JP3720633B2 - 炭素繊維用サイジング剤、炭素繊維用サイジング剤溶液、炭素繊維、それを用いた炭素繊維シート状物および炭素繊維強化樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭素繊維シート状物ないし炭素繊維強化樹脂組成物、およびそれらに用いられる炭素繊維、さらにそのサイジング剤およびサイジング溶液に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、繊維強化複合材料の一つに炭素繊維と樹脂からなる炭素繊維強化樹脂組成物がある。
炭素繊維強化樹脂組成物を構成するマトリックス樹脂としては、一般的に広く使用されているエポキシ樹脂の他、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂等のラジカル重合系樹脂など種々の樹脂が用いられている。
一方、この炭素繊維樹脂に使用されている炭素繊維は、化学組成の大部分(90%以上)が炭素よりなる繊維であり、再生セルロース、ポリアクリロニトリル(PAN)、ピッチなどから得られ、高強度炭素繊維、高弾性炭素繊維などに区別される。この炭素繊維は、軽量で、比強度および比弾性率に対して特に優れた性質を有している。加えて、耐熱性、耐薬品性にも優れていることなどから、強化剤として有効であり、広範囲に用いられている。
【0003】
しかしながら、この炭素繊維は、伸度が小さく脆い材料であるため、その使用に際し、機械的な摩擦などによって毳起ちやすいという不都合がある。また、炭素繊維は、一般にマトリックス樹脂に対する接着性に乏しいため、これを使用した炭素繊維強化樹脂組成物において、炭素繊維の有する優れた性質を十分に発揮させることが困難であるという不都合が生じる。
これらの不都合を軽減するため、従来から炭素繊維に対してサイジング剤による処理が施されている。炭素繊維用サイジング剤は、炭素繊維の取扱性を向上させるために、また、マトリックス樹脂に対する接着性を向上させて、炭素繊維強化樹脂の性質を向上させるために使用されるもので、マトリックス樹脂と炭素繊維の含浸性を向上させる、接着性を向上させるなどの性能を有している。
このような炭素繊維に使用されるサイジング剤として、例えば、ポリグリシジルエーテル類などを用いるもの(参照:特公昭57−15229号公報等)(以下、「サイジング剤1」と略記する)や、分子内に少なくとも三つのエポキシ基を有するエポキシ化合物と、ビニル基含有カルボン酸との反応生成物を主成分とするもの(参照:特開昭55−84476号公報等)(以下、「サイジング剤2」と略記する)などの種々のものが提案されている。
上記サイジング剤1は、その使用に際し、優れた含浸性や界面接着力などの利点を有している。
サイジング剤2は、マトリックス樹脂、特に不飽和ポリエステル樹脂との接着性を向上させることができ、また、エポキシ樹脂をマトリックス樹脂として用いた場合に硬化条件変動による炭素繊維強化樹脂組成物の物性が変動するという従来からの懸念を低減できる優れたサイジング剤である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、サイジング剤1では、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂などのラジカル重合系樹脂に対する接着性は十分ではなく、それらの樹脂をマトリックス樹脂とする炭素繊維強化樹脂組成物に使用するには不適当である。
サイジング剤2は、分子内にエポキシ基とビニル基が必ず一つ以上有していない場合があること、これらの官能基が主鎮末端と分枝支鎖末端のいずれかに存在する可能性があり、しかも分子としての嵩高さが大きく、また炭素繊維とマトリックス樹脂界面層に架橋網を形成し易いなど、安定した物性の発現が望めないなどのおそれがあった。
【0005】
本発明は前記課題を解決するためになされたもので、エポキシ樹脂だけでなく、特に、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂などのラジカル重合系樹脂との樹脂含浸性が良く、また、これらの樹脂と炭素繊維との接着力に優れ、さらに、安定した物性改善効果が得られる炭素繊維、炭素繊維シート状物ならびにこの炭素繊維を強化材料とした炭素繊維強化樹脂組成物、その為の炭素繊維用サイジング剤等を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の炭素繊維用サイジング剤は、下記一般式(1)で示される官能基と一般式(2)で示されるエポキシ基とを有する化合物を含有することを特徴とするものである。
【化3】
(一般式(1)中、Rは水素原子またはアルキル基である。)
ここで、その化合物は、一般式(1)で示される官能基と一般式(2)で示されるエポキシ基とをそれぞれ1つづつ有し、これらの官能基がそれぞれ主鎖片末端に位置するものが望ましい。
さらに、エポキシ基としては、下記一般式(3)で示されるグリシジル基であることが望ましい。
【化4】
【0007】
本発明の炭素繊維は、上述した炭素繊維用サイジング剤が付着していることを特徴とするものである。
炭素繊維用サイジング剤の付着量としては、0.1から5重量%の範囲であることが望ましい。
本発明に係る炭素繊維用サイジング剤溶液は、上述した炭素繊維用サイジング剤が水溶液中に分散してなることを特徴とするものである。
本発明の炭素繊維シート状物は、上記炭素繊維を用いてなるものである。
炭素繊維シート状物としては、炭素繊維が一方向に引き揃えられているものが望ましい。
炭素繊維シート状物としては、その少なくとも一方の面に、前記一方向に引き揃えられている炭素繊維に対して直行する方向に沿って、熱融着性繊維が所定間隔で配列し、熱融着されているもの、または、その少なくとも一方の面に、熱融着性繊維布が熱融着しているものが好適である。
【0008】
本発明の炭素繊維シート状織物は、上記炭素繊維を織糸として有することを特徴とするものである。
この際、炭素繊維を経糸とし、該経糸より引張弾性率が低い繊維を緯糸とすることが望ましい。
また、緯糸が融点差50℃以上の2種の繊維からなり、1m当たりの重量が0.1g以下の複合糸であり、径糸方向における緯糸の間隔が3〜15mmで、緯糸の低融点繊維により経糸と緯糸とが接着されている炭素繊維シート状織物が望ましい。
本発明の炭素繊維強化樹脂組成物は、上記炭素繊維を有することを特徴とするものである。
ここで、炭素繊維が一方向に引き揃えられているものが望ましい。
また、上述した炭素繊維シート状織物を有する炭素繊維強化樹脂組成物が望ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の炭素繊維用サイジング剤は、上記一般式(1)で示される官能基と一般式(2)で示されるエポキシ基を有する化合物を含有するものである。
上記一般式(1)で示される官能基と一般式(2)で示されるエポキシ基とを分子内に有する化合物であれば特に限定されないが、例えば下記一般式(4)〜(9)で示される化合物が好ましく使用される。
【化5】
(一般式(8),(9)中のnは、2〜7である。)
【0010】
このような化合物であると、上記官能基(1)の二重結合がラジカル重合系樹脂とラジカル反応して結合し、エポキシ基が炭素繊維表面の活性基と物理的あるいは化学的結合を形成する。
官能基(1)のRは、水素原子または炭素数が1ないし2のアルキル基であることが好ましく、マトリックス樹脂となる樹脂の種類などに合わせて適したものが選択される。
この一般式(1)で示される官能基と一般式(2)で示されるエポキシ基とを分子内に有する化合物の中でも、一般式(4)〜(9)で代表される化合物のように、分子の主鎖の片方の端部に上記一般式(1)で示される官能基を、他方の端部に一般式(2)で示されるエポキシ基を、それぞれ配したものが好ましい。このような分子構造をとることによって、マトリックス樹脂、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂などのラジカル重合系樹脂などと、炭素繊維をより強力に結合する。
【0011】
本発明で、エポキシ基は、上記一般式(2)で示されるものであるが、上記一般式(4)、あるいは上記一般式(5)〜(9)で示される化合物などにおけるグリシジルエーテルの形態のものが、より優れた界面接着性を発現するので好ましい。
また、上記化合物の骨格には、例えば、上記一般式(4)、(5)、(6)または上記一般式(8)で示される化合物のようなビスフェノールA型、あるいは上記一般式(7)または上記一般式(9)で示される化合物のようなビスフェノールF型、または、ビスフェノールS型、ビフェニル型などが挙げられる。
このビスフェノールA型あるいはビスフェノールF型は、その構造が比較的剛直であることから、これを骨格としてなる上記化合物を主成分としたサイジング剤は、炭素繊維に対して良好な力学的特性を付与することができる。また、このビスフェノールA型あるいはビスフェノールF型は、π共役系を有していることにより、微小なグラファイト結晶で構成されている炭素繊維に対して良好な親和性を有しているため、優れた界面接着性を発現するため好ましい。
【0012】
この分子内に上記一般式(1)で示される官能基と一般式(2)で示されるエポキシ基とを有する化合物において、その官能基の数は、上記一般式(4)〜(9)で示される化合物のように一個ずつであってもよく、また複数個であってもよい。複数個の各官能基が存在する場合、これら各官能基の構造は、全て異なるものであってもよく、また、同一のものが存在していてもよい。
このような化合物を主成分として構成してなる炭素繊維用サイジング剤にあっては、その主成分として、その化合物の1種類を単独で用いることもできるが、複数種の化合物を組み合わせて混合物として使用することもできる。
サイジング剤としては、上述した化合物を主成分として含有していればよく、サイジング剤中、40重量%以上あればよい。この主成分と併用される他の成分としては、例えば、例えば、各種エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等を用いることができる。
【0013】
このような上記一般式(1)で示される官能基と一般式(2)で示されるエポキシ基を有する化合物を主成分とした炭素繊維用サイジング剤は、上記の二種類の官能基を必ずそれぞれ一つ以上有しているものであるため、炭素繊維に対しても、また、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂などのラジカル重合系樹脂などのマトリックス樹脂に対しても優れた親和性を有している。したがって、本サイジング剤で処理された炭素繊維は前記マトリックス樹脂に対し良好な濡れ性を示し、その結果、優れた力学的特性を有する複合材を得ることができる炭素繊維とすることができる。
【0014】
上記炭素繊維用サイジング剤は、これを炭素繊維に付与する際には、水、あるいはアセトンなどの有機溶剤などに分散させ、サイジング剤溶液として使用することが適当である。特に、サイジング剤溶液は、炭素繊維用サイジング剤を水溶液中に分散させたサイジング剤溶液が好適である。サイジング剤溶液にあっては、これを水エマルジョン系とした場合、アセトンなどの有機溶剤溶液などと比較して、工業的にも、また安全性の面からも優れているため好ましい。
このような前記炭素繊維用サイジング剤を水溶液中に分散させてなるサイジング剤溶液を調製する際には、界面活性剤を利用することが、分散性を高め溶液安定性を高めて取扱性が良好となるので好ましい。
ここで使用される界面活性剤としては、ノニオン系、カチオン系、アニオン系のいずれのものも用いることができる。特に、ノニオン系の界面活性剤は、これを用いたサイジング剤溶液を使用した炭素繊維強化樹脂組成物を形成する場合においてプリプレグ状態などでの優れた貯蔵安定性を有しているため、また、熱可塑性樹脂との複合化などを行う場合にトラブル発生要因となる塩類を有していないことから扱い易いなどのため好ましい。
【0015】
炭素繊維用サイジング剤と界面活性剤との配合比率は、重量比でサイジング剤/界面活性剤=95/5〜70/30であり、好ましくは、サイジング剤/界面活性剤=85/15〜75/25である。この範囲にあっては、それを使用して得られるサイジング剤溶液の安定性がよく、なおかつ、サイジング剤の効果に悪影響を与えることがなく好ましい。この配合比率において、界面活性剤の配合比率が上記範囲未満となる場合には、それを使用して得られるサイジング剤溶液の安定性が低下する。一方、上記範囲を越える場合では、それを使用して得られるサイジング剤溶液で炭素繊維を処理するに際し、炭素繊維の表面が界面活性剤に被覆されるという不都合が生じて、サイジング剤が有効に作用することができないため、炭素繊維の界面接着性向上効果に対して悪影響を与える。
また、このような上記サイジング剤溶液に対して、平滑剤を配合することで、耐擦過性を向上させた炭素繊維を得ることもできる。
【0016】
本発明に係る炭素繊維は、上記炭素繊維用サイジング剤または上記サイジング剤溶液を用いてその表面を処理したものである。
このようなサイジング剤溶液を使用して処理される炭素繊維は、ピッチ、レーヨンあるいはポリアクリロニトリルなどのいずれの原料物質からなるものでもよい。またその種類は、例えば、高強度タイプ(低弾性率炭素繊維)、中高弾性炭素繊維および超高弾性炭素繊維などのいずれの種類のものでもよい。さらに、その形態は、長繊維、短繊維あるいは織物、編み物、不織布などのシート状形態を有するものなどいずれのものでもよく、特に限定されない。
【0017】
この炭素繊維に付着させる前記炭素繊維用サイジング剤の付着量は、炭素繊維に対して0.1重量%〜5.0重量%であり、好ましくは、0.2重量%〜3.0重量%である。この範囲の付着量であれば、炭素繊維に対して、サイジング剤の効果を十分に付与することができる。この炭素繊維用サイジング剤の付着量が0.1重量%未満では、炭素繊維の収束性、耐擦過性が十分に得られないため、機械的摩擦などによって毛羽が発生して好ましくない。また、樹脂との親和性、界面接着力が不十分であるため、これを使用してなる炭素繊維強化樹脂が良好な力学的特性を得ることができないなどの不都合が生じる。一方、5.0重量%を越える場合では、収束性が強すぎることにより、炭素繊維束の開繊性が悪くなって、マトリックス樹脂との複合化の際に束内部への樹脂の含浸が阻害される等の不都合が生じる。
【0018】
炭素繊維に対する炭素繊維用サイジング剤の付着量は、サイジング剤溶液の濃度調整や、絞りコントローラーなどの通過工程の調整などの方法によって調整される。
本発明の炭素繊維用サイジング剤が付着した炭素繊維は、機械的摩擦などによる毛羽などが発生しにくく、さらに、マトリックス樹脂に対する親和性や接着性に優れたものである。
【0019】
炭素繊維用サイジング剤を炭素繊維に付着させるには、ローラー浸漬法、ローラー接触法など一般に工業的に用いられている方法を適用できる。
炭素繊維用サイジング剤を付着させた炭素繊維は、続いて乾燥処理され、サイジング剤を付着させる際に同時に付着したサイジング剤溶液に含まれていた水、あるいは有機溶媒などの除去が行われた後に、炭素繊維強化樹脂組成物等の形成に使用されるものとなる。
ここでの乾燥処理は、熱風、熱板、ローラー、各種赤外線ヒーターなどを熱媒として利用した方法などによって行われる。
【0020】
本発明に係る炭素繊維シート状物は、上述したサイジング剤で処理された炭素繊維を用いたことを特徴とするものであり、織布、一方向配列シート、不織布、マット等、これらを組み合わせたものが挙げられる。
シート状物としては、炭素繊維が一方向に引き揃えられたものが挙げられる。そのようなシート状物としては、単に一方向に炭素繊維を一定間隔で引き揃えたもの、あるいは幅方向に緯糸を配する、あるいは緯糸として熱融着性繊維を利用して横方向に配置後熱融着で固定したもの、あるいは熱融着性のウェブあるいはネットをシート表面に配する等の手段によりシート状にしたもの等が含まれる。特に本発明においては、炭素繊維を一方向に配列してなるシート状物が、(a)一方向に引き揃えた炭素繊維のシート状物の少なくとも一方の面に、炭素繊維と直行する方向に熱融着性繊維を所定の間隔で配置し熱融着したもの、(b)一方向に引き揃えた炭素繊維のシート状物の少なくとも一方の表面に、熱可塑性樹脂からなるあるいは熱可塑性樹脂で被覆されたネット状支持体、ウェブ状支持体などの融着性繊維布を熱融着したものが好ましく用いられる。
(a)のシート状物は、上記炭素繊維を一方向に引き揃えシート状とし、強化繊維の巾方向に熱融着性繊維を配置し、加熱し、炭素繊維と熱融着することにより製造される。配置する間隔は、3〜150mmが好ましく、より好ましくは3〜15mmである。配置する間隔がこれよりも小さいとシート状物の取扱性は良好であるが、炭素繊維の拘束が強くなり過ぎて樹脂の含浸性が低下する傾向にあり、また、これよりも大きいとシート状物としての取扱性が低下する傾向にあり好ましくない。
(b)のシート状物は、炭素繊維を一方向に引き揃えたシート状とし、その少なくとも一方の表面に室温以上の温度で溶融し接着性を示す熱可塑性樹脂あるいは熱可塑性樹脂で被覆されたネット状支持体、ウェブ状支持体などの熱融着性繊維布を熱融着することにより製造される。ネット状支持体のネットの目開きは、樹脂含浸性の観点からは広い方が好ましく目開き部分の多角形の一辺が1mm以上、その目開き面積が10mm2以上のものが好ましい。一辺が2.5mm以上で、目開き面積が15mm2以上であればより好ましい。一方、炭素繊維のほつれ防止、裁断時の取扱性の観点からは、目開きは小さい方が好ましく、一辺が20mm以下で目開き面積が500mm2以下であることが好ましい。
ウェブ状支持体とは、短繊維あるいは長繊維の絡み合ったシート状物である。ネット状あるいはウェブ状支持体の目付は、得られる成形物の機械特性、特に層間剪断強度保持及びシート状物の樹脂含浸性の点から、20g/m2以下が好ましい。
【0021】
本発明に係る炭素繊維シート状織物は、サイジング剤で処理された上記炭素繊維を織糸として用いたことを特徴とするものである。織り組織は特に限定はされず、平織り、綾織り、朱子織りの他、これら原組織を変化させたものでもよい。また、緯、経糸共に上記炭素繊維でもよく、また他の炭素繊維あるいは炭素繊維以外の繊維との混織でもよい。炭素繊維以外の繊維としては、ガラス繊維、チラノ繊維、SiC繊維などの無機繊維、アラミド、ポリエステル、PP、ナイロン、アクリル、ポリイミド、ビニロンなどの有機繊維などがある。
取扱性、樹脂含浸性を良好にする為に、上記炭素繊維を経糸として、経糸より低い引張弾性率の繊維を緯糸とする炭素繊維シート状織物が望ましい。緯糸として用いられる繊維の引張弾性率が高い場合には、経糸が長手方向に蛇行し易くなり、補強用シートとして十分に強度を発現しなくなる。
【0022】
さらに、2種以上からなる複合繊維でもよい。特に融点差が50℃以上ある2種の繊維からなる複合系は特に優れている。高融点繊維は本来の緯糸として機能し、一方、低融点繊維は製織後に経糸と緯糸とを一体化し優れた取扱性を付与する。
補強用シートとしての強度発現性の観点から、緯線は細い方が好ましく、1m当たりの重量が0.1g以下のものが望ましい。緯糸間隔は3〜15mmが望ましい。間隔が3mmより狭い場合には、経糸の長手方向における蛇行が無視できなくなり、強度発現性の低下を引き起こす。一方、間隔が15mmより広い場合は、シート状物としての取扱性が低下するので好ましくない。より好ましい緯線の間隔は4〜10mmである。
本発明の炭素繊維シート状織物は、橋梁、橋脚、建造物の柱等の補強用シート材用途にも用いられ得る。
【0023】
本発明に係る炭素繊維強化樹脂組成物は、サイジング剤で処理された上記炭素繊維を用いたことを特徴とするものである。即ち、上述した炭素繊維が補強繊維となって、マトリックス樹脂と複合化し、一方向プリプレグ、クロスプリプレグ、トウプレグ、短繊維強化樹脂含浸シート、短繊維マット強化樹脂含浸シートなどを形成する炭素繊維強化樹脂組成物となる。
マトリックス樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ラジカル重合系樹脂であるアクリル樹脂、ビニルポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などが使用される。また、熱可塑性アクリル樹脂などでも良い。さらに、一般に用いられているエポキシ樹脂などでも良い。
このような前記サイジング剤で処理された炭素繊維を用いた炭素繊維強化樹脂組成物を製造するには、一般に通常行われている方法を採用することができ、例えば、ホットメルト法、溶剤法、シラップ法、あるいはSMCなどに用いられる増粘樹脂法などの方法によって行われる。その製造に際し、前記サイジング剤で処理された炭素繊維を使用して、マトリックス樹脂を含浸して行われる。
【0024】
このような炭素繊維強化樹脂にあっては、サイジング剤で処理された炭素繊維を用いているため、マトリックス樹脂として、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂などのラジカル重合系樹脂などを使用することができ、また、前記サイジング剤の主成分である化合物の有する一般式(2)で示されるエポキシ基が炭素繊維と、また一般式(1)で示される官能基がマトリックス樹脂と強靱に接着することから、炭素繊維とマトリックス樹脂の界面接着力が強く、良好な力学的特性を示すものとなる。
また、例えば、土建用コンクリート補強材のような補強用シート材として用いる場合には、炭素繊維強化複合材をコンクリートの支柱等の周囲に巻き付けて用いられるが、この際、炭素繊維強化複合材どうしの重ね合わせた部分の剥離強度が他の重ね合わされていない部分の引張強度よりも同等以上であることが必要とされる。本発明の炭素繊維強化樹脂組成物を用いてなる複合材であると、そのような重ね合わせた部分の強度が高く、特に補強用シート材として有用なものである。
【0025】
【実施例】
以下、本発明を、実施例および比較例によって具体的に詳しく説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1]
アクリロニトリルを97重量%とメタクリル酸を3重量%からなるアクリロニトリル共重合体をジメチルホルムアミド(DMF)に溶解して、紡糸ノズルより吐出させ、乾−湿式紡糸方式で、洗、沸水延伸し、続いて沸水洗浄、乾燥して、単糸デニール0.7の前駆体繊維を製造した。次いで、この前駆体繊維を、空気中200℃〜300℃で耐炎化して耐炎繊維とした後、窒素ガス中最高温度1400℃で炭素化して炭素繊維とした。このようにして作成された炭素繊維に対し、電気化学的に表面酸化処理を施して炭素繊維束を得た。
【0026】
この炭素繊維束を、サイジング剤溶液にローラー浸漬し、熱風乾燥して、サイジング剤付着糸とした。炭素繊維束に対するサイジング剤の付着量は1.50重量%とした。
サイジング剤溶液としては、上記一般式(4)で示される化合物に対してノニオン系の界面活性剤20重量%を配合し、2wt%の水性エマルジョン溶液として調製したものを使用した。
そして、得られたサイジング剤付着糸を製繊して、200g/m2の目付を有する平織りクロスであるシート状織物を製造した。
また、メタクリルシラップ(メチルアクリレートプレポリマー液(「ビーズレジンBR−73」三菱レイヨン(株)製を20重量部と、メチルメタクリレートを80重量部とからなる))を100重量部に対して、硬化剤(50%希釈ベンゾイルパーオキサイド(「カドックスB−CH50」化薬アクゾ(株)製))を4重量部と、硬化促進剤(ジメチル−p−トルイジン)を1重量部混合してマトリックス樹脂を調製した。
そして、上記製造したシート状織物をこのマトリックス樹脂に含浸させて、繊維体積含有率VF40%の炭素繊維強化樹脂組成物とし、これを0.05mm厚のポリエステルフィルム間で、室温にて25分間静置して硬化させてシート状の複合材とした。
【0027】
この複合材について、曲げ試験、断面の観察、さらに破断断面の走査型電子顕微鏡による観察(以下、「SEM観察」と略記する)を行った。
曲げ試験では、JIS K7074に準ずる方法により曲げ強度の測定を行った。
その結果、曲げ強度は750MPaであった。また、断面には、ボイド、未含浸部は全く確認されなかった。さらに、SEM観察から、樹脂の凝集破壊様式が確認された。
【0028】
[実施例2]
上記実施例1におけるサイジング剤の化合物を一般式(4)の化合物から一般式(5)で示される化合物に代えた他は、実施例1と同様にして炭素繊維を製造し、シート状織物ないし炭素繊維強化樹脂組成物を製造し、シート状の複合材とした。
そして、上記実施例1と同様に、曲げ試験、断面の観察、さらに破断断面のSEM観察を行った。
その結果、曲げ強度は650MPaであった。また、断面には、ボイド、未含浸部は全く確認されなかった。さらに、SEM観察から、樹脂の凝集破壊様式が確認された。
【0029】
[実施例3]
上記実施例1におけるサイジング剤の主成分を上記一般式(6)で示される化合物としたこと以外は実施例1と同様にして炭素繊維を製造し、シート状織物ないし炭素繊維強化樹脂組成物を製造し、シート状の複合材とした。
そして、上記実施例1と同様に、曲げ試験、断面の観察、さらに破断断面のSEM観察を行った。
その結果、曲げ強度は600MPaであった。また、断面には、ボイド、未含浸部は全く確認されなかった。さらに、SEM観察から、樹脂の凝集破壊様式が確認された。
【0030】
[実施例4]
上記実施例1におけるサイジング剤の主成分を上記一般式(7)で示される化合物としたこと以外は実施例1と同様にして炭素繊維を製造し、シート状織物ないし炭素繊維強化樹脂組成物を製造し、シート状の複合材とした。
そして、上記実施例1と同様に、曲げ試験、断面の観察、さらに破断断面のSEM観察を行った。
その結果、曲げ強度は730MPaであった。また、断面には、ボイド、未含浸部は全く確認されなかった。さらに、SEM観察から、樹脂の凝集破壊様式が確認された。
【0031】
[実施例5]
上記実施例1におけるサイジング剤を構成する主成分を上記一般式(8)で示される化合物としたこと以外は実施例1と同様にして炭素繊維を製造し、シート状織物ないし炭素繊維強化樹脂組成物を製造し、シート状の複合材とした。
そして、実施例1と同様にして曲げ試験、断面の観察、さらに破断断面のSEM観察を行った。
その結果、曲げ強度は730MPaであった。また、断面には、ボイド、未含浸部は全く確認されなかった。さらに、SEM観察から、樹脂の凝集破壊様式が確認された。
【0032】
[実施例6]
上記実施例1におけるサイジング剤を構成する主成分を上記一般式(9)で示される化合物としたこと以外は実施例1と同様にして炭素繊維を製造し、シート状織物ないし炭素繊維強化樹脂組成物を製造し、シート状の複合材とした。
そして、実施例1と同様に、曲げ試験、断面の観察、さらに破断断面のSEM観察を行った。
その結果、曲げ強度は650MPaであった。また、断面には、ボイド、未含浸部は全く確認されなかった。さらに、SEM観察から、樹脂の凝集破壊様式が確認された。
【0033】
[実施例7]
上記実施例1でのサイジング剤付着糸と、マトリックス樹脂からなる引抜き成形品を成形して、炭素繊維強化樹脂組成物からなる複合材を製造した。
マトリックス樹脂としては、ビニルエステル樹脂(「デラックライト3505」大日本インキ化学工業(株)製)を使用した。
そして、その複合材について、引張試験、断面の観察、さらに破断断面のSEM観察を行った。
その結果、引張強度は1500MPaであった。また、断面には、ボイド、未含浸部は全く確認されなかった。さらに、SEM観察から、樹脂の凝集破壊様式が確認された。
【0034】
[実施例8]
上記実施例1でのサイジング剤付着糸と、マトリックス樹脂からなる一方向プリプレグを製造し、このプリプレグを積層、硬化させて一方向複合材を作成した。マトリックス樹脂としては、エポキシ樹脂を使用した。
複合材について、上記実施例1と同様に、曲げ試験を行った。また、ASTM-D-2344に準じて層間剪断強度(ILSS)の測定を行った。
その結果、繊維方向の曲げ強度は1750MPa、繊維方向に直交する方向の曲げ強度は110MPaおよびILSSは95MPaであった。
【0035】
[実施例9]
上記一般式(4)で示される化合物に対してノニオン系の界面活性剤20重量%を配合し、2wt%の水性エマルジョン溶液として調製したサイジング剤溶液に、炭素繊維(三菱レイヨン社製「パイロフィルTR30X」(引張強度4.9GPa、引張弾性率235GPa、フィラメント数12,000本))をローラー浸漬し、熱風乾燥して、炭素繊維束に対するサイジング剤の付着量を1.50重量%としたサイジング剤付着糸を製造した。
この炭素繊維を経糸として10本/インチ、緯糸にガラス繊維(引張弾性率72.5GPa、融点840℃)と低融点ナイロン繊維(マルチフィラメント、融点125℃)の交絡糸(0.03g/m)を6本/インチで製織した後、180℃の熱をかけて簾状炭素繊維織布を得た。
得られた織物はしなやかで多少乱暴に扱っても繊維の乱れや目崩れの起きない極めて取り扱い易いものであった。
【0036】
また、メチルメタクリレートを70重量部、1,3−ブチレングリコールジメタクリレートを2重量部、末端にメタクリル基を有する数平均分子量が6000のn−ブチルアクリレートマクロモノマーを25重量部、n−パラフィンを1重量部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを1重量部を均一になるまで十分に混合し、最後にN,N−ジメチル−p−トルイジンを1重量部添加混合し、反応性混合物を得た。
得られた反応性混合物100重量部に対して、ベンゾイルパーオキサイド2重量部を添加混合し、上記簾状織物に含浸して炭素繊維強化樹脂組成物を製造し、室温で1時間放置して硬化し、複合材を得た。
得られた複合材から切り出して図1に示す全長250mmの引張試験片を作製し、室温にて引張強度を測定した。
繊維含有率100%に換算した(織物の理論厚みで割り返した)引張強度は4300MPaであった。
【0037】
また、同様に上記反応性混合物100重量部に対してベンゾイルパーオキサイド2重量部を添加混合し、上記簾状織物を用いて炭素繊維強化樹脂組成物を製造し、矩形状の2枚のシート状物を切り出し、未硬化のまま、図2に示すように、100mmの継手重なり部10を形成するように重ね合わせ、室温で1時間放置して一体硬化させて継手引張強度試験片を作製し、室温にて継手引張強度を測定した。
繊維含有率100%に換算した(織物の理論厚みで割り返した)継手引張強度は4350MPaであり、継手重なり部のない引張強度とほぼ同等であった。破断は、継手重なり部破断と母材の引張破断の混合で、コンクリート補強材等にも適するものであった。
【0038】
[実施例10]
液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂を主剤に、芳香族ポリアミン変性品を硬化剤とする室温硬化型エポキシ樹脂を調製した。
上記実施例9で用いた簾状炭素繊維織布に、上記室温硬化型エボキシ樹脂を含浸させ、室温にて7日間静置し硬化させた。
得られた複合材から図1に示す引張試験片を作製し、室温にて引張強度を測定した。
繊維含有率100%に換算した(織物の理論厚みで割り返した)引張強度は4250MPaであった。
また、同様に100mmの継手重なり部を有する複合材から、図2に示す継手引張強度試験片を作製し、室温にて継手引張強度を測定した。
繊維含有率100%に換算した(織物の理論厚みで割り返した)継手引張強度は4300MPaであり、継手重なり部のない引張強度とほぼ同等であった。破断は、母材の引張破断であった。
【0039】
[実施例11]
実施例9と同様なサイジング剤付着糸とした炭素繊維(「パイロフィルTR30X」(引張強度4.9GPa、引張弾性率235GPa、フィラメント数12,000本)三菱レイヨン(株)製)を2.5mm間隔300mm巾で、目板及び櫛を使って一方向に引き揃え、その両表面にガラス繊維(引張弾性率72.5GPa、融点840℃)と低融点ナイロン繊維(マルチフィラメント、融点125℃)の交絡糸(0.03g/m)を片面当たり25mm間隔(シートとしては12.5mm間隔で両表面に交互に緯線は配置される)で配置して熱プレスにより180℃で熱融着させることにより炭素繊維シート状物を得た。
得られた炭素繊維シート状物はしなやかで多少乱暴に扱っても繊維の乱れや目崩れの起きない極めて取り扱い易いものであった。
実施例9と同様に上記反応性混合物100重量部に対して、ベンゾイルパーオキサイド2重量部を添加混合し、上記炭素繊維シート状物に含浸し、室温で1時間放置して硬化し、複合材を得た。
本炭素繊維シート状物の樹脂含浸性は優れたものであった。
【0040】
上記同様に、図1に示した引張試験片と図2に示した継手引張強度試験片を作製し、室温にて引張強度と継手引張強度を測定した。
繊維含有率100%に換算した(織物の理論厚みで割り返した)引張強度は4350MPaであった。
継手引張強度は4300MPaであり、継手重なり部のない引張強度とほぼ同等であった。破断は、継手重なり部破断と母材の引張破断の混合であった。
【0041】
[実施例12]
実施例11の炭素繊維シート状物に実施例10の室温硬化型エポキシ樹脂を含浸させ、室温にて7日間静置し硬化させた。
本炭素繊維シート状物への樹脂の含浸は非常に容易であった。
上記同様に、引張試験片(図1)と継手引張強度試験片(図2)を作製し、室温にて評価した。
繊維含有率100%に換算した(織物の理論厚みで割り返した)引張強度は4450MPaであった。また継手引張強度は4350MPaであり、継手重なり部のない引張強度とほぼ同等であった。破断は、母材の引張破断であった。
【0042】
[実施例13]
実施例9と同様なサイジング剤付着糸とした炭素繊維(「パイロフィルTR30X」(引張強度4.9GPa、引張弾性率235GPa、フィラメント数12,000本)三菱レイヨン(株)製)を2.5mm間隔300mm巾で、目板及び櫛を使って一方向に引き揃え、その片面に熱融着性不織布(ダイセル化学社製「ダイアミドスパン」(目付13g/m2))を配置し、温度130℃、圧力0.1MPaに設定した加熱ローラを40秒かけて通過させて炭素繊維シート状物を得た。
得られた炭素繊維シート状物はしなやかで多少乱暴に扱っても繊維の乱れや目崩れの起きない極めて取り扱い易いものであった。
実施例9と同様に上記反応性混合物100重量部に対して、ベンゾイルパーオキサイド2重量部を添加混合し、上記炭素繊維シート状物に含浸し、室温で1時間放置して硬化し、複合材を得た。
本炭素繊維シート状物の樹脂含浸性は優れたものであった。
【0043】
上記同様に、引張試験片(図1)と継手引張強度試験片(図2)を作製し、室温にて評価した。
繊維含有率100%に換算した(織物の理論厚みで割り返した)引張強度は4300MPaであった。継手引張強度は4200MPaであり、継手重なり部のない引張強度とほぼ同等であった。破断は、継手重なり部破断と母材の引張破断の混合であった。
【0044】
[実施例14]
実施例13の炭素繊維シート状物に実施例10の室温硬化型エポキシ樹脂を含浸させ、室温にて7日間静置し硬化させ、複合材を得た。
本炭素繊維シート状物への樹脂の含浸は非常に容易であった。
上記同様に、引張試験片(図1)と継手引張強度試験片(図2)を作製し、室温にて評価した。
繊維含有率100%に換算した(織物の理論厚みで割り返した)引張強度は4350MPaであった。また継手引張強度は4300MPaであり、継手重なり部のない引張強度とほぼ同等であった。破断は、母材の引張破断であった。
【0045】
[比較例1]
上記実施例1におけるサイジング剤を構成する主成分を市販のビスフェノールA型エポキシ樹脂(「エピコート828」油化シェル製)としたこと以外は実施例1と同様にしてサイジング剤付着糸を製造し、平織りクロスとし、炭素繊維強化樹脂組成物を製造した。
この炭素繊維強化樹脂組成物からなる複合材について、上記実施例1と同様の方法により、曲げ試験、断面の観察、さらに破断断面のSEM観察を行った。
その結果、曲げ強度は300MPaであった。また、断面には、ボイド、未含浸部が確認された。さらに、SEM観察から、炭素繊維と樹脂との界面の剥離が明らかに確認された。
【0046】
[比較例2]
上記実施例1におけるサイジング剤を構成する主成分を下記一般式(10)で示される化合物とし、実施例1と同様にしてサイジング剤付着糸を製造し、平織りクロスとし、炭素繊維強化樹脂組成物を製造した。
この炭素繊維強化樹脂組成物からなる複合材について、上記実施例1と同様の方法により、曲げ試験、断面の観察、さらに破断断面のSEM観察を行った。
その結果、曲げ強度は450MPaであった。また、断面には、ボイド、未含浸部は全く確認されなかった。しかし、SEM観察から、炭素繊維と樹脂との界面の剥離が明らかに確認された。
【化6】
【0047】
[比較例3]
上記比較例1でのサイジング剤付着糸と、マトリックス樹脂からなる引抜き成形品を成形して、炭素繊維強化樹脂組成物を製造した。
マトリックス樹脂としては、上記実施例7と同様のものを使用した。
この炭素繊維強化樹脂組成物からなる複合材について、引張試験、断面の観察、さらに破断断面のSEM観察を行った。
その結果、引張強度は1200MPaであった。また、断面には、ボイド、未含浸部が一部存在することが確認された。さらに、SEM観察から、炭素繊維と樹脂との界面の剥離が明らかに確認された。
【0048】
[比較例4]
サイジング剤を構成する主成分を上記実施例1と同様の化合物とし、炭素繊維束に対するサイジング剤の付着量を0.05重量%として、実施例1と同様にしてサイジング剤付着糸を製造し、平織りクロスとし、炭素繊維強化樹脂組成物を製造した。
この炭素繊維強化樹脂組成物からなる複合材について、上記実施例1と同様の方法により、曲げ試験、断面の観察、さらに破断断面のSEM観察を行った。
その結果、曲げ強度は350MPaであった。また、断面には、ボイド、未含浸部が一部存在することが確認された。さらに、SEM観察から、炭素繊維と樹脂との界面の剥離が明らかに確認された。
【0049】
[比較例5]
サイジング剤を構成する主成分を上記実施例1と同様の化合物とし、炭素繊維束に対するサイジング剤の付着量を6.00重量%としてサイジング剤付着糸を製造し、平織りクロスとし、炭素繊維強化樹脂組成物を製造した。
この炭素繊維強化樹脂組成物からなる複合材について、上記実施例1と同様の方法により、曲げ試験、断面の観察、さらに破断断面のSEM観察を行った。
その結果、曲げ強度は350MPaであった。また、断面には、ボイド、未含浸部が一部存在し、上記炭素繊維束内に樹脂が十分に含浸していないことが確認された。一方、SEM観察から、樹脂の凝集破壊様式が観察され、接着性が十分であることが確認された。
【0050】
[比較例6]
上記実施例9において、サイジング剤を構成する主成分を市販のビスフェノールA型エポキシ樹脂(「エピコート828」油化シェル製)としたこと以外は同様にして、サイジング剤付着糸を製造し、簾状炭素繊維織布ないし複合材を得た。
実施例9と同様にして引張強度試験と継手引張強度試験を行なった。
その結果、引張強度は4300MPaであったが、継手引張強度は3300MPaでかなり小さな値になった。継手引張強度試験片の破断は全て継手重なり部の剥離であった。
【0051】
[比較例7]
上記実施例9においてサイジング剤を構成する主成分を市販のビスフェノールA型エポキシ樹脂(「エピコート828」油化シェル製)としたこと以外は実施例9と同様にして簾状炭素繊維織布を製造し、実施例10と同様にして複合材を製造し、引張強度試験と継手引張強度試験を行なった。
その結果、引張強度は3700MPa、継手引張強度は3800MPaでかなり小さな値になった。継手引張強度試験片の破断は全て母材の引張破壊であった。
【0052】
[比較例8]
上記実施例11においてサイジング剤を構成する主成分を市販のビスフェノールA型エポキシ樹脂(「エピコート828」油化シェル製)としたこと以外は実施例11と同様にして複合材を製造し、引張強度試験と継手引張強度試験を行なった。
その結果、引張強度は4200MPaであったが、継手引張強度は3400MPaでかなり小さな値になった。継手引張強度試験片の破断は全て継手重なり部の剥離であった。
【0053】
[比較例9]
上記実施例13においてサイジング剤を構成する主成分を市販のビスフェノールA型エポキシ樹脂(「エピコート828」油化シェル製)としたこと以外は実施例13と同様にして複合材を製造し、引張強度試験と継手引張強度試験を行なった。
その結果、引張強度は4300MPaであったが、継手引張強度は3200MPaでかなり小さな値になった。継手引張強度試験片の破断は全て継手重なり部の剥離であった。
【0054】
[従来例]
上記比較例1でのサイジング剤付着糸と、マトリックス樹脂からなる一方向プリプレグを製造し、このプリプレグを積層、硬化させて一方向複合材を作成し、炭素繊維強化樹脂組成物を製造した。
マトリックス樹脂としては、エポキシ樹脂を使用した。
この炭素繊維強化樹脂組成物に関し、上記実施例1と同様の方法により、曲げ試験を行った。また、ILSSの測定を行った。
エポキシ樹脂には適しているサイジング剤付着糸を用いるものなので、繊維方向の曲げ強度が1700MPa、繊維方向に直交する方向の曲げ強度が120MPa及びILSS90MPaであった。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】
以上の結果から、本発明の実施例においては十分な強度が得られ、またボイド、未含浸部は全く確認されず、さらに、SEM観察から樹脂の凝集破壊様式を確認することができて、比較例に比べて優れていることが確認できた。また、マトリックス樹脂としてエポキシ樹脂を使用した場合においても、従来例と比較して遜色なく使用することができることが確認できた。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、エポキシ樹脂だけでなく、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂などのラジカル重合系樹脂などのマトリックス樹脂に対しても優れた親和性を有し、炭素繊維とマトリックス樹脂の両方に対し、濡れ性を向上させることができ、また、安定した効果を得ることができるものである。
また、本発明の炭素繊維が処理されるサイジング剤溶液は、炭素繊維用サイジング剤が水中に分散してなるもので、炭素繊維に本サイジング剤の効果を付与する処理に際して、工業的にも、また安全性の面からも優れたものとすることができる。
【0061】
さらに、本発明の炭素繊維シート状物ならびに炭素繊維強化樹脂組成物は、それに使用する炭素繊維を、本発明の炭素繊維用サイジング剤を用いて処理したものとしているので、炭素繊維とマトリックス樹脂との界面に強い接着力を得ることができることから、優れた力学的特性を有するものである。
特に、サイジング剤における化合物が、その官能基がそれぞれ主鎖片末端に位置したものでると、マトリックス樹脂と炭素繊維がより強力に結合する。
また、そのエポキシ基がグリシジル基であると、より優れた界面接着性を発現する。
また、この炭素繊維用サイジング剤による効果は、その付着量が0.1重量%〜5.0重量%のときに、特に発揮される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 引張試験片を示すもので、図1(a)は側面図、図1(b)は平面図である。
【図2】 継手引張強度試験片を示すもので、図2(a)は側面図、図2(b)は平面図である。
Claims (16)
- 前記一般式(1)で示される官能基と一般式(2)で示されるエポキシ基とをそれぞれ1つづつ有し、これらの官能基がそれぞれ主鎖片末端に位置することを特徴とする請求項1記載の炭素繊維用サイジング剤。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維用サイジング剤が付着していることを特徴とする炭素繊維。
- 炭素繊維用サイジング剤の付着量が0.1から5重量%の範囲であることを特徴とする請求項4記載の炭素繊維。
- 請求項1から3のいずれかに記載の炭素繊維用サイジング剤が水溶液中に分散してなることを特徴とする炭素繊維用サイジング剤溶液。
- 請求項4記載の炭素繊維を用いてなることを特徴とする炭素繊維シート状物。
- 炭素繊維が一方向に引き揃えられていることを特徴とする請求項7記載の炭素繊維シート状物。
- 請求項8記載の炭素繊維シート状物において、その少なくとも一方の面に、前記一方向に引き揃えられている炭素繊維に対して直行する方向に沿って、熱融着性繊維が所定間隔で配列し、熱融着されていることを特徴とする炭素繊維シート状物。
- 請求項8記載の炭素繊維シート状物において、その少なくとも一方の面に、熱融着性繊維布が熱融着していることを特徴とする炭素繊維シート状物。
- 請求項4記載の炭素繊維を織糸として有することを特徴とする炭素繊維シート状織物。
- 炭素繊維を経糸とし、該経糸より引張弾性率が低い繊維を緯糸とすることを特徴とする請求項11記載の炭素繊維シート状織物。
- 緯糸が融点差50℃以上の2種の繊維からなり、1m当たりの重量が0.1g以下の複合糸であり、径糸方向における緯糸の間隔が3〜15mmで、緯糸の低融点繊維により経糸と緯糸とが接着されていることを特徴とする請求項11記載の炭素繊維シート状織物。
- 請求項4記載の炭素繊維を有することを特徴とする炭素繊維強化樹脂組成物。
- 炭素繊維が一方向に引き揃えられていることを特徴とする請求項14記載の炭素繊維強化樹脂組成物。
- 請求項11〜13のいずれかに記載の炭素繊維シート状織物を有することを特徴とする炭素繊維強化樹脂組成物。
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