JP2005035893A - アラクロールハプテン、アラクロールに対する抗体およびそれを用いる免疫学的測定方法 - Google Patents
アラクロールハプテン、アラクロールに対する抗体およびそれを用いる免疫学的測定方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】アラクロールに対して高感度かつ他の類似化合物に対する交差反応性の明確なアラクロール抗体を作製するためのハプテン、アラクロール抗体ならびに当該抗体を用いるアラクロールの免疫学的測定キットおよび免疫学的測定方法を提供する。
【解決手段】下記式(IV):
【化1】
(式中、nは1〜5の整数)で表わされる構造を有する化合物、前記化合物をハプテンとし、当該ハプテンと高分子化合物との複合体を抗原として用いることにより得られるアラクロールに対するモノクローナル抗体、前記抗体を産生するハイブリドーマ、前記抗体を含んでなるアラクロールの測定キット、および前記抗体または前記キットを用いることを特徴とするアラクロールの測定方法。
【選択図】 なし
【解決手段】下記式(IV):
【化1】
(式中、nは1〜5の整数)で表わされる構造を有する化合物、前記化合物をハプテンとし、当該ハプテンと高分子化合物との複合体を抗原として用いることにより得られるアラクロールに対するモノクローナル抗体、前記抗体を産生するハイブリドーマ、前記抗体を含んでなるアラクロールの測定キット、および前記抗体または前記キットを用いることを特徴とするアラクロールの測定方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、除草剤アラクロールのハプテン化合物、抗体およびそれを用いる免疫学的測定方法等に関する。
【0002】
【従来の技術】
除草剤2−クロロ−2’,6’−ジエチル−N−メトキシメチルアセトアニリド(本明細書中ではアラクロール(一般名)とも記載し、以下単にアラクロールと略す) は、下記式I:
【化2】
で表される構造を有するアセトアニリド系除草剤である。アラクロールは、イネ科雑草から広葉雑草の発芽前の防除に広く使用されている。アラクロールに構造が類似するアセトアニリド系除草剤としてプレチラクロールやメトラクロールも広く使用されている。
【0003】
近年、土壌、水、大気等の環境中での残留農薬や輸入農作物のポストハーベスト農薬の残留等に関心が高まっており、環境、食物、および生体における農薬のモニタリングが重要な課題となっている。除草剤アラクロールは、食品衛生法に基づく食品・食品添加物等規格基準の中で食品中の残留濃度が規定されている。各基準値は、トウモロコシ・大豆が0. 2ppm、小豆類・そら豆が0. 1ppm、らっかせいが0. 05ppm、日本なし・いちご・ぶどう・キャベツ・だいこん類の根・だいこん類の葉・はくさい・芽キャベツ・ばれいしょ・さとうきび・てんさい・ほうれんそうが0.01ppmである。
【0004】
従来、アラクロールを始めとする化学物質の測定には化学分析法が用いられてきた。例えば、アラクロールの農作物中の量をモニタリングする場合には、試料から抽出・精製後、ガスクロマトグラフィーを用いて測定されてきた。化学分析は、精度の点では問題はないものの操作が煩雑で測定に時間がかかるため、より迅速、簡便かつ経済的にモニタリングすることのできる新しい測定法の開発が求められていた。
【0005】
一方、免疫学的測定法は、抗原抗体反応を利用して抗原の測定を行うもので、測定精度が優れているばかりでなく、迅速、簡便かつ経済的な測定法である。従来、免疫学的測定法は、臨床診断の分野で患者の病態解析法の一つとして大きな役割を担ってきたが、農薬のような環境負荷化学物質の測定へも適用が進んでいる。プレチラクロールにおいてはすでにモノクローナル抗体が調製され、免疫学的測定法の開発が行われている(特許文献1を参照)。アラクロールにおいても免疫学的測定法が報告されている(非特許文献1および2を参照)が、モノクローナル抗体を用いる測定法は知られていない。
【0006】
抗体には、一般に免疫したウサギやヤギなどから血液を採取後その中に含まれる抗体を分離・精製するいわゆるポリクローナル抗体や、抗体産生能を持つクローン化ハイブリドーマの分泌する抗体を分離・精製するいわゆるモノクローナル抗体がある。これらの抗体は反応性において十分な性能を持つが、類似の構造を有する化学物質間で交差反応が起きる問題点があった。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−270862
【非特許文献1】
Environmentel Science & Technology, 35,4111−4119 (2001)
【非特許文献2】
Journal of Chromatography A, 963, 125−136 (2002)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、アラクロールに対して高感度かつ他の類似化合物に対する交差反応性の明確なアラクロール抗体を作製するためのハプテン、アラクロール抗体ならびに当該抗体を用いるアラクロールの免疫学的測定キットおよび免疫学的測定方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、下記要件を満たすことにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、下記式(IV):
【化3】
(式中、nは1〜5の整数である)
で表わされる構造を有する化合物に関する。
前記式(IV)で表わされる化合物において、前記nが2であることが好ましい。
【0011】
本発明は、前記化合物をハプテンとし、当該ハプテンと高分子化合物との複合体を抗原として用いることにより得られるアラクロールに対する抗体に関する。前記抗体は、モノクローナル抗体が好ましい。
前記モノクローナル抗体は、アラクロール、アセトクロール、ブタクロールおよびプレチラクロールからなる除草剤群の測定方法に使用されることが好ましい。
前記モノクローナル抗体は、アラクロールおよびブタクロールからなる除草剤群の測定方法に使用されることが好ましい。
本発明は、前記モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマに関する。
前記ハイブリドーマは、AR201(FERM P−19303)、AR203またはAR306であることが好ましい。
【0012】
本発明は、前記モノクローナル抗体を含んでなるアラクロールの測定キットに関する。
本発明は、前記モノクローナル抗体または前記キットを用いることを特徴とするアラクロールの測定方法に関する。
【0013】
[作用効果]
本発明の化合物は、アラクロールハプテンとして好適に用いられるものである。当該ハプテンと高分子化合物との複合体を抗原として用いることにより、動物においてアラクロールに対する免疫応答を良好に惹起することができ、特異的かつ高感度なアラクロール抗体を得ることができる。前記式(IV) においてnが2の場合、アラクロールハプテンとして特に優れた効果を奏する。
【0014】
本発明の抗体は、特異的かつ高感度にアラクロールを検出することができる。当該抗体がモノクローナル抗体の場合、アラクロールに対して高感度であり、しかも他の類似化合物に対する交差反応性が明確である。前記モノクローナル抗体を交差反応性により単独または組み合わせて用いることにより、アラクロールに構造が類似するアセトアニリド系除草剤をも同時に検出することができるとともに、それらの類似化合物を分別して検出することもできる。本発明のハイブリドーマは、前記モノクローナル抗体を安定して産生することができ、当該ハイブリドーマを培養することにより、大量のモノクローナル抗体を製造することができる。本発明のキットは、本発明のモノクローナル抗体を含むことにより、アラクロールの免疫学的測定方法に好適に用いられ、アラクロールを特異的、高感度および簡便に測定することのできる手段を提供することができる。本発明のアラクロールの測定方法は、本発明のモノクローナル抗体またはキットを用いることにより感度、特異性および操作の簡便性にすぐれた効果を奏する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明は、下記式(IV):
【化4】
(式中、nは1〜5の整数である)
で表わされる構造を有する化合物を提供する。前記化合物は、アラクロールハプテンとして好適に使用される。
【0016】
前記式(IV)において、−S−(CH2 )n −はアラクロールの部分に導入したスペーサーアームを表わし、nは1〜5の整数である。前記nは、アラクロールと結合対象の高分子化合物との間に適度なスペースを有するためには2〜4であることが好ましく、2がより好ましい。
【0017】
前記式(IV)において、前記スペーサーアームに隣接するカルボキシ基が、後述する高分子化合物と共有結合することにより、複合体を形成する。
【0018】
前記アラクロールハプテンの製造は、公知の合成方法により行なうことができ、特に限定されるものではない。例えば実施例1に記載された製造方法として、アラクロールとスルファニルアルキルカルボン酸エステルとを有機溶媒に溶解して、塩基の存在下反応させ、アラクロールの塩素基の位置にスペーサーアームが導入された化合物、アラクロールとカルボン酸エステルのスルフィドを合成し、次いで前記エステルを加水分解して式(IV) の化合物を得る方法について説明する。
【0019】
前記スルファニルアルキルカルボン酸エステルとしては、例えばエチルエステルとして2−スルファニル酢酸エチル、3−スルファニルプロピオン酸エチル、4−スルファニル酪酸エチル、5−スルファニル吉草酸エチル、6−スルファニルヘキサン酸エチル等があげられるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
前記有機溶媒としては、アセトン、アセトニトリル、ヘキサン、ペンタン、ベンゼン、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、またはこれらの混合溶媒等があげられる。
【0021】
前記塩基としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等があげられる。
【0022】
アラクロールとスルファニルアルキルカルボン酸エステルの合成反応は、通常、室温から前記有機溶媒の沸点以下、30分ないし10時間程度行なう。
【0023】
次に、得られたアラクロールとカルボン酸エステルのスルフィドを加水分解し、遊離のカルボキシ基を有する化合物(IV)を得る。
【0024】
エステルの加水分解は、アルカリ加水分解、酸加水分解等の公知の方法により行なうことができ、特に限定されるものではない。例えばアルカリ加水分解の場合、前記カルボン酸エステルを、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、エチレングリコール等の有機溶媒またはこれら有機溶媒と水との混合溶媒に溶解し、次いで水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ水溶液を加えて、0℃〜50℃程度で、30分〜3時間程度反応させることにより行なうことができる。
【0025】
このようにして得られたアラクロールハプテンは、牛血清アルブミン(BSA)、ウサギ血清アルブミン(RSA) 、オボアルブミン(OVA) 、スカシ貝ヘモシアニン(KLH) 、チログロブリン(TG)、免疫グロブリン等の高分子化合物(タンパク質)との複合体を形成させた後、免疫原として用いる。
【0026】
複合体の形成方法は、公知の方法により行なうことができ、特に限定されるものではない。例えば、混合酸無水物法または活性エステル法等により前記アラクロールハプテンのカルボキシ基と前記高分子化合物の官能基とを反応させて、複合体を形成することができる。
【0027】
本発明は、前記ハプテンと高分子化合物との複合体を抗原として用いることにより得られるアラクロールに対する抗体を提供する。
【0028】
アラクロールとは、下記式(I):
【化5】
で表わされるアセトアニリド系除草剤2−クロロ−2’,6’−ジエチル−N−メトキシメチルアセトアニリドである。
【0029】
アセトアニリド系除草剤としては、前記アラクロールの他、アセトクロール、ブタクロール、メトラクロール、メタザクロール、プレチラクロールおよびプロパクロールなどの構造類似化合物が知られており、これら化合物の構造式は表1に記載されている。本発明の抗体は、アラクロールに対する特異性を有する抗体である。
【0030】
本明細書でいう「抗体」には、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体が包含され、FabフラグメントやF(ab’)2 フラグメントなどのように抗原結合性を有する抗体の一部も包含される。これら抗体の中でも、モノクローナル抗体が好ましい。
【0031】
前記モノクローナル抗体は、アラクロールに対する特異性と類似化合物に対する交差反応性とを明確にするため、下記のようなIC50値を有することが好ましい。ここでIC50値とは、間接競合ELISAまたは直接競合ELISAにより標準阻害曲線を求めて、50%阻害を示す抗体の濃度をいう。
【0032】
すなわち、本抗体は、間接競合ELISAによるアラクロールに対するIC50が10ng/ml未満であることが好ましく、7.5ng/ml以下がより好ましい。また、本抗体は、直接競合ELISAによるアラクロールに対するIC50が7.5ng/ml未満であることが好ましく、5ng/ml以下がより好ましい。
【0033】
本抗体は、間接競合ELISAによるアセトクロールに対するIC50が50ng/ml以上であることが好ましく、60ng/ml以上がより好ましい。
【0034】
本抗体は、間接競合ELISAによるブタクロールに対するIC50が10ng/ml以上であることが好ましく、20ng/ml以上がより好ましい。
【0035】
本抗体は、間接競合ELISAによるプレチラクロールに対するIC50が50ng/ml以上であることが好ましく、60ng/ml以上がより好ましい。
【0036】
前記抗体の製造方法は、公知であり、本発明の抗体も常法に従って製造することができる(Current Protocol in Molecular Biology, Chapter 11.12〜11.13(2000) )。具体的には、本発明の抗体がポリクローナル抗体の場合には、常法に従って前記アラクロールハプテンと高分子化合物との複合体を形成させた後、当該複合体を家兎等の非ヒト動物に免疫し、該免疫動物の血清から常法に従って得ることが可能である。一方、モノクローナル抗体の場合には、前記複合体を常法に従ってマウス等の非ヒト動物に免疫し、得られた脾臓細胞と骨髄腫細胞とを細胞融合させて調製したハイブリドーマ細胞をスクリーニングし、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを培養することにより得ることができる(Current protocols in Molecular Biology edit. Ausubel et al. (1987) Publish. John Wiley and Sons. Section 11.4 〜11.11 )。
【0037】
抗体の調製は、限外ろ過、硫安分画、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、アフィニテイークロマトグラフィーなどの濃縮・精製法を適宜組み合わせて行うことができる。
【0038】
また、本発明は、前記モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを提供する。以下、マウスでのハイブリドーマの作製方法についてより詳細に説明する。
【0039】
(1)モノクローナル抗体産生ハイブリドーマの作製
以下、Balb/cマウスを例にして説明する。前記のように調製した免疫原を2mg/ml程度になるように生理的リン酸緩衝液に溶解し、アジュバントと等量混合した後、Balb/cマウスに腹腔内に投与する。その後、約2週間毎に追加免疫する。尾血管から採取した血液の血清中の抗体力価が高くなった前記マウスの脾臓を摘出し、DMEM培地(ダルベッコ改変イーグル培地)を入れたシャーレ内で前記脾臓から細胞を取り出す。培地を遠沈管に移し、大きな組織片を沈降させ、脾臓細胞が浮遊している上清を静かに取り、単細胞の懸濁液を低速で遠心分離して細胞を集め、脾臓細胞を調製する。マウスのミエローマ細胞(P3×63Ag8.653)を細胞数の比で5:1(ミエローマ細胞:脾臓細胞)になるように混合し、低速で遠心分離して細胞を集める。沈殿細胞をほぐした後、37℃に温めておいた50%ポリエチレングリコール(分子量1,500)溶液1mlをゆっくり加え細胞融合を行う。細胞融合後、DMEM培地9mlを加え、さらに含牛胎児血清DMEM培地40mlを添加する。遠心分離によって集めた細胞に、細胞数が5×105 個/mlになるようにHAT培地を加えて懸濁し、細胞懸濁液を96穴プラスチックプレートに250μl/ウェルの量で分注して、37℃、5%炭酸ガス、加湿条件下のインキュベーター中で培養する。1週間後、ウェル中の培地の半量をHAT培地で置換して、10日から14日間培養する。培養液中の抗体の活性をELISAで調べ、目的とする抗体を産生しているウェルの細胞について、限界希釈法によりハイブリドーマのクローニングを行う。クローニングにより、抗アラクロール抗体を産生している安定なハイブリドーマ株を得る。
【0040】
本発明では、前記方法によりハイブリドーマを作製し、AR201、AR203、AR306等のハイブリドーマ株を樹立した。このうち、AR201について、寄託番号FERM P−19303の下、2003年4月11日に独立行政法人産業技術総合研究所、特許生物寄託センター(郵便番号305−0046、茨城県つくば市東1丁目1番3号)に寄託した。
【0041】
本発明のハイブリドーマは、培地(例えば、10%牛胎児血清を含むDMEM)を用いて培養し、その培養液の遠心上清をモノクローナル抗体溶液とすることができる。また、本ハイブリドーマを由来する動物の腹腔に注入することにより、腹水を生成させ、得られた腹水をモノクローナル抗体溶液とすることができる。これらの抗体溶液は、さらに上述のように精製・濃縮することができる。
【0042】
また、本発明は、前記抗体を含むアラクロールの測定キットに関する。本発明の測定キットは、アラクロールに特異的に結合する抗体を含むことにより、アラクロールを簡便に測定することができ、後述のアラクロールの測定方法に好適に使用することができる。前記キットは、さらに、測定法に応じて、標識された二次抗体もしくは標識されたアラクロールハプテン(抗原)、緩衝液、検出試薬および/またはアラクロール標準溶液等を含む。好ましいキットは、下記ELISA法に用いられうるものであり、固相化抗原を保持する担体、アラクロール抗体、酵素標識された二次抗体および検出試薬などを含む。
【0043】
さらに、本発明は、前記抗体またはキットを用いることを特徴とするアラクロールの測定方法に関する。測定方法としては、通常の抗原−抗体反応を利用する方法であれば特に制限されず、放射性同位元素免疫測定法(RIA)、酵素免疫測定法(ELISA)、蛍光もしくは発光測定法、凝集法、イムノブロット法、イムノクロマト法等(Meth. Enzymol., 92, 147−523 (1983), Antibodies Vol.II IRL Press Oxford (1989)) が挙げられるが、感度や簡便性等の点からELISAが好ましい。ELISAに用いる酵素としては、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ等が挙げられる。
【0044】
ELISAによる測定法は、間接競合ELISAまたは直接競合ELISAなどがあげられる。例えば、間接競合ELISAは、以下のような手順により行うことができる。
【0045】
(1)固相化用抗原であるアラクロールハプテンと高分子化合物との結合体を担体に固相化する。
用いる担体は、96穴、48穴、192穴等のマイクロタイタープレートが好ましい。固相化は、例えば、固相化用抗原を含む緩衝液を担体上に載せ、インキュベーションすればよい。緩衝液中の抗原の濃度は、通常0.01μg/mlから100μg/ml程度である。緩衝液としては、検出手段に応じて公知のものを使用することができる。
【0046】
(2)担体の固相表面へのタンパク質の非特異的吸着を防止するため、固相化用抗原が吸着していない固相表面部分を、抗原と無関係なタンパク質等によりブロッキングする。
ブロッキング剤としては、BSAもしくはスキムミルク溶液、または市販のブロックエース(大日本製薬社製)等を使用することができる。ブロッキングは、前記ブロッキング剤を担体に添加し、例えば、約4℃で一晩インキュベーションした後、洗浄液で洗浄することにより行われる。洗浄液としては特に制限はないが、前記(1)と同じ緩衝液を使用することができる。
【0047】
(3)前記(1)および(2)で処理された固相表面に各種濃度のアラクロールを含む試料および抗体溶液を加え、該抗体を前記固相化抗原およびアラクロールに競合的に反応させて、固相化抗原−抗体複合体およびアラクロール−抗体複合体を生成させる。
反応は、10〜40℃、好ましくは25〜37℃で0.5〜数時間程度で行うことができる。
【0048】
(4)固相化抗原−抗体複合体の量を測定することにより、予め作成した検量線から試料中のアラクロールの量を決定することができる。
固相化抗原−抗体複合体の量は、酵素標識した二次抗体(アラクロール抗体を認識する抗体)を添加して測定することができる。例えばアラクロール抗体としてマウスモノクローナル抗体を用いる場合、酵素標識(例えば、ペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼ等)した抗マウス−ヤギ抗体を用いて、担体に結合したアラクロール抗体と反応させるのが望ましい。反応は、前記(3)と同様の条件下で行えばよい。反応後、緩衝液で洗浄する。
【0049】
(5)担体に結合した二次抗体の標識酵素と反応する発色基質溶液を加え、吸光度を測定することによって検量線からアラクロールの量を算出することができる。
二次抗体に結合する酵素としてペルオキシダーゼを使用する場合には、例えば、過酸化水素と、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンまたはo−フェニレンジアミンを含む発色基質溶液を使用することができる。通常、発色基質溶液を加えて室温で約10分程度反応させた後、硫酸を加えることにより酵素反応を停止させる。3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンを使用する場合、450nmの吸光度を測定する。o−フェニレンジアミンを使用する場合、492nmの吸光度を測定する。なお、バックグランド値を補正するため、630nmの吸光度も同時に測定することが望ましい。
【0050】
二次抗体に結合する酵素としてアルカリホスファターゼを使用する場合には、例えばp−ニトロフェニルリン酸を基質として発色させ、NaOH溶液を加えて酵素反応を止め、415nmでの吸光度を測定する方法があげられる。
【0051】
アラクロールを添加しない反応溶液の吸光度に対して、アラクロールを添加して抗体と反応させた溶液の吸光度の減少率を阻害率として計算する。既知の濃度のアラクロールを添加した反応液の阻害率により予め作成しておいた検量線を用いて、試料中のアラクロールの濃度を算出することができる。
【0052】
別の態様として、アラクロールの測定は、例えば以下に述べるような本発明のモノクローナル抗体を用いた直接競合ELISAによって行うこともできる。
【0053】
(1)本発明のモノクローナル抗体を、担体に固相化する。
用いる担体は、96穴、48穴、192穴等のマイクロタイタープレートが好ましい。固相化は、例えば、固相化用抗体を含む緩衝液を担体上に載せ、インキュベーションすればよい。緩衝液中の抗体の濃度は、通常0.01μg/mlから100μg/ml程度である。緩衝液としては、検出手段に応じて公知のものを使用することができる。
【0054】
(2)担体の固相表面へのタンパク質の非特異的吸着を防止するため、固相化用抗体が吸着していない固相表面部分を、抗体と無関係なタンパク質等によりブロッキングする。
ブロッキング剤としては、BSAもしくはスキムミルク溶液、または市販のブロックエース(大日本製薬社製)等を使用することができる。ブロッキングは、前記ブロッキング剤を担体に添加し、例えば、約4℃で一晩インキュベーションした後、洗浄液で洗浄することにより行われる。洗浄液としては特に制限はないが、前記(1)と同じ緩衝液を使用することができる。
【0055】
(3)各種濃度のアラクロールを含む試料に、アラクロールハプテンと酵素を結合させた酵素結合ハプテンを加えた混合物を調製する。
酵素結合ハプテンの調製は、アラクロールハプテンを酵素に結合する方法であれば特に制限なく、いかなる方法で行ってもよい。
【0056】
(4)工程(3)の混合物を工程(2)で得られた抗体固相化担体と反応させる。
アラクロールと酵素結合ハプテンとの競合阻害反応により、これらと固相化担体との複合体が生成する。反応は例えば、約4℃で約1時間行う。反応終了後、緩衝液で担体を洗浄し、固相化抗体と結合しなかった酵素結合ハプテンを除去する。
【0057】
固相化抗体−酵素結合ハプテン複合体の量を測定することにより、予め作成した検量線から試料中のアラクロールの量を決定する。
本工程において酵素結合ハプテンの酵素に反応する発色基質溶液を前述の間接競合阻害ELISA法と同様に加え、吸光度を測定することにより検量線からアラクロールの量を算出することができる。
【0058】
前記本発明の測定方法においては、測定対象物に応じた前処理をして試料とした後、前記間接競合ELISAまたは直接競合ELISAの工程(3)に供せられる。
【0059】
測定対象物が食品の場合、例えば、トウモロコシなどの農産物をミキサーでペースト状にする。ペースト状になった農産物5gを秤量しメタノール25mlと混和する。振とう機で30分間振とうし、農産物中に含まれるアラクロールを抽出する。抽出液を濾過し、10%メタノールとなるように蒸留水で希釈する。この希釈液を試料として測定する。
【0060】
測定範囲は、実施例7に記載されているように直接競合ELISAで0. 2ng/ml〜10ng/mlが例示される。前処理による希釈率が農産物の水分含量をほぼ100%として計算すると51倍希釈なので、農産物中の農薬残留濃度に換算した測定範囲は0. 01ppm〜0. 5ppmになる。したがって、本発明の測定方法は、基準のある農産物、特にトウモロコシと豆類の迅速簡便な測定に好適であるといえる。
【0061】
測定対象物が環境水の場合、環境水中のアラクロールは、サンプルの濾過のみで0. 2ng/ml〜10ng/mlの範囲で測定することができる。さらに、C18固相抽出法等によりサンプル中のアラクロールを濃縮することによって、0. 01ng/ml程度の濃度でも測定することができる。
【0062】
本発明のモノクローナル抗体AR201、AR203およびAR306を用いて、以下のようなアセトアニリド系除草剤の測定方法を実施することができる。AR201を用いた場合、表1に示すように間接競合ELISAによるIC50値が5ng/mlと小さく、より高感度にアラクロールを測定することができる。AR306を用いた場合、アラクロールとブタクロールをほぼ同等の感度で測定することができる。また、AR201とAR306を組み合わせて用いた場合、AR201はアラクロールに対する感度とブタクロールに対する感度が4〜5倍の差があり、AR306は両者に対する感度が同等であることから、このような感度の差を利用してアラクロールとブタクロールを同時に分別することができる。AR201、AR203およびAR306の感度の差を利用したアラクロールとプレチラクロールの分別測定は難しいが、施用される農作物や周辺環境が異なることから測定試料中に両者が混在することは少ないと考えられる。また、プレチラクロールに対する交差反応性の低い本発明のモノクローナル抗体を別途準備してAR201、AR203およびAR306のいずれかと組み合わせることにより、アラクロールとプレチラクロールの分別測定が可能である。
【0063】
アセトアニリド系除草剤の内、日本においてはアラクロールの他プレチラクロールとメトラクロールが農薬登録され、日本国内でも使用されている。プレチラクロールは水田用の除草剤なので、米と周辺環境の残留濃度を調べる必要がある。一方、アラクロールとメトラクロールは畑作用の除草剤であり、施用される農産物およびその周辺環境で各々残留濃度を調べる必要がある。したがって、本発明の測定方法によりアラクロールを測定する場合、使用する本抗体がメトラクロールと交差反応しないことで前記農産物中のアラクロールを特異的に測定することができる。あるいは、使用する本抗体がアラクロール、アセトクロール、ブタクロールおよびプレチラクロールからなる除草剤群を認識することで広範囲のアセトアニリド系除草剤の測定に用いることができる。例えば、玄米について除草剤の残留濃度を測定する場合は、本発明の測定方法により実質的にプレチラクロールの残留濃度を測定することも可能である。
【0064】
測定対象であるアラクロールには、前記式Iで表される化合物そのものばかりでなく、環境または生体中で分解された分解産物、例えば2,6−ジエチルアニリン、 2−クロロ−2’,6’−ジエチルアセトアニリドなども含まれる。
【0065】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の技術的範囲を限定するためのものではない。当業者は本明細書の記載に基づいて容易に本発明に修飾、変更を加えることができ、それらは本発明の技術的範囲に含まれる。
【0066】
実施例1
アラクロールハプテンの合成
下記合成スキームにしたがって、アラクロールハプテン(III) を合成した。
【0067】
【化6】
i)2−エトキシカルボニルエチルスルファニル−2’,6’−ジエチル−N−メトキシエチルアセトアニリド(II)の合成
2.7g(10mmol)の2−クロロ−2’,6’−ジエチル−N−メトキシメチルアセトアニリド(アラクロール(I))と1.4g(10mmol)の3−スルファニルプロピオン酸エチル、および4.1g(30mmol)の炭酸カリウムをジメチルホルムアミド 100mlに加え、100 ℃で5時間撹拌した。反応混合物を水中に注ぎ込み、ジエチルエーテル 30ml で2回抽出した。合わせたジエチルエーテル抽出液を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1〜4:1)で精製し、無色油状物として3.13g (収率85%)の標題化合物アラクロールハプテン中間体(II)を得た。
【0068】
ii) 2−カルボキシエチルスルファニル−2’,6’−ジエチル−N−メトキシエチルアセトアニリド(III)の合成
3.1g(8.4mmol )の(II)をエタノール:水(2:1)150ml に溶解し、1g(25mmol)の水酸化ナトリウムを加えて室温で2時間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、残液を濃塩酸でpHを約2に調整し、酢酸エチル30mlで2回抽出した。合わせた酢酸エチル抽出液を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1〜1:1〜1:2)で精製し、無色油状物として2.8g(収率95%)の標題化合物アラクロールハプテン(III)を得た。
【0069】
実施例2
アラクロールハプテンと担体タンパク質との結合体の調製
免疫原として、実施例1で合成したアラクロールハプテンとウサギ血清アルブミン(RSA )との結合体を混合酸無水物法を用いて作製した。
【0070】
上記実施例1で合成したアラクロールハプテン(III)の12.5mgを1ml の無水ジオキサンに溶解し、25μl のN−メチルモルホリンを加えて10℃で20分間撹拌し、更に10μl のクロロ蟻酸イソブチルを少しずつ添加し20分撹拌して、アラクロールハプテンの混合酸無水物を調製した。一方、40mgのRSA を1ml の蒸留水に溶解した後、1NのNaOH溶液でpH9.0 に調製し、更に10℃でジオキサン1.3ml を滴下した。このRSA 溶液に、1NのNaOH溶液でpH9.0 に保ちながら先に調製したアラクロールハプテンの混合酸無水物を徐々に滴下し、4 ℃で4 時間撹拌した。反応終了後、4 ℃で一晩蒸留水に対して透析した後、凍結乾燥して−30 ℃で貯蔵した。こうして得られたアラクロールハプテンとRSA との結合体を免疫原として使用した。
【0071】
また、コーティング抗原として用いるために、アラクロールハプテン(III)とオボアルブミン(OVA )との結合体も同様の方法で調製した。
【0072】
実施例3
モノクローナル抗体産生ハイブリドーマの作製と抗体の調製
実施例2で調製した免疫原を2mg/mlになるように生理的リン酸緩衝溶液(10mMリン酸、150mM NaCl pH7.0 )に溶解し、フロイントコンプリートアジュバントと等量混合した後、4 〜5 週齢のメスのBalb/cマウスに100 μl を腹腔内に投与した。その後、同様の手順で、フロイントインコンプリートアジュバントで等量混合した0.5mg/mlの免疫原100 μl を2 週間毎に追加免疫した。尾血管から採取した血液の血清中の抗体力価が高くなったマウスの脾臓を摘出し、DMEM培地(ダルベッコ改変イーグル培地)を入れたシャーレ内で摘出した脾臓をハサミで傷をつけ、注射筒で培地を脾臓内に注入して細胞を取り出した。培地を遠沈管に移し、大きな組織片を沈降させるために5 分間静置した。脾細胞が浮遊している上清を静かに取り、単細胞の懸濁液を1,250rpm、5 分間遠心分離して細胞を集め、脾細胞を調製した。マウスのミエローマ細胞(P3X63 Ag8.653 )を細胞数の比で5:1 (ミエローマ細胞:脾細胞)になるように脾細胞と混合し、300 ×g 、5 分間遠心分離して細胞を集めた。上清を除去し、遠心管をはじいて沈殿した細胞をほぐした後、37℃に温めておいた50% ポリエチレングリコール(分子量1,500 )溶液1ml を60秒かけてゆっくり加え細胞融合を行った。DMEM培地9ml を加えた後、牛胎児血清を10%含むDMEM培地40mlを添加した。遠心分離によって集められた細胞を細胞数が5 ×105 個/ml になるようにHAT 培地を加えた。細胞懸濁液を96穴細胞培養プレートに250 μl/ウェルの量を分注して、37℃にて5%二酸化炭素の気相中でインキュベーションした。一週間後、ウェル中の培地の半量を新鮮なHAT 培地で置換して、計10日から14日間培養した。培養上清中の抗体の活性をELISA法で調べ、目的とする抗体を産生しているウェルの細胞について、96穴細胞培養プレートで、10%牛胎児血清と8 μg/mlのインシュリンを含むHAT 培地を用い、限界希釈法によりハイブリドーマのクローニングを二度行った。クローニングした結果、最終的に抗アラクロール抗体を産生する安定なハイブリドーマ3株を得た。これらの株をそれぞれAR201、AR203およびAR306と名付け、このハイブリドーマ株を、10% 牛胎児血清を含むDMEM培地で培養した。培養上清をモノクローナル抗体溶液とし、それぞれ「モノクローナル抗体AR201」(以下単に「抗体AR201」という)、「モノクローナル抗体AR203」(以下単に「抗体AR203」という)および「モノクローナル抗体AR306」(以下単に「抗体AR306」という)とした。調製したモノクローナル抗体溶液は、競合間接ELISA法の一次抗体として用い、アラクロールとの反応性を調べた。
【0073】
実施例4
最適化した間接競合ELISA法によるアラクロールの測定
1)96穴マイクロプレートにアラクロールハプテンとOVA との結合体(250ng/ml)を100 μl/ウェルの量を加えて4 ℃で一晩インキュベーションしてプレートに吸着させた。PBS で4 回洗浄後、PBS で4 倍希釈したブロックエース(Block−Ace 、大日本製薬株製)溶液の250 μl/ウェル量を加え、4 ℃で一晩インキュベーションした後、プレートを洗浄した。
【0074】
2)モノクローナル抗体を2 ×PBS で希釈した溶液とアラクロール標準溶液の各々50μl をウェルに加え、25℃で1 時間インキュベーションした後、プレートを洗浄した。
【0075】
3)西洋ワサビペルオキシダーゼを結合した抗マウスIgG ヤギ抗体(第二抗体)をPBS で2,000 倍に希釈し、100 μl/ウェルを加え、25℃で1 時間インキュベーションした後、プレートを洗浄した。
【0076】
4)0.2%のo−フェニレンジアミン発色溶液(100mM リン酸クエン酸緩衝液(pH5.0 )、0.003%過酸化水素水)の100 μl/ウェルを加え、25℃で10分間インキュベーションした後、4N硫酸50μl/ウェルを加えて酵素反応を止め、492nm および630nm の吸光度をマイクロプレートリーダーで測定した。
【0077】
アラクロールハプテンとOVA との結合体を250ng/mlで固相化し、抗体AR201の600 倍希釈溶液と、メタノールに溶解したアラクロール標準ストック溶液を200ng/mlから蒸留水で段階的に希釈した溶液をウェルに加え、第二抗体を2,000 倍希釈したものを用いることにより作成したアラクロールの標準阻害曲線を図1に示す。B/Boは次式より算出して示した。
B/Bo(%)=(アラクロール標準溶液の吸光度/コントロールの吸光度)×100
測定の結果、抗体AR201を用いた間接競合ELISAによるアラクロールの測定範囲は0.5 〜20ng/ml であり、50%阻害を示す値(IC50値)は5.1ng/mlであった。
【0078】
実施例5
Balb/cマウスの腹水からの精製抗体の調製
直接競合ELISAにおいてプレートに固相化する抗体を調製するために、抗アラクロール抗体産生細胞を10〜15週齢のオスのBalb/cマウスの腹腔に注射し、得られた腹水からモノクローナル抗体を精製した。
【0079】
Balb/cマウスの腹腔に0.5ml/匹になるようプリスタンを注射した。10日後、一匹あたり1 ×106 〜1×107 個の増殖期のAR201を産生するハイブリドーマ細胞を0.5ml の滅菌PBS に浮遊させてBalb/cマウスの腹腔に注射した。その7 日から10日後、マウスの腹部が肥大した事を確認し、注射針を腹腔に刺して腹水を採取した。それを1,600 ×g で30分間遠心分離した後、三層に分離した中間層を取り、充分量採取できた後、飽和硫酸アンモニウム水溶液を用いた塩析による精製を行った。
【0080】
硫酸アンモニウム800gを加温しながら蒸留水1Lに溶解し、その後室温にまで冷却した後、結晶が析出したことを確認し、pH7.0 〜7.2 に調製した。得られた腹水を100ml とPBS を100ml 混合し、飽和硫酸アンモニウム溶液200ml を加えた(終濃度50%)。4℃で1 時間撹拌した後、4 ℃、4,000 〜7,000 ×g で30分間遠心分離を行った。沈殿を回収し全体量が100ml になるようにPBS に溶解させ、飽和硫酸アンモニウム溶液を25ml加えた(終濃度20%)。4℃で1 時間撹拌した後、4 ℃、4,000 〜7,000 ×g で30分間遠心分離を行った後、上清を回収し、25mlの硫酸アンモニウム溶液を加えた(終濃度33%)。その溶液を4 ℃で1 時間撹拌した後、4 ℃、4,000 〜7,000 ×g で30分間遠心分離を行った。沈殿に全体量が100ml になるようにPBS に溶解させ、飽和硫酸アンモニウム溶液を50ml加えた後(終濃度33%)、4 ℃で1 時間撹拌した後、4 ℃、4,000 〜7,000 ×g で30分間遠心分離を行い、これを計2 、3 度繰り返し行った。その後4 ℃、4,000 〜7,000 ×g で30分間遠心分離した後の沈殿を少量のPBS に溶解させ、4 ℃で一晩PBS に対して透析を行いAR201の精製抗体を得た。
【0081】
実施例6
アラクロール化合物と西洋ワサビペルオキシダーゼとの結合体の調製
直接競合ELISAにおいてトレーサーとして用いるため、活性エステル法によりアラクロールハプテンと西洋ワサビペルオキシダーゼとの結合体を調製した。
【0082】
アラクロールハプテン4.24mgを1ml のDMSOで溶解し、その溶液に210.8mg/mlになるようにDMSOに溶解したN−ヒドロキシスクシンイミド溶液3 μl と95.9mg/ml になるようにDMSOに溶解した1−エチル‐3−(3− ジメチルアミノプロピル) カルボジイミド塩酸塩溶液7 μl を加えた。その混合液を室温において1 時間、暗所で混和しながら反応させた。反応後、1Mの炭酸水素ナトリウム溶液40μl と、10mg/ml になるように蒸留水に溶解させた西洋ワサビペルオキシダーゼ溶液500 μl を混和しながら少量ずつ加えた。混合した溶液を室温において3 時間暗所でインキュベーションをした後PD−10 カラムを用いて精製を行った。
【0083】
PD−10 カラムはあらかじめ25mlのPBS でコンディショニングしておいた後、全体量が2.5ml になるようにPBS で希釈した反応液をカラムに通し、その後3.5ml のPBS で溶出させた。溶出液を約300 μl ずつ集め、その中から西洋ワサビペルオキシダーゼを含む画分のみ回収した。
【0084】
実施例7
最適化した直接競合ELISA法によるアラクロールの測定
1)96穴マイクロプレートに抗体AR201(5 μg/ml)を100 μl/ウェルの量を加えて4 ℃で一晩インキュベーションしてプレートに吸着させた。PBS で4 回洗浄後、0.5%のウシ血清アルブミン(BSA) を250 μl/ ウェル量を加え、25℃で2 時間インキュベーションした後、プレートを洗浄した。
【0085】
2)アラクロールハプテンと西洋ワサビペルオキシダーゼとの結合体を2 ×PBS で10,000倍に希釈した溶液とアラクロール標準溶液の各々50μl をウェルに加え、4 ℃で1 時間インキュベーションした後、プレートを洗浄した。
【0086】
3)0.2%のo−フェニレンジアミン発色溶液(100mM リン酸クエン酸緩衝液(pH5.0 )、0.003%過酸化水素水)の100 μl/ウェルを加え、25℃で10分間インキュベーションした後、4N硫酸50μl/ウェルを加えて酵素反応を止め、492nm および630nm の吸光度をマイクロプレートリーダーで測定した。
【0087】
抗体AR201を5 μg/mlの濃度でプレートに固相化し、アラクロールハプテンと西洋ワサビペルオキシダーゼとの結合体の2 ×PBS で10,000倍希釈した溶液と、メタノールに溶解したアラクロール標準ストック溶液を100ng/mlから蒸留水で段階的に希釈した溶液を用いることにより作成したアラクロールの標準阻害曲線を図2に示す。
【0088】
抗体AR201を用いた直接競合ELISAによるアラクロールの測定範囲は0.2 〜10ng/ml であり、IC50値は2.8ng/mlであった。
【0089】
実施例8
抗体のアラクロール構造類似化合物に対する交差反応性
アラクロールと化学構造が類似している化合物について抗体AR201、AR203およびAR306の交差反応性を調べた。交差反応性は試験化合物のIC50値を求め、次式により計算した。
【0090】
交差反応率(%)=(アラクロールのIC50値/ 試験化合物のIC50値)×100
上記式を用いて交差反応率を算出した結果を表1 に示す。
【0091】
【表1】
表1より、抗体AR201、AR203およびAR306はメタザクロール、メトラクロールおよびプロパクロールとは殆ど反応しなかった。またアセトクロールおよびプレチラクロールとわずかに反応した。ブタクロールについては抗体により反応性の違いが見られた。抗体AR203およびAR306はブタクロールに強く反応したが、抗体AR201の反応性は比較的低かった。この結果から、特に抗体AR201はアラクロールに対して特異性が高いことがわかった。
【0092】
以上の結果から、次のことが明らかになった。アラクロールハプテンと担体タンパク質との結合体をマウスに免疫して得られた脾臓細胞とミエローマ細胞を融合することにより、アラクロールと結合する抗体を産生する融合細胞を選抜した。この細胞を培養した培養上清を抗体として用い、アラクロールを測定するためのELISA法の最適条件を決定した。このELISA法によって、食品および環境中に存在するアラクロールをモニタリングするにあたっては、本ELISA法による簡便、迅速な方法が適していることが判明した。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、抗体AR201を用いた間接競合ELISA法におけるアラクロールに対する標準曲線を示す。
【図2】図2は、抗体AR201を用いた直接競合ELISA法におけるアラクロールに対する標準曲線を示す。
【発明の属する技術分野】
本発明は、除草剤アラクロールのハプテン化合物、抗体およびそれを用いる免疫学的測定方法等に関する。
【0002】
【従来の技術】
除草剤2−クロロ−2’,6’−ジエチル−N−メトキシメチルアセトアニリド(本明細書中ではアラクロール(一般名)とも記載し、以下単にアラクロールと略す) は、下記式I:
【化2】
で表される構造を有するアセトアニリド系除草剤である。アラクロールは、イネ科雑草から広葉雑草の発芽前の防除に広く使用されている。アラクロールに構造が類似するアセトアニリド系除草剤としてプレチラクロールやメトラクロールも広く使用されている。
【0003】
近年、土壌、水、大気等の環境中での残留農薬や輸入農作物のポストハーベスト農薬の残留等に関心が高まっており、環境、食物、および生体における農薬のモニタリングが重要な課題となっている。除草剤アラクロールは、食品衛生法に基づく食品・食品添加物等規格基準の中で食品中の残留濃度が規定されている。各基準値は、トウモロコシ・大豆が0. 2ppm、小豆類・そら豆が0. 1ppm、らっかせいが0. 05ppm、日本なし・いちご・ぶどう・キャベツ・だいこん類の根・だいこん類の葉・はくさい・芽キャベツ・ばれいしょ・さとうきび・てんさい・ほうれんそうが0.01ppmである。
【0004】
従来、アラクロールを始めとする化学物質の測定には化学分析法が用いられてきた。例えば、アラクロールの農作物中の量をモニタリングする場合には、試料から抽出・精製後、ガスクロマトグラフィーを用いて測定されてきた。化学分析は、精度の点では問題はないものの操作が煩雑で測定に時間がかかるため、より迅速、簡便かつ経済的にモニタリングすることのできる新しい測定法の開発が求められていた。
【0005】
一方、免疫学的測定法は、抗原抗体反応を利用して抗原の測定を行うもので、測定精度が優れているばかりでなく、迅速、簡便かつ経済的な測定法である。従来、免疫学的測定法は、臨床診断の分野で患者の病態解析法の一つとして大きな役割を担ってきたが、農薬のような環境負荷化学物質の測定へも適用が進んでいる。プレチラクロールにおいてはすでにモノクローナル抗体が調製され、免疫学的測定法の開発が行われている(特許文献1を参照)。アラクロールにおいても免疫学的測定法が報告されている(非特許文献1および2を参照)が、モノクローナル抗体を用いる測定法は知られていない。
【0006】
抗体には、一般に免疫したウサギやヤギなどから血液を採取後その中に含まれる抗体を分離・精製するいわゆるポリクローナル抗体や、抗体産生能を持つクローン化ハイブリドーマの分泌する抗体を分離・精製するいわゆるモノクローナル抗体がある。これらの抗体は反応性において十分な性能を持つが、類似の構造を有する化学物質間で交差反応が起きる問題点があった。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−270862
【非特許文献1】
Environmentel Science & Technology, 35,4111−4119 (2001)
【非特許文献2】
Journal of Chromatography A, 963, 125−136 (2002)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、アラクロールに対して高感度かつ他の類似化合物に対する交差反応性の明確なアラクロール抗体を作製するためのハプテン、アラクロール抗体ならびに当該抗体を用いるアラクロールの免疫学的測定キットおよび免疫学的測定方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、下記要件を満たすことにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、下記式(IV):
【化3】
(式中、nは1〜5の整数である)
で表わされる構造を有する化合物に関する。
前記式(IV)で表わされる化合物において、前記nが2であることが好ましい。
【0011】
本発明は、前記化合物をハプテンとし、当該ハプテンと高分子化合物との複合体を抗原として用いることにより得られるアラクロールに対する抗体に関する。前記抗体は、モノクローナル抗体が好ましい。
前記モノクローナル抗体は、アラクロール、アセトクロール、ブタクロールおよびプレチラクロールからなる除草剤群の測定方法に使用されることが好ましい。
前記モノクローナル抗体は、アラクロールおよびブタクロールからなる除草剤群の測定方法に使用されることが好ましい。
本発明は、前記モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマに関する。
前記ハイブリドーマは、AR201(FERM P−19303)、AR203またはAR306であることが好ましい。
【0012】
本発明は、前記モノクローナル抗体を含んでなるアラクロールの測定キットに関する。
本発明は、前記モノクローナル抗体または前記キットを用いることを特徴とするアラクロールの測定方法に関する。
【0013】
[作用効果]
本発明の化合物は、アラクロールハプテンとして好適に用いられるものである。当該ハプテンと高分子化合物との複合体を抗原として用いることにより、動物においてアラクロールに対する免疫応答を良好に惹起することができ、特異的かつ高感度なアラクロール抗体を得ることができる。前記式(IV) においてnが2の場合、アラクロールハプテンとして特に優れた効果を奏する。
【0014】
本発明の抗体は、特異的かつ高感度にアラクロールを検出することができる。当該抗体がモノクローナル抗体の場合、アラクロールに対して高感度であり、しかも他の類似化合物に対する交差反応性が明確である。前記モノクローナル抗体を交差反応性により単独または組み合わせて用いることにより、アラクロールに構造が類似するアセトアニリド系除草剤をも同時に検出することができるとともに、それらの類似化合物を分別して検出することもできる。本発明のハイブリドーマは、前記モノクローナル抗体を安定して産生することができ、当該ハイブリドーマを培養することにより、大量のモノクローナル抗体を製造することができる。本発明のキットは、本発明のモノクローナル抗体を含むことにより、アラクロールの免疫学的測定方法に好適に用いられ、アラクロールを特異的、高感度および簡便に測定することのできる手段を提供することができる。本発明のアラクロールの測定方法は、本発明のモノクローナル抗体またはキットを用いることにより感度、特異性および操作の簡便性にすぐれた効果を奏する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明は、下記式(IV):
【化4】
(式中、nは1〜5の整数である)
で表わされる構造を有する化合物を提供する。前記化合物は、アラクロールハプテンとして好適に使用される。
【0016】
前記式(IV)において、−S−(CH2 )n −はアラクロールの部分に導入したスペーサーアームを表わし、nは1〜5の整数である。前記nは、アラクロールと結合対象の高分子化合物との間に適度なスペースを有するためには2〜4であることが好ましく、2がより好ましい。
【0017】
前記式(IV)において、前記スペーサーアームに隣接するカルボキシ基が、後述する高分子化合物と共有結合することにより、複合体を形成する。
【0018】
前記アラクロールハプテンの製造は、公知の合成方法により行なうことができ、特に限定されるものではない。例えば実施例1に記載された製造方法として、アラクロールとスルファニルアルキルカルボン酸エステルとを有機溶媒に溶解して、塩基の存在下反応させ、アラクロールの塩素基の位置にスペーサーアームが導入された化合物、アラクロールとカルボン酸エステルのスルフィドを合成し、次いで前記エステルを加水分解して式(IV) の化合物を得る方法について説明する。
【0019】
前記スルファニルアルキルカルボン酸エステルとしては、例えばエチルエステルとして2−スルファニル酢酸エチル、3−スルファニルプロピオン酸エチル、4−スルファニル酪酸エチル、5−スルファニル吉草酸エチル、6−スルファニルヘキサン酸エチル等があげられるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
前記有機溶媒としては、アセトン、アセトニトリル、ヘキサン、ペンタン、ベンゼン、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、またはこれらの混合溶媒等があげられる。
【0021】
前記塩基としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等があげられる。
【0022】
アラクロールとスルファニルアルキルカルボン酸エステルの合成反応は、通常、室温から前記有機溶媒の沸点以下、30分ないし10時間程度行なう。
【0023】
次に、得られたアラクロールとカルボン酸エステルのスルフィドを加水分解し、遊離のカルボキシ基を有する化合物(IV)を得る。
【0024】
エステルの加水分解は、アルカリ加水分解、酸加水分解等の公知の方法により行なうことができ、特に限定されるものではない。例えばアルカリ加水分解の場合、前記カルボン酸エステルを、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、エチレングリコール等の有機溶媒またはこれら有機溶媒と水との混合溶媒に溶解し、次いで水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ水溶液を加えて、0℃〜50℃程度で、30分〜3時間程度反応させることにより行なうことができる。
【0025】
このようにして得られたアラクロールハプテンは、牛血清アルブミン(BSA)、ウサギ血清アルブミン(RSA) 、オボアルブミン(OVA) 、スカシ貝ヘモシアニン(KLH) 、チログロブリン(TG)、免疫グロブリン等の高分子化合物(タンパク質)との複合体を形成させた後、免疫原として用いる。
【0026】
複合体の形成方法は、公知の方法により行なうことができ、特に限定されるものではない。例えば、混合酸無水物法または活性エステル法等により前記アラクロールハプテンのカルボキシ基と前記高分子化合物の官能基とを反応させて、複合体を形成することができる。
【0027】
本発明は、前記ハプテンと高分子化合物との複合体を抗原として用いることにより得られるアラクロールに対する抗体を提供する。
【0028】
アラクロールとは、下記式(I):
【化5】
で表わされるアセトアニリド系除草剤2−クロロ−2’,6’−ジエチル−N−メトキシメチルアセトアニリドである。
【0029】
アセトアニリド系除草剤としては、前記アラクロールの他、アセトクロール、ブタクロール、メトラクロール、メタザクロール、プレチラクロールおよびプロパクロールなどの構造類似化合物が知られており、これら化合物の構造式は表1に記載されている。本発明の抗体は、アラクロールに対する特異性を有する抗体である。
【0030】
本明細書でいう「抗体」には、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体が包含され、FabフラグメントやF(ab’)2 フラグメントなどのように抗原結合性を有する抗体の一部も包含される。これら抗体の中でも、モノクローナル抗体が好ましい。
【0031】
前記モノクローナル抗体は、アラクロールに対する特異性と類似化合物に対する交差反応性とを明確にするため、下記のようなIC50値を有することが好ましい。ここでIC50値とは、間接競合ELISAまたは直接競合ELISAにより標準阻害曲線を求めて、50%阻害を示す抗体の濃度をいう。
【0032】
すなわち、本抗体は、間接競合ELISAによるアラクロールに対するIC50が10ng/ml未満であることが好ましく、7.5ng/ml以下がより好ましい。また、本抗体は、直接競合ELISAによるアラクロールに対するIC50が7.5ng/ml未満であることが好ましく、5ng/ml以下がより好ましい。
【0033】
本抗体は、間接競合ELISAによるアセトクロールに対するIC50が50ng/ml以上であることが好ましく、60ng/ml以上がより好ましい。
【0034】
本抗体は、間接競合ELISAによるブタクロールに対するIC50が10ng/ml以上であることが好ましく、20ng/ml以上がより好ましい。
【0035】
本抗体は、間接競合ELISAによるプレチラクロールに対するIC50が50ng/ml以上であることが好ましく、60ng/ml以上がより好ましい。
【0036】
前記抗体の製造方法は、公知であり、本発明の抗体も常法に従って製造することができる(Current Protocol in Molecular Biology, Chapter 11.12〜11.13(2000) )。具体的には、本発明の抗体がポリクローナル抗体の場合には、常法に従って前記アラクロールハプテンと高分子化合物との複合体を形成させた後、当該複合体を家兎等の非ヒト動物に免疫し、該免疫動物の血清から常法に従って得ることが可能である。一方、モノクローナル抗体の場合には、前記複合体を常法に従ってマウス等の非ヒト動物に免疫し、得られた脾臓細胞と骨髄腫細胞とを細胞融合させて調製したハイブリドーマ細胞をスクリーニングし、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを培養することにより得ることができる(Current protocols in Molecular Biology edit. Ausubel et al. (1987) Publish. John Wiley and Sons. Section 11.4 〜11.11 )。
【0037】
抗体の調製は、限外ろ過、硫安分画、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、アフィニテイークロマトグラフィーなどの濃縮・精製法を適宜組み合わせて行うことができる。
【0038】
また、本発明は、前記モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを提供する。以下、マウスでのハイブリドーマの作製方法についてより詳細に説明する。
【0039】
(1)モノクローナル抗体産生ハイブリドーマの作製
以下、Balb/cマウスを例にして説明する。前記のように調製した免疫原を2mg/ml程度になるように生理的リン酸緩衝液に溶解し、アジュバントと等量混合した後、Balb/cマウスに腹腔内に投与する。その後、約2週間毎に追加免疫する。尾血管から採取した血液の血清中の抗体力価が高くなった前記マウスの脾臓を摘出し、DMEM培地(ダルベッコ改変イーグル培地)を入れたシャーレ内で前記脾臓から細胞を取り出す。培地を遠沈管に移し、大きな組織片を沈降させ、脾臓細胞が浮遊している上清を静かに取り、単細胞の懸濁液を低速で遠心分離して細胞を集め、脾臓細胞を調製する。マウスのミエローマ細胞(P3×63Ag8.653)を細胞数の比で5:1(ミエローマ細胞:脾臓細胞)になるように混合し、低速で遠心分離して細胞を集める。沈殿細胞をほぐした後、37℃に温めておいた50%ポリエチレングリコール(分子量1,500)溶液1mlをゆっくり加え細胞融合を行う。細胞融合後、DMEM培地9mlを加え、さらに含牛胎児血清DMEM培地40mlを添加する。遠心分離によって集めた細胞に、細胞数が5×105 個/mlになるようにHAT培地を加えて懸濁し、細胞懸濁液を96穴プラスチックプレートに250μl/ウェルの量で分注して、37℃、5%炭酸ガス、加湿条件下のインキュベーター中で培養する。1週間後、ウェル中の培地の半量をHAT培地で置換して、10日から14日間培養する。培養液中の抗体の活性をELISAで調べ、目的とする抗体を産生しているウェルの細胞について、限界希釈法によりハイブリドーマのクローニングを行う。クローニングにより、抗アラクロール抗体を産生している安定なハイブリドーマ株を得る。
【0040】
本発明では、前記方法によりハイブリドーマを作製し、AR201、AR203、AR306等のハイブリドーマ株を樹立した。このうち、AR201について、寄託番号FERM P−19303の下、2003年4月11日に独立行政法人産業技術総合研究所、特許生物寄託センター(郵便番号305−0046、茨城県つくば市東1丁目1番3号)に寄託した。
【0041】
本発明のハイブリドーマは、培地(例えば、10%牛胎児血清を含むDMEM)を用いて培養し、その培養液の遠心上清をモノクローナル抗体溶液とすることができる。また、本ハイブリドーマを由来する動物の腹腔に注入することにより、腹水を生成させ、得られた腹水をモノクローナル抗体溶液とすることができる。これらの抗体溶液は、さらに上述のように精製・濃縮することができる。
【0042】
また、本発明は、前記抗体を含むアラクロールの測定キットに関する。本発明の測定キットは、アラクロールに特異的に結合する抗体を含むことにより、アラクロールを簡便に測定することができ、後述のアラクロールの測定方法に好適に使用することができる。前記キットは、さらに、測定法に応じて、標識された二次抗体もしくは標識されたアラクロールハプテン(抗原)、緩衝液、検出試薬および/またはアラクロール標準溶液等を含む。好ましいキットは、下記ELISA法に用いられうるものであり、固相化抗原を保持する担体、アラクロール抗体、酵素標識された二次抗体および検出試薬などを含む。
【0043】
さらに、本発明は、前記抗体またはキットを用いることを特徴とするアラクロールの測定方法に関する。測定方法としては、通常の抗原−抗体反応を利用する方法であれば特に制限されず、放射性同位元素免疫測定法(RIA)、酵素免疫測定法(ELISA)、蛍光もしくは発光測定法、凝集法、イムノブロット法、イムノクロマト法等(Meth. Enzymol., 92, 147−523 (1983), Antibodies Vol.II IRL Press Oxford (1989)) が挙げられるが、感度や簡便性等の点からELISAが好ましい。ELISAに用いる酵素としては、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ等が挙げられる。
【0044】
ELISAによる測定法は、間接競合ELISAまたは直接競合ELISAなどがあげられる。例えば、間接競合ELISAは、以下のような手順により行うことができる。
【0045】
(1)固相化用抗原であるアラクロールハプテンと高分子化合物との結合体を担体に固相化する。
用いる担体は、96穴、48穴、192穴等のマイクロタイタープレートが好ましい。固相化は、例えば、固相化用抗原を含む緩衝液を担体上に載せ、インキュベーションすればよい。緩衝液中の抗原の濃度は、通常0.01μg/mlから100μg/ml程度である。緩衝液としては、検出手段に応じて公知のものを使用することができる。
【0046】
(2)担体の固相表面へのタンパク質の非特異的吸着を防止するため、固相化用抗原が吸着していない固相表面部分を、抗原と無関係なタンパク質等によりブロッキングする。
ブロッキング剤としては、BSAもしくはスキムミルク溶液、または市販のブロックエース(大日本製薬社製)等を使用することができる。ブロッキングは、前記ブロッキング剤を担体に添加し、例えば、約4℃で一晩インキュベーションした後、洗浄液で洗浄することにより行われる。洗浄液としては特に制限はないが、前記(1)と同じ緩衝液を使用することができる。
【0047】
(3)前記(1)および(2)で処理された固相表面に各種濃度のアラクロールを含む試料および抗体溶液を加え、該抗体を前記固相化抗原およびアラクロールに競合的に反応させて、固相化抗原−抗体複合体およびアラクロール−抗体複合体を生成させる。
反応は、10〜40℃、好ましくは25〜37℃で0.5〜数時間程度で行うことができる。
【0048】
(4)固相化抗原−抗体複合体の量を測定することにより、予め作成した検量線から試料中のアラクロールの量を決定することができる。
固相化抗原−抗体複合体の量は、酵素標識した二次抗体(アラクロール抗体を認識する抗体)を添加して測定することができる。例えばアラクロール抗体としてマウスモノクローナル抗体を用いる場合、酵素標識(例えば、ペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼ等)した抗マウス−ヤギ抗体を用いて、担体に結合したアラクロール抗体と反応させるのが望ましい。反応は、前記(3)と同様の条件下で行えばよい。反応後、緩衝液で洗浄する。
【0049】
(5)担体に結合した二次抗体の標識酵素と反応する発色基質溶液を加え、吸光度を測定することによって検量線からアラクロールの量を算出することができる。
二次抗体に結合する酵素としてペルオキシダーゼを使用する場合には、例えば、過酸化水素と、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンまたはo−フェニレンジアミンを含む発色基質溶液を使用することができる。通常、発色基質溶液を加えて室温で約10分程度反応させた後、硫酸を加えることにより酵素反応を停止させる。3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンを使用する場合、450nmの吸光度を測定する。o−フェニレンジアミンを使用する場合、492nmの吸光度を測定する。なお、バックグランド値を補正するため、630nmの吸光度も同時に測定することが望ましい。
【0050】
二次抗体に結合する酵素としてアルカリホスファターゼを使用する場合には、例えばp−ニトロフェニルリン酸を基質として発色させ、NaOH溶液を加えて酵素反応を止め、415nmでの吸光度を測定する方法があげられる。
【0051】
アラクロールを添加しない反応溶液の吸光度に対して、アラクロールを添加して抗体と反応させた溶液の吸光度の減少率を阻害率として計算する。既知の濃度のアラクロールを添加した反応液の阻害率により予め作成しておいた検量線を用いて、試料中のアラクロールの濃度を算出することができる。
【0052】
別の態様として、アラクロールの測定は、例えば以下に述べるような本発明のモノクローナル抗体を用いた直接競合ELISAによって行うこともできる。
【0053】
(1)本発明のモノクローナル抗体を、担体に固相化する。
用いる担体は、96穴、48穴、192穴等のマイクロタイタープレートが好ましい。固相化は、例えば、固相化用抗体を含む緩衝液を担体上に載せ、インキュベーションすればよい。緩衝液中の抗体の濃度は、通常0.01μg/mlから100μg/ml程度である。緩衝液としては、検出手段に応じて公知のものを使用することができる。
【0054】
(2)担体の固相表面へのタンパク質の非特異的吸着を防止するため、固相化用抗体が吸着していない固相表面部分を、抗体と無関係なタンパク質等によりブロッキングする。
ブロッキング剤としては、BSAもしくはスキムミルク溶液、または市販のブロックエース(大日本製薬社製)等を使用することができる。ブロッキングは、前記ブロッキング剤を担体に添加し、例えば、約4℃で一晩インキュベーションした後、洗浄液で洗浄することにより行われる。洗浄液としては特に制限はないが、前記(1)と同じ緩衝液を使用することができる。
【0055】
(3)各種濃度のアラクロールを含む試料に、アラクロールハプテンと酵素を結合させた酵素結合ハプテンを加えた混合物を調製する。
酵素結合ハプテンの調製は、アラクロールハプテンを酵素に結合する方法であれば特に制限なく、いかなる方法で行ってもよい。
【0056】
(4)工程(3)の混合物を工程(2)で得られた抗体固相化担体と反応させる。
アラクロールと酵素結合ハプテンとの競合阻害反応により、これらと固相化担体との複合体が生成する。反応は例えば、約4℃で約1時間行う。反応終了後、緩衝液で担体を洗浄し、固相化抗体と結合しなかった酵素結合ハプテンを除去する。
【0057】
固相化抗体−酵素結合ハプテン複合体の量を測定することにより、予め作成した検量線から試料中のアラクロールの量を決定する。
本工程において酵素結合ハプテンの酵素に反応する発色基質溶液を前述の間接競合阻害ELISA法と同様に加え、吸光度を測定することにより検量線からアラクロールの量を算出することができる。
【0058】
前記本発明の測定方法においては、測定対象物に応じた前処理をして試料とした後、前記間接競合ELISAまたは直接競合ELISAの工程(3)に供せられる。
【0059】
測定対象物が食品の場合、例えば、トウモロコシなどの農産物をミキサーでペースト状にする。ペースト状になった農産物5gを秤量しメタノール25mlと混和する。振とう機で30分間振とうし、農産物中に含まれるアラクロールを抽出する。抽出液を濾過し、10%メタノールとなるように蒸留水で希釈する。この希釈液を試料として測定する。
【0060】
測定範囲は、実施例7に記載されているように直接競合ELISAで0. 2ng/ml〜10ng/mlが例示される。前処理による希釈率が農産物の水分含量をほぼ100%として計算すると51倍希釈なので、農産物中の農薬残留濃度に換算した測定範囲は0. 01ppm〜0. 5ppmになる。したがって、本発明の測定方法は、基準のある農産物、特にトウモロコシと豆類の迅速簡便な測定に好適であるといえる。
【0061】
測定対象物が環境水の場合、環境水中のアラクロールは、サンプルの濾過のみで0. 2ng/ml〜10ng/mlの範囲で測定することができる。さらに、C18固相抽出法等によりサンプル中のアラクロールを濃縮することによって、0. 01ng/ml程度の濃度でも測定することができる。
【0062】
本発明のモノクローナル抗体AR201、AR203およびAR306を用いて、以下のようなアセトアニリド系除草剤の測定方法を実施することができる。AR201を用いた場合、表1に示すように間接競合ELISAによるIC50値が5ng/mlと小さく、より高感度にアラクロールを測定することができる。AR306を用いた場合、アラクロールとブタクロールをほぼ同等の感度で測定することができる。また、AR201とAR306を組み合わせて用いた場合、AR201はアラクロールに対する感度とブタクロールに対する感度が4〜5倍の差があり、AR306は両者に対する感度が同等であることから、このような感度の差を利用してアラクロールとブタクロールを同時に分別することができる。AR201、AR203およびAR306の感度の差を利用したアラクロールとプレチラクロールの分別測定は難しいが、施用される農作物や周辺環境が異なることから測定試料中に両者が混在することは少ないと考えられる。また、プレチラクロールに対する交差反応性の低い本発明のモノクローナル抗体を別途準備してAR201、AR203およびAR306のいずれかと組み合わせることにより、アラクロールとプレチラクロールの分別測定が可能である。
【0063】
アセトアニリド系除草剤の内、日本においてはアラクロールの他プレチラクロールとメトラクロールが農薬登録され、日本国内でも使用されている。プレチラクロールは水田用の除草剤なので、米と周辺環境の残留濃度を調べる必要がある。一方、アラクロールとメトラクロールは畑作用の除草剤であり、施用される農産物およびその周辺環境で各々残留濃度を調べる必要がある。したがって、本発明の測定方法によりアラクロールを測定する場合、使用する本抗体がメトラクロールと交差反応しないことで前記農産物中のアラクロールを特異的に測定することができる。あるいは、使用する本抗体がアラクロール、アセトクロール、ブタクロールおよびプレチラクロールからなる除草剤群を認識することで広範囲のアセトアニリド系除草剤の測定に用いることができる。例えば、玄米について除草剤の残留濃度を測定する場合は、本発明の測定方法により実質的にプレチラクロールの残留濃度を測定することも可能である。
【0064】
測定対象であるアラクロールには、前記式Iで表される化合物そのものばかりでなく、環境または生体中で分解された分解産物、例えば2,6−ジエチルアニリン、 2−クロロ−2’,6’−ジエチルアセトアニリドなども含まれる。
【0065】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の技術的範囲を限定するためのものではない。当業者は本明細書の記載に基づいて容易に本発明に修飾、変更を加えることができ、それらは本発明の技術的範囲に含まれる。
【0066】
実施例1
アラクロールハプテンの合成
下記合成スキームにしたがって、アラクロールハプテン(III) を合成した。
【0067】
【化6】
i)2−エトキシカルボニルエチルスルファニル−2’,6’−ジエチル−N−メトキシエチルアセトアニリド(II)の合成
2.7g(10mmol)の2−クロロ−2’,6’−ジエチル−N−メトキシメチルアセトアニリド(アラクロール(I))と1.4g(10mmol)の3−スルファニルプロピオン酸エチル、および4.1g(30mmol)の炭酸カリウムをジメチルホルムアミド 100mlに加え、100 ℃で5時間撹拌した。反応混合物を水中に注ぎ込み、ジエチルエーテル 30ml で2回抽出した。合わせたジエチルエーテル抽出液を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1〜4:1)で精製し、無色油状物として3.13g (収率85%)の標題化合物アラクロールハプテン中間体(II)を得た。
【0068】
ii) 2−カルボキシエチルスルファニル−2’,6’−ジエチル−N−メトキシエチルアセトアニリド(III)の合成
3.1g(8.4mmol )の(II)をエタノール:水(2:1)150ml に溶解し、1g(25mmol)の水酸化ナトリウムを加えて室温で2時間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、残液を濃塩酸でpHを約2に調整し、酢酸エチル30mlで2回抽出した。合わせた酢酸エチル抽出液を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1〜1:1〜1:2)で精製し、無色油状物として2.8g(収率95%)の標題化合物アラクロールハプテン(III)を得た。
【0069】
実施例2
アラクロールハプテンと担体タンパク質との結合体の調製
免疫原として、実施例1で合成したアラクロールハプテンとウサギ血清アルブミン(RSA )との結合体を混合酸無水物法を用いて作製した。
【0070】
上記実施例1で合成したアラクロールハプテン(III)の12.5mgを1ml の無水ジオキサンに溶解し、25μl のN−メチルモルホリンを加えて10℃で20分間撹拌し、更に10μl のクロロ蟻酸イソブチルを少しずつ添加し20分撹拌して、アラクロールハプテンの混合酸無水物を調製した。一方、40mgのRSA を1ml の蒸留水に溶解した後、1NのNaOH溶液でpH9.0 に調製し、更に10℃でジオキサン1.3ml を滴下した。このRSA 溶液に、1NのNaOH溶液でpH9.0 に保ちながら先に調製したアラクロールハプテンの混合酸無水物を徐々に滴下し、4 ℃で4 時間撹拌した。反応終了後、4 ℃で一晩蒸留水に対して透析した後、凍結乾燥して−30 ℃で貯蔵した。こうして得られたアラクロールハプテンとRSA との結合体を免疫原として使用した。
【0071】
また、コーティング抗原として用いるために、アラクロールハプテン(III)とオボアルブミン(OVA )との結合体も同様の方法で調製した。
【0072】
実施例3
モノクローナル抗体産生ハイブリドーマの作製と抗体の調製
実施例2で調製した免疫原を2mg/mlになるように生理的リン酸緩衝溶液(10mMリン酸、150mM NaCl pH7.0 )に溶解し、フロイントコンプリートアジュバントと等量混合した後、4 〜5 週齢のメスのBalb/cマウスに100 μl を腹腔内に投与した。その後、同様の手順で、フロイントインコンプリートアジュバントで等量混合した0.5mg/mlの免疫原100 μl を2 週間毎に追加免疫した。尾血管から採取した血液の血清中の抗体力価が高くなったマウスの脾臓を摘出し、DMEM培地(ダルベッコ改変イーグル培地)を入れたシャーレ内で摘出した脾臓をハサミで傷をつけ、注射筒で培地を脾臓内に注入して細胞を取り出した。培地を遠沈管に移し、大きな組織片を沈降させるために5 分間静置した。脾細胞が浮遊している上清を静かに取り、単細胞の懸濁液を1,250rpm、5 分間遠心分離して細胞を集め、脾細胞を調製した。マウスのミエローマ細胞(P3X63 Ag8.653 )を細胞数の比で5:1 (ミエローマ細胞:脾細胞)になるように脾細胞と混合し、300 ×g 、5 分間遠心分離して細胞を集めた。上清を除去し、遠心管をはじいて沈殿した細胞をほぐした後、37℃に温めておいた50% ポリエチレングリコール(分子量1,500 )溶液1ml を60秒かけてゆっくり加え細胞融合を行った。DMEM培地9ml を加えた後、牛胎児血清を10%含むDMEM培地40mlを添加した。遠心分離によって集められた細胞を細胞数が5 ×105 個/ml になるようにHAT 培地を加えた。細胞懸濁液を96穴細胞培養プレートに250 μl/ウェルの量を分注して、37℃にて5%二酸化炭素の気相中でインキュベーションした。一週間後、ウェル中の培地の半量を新鮮なHAT 培地で置換して、計10日から14日間培養した。培養上清中の抗体の活性をELISA法で調べ、目的とする抗体を産生しているウェルの細胞について、96穴細胞培養プレートで、10%牛胎児血清と8 μg/mlのインシュリンを含むHAT 培地を用い、限界希釈法によりハイブリドーマのクローニングを二度行った。クローニングした結果、最終的に抗アラクロール抗体を産生する安定なハイブリドーマ3株を得た。これらの株をそれぞれAR201、AR203およびAR306と名付け、このハイブリドーマ株を、10% 牛胎児血清を含むDMEM培地で培養した。培養上清をモノクローナル抗体溶液とし、それぞれ「モノクローナル抗体AR201」(以下単に「抗体AR201」という)、「モノクローナル抗体AR203」(以下単に「抗体AR203」という)および「モノクローナル抗体AR306」(以下単に「抗体AR306」という)とした。調製したモノクローナル抗体溶液は、競合間接ELISA法の一次抗体として用い、アラクロールとの反応性を調べた。
【0073】
実施例4
最適化した間接競合ELISA法によるアラクロールの測定
1)96穴マイクロプレートにアラクロールハプテンとOVA との結合体(250ng/ml)を100 μl/ウェルの量を加えて4 ℃で一晩インキュベーションしてプレートに吸着させた。PBS で4 回洗浄後、PBS で4 倍希釈したブロックエース(Block−Ace 、大日本製薬株製)溶液の250 μl/ウェル量を加え、4 ℃で一晩インキュベーションした後、プレートを洗浄した。
【0074】
2)モノクローナル抗体を2 ×PBS で希釈した溶液とアラクロール標準溶液の各々50μl をウェルに加え、25℃で1 時間インキュベーションした後、プレートを洗浄した。
【0075】
3)西洋ワサビペルオキシダーゼを結合した抗マウスIgG ヤギ抗体(第二抗体)をPBS で2,000 倍に希釈し、100 μl/ウェルを加え、25℃で1 時間インキュベーションした後、プレートを洗浄した。
【0076】
4)0.2%のo−フェニレンジアミン発色溶液(100mM リン酸クエン酸緩衝液(pH5.0 )、0.003%過酸化水素水)の100 μl/ウェルを加え、25℃で10分間インキュベーションした後、4N硫酸50μl/ウェルを加えて酵素反応を止め、492nm および630nm の吸光度をマイクロプレートリーダーで測定した。
【0077】
アラクロールハプテンとOVA との結合体を250ng/mlで固相化し、抗体AR201の600 倍希釈溶液と、メタノールに溶解したアラクロール標準ストック溶液を200ng/mlから蒸留水で段階的に希釈した溶液をウェルに加え、第二抗体を2,000 倍希釈したものを用いることにより作成したアラクロールの標準阻害曲線を図1に示す。B/Boは次式より算出して示した。
B/Bo(%)=(アラクロール標準溶液の吸光度/コントロールの吸光度)×100
測定の結果、抗体AR201を用いた間接競合ELISAによるアラクロールの測定範囲は0.5 〜20ng/ml であり、50%阻害を示す値(IC50値)は5.1ng/mlであった。
【0078】
実施例5
Balb/cマウスの腹水からの精製抗体の調製
直接競合ELISAにおいてプレートに固相化する抗体を調製するために、抗アラクロール抗体産生細胞を10〜15週齢のオスのBalb/cマウスの腹腔に注射し、得られた腹水からモノクローナル抗体を精製した。
【0079】
Balb/cマウスの腹腔に0.5ml/匹になるようプリスタンを注射した。10日後、一匹あたり1 ×106 〜1×107 個の増殖期のAR201を産生するハイブリドーマ細胞を0.5ml の滅菌PBS に浮遊させてBalb/cマウスの腹腔に注射した。その7 日から10日後、マウスの腹部が肥大した事を確認し、注射針を腹腔に刺して腹水を採取した。それを1,600 ×g で30分間遠心分離した後、三層に分離した中間層を取り、充分量採取できた後、飽和硫酸アンモニウム水溶液を用いた塩析による精製を行った。
【0080】
硫酸アンモニウム800gを加温しながら蒸留水1Lに溶解し、その後室温にまで冷却した後、結晶が析出したことを確認し、pH7.0 〜7.2 に調製した。得られた腹水を100ml とPBS を100ml 混合し、飽和硫酸アンモニウム溶液200ml を加えた(終濃度50%)。4℃で1 時間撹拌した後、4 ℃、4,000 〜7,000 ×g で30分間遠心分離を行った。沈殿を回収し全体量が100ml になるようにPBS に溶解させ、飽和硫酸アンモニウム溶液を25ml加えた(終濃度20%)。4℃で1 時間撹拌した後、4 ℃、4,000 〜7,000 ×g で30分間遠心分離を行った後、上清を回収し、25mlの硫酸アンモニウム溶液を加えた(終濃度33%)。その溶液を4 ℃で1 時間撹拌した後、4 ℃、4,000 〜7,000 ×g で30分間遠心分離を行った。沈殿に全体量が100ml になるようにPBS に溶解させ、飽和硫酸アンモニウム溶液を50ml加えた後(終濃度33%)、4 ℃で1 時間撹拌した後、4 ℃、4,000 〜7,000 ×g で30分間遠心分離を行い、これを計2 、3 度繰り返し行った。その後4 ℃、4,000 〜7,000 ×g で30分間遠心分離した後の沈殿を少量のPBS に溶解させ、4 ℃で一晩PBS に対して透析を行いAR201の精製抗体を得た。
【0081】
実施例6
アラクロール化合物と西洋ワサビペルオキシダーゼとの結合体の調製
直接競合ELISAにおいてトレーサーとして用いるため、活性エステル法によりアラクロールハプテンと西洋ワサビペルオキシダーゼとの結合体を調製した。
【0082】
アラクロールハプテン4.24mgを1ml のDMSOで溶解し、その溶液に210.8mg/mlになるようにDMSOに溶解したN−ヒドロキシスクシンイミド溶液3 μl と95.9mg/ml になるようにDMSOに溶解した1−エチル‐3−(3− ジメチルアミノプロピル) カルボジイミド塩酸塩溶液7 μl を加えた。その混合液を室温において1 時間、暗所で混和しながら反応させた。反応後、1Mの炭酸水素ナトリウム溶液40μl と、10mg/ml になるように蒸留水に溶解させた西洋ワサビペルオキシダーゼ溶液500 μl を混和しながら少量ずつ加えた。混合した溶液を室温において3 時間暗所でインキュベーションをした後PD−10 カラムを用いて精製を行った。
【0083】
PD−10 カラムはあらかじめ25mlのPBS でコンディショニングしておいた後、全体量が2.5ml になるようにPBS で希釈した反応液をカラムに通し、その後3.5ml のPBS で溶出させた。溶出液を約300 μl ずつ集め、その中から西洋ワサビペルオキシダーゼを含む画分のみ回収した。
【0084】
実施例7
最適化した直接競合ELISA法によるアラクロールの測定
1)96穴マイクロプレートに抗体AR201(5 μg/ml)を100 μl/ウェルの量を加えて4 ℃で一晩インキュベーションしてプレートに吸着させた。PBS で4 回洗浄後、0.5%のウシ血清アルブミン(BSA) を250 μl/ ウェル量を加え、25℃で2 時間インキュベーションした後、プレートを洗浄した。
【0085】
2)アラクロールハプテンと西洋ワサビペルオキシダーゼとの結合体を2 ×PBS で10,000倍に希釈した溶液とアラクロール標準溶液の各々50μl をウェルに加え、4 ℃で1 時間インキュベーションした後、プレートを洗浄した。
【0086】
3)0.2%のo−フェニレンジアミン発色溶液(100mM リン酸クエン酸緩衝液(pH5.0 )、0.003%過酸化水素水)の100 μl/ウェルを加え、25℃で10分間インキュベーションした後、4N硫酸50μl/ウェルを加えて酵素反応を止め、492nm および630nm の吸光度をマイクロプレートリーダーで測定した。
【0087】
抗体AR201を5 μg/mlの濃度でプレートに固相化し、アラクロールハプテンと西洋ワサビペルオキシダーゼとの結合体の2 ×PBS で10,000倍希釈した溶液と、メタノールに溶解したアラクロール標準ストック溶液を100ng/mlから蒸留水で段階的に希釈した溶液を用いることにより作成したアラクロールの標準阻害曲線を図2に示す。
【0088】
抗体AR201を用いた直接競合ELISAによるアラクロールの測定範囲は0.2 〜10ng/ml であり、IC50値は2.8ng/mlであった。
【0089】
実施例8
抗体のアラクロール構造類似化合物に対する交差反応性
アラクロールと化学構造が類似している化合物について抗体AR201、AR203およびAR306の交差反応性を調べた。交差反応性は試験化合物のIC50値を求め、次式により計算した。
【0090】
交差反応率(%)=(アラクロールのIC50値/ 試験化合物のIC50値)×100
上記式を用いて交差反応率を算出した結果を表1 に示す。
【0091】
【表1】
表1より、抗体AR201、AR203およびAR306はメタザクロール、メトラクロールおよびプロパクロールとは殆ど反応しなかった。またアセトクロールおよびプレチラクロールとわずかに反応した。ブタクロールについては抗体により反応性の違いが見られた。抗体AR203およびAR306はブタクロールに強く反応したが、抗体AR201の反応性は比較的低かった。この結果から、特に抗体AR201はアラクロールに対して特異性が高いことがわかった。
【0092】
以上の結果から、次のことが明らかになった。アラクロールハプテンと担体タンパク質との結合体をマウスに免疫して得られた脾臓細胞とミエローマ細胞を融合することにより、アラクロールと結合する抗体を産生する融合細胞を選抜した。この細胞を培養した培養上清を抗体として用い、アラクロールを測定するためのELISA法の最適条件を決定した。このELISA法によって、食品および環境中に存在するアラクロールをモニタリングするにあたっては、本ELISA法による簡便、迅速な方法が適していることが判明した。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、抗体AR201を用いた間接競合ELISA法におけるアラクロールに対する標準曲線を示す。
【図2】図2は、抗体AR201を用いた直接競合ELISA法におけるアラクロールに対する標準曲線を示す。
Claims (10)
- 前記nが2である請求項1に記載の化合物。
- 請求項1または2に記載の化合物をハプテンとし、当該ハプテンと高分子化合物との複合体を抗原として用いることにより得られるアラクロールに対する抗体。
- 前記抗体がモノクローナル抗体である請求項3に記載の抗体。
- アラクロール、アセトクロール、ブタクロールおよびプレチラクロールからなる除草剤群の測定方法に使用される、請求項4に記載のモノクローナル抗体。
- アラクロールおよびブタクロールからなる除草剤群の測定方法に使用される、請求項4に記載のモノクローナル抗体。
- 請求項4〜6いずれかに記載のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ。
- 前記ハイブリドーマがAR201(FERM P−19303)、AR203またはAR306である請求項7に記載のハイブリドーマ。
- 請求項4〜6いずれかに記載のモノクローナル抗体を含んでなるアラクロールの測定キット。
- 請求項4〜6いずれかに記載のモノクローナル抗体または請求項9に記載のキットを用いることを特徴とするアラクロールの測定方法。
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2003
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