JP3423832B2 - イオン伝導性高分子固体電解質および該固体電解質を使用した電気化学素子 - Google Patents

イオン伝導性高分子固体電解質および該固体電解質を使用した電気化学素子

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JP3423832B2 JP06710896A JP6710896A JP3423832B2 JP 3423832 B2 JP3423832 B2 JP 3423832B2 JP 06710896 A JP06710896 A JP 06710896A JP 6710896 A JP6710896 A JP 6710896A JP 3423832 B2 JP3423832 B2 JP 3423832B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、新規な固体電解質および該固体
電解質を使用した電気化学素子、特に二次電池に関す
る。
【0002】
【従来技術】電解質を含む電気化学素子においては、そ
の電解質の固体化(固形化)が強く望まれている。従来
より、電気化学素子としての電池は電解液を使用してい
るため、電解液の漏れ、溶媒の揮発による電池内の乾燥
があるばかりでなく、電池容器(電槽)内では、電解液
のかたよりにより隔膜が部分的に乾燥状態になり、この
ことが内部インピーダンスの上昇あるいは内部短絡の原
因になる。またエレクトロクロミックデパイスの表示用
固体電解質においても、動作速度を十分に満足するもの
は得られていない。これらの欠点を解決するための方法
として高分子固体電解質を用いることが提案されてい
る。その具体例として、オキシエチレン鎖やオキシプロ
ピレン鎖を含有するマトリクスポリマーと無機塩との固
溶体が挙げられるが、このものは完全固体であり、加工
性に優れるものの、そのイオン伝導度は、室温で10-5
S/cmと通常の非水電解液に比べて3桁ほど低い。こ
の低い伝導度を改良する方法として、ミクロンオーダー
の薄膜の高分子固体電解質膜を用いることも提案されて
いるが、このようなミクロンオーダーの薄膜の厚さを電
池内部の電解が均一になるようにコントロールすること
は難しく、得られる電池の信頼性も低い。高分子固体電
解質のイオン伝導度を向上させるために、高分子に有機
電解液を溶解させて半固形状のものにする方法(特開昭
54−104541号公報)や、電解質を加えた液状モ
ノマーを重合反応させて電解質を含む架橋重合体とする
方法(特開昭63−94501号公報)が提案されてい
る。しかし、前者の方法で得られる固体電解質はその固
体強度が十分でないという問題を含み、また、後者の方
法で得られる固体電解質は、十分な固体強度を有するも
のの、イオン伝導度の点で未だ不満足であるという問題
を含む。イオン伝導度および均一性に優れるとともに、
電気化学素子用固体電解質としての使用に十分な固体強
度を有する固体電解質として最近ゲルが注目されてきて
いる。その理由は、イオン伝導度が高く、均一性に優
れ、電気化学素子用固体電解質として使用するに十分な
固体強度を得ることができるうえに、加工性に富むの
で、電気化学素子の信頼性の向上に役立ち、特に電池な
どのくり返し特性に優れたものが得られるためである。
また、近年、電解液を含有する組成の固体電解質が開発
されてきているが、電気化学素子として固体強度は十分
であるが、イオン伝導度は、未だ充分でないか、イオン
伝導度は高いものが得られるが、電気化学素子として固
体強度が十分でないなど、両方の要件を満足するものは
得られていないのが現状である。そのため、薄型の素子
に適用すると電極間の短絡や素子の破壊がおこりやす
い。これを解決する手段として固体電解質中に多孔質体
やフィラーなどを一体化させることにセパレータを間に
もうけることにより電気化学素子の電極間の短絡等を防
止する方法が提案されている(特開昭60−19878
7、特開昭60−165058)が、これらの方法では
均一な電解質層は得にくく、電池内部の電解が均一にな
るようにコントロールすることは難しく、得られる電池
の信頼性は不十分であり、内部抵抗増加につながる。ま
た、その改良としてイオン伝導性粉末をフィラーとして
介在させる(USP4990413)固体高分子電解質
の提案がなされているが、無機粉末であるため媒質の固
体電解質とのなじみが悪いという面がある。
【0003】
【目的】本発明は従来の高分子をマトリクスとする固体
電解質に見られる前記問題点を解決し、イオン伝導度お
よび均一性に優れるとともに、電気化学素子用固体電解
質としての使用に十分な固体強度を有する高分子をマト
リクスとするイオン伝導性高分子固体電解質および該固
体電解質を使用した電気化学素子、特に二次電池を提供
することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するために、電解質塩を含有し、架橋型高分子をマト
リクスとする高分子固体電解質において、マトリクスが
少なくとも2種の異なる弾性率の架橋型高分子の複合物
であって、該複合物が、少なくとも2種の異なる弾性率
の架橋型高分子の積層物であることを特徴とするイオン
伝導性高分子固体電解質、または、電解質塩を含有し、
架橋型高分子をマトリクスとする高分子固体電解質にお
いて、マトリクスが少なくとも2種の異なる弾性率の架
橋型高分子の複合物であって、該複合物が、少なくとも
1種以上の架橋型高分子の微粒子を弾性率の異なる少な
くとも1種以上の架橋型高分子よりなるマトリクス層中
へ均一に分散させた分散物であることを特徴とするイオ
ン伝導性高分子固体電解質を提供したことにある。本発
明により提供される前記のイオン伝導性高分子固体電解
質は、イオン伝導度を低下させることなく、かつ十分な
固体強度を有する。すなわち、本発明のイオン伝導性高
分子固体電解質は、高イオン伝導度、高温安定性、易加
工性および粘着性を有し、さらに多量の電解液を含みな
がら、保液性に優れ、かつ保形性において優れたもので
ある。
【0005】以下、本発明のイオン伝導性高分子固体電
解質の構成について説明する。本発明のイオン伝導性高
分子固体電解質のマトリクスを構成する少なくとも2種
の異なる弾性率の架橋型高分子の複合物としては、少な
くとも2種の異なる弾性率の架橋型高分子の積層物(図
1)および少なくとも1種以上の架橋型高分子の微粒子
を、該微粒子と異なる種類の少なくとも1種以上の架橋
型高分子よりなるマトリクス中へ均一に分散させた分散
物が挙げられる(図2)。特に後者の場合には、より強
固なイオン伝導性高分子固体電解質が得られる。前記前
者の積層型固体電解質の膜厚は、0.1〜50μmが好
ましく、さらに好ましくは0.5〜10μmである。ま
た、前記後者の微粒子分散型固体電解質の分散微粒子の
粒径は、0.1〜50μmが好ましく、さらに好ましく
は0.5〜10μmである。前記微粒子は、固体電解質
中に一層で均一に分散されており、1mm2中には該微
粒子の粒径に応じて2000個以内の範囲で分散されて
いる。例えば、該微粒子の粒径が2〜3μmの場合に
は、50〜200個位が適当であり、その密度としては
0.1〜50容量%、好ましくは1〜20容量%であ
る。特に、前記微粒子を構成する架橋型高分子の弾性率
は、フィラーとしての使用も考慮すると該微粒子を均一
に分散させた架橋型高分子層を構成する架橋型高分子の
弾性率より高いことが好ましい。本発明のイオン伝導性
高分子固体電解質の粘弾性率は、103〜106dyn/
cm2であること、特に前記積層型固体電解質あるいは
微粒子分散型固体電解質の粘弾性率は、104〜106
yn/cm2であることが望ましい。
【0006】前記イオン伝導性高分子固体電解質は、架
橋性重合性化合物の溶液を架橋重合反応を行わせること
によって形成させることができる。前記架橋性重合性化
合物としては、熱重合性の他、光、紫外線、電子線、γ
線、X線等の活性光線で重合性を示すものが挙げられ
る。本発明で用いる重合性化合物の種類は、特に制約さ
れず、前記のように熱重合および活性光線重合などの重
合反応を生起して架橋重合体を得るものが包含される
が、架橋高分子マトリクスを形成することができる単官
能性モノマーと多官能性モノマーの組合せが好ましい。
特に前記多官能性モノマーとして、三官能性モノマーを
使用すると、さらにイオン伝導度が高く、電気化学素子
用固体電解質として十分な強度および粘弾性を有する架
橋高分子マトリクスが得られる。前記重合性化合物とし
ては、その分子内に酸素原子、窒素原子、イオウ原子等
の炭素以外のヘテロ原子を含むものが好ましい。この固
体電解質の形成は、不活性ガス雰囲気下で行うことが好
ましく、この場合には、大気中で製造する場合に比べて
イオン伝導度、強度の点で優れたイオン伝導性高分子固
体電解質が得られる。得られた該固体電解質は、その炭
素以外のヘテロ原子は電解質塩のイオン化を促進させ、
前記粘弾性体と電解質塩からなる固体電解質のイオン伝
導性を向上させるとともに、該固体電解質の強度を向上
させる働きもあると推定される。また、本発明において
は、単官能性モノマーに対する多官能性モノマーの添加
量を変更することにより、異なる弾性率を持つ2種以上
の架橋型高分子を得ることができる。特に多官能性モノ
マーとして3官能不飽和カルボン酸エステルの添加量を
変化させ、2種の弾性率をもつ強度の点で優れた固体電
解質を得ることができる。
【0007】以下、前記重合性化合物を更に具体的に説
明する。重合性化合物としては、単官能および多官能の
(メタ)アクリレートのモノマーあるいはプレポリマー
が挙げられる。なお、本明細書における(メタ)アクリ
レートは、アクリレート又はメタアクリレートを意味す
る。単官能アクリレートとしては、アルキル(メタ)ア
クリレート〔メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メ
タ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリ
レート等〕、脂環式(メタ)アクリレート、ヒドロキシ
アルキル(メタ)アクリレート〔ヒドロキシエチルアク
リレート、ヒドロキシプロピルアクリレート等〕、ヒド
ロキシポリオキシアルキレン(オキシアルキレン基の炭
素数は好ましくは1〜4)(メタ)アクリレート〔ヒド
ロキシポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ヒド
ロキシポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等〕
およびアルコキシアルキル(アルコキシ基の炭素数は好
ましくは1〜4)(メタ)アクリレート〔メトキシエチ
ルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、フェノ
キシエチルアクリレート等〕が挙げられる。3官能以上
の多官能(メタ)アクリレートの例としては、トリメチ
ロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリ
スリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリ
スリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が好ましい。
その他の(メタ)アクリレートの具体例としては、例え
ば、メチルエチレングリコール(メタ)アクリレート、
エチルエチレングルコール(メタ)アクリレート、プロ
ピルエチレングルコール(メタ)アクリレート、フェニ
ルエチレングリコール、エトキシジエチレングリコール
アクリレート、メトキシエチルアクリレート、メトキシ
ジエチレングリコールメタクリレート、メトキシトリエ
チレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレン
グリコールメタクリレート、メトキシテトラエチレング
リコールメタクリレート等のアルキルエチレングルコー
ル(メタ)アクリレート、エチルプロピレングリコール
アクリレート、ブチルプロピレングリコールアクリレー
ト、メトキシジプロピレングリコールアクリレート等の
アルキルプロピレングリコール(メタ)アクリレート等
が挙げられる。
【0008】前記(メタ)アクリレートは複素環基を含
有していても良く、該複素環基としては、酸素、窒素、
イオウ等のヘテロ原子を含む複素環の残基である。この
(メタ)アクリレート中に含まれる複素環基の種類は特
に制限されるものではないが、例えば、フルフリル基、
テトラヒドロフルフリル基等を有するフルフリル(メ
タ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)ア
クリレートが好ましい。その他複素環基を有する(メ
タ)アクリレートとしては、フルフリルエチレングリコ
ール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルエ
チレングリコール(メタ)アクリレート、フルフリルプ
ロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒド
ロフルフリルプロピレングリコール(メタ)アクリレー
ト等のフルフリル基あるいはテトラヒドロフルフリル基
を有するアルキレングリコールアクリレートが挙げられ
る。前記(メタ)アクリレートおよびそのプレポリマー
の分子量は、通常500未満、好ましくは300以下で
ある。分子量が、500以上の(メタ)アクリレートで
は得られる固体電解質から非水溶媒が滲出しやすい。な
お、前記(メタ)アクリレート化合物は、単独で使用し
ても良いが、2種類以上を混合して使用することもでき
る。また、前記(メタ)アクリレート化合物の使用割合
は、非水電解液に対して50重量%以下、好ましくは5
〜40重量%、さらに好ましくは10〜30重量%であ
る。
【0009】多官能性モノマーとしては、多官能不飽和
カルボン酸エステルが好ましい。該多官能不飽和カルボ
ン酸エステルを併用することにより、粘弾性率、イオン
伝導度とも理想的な固体電解質を得ることができる。多
官能不飽和カルボン酸エステルとしては、(メタ)アク
リロイル基を2個以上有するモノマーあるいはプレポリ
マーが挙げられるが、特に3個の(メタ)アクリロイル
基を有する3官能の不飽和カルボン酸エステルが、保液
性、イオン伝導度、強度に優れたイオン伝導性高分子固
体電解質を与える点で最も好ましい。前記多官能不飽和
カルボン酸エステルの具体例としては、エチレングリコ
ールジメタクリレート、ジエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレー
ト、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパント
リアクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロ
ールプロパントリアクリレート、ブタンジオール(メ
タ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メ
タ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メ
タ)アクリレート等が挙げられる。なお、本発明で用い
る重合性化合物としては、前記単官能および多官能の
(メタ)アクリレート、多官能不飽和カルボン酸エステ
ル以外に、ポリエンとポリチオールとの組合わせが挙げ
られる。単官能性モノマーに多官能性モノマーを併用す
る場合、該多官能性モノマーが多官能不飽和カルボン酸
エステルである場合、該多官能不飽和カルボン酸エステ
ルの添加量は、非水電解液に対して4重量%以下、好ま
しくは0.05〜2重量%である。特に3官能不飽和カ
ルボン酸エステルを併用する場合には、2重量%以下、
好ましくは0.05〜0.5重量%という少量の添加量
でイオン伝導度や強度の点で優れた固体電解質を得るこ
とができる。
【0010】前記多官能不飽和カルボン酸エステルの重
合開始剤としては、カルボニル化合物〔ベンゾイン類
(ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾイン
エチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベ
ンゾインイソブチルエーテル、α−メチルベンゾイン、
α−フェニルベンゾイン等)、アントラキノン類(アン
トラキノン、メチルアントラキノン、クロルアントラキ
ノン等)、その他の化合物(ベンジル、ジアセチル、ア
セトフェノン、ベンゾフェノン、メチルベンゾイルフォ
ーメート等)〕、硫黄化合物(ジフェニルスルフィド、
ジチオカーバメート等)、多縮合環系炭化水素のハロゲ
ン化物(α−クロルメチルナフタリン等)、色素類(ア
クリルフラビン、フルオレセン等)、金属塩類(塩化
鉄、塩化銀等)、オニウム塩類(P−メトキシベンゼン
ジアゾニウム、ヘキサフルオロフォスフェート、ジフェ
ニルアイオドニウム、トリフェニルスルフォニウム等)
などの光重合開始剤が挙げられる。これらは単独でも、
あるいは2種以上の混合物としても使用できる。好まし
い光重合開始剤は、カルボニル化合物、硫黄化合物及び
オニウム塩類である。熱重合開始剤としては、アゾビス
イソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ラウ
ロイルパーオキサイド、エチルメチルケトンペルオキシ
ド、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキ
シジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボ
ネート等のパーオキシジカーボネート等を挙げることが
できる。また、ジメチルアニリン、ナフテン酸コバル
ト、スルフィン酸、メルカプタン等の重合開始剤も併用
できる。さらに、増感剤、貯蔵安定剤も必要により併用
できる。更に、上記光重合開始剤、熱重合開始剤等を併
用して使用することもできる。更に上記光重合開始剤、
熱重合開始剤等を併用して使用することにより、より高
い粘弾性率を持つ高分子固体電解質を得ることができ
る。特に光重合開始剤、熱重合開始剤は限定されるもの
ではないが、光重合開始剤としてベンゾインイソプロピ
ルエーテル、熱重合開始剤としてビス(4−t−ブチル
シクロヘキシル)パーオキシジカーボネートを併用する
ことが好ましい。また、光照射により発生した熱も重合
に関与するため重合の効率を良好にすることもできる。
増感剤としては、尿素、ニトリル化合物(N,N−ジ置
換−P−アミノベンゾニトリル等)、燐化合物(トリ−
n−ブチルホスフィン等)が好ましく、貯蔵安定剤とし
ては、第4級アンモニウムクロライド、ベンゾチアゾー
ル、ハイドロキノンが好ましい。重合開始剤の使用量
は、全不飽和カルボン酸エステルに対し、通常、0.1
〜10重量%、好ましくは0.5〜7重量%である。増
感剤及び貯蔵安定剤の使用量は、全不飽和カルボン酸エ
ステル100重量部に対し、通常、0.1〜5重量部で
ある。
【0011】本発明による電解液の固体化は、電解質塩
として、前式(I)で示されるスルホン酸塩、またはこ
れと前式(II)および(III)よりなる群から選ばれた
少なくとも1種のテトラフルオロボレート塩を含有する
前述の架橋重合性化合物組成物を密封容器に注入する
か、あるいは支持体(例えばフィルム、金属、ガラス)
にコーティングした後、熱又は活性光線で重合すること
により達成される。活性光線としては、通常、光、紫外
線、電子線、γ線、X線が使用できる。これらのうち、
好ましくは、100〜800nmの波長を主波長とする
活性光線である。固体化された電解液(固体電解質)
は、フィルム状やシート状であるいは電気化学素子の構
成要素の一部とあらかじめ複合化された形態で製品とす
ることができる。電解液は基本的には水系、非水系のど
ちらであってもよいが、特に非水電解液の使用が好まし
い。本発明の前記固体電解質は、リチウム電池のような
非水電解液を含む電池において、その非水電解液の代り
に用いると、電解質として優れた性能を発揮する。固体
化すべき非水電解液としては、電解質塩を非水溶媒に溶
解させたものが挙げられるが、電解質塩としては、通常
の非水電解液に用いるものであれば、特に制限はない。
該電解質塩としては、例えばLiPF,LiAs
,LiClO,NaClO,LiCF
,NaSCN,Mg(ClOあるいはスルホ
ン酸塩等が挙げられる。スルホン酸塩としては、例えば
LiCFSO,LiN(CFSO,LiC
(CFSO,LiCH(CFSO
どが挙げられるが、特に前式(I)で示されるスルホン
酸塩に相当するものが好ましい。ただし、前記スルホン
酸塩電解質には腐食性があり、特に正極集電体をアルミ
ニウムとしたときは顕著であり、この腐食性を押さえる
ためには、他の電解質、特に前記のように、前式(II)
および(III)よりなる群から選ばれた少なくとも1種
のテトラフルオロボレート塩を加えることにより腐食性
を抑えることができる。該テトラフルオロボレート塩と
しては、例えばLiBF,NaBF,KBF,M
g(BFなどが挙げられる。非水電解液中の電解
質塩の濃度は非水溶媒中、通常1.0〜7.0モル/
l、好ましくは1.0〜5.0モル/lの割合である。
1.0モル/l未満では充分な固体強度を有する固体電
解質が得られない。また、7.0モル/lを超えると電
解質塩の溶解が難しくなる。
【0012】非水電解液はマトリクスを形成する架橋型
高分子量重合体に対し、通常、200重量%以上、好ま
しくは400〜900重量%、特に好ましくは500〜
800重量%である。200重量%未満では十分に高い
イオン伝導度が得られず、900重量%を超えると非水
電解液の固体化が困難になる。また、高い粘弾性率を得
るには好ましくは200〜400重量%にて固体化が必
要である。非水電解液の溶媒として、プロピレンカーボ
ネート、γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネート、
ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、スルホ
ラン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチル
テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,2−
ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタンの
他、メチルジグライム、メチルトリグライム、メチルテ
トラグライム、エチルグライム、エチルジグライム、ブ
チルジグライム等が挙げられる。特にプロピレンカーボ
ネートを含有させることにより、充分な固体強度を得る
ことができるが、その使用量は、好ましくは5%以上、
さらに好ましくは10〜50重量%である。さらにこの
プロピレンカーボネートに加えてジメチルカーボネート
を含有させることにより、プロピレンカーボネートによ
って充分な固体強度を得、ジメチルカーボネートによっ
てイオン伝導性を上昇させることにより、充分な固体強
度およびイオン伝導性を有する固体電解質を得ることが
できる。更に2種以上の架橋型高分子をマトリクスとす
る固体電解質において前記の電解質塩、特にスルホン酸
塩およびテトラフルオロボレート塩をそれぞれ異なる固
体電解質中に含有しても良いし、前記両者を混合して含
有しても良い。また、電解質塩を混合含有させる場合、
含有する電解質塩の含有比率が異なっても良い。特にテ
トラフルオロボレート塩単独の場合、より強固な固体電
解質を得ることができる。本発明のイオン伝導性高分子
固体電解質を得るためには、非水電解液中における前記
の電解質塩の濃度と不飽和カルボン酸エステル濃度を適
切な範囲に規定することが必要であり、両者の間には密
接な関係がある。電解質塩濃度がその下限の1.0モル
/l付近では電解液の固体化のための全不飽和カルボン
酸エステルの濃度としては20〜50重量%程度が必要
となり、電解質塩濃度が、1.5モル/l以上の高濃度
では不飽和カルボン酸エステル濃度は10〜20重量%
程度の添加量で充分な特性を有する固体電解質が作製で
きる。
【0013】本発明のイオン伝導性高分子固体電解質
は、導電性高分子材料あるいは導電性物質ブレンド高分
子材料との複合化において好ましい特性を有する。これ
は、重合する前のモノマー溶液が高分子材料にしみこん
で高分子材料を膨潤させるとともに、高分子材料内部に
まで充分浸透し、その後、重合反応により固体化するた
め、高分子材料と明確な界面が形成されず、両者の界面
抵抗を小さくすることができるためである。従来のイオ
ン解離基を含むポリマーマトリクスと無機塩の固溶体に
代表されるような固体電解質では、固体電解質と活物質
との界面において分極が生じやすく、大きな界面抵抗を
有する。これに対して本発明のイオン伝導性高分子固体
電解質は前述したごとく溶液の性質を持ちつつ固体状で
あるため、通常の電解液と同様に陰イオン、陽イオンと
も移動が容易なため、導電性高分子材料を用いる電池に
おいては分極等が生じにくくより好ましい組み合わせで
あるといえる。導電性高分子材料と本発明のイオン伝導
性高分子固体電解質の複合化方法は一般的にはイオン伝
導性高分子固体電解質形成用架橋重合性組成物を導電性
高分子材料に含浸させた後、前述したような重合手段に
より粘弾性体とし複合化を行なう。前記本発明の固体電
解質と複合化される導電性高分子材料としては、例え
ば、正極活物質として用いられているピロール、チオフ
ェン等を単量体とする複素五員環系化合物重合体、ベン
ゼン、アズレン等を単量体とする芳香族炭化水素系化合
物重合体、アニリン、ジフェニルベンジジン等を単量体
とするアミン化合物重合体、ポリアリーレンビニレンの
他、エチレン、ブタジエン、ヘキサトリエン等の不飽和
炭化水素のハロゲン置換体を単量体とする不飽和脂肪族
系化合物重合体等が挙げられ、それら単量体の重合方法
としては、酸化剤を使用する化学重合法、電気エネルギ
ー利用する電解重合法を用いることができる。また、前
記導電性物質ブレンドポリマーとしては、負極活物質と
して用いられている炭素系材料/ポリマー、例えば天然
グラファイト/ポリフッ化ビニリデン、天然グラファイ
ト、フリュードコークス混合/ポリフッ化ビニリデン、
フリュードコークス混合/変性ポリビニルピリジン、天
然グラファイト、フリュードコークス/変性ポリビニル
ピリジン等が挙げられる。本発明のイオン伝導性高分子
固体電解質は、電池、コンデンサ、センサー、エレクト
ロクロミックデバイス、半導体デバイスなどの電気化学
素子における固体電解質層として利用することができ
る。
【0014】本発明のイオン伝導性高分子固体電解質の
交流インピーダンス法による25℃のイオン伝導度は、
その電解質の構成要素である非水電解液の伝導率に大き
く影響を受けるとともに、それを超えるものではない
が、固体化によってその伝導率の低下はほとんどなく、
通常10-4〜10-2S/cmを有する。本発明の固体電
解質の動的粘弾性試験機〔RHEOMETRIC,IN
C(株)RDS−7700〕による粘弾性率は通常10
6dyn/cm2以下、好ましくは102〜106dyn/
cm2、より好ましくは、103〜106dyn/cm2
あり、複合する少なくとも1種の固体電解質は104
106dyn/cm2であることがより好ましく、Tgは
−30℃以下であり、100℃においても溶解すること
はない。伸びは20%以上で、最大400%程度まで破
断することなく延伸変形に対する回復力を有する。また
180度折り曲げても破断することはない。本発明のイ
オン伝導性高分子固体電解質は、クリープメーター〔山
電(株)RE−3305、プランジャー断面積2c
2、荷重30g〕を使用してその歪量の時間変化を測
定したところ、歪量は時間で変化せず低いクリープ特性
を有する。クリープメーターを使用して荷重25g/c
2で本固体電解質を圧縮しても内部に含まれる電解液
が流出することはない。更に、この粘弾性体は高い粘着
性を示し、粘弾性体同士を張り合わせた後、剥離しよう
としても材料破壊を生じ、張り合わせ面から剥がれるこ
とはない。
【0015】次に、本発明のイオン伝導性高分子固体電
解質を電池電解質として用いる二次電池について詳述す
る。一般的に電池は正極活性物質からなる正極、負極活
物質からなる負極、セパレーター及び電解質により基本
的に構成される。前記電池における電解質として、本発
明の前記イオン伝導性高分子固体電解質を用いることに
より、従来にない有利な電池を得ることができる。本発
明のイオン伝導性高分子固体電解質を電池に適用する場
合、該固体電解質そのものにセパレーターとしての機能
を持たせることが特徴である。また、弾性率の高い固体
電解質膜を積層し、隔膜としての機能をもたせ、また、
有機フィラー等の含有の代わりに弾性率の高い粒子化固
体電解質を均一分散することにより強度をもたせること
ができ、さらに2種以上の固体電解質の複合化により、
より高いイオン伝導度をもつ固体電解質を得ることがで
きる。本発明のイオン伝導性高分子固体電解質は、それ
単独で粘弾性体であり、電池等の電気化学素子を形成す
る際、イオン伝導度を10-4S/cm以上に保ったま
ま、弾性率を102dyn/cm2以上のものとなる。特
にイオン伝導度が10-3S/cm以上の場合、弾性率は
102〜106dyn/cm2であり、電気化学素子とし
ても有効に働くことができる。本発明のイオン伝導性高
分子固体電解質を電池における電解質として使用する場
合に、前記架橋重合性化合物を電解液に溶解させた架橋
重合性溶液を電池の構成要素、例えば電極あるいは通常
用いられている固い固体電解質に塗布、含浸させ、その
後、加熱或いは活性光線等の照射手段による架橋重合反
応を行い、前記電池構成要素として一体化して形成させ
たイオン伝導性高分子固体電解質を用いるのが好まし
い。このように電池構成要素と本発明のイオン伝導性高
分子固体電解質が一体化していれば正極、負極等の電極
反応及びイオンの移動をスムーズに進行させることがで
き電池内部抵抗を大幅に低減することができる。この電
池構成要素とイオン伝導性高分子固体電解質の一体化
は、電池を組み立てる前あるいは組み立て時に各電池構
成要素に行ってもよい。
【0016】本発明の電池において用いられる正極活物
質はTiS2,MoS2,Co25,V25,MnO2
CoO2等の遷移金属酸化物、遷移金属カルコゲン化合
物及びこれらとLiとの複合体(Li複合酸化物;Li
MnO2,LiMn24,LiCoO2等)、有機物の熱
重合物である一次元グラファイト化物、フッ化カーボ
ン、グラファイト、あるいは10-2S/cm以上の電気
伝導度を有する導電性高分子、具体的にはポリアニリ
ン、ポリピロール、ポリアズレン、ポリフェニレン、ポ
リアセチレン、ポリアセン、ポリフタロシアニン、ポリ
−3−メチルチオフェン、ポリピリジン、ポリジフェニ
ルベンジジン等の高分子及びこれらの誘導体が挙げられ
るが、100%の放電深度に対しても高いサイクル特性
を示し、無機材料に比べ比較的過放電に強い導電性高分
子を使用することが好ましい。また導電性高分子は、成
形、加工性の点でプラスチックであるために、従来にな
い特徴を生かすことができる。以上のような利点を導電
性高分子は有しているものの、導電性高分子を正極に用
いた二次電池には、活物質の密度が低いため体積エネル
ギー密度が低く、また、電解液中に電極反応に充分たり
るだけの電解質が必要であり、且つ充放電反応に伴い電
解液濃度の変化が大きいため、液抵抗などの変化が大き
く、スムーズな充放電反応を行うには、過剰な電解液が
必要となるという問題点がある。このことはエネルギー
密度を向上させる点で不利となる。これに対し、体積エ
ネルギー密度の高い活物質として、上記無機カルコゲナ
イド化合物、無機酸化物を正極に用いることが考えられ
るが、これらは充放電に伴う電極反応でカチオンの電極
中の拡散速度が遅く、急速充放電が難しく、且つ、過放
電に対し可逆性が悪く、サイクル寿命が低下するという
問題点がある。また、無機活物質はそのままでは成形す
ることが難しいため、結着剤として四弗化エチレン樹脂
粉末等を用いて加圧成形することが多いが、その場合電
極の機械的強度は充分とは言えないとともに、過放電に
ついてもリチウムイオンが過剰に蓄積されると、結晶構
造の破壊が起こり、二次電池としての機能を果たさなく
なる。
【0017】このような不具合を解決するため、有機お
よび無機の複合活物質を使用することが考えられる。こ
の場合、使用される高分子活物質としてはいずれも電気
化学ドーピングにより高い電気伝導度を示し、電極材料
としては、10-2S/cm以上の電気伝導度を有するこ
とが要求される。また、イオンの拡散性においても高い
イオン伝導度が要求される。これらの高分子材料は、電
気伝導度の高さが集電能を有し、高分子としての結着能
を持ち、更には活物質としても機能する。また導電性高
分子は卑な電位において絶縁化するため、この複合正極
が過放電状態になった時にも、導電性高分子が絶縁化す
るため内部に含む無機活物質に必要以上のリチウムイオ
ンが蓄積されるのを防ぎ、無機活物質の結晶構造の破壊
を防いでいる。結果として実質上過放電に強い電極を構
成できることとなる。複合正極に用いられる導電性高分
子とは、活物質としての能力を有する、電解液に溶
解しない、高分子材料間の結着性を有している、導
電性を示す材料であり、結着材として無機活物質を固定
する。このとき、無機活物質は導電性高分子に全体を包
括される形となり、その結果、無機活物質の周りのすべ
てが導電性を帯びることとなる。このような導電性高分
子としてはポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフ
ェン、ポリアニリン、ポリジフェニルベンジジンなどの
レドックス活性材料をあげることができるが、特に含窒
素化合物において顕著な効果がみられる。これらの導電
性高分子材料には、導電性もさることながらイオンの拡
散性においても高いイオン伝導性が要求される。これら
のなかでも重量あたりの電気容量が比較的大きく、しか
も汎用非水電解液中で、比較的安定に充放電を行うこと
のできる点でポリピロール、ポリアニリンあるいはこれ
らの共重合体が好ましい。さらに好ましくはポリアニリ
ンである。複合正極に用いる無機活物質は電位平坦性に
優れるものが好ましく、具体的には、V,Co,Mn,
Ni等の遷移金属の酸化物あるいは前記遷移金属とアル
カリ金属との複合酸化物を例示することができ、電解液
に安定な電極電位、電圧平坦性、エネルギー密度を考慮
すると結晶性バナジウム酸化物が好ましく、特に、五酸
化バナジウムが好ましい。その理由は、結晶性五酸化バ
ナジウムの放電曲線の電位平坦部が、上記導電性高分子
のアニオンの導入、脱離にともなう電極電位に比較的近
いところにあることによる。
【0018】本発明の電池に用いられる負極材料として
は炭素質材料が用いられる。炭素質負極活物質としては
グラファイト、ピッチコークス、合成高分子、天然高分
子の焼成体が挙げられるが、本発明では、フェノー
ル、ポリイミドなどの合成高分子、天然高分子を400
〜800℃の還元雰囲気で焼成することにより得られる
絶縁性乃至半導体炭素体、石炭、ピッチ、合成高分
子、あるいは天然高分子を800〜1300℃での還元
雰囲気で焼成することにより得られる導電性炭素体、
コークス、ピッチ、合成高分子、天然高分子を2000
℃以上の温度で還元雰囲気下焼成することにより得られ
るもの、および天然グラファイトなどのグラファイト系
炭素体が用いられる。そのうち、通常プロピレンカーボ
ネートを用いると非黒鉛系の負極活物質は電気素子とし
て有効に働かないが、この電解質の場合、非黒鉛系負極
活物質を用いた場合においても、プロピレンカーボネー
トを含有する高分子固体電解質を用いると電気素子とし
ても好ましい特性を有することができる。また、炭素体
のシート化は炭素体と結着材から湿式抄紙法を用いたり
炭素材料に適当な結着材を混合した塗料から塗布法によ
り作製される。電極はこれを必要に応じて集電体に塗
布、接着、圧着等の方法により担持することにより製造
することができる。
【0019】本発明に使用する正極集電体としては、例
えば、ステンレス鋼、金、白金、ニッケル、アルミニイ
ウム、モリブデン、チタン等の金属シート、金属箔、金
属網、パンチングメタル、エキスパンドメタル、あるい
は金属メッキ繊維、金属蒸着線、金属含有合成繊維等か
らなる網や不織布があげられる。なかでも電気伝導度、
化学的、電気化学安定性、経済性、加工性等を考えると
アルミニウム、ステンレスを用いることが特に好まし
い。さらに好ましくは、その軽量性、電気化学安定性か
らアルミニウムが好ましい。さらに本発明に使用される
正極集電体層、および負極集電体層の表面は粗面化して
あることが好ましい。粗面化を施すことにより活物質層
の接触面積が大きくなるとともに、密着性も向上し、電
池としてのインピーダンスを下げる効果がある。また、
塗料溶液を用いての電極作製においては、粗面化処理を
施すことにより活物質と集電体の密着性を大きく向上さ
せることができる。粗面化処理としてはエメリー紙によ
る研磨、ブラスト処理、化学的あるいは電気化学的エッ
チングがあり、これにより集電体を粗面化することがで
きる。特にステンレス鋼の場合はブラスト処理、アルミ
ニウムの場合はエッチング処理したエッチドアルミニウ
ムが好ましい。アルミニウムはやわらかい金属であるた
めブラスト処理では効果的な粗面化処理を施すことがで
きず、アルミニウム自体が変形してしまう。これに対し
てエッチング処理はアルミニウムの変形やその強度を大
きく下げることなくミクロのオーダーで表面を効果的に
粗面化することが可能であり、アルミニウムの粗面化と
しては最も好ましい方法である。
【0020】以下、実施例により本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下において部及び%はそれぞれ重量部及び重量%を示
す。なお、非水溶媒及び電解質塩は充分に精製を行な
い、水分20ppm以下としたもので、更に脱酸素及び
脱窒素を行った電池グレードのものを使用し、すべての
操作は不活性ガス雰囲気下で行った。また、イオン伝導
度の測定温度は25℃で、対極として、底面を除いた内
周面を絶縁テープで被覆したSUS製円筒状容器(内径
20mm)を用い、この容器内に固体電解質を充填し、
その固体電解質表面に、作用極として、直径18mmの
SUS製円柱体を圧着させることによって行った(イオ
ン伝導度測定用セル)。
【0021】
【実施例】
実施例1 イオン伝導性高分子固体電解質(A) 非水溶媒:プロピレンカーボネート/エチレンカーボネ
ート/ジメチルカーボネート(2/5/3:体積比)に
溶解した1.8mol/l LiN(CF3SO22
液と0.2mol/l LiBF4溶液の当量混合物
(A)86部に単官能性モノマーとしてエトキシジエチ
レングリコールアクリレート13.8部、多官能性モノ
マーとしてトリメチロールプロパントリアクリレート
0.2部、光重合開始剤として、ベンゾインイソプロピ
ルエーテル0.056部を添加混合溶解し、光重合性溶
液(A−1)を調製した。次に前記当量混合物(A)8
6部に単官能性モノマーとしてエトキシジエチレングリ
コールアクリレート13.2部、多官能性モノマーとし
てトリメチロールプロパントリアクリレート0.8部、
光重合開始としてベンゾインイソプロピルエーテル0.
056部を添加混合溶解し、光重合性溶液(A−2)を
調製した。次に光重合性溶液(A−1)をイオン伝導度
測定用セルに入れ、コールドミラー集光装置付高圧水銀
灯にて照射し、電解液を固体化した。さらにその上に光
重合性溶液(A−2)を入れ同様に照射し固体化した。
このイオン伝導度を測定したところ、2.3×10-3
/cmであり、またそれぞれの弾性率は3.3×103
dyn/cm2、7.2×104dyn/cm2であり十
分強固な粘弾性体が得られた。
【0022】実施例2 イオン伝導性高分子固体電解質(B) 実施例1と同様に光重合性溶液(A−1)を調製し、次
に光重合開始剤の代りに熱重合開始剤としてビス(4−
t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート
を用いる以外は同様に熱重合性溶液(B−1)を調製し
た。更に前記熱重合性溶液(B−1)5.0部をn−ヘ
キサン100.0部に混合し、回転数200rpmにて
分散後、50℃加熱し、重合を行い約10μm粒子を得
た。これを濾過分離後、光重合性溶液(A−1)に分散
し(10vol%)、光照射し、固体化を行った。この
固体化物のイオン伝導度を測定したところ2.4×10
-3S/cmであった。また、バルクの弾性率は3.5×
103dyn/cm2であった。
【0023】実施例3 イオン伝導性高分子固体電解質(C) 電解質塩として、2mol/l LiN(CF3SO2
2溶液を使用する以外は実施例1と同様にして固体化を
行い、イオン伝導性高分子固体電解質(C)を作製し
た。このイオン伝導性高分子電解質(C)のイオン伝導
度を測定したところ2.3×10-3S/cmであり、そ
れぞれの弾性率は2.8×103dyn/cm2、5.0
×104dyn/cm2であり、充分強固な粘弾性体が得
られた。
【0024】実施例4 実施例3のイオン伝導性高分子電解質(C)の作製にお
いて、2mol/lLiN(CF3SO22溶液に代え
て、2mol/l LiBF4溶液のみを使用する以外
は実施例3と同様にして固体化を行った。この固体化物
のイオン伝導度を測定したところ、4.8×10-4S/
cmであり、また弾性率を測定したところ1.3×10
4dyn/cm2、3.8×105dyn/cm2であり充
分強固な弾性体であったが、イオン伝導度に劣るもので
あった。
【0025】実施例5 イオン伝導性高分子固体電解質(D) 1.8mol/l LiC(CF3SO23溶液および
0.2mol/l LiBF4溶液を使用する以外は、
実施例1と同様にして固体化を行い、イオン伝導性高分
子固体電解質(D)を作製した。このイオン伝導性高分
子固体電解質(D)のイオン伝導率を測定したところ、
1.9×10-3S/cmであり、弾性率はそれぞれ2.
9×103dyn/cm2、6.7×104dyn/cm2
であった。
【0026】実施例6 電解質塩を1.8mol/l LiC(CF3SO22
溶液および0.2mol/l LiAsF6溶液とした
以外は実施例5と同様に固体化を行った。この固体化物
のイオン伝導度を測定したところ、1.7×10-3S/
cmであり、また弾性率を測定したところそれぞれ1.
5×103dyn/cm2、3.3×104dyn/cm2
で、イオン伝導度は十分に満足するものであったが、弾
性率に劣るものであった。
【0027】実施例7 実施例1の光重合性溶液(A−1)において、電解質塩
として2.0mol/l LiN(CF3SO22
液、光重合性溶液(A−2)において電解質塩として
2.0mol/l LiBF4溶液とし、実施例1と同
様にしてまず、光重合性溶液(A−1)を固体化し、そ
の上に光重合性溶液(A−2)を固体化し、更にその上
に光重合性溶液(A−1)を固体化積層し図1に示すよ
うな固体電解質を得た。この固体電解質のイオン伝導度
を測定したところ、2.0×10-3S/cmであり、そ
れぞれの弾性率は2.8×103dyn/cm2、3.8
×105dyn/cm2であり、充分強固な粘弾性体が得
られた。
【0028】実施例8 非水溶液として、プロピレンカーボネート/ジメチルカ
ーボネート(5/5:体積比)を用いた以外は、実施例
1と同様に固体化を行った。この固体電解質のイオン伝
導度を測定したところ2.2×10-3S/cmであり、
弾性率はそれぞれ2.8×103dyn/cm2、6.8
×104dyn/cm2であった。
【0029】実施例9 単官能性モノマーをエトシキジエチレングリコールメタ
クリレート、多官能性モノマーをエチレンオキサイド変
性トリメチロールプロパントリアクリレートとした以外
は実施例1と同様にして固体化を行った。この固体電解
質のイオン伝導度を測定したところ1.8×10-3S/
cmであり、弾性率はそれぞれ1.2×103dyn/
cm2、2.5×104dyn/cm2であった。
【0030】実施例10 熱重合開始剤として、ビス(4−t−ブチルシクロヘキ
シル)パーオキシジカーボネートを用いる以外は、実施
例1と同様の組成にして、熱重合を所定温度で行い固体
化した。この固体化物のイオン伝導度は1.9×10-3
S/cm、弾性率はそれぞれ2.9×103dyn/c
2、7.0×104dyn/cm2であった。
【0031】実施例11 光重合開始剤として、ベンゾインイソプロピルエーテル
0.028部、熱重合開始剤としてビス(4−t−ブチ
ルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート0.04
3部を併用混合して用いる以外は、実施例1と同様に高
圧水銀灯にて照射し、さらに所定温度で熱重合を行い固
体化したところイオン伝導度は2.2×10−3S/c
mであり、弾性率はそれぞれ3.6×10dyn/c
、7.5×10dyn/cmであった。
【0032】実施例12 単官能性モノマーとして、エトキシジエチレングリコー
ルトリアクリレート13.2部、3官能性モノマーとし
て、トリメチロールプロパントリアクリレート0.8
部、熱重合開始剤として、ビス(4−t−ブチルシクロ
ヘキシル)パーオキシカーボネートを混合し、その溶液
1.0部をn−ヘキサン100部に分散混合し、回転数
150rpmで所定温度熱重合し、約5μmの粒子を得
た。これをフィラーとして濾過分離後、光重合開始液
(A−1)に分散し(10vol%)、光照射し、固体
化を行った。このイオン伝導度を測定したところ、2.
1×10-3S/cmであった。またバルクの弾性率は、
3.7×103dyn/cm2であった。
【0033】比較例1 非水溶媒:プロピレンカーボネート/エチレンカーボネ
ート/ジメチルカーボネート(2/5/3:体積比)に
溶解した2.0mol/l LiAsF6溶液86部を
単官能性モノマーとしてエトキシジエチレングリコール
アクリレート13.7部、多官能性モノマーとしてトリ
メチロールプロパントリアクリレート0.3部、光重合
開始剤として、ベンゾインイソプロピルエーテル0.0
56部を添加混合溶解し、光重合性溶液を調整した。こ
れをイオン伝導度測定用セルに入れ、コールドミラー集
光型装置付高圧水銀灯にて照射し、電解液を固体化し
た。このイオン伝導度を測定したところ、1.1×10
-3S/cmであり、また弾性率は6.7×102dyn
/cm2であり、イオン伝導度は満足するものの弾性率
が劣るものであった。
【0034】実施例13 電気化学素子の作製 1.正極の作製 硫酸および酸化剤として過硫酸アンモニウムを用いて化
学重合で合成したポリアニリン12部をN−メチルピロ
リドン60部に溶解し、該溶液に結晶性五酸化バジウム
(平均粒径2.5μm)を加えて、不活性雰囲気下でロ
ールミル法を用いて混合分散して正極用塗料を調整し
た。これを大気中にてワイヤーバーを用いて20μmア
ルミニウム電解箔上に塗布し、100℃15分間乾燥さ
せ、膜厚30μmの正極を作製した。
【0035】2.負極の作製 ポリフッ化ピニリデン(呉羽化学KF−1000)15
部をN−メチルピロリドン35部に溶解し、更に溶液に
天然黒鉛を50部加えた組成物をロールミル法にて不活
性雰囲気下で混合分散して、負極用塗料を調整した。こ
れを大気中にてワイヤバーにて20μm銅箔上に塗布
し、80℃20分間乾燥させ、膜厚60μmの電極を作
製した。上記正極及び負極に光重合溶液(A−1)を浸
透させ、高圧水銀灯を照射して、電解液を固体化した。
さらにその上に光重合性溶液(A−2)を塗布し、同様
に固化した(図1)。これらを積層して、発電素子部に
均一に圧力をかけつつ三辺を封止し、残りの一辺を減圧
下、封止して電池を作製した。充放電試験は北斗電工製
HJ−201B充放電測定装置を用いて、0.7mAの
電流で、電池電圧が0Vになるまで充電し、1時間の休
止後、0.7mAの電流で電池電圧が0.8Vまで放電
し、この充放電を繰り返した。この時の初期と100サ
イクル目の放電容量は初期が12.5mAhで100サ
イクル後が12.2mAhであった。また、短絡しない
充分な固体強度をもった電気化学素子が作製できた。
【0036】実施例14 光重合製溶液のかわりに分散液(A)(光重合性)を用
いる以外は、実施例13と同様に行って固体化した(図
2)。この固体電解質を使用して実施例13と同様にし
て作製した電気化学素子は、充放電試験によると放電容
量は初期が12.7mAhで100サイクル後が12.
3mAhであった。また、短絡を防止できる充分な固体
強度を持った電気化学素子が作製できた。
【0037】実施例15 実施例13の負極用炭素材料として天然黒鉛25部、コ
ークスを2500℃還元雰囲気下で焼成した炭素体(非
黒鉛)を用いて同様に電池を作製した。放電容量は初期
が12.7mAh、100サイクル後が12.5mAh
であった。これら炭素体を用いることにより電解液の分
解のない負極となり、電池としてガス発生が押さえられ
る。
【0038】以下、本発明の実施態様を示す。 1. 電解質塩を含有し、架橋型高分子をマトリクスと
する高分子固体電解質において、該マトリクスが少なく
とも2種の異なる弾性率の架橋型高分子の複合物である
ことを特徴とするイオン伝導性高分子固体電解質。 2. 少なくとも1種の架橋型高分子が単官能性モノマ
ーと多官能性モノマーを含有する架橋重合性組成物を架
橋重合して形成されたものである前記1のイオン伝導性
高分子固体電解質。 3. 単官能性モノマーおよび/または多官能性モノマ
ーが、(メタ)アクリレートのモノマーあるいはプレポ
リマーである前記1ないし2のイオン伝導性高分子固体
電解質。 4. 多官能性モノマーが炭素以外の酸素原子、窒素原
子、硫黄原子などのヘテロ原子を含むものである前記1
ないし3のイオン伝導性高分子固体電解質。 5. 多官能性モノマーが3官能性モノマーである前記
1ないし4のイオン伝導性高分子固体電解質。 6. 3官能性モノマーが3官能不飽和カルボン酸エス
テルである前記5のイオン伝導性高分子固体電解質。 7. 少なくとも2種の異なる弾性率の架橋型高分子
が、単官能性モノマーに対する3官能不飽和カルボン酸
エステルの添加量を変化させて形成されたものである前
記6のイオン伝導性高分子固体電解質。
【0039】8. 少なくとも1種の架橋型高分子が光
重合開始剤および熱重合開始剤を併用した架橋重合性組
成物を架橋重合して形成されたものである前記1ないし
7のイオン伝導性高分子固体電解質。 9. 光重合開始剤がベンゾインイソプロピルエーテ
ル、熱重合開始剤がビス(4−t−ブチルシクロヘキシ
ル)パーオキシジカーボネートである前記8のイオン伝
導性高分子固体電解質。 10. 架橋型高分子の複合物が、少なくとも2種の異な
る弾性率の架橋型高分子の積層物である前記1ないし9
のイオン伝導性高分子固体電解質。 11. 架橋型高分子の複合物が、少なくとも1種以上の
架橋型高分子の微粒子を、弾性率の異なる少なくとも1
種以上の架橋型高分子よりなる層中へ均一に分散させた
分散物である前記1ないし9のイオン伝導性高分子固体
電解質。 12. 微粒子を構成する架橋型高分子の弾性率が、該微
粒子を分散させた層を構成する架橋型高分子の弾性率よ
り大きいものである前記11のイオン伝導性高分子固体
電解質。 13. 微粒子がフィラーとして十分な物性を有するもの
である前記11ないし12のイオン伝導性高分子固体電
解質。 14. イオン伝導性高分子固体電解質が、導電性高分子
材料と複合化されたものである前記1ないし13のイオ
ン伝導性高分子固体電解質。 15. イオン伝導性高分子固体電解質が、電池の構成部
材と複合一体化して形成されたものである前記1ないし
14のイオン伝導性高分子固体電解質。 16. 構成部材が電極である前記14のイオン伝導性高
分子固体電解質。 17. 構成部材がセパレーターである前記15のイオン
伝導性高分子固体電解質。
【0040】18. 電解質塩が下式(I)で表わされ
るスルホン酸塩である前記1ないし17のイオン伝導性
高分子固体電解質。
【化3】 LiX(CFSO)n (I) 〔式中、XはN,C,BまたはCR基(Rはアルキル
基)であり、nは1〜3の整数。〕 19. 電解質塩として、さらに下式(II)および(II
I)よりなる群から選ばれた少なくとも1種のテトラフ
ルオロボレート塩を含有するものである前記18のイオ
ン伝導性高分子固体電解質。
【化4】 M(BF) (II) (R)NBF (III) 〔式中、Rは同一または相異なっていて
も良いアルキル基、また、Mはアルカリ金属、アルカリ
土類金属を表わす。〕 20. 各架橋型高分子中に含有される電解質塩の種類
が、それぞれ異なるものである前記1ないし19のイオ
ン伝導性高分子固体電解質。 21. イオン伝導性高分子固体電解質が、プロピレン
カーボネートを含有するものである前記1ないし20の
イオン伝導性高分子固体電解質。
【0041】22. イオン伝導性高分子固体電解質が、
さらにジメチルカーボネートを含有するものである前記
21のイオン伝導性高分子固体電解質。 23. 前記1ないし22のイオン伝導性高分子分固体電
解質を構成要素として有する電気化学素子。 24. イオン伝導性高分子固体電解質が電気化学素子の
構成部材と一体化して形成されたものである前記23の
電気化学素子。 25. 電気化学素子の構成部材が導電性高分子材料ある
いは導電性物質ブレンド高分子材料で構成されたものあ
る前記24の電気化学素子。 26. 電気化学素子が2次電池である前記23〜25の
電気化学素子。 27. 負極活物質が非黒鉛である前記26の電気化学素
子。
【0042】
【効果】請求項1 特に異なる弾性率を持つ架橋型高分子を積層することに
より隔膜を必要としない強固なイオン伝導性高分子固体
電解質(粘弾性体)が得られ、電池の内部抵抗をおさえ
られた。 請求項2および3 異なる弾性率をもつ架橋型高分子よりなる粒子状電解質
を複合することにより、フィラーを必要としない強固な
イオン伝導性高分子固体電解質(粘弾性体)が得られ、
電池の内部抵抗をおさえることができた。 請求項4 イオン伝導度、弾性率ともに劣化のないイオン伝導性高
分子固体電解質(粘弾性体)が得られた。 請求項5 炭素以外のヘテロ原子は電解質塩のイオン化を促進させ
固体電解質のイオン伝導度を向上させ、強度を向上させ
たイオン伝導性高分子固体電解質(粘弾性体)が得られ
た。 請求項6 より高い弾性率をもつイオン伝導性高分子固体電解質
(粘弾性体)が得られた。 請求項7 前式(I)で表わされるスルホン酸塩を含有させること
により、弾性率を劣化することなくイオン伝導度が向上
したイオン伝導性高分子固体電解質(粘弾性体)が得ら
れた。 請求項8 電解質塩として前式(II)及び(III)で表されるテト
ラフルオロボレート塩をさらに含有させることにより、
前記のものに比べてさらに弾性率の劣化のないイオン伝
導性高分子固体電解質(粘弾性体)が得られた。 請求項9 異なる弾性率を持つ架橋型高分子層中に別々の電解質塩
を含有することにより、より高い弾性率を持つイオン伝
導性高分子固体電解質(粘弾性体)が得られた。 請求項10 プロピレンカーボネートを含有させることにより、イオ
ン伝導度が劣化することなく、弾性率が向上したイオン
伝導性高分子固体電解質(粘弾性体)が得られた。 請求項11 プロピレンカーボネートとジメチルカーボネートを含有
していると、イオン伝導度、弾性率ともに良好なイオン
伝導性高分子固体電解質(粘弾性体)が得られた。 請求項12、13および14 液もれがなく、かつ、短絡をも防止した全固体電気化学
素子を作製できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】弾性率の異なる2種の架橋型高分子の積層物と
電極の一体化物
【図2】弾性率の異なる2種の架橋型高分子の分散物と
電極の一体化物
【符号の説明】
1 正極 2 架橋型高分子A 3 架橋型高分子B 4 負極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 33/14 C08L 33/14 H01M 10/40 H01M 10/40 B // H01M 6/18 6/18 E (56)参考文献 特開 平3−88209(JP,A) 特開 平4−145145(JP,A) 特開 平3−156803(JP,A) 国際公開96/008051(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 1/00 - 101/16 C08K 3/00 - 13/08 H01M 10/40 H01M 6/18

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解質塩を含有し、架橋型高分子をマト
    リクスとする高分子固体電解質において、マトリクスが
    少なくとも2種の異なる弾性率の架橋型高分子の複合物
    であって、該複合物が、少なくとも2種の異なる弾性率
    の架橋型高分子の積層物であることを特徴とするイオン
    伝導性高分子固体電解質。
  2. 【請求項2】 電解質塩を含有し、架橋型高分子をマト
    リクスとする高分子固体電解質において、マトリクスが
    少なくとも2種の異なる弾性率の架橋型高分子の複合物
    であって、該複合物が、少なくとも1種以上の架橋型高
    分子の微粒子を弾性率の異なる少なくとも1種以上の架
    橋型高分子よりなるマトリクス層中へ均一に分散させた
    分散物であることを特徴とするイオン伝導性高分子固体
    電解質。
  3. 【請求項3】 微粒子が、熱架橋性重合性組成物を熱架
    橋重合して作成されたものであり、前記微粒子を均一分
    散させた架橋型高分子層が光架橋性重合組成物を光架橋
    重合して形成されたものである請求項2記載のイオン伝
    導性高分子固体電解質。
  4. 【請求項4】 少なくとも1種の架橋型高分子が単官能
    性モノマーと多官能性モノマーを含有する架橋重合性組
    成物を架橋重合して形成されたものである請求項1〜3
    いずれか記載のイオン伝導性高分子固体電解質。
  5. 【請求項5】 単官能性モノマーおよび/または多官能
    性モノマーが炭素以外のヘテロ原子を含むものである請
    求項4記載のイオン伝導性高分子固体電解質。
  6. 【請求項6】 少なくとも1種の架橋型高分子が光重合
    開始剤および熱重合開始剤を含有する架橋重合性組成物
    を架橋重合して形成されたものである請求項1〜5いず
    れか記載のイオン伝導性高分子固体電解質。
  7. 【請求項7】 電解質塩が、下式(I)で表わされるス
    ルホン酸塩である請求項1〜6いずれか記載のイオン伝
    導性高分子固体電解質。 【化1】 LiX(CFSO)n (I) 〔式中、XはN,C,BまたはCR基(Rはアルキル
    基)であり、nは1〜3の整数。〕
  8. 【請求項8】 電解質塩としてさらに、下式(II)およ
    び(III)よりなる群から選ばれた少なくとも1種のテ
    トラフルオロボレート塩を含有するものである請求項7
    記載のイオン伝導性高分子固体電解質。 【化2】 M(BF) (II) (R)NBF (III) 〔式中、Rは同一または相異なっていて
    も良いアルキル基、また、Mはアルカリ金属、アルカリ
    土類金属を表わす。〕
  9. 【請求項9】 各架橋型高分子中に含有される電解質塩
    の種類が、それぞれ異なるものである請求項1〜8いず
    れか記載のイオン伝導性高分子固体電解質。
  10. 【請求項10】 イオン伝導性高分子固体電解質が、プ
    ロピレンカーボネートを含有するものである請求項1〜
    9いずれか記載のイオン伝導性高分子固体電解質。
  11. 【請求項11】 イオン伝導性高分子固体電解質が、さ
    らにジメチルカーボネートを含有するものである請求項
    10記載のイオン伝導性高分子固体電解質。
  12. 【請求項12】 請求項1〜11いずれか記載のイオン
    伝導性高分子固体電解質を構成要素として有する電気化
    学素子。
  13. 【請求項13】 イオン伝導性高分子固体電解質が電気
    化学素子の構成部材と一体化して形成されたものである
    請求項12記載の電気化学素子。
  14. 【請求項14】 電気化学素子の部材が導電性高分子材
    料あるいは導電性物質ブレンド高分子材料で形成された
    ものである請求項13記載の電気化学素子。
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