JP4169134B2 - 電気化学素子用セパレータ及びその用途 - Google Patents

電気化学素子用セパレータ及びその用途 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は有機溶媒または更に無機微粒子を含有する高分子からなる、取り扱いやすく、性能の優れた非水電気化学素子用セパレータとその製造方法、該セパレータを用いた非水電池及び該セパレータを用いた非水電気二重層コンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
電気化学素子として代表的なリチウム一次電池やリチウム(イオン)二次電池はその高エネルギー密度という特徴から最近急速に小型携帯機器に搭載され、急激な伸びを示している。
例えば、LiCoO2 、LiNiO2 、LiMnO2 、MoS2 等の金属酸化物、金属硫化物を正極に用い、リチウム、リチウム合金、リチウムイオンを吸蔵放出できる炭素材料や無機化合物を負極に用いたリチウム一次電池やリチウム二次電池が多く研究されている。「ジャーナル・オブ・エレクトロケミカル・ソサイエティ (J. Electrochem. Soc.) 、第138巻(No.3)、665頁、1991年」には、MnO2 あるいはNiO2 を正極とする電池が報告されている。
【0003】
これらリチウム一次電池やリチウム(イオン)二次電池の正負極以外の構成要素として重要であるセパレータにはポリオレフィン不織布やポリオレフィン製マイクロポーラスフィルムという多孔性フィルムが用いられている。セパレーターの機能としては正極、負極を電子的に隔離し短絡させないことと、正・負極間に介在する電解液中のイオン移動を妨げないことが要求されている。また前述した機能を有していればできるだけ薄い方が、電池全体のエネルギー密度が大きくなり好ましい。
これら機能を持たせるため現在のセパレーターとしては多孔性の薄膜フィルムが用いられている。従って、フィルム製造、加工費が高く、コスト高の要因になっている。また電解液を担持する能力がなく、電池から部品外部への液漏れあるいは電極物質の溶出などが発生しやすいために電池として長期信頼性、安全性に問題があった。
【0004】
最近、ポリエチレンオキサイド系重合体とアルカリ金属塩を複合したいわゆる高分子固体電解質が注目されている。これら高分子固体電解質の例として、「ブリティッシュ・ポリマー・ジャーナル(Br. Polym. J. ),第319巻、137頁、1975年」には、ポリエチレンオキサイドと無機アルカリ金属塩との複合物がイオン伝導性を示すことが記載されている。また、オリゴオキシエチレンを側鎖に導入した櫛型高分子が、イオン伝導性を担っているオキシエチレン鎖の熱運動性を高め、イオン伝導性が改良されることも多数報告されている。例えば、「ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミストリイ(J. Phys. Chem.)、第89巻、987頁、1984年」には、ポリメタクリル酸の側鎖にオリゴオキシエチレンを付加したものにアルカリ金属塩を複合化した例が記載されている。さらに、「ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティ(J. Am. Chem. Soc. )、第106巻、6854頁、1984年」には、オリゴオキシエチレン側鎖を有するポリホスファゼンにアルカリ金属塩を複合化した例が記載されている。これらは重合体自身が電解質であるLi塩と錯形成し、重合体鎖の熱運動によりイオン伝導を発現できると言われている。従って、現在のセパレータのような電解液を通す孔は基本的には必要ない。しかしながらこれらは膜強度、イオン伝導度の点で実用的に満足できるものではない。
【0005】
さらに、近年、メモリーバックアップ電源用などに、活性炭、カーボンブラックなど比表面積の大きい炭素材料を分極性電極として、その間にイオン伝導性溶液を配置する電気化学素子である電気二重層コンデンサが多用されてきている。例えば、「機能材料1989年2月号33頁」には、炭素系分極性電極と有機電解液を用いたコンデンサが、「第173回エレクトロケミカルソサエティ・ミーティング・アトランタ・ジョージア,5月号,No.18,1988年」には、硫酸水溶液を用いた電気二重層コンデンサが記載されている。また、特開昭63−244570号公報では、高電気伝導性を有するRb2 Cu33 Cl7 を無機系固体電解質として用いるコンデンサが開示されている。
しかしながら、現在の電解質溶液を用いた電気二重層コンデンサでは、長期間の使用や高電圧が印加される場合などの異常時には、コンデンサの外部への液漏れなどが発生し易いために長期使用や信頼性に問題がある。一方、従来の無機系イオン伝導性物質を用いた電気二重層コンデンサは、イオン伝導性物質の分解電圧が低く、出力電圧が低いという問題があった。
【0006】
特開平4−253771号では、ポリホスファゼン系高分子を電池や電気二重層コンデンサのイオン伝導性物質として用いることを提示しており、このような高分子を主成分とした固体イオン伝導性物質を使用したものは、無機系イオン伝導性物質に比較して出力電圧が高く、種々の形状に加工でき、封止も簡単であるというメリットがある。しかしながら、この場合では、高分子固体電解質のイオン伝導度が10-4〜10-6S/cmと充分ではなく、取り出し電流が小さいという欠点があった。
一般的に検討されている高分子固体電解質のイオン伝導度は、室温における値で10-4〜10-5S/cm位まで改善されたものの、液体系イオン伝導性物質に比較するとなお二桁以上低いレベルである。また、0℃以下の低温になると、一層極端にイオン伝導性が低下する。更に、これらの固体電解質を電気二重層コンデンサ等の素子に組み込む場合や、これらの固体電解質を薄膜にして電池に組み込む場合、電極との複合化や接触性確保等の加工技術が難しく製造法でも問題点があった。
【0007】
J.Appl.Electrochem.,No.5,63〜69ページ(1975年)に記載されているように、ポリアクリロニトリルやポリフッ化ビニリデンゲル等の熱可塑性高分子または架橋高分子に溶媒及び電解質を加えたいわゆる高分子ゲル電解質は高イオン伝導度となることが報告されている。また、特公昭58−36828号にはポリメタクリル酸アルキルエステルに溶媒及び電解質を加えた同様の高分子ゲル電解質は高イオン伝導度となることが報告されている。しかしながらこれら高分子ゲル電解質は高イオン伝導度であるが、流動性を付与することとなるため、完全な固体としては取り扱えず、膜強度や成膜性に劣り、電気二重層コンデンサや電池に応用すると短絡が起こり易いうえ、液体系イオン伝導性物質同様に封止上の問題が発生する。
米国特許4357401号には、ヘテロ原子を含有する架橋ポリマーとイオン化可能な塩からなる高分子固体電解質が、高分子の結晶性が低下し、ガラス転移点が低く、イオン伝導度が改善されることが記載されているが、室温で10-5S/cm程度とまだ不十分であった。
【0008】
さらに米国特許4792504号では、ポリ酸化エチレンの架橋ネットワーク中に金属塩及び非プロトン性溶剤からなる電解液が含浸された高分子固体電解質が提案されている。これらはオキシエチレン鎖がLi塩だけでなく、非プロトン性溶剤を含浸できることを示しており、Li電池のセパレータとして使用可能な電解液を含浸した孔のない均一な高分子固体電解質が提供できることを示している。しかしながら、この系でもイオン伝導度は10-4S/cmとまだ不十分であった。また溶剤が添加されたため膜強度が低下し、さらに金属塩の吸湿性が高いため、製造時や電池、電気二重層コンデンサ等に使用する場合に取扱いにくいという問題が生じた。
【0009】
特公平3−73081号、米国特許4908283号にはポリエチレングリコールジアクリレート等のアクリロイル変性ポリアルキレンオキシド/電解質塩/有機溶媒からなる組成物に紫外線等の活性光線を照射することにより、高分子固体電解質を形成する方法が開示され、重合時間を短縮する試みがなされている。また、米国特許4830939号、特開平5−109310号にも架橋性のポリエチレン性不飽和化合物/電解質塩/活性光線不活性溶媒からなる組成物に紫外線や電子線等の放射線を照射することにより、電解液を含んだ高分子固体電解質を形成する同様の方法が開示されている。これらの系では高分子固体電解質中の電解液を増量したため、イオン伝導度は向上したが、まだ不十分であり、また膜強度は悪化する傾向にある。さらに金属塩の吸湿性が高いため、製造時や電池、電気二重層コンデンサ等に使用する場合に取扱いにくいという問題はまだ残っていた。
【0010】
これらの問題を解決するために、本発明者らはウレタン結合を有するオキシアルキレン基を含有する(メタ)アクリレートプレポリマーから得られる重合体及び電解質からなる複合体を用いたイオン伝導性の高分子固体電解質(特開平6−187822号)を提案した。この高分子固体電解質のイオン伝導度は、溶媒未添加で10-4S/cm(室温)であり高いレベルであるが、さらに溶媒を添加すると、室温またはそれより低温であっても10-3S/cm以上となり、また膜質も良好で自立膜として得られる程度に改善された。また、このプレポリマーは重合性が良好で、電池や電気二重層コンデンサに応用する場合、プレポリマー状態で電池や電気二重層コンデンサに組込んだ後に重合し、固体化できるという加工上のメリットもあった。しかしながら、これらの高分子固体電解質も非水電気化学素子のセパレータとして使用するには、膜強度、吸湿性、工業的取扱いの点で改善の余地があった。また、電池に応用した場合に、高電流での容量維持率が不充分であった。
【0011】
ソリッド ステート アイオニクス 1982年7号75ページに高分子固体電解質であるLiClO4 /ポリエチレンオキサイド複合体にさらにアルミナ粒子を複合させることにより、イオン伝導度が低下することなく高分子固体電解質の強度改善が達成できることが報告されている。特開平6−140052号には、ポリアルキレンオキサイド/イソシアネート架橋体/無機酸化物複合体に非水電解液を含浸させた固体電解質が提案されており、電解液含有高分子固体電解質の強度アップが図られている。しかしながら、これらの高分子固体電解質も非水電気化学素子のセパレータとして使用するには、イオン伝導度、吸湿性、工業的取扱いの点で改善の余地があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、非水電気化学素子に使用した際にイオン伝導性が高く、成型加工が容易で強度も良好であり、安全性、信頼性に優れ、更に取扱いが容易な新規な非水電気化学素子用セパレータを提供することを目的とする。また、安全性、信頼性に優れた高性能な非水電池、または、非水電気二重層コンデンサを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討した結果、非水電気化学素子用セパレータを、溶媒は含むが電解質塩は含まない状態で製造することにより、後に電解液が含浸しても膨張が抑えられ、また、電解液中の電解質塩がセパレータ中にも容易に拡散し、電気化学素子の性能にも何等影響を与えないことを見出した。また製造時にイオン化合物を添加していない為、イオン架橋がおさえられ、結果としてイオン移動が早くなり、イオン伝導度、電流特性が向上する可能性があることを見出した。また本セパレータは製造時には塩を含んでいないことから、従来のセパレータに比較して、吸湿性が少なく、工程管理が簡便となることを見出した。特に使用する高分子がオキシアルキレン構造を有する架橋高分子である場合に溶媒の保持性にすぐれ、粘弾性に富み、強度も良好であることを見出した。
また、本発明では上記セパレータに無機微粒子を添加することにより、電解液含浸時の膨張が更に抑えられ、強度が向上し、更に取扱い易くなることを見出した。また、無機微粒子を添加することにより、後で電解液を含浸させる際のセパレータ内における電解質塩の拡散が更に容易になることを見出した。
【0014】
また、本発明では、(メタ)アクリル基及び/またはウレタン(メタ)アクリル基を有する重合性化合物が硬化特性に優れていることを利用し、これら化合物と有機溶媒または更に無機微粒子を混合した重合性組成物を基材上に配置後、加熱や紫外線等の活性光線照射により、溶媒を含んだセパレータを基材上に製造する方法を見出した。
【0015】
更に本発明では上記セパレータを用いることにより、長期信頼性、安全性、加工性にすぐれた非水電池が得られることを見出し、更に上記セパレータのイオン架橋が少ない為、高電流での容量維持率が高いことを見出した。
更に本発明では上記セパレータを用いることにより、出力電圧が高く、加工性、長期信頼性、安全性にすぐれた非水電気二重層コンデンサが得られることを見出し、更に上記セパレータのイオン架橋が少ない為、高電流での容量維持率が高いことを見出した。
尚、本明細書の記載において、『オキシアルキル』、『オキシアルキレン』という表現にはオキシアルキレン基を少なくとも1個以上含むオリゴオキシアルキレン及びポリオキシアルキレンも含まれる。
【0016】
即ち本発明は、以下のものを開発することにより上記の目的を達成した。
[1]オリゴエーテル類及びカーボネート類から選ばれる少なくとも一種の有機溶媒及び一般式(1)または一般式(2)
【化7】
Figure 0004169134
【化8】
Figure 0004169134
[式中R1、R2は水素またはアルキル基を表し、R3は炭素数10以下の2価の基を表す。該2価の基はヘテロ原子を含んでいてもよく、直鎖状、分枝状、環状構造のいずれからなるものでもよい。xは0または1〜10の数値を示す。但し、同一分子中の複数個の上記一般式(1)または(2)で表される重合性官能基中のR1、R2、R3及びxの値は、それぞれ独立であり、同じである必要はない。]で表わされる重合性官能基を2つ以上有する少なくとも一種の重合性化合物を重合することによって得られる架橋構造を有する高分子を含む電池用またはキャパシタ用セパレータであって、電解質塩非含有下で製造されることを特徴とする電池用またはキャパシタ用セパレータ。
[2]オリゴエーテル類及びカーボネート類から選ばれる少なくとも一種の有機溶媒、イオン伝導性セラミック微粒子及び非電導性セラミック微粒子から選ばれる少なくとも一種の無機微粒子及び一般式(1)または一般式(2)
【化9】
Figure 0004169134
【化10】
Figure 0004169134
[式中R1、R2は水素またはアルキル基を表し、R3は炭素数10以下の2価の基を表す。該2価の基はヘテロ原子を含んでいてもよく、直鎖状、分枝状、環状構造のいずれからなるものでもよい。xは0または1〜10の数値を示す。但し、同一分子中の複数個の上記一般式(1)または(2)で表される重合性官能基中のR1、R2、R3及びxの値は、それぞれ独立であり、同じである必要はない。]で表わされる重合性官能基を2つ以上有する少なくとも一種の重合性化合物を重合することによって得られる架橋構造を有する高分子を含む電池用またはキャパシタ用セパレータであって、電解質塩非含有下で製造されることを特徴とする電池用またはキャパシタ用セパレータ。
[3]少なくとも一種の高分子がオキシアルキレン構造及び/またはウレタン構造を含んでいることを特徴とする前記[1]または[2]記載の電池用またはキャパシタ用セパレータ。
[4] 少なくとも一種の高分子が架橋構造を有する粘弾性体であることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれか一に記載の電池用またはキャパシタ用セパレータ。
【0018】
] 無機微粒子がBET比表面積50m2/g以上で粒子最大径が3μm以下であるアルミナ系、シリカ系、チタニア系及び/またはマグネシア系化合物から選ばれる少なくとも1種である前記[2]〜[]のいずれか一に記載の電池用またはキャパシタ用セパレータ。
] 前記[1]〜[]のいずれか一に記載の電池用またはキャパシタ用セパレータを介して、有機溶媒系電解液及び/または高分子固体電解質を含有した正極、有機溶媒系電解液及び/または高分子固体電解質を含有した負極を配置する工程を含むことを特徴とする電池の製造方法。
] 前記[1]〜[]のいずれか一に記載の電池用またはキャパシタ用セパレータを介して、有機溶媒系電解液及び/または高分子固体電解質を含浸した2つの分極性電極を配置する工程を含むことを特徴とする非水電気二重層コンデンサの製造方法。
【0019】
]一般式(1)または一般式(2)
【化11】
Figure 0004169134
【化12】
Figure 0004169134
[式中R1、R2は水素またはアルキル基を表し、R3は炭素数10以下の2価の基を表す。該2価の基はヘテロ原子を含んでいてもよく、直鎖状、分枝状、環状構造のいずれからなるものでもよい。xは0または1〜10の数値を示す。但し、同一分子中の複数個の上記一般式(1)または(2)で表される重合性官能基中のR1、R2、R3及びxの値は、それぞれ独立であり、同じである必要はない。]で表わされる重合性官能基を2つ以上有する少なくとも一種の重合性化合物、オリゴエーテル類及びカーボネート類から選ばれる少なくとも一種の有機溶媒を含み、電解質塩を含まない重合性組成物を基材上に配置後、加熱及び/または活性光線照射により硬化させることを特徴とする電池用またはキャパシタ用セパレータの製造方法。
【0020】
] 重合性組成物が無機微粒子を含むことを特徴とする前記[]記載の電池用またはキャパシタ用セパレータの製造方法。
10] 重合性組成物が少なくとも一種の開始剤を含むことを特徴とする前記[]または[]記載の電池用またはキャパシタ用セパレータの製造方法。
11] 基材が電池用またはキャパシタに用いる電極であることを特徴とする前記[]〜[10]のいずれか一に記載の電池用またはキャパシタ用セパレータの製造方法。
【0021】
12] 前記[]〜[10]のいずれか一に記載の重合性組成物を、有機溶媒系電解液及び/もしくは高分子固体電解質を含有した正極上、及び/または有機溶媒系電解液及び/もしくは高分子固体電解質を含有した負極上に配置後、加熱及び/または活性光線照射により硬化させることを特徴とする電池の製造方法。
13] 負極活物質がリチウム、リチウム合金、またはリチウムイオンを吸蔵放出できる炭素材料もしくは無機化合物の少なくとも一種からなる前記[]または[12]記載のリチウム系電池の製造方法。
14] 前記[]〜[10]のいずれか一に記載の重合性組成物を、有機溶媒系電解液及び/または高分子固体電解質を含有した少なくとも一つの分極性電極上に配置後、加熱及び/または活性光線照射により硬化させることを特徴とする非水電気二重層コンデンサの製造方法。
【0022】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のセパレーターフィルムの主要構成成分である高分子は非電子伝導性で各種有機極性溶媒を吸液、保持できるものでなければならない。そのような高分子としては、ポリアルキレンオキサイド、ポリアルキルイミン、ポリアクリロニトリル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリフォスファゼン、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリシロキサン等のヘテロ原子を有する極性の熱可塑性高分子や架橋高分子が挙げられる。特に架橋高分子が溶媒吸液後の強度が高く、溶媒の保持力も高く、さらに粘弾性体であることから、本発明のセパレータ用高分子として適している。ここで表す架橋には、架橋鎖が共有結合で形成されている以外に、側鎖がイオン結合や水素結合等で架橋されているもの、各種添加物を介した物理架橋されているものも含んでいる。
上記高分子の中ではポリアルキレンオキサイド、ポリウレタン等のオキシアルキレンやウレタン構造を分子構造内に含むものが、各種極性溶媒との相溶性が良好で,電気化学的安定性が良好であり好ましい。また、安定性の面から、ポリフッ化ビニリデン等のフルオロカーボン基を分子構造内に有するものも好ましい。
【0023】
また、上記高分子の中で一般式(1)または(2)で表わされる重合性官能基
【化13】
Figure 0004169134
【化14】
Figure 0004169134
[式中R1 、R2は水素またはアルキル基を表し、R3は炭素数10以下の2価の基を表す。該2価の基はヘテロ原子を含んでいてもよく、直鎖状、分枝状、環状構造のいずれからなるものでもよい。xは0または1〜10の数値を示す。但し、同一分子中の複数個の上記一般式(1)または(2)で表される重合性官能基中のR1、R2、R3 及びxの値は、それぞれ独立であり、同じである必要はない。]を2つ以上有する少なくとも一種の重合性化合物を加熱及び/または活性光線照射により硬化させて得られる高分子が、溶媒を含んだ状態で成膜しやすく、膜強度が良好であり好ましい。
【0024】
その中でも、下記一般式(3)または(4)
【化15】
Figure 0004169134
【化16】
Figure 0004169134
[式中R1 、R2、R3、xは一般式(1)または(2)と同じ。R4、R5 は、オキシアルキレン基及び/またはフルオロカーボン、オキシフルオロカーボンを含む2価の基である。]で表される重合性官能基を2つ以上有する少なくとも一種の重合性化合物を加熱及び/または活性光線照射により硬化させて得られる高分子が特に好ましい。
【0025】
本発明の高分子固体電解質に用いられる一般式(1)で表される官能基を有する化合物を合成する方法に特に限定はないが、例えば、酸クロライドと末端にヒドロキシル基を有する化合物、例えばオリゴオキシアルキレンオールとを反応させることにより容易に得られる。
例えば、一般式(1)で表される官能基を1つ有する化合物は、酸クロライドとモノアルキルオリゴオキシアルキレングリコールとを以下の様な反応式で、1:1のモル比で反応させることにより、容易に得られる。
CH2 =C(R1 )COCl + HO( CH2 CH( R6)O)m7
→ CH2 =C(R1 )COO( CH2 CH( R6)O)m7
[ただし、式中R1 は一般式(1)と同じ。R6 はH、または炭素数10以下のアルキル基。R7 は炭素数10以下のアルキル基。]
【0026】
例えば、一般式(1)で表わされる官能基を2つ有する化合物は、酸クロライドとオリゴオキシアルキレングリコールとを以下の様な反応式で、2:1のモル比で反応させることにより、容易に得られる。
2CH2 =C(R1 )COCl + HO( CH2 CH( R6)O)m
→CH2 =C(R1 )COO( CH2 CH( R6)O)mCO(R1 )C=CH2
[ただし、式中R1 は一般式(1)と同じ。R6 はH、または炭素数10以下のアルキル基。]
【0027】
本発明の高分子固体電解質に用いられる一般式(2)で表される重合性官能基を有する化合物を合成する方法に特に限定はないが、例えば、CH2=C(R2 )CO[OR3x NCOとオリゴアルキレングリコールとの反応により得ることができる(ただし、式中R2 、R3 、xはそれぞれ一般式(2)と同じ。)。
【0028】
具体的方法として一つのエチレン性不飽和基を有する化合物は、例えば、メタクリロイルイソシアナート系化合物(以下MI類と略記する。)あるいはアクリロイルイソシアナート系化合物(以下AI類と略記する。)とモノアルキルオリゴアルキレングリコールとを、以下のような反応式で1:1のモル比で反応させることにより、容易に得られる。
CH2 =C(R2)CO[OR3x NCO+HO( CH2 CH( R6)O) m7
→CH2 =C(R2)CO[OR3x NHCOO( CH2 CH( R6)O)m7
[ただし、式中R2 、R3 、xは一般式(2)と同じ。R6 はH、または炭素数10以下のアルキル基、R7 は炭素数10以下のアルキル基である。]
【0029】
また二つのエチレン性不飽和基を有する化合物は、例えば、MI類あるいはAI類とオリゴアルキレングリコールとを、2:1のモル比で反応させることにより、容易に得られる。
また、三つのエチレン性不飽和基を有する化合物は、例えばMI類及び/またはAI類と、グリセリン等の3価アルコールにアルキレンオキサイドを付加重合させたトリオールとを、3:1のモル比で反応させることにより、容易に得られる。
また、四つのエチレン性不飽和基を有する化合物は、例えばMI類及び/またはAI類と、ペンタエリスリトール等の4価アルコールにアルキレンオキサイドを付加重合させたテトラオールとを4:1のモル比で反応させることにより、容易に得られる。
【0030】
また、五つのエチレン性不飽和基を有する化合物は、例えばMI類及び/またはAI類と、α−D−グルコピラノースにアルキレンオキシドを付加重合させたペンタオールとを、5:1のモル比で反応させることにより、容易に得られる。また、六つのエチレン性不飽和基を有する化合物は、例えばMI類及び/またはAI類と、マンニットにアルキレンオキシドを付加重合させたヘキサオールとを6:1のモル比で反応させることにより、容易に得られる。
【0031】
フルオロカーボン基及び/またはオキシフルオロカーボン基を有する一般式(1)または(2)で表される重合性官能基を有する化合物を合成する方法に特に限定はないが、例えば、具体的方法として重合性官能基を一つ有する化合物は、MI類あるいはAI類と2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-1- ブタノールのようなモノオールとを以下の様な反応式で1:1のモル比で反応させることにより、容易に得られる。
CH2=C(R1 )COO( CH2)2 NCO + CF3(CF2)2 CH2 OH
→ CH2=C(R1 )COO( CH2)2 NHCOOCH2(CF2)2 CF3
【0032】
また重合性官能基を2つ有する化合物は、例えば、MI類あるいはAI類と2,2,3,3-テトラフルオロ-1,4- ブタンジオールのようなジオールとを以下の様な反応式で、2:1のモル比で反応させることにより、容易に得られる。
2CH2=C(R1 )COO( CH2)2 NCO+HOCH2(CF2)2 CH2 OH
→ {CH2=C(R1 )COO( CH2)2 NHCOOCH2 CF2 −}2
【0033】
一般式(1)あるいは(2)で表される重合性官能基を1つしか有さない化合物を重合してできる高分子は、架橋構造を有しておらず、膜強度不足のため、薄膜にすると短絡する危険が大きく、単独では用いない方がよい。従って、一般式(1)あるいは(2)で表される重合性官能基を2つ以上有する化合物と共重合し、架橋させる必要がある。
セパレーターの薄膜強度を考慮すると、1分子中に含まれる一般式(1)あるいは(2)で表される重合性官能基の数は、3つ以上がより好ましい。
また前記一般式(1)で表される重合性官能基を有する化合物の中で、一般式(2)で表される重合性官能基を有する化合物から得られる高分子がウレタン基を含んでおり、重合性が良好で、薄膜にしたときの膜強度も大きいので好ましい。
【0034】
本発明のセパレーターの構成成分として好ましい高分子は、一般式(1)または一般式(2)で表される重合性官能基を有する化合物の少なくとも一種を重合し、あるいは該化合物を共重合成分として重合することにより得られる。
本発明のセパレーター用フィルムに用いる高分子は、前記一般式(1)または一般式(2)で表される重合性官能基を有する化合物の単独重合体であっても、該カテゴリーに属する2種以上の共重合体であっても、あるいは該化合物の少なくとも一種と他の重合性化合物との共重合体であってもよい。
前記一般式(1)または一般式(2)で表される重合性官能基を有する化合物と共重合可能な他の重合性化合物としては、特に制限はない。例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、アクリロイルモルホリン、メタクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系化合物、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系化合物、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド等のN−ビニルアミド系化合物、エチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテルを挙げることができる。
【0035】
重合は、重合性化合物中のアクリロイル基もしくはメタクリロイル基の重合性を利用した一般的な方法を採用することができる。即ち、これらモノマー単独、あるいはこれらモノマーと他の前記の共重合可能な重合性化合物の混合物に、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等のラジカル重合触媒、CF3 COOH等のプロトン酸、BF3 、AlCl3 等のルイス酸等のカチオン重合触媒、あるいはブチルリチウム、ナトリウムナフタレン、リチウムアルコキシド等のアニオン重合触媒を用いて、ラジカル重合、カチオン重合あるいはアニオン重合させることができる。また、重合性化合物によっては無酸素状態で、加熱のみでラジカル重合することもできる。
本発明のセパレータに用いられる高分子はオキシアルキレン構造を含んでいるものが好ましいが、その場合のオキシアルキレン鎖数(すなわち前記一般式(3)におけるR4 中、あるいは前記一般式(4)におけるR5 中に含まれるオキシアルキレン基の繰返し数n)は1〜1000の範囲が好ましく、5〜100の範囲が特に好ましい。
【0036】
本発明のセパレータに用いる高分子は、前記のように、一般式(1)または(2)で表される官能基を有する化合物の単独重合体であっても、該カテゴリーに属する2種以上の共重合体であっても、あるいは該化合物の少なくとも一種と他の重合性化合物との共重合体であってもよい。また、本発明のセパレータに用いる高分子は、前記一般式(1)または(2)で表される官能基を有する化合物の少なくとも一種から得られる重合体及び/または該化合物を共重合成分とする共重合体と他の高分子との混合物であってもよい。例えば、前記一般式(1)または(2)で表される官能基を有する化合物の少なくとも一種から得られる重合体及び/または該化合物を共重合成分とする共重合体と、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、ポリメタクリル(またはアクリル)酸エステル類、ポリスチレン、ポリホスファゼン類、ポリシロキサンあるいはポリシラン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のポリマーとの混合物を本発明のセパレータに用いてもよい。
【0037】
本発明のセパレータは少なくとも一種の有機溶媒が高分子に含浸されていることを特徴とする。これにより電気化学素子に使用した場合に、各種電解液中に浸漬してもセパレーターの形状変化が少なく、電解液と溶媒との置換が容易に起こり、セパレータ中に電解質塩またはイオンが容易に拡散していくことができる。使用できる有機溶媒としては、本発明のセパレータに用いる高分子との相溶性が良好で、沸点が高く、電解質塩の溶解性が高く、使用する電気化学素子に悪影響を与えないものが良い。即ち、誘電率が大きく、沸点が70℃以上であり、電気化学的安定範囲が広い化合物が適している。そのような溶媒としては、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等のオリゴエーテル類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、炭酸ビニレン、(メタ)アクリロイルカーボネート等のカーボネート類、ベンゾニトリル、トルニトリル等の芳香族ニトリル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、N−ビニルピロリドン、スルホラン等の硫黄化合物、リン酸エステル類等が挙げられる。この中で、オリゴエーテル類及びカーボネート類が好ましく、カーボネート類が特に好ましい。
【0038】
セパレータ中の溶媒の含有量が多いほど、電解質塩またはイオンの拡散が容易で、またその場合のイオン伝導度は高くなるが、セパレータの機械的強度が低下する。好ましい添加量としては、本発明のセパレータ中の高分子重量の0.5倍から12倍量以下で、1倍量から8倍量以下が特に好ましい。
本発明のセパレータには各種無機微粒子が添加された方が好ましい。これにより強度、膜厚均一性が改善されるばかりでなく、無機微粒子と高分子間に微細な空孔が生じることになり、電解液中に浸漬した場合には空孔を通じてセパレータ内にフリーの電解液が分散することになり、強度アップを損ねることなく、逆にイオン伝導度、移動度を増加させることもできる。また、無機微粒子を添加することにより、組成物の粘度が上昇し、高分子と溶媒の相溶性が不十分な場合にもその分離を抑える効果も現われる。
【0039】
使用する無機微粒子としては非電子伝導性、電気化学的に安定なものが選ばれる。また、イオン伝導性であればさらに好ましい。具体的にはα、β、γーアルミナ、シリカ、チタニア、マグネシア等のイオン伝導性または非電導性セラミックス微粒子が挙げられる。
セパレータの強度アップ、電解液保液量増加の観点から、無機微粒子は一次粒子が凝集した二次粒子構造をもつものが好ましく、このような構造を持つ無機微粒子の具体例としてはエアロジル(日本エアロジル製)のようなシリカ超微粒子、アルミナ超微粒子が挙げられ、安定性、複合効率からアルミナ超微粒子が特に好ましい。
セパレータ中の電解液の保有量を多くし、イオン伝導性、移動度を増加させるという目的では、無機微粒子の比表面積はできるだけ大きいことが好ましく、BET法で10m2/g以上が好ましく50m2/g以上が更に好ましい。
【0040】
このような無機微粒子のサイズとしては、重合性組成物と混合できれば特に限定はないが、大きさとしては0.01μm 〜100μm が好ましく、0.01μm 〜20μm が特に好ましい。
また、形状としては球形、卵形、立方体状、直方体状、円筒ないし棒状等の種々の形状のものを用いることができる。
無機微粒子の添加量は多すぎると逆にセパレータの強度やイオン伝導性を低下させたり、成膜がしづらくなるという問題を生じる。従って添加量としては、複合電解質に対して50wt%以下が好ましく、0.1から30wt%の範囲が特に好ましい。
【0041】
本発明のセパレータを製造する場合には、一般式(1)または(2)で表される重合性官能基を有する(メタ)アクリロイル系化合物の少なくとも一種及び少なくとも一種の溶媒、またはこれに少なくとも一種の無機微粒子を添加した重合性組成物を、あるいはさらに少なくとも一種の重合開始剤を添加した重合性組成物を各種基材上に成膜、塗布後、かかる(メタ)アクリロイル系化合物を、加熱及び/または活性光線照射により重合し、硬化する方法が、均一に成膜でき、膜厚制御が簡便であり、推奨できる。
重合させる温度としては、前記一般式(1)または(2)で表される重合性官能基を有する重合性化合物の種類、開始剤の種類によるが、重合が起こる温度であれば良く、通常は、0℃から200℃の範囲で行えばよい。活性光線照射により重合させる場合には、前記一般式(1)または(2)で表される重合性官能基を有する重合性化合物の種類によるが、例えば、ベンジルメチルケタール、ベンゾフェノン等の活性光線開始剤を使用して、数mW以上の紫外光または電子線、γ線等を照射して重合させることができる。
【0042】
本発明のセパレータは他の多孔性高分子フィルムと複合して使用することにより強度改善等を行うことも可能である。但し、使用する高分子の種類、フィルム形状、複合割合によっては電解液浸透後のセパレータとしてのイオン伝導度の低下や安定性の悪化を招くので、適したものを選ぶ必要がある。使用する多孔性フィルムとしてはポリプロピレン製不織布やポリエチレン製ネットのような網状ポリオレフィンシート等の多孔性ポリオレフィンフィルム、セルガード(商品名)等のポリオレフィン製マイクロポーラスフィルム、ナイロン不織布、ポリエステル性ネット等が挙げられるが、ポリオレフィン製多孔性フィルムが安定性の面で好ましい。また、その空孔率としては、10〜90%程度あればよいが、強度の許す限りできるだけ空孔率の大きいものが良いので、好ましい空孔率の範囲としては40〜90%の範囲である。
複合方法としては特に制限がないが、例えば、一般式(1)または(2)で表される重合性官能基を有する(メタ)アクリロイル系化合物の少なくとも一種及び少なくとも一種の溶媒、またはこれに少なくとも一種の無機微粒子を添加した混合物を、多孔性ポリマーフィルムに含浸後、かかる(メタ)アクリロイル系化合物を重合する方法が、均一に複合でき、膜厚制御が簡便であり、推奨できる。
【0043】
本発明のセパレータを電池に使用した場合、本セパレータの電解液保持性が高く、また孔が無い為、液もれ、短絡が起りにくく、サイクル寿命が長く、安全性及び信頼性が高い非水電池が得られる。また、液もれや短絡が起りにくいことから、薄型にでき、パッケージの簡単な電池が得られる。
このようにして製造される非水電池として、薄膜電池の一例の概略断面図を図1に示す。図中、1は正極、2は本発明のセパレータ、3は負極、4は集電体、5は絶縁性樹脂封止剤である。
【0044】
本発明の非水電池に用いる負極活物質として、アルカリ金属、アルカリ金属合金、炭素材料、金属酸化物や金属カルコゲナイドのようなアルカリ金属イオンをキャリアーとする低酸化還元電位のものを用いることにより、高電圧、高容量の電池が得られるので好ましい。このような負極活物質の中では、リチウム金属あるいはリチウム/アルミニウム合金、リチウム/鉛合金、リチウム/アンチモン合金等のリチウム合金類が最も低酸化還元電位であるため特に好ましい。また、炭素材料もLiイオンを吸蔵した場合低酸化還元電位となり、しかも安定、安全であるという点で特に好ましい。Liイオンを吸蔵放出できる炭素材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛、気相法黒鉛、石油コークス、石炭コークス、ピッチ系炭素、ポリアセン、C60、C70等のフラーレン類等が挙げられる。
【0045】
従って、かかる負極を用い、アルカリ金属イオンをキャリアーとする電池に用いる場合の電解質としてはアルカリ金属塩が必要となる。このアルカリ金属塩の種類としては、例えば、LiCF3 SO3 、LiPF6 、LiClO4 、LiBF4 、LiSCN、LiAsF6 、LiN(CF3 SO22 、NaCF3 SO3 、LiI、NaPF6 、NaClO4 、NaI、NaBF4 、NaAsF6 、KCF3 SO3 、KPF6 、KI等を挙げることができる。また、炭素材負極の場合には、アルカリ金属イオンだけでなく、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩、遷移金属塩、各種プロトン酸も使用できる。このような電解質としては、(CH34 NBF4 、(CH3 CH24 ClO4 等の4級アンモニウム塩、AgClO4 等の遷移金属塩、(CH34 PBF4 等の4級ホスホニウム塩、パラトルエンスルホン酸等の有機酸及びその塩、塩酸、硫酸等の無機酸等が挙げられる。この中で、出力電圧が高く取れ、解離定数が大きいという点から、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩、アルカリ金属塩が好ましい。4級アンモニウム塩の中では、(CH3 CH2 )(CH3 CH2 CH2 CH23 NBF4 のような、アンモニウムイオンの窒素上の置換基が異なっているものが溶解性あるいは解離定数が大きいという点で好ましい。
【0046】
本発明の非水電池の構成において、正極に金属酸化物、金属硫化物、導電性高分子あるいは炭素材料のような高酸化還元電位の電極活物質(正極活物質)を用いることにより、高電圧、高容量の電池が得られるので好ましい。このような電極活物質の中では、充填密度が高くなり、体積容量密度が高くなるという点では、酸化コバルト、酸化マンガン、酸化バナジウム、酸化ニッケル、酸化モリブデン等の金属酸化物、硫化モリブデン、硫化チタン、硫化バナジウム等の金属硫化物が好ましく、特に酸化マンガン、酸化ニッケル、酸化コバルト等が高容量、高電圧という点から好ましい。
【0047】
この場合の金属酸化物や金属硫化物を製造する方法は特に限定されず、例えば、「電気化学、第22巻、574頁、1954年」に記載されているような、一般的な電解法や加熱法によって製造される。また、これらを電極活物質としてリチウム電池に使用する場合、電池の製造時に、例えば、Lix CoO2 やLix MnO2 等の形でLi元素を金属酸化物あるいは金属硫化物に挿入(複合)した状態で用いるのが好ましい。このようにLi元素を挿入する方法は特に限定されず、例えば、電気化学的にLiイオンを挿入する方法や、米国特許第4357215号に記載されているように、Li2 CO3 等の塩と金属酸化物を混合、加熱処理することによって実施できる。
また柔軟で、薄膜にし易いという点では、導電性高分子が好ましい。導電性高分子の例としては、ポリアニリン、ポリアセチレン及びその誘導体、ポリパラフェニレン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリチエニレン及びその誘導体、ポリピリジンジイル及びその誘導体、ポリイソチアナフテニレン及びその誘導体、ポリフリレン及びその誘導体、ポリセレノフェン及びその誘導体、ポリパラフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリフリレンビニレン、ポリナフテニレンビニレン、ポリセレノフェンビニレン、ポリピリジンジイルビニレン等のポリアリーレンビニレン及びそれらの誘導体等が挙げられる。中でも有機溶媒に可溶性のアニリン誘導体の重合体が特に好ましい。
【0048】
また、炭素材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛、気相法黒鉛、石油コークス、石炭コークス、フッ化黒鉛、ピッチ系炭素、ポリアセン等が挙げられる。
本発明のセパレータを電気二重層に応用した場合、本セパレータの電解液保持性が高く、また孔が無い為、液もれ、短絡が起りにくく、サイクル寿命が長く、安全性及び信頼性が高い非水電気二重層コンデンサが得られる。また、液もれや短絡が起りにくいことから、薄型にでき、パッケージの簡単な電気二重層コンデンサが得られる。
本発明の非水電気二重層コンデンサの一例の概略断面図を図2に示す。この例は、大きさ1cm×1cm、厚み約0.5mmの薄型セルで、7は集電体であり、集電体の内側には一対の分極性電極6が配置されており、その間にセパレータ8が配置されている。9は絶縁性樹脂封止剤、10はリード線である。
【0049】
分極性材料としての炭素材料としては、比表面積が大きければ特に制限はないが、比表面積が大きいほど電気二重層の容量が大きくなり好ましい。例えば、ファーネスブラック、サーマルブラック(アセチレンブラックを含む)、チャンネルブラック等のカーボンブラック類や、椰子がら炭等の活性炭、天然黒鉛、人造黒鉛、気相法で製造したいわゆる熱分解黒鉛、ポリアセン及びC60、C70を挙げることができる。
集電体7は電子伝導性で電気化学的に耐食性があり、できるだけ比表面積の大きい材料を用いることが好ましい。例えば、各種金属及びその燒結体、電子伝導性高分子、カーボンシート等を挙げることができる。
電気二重層コンデンサの形状としては、図2のようなシート型のほかに、コイン型、あるいは分極性電極及びセパレータのシート状積層体を円筒状に捲回し、円筒管状のコンデンサ構成用構造体に入れ、封止して製造された円筒型等であっても良い。
【0050】
本発明の非水電気二重層コンデンサに用いる電解質の種類は特に限定されるものではなく、電荷キャリアーとしたいイオンを含んだ化合物を用いればよいが、電解液中での解離定数が大きく、分極性電極と電気二重層を形成しやすいイオンを含むことが望ましい。このような化合物としては、(CH34 NBF4 、(CH3 CH24 ClO4 等の4級アンモニウム塩、AgClO4 等の遷移金属塩、(CH34 PBF4 等の4級ホスホニウム塩、LiCF3 SO3 、LiPF6 、LiClO4 、LiI、LiBF4 、LiSCN、LiAsF6 、LiN(CF3 SO22 、NaCF3 SO3 、NaPF6 、NaClO4 、NaI、NaBF4 、NaAsF6 、KCF3 SO3 、KPF6 、KI等のアルカリ金属塩、パラトルエンスルホン酸等の有機酸及びその塩、塩酸、硫酸等の無機酸等が挙げられる。この中で、出力電圧が高く取れ、解離定数が大きいという点から、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩、アルカリ金属塩が好ましい。4級アンモニウム塩の中では、(CH3 CH2 )(CH3 CH2 CH2 CH23 NBF4 のような、アンモニウムイオンの窒素上の置換基が異なっているものが、電解液への溶解性あるいは解離定数が大きいという点から好ましい。
【0051】
【実施例】
以下に本発明について代表的な例を示し更に具体的に説明する。なお、これらは説明のための単なる例示であって、本発明はこれらに何等制限されるものではない。
【0052】
[実施例1]
<化合物(3)の合成>
【化17】
Figure 0004169134
化合物(1)(KOH価34.0mg/g )50.0g
及び化合物(2)(メタクリロイルオキシエチルイソシアネート) 4.6g を窒素雰囲気中でよく精製したテトラヒドロフラン(THF)100ml に溶解した後、0.44g
のジブチルチンジラウレートを添加する。その後、25℃で約15時間反応させることにより、無色の粘稠液体を得た。その1H-NMR、IR及び元素分析の結果から、化合物(1)と化合物(2)は1対3で反応し、さらに、化合物(2)のイソシアナート基が消失し、ウレタン結合が生成しており、化合物(3)が生成していることがわかった。
【0053】
[実施例2]
<溶媒含有セパレータフィルムの作製>
化合物▲3▼ 1.0g 、ジエチルカーボネート(DEC)1.5g、エチレンカーボネート(EC)1.5g及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(商品名ルシリンTPO、BASF社製)0.004gをアルゴン雰囲気中でよく混合し、光重合性組成物を得た。
上記光重合性組成物をアルゴン雰囲気下、PET フィルム上に塗布後、ケミカル蛍光ランプ(三共電気社製 FL20S.BL)を10分照射したところ、溶媒を含浸した化合物▲3▼重合体フィルムが約30μm の自立フィルムとして得られた。
このフィルムをアルゴン雰囲気下、電解液:1.2M LiPF6 /DEC+EC(重量比1:1)(LiPF6 のDEC+EC混合溶媒の1.2M溶液)に室温で約2時間浸漬したところ、厚み、縦、横各々1.05倍にしか膨張せず、体積としても約1.15倍であり、電気化学素子作製上で問題とならない形状変化であった。浸漬後のフィルムの25℃、−10℃でのイオン伝導度をインピーダンス法にて測定したところ、それぞれ、3.0 ×10-3、1.0×10-3S/cmであった。
【0054】
[実施例3]
<溶媒及び無機微粒子含有セパレータフィルムの作製>
実施例2で調製したと同様の光重合性組成物にアルゴン雰囲気下、無機微粒子としてアルミニウムオキサイドC(日本アエロジル製、比表面積約100m2/g)を0.24g 添加し、攪拌することにより、乳白色の組成物とした。この乳白色光重合性組成物を実施例2と同様に塗布、光照射することにより、溶媒を含浸した化合物▲3▼重合体/アルミニウムオキサイドC複合フィルムが約30μm の白濁色自立フィルムとして得られた。
このフィルムを実施例2と同様にして電解液に浸漬したところ、厚み、縦、横各々1.03倍にしか膨張せず、体積としても約1.09倍であり、実施例2よりさらに形状変化が小さかった。25℃、−10℃でのイオン伝導度をインピーダンス法にて測定したところ、それぞれ、4.0 ×10-3、1.2×10-3S/cmであった。
【0055】
[比較例1]
<電解液及び無機微粒子含有セパレータフィルムの作製>
実施例3で調製したと同様の光重合性組成物にさらにLiPF6 (橋本化成製、電池グレード)4.8gを添加した光重合性組成物を調製した。この乳白色光重合性組成物を実施例2と同様に塗布、光照射することにより、LiPF6 系電解液を含浸した化合物▲3▼重合体/アルミニウムオキサイドC複合フィルムが約30μm の白濁色自立フィルムとして得られた。
このフィルムを実施例2と同様にして電解液に浸漬したところ、厚み、縦、横各々1.03倍にしか膨張せず、体積としても約1.09倍で実施例3と同様であった。25℃、−10℃でのイオン伝導度をインピーダンス法にて測定したところ、それぞれ、3.5 ×10-3、1.0×10-3S/cmであった。
【0056】
[実施例4]
<溶媒含有セパレータフィルムの作製>
化合物▲3▼ 1.0g 、プロピレンカーボネート(PC)1.5g、エチレンカーボネート(EC)1.5g及び2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(商品名ダロキュアー1173、チバガイギー社製)0.003gをアルゴン雰囲気中でよく混合し、光重合性組成物を得た。
上記光重合性組成物をアルゴン雰囲気下、PET フィルム上に塗布後、汎用高圧水銀ランプを5分照射したところ、溶媒を含浸した化合物▲3▼重合体フィルムが約30μm の自立フィルムとして得られた。
このフィルムをアルゴン雰囲気下、電解液(1M テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート(TEAB)/PC+EC(重量比1:1))に室温で約2時間浸漬後に、25℃、−10℃でのイオン伝導度をインピーダンス法にて測定したところ、それぞれ、4.5 ×10-3、1.5×10-3S/cmであった。
【0057】
[実施例5]
<溶媒及び無機微粒子含有セパレータフィルムの作製>
実施例4で調製したと同様の光重合性組成物にアルゴン雰囲気下、無機微粒子としてシリカ微粒子(日本アエロジル製、比表面積約200m2/g)を0.20g 添加し、攪拌することにより、透明の組成物とした。この重合性組成物を実施例4と同様に塗布、光照射することにより、溶媒を含浸した化合物▲3▼重合体/シリカ微粒子複合フィルムが約30μm の自立フィルムとして得られた。
このフィルムを実施例4と同様にして電解液に浸漬後に、25℃、−10℃でのイオン伝導度をインピーダンス法にて測定したところ、それぞれ、5.0 ×10-3、1.7×10-3S/cmであった。
【0058】
[実施例6]
<溶媒及び無機微粒子含有セパレータフィルムの作製>
実施例2で調製した光重合性モノマー溶液にアルゴン雰囲気下、高純度γ−アルミナ微粒子(昭和電工製UA5805,比表面積約85m2/g)を 0.40g添加し、攪拌することにより、乳白色の溶液とした。この乳白色光重合性組成物を実施例2と同様に塗布、光照射することにより、溶媒を含浸した化合物▲3▼重合体/UA5805複合フィルムが約30μm の白濁色自立フィルムとして得られた。
このフィルムを実施例2と同様にして電解液に浸漬後に、25℃、−10℃でのイオン伝導度をインピーダンス法にて測定したところ、それぞれ、2.8 ×10-3、1.0×10-3S/cmであった。
【0059】
[実施例7]
<化合物▲5▼の合成>
Figure 0004169134
化合物▲4▼(平均分子量Mn=550)55g 、化合物▲2▼ 15.5gを窒素雰囲気中でよく精製したTHF100ml に溶解した後、0.66g のジブチルチンジラウレートを添加した。その後、25℃で約15時間反応させることにより、無色の粘稠液体を得た。その1H-NMR、IR及び元素分析の結果から、化合物▲4▼と化合物▲2▼は1対1で反応し、さらに、化合物▲2▼のイソシアナート基が消失し、ウレタン結合が生成しており、化合物▲5▼が生成していることがわかった。
【0060】
[実施例8]
<溶媒含有セパレータフィルムの作製>
化合物▲5▼ 0.3g 、実施例1で合成した化合物▲3▼ 0.7g 、DEC 1.5g 、EC 1.5g 、及びビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド 0.004g をアルゴン雰囲気中でよく混合し、光重合性組成物を得た。
光重合性組成物をアルゴン雰囲気下、PET フィルム状に塗布後、可視光ランプ(三共電気社製 FL20S.BL)を10分照射したところ、溶媒を含浸した化合物▲3▼+▲5▼共重合体フィルムが約30μm の自立フィルムとして得られた。
このフィルムをアルゴン雰囲気下、電解液(1.2M LiClO4 /DEC+EC(重量比1:1))に室温で約2時間浸漬後に、25℃、−10℃でのイオン伝導度をインピーダンス法にて測定したところ、それぞれ、3.3 ×10-3、1.0×10-3S/cmであった。
【0061】
[実施例9]
<溶媒及び無機微粒子含有セパレータフィルムの作製>
実施例8で調製したと同様の光重合性組成物にアルゴン雰囲気下、無機微粒子としてアルミニウムオキサイドCを0.24g 添加し、攪拌することにより、乳白色の組成物とした。この乳白色光重合性組成物を実施例8と同様に塗布、光照射することにより、溶媒を含浸した化合物▲3▼+▲5▼共重合体/アルミニウムオキサイドC複合フィルムが約30μm の白濁色自立フィルムとして得られた。
このフィルムを実施例8と同様にして電解液に浸漬後に、25℃、−10℃でのイオン伝導度をインピーダンス法にて測定したところ、それぞれ、4.0 ×10-3、1.4×10-3S/cmであった。
【0062】
[実施例10]
<溶媒含有セパレータフィルムの作製>
化合物▲6▼:CH3(OCH2CH2))mOCOC(CH3)=CH2 (日本油脂、ブレンマーAE−400,Mw400) 0.3g 、実施例1で合成した化合物▲3▼ 0.7g 、DEC1.0g、PC1.0g、EC 1.0g 、及びルシリンTPO 0.004gをアルゴン雰囲気中でよく混合し、光重合性組成物を得た。
光重合性組成物をアルゴン雰囲気下、プラズマ処理PPフィルム状に塗布後、ケミカル蛍光ランプを10分照射したところ、溶媒を含浸した化合物▲3▼+▲6▼共重合体フィルムが約30μm の自立フィルムとして得られた。
このフィルムをアルゴン雰囲気下、電解液(1.2M LiBF4 /DMC(ジメチルカーボネート)+EC(重量比1:1))に室温で約2時間浸漬後に、25℃、−10℃でのイオン伝導度をインピーダンス法にて測定したところ、それぞれ、1.5 ×10-3、0.8×10-3S/cmであった。
【0063】
[実施例11]
<化合物▲8▼の合成>
Figure 0004169134
化合物▲7▼(2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロ−1−ブタノール、アルドリッチ製)20g 、化合物▲2▼ 15.5gを窒素雰囲気中でよく精製したTHF100ml に混合した後、0.66g のジブチルチンジラウレートを添加する。その後、25℃で約15時間反応させることにより、無色の粘稠液体として化合物▲8▼を得た。その1H-NMR、IR及び元素分析の結果から、化合物▲7▼と化合物▲2▼は1対1で反応し、さらに、化合物▲2▼のイソシアナート基が消失し、ウレタン結合が生成してしていることがわかった。
【0064】
[実施例12]
<化合物(10)の合成>
【化18】
Figure 0004169134
化合物(9)(日本アオジムント製、Zdol平均分子量2000)100g、化合物(2)15.5gを窒素雰囲気中でよく精製したTHF100ml に混合した後、0.66g のジブチルチンジラウレートを添加する。その後、25℃で約15時間反応させることにより、無色の粘稠液体として化合物(10)を得た。その1H-NMR、IR及び元素分析の結果から、化合物(9)と化合物(2)は1対2で反応し、さらに、化合物(2)のイソシアナート基が消失し、ウレタン結合が生成していることがわかった。
【0065】
[実施例13]
<溶媒及び無機微粒子含有セパレータフィルムの作製>
化合物▲8▼ 0.3g 、化合物(10) 0.7g 、DEC 1.5g 、EC 1.5g 、アルミニウムオキサイドC 0.24g及びルシリンTPO 0.002g をアルゴン雰囲気中でよく混合し、光重合性組成物を得た。
上記光重合性組成物をアルゴン雰囲気下、PET フィルム上に塗布後、ケミカル蛍光ランプを10分照射したところ、溶媒を含浸した化合物▲8▼+(10)共重合体/アルミニウムオキサイドC複合フィルムが約30μm の自立フィルムとして得られた。
このフィルムをアルゴン雰囲気下、電解液(1.2M LiPF6 /DEC+EC(重量比1:1))に室温で約2時間浸漬したところ、形状変化しなかった。浸漬後のフィルムの25℃、−10℃でのイオン伝導度をインピーダンス法にて測定したところ、それぞれ、2.0 ×10-3、0.8×10-3S/cmであった。
【0066】
[実施例14]
<溶媒及び無機微粒子含有セパレータフィルムの作製>
化合物▲3▼ 0.6g 、DEC 1.5g 、EC 1.5g 、アルミニウムオキサイドC 0.24g及びルシリンTPO 0.002g をアルゴン雰囲気中でよく混合し、光重合性組成物を得た。
上記光重合性組成物をアルゴン雰囲気下、PET フィルム上に塗布後、ケミカル蛍光ランプを10分照射したところ、溶媒を含浸した化合物▲3▼重合体/アルミニウムオキサイドC複合フィルムが約30μm の自立フィルムとして得られた。
このフィルムをアルゴン雰囲気下、電解液(1.2M LiPF6 /DEC+EC(重量比1:1))に室温で約2時間浸漬したところ、厚み、縦、横各々1.01倍にしか膨張せず、体積としても約1.03倍であり、ほとんど形状変化していなかった。浸漬後のフィルムの25℃、−10℃でのイオン伝導度をインピーダンス法にて測定したところ、それぞれ、6.0 ×10-3、2.0×10-3S/cmであった。
【0067】
[比較例2]
<電解液及び無機微粒子含有セパレータフィルムの作製>
化合物▲3▼ 0.6g 、DEC 1.5g 、EC 1.5g 、LiPF6 4.3g 、アルミニウムオキサイドC 0.24g及びルシリンTPO 0.002g をアルゴン雰囲気中でよく混合し、光重合性組成物を得た。
上記光重合性組成物をアルゴン雰囲気下、PET フィルム上に塗布後、ケミカル蛍光ランプを10分照射したところ、電解液を含浸した化合物▲3▼重合体/アルミニウムオキサイドC複合フィルムが約30μm の自立フィルムとして得られた。
このフィルムをアルゴン雰囲気下、電解液(1.2M LiPF6 /DEC+EC(重量比1:1))に室温で約2時間浸漬したところ、厚み、縦、横各々1.01倍にしか膨張せず、体積としても約1.03倍であり、ほとんど形状変化していなかった。浸漬後のフィルムの25℃、−10℃でのイオン伝導度をインピーダンス法にて測定したところ、それぞれ、5.3 ×10-3、1.6×10-3S/cmであった。
【0068】
[実施例15]
<溶媒含有複合セパレータフィルムの作製>
化合物▲3▼ 0.6g 、DEC 1.5g 、EC 1.5g 、アルミニウムオキサイドC 0.24g及びルシリンTPO 0.002g をアルゴン雰囲気中でよく混合し、光重合性組成物を得た。
上記光重合性組成物をアルゴン雰囲気下、約50μm のポリプロピレン製不織布(日本バイリーン社製、MU3005)に含浸塗布後、高圧水銀ランプを10分照射したところ、電解液を含浸した化合物▲3▼重合体が約50μm のポリプロピレン製不織布との複合フィルムとして得られた。
このフィルムをアルゴン雰囲気下、電解液(1.2M LiPF6 /DEC+EC(重量比1:1))に室温で約2時間浸漬したところ、厚み、縦、横各々1.01倍にしか膨張せず、体積としても約1.03倍であり、ほとんど形状変化していなかった。浸漬後のフィルムの25℃、−10℃でのイオン伝導度をインピーダンス法にて測定したところ、それぞれ、3.0 ×10-3、1.0×10-3S/cmであった。
【0069】
[実施例16]
<溶媒含有複合セパレータフィルムの作製>
化合物▲3▼ 0.6g 、DEC 1.5g 、EC 1.5g 、アルミニウムオキサイドC 0.24g及びルシリンTPO 0.002g をアルゴン雰囲気中でよく混合し、光重合性組成物を得た。
上記光重合性組成物をアルゴン雰囲気下、約50μm のポリエチレン製ネット(250メッシュ)に含浸塗布後、高圧水銀ランプを10分照射したところ、電解液を含浸した化合物▲3▼重合体が約50μm の約50μm のポリエチレン製ネットとの複合フィルムとして得られた。
このフィルムをアルゴン雰囲気下、電解液(1.2M LiPF6 /DEC+EC(重量比1:1))に室温で約2時間浸漬したところ、ほとんど形状変化していなかった。浸漬後のフィルムの25℃、−10℃でのイオン伝導度をインピーダンス法にて測定したところ、それぞれ、3.2 ×10-3、1.2×10-3S/cmであった。
【0070】
[比較例3]
アルゴン雰囲気下、化合物▲3▼ 1.50gに0.01g のルシリンTPOを加えてよく混合した。この混合物をPET フィルム状に塗布後、ケミカル蛍光ランプを10分照射したところ、化合物▲3▼重合体が約20μm の透明な自立フィルムとして得られた。このフィルムを電解液(1.2M LiPF6 /DEC+EC(重量比1:1))中に約2時間浸漬したところ、約2.5倍の電解液をこのフィルムが吸液し、体積としても約3倍に膨張した。浸漬後のフィルムの25℃、−10℃でのイオン伝導度をインピーダンス法にて測定したところ、それぞれ、1.2 ×10-3、 0.5 ×10-3S/cmであった。
【0071】
[実施例17]
<コバルト酸リチウム正極の製造>
11g のLi2 CO3 と24g のCo34 を良く混合し、酸素雰囲気下、800℃で24時間加熱後、粉砕することによりLiCoO2 粉末を得た。このLiCoO2 粉末とアセチレンブラック、ポリフッ化ビニリデンを重量比8:1:1で混合し、さらに過剰のN−メチルピロリドン溶液を加え、ゲル状組成物を得た。この組成物を約25μmのアルミ箔上に1cm×1cm、約200μmの厚さに塗布成型した。さらに、約100℃で24時間加熱真空乾燥することにより、コバルト酸リチウム正極(80mg)を得た。
【0072】
[実施例18]
<黒鉛負極の製造>
MCMB黒鉛(大阪ガス製)、気相法黒鉛繊維(昭和電工(株)製:平均繊維径、0.3 μm 、平均繊維長、2.0 μm 、2700℃熱処理品)、ポリフッ化ビニリデンの重量比 8.6 : 0.4 : 1.0の混合物に過剰のN−メチルピロリドン溶液を加え、ゲル状組成物を得た。この組成物を約15μmの銅箔上に10mm×10mm、約270μmの厚さに塗布成型した。さらに、約100℃で24時間加熱真空乾燥することにより、黒鉛負極(35mg)を得た。
【0073】
[実施例19]
<Liイオン二次電池の製造>
アルゴン雰囲気グローブボックス内で、実施例18で製造した黒鉛負極(10mm×10mm)に電解液(1.2M LiPF6 /DEC+EC(1:1))を含浸させたものに、実施例3で調製した溶媒含浸化合物▲3▼重合体/アルミニウムオキサイドC複合フィルム(12mm×12mm)を黒鉛負極上に貼り合わせ、さらに実施例17で製造したコバルト酸リチウム正極(10mm×10mm)に電解液(1.2M LiPF6 /DEC+EC(1:1))を含浸させたものを貼り合わせ、電池端部をエポキシ樹脂で封印し、図1に示す様な黒鉛/酸化コバルト系Liイオン二次電池を得た。
この電池を、作動電圧2.75〜4.1V、電流0.5mA で充放電を繰返したところ、最大放電容量は7.0mAhで、容量が50%に減少するまでのサイクル寿命は510回であった。
また、この電池を、作動電圧2.5 〜4.1V、電流4.0mA で充放電を繰返したところ、最大放電容量は6.3mAhで、容量が50%に減少するまでのサイクル寿命は420回であった。
【0074】
[比較例4]
<Liイオン二次電池の製造>
アルゴン雰囲気グローブボックス内で、実施例18で製造した黒鉛負極(10mm×10mm)に電解液(1.2M LiPF6 /DEC+EC(1:1))を含浸させたものに、比較例1で調製した電解液含浸化合物▲3▼重合体/アルミニウムオキサイドC複合フィルム(12mm×12mm)を黒鉛負極上に貼り合わせ、さらに実施例17で製造したコバルト酸リチウム正極(10mm×10mm)に電解液(1.2M LiPF6 /DEC+EC(1:1))を含浸させたものを貼り合わせ、電池端部をエポキシ樹脂で封印し、図1に示す様な黒鉛/酸化コバルト系Liイオン二次電池を得た。
この電池を、作動電圧2.75〜4.1V、電流0.5mA で充放電を繰返したところ、最大放電容量は7.0mAhで、容量が50%に減少するまでのサイクル寿命は480回であった。
また、この電池を、作動電圧2.5 〜4.1V、電流4.0mA で充放電を繰返したところ、最大放電容量は5.6mAhで、容量が50%に減少するまでのサイクル寿命は350回であった。
【0075】
[実施例20]
<Liイオン二次電池の製造>
アルゴン雰囲気グローブボックス内で、実施例18で製造した黒鉛負極(10mm×10mm)に電解液(1.2M LiPF6 /DEC+EC(1:1))を含浸させたものに、実施例13で調製した溶媒含浸化合物▲8▼+(10)共重合体/アルミニウムオキサイドC複合フィルム(12mm×12mm)を黒鉛負極上に貼り合わせ、さらに実施例17で製造したコバルト酸リチウム正極(10mm×10mm)に電解液(1.2M LiPF6 /DEC+EC(1:1))を含浸させたものを貼り合わせ、電池端部をエポキシ樹脂で封印し、図1に示す様な黒鉛/酸化コバルト系Liイオン二次電池を得た。
この電池を、作動電圧2.75〜4.1V、電流0.5mA で充放電を繰返したところ、最大放電容量は6.6mAhで、容量が50%に減少するまでのサイクル寿命は600回であった。
また、この電池を、作動電圧2.5 〜4.1V、電流4.0mA で充放電を繰返したところ、最大放電容量は6.4mAhで、容量が50%に減少するまでのサイクル寿命は530回であった。
【0076】
[実施例21]
<Liイオン二次電池の製造>
アルゴン雰囲気グローブボックス内で、実施例18で製造した黒鉛負極(10mm×10mm)に電解液(1.2M LiPF6 /DEC+EC(1:1))を含浸させた後に、その負極上に実施例14で調製した光重合性組成物をアルゴン雰囲気下、バーコート法で約30μmに塗布後、ケミカル蛍光ランプを5分照射したところ、溶媒含浸化合物▲3▼重合体/アルミニウムオキサイドC複合フィルムを黒鉛負極上に形成した。さらに実施例17で製造したコバルト酸リチウム正極(10mm×10mm)に電解液(1.2M LiPF6 /DEC+EC(1:1))を含浸させたものを貼り合わせ、電池端部をエポキシ樹脂で封印し、図1に示す様な黒鉛/酸化コバルト系Liイオン二次電池を得た。
この電池を、作動電圧2.75〜4.1V、電流0.5mA で充放電を繰返したところ、最大放電容量は7.2mAhで、容量が50%に減少するまでのサイクル寿命は480回であった。
また、この電池を、作動電圧2.5 〜4.1V、電流4.0mA で充放電を繰返したところ、最大放電容量は6.6mAhで、容量が50%に減少するまでのサイクル寿命は430回であった。
【0077】
[比較例5]
<Liイオン二次電池の製造>
アルゴン雰囲気グローブボックス内で、実施例18で製造した黒鉛負極(10mm×10mm)に電解液(1.2M LiPF6 /DEC+EC(1:1))を含浸させた後に、その負極上に比較例2で調製した光重合性組成物をアルゴン雰囲気下、バーコート法で約30μmに塗布後、ケミカル蛍光ランプを5分照射したところ、電解液含浸化合物▲3▼重合体/アルミニウムオキサイドC複合フィルムを黒鉛負極上に形成した。さらに実施例17で製造したコバルト酸リチウム正極(10mm×10mm)に電解液(1.2M LiPF6 /DEC+EC(1:1))を含浸させたものを貼り合わせ、電池端部をエポキシ樹脂で封印し、図1に示す様な黒鉛/酸化コバルト系Liイオン二次電池を得た。
この電池を、作動電圧2.75〜4.1V、電流0.5mA で充放電を繰返したところ、最大放電容量は7.2mAhで、容量が50%に減少するまでのサイクル寿命は450回であった。
また、この電池を、作動電圧2.5 〜4.1V、電流4.0mA で充放電を繰返したところ、最大放電容量は6.0mAhで、容量が50%に減少するまでのサイクル寿命は380回であった。
【0078】
[実施例22]
<Liイオン二次電池の製造>
溶媒含浸化合物▲3▼重合体/アルミニウムオキサイドC複合フィルムのかわりに実施例2で製造した溶媒含浸化合物▲3▼重合体フィルムを用いた以外は実施例19と同様にして、図1に示す様な黒鉛/酸化コバルト系Liイオン二次電池を得た。
この電池を、作動電圧2.75〜4.1V、電流0.5mA で充放電を繰返したところ、最大放電容量は6.6mAhで、容量が50%に減少するまでのサイクル寿命は480回であった。
また、この電池を、作動電圧2.5 〜4.1V、電流4.0mA で充放電を繰返したところ、最大放電容量は6.0mAhで、容量が50%に減少するまでのサイクル寿命は380回であった。
【0079】
[実施例23]
<活性炭電極の製造>
椰子がら活性炭とポリフッ化ビニリデンの重量比 9.0 : 1.0の混合物に過剰のN−メチルピロリドン溶液を加え、ゲル状組成物を得た。この組成物をステンレス箔上に1cm×1cmの大きさで約150μmの厚さに塗布した。約100℃で10時間真空乾燥し、活性炭電極(14mg)を得た。
【0080】
[実施例24]
<固体電気二重層コンデンサの製造>
アルゴン雰囲気グローブボックス内で、実施例23で製造した活性炭電極(14mg)1cm×1cmに、電解液(1M TEAB /PC+EC(1:1))を含浸させた電極を二個用意した。次に、実施例5で製造した溶媒含浸化合物▲3▼重合体/シリカ微粒子複合フィルム(12mm×12mm)を一方の電極に貼り合わせ、さらにもう一枚の電極をはり合わせ、コンデンサ端部をエポキシ樹脂で封止することにより、図2に示すような電気二重層コンデンサを製造した。
このコンデンサを、作動電圧0〜2.5V、電流0.2mAで充放電を行なったところ、最大容量は470mFであった。また、この条件で充放電を50回繰り返してもほとんど容量に変化はなかった。
【0081】
【発明の効果】
本発明の非水電気化学用セパレータは溶媒を含浸した高分子を用いており、従来の熱可塑性高分子を用いた多孔質セパレータと比較して孔がなく、均一で、電極との接着性の良好なセパレータとすることができる。また、本セパレータは電解液含浸時にも膨張が抑えられ、また、電解液中の電解質塩がセパレータ中にも容易に拡散し、電気化学素子の電流特性やサイクル特性を向上させることができる。また、本セパレータは形成時には塩を含んでいないことから、従来の高分子固体電解質を用いたセパレータに比較して、吸湿性が少なく、工程管理が簡便となった。また、形成時に塩を添加していないことから、イオン架橋が抑えられ結果としてイオン移動が容易になり、イオン伝導度や電気化学素子の電流特性が向上した。特に高分子の中でもオキシアルキレンおよび/またはウレタン構造を有する架橋高分子が溶媒の保持性にすぐれ、粘弾性に富み、強度も良好である。
さらに、本発明では上記セパレータに無機微粒子を添加することにより、電解液含浸時の膨張が更に抑えられ、強度が向上し、取扱い性を改善できた。また、無機微粒子を添加することにより、電解質塩のセパレータ内の拡散が更に容易になり、電気化学素子の電流特性やサイクル特性を向上させることができる。 また本発明では、(メタ)アクリル基及び/またはウレタン(メタ)アクリル基を有する重合性化合物が硬化特性に優れていることを利用し、これら化合物と有機溶媒または更に無機微粒子を混合した重合性組成物を基材上に配置後、加熱や紫外線等の活性光線照射により、溶媒を含んだセパレータを基材上に容易に製造することが可能となった。
【0082】
本発明では上記セパレータを用いることにより、液もれ、短絡が起りにくく、サイクル寿命が長く、安全性及び長期信頼性、加工性に優れた非水電池が得られた。また、液もれや短絡が起りにくいことから、薄型にでき、パッケージの簡単な非水電池が得られた。また、本発明のセパレータは非水系であるため、低酸化還元電位の負極及び/または高酸化還元電位の正極と組合せることが出来るため、出力電圧が高く、高エネルギー密度の非水一次または二次電池が得られた。
本発明では上記セパレータを用いることにより、液もれ、短絡が起りにくく、サイクル寿命が長く、安全性及び長期信頼性、加工性に優れた非水電気二重層コンデンサが得られた。また、液もれや短絡が起りにくいことから、薄型にでき、パッケージの簡単な非水電気二重層コンデンサが得られた。また、本発明のセパレータは非水系であるため、分極性材料の作動電圧範囲を広げることが可能となり、出力電圧が高く、高エネルギー密度の非水電気二重層コンデンサが得られた。
【0083】
本発明の非水電気化学用セパレータは溶媒を含浸した高分子を用いており、従来の熱可塑性高分子を用いた多孔質セパレータに対して、孔のない均一で電極との接着性が良好で、電解液含浸時にも形状変化がなく、製造が容易で安価なセパレータである。特に高分子の中でもオキシアルキレンおよび/またはウレタン構造を有する架橋高分子を用いた場合、溶媒の保持性が高く、粘弾性に富み、安全性、信頼性、熱安定性に優れるセパレータが得られる。上記セパレータに無機微粒子を添加することにより、高強度で、取扱い性がさらに良好なセパレータが得られる。
【0084】
本発明では上記セパレータを用いることにより、液もれ、短絡が起りにくく、サイクル寿命が長く、安全性及び長期信頼性、加工性に優れ、出力電圧が高く、高エネルギー密度の薄型非水一次または二次電池が得られた。
本発明では上記セパレータを用いることにより、液もれ、短絡が起りにくく、サイクル寿命が長く、安全性及び長期信頼性、加工性に優れ、出力電圧が高く、高エネルギー密度の薄型非水電気二重層コンデンサが得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例中に作製した電池の概略断面図である。
【図2】本実施例中に作製した電気二重層コンデンサの概略断面図である。
【符号の説明】
1 正極
2 セパレータ
3 負極
4 集電体
5 絶縁性樹脂封止剤
6 分極性電極
7 集電体
8 セパレータ
9 絶縁性樹脂封止剤
10 リード線

Claims (14)

  1. オリゴエーテル類及びカーボネート類から選ばれる少なくとも一種の有機溶媒及び一般式(1)または一般式(2)
    Figure 0004169134
    Figure 0004169134
    [式中R1、R2は水素またはアルキル基を表し、R3は炭素数10以下の2価の基を表す。該2価の基はヘテロ原子を含んでいてもよく、直鎖状、分枝状、環状構造のいずれからなるものでもよい。xは0または1〜10の数値を示す。但し、同一分子中の複数個の上記一般式(1)または(2)で表される重合性官能基中のR1、R2、R3及びxの値は、それぞれ独立であり、同じである必要はない。]で表わされる重合性官能基を2つ以上有する少なくとも一種の重合性化合物を重合することによって得られる架橋構造を有する高分子を含む電池用またはキャパシタ用セパレータであって、電解質塩非含有下で製造されることを特徴とする電池用またはキャパシタ用セパレータ。
  2. オリゴエーテル類及びカーボネート類から選ばれる少なくとも一種の有機溶媒、イオン伝導性セラミック微粒子及び非電導性セラミック微粒子から選ばれる少なくとも一種の無機微粒子及び一般式(1)または一般式(2)
    Figure 0004169134
    Figure 0004169134
    [式中R1、R2は水素またはアルキル基を表し、R3は炭素数10以下の2価の基を表す。該2価の基はヘテロ原子を含んでいてもよく、直鎖状、分枝状、環状構造のいずれからなるものでもよい。xは0または1〜10の数値を示す。但し、同一分子中の複数個の上記一般式(1)または(2)で表される重合性官能基中のR1、R2、R3及びxの値は、それぞれ独立であり、同じである必要はない。]で表わされる重合性官能基を2つ以上有する少なくとも一種の重合性化合物を重合することによって得られる架橋構造を有する高分子を含む電池用またはキャパシタ用セパレータであって、電解質塩非含有下で製造されることを特徴とする電池用またはキャパシタ用セパレータ。
  3. 少なくとも一種の高分子がオキシアルキレン構造及び/またはウレタン構造を含んでいることを特徴とする請求項1または2記載の電池用またはキャパシタ用セパレータ。
  4. 少なくとも一種の高分子が架橋構造を有する粘弾性体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一に記載の電池用またはキャパシタ用セパレータ。
  5. 無機微粒子がBET比表面積50m2/g以上で粒子最大径が3μm以下であるアルミナ系、シリカ系、チタニア系及び/またはマグネシア系化合物から選ばれる少なくとも1種である請求項2〜のいずれか一に記載の電池用またはキャパシタ用セパレータ。
  6. 請求項1〜のいずれか一に記載の電池用またはキャパシタ用セパレータを介して、有機溶媒系電解液及び/または高分子固体電解質を含有した正極、有機溶媒系電解液及び/または高分子固体電解質を含有した負極を配置する工程を含むことを特徴とする電池の製造方法。
  7. 請求項1〜のいずれか一に記載の電池用またはキャパシタ用セパレータを介して、有機溶媒系電解液及び/または高分子固体電解質を含浸した2つの分極性電極を配置する工程を含むことを特徴とする非水電気二重層コンデンサの製造方法。
  8. 一般式(1)または一般式(2)
    Figure 0004169134
    Figure 0004169134
    [式中R1、R2は水素またはアルキル基を表し、R3は炭素数10以下の2価の基を表す。該2価の基はヘテロ原子を含んでいてもよく、直鎖状、分枝状、環状構造のいずれからなるものでもよい。xは0または1〜10の数値を示す。但し、同一分子中の複数個の上記一般式(1)または(2)で表される重合性官能基中のR1、R2、R3及びxの値は、それぞれ独立であり、同じである必要はない。]で表わされる重合性官能基を2つ以上有する少なくとも一種の重合性化合物、オリゴエーテル類及びカーボネート類から選ばれる少なくとも一種の有機溶媒を含み、電解質塩を含まない重合性組成物を基材上に配置後、加熱及び/または活性光線照射により硬化させることを特徴とする電池用またはキャパシタ用セパレータの製造方法。
  9. 重合性組成物が無機微粒子を含むことを特徴とする請求項記載の電池用またはキャパシタ用セパレータの製造方法。
  10. 重合性組成物が少なくとも一種の開始剤を含むことを特徴とする請求項または記載の電池用またはキャパシタ用セパレータの製造方法。
  11. 基材が電池用またはキャパシタに用いる電極であることを特徴とする請求項10のいずれか一に記載の電池用またはキャパシタ用セパレータの製造方法。
  12. 請求項10のいずれか一に記載の重合性組成物を、有機溶媒系電解液及び/もしくは高分子固体電解質を含有した正極上、及び/または有機溶媒系電解液及び/もしくは高分子固体電解質を含有した負極上に配置後、加熱及び/または活性光線照射により硬化させることを特徴とする電池の製造方法。
  13. 負極活物質がリチウム、リチウム合金、またはリチウムイオンを吸蔵放出できる炭素材料もしくは無機化合物の少なくとも一種からなる請求項または12記載のリチウム系電池の製造方法。
  14. 請求項10のいずれ一に記載の重合性組成物を、有機溶媒系電解液及び/または高分子固体電解質を含有した少なくとも一つの分極性電極上に配置後、加熱及び/または活性光線照射により硬化させることを特徴とする非水電気二重層コンデンサの製造方法。
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