JPH09309173A - イオン伝導性積層物、その製造方法及び用途 - Google Patents

イオン伝導性積層物、その製造方法及び用途

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JPH09309173A
JPH09309173A JP9067785A JP6778597A JPH09309173A JP H09309173 A JPH09309173 A JP H09309173A JP 9067785 A JP9067785 A JP 9067785A JP 6778597 A JP6778597 A JP 6778597A JP H09309173 A JPH09309173 A JP H09309173A
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JP9067785A
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Masataka Takeuchi
正隆 武内
Shiyuuichi Uchijiyou
秀一 内條
Takashi Okubo
隆 大久保
Junji Yotsuyanagi
淳二 四ツ柳
Motoyuki Hirata
元之 平田
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Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 室温あるいは低温でのイオン伝導性に優れ、
含水量が少ないイオン伝導性材料を実用的に取り扱う上
で十分な強度と保存安定性を有し、電気化学素子や電気
化学装置に組み込む場合に使用し易い形態であるイオン
伝導性材料、その製造方法、それを用いる電池、電気化
学的素子及び装置の製造方法を提供する。 【解決手段】 イオン伝導性材料を中間層とし、その上
下に該中間層よりイオン伝導性の低い材料からなる外層
を有し、少なくとも一方の外層は非電子伝導性材料から
なる層である積層物を提供する。また、その製造方法、
それを用いる電池、電気化学的素子及び装置の製造方法
を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高分子固体電解
質、高分子ゲル電解質等のイオン伝導性材料の積層物及
びその製造方法、イオン伝導性材料のフィルム化やシー
ト化技術、及び該積層物を用いる電気化学的素子及び装
置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アイオニクス分野でのダウンサイジン
グ、固体化という流れの中で、従来の電解質溶液にかわ
る新しいイオン伝導性材料として固体電解質材料が注目
されており、その固体一次電池や二次電池及び電解コン
デンサ、電気二重層コンデンサ、光電池、太陽電池、燃
料電池、エレクトロクロミック素子、各種センサ、帯電
防止フィルムへの応用が盛んに試みられている。従来か
ら電解質溶液を用いた電池では多孔性の薄膜フィルムセ
パレータに電解液を滲み込ませたものが用いられてい
る。その場合、多孔性フィルムの製造、加工費は高く、
コスト高の要因になっている。また電解液を保持する能
力がなく、上述の電池から部品外部への液漏れが起こっ
たり、あるいは電極物質の溶出などが発生しやすいため
に電池として長期信頼性、安全性に問題があった。それ
に対して、一般に、固体電解質材料を用いた製品ではそ
のような問題がなく、また薄型化することも可能であ
り、さらに固体電解質は耐熱性にも優れており、電池な
どの製品の作製工程においても有利である。特に高分子
物質を構成成分とする固体電解質材料を使用したもの
は、無機物に比較して電池の柔軟性が増し、種々の形状
に加工できるというメリットがある。
【0003】これら高分子物質を構成成分とした固体電
解質材料(以下単に「高分子固体電解質」または「高分
子ゲル電解質」ということもある。)の例として、「ブ
リティッシュ・ポリマー・ジャーナル(Br. Polym. J.
),第319巻、137頁、1975年」には、ポリ
エチレンオキサイドと無機アルカリ金属塩との複合物が
イオン伝導性を示すことが記載されているが、その室温
でのイオン伝導度は10 -7S/cmと低い。最近、オリ
ゴオキシエチレンを側鎖に導入した櫛型高分子が、イオ
ン伝導性を担っているオキシエチレン鎖の熱運動性を高
め、イオン伝導性が改良されることが多数報告されてい
る。例えば、「ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミス
トリイ(J. Phys. Chem.)、第89巻、987頁、19
84年」には、ポリメタクリル酸の側鎖にオリゴオキシ
エチレンを付加したものにアルカリ金属塩を複合化した
例が記載されている。さらに、「ジャーナル・オブ・ア
メリカン・ケミカル・ソサエティ(J. Am. Chem. Soc.
)、第106巻、6854頁、1984年」には、オ
リゴオキシエチレン側鎖を有するポリホスファゼンにア
ルカリ金属塩を複合化した例が記載されている。
【0004】米国特許第4357401号に、結晶性を
下げた架橋高分子に金属塩を複合させた、50℃で10
-4〜10-5S/cm程度のイオン伝導性の高分子固体電
解質が得られることが記載されている。一方、米国特許
第4792504号に、ポリ酸化エチレンの連続ネット
ワーク中に金属塩及び非プロトン性溶剤からなる電解液
が含浸された架橋系高分子固体電解質を用いることによ
り、イオン伝導度が改善されることが提案されている。
さらに、近年、メモリーバックアップ電源用などに、活
性炭、カーボンブラックなど比表面積の大きい炭素材料
を分極性電極として、その間にイオン伝導性溶液を配置
する電気二重層コンデンサが多用されてきている。例え
ば、「機能材料1989年2月号33頁」には、炭素系
分極性電極と有機電解液を用いたコンデンサが、「第1
73回エレクトロケミカルソサエティ・ミーティング・
アトランタ・ジョージア,5月号,No.18,198
8年」には、硫酸水溶液を用いた電気二重層コンデンサ
が記載されている。また、特開昭63−244570号
公報では、高電気伝導性を有するRb2 Cu33 Cl
7 を無機系固体電解質として用いるコンデンサが開示さ
れている。
【0005】しかしながら、現在の電解質溶液を用いた
電気二重層コンデンサでは、長期間の使用や高電圧が印
加される場合などの異常時には、コンデンサの外部への
液漏れなどが発生し易いために長期使用や信頼性に問題
がある。一方、従来の無機系イオン伝導性物質を用いた
電気二重層コンデンサは、イオン伝導性物質の分解電圧
が低く、出力電圧が低いという問題があった。特開平4
−253771号では、ポリホスファゼン系高分子を電
池や電気二重層コンデンサのイオン伝導性物質として用
いることを提示しており、このような高分子を主成分と
した固体イオン伝導性物質を使用したものは、無機系イ
オン伝導性物質に比較して出力電圧が高く、種々の形状
に加工でき、封止も簡単であるというメリットがある。
【0006】一般的に検討されている高分子固体電解質
のイオン伝導度は、室温における値で10-4〜10-5
/cm程度まで改善されたものの、液体系イオン伝導性
物質に比較するとなお二桁以上低いレベルである。ま
た、0℃以下の低温になると、一層極端にイオン伝導性
が低下する。これらの高分子固体電解質に用いられる高
分子としてはイオン伝導度を向上させる為にガラス転移
点が低いものが用いられるが、ガラス転移点を下げると
その機械的強度が低下し、工業的に取り扱うことが困難
であるなどの問題点を有している。またイオン伝導度を
さらに改善するために溶剤を添加した場合、機械的強度
がさらに低下するという問題点を有している。また、こ
れら高分子固体電解質に用いられる高分子は通常水分を
吸収しやすく、例えば、リチウム(イオン)電池や電気
二重層コンデンサ等の非水系電気化学素子に工業的に使
用するためにはその水分吸収性が問題点となっている。
【0007】イオン伝導性材料は、上記のような電池、
コンデンサの他にも、エレクトロクロミック表示装置、
光電池、太陽電池等のような発電装置等の電気化学的装
置やそれら装置の組立に用いられる電気化学的発電素
子、電気化学的発色素子、電気化学的発光素子等の電気
化学的素子を構成する重要な構成材料であり、また、帯
電防止材等の静電気作用の弊害を除去する材料、センサ
材料としても重要な構成材料であるが、電池やコンデン
サについて上述した従来のイオン伝導性材料のかかえる
諸問題はこれら用途の製品の製造上でも大きな問題であ
るため、これらの問題点を改善した、イオン伝導性に優
れる高分子固体電解質材料の開発、かかる高分子固体電
解質などのイオン伝導性材料をより有利に使用できる材
料の開発が望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】かかる状況において、
本発明においては、室温あるいは低温でのイオン伝導性
に優れ、含水量が少ないイオン伝導性材料を、実用的に
取り扱う上で十分な機械的強度と保存安定性を有し、該
イオン伝導性材料を用いる電気化学素子や電気化学装置
に組み込む場合に使用し易い形態であるイオン伝導性積
層物として保持する方法及びかかるイオン伝導性積層物
の製造方法を開発することを目的とする。また本発明
は、本発明によるイオン伝導性積層物中に保持されたイ
オン伝導性材料を使用する、高性能で信頼性に優れた電
池、電気二重層コンデンサ、エレクトロクロミック素
子、光電池、太陽電池などの電気化学素子、電気化学的
発電素子、発色素子、発光素子等の電気化学装置、ある
いは本発明のイオン伝導性積層物を用いる導電材料を提
供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題に
ついて鋭意検討した結果、イオン伝導性材料からなる層
の上部及び下部に、取り扱い上十分な強度を有し、非透
液性、とりわけ非透水性であり且つ該イオン伝導性材料
よりイオン伝導性が低く非電子伝導性の材料からなる層
と取り扱い上十分な強度を有し、非透液性、とりわけ非
透水性であり且つ該イオン伝導性材料よりイオン伝導性
の低い材料からなる層を配置した積層物が、該イオン伝
導性材料を工業的に取り扱う点で、その雰囲気制御や強
度等の欠点を克服できることを見出し、本発明に至っ
た。
【0010】すなわちイオン伝導性材料を中間層とし、
それぞれ非イオン伝導性材料からなる層を外層とし、少
なくとも一方の外層は非電子伝導性材料からなる層であ
る積層物、イオン伝導性材料を中間層とし、非イオン伝
導性材料からなる層を一方の外層とし、中間層のイオン
伝導性材料よりイオン伝導性が低い材料からなる層をも
う一方の外層とし、少なくとも一方の外層は非電子伝導
性材料からなる層である積層物、あるいはイオン伝導性
材料を中間層とし、それぞれの外層は中間層のイオン伝
導性材料よりイオン伝導性が低い材料からなる層であっ
て少なくとも一方の外層は非電子伝導性材料からなる層
である積層物、並びにこれらの製造方法を提供すること
を目的とする。また、本発明者らは上記積層物に保持さ
れたイオン伝導性材料の工業的取り扱いが従来より容易
になり、優れた品質を保持した状態で種々の電気化学装
置の製造に用いることができるような該積層物の使用方
法を提供すること、それにより該積層物を用いる電池、
コンデンサ、エレクトロクロミック表示装置、光電池、
太陽電池等の電気化学素子、電気化学的発電素子、発色
素子、発光素子等の電気化学装置の製造方法を提供する
こと、また該積層物を用いる導電材料の製造方法を提供
することを目的とする。
【0011】すなわち本発明は以下のものに関する。 (1)イオン伝導性材料からなる層Aの上部及び下部に
それぞれ層B及び層Cを有する積層物であって、層B及
び層Cはそれぞれ層Aよりイオン伝導性の低い材料から
なり、層B及び層Cの少なくとも一方は非電子伝導性材
料からなる層であることを特徴とする積層物。 (2)層B及び層Cの少なくとも一方が、平均分子量約
400のポリエチレングリコールの接触角が80゜以下
であるような層である前記(1)記載の積層物。 (3)層B及び層Cの少なくとも一方が、平均分子量約
400のポリエチレングリコールの接触角が60゜以下
であるような層である前記(1)記載の積層物。 (4)層B及び層Cが非透液性層である前記(1)〜
(3)のいずれかに記載の積層物。
【0012】(5)層B及び層Cが非透水性層である前
記(1)〜(4)のいずれかに記載の積層物。 (6)層B及び層Cの少なくとも一方が、誘電率が8以
下である物質からなる層である前記(1)〜(5)のい
ずれかに記載の積層物。 (7)層B及び層Cの少なくとも一方のイオン伝導度が
層Aのイオン伝導度に比べて十分の一以下である前記
(1)〜(6)のいずれかに記載の積層物。 (8)層B及び層Cの少なくとも一方が熱可塑性樹脂あ
るいはその組成物からなる層である前記(1)〜(7)
のいずれかに記載の積層物。 (9)層B及び層Cの少なくとも一方がエンジニアリン
グプラスチック、熱硬化性樹脂あるいはそのいずれかを
含む組成物からなる層である前記(1)〜(7)のいず
れかに記載の積層物。
【0013】(10)層Aのイオン伝導性材料の比抵抗
が106 Ω・cm以下である前記(1)〜(9)のいず
れかに記載の積層物。 (11)層Aのイオン伝導性材料の比抵抗が105 Ω・
cm以下である前記(1)〜(9)のいずれかに記載の
積層物。 (12)層Aの厚さが0.1〜1000μmの範囲であ
る前記(1)〜(11)のいずれかに記載の積層物。 (13)層Aの水分量が200ppm以下である前記
(1)〜(12)のいずれかに記載の積層物。 (14)層Aが、層Aの形状を実質的に損なうことなく
層Bまたは層Cを剥離させることができる剥離強度を有
する層である前記(1)〜(13)のいずれかに記載の
積層物。
【0014】(15)層B及び層Cの少なくとも一方が
光透過性の層である前記(1)〜(14)のいずれかに
記載の積層物。 (16)層B及び層Cが光非透過性の層である前記
(1)〜(14)のいずれかに記載の積層物。 (17)層B及び層Cがガス非透過性の層であることを
特徴とする前記(1)〜(16)のいずれかに記載の積
層物。 (18)層Bまたは層Cが電子伝導性材料からなる層で
あり、かかる電子伝導性材料からなる層に電子伝導性電
導体を接続させてなる前記(1)〜(17)のいずれか
に記載の積層物。 (19)層Aの異なる2カ所の部位に電子伝導性電導体
を接続させてなる前記(1)〜(17)のいずれかに記
載の積層物。
【0015】(20)層Aが架橋高分子を構成成分とす
る材料からなる層である前記(1)〜(19)のいずれ
かに記載の積層物。 (21)層Aが主鎖及び/または側鎖に少なくとも1個
のアルキレンオキシ含有鎖を有する架橋高分子を構成成
分とする材料からなる層である前記(1)〜(19)の
いずれかに記載の積層物。 (22)層Aが主鎖及び/または側鎖に少なくとも1個
のアルキレンオキシ含有鎖及び少なくとも1つの−NH
−C(=O)−O−結合を有する架橋高分子を構成成分
とする材料からなる層である前記(1)〜(19)のい
ずれかに記載の積層物。
【0016】(23)層Aが、少なくとも1つの下記一
般式(1) CH2 =C(R1 )CO[O(CH2x (CH(CH3 ))yz NHCOO −R2 − (1) [式中、R1 は水素またはメチル基を表し、R2 はオキ
シアルキレン基を含む2価の有機基を表す。該有機基は
直鎖状、分岐状、環状構造のいずれからなるものでもよ
く、炭素、水素及び酸素以外の元素が1個以上含まれて
いてもよい。x及びyはそれぞれ0または1〜5の整数
を、zは0または1〜10の数値を示す。但しx及びy
がともに0のときはzも0である。また(CH2 )と
(CH(CH3 ))は不規則に配列してもよい。但し、
同一分子内に複数個の上記一般式(1)で表されるユニ
ットを含有する場合には1つのユニットのR1 、R2
他のユニットのR1 、R2 と異なっていてもよく、同様
に1つのユニットのx、y、zの値は、他のユニットの
x、y、zの値と異なっていてもよい。]で表されるユ
ニットで置換されている構造を有する(メタ)アクリロ
イル系化合物の重合体及び/または該化合物を共重合成
分とする共重合体を構成成分とする材料からなる層であ
る前記(1)〜(19)のいずれかに記載の積層物。
【0017】(24)層Aのイオン伝導性材料が電解質
塩及び/または溶媒を含んでいることを特徴とする前記
(1)〜(23)のいずれかに記載の積層物。 (25)電解質塩が、アルカリ金属塩、4級アンモニウ
ム塩、4級ホスホニウム塩から選ばれた少なくとも一種
である前記(24)に記載の積層物。 (26)溶媒が誘電率1以上のカーボネート系化合物、
ラクトン系化合物、エーテル系化合物から選ばれた少な
くとも一種である前記(24)または(25)記載の積
層物。 (27)層Aと層Bの間及び/または層Aと層Cの間に
金属、金属酸化物または炭素からなる薄膜層を有する前
記(1)〜(26)のいずれかに記載の積層物。
【0018】(28)層B及び層Cのいずれか一方の層
と層Aの間に電子伝導性の薄膜層を有し、もう一方の層
が非電子伝導性材料からなる層であることを特徴とする
前記(1)〜(27)のいずれかに記載の積層物。 (29)薄膜層に電子伝導性電導体を接続させてなる前
記(27)または(28)記載の積層物。 (30)イオン伝導性材料からなる層Aを、層Aよりイ
オン伝導性の低い材料からなる層Bの上に、層A材料が
層B上を実質的に流動もしくは移動しない状態に積層し
て層B/層Aからなる積層構造物とし、次いで層Aの上
に層Aよりイオン伝導性の低い材料からなる層Cを積層
して層B/層A/層Cからなる積層構造物とした後、積
層構造物の層B側の表面と層C側の表面に対向する力を
加えて加圧することを特徴とする前記(1)〜(26)
のいずれかに記載の積層物の製造方法。
【0019】(31)硬化性物質を含有するイオン伝導
性材料からなる層Aを、層Aよりイオン伝導性の低い材
料からなる層Bの上に、層A材料が層B上を実質的に流
動もしくは移動しない状態に積層して層B/層Aからな
る積層構造物とし、次いで層Aの上に層Aよりイオン伝
導性の低い材料からなる層Cを積層して層B/層A/層
Cからなる積層構造物とした後、積層構造物の層B側の
表面と層C側の表面に対向する力を加えて加圧すること
を特徴とする前記(1)〜(26)のいずれかに記載の
積層物の製造方法。 (32)硬化性物質を含有するイオン伝導性材料からな
る層Aを、層Aよりイオン伝導性の低い材料からなる層
Bの上に、層A材料が層B上を実質的に流動もしくは移
動しない状態に積層して層B/層Aからなる積層構造物
とし、次いで加熱及び/または活性光線照射により層A
に硬化反応を起こさせた後、該層Aの上に層Aよりイオ
ン伝導性の低い材料からなる層Cを積層して層B/層A
/層Cからなる積層構造物とし、更にその後、積層構造
物の層B側の表面と層C側の表面に対向する力を加えて
加圧することを特徴とする前記(1)〜(26)のいず
れかに記載の積層物の製造方法。
【0020】(33)前記(30)〜(32)記載の積
層物の製造方法において、加圧する前あるいは加圧しな
がら加熱及び/または活性光線を照射することを特徴と
する積層物の製造方法。 (34)層B/層Aからなる積層構造物が、溶媒を含有
するイオン伝導性材料からなる層Aを、層Aよりイオン
伝導性の低い材料からなる層Bの上に積層した後、層A
材料が層B上を実質的に流動もしくは移動しない状態ま
で溶媒を除去することにより得られる実質的に非流動性
の層Aを構成層とする層B/層Aからなる積層構造物で
あることを特徴とする前記(30)〜(33)のいずれ
かに記載の積層物の製造方法。 (35)層Aよりイオン伝導性の低い材料からなる層B
の一方の表面に金属、金属酸化物または炭素からなる薄
膜層D1 を形成し、次にその薄膜層D1 の上にイオン伝
導性材料からなる層Aを、層A材料が薄膜層D1 上を実
質的に流動もしくは移動しない状態に積層して層B/薄
膜層D1 /層Aからなる積層構造物とし、その後層Aの
上に層Aよりイオン伝導性の低い材料からなる層Cを積
層して層B/薄膜層D1 /層A/層Cからなる積層構造
物とした後、積層構造物の層B側の表面と層C側の表面
に対向する力を加えて加圧することを特徴とする前記
(1)〜(26)のいずれかに記載の積層物の製造方
法。
【0021】(36)層Aよりイオン伝導性の低い材料
からなる層Cの一方の表面に金属、金属酸化物または炭
素からなる薄膜層D2 を形成し、次にその薄膜層D2
上に、イオン伝導性材料からなる層Aよりイオン伝導性
の低い材料からなる層Bの上に層A材料が層B上を実質
的に流動もしくは移動しない状態に層Aを積層した層B
/層Aからなる積層構造物の層A面を積層して層C/薄
膜層D2 /層A/層Bからなる積層構造物とした後、積
層構造物の層B側の表面と層C側の表面に対向する力を
加えて加圧することを特徴とする前記(1)〜(26)
のいずれかに記載の積層物の製造方法。 (37)層Aよりイオン伝導性の低い材料からなる層B
の一方の表面に金属、金属酸化物または炭素からなる薄
膜層D1 を形成し、次にその薄膜層D1 の上に硬化性物
質を含有するイオン伝導性材料からなる層Aを、層A材
料が薄膜層D1 上を実質的に流動もしくは移動しない状
態に積層して層B/薄膜層D1 /層Aからなる積層構造
物とし、その後層Aの上に層Aよりイオン伝導性の低い
材料からなる層Cを積層して層B/薄膜層D1 /層A/
層Cからなる積層構造物とした後、積層構造物の層B側
の表面と層C側の表面に対向する力を加えて加圧するこ
とを特徴とする前記(1)〜(26)のいずれかに記載
の積層物の製造方法。
【0022】(38)層Aよりイオン伝導性の低い材料
からなる層Cの一方の表面に金属、金属酸化物または炭
素からなる薄膜層D2 を形成し、次にその薄膜層D2
上に、硬化性物質を含有するイオン伝導性材料からなる
層Aを層Aよりイオン伝導性の低い材料からなる層Bの
上に層A材料が層B上を実質的に流動もしくは移動しな
い状態に層Aを積層した層B/層Aからなる積層構造物
の層A面を積層して層C/薄膜層D2 /層A/層Bから
なる積層構造物とした後、積層構造物の層B側の表面と
層C側の表面に対向する力を加えて加圧することを特徴
とする前記(1)〜(26)のいずれかに記載の積層物
の製造方法。 (39)層Aよりイオン伝導性の低い材料からなる層B
の一方の表面に金属、金属酸化物または炭素からなる薄
膜層D1 を形成し、次にその薄膜層D1 の上に硬化性物
質を含有するイオン伝導性材料からなる層Aを、層A材
料が薄膜層D1 上を実質的に流動もしくは移動しない状
態に積層して層B/薄膜層D1 /層Aからなる積層構造
物とし、その後加熱及び/または活性光線照射により層
Aに硬化反応を起こさせた後、層Aの上に層Aよりイオ
ン伝導性の低い材料からなる層Cを積層して層B/薄膜
層D1 /層A/層Cからなる積層構造物とした後、積層
構造物の層B側の表面と層C側の表面に対向する力を加
えて加圧することを特徴とする前記(1)〜(26)の
いずれかに記載の積層物の製造方法。
【0023】(40)硬化性物質を含有するイオン伝導
性材料からなる層Aを層Aよりイオン伝導性の低い材料
からなる層Bの上に層A材料が層B上を実質的に流動も
しくは移動しない状態に積層して層B/層Aからなる積
層構造物とし、次いで加熱及び/または活性光線照射に
より層Aに硬化反応を起こさせた後、層Aの上に、層A
よりイオン伝導性の低い材料からなる層Cの一方の表面
に金属、金属酸化物または炭素からなる薄膜層D2 を有
する層Cの該薄膜層D2 面を積層して層C/薄膜層D2
/層A/層Bからなる積層構造物とした後、積層構造物
の層B側の表面と層C側の表面に対向する力を加えて加
圧することを特徴とする前記(1)〜(26)のいずれ
かに記載の積層物の製造方法。 (41)前記(1)〜(29)のいずれかに記載の積層
物の層B及び層Cの少なくとも一方を層Aから除去する
工程、または層Aに対向する面上に金属、金属酸化物ま
たは炭素からなる薄膜層を有する層Bもしくは層Cと該
薄膜層とを層Aから除去する工程、及び次いで層Aの少
なくとも一方の除去面上に電気化学的活性物質を含有す
る材料からなる層を形成する工程を有する電気化学素子
の製造方法。
【0024】(42)前記(1)〜(29)のいずれか
に記載の積層物の層B及び層Cの少なくとも一方を層A
から除去する工程、または層Aに対向する面上に金属、
金属酸化物または炭素からなる薄膜層を有する層Bもし
くは層Cと該薄膜層とを層Aから除去する工程、及び次
いで層Aの少なくとも一方の除去面上に電気化学的活性
物質を含有する材料からなる層を形成する工程を有する
電気化学的発電素子の製造方法。 (43)前記(1)〜(29)のいずれかに記載の積層
物の層B及び層Cの少なくとも一方を層Aから除去する
工程、または層Aに対向する面上に金属、金属酸化物ま
たは炭素からなる薄膜層を有する層Bもしくは層Cと該
薄膜層とを層Aから除去する工程、及び次いで層Aの少
なくとも一方の除去面上に電気化学的活性物質を含有す
る材料からなる層を形成する工程を有する電気化学的発
色素子の製造方法。
【0025】(44)前記(1)〜(29)のいずれか
に記載の積層物の層B及び層Cの少なくとも一方を層A
から除去する工程、または層Aに対向する面上に金属、
金属酸化物または炭素からなる薄膜層を有する層Bもし
くは層Cと該薄膜層とを層Aから除去する工程、及び次
いで層Aの少なくとも一方の除去面上に電気化学的活性
物質を含有する材料からなる層を形成する工程を有する
電気化学的発光素子の製造方法。 (45)前記(1)〜(29)のいずれかに記載の積層
物の層B及び層Cの少なくとも一方を層Aから除去する
工程、または層Aに対向する面上に金属、金属酸化物ま
たは炭素からなる薄膜層を有する層Bもしくは層Cと該
薄膜層とを層Aから除去する工程、及び次いで層Aの少
なくとも一方の除去面上に電気化学的活性物質を含有す
る材料からなる層を形成する工程を有する電池の製造方
法。
【0026】(46)前記(1)〜(29)のいずれか
に記載の積層物の層B及び層Cの少なくとも一方を層A
から除去する工程、または層Aに対向する面上に金属、
金属酸化物または炭素からなる薄膜層を有する層Bもし
くは層Cと該薄膜層とを層Aから除去する工程、及び次
いで層Aの少なくとも一方の除去面上に電気化学的活性
物質を含有する材料からなる層を形成する工程を有する
コンデンサの製造方法。 (47)前記(1)〜(29)のいずれかに記載の積層
物の層B及び層Cの少なくとも一方を層Aから除去する
工程、または層Aに対向する面上に金属、金属酸化物ま
たは炭素からなる薄膜層を有する層Bもしくは層Cと該
薄膜層とを層Aから除去する工程、及び次いで層Aの少
なくとも一方の除去面上に電気化学的活性物質を含有す
る材料からなる層を形成する工程を有するエレクトロク
ロミック素子の製造方法。
【0027】(48)前記(1)〜(29)のいずれか
に記載の積層物の層B及び層Cの少なくとも一方を層A
から除去する工程、または層Aに対向する面上に金属、
金属酸化物または炭素からなる薄膜層を有する層Bもし
くは層Cと該薄膜層とを層Aから除去する工程、及び次
いで層Aの少なくとも一方の除去面上に電気化学的活性
物質を含有する材料からなる層を形成する工程を有する
光電池の製造方法。 (49)前記(1)〜(29)のいずれかに記載の積層
物の層B及び層Cの少なくとも一方を層Aから除去する
工程、または層Aに対向する面上に金属、金属酸化物ま
たは炭素からなる薄膜層を有する層Bもしくは層Cと該
薄膜層とを層Aから除去する工程、及び次いで層Aの少
なくとも一方の除去面上に電気化学的活性物質を含有す
る材料からなる層を形成する工程を有する太陽電池の製
造方法。 (50)前記(1)〜(29)のいずれかに記載の積層
物の層B及び層Cの少なくとも一方を層Aから除去する
工程、または層Aに対向する面上に金属、金属酸化物ま
たは炭素からなる薄膜層を有する層Bもしくは層Cと該
薄膜層とを層Aから除去する工程により、層A/層C積
層物または層B/層A積層物を製造し、同様にして製造
した層A/層C積層物または層B/層A積層物とそれぞ
れの層Aが接合されるように積層する工程を有する、層
B/層A/層C、層B/層A/層B、または層C/層A
/層C積層構造を有する電気化学素子の製造方法。
【0028】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のイオン伝導性積層物に用いられるイオン伝導性
材料とは、イオン伝導性を有する物質(イオン伝導性物
質)、イオン伝導性物質を含有する混合物もしくは複合
物、又はイオン性物質とイオン伝導性物質を含有する混
合物もしくは複合物、あるいは前記混合物もしくは複合
物に硬化性物質、溶媒、添加物、充填材もしくはその他
のものを含むものであってイオン伝導性を示す材料をい
い、液体状、ゾル状、固体状、ゲル状のうち如何なるも
のであってもよい。本発明の積層物に用いられるイオン
伝導性材料には、用途によっては、例えば加熱、活性光
線照射あるいは溶媒除去などにより、より望ましいイオ
ン伝導特性に変換されたり、物理あるいは化学的性質が
変化する、いわゆる前駆物質からなる材料も包含され
る。
【0029】ここで、イオン性物質とは、電場の作用の
もとに電荷が移動して電流が現れる電気伝導において、
電気を運ぶ担体であるイオンを提供する物質をいい、例
えば、アルカリ金属塩、四級アンモニウム塩、四級ホス
ホニウム塩、遷移金属塩、プロトン酸、高分子電解質塩
など、各種のイオン種を構成要素とする物質が挙げられ
る。これらイオン性物質としては、一般に電池、コンデ
ンサ、エレクトロクロミック素子等に用いられる電解質
塩等のイオン性物質をいずれも好適に用いることがで
き、後述の電池やコンデンサ等の電気化学素子あるいは
装置において例示されるアルカリ金属塩、四級アンモニ
ウム塩、四級ホスホニウム塩、遷移金属塩等の電解質塩
やプロトン酸を具体例として例示できる。
【0030】電解質塩として用いられるアルカリ金属塩
の例としては、例えば、LiCF3SO3 、LiPF
6 、LiClO4 、LiI、LiBF4 、LiSCN、
LiAsF6 、LiN(CF3 SO22 、NaCF3
SO3 、NaPF6 、NaClO4 、NaI、NaBF
4 、NaAsF6 、KCF3 SO3 、KPF6 、KI等
を挙げることができる。また四級アンモニウム塩、四級
ホスホニウム塩、遷移金属塩等の電解質塩、プロトン酸
の例としては、(CH34 NBF4 、(CH3 CH
24 NClO4 等の4級アンモニウム塩、AgClO
4 等の遷移金属塩、(CH34 PBF4 等の4級ホス
ホニウム塩、パラトルエンスルホン酸等の有機酸及びそ
の塩、塩酸、硫酸等の無機酸等が挙げられる。
【0031】本発明の積層物の層Aのイオン伝導性材料
を高分子固体電解質(以下「高分子固体電解質」を「S
PE」と略記する。)あるいは高分子ゲル電解質(以下
「高分子ゲル電解質」を「PGE」と略記する。)とし
て電気化学装置、例えば二次電池に用いる場合には、ア
ルカリ金属としては、リチウムまたはリチウム合金を用
いた場合が、高電圧、高容量であり、かつ薄膜化が可能
である点から特に好ましいため、前記アルカリ塩として
はリチウム塩が特に好ましい。また、電池の負極が炭素
材負極の場合には、アルカリ金属イオンだけでなく、4
級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩、遷移金属塩、
各種プロトン酸が使用できる。また、本発明の積層物の
層Aのイオン伝導性材料をSPEあるいはPGEとして
固体電気二重層コンデンサに用いる場合には、複合に用
いる電解質の種類は特に限定されるものではなく、電荷
キャリアーとしたいイオンを含んだ化合物を用いればよ
いが、SPEあるいはPGE中での解離定数が大きく、
分極性電極と電気二重層を形成しやすいイオンを含むこ
とが望ましい。このような化合物としては、(CH3
4 NBF4 、(CH3 CH24 NClO4 等の4級ア
ンモニウム塩、AgClO4 等の遷移金属塩、(CH
34 PBF4 等の4級ホスホニウム塩、LiCF3
3 、LiPF6 、LiClO4 、LiI、LiBF
4 、LiSCN、LiAsF6 、LiN(CF3 SO
22 、NaCF3 SO3 、NaPF6 、NaClO
4 、NaI、NaBF4 、NaAsF6 、KCF3 SO
3 、KPF6 、KI等のアルカリ金属塩、パラトルエン
スルホン酸等の有機酸及びその塩、塩酸、硫酸等の無機
酸等が挙げられる。この中で、出力電圧が高く取れ、解
離定数が大きいという点から、4級アンモニウム塩、4
級ホスホニウム塩、アルカリ金属塩が特に好ましい。4
級アンモニウム塩の中では、(CH3 CH2 )(CH3
CH2 CH2 CH23 NBF4 のような、アンモニウ
ムイオンの窒素上の置換基が異なっているものが、SP
EあるいはPGEへの溶解性あるいは解離定数が大きい
という点から特に好ましい。
【0032】層Aを構成するイオン伝導性材料におい
て、これら電解質塩等のイオン性物質の混合量としては
混合する高分子物質や他の成分によっても異なり、ま
た、積層物の用途によっても異なるため一概に規定でき
ないが、少なすぎるとイオンキャリアー数が不足し、多
すぎると移動度が減少するためイオン伝導度が低下す
る。従ってイオン伝導性材料中の好ましい量としては下
記の高分子物質とイオン性物質の合計量の0.1〜70
重量%であり、1〜50重量%が特に好ましい。また、
イオン伝導性物質とは、電気を運ぶ担体であるイオンの
存在下、電場の作用のもとに、イオンが該物質からなる
液体内あるいは固体内を移動して電流が現れる電気伝導
を示す物質をいい、例えば、前記イオン性物質自体がイ
オン伝導性物質の一種であり、また、例えばリシコン
(LISICON)、ナシコン(NASICON)等の
ようなイオン伝導性無機化合物、その誘導体、これら無
機化合物と高分子物質との混合あるいは複合物、ナフィ
オン、ポリスチレンスルホン酸及びその誘導体のような
高分子イオン性物質(いわゆる高分子電解質)、及びか
かるイオン伝導性の電気伝導を示すその他の高分子物質
がイオン伝導性物質として挙げられる。本発明のイオン
伝導性積層物、その製造方法及びそれを用いる各種用途
において、積層物の層Aを構成するイオン伝導性物質と
しては、かかるイオン伝導による電気伝導を示す物質の
中で、高分子物質がとりわけ望ましい物質であり、この
ようなイオン伝導性の電気伝導を示す高分子物質であれ
ば、如何なる高分子物質であっても本発明のイオン伝導
性積層物に好適に用いることができる。
【0033】本発明のイオン伝導性積層物の層Aを構成
するイオン伝導性材料は、上記のごとくイオン伝導によ
る電気伝導を示す高分子物質を構成成分とするSPEま
たはPGEあるいはそれらの前駆物質からなる材料であ
ることが特に望ましいが、これらSPEやPGEに用い
るイオン伝導性高分子物質としては、電解質塩などのイ
オン性物質を溶解、解離できるものや電解液を吸液でき
るものが、層Aのイオン伝導度や電気化学素子あるいは
装置に用いる場合の電気化学的安定性等の点からより好
ましく用いられ、このような高分子物質の例としては、
飽和直鎖状炭化水素系高分子より誘電率が高く、炭素、
水素以外のヘテロ原子を主鎖繰り返し単位中及び/また
は側鎖中に一種以上有しているものがより好ましく、ガ
ラス転移点が低いものが更により好ましい。例えばポリ
エチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エチレン
オキシド/プロピレンオキシド共重合体あるいはこれら
の誘導体、グラフト体もしくは架橋体、あるいはまた、
前記のようなポリアルキレンオキシド鎖を主鎖及び/ま
たは側鎖に有する高分子物質、ポリシロキサン、ポリホ
スファゼン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリア
クリロニトリル、ラテックス及びこれらの誘導体、ある
いはその他の少なくとも1個のO、N、あるいはS原子
を繰り返し単位及び/または側鎖中に有する高分子物質
などでイオン伝導性の高分子物質が挙げられる。尚、本
発明の詳細な説明において「(メタ)アクリ・・・」と
は「メタクリ・・・」または「アクリ・・・」を総称し
て表現していることを意味し、また、「アルキレンオキ
シ」と「オキシアルキレン」とは実質的に互いに同義語
として用いられる。
【0034】イオン伝導性のその他の高分子物質の例と
しては、例えば、その前駆体である次に示すような官能
性モノマーあるいはオリゴマーの重合体あるいは共重合
体、あるいはそれらの架橋体が好ましく例示できる。N
−(メタ)アクリロイルカルバミド酸ω−メチルオリゴ
オキシエチルエステル、(メタ)アクリロイルオキシエ
チルカルバミド酸ω−メチルオリゴオキシエチルエステ
ル等の下記一般式(1)で表されるユニットを1分子中
に少なくとも1つ有する(メタ)アクリロイル系化合物
(以下、この化合物をオキシアルキレン鎖を有するウレ
タン(メタ)アクリレートという。) CH2 =C(R1 )CO[O(CH2x (CH(CH3 ))yz NHCOO −R2 − (1) [式中、R1 は水素またはメチル基を表し、R2 はオキ
シアルキレン基を含む2価の有機基を表す。該有機基は
直鎖状、分岐状、環状構造のいずれからなるものでもよ
く、炭素、水素及び酸素以外の元素が1個以上含まれて
いてもよい。x及びyはそれぞれ0または1〜5の整数
を、zは0または1〜10の数値を示す。但しx及びy
がともに0のときはzも0である。また(CH2 )と
(CH(CH3 ))は不規則に配列してもよい。但し、
同一分子内に複数個の上記一般式(1)で表されるユニ
ットを含有する場合には1つのユニットのR1 、R2
他のユニットのR1 、R2 と異なっていてもよく、同様
に1つのユニットのx、y、zの値は、他のユニットの
x、y、zの値と異なっていてもよい。]。
【0035】またラディエーション・キュアリング19
86年8月号(Radiation Curing;August 1986)4頁以
降に記載されている各種ウレタンアクリレート類、例え
ば共栄社油脂化学工業等で生産されているフェニルグリ
シジルエーテルアクリレートヘキサメチレンジイソシア
ネートウレタンプレポリマー、フェニルグリシジルエー
テルアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタン
プレポリマー等、メタクリル酸ω−メチルオリゴオキシ
エチルエステル等のオキシアルキレン鎖を有する(メ
タ)アクリルエステルやジ(メタ)アクリルエステル、
またはメタクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル等の
(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アクリルアミ
ド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミ
ド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、アクリロイル
モルホリン、メタクリロイルモルホリン、N,N−ジメ
チルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の(メ
タ)アクリルアミド系化合物、N−ビニルアセトアミ
ド、N−ビニルホルムアミド等のN−ビニルアミド系化
合物、エチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテ
ル、ヘキサメチレンジ(メタ)アクリレート、トリメチ
ロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリ
スリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリ
スリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能性
(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0036】これらの中で極めて好ましいものとして
は、前記オキシアルキレン鎖を有するウレタン(メタ)
アクリレート、その他各種ウレタンアクリレート、オキ
シアルキレン鎖を有する(メタ)アクリルエステル、
(メタ)アクリルアミド系化合物等が挙げられる。更に
これらの中で、高分子中にウレタン基やオキシアルキレ
ン基をより多く導入できることを考慮すると、前記オキ
シアルキレン鎖を有するウレタン(メタ)アクリレート
が特に好ましい。
【0037】本発明の積層物に用いられる、層Aを構成
するイオン伝導性物質としては、上記の各種官能性モノ
マーあるいはオリゴマーの重合体あるいは共重合体、あ
るいはそれらの高分子架橋体が用いられるが、層Aを構
成するかかるイオン伝導性物質を形成する前駆体である
前記官能性モノマーあるいはオリゴマー等の硬化性物質
を層Aの前駆材料中に含む層を形成してから、重合等の
方法で硬化させて前記重合体あるいは共重合体、あるい
は高分子架橋体とすることもできる。得られる高分子物
質にイオン性物質や電解液を含有させたイオン伝導性材
料の場合には、その機械的強度を保つために、これら高
分子物質は高分子架橋体であることが特に望ましい。上
記層Aを構成するイオン伝導性物質を製造する場合、あ
るいは層Aの前駆材料を重合等の方法で硬化して層Aと
する場合、イオン伝導性物質を高分子架橋体とする為に
上記の各種官能性モノマーあるいはオリゴマーを重合す
る際に少なくとも一種の多官能性モノマーやオリゴマー
を混合して用いることが好ましい。その際に用いられる
多官能性モノマーあるいはオリゴマーは上記の各種の官
能性モノマーあるいはオリゴマーの中で2官能以上のも
のを特に好ましく用いることができるが、上記以外でも
例えばジビニルベンゼン、ジオールあるいはポリオール
とジイソシアナートあるいは多官能イソシアナートの混
合物など、あるいはビニル基、アミノ基、イソシアナト
基、エポキシ基等各種の官能基を複数有する架橋性モノ
マーあるいはオリゴマーであれば目的の性能に合わせて
適宜用いることができる。
【0038】特に、本発明のイオン伝導性積層物の層A
を構成するイオン伝導性材料の重要な構成成分である高
分子物質として、前記オキシアルキレン鎖を有するウレ
タン(メタ)アクリレートの中でも3価以上の多価アル
コールの少なくとも2つの水酸基の水素原子がそれぞれ
任意の前記一般式(1)で表されるユニットで置換され
ている構造を有する、オキシアルキレン鎖を有するウレ
タン(メタ)アクリレーをモノマー成分とする重合体、
特に共重合体あるいは高分子架橋体を用いることがとり
わけ好ましく、更に該ユニットを3つ以上有するオキシ
アルキレン鎖を有するウレタン(メタ)アクリレートを
モノマー成分とする重合体、特に共重合体あるいは高分
子架橋体を用いることが形成されるイオン伝導性材料の
膜強度などの機械的特性やイオン伝導特性、その安定性
上極めて好ましい。
【0039】尚、本発明のイオン伝導性積層物における
層Aの構成材料として上記の高分子物質を二種以上混合
して用いることもできる。本発明のイオン伝導性積層物
の層Aを構成するイオン伝導性材料を得る為の特に好ま
しい官能性モノマーまたはオリゴマーである、オキシア
ルキレン鎖を有するウレタン(メタ)アクリレートにお
いて、前記一般式(1)で表されるユニットで置換され
ている構造を有する化合物由来の1構造単位中のオキシ
アルキレン単位の数(すなわち前記一般式(1)におけ
るR2 中に含まれるオキシアルキレン単位の数の合計)
は1〜1000の範囲が好ましく、5〜200の範囲が
特に好ましい。
【0040】前記一般式(1) CH2 =C(R1 )CO[O(CH2x (CH(CH3 ))yz NHCOO −R2 − (1) で表されるユニットにおいて、(a)xが0または1、
yが0または1、zが0または1(但しx及びyがとも
に0のときはzも0)である化合物は液体で粘性が低
く、溶媒系での反応が容易という利点がある。一方、本
発明のイオン伝導性積層物の層Aを構成するSPEの構
成材料の一種である前記オキシアルキレン鎖を有するウ
レタン(メタ)アクリレートにおいて、(b)x=2〜
5、y=0、z=1〜10、(c)x=1〜5、y=1
〜5(ランダム配列でもよい)、z=1〜10または
(d)x=0、y=1〜5、z=1〜10の化合物は、
重合性は低くなるため、保存安定性が良好となり、プレ
ポリマーとしての取扱い性は良好である。特に(c)お
よび(d)の場合において、オキシプロピレン基を導入
すると、誘電率は低下するが、高分子量にしても融点、
粘性が高くならない特徴があり、用途によっては極めて
有利な重合体である。従って、これらプレポリマーの特
性を利用し、適したプレポリマーを組合せることによ
り、あるいは他のポリマーと組合わせることにより用途
に適したSPEとすることができる。
【0041】本発明のイオン伝導性積層物に用いられる
イオン伝導性材料が硬化性物質を含むものである場合の
硬化性物質とは、本発明の積層物に用いられるイオン伝
導性材料が、例えば加熱、活性光線照射などにより物理
的あるいは化学的変化を生じ、硬化したり、より望まし
いイオン伝導性物質に変換する材料である、いわゆる前
駆物質(材料)である場合に添加されている、かかる加
熱及び/または活性光線照射により重合反応あるいは不
溶化反応を起こして層Aを構成する前駆物質(材料)を
硬化させたり、あるいはより望ましいイオン伝導性物質
に変換することができる物質をいう。かかる硬化性物質
としては、例えば、不飽和二重結合を有する化合物、エ
ポキシ、グリシジル構造など開環性複素環を有する化合
物、ヒドロキシル基、チオール基、アミノ基、イソシア
ナト基、その他縮合あるいは重縮合性基を有する化合物
が挙げられ、更にこれらの化合物の具体例としては、前
記の官能性モノマー及びオリゴマーが含まれる。硬化性
物質を含む層Aあるいは層Aの前駆材料からなる層を加
熱及び/または活性光線照射して、かかる硬化性物質自
身が重合、縮合あるいは重縮合して、あるいはかかる硬
化性物質が前駆物質中に存在する他の物質あるいは高分
子と反応し架橋構造を形成するなどして、前駆物質(材
料)を硬化させたり、層Aを構成する材料の械的強度を
前駆物質より高めたり、イオン伝導特性を向上させる。
【0042】層Aを構成するイオン伝導性材料におい
て、これら高分子物質等のイオン伝導性物質の含有量
は、混合する電解質塩等のイオン性物質や他の成分によ
っても異なり、また、積層物の用途によっても異なるた
め一概に規定できないが、少なすぎると層A、すなわち
イオン伝導性材料の強度が低すぎて、積層物中の層Aの
形状安定性が悪く、そのため積層物を電気化学素子ある
いは電気化学装置に用いた場合に得られる素子あるいは
装置の性能や品質が劣るため好ましくなく、一方イオン
伝導性物質の含有量が多すぎる場合には、含有できるイ
オン性物質の量や溶媒その他の混合/あるいは複合に用
いられる物質の含有量が少なすぎるため、イオンキャリ
アー数が不足したり、イオン移動度が低下するためイオ
ン伝導度が低下するので好ましくない。従ってイオン伝
導性材料中のイオン伝導性物質の好ましい量としてはイ
オン性物質とイオン伝導性物質の合計量の30〜99.
9重量%であり、50〜99重量%が特に好ましい。
【0043】層Aを構成するイオン伝導性材料は、用い
る高分子物質等のイオン伝導性物質、電解質塩等のイオ
ン性物質あるいは他の成分によっても異なり、また、積
層物の用途によっても異なるため添加量を一概に規定で
きないが、溶媒が適度に存在するものであってもよい。
本発明のイオン伝導性積層物に用いられるイオン伝導性
材料が溶媒を含むものである場合の溶媒とは、本発明の
積層物の層Aを構成するイオン伝導性材料に含まれる1
5〜80℃の範囲の任意の一定の融点を有する物質ある
いはこの範囲の温度で1kgf/cm2 の圧力下で流動
性を有する液体状の物質をいう。溶媒は、積層物の層A
を構成するイオン伝導性物質と他の物質との混合あるい
は複合を良くするため、すなわちイオン性物質やイオン
伝導性物質を含有する混合物もしくは複合物を構成する
他の物質、例えば硬化性物質、添加物、充填材等と均一
に混合もしくは複合するために用いたり、層Aを構成す
るイオン伝導性材料のイオン伝導性を向上させるために
用いたり、層Aを構成するイオン伝導性材料の加熱ある
いは活性光線照射による硬化反応を制御するために用い
たり、層Aを構成するイオン伝導性材料を用いて積層物
を製造する際の加工性、あるいは積層物の特性を向上す
るために用いたり、あるいはその他必要に応じて層Aを
構成するイオン伝導性材料中に必要な量存在させること
ができる。但し、本発明の積層物の層Aが溶媒を含むS
PEあるいはPGEである場合には、かかる溶媒の量は
層Aから滲出しない程度に少ない方が良い。また、本発
明の積層物を製造あるいは使用する際の加工性あるいは
使用し易さを向上させるために層Aに溶媒を添加して、
あるいは層Aの構成材料の前駆物質を含む前駆材料の加
工性を向上させるために溶媒を添加して層Aを層B、層
Cあるいは前記薄膜層と積層することも可能であり、積
層物の種類によっては特に好ましいが、このような積層
物の層Aを実質的に固体状のSPEあるいはPGEとし
て用いる場合には使用する前にかかる溶媒の量を層Aか
ら滲出しない程度にまで低減して使用することが望まし
い。
【0044】使用する溶媒としては、本発明の積層物の
層Aを構成するイオン伝導性高分子物質等のイオン伝導
性物質との相溶性が良好で、誘電率が1以上と大きく、
沸点が70℃以上であり、電気化学的安定範囲が広い溶
媒がより好ましく、有機系溶媒が特に好ましい(但し、
積層物の種類や用途によっては水が存在することにより
イオン伝導性を向上させることができるので、そのよう
な場合には水を溶媒の一つとして用いることもあ
る。)。そのような有機系溶媒としては、トリエチレン
グリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコー
ルジメチルエーテル等のオリゴエーテル類、エチレンカ
ーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボ
ネート、ジエチルカーボネート、炭酸ビニレン、(メ
タ)アクリロイルカーボネート等のカーボネート類、γ
−ブチロラクトン等のラクトン類、ベンゾニトリル、ト
ルニトリル等の芳香族ニトリル類、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、N
−ビニルピロリドン、スルホラン等の含硫黄または含窒
素化合物、リン酸エステル類、エタノ−ル、プロパノー
ル、ブタノール等のアルコール類が挙げられる。この中
で、オリゴエーテル類及びカーボネート類及びラクトン
類がより好ましい。上記の溶媒にはイオン伝導性材料の
非重合性可塑剤としても機能する物質が含まれる。
【0045】一般に溶媒の含有量が多くなると層AのS
PEあるいはPGEのイオン伝導度は高くなるが、多過
ぎるとSPEあるいはPGEの機械的強度が低下する。
また、一般に溶媒の含有量が多くなると層Aのイオン伝
導性材料あるいはその前駆体材料の粘度が低下(あるい
は流動性が上昇)するので、例えば、積層物の製造にお
いて、均一な厚さに層Aを形成する上で好ましいことが
あり、あるいは積層物を使用する場合にも外層(B、C
あるいは前記薄膜層)を剥離するなどの除去がし易いな
どの利点があるが、多過ぎると、目的とする積層物によ
っては、逆に層Aを構成するイオン伝導性材料あるいは
その前駆材料の流動性が良過ぎて、層Aを均一な厚さに
維持できなくなったり、積層物の形状を一定の寸法に保
つことが困難になるなどの問題も生じることがある。本
発明の積層物の種類あるいは用途によって溶媒を含むか
否か、あるいは溶媒の量は異なるので、一概に規定でき
ないが、一般的に表現すれば、溶媒の含有量としては、
その場合、層Aを構成するイオン伝導性材料中の溶媒の
量は、イオン性物質とイオン伝導性物質の合計量100
重量部に対し0.1〜10000重量部の範囲が適当で
あり、1〜1000重量部の範囲が望ましく、5〜50
0重量部の範囲がより望ましい。また、溶媒として、上
記の硬化性物質、例えば炭酸ビニレン、(メタ)アクリ
ロイルカーボネート、N−ビニルピロリドンのような重
合性の化合物を、適度に非重合性溶媒と併用して用い、
前記官能性モノマーまたはオリゴマーと共重合すること
により、機械的強度を低下させずに、溶媒の含有量を増
加させ、イオン伝導度を改善することもできるので好ま
しい。
【0046】本発明のイオン伝導性積層物に用いられる
イオン伝導性材料が添加物を含むものである場合の添加
物とは、例えば上記の硬化性物質が含まれる場合等に、
加熱あるいは活性光線照射による硬化反応を開始あるい
は促進するために添加される開始剤、重合触媒、連鎖移
動剤等の硬化助剤、硬化速度調節剤、酸化剤、酸化防止
剤、安定剤その他のものをいい、本発明の積層物の層A
あるいは層A中のイオン伝導性物質が所望の特性のもの
になるよう、任意に添加される。
【0047】本発明のイオン伝導性積層物に用いられる
イオン伝導性材料が添加物を含むものである場合、添加
物の量は、混合する高分子物質等のイオン伝導性物質、
電解質塩等のイオン性物質あるいは他の成分によっても
異なり、また、積層物の用途によっても異なるため一概
に規定できないが、例えばイオン伝導性材料中の添加物
の量は、イオン性物質とイオン伝導性物質の合計量10
0重量部に対し0.0001〜30重量部の範囲が適当
であり、0.001〜10重量部の範囲が望ましい。
【0048】本発明のイオン伝導性積層物に用いられる
イオン伝導性材料が充填材を含むものである場合の充填
材とは、本発明の積層物の層Aあるいは層A中のイオン
伝導性物質が所望の特性を発揮できるよう、あるいは層
Aの機械的強度を高めたり、層Aの形状安定性を高めた
り、層Aの加工性を良くするために層A中に充填される
ものをいい、例えば、層Aの強度や柔軟性を調節するた
め、あるいは層Aの厚さを一定に保ったり、形状安定性
を向上させるために加えられる熱可塑性樹脂、熱硬化性
樹脂、ゴム弾性を有する高分子物質、あるいはその他の
有機物質もしくは無機物質が挙げられる。更に具体的な
一例を示せば、例えば、 1〜10μmの範囲、あるいは
それ以下の一定の厚さの極薄い層Aからなる積層物とす
るために、層A中にその厚さに相当する粒径を有するア
ルミナ粒子、シリカ粒子、ラテックス粒子、あるいはそ
の他イオン伝導を妨げず、該イオン伝導性物質中で安定
な非電子伝導性微粒子を膜厚制御のために必要な量充填
して用いることができるし、あるいはまた、1〜100
0μmの範囲の一定の均質な膜厚の、柔軟性があり、機
械的強度に優れ、加工性のある層Aからなる積層物とす
るために、層A中にポリエチレン不織布、ポリプロピレ
ン不織布、その他の多孔質の非電子伝導性高分子マトリ
ックス材料を必要な量充填して用いることができる。
【0049】本発明のイオン伝導性積層物に用いられる
イオン伝導性材料が上記の充填材を含むものである場
合、充填材の量は、混合するイオン伝導性高分子物質等
のイオン伝導性物質、電解質塩等のイオン性物質あるい
は他の成分によっても異なり、また、積層物の用途によ
っても異なるため一概に規定できないが、例えばイオン
伝導性材料中の充填材の量は、イオン性物質とイオン伝
導性物質の合計量100重量部に対し0.01〜900
重量部の範囲が適当であり、0.1〜300重量部の範
囲が望ましい。
【0050】本発明のイオン伝導性積層物中のイオン伝
導性材料は、このイオン伝導性物質を用いて優れた性能
の各種素子や導電材料とするためには、室温(20℃)
での比抵抗が106 Ω・cm以下であることが望まし
く、電池、コンデンサ等の電気化学素子あるいは装置に
用いる場合には室温で105 Ω・cm以下であることが
より望ましく、更に高性能の電気化学素子あるいは装置
とするためには104 Ω・cm以下であることが特に望
ましい。尚、本発明の詳細な説明において、非イオン伝
導性材料とは、公知の交流インピーダンス法(ピー・ア
ール・セレンセンら;エレクトロヒミカ・アクタ第27
巻第12号1671〜5頁(1982年)(P. R. Soer
ensen et al., Electrochimica Acta, vol. 27, No. 1
2, p1671-5 (1982))で測定した25℃でのイオン伝導
度が10-10 S/cm以下である材料をいう。
【0051】本発明のイオン伝導性積層物において、層
A中のイオン伝導を担うイオン種が積層物中で層Bや層
Cに浸透・拡散することにより層Aのイオン伝導性材料
の伝導性能や安定性、あるいは機械的特性が経時的に変
化することを防ぎ、あるいは変化をできるだけ小さくす
るためには、層B及び層Cはそれぞれ層Aよりイオン伝
導性が低いことが必要である。本発明の積層物において
は、層Aのイオン伝導性に比べて、層B及び層Cのイオ
ン伝導性がそれぞれ十分の一以下であればよく、望まし
くは百分の一以下であり、千分の一以下であることが特
に望ましい。
【0052】本発明のイオン伝導性積層物が、層Bと層
Aの間(あるいは層Cと層Aの間)に、金属、金属酸化
物または炭素からなる薄膜層(D1 あるいはD2 )を有
する場合には、層B/薄膜層D1 (あるいは層C/薄膜
層D2 )として層Aよりイオン伝導性が低い状態に層A
の上に積層されているものであればよい。例えば、薄膜
層(D1 あるいはD2 )が層Aよりイオン伝導性が低い
層であれば、薄膜層D1 を挟んで層Aと反対側にある層
B(あるいは薄膜層D2 を挟んで層Aと反対側にある層
C)自体のイオン伝導性は必ずしも層Aより低いもので
なくてもよい。逆に薄膜層(D1 あるいはD2 )が層A
よりイオン伝導性が高い層であれば、薄膜層D1 を挟ん
で層Aと反対側にある層B(あるいは薄膜層D2 を挟ん
で層Aと反対側にある層C)自体が層Aよりイオン伝導
性の低い材料であればよい。従って、本発明でいう層B
あるいは層Cとは、単に層Aよりイオン伝導性が低い材
料からなる層Bまたは層Cをさすだけでなく、「層Bや
層Cに薄膜層を積層する」などと特に記載しない限り、
薄膜層(D1 あるいはD2 )が表面に積層された層、す
なわち層B/薄膜層D1 または層C/薄膜層D2 を包含
して表現される。
【0053】本発明のイオン伝導性積層物において、層
Bと層Aの間(あるいは層Cと層Aの間)に、金属、金
属酸化物または炭素からなる薄膜層(D1 あるいはD
2 )を配置することは、積層物の製造、あるいはその保
存や使用において、積層物を構成する層Aや層B、層C
の種類によっては問題となることがある取り扱い上の問
題や使用上の問題等を解決することができるので、層B
と層Aの間(あるいは層Cと層Aの間)に、金属、金属
酸化物または炭素からなる薄膜層(D1 あるいはD2
を有するイオン伝導性積層物は本発明の特に好ましい実
施態様の一つである。かかる薄膜層を配置することによ
り、例えば、積層物を構成する際の層Aの厚さを均質に
することができ、あるいは積層物の品質、強度、保存安
定性、あるいは使用時に層Aの形態を損傷することなく
剥離して層Aを各種の電気化学素子あるいは装置に用い
たり、帯電防止などの導電材料に用いる際の取り扱い性
が改善されるなど、特に有利な効果を奏する。
【0054】かかる薄膜層を構成する材料は、積層物の
種類により目的に応じて任意に選択できる。その一例を
挙げれば、アルミニウム、銅、金、白金、銀、ステンレ
ス鋼等の金属あるいは合金、インジウム錫オキサイド
(ITO) 、アルミナ、シリカ等の金属酸化物、黒鉛、
ダイヤモンドあるいは非浸透性炭素材料等の炭素系物質
が挙げられる。
【0055】積層物において、層B及び層Cの双方が電
子伝導性材料である場合には、層Bと層Cが直接接触さ
れる状態もしくは他の導電材料と接続された状態におか
れた場合、例えば、積層物が折り曲げられたり、複数の
積層物を積み重ねたり、意図するか否かに関わらず、導
線などで接続された等の場合に、積層物内の層B/層A
/層C間あるいは積層物間で電気的閉回路が形成され、
層Aを構成する材料に不測の電圧が印加され、層Aのイ
オン移動が起こったり、イオン伝導材料が変質するなど
積層物の経時的劣化の問題が起き易くなるため、本発明
のイオン伝導性積層物において、層B及び層Cのうち少
なくとも一方は非電子伝導性材料であることが必要であ
る。尚、本発明の詳細な説明において非電子伝導性材料
とは、実質的に電子伝導性ではない材料をいう。従って
非電子伝導性材料とは、絶縁性材料か、またはイオン伝
導性材料であってかつ電子伝導性を有しない材料のいず
れかをいう。例えば電子伝導性を有する材料は、米国特
許番号5004657号に記載されているような金属
類、合金類、金属で被覆された材料、電導性高分子及び
電導性セラミックスの如き材料である。
【0056】本発明のイオン伝導性積層物において、層
B、層Cあるいは金属、金属酸化物もしくは炭素からな
る薄膜層の層Aに対する濡れ性が良ければ、層B、層C
あるいは前記薄膜層の層Aとの良好な接触性を有する積
層物となるので好適である。特に電池、コンデンサ等の
電気化学装置では、より薄く、より厚さの精度の良い高
分子固体電解質層が要求されることから、そのような場
合には層Aと濡れ性のよい層B、層Cあるいは前記薄膜
層を用いることが特に望ましい。一般に濡れ性は対象液
体の基材表面に対する接触角が小さい方が大である。本
発明の積層物における層Aが該層中でのイオン種の易移
動性を与える材料であることから、かかる層Aを構成す
る材料の一つの代表的物質であるポリアルキレンオキシ
ド鎖を有する物質のポリアルキレンオキシド鎖のモデル
物質として平均分子量400(Mw=380〜420)
のポリエチレングリコールを用い, 液滴法(協和界面科
学(株)製、自動接触角計CA−Z型)により23℃で
の、層B、層Cあるいは前記薄膜層として用いる各種材
料に対する接触角を求めたところ、例えば、ポリプロピ
レン(延伸フィルム)では約53゜、ポリエチレンでは
約46゜、ポリエチレンテレフタレート約37゜、ナイ
ロン6(延伸フィルム)約28゜、アルミニウム箔約2
0゜、アルミナ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィル
ム(アルミナ面)約15゜、シリカ蒸着ポリエチレンテ
レフタレートフィルム(シリカ面)約8゜などの値であ
った。濡れない場合は接触角が鈍角(例えば水銀とガラ
スの場合には接触角が約140゜)であり、本発明の積
層物において、層Aが例えば0.1〜1000μmの均
質な厚さ(例えば、厚さ精度が±30%以内)の薄い層
の場合には、層B、層C、あるいは前記薄膜層のいずれ
かが、上記のポリエチレングリコールの接触角(上記方
法で測定)が80゜以下である材料からなる層であるこ
とが望ましく、更に層Aが例えば0.1〜300μmの
均質な厚さ(例えば、厚さ精度が±20%以内)のより
薄い層の場合には、上記接触角が60゜以下である材料
からなる層であることがより望ましい。特に層Aが0.
1〜50μmの均質な厚さの極く薄い層である場合に
は、層B、層C、あるいは前記薄膜層のいずれかが、上
記接触角が40゜以下である材料からなる層であること
が特に望ましい。
【0057】本発明のイオン伝導性積層物の層Aを構成
するイオン伝導性材料を電池、コンデンサ、エレクトロ
クロミック表示装置その他の電気化学装置に組み込むた
めに本積層物を用いる場合には、層B/層A/層Cから
なる積層物の層B及び層Cのうちの少なくとも一方を層
Aから剥離するなどの方法、また層B(もしくは層C)
と層Aとの間に金属、金属酸化物もしくは炭素からなる
薄膜層D1 (もしくはD2 )を有する積層物の場合には
層B(もしくは層C) /該薄膜層D1 (もしくはD2
を層Aから剥離するなどの方法で除去して層Aを例えば
電池、コンデンサ、エレクトロクロミック材料、その他
の電気化学装置の構成材料である電極、セパレータ、導
電体、その他の支持体上に載置して該装置の製造に用い
ることが特に好適である。その場合、層B/層A間、層
A/層C間、あるいは該薄膜層/層A間の密着強度が、
層Aに積層された層B、層Cあるいは該薄膜層を剥離等
の方法で除去する際の物理的応力により層Aの構造ある
いは形態が損傷を受けない程度に低いものであることが
好ましい。従って、本発明の積層物がかかる使用方法で
用いられる場合には、層Aは、層Aの形状を実質的に損
なうことなく層B、層Cあるいは該薄膜層を剥離させる
ことができる剥離強度を有する層であり、あるいは言い
換えれば、層B、層Cあるいは該薄膜層は層Aの形状を
実質的に損なうことなく層Aから剥離できる程度の良好
な剥離性を有するものであることが望ましい。
【0058】一般に剥離性は基材と被剥離層との濡れ性
が低い方が、従って上記接触角の大きい方が良いと考え
られ、本発明の積層物においても上記の各種材料の中で
は接触角が大きい部類のポリプロピレン(延伸フィル
ム)、ポリエチレン等が層Aとの剥離性が極めて良く、
かかる材料からなる層Bあるいは層Cを層Aから剥離除
去して層Aを例えば電池、コンデンサその他の電気化学
装置の構成材料である電極、セパレータ、導電体、その
他の支持体上に載置して該装置を製造することが極めて
好ましい。
【0059】一方、上記の理由から接触角がそれらより
小さいため剥離性が悪いと考えられる、アルミニウム等
の金属、アルミナや、シリカ等の金属酸化物あるいは炭
素からなる薄膜層であっても、予想に反して、用いられ
る電解質層Aの強度によっては、例えば層Aの引張り強
度が1kg/cm2 以上であるような層Aである場合に
は、層Aの構造や形態に損傷を及ぼすことなく上記のよ
うに該薄膜層を層Aから剥離除去して電気化学装置の製
造に用いることができることが見出された。
【0060】剥離性は固体同士の界面での種々の因子に
基づいてあらわれる接着性と逆相関があり、上記のよう
に単に固液界面での分子間相互作用に基づく濡れ性だけ
では予測できない面があり、層Aがまず積層される際に
は積層界面での表面の均質化のためには濡れ性がよいこ
とが重要であるが、特に層Aが硬化性物質を含む、ある
いは溶媒を含むような場合には、硬化反応により、ある
いは脱溶媒により層Aが流動性のものから実質的に固体
状のものに変換され、層Aの強度が増すような場合、あ
るいは層Aがはじめから剥離に耐える十分な強度を有し
ている場合には、接触角が小さい外層であっても良好に
剥離できる。実際に、接触角がナイロン6、ポリエチレ
ンテレフタレートよりも小さいアルミニウム、アルミ
ナ、シリカ等の金属、金属酸化物は、層Aとの濡れ性が
よいばかりでなく、層Aとの剥離性も極めて良好であ
り、本発明の各種の積層物に極めて好ましく用いること
ができる。
【0061】本発明のイオン伝導性積層物を各種の電気
化学素子あるいは装置の製造に用いる場合あるいは導電
材料として用いる場合に、層Aの上下にある外層(層B
もしくは層B/前記薄膜層D1 、及び/または層Cもし
くは前記薄膜層D2 /層C)を剥離除去して使用するに
は、剥離される方の外層と層Aとの剥離性が他の外層と
層Aとの剥離性と同等以上であることが必要で、できれ
ば良い方が望ましい。また、2つの外層を前記素子ある
いは装置の製造の所望の工程で順次剥離して使用する場
合には、最初に剥離する外層(以下第1剥離外層とい
う。)と層Aとの剥離性が後で剥離する外層(以下第2
剥離外層という。)と層Aとの剥離性と同等以上である
ことが必要で、できれば良い方が望ましい。
【0062】例えば、第1剥離外層(xx)と第2剥離
外層(YY)の好適な組み合わせの例を[ xx−−Y
Y]として例示すれば、[ポリプロピレン−−アルミ
ナ]、[ポリプロピレン−−シリカ]、[ポリプロピレ
ン−−アルミニウム]、[ポリプロピレン−−PET]
[ポリエチレン−−アルミナ]、[ポリエチレン−−シ
リカ]、[ポリエチレン−−アルミニウム]、[ポリエ
チレン−−PET]、[アルミナ−−PET]、[シリ
カ−−PET]、[アルミニウム−−PET]、[ポリ
プロピレン−−コロナ放電処理ポリエチレン]、[アル
ミナ−−ナイロン]、[シリカ−−ナイロン]、[アル
ミニウム−−ナイロン]などが挙げられる。尚、外層が
前記薄膜層を有する場合には層B/前記薄膜層D1 ある
いは前記薄膜層D2 /層Cと層Aとの剥離性はかかる前
記薄膜層と層Aとの剥離性で決まるので、上記組み合わ
せ表示では前記薄膜層のみの表示で示してあるが、その
場合前記薄膜層は層B/前記薄膜層D1 あるいは前記薄
膜層D2 /層Cのいずれであってもよい。
【0063】以上のように、本発明の上記のような0.
1〜1000μmの均質な厚さの層Aを有する積層物の
層Aから少なくとも一方の外層(層B、層Cあるいは前
記薄膜層)を剥離して用いる場合には、一般的には相反
する特性であるとされる接触性と剥離性を両立させて用
いることができる前記接触角の望ましい範囲は、5゜〜
80゜であり、7゜〜60゜であることがより望まし
い。しかし層Aの強度が層B、層Cあるいは前記薄膜層
の層Aからの剥離強度より高い場合には、層Aの形状を
実質的に損なうことなく剥離することができるので、接
触角は必ずしも前記の望ましい範囲内に限定されるもの
ではない。
【0064】一般に本発明の積層物に用いられるSPE
あるいはPGE材料等のイオン伝導性材料は、そのイオ
ン伝導性等の特性が水や極性溶媒等の極性分子の影響を
受けやすい。従って、本発明のイオン伝導性積層物にお
いて、層Aを構成するSPEあるいはPGE材料等のイ
オン伝導性材料に、あるいは該材料から、層Bあるいは
層Cを透過して水分あるいは溶媒成分等の液体(水分と
溶媒成分を総称)が浸入あるいは溶出して層Aのイオン
伝導性材料の伝導性能や安定性、あるいは機械的特性が
経時的に変化することを防ぐため、層B及び層Cは、あ
るいは前記薄膜層を有する層B及び層Cは、非透液性
層、とりわけ非透水性層であることが特に望ましい。か
かる非透液性層あるいは非透水性層は、一般によく知ら
れている非透液性あるいは非透水性材料からなるもので
あれば良く、また本発明の積層物に溶媒が含まれる場合
の非透液性材料とする場合には該溶媒に耐性のある非透
液性材料であれば特に限定されるものではないが、例え
ば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィ
ン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート、その他ジオールとジカルボン酸から製造され
る飽和ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアセター
ル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポ
リアクリロニトリル、ABS樹脂、AS樹脂、ナイロン
6、ナイロン6−6等のポリアミド、ポリフェニレンオ
キシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリサルフォン、
ポリエーテルサルフォン、ポリアリルサルフォン、ポリ
アリレート、ポリイミド、ポリアミドイミド、フッ素樹
脂、あるいはその他の熱可塑性樹脂、天然あるいは合成
ゴム、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、その他の金
属、合金、金属酸化物、ガラス、更には、フェノール樹
脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポ
リエステル樹脂、シリコン樹脂、熱硬化性アクリル樹
脂、ジアリルフタレート樹脂、その他重合性不飽和結
合、シクロ環等の官能基を2つ以上有する熱硬化性物質
もしくはそれを含有する重合性混合物を硬化してなる硬
化物等の熱硬化性樹脂が挙げられ、これらの中から、そ
れぞれの積層物に適する材料を用いることができる。
【0065】これら層Bあるいは層Cを構成する物質の
うち、熱可塑性樹脂が、層Bあるいは層Cを形成する上
で、例えば、加熱溶融して所望の厚さの板、シートある
いはフィルムなど所定の形状にするなど実用的に好都合
であり、極めて好ましい。また層Bあるいは層Cを、予
め一定の寸法を有する任意の形態(構造物)、例えば一
定のサイズの板、円盤、シート、凸部あるいは凹部を有
する箱型もしくは筒型等、に加工して本発明の積層物を
構成する層Bあるいは層Cとして用いたり、寸法安定性
や強度に優れた積層物としたり、積層物が比較的高温あ
るいは温度変化の大きい環境下で使用される場合であっ
たり、積層物が外部からかなり強い機械的応力を受ける
環境下で使用される場合であったり、層Bあるいは層C
が本発明の積層物を用いて製造される電池、コンデン
サ、エレクトロクロミック素子等の電気化学素子あるい
は装置を構成する構造体あるいは構成部分である等の場
合には、上記の熱可塑性樹脂の中では耐熱性や機械的特
性に優れる上記の飽和ポリエステル、ポリカーボネー
ト、ポリアセタール、ポリアミド、ポリフェニレンオキ
シド、ポリフェニレンスルフィド、ポリサルフォン、ポ
リエーテルサルフォン、ポリアリルサルフォン、ポリア
リレート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリテトラ
フルオロエチレン(PTFE) 、テトラフルオロエチレ
ン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テ
トラフルオロエチレン/パーフルオロアルコキシエチレ
ン共重合体(PFA)、ポリフッ化ビニリデン(PVd
F)等のフッ素樹脂等のいわゆるエンジニアリングプラ
スチックを適宜用途に応じて用いることがより好まし
い。これら熱可塑性樹脂は延伸されたものでも無延伸の
ものでもよい。その他にもガラス、金属酸化物等の無機
物、金属あるいは熱硬化性樹脂が極めて好ましく用いら
れ、特に非電子伝導性の材料からなる層Bあるいは層C
であって上述のごとく予め一定の寸法を有する形態の層
Bあるいは層Cからなる積層物としたり、寸法安定性、
温度安定性、あるいは強度に優れた非電子伝導性の層B
あるいは層Cからなる積層物とするためにはエンジニア
リングプラスチックまたは熱硬化性樹脂が特に好まし
い。本発明の積層物において層Bあるいは層Cを形成す
る材料として好適に用いることのできるエンジニアリン
グプラスチックとは、(1)引張強さが5.5kg/m
2 以上、(2)引張弾性率が200kg/mm2
上、(3)熱変形温度が4.6kg/cm2 で140℃
以上、(4)アイゾットノッチ付衝撃強さが4kg・c
m/cm以上である4つ条件のうちの少なくとも3つを
満足するプラスチックをいう。かかるエンジニアリング
プラスチックには、例えば上記に例示したエンジニアリ
ングプラスチックのほか、伊保内賢による「エンジニア
リングプラスチック概説」(化学工業日報社「ファイン
ポリマー&エンジニアリングプラスチックスその解説と
物性表」(昭和53年9月30日発行)175〜184
頁)に記載されている種々のものが含まれるがそれらに
限定されない。
【0066】本発明のイオン伝導性積層物の製造、使用
あるいは保存において、層B及び層Cの双方が誘電率が
高い材料からなる層である場合には、層B及び層C中に
外部電界により誘電分極を生じ易く、そのため積層物の
外部から予期しない電場がかけられた場合層Bと層Cの
間に存在するSPE(あるいはPGE)からなる層Aと
これら外層との界面及び/または層Aに電気二重層ある
いは誘電分極を生じることがあり、その結果として、積
層物の種類や用途によっては層Aの品質安定性に悪影響
を及ぼすこともある。従って本発明の積層物について限
定されるものではないが、どちらかといえば、層B及び
層Cの少なくとも一方は誘電率が低いことが望ましく、
その場合誘電率の低い方の層の誘電率(ASTMのD−
150法;106 Hz)は8以下であることが望まし
く、更には6以下であることがより望ましい。上記各種
の熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂の誘電率の一例を
挙げれば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレ
フィンが2〜3、ポリエチレンテレフタレートが3〜
5、ポリブチレンテレフタレートが3〜4、ポリカーボ
ネートが2.8〜3.5、ポリアセタールが3〜4、ポ
リスチレンが2〜4、ポリ塩化ビニルが2〜5、アクリ
ル樹脂が2〜3、ポリアクリロニトリル、ABS樹脂が
2〜5、AS樹脂が3程度、ナイロン6が2〜8、ナイ
ロン6−6が約3〜6、ポリフェニレンオキシドが2.
5〜3.5、ポリフェニレンスルフィドが3〜5、ポリ
サルフォンが3〜4、ポリエーテルサルフォンが3〜
4、ポリアリレートが3〜4、ポリイミドが3〜4、、
ポリアミドイミドが3〜4、PTFEが2〜3、PVd
Fが6〜8、シリコーンゴムあるいはシリコーン樹脂が
2〜3、フェノール樹脂が4〜6、エポキシ樹脂が3〜
6、ジアリルフタレート樹脂が3〜6、不飽和ポリエス
テル樹脂が3〜8等である。
【0067】本発明のイオン伝導性積層物において、層
Aが硬化性物質を含有する材料からなる場合には、該積
層物をそのまま加熱するか、あるいは該積層物から層
B、層C、または前記薄膜層が形成されている場合には
層B/薄膜層D1 、層C/薄膜層D2 の少なくともいず
れかの層を剥離等の方法で除去してから、加熱及び/ま
たは活性光線照射により層Aを硬化させてイオン伝導性
のSPEあるいはPGEからなる層Aとすることができ
るが、該積層物から層Bあるいは層Cを剥離等の方法で
除去することなく、加熱及び/または活性光線照射によ
り層Aを硬化させてイオン伝導性のSPEあるいはPG
Eからなる層Aとするためには、層Bまたは層Cの少な
くとも一方が光透過性の材料からなる層であることが望
ましい。
【0068】また、本発明の積層物が、光電池、太陽電
池、エレクトロクロミック表示装置等の電気化学素子あ
るいは装置の構成部品である場合には、やはり層Bまた
は層Cの少なくとも一方が光透過性の材料からなる層で
あることが望ましい。光透過性とは積層物の光透過性層
が特定の波長の活性光線(遠赤外線、近赤外線、可視光
線、紫外線、電子線、ガンマ線あるいはX線)に対する
透過性を有することをいい、積層物の光透過性層がかか
る光線を受光して層Aあるいはその下部まで光線が到達
できたり、あるいは発光素子や発色素子に用いられる場
合には、発光あるいは発色がかかる光透過性層を通して
外部へ到達し、外部から発光あるいは発色を確認でき
る。かかる光透過性層を構成する材料は上記の各種材料
の中から、目的の活性光線に対する上述の透過性を有す
る物質を公知の方法により選択して使用できる。
【0069】活性光線に対する透過性とは、用いる活性
光線の種類によってその要求される透過波長が異なり、
例えば、上記硬化性物質を含む層Aを構成要素とする積
層物の場合には、硬化に紫外線を用いる場合には、波長
250〜400nmにおける透過率が1%以上であれば
よく、10%以上がより好ましく、可視光線を用いる場
合には波長400〜740nmの透過率が1%以上であ
ればよく、10%以上がより好ましく、近赤外線を用い
る場合には波長740〜1500nmの透過率が1%以
上であればよく、10%以上がより好ましい。電子線を
用いる場合には、電子線の波長は発生する電界エネルギ
ーによるので一概に規定できないが、通常λ(nm)=
(1.2)/(E(eV))1/2 で表されるので通常は10
KeVで約0.01nm程度の波長である。従って用い
る材料の種類は特に限定されないが、出来るだけ薄い方
が透過し易く、10μm以下であればよく、好ましくは
1μm以下である。また、高分子物質は一般的に電子線
に感応し易く、ヘテロ原子を含まない炭化水素系高分子
物質が好ましい。従って、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン等のポリオレフィンがカバーフィルム(層Bまたは層
C)としてより好ましい。
【0070】一方、本発明の積層物の層Aが、特定の活
性光線に対し安定ではない物質からなる場合、例えば、
前記のように層Aが硬化性物質を含有し、それが活性光
線感応性の場合に、積層物から層Bもしくは層Cを、ま
たは前記薄膜層が形成されている場合には層B/薄膜層
1 、層C/薄膜層D2 の少なくともいずれかの層を剥
離等の方法で除去してから層Aを硬化させて使用する場
合などにおいては、使用前の積層物の保存安定性、ある
いは積層物中の層Aを構成する材料の品質保持のために
は、層Aの上部及び下部に積層されている、層B、層
C、層B/薄膜層D1 及び層C/薄膜層D2 から選択さ
れる二組の外層のいずれもが光非透過性層であることが
望ましい。活性光線に対する非透過性とは、対象とする
特定の活性光線の透過率が1%未満であればよく、0.
1%以下がより好ましく、0.01%以下が特に好まし
い。一般に透過性は膜厚に反比例するので、同一の物質
からなる外層であっても膜厚を大きくすることにより透
過率を上記の好ましい範囲に下げることができるし、外
層に対象とする活性光線を吸収する公知の物質、あるい
は反射する公知の物質を適宜配合して用いることにより
非透過性とすることができる。
【0071】また、層Aの品質維持のためには、積層物
が置かれる雰囲気中に存在する水分や酸素、二酸化炭
素、二酸化イオウ、酸化窒素等の活性ガス、その他層A
の品質に影響を及ぼす気体分子が層B、層Cあるいは前
記薄膜層を透過して層Aへの浸透することを防止するた
め、層B、層C、層B/薄膜層D1 及び層C/薄膜層D
2 から選択される二組の積層物外層のいずれもがガス非
透過性であることが特に望ましい。例えば、積層物の層
Aが上記硬化性物質を含有するイオン伝導性材料あるい
はその前駆材料である場合には、積層物を加熱及び/ま
たは活性光線照射により硬化反応を起こさせるが、その
反応の開始や進行の妨げになる酸素等のガスが積層物中
の層Aに侵入することを防ぐことが必要になる。
【0072】かかるガス非透過性層を構成する材料とし
ては、公知のガスバリヤー性樹脂や上記の非透水性ある
いは非透液性材料で述べた各種の熱可塑性樹脂、熱硬化
性樹脂や公知の非吸水性もしくは低吸水性の樹脂を本発
明の積層物のガス非透過性外層として用いることがで
き、また、前記ガスと反応せずガス非透過性の金属、合
金、金属酸化物、ガラスまたは炭素から適宜選んで用い
ることができる。
【0073】種々の樹脂の吸水率やガス透過率(透過
性)は多くの公知文献に記載されており、例えば、「プ
ラスチック読本」((株)プラスチックス・エージ;1
992年改訂第18版)に種々の樹脂について記載され
ており、例えば、各種プラスチックの吸水率(24h
r;1/8″)について例示すれば、メラミン樹脂0.
3〜0.5、フェノール樹脂(フィラーなし)0.1〜
0.2、不飽和ポリエステル(ガラス繊維入り)0.0
1〜1.0、尿素樹脂0.4〜0.8、エポキシ樹脂
0.08〜0.15、塩化ビニル樹脂(硬質)0.07
〜0.4、塩化ビニル樹脂(軟質)0.5〜1.0、ポ
リアセタール0.12〜0.25、メタクリル樹脂0.
3〜0.4、酢酸繊維素2.0〜4.5、ナイロン6
(ポリアミド)1.6、ポリエチレン<0.01、ポリ
プロピレン<0.01、ポリテトラフルオロエチレン
0.00、ポリスチレン0.03〜0.05、ポリカー
ボネート0.15等である。また、各種フィルムの二酸
化炭素、酸素、窒素に対するガス透過率(厚さ25μ
m、20℃、65%RH)[CO2 /O2 /N2 の順に
記載。単位:cc/m2 ・atm・24hr]を例示す
れば、ポリエチレン(低密度)[18,500/4,0
00/1,400]、ポリエチレン(高密度)[3,0
00/600/220]、ポリプロピレン(無延伸)
[3,800/860/200]、ポリプロピレン(二
軸延伸)( OPP)[1,680/550/100]、
ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)[420
/60/25]、ナイロン6(無延伸)[253/60
/16]、ナイロン6(二軸延伸)[79/20/
6]、ポリスチレン[2,400/5,000/80
0]、ポリカーボネート[1,225/200/3
5]、ポリ塩化ビニル(硬質)[442/150/5
6]、ポリ塩化ビニリデン[70/<115/2.
2]、MSTセロハン(塩ビ系)[−/70/−]、K
セロハン(塩化ビニリデン系)[−/20/−]、ポリ
ビニルアルコール[10/7/−]、エチレン−ビニル
アルコール共重合体(EVOH)[−/2/−]、ポリ
塩化ビニリデンコートOPP[15/5〜10/1.
5]等である。
【0074】かかる樹脂の中で、本発明の積層物の層A
を構成するイオン伝導性材料を極めて要求性能の厳しい
用途に用いる場合には、例えば、酸素透過性が極めて低
いポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタ
レート、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVO
H)、ポリカーボネート、ポリアミド(ナイロン6
等)、ポリアクリロニトリル樹脂、あるいは低透過性の
延伸ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピ
レン、あるいは表面または裏面に公知の方法で目的のガ
スに対するガスバリヤー性薄膜を積層したり、表面処理
を施してガスバリヤー性を向上させたポリエチレン等の
各種樹脂等を特に好ましく用いることができる。尚、要
求性能を満たす限りにおいては、酸素等のガスバリヤー
性が上記の樹脂より劣る低密度ポリエチレン、ポリスチ
レン等であっても積層物の用途次第で使用できることは
勿論である。
【0075】上記の各種材料の中で、層A中の水分の増
加を防ぐことが本発明の積層物の品質及びその利用面で
特に重要であることから、層Bあるいは層Cを構成する
材料として、透湿度の低い材料からなる層が特に好まし
い。上記の熱可塑性樹脂の中では、例えば、各種樹脂の
透湿度は、表1に示すとおりであることが知られており
(「工業材料、39,[8],38 (1990))、
本発明の積層物の層Bあるいは層Cは、熱可塑性樹脂、
熱硬化性樹脂、金属、合金、金属酸化物、ガラス及び炭
素から選択される透湿度が200g/m2 ・24hr
(40℃、90%RH)以下の材料であることがより望
ましく、透湿度が100g/m2 ・24hr以下の材料
であることが特に望ましい。
【表1】 本発明の積層物の外層である層B、層Cあるいは前記薄
膜層が電子伝導性材料からなる層である場合、積層物を
電気化学素子もしくは装置、あるいはその構成部品の製
造に用いる場合、電子伝導性材料からなる外層の少なく
とも一方に金、白金、銅あるいはステンレス鋼製等の電
子伝導性電導体からなるリード線あるいは集電体を接続
した積層物として用いることが、かかる素子、装置ある
いはその構成部品の製造工程上有利であり、電子伝導性
の層B、層Cあるいは前記薄膜層の少なくとも一つに電
子伝導性電導体を接続させた積層物は本発明の積層物の
1つの極めて好ましい形態である。
【0076】更に、上記の外層に電子伝導性電導体を接
続した積層物の1つの実施態様である、上記のように電
子伝導性の外層の少なくとも一つに電子伝導性電導体を
接続した積層物であって、更にそのように電子伝導性電
導体を接続した外層に接触しない状態で層Aに金、白
金、銅あるいはステンレス鋼製等の電子伝導性電導体か
らなるリード線あるいは集電体を接続した積層物として
用いることが、かかる素子、装置あるいはその構成部分
の製造工程上有利であり、外層及び層Aに電子伝導性電
導体を接続させた積層物は本発明の積層物の1つの極め
て好ましい形態である。
【0077】また、本発明の積層物の層Aを電解質層と
し、層B、層Cあるいは前記薄膜層のいずれかを構成部
分とする電気化学素子もしくは装置、あるいはその構成
部品の製造に積層物を用いる場合、予め層Aの異なる2
カ所に金、白金、銅あるいはステンレス鋼製等の電子伝
導性電導体からなるリード線あるいは集電体を接続した
積層物として用いることが、かかる素子、装置あるいは
その構成部分の製造工程上有利であり、層Aの異なる2
カ所に電子伝導性電導体を接続させた積層物は本発明の
積層物の1つの極めて好ましい形態である。尚、この場
合2つの電子伝導性電導体を積層物の層方向に平行な方
向から層Aの両サイドにそれぞれ接続してもよいし、一
方の電導体を層方向に平行な方向から接続し、もう一方
の電導体を積層物の外層から貫入した形で接続してもよ
いし、両方の電導体をいずれも積層物の上下の外層の上
方または下方のいずれか一方の方向から、あるいは電導
体の一方を上方から他の一方を下方から貫入した形で接
続してもよい。
【0078】本発明のイオン伝導性積層物中のイオン伝
導性材料からなる層Aの厚さは用いる用途によって異な
り特に限定されるものではないが、上記の各種素子もし
くは装置あるいは電導材料に用いる場合には通常0.1
〜1000μmの範囲であれば良い。特に薄型の電池、
コンデンサ、エレクロトクロミック素子等の電気化学的
素子あるいは電気化学装置に用いる場合にはできるだけ
薄い方がより好ましく、例えば0.1〜300μmの範
囲の厚さであることがより好ましく、0.1〜50μm
の範囲の厚さであることが特に好ましい。尚、用途によ
っては層Aの厚さは1000μmをはるかに越えるもの
であってもよい。
【0079】また、本発明の積層物の層B及び層Cの厚
さは、用いる用途によって異なり特に限定されるもので
はなく、積層物の種類や使用目的に応じて、また層Aと
の組み合わせに応じて適宜選択して定めることができ
る。層Aの厚さが0.1〜1000μmの範囲である積
層物であっても、層Bあるいは層Cの厚さは特に限定さ
れるものではないが、例えば、層B、及び層Cの厚さ
は、それぞれ独立に、例えば、1〜5000μmの範囲
であればより好ましい。本発明の積層物を電気化学的装
置や電導材料の製造に用いる場合あるいはそのいずれか
に用いる場合に、層Bあるいは層Cがかかるものの機械
的強度を維持する目的にも使われるケースでは、該層B
あるいは層Cの厚さは5000μmをはるかに越えた、
例えば、数mmの厚さであってもよい。あるいはまた、
層B、層C、あるいは層Bまたは層Cと層Aの間にある
前記薄膜層が、その積層物を用いて製造される電気化学
的素子あるいは装置の電極となるものであっても良いこ
とは勿論である。
【0080】また、本発明の積層物が層Aと層B及び/
または層Cとの間に前記薄膜層を有するものである場合
の該薄膜層の厚さは特に限定されるものではなく、積層
物の種類や使用目的に応じて、また層Aや層B、層Cと
の組み合わせに応じて適宜選択して積層物中に配置する
ことができる。層Aの厚さが0.1〜1000μmの範
囲である積層物中に該薄膜層が存在する場合であって
も、該薄膜層の厚さは特に限定されるものではないが、
通常50オングストロームから5000μmの範囲であ
ればよく、50オングストロームから200μmの範囲
であればより好ましい。
【0081】本発明の積層物の厚さは、使用目的によ
り、使用する上記の各層の厚さの合計であり、各層を任
意に選択することにより定めることができるものであ
り、数μmから数mm, あるいはそれ以上でも可能であ
り、一概に規定できない。また、積層物の大きさや長さ
も任意に設定でき、大きさは数mm2 から数百m2 、あ
るいはそれ以下もしくはそれ以上でも可能であり、ま
た、長さも数mmから数百m、あるいはそれ以下もしく
はそれ以上でも可能であり、一概に規定できない。
【0082】本発明の積層物の概略断面図を図1から図
8に示した。本発明の積層物は層に平行な方向のそれぞ
れの端部は、積層物の使用目的に応じて任意の形態をと
ることができ、例えば、層B(あるいは層C)自体がも
う一方の外層、つまり層C(あるいは層B)を被覆する
形で積層されたり、層Bが層Cと同一層であって例えば
袋状の形態をとっていてもよいし、積層物の一端、両端
部あるいは周端部を任意の(但し構成する積層物の品質
に悪影響を与えないような)、例えば、熱可塑性樹脂、
ゴム、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂など)、その他の材
料からなる封止材あるいは接着剤で封止したり、あるい
は外層(層B、層C)が熱可塑性樹脂からなるものであ
れば、例えばヒートシール等の方法で両外層を密着させ
たりするなどして、積層物の一端、両端部あるいは周端
部を開放状態ではない状態にすることが、積層物の製
造、使用あるいは保存上の取り扱いの容易さや積層物品
質の安定化をはかる面、特に積層物中の層Aの外部雰囲
気との直接接触を防止する観点から望ましい。尚、層A
が複数積層された積層物、例えば、層Bが層Cを兼ねた
形態の積層物として、層Aの上に層Bが積層された層B
/層A積層物が複数積層されている積層物(例えば層B
/層A/層B/層A積層物)、あるいは層Aの上に前記
薄膜層D1 が積層されその上に層Bが積層された層B/
前記薄膜層D1/層Aからなる積層物が複数積層されて
いる積層物(例えば層B/前記薄膜層D1 /層A/層B
/前記薄膜層D1 /層A積層物)も本発明の積層物に含
まれるが、例えば、かかる積層物を捲回したロール状の
積層物としたものも層Aが2つの外層に積層された積層
構造物であり、本発明の積層物に含まれる。そのような
場合にはロールの一端部あるいは両端部(渦巻き状の
面)を上記のような方法のうち、適用できる任意の方法
で積層物に含まれる層Aが外部雰囲気と直接接触しない
状態の積層物とすることが望ましい。また、積層物が層
Aと外層Bあるいは外層Cとの間に前記薄膜層を有する
場合であっても、上述の要領にて積層物の一端、両端部
あるいは周端部を開放状態ではない状態にすることが望
ましい。
【0083】但し、本発明の積層物は前記の端部閉鎖さ
れていない形態のものであっても、積層物を外部雰囲気
と接触しないよう、密閉容器に入れて取り扱う場合や、
取り扱う際の雰囲気がかかる積層物、とりわけ層Aの品
質に悪影響を及ぼさない環境下であれば、積層物の端部
を閉鎖状態にしなくても構わない。
【0084】また、本発明のイオン伝導性積層物の層A
を構成するイオン伝導性材料中の水分量は、用いる用途
によって異なり特に限定されないが、用途によっては低
水分量であることが好ましく、例えばリチウム電池、リ
チウムイオン電池、非水系電気二重層コンデンサ、非水
系エレクトロクロミック素子等の電気化学素子あるいは
装置に用いる場合には、通常1000ppm以下である
ことが好ましく、200ppm以下であることが特に好
ましい。
【0085】本発明のイオン伝導性積層物は種々の方法
により製造できる。方法は、製造する積層物の種類によ
り、それに最も適した方法を任意に採用できるが、例え
ば、一般的には、本発明の前記(1)〜(26)のいず
れかに記載した積層物は、まず、(i)イオン伝導性材
料からなる層Aを、層Aよりイオン伝導性の低い材料か
らなる層Bの上に、層A材料が層B上を実質的に流動も
しくは移動しない状態に積層して層B/層Aからなる積
層構造物を形成し、(ii)次いで層Aの上に層Aより
イオン伝導性の低い材料からなる層Cを積層して層B/
層A/層Cからなる積層構造物とし、(iii)その
後、積層構造物のB層側の表面とC層側の表面に対向す
る力を加えて加圧することにより製造できる。
【0086】上記の(i)において、層Aは予めフィル
ムやシートなど層状に賦形されたものを層B上に載置す
る方法をとってもよいし、層Aを構成すべきイオン伝導
性材料をそのまま、あるいは溶媒により適度に希釈し
て、例えばスプレー法、塗布法、ディップ法、スピンコ
ーティング法その他任意の方法で層B上に層Aを形成し
てもよいし、層Aを構成するための層Aの前駆材料(例
えば、硬化性物質、添加剤、溶媒、あるいはイオン伝導
性物質の前駆物質であるイオン伝導性高分子物質の前駆
物質であるモノマー、オリゴマー等を含むもの)を例え
ばスプレー法、塗布法、ディップ法、スピンコーティン
グ法その他任意の方法で層B上に層Aの前駆材料からな
る層を形成してから、重合あるいは硬化させたり、溶媒
を除去するなどの方法により層Aの前駆材料からなる層
を目的とする層Aに変換するなどして層B/層Aからな
る積層構造物を形成することができる。上記(i)にお
いて、層A材料とは、層Aの前駆材料の意味も包含して
おり、また「層A材料が層B上を実質的に流動もしくは
移動しない状態」とは、層A材料が実質的に固体材料で
ある場合だけでなく、層A材料が流動性の液状物であっ
ても、それが層B上を実質的に流動あるいは移動しない
状態で層B上に載置される、あるいは載置された状態に
ある場合も意味し、例えば、少なくとも次の工程で処理
されるまでの間、液状の層A材料が、水平面を構成する
層B上に重力下では流れるなど移動しない状態に置かれ
ている状態をいい、より具体的な例としては、層A材料
からなる層Aの厚さがそのような水平面を構成する層B
上で流れるなどの移動をしない程度に薄い場合には、上
記規定の状態に該当するし、所望の厚さを層A材料自ら
のみでは維持し得ないような流動性液体(低粘度液体)
であっても、例えば層Aを所望の厚さのものにするため
に所望の厚さの枠状のスペーサを層B上に載置した枠の
中に層A材料を入れることも上記規定の状態に該当す
る。
【0087】次いで上記(ii)により、層A上に層C
を積層して層B/層A/層Cからなる積層構造物とする
には、上記(i)により形成された層B/層Aからなる
積層構造層をそのまま、あるいは層A材料が層Aのイオ
ン伝導性材料の前駆材料である場合にはそのままあるい
は重合あるいは硬化させたり、溶媒を除去するなどの方
法により層Aの前駆材料からなる層を目的とする層Aに
変換するなどしてから、層Aの上に層Cを積層する。層
Cの積層方法としては、層Cとして、予めフィルムやシ
ートなど層状に賦形されたものを層A上に載置する方法
をとってもよいし、層Cを構成すべき材料をそのまま、
あるいは溶媒により適度に希釈して、例えばスプレー
法、塗布法、ディップ法、スピンコーティング法その他
任意の方法で層A上に層Cを形成してもよいし、層Cを
構成するための層Cの前駆材料(例えば、モノマー、オ
リゴマー等)を例えばスプレー法、塗布法、ディップ
法、スピンコーティング法その他任意の方法で層A上に
層Cの前駆材料からなる層を形成してから、重合あるい
は硬化させたり、溶媒を除去するなどの方法により層C
の前駆材料からなる層を目的とする層Cに変換するなど
して層B/層A/層Cからなる積層構造物を形成するこ
とができる。
【0088】本発明の層B/層A/層Cからなる積層物
の製造において、次の工程(iii)として、層B/層
A/層Cからなる積層構造物を積層構造物の層B側の表
面と層C側の表面に対向する力を加えて加圧することが
積層物を構成する層の厚さを所望の厚さにしたり、ある
いは均質化するために必要である。この加圧は上記
(i)及び(ii)の後、層B/層A/層Cからなる積
層構造物を積層構造物の層B側の表面と層C側の表面に
対向する力を加えて加圧することにより行われるが、こ
の場合、加圧の方法は如何なる方法によっても良く、例
えば、ニップロール、あるいは任意の加圧ロールを通す
などのロールプレス、必要に応じて所望の厚さのスペー
サあるいは型を配置したプレスのスペーサ間あるいは型
内に積層物を置くなどして、積層物の上下から所定の圧
力で加圧する圧縮成形などで行うことができる。加圧の
圧力は、積層物の種類により異なるので一概に規定でき
ないが、例えば通常積層成形が行われる圧力であればよ
く、例えば、高圧積層の場合のように50〜300kg
f/cm2 のような高圧であっても目的によってはよい
が、本発明の積層物の場合にはそれより低い、いわゆる
低圧積層で用いられる50kgf/cm2 以下の範囲が
望ましく、特に積層物から外層を除去して使用するよう
な積層物を製造する場合には、層B/層A/層Cからな
る積層構造物の層Aの厚さが均質にできる程度の圧力で
あれば、出来るだけ低い圧力であることが実用上より望
ましい。
【0089】尚、上記(iii)の工程については、上
記の(i)あるいは(ii)の工程において上記(ii
i)について記載した加圧が同時になされるような場合
にはかかる工程(i)あるいは(ii)に含まれて実施
されていてもよく、かかる場合も本発明の前記製造方法
に含まれる。そのような場合、すなわち上記工程(i)
及び/または(ii)において、それぞれ形成される積
層構造物の各層を積層するために、一方の層の上に積層
すべき層あるいはその前駆材料からなる層を載置して積
層構造としたり、例えばスプレー法、塗布法、ディップ
法、スピンコーティング法その他任意の方法で積層構造
を形成した後、例えば、ニップロール、あるいは任意の
加圧ロールを通すなどのロールプレス、必要に応じて所
望の厚さのスペーサあるいは型を配置したプレスのスペ
ーサ間あるいは型内に積層物を置くなどして、積層構造
物の上下から所定の圧力で加圧する圧縮成形などで加圧
することができる。加圧の圧力は、上記(iii)に記
載したように、積層物の種類により任意に設定すること
ができるが、(i)において加圧する場合には、低圧積
層で用いられるような圧力の、積層構造物の層Aの厚さ
が均質にできる程度の圧力であればよく、出来るだけ低
い圧力であることが実用上より望ましい。また、(i
i)において加圧する場合には、積層物の種類により異
なるので一概に規定できないが、例えば通常積層成形が
行われる圧力であればよく、例えば、高圧積層の場合の
ように50〜300kgf/cm2 のような高圧であっ
ても目的によってはよいが、本発明の積層物の場合には
それより低い、いわゆる低圧積層で用いられる50kg
f/cm2 以下の範囲が望ましく、特に積層物から外層
を除去して使用するような積層物を製造する場合には、
層B/層A/層Cからなる積層構造物の層Aの厚さが均
質にできる程度の圧力であれば、出来るだけ低い圧力で
あることが実用上より望ましい。
【0090】本発明において、層B及び層Cの少なくと
も一方の表面に金属、金属酸化物または炭素からなる薄
膜層(D1 あるいはD2 )を有する積層物を製造する方
法としては、かかる層Bあるいは層Cに予め該薄膜層
(D1 あるいはD2 )を任意の方法で形成し、次にその
薄膜層(D1 あるいはD2 )を有する該層Bあるいは層
Cを、上記の方法の(i)(ii)(iii)で述べた
方法に従って、目的の積層物を製造することができる。
この場合に予め該薄膜層(D1 あるいはD2 )を層Bあ
るいは層C上に積層する方法としては、予め形成された
該薄膜層をかかる層Bあるいは層Cの上に載置して、必
要に応じて、ロールプレスや圧縮プレスで積層させるこ
とができる。あるいは層Bあるいは層Cの上に、前記薄
膜層を構成する材料あるいは前記薄膜層の前駆材料の層
を、例えばスプレー法、塗布法、ディップ法、スピンコ
ーティング法、蒸着法、その他任意の方法で形成して、
該薄膜層を積層した層Bあるいは層Cとし、あるいは重
合あるいは硬化させたり、溶媒を除去するなどの方法に
より前記薄膜層の前駆材料からなる層を目的とする前記
薄膜層に変換するなどして該薄膜層(D1 あるいはD
2 )を積層した層Bあるいは層Cを形成することができ
る。あるいはまた、前記(ii)の工程で層Aの上に層
Cを積層する前に、層Aの上に予め形成された該薄膜層
を積層してからその上に層Cを積層することにより層C
と層Aの間に前記薄膜層(D1 あるいはD2 )が積層さ
れた本発明の積層物を製造することができる。
【0091】上記方法において、層Aを形成する硬化性
物質を含有する前駆材料からなる層を層Aに変換する場
合には、上記(i)の工程後、加熱及び/または活性光
線照射により層Aの前駆材料からなる層に硬化反応を起
こさせて層Aに変換した後、層Aの上に層Cを積層して
層B/層A/層Cからなる積層構造物としても良いし、
上記(i)及び(ii)の工程により層B/層A前駆材
料層/層Cからなる積層構造物とした後、加熱及び/ま
たは活性光線照射により層Aの前駆材料からなる層に硬
化反応を起こさせて層Aに変換して層B/層A/層Cか
らなる積層構造物としてもよい。また、上記(i)(i
i)の工程の後加圧する工程(iii)において前記と
同様な方法で硬化反応を起こさせて層Aの前駆材料から
なる層を層Aに変換してもよい。また、上記方法におい
て、層B、層Cあるいは前記薄膜層を形成する前駆物質
からなる層B、層Cあるいは前記薄膜層形成用層を目的
の層B、層Cあるいは前記薄膜層に変換する場合には、
上記(i)の工程後、及び/または(i)及び(ii)
の工程において、加熱及び/または活性光線照射により
前駆材料からなる層に硬化反応を起こさせて目的の層に
変換してもよい。
【0092】その場合に硬化を起こさせる一つの方法と
しては、加熱及び/または活性光線を照射する等の方法
で、硬化性物質を重合させることにより行うことができ
る。その場合、重合には、硬化性材料中の重合性化合物
中の重合性官能基の重合性を利用した一般的な方法を採
用でき、例えばアクリロイル基もしくはメタクリロイル
基を含有する重合性化合物のアクリロイル基もしくはメ
タクリロイル基の重合性を利用した一般的な方法を採用
することができる。即ち、これら重合性化合物に、ある
いはこれら重合性化合物と他の前記の共重合可能な重合
性化合物の混合物に、アゾビスイソブチロニトリル、ベ
ンゾイルパーオキサイド等のラジカル加熱重合開始剤、
ベンジルメチルケタール、ベンゾフェノン等のラジカル
光重合開始剤、CF3 COOH等のプロトン酸、BF
3 、AlCl3 等のルイス酸等のカチオン重合触媒、あ
るいはブチルリチウム、ナトリウムナフタレン、リチウ
ムアルコキシド等のアニオン重合触媒を用いて、加熱や
活性光線照射によるラジカル重合、カチオン重合あるい
はアニオン重合させることができる。
【0093】前記製造方法において、層Aが溶媒を含有
するイオン伝導性材料からなる層Aである場合、あるい
は溶媒を含有する層Aの前駆材料からなる層である場合
も上記(i)(ii)(iii)の手順により製造する
ことができ、層Aあるいは層Aの前駆材料からなる層か
ら溶媒を必要に応じて所望量除去することにより、固体
状あるいは実質的に固体状の層Aを構成層とするB層/
A層からなる積層構造物を製造することができるし、勿
論種々の用途に用いられる溶媒を相当量含んだ積層物と
して製造することもできる。
【0094】本発明の前記(1)〜(29)のいずれか
に記載の積層物は、上記に説明した方法の一つの応用態
様である、次の方法によって製造することもできる。す
なわち、前記(1)〜(29)のいずれかに記載の積層
物層の層B及び層Cの少なくとも一方を層Aから除去す
る工程、または層Aに対向する面上に金属、金属酸化物
または炭素からなる薄膜層(D1 もしくはD2 )を有す
る層Bもしくは層Cと該薄膜層(D1 もしくはD2 )と
を層Aから除去する工程により、層A/層C積層物また
は層B/層A積層物を製造し、同様にして製造した層A
/層C積層物または層B/層A積層物とそれぞれの層A
が接合されるように積層する工程により新たな積層物と
して、層B/層A/層C、層B/層A/層B、または層
C/層A/層C積層構造を有する積層物とすることがで
きるし、あるいはまた、全く同様な方法により、層B/
層A/層C、層B/層A/層B、または層C/層A/層
C積層構造を有する各種電気化学素子あるいは装置を製
造することができる。
【0095】本発明のイオン伝導性積層物は、各種の電
池、コンデンサ、エレクトロクロミック素子あるいは装
置、その他の電気化学素子あるいは装置の製造に極めて
好適に用いることができる。その場合、(1)〜(2
9)のいずれかに記載の本発明の積層物の層B及び層C
の少なくとも一方を層Aから除去する、または層Aに対
向する面上に金属、金属酸化物または炭素からなる薄膜
層(D1 もしくはD2 )を有する層Bもしくは層Cと該
薄膜層(D1 もしくはD2 )とを層Aから除去すること
により表面層となる層Aを、かかる電気化学素子あるい
は装置の製造に用いることが有利であり、その場合表面
層となった層Aの少なくとも一方の除去面上に、例え
ば、電池を構成する場合には電気化学的活性物質(正極
及び/または負極活物質)を含有する材料からなる層を
形成する工程を経て電気化学素子あるいは装置を製造す
ることができる。
【0096】かかる方法により、電池、コンデンサ、光
電池、太陽電池等の電気化学的発電素子あるいは装置、
エレクトロクロミック素子あるいは装置等の電気化学的
発色素子あるいは装置、エレクトロルミネッセンス材料
等を用いる電気化学的発光素子あるいは装置を製造する
ことができる。例えば、本発明の積層物を用いて二次電
池を製造する方法の一つを次に詳細に説明する。
【0097】本発明のイオン伝導性積層物を用いて電池
を製造する場合、電池の構成において、負極にアルカリ
金属、アルカリ金属合金、炭素材料のようなアルカリ金
属イオンをキャリアーとする低酸化還元電位の電極活物
質(負極活物質)を用いることにより、高電圧、高容量
の電池が得られるので好ましい。このような電極活物質
の中では、リチウム金属あるいはリチウム/アルミニウ
ム合金、リチウム/鉛合金、リチウム/アンチモン合金
等のリチウム合金類が最も低酸化還元電位であるため特
に好ましい。また、炭素材料もLiイオンを吸蔵した場
合低酸化還元電位となり、しかも安定、安全であるとい
う点で特に好ましい。Liイオンを吸蔵放出できる炭素
材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛、気相法黒鉛、石油
コークス、石炭コークス、ピッチ系炭素、ポリアセン、
60、C70等のフラーレン類等が挙げられる。
【0098】正極材料は、金属酸化物、金属硫化物、導
電性高分子あるいは炭素材料のような高酸化還元電位の
電極活物質(正極活物質)を用いることにより、高電
圧、高容量の電池が得られるので好ましい。このような
電極活物質の中では、充填密度が高くなり、体積容量密
度が高くなるという点では、酸化コバルト、酸化マンガ
ン、酸化バナジウム、酸化ニッケル、酸化モリブデン等
の金属酸化物、硫化モリブデン、硫化チタン、硫化バナ
ジウム等の金属硫化物が好ましく、特に酸化マンガン、
酸化ニッケル、酸化コバルト等が高容量、高電圧という
点から好ましい。この場合の金属酸化物や金属硫化物を
製造する方法は特に限定されず、例えば、「電気化学、
第22巻、574頁、1954年」に記載されているよ
うな、一般的な電解法や加熱法によって製造される。ま
た、これらを電極活物質としてリチウム電池に使用する
場合、電池の製造時に、例えば、Lix CoO2 やLi
xMnO2 等の形でLi元素を金属酸化物あるいは金属
硫化物に挿入(複合)した状態で用いるのが好ましい。
このようにLi元素を挿入する方法は特に限定されず、
例えば、電気化学的にLiイオンを挿入する方法や、米
国特許第4357215号に記載されているように、L
2 CO3 等の塩と金属酸化物を混合、加熱処理するこ
とによって実施できる。
【0099】また柔軟で、薄膜にし易いという点では、
正極材料として、導電性高分子が好ましい。導電性高分
子の例としては、ポリアニリン、ポリアセチレン及びそ
の誘導体、ポリパラフェニレン及びその誘導体、ポリピ
ロール(ポリピロリレン)及びその誘導体、ポリチエニ
レン及びその誘導体、ポリピリジンジイル及びその誘導
体、ポリイソチアナフテニレン及びその誘導体、ポリフ
リレン及びその誘導体、ポリセレノフェン及びその誘導
体、ポリパラフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニ
レン、ポリフリレンビニレン、ポリナフテニレンビニレ
ン、ポリセレノフェンビニレン、ポリピリジンジイルビ
ニレン等のポリアリーレンビニレン及びそれらの誘導体
等が挙げられる。中でも有機溶媒に可溶性のアニリン誘
導体の重合体が特に好ましい。これらの電池あるいは電
極において電極活物質として用いられる導電性高分子
は、化学的あるいは電気化学的方法あるいはその他の公
知の方法に従って製造される。また、その他の有機物と
して2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾー
ルのようなジスルフィド化合物及びこれらと導電性高分
子の混合物が高容量であるため好ましい。
【0100】また、炭素材料としては、天然黒鉛、人造
黒鉛、気相法黒鉛、石油コークス、石炭コークス、フッ
化黒鉛、ピッチ系炭素、ポリアセン等が挙げられる。ま
た、本発明の電池あるいは電極において電極活物質とし
て用いられる炭素材料は、市販のものを用いることがで
き、あるいは公知の方法に従って製造される。
【0101】本発明の積層物を電池の製造に用いる場
合、層Aを構成するイオン伝導性材料(SPEあるいは
PGE)中で該材料の複合に用いられるイオン性物質で
ある電解質塩の種類は特に限定されるものではなく、電
荷でキャリアーとしたいイオンを含んだ電解質を用いれ
ばよいが、SPEあるいはPGE中での解離定数が大き
いことが望ましく、アルカリ金属塩、(CH34 NB
4 等の4級アンモニウム塩、(CH34 PBF4
の4級ホスホニウム塩、AgClO4 等の遷移金属塩あ
るいは塩酸、過塩素酸、ホウフッ化水素酸等のプロトン
酸が推奨される。
【0102】本発明の電池に用いる負極活物質として
は,上記のように、アルカリ金属、アルカリ金属合金、
炭素材料のようなアルカリ金属イオンをキャリアーとす
る低酸化還元電位のものを用いることにより、高電圧、
高容量の電池が得られるので好ましい。従って、かかる
負極を用い、アルカリ金属イオンをキャリアーとする電
池に用いる場合のSPEあるいはPGE中の電解質とし
てはアルカリ金属塩が必要となる。このアルカリ金属塩
の種類としては、例えば、LiCF3 SO3 、LiN
(CF3 SO22 、LiPF6 、LiClO4 、Li
I、LiBF4 、LiSCN、LiAsF6 、NaCF
3 SO3 、NaPF6 、NaClO4 、NaI、NaB
4 、NaAsF6 、KCF3 SO3 、KPF6 、KI
等を挙げることができる。この中で、アルカリ金属とし
ては、リチウムまたはリチウム合金を用いた場合が、高
電圧、高容量であり、かつ薄膜化が可能である点から最
も好ましい。また、炭素材負極の場合には、アルカリ金
属イオンだけでなく、4級アンモニウム塩、4級ホスホ
ニウム塩、遷移金属塩、各種プロトン酸が使用できる。
【0103】これら電解質塩の混合量としては混合する
高分子や他のイオン伝導性材料の構成成分によっても異
なるが、少なすぎるとイオンキャリアー数が不足し、多
すぎると移動度が減少するためイオン伝導度が低下す
る。従ってイオン伝導性材料中の電解質塩の好ましい量
としては0.1〜70重量%であり、1〜50重量%が
特に好ましい。
【0104】また本発明の積層物のイオン伝導性材料と
して好ましい形態であるSPEあるいはPGE中に電解
液用溶媒として有機化合物や少量の水を添加したイオン
伝導性材料を電池の電解質として用いると、イオン伝導
度がさらに向上するので好ましい。使用できる溶媒とし
ては、イオン伝導性材料に用いられる前記溶媒の中で、
イオン伝導性材料を構成するSPEあるいはPGEに用
いる高分子との相溶性が良好で、誘電率が1以上と大き
く、沸点が70℃以上であり、電気化学的安定範囲が広
い化合物が特に好ましい。従って水よりも特定の有機溶
媒が適している。そのような有機系溶媒としては、トリ
エチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレン
グリコールジメチルエーテル等のオリゴエーテル類、エ
チレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチ
ルカーボネート、ジエチルカーボネート、炭酸ビニレ
ン、(メタ)アクリロイルカーボネート等のカーボネー
ト類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類、ベンゾニト
リル、トルニトリル等の芳香族ニトリル類、ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリ
ドン、N−ビニルピロリドン、スルホラン等の含硫黄ま
たは含窒素化合物、リン酸エステル類、エタノール、プ
ロパノール、ブタノール等のアルコール類が挙げられ
る。この中で、オリゴエーテル類及びカーボネート類及
びラクトン類が好ましい。上記の溶媒にはイオン伝導性
材料の非重合性可塑剤としても機能する物質が含まれ
る。
【0105】溶液の添加量が多いほどSPEまたはPG
Eのイオン伝導度は高くなるが、多過ぎるとSPEまた
はPGEの機械的強度が低下する。好ましい添加量とし
ては、SPEまたはPGEに用いる高分子重量の10倍
量以下である。また、溶媒として炭酸ビニレン、(メ
タ)アクリロイルカーボネート、N−ビニルピロリドン
のような重合性の化合物を、適度に非重合性可塑剤と併
用して前記官能性モノマーまたはオリゴマーと共重合す
ることにより、機械的強度を低下させずに、可塑剤の添
加量を増加させ、イオン伝導度を改善することもできる
ので好ましい。
【0106】本発明の積層物を用いる電池の製造方法と
して、前記の電極活物質を含む電極を少なくとも一方の
電極とし、同様にして製造した他の電極活物質を含む電
極あるいはその他通常用いられる電極をもう一方の電極
として用いる。まず、本発明の積層物の層B及び層Cの
少なくとも一方を層Aから剥離するなどして除去する。
あるいは、層Aに対向する面上に金属、金属酸化物また
は炭素からなる薄膜層(D1 もしくはD2 )を有する層
Bもしくは層Cと該薄膜層とを層Aから剥離するなどし
て除去する。以下説明の便宜上、積層物として層B/薄
膜層D1 /層A/層Cを用い、層Cを除去して層B/薄
膜層D1 /層Aとして電極の積層に用いる電池の製造方
法を例示するが、積層物はこの構成のものに限定されな
いし、剥離除去する外層もこれに限定されない。上記の
工程により得られた層B/薄膜層D1 /層Aの層A面
上、すなわち、積層されていた層Cを除去した層A面上
に、まずフィルム、シート、円盤など所定の形状に加工
された一方の電極を載置し、必要に応じて加圧して密着
させて、層B/薄膜層D1 /層A/電極からなる積層構
造物を製造する(尚、層A面上に電極を載置とは、必ず
しも空間的位置関係として上下であることに限定され
ず、逆さの関係であっても、左右の関係であってもよ
い。)。尚、層B/薄膜層D1 /層A/電極からなる積
層構造物を形成する際に、必要に応じて加圧して電極と
層A間の良好な接触性を確保することが望ましく、その
場合、層Aに硬化性物質が含まれているものが特に好適
であり、あるいは予め層A面上に載置する電極の表面上
に、硬化してイオン伝導性物質となり得る硬化性物質あ
るいはその溶液を塗布などの方法により薄くコーティン
グしてから、硬化性物質を含む/または含まない層Aを
載置することが好適であり、特にそのような場合には、
層A面上に電極を載置した後、加圧する時に、及び/ま
たは加圧後に、加熱し、及びまたは前記の活性光線を照
射することにより、電極と層Aが極めて良好に密着した
積層構造物とすることができる。
【0107】尚、電極と層Aを積層する際に、電極上に
予め所定の厚さの、絶縁性材料からなるスペーサ枠を配
置し、予め裁断等の方法でその枠の形状やサイズに合う
ように加工した本発明の積層物(層B/薄膜層D1 /層
A/層C)から製造した層B/薄膜層D1 /層Aからな
る積層構造物あるいは予め裁断等の方法でその枠のサイ
ズに加工した層B/薄膜層D1 /層Aからなる積層構造
物を、電極上のスペーサ枠内に載置して上記方法により
スペーサを有する層B/薄膜層D1 /層A/電極からな
る積層構造物を形成することができる。
【0108】次に、層B/薄膜層D1 /層A/電極から
なる積層構造物の層B/薄膜層D1を剥離などの方法で
除去する。このようにしてできる層A/電極からなる積
層構造物の層A面上に、既に積層された電極と同様にフ
ィルム、シート、円盤など所定の形状とサイズに加工さ
れたもう一方の電極を載置し、必要に応じて加圧して密
着させて、電極/層A/電極からなる積層構造物を製造
する(尚、この場合も層A面上に電極を載置とは、必ず
しも空間的位置関係として上下であることに限定され
ず、逆さの関係であっても、左右の関係であってもよ
い。)。尚、電極/層A/電極からなる積層構造物を形
成する際に、必要に応じて加圧して電極と層A間の良好
な接触性を確保することが望ましく、その場合、層Aに
硬化性物質が含まれているものが特に好適であり、ある
いは予め層A面上に載置する電極の表面上に硬化してイ
オン伝導性物質となり得る硬化性物質あるいはその溶液
を塗布などの方法により薄くコーティングしてから、硬
化性物質を含む/または含まない層Aを載置することが
好適であり、特にそのような場合には、層A面上に電極
を載置した後、加圧する時に、及び/または加圧後に、
加熱し、及びまたは前記の活性光線を照射することによ
り、電極と層Aが極めて良好に密着した積層構造物とす
ることができる。
【0109】上記の活性光線としては、紫外線、可視光
線、近赤外線、遠赤外線、電子線、ガンマ線、X線な
ど、硬化性物質や開始剤との組み合わせで適切な光線を
用いることができる。上記のようにして製造した電極/
層A/電極からなる積層物のそれぞれの電極に必要に応
じて集電体を接続させ、電池構成用構造体内に入れ、あ
るいは集電体が電池構成用構造体を兼ねている場合には
そのまま、開放端部を絶縁性の封止剤、例えばエポキシ
樹脂、ポリオレフィン樹脂等で封止する等、公知の方法
により電池とすることができる。尚、本発明の電池の製
造方法において、上記集電体は、上記の電極/層A/電
極からなる積層物を製造する前に、任意の工程で、用い
る電極に予め接続されていてもよい。
【0110】本発明のイオン伝導性積層物を用いる電池
の製造方法により、特に均質な厚さの全固体型のSPE
あるいはPGEを用いる高品質の、例えばリチウム二次
電池、リチウムイオン二次電池等の二次電池を製造する
ことができる。特に本発明のイオン伝導性積層物を電池
の製造に用いることにより、極めて薄い、均質な厚さの
SPEあるいはPGE層を有し、電極との密着性が良
く、従って電気的特性、すなわち、高速充放電特性、ク
ーロン効率、サイクル特性に優れた薄型の二次電池を製
造することができる。
【0111】このようにして製造される本発明の電池の
一例として、薄膜固体二次電池の一例の概略断面図を図
9に示す。図中、1は正極、2はSPEあるいはPG
E、3は負極、4は集電体、5は絶縁性スペーサー、6
は絶縁性樹脂封止剤である。本発明のイオン伝導性積層
物を用いて、捲回型電池を製造することもでき、その場
合は、上述と同様の方法により、正極/層A/薄膜層D
1 /層Bからなる積層物と負極/層A/薄膜層D1 /層
Bからなる積層物とを製造し、それぞれ薄膜層D1 /層
Bを剥離して、前記と同様の方法で、例えばフィルム状
の正極/層A/負極/層Aあるいは負極/層A/正極/
層Aからなる積層物を製造し、各電極にはそれぞれリー
ド線を接続し、このフィルム状積層物を捲回して所望の
捲回物とし、捲回物を電池構成用構造体内に挿入して、
常法の封止法により封止して捲回型電池を製造すること
ができる。捲回物を電池構成用構造体内に挿入後、例え
ば、層Aを構成するイオン伝導性物質あるいはSPEあ
るいはPGEを構成する際に用いられる前記硬化性物質
あるいはその混合物を注入して重合させてから常法によ
り封止して捲回型電池とすることもできる。
【0112】次に本発明のイオン伝導性積層物を用いる
固体電気二重層コンデンサの製造方法の一例について詳
細に説明する。本発明のイオン伝導性材料からなる層A
に用いられるイオン性物質であり、製造される固体電気
二重層コンデンサのSPEあるいはPGE中のイオン性
物質の種類は特に限定されるものではなく、電荷キャリ
アーとしたいイオンを含んだ化合物を用いればよいが、
SPEあるいはPGE中での解離定数が大きく、分極性
電極と電気二重層を形成しやすいイオンを含むことが望
ましい。このような化合物としては、(CH34 NB
4 、(CH3 CH24 NClO4 等の4級アンモニ
ウム塩、AgClO4 等の遷移金属塩、(CH34
BF4 等の4級ホスホニウム塩、LiCF3 SO3 、L
iPF6 、LiClO4 、LiI、LiBF4 、LiS
CN、LiAsF6 、LiN(CF3 SO22 、Na
CF3 SO3 、NaPF6 、NaClO4 、NaI、N
aBF4 、NaAsF6 、KCF3SO3 、KPF6
KI等のアルカリ金属塩、パラトルエンスルホン酸等の
有機酸及びその塩、塩酸、硫酸等の無機酸等が挙げられ
る。この中で、出力電圧が高く取れ、解離定数が大きい
という点から、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム
塩、アルカリ金属塩が好ましい。4級アンモニウム塩の
中では、(CH3 CH2 )(CH3 CH2 CH2 CH
23 NBF4 のような、アンモニウムイオンの窒素上
の置換基が異なっているものが、SPEあるいはPGE
への溶解性あるいは解離定数が大きいという点から好ま
しい。
【0113】本発明のイオン伝導性積層物を用いて製造
される固体電気二重層コンデンサにおいて、前記イオン
伝導性材料からなる均質な厚さのSPEあるいはPGE
を用いることにより、出力電圧が高く、取り出し電流が
大きく、あるいは加工性、信頼性に優れた全固体電気二
重層コンデンサが提供される。本発明の固体電気二重層
コンデンサの一例の概略断面図を図10に示す。4は集
電体であり、集電体の内側には一対の分極性電極7が配
置されており、その間にSPEあるいはPGE2が配置
されている。5は絶縁性スペーサーであり、この例では
絶縁性フィルムが用いられ、6は絶縁性樹脂封止剤、ま
た8はリード線である。集電体4は電子伝導性で電気化
学的に耐食性があり、できるだけ比表面積の大きい材料
を用いることが好ましい。例えば、各種金属及びその燒
結体、電子伝導性高分子、カーボンシート等を挙げるこ
とができる。
【0114】分極性電極7は、通常電気二重層コンデン
サに用いられる炭素材料等の分極性材料からなる電極で
あればよいが、かかる炭素材料に本発明のイオン伝導性
積層物の層Aを構成するイオン伝導性材料あるいはその
前駆材料を複合させたものが好ましい。分極性材料とし
ての炭素材料としては、比表面積が大きければ特に制限
はないが、比表面積が大きいほど電気二重層の容量が大
きくなり好ましい。例えば、ファーネスブラック、サー
マルブラック(アセチレンブラックを含む)、チャンネ
ルブラック等のカーボンブラック類や、椰子がら炭等の
活性炭、天然黒鉛、人造黒鉛、気相法で製造したいわゆ
る熱分解黒鉛、ポリアセン及びC60、C70を挙げること
ができる。
【0115】固体電気二重層コンデンサにおいて好まし
く用いられる、炭素材料のごとき分極性材料と前記の硬
化性物質(重合性モノマー)の少なくとも一種から得ら
れる重合体及び/または該化合物を共重合成分とする共
重合体を含む分極性電極を製造する場合、まず、例え
ば、前記一般式(1)で表されるユニットで置換されて
いる構造を有する化合物の少なくとも一種を、場合によ
っては、更に他の重合性化合物及び/または溶媒を添加
して、分極性材料と混合する。その場合、混合する各成
分の比率は、目的とするコンデンサにより適切なものと
する。このようにして得た重合性モノマー/分極性材料
混合物を、支持体上、例えば集電体上に成膜した後、例
えば、前記と同様の加熱及び/または活性光線照射によ
り重合することにより、分極性電極を製造する。本法に
よれば、集電体に良好に接触した複合薄膜電極を製造で
きる。
【0116】このようにして製造した2枚の分極性電極
を用いて、前記の電池の製造方法で説明した方法と同様
にして、分極性電極/層A/分極性電極からなる積層構
造物を製造する。この場合も、用いる分極性電極や本発
明の積層物あるいは、一方の外層を除去した積層構造物
を予め所望のサイズや形状に加工して、分極性電極/層
A/分極性電極からなる積層構造物の製造に用いること
ができる。上記のようにして製造した電極/層A/電極
からなる積層物のそれぞれの電極に必要に応じて集電体
を接続させ、コンデンサ構成用構造体内に入れ、あるい
は集電体がコンデンサ構成用構造体を兼ねている場合に
はそのまま、開放端部を絶縁性の封止剤、例えばエポキ
シ樹脂、ポリオレフィン樹脂等で封止する等、公知の方
を経てコンデンサとすることができる。尚、本発明のコ
ンデンサの製造方法において、上記集電体は、上記の電
極/層A/電極からなる積層物を製造する前に、任意の
工程で、用いる電極に予め接続されていてもよい。
【0117】本発明のイオン伝導性積層物を用いるコン
デンサの製造方法により、特に均質な厚さの全固体型の
SPEあるいはPGEを用いる高品質の、例えば全固体
型電気二重層コンデンサを製造することができる。特に
本発明のイオン伝導性積層物をコンデンサの製造に用い
ることにより、極めて薄い、均質な厚さのSPEあるい
はPGE層を有し、電極との密着性が良く、従って電気
的特性、すなわち、高速充放電特性、クーロン効率、サ
イクル特性に優れた薄型の全固体型電気二重層コンデン
サを製造することができる。電気二重層コンデンサの形
状としては、図10のようなシート型のほかに、コイン
型、あるいは分極性電極及びSPEあるいはPGEのシ
ート状積層体を円筒状に捲回し、円筒管状のコンデンサ
構成用構造体に入れ、封止して製造された円筒型等であ
っても良い。捲回型コンデンサを製造する場合は、前記
の捲回型電池の製造方法と同様にして、例えば、分極性
電極/層A/分極性電極/層Aからなるフィルム状積層
物を作り、それを捲回し、コンデンサ構成用構造体内に
挿入後に更に前記硬化性物質あるいはその混合物を注入
し、重合させるという方法も可能である。本発明のイオ
ン伝導性積層物は、例えば、極めて大面積の積層物とす
ることができ、また極めて長尺の、例えば幅120mm
で数百m以上の長さの積層物を、押し出し成形などの方
法で製造し、巻き取ってロール状積層物とすることもで
き、大面積の均質なイオン伝導性材料膜を有する積層物
として提供できることが、本発明の積層物の従来のイオ
ン伝導性材料には無い極めて重要な特徴の一つである。
本発明の積層物は、その用途により、使用される任意の
段階で所望のサイズに切断して使用することができ、任
意の厚さで極めて大面積の均質なイオン伝導性材料層を
有する電気化学的素子あるいは装置を製造することが可
能となる。また、極めて微細なサイズにも切断でき、極
めて小さく、且つ薄い均質なイオン伝導性材料膜を有す
る電気化学素子あるいは装置の製造も可能である。
【0118】
【実施例】以下に本発明について代表的な例を示しさら
に具体的に説明する。なお、これらは説明のための単な
る例示であって、本発明はこれらに何等制限されるもの
ではないことは言うまでもない。 [実施例1]
【化1】 <化合物3の合成>57.7g の化合物1(KOH価 34.0m
g /g 、p/q=4)及び3.89g の化合物2を窒素雰囲
気中でよく精製したTHF100ml に溶解した後、0.44g
のジブチルチンジラウレートを添加する。その後、25
℃で約15時間反応させることにより、無色の粘稠液体
を得た。その1H-NMR、IR及び元素分析の結果から、化合
物1と化合物2はモル比1対3で反応し、さらに、化合
物2のイソシアナート基が消失し、ウレタン結合が生成
しており、化合物3が生成していることがわかった。
【0119】[実施例2]1.50g の化合物3と1.5gのジ
エチルカーボネート(DEC)、1.5gのエチレンカーボ
ネート(EC)、0.30g のLiBF4 及び0.02g のイル
ガキュアー500(チバガイギー社製)をアルゴン雰囲
気中でよく混合し、光重合性モノマー溶液(SPEの前
駆材料)を得た。この重合性モノマー溶液を窒素雰囲気
下、厚さ500Åのアルミナを蒸着したPETフィルム
(厚さ50μm)のアルミナ層上にコーターを用いて厚
さ30μmにコート後、水銀ランプを10分間照射する
ことにより硬化させ、透明な高分子固体電解質(SP
E)層を得た。さらにこのSPE層の上からポリプロピ
レンフィルム(30μm)を窒素雰囲気下、ニップロー
ルを用いて重ね合わせ、PET/アルミナ/SPE/ポ
リプロピレンからなるフィルム状積層物を得た。この積
層物中のSPE層の25℃でのイオン伝導度をインピー
ダンス法にて測定したところ、2 ×10-3S/cmであった。
またこのSPE層の水分値は100ppmであった(カ
ールフィッシャー法)。さらにこの積層物を温度23
℃、湿度60%RHの恒温室に1時間放置した後のSP
E層の水分は120ppmと放置前から殆ど増加してい
なかった。また、イオン伝導度も2 ×10-3S/cmと変化し
ていなかった。この積層物からポリプロピレンフィルム
を剥離し、同様に温度23℃、湿度60%RHの恒温室
に1時間放置したところ、SPE層の水分は1500p
pmまで増加していた。また、イオン伝導度も0.7 ×10
-3S/cmに低下していた。この積層物から上下層のポリプ
ロピレン及び/またはPETフィルムを剥離することは
可能であり、SPE層を電極等の他の基材に容易に積層
できた。
【0120】[実施例3]実施例2で用いたLiBF4
に代えて、NaCF3 SO3 0.40g 用いた以外は実施例
2と同様にして、PET/アルミナ/SPE/ポリプロ
ピレンからなるフィルム状積層物を得た。この積層物の
SPE層の25℃でのイオン伝導度をインピーダンス法
にて測定したところ、5 ×10-3S/cmであった。またこの
SPE層の水分値は90ppmであった(カールフィッ
シャー法)。さらにこの積層物を温度23℃、湿度60
%RHの恒温室に1時間放置した後のSPE層の水分は
150ppmと放置前から殆ど増加していなかった。ま
たイオン伝導度は5 ×10-3S/cmと変化していなかった。
この積層物からポリプロピレンフィルムを剥離し、同様
に温度23℃、湿度60%RHの恒温室に1時間放置し
たところ、SPE層の水分は3000ppmまで増加し
ていた。またイオン伝導度も2 ×10-3S/cmに低下してい
た。この積層物から上下層のポリプロピレン及び/また
はPETフィルムを剥離することは可能であり、SPE
層を電極等の他の基材に容易に積層できた。
【0121】[実施例4]実施例2で用いたアルミナ蒸
着PETフィルムに代えて、厚さ25μmのアルミ箔を
用いた以外は実施例2と同様にして、アルミニウム/S
PE/ポリプロピレンからなるフィルム状積層物を得
た。この積層物中のSPE層の25℃でのイオン伝導度
をインピーダンス法にて測定したところ、2 ×10-3S/cm
であった。またこのSPE層の水分値は100ppmで
あった(カールフィッシャー法)。さらにこの積層物を
温度23℃、湿度60%RHの恒温室に1時間放置した
後のSPE層の水分は115ppmと放置前から殆ど増
加していなかった。またイオン伝導度は2 ×10-3S/cmと
変化していなかった。この積層物からポリプロピレンフ
ィルムを剥離し、同様に温度23℃、湿度60%RHの
恒温室に1時間放置したところ、SPE層の水分は32
00ppmまで増加していた。またイオン伝導度も0.8
×10-3S/cmに低下していた。この積層物から上下層のポ
リプロピレンフィルム及び/またはアルミ箔を剥離する
ことは可能であり、SPE層を電極等の他の基材に容易
に積層できた。
【0122】[実施例5]
【化2】 <化合物6の合成>38.5g の化合物4(KOH価 22.7m
g /g 、p/q=5)、2.42g の化合物5を窒素雰囲気
中でよく精製したTHF100ml に溶解した後、0.29g の
ジブチルチンジラウレートを添加する。その後、25℃
で約15時間反応させることにより、無色の粘稠液体を
得た。その1H-NMR、IR及び元素分析の結果から、化合物
4と化合物5はモル比1対2で反応し、さらに、化合物
5のイソシアナート基が消失し、ウレタン結合が生成し
ており、化合物6が生成していることがわかった。
【0123】[実施例6]1.50g の化合物6と2.0gのγ
−ブチロラクトン(GBL)、2.0gのエチレンカーボネ
ート(EC)、0.35g のLiClO4 及び0.02g のイル
ガキュアー500( チバガイギー社製) をアルゴン雰囲
気中でよく混合し、光重合性モノマー溶液(SPEの前
駆材料)を得た。この重合性モノマー溶液を窒素雰囲気
下、厚さ100Åのアルミニウムを蒸着したPETフィ
ルム(厚さ50μm)のアルミニウム層上にコーターを
用いて厚さ30μmにコート後、水銀ランプを1分間照
射することにより、SPE層を形成させた後、このSP
E層の上からポリプロピレンフィルム(30μm)を積
層し、さらに10分間水銀ランプを照射することによ
り、PET/アルミニウム/SPE/ポリプロピレンか
らなるフィルム状積層物を得た。この積層物中のSPE
層の25℃でのイオン伝導度をインピーダンス法にて測
定したところ、3.5 ×10-3S/cmであった。またこのSP
E層の水分値は150ppmであった(カールフィッシ
ャー法)。さらにこの積層物を温度23℃、湿度60%
RHの恒温室に1時間放置した後のSPE層の水分は1
80ppmと放置前から殆ど増加していなかった。イオ
ン伝導度も3.5 ×10-3S/cmと変化していなかった。この
積層物からポリプロピレンフィルムを剥離し、同様に温
度23℃、湿度60%RHの恒温室に1時間放置したと
ころ、SPE層の水分は2000ppmまで増加してい
た。イオン伝導度は2.5 ×10-3S/cmと若干低下してい
た。この積層物から上下層のポリプロピレン及び/また
はPETフィルムを剥離することは可能であり、SPE
層を電極等の他の基材に容易に積層できた。
【0124】[実施例7]実施例6で用いたGBLに代
えて、テトラグライム(TG)を同量用いた以外は実施
例6と同様にして、PET/アルミニウム/SPE/ポ
リプロピレンからなるフィルム状積層物を得た。この積
層物中のSPE層の25℃でのイオン伝導度をインピー
ダンス法にて測定したところ、1.5 ×10-3S/cmであっ
た。またこのSPE層の水分値は90ppmであった
(カールフィッシャー法)。さらにこの積層物を温度2
3℃、湿度60%RHの恒温室に1時間放置した後のS
PE層の水分は150ppmと放置前から殆ど増加して
いなかった。イオン伝導度も1.5×10-3S/cmと変化して
いなかった。この積層物からポリプロピレンフィルムを
剥離し、同様に温度23℃、湿度60%RHの恒温室に
1時間放置したところ、SPE層の水分は3000pp
mまで増加していた。イオン伝導度は1.5 ×10-3S/cmと
変化していなかった。この積層物から上下層のポリプロ
ピレン及び/またはPETフィルムを剥離することは可
能であり、SPE層を電極等の他の基材に容易に積層で
きた。
【0125】[実施例8] <化合物8の合成>55g の化合物7(平均分子量Mn=55
0)、15g の化合物5を窒素雰囲気中でよく精製したT
HF100ml に溶解した後、0.66g のジブチルチンジラウ
レートを添加する。その後、25℃で約15時間反応さ
せることにより、無色の粘稠液体を得た。その1H-NMR、
IR及び元素分析の結果から、化合物7と化合物5はモル
比1対1で反応し、さらに、化合物5のイソシアナート
基が消失し、ウレタン結合が生成しており、化合物8が
生成していることがわかった。
【0126】[実施例9]アルゴン雰囲気下、1.5gの化
合物8と0.10g のLiClO4 の混合物に0.01gのダロ
キュアー1173(チバガイギー社製)を加えてアルゴ
ン雰囲気中でよく混合し、重合性モノマー溶液(SPE
の前駆材料)を得た。この重合性モノマー溶液を窒素雰
囲気下、コロナ放電処理した高密度ポリエチレンフィル
ム(厚さ30μm)上にコーターを用いて厚さ30μm
にコート後、水銀ランプを1分間照射することにより、
SPE層を形成させた後、このSPE層の上からポリプ
ロピレンフィルム(厚さ30μm)を重ね合わせ、さら
に10分間水銀ランプを照射することにより、ポリエチ
レン/SPE/ポリプロピレンからなるフィルム状積層
物を得た。この積層物中のSPE層の25℃でのイオン
伝導度をインピーダンス法にて測定したところ、1 ×10
-4S/cmであった。またこのSPE層の水分値は180p
pmであった(カールフィッシャー法)。さらにこの積
層物を温度23℃、湿度60%RHの恒温室に1時間放
置した後のSPE層の水分は180ppmと放置前と同
じであった。イオン伝導度も1 ×10-4S/cmと変化してい
なかった。この積層物からポリプロピレンフィルムを剥
離し、同様に温度23℃、湿度60%RHの恒温室に1
時間放置したところ、SPE層の水分は800ppmま
で増加していた。イオン伝導度は1 ×10-4S/cmと変化し
ていなかった。この積層物から上下層のポリエチレンフ
ィルム及び/またはポリプロピレンフィルムを剥離する
ことは可能であり、SPE層を電極等の他の基材に容易
に積層できた。
【0127】[実施例10]実施例9で用いたコロナ放
電処理高密度ポリエチレンフィルムに代えて、厚さ50
μmのPETフィルムを用いた以外は実施例9と同様に
して、PET/SPE/ポリプロピレンからなるフィル
ム状積層物を得た。この積層物中のSPE層の25℃で
のイオン伝導度をインピーダンス法にて測定したとこ
ろ、1 ×10-4S/cmであった。またこのSPE層の水分値
は180ppmであった(カールフィッシャー法)。さ
らにこの積層物を温度23℃、湿度60%RHの恒温室
に1時間放置した後のSPE層の水分は230ppmと
放置前と殆ど変化がなかった。イオン伝導度も1 ×10-4
S/cmと変化していなかった。この積層物からポリプロピ
レンフィルムを剥離し、同様に温度23℃、湿度60%
RHの恒温室に1時間放置したところ、SPE層の水分
は1000ppmまで増加していた。イオン伝導度は1
×10-4S/cmと変化していなかった。この積層物から上下
層のポリプロピレンフィルム及び/またはPETフィル
ムを剥離することは可能であり、SPE層を電極等の他
の基材に容易に積層できた。
【0128】[実施例11]実施例2で用いたLiBF
4 に代えて、0.50g のテトラエチルアンモニウムテトラ
フルオロボレート(TEAB)を用いた以外は実施例2
と同様にして、PET/アルミナ/SPE/ポリプロピ
レンからなるフィルム状積層物を得た。このSPE層の
25℃でのイオン伝導度をインピーダンス法にて測定し
たところ、3×10-3S/cmであった。またこのSPE層の
水分値は300ppmであった(カールフィッシャー
法)。さらにこの積層物を温度23℃、湿度60%RH
の恒温室に1時間放置した後のSPE層の水分は350
ppmと放置前から殆ど増加していなかった。またイオ
ン伝導度は3 ×10-3S/cmと変化していなかった。この積
層物からポリプロピレンフィルムを剥離し、同様に温度
23℃、湿度60%RHの恒温室に1時間放置したとこ
ろ、SPE層の水分は3500ppmまで増加してい
た。またイオン伝導度も1 ×10-3S/cmに低下していた。
この積層物から上下層のポリプロピレン及び/またはP
ETフィルムを剥離することは可能であり、SPE層を
電極等の他の基材に容易に積層できた。
【0129】[実施例12]実施例2で用いたLiBF
4 に代えて、0.35g のLiPF6 を用いた以外は実施例
2と同様にして、PET/アルミナ/SPE/ポリプロ
ピレンからなるフィルム状積層物を得た。この積層物中
のSPE層の25℃でのイオン伝導度をインピーダンス
法にて測定したところ、2.5 ×10-3S/cmであった。また
このSPE層の水分値は80ppmであった(カールフ
ィッシャー法)。さらにこの積層物を温度23℃、湿度
60%RHの恒温室に1時間放置した後のSPE層の水
分は80ppmと放置前から増加していなかった。また
イオン伝導度は2.5 ×10-3S/cmと変化していなかった。
この積層物からポリプロピレンフィルムを剥離し、同様
に温度23℃、湿度60%RHの恒温室に1時間放置し
たところ、SPE層の水分は3500ppmまで増加し
ていた。またイオン伝導度も0.5 ×10-3S/cmに低下して
いた。この積層物から上下層のポリプロピレン及び/ま
たはPETフィルムを剥離することは可能であり、SP
E層を電極等の他の基材に容易に積層できた。
【0130】[実施例13]アルゴン雰囲気下、1.50g
の化合物3と0.2gのN,N−ジメチルアクリルアミドの
混合物に1.5gのγ−ブチロラクトン(GBL)、1.5gの
エチレンカーボネート(EC)、0.30g のLiBF4
び0.02g のイルガキュアー500( チバガイギー社製)
をアルゴン雰囲気中でよく混合し、光重合性モノマー溶
液(SPEの前駆材料)を得た。この光重合性モノマー
溶液を厚さ30μmのポリプロピレン製不織布(日本バ
イリーン社製、MU3005)に含浸させ、窒素雰囲気
下、ポリプロピレンフィルム(厚さ30μm)上に配置
後、水銀ランプを10分間照射することにより硬化さ
せ、不織布複合SPE層を得た。さらにこのSPE層の
上からポリプロピレンフィルム(厚さ30μm)を窒素
雰囲気下、ニップロールを用いて積層し、ポリプロピレ
ン/SPE/ポリプロピレンからなるフィルム状積層物
を得た。このSPE層の25℃でのイオン伝導度をイン
ピーダンス法にて測定したところ、1.0 ×10-3S/cmであ
った。またこのSPE層の水分値は100ppmであっ
た(カールフィッシャー法)。さらにこの積層物を温度
23℃、湿度60%RHの恒温室に1時間放置した後の
SPE層の水分は110ppmと放置前から殆ど増加し
ていなかった。また、イオン伝導度も1 ×10-3S/cmと変
化していなかった。この積層物から片方のポリプロピレ
ンフィルムを剥離し、同様に温度23℃、湿度60%R
Hの恒温室に1時間放置したところ、SPE層の水分は
1500ppmまで増加していた。また、イオン伝導度
も0.8 ×10-3S/cmと若干低下していた。この積層物から
上下層のポリプロピレンフィルムの一方もしくは双方を
剥離することは可能であり、SPE層を電極等の他の基
材に容易に積層できた。
【0131】[実施例14]アルゴン雰囲気下、1.50g
の化合物3と0.2gの平均分子量1万のポリエチレンオキ
サイド(アルドリッチ(株)製)の混合物に1.5gのγ−
ブチロラクトン(GBL)、1.5gのエチレンカーボネー
ト(EC)、0.30g のLiBF4 及び0.02gのイルガキ
ュアー500( チバガイギー社製)をアルゴン雰囲気中
でよく混合し、光重合性モノマー溶液(SPEの前駆材
料)を得た。この光重合性モノマー溶液を厚さ150μ
mの汎用のポリエチレン製ネットに含浸させ、窒素雰囲
気下、PETフィルム(厚さ50μm)上に配置後、水
銀ランプを10分間照射することにより硬化させ、不織
布複合SPE層を得た。さらにこのSPE層の上からポ
リプロピレンフィルム(厚さ30μm)を窒素雰囲気
下、ニップロールを用いて積層し、PET/SPE/ポ
リプロピレンからなるフィルム状積層物を得た。この積
層物中のSPE層の25℃でのイオン伝導度をインピー
ダンス法にて測定したところ、1.5 ×10-3S/cmであっ
た。またこのSPE層の水分値は100ppmであった
(カールフィッシャー法)。さらにこの積層物を温度2
3℃、湿度60%RHの恒温室に1時間放置した後のS
PE層の水分は120ppmと放置前から殆ど増加して
いなかった。また、イオン伝導度も1.5 ×10-3S/cmと変
化していなかった。この積層フィルムからポリプロピレ
ンフィルムを剥離し、同様に温度23℃、湿度60%R
Hの恒温室に1時間放置したところ、SPE層の水分は
2000ppmまで増加していた。また、イオン伝導度
も1.0 ×10-3S/cmと若干低下していた。この積層物から
上下層のポリプロピレン及び/またはPETフィルムを
剥離することは可能であり、SPE層を電極等の他の基
材に容易に積層できた。
【0132】[実施例15]1.50g の化合物3と1.5gの
γ−ブチロラクトン(GBL)、1.5gのエチレンカーボ
ネート(EC)、0.30g のLiClO4 及び0.001gのア
ゾビスイソブチロニトリル(AIBN)をアルゴン雰囲
気中でよく混合し、熱重合性モノマー溶液(SPEの前
駆材料)を得た。この熱重合性モノマー溶液を窒素雰囲
気下、厚さ500Åのアルミナを蒸着したPETフィル
ム(厚さ50μm)のアルミナ層上にコーターを用いて
厚さ約30μmにコート後、60℃で5分間加熱して一
部重合反応を起こさせ、熱重合性モノマー溶液層の粘度
を増加させ、その上にポリプロピレンフィルム(厚さ3
0μm)を積層した後60℃で1時間加熱することによ
り重合性モノマー溶液を完全に硬化させ、PET/アル
ミナ/SPE/ポリプロピレンからなるフィルム状積層
物を得た。このSPE層の25℃でのイオン伝導度をイ
ンピーダンス法にて測定したところ、1.5 ×10-3S/cmで
あった。またこのSPE層の水分値は100ppmであ
った(カールフィッシャー法)。さらにこの積層物を温
度23℃、湿度60%RHの恒温室に1時間放置した後
のSPE層の水分は120ppmと放置前から殆ど増加
していなかった。また、イオン伝導度も1.5 ×10-3S/cm
と変化していなかった。この積層物からポリプロピレン
フィルムを剥離し、同様に温度23℃、湿度60%RH
の恒温室に1時間放置したところ、SPE層の水分は2
100ppmまで増加していた。また、イオン伝導度も
1.0 ×10-3S/cmに若干低下していた。この積層物から上
下層のポリプロピレン及び/またはPETフィルムを剥
離することは可能であり、SPE層を電極等の他の基材
に容易に積層できた。
【0133】[実施例16]アルゴン雰囲気下、2.0gの
平均分子量1万のポリエチレンオキサイド(アルドリッ
チ(株)製)を約20g の1,2−ジメトキシエタン(D
ME)に溶解し、次いで0.20g のLiClO4 を溶解
し、SPE溶液を得た。このSPE溶液を厚さ500Å
のアルミナを蒸着したPETフィルム(厚さ50μm)
のアルミナ上にコーターを用いて約100μmにコート
後、窒素雰囲気中で2時間風乾後、さらにこのSPE層
の上からポリプロピレンフィルム(30μm)を窒素雰
囲気下、ニップロールを用いて積層し、PET/アルミ
ナ/SPE/ポリプロピレンからなるフィルム状積層物
を得た。さらにこの積層物を1時間室温で真空乾燥する
ことにより、残存DME溶液を除去した。この積層物中
のSPE層の25℃でのイオン伝導度をインピーダンス
法にて測定したところ、1 ×10-6S/cmであった。またこ
のSPE層の水分値は500ppmであった(カールフ
ィッシャー法)。さらにこの積層物を温度23℃、湿度
60%RHの恒温室に1時間放置した後のSPE層の水
分は500ppmと放置から変化がなかった。また、イ
オン伝導度も1 ×10-6S/cmと変化していなかった。この
積層物からポリプロピレンフィルムを剥離し、同様に温
度23℃、湿度60%RHの恒温室に1時間放置したと
ころ、SPE層の水分は1000ppmまで増加してい
た。イオン伝導度は変化がなかった。この積層物から上
下層のポリプロピレン及び/またはPETフィルムを剥
離することは可能であり、SPE層を電極等の他の基材
に容易に積層できた。
【0134】[実施例17]アルゴン雰囲気下、1.5gの
メタクリル変性ポリエチレングリコール(日本油脂製、
ブレンマーPME400,平均分子量400)と0.10g
のLiClO4 の混合物に0.01g のダロキュアー117
3(チバガイギー社製)を加えてアルゴン雰囲気中でよ
く混合し、光重合性モノマー溶液(SPEの前駆材料)
を得た。この光重合性モノマー溶液を窒素雰囲気下、コ
ロナ放電処理したポリエチレンフィルム(厚さ30μ
m)上にコーターを用いて厚さ30μmにコート後、水
銀ランプを1分間照射することにより、SPE層を形成
させた後、このSPE層の上からポリプロピレンフィル
ム(厚さ30μm)を重ね合わせ、さらに10分間水銀
ランプを照射することにより、積層し、ポリエチレン/
SPE/ポリプロピレンからなるフィルム状積層物を得
た。この積層物中のSPE層の25℃でのイオン伝導度
をインピーダンス法にて測定したところ、1 ×10-5S/cm
であった。またこのSPE層の水分値は150ppmで
あった(カールフィッシャー法)。さらにこの積層物を
温度23℃、湿度60%RHの恒温室に1時間放置した
後のSPE層の水分は160ppmと放置前と殆ど同じ
であった。イオン伝導度も1 ×10-5S/cmと変化していな
かった。この積層物からポリプロピレンフィルムを剥離
し、同様に温度23℃、湿度60%RHの恒温室に1時
間放置したところ、SPE層の水分は2000ppmま
で増加していた。イオン伝導度は1 ×10-5S/cmと変化し
ていなかった。この積層物から上下層のポリエチレン及
び/またはポリプロピレンフィルムを剥離することは可
能であり、SPE層を電極等の他の基材に容易に積層で
きた。
【0135】[実施例18]アルゴン雰囲気下、0.75g
のウレタンアクリレート(共栄社油脂化学製UA−10
1H,グリセリンジメタクリレートヘキサメチレンジイ
ソシアネートウレタンプレポリマーと0.75g の平均分子
量5000のポリエチレンオキサイド(アルドリッチ
(株)製)の混合物に1.5gのγ−ブチロラクトン(GB
L)、1.5gのエチレンカーボネート(EC)、0.30g の
LiBF4 及び0.02g のイルガキュアー500( チバガ
イギー社製)をアルゴン雰囲気中でよく混合し、光重合
性モノマー溶液(SPEの前駆材料)を得た。この光重
合性モノマー溶液を窒素雰囲気下、厚さ100Åの二酸
化ケイ素を蒸着したPETフィルム(厚さ50μm)の
二酸化ケイ素層上にコーターを用いて厚さ30μmにコ
ート後、水銀ランプを5分間照射することにより、SP
E層を形成させた後、このSPE層の上からポリプロピ
レンフィルム(厚さ30μm)を積層し、さらに20分
間ハロゲンランプを照射することにより、PET/二酸
化ケイ素/SPE/ポリプロピレンからなるフィルム状
積層物を得た。このSPE層の25℃でのイオン伝導度
をインピーダンス法にて測定したところ、3 ×10-4S/cm
であった。またこのSPE層の水分値は300ppmで
あった(カールフィッシャー法)。さらにこの積層物を
温度23℃、湿度60%RHの恒温室に1時間放置した
後のSPE層の水分は330ppmと放置前から殆ど増
加していなかった。イオン伝導度も3 ×10-4S/cmと変化
していなかった。この積層物からポリプロピレンフィル
ムを剥離し、同様に温度23℃、湿度60%RHの恒温
室に1時間放置したところ、SPE層の水分は1500
ppmまで増加していた。イオン伝導度は1.0 ×10-4S/
cmと低下していた。この積層物から上下層のポリプロピ
レン及び/またはPETフィルムを剥離することは可能
であり、SPE層を電極等の他の基材に容易に積層でき
た。
【0136】[実施例19]アルゴン雰囲気下、1.5gの
ポリエチレングリコールジメタクリレート(日本油脂製
ブレンマーPDE−600(平均分子量600) )に1.
0gのγ−ブチロラクトン(GBL)、1.0gのエチレンカ
ーボネート(EC)、0.30g のLiBF4 及び0.02g の
イルガキュアー651( チバガイギー社製)をよく混合
し、光重合性モノマー溶液(SPEの前駆材料)を得
た。この光重合性モノマー溶液を窒素雰囲気下、厚さ1
00Åの二酸化ケイ素を蒸着したPETフィルム(厚さ
50μm)の二酸化ケイ素層上にコーターを用いて厚さ
30μmにコート後、水銀ランプを5分間照射すること
により、SPE層を形成させた後、このSPE層の上か
らポリプロピレンフィルム(厚さ30μm)を積層し、
さらに30分間ハロゲンランプを照射することにより、
PET/二酸化ケイ素/SPE/ポリプロピレンからな
るフィルム状積層物を得た。この積層物中のSPE層の
25℃でのイオン伝導度をインピーダンス法にて測定し
たところ、1 ×10-4S/cmであった。またこのSPE層の
水分値は350ppmであった(カールフィッシャー
法)。さらにこの積層物を温度23℃、湿度60%RH
の恒温室に1時間放置した後のSPE層の水分は360
ppmと放置前から殆ど増加していなかった。イオン伝
導度も1 ×10-4S/cmと変化していなかった。この積層物
からポリプロピレンフィルムを剥離し、同様に温度23
℃、湿度60%RHの恒温室に1時間放置したところ、
SPE層の水分は2500ppmまで増加していた。イ
オン伝導度は0.7 ×10-4S/cmと低下していた。この積層
物から上下層のポリプロピレン及び/またはPETフィ
ルムを剥離することは可能であり、SPE層を電極等の
他の基材に容易に積層できた。
【0137】[実施例20]アルゴン雰囲気下、アクリ
ロニトリル(ACN)/メタクリレート(MA)コポリ
マー(東洋紡、ACN/MAモル比=20/1)3.0gを
8.0gのエチレンカーボネート(EC)、10.0g のプロピ
レンカーボネート(PC)で膨潤させ、次いで2.3gのL
iClO4 を溶解し、高分子ゲル電解質(PGE)を得
た。このPGEをPETフィルム(厚さ50μm)上に
スパチュラで広げ、さらにこのPGE層の上からポリプ
ロピレンフィルム(厚さ30μm)を窒素雰囲気下で積
層し、PGE層の厚みが100μmとなるようにロール
加圧成形を行ない、PET/PGE/ポリプロピレンか
らなるフィルム状積層物を得た。この積層物中のPGE
層の25℃でのイオン伝導度をインピーダンス法にて測
定したところ、1 ×10-3S/cmであった。またこのPGE
層の水分値は100ppmであった(カールフィッシャ
ー法)。さらにこの積層物を温度23℃、湿度60%R
Hの恒温室に1時間放置した後のPGE層の水分は15
0ppmと放置前から殆ど増加しなかった。また、イオ
ン伝導度は1 ×10-3S/cmと変化していなかった。この積
層物からポリプロピレンフィルムを剥離し、同様に温度
23℃、湿度60%RHの恒温室に1時間放置したとこ
ろ、PGE層の水分は1000ppmまで増加してい
た。イオン伝導度は変化がなかった。この積層物から上
下層のポリプロピレン及び/またはPETフィルムを剥
離することは可能であり、PGE層を電極等の他の基材
に容易に積層できた。
【0138】[実施例21]アルゴン雰囲気下、アクリ
ロニトリル(ACN)/メタクリレート(MA)コポリ
マー(東洋紡、ACN/MAモル比=20/1)3.0gを
8.0gのエチレンカーボネート(EC)、10.0g のプロピ
レンカーボネート(PC)で膨潤させ、次いで2.3gのL
iClO4 を溶解し、PGEを得た。次いでスペクトル
グレードアセトニトリル(AN,和光純薬)5gを添加
し、PGE溶液とした。このPGE溶液を窒素雰囲気
下、厚さ500Åのアルミナを蒸着したPETフィルム
(厚さ50μm)のアルミナ層上にコーターを用いて厚
さ200μmにコート後、窒素雰囲気中で2時間風乾
後、さらにこのPGE層の上からポリプロピレンフィル
ム(厚さ30μm)を窒素雰囲気下、ニップロールを用
いて積層し、積層物を得、さらにこの積層物を1時間室
温で真空乾燥することにより、残存ANを除去し、PG
E層が約100μmであるPET/アルミナ/PGE/
ポリプロピレンからなるフィルム状積層物を得た。この
積層物中のPGE層の25℃でのイオン伝導度をインピ
ーダンス法にて測定したところ、1.2 ×10-3S/cmであっ
た。またこのPGE層の水分値は110ppmであった
(カールフィッシャー法)。さらにこの積層物を温度2
3℃、湿度60%RHの恒温室に1時間放置した後のP
GE層の水分は150ppmと放置前から殆ど増加しな
かった。また、イオン伝導度は1.2 ×10-3S/cmと変化し
ていなかった。この積層物からポリプロピレンフィルム
を剥離し、同様に温度23℃、湿度60%RHの恒温室
に1時間放置したところ、PGE層の水分は1400p
pmまで増加していた。イオン伝導度は1.0 ×10-3S/cm
と若干低下した。この積層物から上下層のポリプロピレ
ン及び/またはPETフィルムを剥離することは可能で
あり、PGE層を電極等の他の基材に容易に積層でき
た。
【0139】[実施例22]アルゴン雰囲気下、3.0gの
ポリフッ化ビニリデン(PVdF、クラレ製電池バイン
ダーグレード)を10.0g のエチレンカーボネート(E
C)、10.0g のγ−ブチロラクトン(GBL)に膨潤
し、次いで3.0gのLiBF4 を溶解し、PGEを得た。
このPGEをポリプロピレンフィルム(厚さ30μm)
上にスパチュラで広げ、さらにこのPGE層の上からポ
リプロピレンフィルム(厚さ30μm)を窒素雰囲気
下、重ね合わせ、PGE層の厚みが100μmとなるよ
うにロール加圧成形を行ない、ポリプロピレン/PGE
/ポリプロピレンからなるフィルム状積層物を得た。こ
の積層物中のPGE層の25℃でのイオン伝導度をイン
ピーダンス法にて測定したところ、8 ×10-4S/cmであっ
た。またこのPGE層の水分値は120ppmであった
(カールフィッシャー法)。さらにこの積層物を温度2
3℃、湿度60%RHの恒温室に1時間放置した後のP
GE層の水分は140ppmと放置前から殆ど増加しな
かった。また、イオン伝導度は6 ×10-4S/cmと殆ど変化
していなかった。この積層物からポリプロピレンフィル
ムを剥離し、同様に温度23℃、湿度60%RHの恒温
室に1時間放置したところ、PGE層の水分は3000
ppmまで増加していた。イオン伝導度は3 ×10-4S/cm
に低下していた。この積層フィルムから上下層のポリプ
ロピレンフィルムの一方もしくは双方を剥離することは
可能であり、PGE層を電極等の他の基材に容易に積層
できた。
【0140】[実施例23] コバルト酸リチウム/ア
ルミ箔積層電極の製造 11g のLi2 CO3 と24g のCo34 を良く混合し、
酸素雰囲気下、800℃で24時間加熱後、粉砕するこ
とによりLiCoO2 粉末を得た。このLiCoO2
末とアセチレンブラック、ポリフッ化ビニリデンを重量
比8:1:1で混合し、さらに過剰のN−メチルピロリ
ドンを加え、ゲル状組成物を得た。この組成物を厚さ約
25μmのアルミニウム箔10cm×10cmに塗布後、約
50μmの厚さにロール成形した。さらに、約100℃
で24時間加熱真空乾燥することにより、コバルト酸リ
チウム/アルミニウム箔積層電極を得た。
【0141】[実施例24]1.50g の化合物6と2.0gの
γ−ブチロラクトン(GBL)、2.0gのエチレンカーボ
ネート(EC)、0.35g のLiClO4 及び0.02g のイ
ルガキュアー500( チバガイギー社製)をアルゴン雰
囲気中でよく混合し、光重合性モノマー溶液(SPEの
前駆材料)を得た。この光重合性モノマー溶液を窒素雰
囲気下、実施例23で製造したコバルト酸リチウム/ア
ルミニウム箔積層電極の一部を切り出しコバルト酸リチ
ウム層上にコーターを用いて厚さ30μmにコート後、
水銀ランプを1分間照射することにより、SPE層を形
成させた後、このSPE層の上からポリプロピレンフィ
ルム(厚さ30μm)を積層し、さらに10分間水銀ラ
ンプを照射することにより、アルミニウム/コバルト酸
リチウム/SPE/ポリプロピレンからなるフィルム状
積層物を得た。この積層物中のSPE層の水分値は80
ppmであった(カールフィッシャー法)。さらにこの
積層物を温度23℃、湿度60%RHの恒温室に1時間
放置した後のSPE層の水分は100ppmと放置前か
ら殆ど増加していなかった。この積層物からポリプロピ
レンフィルムを剥離し、同様に温度23℃、湿度60%
RHの恒温室に1時間放置したところ、SPE層の水分
は5000ppmまで増加していた。
【0142】[実施例25]実施例24で用いたポリプ
ロピレンフィルムの代りに500Åのアルミナを蒸着し
たPETフィルム(厚さ50μm)を用いた以外は実施
例24と同様にして、アルミニウム/コバルト酸リチウ
ム/SPE/アルミナ/PETからなるフィルム状積層
物を得た。この積層物中のSPE層の水分値は85pp
mであった(カールフィッシャー法)。さらにこの積層
物を温度23℃、湿度60%RHの恒温室に1時間放置
した後のSPE層の水分は100ppmと放置前から殆
ど増加していなかった。この積層物からポリプロピレン
フィルムを剥離し、同様に温度23℃、湿度60%RH
の恒温室に1時間放置したところ、SPE層の水分は4
300ppmまで増加していた。
【0143】[実施例26] 黒鉛/銅箔積層電極の製
造 大阪ガス(株)製MCMB黒鉛(平均粒径5μm)、昭
和電工(株)製気相法黒鉛繊維(平均繊維径、0.3 μm
、平均繊維長、2.0 μm 、2700℃熱処理品)、ポ
リフッ化ビニリデンの重量比8.6:0.4:1.0の
混合物に過剰のN−メチルピロリドンを加え、ゲル状組
成物を得た。この組成物を厚さ約15μmの銅箔上に1
0cm×10cm、約50μmの厚さに塗布成型した。さら
に、約100℃で24時間加熱真空乾燥することによ
り、黒鉛/銅箔積層電極を得た。
【0144】[実施例27]実施例24で調製した光重
合性モノマー溶液を窒素雰囲気下、実施例26で製造し
た黒鉛/銅箔積層電極の一部を切り出し黒鉛層上にコー
ターを用いて厚さ30μmにコート後、水銀ランプを1
分間照射することにより、SPE層を形成させた後、こ
のSPE層の上からポリプロピレンフィルム(厚さ30
μm)を積層し、さらに10分間水銀ランプを照射する
ことにより、銅箔/黒鉛/SPE/ポリプロピレンから
なるフィルム状積層物を得た。この積層物のSPE層の
水分値は80ppmであった(カールフィッシャー
法)。さらにこの積層物を温度23℃、湿度60%RH
の恒温室に1時間放置した後のSPE層の水分は100
ppmと放置前から殆ど増加していなかった。この積層
物からポリプロピレンフィルムを剥離し、同様に温度2
3℃、湿度60%RHの恒温室に1時間放置したとこ
ろ、SPE層の水分は4800ppmまで増加してい
た。
【0145】[実施例28] Li二次電池の製造 1.5gの化合物6と2.0gのγ−ブチロラクトン(GB
L)、2.0gのエチレンカーボネート(EC)、0.35g の
LiClO4 及び0.001gの過酸化ベンゾイルをアルゴン
雰囲気中でよく混合し、熱重合性モノマー溶液(SPE
の前駆材料)を得た。アルゴン雰囲気グローブボックス
内で、厚さ25μmのリチウム箔を12mm×12mmに切
り出し、12mm×12mmの銅箔(厚さ15μm)に圧着
した。その端部約1mm四方を厚さ5μmのポリイミドフ
ィルムで、スペーサーとして被覆し、実施例24で調製
した光重合性モノマー溶液をLi箔上に薄く(約1μ
m)塗布した。次に、実施例2で製造したフィルム状積
層物を12mm×12mmに切出し、ポリプロピレンフィル
ム層を剥離し、そのSPE層をリチウム箔上に貼り合わ
せ、アルミナ蒸着PET側から水銀ランプを10分間照
射することにより、重合性モノマー溶液を硬化させ、リ
チウム箔とSPE層を接着させ、銅/リチウム/SPE
/アルミナ蒸着PETからなるフィルム状積層物を得
た。次いで実施例23で製造したコバルト酸リチウム/
アルミニウム箔積層電極を12mm×12mmに切出し、上
記熱重合性モノマー溶液を含浸させ、上記積層物からア
ルミナ蒸着PETを剥離したSPE側とコバルト酸リチ
ウム側を貼り合わせた。次いで、60℃で1時間加熱す
ることにより重合性モノマー溶液を硬化させ、SPEと
コバルト酸リチウムを接着させ、銅/リチウム/SPE
/コバルト酸リチウム/アルミニウムからなるフィルム
状積層物を作製した。積層物端部をエポキシ樹脂で封印
し、リチウム/SPE/コバルト酸リチウム二次電池を
得た。得られた電池の概略断面図を図11に示す。この
電池を、作動電圧2.0 〜4.2V、電流0.2mA で充放電を繰
返したところ、最大放電容量は1.8mAhで、容量が50%
に減少するまでのサイクル寿命は150回であった。
【0146】[実施例29] Liイオン二次電池の製
造 アルゴン雰囲気グローブボックス内で、実施例26で製
造した黒鉛/銅箔積層電極を12mm×12mmに切出し、
その黒鉛側端部約1mm四方を厚さ5μmのポリイミドフ
ィルムで、スペーサーとして被覆し、実施例24で調製
した光重合性モノマー溶液を含浸させた。次に、実施例
2で調製したフィルム状積層物を12mm×12mmに切出
し、ポリプロピレンフィルム層を剥離し、そのSPE層
を黒鉛層上に貼り合わせ、アルミナ蒸着PET側から水
銀ランプを10分間照射することにより、重合性モノマ
ー溶液を硬化させ、黒鉛とSPE層を接着させ、銅/黒
鉛/SPE/アルミナ蒸着PETからなるフィルム状積
層物を得た。次いで実施例23で製造したコバルト酸リ
チウム/アルミ箔積層電極を12mm×12mmに切出し、
実施例28で調製した熱重合性モノマー溶液を含浸さ
せ、上記積層物からアルミナ蒸着PETを剥離したSP
E側とコバルト酸リチウム側を貼り合わせた。次いで、
60℃で1時間加熱することにより重合性モノマー溶液
を硬化させ、SPEとコバルト酸リチウムを接着させ、
銅/黒鉛/SPE/コバルト酸リチウム/アルミニウム
からなるフィルム状積層物を作製した。積層物端部をエ
ポキシ樹脂で封印し、図11と同様の、黒鉛/SPE/
コバルト酸リチウム二次電池を得た。この電池を、作動
電圧2.0 〜4.2V、電流0.2mA で充放電を繰返したとこ
ろ、最大放電容量は1.7mAhで、容量が50%に減少する
までのサイクル寿命は410回であった。
【0147】[実施例30] Liイオン二次電池の製
造 アルゴン雰囲気グローブボックス内で、実施例26で製
造した黒鉛/銅箔積層電極を12mm×12mmに切出し、
その黒鉛側端部約1mm四方を厚さ5μmのポリイミドフ
ィルムで、スペーサーとして被覆し、実施例28で調製
した熱重合性モノマー溶液を含浸させた。次に、実施例
24で製造したアルミニウム箔/コバルト酸リチウム/
SPE/ポリプロピレンからなるフィルム状積層物を1
2mm×12mmに切出し、ポリプロピレンフィルム層を剥
離し、そのSPE層を上記黒鉛上に貼り合わせ、次い
で、60℃で1時間加熱することにより重合性モノマー
溶液を硬化させ、SPEと黒鉛層を接着させ、銅/黒鉛
/SPE/コバルト酸リチウム/アルミニウムからなる
フィルム状積層物を作製した。積層物端部をエポキシ樹
脂で封印し、図11と同様の、黒鉛/SPE/コバルト
酸リチウム二次電池を得た。この電池を、作動電圧2.0
〜4.2V、電流0.2mA で充放電を繰返したところ、最大放
電容量は1.6mAhで、容量が50%に減少するまでのサイ
クル寿命は430回であった。
【0148】[実施例31] Liイオン二次電池の製
造 アルゴン雰囲気グローブボックス内で、実施例27で製
造した銅箔/黒鉛/SPE/ポリプロピレンからなるフ
ィルム状積層物を12mm×12mmに切出し、ポリプロピ
レンフィルム層を剥離し、そのSPE層表面に実施例2
8で調製した熱重合性モノマー溶液を薄く塗布した(約
1μm)。次に、実施例24で製造したアルミニウム箔
/コバルト酸リチウム/SPE/ポリプロピレンからな
るフィルム状積層物を12mm×12mmに切出し、ポリプ
ロピレンフィルム層を剥離し、そのSPE層を上記熱重
合性モノマーを塗布したSPE上に貼り合わせ、次い
で、60℃で1時間加熱することにより重合性モノマー
溶液を硬化させ、SPE層同志を接着させ、銅/黒鉛/
SPE/コバルト酸リチウム/アルミニウムからなるフ
ィルム状積層物を作製した。積層物端部をエポキシ樹脂
で封印し、黒鉛/SPE/コバルト酸リチウム二次電池
を得た。得られた電池の概略断面図を図12に示す。こ
の電池を、作動電圧2.0 〜4.2V、電流0.2mA で充放電を
繰返したところ、最大放電容量は1.6mAhで、容量が50
%に減少するまでのサイクル寿命は380回であった。
【0149】[実施例32] 活性炭/SUS積層電極
の製造 椰子がら活性炭とポリフッ化ビニリデン(PVdF)の
重量比9.0:1.0の混合物に過剰のN−メチルピロ
リドンを加え、ゲル状組成物を得た。この組成物をステ
ンレス鋼(SUS)箔上に10cm×10cmの大きさで約
150μmの厚さに塗布した。約100℃で10時間真
空乾燥し、活性炭/SUS積層電極を得た。
【0150】[実施例33]1.50g の化合物8と4.0gの
プロピレンカーボネート(PC)、0.35g のLiBF4
及び0.02g のイルガキュアー500( チバガイギー社
製)をアルゴン雰囲気中でよく混合し、光重合性モノマ
ー溶液(SPEの前駆材料)を得た。この光重合性モノ
マー溶液を窒素雰囲気下、実施例32で製造した活性炭
/SUS積層電極の活性炭に吸液させ、さらにその上に
コーターを用いて厚さ30μmにコート後、水銀ランプ
を1分間照射することにより、SPE層を形成させた
後、このSPE層の上からポリプロピレンフィルム(厚
さ30μm)を重ね合わせ、さらに10分間水銀ランプ
を照射することにより、SUS箔/活性炭/SPE/ポ
リプロピレンからなるフィルム状積層物を得た。この積
層物のSPE層の水分値は180ppmであった(カー
ルフィッシャー法)。さらにこの積層物を温度23℃、
湿度60%RHの恒温室に1時間放置した後のSPE層
の水分は200ppmと放置前から殆ど増加していなか
った。この積層物からポリプロピレンフィルムを剥離
し、同様に温度23℃、湿度60%RHの恒温室に1時
間放置したところ、SPE層の水分は5000ppmま
で増加していた。
【0151】[実施例34]1.50g 化合物3と3.0gのプ
ロピレンカーボネート(PC)、0.30g のLiBF4
び0.02g のイルガキュアー500( チバガイギー社製)
をアルゴン雰囲気中でよく混合し、光重合性モノマー溶
液(SPEの前駆材料)を得た。この光重合性モノマー
溶液を窒素雰囲気下、厚さ500Åのアルミナを蒸着し
たPETフィルム(厚さ50μm)のアルミナ層上にコ
ーターを用いて厚さ30μmにコート後、水銀ランプを
10分間照射することにより硬化させ、透明なSPE層
を得た。さらにこのSPE層の上からポリプロピレンフ
ィルム(厚さ30μm)を窒素雰囲気下、ニップロール
を用いて積層しPET/アルミナ/SPE/ポリプロピ
レンからなるフィルム状積層物を得た。このSPE層の
25℃でのイオン伝導度をインピーダンス法にて測定し
たところ、2 ×10-3S/cmであった。またこのSPE層の
水分値は180ppmであった(カールフィッシャー
法)。さらにこの積層物を温度23℃、湿度60%RH
の恒温室に1時間放置した後のSPE層の水分は200
ppmと放置前から殆ど増加していなかった。また、イ
オン伝導度も2 ×10-3S/cmと変化していなかった。この
積層物から上下層のポリプロピレンフィルム及び/また
はPET/アルミナ層を剥離することは可能であり、S
PE層を電極等の他の基材に容易に積層できた。
【0152】[実施例35] 電気二重層コンデンサの
製造 1.50g の化合物8と4.0gのプロピレンカーボネート(P
C)、0.35g のLiBF4 及び0.001gのAIBNをアル
ゴン雰囲気中でよく混合し、熱重合性モノマー溶液(S
PEの前駆材料)を得た。アルゴン雰囲気グローブボッ
クス内で、実施例32と同様にして製造した活性炭/S
US積層電極を12mm×12mmに切出し、実施例33で
調製した光重合性モノマー溶液を含浸させた。次に、実
施例34で調製したフィルム状積層物を12mm×12mm
に切出し、ポリプロピレンフィルム層を剥離し、そのS
PE層を活性炭上に貼り合わせ、アルミナ蒸着PET側
から水銀ランプを10分間照射することにより、重合性
モノマー溶液を硬化させ、活性炭とSPE層を接着さ
せ、SUS/活性炭/SPE/アルミナ蒸着PETから
なるフィルム状積層物を得た。次いで実施例32と同様
にして製造した活性炭/SUS積層電極を12mm×12
mmに切出し、上記熱重合性モノマー溶液を含浸させ、S
US/活性炭/SPE/アルミナ蒸着PET積層物から
アルミナ蒸着PET層を剥離したSPE側と活性炭側を
貼り合わせた。次いで、60℃で1時間加熱することに
より重合性モノマー溶液を硬化させ、SUS/活性炭/
SPE/活性炭/SUSからなるフィルム状積層物を作
製した。積層物端部をエポキシ樹脂で封印し、電気二重
層コンデンサとして得た。得られた電気二重層コンデン
サの概略断面図を図13に示す。このコンデンサを、作
動電圧0〜2.0V、電流0.1mAで充放電を行なっ
たところ、最大容量は160mFであった。また、この
条件で充放電を50回繰り返してもほとんど容量に変化
はなかった。
【0153】[実施例36] 固体電気二重層コンデン
サの製造 アルゴン雰囲気グローブボックス内で、実施例33で製
造したSUS箔/活性炭/SPE/ポリプロピレンから
なるフィルム状積層物を12mm×12mmに2枚切り出し
た。次いで一方の積層物のポリプロピレンフィルム層を
剥離し、そのSPE層表面に実施例35で調製した熱重
合性モノマー溶液を薄く塗布した(約1μm)。次に、
もう一方のSUS箔/活性炭/SPE/ポリプロピレン
からなるフィルム状積層物からポリプロピレンフィルム
層を剥離し、そのSPE層を上記熱重合性モノマーを塗
布したSPE上に貼り合わせ、次いで、60℃で1時間
加熱することにより重合性モノマー溶液を硬化させ、S
PE同志を接着させ、SUS/活性炭/SPE/活性炭
/SUSからなるフィルム状積層物を作製した。積層物
端部をエポキシ樹脂で封印し、固体電気二重層コンデン
サとして得た。得られた固体電気二重層コンデンサの概
略断面図を図13に示す。このコンデンサを、作動電圧
0〜2.0V、電流0.1mAで充放電を行なったとこ
ろ、最大容量は170mFであった。また、この条件で
充放電を50回繰り返してもほとんど容量に変化はなか
った。
【0154】[実施例37] 三酸化タングステン(W
3 )エレクトロクロミック層の作製 松崎真空(株)製のITO(インジウム錫オキサイド)
ガラスを12mm×12mmに切断したものの端部を被覆
し、ITO露出部が10mm×10mmになった電極の上
に、タンタルをボート材として抵抗加熱法、10-5〜1
-6TorrでWO3 の真空蒸着を行なった。得られた
膜の厚みは約1000Å、密度は約5g/cm3 であっ
た。
【0155】[実施例38] 電解重合ポリアニリン膜
の作製 松崎真空(株)製のITOガラスを12mm×12mmに切
断した電極上に、0.5Mアニリンを含む1M塩酸水溶
液を電解液とし、20mm×20mmのITOガラスを対極
として、−0.2から0.8V vs.SCEの範囲で
走査速度0.2V/secで電位走査を繰返すことによ
り、約5000Åの緑色のドープ状態の電解重合ポリア
ニリン薄膜をITOガラス上に形成させた。次にこのポ
リアニリン薄膜をアンモニア水で脱ドープさせた後、蒸
留水で充分に洗浄し、さらにヒドラジン水溶液中に浸漬
することにより、無色の脱ドープ状態の膜を得た。この
膜を100℃で約3時間真空乾燥した。
【0156】[実施例39] エレクトロクロミック表
示装置(ECD)の製造 アルゴン雰囲気グローブボックス内で、実施例38で製
造したポリアニリン薄膜/ITO電極に、実施例24で
調製した光重合性モノマー溶液を含浸させた。次に、実
施例2で調製したフィルム状積層物を12mm×12mmに
切出し、ポリプロピレンフィルム層を剥離し、そのSP
E層をポリアニリン薄膜上に貼り合わせ、アルミナ蒸着
PET側から水銀ランプを10分間照射することによ
り、重合性モノマー溶液を硬化させ、ポリアニリンとS
PE層を接着させ、ITO/ポリアニリン/SPE/ア
ルミナ蒸着PETからなるフィルム状積層物を得た。次
いで実施例37で製造したWO3 /ITO電極に実施例
28で調製した熱重合性モノマー溶液を含浸させ、上記
積層物からアルミナ蒸着PETを剥離したSPE側とW
3 側を貼り合わせた。次いで、60℃で1時間加熱す
ることにより重合性モノマー溶液を硬化させ、SPEと
WO3 を接着させ、ITO/ポリアニリン/SPE/W
3 /ITOからなるフィルム状積層物を作製した。積
層物端部をエポキシ樹脂で封印し、ポリアニリン/SP
E/WO3 からなるECDを得た。得られたECDの概
略断面図を図14に示す。このECDを、作動電圧−2.
0 〜2.0V、注入電気量6mC/cm2で発色/消色駆動を繰返
したところ、濃青色/淡青色のエレクトロクロミズムを
示した。応答速度は約300msecであった。またこ
の条件で駆動を100回繰返しても色調、応答速度に変
化は見られなかった。
【0157】[実施例40]1.50g の化合物6と2.0gの
γ−ブチロラクトン(GBL)、2.0gのエチレンカーボ
ネート(EC)、0.2gのNaBF4 、0.2gのNaI及び
0.02g のイルガキュアー500( チバガイギー社製)を
アルゴン雰囲気中でよく混合し、光重合性モノマー溶液
(SPEの前駆材料)を得た。この光重合性モノマー溶
液を窒素雰囲気下、厚さ500Åのアルミナを蒸着した
PETフィルム(厚さ50μm)のアルミナ層上にコー
ターを用いて厚さ30μmにコート後、水銀ランプを1
0分間照射することにより硬化させ、透明なSPE層を
得た。さらにこのSPE層の上からポリプロピレンフィ
ルム(厚さ30μm)を窒素雰囲気下、ニップロールを
用いて積層し、PET/アルミナ/SPE/ポリプロピ
レンからなるフィルム状積層物を得た。このSPE層の
25℃でのイオン伝導度をインピーダンス法にて測定し
たところ、5 ×10-3S/cmであった。またこのSPE層の
水分値は500ppmであった(カールフィッシャー
法)。さらにこの積層物を温度23℃、湿度60%RH
の恒温室に1時間放置した後のSPE層の水分は500
ppmと放置前から殆ど増加していなかった。また、イ
オン伝導度も5 ×10-3S/cmと変化していなかった。この
積層物から上下層のポリプロピレン及びPETフィルム
を剥離することは可能であり、SPE層を電極等の他の
基材に容易に積層できた。
【0158】[ 実施例41] Cd(Se,Te)光電
極の製造 ジャーナル オブ エレクトロケミカルソサエティー、
1985年、132巻、1077ページで報告されてい
る方法に従い、12mm×12mmのチタン電極上にCdS
4 、SeO2 、TeO2 の硫酸水溶液から電析させる
ことにより、約1μmの厚さのCd(Se,Te)光電
極を製造した。
【0159】[実施例42] 固体湿式太陽電池の製
造、評価 上記で製造したCd(Se,Te)/Ti光電極の端部
約1mm四方を厚さ5μmのポリイミドフィルムで被覆
し、次に、実施例40で調製した光重合性モノマー溶液
をCd(Se,Te)薄膜上に塗布した。次に、実施例
40で製造したフィルム状積層物を12mm×12mmに切
出し、ポリプロピレンフィルム層を剥離し、そのSPE
層をCd(Se,Te)薄膜上に貼り合わせ、アルミナ
蒸着PET側から水銀ランプを10分間照射することに
より、重合性モノマー溶液を硬化させ、Cd(Se,T
e)薄膜とSPE層を接着させ、Ti/Cd(Se,T
e)/SPE/アルミナ蒸着PETからなるフィルム状
積層物を得た。次いでITO電極(12mm×12mm)に
実施例40で調製した光重合性モノマー溶液を塗布さ
せ、上記積層物からアルミナ蒸着PETを剥離したSP
E側とITO電極の塗布面側を貼り合わせた。次いで、
ITO側から水銀ランプを10分間照射することによ
り、光重合性モノマー溶液を硬化させ、ITOとSPE
層を接着させ、Ti/Cd(Se,Te)/SPE/I
TOからなるフィルム状積層物を得た。積層物端部をエ
ポキシ樹脂で封印し、Cd(Se,Te)/SPE/I
TO固体湿式太陽電池を得た。得られた固体湿式太陽電
池の概略断面図を図15に示す。光源として500Wの
タングステン−ハロゲンランプを用い、1時間照射した
場合の開回路電圧は0.4Vであった。また閉回路では
0.1mA/cm2 で30分以上の電流が観察され、光
電池として作動していることがわかった。
【0160】[実施例43]PETフィルムに1000
ÅのITOを蒸着し、そのITOにSUS鋼箔を端子と
して半田付けしたITO層/PET層からなるフィルム
状積層物(12mm×12mm;厚さ30μm)のITO層
上に、実施例9で調製した重合性モノマー溶液を窒素雰
囲気下でコーターを用いて厚さ30μmにコート後、水
銀ランプを1分間照射することにより、SPE層を形成
させた後、このSPE層の上からポリプロピレンフィル
ム(厚さ30μm)を重ね合わせ、さらに10分間水銀
ランプを照射することにより、PET/ITO(SUS
端子付き)/SPE/ポリプロピレンからなるフィルム
状積層物を得た。この積層物中のSPE層の25℃での
イオン伝導度をインピーダンス法にて測定したところ、
1 ×10-4S/cmであった。またこのSPE層の水分値は2
30ppmであった(カールフィッシャー法)。さらに
この積層物を温度23℃、湿度60%RHの恒温室に1
時間放置した後のSPE層の水分は230ppmと放置
前と同じであった。イオン伝導度も1 ×10-4S/cmと変化
していなかった。この積層物からポリプロピレンフィル
ム層を剥離し、同様に温度23℃、湿度60%RHの恒
温室に1時間放置したところ、SPE層の水分は800
ppmまで増加していた。イオン伝導度は1 ×10-4S/cm
と変化していなかった。この積層物から上下層のポリエ
チレンフィルム及び/またはポリプロピレンフィルムを
剥離することは可能であり、SPE層を電極等の他の基
材に容易に積層できた。この積層物からポリプロピレン
フィルム層を剥離し、ポリプロピレン層を剥離した積層
物のSPE層に、実施例41と同様にして製造した光電
極を実施例42と同様の方法で積層することにより、実
施例42と同様の太陽電池を得た。
【0161】[実施例44]実施例9と同様にして製造
したポリエチレン/SPE/ポリプロピレンからなるフ
ィルム状積層物の対向する端部面にのみ銀ペーストをス
プレー塗布し、更にその銀ペースト上にSUS鋼製のリ
ード線を半田付けした。この2つの銀ペースト塗布面の
間にあるSPE部分の比抵抗は3×104 Ω・cmであ
り、上下が絶縁性基材(ポリエチレンとポリプロピレ
ン)でカバーされた導電材料として使用可能であった。
【0162】
【発明の効果】本発明のイオン伝導性積層物は高温、室
温あるいは低温でのイオン伝導性に優れ、含水量が少な
い均質な厚さのイオン伝導性材料層を有するため、二次
電池、電気二重層コンデンサ、エレクトロクロミック表
示素子あるいは装置、光電池、太陽電池等種々の電気化
学素子あるいは電気化学装置の製造に有利に用いること
ができる。特に、高分子固体電解質(SPE)あるいは
高分子ゲル電解質(PGE)を電気化学素子あるいは電
気化学装置に用いる場合、その取り扱いにおいて、かか
る電解質単独で取り扱う場合の問題点である、フィルム
状など所望の形状への加工性、積層して使用する場合の
均質性、膜厚などの形状安定性、吸湿等の問題が抜本的
に改善されるという特別有利な効果を奏する。更に、本
発明の積層物は、種々の電気化学素子あるいは装置を製
造する上で、いつでも一定品質のSPEあるいはPGE
等のイオン伝導性材料を安定して使用できる状態で保存
でき、品質安定性に優れ、取り扱いが極めて容易になる
という効果を有する。
【0163】本発明のイオン伝導性積層物を用いる電気
化学素子及び電気化学装置の製造方法により、極めて高
品質の、含水量が少ないSPEあるいはPGEをイオン
伝導材料とする均質な厚さのフィルム等の層状の形態で
用いる該素子及び装置が得られ、従来知られている塗布
などの方法に比べて、安定して、簡便あるいは容易に、
高い歩留まりで得られるという効果を有する。本発明の
イオン伝導性積層物は、任意のサイズと形状の層状物と
することができ、特に、他の方法では製造できないよう
な、極めて大面積及び/または長尺及び/または極薄型
から厚手まで任意の厚さの、均質な高品質のイオン伝導
性材料からなる層状物(フィルム、シート、板等)とす
ることができるという、従来のイオン伝導性材料には無
い優れた特徴を有しており、本発明の積層物を用いるこ
とにより、従来は不可能であったような大型の前記の各
種電気化学素子あるいは電気化学装置を製造することが
可能となる。本発明のイオン伝導性積層物は帯電防止な
どの導電材として用いることができ、あるいはその製造
に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層物の概略断面図である。
【図2】本発明の積層物の概略断面図である。
【図3】本発明の積層物の概略断面図である。
【図4】本発明の積層物の概略断面図である。
【図5】本発明の積層物の概略断面図である。
【図6】本発明の積層物の概略断面図である。
【図7】本発明の積層物の概略断面図である。
【図8】本発明の積層物の概略断面図である。
【図9】本発明により製造される薄膜固体二次電池の一
例の概略断面図である。
【図10】本発明により製造される固体電気二重層コン
デンサの一例の概略断面図である。
【図11】本実施例で作成した電池の概略断面図であ
る。
【図12】本実施例で作成した電池の概略断面図であ
る。
【図13】本実施例で作成した固体電気二重層コンデン
サの概略断面図である。
【図14】本実施例で作成したECDの概略断面図であ
る。
【図15】本実施例で作成した固体湿式太陽電池の概略
断面図である。
【符号の説明】
A イオン伝導性材料層(層A) B A層よりイオン伝導性の低い材料層(層B) C A層よりイオン伝導性の低い材料層(層C) D1 金属、金属酸化物または炭素薄膜層 D2 金属、金属酸化物または炭素薄膜層 E1 電子伝導性電導体 E2 電子伝導性電導体 1 正極 2 高分子固体電解質または高分子ゲル電解質 3 負極 4 集電体 5 絶縁性スペーサー 6 絶縁性樹脂封止剤 7 分極性電極 8 リード線 9 ガラス 10 透明導電層 11 エレクトロクロミック層 12 対向電極 13 電極 14 対極 15 基盤A 16 基盤B
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01G 9/025 H01M 6/18 Z 9/032 8/02 K H01M 6/18 10/40 B 8/02 H01G 9/00 301G 10/40 9/02 321 // H01L 31/04 H01L 31/04 D (72)発明者 四ツ柳 淳二 神奈川県川崎市川崎区千鳥町3番2号 昭 和電工株式会社川崎樹脂研究所内 (72)発明者 平田 元之 神奈川県川崎市川崎区千鳥町3番2号 昭 和電工株式会社川崎樹脂研究所内

Claims (50)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イオン伝導性材料からなる層Aの上部及
    び下部にそれぞれ層B及び層Cを有する積層物であっ
    て、層B及び層Cはそれぞれ層Aよりイオン伝導性の低
    い材料からなり、層B及び層Cの少なくとも一方は非電
    子伝導性材料からなる層であることを特徴とする積層
    物。
  2. 【請求項2】 層B及び層Cの少なくとも一方が、平均
    分子量約400のポリエチレングリコールの接触角が8
    0゜以下であるような層である請求項1記載の積層物。
  3. 【請求項3】 層B及び層Cの少なくとも一方が、平均
    分子量約400のポリエチレングリコールの接触角が6
    0゜以下であるような層である請求項1記載の積層物。
  4. 【請求項4】 層B及び層Cが非透液性層である請求項
    1〜3のいずれかに記載の積層物。
  5. 【請求項5】 層B及び層Cが非透水性層である請求項
    1〜4のいずれかに記載の積層物。
  6. 【請求項6】 層B及び層Cの少なくとも一方が、誘電
    率が8以下である物質からなる層である請求項1〜5の
    いずれかに記載の積層物。
  7. 【請求項7】 層B及び層Cの少なくとも一方のイオン
    伝導度が層Aのイオン伝導度に比べて十分の一以下であ
    る請求項1〜6のいずれかに記載の積層物。
  8. 【請求項8】 層B及び層Cの少なくとも一方が熱可塑
    性樹脂あるいはその組成物からなる層である請求項1〜
    7のいずれかに記載の積層物。
  9. 【請求項9】 層B及び層Cの少なくとも一方がエンジ
    ニアリングプラスチック、熱硬化性樹脂あるいはそのい
    ずれかを含む組成物からなる層である請求項1〜7のい
    ずれかに記載の積層物。
  10. 【請求項10】 層Aのイオン伝導性材料の比抵抗が1
    6 Ω・cm以下である請求項1〜9のいずれかに記載
    の積層物。
  11. 【請求項11】 層Aのイオン伝導性材料の比抵抗が1
    5 Ω・cm以下である請求項1〜9のいずれかに記載
    の積層物。
  12. 【請求項12】 層Aの厚さが0.1〜1000μmの
    範囲である請求項1〜11のいずれかに記載の積層物。
  13. 【請求項13】 層Aの水分量が200ppm以下であ
    る請求項1〜12のいずれかに記載の積層物。
  14. 【請求項14】 層Aが、層Aの形状を実質的に損なう
    ことなく層Bまたは層Cを剥離させることができる剥離
    強度を有する層である請求項1〜13のいずれかに記載
    の積層物。
  15. 【請求項15】 層B及び層Cの少なくとも一方が光透
    過性の層である請求項1〜14のいずれかに記載の積層
    物。
  16. 【請求項16】 層B及び層Cが光非透過性の層である
    請求項1〜14のいずれかに記載の積層物。
  17. 【請求項17】 層B及び層Cがガス非透過性の層であ
    ることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の
    積層物。
  18. 【請求項18】 層Bまたは層Cが電子伝導性材料から
    なる層であり、かかる電子伝導性材料からなる層に電子
    伝導性電導体を接続させてなる請求項1〜17のいずれ
    かに記載の積層物。
  19. 【請求項19】 層Aの異なる2カ所の部位に電子伝導
    性電導体を接続させてなる請求項1〜17のいずれかに
    記載の積層物。
  20. 【請求項20】 層Aが架橋高分子を構成成分とする材
    料からなる層である請求項1〜19のいずれかに記載の
    積層物。
  21. 【請求項21】 層Aが主鎖及び/または側鎖に少なく
    とも1個のアルキレンオキシ含有鎖を有する架橋高分子
    を構成成分とする材料からなる層である請求項1〜19
    のいずれかに記載の積層物。
  22. 【請求項22】 層Aが主鎖及び/または側鎖に少なく
    とも1個のアルキレンオキシ含有鎖及び少なくとも1つ
    の−NH−C(=O)−O−結合を有する架橋高分子を
    構成成分とする材料からなる層である請求項1〜19の
    いずれかに記載の積層物。
  23. 【請求項23】 層Aが、少なくとも1つの下記一般式
    (1) CH2 =C(R1 )CO[O(CH2x (CH(CH3 ))yz NHCOO −R2 − (1) [式中、R1 は水素またはメチル基を表し、R2 はオキ
    シアルキレン基を含む2価の有機基を表す。該有機基は
    直鎖状、分岐状、環状構造のいずれからなるものでもよ
    く、炭素、水素及び酸素以外の元素が1個以上含まれて
    いてもよい。x及びyはそれぞれ0または1〜5の整数
    を、zは0または1〜10の数値を示す。但しx及びy
    がともに0のときはzも0である。また(CH2 )と
    (CH(CH3 ))は不規則に配列してもよい。但し、
    同一分子内に複数個の上記一般式(1)で表されるユニ
    ットを含有する場合には1つのユニットのR1 、R2
    他のユニットのR1 、R2 と異なっていてもよく、同様
    に1つのユニットのx、y、zの値は、他のユニットの
    x、y、zの値と異なっていてもよい。]で表されるユ
    ニットで置換されている構造を有する(メタ)アクリロ
    イル系化合物の重合体及び/または該化合物を共重合成
    分とする共重合体を構成成分とする材料からなる層であ
    る請求項1〜19のいずれかに記載の積層物。
  24. 【請求項24】 層Aのイオン伝導性材料が電解質塩及
    び/または溶媒を含んでいることを特徴とする請求項1
    〜23のいずれかに記載の積層物。
  25. 【請求項25】 電解質塩が、アルカリ金属塩、4級ア
    ンモニウム塩、4級ホスホニウム塩から選ばれた少なく
    とも一種である請求項24に記載の積層物。
  26. 【請求項26】 溶媒が誘電率1以上のカーボネート系
    化合物、ラクトン系化合物、エーテル系化合物から選ば
    れた少なくとも一種である請求項24または25記載の
    積層物。
  27. 【請求項27】 層Aと層Bの間及び/または層Aと層
    Cの間に金属、金属酸化物または炭素からなる薄膜層を
    有する請求項1〜26のいずれかに記載の積層物。
  28. 【請求項28】 層B及び層Cのいずれか一方の層と層
    Aの間に電子伝導性の薄膜層を有し、もう一方の層が非
    電子伝導性材料からなる層であることを特徴とする請求
    項1〜27のいずれかに記載の積層物。
  29. 【請求項29】 薄膜層に電子伝導性電導体を接続させ
    てなる請求項27または28記載の積層物。
  30. 【請求項30】 イオン伝導性材料からなる層Aを、層
    Aよりイオン伝導性の低い材料からなる層Bの上に、層
    A材料が層B上を実質的に流動もしくは移動しない状態
    に積層して層B/層Aからなる積層構造物とし、次いで
    層Aの上に層Aよりイオン伝導性の低い材料からなる層
    Cを積層して層B/層A/層Cからなる積層構造物とし
    た後、積層構造物の層B側の表面と層C側の表面に対向
    する力を加えて加圧することを特徴とする請求項1〜2
    6のいずれかに記載の積層物の製造方法。
  31. 【請求項31】 硬化性物質を含有するイオン伝導性材
    料からなる層Aを、層Aよりイオン伝導性の低い材料か
    らなる層Bの上に、層A材料が層B上を実質的に流動も
    しくは移動しない状態に積層して層B/層Aからなる積
    層構造物とし、次いで層Aの上に層Aよりイオン伝導性
    の低い材料からなる層Cを積層して層B/層A/層Cか
    らなる積層構造物とした後、積層構造物の層B側の表面
    と層C側の表面に対向する力を加えて加圧することを特
    徴とする請求項1〜26のいずれかに記載の積層物の製
    造方法。
  32. 【請求項32】 硬化性物質を含有するイオン伝導性材
    料からなる層Aを、層Aよりイオン伝導性の低い材料か
    らなる層Bの上に、層A材料が層B上を実質的に流動も
    しくは移動しない状態に積層して層B/層Aからなる積
    層構造物とし、次いで加熱及び/または活性光線照射に
    より層Aに硬化反応を起こさせた後、該層Aの上に層A
    よりイオン伝導性の低い材料からなる層Cを積層して層
    B/層A/層Cからなる積層構造物とし、更にその後、
    積層構造物の層B側の表面と層C側の表面に対向する力
    を加えて加圧することを特徴とする請求項1〜26のい
    ずれかに記載の積層物の製造方法。
  33. 【請求項33】 請求項30〜32記載の積層物の製造
    方法において、加圧する前あるいは加圧しながら加熱及
    び/または活性光線を照射することを特徴とする積層物
    の製造方法。
  34. 【請求項34】 層B/層Aからなる積層構造物が、溶
    媒を含有するイオン伝導性材料からなる層Aを、層Aよ
    りイオン伝導性の低い材料からなる層Bの上に積層した
    後、層A材料が層B上を実質的に流動もしくは移動しな
    い状態まで溶媒を除去することにより得られる実質的に
    非流動性の層Aを構成層とする層B/層Aからなる積層
    構造物であることを特徴とする請求項30〜33のいず
    れかに記載の積層物の製造方法。
  35. 【請求項35】 層Aよりイオン伝導性の低い材料から
    なる層Bの一方の表面に金属、金属酸化物または炭素か
    らなる薄膜層D1 を形成し、次にその薄膜層D1 の上に
    イオン伝導性材料からなる層Aを、層A材料が薄膜層D
    1 上を実質的に流動もしくは移動しない状態に積層して
    層B/薄膜層D1 /層Aからなる積層構造物とし、その
    後層Aの上に層Aよりイオン伝導性の低い材料からなる
    層Cを積層して層B/薄膜層D1 /層A/層Cからなる
    積層構造物とした後、積層構造物の層B側の表面と層C
    側の表面に対向する力を加えて加圧することを特徴とす
    る請求項1〜26のいずれかに記載の積層物の製造方
    法。
  36. 【請求項36】 層Aよりイオン伝導性の低い材料から
    なる層Cの一方の表面に金属、金属酸化物または炭素か
    らなる薄膜層D2 を形成し、次にその薄膜層D2 の上
    に、イオン伝導性材料からなる層Aよりイオン伝導性の
    低い材料からなる層Bの上に層A材料が層B上を実質的
    に流動もしくは移動しない状態に層Aを積層した層B/
    層Aからなる積層構造物の層A面を積層して層C/薄膜
    層D2 /層A/層Bからなる積層構造物とした後、積層
    構造物の層B側の表面と層C側の表面に対向する力を加
    えて加圧することを特徴とする請求項1〜26のいずれ
    かに記載の積層物の製造方法。
  37. 【請求項37】 層Aよりイオン伝導性の低い材料から
    なる層Bの一方の表面に金属、金属酸化物または炭素か
    らなる薄膜層D1 を形成し、次にその薄膜層D1 の上に
    硬化性物質を含有するイオン伝導性材料からなる層A
    を、層A材料が薄膜層D1 上を実質的に流動もしくは移
    動しない状態に積層して層B/薄膜層D1 /層Aからな
    る積層構造物とし、その後層Aの上に層Aよりイオン伝
    導性の低い材料からなる層Cを積層して層B/薄膜層D
    1 /層A/層Cからなる積層構造物とした後、積層構造
    物の層B側の表面と層C側の表面に対向する力を加えて
    加圧することを特徴とする請求項1〜26のいずれかに
    記載の積層物の製造方法。
  38. 【請求項38】 層Aよりイオン伝導性の低い材料から
    なる層Cの一方の表面に金属、金属酸化物または炭素か
    らなる薄膜層D2 を形成し、次にその薄膜層D2 の上
    に、硬化性物質を含有するイオン伝導性材料からなる層
    Aを層Aよりイオン伝導性の低い材料からなる層Bの上
    に層A材料が層B上を実質的に流動もしくは移動しない
    状態に層Aを積層した層B/層Aからなる積層構造物の
    層A面を積層して層C/薄膜層D2 /層A/層Bからな
    る積層構造物とした後、積層構造物の層B側の表面と層
    C側の表面に対向する力を加えて加圧することを特徴と
    する請求項1〜26のいずれかに記載の積層物の製造方
    法。
  39. 【請求項39】 層Aよりイオン伝導性の低い材料から
    なる層Bの一方の表面に金属、金属酸化物または炭素か
    らなる薄膜層D1 を形成し、次にその薄膜層D1 の上に
    硬化性物質を含有するイオン伝導性材料からなる層A
    を、層A材料が薄膜層D1 上を実質的に流動もしくは移
    動しない状態に積層して層B/薄膜層D1 /層Aからな
    る積層構造物とし、その後加熱及び/または活性光線照
    射により層Aに硬化反応を起こさせた後、層Aの上に層
    Aよりイオン伝導性の低い材料からなる層Cを積層して
    層B/薄膜層D1 /層A/層Cからなる積層構造物とし
    た後、積層構造物の層B側の表面と層C側の表面に対向
    する力を加えて加圧することを特徴とする請求項1〜2
    6のいずれかに記載の積層物の製造方法。
  40. 【請求項40】 硬化性物質を含有するイオン伝導性材
    料からなる層Aを層Aよりイオン伝導性の低い材料から
    なる層Bの上に層A材料が層B上を実質的に流動もしく
    は移動しない状態に積層して層B/層Aからなる積層構
    造物とし、次いで加熱及び/または活性光線照射により
    層Aに硬化反応を起こさせた後、層Aの上に、層Aより
    イオン伝導性の低い材料からなる層Cの一方の表面に金
    属、金属酸化物または炭素からなる薄膜層D2 を有する
    層Cの該薄膜層D2 面を積層して層C/薄膜層D2 /層
    A/層Bからなる積層構造物とした後、積層構造物の層
    B側の表面と層C側の表面に対向する力を加えて加圧す
    ることを特徴とする請求項1〜26のいずれかに記載の
    積層物の製造方法。
  41. 【請求項41】 請求項1〜29のいずれかに記載の積
    層物の層B及び層Cの少なくとも一方を層Aから除去す
    る工程、または層Aに対向する面上に金属、金属酸化物
    または炭素からなる薄膜層を有する層Bもしくは層Cと
    該薄膜層とを層Aから除去する工程、及び次いで層Aの
    少なくとも一方の除去面上に電気化学的活性物質を含有
    する材料からなる層を形成する工程を有する電気化学素
    子の製造方法。
  42. 【請求項42】 請求項1〜29のいずれかに記載の積
    層物の層B及び層Cの少なくとも一方を層Aから除去す
    る工程、または層Aに対向する面上に金属、金属酸化物
    または炭素からなる薄膜層を有する層Bもしくは層Cと
    該薄膜層とを層Aから除去する工程、及び次いで層Aの
    少なくとも一方の除去面上に電気化学的活性物質を含有
    する材料からなる層を形成する工程を有する電気化学的
    発電素子の製造方法。
  43. 【請求項43】 請求項1〜29のいずれかに記載の積
    層物の層B及び層Cの少なくとも一方を層Aから除去す
    る工程、または層Aに対向する面上に金属、金属酸化物
    または炭素からなる薄膜層を有する層Bもしくは層Cと
    該薄膜層とを層Aから除去する工程、及び次いで層Aの
    少なくとも一方の除去面上に電気化学的活性物質を含有
    する材料からなる層を形成する工程を有する電気化学的
    発色素子の製造方法。
  44. 【請求項44】 請求項1〜29のいずれかに記載の積
    層物の層B及び層Cの少なくとも一方を層Aから除去す
    る工程、または層Aに対向する面上に金属、金属酸化物
    または炭素からなる薄膜層を有する層Bもしくは層Cと
    該薄膜層とを層Aから除去する工程、及び次いで層Aの
    少なくとも一方の除去面上に電気化学的活性物質を含有
    する材料からなる層を形成する工程を有する電気化学的
    発光素子の製造方法。
  45. 【請求項45】 請求項1〜29のいずれかに記載の積
    層物の層B及び層Cの少なくとも一方を層Aから除去す
    る工程、または層Aに対向する面上に金属、金属酸化物
    または炭素からなる薄膜層を有する層Bもしくは層Cと
    該薄膜層とを層Aから除去する工程、及び次いで層Aの
    少なくとも一方の除去面上に電気化学的活性物質を含有
    する材料からなる層を形成する工程を有する電池の製造
    方法。
  46. 【請求項46】 請求項1〜29のいずれかに記載の積
    層物の層B及び層Cの少なくとも一方を層Aから除去す
    る工程、または層Aに対向する面上に金属、金属酸化物
    または炭素からなる薄膜層を有する層Bもしくは層Cと
    該薄膜層とを層Aから除去する工程、及び次いで層Aの
    少なくとも一方の除去面上に電気化学的活性物質を含有
    する材料からなる層を形成する工程を有するコンデンサ
    の製造方法。
  47. 【請求項47】 請求項1〜29のいずれかに記載の積
    層物の層B及び層Cの少なくとも一方を層Aから除去す
    る工程、または層Aに対向する面上に金属、金属酸化物
    または炭素からなる薄膜層を有する層Bもしくは層Cと
    該薄膜層とを層Aから除去する工程、及び次いで層Aの
    少なくとも一方の除去面上に電気化学的活性物質を含有
    する材料からなる層を形成する工程を有するエレクトロ
    クロミック素子の製造方法。
  48. 【請求項48】 請求項1〜29のいずれかに記載の積
    層物の層B及び層Cの少なくとも一方を層Aから除去す
    る工程、または層Aに対向する面上に金属、金属酸化物
    または炭素からなる薄膜層を有する層Bもしくは層Cと
    該薄膜層とを層Aから除去する工程、及び次いで層Aの
    少なくとも一方の除去面上に電気化学的活性物質を含有
    する材料からなる層を形成する工程を有する光電池の製
    造方法。
  49. 【請求項49】 請求項1〜29のいずれかに記載の積
    層物の層B及び層Cの少なくとも一方を層Aから除去す
    る工程、または層Aに対向する面上に金属、金属酸化物
    または炭素からなる薄膜層を有する層Bもしくは層Cと
    該薄膜層とを層Aから除去する工程、及び次いで層Aの
    少なくとも一方の除去面上に電気化学的活性物質を含有
    する材料からなる層を形成する工程を有する太陽電池の
    製造方法。
  50. 【請求項50】 請求項1〜29のいずれかに記載の積
    層物の層B及び層Cの少なくとも一方を層Aから除去す
    る工程、または層Aに対向する面上に金属、金属酸化物
    または炭素からなる薄膜層を有する層Bもしくは層Cと
    該薄膜層とを層Aから除去する工程により、層A/層C
    積層物または層B/層A積層物を製造し、同様にして製
    造した層A/層C積層物または層B/層A積層物とそれ
    ぞれの層Aが接合されるように積層する工程を有する、
    層B/層A/層C、層B/層A/層B、または層C/層
    A/層C積層構造を有する電気化学素子の製造方法。
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