JP2000136485A - シリコ―ンストレ―ト油剤並びに炭素繊維用前駆体繊維、炭素繊維及びそれらの製造方法 - Google Patents

シリコ―ンストレ―ト油剤並びに炭素繊維用前駆体繊維、炭素繊維及びそれらの製造方法

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JP2000136485A
JP2000136485A JP24190099A JP24190099A JP2000136485A JP 2000136485 A JP2000136485 A JP 2000136485A JP 24190099 A JP24190099 A JP 24190099A JP 24190099 A JP24190099 A JP 24190099A JP 2000136485 A JP2000136485 A JP 2000136485A
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fiber
yarn
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Makoto Kobayashi
真 木林
Masashi Ise
昌史 伊勢
Katsumi Yamazaki
勝巳 山▲ざき▼
Hidemi Goto
英実 後藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高い引張強度を有する炭素繊維を提供するこ
と。及び、その炭素繊維を得るために、品質の優れた炭
素繊維用前駆体繊維を提供すること。 【解決手段】25℃における動粘性率が100cSt以
上である主油剤成分と、引火点が70℃以上又は実質的
に引火点のない、非シリコーン化合物成分が希釈剤とし
て混合されてなるシリコーンストレート油剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シリコーンストレ
ート油剤並びに炭素繊維用前駆体繊維、炭素繊維、及び
それらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維は優れた比強度及び比弾性率を
有する材料であり、その優れた機械的特性を活かして、
樹脂と複合材料を製造する際の補強材として工業的な利
用範囲が広い材料である。近年、他の材料に比較して炭
素繊維複合材料の優位性はますます高まり、特にますま
す高レベルの性能が要求されつつある航空宇宙、スポー
ツ用品分野においてその需要拡大にはめざましいものが
ある。ところで、複合材料としたときの特性は炭素繊維
自体の特性に依存するところが大きいため、複合材料へ
の高性能化の要求は、つまるところ炭素繊維自体への高
性能化の要求に他ならない。
【0003】炭素繊維は、その殆どが、その表面に存在
する微小な欠陥(以下、表面欠陥と略記)が開始点とな
って破断しており、そのため、炭素繊維の高性能化を図
るためには、かかる表面欠陥の生成を極力抑えるよう、
製造工程において配慮する必要がある。表面欠陥を発生
後に除去する方法としては、特開昭58−214527
号公報、特開昭61−225330号公報に、炭素繊維
に気相処理、液相処理、電解酸化処理などの後処理を施
すことにより、表層部分をエッチング処理して表面欠陥
を強制除去する方法が提案されている。しかし、これら
方法では、得られる炭素繊維の引張強度は向上するが、
付帯設備が必要となるなど、製造コストの上昇ととも
に、製造工程が煩雑化してしまうため実際の生産技術と
して採用が困難であった。これは、炭素繊維の高性能化
への要求とともに、一層の低価格化への要望も強く、コ
ストパフォーマンスの高い炭素繊維でないと市場に受け
入れられないという背景があるためである。
【0004】また、表面欠陥の発生を未然に防ぐため
に、糸条へ油剤を付与する方法としては、特公昭51−
12739号公報に、シリコーン油剤を付与することに
より、炭化処理工程における単繊維間接着や糸条の損傷
を防ぐ方法が開示されており、また、特公昭53−10
175号公報に、アミノ変性シリコーン油剤を付与する
ことにより、炭化処理に要する時間を短縮するなど操業
面での改善を図るとともに、マトリクス樹脂との接着性
が改良された炭素繊維を得る方法が開示されている。さ
らに特公平4−33892号公報や特公平4−4015
2号公報に、アミノ変性、エポキシ変性、アルキレンオ
キサイド変性といった多様な変性基を有するシリコーン
油剤を組み合せた油剤を付与することにより、油剤の樹
脂化を促進し、後の炭素処理工程で発生する単繊維間接
着を抑止する方法が開示されている。さらにまた、特公
昭62−24526号公報や特公平1−16929号公
報に、油剤付与工程を二段階に分けることにより、油剤
を均一に付与せしめて、単繊維間接着を抑止する方法が
開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記した方法
では、単繊維間接着の抑止には効果があっても、付与す
るシリコーンが前駆体繊維の内部に奥深く浸透して、表
層部にミクロボイドが形成され、充分な引張強度を有す
る炭素繊維が得られなかった。
【0006】かかる浸透を抑制するため、特願平9−2
87229号公報に、二段階に分けてシリコーン油剤を
付与するに当たって、一回目には、ケイ素の含有比率が
0.01〜0.1重量%になるよう付与し、さらに乾燥
緻密化の後、二回目には、ケイ素の含有比率が0.02
〜5重量%となるように付与する方法が提案されてい
る。しかし、このように従来のシリコーン油剤を付与す
る方法では、乾燥装置が大規模となり、また、乾燥緻密
化の後、シリコーン油剤を付与して後にさらに乾燥工程
が必要となるなど、実用性に乏しいものであった。
【0007】本発明は、前駆体繊維の製造工程で使用す
るシリコーン油剤を改良して、上述のような問題点を除
去することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のシリコーンスト
レート油剤は、上記課題を達成するために次の構成を有
する。すなわち、25℃における動粘性率が100cS
t以上である主油剤成分を1〜90重量%含み、引火点
が70℃以上又は実質的に引火点のない、非シリコーン
化合物成分を希釈剤として10〜99重量%含んでなる
ことを特徴とするシリコーンストレート油剤である。
【0009】また、本発明による炭素繊維用前駆体繊維
の製造方法は次の構成を有する。すなわち、85重量%
以上のアクリロニトリル成分を有する共重合体を湿式紡
糸、又は乾湿式紡糸して糸条とし、さらに乾燥緻密化の
後、前記シリコーンストレート油剤を付与することを特
徴とする炭素繊維用前駆体繊維の製造方法である。
【0010】さらに、本発明の炭素繊維は次の構成を有
する。すなわち、表面から50nmの深さ部におけるS
iとCの比率(Si/C)が0.2以下、引張強度が
5.5GPa以上、かつ層間剪断強度が80MPa以上
であることを特徴とする炭素繊維である。
【0011】さらにまた、本発明による炭素繊維の製造
方法は次の構成を有する。すなわち、前記炭素繊維用前
駆体繊維を焼成して炭素繊維を得ることを特徴とする炭
素繊維の製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明のシリコーンストレート油
剤は、シリコーンを主成分とする主油剤成分とそれを希
釈する希釈剤成分からなるものである。
【0013】上記主油剤成分は、25℃における動粘性
率が100cSt以上であること、かつ、その油剤全体
に対する含有比率が1〜90重量%であることが必要で
ある。また、かかる比率は、油剤全体として望ましい粘
度を得るために、前記希釈剤を用いて適宜希釈して調節
ができ、多様な付与方法への適性を確保する観点から、
好ましくは2〜80重量%が良く、より好ましくは5〜
50重量%が良く、さらに好ましくは10〜30重量%
が良い。また前記主油剤成分の、25℃における動粘性
率が100cSt未満であると、油剤の耐熱性が不足し
てしまう。また、主油剤成分の含有比率が1重量%未満
であると、前駆体繊維の糸切れや、単繊維間接着を抑止
する効果が低くなり、90重量%を超えると、油剤全体
の動粘性率が高くなり過ぎ、糸条への均一な付与ができ
なくなってしまう。
【0014】本発明において、シリコーンストレート油
剤とは、油剤全体に対する含水比率を10重量%以下と
したシリコーン油剤をいう。含水比率が10重量%を越
えると、油剤付与後に乾燥工程が必要となる場合があ
る。なお、前記主油剤成分の動粘性率については、10
0000cSt程度あれば、本発明の効果を奏するに充
分であることが多い。
【0015】また前記希釈剤は、引火点(タグ密閉式引
火点測定法による)が70℃以上又は実質的に引火点の
ない非シリコーン化合物成分からなることが必要であ
り、かつその含有比率を油剤全体に対して10〜99重
量%とすることが必要である。希釈剤の引火点が70℃
未満であると、蒸気が発散することによって作業環境が
悪化するとともに、火災の危険性も増加してしまう。シ
リコーンストレート油剤が、シリコーンのみからなる
と、炭化処理工程において、繊維から剥離したシリコー
ンが、加熱されてシリカ化合物に転換され、炭化炉内に
堆積し、排ガスラインの閉塞などの原因となる場合があ
るため、希釈剤は、シリコーンを含まない非シリコーン
化合物成分からなることが必要である。希釈剤として
は、鉱物油、イソパラフィン系炭化水素、高級脂肪酸ア
ルキルエステルなど、シリコーンと高い相溶性のあるも
のが好ましく使用できる。中でも高級脂肪酸アルキルエ
ステルがより好ましく使用され、具体例としては、イソ
プロピルパルミテート、イソプロピルミリスチレート、
イソオクチルラウレートなどが挙げられる。また、希釈
剤には、一般市販品の、”アイソパー(登録商標)”M
(J)を使用することもできる。
【0016】本発明のシリコーンストレート油剤は、油
剤全体に対して、シリコーンを少なくとも0.5重量%
以上含むものである。本発明においてシリコーンとは、
基本骨格にシロキサン結合(−SiO−)を有するジオ
ルガノポリシロキサンのことであり、このケイ素原子に
結合する基としては、水素原子及び/又はアルキル基や
フェニル基などが挙げられる。これらの中で特にジメチ
ルシロキサンが基本骨格として好ましい。
【0017】本発明のシリコーンストレート油剤は、前
記主油剤成分に、アミノ変性シリコーンが含まれること
が好ましく、さらに該シリコーンに加えて、エポキシ変
性シリコーンが含まれることがより好ましい。また、前
記主油剤成分に、エポキシシラン、又は分子中にケイ素
を有しないエポキシ化合物を含んでいても良い。
【0018】アミノ変性シリコーンについては、モノア
ミン型でもポリアミン型でも良い。また、アミノ基は側
鎖に導入されていても良く、分子鎖末端に導入されてい
ても良いが、分子鎖の末端のみが変性されているとき
は、充分な変性量が確保できないことがある。さらに
は、アミノ基は、側鎖、分子鎖末端両方に導入されてい
ても良い。また、該シリコーンは、分子量、又は動粘性
率が大きいほど耐熱性が高まるため、25℃における動
粘性率が、1000cSt以上のものが良く、好ましく
は2000cSt以上のものが良く、より好ましくは3
000cSt以上のものが良い。なお、動粘性率は、5
0000cSt程度あれば、本発明の効果を奏するに充
分であることが多い。また、アミノ変性シリコーンのア
ミノ基による変性量(末端アミノ基を−NH2 と換算し
た変性量)は、0.05〜10重量%が良く、好ましく
は0.1〜5重量%が良く、より好ましくは0.2〜3
重量%が良い。0.05重量%未満では前駆体繊維への
親和性が不足することがあり、10重量%を越えると耐
熱性が不足することがある。
【0019】また、エポキシ変性シリコーンについて
は、グリシジル基を有するものでも脂環式エポキシ基を
有するものでも良いが、前駆体繊維への親和性の観点か
ら1、2−エポキシシクロヘキシル基や1、2−エポキ
シシクロペンチル基を有するような脂環式エポキシ変性
のものが好ましい。また、エポキシ基は側鎖に導入され
ていてもよく、分子鎖末端に導入されていても良い。さ
らには、エポキシ基は、側鎖、分子鎖末端両方に導入さ
れていても良いが、中でも分子鎖両末端に導入されてい
るものが反応性の観点から好ましい。また、該シリコー
ンは、分子量、又は動粘性率が大きいほど耐熱性が高ま
るため、25℃における動粘性率が100cSt以上の
ものが良く、より好ましくは500cSt以上のものが
良く、さらに好ましくは1000cSt以上のものが良
い。なお、動粘性率は、10000cSt程度あれば、
本発明の効果を奏するに充分であることが多い。また、
エポキシ変性シリコーンのエポキシ基による変性量(末
端エポキシ基を−CHCH2Oと換算した変性量)は
0.05〜10重量%が良く、好ましくは0.1〜5重
量%が良く、より好ましくは0.2〜3重量%が良い。
0.05重量%未満では前駆体繊維への親和性が不足す
ることがあり、10重量%を越えると耐熱性が不足する
ことがある。
【0020】さらに、アミノ変性シリコーンとエポキシ
変性シリコーンとを混合して使用するときは、それらの
混合比率は、それぞれのシリコーンの変性量に依存して
最適点が異なるが、アミノ基とエポキシ基のモル数が当
量に近い状態が良い。また、エポキシ変性シリコーンよ
り、アミノ変性シリコーンの比率が高い方が、耐熱性、
糸条への親和性の観点から良い。したがって、アミノ変
性シリコーンとエポキシ変性シリコーンとの重量比は、
1:10〜100:1が良く、好ましくは1:3〜3
0:1が良く、より好ましくは1:2〜10:1が良
く、さらに好ましくは1:1〜3:1が良い。
【0021】またエポキシシランを、前記主油剤成分に
含ませて、アミノ変性シリコーンと共に使用することも
できる。エポキシシランとは、グリシジル基や脂環式エ
ポキシ基などを有するシラン化合物のことであり、一分
子中にグリシジル基や脂環式エポキシ基などを複数個有
するものが好ましい。また、アルコキシ基やアルケノキ
シ基など縮合反応性の官能基を有するものが好ましい。
これらシラン化合物の具体例としては、ジグリシジルジ
メトキシシラン、ジグリシジルジメチルシランなどが挙
げられる。
【0022】さらにまた、分子中にケイ素を有しないエ
ポキシ化合物を、前記主油剤成分に含ませて、アミノ変
性シリコーンと共に使用することもできる。分子中にケ
イ素を有しないエポキシ化合物とは、グリシジル基や脂
環式エポキシ基などを有する化合物のことであり、一分
子中にグリシジル基や脂環式エポキシ基などを複数有す
るものが好ましい。エポキシ化合物の具体例としては、
ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどが挙げられ
る。
【0023】なお、エポキシシラン及び/又はケイ素を
有しないエポキシ化合物を使用するときは、アミノ変性
シリコーンの、エポキシ変性シリコーン、エポキシシラ
ン及びケイ素を有しないエポキシ化合物からなる、エポ
キシ基を有する化合物に対する比率は、それぞれの化合
物の変性量や官能基量に依存して最適点が変化するが、
前記エポキシ変性シリコーンと同様の理由で、アミノ基
とエポキシ基のモル数が当量に近い状態で使用するのが
良い。したがって、前記アミノ変性シリコーン分子中に
存在するアミノ基と前記エポキシ基を有する化合物の分
子中に存在するエポキシ基のモル比は、1:10〜10
0:1が良く、好ましくは、1:3〜30:1が良く、
より好ましくは1:2〜10:1が良く、さらに好まし
くは1:1〜3:1が良い。
【0024】本発明のシリコーンストレート油剤は、前
記主油剤成分に、前記シリコーンとは別種のシリコーン
が含まれてなるものでも良い。かかる別種のシリコーン
は変性シリコーンでも、非変性シリコーンでも良い。変
性シリコーンについては、一般にシリコーンの分子量が
大きくなると、耐熱性は高まるが、糸条との親和性が不
足する傾向があるため、両者を同時に満足させるため
に、縮合反応性基を有する変性シリコーンを、糸条へ付
与した後、その表面で反応せしめて高分子量化すること
が良い。この縮合反応性基としては、アルコキシ基、ア
ルケノキシ基、シラノール基などが挙げられる。アルコ
キシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プ
ロポキシ基などが挙げられるが、メトキシ基、エトキシ
基が、多種多様な糸条への相性の点から好ましい。ま
た、アルケノキシ基の具体例としては、アセトキシ基、
プロピオニルオキシ基などが挙げられるが、アセトキシ
基が、多種多様な糸条への相性の点から好ましい。アル
コキシ基、アルケノキシ基、シラノール基の変性量は、
0.01〜10重量%が良く、好ましくは0.02〜5
重量%が良く、より好ましくは0.04〜2重量%が良
い。変性量が0.01重量%未満のときは、縮合反応に
よる高分子量化の効果が発現しないことがあり、また1
0重量%を越えると、油剤としての安定性が悪くなるこ
とがある。ここで、アルコキシ基、アルケノキシ基の変
性量とは、それぞれ−OCn 2n+1、−OCOCn
2n+1と換算した変性量のことであり、シラノール基の変
性量とは、−OHと換算した変性量のことである。これ
らの官能基は、シリコーン分子の末端に存在してもよ
く、また、側鎖として存在しても良い。
【0025】これらの変性シリコーンは、耐熱性と糸条
との親和性を同時に高めるため、25℃における動粘性
率が100〜500cStであり、かつ25℃における
ポリアクリロニトリルフィルムに対する接触角が40゜
以下であるものが好ましい。なお、動粘性率は、好まし
くは200〜500cStが良く、より好ましくは30
0〜500cSt以上が良い。また接触角は好ましくは
30゜以下が良く、より好ましくは20゜以下が良い。
【0026】また、変性シリコーンとして、アルコキシ
基及び/又はアルケノキシ基を有する変性シリコーンと
シラノール基を有する変性シリコーンとを併用するの
が、糸条へ付与後の、シリコーンの縮合反応性を高める
観点から好ましい。このように変性シリコーンは複数種
を併用するのが良いが、反応点を増やすため、及びこれ
らの化合物相互の溶解性を高める観点から、より好まし
くは、アルコキシ基を有するシリコーンとシラノール基
を有するシリコーンを併用するのが良い。
【0027】本発明のシリコーンストレート油剤は、油
剤全体として25℃における動粘性は、100cSt以
下が良く、好ましくは50cSt以下が良く、より好ま
しくは30cSt以下が良い。動粘性率が100cSt
を超えると、糸条への均一な付着が困難となり、得られ
る炭素繊維の引張強度を低下させることになり好ましく
ない。
【0028】また、アルコキシシリル基、アルケノキシ
シリル基などを有する架橋剤を、糸条へ付与するのが好
ましい。架橋剤の具体例としては、メチルトリメトキシ
シラン、テトラエトキシシラン、トリアセトキシメチル
シラン、トリス(エチルメチルケトオキシム)メチルシ
ランなど、又はこれらの部分加水分解物が挙げられる。
かかる架橋剤は、シリコーン油剤の経時安定性を図り、
ガムアップなどプロセス性への悪影響を少なくするとい
う観点から、シリコーン油剤と同時に付与しても良く、
またシリコーン油剤付与前、あるいはシリコーン油剤付
与後に、糸条への付着率が0.01〜1重量%になるよ
うに、焼成に先立って付与しても良い。さらにまた、縮
合反応を進行させるため、スズ化合物、チタン化合物、
金属脂肪酸塩、アミノ基を有する化合物などの触媒も、
シリコーン油剤と同時に、又はシリコーン油剤付与前、
あるいはシリコーン油剤付与後に、糸条への付着率が
0.01〜1重量%になるように、焼成に先立って付与
することができる。
【0029】本発明において焼成とは、前駆体繊維を、
耐炎化処理に引き続いて炭化処理して最終生産物たる炭
素繊維とする一連の処理をいう。
【0030】また、本発明において、高い性能を有する
炭素繊維を得るためには、主油剤成分に含ませるシリコ
ーンの耐熱性が高いことが重要であり、前述したシリコ
ーンは、その耐熱残存率が、20%以上のものが良く、
好ましくは30%以上のものが良く、より好ましくは4
0%以上のものが良い。一般にシリコーンの耐熱性は高
い方が、単繊維間接着に由来する表面欠陥の生成を防ぐ
効果が大きいため好ましいが、耐熱残存率を80%以上
とするのは現状では困難である。この耐熱残存率とは、
シリコーンを240℃の空気中で60分間熱処理した
後、続いて450℃の窒素中で30分間熱処理した後に
残存するシリコーンの比率のことをいう。
【0031】高いレベルの物性値を有し、かつ、拡がり
性の良好な炭素繊維を得るためには前駆体繊維を実質的
に無撚りのまま焼成するのが良い。ここで、実質的に無
撚りの状態であるとは、後述する方法で評価される撚り
数が、通常、0〜1.0ターン/mであることをいう。
しかし、このように前駆体繊維を実質的に無撚りのまま
焼成すると、前駆体繊維を焼成する工程で、糸条の集束
性が損なわれ、毛羽の発生が助長され、さらには、糸条
が切断されるなど操業性の低下につながることがある。
【0032】一方、最終的に得られる炭素繊維について
は、同じく後述する方法で評価される撚り数が0〜0.
5ターン/m、好ましくは0〜0.2ターン/m、より
好ましくは0〜0.1ターン/mであるのが良い。
【0033】本発明による炭素繊維用前駆体繊維として
は、アクリル系、ピッチ系、レーヨン系の前駆体繊維な
どが挙げられる。以下、アクリル系の前駆体繊維を例と
して、本発明による炭素繊維用前駆体繊維と炭素繊維の
製造方法について説明する。
【0034】アクリル系の前駆体繊維を構成するポリア
クリロニトリル共重合体は、アクリロニトリル85重量
%以上、アクリロニトリルと共重合可能な重合性不飽和
単量体を15重量%以下有するものから、炭素繊維の種
類に応じて適宜選択することができる。重合性不飽和単
量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸
及びそれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩及びアル
キルエステル類、アクリルアミド、メタクリルアミド及
びそれらの誘導体、アリルスルホン酸、メタリルスルホ
ン酸及びそれらの塩類又はアルキルエステル類などが挙
げられる。
【0035】また、不飽和カルボン酸など、耐炎化反応
を促進する作用のある重合性不飽和単量体を共重合する
ことが好ましい。その共重合率は0.1〜10重量%が
良く、好ましくは0.3〜5重量%が良く、より好まし
くは0.5〜3重量%が良い。不飽和カルボン酸の具体
例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、
クロトン酸、シトラコン酸、エタクリル酸、マレイン
酸、メサコン酸などが挙げられる。また、高い性能を有
する炭素繊維を得るためには、不飽和カルボン酸のアル
キルエステル、酢酸ビニルから選ばれた1種以上の化合
物を共重合させるのが好ましい。その共重合率は0.1
〜10重量%が良く、好ましくは0.3〜5重量%が良
く、より好ましくは0.5〜3重量%が良い。不飽和カ
ルボン酸のアルキルエステルの具体例としては、アクリ
ル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸プロピ
ル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メ
タクリル酸セカンダリーブチルなどが挙げられるが、そ
の中でもアクリル酸、メタクリル酸のプロピル、ブチ
ル、イソブチル、セカンダリーブチルエステルが好まし
い。
【0036】これらを共重合する方法には、懸濁重合
法、溶液重合法、乳化重合法など従来公知の方法を採用
することができる。また、この際の重合度の目安とし
て、極限粘度([η])で1以上が良く、好ましくは
1.25以上が良く、より好ましくは1.5以上が良
い。なお、極限粘度は5以下とするのが紡糸安定性の点
から好ましい。
【0037】溶液重合して紡糸する際には、有機、無機
の、従来公知の液体を溶媒として、紡糸原液であるポリ
マー溶液を調整して使用することができる。かかる溶媒
の具体例としては、ジメチルスルホキシド、ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルアセトアミド、硝酸、ロダンソー
ダ水溶液及び塩化亜鉛水溶液などが挙げられる。
【0038】前駆体繊維の紡糸法には、直接凝固浴中へ
紡出する湿式紡糸法や、一旦空気中へ紡出した後に浴中
凝固させる乾湿式紡糸法、乾式紡糸法、又は溶融紡糸法
など、従来公知の方法が採用できるが、より高い性能を
有する炭素繊維を得るためには、乾湿式紡糸法が好まし
い。
【0039】溶媒と可塑剤を用いる紡糸法による場合
は、紡出された糸条を直接、浴中延伸しても良いし、ま
た溶媒と可塑剤を水洗除去した後に浴中延伸しても良
い。浴中延伸は、50〜98℃の延伸浴中で約2〜6倍
に延伸する条件を採るのが好ましい。さらに浴中延伸後
の糸条は、常法に従ってシリコーン油剤を付与した後、
ホットドラムなどで乾燥することで、糸条、すなわち繊
維の乾燥緻密化が達成される。ここでの乾燥温度、乾燥
時間などは、適宜変更することができる。また、乾燥緻
密化後の糸条は、必要に応じて、加圧スチーム中などの
高温環境で、さらに延伸しながら熱処理することもでき
る。かかる熱処理により、シリコーンの架橋反応、及び
/又は糸条表面において油剤が拡がりのびる現象、いわ
ゆる油剤の拡展、が促進され、単繊維間接着に由来する
表面欠陥の発生を防ぐ効果が大きくなり、より望ましい
繊度、結晶配向度を有する前駆体繊維を得ることができ
る。このときの熱処理温度は、120〜200℃が良
く、好ましくは150〜200℃が良く、より好ましく
は180〜200℃が良い。また熱処理時間は、0.1
〜1秒が良く、好ましくは0.2〜1秒が良く、より好
ましくは0.4〜1秒が良い。
【0040】シリコーン油剤の付与に当たっては、前記
乾燥緻密化の段階で、シリコーン、すなわちケイ素が、
前駆体繊維の内部に奥深く浸透することを効果的に防
ぎ、所望の結晶配向性、緻密性を確保しながら、同時に
糸条の耐熱性を高めるために、乾燥緻密化前に、前駆体
繊維中に占めるケイ素の含有比率が0.01〜0.1重
量%となるようにシリコーン油剤を糸条へ付与してお
き、乾燥緻密化後に、本発明のシリコーンストレート油
剤を付与して、焼成前に、前駆体繊維中に占めるケイ素
の含有比率を0.01〜5重量%となるようにするのが
良い。この焼成前の糸条のケイ素の含有比率は、好まし
くは0.02〜1重量%が良く、より好ましくは0.0
5〜0.8重量%が良く、さらに好ましくは0.1〜
0.5重量%が良い。かかる含有比率が、0.01重量
%未満であると、単繊維間接着を抑止する効果が低くな
ることがあり、また5重量%を越えると、工程への脱落
などによってプロセス性が低下することがある。また、
乾燥緻密化前に、糸条へ付与するシリコーン油剤を本発
明のシリコーンストレート油剤とすることもできる。
【0041】乾燥緻密化前に付与する、シリコーンスト
レート油剤以外のシリコーン油剤は、エマルジョンとし
て使用されることが多く、このとき、乳化剤が併用され
ることが多い。乳化剤とは、エマルジョンの生成を促進
し、かつこれを安定化する界面活性を有する化合物のこ
とである。乳化剤の具体例としては、ポリエチレングリ
コールアルキルエーテルなどが挙げられる。アルキレン
オキサイド変性シリコーンは、前記乳化剤を併用しない
ときも、シリコーンのエマルジョンの安定性(以下、自
己乳化性と略記)を高める効果のあるシリコーンであ
る。アルキレンオキサイド変性シリコーンは、エチレン
オキサイド変性、プロピレンオキサイド変性、又は両者
で変性されているものが好ましい。これらの変性によっ
てシリコーン自身に親水性を与え、自己乳化性を発現さ
せることにより、シリコーン油剤に、界面活性作用を与
えることができる。この作用により、水溶液中でのシリ
コーンの安定性や、糸条への均一な付着性などの望まし
い特性が現れると考えられる。ここで、アルキレンオキ
サイドによるシリコーンの変性量は、10〜80重量%
が良く、好ましくは20〜70重量%が良い。10重量
%未満では前記自己乳化性が不足することがあり、ま
た、80重量%を越えると耐熱性が不足することがあ
る。また、アルキレンオキサイドは、分子鎖における繰
り返し単位の総数が25以下のものが好ましい。25を
超えると油剤の耐熱性が不足することがある。
【0042】また、乾燥緻密化前に付与する、シリコー
ンストレート油剤以外のシリコーン油剤に含まれるシリ
コーンは、分子量が高いほど耐熱性が高まるため、25
℃における動粘性率が、100cSt以上のものが良
く、好ましくは200cSt以上のものが良く、より好
ましくは300cSt以上のものが良い。また、動粘性
率が10000cStを越えると、水溶液中への分散性
が悪化することがある。また、前記したように、シリコ
ーンの分子量の増大につれ、ポリアクリロニトリルへの
親和性が小さくなり、糸条表面において、シリコーン油
剤の拡展が妨げられて、油剤の付着ムラを誘起すること
があるため、ここで使用するシリコーンは、ポリアクリ
ロニトリルフィルムに対する接触角が、40゜以下のも
のが良く、好ましくは30゜以下のものが良く、より好
ましくは20゜以下のものが良い。一般に接触角を3゜
以下のものは現状では入手が困難である。
【0043】なお、上記接触角については次に示す方法
で測定する。
【0044】ホモポリマーのアクリロニトリルからなる
ジメチルスルホキシド溶液を作成し、ガラス板の上に薄
く引き延ばした後、120℃、6時間乾燥し、フィルム
状のものを得る。該フィルム上に、シリコーン油剤に使
用するシリコーンを、約1〜10μlの範囲で、数μl
滴下し、25℃における接触角を測定する。
【0045】糸条へ付着するシリコーンのゴム被膜を強
固にし、前駆体繊維を焼成して得られる炭素繊維の引張
強度をさらに向上させるためには、多塩基酸及び多塩基
酸のアンモニウム塩、金属塩から選ばれた1種以上の化
合物を糸条へ付与して、本発明におけるシリコーン油剤
のゴム化率を高くするのが良い。この中で金属塩は、炭
素繊維の性能を損なうことがあるため、好ましくは、多
塩基酸及び多塩基酸のアンモニウム塩から選ばれた1種
以上の化合物を付与するのが良い。多塩基酸及び多塩基
酸のアンモニウム塩の具体例としては、ホウ酸、ホウ酸
アンモニウム、リン酸、リン酸アンモニウムなどが挙げ
られる。前記多塩基酸及び多塩基酸のアンモニウム塩、
金属塩から選ばれた1種以上の化合物は、シリコーン油
剤と同時に糸条へ付与しても良く、またシリコーン油剤
の付与前に、糸条への付着率が0.1〜10重量%にな
るように付与しても良い。また、シリコーン油剤の経時
安定性を図り、ガムアップなどプロセス性への悪影響を
少なくするという観点から、シリコーン油剤を付与した
後に、ワインダーで巻き上げる前、又は焼成に先立っ
て、糸条への付着率が0.1〜10重量%になるように
付与することもできる。
【0046】前記ゴム化率については、次に示す方法で
測定する。
【0047】シリコーンが約3g含まれるように、シリ
コーン油剤を秤量し、予め秤量しておいた重量W
1(g)、直径約60mm、深さ約20mmの円形のア
ルミ皿に入れる。これを、オーブンで空気中105℃、
2時間熱処理し、続いて空気中130℃、2時間熱処理
する。得られたゲル状物質をアルミ皿ごとオーブンから
出し、デシケーター中で室温まで冷却した後、精秤し、
該ゲル状物質のアルミ皿こみの重量をW2(g)とす
る。続いて該ゲル状物質を、ブフナーロート上においた
濾紙に全量移し、クロロホルムを用いて濾過し、溶解部
分と非溶解部分とに分離する。300mlのクロロホル
ムを少なくとも3回に分けて濾過を行い、濾過終了後、
濾紙ごとオーブンで空気中60℃、1時間乾燥する。乾
燥後、デシケーター中で室温まで冷却した後、精秤し、
得られた非溶解部分の濾紙こみの重量をW 3(g)とす
る。使用する濾紙は、予めオーブンで空気中60℃、1
時間乾燥後、デシケーター中で室温まで冷却した後、秤
量しておく。濾紙の乾燥後の重量をW4(g)として、
ゴム化率を次式により求める。
【0048】 ゴム化率(%)=(W2−W1)/(W3−W4)×100 濾紙については、JIS P3801に示される5種A
に相当する、直径約110mmの円形のものを使用す
る。なお、シリコーン油剤中における主油剤成分の含有
比率が低いときは、予めシリコーン油剤を、100℃を
超えない温度で熱処理して濃縮しておいてから上記測定
に供するのが好ましい。
【0049】前記ゴム化率が高いほど、本発明の効果が
大きくなるが、本発明におけるシリコーン油剤のゴム化
率は、10〜80%が良く、好ましくは15〜70%が
良く、より好ましくは20〜60%が良い。ゴム化率が
10%未満であると本発明の効果が得られにくくなるこ
とがあり、80%を超えるとプロセス性に悪影響を及ぼ
し、得られる炭素繊維の引張強度を大幅に低下させるこ
とがある。
【0050】本発明において、シリコーン油剤を付与す
る方法には、浸漬法、キスローラー法、ガイド給油法、
油剤浴中の駆動・非駆動ローラーによる方法、又は固定
・非固定のガイドバーへ走行する糸条を掛けて付与する
方法、上方へ吹き出した油剤中に糸条を走行させて付与
する方法、走行する糸条へ上方から油剤液を滴下させて
付与する方法、油剤液を噴霧した空間に糸条を走行させ
て付与する方法など、又はこれらを複数組み合わせた方
法など、多様な付与方法が適用でき、これら方法から糸
条の種類や用途に応じて適宜選択することができる。
【0051】また、糸条への油剤の付着をより均一とす
るためには、前記方法により油剤を付与した後に、フリ
ーローラーを互い違いに複数個配置して並べ、糸条がフ
リーローラーと接する部分の中心角の総和が8π以上に
なるように、フリーローラーで糸条を搬送させることが
有効である。かかる中心角の総和は、大きいほど効果が
高く好ましいが、設備コストの低減及び省スペースを図
るため、16π以下とするのが実用的である。また、本
発明のシリコーンストレート油剤を付与する際の糸条幅
を可能な限り拡幅するのも好ましい。この糸条幅は、総
繊度3000Dあたり2mm以上が良く、好ましくは3
mm以上が良く、より好ましくは5mm以上が良い。こ
こで、Dは総繊度の単位(D:デニール)を示す。総繊
度とは、糸条を構成する単繊維繊度に糸条を構成する単
繊維数を乗じた数をいう。
【0052】前駆体繊維は、焼成ムラを生じ難くし、得
られる炭素繊維の引張強度を高める観点から、細繊度の
ものを用いるのが良い。数値的には、1.5d(d:単
繊維繊度の単位、デニール)以下、好ましくは1.0d
以下、より好ましくは0.8d以下の細繊度のものが良
い。また、特に引張強度に優れた、高い性能を有する炭
素繊維を得るためには、緻密性の高い前駆体繊維が有効
である。かかる前駆体繊維は、緻密性の尺度となる、ヨ
ウ素吸着法による明度差ΔLが、45以下が良く、好ま
しくは30以下が良く、より好ましくは15以下が良
い。ΔLが45以下の、緻密性の良好な前駆体繊維を得
るためには、乾湿式紡糸法の採用、紡糸原液中のポリア
クリロニトリル共重合体の高濃度化、紡糸原液及び凝固
浴液の低温化、及び凝固時の低張力化などの方法があ
り、これらの方法により、凝固糸条の膨潤を抑止しつ
つ、浴延伸時の延伸段数、延伸倍率及び延伸温度の最適
化を図り、浴延伸糸のトータルでの膨潤度を低く抑える
ことができるようになる。かかる糸条の膨潤度について
は、シリコーン油剤を効果的に付与する観点から、15
0%以下が良く、好ましくは120%以下が良く、より
好ましくは90%以下が良い。
【0053】前記明度差ΔLについては、次に示す方法
により測定する。
【0054】よく乾燥させた前駆体繊維を、繊維長5〜
7cmとして約0.5g精秤し、200mlの共栓付三
角フラスコに採り、これにヨウ素水溶液(I2:51
g、2、4−ジクロロフェノール10g、酢酸90g及
びヨウ化カリウム100gを、1lのメスフラスコを使
用して水で溶解させたもの)100mlを加えて、60
℃、50分間振盪しながら、ヨウ素をよく繊維中に吸着
させる。ヨウ素を吸着した繊維を流水中で約30分間水
洗後、遠心脱水(2000rpm×1分)して直ちに風
乾せしめる。さらに繊維を開繊後、ハンター型色差計
(ここでは、カラーマシン(株)製、CM−25型を使
用)で、L値(明度)を測定する。これをL 1とする。
一方、吸着処理のない繊維を開繊後、前記の色差計で測
定した明度を、Loとして、両者の差分(L0−L1)を
明度差ΔLとする。
【0055】高温の延伸浴では、入り側ローラーによる
熱圧着のため、単繊維間接着が生じやすいため、入り側
ローラーを、延伸浴外に出すのが効果的である。また、
単糸間接着の前段階の疑似接着を解除するために、浴中
に振動ガイドを設けて、搬送される糸条に振動を与える
ことも有効である。その際の振動数は、5〜100Hz
が好ましく、振幅については0.1〜10mmが好まし
い。また、これらの方策を組み合わせることによって、
乾湿式紡糸法においても、60〜100℃といった高温
での浴延伸が可能となる。
【0056】前記したような好ましい方法で製造された
前駆体繊維は、焼成することにより、高い性能を有する
炭素繊維とすることができる。
【0057】ここで、耐炎化処理には、通常とおりの条
件を採用することができ、酸化性雰囲気中200〜30
0℃の範囲で、緊張又は延伸する条件が好ましく採用さ
れ、繊維の比重が1.25以上、好ましくは1.3以上
になるまで耐炎化処理するのが良い。この比重について
は、1.6以下とするのが一般的であり、これを超える
と、炭素繊維の性能が損なわれることがある。また、続
く炭化処理工程における雰囲気については、空気、酸
素、二酸化窒素、塩化水素などの各酸化性雰囲気を採用
できるが、空気雰囲気がローコストであり、好ましい。
【0058】耐炎化処理を完了した糸条は、常法に従っ
て不活性雰囲気中で炭化処理する。ここでの雰囲気温度
は、得られる炭素繊維の性能を高める観点から、100
0℃以上が好ましい。さらに必要に応じて2000℃以
上で炭化処理して、黒鉛化繊維とすることもできる。ま
た、ボイドなどの炭素繊維の内部における欠陥の少な
い、緻密性の高い炭素繊維を得るために、350〜50
0℃及び1000〜1200℃における昇温速度は、5
00℃/分以下が良く、好ましくは300℃/分以下が
良く、より好ましくは150℃/分以下が良い。昇温速
度が10℃/分以下では生産性が低下してしまう。さら
にまた、炭素繊維の緻密性を向上させるためには、35
0〜500℃又は2300℃以上において、1%以上、
好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上延伸す
るのが良い。なお、40%を超える延伸は毛羽が発生し
易くなるため好ましくない。また、上述したような耐炎
化処理前、耐炎化処理途中、又は耐炎化処理後、最終的
に炭素繊維とする前に、前駆体繊維に付与されたシリコ
ーンは、架橋していることが、より高い性能の炭素繊維
を得るに当たって好ましい。
【0059】こうして得られた炭素繊維は、酸性又はア
ルカリ性の電解液中での電解酸化処理や、気相又は液相
での酸化処理によって、複合材料における炭素繊維とマ
トリックス樹脂との接着性を向上させることができる。
【0060】特に、短時間で酸化処理することができ、
酸化処理の度合の制御が容易なことから電解酸化処理が
好ましく採用できる。使用する電解液は、酸性、アルカ
リ性、いずれでも良く、また、酸性の電解液に溶存させ
た電解質の具体例としては、硫酸、硝酸、塩酸、リン
酸、ホウ酸、炭酸などの無機酸、酢酸、酪酸、シュウ
酸、アクリル酸、マレイン酸などの有機酸、硫酸アンモ
ニウム、硫酸水素アンモニウムなどが挙げられるが、中
でも、強酸性を示す硫酸、硝酸が好ましく使用できる。
アルカリ性の電解液に溶存させた電解質の具体例として
は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウ
ムなどの水酸化物、アンモニア、炭酸ナトリウム、炭酸
水素ナトリウムなどの無機塩類、酢酸ナトリウム、安息
香酸ナトリウムなどの有機塩類、さらに、これらのカリ
ウム塩、バリウム塩又は他の金属塩、及びアンモニウム
塩、水酸化テトラエチルアンモニウム又はヒドラジンな
どの有機化合物などが挙げられるが、樹脂の硬化障害を
防止する観点から、アルカリ金属を含まない炭酸アンモ
ニウム、炭酸水素アンモニウム、水酸化テトラアルキル
アンモニウム類が好ましく使用できる。
【0061】電解に使用する総電気量については、電解
酸化処理される炭素繊維の炭化度に応じて最適化するこ
とが好ましい。炭素繊維の表層における結晶度を適正に
保持するためには、かかる総電気量を、5〜1000ク
ーロン/gとするのが良く、好ましくは10〜500ク
ーロン/gとするのが良い。
【0062】電解酸化処理の後、水洗及び乾燥するのが
好ましい。このとき、乾燥温度が高すぎると、炭素繊維
の表層近傍部に存在する官能基が、熱分解によって消失
し易いため、なるべく低温で乾燥することが良く、この
乾燥温度については、250℃以下が良く、好ましくは
210℃以下が良い。
【0063】この後必要に応じて、従来公知の方法に従
って、炭素繊維にサイジング剤を付与することもでき
る。
【0064】前駆体繊維の内部に奥深く浸透し、得られ
る炭素繊維の性能を損なう原因となるケイ素の量を極力
少なくするために、乾燥緻密化前において、糸条へ付与
するシリコーンの量をなるべく少なくする試みが、従来
からなされていたが、有効に単繊維間接着を抑止する方
策が見いだされておらず、炭素繊維の性能を損いがちで
あった。ところが本発明に係る考案、すなわち、前駆体
繊維の製造工程において、常法に従ってシリコーン油剤
を付与して乾燥緻密化した後に、本発明のシリコーンス
トレート油剤を付与して前駆体繊維を得ることにより、
シリコーンストレート油剤付与後の乾燥工程を不要とす
るなどプロセス性良く容易に、前駆体繊維のケイ素の含
有比率を極力減少させることができるようになり、最終
的に得られる炭素繊維において、その性能を大きく高め
ることができるようになった。
【0065】このような高い性能を有する、本発明の炭
素繊維は、二次イオン質量分析計(以下、SIMSと略
記)により測定した、表面から50nmの深さ部のSi
とCの比率(Si/C)が0.2以下であり、引張強度
が5.5GPa以上であり、さらにマトリクス樹脂と組
み合わせて複合材料としたとき、その層間せん断強度
(以下、ILSSと略記)が80MPa以上であること
を特徴とするものである。このSi/Cは、好ましくは
0.15以下が良く、より好ましくは0.1以下が良
く、さらに好ましくは0.05以下が良い。Si/Cが
0.2を超えると、炭素繊維の引張強度が低下してしま
う。また、この引張強度は5.8GPa以上が良く、好
ましくは6GPa以上が良く、より好ましくは6.2G
Pa以上が良い。なお、この引張強度については、10
GPa程度あれば充分であることが多い。ここで、引張
強度とは、樹脂含浸ストランドにおける、炭素繊維の引
張強度のことである。
【0066】また、ここでの炭素繊維の引張弾性率につ
いては、炭素繊維の用途の適用範囲を拡大する観点か
ら、200GPa以上が良く、好ましくは220GPa
以上が良く、より好ましくは240GPa以上が良く、
さらに好ましくは280GPa以上が良い。なお、この
引張弾性率は、400GPa程度あれば充分であること
が多い。炭素繊維の引張弾性率が200GPa未満で
は、複合材料としたときに、構造材として所望の特性が
得られない場合があり、好ましくない。
【0067】炭素繊維をマトリクス樹脂と組み合わせて
複合材料とするときは、繊維とマトリクス樹脂との接着
性は高いほど、複合材料の機械特性は向上する。したが
って、かかる接着性の指標である、複合材料のILSS
は、82MPa以上が良く、好ましくは85MPa以上
が良い。なお、このILSSについては、100MPa
程度あれば充分であることが多い。
【0068】なお、後述する実施例においては、各物性
値は次に示す方法で測定したものである。 (油剤の動粘性率)測定する油剤試料について、キャノ
ン−フェンスケ粘度計による、25℃における標線間所
要時間tを測定し、次式により求めた。ここで、粘度計
の油剤を通じる毛細管は、該所要時間tが200秒以上
となるように、その径により選択しておいた。
【0069】動粘性率(cSt)=C×t−B/t ここで、Bは粘度計係数、Cは粘度計定数であり、動粘
性率V1、V2が既知の標準液を用意し、同様に標線間所
要時間t1、t2を測定し、次式により算出した値である
(t1<t2、かつt1≧200、t2≧1000)。
【0070】B=t1×t2×(V2×t1−V1×t2)/
(t2×t2−t1×t1) C=(V2×t2−V1×t1)/(t2×t2−t1×t1) (油剤の耐熱残存率)測定する油剤試料を約1g、直径
が約60mm、高さが約20mmのアルミ製の容器に採
取し、オーブンで105℃、5時間乾燥し、得られた物
質を次条件下で熱天秤法(TG)により測定し、トータ
ルの重量保持率を耐熱残存率とした。 ・試料パン:アルミニウム製、直径5mm、高さ5mm ・試料量:15〜20mg ・空気中熱処理 空気流量:30ml/分 昇温速度:10℃/分 熱処理時間(240℃):60分 ・雰囲気変更 240℃のまま空気から窒素へ変更して5分間保持 ・窒素中熱処理 窒素流量:30ml/分 昇温速度:10℃/分 熱処理時間(450℃):30分 (耐炎化糸の比重)測定する耐炎化糸を、オーブン中、
120℃、2時間乾燥した後、その重量w 1を測定し、
さらに乾燥した後の耐炎化糸を比重dのエタノール中に
浸漬して、液中重量w2を比重液をエタノールとしてア
ルキメデス法で測定し、次式により求めた。
【0071】比重(−)=w1×d/(w1−w2) (炭素繊維の引張強度、弾性率)ユニオン・カーバイド
(株)製 、”ベークライト(登録商標)”ERL−4
221を1000g(100重量部)、三フッ化ホウ素
モノエチルアミンを30g(3重量部)及びアセトンを
40g(4重量部)混合した樹脂組成物を、測定する炭
素繊維に含浸させて、樹脂含浸ストランドを得る。これ
を130℃、0.5時間加熱して硬化させ、樹脂含浸ス
トランド試験法(JIS R7601)で測定して求め
た。 (炭素繊維の束強力)炭素繊維そのものから、長さが5
0mmの試験片を作製し、この試験片をエアチャックで
把持し、速度5〜100mm/分で引張ることにより、
破断強力を測定し、このn=5の平均値を破断強力値と
した。次に、この値を炭素繊維の断面積が0.22mm
2に相当する値に、比例換算を行い、比例換算値を炭素
繊維の束強力とした。なお、測定時に炭素繊維の収束性
が悪く、良好な配列状態でエアチャックに把持できない
ときは、水に浸漬して収束を促したものを試験片とし
た。 (ILSS)油化シェルエポキシ社製、”エピコート
(登録商標)”1001を3.5kg(35重量部)、
油化シェルエポキシ社製、”エピコート”828を2.
5kg(25重量部)、大日本インキ化学工業社製、”
エピクロン(登録商標)”N740を3.0kg(30
重量部)、油化シェルエポキシ社製、”エピコート”1
52を1.5kg(15重量部)、電気化学工業社
製、”デンカホルマール(登録商標)”#20を0.8
kg(8重量部)及びジクロロフェニルジメチルウレア
0.5kg(5重量部)を混合し、30分間撹拌して樹
脂組成物を得た。次に、これを離型紙にコートして、樹
脂フィルムとした。
【0072】次いで、表面温度が60〜70℃になるよ
う加熱した、周囲約2.7mの鋼製円形ドラムに、上記
樹脂フィルムを、シリコン塗布ペーパー上にコートした
上で巻き付け、次にクリールスタンドから引き出した炭
素繊維を、トラバースを介して巻き取りながら該樹脂フ
ィルム上に配列せしめ、さらにその上から前記樹脂フィ
ルムで再度被覆した後、加圧ロールで回転加圧して樹脂
を繊維束の内部に含浸せしめ、ドラムの回転数とトラバ
ースの送り速度を適宜変更しながら、繊維目付が約20
0g/m2 、樹脂量が約35重量%のプリプレグを作製
した。このプリプレグを繊維方向が同一になるよう積層
後、約2.9×105Paの加圧下、135℃、2時間
硬化せしめて巾200mm、長さ250mm、厚み2m
mの複合材料片を得た。この材料片から、巾12.7m
m、長さは厚みの7倍としたものを試験片として切り出
し、これを通常の3点曲げ試験治具を用い、支持スパン
を試験片肉厚の4倍、歪速度を1.27mm/分とした
条件下で、破断荷重を測定した。このn=8の平均値を
破断荷重値とし、次式により求めた。
【0073】ILSS(MPa)=0.75×(破断荷重値)
/((試験片厚み)×(試験片幅)) (炭素繊維におけるSi/C)SIMSにより測定し
た。測定する炭素繊維を整列させ、真空環境下、下記測
定装置、測定条件で、繊維の側面から一次イオンを照射
し、発生する二次イオンを測定し、得られる炭素繊維の
表面から50nmの深さ部における、ケイ素のカウント
数と炭素のカウント数との比をSi/Cとした。 ・測定装置:ATOMIKA社(ドイツ)製 A−DI
DA3000、 ・測定条件:一次イオン種;O2+、一次イオンエネルギ
ー;12keV、一次イオン電流;100nA、ラスタ
ー領域;250×250μm、ゲート率;30%、分析
領域;75×75μm、検出二次イオン;正イオン、電
子スプレー条件;0.6kV−3.0A(F7.5)、
測定時到達真空度;1×10-6Pa、H−Q−H;#1
4。 (糸条の膨潤度)膨潤後の糸条から、延伸脱水機を用い
て、3000rpmで15分間、表面付着水分を強制除
去した後の重量wと、これを110℃、2時間熱風乾燥
機で乾燥した後の重量w0から、次式により求めた。
【0074】膨潤度(%)=(w−w0)×100/w0 (前駆体繊維のケイ素の含有比率)測定する前駆体繊維
を、120℃、2時間乾燥し、長さ10mmに切断して
精秤して0.1g付近の値(w1)になるように調整
し、これをテフロン製の耐圧分解容器に入れて濃度10
重量%の水酸化ナトリウム水溶液を約10ml加えて密
栓した。次に、150℃、3時間加熱分解せしめて室温
まで冷却後、全量を白金皿へ移して蒸発乾固し、さらに
乾固物をバーナーで強加熱して溶融せしめた後、室温ま
で冷却して測定試料とした。また、濃度10重量%の、
水酸化ナトリウム水溶液単品、約10mに、上記と同様
の処理をしたものを比較試料とした。
【0075】次いで、それぞれの試料を、純水を約20
ml加えて加熱溶解させ、室温まで冷却後、濃度17.
5重量%の塩酸を約4.5ml加えて、ろ過した。さら
に、ろ過液が約90mlになるまで純水で洗浄後、濃度
17.5重量%の塩酸で、ろ過液のpHを1.2〜1.
5に調整した。さらにこのろ過液を撹拌しながら濃度1
0重量%のモリブデン酸アンモニウム水溶液を約2ml
加えて約10分間放置し、濃度10重量%の酒石酸水溶
液を約2ml加えてから、メスフラスコで100mlに
定容して、通常の吸光度計により、モリブデン酸アンモ
ニウムで、ケイ素を発色(波長420nm)させて吸光
度Iを測定した。
【0076】次に、濃度が既知のシリコーンを用いて、
シリコーンの量を、0.15、0.3、0.45、0.
6×10-3gとして、上記の方法に従って標準溶液を作
成した。それら複数の標準溶液の吸光度Iを測定し、最
小自乗法によって検量線(y=Kx)の係数Kを算出し
ておき、次式により求めた。
【0077】ケイ素の含有比率(重量%)=(IS
B)×K×100/w1 ここで、IS、IBはそれぞれ測定試料、比較試料(=前
駆体繊維を含まない試料)の吸光度、w1は前駆体繊維
の重量(g)である。 (撚り数)測定する前駆体繊維について、4mの間隔を
開け、その両端をクリップで、繊維が移動しないようし
っかりと止めた。一方のクリップの内側直近部に1mmφ
の金属棒を差し入れ、もう一方の端へ金属棒をスライド
させてその間の撚り数を5回測定し、その相加平均Aを
とった。さらに、次式により撚り数を求めた。
【0078】撚り数(ターン/m)=A/4
【0079】
【実施例】以下実施例により、本発明をさらに具体的に
説明する。
【0080】実施例においては、アミノ変性シリコーン
には、下記構造式(1)で示した基本骨格を有する、ジ
アミン型の、アミノ基による変性量が1重量%のジメチ
ルシロキサン系のシリコーンを用いた。エポキシ変性シ
リコーンには、下記構造式(2)で示した基本骨格を有
する、脂環式のジメチルシロキサン系のシリコーンを用
いた。また、アルキレンオキサイド変性シリコーンに
は、下記構造式(3)で示した基本骨格を有する、エチ
レンオキサイドによる変性量が50重量%のジメチルシ
ロキサン系のシリコーンを用いた。さらに、乳化剤に
は、ポリエチレングリコールラウリルエーテルを用い
た。
【0081】
【化1】
【0082】
【化2】
【0083】
【化3】 なお、下記する実施例において、使用したシリコーンス
トレート油剤の詳細、及び得られた炭素繊維の物性につ
いては、実施例1〜7と比較例1、2のものは、表1
に、実施例8〜14と比較例3〜5のものは、表2にそ
れぞれ示した。また、各実施例と比較例における、前駆
体繊維のケイ素の含有比率、撚り数などは、表3に示し
た。 実施例1〜6 ジメチルスルホキシドを溶媒とする溶液重合法により、
アクリロニトリル99重量%とイタコン酸1重量%とか
らなる極限粘度[η]が1.7、重合体の濃度が20重
量%の紡糸原液を得た。重合後、アンモニアガスをpH
が8.5になるまで吹き込み、イタコン酸を中和して、
アンモニウム基をポリマーに導入することにより、紡糸
原液の親水性を向上させた。得られた紡糸原液を40℃
として、乾湿式紡糸法により、直径0.15mm、孔数
3000の紡糸口金を用いて、一旦空気中に吐出し、約
3mmの空間を通過させた後、3℃に温調した濃度35
重量%のジメチルスルホキシド水溶液からなる凝固浴に
導いて凝固糸とした。この凝固糸の膨潤度は、210%
であった。次に、凝固糸を水洗後、最終浴温度を70℃
として4倍まで浴延伸した。この浴延伸糸の膨潤度は9
5%であった。
【0084】次に、この浴延伸糸に油剤全体に対して
0.5重量%の主油剤成分を含むシリコーン油剤を付与
して後、乾燥緻密化した。かかる主油剤成分には、アミ
ノ変性シリコーンとして、構造式(1)で示した変性
量、粘度がそれぞれ1重量%、5000cStのもの、
エポキシ変性シリコーンとして、構造式(2)で示した
変性量、粘度がそれぞれ1重量%、10000cStの
もの、エチレンオキサイド変性シリコーンとして、構造
式(3)で示した変性量、粘度がそれぞれ50重量%、
500cStのものを用いた。ここで、アミノ変性シリ
コーン、エポキシ変性シリコーン、エチレンオキサイド
変性シリコーン、乳化剤の比率はそれぞれ35、35、
5、25重量%としている。ここで乾燥緻密化前の、糸
条のケイ素の含有比率は0.04重量%であった。
【0085】次いで、加圧スチーム中で2.5倍まで延
伸した後、表1に示す組成のシリコーンストレート油剤
をキスローラー法で付与した。このときの糸幅は5mm
であった。得られた前駆体繊維の単繊維繊度は0.8
d、総繊度は2400D、ケイ素の含有比率は0.4重
量%であった。
【0086】こうして得られた前駆体繊維を、撚り数が
0ターン/mの、実質的に無撚りの状態で、40〜28
0℃の空気雰囲気中、1.05倍に延伸しながら加熱処
理して、比重1.32の耐炎化糸を得た。次いで、窒素
雰囲気中350〜500℃の温度領域での昇温速度を2
00℃/分とし、1.02倍に延伸しながら、さらに1
400℃まで炭化処理した。
【0087】続いて濃度0.1モル/lの硫酸水溶液を
電解液として、10クーロン/gで電解酸化処理、水洗
し、150℃の加熱空気中で乾燥した。 比較例1 乾燥緻密化前に付与したシリコーン油剤中の主油剤成分
を、油剤全体に対して3重量%とし、シリコーンストレ
ート油剤を付与しなかったこと以外は、実施例1と同様
にして炭素繊維を得た。本例では、焼成途上で繊維に毛
羽が若干発生し、炭素繊維の品位が低下した。 比較例2 シリコーンストレート油剤を付与しなかったこと以外
は、実施例1と同様にして炭素繊維を得た。本例では、
焼成途上で繊維に毛羽が多量に発生し、炭素繊維の品位
が大きく低下した。 実施例7 乾燥緻密化前に付与したシリコーン油剤の主油剤成分
に、変性量、粘度がそれぞれ1重量%、5000cSt
の、構造式(1)で示したアミノ変性シリコーンのみを
使用し、かつアミノ変性シリコーン、乳化剤の比率を、
それぞれ80、20重量%とした以外は実施例1と同様
にして炭素繊維を得た。 実施例8 加圧スチーム中での延伸後に付与したシリコーンストレ
ート油剤に、変性量、粘度がそれぞれ1重量%、500
0cStの、構造式(1)で示したアミノ変性シリコー
ンと、ジグリシジルジメトキシシランを、重量比90:
10で混合後、さらにイソプロピルパルミテートで希釈
し、シリコーンの濃度を油剤全体に対して10重量%と
した、表2に示す組成の油剤を用いたこと以外は、実施
例1と同様にして炭素繊維を得た。 実施例9〜12 ジメチルスルホキシドを溶媒とする溶液重合法により、
アクリロニトリル98重量%、イタコン酸1重量%、及
びイソブチルメタクリレート1重量%とからなる極限粘
度[η]が1.7、重合体の濃度が20重量%の紡糸原
液を得た。重合後、アンモニアガスをpHが8.5にな
るまで吹き込み、イタコン酸を中和して、アンモニウム
基をポリマーに導入することにより、紡糸原液の親水性
を向上させた。得られた紡糸原液を40℃として、乾湿
式紡糸法により、直径0.15mm、孔数3000の紡
糸口金を用いて、一旦空気中に吐出し、約4mmの空間
を通過させた後、3℃に温調した濃度35重量%のジメ
チルスルホキシド水溶液からなる凝固浴に導いて凝固糸
とした。この凝固糸の膨潤度は220%であった。次
に、凝固糸を水洗後、温水中で3.5倍まで浴延伸し
た。延伸浴は4槽用い、第1浴から10℃毎昇温して、
第4浴の温度を90℃とした。ここでは、単繊維間接着
を防ぐために、入り側のローラーを延伸浴から引き上げ
た状態で、繊維を浴中に導入するとともに、振動ガイド
(振動数:25Hz、振幅:2mm)を使用した。この
浴延伸糸の膨潤度は73%であった。
【0088】次に、この浴延伸糸に実施例1〜6と同組
成のシリコーン油剤を、互い違いに配置した直径20m
mのフリーローラー10個でしごきを与えながら付与
し、糸条へ均一に付着せしめて後、乾燥緻密化した。こ
こで乾燥緻密化前の、糸条のケイ素の含有比率は0.0
7重量%であった。
【0089】次いで、加圧スチーム中で2.5倍まで延
伸した後、表2に示す組成のシリコーンストレート油剤
をキスローラー法で付与した。このときの糸幅は5mm
であった。得られた前駆体繊維の単繊維繊度は1.0
d、総繊度は3000D、ケイ素の含有比率は0.2重
量%であった。
【0090】こうして得られた前駆体繊維を、撚り数が
0ターン/mの、実質的に無撚りの状態で、230〜2
60℃の空気雰囲気中、0.9倍に延伸しながら加熱処
理して、比重1.35の耐炎化糸を得た。次いで、窒素
雰囲気中300〜500℃の温度領域での昇温速度を4
00℃/分とし、同じく窒素雰囲気中1000〜120
0℃の温度領域での昇温速度を500℃/分とし、0.
92倍に延伸しながら、さらに1300℃まで炭化処理
した。
【0091】続いて濃度0.2モル/lの炭酸アンモニ
ウム水溶液を電解液として、10クーロン/gの電解酸
化処理、水洗し、150℃の加熱空気中で乾燥した。 比較例3 乾燥緻密化前に付与したシリコーン油剤中の主油剤成分
を、油剤全体に対して3重量%とし、シリコーンストレ
ート油剤を付与しなかったこと以外は、実施例7と同様
にして炭素繊維を得た。本例では、焼成途上で繊維に毛
羽が若干発生し、炭素繊維の品位が低下した。 実施例13 ジメチルスルホキシドを溶媒とする溶液重合法により、
アクリロニトリル99重量%とイタコン酸1重量%とか
らなる極限粘度[η]が1.7、重合体の濃度が20重
量%の紡糸原液を得た。重合後、アンモニアガスをpH
が8.5になるまで吹き込み、イタコン酸を中和して、
アンモニウム基をポリマーに導入することにより、紡糸
原液の親水性を向上させた。得られた紡糸原液を60℃
として、湿式紡糸法により、直径0.07mm、孔数3
000の紡糸口金を用いて、60℃に温調した、濃度6
0重量%のジメチルスルホキシド水溶液からなる凝固浴
に導いて凝固糸とした。この凝固糸の膨潤度は170%
であった。次に凝固糸を水洗後、最終浴温度を90℃と
して、5倍まで浴延伸した。この浴延伸糸の膨潤度は2
10%であった。
【0092】次に、この浴延伸に実施例1〜6と同組成
のシリコーン油剤を付与して後、乾燥緻密化した。ここ
で乾燥緻密化前の、糸条のケイ素の含有比率は0.08
重量%であった。
【0093】次いで、加圧スチーム中で2.5倍まで延
伸した後、表2に示す組成のシリコーンストレート油剤
をキスローラー法で付与した。このときの糸幅は5mm
であった。得られた前駆体繊維の単繊維繊度は0.8
d、総繊度は2400D、ケイ素の含有比率は0.5重
量%であった。
【0094】さらに、前駆体繊維の撚り数が0.5ター
ン/mであったこと以外は、実施例1〜6と同様にし
て、炭素繊維を得た。 比較例4 乾燥緻密化前に付与したシリコーン油剤中の主油剤成分
を、油剤全体に対して3重量%とし、シリコーンストレ
ート油剤を付与しなかったこと以外は、実施例13と同
様にして炭素繊維を得た。本例では、焼成途上で繊維に
毛羽が若干発生し、炭素繊維の品位が低下した。 実施例14 ジメチルスルホキシドを溶媒とする溶液重合法により、
アクリロニトリル99重量%とイタコン酸1重量%とか
らなる極限粘度[η]が1.7、重合体の濃度が20重
量%の紡糸原液を得た。重合後、アンモニアガスをpH
が8.5になるまで吹き込み、イタコン酸を中和して、
アンモニウム基をポリマーに導入することにより、紡糸
原液の親水性を向上させた。得られた紡糸原液を30℃
として、乾湿式紡糸法により、直径0.15mm、孔数
3000の紡糸口金を用いて、一旦空気中に吐出し、約
3mmの空間を通過させた後、3℃に温調した濃度35
重量%のジメチルスルホキシド水溶液からなる凝固浴に
導いて凝固糸とした。この凝固糸の膨潤度は、210%
であった。次に、凝固糸を4本合糸して12000フィ
ラメントとした後、水洗後、最終浴温度を70℃として
2倍まで浴延伸した。この浴延伸糸の膨潤度は110%
であった。
【0095】次に、この浴延伸糸に油剤全体に対して
0.3重量%の主油剤成分を含むシリコーン油剤を付与
して後、乾燥緻密化した。かかる主油剤成分には、アミ
ノ変性シリコーンとして、構造式(1)で示した変性
量、粘度がそれぞれ1重量%、1000cStのもの、
エポキシ変性シリコーンとして、構造式(2)で示した
変性量、粘度がそれぞれ1重量%、5000cStのも
の、エチレンオキサイド変性シリコーンとして、構造式
(3)で示した変性量、粘度がそれぞれ50重量%、5
00cStのものを用いた。ここで、アミノ変性シリコ
ーン、エポキシ変性シリコーン、エチレンオキサイド変
性シリコーン、乳化剤の比率はそれぞれ55、10、
5、30重量%としている。ここで乾燥緻密化前の、糸
条のケイ素の含有比率は0.02重量%であった。
【0096】次いで、加圧スチーム中で5倍まで延伸し
た後、表2に示す組成のシリコーンストレート油剤を給
油ガイドで付与した。このときの糸幅は12mmであっ
た。得られた前駆体繊維の単繊維繊度は1.0d、総繊
度は12000D、ケイ素の含有比率は0.4重量%で
あった。
【0097】こうして得られた前駆体繊維を、撚り数が
0ターン/mの、実質的に無撚りの状態で240〜28
0℃の空気雰囲気中、0.9倍に延伸しながら加熱処理
して、比重1.35の耐炎化糸を得た。次いで、窒素雰
囲気中350〜500℃の温度領域での昇温速度を40
0℃/分とし、0.92倍に延伸しながら、さらに13
00℃まで炭化処理した。
【0098】続いて濃度0.1モル/lの硫酸水溶液を
電解液として、10クーロン/gで電解酸化処理、水洗
し、150℃の加熱空気中で乾燥してサイジングを付与
した。 比較例5 シリコーンストレート油剤を付与しなかったこと以外
は、実施例14と同様にして前駆体繊維を得た。さら
に、この前駆体繊維を実施例14と同様にして実質的に
無撚りの状態で焼成したが、糸条集束性が低く、ローラ
ーへの巻き付きが多発したため、安定して炭素繊維を得
ることができなかった。 比較例6 比較例5と同様にして得た前駆体繊維を、さらに撚り数
が2.0ターン/mであり、繊維に撚りが付与されてい
たこと以外は、実施例14と同様にして炭素繊維を得
た。本例では、炭素繊維製造工程における操業性は良好
であったが、表1に示すとおり、得られた炭素繊維の物
性値については劣ったものとなった。
【0099】
【表1】
【0100】
【表2】
【0101】
【表3】
【0102】
【発明の効果】本発明のシリコーンストレート油剤を使
用して製造された炭素繊維用前駆体繊維によれば、焼成
後に高い引張強度を有する炭素繊維が容易に得られる。
【0103】また、本発明のシリコーンストレート油剤
を使用すれば、焼成に供する炭素繊維用前駆体繊維を実
質的に無撚りの状態で焼成しても炭素繊維の製造工程に
おける操業性を損なうことなく、引張強度に加え、糸拡
がり性など、各種物性に優れた炭素繊維が得られ、焼成
後の解撚に要するコストが低減できる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08J 5/06 C08J 5/06 C09D 183/04 C09D 183/04 (72)発明者 後藤 英実 愛媛県伊予郡松前町大字筒井1515番地 東 レ株式会社愛媛工場内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】25℃における動粘性率が100cSt以
    上である主油剤成分を1〜90重量%含み、引火点が7
    0℃以上又は実質的に引火点のない、非シリコーン化合
    物成分を希釈剤として10〜99重量%含んでなること
    を特徴とするシリコーンストレート油剤。
  2. 【請求項2】前記主油剤成分が、次に示す(A)成分を
    含むことを特徴とする請求項1記載のシリコーンストレ
    ート油剤。 (A)アミノ基による変性量が0.05〜10重量%
    で、25℃における動粘性率が1000cSt以上であ
    るアミノ変性シリコーン。
  3. 【請求項3】前記主油剤成分が、次に示す(B)成分を
    含むことを特徴とする請求項2記載のシリコーンストレ
    ート油剤。 (B)エポキシ基による変性量が0.05〜10重量%
    であるエポキシ変性シリコーン。
  4. 【請求項4】前記主油剤成分が、エポキシシランを含む
    ことを特徴とする請求項2又は3記載のシリコーンスト
    レート油剤。
  5. 【請求項5】前記主油剤成分が、ケイ素を有しないエポ
    キシ化合物を含むことを特徴とする請求項2〜4のいず
    れかに記載のシリコーンストレート油剤。
  6. 【請求項6】前記主油剤成分が、アミノ変性シリコーン
    以外の変性シリコーン及びエポキシ変性シリコーン以外
    の変性シリコーン、又は非変性シリコーンを含むことを
    特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載のシリコーン
    ストレート油剤。
  7. 【請求項7】前記非シリコーン化合物成分が、高級脂肪
    酸アルキルエステルを含むことを特徴とする請求項1〜
    6のいずれかに記載のシリコーンストレート油剤。
  8. 【請求項8】25℃における動粘性率が100cSt以
    下であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに
    記載のシリコーンストレート油剤。
  9. 【請求項9】請求項1〜8のいずれかに記載の油剤が付
    与されてなることを特徴とする炭素繊維用前駆体繊維。
  10. 【請求項10】85重量%以上のアクリロニトリル成分
    を有する共重合体を湿式紡糸、又は乾湿式紡糸して糸条
    とし、さらに乾燥緻密化の後、請求項1〜8のいずれか
    に記載のシリコーンストレート油剤を付与することを特
    徴とする炭素繊維用前駆体繊維の製造方法。
  11. 【請求項11】表面から50nmの深さ部におけるSi
    とCの比率(Si/C)が0.2以下、引張強度が5.
    5GPa以上、かつ層間剪断強度が80MPa以上であ
    ることを特徴とする炭素繊維。
  12. 【請求項12】85重量%以上のアクリロニトリル成分
    を有する共重合体を湿式紡糸、又は乾湿式紡糸して糸条
    とし、さらに乾燥緻密化の後、請求項1〜8のいずれか
    に記載のシリコーンストレート油剤を付与し、得られた
    炭素繊維用前駆体繊維を耐炎化し、炭化することを特徴
    とする炭素繊維の製造方法。
  13. 【請求項13】前記炭素繊維用前駆体繊維が実質的に無
    撚りであることを特徴とする請求項12記載の炭素繊維
    の製造方法。
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