JPH09278483A - ビスマス系ガラス組成物 - Google Patents

ビスマス系ガラス組成物

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JPH09278483A JP11022096A JP11022096A JPH09278483A JP H09278483 A JPH09278483 A JP H09278483A JP 11022096 A JP11022096 A JP 11022096A JP 11022096 A JP11022096 A JP 11022096A JP H09278483 A JPH09278483 A JP H09278483A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 650℃以下の温度で焼成が可能であるとと
もに、PbOを含有しないために環境問題が生じたり、
電気絶縁性が低下する恐れがない接着、封着、被覆等に
使用可能なガラス組成物を提供する。 【解決手段】 重量百分率でBi23 20〜80
%、B23 5〜35%、BaO 0〜35%、Sr
O 0〜30%、BaO+SrO 5〜40%、ZnO
0〜9%、CaO 0〜10%、Fe23 0〜5
%、CuO 0〜10%、ZnO+CaO+Fe23
+CuO 0.1〜20%、SiO2 0〜8%、Al
23 0〜5%、Cs2 O 0〜5%、F2 0〜5
%の組成を有し、本質的にPbOを含有しないことを特
徴とする。また必要に応じて耐火性フィラーを添加す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子部品の接着、封着、
被覆等に好適なビスマス系ガラス組成物に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来から電子部品の接着や封着材料とし
て、或いは電子部品に形成された電極や抵抗体の保護や
絶縁のための被覆材料としてガラスが用いられている。
【0003】これらのガラスは、その用途に応じて化学
耐久性、機械的強度、流動性、電気絶縁性等種々の特性
が要求されるが、何れの用途にも共通する特性として、
低温で焼成可能であることが挙げられる。それゆえ何れ
の用途においても、ガラスの融点を下げる効果が極めて
大きいPbOを多量に含有した低融点ガラスが広く用い
られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら最近、P
bO含有ガラスに対して環境上の問題が指摘されてお
り、PbOを含まないガラスに置換することが望まれて
いる。またPbOを多量に含有するガラスを用いて電気
絶縁膜を形成すると、Pb2+イオンが拡散して電気絶縁
性が低下し易いという不都合もある。
【0005】本発明は上記事情に鑑みなされたものであ
り、650℃以下の温度で焼成が可能であるとともに、
PbOを含有しないために環境問題が生じたり、電気絶
縁性が低下する恐れがないガラス組成物を提供すること
を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のビスマス系ガラ
ス組成物は、重量百分率でBi23 20〜80%、
23 5〜35%、BaO 0〜35%、SrO
0〜30%、BaO+SrO 5〜40%、ZnO 0
〜9%、CaO 0〜10%、Fe23 0〜5%、
CuO 0〜10%、ZnO+CaO+Fe23 +C
uO 0.1〜20%、SiO2 0〜8%、Al2
3 0〜5%、Cs2 O 0〜5%、F2 0〜5%の
組成を有し、本質的にPbOを含有しないことを特徴と
する。
【0007】
【作用】本発明のビスマス系ガラス組成物の組成を上記
のように限定した理由は次のとおりである。
【0008】Bi23 はガラスの軟化点を下げるため
の主要成分であり、その含有量は20〜80%、好まし
くは40〜75%である。Bi23 の含有量が20%
より少ないと軟化点が高くなり過ぎて650℃以下で焼
成できなくなり、80%より多いと熱膨張係数が大きく
なり過ぎて好ましくない。
【0009】B23 はガラス形成成分として必須であ
り、その含有量は5〜35%、好ましくは7〜25%で
ある。B23 の含有量が5%より少ないとガラスが不
安定になって失透し易くなる。また失透を生じない場合
でも、焼成時に結晶の析出速度が極めて大きく、接着、
封着、被覆等の作業に必要な流動性が得られない。一
方、B23 が35%より多くなるとガラスの粘性が高
くなり過ぎて650℃以下の温度で焼成が困難になる。
【0010】BaOとSrOはガラスの安定化に大きな
効果があり、これらを合量で5〜40%、好ましくは7
〜30%含有する。これらの成分の合量が5%より少な
いとその効果がなく、一方、40%より多くなると逆に
安定なガラスが得られなくなる。またBaOの含有量は
0〜35%、好ましくは0〜25%、SrOの含有量は
0〜30%、好ましくは0〜20%である。BaO及び
SrOがそれぞれその範囲を超えると安定なガラスが得
られなくなる。
【0011】ZnO、CaO、Fe23 及びCuOは
何れもガラスを安定化させるための成分であり、その含
有量は合量で0.1〜20%、好ましくは1〜15%で
ある。これらの成分が合量で0.1%より少ないとその
効果がなく、20%より多いと逆にガラスが不安定にな
る。またZnOの含有量は0〜9%、好ましくは0.1
〜9%、CaOの含有量は0〜10%、好ましくは0〜
5%、Fe23 の含有量は0〜5%、好ましくは0〜
4%、CuOの含有量は0〜10%、好ましくは0〜5
%である。各成分の含有量が上記範囲を超えると逆に安
定なガラスが得られなくなる。
【0012】SiO2 及びAl23 は何れもガラスを
より安定化させるために含有させる成分であり、SiO
2 の含有量は0〜8%、好ましくは0〜5%、Al2
3 の含有量は0〜5%、好ましくは0〜4%である。こ
れらの成分が上記範囲を超えるとガラスの粘性が高くな
り過ぎたり、失透し易くなって好ましくない。
【0013】Cs2 OとF2 はガラスをより低粘性化す
る成分であり、Cs2 Oの含有量は0〜5%、好ましく
は0〜3%、F2 の含有量は0〜5%、好ましくは0〜
2%である。これらの成分が上記範囲を超えるとガラス
の化学耐久性が低下する。
【0014】なお上記成分以外にも、ガラスの粘性や熱
膨張係数の調整のために、MgO、La23 、TiO
2 、ZrO2 、V25 、Nb25 、MoO3 、WO
3 、Ag2 O、Na2 O、K2 O、Li2 O等を5%以
下添加することが可能である。
【0015】以上の組成を有するガラスは、ガラス転移
点が約500℃以下であり、良好な流動性を示す非結晶
性又は結晶性のガラスである。また30〜300℃にお
ける熱膨張係数が約80×10-7/℃以上であり、これ
と適合する高膨張材料を650℃以下の温度で接着、封
着又は被覆することが可能である。
【0016】一方、熱膨張係数の適合しない材料の接
着、封着又は被覆を行う場合、対象物との熱膨張係数差
を是正するために、耐火性フィラーを混合して使用する
ことが可能である。また機械的強度が不足する場合も耐
火性フィラーを混合して使用することができる。
【0017】耐火性フィラーを混合する場合、その混合
割合はガラス45〜95体積%と耐火性フィラー55〜
5体積%であることが好ましい。両者の割合をこのよう
に限定した理由は、耐火性フィラーが5体積%より少な
いとその効果がなく、55体積%より多くなると流動性
が悪くなるためである。
【0018】耐火性フィラーとしては、チタン酸鉛系セ
ラミック、ウイレマイト系セラミック、β−ユークリプ
タイト、コーディエライト、ジルコン系セラミック、酸
化錫系セラミック、ムライト、石英ガラス、アルミナ等
の粉末を単独、或は組み合わせて使用することが好まし
い。
【0019】なお本発明のビスマス系ガラス組成物の具
体的な用途としては、蛍光表示管−パッケージの封
着、絶縁層の形成、プラズマディスプレイ−パネルの
気密封着、絶縁層や誘電体層の形成、バリアリブの形
成、磁気ヘッド−コア同士又はコアとスライダーの封
着、等が挙げられる。また使用時の形態は特に制限はな
く、粉末状、板状、棒状等、その用途に応じて種々の形
態に成形して使用すればよい。
【0020】
【実施例】以下、本発明のビスマス系低融点ガラス組成
物を実施例に基づいて詳細に説明する。
【0021】表1及び表2は、本発明の実施例(試料N
o.1〜12)を示すものである。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】表の各試料は次のようにして調製した。
【0025】まず表に示したガラス組成となるように各
種酸化物、炭酸塩等を調合したガラスバッチを準備し、
これを白金坩堝に入れて900〜1100℃で2時間溶
融した後、溶融ガラスをステンレス製の金型に流しだし
成形した。得られた各試料について、ガラス転移点、3
0〜300℃における熱膨張係数、焼成温度、及び結晶
性か非結晶性かを評価した。結果を表に示す。
【0026】表から明らかなように、No.1〜12の
各試料は、ガラス転移点が370〜504℃、30〜3
00℃の温度範囲における熱膨張係数が80〜118×
10-7/℃であり、焼成温度が650℃以下であった。
また試料No.1〜4、No.6〜9、及びNo.12
は非結晶性、No.5、No.10及びNo.11は結
晶性であった。
【0027】なお転移点は示差熱分析装置(DTA)に
より求めた。熱膨張係数は、成形したガラス体を直径4
mm、長さ40mmの円柱状に研磨加工し、押し棒式熱
膨張係数測定装置を用いて測定した。焼成温度は、次の
ようにして求めた。まずガラス体を粉砕してガラス粉末
を得、ガラスの真比重に相当する重量のガラス粉末を金
型を用いて外径20mm、高さ約5mmのボタン状に加
圧成形した。次いでこのボタンを板ガラスの上に載せて
電気炉に入れ、10℃/分の速度で昇温し、種々の温度
で10分間保持した。このようにして得られたボタンの
外径が21〜22mmの範囲にある温度を焼成温度とし
た。また結晶性か非結晶性かの判定は、焼成温度で10
分間加熱された後の試料の外観を顕微鏡で観察し、結晶
の析出状態から評価した。
【0028】
【発明の効果】以上のように本発明のビスマス系ガラス
組成物は、PbOを含有しないため、環境問題を引き起
こす心配がない。また650℃以下の温度で焼成できる
ため、従来のPbOを含有する低融点ガラスの代替材料
として、電子部品の接着、封着、被覆等の用途に使用す
ることが可能である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量百分率でBi23 20〜80
    %、B23 5〜35%、BaO 0〜35%、Sr
    O 0〜30%、BaO+SrO 5〜40%、ZnO
    0〜9%、CaO 0〜10%、Fe23 0〜5
    %、CuO 0〜10%、ZnO+CaO+Fe23
    +CuO 0.1〜20%、SiO20〜8%、Al2
    3 0〜5%、Cs2 O 0〜5%、F2 0〜5%
    の組成を有し、本質的にPbOを含有しないことを特徴
    とするビスマス系ガラス組成物。
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