JP2002013069A - 炭素繊維用サイズ剤、炭素繊維のサイジング方法、サイジング処理された炭素繊維並びにそれを含むシート状物及び繊維強化複合材料 - Google Patents
炭素繊維用サイズ剤、炭素繊維のサイジング方法、サイジング処理された炭素繊維並びにそれを含むシート状物及び繊維強化複合材料Info
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Abstract
含浸性を与え、エポキシ樹脂及びラジカル重合系樹脂の
樹脂含浸性及び接着性を向上させ、安定した物性改善効
果を与えることのできる炭素繊維用サイズ剤を提供す
る。 【解決手段】 (1)ビスフェノール類のアルキレンオ
キシド付加物(A)と不飽和二塩基酸とのエステルであ
って、その酸価が50以上であるエステル化合物、
(2)ビスフェノール類のジエポキシ化合物及びビスフ
ェノール類のアルキレンオキシド付加ジエポキシ化合物
(B)のいずれか一方又は両方と不飽和一塩基酸とのエ
ステルであって、分子の主鎖の片方の端部に不飽和基を
有し、他方の端部にエポキシ基をそれぞれ有するエステ
ル化合物、及び(3)平滑剤を必須成分として含む炭素
繊維用サイズ剤。これを用いて炭素繊維をサイジング処
理する。
Description
剤、炭素繊維のサイジング方法、サイジング処理された
炭素繊維並びにこの炭素繊維を含むシート状物及び繊維
強化複合材料に関する。
らなる強化材とマトリックス樹脂とによる樹脂組成物を
成形してなる成形品があり、この繊維強化複合材料を得
るためのマトリックス樹脂としてエポキシ樹脂が広く使
用されている。また、エポキシ樹脂以外にも、不飽和ポ
リエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂な
どのラジカル重合系樹脂を含む多くの樹脂が用いられて
いる。
化材として使用されている炭素繊維は、その化学組成の
約90重量%以上が炭素からなる繊維であり、再生セル
ロース、ポリアクリロニトリル(PAN)、ピッチ等を
出発原料として得られるものであって、例えば、高強度
炭素繊維や高弾性炭素繊維等に区分されている。かかる
炭素繊維は、軽量であり、しかも比強度及び比弾性率に
おいて特に優れた性質を有しており、更に耐熱性や耐薬
品性にも優れていることから、繊維強化複合材料の強化
材として極めて有効であり、広範囲に亙る用途の繊維強
化複合材料に使用されている。
脂とからなる炭素繊維強化樹脂組成物を得る際に炭素繊
維にマトリックス樹脂を含浸させる方法としては、離型
紙上に薄くマトリックス樹脂を塗布した上に炭素繊維を
一方向に並べるプリプレグ法や、樹脂浴中に炭素繊維を
通過させるディッピング法等がある。また、織機により
織布に加工した後の炭素繊維織布にマトリックス樹脂を
含浸させて炭素繊維強化樹脂組成物とすることもでき
る。このような炭素繊維織布強化樹脂組成物を得る方法
としては、離型紙上に薄くマトリックス樹脂を塗布した
上にこの炭素繊維織布を重ねるプリプレグ法や、樹脂浴
中に炭素繊維織布を通過させるディッピング法等があ
る。
定に成形し得るようにするためには、炭素繊維にマトリ
ックス樹脂を含浸させる含浸工程において、数千本のフ
ィラメントからなる炭素繊維束とマトリックス樹脂の含
浸が容易にそして完全に行なえるようにすることが必要
である。しかしながら、炭素繊維は伸度が小さくかつ脆
い性質を有するために、機械的摩擦等によって毛羽が発
生し易く、しかもマトリックス樹脂に対する濡れ性に乏
しい。このため、強化材として使用する炭素繊維に上記
の如き優れた性質を十分に発揮させることができず、こ
れを改善するために、従来から、繊維強化複合材料の強
化材に使用する炭素繊維に対してサイズ剤による処理が
施されている。
を施すことにより、炭素繊維の取扱い性を向上させると
ともに、マトリックス樹脂に対する濡れ性を向上させ、
これによって炭素繊維を強化材とする繊維強化複合材料
からなる成形品の品質の向上が図られており、このよう
なサイジング剤として多種の化合物が用いられている。
として、例えば、ポリグリシジルエーテル類などを用い
るもの(特公昭57−15229号公報等参照)(以下
「サイズ剤1」と略記する)や、エポキシ樹脂と、不飽
和二塩基酸とビスフェノール類のアルキレンオキシド付
加物との縮合物と、単環フェノール及び多環フェノール
類から選ばれるフェノール類のアルキレンオキシド付加
物とを必須成分とするもの(特開昭53−52796号
公報、特開平7−19738号公報:以下「サイズ剤
2」と略記する)、またエポキシ樹脂、単環又は多環フ
ェノール類のアルキレンオキシド付加物、並びに不飽和
二塩基酸もしくはそのエステル形成性誘導体とビスフェ
ノール類のアルキレンオキシド付加物との酸価が40以
下のポリエステル縮合物からなるもの(特開平10−6
0779号公報:以下「サイズ剤3」と略記する)など
の種々のものが提案されている。
性や界面接着力などに優れているという利点を有してい
る。サイズ剤2は、マトリックス樹脂、特に不飽和ポリ
エステル樹脂との接着性を向上させることができ、また
エポキシ樹脂をマトリックス樹脂として用いた場合に硬
化条件の変動による炭素繊維強化樹脂組成物の物性が変
動するという従来からの問題点を低減できる優れたサイ
ズ剤である。また、サイズ剤3は、経時的に安定で、解
舒性に優れ、かつ、不飽和ポリエステルとの接着性が良
好なサイズ剤である。
剤1は、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹
脂、アクリル樹脂などのラジカル重合系樹脂に対する接
着性が十分ではなく、これらの樹脂を炭素繊維強化樹脂
組成物のマトリックス樹脂として使用するには不適当で
ある。また、サイズ剤2および3は、サイズ剤1に比較
してラジカル重合系樹脂に対する接着性に優れてはいる
が、まだ十分ではなく、それらの樹脂を炭素繊維強化樹
脂組成物のマトリックス樹脂として使用するにはなお問
題がある。
問題点を解決し、炭素繊維に対して、安定した工程通過
性と良好な樹脂含浸性を与えることができ、さらにエポ
キシ樹脂だけでなく、特にアクリル樹脂、不飽和ポリエ
ステル樹脂、ビニルエステル樹脂などのラジカル重合系
樹脂による樹脂含浸性及びこれらの樹脂との接着性を向
上させ、さらに安定した物性改善効果を与えることので
きる炭素繊維用サイズ剤を提供することを目的とする。
サイジングを行なう炭素繊維のサイジング方法、このサ
イズ剤によってサイジング処理された炭素繊維、このサ
イジング処理された炭素繊維を含むシート状物、及びこ
のサイジング処理された炭素繊維又はこの炭素繊維を含
むシート状物を強化材として含む繊維強化複合材料を提
供することを目的とする。
記課題を解決するため、(1)ビスフェノール類のアル
キレンオキシド付加物(A)と不飽和二塩基酸とのエス
テルであって、その酸価が50以上であるエステル化合
物、(2)ビスフェノール類のジエポキシ化合物及びビ
スフェノール類のアルキレンオキシド付加ジエポキシ化
合物(B)のいずれか一方又は両方と不飽和一塩基酸と
のエステルであって、分子の主鎖の片方の端部に不飽和
基を有し、他方の端部にエポキシ基をそれぞれ有するエ
ステル化合物、及び(3)平滑剤を必須成分として含む
炭素繊維用サイズ剤を提供する。
により炭素繊維を処理することを含む炭素繊維のサイジ
ング方法、この炭素繊維用サイズ剤で処理され、その必
須成分化合物が炭素繊維の表面に付着されている、サイ
ジング処理された炭素繊維、このサイジング処理された
炭素繊維を含むシート状物、及びこのサイジング処理さ
れた炭素繊維又はこのサイジング処理された炭素繊維含
むシート状物を強化材として含む繊維強化複合材料を提
供する。
上述したように、(1)ビスフェノール類のアルキレン
オキシド付加物(A)と不飽和二塩基酸とのエステルで
あって、その酸価が50以上であるエステル化合物と、
(2)ビスフェノール類のジエポキシ化合物及びビスフ
ェノール類のアルキレンオキシド付加ジエポキシ化合物
(B)のいずれか一方又は両方と不飽和一塩基酸とのエ
ステルであって、分子の主鎖の片方の端部に不飽和基を
有し、他方の端部にエポキシ基をそれぞれ有するエステ
ル化合物と、及び(3)平滑剤とを必須成分として含む
ものである。
(1)及び(2)は、ビスフェノール類の骨格を有する
ため、剛直である。また、分子内にエステル結合を有し
ているため、強い極性をもち、各種マトリックス樹脂と
の親和性に優れ、これらの樹脂との濡れ性を著しく向上
させることができる。さらに、エステル化合物(2)
は、分子の主鎖の片方の端部に不飽和基を有し、他方の
端部にエポキシ基をそれぞれ有していることから、マト
リックス樹脂、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニ
ルエステル樹脂、アクリル樹脂などのラジカル重合系樹
脂と炭素繊維とを強力に結合させることができ、その結
果優れた界面接着性を発現させることができる。
以上である。このことから、エステル化合物(1)は、
分子量1000程度で、一方の末端にカルボキシル基を
有する化合物を主要構成成分とするものであり、このよ
うな化合物はマトリックス樹脂との相溶性が非常に優れ
たものとなり、その結果優れた濡れ性を炭素繊維に付与
することができる。
ノール類のアルキレンオキシド付加物(A)は、ビスフ
ェノール類にエチレンオキシド又はプロピレンオキシド
を2〜4モル付加したものであるのが好ましい。ビスフ
ェノール類にエチレンオキシド又はプロピレンオキシド
を5モル以上付加したものでは、ビスフェノール類が本
来有する分子鎖の剛直性が失われ、マトリックス樹脂と
の親和性が悪化することがある。より好ましくは、ビス
フェノール類にエチレンオキシド又はプロピレンオキシ
ドを2モル付加したものである。これらのビスフェノー
ル類のアルキレンオキシド付加物(A)は、単独でもよ
く、また複数の化合物を混合したものであってもよい。
加物(A)とエステルを形成する不飽和二塩基酸は、炭
素数が4〜6の脂肪族(系)であるのが好ましい。芳香
族(系)の不飽和二塩基酸を用いると、得られるエステ
ル化合物の融点が高く、マトリックス樹脂との溶解性が
悪くなり、その結果良好な濡れ性を発現させることがで
きないことがある。一方、炭素数が7個以上の脂肪族
(系)不飽和二塩基酸を用いると、得られるエステル化
合物の剛直性が失われ、マトリックス樹脂との親和性が
低下することがある。エステル化合物(2)を形成する
ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加ジエポキシ
化合物(B)においても、上述した理由から、ビスフェ
ノール類にエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを
2〜4モル付加したものであることが好ましい。より好
ましくは、ビスフェノール類にエチレンオキシドまたは
プロピレンオキシドを2モル付加したものである。
特に限定なく用いることができるが、不飽和基に結合し
ているアルキル基が嵩高くないこと、形成されるエステ
ル化合物の主鎖の剛直性を低下させないことから、アク
リル酸又はメタクリル酸が好ましい。本発明の炭素繊維
用サイズ剤において、上記エステル化合物(1)及び
(2)の量は、サイズ剤を構成する全成分の重量に対し
て51重量%以上であるのが好ましい。51重量%未満
では、目的とする樹脂含浸性、界面接着性、耐擦過性能
を十分に発現させることができないことがある。より好
ましくは60重量%以上である。
の成分として使用できるものとしては、特に限定される
ものではないが、必須エステル化合物成分(1)及び
(2)を合成する際の原料である、ビスフェノール類の
アルキレンオキシド付加物(A)、ビスフェノール類の
エポキシ化合物、ビスフェノール類のアルキレンオキシ
ド付加ジエポキシ化合物(B)などを挙げることができ
る。
以外のフェノールノボラック型、クレゾールノボラック
型、ジフェニル型などのエポキシ樹脂をかかる成分とし
て用いることもできる。ビスフェノール類のアルキレン
オキシド付加物(A)、ビスフェノール類のエポキシ化
合物、ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加ジエ
ポキシ化合物(B)に用いられる、ビスフェノール類
は、特に限定されるものではなく、ビスフェノールF
型、ビスフェノールA型、ビスフェノールS型などの化
合物が挙げられる。
物、ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加ジエポ
キシ化合物(B)のエポキシ基としては、特に限定され
るものではなく、例えば、グリシジル基、環式脂肪族エ
ポキシ基などがある。ここで、環式脂肪族エポキシ基
は、以下のような構造を有するものである。
素繊維用サイズ剤においては、その構成成分である各タ
イプの化合物は、それらの各タイプの化合物のうちから
1種を選定して単独で用いられてもよく、あるいはそれ
らの各タイプの化合物のうちの複数の化合物の混合物と
して用いられてもよい。本発明のサイズ剤に用いること
のできる平滑剤としては、高級脂肪族系エーテル型ポリ
オキシエチレン付加物、高級脂肪酸ポリオキシエチレン
付加物、多価アルコールの高級脂肪酸エステル類、多価
アルコールの高級脂肪酸エステル類ポリオキシエチレン
付加物などから選ばれるものであり、室温で液状の化合
物であるのが好ましい。
ては、モノエステルタイプのもの、両末端を封鎖された
ジエステルタイプのものなどがある。また、多価アルコ
ールの高級脂肪酸エステル類を構成する多価アルコール
類としては、グリセリン、ソルビタン、ソルビット、ペ
ンタエリスリット等が挙げられる。また、高級脂肪酸と
のエステルとしても、モノエステル、ジエステル、トリ
エステル、テトラエステルなどの多価アルコール類の構
造に対応してポリエステルのタイプを選ぶことができ
る。
硬くせずに平滑性をより高度に付与できるので、好まし
い。液状の上記平滑剤化合物としては、例えば、高級ア
ルコールや高級脂肪酸のアルキル基が、オレイル基など
のような不飽和結合を有するものやイソステアリル基の
ような分枝構造を有するもの、あるいはラウリル基など
の炭素数が10〜14程度のものが挙げられる。
ける配合量は、乳化剤等を含めた構成成分の重量に対し
て0.5〜20重量%であるのが好ましく、より好まし
くは1〜10重量%である。本発明のサイズ剤は、上記
した各構成成分を水に分散させてなる水分散液として用
いられるのが好ましい。一般に、炭素繊維用サイズ剤
は、これを炭素繊維に付与する際には、水、またはアセ
トンなどの有機溶剤に分散、溶解させた、サイズ剤液と
して使用されるのであるが、水に分散させた水エマルジ
ョン系として用いる方が、アセトンなどの有機溶剤に溶
解させた場合と比較して、工業的にも、また安全性の面
からも優れているため好ましい。
せてなるサイズ剤液を調製する際には、その分散液の安
定性のため、乳化剤として界面活性剤を用いるのが好ま
しい。ここで使用される界面活性剤としては、ノニオン
系、カチオン系、アニオン系のいずれのものであっても
よい。ノニオン系界面活性剤は、これを用いたサイズ剤
液で処理した炭素繊維を用いて強化樹脂組成物を形成す
る場合には、プリプレグ状態で優れた貯蔵安定性が得ら
れ、また熱可塑性樹脂との複合化を行う場合には、トラ
ブルの発生要因となる塩類を有していないことから扱い
やすく、好ましい。
に限定されるものではないが、有用なノニオン系界面活
性剤としては、高級アルコールエーテル型ポリオキシエ
チレン付加物、高級脂肪酸型ポリオキシエチレン付加
物、アルキルフェニルエーテル型ポリオキシエチレン付
加物、PO/EOブロック型ポリエーテル型化合物など
を用いることができる。特に、アルキルフェニルエーテ
ル型ポリオキシエチレン付加物やPO/EOブロック型
ポリエーテル型化合物は、本発明で用いられるエステル
化合物(1)および(2)を乳化する性能が高く、より
好ましい。
に限定はなく、例えば、カルボン酸塩、硫酸エステル
塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩などが挙げられる
が、これらのカチオン種としては、アルカリ金属やアル
カリ土類金属イオンに比較してアンモニウムイオンタイ
プのものがより好ましい。これはアルカリ金属やアルカ
リ土類金属イオンが繊維強化複合材料に混入すると、そ
の熱安定性が低下するからである。
配合量は、この乳化剤を含むサイズ剤の構成成分の全重
量の5〜30重量%であるのが好ましく、より好ましく
は10〜25重量%である。この範囲においては、それ
を使用して得られるサイズ剤液の安定性がよく、かつ、
サイズ剤の効果に悪影響を与えることがなく、好まし
い。この乳化剤の配合量が上記範囲より少ない場合に
は、得られるサイズ剤液の安定性が悪く、不都合が生じ
ることがある。一方、上記範囲より多い場合には、得ら
れるサイズ剤液で炭素繊維を処理する際に、炭素繊維の
表面が乳化剤で被覆されるという不都合が生じて、サイ
ズ剤が有効に作用することができなくなり、炭素繊維の
界面接着性向上効果に対して悪影響を与えることがあ
る。
させてなるサイズ剤液は、水エマルジョン系とすること
によって、工業的にも、また安全性の面からも優れたも
のとすることができることは上述したが、このサイズ剤
液は、乳化剤を使用しているため、エステル化合物を安
定に水中に分散させることができて、良好な液安定性を
有する取扱いのしやすいものとすることができる。
れた炭素繊維は、上記炭素繊維用サイズ剤または上記サ
イズ剤液を用いてその表面を処理したものである。処理
される炭素繊維は、ピッチ、レーヨンあるいはポリアク
リロニトリルなどのいずれの原料物質から得られたもの
であってもよい。また、それらは、例えば、高強度タイ
プ(低弾性率炭素繊維)、中高弾性炭素繊維および超高
弾性炭素繊維などのいずれの種類のものでもよい。
ズ剤の付着量は、炭素繊維の重量に対して0.1〜5重
量%であるのが好ましく、より好ましくは0.2〜3.
0重量%である。この範囲の付着量であれば、炭素繊維
に対してサイズ剤の効果を十分に付与することができ
る。この炭素繊維用サイズ剤の付着量が0.1重量%未
満では、炭素繊維の収束性、耐擦過性が十分に得られな
いため、機械的摩擦などによって毛羽が発生することが
あり、好ましくない。また、樹脂との濡れ性、界面接着
力が不十分となるため、得られる炭素繊維強化樹脂組成
物が良好な力学的特性を得ることができないなどの不都
合が生じることがある。一方、5.0重量%を超える場
合には、炭素繊維束の収束性が強すぎることにより、炭
素繊維束の開繊性が悪くなって、マトリックス樹脂との
複合化の際に束内部への樹脂の含浸が阻害されることに
なるなどの不都合が生じることがある。
た炭素繊維を製造するには、ローラー浸漬法、ローラー
接触法などの一般に工業的に用いられている方法などに
よって行うことができる。その際には、上記した如きサ
イズ剤液を使用して炭素繊維の表面に前記炭素繊維用サ
イズ剤を付着させることができる。ここで、炭素繊維に
対する炭素繊維用サイズ剤の付着量は、サイズ剤液の濃
度調整や、絞り量調整などの通過工程における処理条件
の調整によって調節することができる。
剤の付着した炭素繊維は、続いて乾燥処理され、サイズ
剤を付着させる際に同時に付着したサイズ剤液に含まれ
ていた水や有機溶媒などが除去され、炭素繊維強化樹脂
組成物を形成するために使用されるものとなる。ここで
の乾燥処理は、熱風、熱板、加熱ローラー、各種赤外線
ヒーターなどによって行われる。
用いて炭素繊維の表面を処理し、これを繊維表面に付着
させることによって、炭素繊維用サイズ剤の効果が付与
されたものである。したがって、この上記炭素繊維は、
炭素繊維用サイズ剤の効果によって、機械的摩擦などに
よる毛羽などが発生しにくく、さらにマトリックス樹脂
に対する濡れ性や接着性に優れた炭素繊維となる。
ート状物は、サイズ剤で処理された上記炭素繊維を用い
たことを特徴とするものであり、織布、一方向配列シー
ト、不織布、マット等、又はこれらを組み合わせたもの
であってよい。織布において織り組織は、特に限定はさ
れず、平織り、綾織り、朱子織りなどの外、これらの組
織を変化させたものであってもよい。また、緯糸、経糸
ともに上記炭素繊維からなっていてもよく、また他の炭
素繊維あるいは炭素繊維以外の繊維との混織であっても
よい。炭素繊維以外の繊維としては、硝子繊維、チラノ
繊維、SiC繊維などの無機繊維、アラミド、ポリエス
テル、PP、ナイロン、ポリイミド、ビニロンなどの有
機繊維などを用いることができる。
ズ剤液で処理された上記炭素繊維を用いたことを特徴と
するものである。この場合、上記炭素繊維は、マトリッ
クス樹脂と複合化され、一方向プリプレグ、クロスプリ
プレグ、トウプレグ、短繊維強化樹脂含浸シート、短繊
維マット強化樹脂含浸シートなどを形成する炭素繊維強
化樹脂組成物を構成する。
は、特に限定されるものではないが、例えば、ラジカル
重合系樹脂であるアクリル樹脂、ビニルポリエステル樹
脂、不飽和ポリエステル樹脂などが使用される。また、
熱可塑性アクリル樹脂などであってもよい。さらに、一
般に用いられているエポキシ樹脂などであってもよい。
するには、一般に、通常行われている方法を採用するこ
とができ、例えば、ホットメルト法、溶剤法、シラップ
法、又はシートモールドコンパウンド(SMC)などに
用いられる増粘樹脂法などの方法を挙げることができ
る。製造に際しては、上記サイズ剤液で処理された炭素
繊維を用い、これを上記マトリックス樹脂で含浸する。
ては、前記サイズ剤で処理された炭素繊維を用いている
ため、マトリックス樹脂として、アクリル樹脂、不飽和
ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂などのラジカル
重合系樹脂などを使用することができ、また上記サイズ
剤の主要成分であるエステル化合物は炭素繊維及びマト
リックス樹脂と強靭に接着することから、炭素繊維とマ
トリックス樹脂の界面接着力が強く、良好な力学的特性
を示すものとすることができる。
のサイジング方法、サイジング処理された炭素繊維、こ
の炭素繊維によるシート状物、及びサイジング処理され
た炭素繊維又はこの炭素繊維によるシート状物を強化材
とする繊維強化複合材料についてのより具体的な構成
を、実施例に基づいて説明する。
0°および90°曲げ試験をASTM−D−790に、
また層間せん断試験をASTM−D−2344に準拠し
て実施した。 実施例1 サイズ剤の調製 ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物と
無水マレイン酸を反応させて、酸価55のエステル化合
物(A1)を得た。また、ビスフェノールA型エポキシ
樹脂(EP828、油化シェル製)とメタクリル酸を反
応させて、EP828/EP828片末端メタクリル変
性エポキシ樹脂(ハーフエステル)/EP828両末端
メタクリル変性エポキシ樹脂(ジエステル)の混合比1
/2/1の混合物(B1)を得た。
(B1)/イソステアリルエチレンオキサイド6モル付
加エーテル/プルロニックタイプのノニオン系界面活性
剤F88(旭電化製)=55/20/5/20の質量比
率で混合し、転相乳化により水への乳化を実施し、乳化
剤を含めて2.5質量%のサイズ剤水分散液を調製し
た。次いで、サイジング未処理の炭素繊維束TR50S
X(三菱レイヨン製パイロフィル、フィラメント数12
000本、ストランド強度5,000MPa、ストラン
ド弾性率242GPa)を、上記の水分散液中にローラ
ー浸漬した後、更に熱風乾燥してからボビンに巻き取る
ことにより、炭素繊維に対するサイズ剤の付着量1.1
質量%のサイジング処理された炭素繊維束のボビン巻き
を得た。
キシ樹脂(三菱レイヨン製#350)を塗布してあるホ
ットメルトシートの上に、上記のボビンから巻き出した
炭素繊維束の63本を並列に引き揃えて配置してエポキ
シ樹脂を含浸させるとともに、その上に保護フィルムを
積層することにより、樹脂含有量約30重量%、炭素繊
維目付100g/m2 、幅500mmの一方向引揃え
(UD)プリプレグを作製した。
ビンからの炭素繊維束の解舒・巻き出しは非常に安定し
ており、糸切れや毛羽の発生等は全くなかった。また、
各炭素繊維束は、擦過バーを通過して均一に開繊してお
り、その表面には樹脂の未含浸部に起因する色斑等が無
く、非常に平滑な外観のUDプリプレグが得られた。ま
た、擦過バーに粘着物等の付着は全くなかった。このU
Dプリプレグから保護フィルムを剥がすと急速に樹脂の
吸い込みが生じ、これによって炭素繊維の優れた樹脂含
浸性を確認することができた。
2mmのUD積層板を成形した後、この積層板を試験に
付したところ、142MPaの90°曲げ強度及び92
MPaの層間せん断強度が得られ、優れた機械特性を具
備していることが確認された。 実施例2 実施例1の手法を繰り返して、ビスフェノールAのエチ
レンオキサイド2モル付加物と無水マレイン酸とのエス
テル化合物(A1)とEP828/EP828片末端メ
タクリル変性エポキシ樹脂(ハーフエステル)/EP8
28両末端メタクリル変性エポキシ樹脂(ジエステル)
の混合比1/2/1の混合物(B1)を得た。次に、上
記エステル化合物(A1)/上記混合物(B1)/イソ
ステアリルエチレンオキサイド6モル付加エーテル/ア
ニオン系乳化剤(三井サイティク製、NPES3030
P)=55/25/5/15の質量比率で混合し、乳化
剤を含めて2.0質量%のサイズ剤水分散液を調製し
た。
未処理炭素繊維束を、上記のサイズ剤水分散液中にロー
ラー浸漬した後、更に熱風乾燥してからボビンに巻き取
ることにより、炭素繊維に対するサイズ剤の付着量1.
1質量%のサイジング処理された炭素繊維束のボビン巻
きを得た。次いで、離型紙上にBステージ化したエポキ
シ樹脂(三菱レイヨン製#350)を塗布してあるホッ
トメルトシートの上に、上記のボビンから巻き出した炭
素繊維束の63本を並列に配置してエポキシ樹脂を含浸
させるとともに、その上に保護フィルムを積層すること
により、樹脂含有量約30重量%、炭素繊維目付100
g/m2 、幅500mmのUDプリプレグを作製した。
ビンからの炭素繊維束の巻き出しは非常に安定してお
り、糸切れや毛羽の発生等は全くなかった。また、各炭
素繊維束は、擦過バーを通過して均一に開繊しており、
その表面には樹脂の未含浸部に起因する色斑等が無く、
非常にフラットな外観のUDプリプレグが得られた。ま
た、擦過バーに粘着物等の付着は全くなかった。このU
Dプリプレグから保護フィルムを剥がすと急速に樹脂の
吸い込みが生じ、これによって炭素繊維の優れた樹脂含
浸性を確認することができた。
2mmのUD積層板を成形した後、この積層板を試験に
付したところ、138MPaの90°曲げ強度及び94
MPaの層間せん断強度が得られ、優れた機械特性を具
備していることが確認された。 実施例3 実施例1の手法を繰り返して、ビスフェノールAのエチ
レンオキサイド2モル付加物と無水マレイン酸とのエス
テル化合物(A1)を得た。次に、ビスフェノールAの
プロピレンオキサイド2モル付加グリシジルエーテルタ
イプのエポキシ樹脂とメタクリル酸を反応させて、前記
エポキシ樹脂/片末端メタクリル変性エポキシ樹脂(ハ
ーフエステル)/両末端メタクリル変性エポキシ樹脂
(ジエステル)の混合比1/2/1の混合物(B2)を
得た。次に、上記エステル化合物(A1)/上記混合物
(B2)/イソステアリルエチレンオキサイド6モル付
加エーテル/プルロニックタイプのノニオン系界面活性
剤F88=57/20/3/20の質量比率で混合し、
乳化剤を含めて1.9質量%のサイズ剤水分散液を調製
した。
未処理炭素繊維束を、上記のサイジング剤水分散液中に
ローラー浸漬した後、更に熱風乾燥してからボビンに巻
き取ることにより、炭素繊維に対するサイズ剤の付着量
1.0質量%のサイジング処理された炭素繊維束のボビ
ン巻きを得た。次いで、実施例1と同様にして、エポキ
シ樹脂(三菱レイヨン製#350)を含浸させ、樹脂含
有量約30重量%、炭素繊維目付100g/m2 、幅5
00mmのUDプリプレグを作製した。
ビンからの炭素繊維束の巻き出しは非常に安定してお
り、糸切れや毛羽の発生等は全くなかった。また、各炭
素繊維束は、擦過バーを通過して均一に開繊しており、
その表面には樹脂の未含浸部に起因する色斑等が無く、
非常にフラットな外観のUDプリプレグが得られた。ま
た、擦過バーに粘着物等の付着は全くなかった。このU
Dプリプレグから保護フィルムを剥がすと急速に樹脂の
吸い込みが生じ、これによって炭素繊維の優れた樹脂含
浸性を確認することができた。
2mmのUD積層板を成形した後、この積層板を90°
曲げ試験に付したところ、135MPaの強度及びIL
SSでの91MPaの強度が得られ、優れた機械特性を
具備していることが確認された。 実施例4 実施例1と同様にして、エステル化合物(A1)と混合
物(B1)を得た。次に、プルロニックタイプのノニオ
ン系界面活性剤F88を乳化剤として用いて、上記エス
テル化合物(A1)/上記混合物(B1)/ジイソステ
アレートポリオキシエチレン(CDIS−400、日本
サーファクタント工業製)/F88=55/20/5/
20の質量比率で混合し、乳化剤を含めて2.8質量%
のサイズ剤水分散液を調整した。
のフィラメント数3,000本の炭素繊維束TR30S
X(三菱レイヨン製、パイロフィル、ストランド強度4
300MPa、ストランド弾性率240GPa)を、上
記のサイズ水分散液中にローラー浸漬した後、更に熱風
乾燥してからボビンに巻き取ることにより、炭素繊維に
対するサイジング剤の付着量1.3質量%のサイジング
処理された炭素繊維束のボビン巻きを得た。
12.5本/インチと経糸12.5本/インチとによる
炭素繊維目付200g/m2 の平織りクロスを、20m
m/分の速度で織成したところ、この製織工程中におい
てはボビンからの炭素繊維束の解舒・巻き出し及び他の
擦過部での糸切れや毛羽の発生が認められなかった。次
に、メタクリルシラップ(メチルアクリレートプレポリ
マー液)を含浸させて、繊維体積含有率VF 44%のシ
ート状コンポジット材料を作製し、これらを8枚重ね、
加熱、加圧して積層板を作製し、これを試験体とした。
の観察、さらに破断断面の走査型電子顕微鏡による観察
(以下「SEM観察」と略記する)を行った。その結
果、0°曲げ強度は810MPaであり、曲げ弾性率は
46GPaであった。また、断面には、ボイド、未含浸
部は全く確認されなかった。さらに、SEM観察から、
樹脂の凝集破壊様式が確認された。
にして得たエポキシ樹脂フィルム(三菱レイヨン製#3
50)上にこの平織りクロスを重ね、加圧、加熱して樹
脂を含浸させ、樹脂含有量約40重量%、幅1000m
mのクロスプリプレグを作製した。
剥がすと急速に樹脂の吸い込みが生じ、これによって炭
素繊維の優れた樹脂含浸性を確認することができた。更
に、このクロスプリプレグを使用して厚み2mmのクロ
ス積層板を成形した後、この積層板を0°曲げ試験に付
したところ、950MPaの強度、54GPaの弾性率
が得られ、優れた機械特性を具備することが確認され
た。
ットした。次に、ビニルエステル樹脂(ネオポール82
60、日本ユピカ製)に過酸化物系重合開始剤(パーメ
ックN、日本油脂製)1部、ナフテン酸コバルト0.5
部添加して、レジントランスファーモールディング成形
(RTM)法により室温にて含浸させ、続いて60℃で
2時間、そして120℃で2時間で加熱硬化させて、積
層板を作製した。
ら、クロス層間での樹脂流は生じず、均一に含浸する様
子が観察され、これによって炭素繊維の優れた樹脂含浸
性を確認することができた。更に、このクロスプリプレ
グを使用して厚み2mmのクロス積層板を成形した後、
この積層板を0°曲げ試験に付したところ、820MP
aの強度、42GPaの弾性率が得られ、優れた機械特
性を具備することが確認された。
い例) 実施例1の手法を繰り返して、ビスフェノールAのエチ
レンオキサイド2モル付加物と無水マレイン酸とのエス
テル化合物(A1)を得た。次に、このエステル化合物
(A1)/ビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP82
8)/ノニオン系界面活性剤(F88)=45/35/
20の質量比率で混合し、乳化剤を含めて1.9質量%
のサイズ剤水分散液を調製した。
様にして調製したサイズ剤水分散液で処理し、フィラメ
ント数3,000本の炭素繊維束を得たのち、200g
/m 2 目付けの平織りクロスを作製した。このクロスに
アクリルシラップを含浸させ、繊維体積含有率VF 47
%のシート状コンポジット材料を作製し、これらを8枚
重ね、加熱、加圧して積層板を作製し、これを試験体と
した。この試験体に対して、0°曲げ試験、断面の観
察、さらに破断断面のSEM観察を行った。その結果、
0°曲げ強度は550MPaであり、曲げ弾性率は46
GPaであった。また、断面には、少量のボイド、未含
浸部が確認された。さらに、SEM観察から、炭素繊維
と樹脂との界面の剥離があきらかに確認された。
レンオキサイド6モル付加物と無水マレイン酸とのエス
テル化合物を得た。次に、実施例1と同様に、ビスフェ
ノールA型エポキシ樹脂(EP828 油化シェル製)
とメタクリル酸を反応させて、混合物(B1)を得た。
続いて、実施例1と同様にして、サイズ剤水分散液を調
製した。
て、実施例1と同様にして#350をマトリックスとし
たUDプリプレグを作製した。UDプリプレグの製造工
程中でのボビンからの炭素繊維束の解舒・巻き出しは非
常に安定しており、糸切れや毛羽の発生等は全くなかっ
た。また、各炭素繊維束は、擦過バーを通過して均一に
開繊しており、その表面には樹脂の未含浸部に起因する
色斑等が無く、非常にフラットな外観のUDプリプレグ
が得られた。しかしながら、このUDプリプレグから保
護フィルムを剥がしたところ、樹脂の吸い込み速度が遅
く、このことは炭素繊維の樹脂含浸性が十分でないこと
を示していた。
い例) 実施例1の手法を用いて、ビスフェノールAのエチレン
オキサイド25モルとフタル酸のエステル化合物(酸価
20)を得た。次に、実施例1と同様にして、ビスフェ
ノールA型エポキシ樹脂(EP828、油化シェル製)
とメタクリル酸を反応させ混合物(B1)を得た。続い
て、実施例1と同様にして、サイズ剤水分散液を調製し
た。
た炭素繊維を用いて、実施例1と同様にして#350を
マトリックスとしたUDプリプレグを作製した。UDプ
リプレグの製造工程中でのボビンからの炭素繊維束の巻
き出しは安定しており、糸切れや毛羽の発生等はなかっ
た。又各炭素繊維束は、擦過バーを通過して均一に開繊
しており、その表面には樹脂の未含浸部に起因する色斑
等が無く、非常にフラットな外観のUDプリプレグが得
られた。しかしながら、このUDプリプレグから保護フ
ィルムを剥がしたところ、樹脂の吸い込み速度が遅く、
このことは炭素繊維の樹脂含浸性が十分でないことを示
していた。
い例) 実施例1の手法を用いて、ビスフェノールAのエチレン
オキサイド2モルと無水マレイン酸のエステル化合物
(A1)を得た。次に、ビスフェノールAのエチレンオ
キサイド6モル付加グリシジルエーテルタイプのエポキ
シ樹脂とメタクリル酸を反応させ、両末端メタクリル変
性エポキシ樹脂(ジエステル)を得た。
物/F88=30/50/20の質量比率で混合しとし
て、乳化剤を含めて2.0質量%のサイジング剤水分散
液を調整した。このサイズ剤を1.1重量%付着処理さ
れた炭素繊維を用いて、実施例1と同様にして#350
をマトリックスとしたUDプリプレグを作製した。UD
プリプレグの製造工程中でのボビンからの炭素繊維束の
解舒・巻き出しは非常に安定しており、糸切れや毛羽の
発生等は全くなかった。又各炭素繊維束は、擦過バーを
通過して均一に開繊しており、その表面には樹脂の未含
浸部に起因する色斑等が無く、非常にフラットな外観の
UDプリプレグが得られた。しかしながら、このUDプ
リプレグから保護フィルムを剥がしたところ、樹脂の吸
い込み速度が遅く、このことは炭素繊維の樹脂含浸性が
十分でないことを示していた。
用サイズ剤は、酸価50以上の特殊なエステルと末端に
エポキシ基と不飽和基をそれぞれ有するハーフエステル
とを必須成分として含んでおり、エポキシ樹脂だけでな
く、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエ
ステル樹脂などのラジカル重合系樹脂などのマトリック
ス樹脂に対しても優れた親和性を有し、このサイズ剤で
処理された炭素繊維と前記マトリックス樹脂の濡れ性を
向上させることができる。
維用サイズ剤を界面活性剤を使用して水に溶解あるいは
分散させてなるものであるので、炭素繊維用サイズ剤の
効果を付与する処理に際して、工業的にもまた安全性の
面からも優れたものとすることができ、また良好な溶液
安定性を有する取扱いのしやすいものとすることができ
る。
剤液を使用して炭素繊維の表面を処理し、前記炭素繊維
用サイズ剤を付着させたものであるので、上記炭素繊維
用サイズ剤の効果が付与されているため、その効果によ
って、機械的摩擦などによる毛羽などが発生しにくく、
さらにマトリックス樹脂に対する濡れ性や接着性に優れ
たものとすることができる。
は、それに使用する炭素繊維を、本発明の炭素繊維用サ
イズ剤または炭素繊維用サイズ剤を水に分散させてなる
サイズ剤液を用いて処理したものとしているので、炭素
繊維とマトリックス樹脂との界面に強い接着力を得るこ
とができることから、優れた力学的特性を有するものと
することができる。
Claims (12)
- 【請求項1】 (1)ビスフェノール類のアルキレンオ
キシド付加物(A)と不飽和二塩基酸とのエステルであ
って、その酸価が50以上であるエステル化合物、
(2)ビスフェノール類のジエポキシ化合物及びビスフ
ェノール類のアルキレンオキシド付加ジエポキシ化合物
(B)のいずれか一方又は両方と不飽和一塩基酸とのエ
ステルであって、分子の主鎖の片方の端部に不飽和基を
有し、他方の端部にエポキシ基をそれぞれ有するエステ
ル化合物、及び(3)平滑剤を必須成分として含む炭素
繊維用サイズ剤。 - 【請求項2】 ビスフェノール類のアルキレンオキシド
付加物(A)が、エチレンオキシド又はプロピレンオキ
シドを2〜4モル付加したものである、請求項1記載の
炭素繊維用サイズ剤。 - 【請求項3】 不飽和二塩基酸が炭素数4〜6の脂肪族
系化合物である、請求項1又は2記載の炭素繊維用サイ
ズ剤。 - 【請求項4】 ビスフェノール類のアルキレンオキシド
付加ジエポキシ化合物(B)が、エチレンオキシド又は
プロピレンオキシドを2〜4モル付加したものである、
請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維用サイズ剤。 - 【請求項5】 平滑剤が高級脂肪族系エーテル型ポリオ
キシエチレン付加物、高級脂肪酸ポリオキシエチレン付
加物、多価アルコールの高級脂肪酸エステル類及び多価
アルコールの高級脂肪酸エステル類のポリオキシエチレ
ン付加物からなる群から選ばれ、かつ、室温で液状の化
合物である、請求項1〜4のいずれかに記載の炭素繊維
用サイズ剤。 - 【請求項6】 エステル化合物(1)及び(2)をサイ
ズ剤を構成する全成分の重量に対して51重量%以上の
量で含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の炭素繊
維用サイズ剤。 - 【請求項7】 サイズ剤を構成する成分が乳化剤を含む
全成分の重量に対して5〜30重量%の乳化剤により水
中に分散されている、請求項1〜6記載の炭素繊維用サ
イズ剤。 - 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載した炭素
繊維用サイズ剤を含む水分散液により炭素繊維を処理す
ることを含む炭素繊維のサイジング方法。 - 【請求項9】 請求項1〜7のいずれかに記載した炭素
繊維用サイズ剤で処理され、炭素繊維用サイズ剤が炭素
繊維の表面に付着されている、サイジング処理された炭
素繊維。 - 【請求項10】 炭素繊維用サイズ剤の付着量が炭素繊
維重量に対して0.1〜5重量%の範囲である、請求項
9に記載のサイジング処理された炭素繊維。 - 【請求項11】 請求項9又は10に記載の炭素繊維を
含むシート状物。 - 【請求項12】 請求項9又は10に記載の炭素繊維又
は請求項11に記載のシート状物を強化材として含む繊
維強化複合材料。
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