JP4866701B2 - 炭素繊維用サイジング剤、サイジング処理炭素繊維、シート状物 - Google Patents

炭素繊維用サイジング剤、サイジング処理炭素繊維、シート状物 Download PDF

Info

Publication number
JP4866701B2
JP4866701B2 JP2006278492A JP2006278492A JP4866701B2 JP 4866701 B2 JP4866701 B2 JP 4866701B2 JP 2006278492 A JP2006278492 A JP 2006278492A JP 2006278492 A JP2006278492 A JP 2006278492A JP 4866701 B2 JP4866701 B2 JP 4866701B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon fiber
component
resin
sizing
sizing agent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006278492A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008095241A (ja
Inventor
直樹 杉浦
孝浩 奥屋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp, Mitsubishi Rayon Co Ltd filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2006278492A priority Critical patent/JP4866701B2/ja
Publication of JP2008095241A publication Critical patent/JP2008095241A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4866701B2 publication Critical patent/JP4866701B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)

Description

本発明は、炭素繊維用サイジング剤、サイジング処理炭素繊維、およびサイジング処理炭素繊維を含むシート状物に関する。
繊維強化複合材料の1つとして、繊維からなる強化材とマトリックス樹脂とからなる繊維強化樹脂組成物を成形してなる成型品がある。マトリックス樹脂としては、エポキシ樹脂が広く使用されており、また、エポキシ樹脂以外にも、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂などのラジカル重合によって製造される樹脂(ラジカル重合系樹脂)など、多くの樹脂が用いられている。
繊維強化樹脂組成物の製造方法としては、強化材としての繊維にマトリックス樹脂を含浸させる方法が一般的である。繊維にマトリックス樹脂を含浸させる方法としては、離型紙上に薄くマトリックス樹脂を塗布し、その上に繊維を一方向に並べるプリプレグ法や、マトリックス樹脂浴中に繊維を通過させるディッピング法等がある。
一方、炭素繊維は、軽量であり、かつ強度や弾性率に優れているため、幅広い分野で利用されている。
炭素繊維は、伸度が小さく且つ脆い性質を有するために、機械的摩擦等によって毛羽が発生し易い。これを改善するために、従来から炭素繊維に対してサイジング剤による処理を施すことが行われている。
炭素繊維は、上記繊維強化複合材料の強化材としても一般的に用いられている。強化材として用いられる場合、炭素繊維は、一般的に、数千本のフィラメントからなる炭素繊維束や、該炭素繊維束を織機により加工した織布などの形態で用いられている。
品質の高い繊維強化複合材料を工業的に安定に製造するためには、繊維にマトリックス樹脂を含浸させる工程において、繊維へのマトリックス樹脂の含浸が、容易に、そして完全に行なわれるようにすることが必要である。
しかしながら、炭素繊維は、そのままの状態ではマトリックス樹脂に対する濡れ性に乏しく、マトリックス樹脂が含浸しにくい。そのため、得られる繊維強化複合材料の品質が充分に満足できるものとならない。
これを改善するために、従来から、繊維強化複合材料の強化材に使用する炭素繊維に、サイジング剤による処理が施すことが行われている。すなわち、炭素繊維にサイジング剤による処理を施すことにより、炭素繊維の取扱い性を向上させるとともに、マトリックス樹脂に対する濡れ性を向上させ、これによって、繊維強化複合材料の品質向上が図られている。
炭素繊維のサイジング用途に用いられるサイジング剤としては、これまで、多種の化合物が提案されている。
たとえば特許文献1には、ビスフェノール型ポリアルキレンエーテルエポキシ化合物類を少量の乳化剤で水性エマルションとしたもの(以下「サイジング剤1」という。)が提案され、これを炭素繊維に付与することが記載されている。
しかしながら、サイジング剤1は、乳化剤の選択によって以下のような欠点があることがわかっている。すなわち、乳化剤がノニオン系界面活性剤の場合は、エポキシ化合物の乳化安定性が十分ではないため、炭素繊維用サイジング剤を付与する処理に際して、一部乳化が壊れ、付着斑や、炭素繊維の製造工程でのトラブル発生の原因となる。
また、乳化剤がアニオン系界面活性剤である場合は、電荷を有するため、乳化安定性を向上させることができる。しかし、該アニオン系界面活性剤を構成するカチオンがアルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンである場合、これらアルカリ金属やアルカリ土類金属イオンが繊維強化複合材料に混入し、その熱安定性が低下するなどの問題が生じる不都合がある。また、該アニオン系界面活性剤を構成するカチオンがアンモニウムイオンである場合、エポキシ基との反応活性を有することから、炭素繊維にサイジング剤として付着した後に、付着したサイジング剤のエポキシ基が徐々に反応してしまい、結果、炭素繊維が硬くなる顕著な経時変化が生じる不都合がある。
さらに、乳化剤がカチオン系界面活性剤である場合は、上記アニオン系界面活性剤と同様、乳化安定性を向上させることができるがアニオン系界面活性剤に比べ高価である。
また、特許文献2等には、ポリグリシジルエーテル類などを用いるサイジング剤(以下「サイジング剤2」という。)が提案されている。また、特許文献3〜4等には、エポキシ樹脂と、不飽和二塩基酸とビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物との縮合物と、単環フェノール及び多環フェノール類から選ばれるフェノール類のアルキレンオキシド付加物とを必須成分とするサイジング剤(以下「サイジング剤3」という。)が提案されている。
サイジング剤2は、その使用に際し、含浸性や界面接着力などに優れるという利点を有している。しかし、サイジング剤2は、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂などのラジカル重合系樹脂に対する接着性が充分ではなく、これらの樹脂を繊維強化複合材料のマトリックス樹脂として使用することが難しい。
また、サイジング剤3は、マトリックス樹脂、特に不飽和ポリエステル樹脂との接着性を向上させることができ、また、エポキシ樹脂をマトリックス樹脂として用いた場合において、硬化条件の変動によって繊維強化複合材料の物性が変動するという従来からの問題点を低減できるとされている。しかし、サイジング剤3においても、ラジカル重合系樹脂に対する接着性が、サイジング剤2に比較して優れてはいるものの充分とはいえず、そのため、ラジカル重合系樹脂を繊維強化複合材料のマトリックス樹脂として使用するにはなお問題がある。
このような問題に対し、本出願人は、特許文献5において、エポキシ基を1つ以上含有するエステル樹脂、アニオン系乳化剤、および少量のノニオン系乳化剤からなるサイジング剤(以下「サイジング剤4」という。)を提案している。
特開昭61−28074号公報 特公昭57−15229号公報 特開昭53−52796号公報 特開平7−197381号公報 国際公開02/099180号パンフレット
サイジング剤4は、乳化安定性、経時変化の抑制、さらには不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂などのラジカル重合系樹脂に対する接着性等の点において、従来のサイジング剤よりも優れたものである。
しかし、該サイジング剤4を用いて得られる炭素繊維を強化剤とし、ラジカル重合系樹脂をマトリックス樹脂とした繊維強化複合材料の機械物性(強度等)は、いまだ、エポキシ樹脂をマトリックス樹脂とした繊維強化複合材料と同等レベルに達していない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、樹脂、特にラジカル重合系樹脂を用いて複合化した際の機械物性向上効果に優れる炭素繊維を得ることができる炭素繊維用サイジング剤、該炭素繊維用サイジング剤によってサイジング処理された炭素繊維、および該炭素繊維を有するシート状物を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の第一の態様は、分子中に複数個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と不飽和一塩基酸とのエステルであって、分子中に少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物(A)と、
硬化物の引張伸び率が40%以上の2官能タイプのウレタンアクリレートオリゴマー(B)とを含有し、
前記化合物(A)と前記ウレタンアクリレートオリゴマー(B)との含有量の比(質量比)が、ウレタンアクリレートオリゴマー(B)/化合物(A)=1/3〜2/1の範囲内であり、
全サイジング成分中に占める前記化合物(A)および前記ウレタンアクリレートオリゴマー(B)の合計量の割合が20質量%以上である炭素繊維用サイジング剤である。
本発明の第二の態様は、炭素繊維に対し、前記第一の態様の炭素繊維用サイジング剤が付与されてなる炭素繊維である。
本発明の第三の態様は、前記第二の態様の炭素繊維を含むシート状物である。
本発明によれば、樹脂、特にラジカル重合系樹脂を用いて複合化した際の機械物性向上効果に優れる炭素繊維を得ることができる炭素繊維用サイジング剤、該炭素繊維用サイジング剤によってサイジング処理された炭素繊維、および該炭素繊維を有するシート状物を提供できる。
<炭素繊維用サイジング剤>
[分子中に複数個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と不飽和一塩基酸とのエステルであって、分子中に少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物(A)(以下、(A)成分という。)]
(A)成分は、分子中に少なくとも1つのエポキシ基を有する。
ここで、本明細書および特許請求の範囲において、エポキシ基とは、環骨格が2個の炭素原子と1個の炭素原子とから構成される3員環をその構造中に有する基を意味する。
エポキシ基としては、例えば、下記式(e1)で表される基、下記式(e2)で表される基(グリシジル基)、その他の環式脂肪族エポキシ基などが挙げられる。その他の環式脂肪族エポキシ基としては、前記3員環と、単環または多環式の脂肪族環とで形成される環状構造をその構造中に有する基が挙げられ、たとえば下記式(e3)〜(e5)で表される基が例示できる。
Figure 0004866701
(A)成分において、エステルを形成する「分子中に複数個のエポキシ基を有するエポキシ化合物」としては、特に限定されず、たとえばビスフェノール類のエポキシ化合物、ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加エポキシ化合物、水素化ビスフェノール類のエポキシ化合物、水素化ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加エポキシ化合物等が挙げられる。
ビスフェノール類としては、特に限定されるものではなく、ビスフェノールF型、ビスフェノールA型、ビスフェノールS型などの化合物が挙げられる。
ビスフェノール類のエポキシ化合物以外のフェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ジフェニル型、ジシクロペンタジエン型、ナフタレン骨格型などのエポキシ樹脂を「分子中に複数個のエポキシ基を有するエポキシ化合物」として用いることもできる。
「分子中に複数個のエポキシ基を有するエポキシ化合物」は、直鎖脂肪族系骨格を有するものであっても良い。
(A)成分において、エステルを構成する「不飽和一塩基酸」としては、特に限定はなく、一つの不飽和基と一つのカルボキシル基を有する化合物であれば良い。
不飽和基としては、特に限定はないが、嵩高くないこと、形成されるエステルの主鎖の剛直性を低下させないことから、ビニル基あるいはプロペニル基が良く、より好ましくは、ビニル基である。
不飽和一塩基酸として、特に好ましいのは、アクリル酸またはメタクリル酸である。すなわち、(A)成分は、前記エポキシ化合物とアクリル酸またはメタクリル酸とのエステルであることが好ましい。
(A)成分は、エポキシ基を複数個有する化合物と不飽和一塩基酸とを反応させて得られるエステルであり、この反応においては、エポキシ基を複数個有する化合物のエポキシ基のうち、少なくとも1つのエポキシ基が未反応のまま残留し、少なくとも1つのエポキシ基が不飽和一塩基酸によって開環し、不飽和基を有する、いわゆるハーフエステルが形成される。
かかる(A)成分は、分子中に、エポキシ基を複数個有する化合物に由来するエポキシ基と、不飽和一塩基酸に由来する不飽和基(たとえばアクリル酸に由来するCH=CH−COO−)とを有しており、これによって、炭素繊維表面と樹脂分子の間でのカップリング機能を発揮し、炭素繊維と樹脂との間の界面接着性を大きく向上させる。特に、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂などのラジカル重合系樹脂と炭素繊維とを強力に結合させることができ、優れた界面接着性を発現させることができる。
(A)成分としては、特に、上記効果に優れることから、分子の両末端にエポキシ基を有する化合物と、不飽和一塩基酸とのエステルであって、分子の主鎖の片方の端部に不飽和基を有し、他方の端部にエポキシ基をそれぞれ有する化合物が好ましい。(A)成分として該化合物を用いることにより、ラジカル重合系樹脂と炭素繊維とを強力に結合させることができ、優れた界面接着性を発現させることができる。
分子の両末端にエポキシ基を有する化合物としては、特に、ビスフェノール類のジエポキシ化合物およびビスフェノール類のアルキレンオキシド付加ジエポキシ化合物のいずれか一方または両方が好ましい。すなわち、(A)成分は、ビスフェノール類のジエポキシ化合物及びビスフェノール類のアルキレンオキシド付加ジエポキシ化合物のいずれか一方又は両方と、不飽和一塩基酸とのエステルであって、分子の主鎖の片方の端部に不飽和基を有し、他方の端部にエポキシ基をそれぞれ有する化合物であることが好ましい。
本発明において、(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[硬化物の引張伸び率が40%以上の2官能タイプのウレタンアクリレートオリゴマー(B)(以下、(B)成分という。)]
(B)成分は、マトリックス樹脂と炭素繊維との界面に、柔軟性に優れた界面相を形成する効果を有する。マトリックス樹脂と炭素繊維との界面に柔軟性に優れた界面相が形成されることにより、マトリックス樹脂と炭素繊維との間の界面接着性が向上する。また、繊維強化複合材料用のマトリックス樹脂として、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等のラジカル重合系樹脂が使用される場合、それらの樹脂には靭性の低いものが多く、上記界面相の柔軟化による高靭性化により、飛躍的に界面接着性が向上する。
また、サイジング剤が付与された炭素繊維とマトリックス樹脂との複合化の際、炭素繊維表面のサイジング剤成分が、マトリックス樹脂へと拡散し、特に界面付近のマトリックス樹脂中に、サイジング剤成分を高濃度に含む領域が形成される。この領域は、複合材料の機械特性に影響を及ぼす。そして、(B)成分は、アクリレートオリゴマーであることから、繊維強化複合材料を形成する際、マトリックス樹脂の硬化反応に組み込まれることとなり、界面相とマトリックス樹脂相との一体化が図られる。そのため、この(B)成分を含むことにより、ラジカル重合系樹脂をマトリックス樹脂とする場合であっても、繊維強化複合材料の機械的特性を、エポキシ樹脂をマトリックス樹脂とする場合と同等なレベルにすることができる。
(B)成分は、硬化物の引張伸び率が40%以上である必要があり、上記界面相の高靭性化の効果に優れることから、45%以上であることがより好ましく、50%以上がより好ましい
引張伸び率(%)の上限としては、界面近傍樹脂の弾性率の大幅な低減を考慮すると、900%以下が好ましく、700%以下がより好ましい。
また、(B)成分は2官能である必要がある。3官能以上のタイプであると、架橋密度が高くなりすぎ、充分な高靭性化が発現しない。一方、1官能タイプでは、マトリックス樹脂との架橋反応が片側のみとなり、充分な高靭性化の効果が得ることができない。
(B)成分としては、特に、界面相の靭性向上効果が非常に大きいことから、60℃における粘度が10,000mPa・s以上であり、その硬化物の引張り強度が6MPa以上のものが好ましい。
(B)成分の粘度が大きいことは、そのオリゴマーの分子量が大きいこと、またはオリゴマー分子間の凝集力が大きいことを示す。分子量が大きい場合、あるいは分子間の凝集力が大きい場合、(B)成分が、マトリックス樹脂へと拡散することなく、炭素繊維表面とマトリックス樹脂との界面相に偏在し、結果、界面相の効果的な柔軟化が成しえる。
(B)成分の粘度は、20,000以上がより好ましく、40,000以上がさらに好ましい。粘度の上限としては、60℃で固状でないほうが、サイジング剤の調製やサイジング剤の経時安定性の面から優れている。
(B)成分の硬化物のガラス転移温度(Tg)は、−5℃以上が好ましく、5℃以上がより好ましい。硬化物のTgが−5℃以上であれば、界面相により適正な柔軟化が図れるのみならず、破断に至る応力の値も大きくなり、そのため、より強固な界面相が形成でき、上記効果が向上する。つまり、界面相は、強化繊維を支える機能があり、行き過ぎた柔軟化は、複合材料の機械的特性を損ねることになってしまう。
硬化物のTgの上限としては、柔軟成分としての機能を考慮すると、100℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましい。
ウレタンアクリレートオリゴマーの硬化物の引張伸び率の測定は以下のように行われる。ウレタンアクリレートオリゴマー97gに硬化剤としてメルク・ジャパン社製ダロキュア#1173を3.0g加え、充分に混合した後、得られた混合物をガラス板上に塗布し、厚み100μmの皮膜を得る。その皮膜を、オゾンタイプランプ(80W/cm)を使って高さ10cmの位置から紫外線を照射して硬化する。得られた硬化皮膜について、JISK7113に準拠し、引張り速度300mm/minで引張伸び率を測定する。
また、硬化物のTgは、上記と同様にして得られた硬化皮膜を試験片として、2℃/分の割合で昇温させ、粘弾性測定装置にて試験片の動的粘弾性および損失正接を測定し、損失正接のピーク温度(tanδMAX)から求めることができる。
ここで、本発明において、「ウレタンアクリレートオリゴマー」とは、分子内にウレタン結合とアクリロイル基(CH=CH−CO−)とを有する化合物である。
ウレタンアクリレートオリゴマーの構造は、その構造中に芳香族基を有する芳香族系のものと、芳香族基を有さない脂肪族系のものとに大別できる。本発明に用いるウレタンアクリレートオリゴマーの構造は特に限定されず、芳香族系であってもよく、脂肪族系であってもよい。硬化物の引張伸び率と引張強度のバランスが良好であることから、脂肪族系であることが好ましい。
(B)成分としては、市販のウレタンアクリレートオリゴマーを利用してもよく、かかるウレタンアクリレートオリゴマーとしては、たとえばサートマー社製のCN−965、CN−981、CN−9178、CN−9788、CN−9893、CN−971、CN−973、CN−9782、共栄社化学製のUF−8001、新中村化学工業社製のUA−122P等が挙げられる。
本発明において、(B)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[(A)成分および(B)成分の含有量]
本発明のサイジング剤においては、(A)成分と(B)成分との含有量の比(質量比)が、(B)成分/(A)成分=1/3〜2/1の範囲内であることが必要である。
(B)成分の含有量が、(A)成分の含有量の1/3未満であると、界面相の柔軟化・高靭性化が不充分となり、一方、2/1を越えると、(A)成分の機能である良接着性発現効果が阻害され、炭素繊維の、マトリックス樹脂との接着性向上効果が充分に得られない。
(A)成分と(B)成分との含有量の比は、(B)成分/(A)成分=1/2〜3/2であることが好ましく、2/3〜1/1がより好ましい。
また、本発明のサイジング剤においては、全サイジング成分中に占める(A)成分および(B)成分の合計量の割合が20質量%以上であることが必要である。20質量%未満では、この2つの成分の機能が充分に発揮されず、本発明の効果が得られない。
ここで、「全サイジング成分」とは、当該サイジング剤に含まれる成分のうち、サイジング処理後に炭素繊維に付与される全成分の合計量であり、たとえば水や有機溶剤等の、サイジング後に除去される成分は含まれない有効成分を表す。すなわち、「全サイジング成分」は、上述した(A)成分および(B)成分と、任意成分として後述する(C)成分、(D)成分、(E)成分およびその他の成分との合計量として求められる。
(A)成分および(B)成分の合計量の割合は、全サイジング成分中、25質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましい。
[ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物とジカルボン酸化合物とのエステルで、その酸価が50以上であるエステル化合物(C)(以下、(C)成分という。)]
本発明のサイジング剤は、上記(A)成分および(B)成分に加えて、さらに、(C)成分を含有することが好ましい。
ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物とジカルボン酸化合物とのエステルは、酸価が50以上である場合、分子量が1000程度で、分子の一方の末端にカルボキシル基を有する化合物を主要構成成分としている。このような(C)成分は、マトリックス樹脂と優れた相溶性を示す。そのため、サイジング処理された炭素繊維の樹脂に対する濡れ性が向上し、樹脂含浸性がさらに向上する。
(C)成分を形成する「ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物」としては、ビスフェノール類に、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドを2〜4モル付加したものであるのが好ましい。ビスフェノール類にエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを5モル以上付加したものでは、ビスフェノール類が本来有する分子鎖の剛直性が失われ、マトリックス樹脂との親和性が悪化するおそれがある。
より好ましくは、ビスフェノール類にエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを2モル付加したものである。
ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物は、1種単独でもよく、また複数の化合物を混合したものであってもよい。
ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物とエステルを形成する「ジカルボン酸化合物」は、炭素数が4〜6の脂肪族化合物であるのが好ましい。ジカルボン酸化合物として芳香族化合物を用いると、得られるエステル化合物の融点が高く、マトリックス樹脂との溶解性が悪くなるおそれがあり、それによって、良好な濡れ性を発現させることができないおそれがある。一方、炭素数が7個以上の脂肪族化合物をジカルボン酸化合物として用いると、得られるエステル化合物の剛直性が失われ、マトリックス樹脂との親和性が低下するおそれがある。
ジカルボン酸化合物としては、たとえばフマル酸、マレイン酸、メチルフマル酸、メチルマレイン酸、エチルフマル酸、エチルマレイン酸、グルタコン酸、イタコン酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタル酸、アジピン酸などが挙げられる。
本発明において、(C)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明において、(C)成分の含有量は、(A)成分と(B)成分との合計に対して、2.0質量倍以下であることが好ましい。2.0質量倍を超えると、(A)成分のエポキシ基と(C)成分の酸性基(カルボキシ基等)との間の相互作用により、(A)成分と炭素繊維表面との間の相互作用が阻害され、その結果、(A)成分の、炭素繊維とマトリックス樹脂とのカップリング機能が充分に発揮されなくなり、接着性が低下するおそれがある。
(C)成分の含有量は、(A)成分と(B)成分との合計に対して、1.75質量倍以下がより好ましく、1.55質量倍以下がさらに好ましい。
(C)成分の含有量の下限値は、特に制限はないが、(C)成分による効果のためには、(A)成分と(B)成分との合計に対して、0.2質量倍以上が好ましく、0.4質量倍以上がより好ましい。
[アンモニウムイオンを対イオンとして有するアニオン系界面活性剤(D)(以下、(D)成分という。)]
本発明のサイジング剤は、さらに、(D)成分および後述するノニオン系界面活性剤(E)を含有することが好ましい。
(D)成分は、疎水基と、対イオンとしてアンモニウムイオンを有することにより、サイジング剤を水分散液とした際の安定性と、炭素繊維表面の樹脂に対する濡れ性を向上させる。また、(E)成分は、(D)成分のアンモニウムイオンと、(A)成分のエポキシ基との反応活性を抑制する効果を有する。そのため、(D)成分と(E)成分とを適量含有することにより、各種マトリックス樹脂の含浸性がさらに向上し、また、サイジング剤で処理された炭素繊維の硬さの経時変化を非常に小さくすることができる。
(D)成分としては、特に限定はなく、カルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩などを挙げることができる。この中で、硫酸エステル塩、スルホン酸塩は、(A)成分や(B)成分の乳化能力に特に優れるので好ましい。
前記硫酸エステル塩としては、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルポリエチレングリコールエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンポリエチレングリコールエーテル硫酸エステル塩、多環フェニルエーテルポリエチレングリコールエーテル硫酸エステル塩、硫酸化脂肪酸エステル塩などが挙げられる。又、高級アルキルポリエチレングリコールエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンポリエチレングリコールエーテル硫酸エステル塩、多環フェニルエーテルポリエチレングリコールエーテル硫酸エステル塩におけるポリエチレンオキサイド鎖中の一部に、プロピレンオキサイドユニットをランダム又はブロック状に含有したものも用いることもできる。
前記スルホン酸塩としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、多環フェニルエーテルスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホン化脂肪酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩などが挙げられる。
(D)成分としては、特に、下記式(1)または(2)で表される疎水基を有するアニオン系界面活性剤が好ましく用いられる。
繊維強化複合材料においては、炭素繊維とマトリックス樹脂との複合化により、優れた機械物性を発現することが望まれる。そのため、マトリックス樹脂として炭素繊維に組み合わせられる樹脂は、剛直性の点から、芳香族骨格を有するものが主に用いられ、炭素繊維用サイジング剤としても、芳香族骨格を有する化合物を主成分とするものが多い。
炭素繊維のサイジング処理には、通常、水等の媒体に分散(乳化)させたサイジング剤(サイジング剤液)が用いられる。下記式(1)または(2)で表される疎水基は、芳香族系との親和性が高いため、式(1)または(2)で表される疎水基を有するアニオン系界面活性剤を含有することにより、サイジング剤液の乳化状態が安定し、貯蔵性、炭素繊維製造時の製造・工程で良い結果をもたらす。また、サイジング剤とマトリックス樹脂との相溶性が向上し、本発明の効果、特に機械物性向上効果がさらに向上する。
また、かかる界面活性剤は、現在、外因性内分泌撹乱物質誘導体の観点から、ノニルフェノール系や、オクチルフェノール系といった比較的長いアルキル基を有するフェノール基を有するアニオン系界面活性剤の使用を避ける必要性もでてきていることからも好ましい。
Figure 0004866701
式(1)、(2)中、Rは、水素原子または炭素数1〜3の1価の鎖状炭化水素基であり、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基がさらに好ましく、外因性内分泌撹乱物質誘導体の観点から、水素原子がより好ましい。
およびRは、水素原子または炭素数1〜3の1価の鎖状炭化水素基であり、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。RおよびRの鎖状炭化水素基としては、Rの鎖状炭化水素基同じものが挙げられる。
は2価の脂肪族系炭化水素基であり、たとえば炭素数1〜10の直鎖状または分岐状のアルキレン基等が挙げられる。
mは1〜3の整数が好ましく、1または2がより好ましい。mが3を越えると、疎水基自体が嵩高い構造となり、(A)成分や(B)成分、マトリックス樹脂との親和性、相溶性が低下する。その結果、乳化の安定性、樹脂含浸性、さらには繊維強化複合材料の機械物性等の低下が生じるおそれがある。
下付き文字mが付された括弧内の基は、疎水基部の分子の嵩高さの点から、ベンジル基(RおよびRの両方が水素原子である基)あるいはスチレン基(RおよびRの一方が水素原子、他方がメチル基である基)であることが好ましい。また、mが2以上である場合、つまり下付き文字mが付された括弧内の基が複数存在する場合、それらの基は同じであってもよく、異なっていてもよい。
[ノニオン系界面活性剤(E)(以下、(E)成分という。)]
(E)成分としては、特に限定はされない。
(E)成分としては、特に、反応活性低下作用が非常に優れることから、脂肪族系ノニオン系界面活性剤が好ましい。脂肪族ノニオン系界面活性剤としては、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、グリセロールの脂肪酸エステル、ソルビトールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステルなどが挙げられる。これらエチレンオキサイド付加物においては、ポリエチレンオキサイド鎖中の一部にプロピレンオキサイドユニットをランダムあるいはブロック状に含有したタイプも好適に用いられる。
高級アルコールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物としては、これらのポリエチレンオキサイド鎖中の一部にプロピレンオキサイドユニットをランダム又はブロック状に含有したものがより好ましい。なぜならば、これらはアンモニウムイオンのエポキシ基に対する反応活性を低下させる能力が優れているためである。
脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物としては、モノエステルタイプのもの、ジエステルタイプさらにはトリエステル、テトラエステルタイプのものなども利用できる。
[(D)成分および(E)成分の含有量]
本発明のサイジング剤は、(D)成分と(E)成分とを含有する場合、(D)成分と(E)成分との含有量の比(質量比)が、(E)成分/(D)成分=1/10〜1/5の範囲内である必要がある。(E)成分の含有量が(D)成分の1/10以上であると、(D)成分由来のアンモニウムイオンの、(A)成分のエポキシ基に対する反応活性を低下させることができ、その結果、サイジング剤を付着させた炭素繊維の硬さの経時変化を著しく抑制することができる。(E)成分の含有量が(D)成分の1/5以下であると、(D)を含有することによる効果が充分に発揮され、当該サイジング剤を、水等を媒体として乳化させた際の乳化安定性や、サイジング処理された炭素繊維表面の、樹脂に対する濡れ性が向上する。
また、本発明のサイジング剤においては、全サイジング成分中に占める(D)成分および(E)成分の合計量の割合が10〜25質量%であることが必要である。上記範囲内であると、サイジング剤液の乳化安定性がよく、サイジング剤の効果に悪影響を与えることもない。
(D)成分および(E)成分の合計量の更に好ましい下限値は13質量%であり、更に好ましい上限値は20質量%である。
[その他の成分]
本発明のサイジング剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート化合物、エポキシメタクリレート化合物、エステル化合物、ウレタン化合物、ポリアミド化合物、ポリイミド化合物などを含有してもよい。
本発明のサイジング剤は、各成分を常法により混合、撹拌することにより製造できる。
サイジング剤は、炭素繊維のサイジング処理においては、通常、水または有機溶剤に分散または溶解させたサイジング剤液として炭素繊維に塗布される。
[サイジング剤の水分散液]
本発明のサイジング剤は、炭素繊維へ付与しやすく、また、有機溶剤に溶解する場合と比較して、工業的にも、また安全性の面からも優れていることから、水に分散した水分散液とすることが好ましい。
サイジング剤を水分散液とする場合、サイジング剤は、特に、上述した(D)成分を含有することが好ましい。(D)成分は、(A)成分を安定に水中に分散させる機能を有しており、そのため、得られる水分散液が、良好な液安定性を有する取扱い性の良好なものとなる。
この場合、(D)成分の配合量は、全サイジング剤成分中、5〜30質量%であることが、サイジング剤液の乳化安定性がよく、またサイジング剤の効果に悪影響を与えることがないため好ましい。より好ましい下限値は7質量%であり、更に好ましい上限値は20質量%である。
サイジング剤の水分散液は、有効成分含量が0.1〜60質量%の範囲内であることが好ましく、0.2〜40質量%がより好ましい。なお、「有効成分」とは、上述した全サイジング成分と同じ意味である。
<サイジング処理炭素繊維>
本発明のサイジング処理炭素繊維は、上記本発明の炭素繊維用サイジング剤がその表面に付与されたものである。
サイジング処理される炭素繊維は、ピッチ、レーヨンあるいはポリアクリロニトリルなどのいずれの原料物質から得られたものであってよく、高強度タイプ(低弾性率炭素繊維)、中高弾性炭素繊維又は超高弾性炭素繊維のいずれでもよい。
サイジング剤の付与は、サイジング剤、又はサイジング剤の分散液をローラー浸漬法、ローラー接触法により炭素繊維に付着させ、乾燥することによって行うことができる。
炭素繊維に付与されるサイジング剤の量は、炭素繊維の質量に対して0.1〜5質量%が好ましく、0.2〜3.0質量%が更に好ましい。付与量がこの範囲内であると、炭素繊維に収束性、耐擦過性を十分に付与することができ、樹脂との濡れ性、界面接着力を向上させることができる。そのため、当該サイジング処理炭素繊維を用いて得られる繊維強化複合材料が良好な力学的特性を得ることができる。
サイジング剤の付与量は、サイジング剤液の濃度調整や、絞り量調整によって調節することができる。
上述した本発明のサイジング処理炭素繊維は、上記サイジング剤が付与されていることによって、機械的摩擦などによる毛羽などが発生しにくく、また、樹脂の含浸性や接着性にも優れる。また、サイジング剤が前記(A)成分とともに(B)成分を含有することにより、当該サイジング処理炭素繊維とマトリックス樹脂とを複合化して炭素繊維強化樹脂組成物を製造した場合に、当該炭素繊維強化樹脂組成物を用いて得られる成型物(繊維強化複合材料)の機械物性が、良好な力学的特性を示すものとなる。
また、特に、上記サイジング剤が(D)成分とともに(E)成分を含有する場合、(D)成分のアンモニウムイオンの、(A)成分のエポキシ基に対する反応活性が抑制されるため、本発明のサイジング処理炭素繊維は、硬さの経時変化が顕著に抑制されたものとなる。
このようなサイジング処理炭素繊維は、製織、切断等々の工程通過性に優れ、織布、一方向配列シート、不織布、マット等のシート状物に好適に加工することができる。特に製織においては、通常、炭素繊維は擦過により毛羽立ちやすいが、本発明のサイジング処理炭素繊維は、上記サイジング剤により著しく毛羽立ちを抑えることが可能となっている。
<シート状物>
本発明のシート状物は、前記サイジング処理炭素繊維を含むものである。
シート状物としては、織布、一方向配列シート、不織布、マット等が挙げられる。
本発明のシート状物が織布である場合、その織り組織は特に限定はされず、平織り、綾織り、朱子織りなどのほか、これらの組織を変化させたものであってもよい。また、緯糸、経糸ともに上記炭素繊維からなっていてもよい。また、他の炭素繊維や炭素繊維以外の繊維との混織であってもよい。炭素繊維以外の繊維としては、硝子繊維、チラノ繊維、SiC繊維などの無機繊維、アラミド、ポリエステル、PP、ナイロン、ポリイミド、ビニロンなどの有機繊維などが挙げられる。
<炭素繊維強化樹脂組成物>
本発明のサイジング処理炭素繊維およびシート状物は、マトリックス樹脂と複合化され、一方向プリプレグ、クロスプリプレグ、トウプレグ、短繊維強化樹脂含浸シート、短繊維マット強化樹脂含浸シートなどの形態で、炭素繊維強化樹脂組成物を構成することができる。
ここで使用されるマトリックス樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、エポキシ樹脂、ラジカル重合系樹脂であるアクリル樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、さらにはフェノール樹脂などが挙げられる。
炭素繊維強化樹脂組成物は、サイジング処理炭素繊維またはシート状物に、上記マトリックス樹脂を含浸させることにより製造できる。このような炭素繊維強化樹脂組成物の製造方法としては、通常行われている方法を採用することができる。例えば、ホットメルト法、溶剤法、シラップ法、又はシートモールドコンパウンド(SMC)などに用いられる増粘樹脂法などの方法を挙げることができる。
このような炭素繊維強化樹脂組成物は、前記サイジング処理炭素繊維が強化材として用いられているため、マトリックス樹脂として、エポキシ樹脂やアクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂などのラジカル重合系樹脂、さらにはフェノール樹脂などとの含浸性に優れ、炭素繊維とマトリックス樹脂の界面接着力が強く、良好な力学的特性を示すものとすることができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。
[実施例1〜15および比較例1〜7]
(1.サイジング剤の調製)
特殊機化工業(株)製ハイビスディスパーミックス(ホモミキサー仕様:型式3D−5型)を用い、以下の手順で、転相乳化によりサイジング剤を調製した。
(D)成分であるアニオン系界面活性剤は、30〜50質量%の水溶液である場合が多く、以下のようにサイジング剤水分散液を調製した。
表1〜3に示す種類と配合量の(A)成分含有混合物、(B)成分、(C)成分およびその他の成分を、80〜100℃にてプラネタリーミキサーとホモミキサーで混練、混合した。その後、混練を維持した状態で80℃に降温し、引き続き、(D)成分の水溶液を少量ずつ添加した。この工程で、内容物の粘度は徐々に上昇した。(D)成分の水溶液を全て投入した後、10分間、充分に混練しながら60℃まで降温した。次に、脱イオン水を少量ずつ滴下して転相点を通過した後、滴下する水量を増加した。最終的に有効成分含量40質量%程度のサイジング剤水分散液を得た。
乳化剤として、水溶液の状態にないアニオン系界面活性剤あるいはノニオン系界面活性剤を用いる際は、以下のようにサイジング剤水分散液を調製した。
表1〜3に示す種類と配合量の(A)成分含有混合物、(B)成分、(C)成分、他添加剤と乳化剤である(D)成分、(E)成分あるいは、他のノニオン系界面活性剤を、一緒に混練、混合し、その後、混練した状態で60℃に降温し、脱イオン水を少量ずつ滴下して転相乳化させて、有効成分含量40質量%程度の乳化物を得た。
(2.サイジング処理炭素繊維の製造)
以下の手順で炭素繊維にサイジング剤を付加してサイジング処理炭素繊維(以下、サイズ処理CFと略記する。)を製造した。
内部に浸漬ローラーを有する浸漬槽内に、各サイジング剤の水分散液を満たし、該水分散液中に、サイジング剤を付与していない炭素繊維束(パイロフィルTR50S(製品名)、三菱レイヨン株式会社製、フィラメント数12000本、ストランド強度5,000MPa、ストランド弾性率242GPa)を浸漬した。その後、熱風乾燥することによってサイズ処理CFを得た。得られたサイズ処理CFはボビンに巻き取った。
このとき、サイジング剤の炭素繊維への付着量を、MEKソックスレー抽出法により測定した。その結果を表1〜3に併記する。
また、炭素繊維浸漬後の浸漬槽内の浸漬ローラー表面とサイジング剤水分散液の性状とを観察し、「○:浸漬ローラー表面へ樹脂付着なし、乳化安定性良好。×:浸漬ローラー表面へ樹脂付着若干あり、乳化安定性低下あり。」で評価した。その評価結果を、「サイズ付与工程」として表1〜3に併記する。
(3.織布の作製とラジカル重合系樹脂との複合化)
前記サイズ処理CFを使用し、緯糸5本/インチと、経糸5本/インチとによる炭素繊維目付315g/mの平織りクロス(以下、「織布」という。)を織成した。
該織布に、液状のビニルエステル樹脂VE1または不飽和ポリエステル樹脂UP1を塗布することにより樹脂を含浸させて、繊維体積含有率V45%程度のシート状コンポジット材料を作製した。
ここで、VE1およびUP1はそれぞれ下記のものである。
「VE1」:ネオポール8260(日本ユピカ社製)と、パーメックNと、6質量%ナフテン酸コバルト液とを、ネオポール8260/パーメックN/6質量%ナフテン酸コバルト=100/1/0.5(質量比)で混合したもの。
「UP1」:ユピカ4521PT(日本ユピカ社製)と、パーメックNとを、ユピカ4521PT/パーメックN=100/1(質量比)で混合したもの。
このとき、上記織布へ樹脂を塗布する工程での樹脂含浸性について、樹脂液を織布表層に塗布した際の、樹脂の織布への入り込みの速さと、表層における泡立ち(樹脂と織布内の空気との置換により表層に泡が出てくる)とを観察し、「◎:泡立ちが非常に多く、樹脂吸い込みが非常に早い、○:泡立ちがあり、樹脂吸い込み良好。×:泡立ちがあまりなく、樹脂吸い込み緩慢。」で評価した。その結果を「含浸性1」として表1〜3に併記する。
作製したシート状コンポジット材料
樹脂を含浸させた織布を8枚重ね、下記に示す硬化条件での加熱を行うことにより樹脂を硬化させ、厚さ2mm程度の織布積層板を作製した。
「VE1の硬化条件」:60℃で2時間、次いで80℃で2時間、次いで120℃で2時間。
「UP1の硬化条件」:室温で1晩、次いで60℃で2時間、次いで80℃で2時間、次いで120℃で2時間。
(4.一方向引揃えプリプレグの作製)
Bステージ化したエポキシ樹脂#350(三菱レイヨン(株)製)を塗布した離型紙上に、ボビンから巻き出した前記サイズ処理炭素繊維63本を引き揃えて配置して、加熱圧着ローラーを通して、エポキシ樹脂を含浸した。その上に、保護フィルムを積層して、樹脂含有量約30質量%、炭素繊維目付100g/m、幅500mmの一方向引揃えプリプレグ(以下、UDPPと略記する。)を作製した。
上記UDPPの作製工程での樹脂含浸性を、UDPPの外観、および保護フィルムを剥がしたときの樹脂の吸い込み方(樹脂含浸性のよしあし)を「◎:外観良好で、樹脂吸い込みが非常に早い、○:未含浸部に起因する色斑なし、平滑性良好、樹脂吸い込み良好。×:未含浸部に起因する色斑なし、平滑性良好、樹脂吸い込み緩慢。」で評価した。その結果を「含浸性2」として表1〜3に併記する。
作製したUDPPを積層し、130℃での加熱し、オートクレーブ法により、厚さ2mmの一方向引揃え(UD)積層板を作製した。この積層板について、下記5の評価で90°曲げ強度を測定し、炭素繊維とマトリックス樹脂との界面接着性を評価した。
(5.曲げ強度)
上記3で得た織布積層板について、積層板の機械的特性の一般的な評価法であるASTM−D−790に準拠して曲げ試験を行い、曲げ強度を求めた。また、上記4で得たUD積層板について、同じくASTM−D−790に準拠して90°曲げ強度を測定した。
ここで、織物積層板の評価は、圧子と試験片のサンプルとの間にフィルムを入れ、応力集中による破壊が生じないように実施した。UD積層板の評価は、圧子と試験片のサンプルとの間にフィルムを入れずに実施した。その結果を表1〜3に併記する。
(6.サイズ処理CFの硬さの経時変化)
炭素繊維に付着したサイジング剤の経時変化の評価として、下記の加速試験を実施した。
上記2で得たサイズ処理CFが巻き取られたボビンを、80℃、相対湿度40%の条件化で3ヶ月間放置した。
放置前後のサイズ処理CFの硬さの変化を、カンチレバー法を用いて測定した。その結果を表1〜3に併記する。
Figure 0004866701
Figure 0004866701
Figure 0004866701
表1〜3中において各呼称で示す成分はそれぞれ表4に示すものである。サートマー社製オリゴマーのガラス転移温度(Tg)についてはカタログ値を採用した。
Figure 0004866701
(D)成分として用いたニューコール723SFは、アニオン系界面活性剤の濃度が30質量%の水溶液である。表1〜3に示す(D)成分の配合量は、(水を除く)アニオン系界面活性剤としての量である。
表4中のA1〜A4およびC1〜C3は、より詳細には、それぞれ、下記の手順で得られた合成品である。
ここで、A1〜A4において、(A)成分として有効なハーフエステル成分は1/2であり、残り1/2は未反応物とジエステル物である。表1〜3に示すA1〜A4の配合量は、ハーフエステル成分、未反応物およびジエステル物の総量を表している。したがってハーフエステルとしての有効成分量は、表1〜3の配合量の1/2である。
(A1):ビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP828(製品名)、ジャパンエポキシレジン(株))と、アクリル酸とを反応させて得た、EP828/EP828片末端アクリル変性エポキシ樹脂(ハーフエステル)/EP828両末端アクリル変性エポキシ樹脂(ジエステル)の混合比1/2/1の混合物。
(A2):前記ビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP828)と、メタクリル酸とを反応させて得た、EP828/EP828片末端メタクリル変性エポキシ樹脂(ハーフエステル)/EP828両末端メタクリル変性エポキシ樹脂(ジエステル)の混合比1/2/1の混合物。
(A3):ビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP834(製品名)、ジャパンエポキシレジン(株))と、アクリル酸とを反応させて得た、EP834/EP834片末端アクリル変性エポキシ樹脂(ハーフエステル)/EP834両末端アクリル変性エポキシ樹脂(ジエステル)の混合比1/2/1の混合物。
(A4):フェノールノボラック型エポキシ樹脂(EP152(製品名)、ジャパンエポキシレジン(株))と、アクリル酸とを反応させて得た、EP152/EP152アクリル変性エポキシ樹脂(ハーフエステル)/EP152アクリル変性エポキシ樹脂(完全エステル)の混合比は1/2/1の混合物。
(C1):ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物(旭電化工業(株))とフマル酸を反応させて得た、酸価55のエステル化合物。
(C2):ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物(旭電化工業(株))とフマル酸を反応させて得た、酸価30のエステル化合物。
(C3):ビスフェノールAのエチレンオキサイド6モル付加物(旭電化工業(株))とフマル酸を反応させて得た、酸価52のエステル化合物。
上記結果に示すように、実施例1〜15のサイジング剤を付与した炭素繊維を用いて作製した成型物(織布積層板、UD積層板)は、いずれも、良好な曲げ強度を有していた。特にマトリックス樹脂としてビニルエステル樹脂VE1および不飽和ポリエステル樹脂UP1を用いた場合には、いずれの例においても、比較例1〜7よりも高い曲げ強度を有していた。また、樹脂の含浸性も良好であり、特に(C)成分を併用した例において優れた含浸性を示した。さらに、実施例13および14の結果から、(D)成分を併用することにより、サイズ付与工程が良好に行われ、また、さらに(E)成分を併用することにより、サイズ処理CFの硬さの経時変化を抑制できることが確認できた。
一方、(B)成分を含有しない比較例1、(A)成分を含有しない比較例2、(A)成分に対する(B)の割合が1/3未満の比較例3、(A)成分に対する(B)の割合が2/1超の比較例4、硬化物の引張伸び率が40%未満のウレタンアクリレートオリゴマーを用いた比較例5〜6および不飽和一塩基酸とのエステルではないエポキシ樹脂を用いた比較例7では、VE1およびUP1を用いた場合の曲げ強度が低かった。
本発明の炭素繊維用サイジング剤は、(A)成分および(B)成分を特定の比率と含有量で含有することにより、エポキシ樹脂だけでなく、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂などのラジカル重合系樹脂などのマトリックス樹脂に対しても優れた含浸性、接着性を有し、また、炭素繊維強化複合材料の機械特性の優れた向上効果も有する。
本発明の炭素繊維用サイジング剤は、さらに、(C)成分を含有することにより、このサイジング剤で処理された炭素繊維と前記マトリックス樹脂の濡れ性が向上し、樹脂含浸性がさらに向上する。
また、本発明の炭素繊維用サイジング剤は、乳化安定性と樹脂との濡れ性に優れた(D)成分をさらに含有し、また、(D)成分のアンモニウムイオンのエポキシ基との反応活性を抑制する効果を有する(E)成分を適量含有することにより、各種マトリックス樹脂の含浸性がさらに向上し、また、このサイジング剤で処理された炭素繊維の硬さの経時変化を非常に小さくすることができる。

Claims (5)

  1. 分子中に複数個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と不飽和一塩基酸とのエステルであって、分子中に少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物(A)と、
    硬化物の引張伸び率が40%以上の2官能タイプのウレタンアクリレートオリゴマー(B)とを含有し、
    前記化合物(A)と前記ウレタンアクリレートオリゴマー(B)との含有量の比(質量比)が、ウレタンアクリレートオリゴマー(B)/化合物(A)=1/3〜2/1の範囲内であり、
    全サイジング成分中に占める前記化合物(A)および前記ウレタンアクリレートオリゴマー(B)の合計量の割合が20質量%以上である炭素繊維用サイジング剤。
  2. さらに、ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物とジカルボン酸化合物とのエステルであって、その酸価が50以上であるエステル化合物(C)を含み、
    前記エステル化合物(C)の含有量が、前記化合物(A)および前記ウレタンアクリレートオリゴマー(B)の合計量の2.0質量倍以下である請求項1に記載の炭素繊維用サイジング剤。
  3. さらに、アンモニウムイオンを対イオンとして有するアニオン系界面活性剤(D)と、ノニオン系界面活性剤(E)とを含有し、
    前記アニオン系界面活性剤(D)と前記ノニオン系界面活性剤(E)との含有量の比(質量比)が、ノニオン系界面活性剤(E)/アニオン系界面活性剤(D)=1/10〜1/5の範囲内であり、
    全サイジング成分中に占める前記アニオン系界面活性剤(D)および前記ノニオン系界面活性剤(E)の合計量の割合が10〜25質量%である請求項1または2に記載の炭素繊維用サイジング剤。
  4. 炭素繊維に対し、請求項1〜3のいずれか一項に記載の炭素繊維用サイジング剤が付与されてなるサイジング処理炭素繊維。
  5. 請求項4に記載のサイジング処理炭素繊維を含むシート状物。
JP2006278492A 2006-10-12 2006-10-12 炭素繊維用サイジング剤、サイジング処理炭素繊維、シート状物 Active JP4866701B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006278492A JP4866701B2 (ja) 2006-10-12 2006-10-12 炭素繊維用サイジング剤、サイジング処理炭素繊維、シート状物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006278492A JP4866701B2 (ja) 2006-10-12 2006-10-12 炭素繊維用サイジング剤、サイジング処理炭素繊維、シート状物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008095241A JP2008095241A (ja) 2008-04-24
JP4866701B2 true JP4866701B2 (ja) 2012-02-01

Family

ID=39378382

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006278492A Active JP4866701B2 (ja) 2006-10-12 2006-10-12 炭素繊維用サイジング剤、サイジング処理炭素繊維、シート状物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4866701B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5741836B2 (ja) * 2011-05-27 2015-07-01 三菱レイヨン株式会社 一方向強化織物とその製造方法、これを用いたプリプレグおよび炭素繊維複合材料
US9862824B2 (en) 2011-08-22 2018-01-09 Mitsubishi Chemical Corporation Carbon fiber sizing agent, aqueous dispersion thereof, carbon fiber bundle applied with sizing agent, sheet-like article comprising carbon fiber bundle, and carbon fiber reinforced composite material
EP2885448B1 (en) 2012-08-15 2016-12-14 3M Innovative Properties Company Sized short alumina-based inorganic oxide fiber, method of making, and composition including the same
WO2014084194A1 (ja) * 2012-11-27 2014-06-05 三菱レイヨン株式会社 繊維強化熱可塑性樹脂プリプレグおよびその成形体、並びに繊維強化熱可塑性樹脂プリプレグの製造方法
KR101683345B1 (ko) * 2014-11-08 2016-12-07 주식회사 효성 탄소섬유용 사이징제, 및 이를 이용하여 제조된 탄소섬유
JP6520256B2 (ja) * 2015-03-18 2019-05-29 三菱ケミカル株式会社 炭素繊維強化熱可塑性プラスチック、電気・電子機器用筐体
TWI784693B (zh) * 2021-08-27 2022-11-21 臺灣塑膠工業股份有限公司 用於碳纖維的上漿劑
JP7212194B1 (ja) * 2022-09-05 2023-01-24 三洋化成工業株式会社 繊維用集束剤組成物及び繊維用集束剤溶液

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2713625B1 (fr) * 1993-12-09 1996-02-23 Vetrotex France Sa Procédé de production de fils de verre ensimés et produits résultants.
JP3557686B2 (ja) * 1995-01-09 2004-08-25 東レ株式会社 炭素繊維およびその製造方法
JPH08217916A (ja) * 1995-02-13 1996-08-27 Nippon Glass Fiber Co Ltd 合成樹脂の強化材と複合材料
JP2000239341A (ja) * 1999-02-24 2000-09-05 Kyoeisha Chem Co Ltd 不飽和基含有ウレタンオリゴマーおよびその重合物
JP3720633B2 (ja) * 1999-06-16 2005-11-30 三菱レイヨン株式会社 炭素繊維用サイジング剤、炭素繊維用サイジング剤溶液、炭素繊維、それを用いた炭素繊維シート状物および炭素繊維強化樹脂組成物
WO2002040577A1 (en) * 2000-11-17 2002-05-23 Peter Clifford Hodgson Coupling of reinforcing fibres to resins in curable composites
TW591157B (en) * 2001-05-25 2004-06-11 Mitsubishi Rayon Co Sizing agent for carbon fiber, its water dispersing solution, carbon fiber with sizing handling, sheet matter with using the carbon fiber and carbon fiber reinforced composite
JP2005320641A (ja) * 2004-05-06 2005-11-17 Toray Ind Inc サイジング剤、炭素繊維および炭素繊維強化複合材料
JP2006144168A (ja) * 2004-11-19 2006-06-08 Toray Ind Inc 炭素繊維束

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008095241A (ja) 2008-04-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3860169B2 (ja) 炭素繊維用サイジング剤、その水分散液、サイジング処理された炭素繊維、該炭素繊維を使用したシート状物、及び炭素繊維強化複合材料
JP5497908B2 (ja) 炭素繊維用サイジング剤、その水分散液、サイジング剤の付着した炭素繊維束、シート状物、および炭素繊維強化複合材
JP4866701B2 (ja) 炭素繊維用サイジング剤、サイジング処理炭素繊維、シート状物
TWI220147B (en) Sizing agent for carbon fibers and water dispersion thereof, sized carbon fibers, sheet-like articles using said carbon fibers, and carbon fiber enhanced composite material
JP4887209B2 (ja) 炭素繊維用サイズ剤、その水分散液、炭素繊維、及び炭素繊維強化複合材料
JP2016160549A (ja) 炭素繊維用サイジング剤、炭素繊維束、シート状基材及び炭素繊維強化複合材
WO2007060833A1 (ja) 炭素繊維束、プリプレグおよび炭素繊維強化複合材料
JP6565937B2 (ja) 連続炭素繊維束、シートモールディングコンパウンドおよびそれを用いて成形する繊維強化複合材料
JP5565480B2 (ja) プリプレグおよび炭素繊維強化複合材料
JPH07197381A (ja) 炭素繊維ストランド用サイジング剤、サイズ処理された炭素繊維ストランド、及びその炭素繊維ストランドを強化繊維としたプリプレグ
JP6115461B2 (ja) サイジング剤塗布炭素繊維およびその製造方法、炭素繊維強化熱可塑性樹脂組成物
JP4558149B2 (ja) 炭素繊維用サイズ剤、炭素繊維のサイジング方法、サイジング処理された炭素繊維並びにそれを含むシート状物及び繊維強化複合材料
JP5189547B2 (ja) 炭素繊維束及び炭素繊維強化複合材料
JP4058297B2 (ja) 炭素繊維用サイズ剤
JP4887208B2 (ja) 炭素繊維用サイズ剤、その水分散液、炭素繊維、及び炭素繊維強化複合材料
JP2020147876A (ja) 炭素繊維用サイジング剤、その水分散液、サイジング剤付着炭素繊維、及び炭素繊維強化複合材料の製造方法。

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090924

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100805

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110513

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110517

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110711

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111101

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111114

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141118

Year of fee payment: 3

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4866701

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141118

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141118

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141118

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141118

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250