JP4866701B2 - 炭素繊維用サイジング剤、サイジング処理炭素繊維、シート状物 - Google Patents
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Description
繊維強化樹脂組成物の製造方法としては、強化材としての繊維にマトリックス樹脂を含浸させる方法が一般的である。繊維にマトリックス樹脂を含浸させる方法としては、離型紙上に薄くマトリックス樹脂を塗布し、その上に繊維を一方向に並べるプリプレグ法や、マトリックス樹脂浴中に繊維を通過させるディッピング法等がある。
炭素繊維は、伸度が小さく且つ脆い性質を有するために、機械的摩擦等によって毛羽が発生し易い。これを改善するために、従来から炭素繊維に対してサイジング剤による処理を施すことが行われている。
炭素繊維は、上記繊維強化複合材料の強化材としても一般的に用いられている。強化材として用いられる場合、炭素繊維は、一般的に、数千本のフィラメントからなる炭素繊維束や、該炭素繊維束を織機により加工した織布などの形態で用いられている。
品質の高い繊維強化複合材料を工業的に安定に製造するためには、繊維にマトリックス樹脂を含浸させる工程において、繊維へのマトリックス樹脂の含浸が、容易に、そして完全に行なわれるようにすることが必要である。
しかしながら、炭素繊維は、そのままの状態ではマトリックス樹脂に対する濡れ性に乏しく、マトリックス樹脂が含浸しにくい。そのため、得られる繊維強化複合材料の品質が充分に満足できるものとならない。
これを改善するために、従来から、繊維強化複合材料の強化材に使用する炭素繊維に、サイジング剤による処理が施すことが行われている。すなわち、炭素繊維にサイジング剤による処理を施すことにより、炭素繊維の取扱い性を向上させるとともに、マトリックス樹脂に対する濡れ性を向上させ、これによって、繊維強化複合材料の品質向上が図られている。
たとえば特許文献1には、ビスフェノール型ポリアルキレンエーテルエポキシ化合物類を少量の乳化剤で水性エマルションとしたもの(以下「サイジング剤1」という。)が提案され、これを炭素繊維に付与することが記載されている。
しかしながら、サイジング剤1は、乳化剤の選択によって以下のような欠点があることがわかっている。すなわち、乳化剤がノニオン系界面活性剤の場合は、エポキシ化合物の乳化安定性が十分ではないため、炭素繊維用サイジング剤を付与する処理に際して、一部乳化が壊れ、付着斑や、炭素繊維の製造工程でのトラブル発生の原因となる。
また、乳化剤がアニオン系界面活性剤である場合は、電荷を有するため、乳化安定性を向上させることができる。しかし、該アニオン系界面活性剤を構成するカチオンがアルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンである場合、これらアルカリ金属やアルカリ土類金属イオンが繊維強化複合材料に混入し、その熱安定性が低下するなどの問題が生じる不都合がある。また、該アニオン系界面活性剤を構成するカチオンがアンモニウムイオンである場合、エポキシ基との反応活性を有することから、炭素繊維にサイジング剤として付着した後に、付着したサイジング剤のエポキシ基が徐々に反応してしまい、結果、炭素繊維が硬くなる顕著な経時変化が生じる不都合がある。
さらに、乳化剤がカチオン系界面活性剤である場合は、上記アニオン系界面活性剤と同様、乳化安定性を向上させることができるがアニオン系界面活性剤に比べ高価である。
サイジング剤2は、その使用に際し、含浸性や界面接着力などに優れるという利点を有している。しかし、サイジング剤2は、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂などのラジカル重合系樹脂に対する接着性が充分ではなく、これらの樹脂を繊維強化複合材料のマトリックス樹脂として使用することが難しい。
また、サイジング剤3は、マトリックス樹脂、特に不飽和ポリエステル樹脂との接着性を向上させることができ、また、エポキシ樹脂をマトリックス樹脂として用いた場合において、硬化条件の変動によって繊維強化複合材料の物性が変動するという従来からの問題点を低減できるとされている。しかし、サイジング剤3においても、ラジカル重合系樹脂に対する接着性が、サイジング剤2に比較して優れてはいるものの充分とはいえず、そのため、ラジカル重合系樹脂を繊維強化複合材料のマトリックス樹脂として使用するにはなお問題がある。
しかし、該サイジング剤4を用いて得られる炭素繊維を強化剤とし、ラジカル重合系樹脂をマトリックス樹脂とした繊維強化複合材料の機械物性(強度等)は、いまだ、エポキシ樹脂をマトリックス樹脂とした繊維強化複合材料と同等レベルに達していない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、樹脂、特にラジカル重合系樹脂を用いて複合化した際の機械物性向上効果に優れる炭素繊維を得ることができる炭素繊維用サイジング剤、該炭素繊維用サイジング剤によってサイジング処理された炭素繊維、および該炭素繊維を有するシート状物を提供することを目的とする。
硬化物の引張伸び率が40%以上の2官能タイプのウレタンアクリレートオリゴマー(B)とを含有し、
前記化合物(A)と前記ウレタンアクリレートオリゴマー(B)との含有量の比(質量比)が、ウレタンアクリレートオリゴマー(B)/化合物(A)=1/3〜2/1の範囲内であり、
全サイジング成分中に占める前記化合物(A)および前記ウレタンアクリレートオリゴマー(B)の合計量の割合が20質量%以上である炭素繊維用サイジング剤である。
本発明の第二の態様は、炭素繊維に対し、前記第一の態様の炭素繊維用サイジング剤が付与されてなる炭素繊維である。
本発明の第三の態様は、前記第二の態様の炭素繊維を含むシート状物である。
[分子中に複数個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と不飽和一塩基酸とのエステルであって、分子中に少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物(A)(以下、(A)成分という。)]
(A)成分は、分子中に少なくとも1つのエポキシ基を有する。
ここで、本明細書および特許請求の範囲において、エポキシ基とは、環骨格が2個の炭素原子と1個の炭素原子とから構成される3員環をその構造中に有する基を意味する。
エポキシ基としては、例えば、下記式(e1)で表される基、下記式(e2)で表される基(グリシジル基)、その他の環式脂肪族エポキシ基などが挙げられる。その他の環式脂肪族エポキシ基としては、前記3員環と、単環または多環式の脂肪族環とで形成される環状構造をその構造中に有する基が挙げられ、たとえば下記式(e3)〜(e5)で表される基が例示できる。
ビスフェノール類としては、特に限定されるものではなく、ビスフェノールF型、ビスフェノールA型、ビスフェノールS型などの化合物が挙げられる。
ビスフェノール類のエポキシ化合物以外のフェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ジフェニル型、ジシクロペンタジエン型、ナフタレン骨格型などのエポキシ樹脂を「分子中に複数個のエポキシ基を有するエポキシ化合物」として用いることもできる。
「分子中に複数個のエポキシ基を有するエポキシ化合物」は、直鎖脂肪族系骨格を有するものであっても良い。
不飽和基としては、特に限定はないが、嵩高くないこと、形成されるエステルの主鎖の剛直性を低下させないことから、ビニル基あるいはプロペニル基が良く、より好ましくは、ビニル基である。
不飽和一塩基酸として、特に好ましいのは、アクリル酸またはメタクリル酸である。すなわち、(A)成分は、前記エポキシ化合物とアクリル酸またはメタクリル酸とのエステルであることが好ましい。
かかる(A)成分は、分子中に、エポキシ基を複数個有する化合物に由来するエポキシ基と、不飽和一塩基酸に由来する不飽和基(たとえばアクリル酸に由来するCH2=CH−COO−)とを有しており、これによって、炭素繊維表面と樹脂分子の間でのカップリング機能を発揮し、炭素繊維と樹脂との間の界面接着性を大きく向上させる。特に、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂などのラジカル重合系樹脂と炭素繊維とを強力に結合させることができ、優れた界面接着性を発現させることができる。
分子の両末端にエポキシ基を有する化合物としては、特に、ビスフェノール類のジエポキシ化合物およびビスフェノール類のアルキレンオキシド付加ジエポキシ化合物のいずれか一方または両方が好ましい。すなわち、(A)成分は、ビスフェノール類のジエポキシ化合物及びビスフェノール類のアルキレンオキシド付加ジエポキシ化合物のいずれか一方又は両方と、不飽和一塩基酸とのエステルであって、分子の主鎖の片方の端部に不飽和基を有し、他方の端部にエポキシ基をそれぞれ有する化合物であることが好ましい。
(B)成分は、マトリックス樹脂と炭素繊維との界面に、柔軟性に優れた界面相を形成する効果を有する。マトリックス樹脂と炭素繊維との界面に柔軟性に優れた界面相が形成されることにより、マトリックス樹脂と炭素繊維との間の界面接着性が向上する。また、繊維強化複合材料用のマトリックス樹脂として、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等のラジカル重合系樹脂が使用される場合、それらの樹脂には靭性の低いものが多く、上記界面相の柔軟化による高靭性化により、飛躍的に界面接着性が向上する。
また、サイジング剤が付与された炭素繊維とマトリックス樹脂との複合化の際、炭素繊維表面のサイジング剤成分が、マトリックス樹脂へと拡散し、特に界面付近のマトリックス樹脂中に、サイジング剤成分を高濃度に含む領域が形成される。この領域は、複合材料の機械特性に影響を及ぼす。そして、(B)成分は、アクリレートオリゴマーであることから、繊維強化複合材料を形成する際、マトリックス樹脂の硬化反応に組み込まれることとなり、界面相とマトリックス樹脂相との一体化が図られる。そのため、この(B)成分を含むことにより、ラジカル重合系樹脂をマトリックス樹脂とする場合であっても、繊維強化複合材料の機械的特性を、エポキシ樹脂をマトリックス樹脂とする場合と同等なレベルにすることができる。
引張伸び率(%)の上限としては、界面近傍樹脂の弾性率の大幅な低減を考慮すると、900%以下が好ましく、700%以下がより好ましい。
また、(B)成分は2官能である必要がある。3官能以上のタイプであると、架橋密度が高くなりすぎ、充分な高靭性化が発現しない。一方、1官能タイプでは、マトリックス樹脂との架橋反応が片側のみとなり、充分な高靭性化の効果が得ることができない。
(B)成分の粘度が大きいことは、そのオリゴマーの分子量が大きいこと、またはオリゴマー分子間の凝集力が大きいことを示す。分子量が大きい場合、あるいは分子間の凝集力が大きい場合、(B)成分が、マトリックス樹脂へと拡散することなく、炭素繊維表面とマトリックス樹脂との界面相に偏在し、結果、界面相の効果的な柔軟化が成しえる。
(B)成分の粘度は、20,000以上がより好ましく、40,000以上がさらに好ましい。粘度の上限としては、60℃で固状でないほうが、サイジング剤の調製やサイジング剤の経時安定性の面から優れている。
硬化物のTgの上限としては、柔軟成分としての機能を考慮すると、100℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましい。
また、硬化物のTgは、上記と同様にして得られた硬化皮膜を試験片として、2℃/分の割合で昇温させ、粘弾性測定装置にて試験片の動的粘弾性および損失正接を測定し、損失正接のピーク温度(tanδMAX)から求めることができる。
ウレタンアクリレートオリゴマーの構造は、その構造中に芳香族基を有する芳香族系のものと、芳香族基を有さない脂肪族系のものとに大別できる。本発明に用いるウレタンアクリレートオリゴマーの構造は特に限定されず、芳香族系であってもよく、脂肪族系であってもよい。硬化物の引張伸び率と引張強度のバランスが良好であることから、脂肪族系であることが好ましい。
本発明のサイジング剤においては、(A)成分と(B)成分との含有量の比(質量比)が、(B)成分/(A)成分=1/3〜2/1の範囲内であることが必要である。
(B)成分の含有量が、(A)成分の含有量の1/3未満であると、界面相の柔軟化・高靭性化が不充分となり、一方、2/1を越えると、(A)成分の機能である良接着性発現効果が阻害され、炭素繊維の、マトリックス樹脂との接着性向上効果が充分に得られない。
(A)成分と(B)成分との含有量の比は、(B)成分/(A)成分=1/2〜3/2であることが好ましく、2/3〜1/1がより好ましい。
ここで、「全サイジング成分」とは、当該サイジング剤に含まれる成分のうち、サイジング処理後に炭素繊維に付与される全成分の合計量であり、たとえば水や有機溶剤等の、サイジング後に除去される成分は含まれない有効成分を表す。すなわち、「全サイジング成分」は、上述した(A)成分および(B)成分と、任意成分として後述する(C)成分、(D)成分、(E)成分およびその他の成分との合計量として求められる。
(A)成分および(B)成分の合計量の割合は、全サイジング成分中、25質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましい。
本発明のサイジング剤は、上記(A)成分および(B)成分に加えて、さらに、(C)成分を含有することが好ましい。
ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物とジカルボン酸化合物とのエステルは、酸価が50以上である場合、分子量が1000程度で、分子の一方の末端にカルボキシル基を有する化合物を主要構成成分としている。このような(C)成分は、マトリックス樹脂と優れた相溶性を示す。そのため、サイジング処理された炭素繊維の樹脂に対する濡れ性が向上し、樹脂含浸性がさらに向上する。
より好ましくは、ビスフェノール類にエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを2モル付加したものである。
ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物は、1種単独でもよく、また複数の化合物を混合したものであってもよい。
ジカルボン酸化合物としては、たとえばフマル酸、マレイン酸、メチルフマル酸、メチルマレイン酸、エチルフマル酸、エチルマレイン酸、グルタコン酸、イタコン酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタル酸、アジピン酸などが挙げられる。
本発明において、(C)成分の含有量は、(A)成分と(B)成分との合計に対して、2.0質量倍以下であることが好ましい。2.0質量倍を超えると、(A)成分のエポキシ基と(C)成分の酸性基(カルボキシ基等)との間の相互作用により、(A)成分と炭素繊維表面との間の相互作用が阻害され、その結果、(A)成分の、炭素繊維とマトリックス樹脂とのカップリング機能が充分に発揮されなくなり、接着性が低下するおそれがある。
(C)成分の含有量は、(A)成分と(B)成分との合計に対して、1.75質量倍以下がより好ましく、1.55質量倍以下がさらに好ましい。
(C)成分の含有量の下限値は、特に制限はないが、(C)成分による効果のためには、(A)成分と(B)成分との合計に対して、0.2質量倍以上が好ましく、0.4質量倍以上がより好ましい。
本発明のサイジング剤は、さらに、(D)成分および後述するノニオン系界面活性剤(E)を含有することが好ましい。
(D)成分は、疎水基と、対イオンとしてアンモニウムイオンを有することにより、サイジング剤を水分散液とした際の安定性と、炭素繊維表面の樹脂に対する濡れ性を向上させる。また、(E)成分は、(D)成分のアンモニウムイオンと、(A)成分のエポキシ基との反応活性を抑制する効果を有する。そのため、(D)成分と(E)成分とを適量含有することにより、各種マトリックス樹脂の含浸性がさらに向上し、また、サイジング剤で処理された炭素繊維の硬さの経時変化を非常に小さくすることができる。
前記硫酸エステル塩としては、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルポリエチレングリコールエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンポリエチレングリコールエーテル硫酸エステル塩、多環フェニルエーテルポリエチレングリコールエーテル硫酸エステル塩、硫酸化脂肪酸エステル塩などが挙げられる。又、高級アルキルポリエチレングリコールエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンポリエチレングリコールエーテル硫酸エステル塩、多環フェニルエーテルポリエチレングリコールエーテル硫酸エステル塩におけるポリエチレンオキサイド鎖中の一部に、プロピレンオキサイドユニットをランダム又はブロック状に含有したものも用いることもできる。
前記スルホン酸塩としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、多環フェニルエーテルスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホン化脂肪酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩などが挙げられる。
繊維強化複合材料においては、炭素繊維とマトリックス樹脂との複合化により、優れた機械物性を発現することが望まれる。そのため、マトリックス樹脂として炭素繊維に組み合わせられる樹脂は、剛直性の点から、芳香族骨格を有するものが主に用いられ、炭素繊維用サイジング剤としても、芳香族骨格を有する化合物を主成分とするものが多い。
炭素繊維のサイジング処理には、通常、水等の媒体に分散(乳化)させたサイジング剤(サイジング剤液)が用いられる。下記式(1)または(2)で表される疎水基は、芳香族系との親和性が高いため、式(1)または(2)で表される疎水基を有するアニオン系界面活性剤を含有することにより、サイジング剤液の乳化状態が安定し、貯蔵性、炭素繊維製造時の製造・工程で良い結果をもたらす。また、サイジング剤とマトリックス樹脂との相溶性が向上し、本発明の効果、特に機械物性向上効果がさらに向上する。
また、かかる界面活性剤は、現在、外因性内分泌撹乱物質誘導体の観点から、ノニルフェノール系や、オクチルフェノール系といった比較的長いアルキル基を有するフェノール基を有するアニオン系界面活性剤の使用を避ける必要性もでてきていることからも好ましい。
R2およびR3は、水素原子または炭素数1〜3の1価の鎖状炭化水素基であり、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。R2およびR3の鎖状炭化水素基としては、R1の鎖状炭化水素基同じものが挙げられる。
R4は2価の脂肪族系炭化水素基であり、たとえば炭素数1〜10の直鎖状または分岐状のアルキレン基等が挙げられる。
mは1〜3の整数が好ましく、1または2がより好ましい。mが3を越えると、疎水基自体が嵩高い構造となり、(A)成分や(B)成分、マトリックス樹脂との親和性、相溶性が低下する。その結果、乳化の安定性、樹脂含浸性、さらには繊維強化複合材料の機械物性等の低下が生じるおそれがある。
下付き文字mが付された括弧内の基は、疎水基部の分子の嵩高さの点から、ベンジル基(R2およびR3の両方が水素原子である基)あるいはスチレン基(R2およびR3の一方が水素原子、他方がメチル基である基)であることが好ましい。また、mが2以上である場合、つまり下付き文字mが付された括弧内の基が複数存在する場合、それらの基は同じであってもよく、異なっていてもよい。
(E)成分としては、特に限定はされない。
(E)成分としては、特に、反応活性低下作用が非常に優れることから、脂肪族系ノニオン系界面活性剤が好ましい。脂肪族ノニオン系界面活性剤としては、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、グリセロールの脂肪酸エステル、ソルビトールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステルなどが挙げられる。これらエチレンオキサイド付加物においては、ポリエチレンオキサイド鎖中の一部にプロピレンオキサイドユニットをランダムあるいはブロック状に含有したタイプも好適に用いられる。
高級アルコールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物としては、これらのポリエチレンオキサイド鎖中の一部にプロピレンオキサイドユニットをランダム又はブロック状に含有したものがより好ましい。なぜならば、これらはアンモニウムイオンのエポキシ基に対する反応活性を低下させる能力が優れているためである。
脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物としては、モノエステルタイプのもの、ジエステルタイプさらにはトリエステル、テトラエステルタイプのものなども利用できる。
本発明のサイジング剤は、(D)成分と(E)成分とを含有する場合、(D)成分と(E)成分との含有量の比(質量比)が、(E)成分/(D)成分=1/10〜1/5の範囲内である必要がある。(E)成分の含有量が(D)成分の1/10以上であると、(D)成分由来のアンモニウムイオンの、(A)成分のエポキシ基に対する反応活性を低下させることができ、その結果、サイジング剤を付着させた炭素繊維の硬さの経時変化を著しく抑制することができる。(E)成分の含有量が(D)成分の1/5以下であると、(D)を含有することによる効果が充分に発揮され、当該サイジング剤を、水等を媒体として乳化させた際の乳化安定性や、サイジング処理された炭素繊維表面の、樹脂に対する濡れ性が向上する。
(D)成分および(E)成分の合計量の更に好ましい下限値は13質量%であり、更に好ましい上限値は20質量%である。
本発明のサイジング剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート化合物、エポキシメタクリレート化合物、エステル化合物、ウレタン化合物、ポリアミド化合物、ポリイミド化合物などを含有してもよい。
サイジング剤は、炭素繊維のサイジング処理においては、通常、水または有機溶剤に分散または溶解させたサイジング剤液として炭素繊維に塗布される。
本発明のサイジング剤は、炭素繊維へ付与しやすく、また、有機溶剤に溶解する場合と比較して、工業的にも、また安全性の面からも優れていることから、水に分散した水分散液とすることが好ましい。
サイジング剤を水分散液とする場合、サイジング剤は、特に、上述した(D)成分を含有することが好ましい。(D)成分は、(A)成分を安定に水中に分散させる機能を有しており、そのため、得られる水分散液が、良好な液安定性を有する取扱い性の良好なものとなる。
この場合、(D)成分の配合量は、全サイジング剤成分中、5〜30質量%であることが、サイジング剤液の乳化安定性がよく、またサイジング剤の効果に悪影響を与えることがないため好ましい。より好ましい下限値は7質量%であり、更に好ましい上限値は20質量%である。
本発明のサイジング処理炭素繊維は、上記本発明の炭素繊維用サイジング剤がその表面に付与されたものである。
サイジング処理される炭素繊維は、ピッチ、レーヨンあるいはポリアクリロニトリルなどのいずれの原料物質から得られたものであってよく、高強度タイプ(低弾性率炭素繊維)、中高弾性炭素繊維又は超高弾性炭素繊維のいずれでもよい。
サイジング剤の付与は、サイジング剤、又はサイジング剤の分散液をローラー浸漬法、ローラー接触法により炭素繊維に付着させ、乾燥することによって行うことができる。
炭素繊維に付与されるサイジング剤の量は、炭素繊維の質量に対して0.1〜5質量%が好ましく、0.2〜3.0質量%が更に好ましい。付与量がこの範囲内であると、炭素繊維に収束性、耐擦過性を十分に付与することができ、樹脂との濡れ性、界面接着力を向上させることができる。そのため、当該サイジング処理炭素繊維を用いて得られる繊維強化複合材料が良好な力学的特性を得ることができる。
サイジング剤の付与量は、サイジング剤液の濃度調整や、絞り量調整によって調節することができる。
また、特に、上記サイジング剤が(D)成分とともに(E)成分を含有する場合、(D)成分のアンモニウムイオンの、(A)成分のエポキシ基に対する反応活性が抑制されるため、本発明のサイジング処理炭素繊維は、硬さの経時変化が顕著に抑制されたものとなる。
このようなサイジング処理炭素繊維は、製織、切断等々の工程通過性に優れ、織布、一方向配列シート、不織布、マット等のシート状物に好適に加工することができる。特に製織においては、通常、炭素繊維は擦過により毛羽立ちやすいが、本発明のサイジング処理炭素繊維は、上記サイジング剤により著しく毛羽立ちを抑えることが可能となっている。
本発明のシート状物は、前記サイジング処理炭素繊維を含むものである。
シート状物としては、織布、一方向配列シート、不織布、マット等が挙げられる。
本発明のシート状物が織布である場合、その織り組織は特に限定はされず、平織り、綾織り、朱子織りなどのほか、これらの組織を変化させたものであってもよい。また、緯糸、経糸ともに上記炭素繊維からなっていてもよい。また、他の炭素繊維や炭素繊維以外の繊維との混織であってもよい。炭素繊維以外の繊維としては、硝子繊維、チラノ繊維、SiC繊維などの無機繊維、アラミド、ポリエステル、PP、ナイロン、ポリイミド、ビニロンなどの有機繊維などが挙げられる。
本発明のサイジング処理炭素繊維およびシート状物は、マトリックス樹脂と複合化され、一方向プリプレグ、クロスプリプレグ、トウプレグ、短繊維強化樹脂含浸シート、短繊維マット強化樹脂含浸シートなどの形態で、炭素繊維強化樹脂組成物を構成することができる。
ここで使用されるマトリックス樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、エポキシ樹脂、ラジカル重合系樹脂であるアクリル樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、さらにはフェノール樹脂などが挙げられる。
炭素繊維強化樹脂組成物は、サイジング処理炭素繊維またはシート状物に、上記マトリックス樹脂を含浸させることにより製造できる。このような炭素繊維強化樹脂組成物の製造方法としては、通常行われている方法を採用することができる。例えば、ホットメルト法、溶剤法、シラップ法、又はシートモールドコンパウンド(SMC)などに用いられる増粘樹脂法などの方法を挙げることができる。
このような炭素繊維強化樹脂組成物は、前記サイジング処理炭素繊維が強化材として用いられているため、マトリックス樹脂として、エポキシ樹脂やアクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂などのラジカル重合系樹脂、さらにはフェノール樹脂などとの含浸性に優れ、炭素繊維とマトリックス樹脂の界面接着力が強く、良好な力学的特性を示すものとすることができる。
[実施例1〜15および比較例1〜7]
(1.サイジング剤の調製)
特殊機化工業(株)製ハイビスディスパーミックス(ホモミキサー仕様:型式3D−5型)を用い、以下の手順で、転相乳化によりサイジング剤を調製した。
(D)成分であるアニオン系界面活性剤は、30〜50質量%の水溶液である場合が多く、以下のようにサイジング剤水分散液を調製した。
表1〜3に示す種類と配合量の(A)成分含有混合物、(B)成分、(C)成分およびその他の成分を、80〜100℃にてプラネタリーミキサーとホモミキサーで混練、混合した。その後、混練を維持した状態で80℃に降温し、引き続き、(D)成分の水溶液を少量ずつ添加した。この工程で、内容物の粘度は徐々に上昇した。(D)成分の水溶液を全て投入した後、10分間、充分に混練しながら60℃まで降温した。次に、脱イオン水を少量ずつ滴下して転相点を通過した後、滴下する水量を増加した。最終的に有効成分含量40質量%程度のサイジング剤水分散液を得た。
乳化剤として、水溶液の状態にないアニオン系界面活性剤あるいはノニオン系界面活性剤を用いる際は、以下のようにサイジング剤水分散液を調製した。
表1〜3に示す種類と配合量の(A)成分含有混合物、(B)成分、(C)成分、他添加剤と乳化剤である(D)成分、(E)成分あるいは、他のノニオン系界面活性剤を、一緒に混練、混合し、その後、混練した状態で60℃に降温し、脱イオン水を少量ずつ滴下して転相乳化させて、有効成分含量40質量%程度の乳化物を得た。
以下の手順で炭素繊維にサイジング剤を付加してサイジング処理炭素繊維(以下、サイズ処理CFと略記する。)を製造した。
内部に浸漬ローラーを有する浸漬槽内に、各サイジング剤の水分散液を満たし、該水分散液中に、サイジング剤を付与していない炭素繊維束(パイロフィルTR50S(製品名)、三菱レイヨン株式会社製、フィラメント数12000本、ストランド強度5,000MPa、ストランド弾性率242GPa)を浸漬した。その後、熱風乾燥することによってサイズ処理CFを得た。得られたサイズ処理CFはボビンに巻き取った。
また、炭素繊維浸漬後の浸漬槽内の浸漬ローラー表面とサイジング剤水分散液の性状とを観察し、「○:浸漬ローラー表面へ樹脂付着なし、乳化安定性良好。×:浸漬ローラー表面へ樹脂付着若干あり、乳化安定性低下あり。」で評価した。その評価結果を、「サイズ付与工程」として表1〜3に併記する。
前記サイズ処理CFを使用し、緯糸5本/インチと、経糸5本/インチとによる炭素繊維目付315g/m2の平織りクロス(以下、「織布」という。)を織成した。
該織布に、液状のビニルエステル樹脂VE1または不飽和ポリエステル樹脂UP1を塗布することにより樹脂を含浸させて、繊維体積含有率VF45%程度のシート状コンポジット材料を作製した。
ここで、VE1およびUP1はそれぞれ下記のものである。
「VE1」:ネオポール8260(日本ユピカ社製)と、パーメックNと、6質量%ナフテン酸コバルト液とを、ネオポール8260/パーメックN/6質量%ナフテン酸コバルト=100/1/0.5(質量比)で混合したもの。
「UP1」:ユピカ4521PT(日本ユピカ社製)と、パーメックNとを、ユピカ4521PT/パーメックN=100/1(質量比)で混合したもの。
樹脂を含浸させた織布を8枚重ね、下記に示す硬化条件での加熱を行うことにより樹脂を硬化させ、厚さ2mm程度の織布積層板を作製した。
「VE1の硬化条件」:60℃で2時間、次いで80℃で2時間、次いで120℃で2時間。
「UP1の硬化条件」:室温で1晩、次いで60℃で2時間、次いで80℃で2時間、次いで120℃で2時間。
Bステージ化したエポキシ樹脂#350(三菱レイヨン(株)製)を塗布した離型紙上に、ボビンから巻き出した前記サイズ処理炭素繊維63本を引き揃えて配置して、加熱圧着ローラーを通して、エポキシ樹脂を含浸した。その上に、保護フィルムを積層して、樹脂含有量約30質量%、炭素繊維目付100g/m2、幅500mmの一方向引揃えプリプレグ(以下、UDPPと略記する。)を作製した。
上記UDPPの作製工程での樹脂含浸性を、UDPPの外観、および保護フィルムを剥がしたときの樹脂の吸い込み方(樹脂含浸性のよしあし)を「◎:外観良好で、樹脂吸い込みが非常に早い、○:未含浸部に起因する色斑なし、平滑性良好、樹脂吸い込み良好。×:未含浸部に起因する色斑なし、平滑性良好、樹脂吸い込み緩慢。」で評価した。その結果を「含浸性2」として表1〜3に併記する。
上記3で得た織布積層板について、積層板の機械的特性の一般的な評価法であるASTM−D−790に準拠して曲げ試験を行い、曲げ強度を求めた。また、上記4で得たUD積層板について、同じくASTM−D−790に準拠して90°曲げ強度を測定した。
ここで、織物積層板の評価は、圧子と試験片のサンプルとの間にフィルムを入れ、応力集中による破壊が生じないように実施した。UD積層板の評価は、圧子と試験片のサンプルとの間にフィルムを入れずに実施した。その結果を表1〜3に併記する。
炭素繊維に付着したサイジング剤の経時変化の評価として、下記の加速試験を実施した。
上記2で得たサイズ処理CFが巻き取られたボビンを、80℃、相対湿度40%の条件化で3ヶ月間放置した。
放置前後のサイズ処理CFの硬さの変化を、カンチレバー法を用いて測定した。その結果を表1〜3に併記する。
表4中のA1〜A4およびC1〜C3は、より詳細には、それぞれ、下記の手順で得られた合成品である。
ここで、A1〜A4において、(A)成分として有効なハーフエステル成分は1/2であり、残り1/2は未反応物とジエステル物である。表1〜3に示すA1〜A4の配合量は、ハーフエステル成分、未反応物およびジエステル物の総量を表している。したがってハーフエステルとしての有効成分量は、表1〜3の配合量の1/2である。
(A1):ビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP828(製品名)、ジャパンエポキシレジン(株))と、アクリル酸とを反応させて得た、EP828/EP828片末端アクリル変性エポキシ樹脂(ハーフエステル)/EP828両末端アクリル変性エポキシ樹脂(ジエステル)の混合比1/2/1の混合物。
(A2):前記ビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP828)と、メタクリル酸とを反応させて得た、EP828/EP828片末端メタクリル変性エポキシ樹脂(ハーフエステル)/EP828両末端メタクリル変性エポキシ樹脂(ジエステル)の混合比1/2/1の混合物。
(A3):ビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP834(製品名)、ジャパンエポキシレジン(株))と、アクリル酸とを反応させて得た、EP834/EP834片末端アクリル変性エポキシ樹脂(ハーフエステル)/EP834両末端アクリル変性エポキシ樹脂(ジエステル)の混合比1/2/1の混合物。
(A4):フェノールノボラック型エポキシ樹脂(EP152(製品名)、ジャパンエポキシレジン(株))と、アクリル酸とを反応させて得た、EP152/EP152アクリル変性エポキシ樹脂(ハーフエステル)/EP152アクリル変性エポキシ樹脂(完全エステル)の混合比は1/2/1の混合物。
(C1):ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物(旭電化工業(株))とフマル酸を反応させて得た、酸価55のエステル化合物。
(C2):ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物(旭電化工業(株))とフマル酸を反応させて得た、酸価30のエステル化合物。
(C3):ビスフェノールAのエチレンオキサイド6モル付加物(旭電化工業(株))とフマル酸を反応させて得た、酸価52のエステル化合物。
一方、(B)成分を含有しない比較例1、(A)成分を含有しない比較例2、(A)成分に対する(B)の割合が1/3未満の比較例3、(A)成分に対する(B)の割合が2/1超の比較例4、硬化物の引張伸び率が40%未満のウレタンアクリレートオリゴマーを用いた比較例5〜6および不飽和一塩基酸とのエステルではないエポキシ樹脂を用いた比較例7では、VE1およびUP1を用いた場合の曲げ強度が低かった。
本発明の炭素繊維用サイジング剤は、さらに、(C)成分を含有することにより、このサイジング剤で処理された炭素繊維と前記マトリックス樹脂の濡れ性が向上し、樹脂含浸性がさらに向上する。
また、本発明の炭素繊維用サイジング剤は、乳化安定性と樹脂との濡れ性に優れた(D)成分をさらに含有し、また、(D)成分のアンモニウムイオンのエポキシ基との反応活性を抑制する効果を有する(E)成分を適量含有することにより、各種マトリックス樹脂の含浸性がさらに向上し、また、このサイジング剤で処理された炭素繊維の硬さの経時変化を非常に小さくすることができる。
Claims (5)
- 分子中に複数個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と不飽和一塩基酸とのエステルであって、分子中に少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物(A)と、
硬化物の引張伸び率が40%以上の2官能タイプのウレタンアクリレートオリゴマー(B)とを含有し、
前記化合物(A)と前記ウレタンアクリレートオリゴマー(B)との含有量の比(質量比)が、ウレタンアクリレートオリゴマー(B)/化合物(A)=1/3〜2/1の範囲内であり、
全サイジング成分中に占める前記化合物(A)および前記ウレタンアクリレートオリゴマー(B)の合計量の割合が20質量%以上である炭素繊維用サイジング剤。 - さらに、ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物とジカルボン酸化合物とのエステルであって、その酸価が50以上であるエステル化合物(C)を含み、
前記エステル化合物(C)の含有量が、前記化合物(A)および前記ウレタンアクリレートオリゴマー(B)の合計量の2.0質量倍以下である請求項1に記載の炭素繊維用サイジング剤。 - さらに、アンモニウムイオンを対イオンとして有するアニオン系界面活性剤(D)と、ノニオン系界面活性剤(E)とを含有し、
前記アニオン系界面活性剤(D)と前記ノニオン系界面活性剤(E)との含有量の比(質量比)が、ノニオン系界面活性剤(E)/アニオン系界面活性剤(D)=1/10〜1/5の範囲内であり、
全サイジング成分中に占める前記アニオン系界面活性剤(D)および前記ノニオン系界面活性剤(E)の合計量の割合が10〜25質量%である請求項1または2に記載の炭素繊維用サイジング剤。 - 炭素繊維に対し、請求項1〜3のいずれか一項に記載の炭素繊維用サイジング剤が付与されてなるサイジング処理炭素繊維。
- 請求項4に記載のサイジング処理炭素繊維を含むシート状物。
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