新農薬の残留分析法農薬残留分析法研究班編集 中央法
規出版)。これらの方法は、試料の調製が煩雑で多大の
手間と時間を必要とし、分析に熟練を有すること、並び
に、測定装置や設備等に高額の費用を必要とする等の問
題点がある。酸アミド系化合物の測定は、特に輸入農産
物等の残留農薬の分析では測定試料が多大で、短時間内
に結果をだす必要があり、精度面以外にも、簡便性、迅
速性及び経済性を具備した新しい測定法が要求されてい
る。
【0010】免疫化学測定法は、抗体が抗原を特異的に
認識する、抗原−抗体反応に基づいて抗原の検出を行う
方法であり、その優れた精度、簡便性、迅速性、経済性
から近年注目を集めている。免疫化学測定法においては
検出方法として非常に多種の標識、例えば、酵素、放射
性トレーサー、化学発光性および蛍光性標識、金属原子
およびゾル、安定遊離基、ラテックスならびにバクテリ
オファージが適用されてきた。
【0011】免疫化学測定法の内でも、酵素を使用する
酵素免疫測定法(EIA)は特に優れたものとして広く
使用されるに至った。酵素免疫測定法についての優れた
論評が、Tijssen P, "Practice and theory of enzyme
immunoassays" in Laboratory techniques in biochemi
stry and molecular biology, Elsevier Amsterdam New
York, Oxford ISBN 0-7204-4200-1 (1990) により提供
されている。
【0012】一般に、大きい抗原分子および生物学的有
機分子については、それ以上修飾することなく動物に接
種することにより、適当な免疫反応を惹起し、抗原を認
識する抗体を産生させることができる。しかし、酸アミ
ド系化合物のような小さい分子は通常動物に接種したと
き免疫応答を引き出すことができない。これら分子はよ
り大きい分子(高分子化合物)に結合させることによっ
て初めて一団のエピトープとして行動し、T細胞受容体
の存在下で免疫応答を起こし、その結果、1群のBリン
パ球により抗体を産生させる。このように高分子化合物
と結合させて初めて免疫原性を生じる分子を総称して
「ハプテン」という。
【0013】しかし、小分子を高分子化合物と結合させ
たものを抗原としても、得られた抗体は望む分子認識
しないか、あるいはごく低い親和性しかもたない場合が
しばしばある。そのため、一般に小さい分子そのもので
はなく、結合に利用できる官能基と共にスペーサーアー
ム(結合手)を導入したものをハプテンとして使用する
必要がある。しかしその場合に、結合手/官能基の配
置、結合手の大きさ等の全ての問題を考慮して導入が適
切に行われたものを使用しないと、好ましい抗体は得ら
れない。適切な導入は個々の分子に応じて工夫しなけら
ばならない。酸アミド系化合物についてはその必要性が
非常に高かったにもかかわらず、適切な抗体はもとよ
り、抗体を作成するためのハプテンも、本発明前には得
られていなかった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、酸アミド系
化合物、特にベンズアニリド系化合物に反応する新規な
抗体を作製するための抗原を構成する、ハプテン化合物
を提供することを目的とする。
【0015】本発明は、また、抗原となる前記ハプテン
と高分子化合物との結合体を提供することを目的とす
る。
【0016】本発明は、さらに、酸アミド系化合物に反
応する新規な抗体およびその製造方法を提供することを
目的とする。
【0017】本発明はその一態様において、特定のベン
ズアニリド系化合物、例えばフルトラニルに対する特異
性が極めて高く、他のンズアニリド系化合物との交差
反応性が低いという特徴を有する、モノクローナル抗体
を提供する。
【0018】本発明はその一態様において、数種類の酸
アミド系化合物と反応するという特徴を有する、モノク
ローナル抗体を提供する。
【0019】本発明は、さらにまた、前記抗体を産生す
るハイブリドーマを提供することを目的とする。
【0020】本発明は、さらに、前記ハプテン化合物ま
たは抗体を使用することを含む、酸アミド系化合物また
はその誘導体の免疫化学的測定法を提供することを目的
とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、酸アミド系化合物のアミド結合部分また
はベンゼン環部分を修飾してスペーサーを導入し、当該
スペーサーにさらに適当な高分子化合物を結合させたも
のが抗原として利用できることを発見した。このような
抗原を用いて得られた抗体は、高分子化合物およびスペ
ーサー部分とは無関係に、抗原中の酸アミド系化合物に
由来する部分を特異的に認識することができる。
【0022】具体的には、酸アミド系化合物中の
【化6】 [R2は、下記一般式(1)または(2)において定義
する通りである]で表される構造部分にスペーサーを導
入して
【化7】 [R2,R3およびAは下記一般式(1)または(2)に
おいて定義する通りである]に変化させた、酸アミド系
化合物誘導体をハプテンとして使用することにより、酸
アミド系化合物に特異的な抗体を得られる。
【0023】すなわち本発明のハプテン化合物は、以下
の式(1)または(2):
【化8】 [式中、R1は、1ないし3不飽和で5または6員の、
炭素環あるいは1または2個のN、O、SもしくはSO
2を含む複素環であって、前記炭素環および複素環は所
望により1ないし4個の、炭素数1−4、好ましくは1
−2の低級アルキル基、ハロゲン原子(本明細書中、ハ
ロゲン原子はF、Cl、BrまたはIを意味する)、ト
リフルオロメチル基、ヒドロキシ基またはカルボキシル
基で置換されていてもよく;R2は、ベンゼン環または
シクロヘキサン環であって、前記ベンゼン環は所望によ
り1個ないし3個の、低級アルキル基、ハロゲン原子、
ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン化
アルコキシ基で置換されていてもよく、あるいは前記ベ
ンゼン環のとなり合う2個の炭素は、間にOを含んでも
よい炭素数2ないし4個のメチレン基で架橋されていて
もよく、当該メチレン基は1ないし3個のメチル基で置
換されていてもよく;R3は、水素原子、ヒドロキシ基
またはハロゲン原子であり;そしてAは、−CH(CH
3)−を除く、所望により枝分かれしてもよい炭素数1
−10、好ましくは2−5のアルキレン基である]で表
される構造を有する酸アミド系化合物誘導体である。
【0024】上記式(1)または(2)中において、R
1およびR2は好ましくは以下の基:
【化9】 からなるグループから選択される。より好ましくは、R
1およびR2は、所望により置換されていてもよいベンゼ
ン環である。
【0025】本発明のハプテン化合物は、特に好ましく
は、メプロニルまたはフルトラニルの誘導体、即ち、式
(1)または(2)において、R1 2位がメチル基、
トリフルオロメチル基または塩素原子で置換されたベン
ゼン環であり、R2 3位がイソプロポキシ基で置換さ
れたベンゼン環であり、R3 ヒドロキシ基である化合
物である。
【0026】本発明の酸アミド系化合物誘導体をハプテ
ンとして適当な高分子化合物と結合させたものを抗原と
して用いることによって、酸アミド系化合物に特異的な
抗体を得ることができる。
【0027】本発明は、前記ハプテン化合物、ハプテン
化合物と高分子化合物との結合体、酸アミド系化合物に
反応する抗体およびその製造方法、ならびに該ハプテン
化合物または該抗体を用いる酸アミド系化合物の免疫化
学的測定法に関する。
【0028】酸アミド系化合物誘導体の作製 一般式(1)または(2)の酸アミド系化合物誘導体
は、公知の方法に従って製造することができる。
【0029】A.一般式(1)の化合物は、例えば、一
般式(4):
【化10】 [式中、R4はカルボキシル保護基を示す;R1、R2
およびAは式(1)および(2)で定義した通りであ
る]で表されるエステル化合物から、R4で示されるカ
ルボキシル保護基を除去することにより製造できる。
【0030】上記一般式(4)中、R4で示されるカル
ボキシル保護基は公知のものでよく、その具体例とし
て、例えばメチル基、エチル基、tert−ブチル基、
ベンジル基、p−メトキシベンジル基、トリクロロエチ
ル基、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチル
シリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、トリ
エチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリメチ
ルシリルエトキシメチル基等を挙げることができる。
【0031】R4で示されるカルボキシル保護基の除去
は、アルカリ加水分解、酸加水分解等の公知の方法で行
うことができる。
【0032】すなわち、アルカリ加水分解の場合は、一
般式(4)のエステル化合物を、好ましくはメタノー
ル、エタノール、テトラヒドロフラン、エチレングリコ
ール等の有機溶媒に溶解し、次いで水酸化ナトリウムま
たは水酸化カリウム水溶液を加えて、0℃から溶媒の沸
点の温度、好ましくは室温から50℃で、1−2時間撹
拌反応させることにより一般式(1)の力ルボン酸化合
物を得ることができる。
【0033】また酸加水分解の場合は、一般式(4)の
エステル化合物を、好ましくは酢酸、蟻酸、ベンゼン、
ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等の有機溶媒
に溶解し、次いで塩酸、硫酸、三塩化ホウ素、トリフル
オロ酢酸、p−トルエンスルホン酸等を加えて、0℃か
ら溶媒の沸点の温度、好ましくは室温から50℃で、1
−5時間撹拌反応させることにより一般式(1)のカル
ボン酸化合物を得ることができる。
【0034】更に、ベンジル基の除去は水素による接触
還元反応によっても行うことができる。
【0035】一般式(4)のエステル化合物は、種々の
方法によって合成することができる。例えば、一般式
(5): Y−A−COOR4 (5) [式中、Yはハロゲン原子であり、A,R4は上記に同
じ]で表されるハロゲン化エステル化合物と、上述した
一般式(3)で表される酸アミド系化合物をベンゼン、
トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム、
四塩化炭素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、
ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニ
トリル、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、ジメチル
スルホキシド等の不活性溶媒中、水素化ナトリウム、ナ
トリウムメチラート、ナトリウムエチラート等の塩基の
存在下、0℃から溶媒の沸点の温度、好ましくは室温か
ら50℃で、1−5時間撹拌反応させることにより一般
式(4)のエステル化合物を得ることができる。
【0036】B.式(2)の化合物も、式(1)の化合
物の場合と同様に、例えば、一般式(6):
【化11】 [式中、R1、R2、R4およびAは上記定義した通りで
ある]で表されるエステル化合物からR4で表されるカ
ルボキシル保護基を除去することによって合成できる。
【0037】式(6)のエステル化合物は、例えば以下
の(イ)または(ロ)の方法によって合成できる。
【0038】(イ)先ず、ニトロフェノールに、一般式
(7): Y−B−COOR4 (7) [式中、Bは、Yからβ位置の炭素が不飽和の、所望に
より枝別れしていてもよい炭素数2−10、好ましくは
3−5のアルケンであり;YおよびR4は上記に定義し
た通りである]で表される化合物を塩基の存在下に反応
させることにより、一般式(8):
【化12】 [式中、BおよびR4は上記定義した通りである]の化
合物を製造することができる。溶媒としては、メタノー
ル、エタノール、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジク
ロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジエチルエー
テル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトン、メ
チルエチルケトン、アセトニトリル、酢酸エチル、ジメ
チルホルムアミド、ジメチルスルホキシドおよび水等
が、塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラー
ト、ナトリウムエチラート、トリエチルアミン等が挙げ
られる。反応温度は0℃から溶媒の沸点の温度、好まし
くは室温から50℃で、1−5時間撹拌反応させること
により一般式(8)のエステル化合物を得ることができ
る。
【0039】次に、式(8)の化合物を還元し、一般式
(9):
【化13】 [式中、AおよびR4は上記定義した通りである]の化
合物を製造することができる。還元反応はPd−C,P
t02 等の触媒の存在下、水、メタノール、エタノー
ル、酢酸エチル、酢酸等の溶媒中で、常圧または加圧下
に行われる。反応温度は0℃から溶媒の沸点の温度、好
ましくは室温から50℃で、1−24時間撹拌反応させ
ることにより一般式(9)の化合物を得ることができ
る。
【0040】さらに、式(9)の化合物に、一般式(1
0); 1 −COY (10) [式中、Yはハロゲン原子、 1 は上記定義した通りで
ある]で表される酸ハライド化合物を、ベンゼン、トル
エン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩
化炭素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオ
キサン、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリ
ル、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスル
ホキシド等の不活性溶媒中、炭酸水素ナトリウム、炭酸
水素カリウム等の無機塩基、トリエチルアミン、ピリジ
ン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基の存在
下、または非存在下に、0℃から溶媒の沸点の温度、好
ましくは室温から50℃で、1−5時間撹拌反応させる
ことにより一般式(6)の化合物を得ることができる。
【0041】(ロ)先ず、一般式(11) R1−CONH−Ph−OH (11) [式中、Phはベンゼン環を表し、R1は上記で定義し
た通りである]で表される化合物に、経路(イ)の説明
において記載した式(7) Y−B−COOR4 (7) [式中、Bは、Yからβ位置の炭素が不飽和の、所望に
より枝別れしていてもよい炭素数2−10、好ましくは
3−5のアルケンであり;YおよびR4は上記に定義し
た通りである]の化合物を塩基の存在下に反応させるこ
とにより、一般式(12)
【化14】 [式中、R1、R4およびBは上記定義した通りである]
の化合物を製造することができる。溶媒としては、メタ
ノール、エタノール、ベンゼン、トルエン、キシレン、
ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジエチル
エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセト
ン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、酢酸エチ
ル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドおよ
び水等が、塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウ
ム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメ
チラート、ナトリウムエチラート、トリエチルアミン等
が挙げられる。反応温度は0℃から溶媒の沸点の温度、
好ましくは室温から50℃で、1−5時間撹拌反応させ
ることにより一般式(12)の化合物を得ることができ
る。
【0042】なお、式(11)の化合物は例えば、経路
(イ)の説明において記載した式(10); 1 −COY (10) [式中、Yはハロゲン原子、 1 は上記定義した通りで
ある]で表される酸ハライド化合物とアミノフエノール
とを、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタ
ン、クロロホルム、四塩化炭素、ジエチルエーテル、テ
トラヒドロフラン、ジオキサン、アセトン、メチルエチ
ルケトン、アセトニトリル、酢酸エチル、ジメチルホル
ムアミド、ジメチルスルホキシド等の不活性溶媒中、炭
酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機塩基、ト
リエチルアミン、ピリジン、ジイソプロピルエチルアミ
ン等の有機塩基の存在下、または非存在下に、0℃から
溶媒の沸点の温度、好ましくは室温から50℃で、1−
5時間撹拌反応させることにより一般式(11)の化合
物を得ることができる。
【0043】次に、一般式(12)の化合物を、Pd−
C,PtO2等の触媒の存在下、水、メタノール、エタ
ノール、酢酸エチル、酢酸等の溶媒中で、常圧または加
圧下に、0℃から溶媒の沸点の温度、好ましくは室温か
ら50℃で、1−24時間撹拌反応させることにより一
般式(6)の化合物を得ることができる。
【0044】以上の製造法によって、化合物は結晶もし
くは油状で得られるので、必要ならばカラムクロマトグ
ラフイーまたは再結晶操作を行うことにより、さらに高
純度の精製品とすることができる。
【0045】以下、本発明の抗原、抗体の作製、および
免疫化学的測定法について説明する。尚、これらの調製
は、例えば続生化学実験講座、免疫生化学研究法(日本
生化学会編)等に記載の公知の方法に従って行うことが
できる。
【0046】酸アミド系化合物誘導体−高分子化合物結
合体の作製 上述のように合成された酸アミド系化合物誘導体は適当
な高分子化合物に結合させてから免疫用抗原として使用
する。
【0047】好ましい高分子化合物の例としては、スカ
シガイのヘモシアニン、卵白アルブミン、ウシ血清アル
ブミン、ウサギ血清アルブミンなどがある。スカシガイ
のヘモシアニン及びウシの血清アルブミンが好ましい。
【0048】酸アミド系誘導体と高分子化合物との結合
は、例えば、混合酸無水物法(B.F.Erlanger et al.:J.
Biol.Chem. 234 1090-1094 (1954)),または活性化エ
ステル法(A.E. KARU et al.:J. Agric. Food Chem. 42
301-309 (1994))等の公知の方法によって行うことが
できる。
【0049】混合酸無水物法において用いられる混合酸
無水物は、カルボン酸とハロ蟻酸エステルとの反応によ
り得られ、これを高分子化合物と反応させることにより
目的とするハプテン−高分子化合物結合体が製造され
る。この反応は塩基性化合物の存在下に行われる。塩基
性化合物としては例えば、トリエチルアミン、トリメチ
ルアミン、ピリジン、ジメチルアニリン、N−メチルモ
ルホリン、DBN、DBU、DABCO等の有機塩基、
炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭
酸水素ナトリウム等の無機塩基等が挙げられる。該反応
は、通常−20℃から100℃、好ましくは0℃から5
0℃において行われ、反応時間は5分から10時間、好
ましくは5分から2時間である。得られた混合酸無水物
と高分子化合物との反応は、通常−20℃から150
℃、好ましくは5℃から100℃において行われ、反応
時間は5分から10時間、好ましくは5分から5時間で
ある。混合酸無水物法は一般に溶媒中で行われる。溶媒
としては、混合酸無水物法に慣用されているいずれの溶
媒も使用可能であり、具体的にはジクロロメタン、クロ
ロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、
ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、
ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、
ジメトキシエタン等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エ
チル等のエステル類、N,N−ジメチルホルムアミド、
ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミド
等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。混合酸無水
物法において使用されるハロ蟻酸エステルとしては、例
えばクロロ蟻酸メチル、ブロモ蟻酸メチル、クロロ蟻酸
エチル、ブロモ蟻酸エチル、クロロ蟻酸イソブチル等が
挙げられる。当該方法におけるハプテンとハロ蟻酸エス
テルと高分子化合物の使用割合は、広い範囲から適宜選
択され得る。
【0050】一方、活性化エステル法は、一般に以下の
ように行うことができる。まず、ハプテン化合物を有機
溶媒に溶解し、カップリング剤の存在下にてN−ヒドロ
キシスクシンイミドと反応させ、N−ヒドロキシスクシ
ンイミド活性化エステルを生成する。
【0051】カップリング剤としては、縮合反応に慣用
されている通常のカップリング剤を使用でき、例えば、
ジシクロヘキシルカルボジイミド等が含まれる。有機溶
媒としては、例えば、無水ジメチルホルムアミド(DM
F)、DMSO等が使用できる。反応に使用するハプテ
ン化合物とN−ヒドロキシスクシンイミドのモル比は好
ましくは1:10〜10:1、最も好ましくは1:1で
ある。反応温度は、0−100℃、好ましくは5−50
℃で、反応時間は5分−24時間、好ましくは30分−
6時間である。
【0052】カップリング反応後反応液を遠心し、上清
液を高分子化合物を溶解した溶液に加え反応させると、
例えば高分子化合物が遊離のアミノ基を有する場合、当
該アミノ基とハプテン化合物のカルボキシル基の間に酸
アミド結合が生成される。反応温度は、0−60℃、好
ましくは5−40℃で、反応時間は5分−24時間、好
ましくは1−16時間である。反応物を、透析、脱塩カ
ラム等によって精製して、酸アミド系化合物誘導体−高
分子化合物結合体を得ることができる。
【0053】また、上記と同様の方法により、高分子化
合物の代わりに酵素標識を酸アミド系化合物誘導体に結
合させたものを、免疫化学的測定方法において使用する
ことができる。
【0054】ポリクローナル抗体の作製 酸アミド系化合物誘導体−高分子化合物結合体を使用し
て、慣用化された方法により本発明のポリクローナル抗
体を作製することができる。例えば、酸アミド系化合物
誘導体−ウシ血清アルブミン結合体をリン酸緩衝液(以
下、「PBS」という)に溶解し、フロイント完全アジ
ュバントまたは不完全アジュバント、あるいはミョウバ
ン等の補助剤と混合したものを、免疫原として動物を免
疫化することによって行う。免疫化される動物としては
当該分野で常用されるものをいずれも使用できるが、例
えば、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ウマ等を挙げる
ことができる。
【0055】免疫の際の投与法は、皮下注射、腹腔内注
射、静脈内注射、皮内注射、筋肉内注射のいずれでもよ
いが、皮下注射または腹腔内注射が好ましい。免疫は1
回または適当な間隔で、好ましくは1週間ないし5週間
の間隔で複数回行うことができる。
【0056】免疫した動物から血液を採取し、そこから
分離した血清を用いて後述する方法によって酸アミド系
化合物と反応させ、ポリクローナル抗体の存在または力
価を評価することができる。
【0057】ポリクローナル抗体による酸アミド系化合
物の測定 本発明で使用するポリクローナル抗体による酸アミド系
化合物の測定法としては、放射性同位元素免疫測定法
(RIA法)、ELISA法(Engvall,E.,Meth.Enzymo
l., 70, 419-439 (1980))、蛍光抗体法、プラーク法、
スポット法、血球凝集反応、オクタロニー(Oucht
erlony)等の一般に抗体の検出に使用されている
種々の方法(「ハイブリドーマ法とモノクローナル抗
体」、株式会社R&Dプラニング発行、第30頁−第5
3頁、昭和57年3月5日)が挙げられる。感度、迅速
性、正確性、自動化等の観点からELISA法が好まし
い。
【0058】上述の測定は、例えば間接競合阻害ELI
SA法により、以下のような手順により行うことができ
る。(a)まず、抗原である酸アミド系化合物−高分子
化合物結合体を担体に固相化する。(b)抗原が吸着し
ていない固相表面を抗原と無関係なタンパク質によりブ
ロッキングする。(c)これに各種濃度の酸アミド系化
合物を含む試料及びポリクローナル抗体を加え、該抗体
を前記固相化抗原および遊離酸アミド系化合物に競合的
に反応させて、抗体−固相化抗原複合体及び抗体−遊離
酸アミド系化合物複合体を生成させる。(d)抗体−固
相化抗原複合体の量を測定することにより、予め作成し
た検量線から試料中の遊離酸アミド系化合物の量を決定
することができる。
【0059】(a)工程において、抗原を固相化する担
体としては、特別な制限はなく、ELISA法において
常用されるものをいずれも使用することができる。例え
ば、ポリスチレン製の96穴マイクロプレートが挙げら
れる。
【0060】抗原を担体に固相化させるには、例えば、
抗原を含む緩衝液を担体上に載せ、インキュベーション
すればよい。緩衝液としては公知のものが使用でき、例
えば、145mM NaClを含む10mM リン酸緩衝
液(pH7.2)の組成のものを挙げることができる。
緩衝液中の抗原の濃度は広い範囲から選択できるが、通
常0.01−100μg/ml程度、好ましくは0.05
−5μg/mlが適している。また、担体として96穴
マイクロプレートを使用する場合には、20−150μ
l/ウェル程度が望ましい。更に、インキュベーション
の条件にも特に制限はないが、通常4℃程度で一晩イン
キュベーションが適している。
【0061】(b)工程のブロッキングは、酸アミド系
化合物−高分子化合物結合体を固相化した担体におい
て、酸アミド系化合物の部分以外に後で添加する抗体が
吸着され得る部分が存在する場合があり、もっぱらそれ
を防ぐ目的で行われる。ブロッキング剤として、例え
ば、ウシ血清アルブミン(BSA)やスキムミルク溶液
を使用できる。あるいは、ブロックエース(「Bloc
k Ace」、雪印乳業社製、コードNo.UK−25
B)等のブロッキング剤として市販されているものを使
用することもできる。具体的には、限定されるわけでは
ないが、例えば抗原を固相化した部分にブロックエース
を適量加え、約4℃で、一晩インキュベーションした
後、緩衝液で洗浄することにより行われる。緩衝液とし
ては特に制限はないが、例えば、10mM リン酸緩衝
液(pH7.2)、0.8%(w/v)NaCl、0.0
2%(w/v)KCl、0.02%(v/v)Twee
n20の組成のものが適している。
【0062】次いで(c)工程において、酸アミド系化
合物を含む試料とポリクローナル抗体を固相化抗原と接
触させ、抗体を固相化抗原及び遊離酸アミド系化合物と
反応させることにより、固相化抗原−抗体複合体及び遊
離酸アミド系化合物−抗体複合体が生成する。
【0063】この際、抗体としては、第一抗体としてポ
リクローナル抗体を加え、更に第二抗体として標識酵素
を結合した第一抗体に対する抗体を順次加えて反応させ
る。
【0064】第一抗体は緩衝液に溶解して添加する。限
定されるわけではないが、反応は、25℃程度で約1時
間行えばよい。反応終了後、緩衝液で担体を洗浄し、未
反応の第一抗体を除去する。洗浄液としては、10mM
リン酸緩衝液(pH7.2)、0.8%(w/v)Na
Cl、0.02%(w/v)KClの組成のものが好ま
しい。
【0065】次いで第二抗体を添加する。例えば第一抗
体としてウサギ抗血清を用いる場合、酵素(例えば、ペ
ルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼ等)を結
合した抗ウサギIgGヤギ抗体を用いるのが適当であ
る。担体に結合した第一抗体に約1000−10000
倍、好ましくは最終吸光度が1.0−1.5となるように
希釈した第二抗体を反応させるのが望ましい。希釈には
緩衝液を用いる。限定されるわけではないが、反応は約
25℃で約1時間行い、反応後、緩衝液で洗浄する。以
上の反応により、第二抗体が第一抗体に結合する。ま
た、標識した第一抗体を用いてもよく、その場合、第二
抗体は不要である。
【0066】次いで(d)工程において担体に結合した
第二抗体の酵素と基質との反応によって発色する試薬を
加え、吸光度を測定することによって検量線から酸アミ
ド系化合物の量を算出することができる。
【0067】第二抗体に結合する酵素としてペルオキシ
ダーゼを使用する場合には、基質として過酸化水素、発
色試薬としてo−フェニレンジアミンを使用することが
望ましい。限定されるわけではないが、発色溶液を加え
約25℃で約10分間反応させた後、4Nの硫酸を加え
ることにより酵素反応を停止させる。o−フェニレンジ
アミンを使用する場合、492nmの吸光度を測定す
る。一方、第二抗体に結合する酵素としてアルカリホス
ファターゼを使用する場合には、p−ニトロフェニルリ
ン酸を基質として発色させ、2NのNaOHを加えて酵
素反応を止め、415nmでの吸光度を測定する方法が
適している。
【0068】上述した間接競合阻害ELISA法によれ
ば、本発明のポリクローナル抗体は、例えばフルトラニ
ルの量を、0.001−100μg/ml、好ましくは
0.01−10μg/mlの範囲で測定できる(実施例
11、図1)。
【0069】モノクローナル抗体の作製 酸アミド系化合物−高分子化合物結合体を使用して、慣
用化された方法により本発明のモノクローナル抗体を作
製することができる。
【0070】モノクローナル抗体の製造にあたっては、
少なくとも下記のような作業工程が必要である。
【0071】(a)免疫用抗原として使用する酸アミド
系化合物−高分子化合物結合体の作製 (b)動物への免疫用抗原の接種 (c)血液を採取、アッセイし、抗体産生細胞調製の時
期を決定することからなる抗体産生細胞の調製 (d)ミエローマの調製 (e)抗体産生細胞とミエローマとの細胞融合 (f)目的とする抗体を産生するハイブリドーマのクロ
ーニング (g)場合によってはモノクローナル抗体を大量に製造
するためのハイブリドーマの培養または動物へのハイブ
リドーマの移植 (h)製造されたモノクローナル抗体の生理活性または
標識試薬としての検定等
【0072】モノクローナル抗体を産出するハイブリド
ーマを作製するための常法は、例えば、ハイブリドーマ
テクニックス(Hybridoma Techniques),コールド
スプリング ハーバーラボラトリーズ(Cold Spring Ha
rbor Laboratory),1980年版)、細胞組織化学
(山下修二ら、日本組織細胞化学会編;学際企画、19
86年)に記載されている。
【0073】以下、本発明の抗酸アミド系化合物 モノ
クローナル抗体の作製方法を説明するが、これに制限さ
れず、例えば脾細胞以外の抗体産生細胞、ミエローマ、
他の哺乳動物の抗体産生細胞、ミエローマが使用できる
ことは、当業者によって明らかであろう。
【0074】(a)−(c)の工程は、ポリクローナル
抗体に関して記述した方法とほぼ同様の方法によって行
うことができる。
【0075】ミエローマとしては、例えば、BALB/
cマウス由来骨髄腫細胞株のP3/X63−Ag8(X
63)(Nature,256, 495-497 (1975))、P3/X6
3−Ag8.U1(P3U1)(Current Topics.in Mi
crobiology and Immunology,81 1-7 (1987))、P3/
NSI−1−Ag4−1(NS−1)(Eur.J.Immuno
l., 6, 511-519 (1976))、Sp2/O−Ag14(S
p2/O)(Nature 276,269-270 (1978))、FO(J.
Immuno. Meth., 35, 1-21 (1980))、MPC−11、X
63.653、S194等の骨髄腫株化細胞、あるいは
ラット由来の210.RCY3.Ag1.2.3.(Y
3)(Nature 277, 131-133, (1979))等を使用でき
る。
【0076】これらの株化細胞を、例えば8−アザグア
ニン培地で選択し、ヒポキサンチンホスホリボシルトラ
ンスフェラーゼ欠損となった細胞株を用いる。そして、
IMDM(Iscove Modified Dulbecco's Medium)また
はDMEM(Dulbecco's MEM)で継代培養し、融合当日
に3×103以上の細胞数を確保する。
【0077】抗体産生細胞はリンパ球であり、これは一
般には脾臓、胸腺、リンパ節、末梢血液またはこれらの
組み合わせからえることができるが脾細胞が最も一般的
に用いられる。
【0078】最終免疫後、抗体産生が確認されたマウス
より抗体産生細胞が存在する部位、例えば脾臓を摘出
し、抗体産生細胞である脾細胞を調製する。この脾細胞
と工程(d)で得られたミエローマの融合は公知の方
法、例えばミルスタイン(Milstein)らの方法(Method
s in Enzymology, 73, 3 (1981))等に準じて行うこと
ができる。現在最も一般的に行われているのは、融合作
業も簡単なポリエチレングリコール(PEG)を用いる
方法である。PEG法については、例えば、細胞組織化
学、山下修二ら(上述)に記載されている。あるいは、
電気処理(電気融合)による方法等を適宜採用すること
もできる(大河内悦子ら、実験医学 5.1315−1
9、1987)。また、細胞の使用比率も公知の方法と
同様でよく、例えばミエローマ細胞に対して脾細胞を3
〜10倍程度用いればよい。
【0079】抗体産生細胞とミエローマとが融合し、抗
体生産能および増殖能を獲得したハイブリドーマ群の選
択は、例えば、ミエローマ細胞株として8−アザグアニ
ン耐性株を使用した場合、HAT培地の使用により行う
ことができる。さらに、選択されたハイブリドーマ群を
含む培養上清の一部をとり、例えば上述したELISA
法により、酸アミド系化合物に対する活性を測定する。
【0080】さらに、上述の測定により酸アミド系化合
物に反応する抗体を産生することが判明したハイブリド
ーマのクローニングを行う。このクローニング法として
は、限界希釈により1ウェルに1個のハイブリドーマが
含まれるように希釈する方法;軟寒天培地上に撒きコロ
ニーをとる方法;マイクロマニピュレーターによって1
個の細胞を取り出す方法;セルソーターによって1個の
分離する「ソータークローン」法等が挙げられる。限界
希釈法が簡単でありよく用いられる。
【0081】抗体価の認められたウェルについて、例え
ば限界希釈法によりクローニングを1−4回繰り返して
安定して抗体価の得られたものを、抗酸アミド系化合物
モノクローナル抗体産生ハイブリドーマ株として選択
する。
【0082】ハイブリドーマを培養する培地としては、
例えば、ウシ胎児血清(FCS)を含むDMEMまたは
IMDM等が用いられる。ハイブリドーマの培養は、例
えば二酸化炭素濃度5−7%程度及び37℃(100%
湿度中の恒温器中)で培養するが好ましい。
【0083】抗体を作製するための大量培養は大型培養
ビンを用いた回転培養等によって行われる。または、同
系統のマウス(例えば、上述のBALB/c)あるいは
Nu/Nuマウスの腹腔内でハイブリドーマを増殖さ
せ、腹水液より抗体を作製することも可能である。
【0084】これらにより得られた培養上清液あるいは
腹水液を酸アミド系化合物モノクローナル抗体として使
用することができるが、さらに透析、硫酸アンモニウム
による塩析、ゲル濾過、凍結乾燥等を行い、IgG画分
を集め精製することにより抗酸アミド系化合物モノクロ
ーナル抗体を得ることができる。さらに、精製が必要な
場合には、イオン交換カラムクロマトグラフィー、DE
AE−セファロースカラム、プロテインA−セファロー
スカラム、HPLCなどの慣用されている方法を使用し
てIgG画分を集める操作を1回、または複数回行うこ
とにより実施できる。
【0085】以上のようにして得られた抗酸アミド系化
合物モノクローナル抗体は、例えば上述したELISA
法などの公知の方法を使用して、イソタイプ、サブクラ
ス、抗体価等を決定することができる。
【0086】本発明のモノクローナル抗体の一つ、2A
7−1−1は非常に特異性が高く、フルトラニルとのみ
反応し、他の酸アミド系化合物であるメプロニル、メベ
ニル、ベノダニルおよびサリチルアニリドとは反応しな
い。モノクローナル抗体2A7−1−1を使用してのフ
ルトラニルの量を0.01−100nmol/ml、好
ましくは1−100nmol/mlの範囲で測定するこ
とができる(実施例13、図2)。
【0087】一方、本発明の別のモノクローナル抗体3
A14−1−1は、類似する数種類の酸アミド系化合物
と反応する。具体的には、モノクローナル抗体3A−1
4−1−1を使用して、0.001−10nmol/m
l、好ましくは0.01−1nmol/mlのフルトラ
ニルを始め、0.01−100nmol/ml、好まし
くは0.1−10nmol/mlのメプロニル、0.0
1−100nmol/ml、好ましくは0.1−10n
mol/mlのベノダニル、並びに、1−100nmo
l/mlのメベニルを測定することができる。モノクロ
ーナル抗体3A14−1−1は、サリチルアニリドとは
反応しない(実施例14、図3)。
【0088】本発明の方法により作製されたモノクロー
ナル抗体による酸アミド系化合物の測定 上述した方法によって得られた本発明のモノクローナル
抗体は、例えば免疫化学的測定法により酸アミド系化合
物を定量するために使用できる。免疫化学的測定法は、
それぞれの抗原物質に対応する抗体が、選択的に反応す
るという抗原抗体反応を応用したものであり、検出感度
も高く、抗原物質、抗体の定量を行うのに適している。
【0089】既に述べたように、免疫化学的測定法とし
ては、例えばRIA法,ELISA法、蛍光抗体法、血
液凝集反応法等があり、種々の点においてELISA法
が最も適している。
【0090】本発明のモノクローナル抗体を用いた酸ア
ミド系化合物の測定は、例えば以下に述べるような直接
競合阻害ELISA法によって行うことができる。即
ち、本発明の酸アミド系化合物と反応するモノクローナ
ル抗体を、固相に吸着させ、抗原と無関係なタンパク質
により、該抗体により吸着されていない固相表面を覆
う。該表面を洗浄後、試料ならびに酵素標識抗原または
酵素標識した酸アミド系化合物を加え、反応させる。洗
浄後、酵素基質を加え、酵素活性を測定することによ
り、抗原の定量を行うことができる。
【0091】本発明のモノクローナル抗体の一つ、2A
7−1−1は、直接競合阻害ELISA法でフルトラニ
ルの量を0.001−10μg/ml、好ましくは0.
01−10μg/mlの範囲で測定できる(実施例1
6、図4)。
【0092】また、本発明の別のモノクローナル抗体M
PN2−43は、メプロニルを初めとする数種類の酸ア
ミド系化合物と反応する。具体的には、モノクローナル
抗体MPN2−43は直接競合阻害ELISA法でメプ
ロニルの量を0.1−100pmol/ml、好ましく
は0.1−10pmol/mlの範囲で、フルトラニ
ル、メベニル、ベノダニルの量を1−1000pmol
/ml、好ましくは1−100pmol/mlの範囲で
測定することができる(実施例18、図5)。
【0093】以下、本発明の説明のために実施例を記載
するが、実施例は本発明の技術的範囲を制限するための
ものではない。当業者は本明細書の記載に基づいて容易
に本発明に修飾、変更を加えることができ、それらは本
発明の技術的範囲に含まれる。
【0094】
【実施例】実施例1 フルトラニルハプテン−1の合成
【化15】 (1)エチル 4−[N−(3−イソプロポキシフェニ
ル)−N−(2−トリフルオロメチルベンゾイル)アミ
ノ]ブタノエートの合成 N,N−ジメチルホルムアミド70mlに2−トリフル
オロメチル−3'−イソプロポキシベンズアニリド(フ
ルトラニル)(1)3.2g(10mmol)および6
0%水素化ナトリウム0.44g(11mmol)を加
え、室温で1時間、120℃で1時間撹拌した。この混
合物にエチル 4−ブロモブタノエート2.3g(12
mmol)を室温下に加えて、60〜70℃で3時間、
120℃で1時間撹拌反応させた。この反応混合物を室
温まで冷却後、水50mlを加え、トルエンで抽出し
た。トルエン層を水洗いし、無水硫酸マグネシウムで乾
燥後、トルエンを留去した。残渣をシリカゲルクロマト
グラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精
製し、3.6g(収率82%)のエチル 4−[N−
(3−イソプロポキシフェニル)−N−(2−トリフル
オロメチルベンゾイル)アミノ]ブタノエート(2)を
得た。
【0095】(2)フルトラニルハプテン−1(4−
[N−(3−イソプロポキシフェニル)−N−(2−ト
リフルオロメチルベンゾイル)アミノ]ブタン酸)の合
成 エチル 4−[N−(3−イソプロポキシフェニル)−
N−(2−トリフルオロメチルベンゾイル)アミノ]ブ
タノエート(2)3.6g(8mmol)をエタノール
50mlに溶解し、この溶液に水10mlに溶解した苛
性ソーダ1.0gを加え、室温下に1時間撹拌した。反
応混合物を濃縮し、残渣を水50mlに溶解した。この
溶液に5Nの塩酸を徐々に加えて酸性にし、酢酸エチル
で抽出した。酢酸エチル層を水洗いし、無水硫酸マグネ
シウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。残渣をシリカゲル
クロマトグラフィー(酢酸エチル:エタノール=4:
1)で精製し、2.2g(収率66%)のフルトラニル
ハプテン−1(4−[N−(3−イソプロポキシフェニ
ル)−N−(2−トリフルオロメチルベンゾイル)アミ
ノ]ブタン酸)(3)を得た。
【0096】
【表1】1H−NMR(CDCl3,ppm) 1.19(6H,d) 1.97(2H,quin) 2.47(2H,t) 4.01(2H,br) 4.35(1H,quin) 6.58−6.68(3H,m) 7.05−7.12(2H,m) 7.24−7.30(2H,m) 7.54−7.57(1H,m) 8.69(1H,br)
【0097】実施例2 フルトラニルハプテン−2の合
【化16】 (1)エチル 4−(3−ニトロフェノキシ)−2−ペ
ンテノエートの合成 エタノール100mlに3−ニトロフェノール(1)
4.2g(30mmol)および炭酸カリウム5.0g
(36mmol)を加え、この混合物にエチル4−ブロ
モ−2−ペンテノエート6.8g(33mmol)を室
温下に加えて、還流下に1.5時間撹拌反応させた。こ
の反応混合物を濃縮後、水50mlを加えトルエンで抽
出した。トルエン層を水、10%苛性ソーダ水溶液、水
の順に洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、トルエ
ンを留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー
(n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製し、6.
4g(収率80%)のエチル 4−(3−ニトロフェノ
キシ)−2−ペンテノエート(2)を得た。
【0098】(2)エチル 4−(3−アミノフェノキ
シ)ペンタノエートの合成 エタノール150mlにエチル 4−(3−ニトロフェ
ノキシ)−2−ペンテノエート(2)6g(23mmo
l)および10%パラジウムカーボン50mgを加え、
この混合物に水素ガスを室温下に7時間かけて吹き込ん
だ。この反応混合物を濾過し、濾液を濃縮して、4.8
g(収率80%)のエチル 4−(3−アミノフェノキ
シ)ペンタノエート(3)を得た。
【0099】(3)エチル 4−[3−(2−トリフル
オロメチルベンゾイルアミノ)フェノキシ]ペンタノエ
ートの合成 トルエン40mlにエチル 4−(3−アミノフェノキ
シ)ペンタノエート(3)2.4g(10mmol)お
よび炭酸水素ナトリウム0.92g(11mmol)を
加え、この混合物に2−トリフルオロメチルベンゾイル
クロリド2.1g(10mmol)を室温下に加えて、
60−70℃で2時間撹拌反応させた。この反応混合物
を室温まで冷却後、トルエン100mlおよび水50m
lを加え分液した。トルエン層を水、10%苛性ソーダ
水溶液、水の順に洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥
後、トルエンを留去した。残渣をシリカゲルクロマトグ
ラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製
し、2.0g(収率50%)のエチル 4−[3−(2
−トリフルオロメチルベンゾイルアミノ)フェノキシ]
ペンタノエート(4)を得た。
【0100】(4)フルトラニルハプテン−2(4−
[3−(2−トリフルオロメチルベンゾイルアミノ)フ
ェノキシ]ペンタン酸)の合成 エチル 4−[3−(2−トリフルオロメチルベンゾイ
ルアミノ)フェノキシ]ペンタノエート(4)2g(5
mmol)をエタノール60mlに溶解し、この溶液に
水10mlに溶解した苛性ソーダ1g(25mmol)
を加え、室温下に1.5時間撹拌した。反応混合液を濃
縮し、残渣を水50mlに溶解した。この溶液に5Nの
塩酸を徐々に加えて酸性にし、酢酸エチルで抽出した。
酢酸エチル層を水洗いし、無水硫酸マグネシウムで乾燥
後、減圧下に濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラ
フィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製
し、1.5g(収率79%)のフルトラニルハプテン−
2(4−[3−(2−トリフルオロメチルベンゾイルア
ミノ)フェノキシ]ペンタン酸)(5)を得た。融点1
43−145℃
【0101】
【表2】1H−NMR(DMSO−D6,ppm) 1.24(3H,d) 1.83(2H,m) 2.34(2H,m) 4.42(1H,q) 6.69(1H,m) 7.21−7.34(3H,m) 7.68−7.86(4H,m) 10.49(1H,s) 12.10(1H,s)
【0102】実施例3 メプロニルハプテン−1の合成
【化17】 (1)エチル 4−[3−(2−メチルベンゾイルアミ
ノ)フェノキシ]−2−ペンテノエートの合成 エタノール150mlに2−メチル−3'−ヒドロキシ
ベンズアニリド(1)(特開昭52−62234号に記
載された公知の化合物)3.7g(16mmol)およ
び炭酸カリウム2.9g(21mmol)を加え、この
混合物にエチル4−ブロモ−2−ペンテノエート 4.
0g(20mmol)を室温下に加えて、60℃で3時
間撹拌反応した。この反応混合物を濃縮後、水50ml
を加えトルエンで抽出した。トルエン層を水、10%苛
性ソーダ水溶液、水の順に洗浄し、無水硫酸マグネシウ
ムで乾燥後、トルエンを留去した。残渣をシリカゲルク
ロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=3:
1)で精製し、5.0g(収率89%)のエチル 4−
[3−(2−メチルベンゾイルアミノ)フェノキシ]−
2−ペンテノエート(2)を得た。
【0103】(2)エチル 4−[3−(2−メチルベ
ンゾイルアミノ)フェノキシ]ペンタノエートの合成 エタノール100mlにエチル 4−[3−(2−メチ
ルベンゾイルアミノ)フェノキシ]−2−ペンテノエー
ト(2)5g(14mmol)および10%パラジウム
カーボン60mgを加え、この混合物に水素ガスを室温
下に6時間かけて吹き込んだ。この反応混合物を濾過
し、濾液を濃縮してエチル 4−[3−(2−メチルベ
ンゾイルアミノ)フェノキシ]ペンタノエート(3)を
得た。
【0104】(3)メプロニルハプテン−1(4−[3
−(2−メチルベンゾイルアミノ)フェノキシ]ペンタ
ン酸)の合成 エチル 4−[3−(2−メチルベンゾイルアミノ)フ
ェノキシ]ペンタノエート(3)をエタノール50ml
に溶解し、この溶液に水10mlに溶解した苛性ソーダ
2g(50mmol)を加え、室温下に1時間撹拌し
た。反応混合物を濃縮し、残渣を水50mlに溶解し
た。この溶液に5Nの塩酸を徐々に加えて酸性にし、酢
酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水洗いし、無水硫
酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。残渣をシ
リカゲルクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチ
ル=1:1)で精製し、0.5g(収率11%)のメプ
ロニルハプテン−1(4−[3−(2−メチルベンゾイ
ルアミノ)フェノキシ]ペンタン酸(4)を得た。融点
100−105℃
【0105】
【表3】1H−NMR(CDCl3,ppm) 1.30(3H,d) 1.96(2H,m) 2.46(5H,s) 4.44(1H,m) 6.66(1H,q) 7.05−7.43(7H,m) 7.66(1H,s) 8.98(1H,b)
【0106】実施例4 メプロニルハプテン−2の合成
【化18】 (1)エチル 4−[N−(3−イソプロポキシフェニ
ル)−N−(2−メチルベンゾイル)アミノ]ブタノエ
ートの合成 N,N−ジメチルホルムアミド70mlに2−メチル−
3'−イソプロポキシベンズアニリド(メプロニル)
(1)2.6g(10mmol)および60%水酸化ナ
トリウム0.44g(11mmol)を加え、室温で1
5分間、60℃で30分間撹拌した。この混合物にエチ
ル 4−ブロモブタノエート2.3g(12mmol)
を室温下に加えて、60−70℃で3時間、120℃で
1時間撹拌反応させた。この反応混合物を室温まで冷却
後、水50mlを加え、トルエンで抽出した。トルエン
層を水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、トルエン
を留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(n
−ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製し、1.6g
(収率42%)のエチル 4−[N−(3−イソプロポ
キシフェニル)−N−(2−メチルベンゾイル)アミ
ノ]ブタノエート(2)を得た。
【0107】(2)メプロニルハプテン−2(4−[N
−(3−イソプロポキシフェニル)−N−(2−メチル
ベンゾイル)アミノ]ブタン酸)の合成 エチル 4−[N−(3−イソプロポキシフェニル)−
N−(2−メチルベンゾイル)アミノ]ブタノエート
(2)1.6g(4mmol)をエタノール50mlに
溶解し、この溶液に水10mlに溶解した苛性ソーダを
1.0g(25mmol)を加え、室温下に1時間撹拌
した。反応混合物を濃縮し、残渣を水50mlに溶解し
た。この溶液に5Nの塩酸を徐々に加えて酸性にし、酢
酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水洗いし、無水硫
酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。残渣をシ
リカゲルクロマトグラフィー(n−ヘキサン:エタノー
ル=4:1)で精製し、1.0g(収率63%)のメプ
ロニルハプテン−2(4−[N−(3−イソプロポキシ
フェニル)−N−(2−メチルベンゾイル)アミノ]ブ
タン酸)(3)を得た。
【0108】
【表4】1H−NMR(CDCl3,ppm) 1.18 (6H,d) 1.96 (2H,d) 2.35 (3H,s) 2.45 (2H,d) 1.92 (2H,d) 4.32 (1H,m) 6.50−7.26 (8H,m) 9.32 (1H,b)
【0109】実施例5 メプロニルハプテン−3の合成
【化19】 (1)2−クロロ−3'−ヒドロキシベンズアニリドの
合成 トルエン100mlとアセトン50mlにメタアミノフ
ェノール2.2g(20mmol)および炭酸水素ナト
リウム2.0g(24mmol)を加え、この混合物に
オルソクロロ安息香酸クロリド3.5g(20mmo
l)を室温下に加えて、50−60℃で1時間撹拌反応
させた。この反応混合物を室温まで冷却後、水50ml
を加え、析出している個体を濾取した。この個体を水、
n−ヘキサンで洗浄後、乾燥し、3.8g(収率76
%)の2−クロロ−3'−ヒドロキシベンズアニリド
(1)を得た。融点:164℃
【0110】(2)エチル 4−[3−(2−クロロベ
ンゾイルアミノ)フェノキシ]−2−ペンテノエートの
合成 エタノール100mlに2−クロロ−3'−ヒドロキシ
ベンズアニリド(1)3.7g(15mmol)および
炭酸カリウム2.7(20mmol)を加え、この混合
物にエチル 4−ブロモ−2−ペンテノエート3.7g
(18mmol)を室温下に加えて、60℃で3時間撹
拌反応させた。この反応混合物を濃縮後、水50mlを
加えトルエンで抽出した。トルエン層を水、10%苛性
ソーダ水溶液、水の順に洗浄し、無水硫酸マグネシウム
で乾燥後、トルエンを留去した。残渣をシリカゲルクロ
マトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1)
で精製し、5.5g(収率98%)のエチル 4−[3
−(2−クロロベンゾイルアミノ)フェノキシ]−2−
ペンテノエート(2)を得た。
【0111】(3)エチル 4−[3−(2−クロロベ
ンゾイルアミノ)フェノキシ]ペンタノエートの合成 エタノール80mlにエチル 4−[3−(2−クロロ
ベンゾイルアミノ)フェノキシ]−2−ペンテノエート
(2)5.3g(14mmol)および10%パラジウ
ムカーボン100mgを加え、この混合物に水素ガスを
室温下に8時間かけて吹き込んだ。この反応混合物を濾
過し、濾液を濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラ
フィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製
し、3.7g(収率70%)のエチル 4−[3−(2
−クロロベンゾイルアミノ)フェノキシ]ペンタノエー
ト(3)を得た。
【0112】(4)メプロニルハプテン−3(4−[3
−(2−クロロベンゾイルアミノ)フェノキシ]ペンタ
ン酸)の合成 エチル 4−[3−(2−クロロベンゾイルアミノ)フ
ェノキシ]ペンタノエート(3)2.1g(5.6mmo
l)をエタノール40mlに溶解し、この溶液に水10
mlに溶解した苛性ソーダを1.5g(38mmol)
を加え、室温下に1時間撹拌した。反応混合物を濃縮
し、残渣を水50mlに溶解した。この溶液に5Nの塩
酸を徐々に加えて酸性にし、酢酸エチルで抽出した。酢
酸エチル層を水洗いし、無水硫酸マグネシウムで乾燥
後、減圧下に濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラ
フィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製
し、1.1g(収率58%)のメプロニルハプテン−3
(4−[3−(2−クロロベンゾイルアミノ)フェノキ
シ]ペンタン酸)(4)を得た。
【0113】
【表5】1H−NMR(DMSO−D6,ppm) 1.24 (3H,d) 1.81−1.88 (2H,m) 2.32−2.35 (2H,m) 4.39−4.44 (1H,m) 6.68 (1H,d) 7.20−7.22 (2H,m) 7.38−7.58 (5H,m) 10.45 (1H,s) 12.13 (1H,br)
【0114】実施例6 メプロニルハプテン−4の合成
【化20】 (1)エチル 4−[N−(2−クロロベンゾイル)−
N−(3−イソプロポキシフェニル)アミノ]ブタノエ
ートの合成 N,N−ジメチルホルムアミド40mlに2−クロロ−
3'−イソプロポキシベンズアニリド(1)(特開昭5
2−133939)2.9g(10mmol)および6
0%水素化ナトリウム0.44g(11mmol)を加
え、室温で15分間、60℃で30分間撹拌した。この
混合物にエチル 4−ブロモ酪酸エステル2.4g(1
2mmol)を室温下に加えて、120℃で8時間撹拌
反応させた。この反応混合物を室温まで冷却後、水50
mlを加え、トルエンで抽出した。トルエン層を水洗い
し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、トルエンを留去し
た。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(n−ヘキサ
ン:酢酸エチル=4:1)で精製し、1.5g(収率3
7%)のエチル 4−[N−(2−クロロベンゾイル)
−N−(3−イソプロポキシフェニル)アミノ]ブタノ
エート(2)を得た。
【0115】(2)メプロニルハプテン−4(4−[N
−(2−クロロベンゾイル)−N−(3−イソプロポキ
シフェニル)アミノ]ブタン酸)の合成 エチル 4−[N−(2−クロロベンゾイル)−N−
(3−イソプロポキシフェニル)アミノ]ブタノエート
(2)1.4g(3.4mmol)をエタノール40ml
に溶解し、この溶液に水10mlに溶解した苛性ソーダ
1.0g(25mmol)を加え、室温下に1時間撹拌
した。反応混合物を濃縮し、残渣を水50mlに溶解し
た。この溶液に5Nの塩酸を徐々に加えて酸性にし、酢
酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水洗いし、無水硫
酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。残渣をシ
リカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:エタノール
=4:1)で精製し、0.96g(収率74%)のメプ
ロニルハプテン−4(4−[N−(2−クロロベンゾイ
ル)−N−(3−イソプロポキシフェニル)アミノ]ブ
タン酸)(3)を得た。
【0116】
【表6】1H−NMR(DMSO−D6,ppm) 1.10−1.15 (6H,m) 1.71−1.80 (2H,m) 2.29−2.34 (2H,m) 3.85 (2H,br) 4.43−4.46 (1H,m) 6.64−6.69 (1H,m) 6.74−6.79 (2H,m) 7.05−7.29 (5H,m) 12.09 (1H,br)
【0117】実施例7 メプロニルハプテン−5の合成
【化21】 (1)エチル 6−[N−(2−クロロベンゾイル)−
N−(3−イソプロポキシフェニル)アミノ]ヘキサノ
エートの合成 N,N−ジメチルホルムアミド40mlに2−クロロ−
3'−イソプロポキシベンズアニリド(1)(特開昭5
2−133939)2.9g(10mmol)および6
0%水素化ナトリウム0.44g(11mmol)を加
え、室温で15分間、60℃で30分間撹拌した。この
混合物にエチル 6−ブロモヘキサン酸エステル2.7
g(12mmol)を室温下に加えて、120℃で5時
間撹拌反応させた。この反応混合物を室温まで冷却後、
水50mlを加え、トルエンで抽出した。トルエン層を
水洗いし、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、トルエンを
留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(n−
ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製し、4.1g
(収率95%)のエチル 6−[N−(2−クロロベン
ゾイル)−N−(3−イソプロポキシフェニル)アミ
ノ]ヘキサノエート(2)を得た。
【0118】(2)メプロニルハプテン−5(6−[N
−(2−クロロベンゾイル)−N−(3−イソプロポキ
シフェニル)アミノ]ヘキサン酸)の合成 エチル 6−[N−(2−クロロベンゾイル)−N−
(3−イソプロポキシフェニル)アミノ]ヘキサノエー
ト(2)1.9g(4.4mmol)をエタノール50m
lに溶解し、この溶液に水10mlに溶解した苛性ソー
ダ1.0g(25mmol)を加え、室温下に1時間撹
拌した。反応混合物を濃縮し、残渣を水50mlに溶解
した。この溶液に5Nの塩酸を徐々に加えて酸性にし、
酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水洗いし、無水
硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。残渣を
シリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:エタノー
ル=4:1)で精製し、1.6g(収率89%)のメプ
ロニルハプテン−5(6−[N−(2−クロロベンゾイ
ル)−N−(3−イソプロポキシフェニル)アミノ]ヘ
キサン酸)(3)を得た。
【0119】
【表7】1H−NMR(DMSO−D6,ppm) 1.40 (6H,d) 1.33−1.38 (2H,m) 1.48−1.53 (4H,m) 2.20 (2H,t) 3.82 (2H,br) 4.23 (1H,q) 6.67 (1H,d) 6.76−7.08 (2H,m) 7.10−7.30 (5H,m) 12.00 (1H,br)
【0120】実施例8 免疫用抗原の作製 免疫原としてフルトラニルまたはメプロニル誘導体(ハ
プテン)とそれぞれ牛血清アルブミン(BSA)または
スカシガイヘモシアニン(KLH)との結合体を混合酸
無水物法により作製した。実施例1から7によって作製
された7種類のハプテン化合物のそれぞれ12mgを無
水ジオキサン 1mlに溶解した後、N−メチルモルフ
ォリン25μlを添加し室温にて15分間攪拌した。次
にクロロ蟻酸イソブチル 10μlを添加し、室温にて
20分間攪拌した(以下これをA液とする)。
【0121】一方、蒸留水 2mlにBSAまたはKL
Hを40mg溶解し、0.5M水酸化ナトリウムでpH
7.0〜7.5に調整した後、無水ジオキサンを1.3m
l加え再度pH7.0〜7.5に調整したA液をpH7.
0〜7.5になるように調整しながら滴下し、10℃に
て4時間反応させた。反応終了後、蒸留水にて透析し、
その後凍結乾燥をおこない、免疫用抗原を得た。このよ
うにして得られた結合体のうち、実施例1−3で得られ
たハプテン化合物を用いて作製された3種類のフルトラ
ニルハプテン−BSA結合体及びメプロニルハプテン−
KLH結合体を免疫用抗原として用いた。
【0122】実施例9 スクリーニング用抗原の作製 スクリーニング用抗原として実施例8と同様の方法によ
り、3種類のフルトラニルハプテン−ウサギ血清アルブ
ミン(RSA)結合体、及びメプロニルハプテン−ウシ
血清アルブミン(BSA)結合体を得た。
【0123】実施例10 免疫感作 免疫用抗原として得られた3種類のハプテン−BSAお
よびKLH結合体について、それぞれマウスに免疫をお
こなった。免疫用抗原 50μgを 145mM Na
Cl−10mM リン酸緩衝液(pH7.4:以下、P
BSと略)100μlに溶解し、等量のフロイント完全
アジュバントと混合した後、Balb/cマウスに接種
した。2週間及び4週間後にフロイント不完全アジュバ
ントを用いて調製した免疫用抗原を、前記と同様の操作
によりマウスに追加免疫をおこなった。また、6週間目
にはPBSに溶解した免疫抗原をマウスの尾静脈に追加
免疫した。
【0124】実施例11 抗血清による測定 フルトラニルハプテンーRSA結合体またはメプロニル
ハプテン−BSA結合体の溶液(0.1μg/ml)を
50μl/ウェルにて96ウェルプレートにコーティン
グした。洗浄の後、4倍に希釈したブロックエース
(「Block Ace」:雪印乳業製 コードNo.
UK−25B)でブロッキングした後、抗血清希釈液と
各種濃度のフルトラニルまたはメプロニルを含む 20
%メタノール溶液とを等量混合し、その50μlをウェ
ルにいれ、室温にて1時間反応させた。
【0125】反応終了後、PBSにて5回洗浄の後、1
0倍希釈のブロックエースを用いて、2000倍希釈し
たペルオキシダーゼ結合抗マウスIgGヤギ抗体(Ta
go社製)を50μlずつ各ウェルにて1時間室温にて
反応させる。
【0126】さらに反応終了後、PBSにて5回洗浄の
後、2mg/mlオルトフェニレンジアミン(OP
D)、及び0.02%過酸化水素を含む0.1Mリン酸ク
エン酸緩衝液(pH5.0)を50μlずつ各ウェルに
いれ室温にて10分間放置し、発色させた。
【0127】反応後、1N硫酸50μlを各ウェルに加
え、反応を停止させた後、490nmの吸光度を測定し
た。その1例を図1に示す。
【0128】抗血清(ポリクローナル抗体)を使用する
ことにより、例えばフルトラニルの量を0.01〜10
0μg/mlまで測定することができた。
【0129】実施例12 ハイブリドーマ細胞の作製 実施例10につづき、血清中の抗フルトラニルまたはメ
プロニル抗体の活性が高くなったマウスの脾臓細胞と、
マウスミエローマ細胞(SP2/0−Ag14)とをそ
れぞれポリエチレングリコール(PEG)法、または大
河内悦子ら、実験医学 5.1315−19,1987
に記載されている電気処理(電気融合)法にて細胞融合
をおこなった。細胞増殖が認められた培養上清液につい
て以下の方法でフルトラニルまたはメプロニルに対する
抗体活性を調べた。
【0130】フルトラニルまたはメプロニルハプテン化
合物ーRSA結合体の溶液(0.1μg/ml)を50
μl/ウェルにて96ウェルプレートにコーティングし
た。洗浄の後、4倍に希釈したブロックエース(「Bl
ock Ace」:雪印乳業製コードNo.UK−25
B)でブロッキングした後、培養上清液 50μlを各
ウェルにいれ、室温にて1時間反応させた。
【0131】反応終了後、PBSにて5回洗浄の後、1
0倍希釈のブロックエースを用いて、2000倍希釈し
たペルオキシダーゼ結合抗マウスIgGヤギ抗体(Ta
go社製)を50μlずつ各ウェルにて1時間室温にて
反応させる。
【0132】さらに反応終了後、PBSにて5回洗浄の
後、2mg/mlオルトフェニレンジアミン(OP
D)、及び0.02%過酸化水素を含む0.1M リン酸
クエン酸緩衝液(pH5.0)を50μlずつ各ウェル
にいれ室温にて10分間放置し、発色させた。
【0133】反応後、1N硫酸 50μlを各ウェルに
加え、反応を停止させた後、490nmの吸光度を測定
し、抗体活性が認められたものを選抜した。
【0134】次に、選抜された ウェルのフルトラニル
またはメプロニルに対する反応性を実施例11の方法に
従って調べ、目的の抗体を産生している細胞について限
界希釈法を用いたクローニングをおこなった。
【0135】その結果、抗フルトラニル抗体または抗メ
プロニル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株としてク
ローン化した。その一部である2A7−1−1及び3A
14−1−1、MPN2−43を、それぞれ平成8年6
月5日、平成8年6月5日、平成8年5月30日にそれ
ぞれ寄託番号FERM P−15670、FERMP−
15671、FERM P−15661として工業技術
院生命工学工業研究所(〒305 茨城県つくば市東1
丁目1番3号)に寄託した。
【0136】実施例13 モノクローナル抗体の評価
(その1) 酸アミド系化合物と2A7−1−1抗体と
の反応性 フルトラニルハプテン−1に由来する、クローン化した
ハイブリドーマ2A7−1−1の産生するモノクローナ
ル抗体2A7−1−1について、その培養上清を用いて
実施例11に記載した方法を用いて吸光度を調べ、他の
酸アミド系化合物に対する反応性について調べた。この
結果を図2に示す。図2より、この抗体はフルトラニル
に対して特異的に反応した。具体的には、抗体2A7−
1−1を使用してフルトラニルの量を0.01−100
nmol/mlの範囲で測定できた。
【化22】
【0137】実施例14 モノクローナル抗体の評価
(その2) 酸アミド系化合物と3A14−1−1抗体
との反応性 フルトラニルハプテンー2に由来する、クローン化した
ハイブリドーマ3A14−1−1の産生するモノクロー
ナル抗体3A14−1−1ついて、実施例13と同様に
他の酸アミド系化合物に対する反応性について調べた。
この結果を図3に示す。図3より、この抗体はフルトラ
ニル、メプロニル、メベニル、ベノダニルに対して反応
し、測定できることを確認した。具体的には、3A14
−1−1を使用して0.001−10nmol/mlの
フルトラニル、0.01−100nmol/mlのメプ
ロニル、0.01−100nmol/mlのベノダニル
および1−100nmol/mlのメベニルを測定でき
た。
【0138】実施例15 フルトラニルハプテン化合物
と西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)との結合体作製 直接競合阻害法をおこなうために必要なプローブ結合フ
ルトラニルハプテンを作製するため、活性化エステル法
を用いてフルトラニルハプテン化合物とHRPとの結合
をおこなった。
【0139】フルトラニルハプテン化合物−1,2それ
ぞれを、0.2mmol秤量し、無水ジメチルホルムア
ミド(DMF)1mlに溶解した。次に N-ヒドロキシ
スクシンイミド0.2mmol、ジシクロヘキシルカル
ボジイミド0.2mmolを加え、3時間室温にて攪拌
し、反応させた。
【0140】反応後、遠心にて沈殿物と上清に分離し、
あらかじめ準備しておいたPBS2.5mlとDMF0.
5mlを混ぜ合わせた溶液に HRP25mgを溶解し
た溶液に遠心上清液125μlを加え、4℃にて一晩攪
拌し反応させた。反応終了後、HRP結合フルトラニル
ハプテンをPBSによる透析もしくは脱塩カラムによって
精製した。
【0141】実施例16 直接競合阻害法によるフルト
ラニルの測定 実施例12で得られたハイブリドーマ細胞(2A7−1
−1)をマウスの腹腔に移植し、10−15日後に得ら
れた腹水を採取し、硫安分画法によりモノクローナル抗
体を分取し、以下の試験法にてフルトラニルを測定し
た。
【0142】それぞれのモノクローナル抗体溶液(10
μg/ml)を 50μl/ウェルで96ウェルプレー
トに加え、4℃で一晩静置し、翌日4倍希釈したブロッ
クエースでブロッキングした後、フルトラニル及び実施
例15で作製した適度に希釈されたHRP結合フルトラ
ニルハプテンー1またはHRP結合フルトラニルハプテ
ンー2を含む10%メタノール−PBS溶液を50μl
/ウェルで加え、25℃1時間静置した。
【0143】反応後、PBSを用いて5回洗浄し、2m
g/mlのOPD、0.02%の過酸化水素を含む0.1
M リン酸クエン酸緩衝液(pH5.0)を 50μl
/ウェル加え、室温にて10分間静置し、発色させた。
発色後、1N硫酸を50μl/ウェル加えて反応を停止
し、490nmの吸光度を測定した。その結果を図4に
示す。直接競合法においても、フルトラニルを測定する
ことができ、その測定範囲は 0.001−10μg/m
lであった。
【0144】実施例17 メプロニルハプテン化合物と
HRPとの結合体作製 実施例8と同様な混合酸無水物法により実施例3で作製
したメプロニルハプテン−1とHRPの結合体を作製し
た。1mgのメプロニルハプテン−1を無水ジオキサン
0.2mlに溶解した後、トリ−N−ブチルアミン 0.
5μl,クロロギ酸イソブチル0.3μlを添加し、1
0−12℃にて30分間撹拌した。(以下、これをA液
とする) 一方、0.5% NaHCO3をNaOHでpH9.4に調
整した溶液1mlにHRP5mgを溶解し、A液をこの
中に滴下した。4℃にて2時間撹拌し、さらにグリシン
を添加して30分間撹拌することにより反応を終了させ
た。反応物をPBSにて透析することにより、精製HR
P結合メプロニルハプテンを得た。
【0145】実施例18 モノクローナル抗体の評価
酸アミド系化合物とMPN2−43抗体との反応性 メプロニルハプテン−1に由来する、クローン化したハ
イブリドーマMPN2−43の産生するモノクローナル
抗体MPN2−43について実施例16と同様の方法を
用いて酸アミド系化合物等に対する反応性について調べ
た。ただし、実施例17で作製したHRP結合メプロニ
ルハプテンを用いた。この結果を図5に示す。図5よ
り、この抗体はフルトラニル、ベノダニル、メベニルに
対しても反応することを確認した。
【0146】実施例19 直接競合阻害法によるメプロ
ニルの測定 モノクローナル抗体MPN2−43について、実施例1
8と同様にして、メプロニルに対する反応性を調べた。
この結果を図6に示す。モノクローナル抗体MPN2−
43は、直接結合阻害ELISA法で、メプロニルの量
を約0.01−10ng/mlの範囲で測定できた。
【0147】実施例20 モノクローナル抗体の評価
酸アミド系化合物とMPN2−42抗体との反応性 実施例8において作製された、メプロニルハプテン−3
とKLHとの結合体を免疫用抗原として用い、実施例9
−12と同様の方法により、スクリーニング用抗原の作
製、免疫感作、抗血清による測定及びハイブリドーマ細
胞の作製を行い、クローン化したハイブリドーマMPN
2−42の産生するモノクローナル抗体MPN2−42
を得た。この抗体を用いて、実施例18と同様の方法に
より酸アミド系化合物に対する反応性を調べた。
【0148】この結果を図7に示す。図7より、この抗
体は、メプロニルを始めフルトラニル、ベノダニルおよ
びメベニルに対しても反応性を有することが確認され
た。
【0149】実施例21 直接競合阻害法によるメプロ
ニルの測定 モノクローナル抗体2−42について、実施例20と同
様にして、メプロニルに対する反応性を調べた。この結
果を図8に示す。モノクローナル抗体MPN2−42は
直接競合阻害ELISA法で、メプロニルの量を約0.
1−100ng/mlの範囲で測定できることがわかっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、マウス抗血清を用いたフルトラニル
の測定を示す。
【図2】 図2は、本発明のモノクローナル抗体2A7
−1−1による酸アミド系化合物の測定を示す。
【図3】 図3は、本発明のモノクローナル抗体3A1
4−1−1による酸アミド系化合物の測定を示す。
【図4】 図4は、モノクローナル抗体2A7−1−1
の直接競合阻害法によるフルトラニルの測定を示す。
【図5】 図5は、本発明のモノクローナル抗体MPN
2−43による酸アミド系化合物等の測定を示す。
【図6】 図6は、モノクローナル抗体MPN2−43
の直接競合阻害法によるメプロニルの測定を示す。
【図7】 図7は、本発明のモノクローナル抗体MPN
2−42による酸アミド系化合物の測定を示す。
【図8】 図8は、モノクローナル抗体MPN2−42
の直接競合阻害法によるメプロニルの測定を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G01N 33/53 C12N 15/00 C 33/577 5/00 B //(C12P 21/08 C12R 1:91) (72)発明者 面田 内記 東京都港区浜松町1丁目27番14号 株式 会社環境免疫技術研究所内 (72)発明者 宗像 浩 東京都港区浜松町1丁目27番14号 株式 会社環境免疫技術研究所内 (72)発明者 菅野 恒博 神奈川県鎌倉市手広1111番地 株式会社 東レリサーチセンター内 (72)発明者 香川 康浩 東京都港区浜松町1丁目27番14号 株式 会社環境免疫技術研究所内 (72)発明者 渡辺 和明 東京都港区浜松町1丁目27番14号 株式 会社環境免疫技術研究所内 (56)参考文献 特開 平6−239898(JP,A) 特開 平1−294698(JP,A) 特表 平9−500874(JP,A) 国際公開95/3296(WO,A1) J.Agric.Food Che m.,Vol.33,No.3(1985) p.528−p.530 農薬ハンドブック1992年版編集委員会 編、農薬ハンドブック1992年版、平成4 年、社団法人日本植物防疫協会発行、第 544頁 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 233/75,233/83 C07K 16/44 C12N 5/10 C12N 15/02 C12P 21/08 G01N 33/53 G01N 33/577 CA(STN) CAOLD(STN) REGISTRY(STN)

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】以下の式(I): 【化1】 [式中、 R1は、所望により1ないし4個の低級アルキル基、ハ
    ロゲン原子、トリフルオロメチル基、ヒドロキシ基また
    はカルボキシル基で置換されていてもよいベンゼン環で
    あり、 R3は、水素原子、ヒドロキシ基またはハロゲン原子で
    あり;そしてnは、1−5の整数である]で表される構
    造を有する、ハプテン化合物。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の式において、R1が2位
    がメチル基、トリフルオロメチル基または塩素原子で置
    換されたベンゼン環であり、そしてR3がヒドロキシ基
    である、請求項1に記載のハプテン化合物。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載のハプテン化合物
    と高分子化合物との結合体。
  4. 【請求項4】請求項3に記載の結合体を抗原として用い
    ることにより製造された、以下の式(II): 【化2】 [式中、 R1は、請求項1において定義した通りであり;そして
    2は、所望により1個ないし3個の、低級アルキル
    基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ
    基またはハロゲン化アルコキシ基で置換されていてもよ
    い、ベンゼン環である]で表される構造を有する化合物
    と反応する抗体。
  5. 【請求項5】モノクローナル抗体である、請求項4に記
    載の抗体。
  6. 【請求項6】数種の酸アミド系化合物と反応することを
    特徴とする、請求項4または5に記載の抗体。
  7. 【請求項7】3A14−1−1またはMPN2−43で
    ある、請求項4ないし6のいずれか1項に記載の抗体。
  8. 【請求項8】請求項1または2に記載のハプテン化合物
    に高分子化合物を結合させることにより抗原を作製し、
    当該抗原を用いることにより式(II): 【化3】 [式中、 R1は、請求項1において定義した通りであり;そして
    2は、所望により1個ないし3個の、低級アルキル
    基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ
    基またはハロゲン化アルコキシ基で置換されていてもよ
    い、ベンゼン環である]で表される構造を有する化合物
    と反応する抗体を作ることを特徴とする、請求項4ない
    し7のいずれか1項に記載の抗体の製造方法。
  9. 【請求項9】請求項4ないし7のいずれか1項に記載の
    抗体を産生するハイブリドーマ。
  10. 【請求項10】寄託番号FERM P−15661また
    はFERM P−15671で寄託されている、請求項
    9に記載のハイブリドーマ。
  11. 【請求項11】請求項1若しくは2に記載のハプテン化
    合物、または請求項4ないし7のいずれか1項に記載の
    抗体を利用することを特徴とする、式(II)で表され
    る化合物の免疫化学的測定方法。
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