JP2002025335A - 重合性化合物及びその用途 - Google Patents

重合性化合物及びその用途

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JP2002025335A
JP2002025335A JP2000207828A JP2000207828A JP2002025335A JP 2002025335 A JP2002025335 A JP 2002025335A JP 2000207828 A JP2000207828 A JP 2000207828A JP 2000207828 A JP2000207828 A JP 2000207828A JP 2002025335 A JP2002025335 A JP 2002025335A
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carbon atoms
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Masataka Takeuchi
正隆 武内
Shiyuuichi Uchijiyou
秀一 内條
Ayako Nishioka
綾子 西岡
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Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高イオン伝導性で安定性の良好な高分子固体電
解質、そのような高分子固体電解質を得るための低粘性
で加工性に優れた重合性組成物、その重合性組成物に用
いる低粘性で、重合性、安定性の良好な重合性化合物、
高容量、高電流で作動可能であり、高寿命で液漏れのな
い安全性、信頼性に優れ、安価に製造できる一次電池及
び二次電池、並びに出力電圧が高く、取り出し電流が大
きく、加工性が良好で高寿命で液漏れのない安全性、信
頼性に優れ、安価に製造できる電気二重層コンデンサ、
並びに応答速度が速く、高寿命で液漏れのない安全性、
信頼性に優れ、安価に製造できるエレクトロクロミック
素子の提供。 【解決手段】高誘電率、電気化学的安定範囲の広いカー
ボネート系高分子に分岐鎖を導入することにより、該カ
ーボネート系高分子を主成分とする加工性、安定性に優
れ、高イオン伝導度の高分子固体電解質。前記高分子固
体電解質を用いた固体状一次電池、固体状二次電池、固
体状電気二重層コンデンサ及び固体状エレクトロクロミ
ック素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は各種電気化学素子に
有用な、分岐型カーボネート基を主成分とする高分子化
合物と電解質塩とを含む高イオン伝導性の高分子固体電
解質、該高分子固体電解質を得る為の重合性化合物及び
重合性組成物、該高分子固体電解質を用いた電池、電気
二重層コンデンサ、エレクトロクロミック素子に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯機器の普及に伴い、各種電池
や電気二重層コンデンサ等の蓄電素子の軽量化が進み、
生産高も急激に増えている。さらに最近環境面で期待さ
れているハイブリッド自動車や電気自動車等が今後普及
していくには、上記蓄電素子の大型化、高性能化が望ま
れている。電池の中では特にLi一次電池やLiイオン
二次電池のような非水系電池がその高電圧、高エネルギ
ー密度という特徴から伸びている。また、高比表面積の
活性炭電極を分極性電極に用いた電気二重層コンデンサ
もその高パワー密度という特徴から伸びている。
【0003】また、表示材料についても平面化、薄型化
が注目され、液晶、有機EL、エレクトロクロミック
(ECD)素子の改良が盛んに行われている。この中で
ECD素子は電気化学反応による色変化で、自発光では
なく、応答速度も遅いが、メモリー性がある為、表示素
子というより、遮光ガラス等独自のニーズで注目されて
いる。
【0004】これら蓄電素子やECD素子は電気化学反
応を利用しており、用いられる電解質材料の高性能化が
望まれている。これら電解質材料の要求特性としては、
高イオン伝導度、広い電気化学的安定範囲、各種電極へ
の含浸性、耐熱性、耐環境性、安全性等が挙げられる。
現在、特に非水系蓄電素子であるLi(イオン)電池や
非水系電気二重層コンデンサが高電圧、高エネルギー密
度として注目されているが、これらに用いられる電解質
材料はイオン伝導性を改善すること、高電圧使用に耐え
うるように電気化学的安定範囲がひろいこと、各種電極
材料と複合しやすいこと、安全性に優れていること等が
特に要求される。
【0005】近年、従来の液体系電解質の欠点である液
漏れや揮発による安全性及び信頼性低下を改善する為
に、電解質塩を高分子等で固体化した高分子固体電解質
が注目されている。例えば、高分子にポリエーテル鎖を
導入した高分子固体電解質(特開平4-211412号公報等)
が挙げられる。これら高分子固体電解質は安全性、安定
性は向上するものの、イオン伝導性の低下や各種電極材
料との複合性悪化が問題となり、各種電気化学素子に使
用する場合に取り出し電流が小さいというような問題を
残していた。
【0006】このような高分子固体電解質の問題を解決
する為に、本発明者らはカーボネート構造を有する高分
子を用いた高分子固体電解質及び該高分子固体電解質を
得るための重合性化合物及び重合性組成物を提案した
(例えば、特開平11-149823号公報、特開平11-149824号
公報)。特開平1-311573号公報には、活性水素原子を有
さない側鎖を結合した高分子を高分子固体電解質として
用いた電気化学装置が記載されており、当該高分子とし
てメタクリレート末端キャップーポリ(エチレンエーテ
ルカーボネート)が例示されている。
【0007】特開平9-147912号公報には、特開平1-3115
73号公報と同様のメタクリレート末端キャップーポリ
(アルキレン(エーテル)カーボネート)とメタクリレート
末端キャップーポリエーテルとの共重合体を用いること
により柔軟性と剛直性を併せもち、アルカリ金属電極と
の密着性及び界面抵抗を改善した高分子固体電解質が記
載されている。
【0008】特開昭62-30147号公報、特開昭62-30148号
公報にも特定の構造を有するポリアルキレンカーボネー
トを用いた高分子固体電解質が開示されている。これら
は有機溶媒や電解質塩の相溶性を高め、機械物性も改良
している。
【0009】カーボネート構造は誘電率が高い為に電解
質塩の溶解性、各種有機溶媒との相溶性を改善し、高分
子固体電解質としてのイオン伝導度が改善される。ま
た、電気化学的安定範囲も広く、素子の高電圧化に適し
ている。しかしながらカーボネート構造を有する高分子
は従来から高分子固体電解質に用いられてきたポリエー
テル系高分子に比べて粘度が高く、各種電極材料との複
合性が劣るという欠点を有していた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明では誘電率が高
く、高イオン伝導度であり、電気化学的安定性の高いカ
ーボネート系高分子の加工性、電極との複合性を改善
し、高イオン伝導度で耐久性、電気化学的安定性、加工
性、安全性、信頼性に優れた高分子固体電解質を提供す
ることを目的とする。また、本発明は、前記カーボネー
ト系高分子固体電解質を使用することにより、薄膜化が
容易であり、作動電圧が広く、高容量、高電流で作動で
き、高寿命で信頼性、加工性に優れた一次電池及び二次
電池を提供することを目的とする。
【0011】さらにまた、本発明は上記カーボネート系
高分子固体電解質を使用することにより出力電圧が高
く、取り出し電流が大きく、加工性が良好で、高寿命で
信頼性に優れる電気二重層コンデンサを提供することを
目的とする。
【0012】さらにまた、本発明は上記カーボネート系
高分子固体電解質を使用することにより加工性が良好
で、応答速度が速く、高寿命で信頼性に優れるエレクト
ロクロミック素子を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決するため鋭意検討した結果、カーボネート鎖に分
岐鎖を導入することにより、カーボネート系高分子を低
粘性化させ、加工性の優れた高分子固体電解質が得られ
ることを見出した。また、分岐鎖を導入したカーボネー
ト系高分子は溶媒等で希釈し低粘性化する場合も、単独
での低粘性化以上に効果を発揮する。これは分岐鎖を導
入することにより、高分子間での相互作用が減少するこ
とによると推定される。
【0014】また、本発明者らは分岐型カーボネート鎖
を有する低分子量の重合性化合物を重合することにより
各種電気化学素子の電極材料との複合性に優れた高分子
固体電解質が得られることを見出した。
【0015】さらに上記高分子固体電解質を用いること
により、作動電圧が広く、高容量、高電流で作動でき、
高寿命で液漏れのない安全性、信頼性に優れた一次電池
及び二次電池及び出力電圧が高く、取り出し電流が大き
く、加工性が良好で、高寿命で液漏れのない安全性、信
頼性に優れる電気二重層コンデンサ及び応答速度が早
く、高寿命で液漏れのない信頼性に優れたエレクトロク
ロミック素子が得られることを見出した。。
【0016】すなわち本発明は、以下の高分子固体電解
質、高分子固体電解質用重合性化合物組成物及びこれら
を用いた電池、電気二重層コンデンサ、エレクトロクロ
ミック素子を提供する。
【0017】1)一般式(1)で表される分岐型カーボ
ネート構造を部分構造として有する高分子化合物及び少
なくとも一種の電解質塩を含む高分子固体電解質、
【0018】
【化6】
【0019】(式中、R1、R2は水素原子、炭素数1〜
10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭
素数1〜10のアルコキシアルキル基を表し、直鎖状、
分岐状または環状のいずれの構造を有するものでもよ
い。mは3〜10の整数であり、nは1〜500の整数
を示す。同一分子中に存在する複数のR1、R2、m及び
nは、同一でも異なってもよい。但し、同一分子中に存
在する複数のR1及びR2がすべて同時に水素原子の場合
を除く。) 2)一般式(2)で表される分岐型カーボネート構造を
部分構造として有する高分子化合物及び少なくとも一種
の電解質塩を含む高分子固体電解質、
【0020】
【化7】
【0021】(式中、R3は水素原子、炭素数1〜10
のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数
1〜10のアルコキシアルキル基を表し、直鎖状、分岐
状または環状のいずれの構造を有するものでもよい。m
は3〜10の整数であり、nは1〜500の整数を示
す。同一分子中に存在する複数のR3、m及びnは、同
一でも異なってもよい。但し、同一分子中に存在する複
数のR3がすべて同時に水素原子の場合を除く。) 3) 前記1)または2)記載の分岐型カーボネート構
造と下記の一般式(3)及び/または一般式(4)で示
される重合性官能基とを有する重合性化合物の重合体で
ある高分子固体電解質、
【0022】
【化8】
【0023】(式中、R4は水素原子または炭素数1〜
10のアルキル基を表し;R6は水素原子、炭素数1〜
10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭
素数1〜10のアルコキシアルキル基を表し、直鎖状、
分岐状または環状のいずれの構造を有するものでもよ
い。R5は2価基を表し、ヘテロ原子を含んでいてもよ
く、直鎖状、分岐状または環状のいずれの構造を有する
ものでもよい。xは0または1を示す。但し、同一分子
中に存在する複数のR4、R5、R6及びxは、同一でも
異なってもよい。) 4)重合性化合物の重量平均分子量が100以上300
0以下である前記3)に記載の高分子固体電解質、 5)重合性化合物が室温において液体で、その粘度が5
000mPa・S(25℃)以下である前記3)または
4)に記載の高分子固体電解質、 6)少なくとも一種の有機溶媒を含む前記1)乃至5)
のいずれかに記載の高分子固体電解質、 7)前記3)、4)、5)のいずれかに記載の少なくと
も一種の重合性化合物及び少なくとも一種の電解質塩を
含む高分子固体電解質用重合性組成物、 8)少なくとも一種の有機溶媒を含む前記7)記載の高
分子固体電解質用重合性組成物、 9)粘度が6.0mPa・S(25℃)以下である前記
8)に記載の高分子固体電解質用重合性組成物、 10)前記7)に記載の重合性組成物を重合して得られ
る高分子固体電解質、 11)前記8)に記載の重合性組成物を重合して得られ
る高分子固体電解質、 12)前記9)に記載の重合性組成物を重合して得られ
る高分子固体電解質、 13)電解質塩がアルカリ金属塩、4級アンモニウム
塩、4級ホスホニウム塩から選ばれる少なくとも一種の
電解質塩であることを特徴とする前記1)、2)、1
0)、11)または12)のいずれかに記載の高分子固
体電解質、 14)電解質塩がアルカリ金属塩、4級アンモニウム
塩、4級ホスホニウム塩から選ばれる少なくとも一種の
電解質塩であることを特徴とする前記7)、8)または
9)のいずれかに記載の高分子固体電解質用重合性組成
物、 15)有機溶媒が炭酸エステル類、脂肪族エステル類、
エーテル類、ラクトン類、スルホキシド類、アミド類か
ら選ばれる少なくとも一種の有機溶媒であることを特徴
とする前記6)、11)または12)のいずれかに記載
の高分子固体電解質、
【0024】16)有機溶媒が炭酸エステル類、脂肪族
エステル類、エーテル類、ラクトン類、スルホキシド
類、アミド類から選ばれる少なくとも一種の有機溶媒で
あることを特徴とする前記8)または9)に記載の高分
子固体電解質用重合性組成物、 17)前記1)乃至6)、10)乃至13)または1
5)のいずれか記載の高分子固体電解質を用いることを
特徴とする電池、 18)電解質塩としてLiPF6、LiBF4、LiAs
6、またはLiN(A−SO22(式中、Aは炭素数
1以上10以下のパーフルオロアルキル基を表す。)か
らなる群から選ばれる少なくとも一種を用いるリチウム
一次またはリチウム二次電池であることを特徴とする前
記17)記載の電池、 19)前記1)乃至6)、10)乃至13)または1
5)のいずれか記載の高分子固体電解質を用いることを
特徴とする電気二重層コンデンサ、 20)前記1)乃至6)、10)乃至13)または1
5)のいずれか記載の高分子固体電解質を用いることを
特徴とするエレクトロクロミック素子、 21)一般式(5)
【0025】
【化9】
【0026】(式中、R1、R2は水素原子、炭素数1〜
10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭
素数1〜10のアルコキシアルキル基を表し、直鎖状、
分岐状または環状のいずれの構造を有するものでもよ
い。mは3〜10の整数であり、nは1〜500の整数
を示す。R4は水素または炭素数が1〜10のアルキル
基を表わし、直鎖状、分岐状または環状のいずれの構造
を有するものでもよい。R 7は炭素数が1〜30の鎖
状、分岐状及び/または環状のヘテロ原子及び/または
不飽和結合を含んでもよい有機基を表す。同一分子中に
存在する複数のR1、R2、R4、R7、m及びnは、同一
でも異なってもよい。但し、同一分子中に存在する複数
のR1及びR2がすべて同時に水素原子の場合を除く。)
で示される重合性化合物、及び22)一般式(6)
【0027】
【化10】
【0028】(式中、R1、R2は水素原子、炭素数1〜
10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭
素数1〜10のアルコキシアルキル基を表し、直鎖状、
分岐状または環状のいずれの構造を有するものでもよ
い。mは3〜10の整数であり、nは1〜500の整数
を示す。xは0または1を示す。R4は水素原子または
炭素数が1〜10のアルキル基を表わし、直鎖状、分岐
状または環状のいずれの構造を有するものでもよい。R
7は炭素数が1〜30の鎖状、分岐状及び/または環状
のヘテロ原子及び/または不飽和結合を含んでもよい有
機基を表す。R6は水素原子、炭素数1〜10のアルキ
ル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10
のアルコキシアルキル基を表し、直鎖状、分岐状または
環状のいずれの構造を有するものでもよい。R7は炭素
数が1〜30の鎖状、分岐状及び/または環状のヘテロ
原子及び/または不飽和結合を含んでもよい有機基を表
す。同一分子中に存在する複数のR1、R2、R4、R5
6、R7、m及びnは、同一でも異なってもよい。但
し、同一分子中に存在する複数のR1及びR2がすべて同
時に水素原子の場合を除く。)で示される重合性化合
物。
【0029】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
【0030】(高分子固体電解質)本発明の高分子固体
電解質は、基本的には主要構成成分である(a)高分子化
合物、及び(b)電解質塩を含んでいる。さらに、(c)有機
溶媒、その他無機酸化物等添加物を含んでもよい。以
下、各成分について詳述する。
【0031】(a)高分子化合物 本発明の高分子固体電解質の主要構成成分である高分子
化合物は非電子伝導性で各種有機極性溶媒を吸液、保持
できるものであり、下記一般式(1)で示される分岐型
カーボネート構造を有する架橋及び/または側鎖基が含
まれる。
【0032】
【化11】
【0033】(式中、R1、R2は水素原子、炭素数1〜
10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭
素数1〜10のアルコキシアルキル基を表し、直鎖状、
分岐状または環状のいずれの構造を有するものでもよ
い。mは3〜10の整数であり、nは1〜500の整数
を示す。同一分子中に存在する複数のR1、R2、m及び
nは、同一でも異なってもよい。但し、同一分子中に存
在する複数のR1及びR2がすべて同時に水素原子の場合
を除く。) 上記一般式でのmが大きすぎると、高分子化合物中のカ
ーボネート基の相対的な割合が少なくなり、誘電率が低
下し、電解質塩が解離しにくくなり好ましくない。ま
た、高分子化合物の疎水性が増加し、各種極性溶媒との
相溶性が低下し、好ましくない。また、mが小さすぎる
と、高分子の柔軟性が低下し、また合成時の環状副生成
物が増えるので好ましくない。好ましいmの値は3〜8
である。
【0034】上記一般式のように分岐鎖を持たせると高
分子化合物の結晶性を低下させ、融点、ガラス転移点や
粘性を低下させる。但し、R1またはR2の炭素数が多す
ぎると、高分子化合物の疎水性が増加し、誘電率が低下
し、電解質塩が解離しにくくなり、各種極性溶媒との相
溶性が低下し、好ましくない。好ましいR1またはR2
炭素数としては1〜5である。本発明の高分子固体電解
質に用いられる高分子中の上記一般式(1)で示される
カーボネート構造の連続した繰り返し数nは1〜500
の範囲である。
【0035】また、本発明の高分子化合物は一般式
(2)で表される分岐型カーボネート構造を有する架橋
及び/または側鎖基が含まれる。
【0036】
【化12】
【0037】(式中、R3は水素原子、炭素数1〜10
のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数
1〜10のアルコキシアルキル基を表し、直鎖状、分岐
状または環状のいずれの構造を有するものでもよい。m
は3〜10の整数であり、nは1〜500の整数を示
す。同一分子中に存在する複数のR3、m及びnは、同
一でも異なってもよい。但し、同一分子中に存在する複
数のR3がすべて同時に水素原子の場合を除く。) 上記一般式でのmが大きすぎると、高分子化合物中のカ
ーボネート基の相対的な割合が少なくなり、誘電率が低
下し、電解質塩が解離しにくくなり好ましくない。ま
た、高分子化合物の疎水性が増加し、各種極性溶媒との
相溶性が低下し、好ましくない。また、mが小さすぎる
と、高分子の柔軟性が低下し、また合成時の環状副生成
物が増えるので好ましくない。好ましいmの値は3〜8
である。
【0038】上記一般式のように分岐鎖を持たせると高
分子化合物の結晶性を低下させ、融点、ガラス転移点や
粘性を低下させる。但し、R3の炭素数が多すぎると、
高分子化合物の疎水性が増加し、誘電率が低下し、電解
質塩が解離しにくくなり、各種極性溶媒との相溶性が低
下し、好ましくない。好ましいR3の炭素数としては1
〜5である。本発明の高分子固体電解質に用いられる高
分子中の上記一般式(2)で示されるカーボネート構造
の連続した繰り返し数nは1〜500の範囲である。
【0039】本発明の高分子固体電解質に用いられる高
分子としては、(A)一般式(1)または(2)で示さ
れるカーボネート構造を有し、かつ下記一般式(3)及
び/または(4)で示される重合性官能基
【0040】
【化13】
【0041】(式中、R4は水素原子または炭素数1〜
10のアルキル基を表し;R6は水素原子、炭素数1〜
10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭
素数1〜10のアルコキシアルキル基を表し、直鎖状、
分岐状または環状のいずれの構造を有するものでもよ
い。R5は2価基を表し、ヘテロ原子を含んでいてもよ
く、直鎖状、分岐状または環状のいずれの構造を有する
ものでもよい。xは0または1を示す。但し、同一分子
中に存在する複数のR4、R5、R6及びxは、同一でも
異なってもよい。) を有する少なくとも一種の重合性化合物を重合すること
により得られる重合体が、高分子固体電解質としての加
工や各種電気化学素子に用いられる電極との複合が容易
であり好ましい。
【0042】ここで、一般式(3)及び/または(4)
で表される官能基を1つしか有さない化合物を重合して
できる高分子は、架橋構造を有しておらず膜強度不足の
ため、薄膜にすると短絡する場合がある。したがって、
一般式(3)及び/または(4)で表される官能基を2
つ以上有する多官能性重合性化合物と共重合し架橋させ
るか、一般式(3)及び/または(4)で表される官能
基を2つ以上有する多官能性重合性化合物から得られる
高分子と併用することが好ましい。但し、低粘性化を目
的とした場合には、官能基を一つ有する単官能性重合性
化合物の低分子量体をできるだけ多く用いた方が、重合
後の架橋密度が増加せずに低粘性化できるので好まし
い。単官能性重合性化合物の混合量としては、分子量や
構造により一概に限定できないが、全重合性化合物の2
0質量%以上90質量%以下が好ましく、40質量%以
上85質量%以下がさらに好ましい。
【0043】また、本発明の高分子固体電解質に用いら
れる高分子としては、(B)前記一般式(3)及び/ま
たは一般式(4)で示される重合性官能基を有する少な
くとも一種の重合性化合物と、該重合性化合物と共重合
する官能基と前記一般式(1)で示されるカーボネート
構造を有する少なくとも一種の重合性化合物を共重合す
ることにより得られる共重合体、あるいは、(C)前記
一般式(1)で示されるカーボネート構造を有する少な
くとも一種の高分子化合物と一般式(3)及び/または
一般式(4)で示される重合性官能基を有する少なくと
も一種の重合性化合物を重合することにより得られる重
合体との混合物も用いることができる。本発明の高分子
固体電解質に用いられる上記重合性化合物は室温で液体
でその粘度は低い方が、重合性化合物単独または電解質
塩等と混合した重合性組成物を重合して高分子固体電解
質とする場合の加工性や電気化学素子内に注入して重合
する場合の含浸性に関して有利である。本発明の高分子
固体電解質に用いられる重合性化合物の好ましい粘度と
しては25℃で10000mPa・s以下であり、5000m
Pa・sが特に好ましい。
【0044】本発明の高分子固体電解質に用いられる上
記重合性化合物の分子量はできるだけ小さい方が低粘度
となる傾向にあり好ましいが、小さすぎると重合後の架
橋密度の増加や結晶性の上昇等で、高分子固体電解質と
してのイオン伝導度の温度特性や、各種電気化学素子材
料との接触性が低下し好ましくない。粘度は分子量だけ
でなく、分岐鎖等の構造も影響するので、本発明の高分
子固体電解質に用いられる重合性化合物の好ましい分子
量としては100以上3000以下であり、150以上
1500以下が特に好ましい。前記(A)に属する具体
的な重合性化合物としては、例えば以下の一般式(5)
あるいは(6)で示される化合物が挙げられる。
【0045】
【化14】
【0046】(式中、R1、R2は水素原子、炭素数1〜
10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭
素数1〜10のアルコキシアルキル基を表し、直鎖状、
分岐状または環状のいずれの構造を有するものでもよ
い。mは3〜10の整数であり、nは1〜500の整数
を示す。R4は水素または炭素数が10以下のアルキル
基を表わし、直鎖状、分岐状または環状のいずれの構造
を有するものでもよい。R 7は炭素数が1〜30の鎖
状、分岐状及び/または環状のヘテロ原子及び/または
不飽和結合を含んでもよい有機基を表す。同一分子中に
存在する複数のR1、R2、R4、R7、m及びnは、同一
でも異なってもよい。但し、同一分子中に存在する複数
のR1及びR2がすべて同時に水素原子の場合を除く。)
【0047】
【化15】
【0048】(式中、R1、R2は水素原子、炭素数1〜
10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭
素数1〜10のアルコキシアルキル基を表し、直鎖状、
分岐状または環状のいずれの構造を有するものでもよ
い。mは3〜10の整数であり、nは1〜500の整数
を示す。xは0または1を示す。R4は水素原子または
炭素数が10以下のアルキル基を表わし、直鎖状、分岐
状または環状のいずれの構造を有するものでもよい。R
7は炭素数が1〜30の鎖状、分岐状及び/または環状
のヘテロ原子及び/または不飽和結合を含んでもよい有
機基を表す。R6は水素原子、炭素数10以下のアルキ
ル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基を表し、直
鎖状、分岐状または環状のいずれの構造を有するもので
もよい。R7は炭素数が1〜30の鎖状、分岐状及び/
または環状のヘテロ原子及び/または不飽和結合を含ん
でもよい有機基を表す。同一分子中に存在する複数のR
1、R2、R4、R5、R6、R7、m及びnは、同一でも異
なってもよい。但し、同一分子中に存在する複数のR1
及びR2がすべて同時に水素原子の場合を除く。) 一般式(1)で示されるカーボネート構造と一般式
(3)で示される重合性官能基とを有する重合性化合物
を合成する方法に特に制限はないが、例えば、アクロイ
ル酸等の重合性官能基を有する酸と末端にヒドロキシル
基を有するカーボネートオールとを以下のように酸触媒
等の存在下で脱水縮合させることにより容易に得られ
る。
【0049】
【化16】 式中、R1、R2、R4、m及びnは一般式(5)と同じ
意味を表す。
【0050】一般式(1)で示されるカーボネート構造
と一般式(4)で示される重合性官能基とを有する重合
性化合物を合成する方法に特に制限はないが、例えば、
【0051】
【化17】
【0052】で示されるアクリロイル系イソシアネート
化合物と末端にヒドロキシル基を有するカーボネートオ
ールとを以下のようにウレタン化反応触媒存在下で反応
させることにより容易に得ることができる。
【0053】
【化18】 式中、R1、R2、R4、R5及びn、m、xは一般式
(6)と同じ意味を表す。
【0054】前記一般式(4)で示される重合性官能基
を有する化合物を重合して得られる高分子化合物は、ウ
レタン基を含んでおり、誘電率が高くなり、高分子固体
電解質とした場合のイオン伝導度が高くなるため好まし
い。さらに、一般式(4)で示される重合性官能基を有
する化合物は重合性が良好で、薄膜にしたときの膜強度
も大きく電解液の包含能力も高くなり好ましい。
【0055】本発明の高分子固体電解質で用いる高分子
を得る為に好適な一般式(1)で示されるカーボネート
構造を有し、かつ一般式(3)及び/または(4)で示
される重合性官能基を有する重合性化合物は、重合開始
剤の存在下、重合して高分子固体電解質を形成する。こ
れら重合性化合物はそれぞれ単独で用いてもよいし、2
種以上を組み合わせて用いてもよい。またはこれら重合
性化合物の少なくとも一種と他の重合性化合物とを共重
合させて用いてもよい。
【0056】前記一般式(1)で示されるカーボネート
構造を有し、かつ一般式(3)及び/または(4)で示
される重合性官能基を有する重合性化合物と共重合可能
な他の重合性化合物としては、特に制限はない。例え
ば、メタクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル等の
(メタ)アクリル酸アルキルエステル、各種ウレタンア
クリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,
N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタク
リルアミド、炭酸ビニレン、(メタ)アクリロイルカー
ボネート、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルホ
リン、メタクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルア
ミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アク
リルアミド系化合物、スチレン、α−メチルスチレン等
のスチレン系化合物、N−ビニルアセトアミド、N−ビ
ニルホルムアミド等のN−ビニルアミド系化合物、エチ
ルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテルを挙げる
ことができる。これらの中で好ましいのは、(メタ)ア
クリル酸エステル、ウレタン(メタ)アクリレートであ
る。
【0057】本発明の高分子固体電解質に用いる高分子
としては、前記一般式(1)で示されるカーボネート構
造を有し、かつ一般式(3)及び/または(4)で示さ
れる重合性官能基を有する重合性化合物の少なくとも一
種から得られる重合体及び/または前記重合性化合物を
共重合成分とする共重合体と、他の高分子との混合物で
あってもよい。混合する他の高分子としては、例えば、
ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、
ポリアクリロニトリル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル
類、ポリスチレン、ポリフォスファゼン類、ポリシロキ
サンあるいはポリシラン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ
テトラフルオロエチレン等のポリマーが挙げられる。前
記一般式(1)で示されるカーボネート構造を有する高
分子由来の構造単位の量は、前記一般式(1)で示され
るカーボネート構造を有し、かつ一般式(3)及び/ま
たは(4)で示される重合性官能基を有する重合性化合
物を単独重合するか、その他の共重合成分と共重合する
か、さらに他の高分子を混合するかにより、あるいはそ
れらの種類により異なる為、一概にはいえないが、高分
子固体電解質に用いたときのイオン伝導度及び膜強度、
耐熱性、電流特性を考慮すると、高分子成分全量に対し
50質量%以上含有することが好ましく、さらには70
質量%以上含有することが好ましい。
【0058】前記一般式(1)で示されるカーボネート
構造を有し、かつ一般式(3)及び/または(4)で示
される重合性官能基を有する重合性化合物の重合は、官
能基であるアクリロイル基もしくはメタクリロイル基の
重合性を利用した一般的な方法で行うことができる。す
なわち、前記重合性化合物単独、あるいは重合性化合物
と他の前記共重合可能な重合性化合物と他の前記共重合
可能な重合性化合物の混合物に、2,2’−アゾビスイ
ソブチロニトリル(AIBN)、ベンゾイルパーオキサ
イド(BPO)等のラジカル重合触媒、CF3COOH
等のプロトン酸、BF3、AlCl3等のルイス酸等のカ
チオン重合触媒、あるいはブチルリチウム、ナトリウム
ナフタレン、リチウムアルコキシド等のアニオン重合触
媒を用いて、ラジカル重合、カチオン重合あるいはアニ
オン重合させることができる。また、重合性化合物また
は重合性混合物は膜状等の形に成型後や各種電極材料に
注入、含浸後に重合させることも可能である。
【0059】(b)電解質塩 本発明で用いる電解質塩の種類は特に限定されるもので
はなく、電荷でキャリアーとしたいイオンを含んだ電解
質を用いればよいが、高分子固体電解質中での解離定数
が大きいことが望ましく、LiCF3SO3、NaCF3
SO3、KCF3SO3などのトリフロロメタンスルホン
酸のアルカリ金属塩、LiN(CF3SO2)2、LiN(C
3CF2SO2)2などのパーフロロアルカンスルホン酸
イミドのアルカリ金属塩、LiPF6、NaPF6、KP
6などのヘキサフロロ燐酸のアルカ リ金属塩、LiC
lO4、NaClO4などの過塩素酸アルカリ金属塩、L
iBF4、NaBF4などのテトラフロロ硼酸塩、LiS
CN、LiAsF6、LiI、 NaI、NaAsF6
KI等のアルカリ金属塩などが例示される。アンモニウ
ム塩としては過塩素酸テトラエチルアンモニウムなどの
過塩素酸の四級アンモニウム塩、(C25)4NBF4など
のテトラフロロ硼酸の四級アンモニウム塩、(C25)4
NPF6などの四級アンモニウム塩、(CH3)4P・B
4、(C25)4P・BF4などの四級ホスホニウム塩な
どが例示される。これら電解質の中では、有機溶媒中で
の溶解性、イオン伝導度から、LiPF6、LiBF4
LiAsF 6、パーフロロアルカンスルホン酸イミドの
アルカリ金属塩や四級アンモニウム塩が好ましい。
【0060】本発明の高分子固体電解質中の高分子成分
と電解質塩の複合比は、高分子の重量に対し、電解質0.
1〜50質量%が好ましく、1〜30質量%が特に好ま
しい。複合に用いる電解質が50質量%以上の比率で存
在すると、イオンの移動が大きく阻害され、逆に0.1質
量%以下の比率では、イオンの絶対量が不足とな って
イオン伝導度が小さくなる。
【0061】(c)有機溶媒 本発明の高分子固体電解質中に有機溶媒が含有されてい
ると、高分子固体電解質のイオン伝導度がさらに向上す
るので好ましい。使用できる有機溶媒としては、本発明
の高分子固体電解質に用いる一般式(1)で表されるカ
ーボネート構造を有する高分子との相溶性が良好で、誘
電率が大きく、電解質塩(b)の溶解性が高く、沸点が6
0℃以上であり、電気化学的安定範囲が広い化合物が適
している。さらに、含有水分量が低い有機溶媒(非水有
機溶媒)がより好ましい。
【0062】そのような溶媒としては、1,2−ジメト
キシエタン、2−メチルテトラヒドロフラン、クラウン
エーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、テ
トラエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル
類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、
ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチル
エチルカーボネート、炭酸ビニレン等の炭酸エステル
類;プロピオン酸メチルや蟻酸メチル等の脂肪族エステ
ル類;ベンゾニトリル、トルニトリル等の芳香族ニトリ
ル類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルス
ルホキシド等のスルホキシド類;γ−ブチロラクトン等
のラクトン類;スルホラン等の硫黄化合物、N−メチル
ピロリドン、N−ビニルピロリドン、リン酸エステル類
等が挙げられる。この中で、炭酸エステル類、脂肪族エ
ステル類、エーテル類が好ましく、カーボネート類が特
に好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種類以
上混合した混合溶媒として用いても良い。
【0063】有機溶媒の添加量は多いほどその高分子固
体電解質のイオン伝導度が向上する。このため、一般的
にはその含有量を増やすことが望ましいが、反面、添加
量が過剰であると、硬化性や成膜性、高分子固体電解質
としての保液性や機械強度等が損なわれる。好ましい添
加量としては、本発明の高分子固体電解質に用いる高分
子質量の2倍から20倍量で、3倍から12倍量以下が
特に好ましい。
【0064】(d)無機酸化物 以上、本発明の高分子固体電解質の構成成分を列挙した
が、本発明の目的を損なわない限り、他の成分を添加す
ることも可能である。
【0065】例えば、各種無機酸化物微粒子を添加した
複合電解質としても使用でき、そうすることにより強
度、膜厚均一性が改善するばかりでなく、無機酸化物と
高分子間に微細な空孔が生じることになり、特に溶媒を
添加した場合には空孔内にフリーの電解液が複合電解質
内に分散することになり、強度改善効果を損ねることな
く、逆にイオン伝導度、移動度を増加させることもでき
る。
【0066】使用する無機酸化物微粒子としては非電子
伝導性、電気化学的に安定なものが選ばれる。またイオ
ン伝導性で有ればさらに好ましい。具体的にはα、β、
γ−アルミナ、シリカ、チタニア、マグネシア、ハイド
ロタルサイト等のイオン伝導性または非電導性セラミッ
クス微粒子が挙げられる。
【0067】高分子固体電解質中の電解質含有液の保有
量を多くし、イオン伝導性、移動度を増加させるという
目的では、無機酸化物微粒子の比表面積はできるだけ大
きいことが好ましく、BET法で5m2/g以上が好ま
しく、50m2/g以上がさらに好ましい。このような
無機酸化物微粒子の結晶粒子径としては重合性組成物と
混合できれば特に限定はないが、大きさ(平均結晶粒径)
としては0.01μm〜20μmが好ましく、0.01μm〜2
μmが特に好ましい。
【0068】また、形状としては球形、卵形、立方体
状、直方体状、円筒ないし棒状等の種々の形状のものを
用いることができる。
【0069】無機酸化物微粒子の添加量は多すぎると逆
に高分子固体電解質の強度やイオン伝導性を低下させた
り、成膜しづらくなるという問題を生じる。従って好ま
しい添加量としては、高分子固体電解質に対して50質
量%以下が好ましく、0.1から30質量%の範囲 が特に
好ましい。
【0070】[高分子固体電解質の製造方法]本発明の
高分子固体電解質は、前記重合性化合物の少なくとも一
種から得られる重合体、あるいは前記重合性化合物を共
重合成分とする共重合体を、例えばフィルム状に形成し
た後重合し、有機溶媒に溶解した電解質塩と接触させる
ことにより製造するか、または前記重合性化合物とその
他の成分とからなる重合性組成物を調製し、例えばフィ
ルム状に成型した後、重合することにより製造すること
ができる。
【0071】後者の方法を具体的に示せば、前記重合性
化合物の少なくとも一種とアルカリ金属塩、四級アンモ
ニウム塩、四級ホスホニウム塩または遷移金属塩のごと
き少なくとも一種の電解質塩とを混合し、所望により、
他の重合性化合物、可塑剤、有機溶媒及び/または無機
酸化物を添加混合した重合性組成物を調製した後、フィ
ルム状に成型して、前記開始剤の存在下あるいは非存在
下に、加熱及び/または活性光線照射等により重合さ
せ、本発明の高分子固体電解質を得る。この方法によれ
ば、加工面での自由度が広がり、応用上の大きなメリッ
トとなる。
【0072】重合性組成物の好ましい加熱硬化条件とし
ては、所望する成形温度、重合性化合物の種類や硬化
性、溶剤の沸点などに応じて熱重合開始剤を選択し、そ
の開始剤の活性酸素量が半分になる半減期に要する温度
(半減期温度)を参考に決めることが出来る。熱重合開
始剤の半減期と活性化エネルギーを目安に硬化温度と硬
化速度を決めれば良く、例えば10時間半減期に要する
温度で表せば、室温から100℃以下であり、特に40
℃以上70℃以下が好ましい。
【0073】活性光線照射により重合させる場合には、
重合性化合物の種類によるが、例えば、ベンジルメチル
ケタール、ベンゾフェノン等の開始剤を使用して、数m
W以上の紫外光または重合を阻害しない溶媒であればよ
く、例えばγ線、電子線等を照射して重合させることが
できる。
【0074】なお、本発明の高分子固体電解質は、例え
ば、各種多孔性高分子フィルムと複合して複合電解質と
して使用し、強度改善、膜厚均一性や電極間の短絡防止
を行うことも可能である。但し、使用する高分子の種
類、フィルム形状、複合割合によっては電解液吸液後の
セパレータとしてのイオン伝導度の低下や安定性の悪化
を招くので、適したものを選ぶ必要がある。使用するフ
ィルムとしてはポリプロピレン製不織布やポリエチレン
製ネットのような網状ポリオレフィンシート等の多孔性
ポリオレフィンシート、セルガード(商品名)等のポリ
オレフィン製マイクロポーラスフィルム、ナイロン不織
布、ガラス繊維、セラミックス繊維などが用いられ、多
孔性ポリオイレフィンフィルムが好ましい。
【0075】複合する多孔性高分子フィルムの空孔率と
しては10〜95%程度、厚みは1〜200μm程度あ
れば良いが、強度の許す限りできるだけ空孔率の大きい
ものが良く、好ましい空孔率は40〜95%の範囲であ
り、好ましい厚みは5〜50μmの範囲である。複合方
法に特に制限はないが、例えば、前記重合性化合物の少
なくとも一種、またはこれに少なくとも一種の電解質
塩、場合によっては、さらに他の成分を添加混合してな
る重合性組成物を多孔性高分子フィルムに含浸後に(メ
タ)アクリロイル系化合物を重合することにより、均一
に複合でき、膜厚の制御も簡便である。
【0076】本発明の高分子固体電解質の使用態様に関
しては、以下、電池及び電気二重層コンデンサ及びエレ
クトロクロミック素子に関連してより具体的に説明す
る。
【0077】[3]電池及びその製造方法 本発明の電池として、薄膜固体電池の一例の概略断面図
を図1に示す。図中、1は正極、2は多孔性セパレー
タ、3は負極、4は集電体、5は熱融着高分子フィル
ム、6は素子ケース、7は高分子固体電解質である。
【0078】本発明の電池の構成において、正極1に金
属酸化物、金属硫化物、導電性高分子あるいは炭素材料
のような高酸化還元電位の電極活物質(正極活物質)を
用いることにより、高電圧、高容量の電池が得られる。
このような電極活物質の中では、充填密度が高く体積容
量密度が高くなるという点で、酸化コバルト、酸化マン
ガン、酸化バナジウム、酸化ニッケル、酸化モリブデン
等の金属酸化物、硫化モリブデン、硫化チタン、硫化バ
ナジウム等の金属硫化物が好ましく、特に酸化マンガ
ン、酸化ニッケル、酸化コバルト等が高容量、高電圧と
いう点から好ましい。
【0079】この場合の金属酸化物や金属硫化物を製造
する方法は特に限定されず、例えば、「電気化学」第2
2巻,第574頁(1954年)に記載されているような、
一般的な電解法や加熱法によって製造される。また、こ
れらを電極活物質としてリチウム電池に使用する場合、
電池の製造時に、例えば、LixCoO2やLixMn2
4等の形でLi元素を金属酸化物あるいは金属硫化物
に挿入(複合)した状態で用いるのが好ましい。このよ
うにLi元素を挿入する方法は特に限定されず、例え
ば、電気化学的にLiイオンを挿入する方法や、米国特
許第4,357,215号に記載されているように、Li2CO3
等の塩と金属酸化物を混合、加熱処理することによって
実施できる。
【0080】また柔軟で、薄膜にしやすいという点で
は、導電性高分子が好ましい。導電性高分子の例として
は、ポリアニリン、ポリアセチレン及びその誘導体、ポ
リパラフェニレン及びその誘導体、ポリピロール及びそ
の誘導体、ポリチエニレン及びその誘導体、ポリピリジ
ンジイル及びその誘導体、ポリイソチアナフテニレン及
びその誘導体、ポリフリレン及びその誘導体、ポリセレ
ノフェン及びその誘導体、ポリパラフェニレンビニレ
ン、ポリチエニレンビニレン、ポリフリレンビニレン、
ポリナフテニレンビニレン、ポリセレノフェンビニレ
ン、ポリピリジンジイルビニレン等のポリアリーレンビ
ニレン及びそれらの誘導体等が挙げられる。中でも有機
溶媒に可溶性のアニリン誘導体の重合体が特に好まし
い。また、炭素材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛、気
相法黒鉛、石油コークス、石炭コークス、ピッチ系炭
素、ポリアセン、C60、C70等のフラーレン類等が
挙げられる。
【0081】本発明の電池の負極3に用いる負極活物質
としては、前述のアルカリ金属、アルカリ金属合金、炭
素材料、金属酸化物や金属カルコゲナイドのようなアル
カリ金属イオンをキャリアーとする低酸化還元電位のも
のを用いることにより、高電圧、高容量の電池が得られ
るので好ましい。このような負極活物質の中では、リチ
ウム金属あるいはリチウム/アルミニウム金属、リチウ
ム/鉛合金、リチウム/アンチモン合金等のリチウム合
金類が最も低酸化還元電位であるため特に好ましい。ま
た炭素材料もリチウムイオンを吸蔵した場合、低酸化還
元電位となり、しかも安定、安全であるという点で特に
好ましい。リチウムイオンを吸蔵放出できる材料として
は、酸化錫のような無機化合物、天然黒鉛、人造黒鉛、
気相法黒鉛、石油コークス、石炭コークス、ピッチ系炭
素、ポリアセン、C60、C70等のフラーレン類等が
挙げられる。
【0082】集電体4は電子伝導性で電気化学的に耐食
性があり、できるだけ比表面積の大きい材料を用いるこ
とが好ましい。例えば、各種金属及びその燒結体、電子
伝導性高分子、カーボンシート等を挙げることができ
る。
【0083】本発明の電池の製造方法の一例について説
明する。集電体上に成型した正極シート1、負極シート
3を多孔性セパレータ2を介してお互いに接触しないよ
うにアルミラミネート製素子ケース6内に入れる。次に
本発明の高分子固体電解質となりうる熱重合開始剤を添
加した重合性組成物を注入含浸させる。その後、開口部
を熱融着高分子フィルム5を介して封口した後、電池内
の重合性組成物を過熱により硬化させ、正極1、負極
3、セパレータ2、高分子固体電解質7が均一に密着し
た図1に示すような薄型固体電池が得られる。なお、前
記素子ケースはアルミラミネートに限らず、SUS等の
金属、ポリプロピレン等の樹脂、絶縁性ガラス等のセラ
ミックス等目的にあったものを用い特に限定されるもの
でもなく、また、その形状は、筒状、箱状、シート状そ
の他いかなる形状でもよい。
【0084】本発明の高分子固体電解質を含む電池は前
記重合性組成物を正極1及び/または負極3に含浸硬化
させ、さらにどちらか一方の電極上に前記重合性組成物
を均一な厚みとなるように塗布後、前述した方法で硬化
することにより、高分子固体電解質膜7を電極上形成す
る方法を採ってもよい。ついでもう一方の電極を高分子
固体電解質膜層に張り合わせ、アルミラミネート製素子
ケース6内に入れる。次に開口部を熱融着高分子フィル
ム5を介して封口し、図1に示すような薄型固体電池が
得られる。この場合、電極上に形成した高分子固体電解
質膜の機械的強度が問題なければ、多孔性セパレータは
必要ではない。
【0085】[4]電気二重層コンデンサ及びその製造
方法 次に本発明の電気二重層コンデンサについて説明する。
本発明によれば、本発明の前記高分子固体電解質を用い
ることにより、出力電圧が高く、取り出し電流が大き
く、あるいは加工性、寿命、信頼性に優れた電気二重層
コンデンサが提供される。
【0086】本発明の電気二重層コンデンサの一例の概
略断面図を図2に示す。この例は、大きさ約1cm×1
cm、厚み約0.5mmの薄型セルで、11は集電体であ
り、集電体の内側には一対の分極性電極8,10が配置
されており、その間に本発明の高分子固体電解質膜14
が複合された多孔性セパレータ9が配置されている。1
3は素子ケース、12は熱融着高分子フィルムである。
【0087】分極性電極8,10は、炭素材料等の分極
性材料からなる電極であれば良く、比表面積が大きけれ
ば特に制限はない。比表面積の大きいほど電気二重層の
容量が大きくなり好ましい。例えば、ファーネスブラッ
ク、サーマルブラック(アセチレンブラックを含む)、
チャンネルブラック等のカーボンブラック類や、椰子が
ら炭等の活性炭、天然黒鉛、人造黒鉛、気相法で製造し
たいわゆる熱分解黒鉛、ポリアセン及びC60、C70
を挙げることができる。
【0088】集電体11は電子伝導性で電気化学的に耐
食性があり、できるだけ比表面積の大きい材料を用いる
ことが好ましい。例えば、各種金属及びその燒結体、電
子伝導性高分子、カーボンシート等を挙げることができ
る。
【0089】電気二重層コンデンサの形状としては、図
2のようなシート型のほかに、コイン型、あるいは分極
性電極、高分子固体電解質のシート状積層体を円筒状に
捲回し、円筒管状のコンデンサ構成用構造体に入れ、封
止して製造された円筒型等であっても良い。
【0090】本発明の電気二重層コンデンサに用いる電
解質の種類は特に限定されるものではなく、電荷キャリ
アーとしたいイオンを含んだ化合物を用いればよいが、
高分子固体電解質中での解離定数が大きく、分極性電極
と電気二重層を形成しやすいイオンを含むことが望まし
い。このような化合物としては、(CH3)4NBF4、(C
3CH2)4NClO4等の四級アンモニウム塩、AgC
lO4等の遷移金属塩、(CH3)4PBF4等の四級ホスホ
ニウム塩、LiCF3SO3、LiPF6、LiClO4
LiI、LiBF4、LiSCN、LiAsF6、Li
(CF3SO2)2、NaCF3SO3、NaPF6、NaCl
4、NaI、NaBF4、NaAsF6、KCF3
3、KPF6、KI等のアルカリ金属塩、パラトルエン
スルホン酸等の有機酸及びその塩、塩酸、硫酸等の無機
酸等が挙げられる。この中で、出力電圧が高く取れ、解
離定数が大きいという点から、四級アンモニウム塩、四
級ホスホニウム塩、アルカリ金属塩が好ましい。四級ア
ンモニウム塩の中では、(CH3CH2)(CH3CH2CH2
CH2)3NBF4のような、アンモニウムイオンの窒素上
の置換基が異なっているものが、高分子固体電解質への
溶解性あるいは解離定数が大きいという点から好まし
い。
【0091】次に本発明の電気二重層コンデンサの製造
方法の一例について説明する。2個の集電体11上に塗
布成型した分極性電極シート8,10を多孔性セパレー
タ9を介してお互いに接触しないように、アルミラミネ
ート製素子ケース13内に入れる。次に本発明の高分子
固体電解質となりうる熱重合開始剤を添加した重合性組
成物を注入含浸させる。その後、開口部を熱融着高分子
フィルム12を介して封口した後、電池内の重合性組成
物を加熱により硬化させ、分極性電極8,10、多孔性
セパレータ9、高分子固体電解質14が均一に密着した
図2に示すような薄型固体電気二重層コンデンサが得ら
れる。なお、前記素子ケースはアルミラミネートに限ら
ず、SUS等の金属、ポリプロピレン等の樹脂、絶縁性
ガラス等のセラミックス等目的にあったものを用い特に
限定されるものではない。
【0092】[5]エレクトロクロミック素子(EC
D)及びその製造方法 本発明のECDの一例として、面積1.5×1.5cm
の薄膜固体ECDの断面図を図3に示す。図中15は透
明電導性電極で、その上にエレクトロクロミック(E
C)層16が成膜されており、さらにその上に高分子固
体電解質膜17が配置されている。18は対向電極であ
り、19は絶縁性フィルムスペーサ、20は絶縁性樹脂
封口剤、21はリード線である。
【0093】本発明のECDの構成において、EC層1
6としては、酸化還元による色変化が可逆的に行われる
ものであればよく、代表例としては、酸化タングステン
等の金属酸化物、金属硫化物、ビオロゲン誘導体及びそ
のポリマー、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフ
ェン、ポリイソチアナフテン等の導電性高分子等が挙げ
られる。
【0094】透明電導性電極15は電子伝導性が高く、
かつ電気化学的に耐食性があり、できれば柔軟性のある
ものが好ましく、金等の金属、酸化インジウム等の電導
性酸化物、導電性高分子をポリカーボネートやポリメタ
クリレート、ポリエチレンテレフタレート等の透明性高
分子またはガラス板上に薄膜化もしくは複合したものが
用いられる。
【0095】対抗電極としては、EC層のイオンの動き
に伴い、イオンを可逆的に出し入れできるもので、EC
層の色変化が明瞭となるように淡色のものが好ましい。
そのような材料は、EC層との組合せもあり特に限定さ
れないが、例えば金属酸化物、金属硫化物等のインター
カレーション化合物、導電性高分子、水素吸蔵合金、ア
ルカリ金属及びその合金等である。
【0096】次に本発明のECDの製造例について説明
する。EC層16と対向電極18が接触しないように電
極端部に設置したできるだけ薄い絶縁性フィルムスペー
サ19を介して貼り合わせる。次に本発明の高分子固体
電解質となりうる熱重合開始剤を添加した重合性組成物
を電極間に注入含浸させる。その後、開口部を絶縁性樹
脂封口剤20で封口した後、ECD内の重合性組成物を
加熱により硬化させ、EC層16、高分子固体電解質1
7、対向電極18が均一に密着した図3に示すような固
体ECDが得られる。
【0097】粘度の測定法は、JIS K7117に記
載されている方法に準拠して回転粘度計により求めるこ
とができ、回転粘度計は回転速度を変えることで、幾通
りものずり速度で測定する事ができる。また、回転数を
一定にして長時間の連続測定を行い、粘度の経時変化を
追跡できる。測定には装置として、トキメック製B型粘
度計を用い、JIS Z 8809に基づき、粘度計校
正用標準液で校正して使用した。測定はアルゴン雰囲気
中で25℃で行った。
【0098】
【実施例】以下に本発明について代表的な例を示しさら
に具体的に説明する。なお、これらは説明のための単な
る例示であって、本発明はこれらに何等制限されるもの
ではない。
【0099】実施例1:重合性化合物(化合物2)の合
成 下記の反応式にしたがい、カーボネートジオール(日本
ポリウレタン製、重量平均分子量500):化合物1と
イソシアネート基を有するメタクリレート:MI(昭和
電工製)とを反応させ、以下の手順により、重合性化合
物(化合物2)を得た。
【0100】
【化19】
【0101】すなわち、脱水した化合物1(重量平均分
子量500、水酸基価224KOHmg/g、含水量30pp
m)50.0g及びMI32.0gを乾燥空気中で、0.1gのジ
ブチルチンジラウレートを添加し、50℃で約5時間反
応させることにより、無色の粘稠液体を得た。1H−N
MR、13C−NMRから化合物1とMIが1対2で反応
し、赤外吸収スペクトルから化合物1のイソシアナート
基の吸収が消失しウレタン結合が生成し、化合物2が生
成していることがわかった。GPC分析(gel permeat
ion chromatography)により求めた、化合物2の重量
平均分子量は800であり、25℃の粘度は7000mP
a・sであった。
【0102】実施例2:重合性化合物(化合物3)の合
成 下記の反応式にしたがい、化合物1と市販のメタクリル
酸:MAと反応させ、以下の手順により、重合性化合物
(化合物3)を得た。
【0103】
【化20】
【0104】すなわち、化合物1、50.0g及びMA、2
0.0gをベンゼン中で2.2gのp-トルエンスルホン酸(PT
S)を添加し、90℃で約10時間反応させた。その後、
NaOH水溶液で中和後、水洗、脱水することにより、
無色の粘稠液体を得た。1H−NMR、13C−NMRか
ら化合物1とMAが1対2で反応し化合物3が生成して
いることがわかった。GPC分析により求めた、この化
合物の重量平均分子量は650であり、25℃の粘度は
230mPa・sであった。
【0105】実施例3:重合性化合物混合物(化合物5
と化合物6の混合物)の合成 下記の反応式にしたがい、化合物1と化合物4の混合物
(モル比1:1)と市販のアクリル酸:AAと反応さ
せ、以下の手順により、重合性化合物(化合物5と化合
物6の混合物)を得た。
【0106】すなわち、化合物1と化合物4の1:1モ
ル混合物(重量平均分子量500、水酸基価180KOHm
g/g)50.0g及びAA、12.0g をベンゼン中で1.5gのP
TSを添加し、90℃で約10時間反応させた。その後、
NaOH水溶液で中和後、水洗、脱水することにより、
無色の粘稠液体を得た。1H−NMR、13C−NMRか
ら化合物1と化合物4とAAが1:1:3で反応し化合
物5と化合物6の混合物が生成していることがわかっ
た。GPC分析により求めた、この化合物の重量平均分
子量は600であり、25℃の粘度は70mPa・sであっ
た。
【0107】
【化21】
【0108】実施例4:重合性化合物混合物(化合物2
と化合物7の混合物)の合成 下記の反応式にしたがい、化合物1と化合物4の混合物
(モル比1:1)とMI(昭和電工製)とを反応させ、
以下の手順により、重合性化合物(化合物2と化合物7
の混合物)を得た。
【0109】すなわち、脱水した化合物1と化合物4の
1:1モル混合物50.0g及びMI、25.0gを乾燥空気中
で、0.08gのジブチルチンジラウレートを添加し、50
℃で約5時間反応させることにより、無色の粘稠液体を
得た。1H−NMR、13C−NMRから化合物1と化合
物4とMIが1:1:3で反応し化合物2と化合物7の
混合物が生成していることがわかった。GPC分析によ
り求めた、この化合物の重量平均分子量は700であ
り、25℃の粘度は360mPa・sであった。
【0110】
【化22】
【0111】実施例5:重合性組成物Aの調製 実施例1で合成した化合物2:1.0gとジエチルカーボ
ネート(DEC):7.0g、エチレンカーボネート(E
C):2.0g、LiPF6:1.0g及び重合抑制剤2,4
−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(商品名ノフ
マーMSD;日本油脂(株)製):40mg、熱重合開始
剤としてt−ヘキシルパーオキシピバレート(商品名パ
ーヘキシルPV;日本油脂(株)製)50mgをアルゴン
雰囲気中でよく混合し、高分子固体電解質用重合性組成
物Aを得た。この組成物の初期粘度は5.8mPa・s(25℃)で
あった。この重合性組成物1gをアルゴン雰囲気下60
℃で60分加熱したところ硬化し、化合物2が重合した
高分子固体電解質が得られた。この硬化物の赤外スペク
トルでの残存二重結合は検出限界で、イオン伝導度は4.
7mS/cm(25℃)であった。
【0112】また、この重合性組成物1gを調製後、ア
ルゴン雰囲気下、25℃で放置したところ、15時間後
に粘性が急に上昇し、組成物全体の流動性がなくなり固
化した。
【0113】実施例6:重合性組成物Bの調製 化合物2:1.0gの代わりに実施例2で合成した化合物
3:1.0gを用い、重合抑制剤ノフマーMSD(日本油
脂(株)製):40mgを10mgに代えた以外は、実施例
5と同様の方法で高分子固体電解質用重合性組成物Bを
得た。この組成物の初期粘度は4.7mPa・s(25℃)であっ
た。この重合性組成物1gをアルゴン雰囲気下80℃で
60分加熱したところ硬化し、化合物3が重合した高分
子固体電解質が得られた。この硬化物の赤外スペクトル
での残存二重結合は検出限界で、イオン伝導度は3.8mS/
cm(25℃)であった。
【0114】また、この重合性組成物1gを調製後、ア
ルゴン雰囲気下、25℃で放置したところ、25時間後
に粘性が急に上昇し、組成物全体の流動性がなくなり固
化した。
【0115】実施例7:重合性組成物Cの調製 化合物2:1.0gの代わりに実施例3で合成した化合物
5と化合物6の混合物:1.0gを用い、重合抑制剤ノフ
マーMSD(日本油脂(株)製):40mgを10mgに代
えた以外は、実施例5と同様の方法で高分子固体電解質
用重合性組成物Cを得た。この組成物の初期粘度は4.2m
Pa・s(25℃)であった。この重合性組成物1gをアルゴン
雰囲気下80℃で60分加熱したところ硬化し、化合物
5と化合物6が共重合した高分子固体電解質が得られ
た。この硬化物の赤外スペクトルでの残存二重結合は検
出限界で、イオン伝導度は4.0mS/cm(25℃)であった。
【0116】また、この重合性組成物1gを調製後、ア
ルゴン雰囲気下、25℃で放置したところ、30時間後
に粘性が急に上昇し、組成物全体の流動性がなくなり固
化した。
【0117】実施例8:重合性組成物Dの調製 化合物2:1.0gの代わりに実施例4で合成した化合物
2と化合物7の混合物:1.0gを用いた以外は、実施例
5と同様の方法で高分子固体電解質用重合性組成物Dを
得た。この組成物の初期粘度は4.8mPa・s(25℃)であっ
た。この重合性組成物1gをアルゴン雰囲気下60℃で
60分加熱したところ硬化し、化合物2と化合物7が共
重合した高分子固体電解質が得られた。この硬化物の赤
外スペクトルでの残存二重結合は検出限界で、イオン伝
導度は4.8mS/cm(25℃)であった。
【0118】また、この重合性組成物1gを調製後、ア
ルゴン雰囲気下、25℃で放置したところ、15時間後
に粘性が急に上昇し、組成物全体の流動性がなくなり固
化した。
【0119】実施例9:重合性化合物(化合物8)の合
成 下記の反応式にしたがい、カーボネートジオール(日本
ポリウレタン製、重量平均分子量500):化合物8と
MI(昭和電工製)とを反応させ、以下の手順により、
重合性化合物(化合物9)を得た。
【0120】
【化23】
【0121】すなわち、脱水した化合物8(重量平均分
子量500、水酸基価224KOHmg/g、含水量30pp
m)50.0g及びMI、32.0gを乾燥空気中で、0.1gの
ジブチルチンジラウレートを添加し、50℃で約5時間
反応させることにより、無色の粘稠液体を得た。1H−
NMR、13C−NMRから化合物8とMIが1対2で反
応し、赤外吸収スペクトルから化合物8のイソシアナー
ト基の吸収が消失しウレタン結合が生成し、化合物9が
生成していることがわかった。GPC分析により求め
た、化合物2の重量平均分子量は800であり、25℃
の粘度は3000mPa・sであった。
【0122】実施例10:重合性化合物(化合物10)
の合成 下記の反応式にしたがい、化合物8と市販のAAと反応
させ、以下の手順により、重合性化合物(化合物10)
を得た。
【0123】
【化24】
【0124】すなわち、化合物8、50.0g及びAA、1
7.0gをベンゼン中で2.2gのPTSを添加し、90℃で約
10時間反応させた。その後、クロロホルムで抽出、脱
水することにより、無色の粘稠液体を得た。1H−NM
R、13C−NMRから化合物8とAAが1対2で反応し
化合物10が生成していることがわかった。GPC分析
により求めた、この化合物の重量平均分子量は650で
あり、25℃の粘度は150mPa・sであった。
【0125】実施例11:重合性組成物Eの調製 化合物2:1.0gの代わりに実施例9で合成した化合物
9:1.0gを用いた以外は、実施例5と同様の方法で高
分子固体電解質用重合性組成物Eを得た。この組成物の
初期粘度は5.1mPa・s(25℃)であった。この重合性組成物
1gをアルゴン雰囲気下60℃で60分加熱したところ
硬化し、化合物9が重合した高分子固体電解質が得られ
た。この硬化物の赤外スペクトルでの残存二重結合は検
出限界で、イオン伝導度は3.8mS/cm(25℃)であった。ま
た、この重合性組成物1gを調製後、アルゴン雰囲気
下、25℃で放置したところ、25時間後に粘性が急に
上昇し、組成物全体の流動性がなくなり固化した。
【0126】実施例12:重合性組成物Fの調製 化合物2:1.0gの代わりに実施例10で合成した化合
物10:1.0gを用い、重合抑制剤ノフマーMSD(日
本油脂(株)製):40mgを5mgに代えた以外は、実
施例5と同様の方法で高分子固体電解質用重合性組成物
Fを得た。この組成物の初期粘度は4.4mPa・s(25℃)であ
った。この重合性組成物1gをアルゴン雰囲気下80℃
で60分加熱したところ硬化し、化合物10が重合した
高分子固体電解質が得られた。この硬化物の赤外スペク
トルでの残存二重結合は検出限界で、イオン伝導度は3.
7mS/cm(25℃)であった。また、この重合性組成物1gを
調製後、アルゴン雰囲気下、25℃で放置したところ、
30時間後に粘性が急に上昇し、組成物全体の流動性が
なくなり固化した。
【0127】比較例1:重合性化合物(化合物12)の
合成 下記の反応式にしたがい、カーボネートジオール(日本
ポリウレタン製、重量平均分子量500):化合物11
とMI(昭和電工製)とを反応させ、以下の手順によ
り、重合性化合物(化合物12)を得た。
【0128】
【化25】
【0129】すなわち、脱水した化合物11(重量平均
分子量500、水酸基価224KOHmg/g、含水量30p
pm)50.0g及びMI、32.0gを乾燥空気中で、0.1g
のジブチルチンジラウレートを添加し、50℃で約5時
間反応させることにより、無色の固体を得た。1H−N
MR、13C−NMRから化合物11とMIが1対2で反
応し、赤外吸収スペクトルから化合物11のイソシアナ
ート基の吸収が消失しウレタン結合が生成し、化合物1
2が生成していることがわかった。GPC分析により求
めた、化合物12の重量平均分子量は800であり、2
5℃では固体であり、45℃では液体化しその粘度20
00mPa・sであった。
【0130】比較例2:重合性化合物(化合物13)の
合成 下記の反応式にしたがい、化合物11と市販のアクリル
酸:AAと反応させ、以下の手順により、重合性化合物
(化合物13)を得た。
【0131】
【化26】
【0132】すなわち、化合物11、50.0g及びAA、
17.0gをベンゼン中で2.2gのPTSを添加し、90℃で約
10時間反応させた。その後、NaOH水溶液で水洗、
脱水することにより、無色の固体を得た。1H−NM
R、13C−NMRから化合物1とAAが1対2で反応し
化合物13が生成していることがわかった。GPC分析
により求めた、この化合物の重量平均分子量は650で
あり、25℃では固体、45℃では液体化し、その粘度
は220mPa・sであった。
【0133】比較例3:重合性化合物(化合物15)の
合成 下記の反応式にしたがい、カーボネートジオール(日本
ポリウレタン製、重量平均分子量2000):化合物1
4とMI(昭和電工製)とを反応させ、以下の手順によ
り、重合性化合物(化合物15)を得た。
【0134】すなわち、脱水した化合物14(重量平均
分子量2000、水酸基価56KOHmg/g、含水量30p
pm)50.0g及びMI、8.0gを乾燥空気中で、0.02g
のジブチルチンジラウレートを添加し、50℃で約5時
間反応させることにより、無色の粘稠液体を得た。1
−NMR、13C−NMRから化合物14とMIが1対2
で反応し、赤外吸収スペクトルから化合物14のイソシ
アナート基の吸収が消失しウレタン結合が生成し、化合
物15が生成していることがわかった。GPC分析によ
り求めた、化合物2の重量平均分子量は2300であ
り、25℃の粘度は100000mPa・sであった。
【0135】
【化27】
【0136】比較例4:重合性化合物(化合物16)の
合成 下記の反応式にしたがい、化合物14と市販のAAと反
応させ、以下の手順により、重合性化合物(化合物1
6)を得た。
【0137】
【化28】
【0138】すなわち、化合物14、50.0g及びAA、
4.0gをベンゼン中で0.5gのPTSを添加し、90℃で約
5時間反応させた。その後、クロロホルムで抽出、脱水
することにより、無色の粘稠液体を得た。1H−NM
R、13C−NMRから化合物14とAAが1対2で反応
し化合物16が生成していることがわかった。GPC分
析により求めた、この化合物の重量平均分子量は210
0であり、25℃の粘度は2000mPa・sであった。
【0139】比較例5:重合性組成物Gの調製 化合物2:1.0gの代わりに比較例1で合成した化合物
12:1.0gを用いた以外は、実施例5と同様の方法で
高分子固体電解質用重合性組成物Gを得た。この組成物
の初期粘度は6.7mPa・s(25℃)であった。この重合性組成
物1gをアルゴン雰囲気下60℃で60分加熱したとこ
ろ硬化し、化合物12が重合した高分子固体電解質が得
られた。この硬化物の赤外スペクトルでの残存二重結合
は検出限界で、イオン伝導度4.2mS/cm(25℃)であった。
また、この重合性組成物1gを調製後、アルゴン雰囲気
下、25℃で放置したところ、12時間後に粘性が急に
上昇し、組成物全体の流動性がなくなり固化した。
【0140】比較例6:重合性組成物Hの調製 化合物2:1.0gの代わりに比較例2で合成した化合物
13:1.0gを用い、重合抑制剤ノフマーMSD(日本
油脂(株)製):40mgを5mgに代えた以外は、実施
例5と同様の方法で高分子固体電解質用重合性組成物H
を得た。この組成物の初期粘度は4.4mPa・s(25℃)であっ
た。この重合性組成物1gをアルゴン雰囲気下80℃で
60分加熱したところ硬化し、化合物13が重合した高
分子固体電解質が得られた。この硬化物の赤外スペクト
ルでの残存二重結合は検出限界で、イオン伝導度は3.4m
S/cm(25℃)であった。また、この重合性組成物1gを調
製後、アルゴン雰囲気下、25℃で放置したところ、3
0時間後に粘性が急に上昇し、組成物全体の流動性がな
くなり固化した。
【0141】比較例7:重合性組成物Iの調製 化合物2:1.0gの代わりに比較例3で合成した化合物
15:1.0gを用いた以外は、実施例5と同様の方法で
高分子固体電解質用重合性組成物Iを得た。この組成物
の初期粘度は7.8mPa・s(25℃)であった。この重合性組成
物1gをアルゴン雰囲気下60℃で60分加熱したとこ
ろ硬化し、化合物15が重合した高分子固体電解質が得
られた。この硬化物の赤外スペクトルでの残存二重結合
は検出限界で、イオン伝導度4.3mS/cm(25℃)であった。
また、この重合性組成物1gを調製後、アルゴン雰囲気
下、25℃で放置したところ、30時間後に粘性が急に
上昇し、組成物全体の流動性がなくなり固化した。
【0142】比較例8:重合性組成物Jの調製 化合物2:1.0gの代わりに比較例4で合成した化合物
16:1.0gを用い、重合抑制剤ノフマーMSD(日本
油脂(株)製):40mgを5mgに代えた以外は、実施
例5と同様の方法で高分子固体電解質用重合性組成物J
を得た。この組成物の初期粘度は5.7mPa・s(25℃)であっ
た。この重合性組成物1gをアルゴン雰囲気下80℃で
60分加熱したところ硬化し、化合物16が重合した高
分子固体電解質が得られた。この硬化物の赤外スペクト
ルでの残存二重結合は検出限界で、イオン伝導度は3.2m
S/cm(25℃)であった。また、この重合性組成物1gを調
製後、アルゴン雰囲気下、25℃で放置したところ、3
0時間後に粘性が急に上昇し、組成物全体の流動性がな
くなり固化した。
【0143】実施例13:コバルト酸リチウム正極の製
造 11gのLi2CO3と24gのCo34を良く混合し、
酸素雰囲気下、800℃で24時間加熱後、粉砕するこ
とによりLiCoO2粉末を得た。このLiCoO2粉末
とアセチレンブラック、ポリフッ化ビニリデンを重量比
8:1:1で混合し、さらに過剰のN−メチルピロリド
ン溶液を加え、ゲル状組成物を得た。この組成物を約5
0μmのアルミ箔上に、約75μmの厚さになるように
塗布加圧成形し、コバルト酸リチウム正極シートを得
た。このシートを36mm角に切断し、電池用の正極と
した。
【0144】実施例14:黒鉛負極の製造 大阪ガス(株)製MCMB黒鉛、昭和電工(株)製気相
法黒鉛繊維(平均繊維径:0.3μm,平均繊維長:2.0μ
m,2,700℃熱処理品)、ポリフッ化ビニリデンの重量
比8.6:0.4:1.0の混合物に過剰のN−メチルピロリド
ン溶液を加え、ゲル状組成物を得た。この組成物を約5
0μmの銅箔上に約85μmの厚さに塗布加圧成形し、
黒鉛負極シートを得た。このシートを40mm角に切断
し、電池用の負極とした。
【0145】実施例15:固体状Liイオン二次電池の
製造 アルゴン雰囲気グローブボックス内で、実施例14で製
造したと同様のシート状の黒鉛負極及び実施例13で製
造したと同様のシート状のコバルト酸リチウム正極及び
42mm角のポリオレフィンマイクロポーラスフィルムを
実施例5で調製した重合性組成物A中に室温で6時間静
置し含浸させた後、この正極と負極を、マイクロポーラ
スフィルムを介在させて貼り合わせた。この際、マイク
ロポーラスフィルムが正負極のエッジ(4辺)からそれ
ぞれ若干はみ出すよう貼り合わせた。ついで、これをP
P/Al/PET三層ラミネートで作製した袋(外装
体)に入れ、両面から1.1mm厚のガラス板を用いて加
圧しながら熱融着で封口後、60℃120分加熱するこ
とにより重合性組成物を硬化し、電極及びセパレータ内
に高分子固体電解質が複合された固体状電池を得た。
【0146】この電池を、25℃及び−20℃で、作動
電圧2.75〜4.2V、電流7mAで充放電したところ、最
大放電容量は32.5mAh、18.8mAhであっ
た。その際の充放電クーロン効率はほぼ100%であっ
た。また、25℃で作動電圧2.75〜4.2V、充 電7m
A、放電35mAで充放電を繰り返したところ、最大放
電容量は30.5mAhで、300サイクルを越えても
容量の極端な低下は見られず初期容量の70%以上であ
った。
【0147】実施例16〜20:固体状Liイオン二次
電池の製造 実施例15で用いた重合性組成物Aの代わりに実施例
6,7,8,11,12で調製した重合性組成物B,
C,D,E,Fを用いた以外は実施例15と同様にして
電極及びセパレータ内に高分子固体電解質が複合された
固体状電池を得た。但し、重合性組成物の正極、負極、
セパレータへの含浸時間は各粘度にあわせて含浸可能な
時間を選んだ。これら電池を、25℃及び−20℃で、
作動電圧2.75〜4.2V、電流7mAで充放電したとこ
ろ、最大放電容量、充放電クーロン効率は表1のごとく
なった。また、25℃で作動電圧2.75〜4.2V、充 電7
mA、放電35mAで充放電を繰り返した場合の最大放
電容量、300サイクル時の容量維持率(初期容量に対
する割合)は表1のごとくなった。
【0148】比較例9〜12:固体状Liイオン二次電
池の製造 実施例15で用いた重合性組成物Aの代わりに比較例
5,6,7,8で調製した重合性組成物G,H,I,J
を用いた以外は実施例15と同様にして各重合性組成物
が硬化し、電極及びセパレータ内に高分子固体電解質が
複合された固体状電池を得た。但し、重合性組成物の正
極、負極、セパレータへの含浸時間は各粘度にあわせて
含浸可能な時間を選んだ。これら電池を、25℃及び−
20℃で、作動電圧2.75〜4.2V、電流7mAで充放電
したところ、最大放電容量は表2のごとくなった。ま
た、25℃で作動電圧2.75〜4.2V、充 電7mA、放電
35mAで充放電を繰り返した場合のろ、最大放電容
量、300サイクル時の容量維持率(初期容量に対する
割合)は表2のごとくなった。
【0149】
【表1】
【0150】
【表2】
【0151】実施例21:重合性組成物Kの調製 実施例3で合成した化合物5と化合物6の混合物(モル
比1:1):1.0gとプロピレンカーボネート(P
C):9.0g、トリエチルメチルアンモニウムテトラフ
ルオロボレート(TEMABF4):2.0g及び重合抑制
剤ノフマーMSD(日本油脂(株)製):20mg、熱重
合開始剤パーヘキシルPV(日本油脂(株)製)50mg
をアルゴン雰囲気中でよく混合し、高分子固体電解質用
重合性組成物Kを得た。この組成物の初期粘度は6.3mPa
・s(25℃)であった。この重合性組成物1gをアルゴン雰
囲気下80℃で60分加熱したところ硬化し、化合物5
と6が共重合した高分子固体電解質が得られた。この硬
化物の赤外スペクトルでの残存二重結合は検出限界で、
イオン伝導度は14.1mS/cm(25℃)であった。また、この
重合性組成物1gを調製後、アルゴン雰囲気下、25℃
で放置したところ、20時間後に粘性が急に上昇し、組
成物全体の流動性がなくなり固化した。
【0152】実施例22:活性炭電極の製造 フェノール樹脂焼成品の水蒸気賦活活性炭(比表面積2
230m2/g、平均粒径7μm、細孔容積0.7ml
/g)、昭和電工(株)製気相法黒鉛繊維(平均繊維
径:0.3μm,平均繊維長:2.0μm,2,700℃熱処理
品)、ポリフッ化ビニリデンの重量比8.6:0.4:1.0の
混合物に過剰のN−メチルピロリドン溶液を加え、 ゲ
ル状組成物を得た。この組成物を約25μmのアルミ箔
上に約150μmの厚さに塗布加圧成形し、活性炭電極
シートを得た。このシートを40mm角に切断し、10
0℃で10時間真空乾燥し、電気二重層コンデンサ用活
性炭電極(230.0mg)を得た。
【0153】実施例23:固体状電気二重層コンデンサ
の製造 アルゴン雰囲気グローブボックス内で、実施例22で製
造した活性炭電極(230.0mg、40mm角)2
枚、テフロン(登録商標)製マイクロポーラスフィルム
セパレータ(42mm角、25μm、三井フロロケミカ
ル製)を実施例21で調製した重合性組成物K中に室温
で8時間静置し含浸させた後、この2枚の電極を、マイ
クロポーラスフィルムセパレータを介在させて貼り合わ
せた。この際、マイクロポーラスフィルムが2枚の電極
のエッジ(4辺)からそれぞれ若干はみ出すよう貼り合
わせた。ついで、これをPP/Al/PET三層ラミネ
ートで作製した袋(外装体)に入れ、両面から1.1mm
厚のガラス板を用いて加圧しながら熱融着で封口後、6
0℃120分加熱することにより重合性組成物を硬化
し、電極及びセパレータ内に高分子固体電解質が複合さ
れた固体状電気二重層コンデンサを得た。このコンデン
サを、25℃、−20℃で作動電圧0〜2.5V、電流
7mAで充放電を行なったところ、最大容量はそれぞれ
9.1F、6.6Fであった。また、25℃、14mA
で充放電を行ったところ、最大容量は8.9Fで、その
後100回充放電を繰り返してもほとんど容量に変化は
なかった。
【0154】実施例24:重合性組成物Lの調製 実施例3で合成した化合物5と化合物6の混合物(モル
比1:1):1.0gとプロピレンカーボネート(P
C):9.0g、LiBF4:1.0g及び重合抑制剤ノフマ
ーMSD(日本油脂(株)製):5mg、熱重合開始剤
パーヘキシルPV(日本油脂(株)製)50mgをアルゴ
ン雰囲気中でよく混合し、高分子固体電解質用重合性組
成物Lを得た。この組成物の初期粘度は4.5mPa・s(25℃)
であった。この重合性組成物1gをアルゴン雰囲気下8
0℃で60分加熱したところ硬化し、化合物5と6が共
重合した高分子固体電解質が得られた。この硬化物の赤
外スペクトルでの残存二重結合は検出限界で、イオン伝
導度は5.0mS/cm(25℃)であった。また、この重合性組成
物1gを調製後、アルゴン雰囲気下、25℃で放置した
ところ、25時間後に粘性が急に上昇し、組成物全体の
流動性がなくなり固化した。
【0155】実施例25:WO3製EC電極の作製 松崎真空(株)製のITOガラスを1.2×1.2cm
に切断したものの端部を被覆し、ITO露出部が1×1
cmになった電極上に、タンタルをボート材として抵抗
加熱法、10-5〜10-6Torr(1.33×10-3〜1.33×10
-4Pa)でWO3の真空蒸着を行い、WO3電極を得た。
得られたWO3膜の厚みは約1000Å(1×10
-7m)、密度は約5g/cm3であった。
【0156】実施例26:ポリアニリン(PAn)製E
C電極の作製 松崎真空(株)製のITOガラスを1.2×1.2cm
に切断した電極上に、0.5Mアニリンを含む1M塩酸
水溶液を電解液として、2×2cmのITOガラスを対
極として、−0.2〜0.8V vs.SCEの範囲で、
走査速度0.2V/秒で電位走査を繰り返すことによ
り、約5000Åの緑色のドープ状態の電解重合PAn
膜を作製した。次にアンモニア水と蒸留水で充分に洗浄
後、ヒドラジンで還元し、100℃で約3時間真空乾燥
することにより、白色の脱ドープ状態のPAn電極を得
た。
【0157】実施例27:エレクトロクロミック素子
(ECD)の作製 アルゴン雰囲気グローブボックス内で、実施例26で製
造したPAn電極(1.2cm角)の端部約1mm四方
を10μmのポリイミドフィルムで、スペーサとして被
覆した。次に実施例24で調製した重合性組成物をPA
n電極上に塗布し、さらに実施例25で製造したWO3
電極を貼り合わせ、60℃で120分加熱した。次に端
部をエポキシ樹脂で封印し、図3に示すようなECDを
作製した。このECDを注入電気量6mC/cm2、作動
電圧−2〜2Vで駆動を行ったところ、濃青色/淡青色
のエレクトロクロミズムを示した。応答速度は約100
m秒であった。また、この条件で駆動を200回繰り返
しても色調、応答速度に変化は見られなかった。
【0158】
【発明の効果】本発明のカーボネート基を主成分とする
高分子と電解質塩とを含む高イオン伝導性の高分子固体
電解質は、高イオン伝導度で電気化学的安定性、耐久性
に優れている。さらに分岐鎖を導入することにより、電
気化学素子として使用する場合の加工性や他の材料との
複合性にも優れている。特に分岐型カーボネート構造を
有する低分子量の重合性化合物を重合する方法で本発明
のカーボネート系高分子固体電解質を得る場合、重合前
に各種材料と複合でき、加工性、複合性がさらに改善さ
れる。
【0159】本発明の高分子固体電解質を用いた電池及
び電気二重層コンデンサ及びECDは液漏れの危険はな
く、長期間の信頼性、安全性に優れたものであり、薄型
等形状自由性にも優れている。
【0160】本発明の電池は、上記高分子固体電解質を
用いることにより薄膜化が容易であり、さらに正極及び
/または負極及び/またはセパレータの各要素と簡便に
複合化できることで、高容量及び高電流で作動でき、高
寿命で信頼性に優れる。
【0161】また、本発明の電池は、固体型としては高
容量及び高電流で作動でき、あるいはサイクル性が良好
で、安全性と信頼性に優れた電池であり、ポータブル機
器用主電源、バックアップ電源をはじめとする電気製品
用電源、電気自動車用、ロードレベリング用大型電源と
して使用可能である。また、薄膜化が容易にできるの
で、身分証明書用カード等のペーパー電池としても使用
できる。
【0162】本発明の電気二重層コンデンサは上記高分
子固体電解質を用いたことにより、出力電圧が高く、取
り出し電流が大きく、加工性が良好で、高寿命で信頼性
に優れる。
【0163】さらに、本発明の電気二重層コンデンサ
は、従来の固体状電気二重層コンデンサと比較して、高
電圧、高容量、高電流で作動でき、あるいはサイクル性
が良好で、安全性、信頼性に優れた固体状電気二重層コ
ンデンサである。このため、バックアップ電源だけでな
く、小型電池との併用で、各種電気製品用電源として使
用可能である。また、薄膜化等の加工性に優れており、
従来の固体状電気二重層コンデンサ以外の用途にも利用
できる。
【0164】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電池の一態様を示す薄型電池の模
式的断面図。
【図2】本発明による固体状電気二重層コンデンサの一
態様を示す模式的断面図。
【図3】本発明による固体状薄型ECDの一態様を示す
模式的断面図。
【符号の説明】
1 正極 2 多孔性セパレータ 3 負極 4 集電体 5 熱融着高分子フィルム 6 素子ケース 7 高分子固体電解質 8 分極性電極 9 多孔性セパレータ 10 分極性電極 11 集電体 12 熱融着高分子フィルム 13 素子ケース 14 高分子固体電解質 15 透明電導性電極 16 EC層 17 高分子固体電解質 18 対向電極 19 絶縁性フィルムスペーサー 20 絶縁性樹脂封止剤 21 リード線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08G 64/02 C08G 64/02 5G301 G02F 1/15 G02F 1/15 5H024 H01G 9/038 H01M 6/18 E 5H029 H01M 6/18 10/40 B 10/40 H01G 9/00 301D (72)発明者 西岡 綾子 千葉県千葉市緑区大野台一丁目1番1号 昭和電工株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 2K001 BB30 CA08 CA10 CA20 CA23 CA24 CA25 CA37 4J011 PA06 PA08 PA09 PB27 PC02 PC08 4J027 AH03 AJ01 AJ02 AJ03 CA13 CA14 CA33 CB03 CB08 CB09 CC02 CC03 CD00 4J029 AA09 AB07 AD01 AE18 KH01 4J100 AL08P AL66P BA20P BA22P BA38P 5G301 CA16 CA30 CD01 CE01 5H024 AA00 AA02 BB07 CC04 FF14 FF19 FF21 FF23 5H029 AJ00 AJ05 AJ14 AK03 AL07 AM02 AM03 AM04 AM05 AM07 AM16 BJ04 CJ08 CJ11 EJ11 EJ12 HJ02 HJ10 HJ11

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1)で表される分岐型カーボネー
    ト構造を部分構造として有する高分子化合物及び少なく
    とも一種の電解質塩を含む高分子固体電解質。 【化1】 (式中、R1、R2は水素原子、炭素数1〜10のアルキ
    ル基、炭素数1〜10アルコキシ基、炭素数1〜10の
    アルコキシアルキル基を表し、直鎖状、分岐状または環
    状のいずれの構造を有するものでもよい。mは3〜10
    の整数であり、nは1〜500の整数を示す。同一分子
    中に存在する複数のR1、R2、m及びnは、同一でも異
    なってもよい。但し、同一分子中に存在する複数のR1
    及びR2がすべて同時に水素原子の場合を除く。)
  2. 【請求項2】一般式(2)で表される分岐型カーボネー
    ト構造を部分構造として有する高分子化合物及び少なく
    とも一種の電解質塩を含む高分子固体電解質。 【化2】 (式中、R3は水素原子、炭素数1〜10のアルキル
    基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10の
    アルコキシアルキル基を表し、直鎖状、分岐状または環
    状のいずれの構造を有するものでもよい。mは3〜10
    の整数であり、nは1〜500の整数を示す。同一分子
    中に存在する複数のR3、m及びnは、同一でも異なっ
    てもよい。但し、同一分子中に存在する複数のR3がす
    べて同時に水素原子の場合を除く。)
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の分岐型カーボネー
    ト構造と下記の一般式(3)及び/または一般式(4)
    で示される重合性官能基とを有する重合性化合物の重合
    体である高分子固体電解質。 【化3】 (式中、R4は水素原子または炭素数1〜10のアルキ
    ル基を表し;R6は水素原子、炭素数1〜10のアルキ
    ル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10
    のアルコキシアルキル基を表し、直鎖状、分岐状または
    環状のいずれの構造を有するものでもよい。R5は2価
    基を表し、ヘテロ原子を含んでいてもよく、直鎖状、分
    岐状または環状のいずれの構造を有するものでもよい。
    xは0または1を示す。但し、同一分子中に存在する複
    数のR4、R5、R6及びxは、同一でも異なってもよ
    い。)
  4. 【請求項4】重合性化合物の重量平均分子量が100以
    上3000以下である請求項3に記載の高分子固体電解
    質。
  5. 【請求項5】重合性化合物が室温において液体で、その
    粘度が5000mPa・S(25℃)以下である請求項3
    または4に記載の高分子固体電解質。
  6. 【請求項6】少なくとも一種の有機溶媒を含む請求項1
    乃至5のいずれかに記載の高分子固体電解質。
  7. 【請求項7】請求項3、4、5のいずれかに記載の少な
    くとも一種の重合性化合物及び少なくとも一種の電解質
    塩を含む高分子固体電解質用重合性組成物。
  8. 【請求項8】少なくとも一種の有機溶媒を含む請求項7
    記載の高分子固体電解質用重合性組成物。
  9. 【請求項9】粘度が6.0mPa・S(25℃)以下であ
    る請求項8に記載の高分子固体電解質用重合性組成物。
  10. 【請求項10】請求項7に記載の重合性組成物を重合し
    て得られる高分子固体電解質。
  11. 【請求項11】請求項8に記載の重合性組成物を重合し
    て得られる高分子固体電解質。
  12. 【請求項12】請求項9に記載の重合性組成物を重合し
    て得られる高分子固体電解質。
  13. 【請求項13】電解質塩がアルカリ金属塩、4級アンモ
    ニウム塩、4級ホスホニウム塩から選ばれる少なくとも
    一種の電解質塩であることを特徴とする請求項1、2、
    10、11または12のいずれかに記載の高分子固体電
    解質。
  14. 【請求項14】電解質塩がアルカリ金属塩、4級アンモ
    ニウム塩、4級ホスホニウム塩から選ばれる少なくとも
    一種の電解質塩であることを特徴とする請求項7、8ま
    たは9のいずれかに記載の高分子固体電解質用重合性組
    成物。
  15. 【請求項15】有機溶媒が炭酸エステル類、脂肪族エス
    テル類、エーテル類、ラクトン類、スルホキシド類、ア
    ミド類から選ばれる少なくとも一種の有機溶媒であるこ
    とを特徴とする請求項6、11または12のいずれかに
    記載の高分子固体電解質。
  16. 【請求項16】有機溶媒が炭酸エステル類、脂肪族エス
    テル類、エーテル類、ラクトン類、スルホキシド類、ア
    ミド類から選ばれる少なくとも一種の有機溶媒であるこ
    とを特徴とする請求項8または9に記載の高分子固体電
    解質用重合性組成物。
  17. 【請求項17】請求項1乃至6、10乃至13または1
    5のいずれか記載の高分子固体電解質を用いることを特
    徴とする電池。
  18. 【請求項18】電解質塩としてLiPF6、LiBF4
    LiAsF6、またはLiN(A−SO22(式中、A
    は炭素数1以上10以下のパーフルオロアルキル基を表
    す。)からなる群から選ばれる少なくとも一種を用いる
    リチウム一次またはリチウム二次電池であることを特徴
    とする請求項17記載の電池。
  19. 【請求項19】請求項1乃至6、10乃至13または1
    5のいずれか記載の高分子固体電解質を用いることを特
    徴とする電気二重層コンデンサ。
  20. 【請求項20】請求項1乃至6、10乃至13または1
    5のいずれか記載の高分子固体電解質を用いることを特
    徴とするエレクトロクロミック素子。
  21. 【請求項21】一般式(5) 【化4】 (式中、R1、R2は水素原子、炭素数1〜10のアルキ
    ル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10
    のアルコキシアルキル基を表し、直鎖状、分岐状または
    環状のいずれの構造を有するものでもよい。mは3〜1
    0の整数であり、nは1〜500の整数を示す。R4
    水素または炭素数が1〜10のアルキル基を表わし、直
    鎖状、分岐状または環状のいずれの構造を有するもので
    もよい。R 7は炭素数が1〜30の鎖状、分岐状及び/
    または環状のヘテロ原子及び/または不飽和結合を含ん
    でもよい有機基を表す。同一分子中に存在する複数のR
    1、R2、R4、R7、m及びnは、同一でも異なってもよ
    い。但し、同一分子中に存在する複数のR1及びR2がす
    べて同時に水素原子の場合を除く。)で示される重合性
    化合物。
  22. 【請求項22】一般式(6) 【化5】 (式中、R1、R2は水素原子、炭素数1〜10のアルキ
    ル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10
    のアルコキシアルキル基を表し、直鎖状、分岐状または
    環状のいずれの構造を有するものでもよい。mは3〜1
    0の整数であり、nは1〜500の整数を示す。xは0
    または1を示す。R4は水素原子または炭素数が1〜1
    0のアルキル基を表わし、直鎖状、分岐状または環状の
    いずれの構造を有するものでもよい。R7は炭素数が1
    〜30の鎖状、分岐状及び/または環状のヘテロ原子及
    び/または不飽和結合を含んでもよい有機基を表す。R6
    は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜
    10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアルコキシアル
    キル基を表し、直鎖状、分岐状または環状のいずれの構
    造を有するものでもよい。R7は炭素数が1〜30の鎖
    状、分岐状及び/または環状のヘテロ原子及び/または
    不飽和結合を含んでもよい有機基を表す。同一分子中に
    存在する複数のR1、R2、R4、R5、R6、R7、m及び
    nは、同一でも異なってもよい。但し、同一分子中に存
    在する複数のR1及びR2がすべて同時に水素原子の場合
    を除く。)で示される重合性化合物。
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