JPH09228248A - 炭素繊維およびその製造方法ならびにその炭素繊維を使用したプリプレグ - Google Patents
炭素繊維およびその製造方法ならびにその炭素繊維を使用したプリプレグInfo
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- JPH09228248A JPH09228248A JP8050950A JP5095096A JPH09228248A JP H09228248 A JPH09228248 A JP H09228248A JP 8050950 A JP8050950 A JP 8050950A JP 5095096 A JP5095096 A JP 5095096A JP H09228248 A JPH09228248 A JP H09228248A
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Abstract
優れた炭素繊維およびその製造方法ならびにそれを用い
たプリプレグを提供する。 【解決手段】 X線光電子分光法により測定される炭素
繊維の表面比酸素濃度O/Cが0.02以上0.2以
下、表面比窒素濃度N/Cが0.02以上0.3以下で
あって、粒子径0.01μm以上5μm以下の微粒子と
サイジング剤が付着していることを特徴とする炭素繊
維、およびその製造方法、それを用いたプリプレグ。
Description
の製造方法に関し、さらに詳しくは、複合材料の成形性
に優れ、さらには高次加工性の優れた炭素繊維およびそ
の製造方法ならびにその炭素繊維を使用したプリプレグ
に関する。
合材料として利用されているが、炭素繊維の特性を複合
材料に活かすために、炭素繊維に様々な表面処理が施さ
れてきた。また、炭素繊維あるいは黒鉛繊維は本質的に
剛直で脆いため、耐屈曲性や耐擦過性の不足により毛羽
を発生しやすく、炭素繊維の製造工程あるいはその高次
加工工程において糸切れを発生しやすい。そこで炭素繊
維に集束性を付与し、耐屈曲性や耐擦過性を改善するた
め、通常炭素繊維には各種サイジング剤が付与される。
サイジング剤には毛羽発生防止などの上記目的に加え
て、炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性を改善でき
る場合もある。
てマトリックス樹脂を含浸させたプリプレグとして用い
られている。さらに、このプリプレグを数枚程度積層
し、高温加圧下で成形し、複合材料を得ている。この成
形工程においては、マトリックス樹脂の粘度低下によっ
て樹脂が成形物の外に流れ易くなり、このため単繊維の
アライメント乱れの防止や、積層プリプレグ間での滑り
を抑制し、かつ成形品のボイドを無くすことが重要にな
っている。しかし、この成形性の改善は、主に成形技術
でカバーされているが、まだ充分に解決されていない。
く拡幅された状態のプリプレグにおいては、クロス積層
体でプリプレグ/プリプレグ層間で滑りが生じる場合が
あり、最終的に目的の成形物が得られない場合がある。
み、炭素繊維表面状態と複合材料の成形性に与える影響
について鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至
った。
のような問題点を解決すること、すなわち、微粒子およ
びサイジング剤が付着した炭素繊維であって、複合材料
の成形性に優れ、さらには高次加工性の優れた炭素繊維
および該炭素繊維を使用したプリプレグを製造し、結果
として得られる複合材料の機械的特性を良好なものとし
得る炭素繊維を提供することにある。
ために、本発明の炭素繊維は以下の構成を有する。すな
わち、X線光電子分光法により測定される炭素繊維の表
面比酸素濃度がO/Cが0.02以上0.2以下、表面
比窒素濃度N/Cが0.02以上0.3以下であって、
粒子径0.01μm以上5.0μm以下の微粒子とサイ
ジング剤が付着していることを特徴とする炭素繊維であ
る。
ような炭素繊維を使用したものからなり、該炭素繊維と
マトリックス樹脂とを含むものからなる。
本発明の炭素繊維の製造方法は以下の構成を有する。す
なわち、X線光電子分光法により測定される表面比酸素
濃度がO/Cが0.02以上0.2以下、表面比窒素濃
度N/Cが0.02以上0.3以下である炭素繊維を、
粒径が0.01μm以上5μm以下の水分散可能な微粒
子を含有した水溶性または水分散性サイジング剤で含浸
処理することを特徴とする炭素繊維の製造方法である。
詳細に説明する。プリプレグの成形過程で樹脂流れにつ
いて詳細に検討したところ、炭素繊維の横断面が円形な
ほど、繊維表面が平滑なほど繊維束の撚り数が少ないほ
ど、単繊維のアライメントが良いほど、またマトリック
ス樹脂の粘度が低いほど成形時の樹脂流れが多くなるこ
とがわかった。
のアライメントが特に良い部分では、樹脂流れが周辺よ
り比較的多くなる。また、特に円形断面の炭素繊維がア
ライメント良く拡幅された状態のプリプレグでは、樹脂
流れがさらに多く、成形物から流れ出るマトリックス樹
脂量が過多になる。またクロス積層体ではプリプレグ/
プリプレグ層間で滑りが生じる場合があり、最終的に目
的の成形物が得られないのである。
トリックス樹脂の粘度が低いプリプレグの成形性を向上
させるために、成形時の樹脂粘度低下を抑制させる検討
を行い、炭素繊維の表面状態を特定し、微粒子及びサイ
ジング剤を付着させることによって成形性と高次加工性
を同時に向上できることがわかった。
て粘度低下したマトリックス樹脂が成形物外に流れ出す
ことを抑制し、かつ、成形物のボイド生成を防ぎ、樹脂
流れを制御する役割を果たさせるため、微粒子は特定の
大きさで、かつ特定量でもって、炭素繊維束を覆い、か
つ炭素繊維束内に均一に入ることが重要である。
等を用いることができる。本発明において無機微粒子と
は、例えば珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、グラ
ファイト、シリカ、マイカ、アルミナ、ステンレス、セ
ラミック等の微粒子をいう。また、本発明において有機
微粒子とは、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、
ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、ポリ塩化ビニ
ル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ス
チレン−ブタジエン共重合体、シリコンゴム、ゴム等の
微粒子をいう。これらの微粒子は単一成分で使用しても
よく、また2種以上併用し混合物として用いてもよい。
下、好ましくは3μm以下、さらに好ましくは1μm以
下とするものである。微粒子の粒径が5μmを超える
と、成形時の樹脂流れは減少するものの、微粒子の存在
によって炭素繊維が屈曲、切断し、その結果として得ら
れる繊維強化複合材料(コンポジット)の引張特性とし
て所望の物性が得られない可能性がある。
m以上、好ましくは0.05μm以上、更に好ましくは
0.1μm以上が望ましい。微粒子の粒径が0.01μ
mに満たないと、微粒子による成形時の樹脂流れの向上
が不十分になる。
単位重量あたり5重量%以下、好ましくは2重量%以
下、さらに好ましくは1重量%以下とするものである。
微粒子の付着量が5重量%を超えると、成形時の樹脂流
れが減少するものの、成形後にマトリックス樹脂の熱的
特性等が劣化する恐れがあり、さらに微粒子の存在が異
物となり、得られるコンポジット引張特性は所望の物性
が得られない可能性がある。
重量%以上、好ましくは0.07重量%以上、更に好ま
しくは0.1重量%以上が望ましい。微粒子の付着量が
0.05重量%に満たないと、微粒子による成形性の向
上が不十分になる。
炭素繊維との接着剤の役割および炭素繊維の集束性、耐
擦過性向上の役割を果たさせるため、サイジング剤は微
粒子を炭素繊維表面上に付着・保持させ、かつ微粒子の
表面も同時に覆うことが重要である。炭素繊維と微粒子
が直接付着した場合、表面処理工程、製造工程およびプ
リプレグ化工程で脱落する可能性があり、かつ、接着性
が乏しいため成形後剥離し、横方向特性が低くなる可能
性がある。また、微粒子の表面がサイジング剤で覆われ
ていない場合、炭素繊維束の集束性が低くなり、擦過に
よる糸切れ、毛羽発生の可能性がある。また、サイジン
グ剤に使用する溶媒は、取扱が容易で防災の観点から特
に水が望ましい。
定されるものではないが、通常の場合は、成形材料に使
用される樹脂と同じ種類の樹脂、例えばポリアルキレン
グリコール、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン、ビニ
ルエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエ
ステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリア
ミドイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノ
ール樹脂等が挙げられる。また、これらの樹脂は単一成
分で使用してもよく、また2種以上併用し混合物として
もよく、さらに水分散させるため界面活性剤等を添加し
て用いてもよい。
は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、またはビスフェノールAのエチレンオキサイド付加
物等が挙げられる。
ジルエーテル、ジグリセロールジグリシジルエーテル、
ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、ヒド
ロキシアルキル化ビスフェノールAジグリシジルエーテ
ル等の親水性グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビス
フェノールAジグリシジルエーテル、フェノールノボラ
ックポリグリシジルエーテル、N,N,N',N'-テトラグリシ
ジルジアミノジフェニルメタン等の公知のグリシジルエ
ーテル型、ポリエポキシ化合物、グリシジルエステル型
ポリエポキシ化合物、直鎖状脂肪族ポリエポキシ化合物
および脂環式ポリエポキシ化合物を界面活性剤による乳
化分散物が挙げられる。
和二塩基酸を含む二塩基酸と公知の二価アルコールの重
縮合反応によって得られてものであればよく、具体的に
は不飽和二塩基酸では、無水マレイン酸、フマル酸、イ
タコン酸等が、二価アルコールではエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコー
ル、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコー
ル、トリエチレングリコール、水素化ビスフェノール
A、ビスフェノールジヒドロキシプロピルエーテル等が
挙げられ、また不飽和基濃度調節、可撓性、耐熱性、耐
薬品性などの性質を付与するため二塩基酸では無水フタ
ル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸無水物、
アジピン酸、アゼライン酸、セパシン酸、テトラヒドロ
無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラブロ
ム無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、無水ヘッ
ト酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸などが
縮合反応物として加えてもよい。
アネートと公知の活性水素化合物(ポリオール等)を主
成分とした組成物の反応生成物であればよく、具体的に
はポリイソシアネートでは、トリレンジイソシアネー
ト、ジフェノルメタンジイソシアネート、ポリメチレン
ポリフェニルポリイソシアネート、トリジンジイソシア
ネート、ナフタリンジイソシアネート、ヘキサメチレン
ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシ
リレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネ
ート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が、
活性水素化合物では、ポリプロピレングリコール、ポリ
テトラメチレングリコールとこれらの変性体のポリエー
テルポリオール類、ポリエステルポリオール類が挙げら
れる。
素繊維単位重量当たり5重量%以下、好ましくは3重量
%以下、さらに好ましくは1重量%以下とするものであ
る。エポキシ樹脂の付着量が5重量%を超えると、微粒
子の接着剤としての役割は果たせるものの粘着によって
繊維束の解舒特性が不十分になる可能性がある。
0.05重量%以上、好ましくは0.07重量%以上、
更に好ましくは0.1重量%以上が望ましい。サイジン
グ剤の付着量が0.05重量%に満たないと、微粒子の
接着剤としての役割が果たせず微粒子の繊維表面からの
脱落が多くなり、製造およびプリプレグ化過程で接触す
るローラ等が汚れる可能性がある。
サイジング剤が付着され、かつ、下記表面特性を有する
ものである。
び表面比窒素濃度N/Cを特定することによって成形性
が向上する。この理由、特に樹脂流れが抑制される理由
は明確でないものの次の様に考えている。すなわち、炭
素繊維の表面に特定の官能基が特定量存在することによ
って、マトリックス樹脂との親和性、特に濡れ性が向上
すると考えられる。これによって、プリプレグ成形過程
でのマトリックス樹脂の粘度変化が小さくなり、特にマ
トリックス樹脂の最低粘度が高くなることによって、樹
脂流れが小さくなるものと考えられる。特に表面比窒素
濃度N/Cの特定により、マトリックス樹脂の親和性が
高く、マトリックス樹脂の粘度低下が抑制され、成形性
に効果がある。しかし、この粘度低下だけでは樹脂流れ
の防止は不十分であり、上記微粒子およびサイジング剤
の付着を組み合わせることによって初めて成形性が大幅
に向上するのである。
り測定される表面比酸素濃度O/Cは0.2以下であ
り、好ましくは0.15以下、さらに好ましくは0.1
以下とするのが望ましい。O/Cが0.2を超えると、
樹脂の官能基と炭素繊維最表面との化学結合は強固にな
るものの、本来炭素繊維基質自身が有する強度よりもか
なり低い酸化物層が炭素繊維表層を覆うことになるた
め、結果として得られるコンポジットの横方向特性は低
いものとなってしまう場合がある。
り、好ましくは0.04以上、更に好ましくは0.06
以上が望ましい。O/Cが0.02に満たないと、上述
したマトリックス樹脂およびサイジング剤との濡れ性が
低くなるために、微粒子を保持することができず、結果
として成形性およびコンポジット特性の向上効果を発現
できない場合がある。
表面比窒素濃度N/Cは0.02以上であり、好ましく
は0.03以上、より好ましくは0.04以上とするの
が望ましい。該N/Cが0.02未満の炭素繊維は、上
述マトリックス樹脂と濡れ性が低くなるために樹脂粘度
低下を抑制できず、結果として成形性およびコンポジッ
ト特性の向上効果を発現できない場合がある。
り、好ましくは0.25以下、さらに好ましくは0.2
以下が望ましい。すなわちN/Cが0.3を超えると、
マトリックス樹脂との親和性が過剰になるだけで、マト
リックス樹脂の樹脂流れや接着力特性のさらなる向上は
望めず、かつ、引張強度が低下する場合がある。
手順に従ってX線光電子分光法により求めた値をいう。
先ず、溶媒でサイジング剤などを除去した炭素繊維束を
カットしてステンレス製の試料支持台上に拡げて並べた
後、光電子脱出角度を90°とし、X線源としてMgK
α1,2 を用い、試料チャンバー内を1×10-8Torrの真
空度に保つ。測定時の帯電に伴うピークの補正として、
まずC1sの主ピークの結合エネルギー値を284.6 eVに合
わせる。C1Sピーク面積は、 282〜296 eVの範囲で直線
のベースラインを引くことにより求め、O1Sピーク面積
は、 528〜540eVの範囲で直線のベースラインを引くこ
とにより求める。表面比酸素濃度O/Cは、上記O1Sピ
ーク面積とC1Sピーク面積の比を、装置固有の感度補正
値で割ることにより算出した原子数比で表す。なお、本
発明の実施例では島津製作所(株)製ESCA−750
を用い、上記装置固有の感度補正値は2.85であっ
た。
順に従ってX線光電子分光法により求めた値をいう。先
ず、溶媒でサイジング剤などを除去した炭素繊維束をカ
ットしてステンレス製の試料支持台上に拡げて並べた
後、光電子脱出角度を90°とし、X線源としてMgK
α1,2 を用い、試料チャンバー内を1×10-8Torrの真
空度に保つ。測定時の帯電に伴うピークの補正として、
まずC1sの主ピークの結合エネルギー値を284.6 eVに合
わせる。C1Sピーク面積は、 282〜296 eVの範囲で直線
のベースラインを引くことにより求め、N1Sピーク面積
は、 398〜410 eVの範囲で直線のベースラインを引くこ
とにより求める。表面比窒素濃度N/Cは、上記N1Sピ
ーク面積とC1Sピーク面積の比を、装置固有の感度補正
値で割ることにより算出した原子数比で表す。なお、本
発明の実施例では島津製作所(株)製ESCA−750
を用い、上記装置固有の感度補正値は1.7であった。
(尚、これはJIS−R7601で測定することができ
るが)、ストランド強度が3,400MPa以上、より
好ましくは3,900MPa以上、さらに好ましくは
4,400MPa以上が望ましい。また、炭素繊維の弾
性率は210GPa以上が好ましく、230GPa以上
がより好ましく、270GPa以上がさらに好ましい。
ストランド強度あるいは弾性率がそれぞれ3,400M
Pa未満あるいは210GPa未満の炭素繊維の場合に
は、コンポジットとしたときに、構造材として所望の特
性が得られない場合がある。
本以上、好ましくは24,000本以上の単繊維が束に
なった繊維束が望ましい。単繊維が12,000本未満
の場合には、プリプレグ製造時に導入する繊維束の本数
が多くなり、炭素繊維束の重なる箇所も多くなるため
に、炭素単繊維のアライメントが乱れて、結果としてマ
トリックス樹脂の樹脂流れの向上効果が不十分になる場
合がある。さらに、製造装置が巨大になる場合がある。
数が実質的に0以上1ターン/m(炭素繊維束1m当た
りの撚り数)以下、より好ましくは0以上0.1ターン
/m以下、さらに好ましくは0以上0.05ターン/m
が望ましい。撚り数が1ターン/mを超える場合には、
微粒子による成形時の樹脂流れの向上が不十分になる。
また、炭素繊維の横断面が円形であるのが望ましい。円
形でない場合、微粒子による成形時の樹脂流れの向上が
不十分になる。さらに、炭素繊維表面が平滑であるのが
好ましい。表面が平滑でない場合、微粒子による成形時
の樹脂流れの向上が不十分になる。
織布、織物などの種々な形態で使用できる。また、特に
該炭素繊維に未硬化のマトリックス樹脂が含浸されたシ
ート状中間基材であるプリプレグとして用いる場合に、
樹脂流れの抑制の効果が大きく好ましい。さらには一方
向シート状プリプレグが好ましい。また使用するマトリ
ックス樹脂は、好ましくは最低粘度が200cps以
下、より好ましくは100cps以下、さらに好ましく
は50cps以下が望ましい。最低粘度が200cps
を超える場合は、プリプレグの成形時に起こる樹脂流れ
量が少ないため、本発明の炭素繊維の樹脂流れ抑制効果
が小さくなる。ここで、マトリックス樹脂の最低粘度と
は、動的粘弾性測定装置を用い、半径25mmの平行円
盤を用い、室温より樹脂の硬化温度まで、昇温速度1.
5℃/min、周波数3.14rad/sの条件で、動
的粘弾性の温度依存性を測定し求める。なお、本発明で
はレオメトリックス社製RDA−IIを用いた。
い方法について説明する。本発明の方法に供せられる原
料炭素繊維としては、アクリル系、ピッチ系、レーヨン
系等の炭素繊維を適用できる。好ましくは高強度の炭素
長繊維が得られやすいアクリル系炭素繊維がよい。アク
リル系炭素繊維の場合を例にとって以下詳細に説明す
る。
採用できるが、高強度糸が得られ易い湿式あるいは乾湿
式が好ましく、特に乾湿式が好ましい。紡糸原液にはポ
リアクリロニトリルのホモポリマーあるいは共重合成分
の溶液あるいは懸濁液等を用いることができるが、ろ過
を強化して不純物をポリマーから除去することが、高性
能炭素繊維を得るために重要である。
して前駆体原糸とし、さらに耐炎化、炭化、さらには必
要に応じて黒鉛化処理を行って炭素繊維とする。製糸、
焼成工程を通して、溶液あるいは雰囲気から塵埃、異物
といった不純物を最小限に抑えて、繊維への欠陥導入を
防ぐこと、張力をかけて配向を高くすることが高性能炭
素繊維を得るために重要である。炭化あるいは黒鉛化条
件として、本発明炭素繊維を得るには最高熱処理温度は
1,100℃以上、好ましくは1,400℃以上がよ
い。
めには細繊度の炭素繊維が好ましく、炭素繊維の単糸径
で7.5μm以下、好ましくは6μm以下、さらに好ま
しくは5.5μm以下がよい。得られた炭素繊維はさら
に表面処理及びサイジング処理がなされて炭素繊維とな
る。
電解処理に用いられる電解液としては、硫酸、硝酸、塩
酸などの酸や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水
酸化バリウム等の水酸化物、アンモニア、または、炭酸
ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩類、酢酸ナ
トリウム、安息香酸ナトリウム等の有機塩類の水溶液、
さらにはこれらのカリウム塩、バリウム塩あるいは他の
金属塩、およびアンモニウム塩、またヒドラジン等の有
機化合物が挙げられる。
表面比酸素濃度O/Cおよび表面比窒素濃度N/Cを前
記した特定の範囲とする炭素繊維は、アンモニウム塩水
溶液中で電解することにより得ることができる。
イオンを含む水溶液であればよく、具体的には、電解液
として、例えば硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、
過硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニ
ウム、燐酸二水素アンモニウム、燐酸水素二アンモニウ
ム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム等あるい
はそれらの混合物などを用いることができるが、なかで
も硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニ
ウム、炭酸アンモニウム及び炭酸水素アンモニウムが好
ましく、特に炭酸水素アンモニウム及び炭酸水素アンモ
ニウムは、水洗後および乾燥後の炭素繊維表面に残査が
少なく好ましい。
リットル、好ましくは0.1〜1モル/リットルがよ
い。すなわち、濃度が濃いほど電解処理電圧が下がる
が、臭気が強くなり環境が悪化するので、最適化するこ
とが好ましい。
くは10〜40℃がよい。すなわち温度が高いと臭気が
強くなるため低温が好ましいので、運転コストとの兼ね
合いで最適化することが好ましい。
て最適化することが好ましく、高弾性率糸はより大きな
電気量が必要である。表層の結晶性の低下を進ませ、生
産性を向上させる一方、炭素繊維基質の強度低下を防ぐ
観点から、電解処理は小さい電気量で複数回処理を繰り
返すのが好ましい。具体的には、電解槽1槽当たりの通
電電気量は5クーロン/g・槽(炭素繊維1g当たりの
クーロン数)以上、100クーロン/g・槽以下、より
好ましくは10クーロン/g・槽以上、80クーロン/
g・槽以下、さらに好ましくは20クーロン/g・槽以
上、60クーロン/g・槽以下がよい。また、表層の結
晶性の低下を適度な範囲とする観点からは通電電気量の
総電気量は5〜1,000クーロン/g、さらには10
〜500クーロン/gの範囲とすることが好ましい。
より好ましい。設備コストの面から10槽以下が好まし
く、電気量、電圧、電流密度等から最適化することが好
ましい。
に酸化し、かつ安全性を損なわない観点から、電解処理
液中の炭素繊維の表面積1m2 当たり1.5アンペア/
m2以上1,000アンペア/m2 以下、好ましくは3
アンペア/m2 以上500アンペア/m2 以下が良い。
処理時間は、数秒から十数分が好ましく、さらには10
秒から2分程度が好ましい。
さらには0.5〜20Vの範囲が好ましい。電解処理時
間は電気量、電解質濃度により最適化すべきであるが、
生産性の面から数秒〜10分、好ましくは10秒〜2分
程度がよい。電解処理方式としては、バッチ式、連続式
いずれでもよいが、生産性が良くバラツキが小さくでき
る連続式が好ましい。通電方法としては、炭素繊維を電
極ローラに直接接触させて通電させる直接通電、あるい
は炭素繊維と電極の間に電解液等を介して通電させる間
接通電のいずれも採用することができるが、電解処理時
の毛羽立ち、電気スパーク等が抑えられる間接通電が好
ましい。
べて1度通糸しても、1槽の電解槽に必要回数通糸して
もよい。
とが好ましい。この場合、乾燥温度が高すぎると炭素繊
維の最表面に存在する官能基は熱分解により消失し易い
ため、できる限り低い温度で乾燥することが望ましく、
具体的には乾燥温度が250℃以下、さらには好ましく
は210℃以下で乾燥することが望ましい。
およびサイジング剤を付与する。本発明の炭素繊維を得
るためには、微粒子およびサイジング剤を付与するに際
して、繊維束が充分に拡幅されていることが重要である
ため、繊維束は実質的に撚りのないことが好ましい。最
も好ましくは、繊維束の厚み方向における単繊維の重な
りがほとんどないほどに繊維束を拡幅することである。
微粒子およびサイジング剤を付与するに際して、繊維束
が充分に拡幅されていないと、微粒子およびサイジング
剤の大部分が繊維束の外周にのみ付着してしまい、単繊
維一本一本の周りに付着されなくなってしまうことにな
る。
与は、微粒子とサイジング剤が混合された含浸液が望ま
しい。微粒子を先に付与した場合、微粒子が炭素繊維に
直接付着し、付与後の乾燥工程で微粒子が飛散し、かつ
ローラ等の接触により微粒子が脱落する可能性がある。
また、微粒子を後に付与した場合、微粒子がサイジング
剤上に付着し、微粒子の表面が露出しているために擦過
による糸切れ、毛羽発生が発生する可能性がある。ま
た、微粒子を均一に分散させるため含浸液を機械的に撹
拌させてもよく、さらに均一に分散させるため新たに分
散剤に添加してもよい。
浸は、拡幅した状態で含浸液に繊維束を浸漬するのが好
ましく、さらに曲面体で振動を与えた後、ローラ等を介
さずに直ちに含浸液に浸漬するのが好ましい。また、含
浸液浸漬時に、繊維束に振動、超音波を付与することも
できる。さらに含浸液を繊維束に吹き付けるスプレー
法、繊維束の上方から含浸液を滴下する適下法などを採
用してもよい。また、含浸液を槽内で循環し濃度を均一
に保つことが望ましい。また、バッチ式、連続式いずれ
でもよいが、生産性が良くバラツキが小さくできる連続
式が好ましい。この際、炭素繊維に対する微粒子濃度、
サイジング剤濃度、温度、糸条張力などをコントロール
することが好ましい。また、含浸液に使用する溶媒は、
取扱が容易で防災の観点から特に水が望ましい。
乾燥工程における乾燥温度は150℃以上350℃以下
が好ましく、180℃以上250℃以下がより好まし
い。乾燥温度が150℃未満であるとサイジング剤の溶
媒が完全に除去できず複合材料の接着特性が所望の物性
に至らない場合があり、また350℃を超えるとサイジ
ング剤の硬化が進み過ぎ、炭素繊維束が固くなって繊維
束の拡がり性が不十分となるなる可能性がある。
説明する。まず、本発明に用いた個々の特性値の測定法
を説明する。 (1)微粒子付着量、サイジング付着量 微粒子およびサイジング剤の付着量は以下のように求め
た。まず、サイジング剤および微粒子が付着した炭素繊
維約5gを採取し、炭素繊維表面から有機溶剤(例えば
アセトン、NMPなど)で微粒子およびサイジング剤を
溶解させた。続けて、微粒子をろ過によって溶解液から
回収し、乾燥させたあと重量測定を行った。微粒子の付
着量は、該重量を溶解前の炭素繊維重量で除することに
よって求めた。さらに、溶解処理した後の炭素繊維は、
洗浄、乾燥したあと重量測定し、溶解による溶解前後の
重量差を求めた。サイジング剤付着量は、溶解前後の重
量差から微粒子の重量を減じた重量を、溶解前の炭素繊
維重量で除することによって求めた。
0mmのステンレス棒(クロムめっき、表面粗さ1〜
1.5s)5本を50mm間隔で各々平行に、かつそれ
らの表面を炭素繊維糸条が120°の接触角で接触しな
がら通過し得るように棒をジグザグに配置した擦過装置
を用いた。この装置により入り側の炭素繊維糸条に1デ
ニール当たり0.09gの張力をかけ、3m/分の糸速
で通過させ、側面から繊維糸条に対して直角にレーザー
光線を照射し、毛羽数を毛羽検出装置で検出カウント
し、個/mで表示する。
含浸ストランド試験法に準じ測定した。樹脂処方として
ユニオンカーバイド社製ベークライト(登録商標)ER
L4221/3フッ化ホウ素モノエチルアミン/アセト
ン=100/3/4(重量部)を用い、硬化条件として
は常圧、130℃、30分を用いた。ストランド10本
を測定し、その平均値を求めた。
実施例1に従って次のように調製した。すなわち、油化
シェルエポキシ社製エピコート1001を 3.5kg(35重量
部)、油化シェルエポキシ社製エピコート828 を 2.5kg
(25重量部)と大日本インキ化学工業(株)製エピクロ
ンN740 を 3.0kg(30重量部)、油化シェルエポキシ社
製エピコート152 を 1.5kg(15重量部)および電気化学
工業(株)製デンカホルマール#20を 0.8kg(8重量
部)とジクロロフェニルジメチルウレア 0.5kg(5重量
部)を添加し、30分間撹拌して樹脂組成物を得た。該樹
脂の最低粘度は20cpsであった。これを離型紙にコ
ーティングして樹脂フィルムとしたものを用いた。硬化
は3kgf/cm2・G の加圧下、135℃、2時間で行った。
製ドラムに炭素繊維と組み合わせる樹脂をシリコン塗布
ペーパー上にコーティングした樹脂フィルムを巻き、次
に該樹脂フィルム上にクリールから引き出した炭素繊維
をトラバースを介して巻き取り、配列して、さらにその
繊維の上から前記樹脂フィルムを再度かぶせた後、加圧
ロールで回転加圧して樹脂を繊維内に含浸せしめ、巾3
00mm、長さ2.7mの一方向プリプレグを作製す
る。このとき、繊維間への樹脂含浸を良くするためにド
ラムは60〜70℃に加熱し、またプリプレグの繊維目
付はドラムの回転数とトラバースの送り速度を調節する
ことによって繊維目付約200g/m2、樹脂量約35重量
%のプリプレグを作製した。このように作製したプリプ
レグ裁断し、層間剪断強度(ILSS)および引張強度
用にはプリプレグを一方向に積層し、オートクレーブを
用いて所定の硬化条件で加熱硬化して、それぞれ厚み約
2mmおよび1mmの一方向積層板を作製した。ILS
S用試験片は巾6.5mm、長さ14mmとし、測定は
通常の3点曲げ試験治具を用いて支持スパンを試験片肉
厚の4倍に設定し、クロスヘッド速度1.0mm/mi
nで測定した。8本測定しその平均値を求めた。引張強
度用試験片は巾12.7mm、長さ227mmとし、該
試験片の両端に厚さ約1.2mm、長さ50mmのGF
RP(ガラス繊維強化プラスチック)製のタブを接着し
(必要に応じて試験片中央には弾性率および破壊歪を測
定するための歪ゲージを貼り付け)、クロスヘッド速度
1.0mm/minで測定した。5本測定しその平均値
を求めた。
0mm×100mm)を(0°/90°)S の構成で積
層し、積層プリプレグの両側を穴あき離型フィルム(穴
径1mm,穴密度1個/cm2 )、さらにガラスクロス
を積層した。該積層物を油圧プレス機でプレスし、加圧
硬化を行った。プレス条件は、プレス温度は樹脂の硬化
温度に設定し、面圧8.5kg/cm2、20分で行った。樹
脂フロー量は、プレス前後の積層プリプレグの重量差を
フロー前の積層プリプレグ重量で除することにより求め
た。5回測定しその平均値を求めた。
酸0.6モル%からなる共重合体を用いて、乾湿式紡糸
方法により単繊維デニール1.0d,フィラメント数1
2,000本のアクリル系繊維を得た。得られた繊維束
を240〜280℃の空気中で、延伸比1.05で加熱
し、耐炎化繊維に転換し、ついで窒素雰囲気中300〜
900℃の温度領域での昇温速度を200℃/分とし1
0%の延伸を行なった後、1400℃まで焼成した。得
られた炭素繊維の横断面は円形で、かつ繊維表面は平滑
であった。
ンモニウム水溶液を電解液として、1槽当たりの通電電
気量を1クーロン/g・槽とし、5槽繰り返すことによ
り該炭素繊維を総電気量5クーロン/gで処理した。こ
の電解処理を施された炭素繊維を続いて水洗し、180
℃の加熱空気中で乾燥した。得られた炭素繊維は、引張
強度4,800MPa、引張弾性率230GPa、O/
C=0.12、N/C=0.04であった。
75号公報開示の実施例1に従って次のように調製し
た。 (a)エピコート 828(油化シェルエポキシ社製):30重量部 (b)ビスフェノールAのEO 2モル付加物 2モル マレイン酸 1.5モル セバチン酸 0.5モル の縮合物(酸価55) :20重量部 (c)ポリオキシエチレン(70モル)スチレン化(5モル)クミルフェノール : 5重量部 (d)水 :45重量部 (a)、(b)、(c)を高粘度乳化装置に仕込み50
〜60℃に加熱して均一としたものに(d)の10重量
%を加え、40℃以下で充分撹拌し、乳化転相させる。
転相後徐々に残りの(d)を添加し均一なエマルジョン
とする。濃度55%、粘度200cpsの均一な白色エ
マルジョンを得た。さらに、平均粒径0.85μmのジ
ビニルベンゼン高架橋粒子(日本合成ゴム(株)製;P
F082)の水分散液を加え、微粒子濃度2.0重量
%、サイジング剤濃度2.0重量%の混合水溶液を調整
した。該炭素繊維を含浸液に含浸させ、210℃、60
秒乾燥させた。微粒子の付着量は1.1重量%、サイジ
ング剤付着量は1.0重量%であった。ローラへの微粒
子付着は認められなかった。また、毛羽発生数は5個/
m、樹脂フロー量は9.5%、引張強度は2500MP
a、ILSSは130MPaであった。
電解液として、1槽当たりの通電電気量を2クーロン/
g・槽とし、10槽繰り返すことにより該炭素繊維を総
電気量20クーロン/gで処理した以外は実施例1と同
様に処理した。得られた炭素繊維は、引張強度4,75
0MPa、引張弾性率230GPa、O/C=0.1
5、N/C=0.10であった。
(実施例4)、5.0重量%(実施例5)にした以外は
実施例1と同様にして処理した。結果を表1に示した。
アエロジル社製;アエロジルK315)を用い、微粒子
濃度を1.0重量%にした以外は実施例1と同様にして
処理した。結果を表1に示した。
量%にした以外は実施例5と同様にして処理した
橋粒子(日本合成ゴム(株)製;PF032)を用い、
微粒子濃度を1.0重量%にした以外は実施例1と同様
にして処理した。結果を表1に示した。
ように調製した以外は実施例1と同様に処理した。 (a)エピコート 828(油化シェルエポキシ社製):40重量部 (b)エピコート1001(油化シェルエポキシ社製):35重量部 (c)ペンタエリスリトールテトラオレート : 5重量部 (d)トリベンジル化フェニルエーテルノニオン :20重量部 (a)、(b)を高粘度乳化装置に仕込み80〜90℃
に加熱して均一としたものに、(c)、(d)を添加し
均一なエマルジョンを調製した。
エチレングリコールジグリシジルエーテル(16モル)
を用いた以外は実施例1と同様にして処理した。結果を
表1に示した。
て、1槽当たりの通電電気量を1クーロン/g・槽と
し、5槽繰り返すことにより該炭素繊維を総電気量5ク
ーロン/gで処理した以外は実施例1と同様に処理し
た。得られた炭素繊維は、引張強度4,800MPa、
引張弾性率230GPa、O/C=0.14、N/C=
0.01であった。微粒子の付着量は1.1重量%、サ
イジング剤付着量は1.0重量%であった。ローラへの
微粒子付着は認められなかった。また、毛羽発生数は5
個/m、樹脂フロー量は11.0%、引張強度は248
0MPa、ILSSは125MPaであった。
サイジング剤付着量は1.0重量%、毛羽発生数は5個
/m、樹脂フロー量は12.2%であった。結果を表1
に示した。
理した。微粒子の付着量は1.1重量%、また毛羽発生
数は30個/m、ローラへの微粒子付着は多量に見られ
た。結果を表1に示した。
て、1槽当たりの通電電気量を10クーロン/g・槽と
し、5槽繰り返すことにより該炭素繊維を総電気量50
クーロン/gで処理した以外は実施例1と同様に処理し
た。得られた炭素繊維は、引張強度4,700MPa、
引張弾性率230GPa、O/C=0.21、N/C=
0.01、微粒子の付着量は1.1重量%、サイジング
剤付着量は1.0重量%であった。ローラへの微粒子付
着は認められなかった。また、毛羽発生数は15個/
m、樹脂フロー量は10.8%、引張強度は2,160
MPa、ILSSは126MPaであった。
およびその製造方法によれば、O/CおよびN/Cを特
定の範囲とし、特定粒径の微粒子およびサイジング剤が
付着した炭素繊維としたので、複合材料への成形性、さ
らには高次加工性の優れた炭素繊維とすることができ、
それを使用したプリプレグを用いて得られる炭素繊維強
化複合材料としても、優れた機械的特性のものを得るこ
とができる。
Claims (10)
- 【請求項1】 X線光電子分光法により測定される炭素
繊維の表面比酸素濃度O/Cが0.02以上0.2以
下、表面比窒素濃度N/Cが0.02以上0.3以下で
あって、粒子径0.01μm以上5μm以下の微粒子と
サイジング剤が付着していることを特徴とする炭素繊
維。 - 【請求項2】 微粒子の付着量が炭素繊維単位重量当た
り0.05重量%以上5重量%以下であり、かつ、サイ
ジング剤の付着量が0.1重量%以上5重量%以下であ
る請求項1の炭素繊維。 - 【請求項3】 微粒子が珪酸アルミニウム、珪酸マグネ
シウム、グラファイト、シリカ、マイカ、アルミナ、ス
テンレス、セラミック等の無機微粒子、ポリエステル、
ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリオキ
シメチレン、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂、フェノー
ル樹脂、キシレン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合
体、シリコンゴム、ゴム等の有機微粒子の単体または混
合物である、請求項1または2の炭素繊維。 - 【請求項4】 サイジング剤がポリアルキレングリコー
ル、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン、ビニルエステ
ル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹
脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミ
ド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂
の単体または混合物である、請求項1ないし3のいずれ
かに記載の炭素繊維。 - 【請求項5】 炭素繊維が12,000本以上の単繊維
の繊維束からなる、請求項1ないし4のいずれかに記載
の炭素繊維。 - 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかに記載の炭
素繊維を使用したプリプレグ。 - 【請求項7】 X線光電子分光法により測定される表面
比酸素濃度O/Cが0.02以上0.2以下、表面比窒
素濃度N/Cが0.02以上0.3以下である炭素繊維
を、粒径が0.01μm以上5μm以下の微粒子とサイ
ジング剤を水分散させた水溶液で含浸処理することを特
徴とする炭素繊維の製造方法。 - 【請求項8】 微粒子が珪酸アルミニウム、珪酸マグネ
シウム、グラファイト、シリカ、マイカ、アルミナ、ス
テンレス、セラミック等の無機微粒子、ポリエステル、
ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリオキ
シメチレン、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂、フェノー
ル樹脂、キシレン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合
体、シリコンゴム、ゴム等の有機微粒子の単体または混
合物であり、該微粒子を界面活性剤で水分散させる、請
求項7の炭素繊維の製造方法。 - 【請求項9】 サイジング剤がポリアルキレングリコー
ル、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン、ビニルエステ
ル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹
脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミ
ド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂
の単体または混合物の水溶性樹脂または界面活性剤で水
分散させた樹脂である、請求項7または8の炭素繊維の
製造方法。 - 【請求項10】 炭素繊維が12,000本以上の単繊
維の繊維束からなる、請求項7ないし9のいずれかに記
載の炭素繊維の製造方法。
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