JP4233560B2 - プリプレグの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、プリプレグの製造方法に関するものである。
従来、炭素繊維,ガラス繊維その他の無機繊維や有機繊維と、エポキシ樹脂,ポリイミド樹脂,フェノール樹脂,ビニルエステル樹脂,ポリエステル樹脂等のマトリックス樹脂(熱硬化性樹脂)とから成る繊維強化プラスチック(以下、「FRP」という。)は、力学的特性に秀れることから、スポーツ用途,自動車用途,航空機用途に使用されている。
このFRPは、例えば、上記繊維に上記マトリックス樹脂を含浸せしめて半硬化状態としたプリプレグ(以下、「PP」という。)を複数枚積層し、加熱・硬化せしめることで成形される。
ところで、上記の繊維の中でも炭素繊維は、比強度,比弾性率に秀れることから、幅広く使用され、また、上記のマトリックス樹脂の中でもエポキシ樹脂は、力学的特性,耐熱性,ハンドリング性に秀れることから、幅広く使用されている。
これらの繊維及びマトリックス樹脂により成形されたFRPは、繊維部分とマトリックス樹脂部分から構成され、FRPを微視的に見ると繊維部位近傍の強度は秀れているが、繊維のないマトリックス樹脂部位での強度は劣るという欠点がある。
これを補うため、従来はマトリックス樹脂に熱可塑性樹脂や無機フィラーを混入し、破壊時に応力分散させることで強度向上を図っている。
しかし、熱可塑性樹脂を用いた場合にはTg(ガラス転移点)の低下、弾性率の低下が発生するという問題点があり、また、無機フィラーを混入した場合には、脆くなるという問題点がある。
そこで、特開2003−201388号公報(特許文献1)には、上記問題点を生じさせることなくFRPの強度向上を図るため、マトリックス樹脂にマルチウォール型のCNT(カーボンナノチューブ)を分散させる技術が開示されている。
しかし、上記マルチウォール型のCNTは、筒状の炭素網が狭い間隔で多数同心円状に重なった構造であり、この構造故に以下のような欠点を有し、未だFRPの十分な強度向上は図られていない。
(1)濡れ性
官能基が炭素網面(側周面)には存在せず、上下端部のみに存在するため、濡れ
性に劣る。
(2)含浸性
製造時にアスペクト比(縦横比)を制御することが難しく、大きさを制御できな
いため、マトリックス樹脂中に分散させること及び炭素繊維束内部まで含浸させる
ことが困難である。
(3)圧縮応力に対する挙動
圧縮応力が加わった場合、圧縮応力を吸収できず座屈し易い。
(4)表面状態
各炭素網同士の間が非常に狭いため、マトリックス樹脂と接触するのは最外層の
みであり、連結が強固に行われにくく強度向上に寄与しにくい。
そこで、特開2004−131538号公報(特許文献2)には、マルチウォール型のCNTの上記(1)〜(4)の欠点を以下の(1)’〜(4)’のように解消できるカップスタック型のCNTをマトリックス樹脂中に混入することが開示されている。
(1)’濡れ性
端部(カップの上縁部a)に多くの官能基(例えばカルボキシル基や水酸基)を
有するユニット構造が複数積み重なった構造であり、マルチウォール型と異なり上
下端部だけでなく側周面にも官能基が存在することになるため、それだけ濡れ性に
秀れる。
(2)’含浸性
カップ状の炭素網Aの数を変更することで大きさ(アスペクト比)を調節するこ
とが可能であるから、マトリックス樹脂中への分散性及び繊維束内部への含浸性が
良好となるアスペクト比に容易に設定できる。
(3)’圧縮応力に対する挙動
カップ状の炭素網Aが積層する構造であるため、圧縮応力が加わった場合、炭素
網A同士の間隔が圧縮可能な分だけ応力吸収が行われるから座屈しにくく、それだ
け圧縮強度に秀れる。
(4)’表面状態
大きな中空部分を有するため、各カップ状の炭素網Aの内周面b及び外周面cが
夫々マトリックス樹脂等と接触することになり、良好な濡れ性と相俟ってそれだけ
マトリックス樹脂等に強固に連結され、しかも、各炭素網Aの上縁部aが夫々楔作
用を発揮することになるから、強度向上への寄与度が大きい。
しかしながら、上記特許文献2は、確かに上記(1)’〜(4)’の改善はなされるものの、前記カップスタック型のCNTをマトリックス樹脂に混入せしめるため、含浸方法によっては該カップスタック型のCNTを均一に分散せしめることが難しい場合がある。
具体的には、半硬化マトリックス樹脂を付着せしめたフィルムを繊維体に積層したPPを製造する場合(ホットメルト法)、マトリックス樹脂が流動化すると繊維体が濾紙のような役割を果たし、樹脂フィルムの積層面側にはCNTが多く存在し、反対面側にはほとんど存在せず、CNTがPP中に偏在してしまうことが起こり得る。繊維体にマトリックス樹脂をダブ漬けし(ウェット法)、乾燥により半硬化状態としてPPを得、使用に際して加熱する場合には、CNTの偏在という問題はそれ程顕著ではないが、ホットメルト法の場合には、CNTの偏在、不均一化は顕著となるのである。
このようにCNTがPP若しくはFRP中に偏在した場合、所望の強度を得ることはできない。
特開2003−201388号公報 特開2004−131538号公報
本発明は、従来とは全く異なるアプローチ、即ち、CNTをマトリックス樹脂に混入するのではなく、直接フィラメントに付着せしめることで上記問題点を解決したもので、特に圧縮強度の向上が顕著で、圧縮方向に大きな負荷のかかる自動車用・航空機用の構造材料に適した極めて実用性に秀れたプリプレグの製造方法を提供するものである。
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
ANを重合せしめて成るPANをフィラメント化して紡糸することでPAN繊維を形成し、続いて、このPAN繊維を焼成して炭素繊維を形成し、続いて、この炭素繊維を一方向に引き揃えて成る繊維体若しくはこの炭素繊維を経糸及び緯糸として織成して成る繊維体を形成し、続いて、この繊維体にマトリックス樹脂を含浸することでプリプレグを製造するプリプレグの製造方法であって、前記PAN繊維を形成する際に使用するフィラメント集束剤として、端部にカルボキシル基若しくは水酸基を有するカップ状の炭素網を積層して成りアスペクト比が1〜80のカップスタック型のCNTを混入せしめたフィラメント集束剤を採用し、前記フィラメント化したPANをこのフィラメント集束剤中に通過せしめ、前記カップスタック型のCNTが混入するフィラメント集束剤を前記フィラメント化したPAN同士の間にまで付着せしめることで、前記フィラメント化した各PANの表面に前記カップスタック型のCNTを固着せしめることを特徴とするプリプレグの製造方法に係るものである。
また、ANを重合せしめて成るPANをフィラメント化して紡糸することでPAN繊維を形成し、続いて、このPAN繊維を焼成して炭素繊維を形成し、続いて、この炭素繊維を一方向に引き揃えて成る繊維体若しくはこの炭素繊維を経糸及び緯糸として織成して成る繊維体を形成し、続いて、この繊維体にマトリックス樹脂を含浸することでプリプレグを製造するプリプレグの製造方法であって、前記繊維体を形成する際に使用する炭素繊維集束剤として、端部にカルボキシル基若しくは水酸基を有するカップ状の炭素網を積層して成りアスペクト比が1〜80のカップスタック型のCNTを混入せしめた炭素繊維集束剤を採用し、前記炭素繊維にパルス的に張力を付与せしめることで張設状態と緩設状態とを繰り返させながら該炭素繊維を前記炭素繊維集束剤中に通過せしめ、前記カップスタック型のCNTが混入する前記炭素繊維集束剤を前記炭素繊維同士の間及び前記フィラメント化したPAN同士の間にまで付着せしめることで、前記フィラメント化した各PANの表面に前記カップスタック型のCNTを固着せしめることを特徴とするプリプレグの製造方法に係るものである。
また、フィラメントが集束した炭素繊維を一方向に引き揃えて成る繊維体若しくはフィラメントが集束した繊維束を経糸及び緯糸として織成して成る繊維体にマトリックス樹脂を含浸させて構成されるプリプレグの製造方法であって、前記繊維体から前記フィラメントを集束せしめる際に塗布された集束剤を除去した後、この繊維体に、端部にカルボキシル基若しくは水酸基を有するカップ状の炭素網を積層して成りアスペクト比が1〜80のカップスタック型のCNTが分散状態で混入された集束剤を付着せしめることで、このカップスタック型のCNTを前記炭素繊維を構成する各フィラメントの表面に固着せしめることを特徴とするプリプレグの製造方法に係るものである。
また、請求項1〜3いずれか1項に記載のプリプレグの製造方法において、前記カップスタック型のCNTのアスペクト比は1〜30に設定されていることを特徴とするプリプレグの製造方法に係るものである。
また、請求項1〜4いずれか1項に記載のプリプレグの製造方法において、前記カップスタック型のCNTは、全繊維重量に対して0.3〜10wt%の割合で設けられていることを特徴とするプリプレグの製造方法に係るものである。
また、請求項1〜5いずれか1項に記載のプリプレグの製造方法において、前記マトリックス樹脂は、エポキシ樹脂とアミン系硬化剤とを含んで成ることを特徴とするプリプレグの製造方法に係るものである。
また、請求項6記載のプリプレグの製造方法において、前記マトリックス樹脂は、エポキシ樹脂100重量部に対して、DICYを2乃至6重量部若しくはDDSを20乃至40重量部配合されて成ることを特徴とするプリプレグの製造方法に係るものである。
また、請求項1〜7いずれか1項に記載のプリプレグの製造方法において、前記繊維体にホットメルト法によりマトリックス樹脂を含浸してプリプレグを形成することを特徴とするプリプレグの製造方法に係るものである。
また、請求項1〜8いずれか1項に記載のプリプレグの製造方法において、前記マトリックス樹脂には前記カップスタック型のCNTが全樹脂重量に対して0.1〜35wt%の割合で混入せしめられていることを特徴とするプリプレグの製造方法に係るものである。
本発明は、上述のように構成したから、カップスタック型のCNTがより確実に分散状態でフィラメントの表面に存在することになり、該カップスタック型のCNTがフィラメントとマトリックス樹脂とを強固に連結すると共にマトリックス樹脂の強度を向上せしめることができ、特に圧縮強度の向上が顕著で、圧縮方向に大きな負荷のかかる自動車用・航空機用の構造材料に適した極めて実用性に秀れたプリプレグの製造方法となる。
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して説明する。
フィラメントの表面にカップスタック型のCNTを分散状態で付着せしめると、カップスタック型のCNTはフィラメントによって拘束され、分散状態で保持される。従って、マトリックス樹脂の含浸方法に何ら影響を受けることなく、例えばホットメルト法を用いた場合であっても、カップスタック型のCNTをPP中に確実に分散状態で存在せしめておくことができ、CNTが偏在することを阻止できることになる。
また、カップスタック型のCNTをフィラメント(繊維束,繊維体)とあたかも一体であるかのように使用でき、非常に微小で扱い辛いCNTをそれだけ簡単に扱えることになる。
従って、本発明は、カップスタック型のCNTが確実にフィラメントとマトリックス樹脂とを強固に連結すると共にマトリックス樹脂の強度を向上せしめることができ、特に圧縮強度の向上が顕著で、圧縮方向に大きな負荷のかかる自動車用・航空機用の構造材料に適した極めて実用性に秀れたプレプレグの製造方法となる。
本発明の具体的な実施例1について図面に基づいて説明する。
実施例1は、フィラメントが集束した繊維束を一方向に引き揃えて成る繊維体にマトリックス樹脂を含浸させて構成されるプリプレグであって、前記フィラメントの表面にはカップスタック型のCNTが分散状態で付着せしめられているものである。
各部を具体的に説明する。
繊維束としては、AN(アクリロニトリル)を重合せしめて成るPAN(ポリアクリロニトリル)をフィラメント化して紡糸することでPAN繊維を形成し、該PAN繊維を焼成することで形成される炭素繊維が採用されている。
具体的には、図3に図示したような公知の湿式紡糸装置を用い、ANを重合せしめて成るPANを溶剤に溶解せしめて容器11に充填し、この溶解せしめられたPANを容器11のノズルに設けた多数の細孔からNaSCN(チオシアン酸ナトリウム)溶液が溜められた凝結槽12に押し出して多数のPANフィラメント10を成形し、続いて、このPANフィラメント10を水(50℃)が貯められた第一洗浄槽13を通過せしめて水洗し、続いて、グリセリン(130〜160℃)が貯められた加熱延伸槽14を通過せしめて延伸して径小化し、続いて、水(30℃)が貯められた第二洗浄槽15を通過せしめて再度水洗した後、この多数のPANフィラメント10に集束剤を吹き付ける吹付槽(図示省略)を通過せしめて紡糸することで、PAN繊維18を形成する。図中、符号16はPAN繊維集束用のガイド体、17はPAN繊維集束用のフレーム、25はガイドロールである。
尚、湿式紡糸法に限らず、溶剤に溶解せしめたPANを押し出して空気中で前記溶剤を蒸発・凝固させることでPANフィラメントを形成する乾式紡糸法や、溶融せしめたPANを押し出して空気中で冷却・凝固させることでPANフィラメントを形成する溶融紡糸法等、他の紡糸法で紡糸しても良い。
次に、上述のようにして形成したPAN繊維18を、図4に図示したような公知の焼成装置を用い、引き出しロール23から引き出して耐炎火炉19(200〜300℃,30〜60分)内を通過せしめて耐炎化繊維を形成し、続いて、炭化炉20(1000〜2000℃)内を通過せしめて炭化繊維を形成し、続いて、黒鉛化炉21(2000〜3000℃)内を通過せしめて黒鉛化繊維を形成し、続いて、サイジング槽22においてサイジング・表面処理を行うことで、PAN繊維18を加熱・焼成することで(炭素フィラメントを集束して成る)炭素繊維を形成する。尚、黒鉛化炉21を省いた構成の焼成装置を用いても良い。図中、符号24は巻き取りロールである。
実施例1においては、公知のカップスタック型のCNTを、前記炭素繊維を集束する集束剤に混入することで、この集束剤により集束される炭素繊維及びフィラメントの表面に、カップスタック型のCNTを分散状態に付着せしめている。即ち、カップスタック型のCNTは前記フィラメント表面の他、更に繊維束の表面及び繊維体の表面に分散状態で付着せしめられることになる。尚、繊維束表面若しくは繊維体表面のみにカップスタック型のCNTを付着せしめても強度向上効果が薄いことが確認されている。また、実施例1において分散状態とは、PPの全体に、偏らずに(略均一に)存在している状態を言う。
具体的には、特願2005−100074号に開示される装置を用いて炭素繊維を一方向に引き揃える際、炭素繊維にパルス的に張力を付与しながら炭素繊維を連続的に搬送し、炭素繊維をカップスタック型のCNTが混入された集束剤が貯留された貯留槽を通過させて炭素繊維にパルス張力を付与しながらフリーディップによりカップスタック型のCNT入りの集束剤を含浸せしめて炭素繊維及びフィラメント表面にカップスタック型のCNTを固着させている。
この際、例えば、CNTが混入されていない集束剤により集束された炭素繊維から該集束剤を除去した後、カップスタック型のCNTが混入された集束剤を炭素繊維に含浸せしめても良い。
従って、マトリックス樹脂にCNTを混入した場合より、フィラメントの細部までCNTを含浸せしめることができ、特に、実施例1は炭素繊維を搬送する際、該炭素繊維にパルス的に張力が付与せしめられ張設状態と緩設状態とを繰り返すことで、この張設状態から緩設状態となった際、炭素繊維間に隙間が生じ、この隙間から前記カップスタック型のCNTが混入された集束剤が入り込むため、炭素繊維間及びフィラメント間に確実に前記集束剤及びカップスタック型のCNTを付着させることが可能となり、より一層フィラメントとマトリックス樹脂との連結強度及びマトリックス樹脂強度を向上させることができる。
具体的には、カップスタック型のCNTは、図1,2に図示したような構造、即ち、該カップスタック型のCNTの端部(カップの上縁部a)に多くの官能基(例えばカルボキシル基や水酸基)を有するユニット構造が複数積み重なった構造であり、上下端部だけでなく側周面にも官能基が存在することになるため、それだけ濡れ性に秀れることになる。従って、フィラメントに強固に固着すると共にマトリックス樹脂とフィラメントとの結合強度が向上することになる。
更に、カップ状の炭素網Aの数を変更することで大きさ(アスペクト比:カップ状の炭素網の最大径(横)と全体長(縦)の比)を調節することが可能であるから、マトリックス樹脂中への分散性及び繊維束内部への含浸性が良好となるアスペクト比に容易に設定でき、より炭素繊維及びフィラメントの細部まで含浸せしめることが可能となる。
しかも、カップ状の炭素網A同士の間に間隙が存在するため、圧縮応力が加わった場合、この間隙により応力吸収が行われるから座屈しにくく、それだけ圧縮強度に秀れることになる。
その上、大きな中空部分を有するため、各カップ状の炭素網Aの内周面b及び外周面cがマトリックス樹脂と接触することになり、良好な濡れ性と相俟ってそれだけマトリックス樹脂に強固に連結されるから、強度向上への寄与度が大きいことになる。
尚、炭素繊維を前記特願2005−100074号の装置を用いずにフリーディップのみで前記CNT入りの集束剤に含浸せしめたり、前記PAN繊維を紡糸する湿式紡糸法によるPAN繊維紡糸工程で前記CNTをフィラメントの表面に付着せしめたり(例えば、前記フィラメントを延伸する際の加熱延伸槽のグリセリン中に前記CNTを分散状態に混入せしめたり)、乾式若しくは溶融紡糸法の場合には押し出したPANフィラメントに吹き付ける集束剤に前記CNTを混入したり、前記炭素繊維を防止する炭素繊維紡糸工程で前記CNTをフィラメントの表面に付着せしめたり(例えば、前記炭素繊維を焼成する耐炎火炉,炭化炉若しくは黒鉛化炉雰囲気中に前記CNTを分散状態に混入せしめたり)することで、フィラメントの表面にカップスタック型のCNTを分散状態に付着せしめる構成としても良い。
特に、カップスタック型のCNTを溶液若しくは気体中に分散状態に混入せしめた場合、該溶液若しくは気体を通過するフィラメントに前記CNTを良好に且つ簡易に付着せしめることができる。更に、焼成することでフィラメントに付着せしめたCNTを炭素繊維に固着せしめることができ、より一層強度の向上を図ることができる。
また、フィラメントを集束する集束剤にカップスタック型のCNTを混入した場合には、より確実に各フィラメントの表面にカップスタック型のCNTを分散状態に設けることが可能となる。
また、カップスタック型のCNTのアスペクト比は1〜80の範囲で適宜設定する。尚、アスペクト比が1より小さいと十分な強度向上作用が得られず、80より大きいとフィラメント間まで含浸しにくくなる。特に1〜30の範囲で設定するとフィラメント間に良好に含浸し秀れた強度向上作用を発揮することが確認されている。このアスペクト比の設定は、上述したように単にカップ状の炭素網Aの数を増減するだけで変えることができるから容易に行える。
また、カップスタック型のCNTの含有量は、全繊維重量に対して0.3〜10wt%の割合で適宜設定すると良い。尚、含有量が0.3wt%より少ないと強度向上作用が得られず、10wt%より多いとCNTを分散しきれず偏在しやすくなる。
また、前記マトリックス樹脂は、エポキシ樹脂とアミン系硬化剤とを含んで成るものであり、エポキシ樹脂100重量部に対して、DICY(ジシアンジアミド)を2乃至6重量部配合して成るものである。尚、DICYの替わりにDDS(ジアミノジフェニルスルホン)を20乃至40重量部配合しても良い。
このマトリックス樹脂を離型フィルム上に半硬化状態で塗布して樹脂フィルムを成形し、この樹脂フィルムを前記炭素繊維を一方向に引き揃えて成る繊維体に積層せしめて熱ラミネート加工を行うことで、繊維体に前記マトリックス樹脂が溶融含浸せしめられたUDPP(ユニダイレクションプリプレグ)が作製される(無溶剤型樹脂含浸法、所謂ホットメルト法)。
この際、従来のようにマトリックス樹脂中にCNTを分散状態に混入した場合には、前記熱ラミネート加工の際に、マトリックス樹脂が流動化すると繊維体が濾紙のような役割を果たし繊維体にCNTが絡み付き、樹脂フィルムの積層面側にはCNTが多く存在し、反対面側にはほとんど存在せず、CNTがPP中に偏在してしまうことが起こり得るが、実施例1においては、フィラメント(炭素繊維,繊維体)にカップスタック型のCNTが固着せしめられ、予めフィラメントによって拘束され、分散状態で保持される構成であるから、CNTの分散状態はマトリックス樹脂がどのような方法で含浸せしめられても該マトリックス樹脂の影響を受けることなく、ホットメルト法を用いても確実にPP中にCNTを分散状態で存在せしめておくことが可能となる。
尚、カップスタック型のCNTをフィラメント表面に付着せしめるだけでなく、マトリックス樹脂にも混入せしめた構成としても良い。この場合、フィラメント表面に付着せしめたCNT量にもよるが、全樹脂重量に対して0.1〜35wt%の割合で混入せしめると良い。また、含有量が0.1wt%より少ないと強度向上作用が得られにくく、35wt%より多いとCNTが偏在し易くなる。特に1〜15wt%の割合で混入せしめるとマトリックス樹脂に良好に分散し易く、一層強度向上作用を発揮し易くなることが確認されている。
実施例1は上述のように構成したから、フィラメントの表面にカップスタック型のCNTを分散状態で付着せしめることで、マトリックス樹脂を含浸する前に予めカップスタック型のCNTがフィラメントに分散状態で保持されることになり、マトリックス樹脂の含浸方法に何ら影響を受けることなく、ホットメルト法を用いた場合であっても、カップスタック型のCNTをPP中に確実に分散状態で存在せしめておくことができ、CNTが偏在することを阻止できることになる。
特に、特願2005−100074号に開示される装置を用いることで、炭素繊維間に確実に前記集束剤及びカップスタック型のCNTを付着させることが可能となり、より一層炭素繊維とマトリックス樹脂との連結強度及びマトリックス樹脂強度を向上させることができる。
また、カップスタック型のCNTをフィラメント(炭素繊維,繊維体)とあたかも一体であるかのように使用でき、非常に微小で扱い辛いCNTをそれだけ簡単に扱えることになる。
また、ホットメルト法を用いてマトリックス樹脂を繊維体に溶融含浸させるものであるから、製造時に溶剤を用いる必要がなく、それだけ環境への負荷が少ないことになる。
従って、実施例1は、PP中に確実に分散した状態でカップスタック型のCNTが存在するから、確実にカップスタック型のCNTがフィラメントとマトリックス樹脂とを強固に連結すると共にマトリックス樹脂の強度を向上せしめることができ、特に圧縮強度の向上が顕著で、圧縮方向に大きな負荷のかかる自動車用・航空機用の構造材料に適した極めて実用性に秀れたものとなる。
実施例1の効果を裏付ける実験例について説明する。
[比較例1−1]
基材(繊維体) :炭素繊維;トレカT−700SC−12K(800tex)
組織;一方向 基材目付け;180g/m
マトリックス樹脂: エポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂 100重量部
アミン系硬化剤;ジシアンジアミド 4.5重量部
触媒;イミダゾール 0.5重量部
CNT:未使用
樹脂付着量:35%
上記配合のマトリックス樹脂をホットメルト法により樹脂フィルムに成形し、この樹脂フィルムを前記基材に積層せしめて熱ラミネート加工を行うことで、UDPPを作製した。
このUDPPを用いて以下のような条件で積層板を構成し、強度評価を行ったところ、図5に示すような結果が得られた。
積層板成形条件: 積層数 :12枚
積層方向:0°/90°
成形方法:オートクレーブ成形
成形条件:130℃×120min×5kg/cm
尚、評価項目及び試験方法は以下の通りである。
・引張強度:JIS K 7073
・曲げ強度:JIS K 7074
・圧縮強度:JIS K 7076
[比較例1−2]
使用材料は比較例1−1と同様とし、カップスタック型CNT(アスペクト比10)を分散せしめたマトリックス樹脂を繊維体に含浸せしめることでカップスタック型CNTをフィラメントの表面に固着させた。尚、分散量は、樹脂液に対してCNT濃度が12%となるように設定した。
具体的には、エポキシ樹脂主剤にCNTを分散せしめ、該CNTが分散せしめられたエポキシ樹脂に硬化剤及び触媒を混合し、ニーダーで均一に混練した後、ホットメルト法により樹脂フィルムに成形し、この樹脂フィルムを前記基材に積層せしめて熱ラミネート加工を行うことで、UDPPを作製した。
このUDPPを用いて比較例1−1と同様の条件で積層板を構成し、比較例1−1と同様の強度評価を行ったところ、図5に示すような結果が得られた。
[実施例1−1]
使用材料は比較例1−1と同様とし、カップスタック型CNT(アスペクト比10)をPP化の前に、フィラメントの表面に固着させた。固着量は、炭素繊維180g/mに対して12gである。
具体的には、上記特願2005−100074号に開示される装置を用い、炭素繊維を一方向に引き揃える際、炭素繊維を集束する前記カップスタック型CNT入り集束剤をフリーディップしながら炭素繊維にパルス的に張力を付与することで、カップスタック型CNTをフィラメント表面に固着させた。
比較例1−1と同様、上記配合のマトリックス樹脂をホットメルト法により樹脂フィルムに成形し、この樹脂フィルムを前記基材に積層せしめて熱ラミネート加工を行うことで、UDPPを作製した。
このUDPPを用いて比較例1−1と同様の条件で積層板を構成し、比較例1−1と同様の強度評価を行ったところ、図5に示すような結果が得られた。
また、CNTの分散状態を電子顕微鏡を用いて確認したところ、図6に図示したようにフィラメント(大きな円形領域)間に良好にCNT(無数の小さい白い点)が分散していることが確認できた。
[実施例1−2]
使用材料は比較例1−1と同様とし、実施例1と同様、カップスタック型CNT(アスペクト比10)をPP化の前に、フィラメントの表面に固着させた。固着量は、炭素繊維180g/mに対して12gである。
具体的には、実施例1−1と異なり上記特願2005−100074号に開示される装置を用いずに、炭素繊維を前記カップスタック型CNT入り集束剤にフリーディップしてカップスタック型CNTをフィラメント表面に固着させた。
比較例1−1と同様、上記配合のマトリックス樹脂をホットメルト法により樹脂フィルムに成形し、この樹脂フィルムを前記基材に積層せしめて熱ラミネート加工を行うことで、UDPPを作製した。
このUDPPを用いて比較例1−1と同様の条件で積層板を構成し、比較例1−1と同様の強度評価を行ったところ、図5に示すような結果が得られた。
以上の実験結果から、カップスタック型CNTをUDPPから成るプリプレグに分散状態に設けることで、曲げ・圧縮強度が向上することが分かった。
また、フィラメントの表面にカップスタック型CNTを分散状態で付着せしめた実施例1−1及び実施例1−2は、マトリックス樹脂にカップスタック型CNTを分散状態に混入した比較例1−2に比し、一層曲げ・圧縮強度が向上することが分かった。
特に、実施例1−1の強度向上率は比較例1−2の約2倍であり、実施例1−1の特願2005−100074号に開示される装置を用いるのが有効であることが分かった。これは、カップスタック型CNTが炭素繊維及びフィラメント同士の間にも良好に分散せしめられ、炭素繊維及びフィラメント同士を一層良好に連結できるためであると考えられる。
尚、カップスタック型のCNTを、炭素繊維を焼成する際にフィラメントの表面に付着せしめた場合には、焼成時にフィラメントにカップスタック型のCNTを固着することができるため、上記実施例1−1と同等の良好な強度発現を示すことが確認されている。
本発明の具体的な実施例2について図面に基づいて説明する。
実施例2は、フィラメントが集束した繊維束を経糸及び緯糸として織成して成る繊維体にマトリックス樹脂を含浸させて構成されるプリプレグであって、他の構成は実施例1と同様である。
この繊維束を経糸及び緯糸として織成することで形成された繊維体を用いた場合であっても、実施例1と同様に、フィラメントの表面にカップスタック型のCNTを分散状態で付着せしめることで強度向上を図ることができる。
具体的には、実施例2においては、前記繊維体から前記フィラメントを集束する際に塗布された集束剤を除去した後、該繊維体に、カップスタック型のCNTが分散状態で混入された集束剤を付着せしめることで、このカップスタック型のCNTを繊維体(炭素繊維)の表面に付着せしめている。
従って、フィラメントを集束する集束剤(サイズ剤)を一旦除去した後、カップスタック型のCNTが分散状態で混入された集束剤を付着せしめるため、繊維体として市販のものを採用することも可能である。
実施例2の効果を裏付ける実験例について説明する。
[比較例2−1]
基材(繊維体) :炭素繊維;トレカC06343
糸;経糸,緯糸ともにT−300−3K 200tex
組織;平織り 織密度;12.5本/inch
基材目付け;198g/m
マトリックス樹脂: エポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂 100重量部
アミン系硬化剤;ジシアンジアミド 4.5重量部
触媒;イミダゾール 0.5重量部
CNT:未使用
樹脂付着量:35%
上記配合のマトリックス樹脂をホットメルト法により樹脂フィルムに成形し、この樹脂フィルムを前記基材に積層せしめて熱ラミネート加工を行うことで、クロスPPを作製した。
このクロスPPを用いて以下のような条件で積層板を構成し、強度評価を行ったところ、図7に示すような結果が得られた。
積層板成形条件: 積層数 :8枚
成形方法:オートクレーブ成形
成形条件:130℃×120min×5kg/cm
尚、評価項目及び試験方法は以下の通りである。
・引張強度:JIS K 7073
・曲げ強度:JIS K 7074
・層間せん断強度:JIS K 7078
[実施例2−1]
使用材料は比較例2−1と同様とし、基材から一旦集束剤を除去した後、カップスタック型CNTが混入された集束剤を付着させることで、カップスタック型CNT(アスペクト比10)をフィラメント表面に固着させた。尚、カップスタック型CNTの含有率は、カップスタック型CNT/PP重量で4%となるように設定した。
具体的には、上記特願2005−100074号に開示される装置を用い、基材をフリーディップしながらパルス的に張力を付与することで、カップスタック型CNTをフィラメント表面に固着させた。
比較例2−1と同様、上記配合のマトリックス樹脂をホットメルト法により樹脂フィルムに成形し、この樹脂フィルムを前記基材に積層せしめて熱ラミネート加工を行うことで、クロスPPを作製した。
このクロスPPを用いて比較例2−1と同様の条件で積層板を構成し、比較例2−1と同様の強度評価を行ったところ、図7に示すような結果が得られた。
[実施例2−2]
使用材料は比較例2−1と同様とし、実施例2−1と同様、基材から一旦集束剤を除去した後、カップスタック型CNTが混入された集束剤を付着させることで、カップスタック型CNT(アスペクト比10)をフィラメント表面に固着させた。尚、カップスタック型CNTの含有率は、カップスタック型CNT/PP重量で4%となるように設定した。
具体的には、実施例2−1と異なり上記特願2005−100074号に開示される装置を用いずに、基材を前記カップスタック型CNT入り集束剤にフリーディップしてカップスタック型CNTをフィラメント表面に固着させた。
比較例2−1と同様、上記配合のマトリックス樹脂をホットメルト法により樹脂フィルムに成形し、この樹脂フィルムを前記基材に積層せしめて熱ラミネート加工を行うことで、クロスPPを作製した。
このクロスPPを用いて比較例2−1と同様の条件で積層板を構成し、比較例2−1と同様の強度評価を行ったところ、図7に示すような結果が得られた。
以上の実験結果から、カップスタック型CNTをクロスPPから成るプリプレグに分散状態に設けることで、曲げ・層間せん断強度が向上することが分かった。
特に、実施例2−1と実施例2−2との比較から、特願2005−100074号に開示される装置を用いるのが有効であることが分かった。これは、カップスタック型CNTが炭素繊維及びフィラメント同士の間にも良好に分散せしめられ、炭素繊維及びフィラメント同士を一層良好に連結できるためであると考えられる。
カップスタック型のCNTの要部の拡大概略説明斜視図である。 カップスタック型のCNTの構成概略説明図である。 PAN繊維紡糸工程の概略説明図である。 炭素繊維紡糸工程の概略説明図である。 実施例1に係る実験結果を示す表である。 実施例1に係るプリプレグのCNTの分散状態を示す電子顕微鏡写真である。 実施例2に係る実験結果を示す表である。

Claims (9)

  1. ANを重合せしめて成るPANをフィラメント化して紡糸することでPAN繊維を形成し、続いて、このPAN繊維を焼成して炭素繊維を形成し、続いて、この炭素繊維を一方向に引き揃えて成る繊維体若しくはこの炭素繊維を経糸及び緯糸として織成して成る繊維体を形成し、続いて、この繊維体にマトリックス樹脂を含浸することでプリプレグを製造するプリプレグの製造方法であって、前記PAN繊維を形成する際に使用するフィラメント集束剤として、端部にカルボキシル基若しくは水酸基を有するカップ状の炭素網を積層して成りアスペクト比が1〜80のカップスタック型のCNTを混入せしめたフィラメント集束剤を採用し、前記フィラメント化したPANをこのフィラメント集束剤中に通過せしめ、前記カップスタック型のCNTが混入するフィラメント集束剤を前記フィラメント化したPAN同士の間にまで付着せしめることで、前記フィラメント化した各PANの表面に前記カップスタック型のCNTを固着せしめることを特徴とするプリプレグの製造方法。
  2. ANを重合せしめて成るPANをフィラメント化して紡糸することでPAN繊維を形成し、続いて、このPAN繊維を焼成して炭素繊維を形成し、続いて、この炭素繊維を一方向に引き揃えて成る繊維体若しくはこの炭素繊維を経糸及び緯糸として織成して成る繊維体を形成し、続いて、この繊維体にマトリックス樹脂を含浸することでプリプレグを製造するプリプレグの製造方法であって、前記繊維体を形成する際に使用する炭素繊維集束剤として、端部にカルボキシル基若しくは水酸基を有するカップ状の炭素網を積層して成りアスペクト比が1〜80のカップスタック型のCNTを混入せしめた炭素繊維集束剤を採用し、前記炭素繊維にパルス的に張力を付与せしめることで張設状態と緩設状態とを繰り返させながら該炭素繊維を前記炭素繊維集束剤中に通過せしめ、前記カップスタック型のCNTが混入する前記炭素繊維集束剤を前記炭素繊維同士の間及び前記フィラメント化したPAN同士の間にまで付着せしめることで、前記フィラメント化した各PANの表面に前記カップスタック型のCNTを固着せしめることを特徴とするプリプレグの製造方法。
  3. フィラメントが集束した炭素繊維を一方向に引き揃えて成る繊維体若しくはフィラメントが集束した繊維束を経糸及び緯糸として織成して成る繊維体にマトリックス樹脂を含浸させて構成されるプリプレグの製造方法であって、前記繊維体から前記フィラメントを集束せしめる際に塗布された集束剤を除去した後、この繊維体に、端部にカルボキシル基若しくは水酸基を有するカップ状の炭素網を積層して成りアスペクト比が1〜80のカップスタック型のCNTが分散状態で混入された集束剤を付着せしめることで、このカップスタック型のCNTを前記炭素繊維を構成する各フィラメントの表面に固着せしめることを特徴とするプリプレグの製造方法。
  4. 請求項1〜3いずれか1項に記載のプリプレグの製造方法において、前記カップスタック型のCNTのアスペクト比は1〜30に設定されていることを特徴とするプリプレグの製造方法。
  5. 請求項1〜4いずれか1項に記載のプリプレグの製造方法において、前記カップスタック型のCNTは、全繊維重量に対して0.3〜10wt%の割合で設けられていることを特徴とするプリプレグの製造方法。
  6. 請求項1〜5いずれか1項に記載のプリプレグの製造方法において、前記マトリックス樹脂は、エポキシ樹脂とアミン系硬化剤とを含んで成ることを特徴とするプリプレグの製造方法。
  7. 請求項6記載のプリプレグの製造方法において、前記マトリックス樹脂は、エポキシ樹脂100重量部に対して、DICYを2乃至6重量部若しくはDDSを20乃至40重量部配合されて成ることを特徴とするプリプレグの製造方法。
  8. 請求項1〜7いずれか1項に記載のプリプレグの製造方法において、前記繊維体にホットメルト法によりマトリックス樹脂を含浸してプリプレグを形成することを特徴とするプリプレグの製造方法。
  9. 請求項1〜8いずれか1項に記載のプリプレグの製造方法において、前記マトリックス樹脂には前記カップスタック型のCNTが全樹脂重量に対して0.1〜35wt%の割合で混入せしめられていることを特徴とするプリプレグの製造方法。
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