JPH1112856A - 炭素繊維用アクリル系前駆体繊維およびその製造法 - Google Patents

炭素繊維用アクリル系前駆体繊維およびその製造法

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JPH1112856A
JPH1112856A JP9166115A JP16611597A JPH1112856A JP H1112856 A JPH1112856 A JP H1112856A JP 9166115 A JP9166115 A JP 9166115A JP 16611597 A JP16611597 A JP 16611597A JP H1112856 A JPH1112856 A JP H1112856A
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acrylic
yarn
precursor fiber
copolymer
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JP9166115A
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Katsumi Yamazaki
勝巳 山▲ざき▼
Masaru Tanaka
勝 田中
Yoji Matsuhisa
要治 松久
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】引張特性が極めて優れた炭素繊維を製造するた
めの、緻密性が極めて高く、かつ配向度が高く、耐熱性
に優れ、焼成時に単繊維間接着を生じない炭素繊維用ア
クリル系前駆体繊維を提供する。 【解決手段】極限粘度[η]が0.9〜1.5、比重が
1.170以上であり、かつ広角X線による結晶配向度
が90〜95%であることを特徴とする炭素繊維用アク
リル系前駆体繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭素繊維用アクリ
ル系前駆体繊維、特に機械的特性に優れた炭素繊維を製
造するための炭素繊維用アクリル系前駆体繊維およびそ
の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維は比強度、比弾性率に優れてい
るため、その特長を生かしてスポーツ用品、航空、宇宙
および一般産業用途に広く使われている。その用途開発
のためにはコスト低下とともに、依然高性能化が重要で
ある。
【0003】従来、炭素繊維の高性能化およびそのため
の前駆体繊維の高性能化については多くの技術が提案さ
れている。
【0004】たとえば、繊維内部の異物・マクロボイド
を減少させるために、モノマーあるいはポリマー原液の
ろ過を強化する技術(たとえば、特開昭59−8892
4号公報、特公平4−12882号公報)が提案されて
いる。また、表面欠陥の生成抑制について、製糸工程で
のガイドの形状およびガイドに接する糸の張力を規定す
ることにより表面欠陥生成を抑制する技術(たとえば、
特公平3−41561号公報)などが提案されている。
【0005】前駆体繊維を製糸し、その後さらに高温下
で耐炎化、炭化する炭素繊維の製造工程においては、単
繊維間の接着が発生しやすく、この単繊維間接着および
それが剥がれた後が表面欠陥の原因となり、強度低下の
要因となっている。
【0006】このような単繊維間接着を抑制するため
に、製糸工程油剤を高性能化する技術も種々提案されて
いる。たとえば、従来の高級アルコールなどの非シリコ
ーン油剤に対して耐熱性、離型性、平滑性に優れたシリ
コーン系油剤を適用する技術(たとえば、特公昭60−
18334号公報、特公平3−40152号公報、特公
平4−33892号公報、特公平5−83642号公報
など)が提案されている。
【0007】しかし、ろ過強化あるいは工程のガイドな
どによる表面欠陥生成抑制および高性能油剤による単繊
維間接着防止といった技術は、マクロ欠陥の生成抑制に
は効果があっても、繊維の基質、特に緻密性を変えるこ
とはできず、マクロ欠陥が減少した状態でのさらなる高
性能化の効果は不十分であった。
【0008】特に、炭素繊維用アクリル系前駆体繊維は
通常湿式あるいは乾湿式紡糸により紡糸され、溶媒と非
溶媒との置換により沈殿構造が生成し凝固が進展するた
め、本質的にボイドを含んだ緻密性の低い構造となる。
乾燥緻密化することにより、見かけ上緻密化されボイド
は消えるが、乾燥緻密化前のミクロフィブリル構造は残
存しており、それが焼成後の炭素繊維の構造を大きく左
右する。従来の前駆体繊維はミクロフィブリルが大きい
ために、得られる炭素繊維の構造単位も大きくなり、炭
素繊維のミクロボイドも大きくなって緻密性が低くなる
ために、機械的特性が頭打ちになるという問題があっ
た。
【0009】前駆体繊維の緻密性を向上させるために
は、凝固によるボイドの発生量を減少させることが重要
であり、紡糸原液中の共重合体濃度を高くすることが効
果的であることが知られている。しかし、共重合体濃度
を上げると、紡糸原液の粘度が急上昇し、湿式紡糸では
製糸生産性が低下する問題があった。また、共重合体の
親水性を増すと凝固時に微細な沈殿構造が形成され、緻
密性の良好な繊維が得られるが、そのような緻密性の高
い繊維は製糸延伸性が低く、生産性に問題があった。
【0010】一方、共重合体の分子量を低下させると、
製糸延伸性は向上するが、耐炎化処理時の耐熱性が不足
するため、単繊維間の接着が増加して、炭素繊維の強度
は低下する。そのために、従来まで提案されている炭素
繊維用アクリル系前駆体繊維の共重合体の極限粘度は、
少なくとも1.3以上(たとえば、特公昭51−624
8号公報)であり、実用的には1.5以上であった。ま
た極限粘度を1.5以下まで低くすると、繊維配向度が
上がりにくいためか、繊維比重が1.170を超えるも
のはなかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
問題点を解決すること、すなわち、引張特性が極めて優
れた炭素繊維を製造するための、緻密性が極めて高く、
かつ配向度が高く、耐熱性に優れ、焼成時に単繊維間接
着を生じない炭素繊維用アクリル系前駆体繊維を提供す
ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明の炭素繊維用アクリル系前駆体繊維は以下
の構成を有する。
【0013】すなわち、極限粘度[η]が0.9〜1.
5、比重が1.170以上であり、かつ広角X線による
結晶配向度が90〜95%であることを特徴とする炭素
繊維用アクリル系前駆体繊維である。
【0014】また、上記炭素繊維用アクリル系前駆体繊
維の製造法は以下の構成を有する。すなわち、アクリル
系共重合体の極限粘度[η]が0.9〜1.5で、共重
合体の濃度が22〜35wt%の紡糸原液を湿式紡糸
し、膨潤度が30〜100%の膨潤糸条にシリコーン系
油剤を付与することを特徴とする炭素繊維用アクリル系
前駆体繊維の製造法である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の炭素繊維用アクリ
ル系前駆体繊維について詳細に説明する。
【0016】本発明の炭素繊維アクリル系前駆体繊維
は、極限粘度[η]が0.9〜1.5であり、比重が
1.170以上で、かつ広角X線で測定される結晶配向
度が90〜95%であることを特徴とする炭素繊維用ア
クリル系前駆体繊維である。
【0017】極限粘度[η]が0.9未満では繊維の耐
熱性が低いため、耐炎化時に単糸間接着が増加し、前駆
体繊維の緻密性の向上効果が炭素繊維の強度に反映され
ず、低強度の炭素繊維しか得られない。一方、極限粘度
[η]が1.5を超えると、緻密性の高い前駆体繊維を
生産性よく製造することがむつかしくなる。前駆体繊維
の緻密性と生産性のバランスから[η]は、1.1〜
1.3の範囲のものがより好ましい。
【0018】本発明の前駆体繊維の比重は1.170以
上である。比重が1.170未満では繊維中にボイドが
存在しているため、炭素繊維の欠陥として残り、強度の
発現を妨げる。前駆体繊維の比重は高いほど好ましい。
この前駆体繊維比重はボイド量の他に共重合体組成や配
向度によっても影響を受けるが、アクリル系繊維で1.
185を超えることはむつかしい。
【0019】また、本発明の前駆体繊維の広角X線で測
定される結晶配向度は90〜95%の範囲である。結晶
配向度が90%未満では、共重合体の極限粘度[η]が
0.9〜1.5の場合には、耐熱性が不足して耐炎化時
に単糸間接着が増加し、高強度を発現できない。結晶配
向度が95%を超えると配向が高すぎて焼成時に単糸切
れなどが発生しやすくトラブルが多発する。
【0020】さらに、前駆体繊維の単繊維の表層部にホ
ウ素の最大濃度部を有し、ホウ素を繊維に対し0.01
〜3.0wt%含有することが好ましい。ホウ素はアク
リル繊維を酸化性雰囲気中で加熱するとき耐炎化反応を
遅延する効果があるので、単繊維の表層部に最大濃度部
を有するようにホウ素を含有させることにより、表層部
の耐炎化反応が進みにくくなり、相対的に繊維半径方向
の耐炎化反応を均質化することが出来る。繊維断面方向
のホウ素の濃度勾配は二次イオン質量分析計(SIM
S)によって測定され、次式で定義する表層と内層の濃
度比Rが5〜1000であることが好ましい。
【0021】R=Co/Ci Co:SIMSで測定した単糸表層部のホウ素原子カウ
ント数 Ci:SIMSで測定した単糸内層部のホウ素原子カウ
ント数 ここで、単糸の表層部とは表面から単糸直径の1%の深
さの部分であり、内層部とは表面から単糸直径の15%
の深さの部分である。
【0022】Rが5未満では全体の耐炎化が遅延される
だけで内外層均一耐炎化の効果が少なく、1000を越
えると表層部の耐炎化反応が遅くなりすぎてかえって不
均一耐炎化となるため好ましくない。Rは5〜500の
範囲がより好ましく、10〜100がさらに好ましい。
【0023】繊維重量当たりのホウ素の含有量は0.0
1〜3.0wt%であることが好ましい。0.01wt
%未満ではホウ素による耐炎化遅延効果が得られない
し、3.0wt%を越えると耐炎化反応が遅くなりすぎ
て耐炎化に長時間を要するため工業的に好ましくない。
ホウ素含有量は0.01〜0.5%であることがより好
ましい。
【0024】本発明の前駆体繊維は焼成時の単糸間接着
を防止するため、シリコーン系油剤に起因するケイ素を
0.01〜2.0wt%含有することが好ましい。0.
01wt%未満では単糸間接着防止効果が不十分であ
り、2.0wt%を超えるとローラーへケイ素化合物が
堆積して糸切れや巻付きのトラブルが増加するため好ま
しくない。
【0025】さらに、前駆体繊維の繊度は0.3〜2.
0デニールであることが好ましい。0.3デニール未満
では生産性の低下によるコストアップが大きく、2.0
デニールを超えると焼成時の内外構造差を減少させるた
めに焼成に長時間を要するためコストアップが大きくな
り好ましくない前駆体繊維を構成する単繊維の数(フィ
ラメント数)は特に限定されないが、1000〜100
0000フィラメントが好ましく、1000〜5000
00フィラメントがより好ましく、3000〜5000
0フィラメントがさらに好ましい。
【0026】次に本発明の炭素繊維用アクリル系前駆体
繊維の製造法について説明する。
【0027】本発明の炭素繊維用アクリル系前駆体繊維
の製造方法は、アクリル系共重合体の極限粘度[η]が
0.9〜1.5、共重合体の濃度が22〜35wt%の
紡糸原液を湿式紡糸し、膨潤度が30〜100%の膨潤
糸条にシリコーン系油剤を付与することを特徴とする炭
素繊維用アクリル系前駆体繊維の製造法である。以下詳
細に説明する。
【0028】本発明の共重合体の1成分としては、カル
ボキシル基、スルホ基、アミノ基、アミド基等の親水性
を付与できるビニル化合物が好ましいが、カルボキシル
基を有するビニル化合物は前駆体繊維として必要な耐炎
化促進性と親水性付与を同時に満足させるのでより好ま
しい。
【0029】カルボキシル基を有するビニル化合物の具
体例としては、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、イ
タコン酸、クロトン酸、シトラコン酸、エタクリル酸、
マレイン酸、メサコン酸などが挙げられる。しかしなが
ら、カルボン酸自体では親水性付与効果が極めて低いの
で、重合終了後にカルボキシル基の一部あるいは全部を
をアンモニアで中和してアンモニウム塩にすると共重合
体の親水性を一層向上でき緻密な凝固構造を形成するの
でより好ましい。アンモニウム塩は焼成工程で飛散し炭
素繊維に悪影響を及ぼさないので好ましい。カリウムや
ナトリウム塩でも親水性は付与できるが、カリウムやナ
トリウムは炭素繊維に転換後も残存し、炭素繊維の耐酸
化性などが低下する原因になり好ましくなく、製糸の凝
固工程以降で除去する処理が必要となり、コストアップ
となる。また、カルボキシル基を有するビニル化合物の
共重合量は0.3〜5.0モル%であることが好まし
い。0.3モル%未満では共重合体の親水性が不足し好
ましくない。5.0モル%を越えると共重合体の耐熱性
が低下するので好ましくない。
【0030】さらに、他の共重合成分としては耐炎化で
の酸素透過促進性を有するビニル化合物を0.5〜5.
0モル%共重合することによって、緻密性の高い前駆体
繊維でも耐炎化時に単繊維の内層まで酸素が透過しやす
く、繊維断面半径方向の耐炎化反応差が減少するので好
ましい。共重合量は0.5モル%未満では易酸素透過が
充分に発揮されず、5.0モル%を越えると共重合体の
耐熱性が低下し、耐炎化時に単糸間接着が増加するため
好ましくない。耐炎化での酸素透過促進性を有するビニ
ル化合物としては、不飽和カルボン酸のエステルが好ま
しく、特にノルマルプロピルエステル、ノルマルブチル
エステル、イソブチルエステル、セカンダリーブチルエ
ステル、炭素数が5以上のあるきるのエステルなどのよ
うにバルキーな側鎖を有するエステルが好ましい。具体
例としてはアクリル酸ノルマルプロピル、メタクリル酸
ノルマルブチル、メタクリル酸イソブチル、イタコン酸
イソブチル、エタクリル酸ラウリル、アクリル酸ステア
リル、メタクリル酸シクロヘキシル、ジエチルアミノエ
チルメタクリレートなどが挙げられるが、特にアクリル
酸、メタクリル酸、イタコン酸のエステルが好ましく、
イソプロピルエステル、ノルマルブチルエステル、イソ
ブチルエステルがさらに好ましい。
【0031】なお重合法については、溶液重合、懸濁重
合、乳化重合等の公知の重合法を適用することができる
が、有機溶剤での溶液重合が均一な高濃度原液を作製す
る上で好ましく採用される。
【0032】本発明の共重合体の極限粘度[η]は0.
9〜1.5であることが重要である。
【0033】極限粘度[η]が0.9未満では共重合体
の耐熱性が低く繊維の配向度が上げられないため、耐炎
化時に単糸間接着を引き起こす。また、1.5を超える
と共重合体の親水性を向上させ、かつ紡糸原液の濃度を
上げて高緻密な前駆体繊維を得ようとすると製糸延伸性
が極めて低下するため工業的に生産する上でコストアッ
プになる。極限粘度[η]は炭素繊維の品質とコストの
バランスから1.1〜1.3がより好ましい。
【0034】本発明の紡糸に供する紡糸原液中の共重合
体濃度は、22〜35wt%とするものであり、より好
ましくは24〜30wt%である。共重合体の濃度は高
いほど凝固での沈殿剤との置換量が少ないため緻密にな
り、炭素繊維の強度向上にとって有効であるが、35w
t%を超えると紡糸原液の粘度が高くなる、ゲル化しや
すい、製糸延伸性が低下するといった問題が生じ、製糸
プロセス性が低下する。また22wt%未満では緻密性
が低下し、延伸しても繊維配向度が上がらず、耐熱性が
不足する。このことから分子量が低い時はより高濃度と
し、分子量が高い時は比較的低濃度にするようにして、
45℃における紡糸原液粘度が30〜100Pa・sの
範囲になるように決定することが製糸生産性および炭素
繊維の品質上好ましい。
【0035】紡糸方法としては湿式あるいは乾湿式のい
わゆる湿式紡糸を採用することができるが、凝固浴温度
を低くして微細な凝固構造を形成し緻密性の高い繊維が
得られやすく、かつ生産性を落とすことなく製糸できる
ことから特に乾湿式紡糸が好ましい。
【0036】凝固溶媒としてはDMSO、DMF、DM
Ac、NaSCN、ZnCl2等の従来公知のものを使
うことができるが、生産性の面から凝固速度が早いDM
SO、DMFあるいはDMAcが好ましく、DMSOが
特に好ましい。
【0037】凝固浴としては円形孔の口金を使用したと
き円形断面の繊維が得られる条件であれば特に限定され
ないが、紡糸出の膨潤度が150%以下になるように凝
固浴の溶剤濃度や温度を設定することが好ましい。
【0038】なお口金としては通常円形孔を有する口金
を用いて円形あるいはそれに準ずる形状の凝固糸を得る
が、スリットあるいは小円孔の集合から接合させること
により、三角、四角、五角といった異形断面の凝固糸を
得ることもできる。
【0039】凝固糸は水洗、温水浴または熱水浴で延伸
される。
【0040】浴延伸糸の膨潤度は30〜100%である
ことが重要である。浴延伸糸の膨潤度が100%を超え
ると、後で付与する油剤が繊維内部に浸入して乾燥緻密
化後もボイドとして残り、炭素繊維の欠陥となり、高強
度を発現することができない。すなわち、油剤付与前の
糸条の膨潤度は低いほど高強度の炭素繊維を得やすい
が、湿式あるいは乾湿式紡糸して得られる浴延伸糸の膨
潤度を30%未満にすることはむつかしく、実際上は4
0%以上である。浴延伸糸の膨潤度は好ましくは40〜
80%、より好ましくは40〜60%である。浴延伸の
温度が高いほど水膨潤糸のボイドが潰れ緻密化が促進し
膨潤度が低下する。この膨潤度の低下は共重合体の親水
性や共重合体濃度、凝固浴条件などで形成される凝固構
造の程度によっても影響を受けるので浴延伸糸の膨潤度
が30〜100%になるように浴延伸温度を設定する。
浴延伸は2段以上の多段で2〜6倍延伸することが強度
向上にとって好ましく、低温から高温へと温度プロフィ
ルを浴間でつけること、および浴間の温度差を20℃以
下にすることが単繊維間接着を抑制する上で好ましい。
【0041】次に得られた膨潤糸に油剤を付与する。使
用する油剤はシリコーン化合物およびその混合油剤であ
る。耐熱性、離型性に優れたシリコーン系油剤を使用す
ることによって、単繊維間接着を抑制して炭素繊維の高
強度を発現することができる。シリコーン系油剤として
は、例えばジメチルシロキサンのアミノ変性、エポキシ
変性、アルキレンオキサイド変性等の変性シリコーン化
合物あるいはそれらの混合物を用いることが好ましい。
特にアミノ変性シリコーンおよびエポキシ変性シリコー
ンの25℃におけるオイル粘度は1000cSt以上が
好ましく、さらに3000センチストークス以上の高分
子量のシリコーンは耐熱性に優れるのでより好ましい。
シリコーン系油剤と高級アルコールあるいは高級脂肪酸
エステルと混合して付与することもできるが、シリコー
ン系油剤の付着量を前駆体繊維に対し0.1〜3wt%
にすることが好ましい。
【0042】さらに、ホウ素化合物を油剤を付与する前
および/または油剤と混合して膨潤糸条に付与すること
によって、表層部に最大濃度を有するように含浸するこ
とが好ましい。この時、ホウ素が繊維に対し0.01〜
3.0wt%含有するようにホウ素化合物の濃度を調整
することが好ましい。従ってホウ素化合物は水溶性が好
ましく、ホウ酸が安全性や使い易さ等から好ましい。耐
炎化での酸素透過促進性を有する共重合成分とホウ素化
合物の含浸によって、緻密性の高い前駆体繊維を耐炎化
する際に断面の半径方向の耐炎化反応がより均質に進行
し、高緻密化した前駆体繊維を炭素繊維に転換後の高強
度化効果がより一層発揮されるので特に好ましい。
【0043】油剤とホウ素を膨潤糸に付与後、乾燥緻密
化を行う。乾燥緻密化の熱処理によってボイドが完全に
潰され無構造化するとともに、ホウ素が繊維表層部に固
定される。
【0044】乾燥緻密化後、さらに必要に応じて加圧ス
チームあるいは高温熱媒中で延伸して、全延伸倍率を6
〜20倍、より好ましくは10〜15倍して、広角X線
による結晶配向度が90〜95%になるように延伸倍率
を調整し、単繊維繊度0.3〜2デニールの前駆体繊維
を得るのが好ましい。
【0045】以上のように共重合体の分子量を低くし
て、紡糸原液濃度を高濃度化する際に、共重合体の親水
性向上等によって膨潤糸を高緻密化することが、延伸後
の配向度および耐熱性が高く、高緻密でかつ高配向な前
駆体繊維が得られる。さらにシリコーン系油剤を適用す
ることによって単糸間接着を抑制でき、高緻密な基質の
効果を発現することができる。酸素透過促進性を有する
モノマーの共重合あるいは膨潤糸へのホウ素の含浸の適
用は耐炎化時の内外構造差を減少し、前駆体繊維の高緻
密化による炭素繊維の強度向上効果をいっそう発揮させ
る。
【0046】得られた前駆体繊維は常法に従って耐炎
化、炭化することによって、7GPa以上という高強度
の炭素繊維が得られる。
【0047】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。
【0048】なお、本発明において極限粘度は次のよう
にして測定した。
【0049】試料を絶乾後、150mg精秤し、0.1
NのNaSCNを溶解したDMFを加え完全に溶解後、
25℃で50mlとする。25℃にコントロールされた
恒温槽中でオストワルド粘度計を使用して、ブランクD
MF液と試料を溶解したサンプルDMF液の落下時間を
測定する。それぞれ5回の平均値を求め、それぞれの落
下時間をt0 、tとして比粘度ηspを次式1で求め、次
式2によって極限粘度[η]を求めた。
【0050】 ηsp=(t/t0 )−1 …(1) [η]={(1+1.32×ηsp)1/2 −1}/0.198 …(2) 前駆体繊維の比重は次の方法で求めた。絶乾した繊維約
0.5gを精秤(W1)した後、エタノール中で精秤
(W2 )し、エタノールの比重(ρ)から次式3によっ
て求めた。
【0051】 繊維比重={W1 /(W1 −W2 )}×ρ …(3) 前駆体繊維の軸方向の結晶配向度π400 は次の方法によ
り求めた。試料約20mg/4cmを1mm幅の金型に
コロジオンで固めて測定に供する。X線源としてNiフ
ィルターで単色化したCuのKα線(波長:1.541
8A)を使用し、出力35kV、15mAで測定し、2
θ=17゜付近に観察された面指数(400)のピーク
を円周方向にスキャンして得られたピークの半値幅H
(゜)より次式4から求めた。
【0052】 π400 (%)=(180−H)×100/180 …(4) なお、ゴニオメーターのスリット直径としては2mm、
計数管としてはシンチレーションカウンターを用いた。
スキャン速度は4゜/分、タイムコンスタント1秒、チ
ャートスピードは1cm/分である。
【0053】前駆体繊維の単繊維断面半径方向のホウ素
濃度は二次イオン質量分析計(SIMS)によって測定
し、単糸の表層部/内層部の濃度比Rを求めた。
【0054】R=Co/Ci Co:SIMSで測定した単糸表層部のホウ素のカウン
ト数 Ci:SIMSで測定した単糸内層部のホウ素のカウン
ト数 装置:ドイツATOMIKA社製 A−DIDA300
0 一次イオン種 :O2 + 一次イオンエネルギー:12keV 一次イオン電流 :100nA ラスター領域 :250×250μm ゲート率 :30% 分析領域 :75×75μm 検出二次イオン :正イオン 電子スプレー条件 :0.6kV−3.0A(F7.
5) 測定時真空度 :1×10-8Torr H−Q−H :#14 なお、本発明において単糸の表層部とは表面から単糸直
径の1%の深さの部分であり、内層部とは表面から単糸
直径の15%の深さの部分である。
【0055】前駆体繊維のホウ素含有量は次の方法で求
めた。
【0056】試料をテフロン製密閉容器にとり、硫酸次
いで硝酸で加熱酸分解した後、定容として、ICP発光
分析装置として、セイコー電子工業製シーケンシャル型
ICP SPS1200−VRを用いて測定した。
【0057】膨潤度は次の方法により求めた。膨潤糸を
延伸脱水機を用いて付着水を除去した(3000rp
m、5分間)後の重量wとこれを110℃、2時間熱風
乾燥機で絶乾した後の重量w0 から次式5により求め
た。
【0058】 膨潤度(%)=(w−w0 )×100/w0 …(5) (実施例1)アクリロニトリル98モル%とアクリル酸
2モル%からなる共重合体をDMSO中で溶液重合法に
より重合し、共重合体濃度26.0wt%、極限粘度
[η]が1.20の原液を得た。45℃における原液粘
度は65Pa・sであった。重合後の原液にアンモニア
ガスをpHが8.5になるまで吹き込みすることによ
り、アクリル酸を中和した。得られた紡糸原液を40℃
として直径0.1mm、孔数6000の口金を用いて、
一旦空気中に吐出し、約4mmの空間を通過させた後、
3℃にコントロールした55%DMSOの水溶液からな
る凝固浴に導く乾湿式紡糸方法により凝固させた。得ら
れた凝固糸の膨潤度は120%であった。得られた凝固
糸を水洗した後、温水中で延伸した。延伸浴には4槽用
い、第1浴から10℃づつ昇温して、第4浴の温度を9
0℃とした。また浴延伸倍率は2.5倍とした。得られ
た浴延伸糸の膨潤度は50%であった。
【0059】得られた延伸糸をアミノ変性シリコーン、
エポキシ変性シリコーンおよびエチレンオキサイド変性
シリコーンからなるシリコーン系油剤の1.0wt%の
乳化液中をガイドにより通過させ、表面温度が130℃
のホットドラムにより乾燥緻密化したあと表面温度が1
70℃のホットドラムで追加熱処理を行った。その後、
圧力が294kPaのスチーム中で4倍に延伸して単糸
繊度0.6デニールの前駆体繊維を得た。該繊維の結晶
配向度は92.0%で繊維比重は1.175と高いもの
であった。
【0060】この前駆体繊維を加熱空気を循環した24
5℃と260℃の2炉を通し耐炎化処理した。この時1
炉の延伸比を1.07、2炉の延伸比を0.98とし
た。得られた比重が1.345の耐炎化糸を最高温度8
50℃の前炭化炉に続いて最高温度1400℃の炭化炉
に導き炭化処理した。この時前炭化炉の延伸比を1.0
8、炭化炉の延伸比を0.985とした。
【0061】得られた炭素繊維の樹脂含浸硬化後のスト
ランド強度は7.30GPaと高いものであった。
【0062】(実施例2)アクリロニトリル97モル%
とイタコン酸0.8モル%、イソブチルメタクリレート
2.2モル%からなる共重合体をDMSO中で溶液重合
法により重合し、共重合体濃度26.8wt%、極限粘
度[η]が1.10の原液を得た。45℃における原液
粘度は55Pa・sであった。重合後の原液にアンモニ
アガスを、pHが8.5になるまで吹き込みすることに
より、イタコン酸を中和した。得られた紡糸原液を40
℃として直径0.1mm、孔数6000の口金を用い
て、一旦空気中に吐出し、約4mmの空間を通過させた
後、3℃にコントロールした55%DMSOの水溶液か
らなる凝固浴に導く乾湿式紡糸方法により凝固させた。
得られた凝固糸の膨潤度は115%であった。得られた
凝固糸を水洗した後、温水中で延伸した。延伸浴には4
槽用い、第1浴から10℃づつ昇温して、第4浴の温度
を90℃とした。また浴延伸倍率は3.0倍とした。得
られた浴延伸糸の膨潤度は46%であった。
【0063】得られた延伸糸をアミノ変性シリコーン、
エポキシ変性シリコーンおよびエチレンオキサイド変性
シリコーンから成るシリコーン系油剤の1.0wt%の
乳化液中をガイドにより通過させ表面温度が130℃の
ホットドラムにより乾燥緻密化したあと表面温度が17
0℃のホットドラムで追加熱処理を行った。その後、圧
力が294kPaのスチーム中で4倍に延伸して単糸繊
度0.8デニールの前駆体繊維を得た。該繊維の結晶配
向度は92.5%で繊維比重は1.175と高いもので
あった。
【0064】この前駆体繊維を加熱空気を循環した24
0℃と255℃の2炉を通し耐炎化処理した。この時1
炉の延伸比を1.07、2炉の延伸比を0.98とし
た。得られた比重が1.345の耐炎化糸を最高温度8
50℃の前炭化炉に続いて最高温度1400℃の炭化炉
に導き炭化処理した。この時前炭化炉の延伸比を1.0
8、炭化炉の延伸比を0.985とした。
【0065】得られた炭素繊維の樹脂含浸硬化後のスト
ランド強度は7.65GPaとこれまでになく極めて高
いものであった。
【0066】(実施例3)浴延伸の90℃浴をホウ酸
0.5wt%液としてホウ酸含浸後、シリコーン系油剤
と同時に0.6wt%濃度のホウ酸を付与した以外は実
施例2と同様にして前駆体繊維を作成した。浴延伸90
℃浴でのホウ酸含浸の時、含浸を均一にするため水膨潤
糸を振動数25Hz、振幅2mmの振動ガイドで振動さ
せながら通し、繊維に均一に付与した。凝固糸および浴
延伸糸の膨潤度はそれぞれ116%、47%であった。
このようにして得られた前駆体繊維の結晶配向度は9
2.5%、比重は1.174であった。ホウ素の含有量
は0.05wt%であった。二次イオン質量分析計(S
IMS)によるホウ素の繊維断面の半径方向の分析の結
果、単糸の表面部/内層部の濃度比Rが100であり表
層部により多く存在していた。この前駆体繊維を耐炎化
温度を245℃と260℃にする以外は実施例2と同様
に焼成して炭素繊維を得たところストランド強度が7.
85GPaと極めて高くホウ素含浸の効果が明確であ
る。
【0067】(比較例1)アクリロニトリル98モル%
とアクリル酸2モル%からなる共重合体をDMSO中で
溶液重合法により重合し、共重合体濃度18.5wt
%、極限粘度[η]が1.80の原液を得た。45℃に
おける原液粘度は60Pa・sであった。重合後にアク
リル酸のアンモニアによる中和は行わなかった。原液の
PHは5.5であった。得られた紡糸原液を40℃とし
て直径0.1mm、孔数6000の口金を用いて、一旦
空気中に吐出し、約4mmの空間を通過させた後、3℃
にコントロールした55%DMSOの水溶液からなる凝
固浴に導く乾湿式紡糸方法により凝固させた繊維の断面
形状を観察したところ空豆形になっていたので凝固浴濃
度を35%に変更して実質的に円形断面の凝固糸を得
た。凝固糸の膨潤度は210%であった。得られた凝固
糸を水洗した後、温水中で延伸した。浴延伸温度を高く
すると単糸間接着しやすいために延伸浴の最高温度を5
5℃にして2.5倍延伸した。得られた浴延伸糸の膨潤
度は185%と高く、白く白濁して透明性が劣ってい
た。
【0068】得られた浴延伸した膨潤糸条に実施例1と
同様にアミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン
およびエチレンオキサイド変性シリコーンから成るシリ
コーン系油剤の乳化液中をガイドにより通過させ表面温
度が130℃のホットドラムにより乾燥緻密化したあと
表面温度が170℃のホットドラムで追加熱処理を行っ
た。乾燥緻密化時に単糸間接着しやすいのでシリコーン
油剤の濃度を2.5wt%にした。その後、圧力が47
0kPaのスチーム中で4倍に延伸して単糸繊度0.6
デニールの前駆体繊維を得た。該繊維の結晶配向度は9
2.8%であったが繊維比重は1.168と低いもので
あった。繊維の断面形状は非円形であった。
【0069】この前駆体繊維を加熱空気を循環した24
5℃と260℃の2炉を通し耐炎化処理した。この時1
炉の延伸比を1.07、2炉の延伸比を0.98とし
た。得られた比重が1.345の耐炎化糸を最高温度8
50℃の前炭化炉に続いて最高温度1400℃の炭化炉
に導き炭化処理した。この時前炭化炉の延伸比を1.0
8、炭化炉の延伸比を0.985とした。
【0070】得られた炭素繊維の樹脂含浸硬化後のスト
ランド強度は6.40GPaと従来の強度レベルであっ
た。
【0071】(比較例2)重合後のイタコン酸をアンモ
ニア中和せず、また繊維断面形状を円形に保持するため
凝固浴濃度を35%にして、浴延伸時の単糸間接着を防
止するため浴延伸の最高温度を60℃とする以外は実施
例2と同様にして前駆体繊維を得た。紡糸原液のPHは
6.1であった。浴延伸糸の膨潤度は125%、前駆体
繊維の比重は1.171であったが結晶配向度が86.
0%と低かった。この前駆体繊維を実施例2と同様にし
て焼成し炭素繊維を得たが炭化工程で毛羽が多発した。
ストランド強度は5.90GPaと極めて低いものであ
った。低強度の原因は、イタコン酸をアンモニア中和し
なかったために、延伸による配向度の向上が少なく、そ
の結果として耐熱性不足となり焼成時に単糸間接着が著
しく発生していたためと思われる。
【0072】(比較例3)重合後のイタコン酸をアンモ
ニア中和せず、また繊維断面形状を円形に保持するため
凝固浴濃度を35%にして、浴延伸時の単糸間接着を防
止するため浴延伸の最高温度を60℃とし、浴延伸の6
0℃浴をホウ酸0.5wt%液としてホウ酸含浸後、シ
リコーン系油剤と同時に0.6wt%濃度のホウ酸を付
与した以外は実施例2と同様にして前駆体繊維を作成し
た。浴延伸60℃浴でのホウ酸含浸の時、含浸を均一に
するため水膨潤糸を振動数25Hz、振幅2mmの振動
ガイドで振動させながら通し、繊維に均一に付与した。
凝固糸および浴延伸糸の膨潤度はそれぞれ121%、1
50%であった。このようにして得られた前駆体繊維の
比重は1.170であったが結晶配向度は87.0%と
低かった。ホウ素の含有量は0.15wt%であった。
二次イオン質量分析計(SIMS)によるホウ素の繊維
断面の半径方向の分析の結果、単糸の表面部/内層部の
濃度比Rが3と内外層比が低かった。この前駆体繊維を
耐炎化温度を250℃と265℃にする以外は実施例2
と同様に焼成して炭素繊維を得たところストランド強度
が5.84GPaと極めて低くホウ素含浸の効果が殆ど
なかった。炭素繊維は単糸間接着が著しく、毛羽も多か
った。
【0073】
【発明の効果】本発明は、上記の構成とすることによ
り、低分子量共重合体で、高緻密で、かつ焼成での単糸
間接着が生じない炭素繊維用アクリル系炭前駆体繊維と
することができ、これによってこれまでにない高性能な
炭素繊維の製造が可能になるという効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI D06M 15/643 D06M 11/00 B // D06M 101:40

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】極限粘度[η]が0.9〜1.5、比重が
    1.170以上であり、かつ広角X線による結晶配向度
    が90〜95%であることを特徴とする炭素繊維用アク
    リル系前駆体繊維。
  2. 【請求項2】単繊維の表層部にホウ素の最大濃度部を有
    し、ホウ素を繊維に対し0.01〜3.0wt%含有す
    ることを特徴とする請求項1記載の炭素繊維用アクリル
    系前駆体繊維。
  3. 【請求項3】アクリル系共重合体の極限粘度[η]が
    0.9〜1.5、共重合体の濃度が22〜35wt%の
    紡糸原液を湿式紡糸し、膨潤度が30〜100%の膨潤
    糸条となし、該糸条にシリコーン系油剤を付与すること
    を特徴とする炭素繊維用アクリル系前駆体繊維の製造
    法。
  4. 【請求項4】膨潤糸条にシリコーン系油剤とホウ素化合
    物を付与することを特徴とする請求項3記載の炭素繊維
    用アクリル系前駆体繊維の製造法。
  5. 【請求項5】アクリロニトリルとカルボキシル基を有す
    る0.3〜5.0モル%のビニル化合物からなるアクリ
    ル系共重合体であり、カルボキシル基がアンモニアで中
    和されていることを特徴とする請求項3または4記載の
    炭素繊維用アクリル系前駆体繊維の製造法。
  6. 【請求項6】アクリロニトリルとカルボキシル基を有す
    る0.3〜5.0モル%のビニル化合物と耐炎化での酸
    素透過促進性を有する0.5〜5.0モル%のビニル化
    合物からなるアクリル系共重合体であることを特徴とす
    る請求項3または4記載の炭素繊維用アクリル系前駆体
    繊維の製造法。
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