JP2007182657A - 炭素繊維前駆体繊維用重合体組成物 - Google Patents

炭素繊維前駆体繊維用重合体組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】
紡糸性を損なうことなく、焼成工程後の炭化収率に優れた炭素繊維前駆体繊維用ポリアクリロニトリル系重合体、および炭素繊維前駆体繊維、炭素繊維の製造方法を提供する。
【解決手段】
ポリアクリロニトリル系重合体と、動的光散乱式粒度分布測定法による平均粒径が200nm以下となる炭素系微粒子とを含むことを特徴とする炭素繊維前駆体繊維用重合体組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、紡糸性を損なうことなく、焼成工程後の炭化収率を向上させることが可能な炭素繊維前駆体繊維用重合体組成物ならびにそれを用いた炭素繊維前駆体繊維および炭素繊維の製造方法に関するものである。
炭素繊維は、強度や弾性率などの機械特性が優れるため、航空機部材、鉄道車両部材、船舶部材、スポーツ用品用途などに利用され、さらに近年は自動車部材やCNGタンク、建造物の耐震補強など一般産業用途への利用が増加しており、それに伴い、求められる力学特性のレベルも高まっている。
炭素繊維は、工業的にはポリアクリロニトリルなどを紡糸し焼成して製造されるが、焼成工程とは前駆体繊維を200〜300℃の空気中で熱処理する耐炎化工程、300〜3000℃の不活性雰囲気中で熱処理する炭化工程からなる。
この耐炎化工程および炭化工程は、炭素繊維の物性特性、および生産性を左右する重要な工程である。すなわちアクリル系繊維の耐炎化工程により、該繊維を構成する高分子鎖を酸化すると共に高分子鎖に結合したニトリル基を環化することにより、引き続く炭化工程を通過しうる程度に熱的に安定な構造を有する繊維に転換させ、炭化工程においてさらに高温の不活性雰囲気化で酸化を促進させ構造を緻密化することにより、強度、弾性率の優れた炭素繊維となる。
しかし、この耐炎化工程および炭化工程を経て製造された炭素繊維は、工程内での酸化、環化反応によって炭化収率が減少し、生産性が悪くなるなどの問題がある。ここでいう炭化収率とは、焼成工程において、加わる熱エネルギーによって繊維が焼き飛ばされ重量減少した後の炭素繊維重量と、焼成工程前のアクリル系繊維の重量との比(%)を指し、炭素繊維の生産性を示す指標として用いられる。炭素繊維製造コストを引き下げる見地から、この焼成工程における炭化収率を向上させる技術を確立し、ひいては炭素繊維の生産性を向上させることが望まれている。
炭素繊維の炭化収率を向上させるために、炭素繊維前駆体繊維用ポリアクリルニトリル系重合体に、炭素を主成分とする粒子をあらかじめ含有させておく方法がある。
例えば、アクリロニトリルのラジカル重合過程において、炭素系微粒子をあらかじめ重合漕内に加えておき一体に重合し、炭素繊維前駆体繊維用ポリアクリルニトリル系重合体を得る方法がある(特許文献1参照)。本技術を用いれば、比較的簡易に粒子を混合させることが可能であるが、重合中の重合体の撹拌剪断動作だけでは炭素系微粒子が十分に分散せず、引き続く紡糸の際に口金フィルターの目詰まりや、吐出時の糸切れなどが起こりやすいため大量に加えることが不可能である。よって炭化収率の向上という面においては現在の要求されるレベルを満足する改善方法とはなり得ない。
一方で、重合体中での粒子の分散性を良くするために、ブロックポリエーテルエステルにアクリロニトリルをグラフトしたものを使用し、これに炭素系微粒子を分散せしめ、ポリアクリロニトリル重合後に加える方法がある(特許文献2,特許文献3参照)。本技術では、確かに炭素粒子を均一に分散でき、引き続く紡糸における上記の問題を解決することが可能であるが、上記グラフトポリマーが存在することにより紡糸して得られた炭素繊維前駆体におけるポリアクリロニトリルの含有率が低下するため、焼成工程を経て得られた炭素繊維の炭化収率が減少する原因となり、加えて炭素繊維の物性が低下する原因ともなり、これも現在要求するレベルを満足できるものではなかった。
このように炭素繊維の物性を損なうことなく炭化収率を向上させるためには、炭素繊維前駆体繊維用ポリアクリルニトリル系重合体に該炭素繊維微粒子を大量かつ分散性良く含有する必要があるが、このような技術はこれまでに見い出されていなかった。
特開昭60−59116号公報 特開昭52−103525号公報 特開昭55−144047号広報
本発明の課題は、製糸可紡性を損なうことなく、炭化収率が優れた炭素繊維を製造することにある。
本発明の前記目的を達成するために、本発明の重合体組成物は次の構成を有する。すなわち、ポリアクリロニトリル系重合体と、平均粒径が200nm以下となる炭素系微粒子とを含むことを特徴とする炭素繊維前駆体繊維用重合体組成物である。
また、本発明の前記目的を達成するために、本発明の炭素繊維前駆体繊維の製造方法は次の構成を有する。すなわち、前記した炭素繊維前駆体繊維用重合体組成物を湿式または乾湿式法により紡糸し、乾燥熱処理後、スチーム延伸する炭素繊維前駆体繊維の製造方法である。
さらには、本発明の前記目的を達成するために、本発明の炭素繊維の製造方法は次の構成を有する。すなわち、前記した方法により製造される炭素繊維前駆体繊維を、200〜300℃の空気中において耐炎化処理した後、300〜800℃の不活性雰囲気中において予備炭化処理し、1000〜2000℃の不活性雰囲気中において炭化処理する炭素繊維の製造方法である。
本発明によれば、製糸における可紡性を損なうことなく、炭化収率に優れた炭素繊維を低コストで製造できる。
本発明における重合体組成物は、ポリアクリロニトリル系重合体と、平均粒径が200nm以下となる炭素系微粒子とを含む。
平均粒径が200nm以下となる炭素系微粒子とは、通常、有機溶媒や水に分散させたときの平均粒径が200nm以下となるものをいう。ここでいう平均粒径とは、炭素系微粒子の分散液について動的光散乱式粒度分布測定法により測定される値である。それにより、重合体中に均一に分散し、それを用いた炭素繊維は、弾性率、強度を保持できる。かかる平均粒径が大きすぎると、重合体組成物中での分散性が悪くなり、炭素繊維前駆体繊維を製造する際の可紡性が損なわれるばかりでなく、炭素繊維を製造する際の延伸性不良、得られる炭素繊維の弾性率、強度低下の原因となる。
なおここでいう有機溶媒とは、炭素系微粒子と相互作用をもち、それによって分散性が向上するために、溶解度パラメータ(SP値)が10以上である溶媒を用いることが好ましい。具体的には、ホルムアミド、グリセロール、エチレングリコール、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、シクロヘキサノール、n−ヘキサノール、ピリジン、酢酸、アセトン、アセトニトリル、などを用いることが好ましい。特にポリアクリロニトリル系重合体の溶解性の観点からDMSOが好ましく用いられる。
本発明では、炭素系微粒子として、ポリマー、またはポリマーと有機溶媒との混合溶液に対する分散性を良くする為に、表面処理を施したものを用いることが好ましい。特に、表面処理の中でも、炭素系微粒子表面にカルボキシル基、カルボニル基、スルホン基、ヒドロキシル基が付与されるような表面酸化処理を行うことが好ましい。
本発明における炭素系微粒子の粒径は、動的散乱式粒度分布測定装置を用い、炭素系微粒子を前記溶媒に0.5重量%となるように分散させ室温にて測定することにより求めることができる。
また、重合体組成物から炭素系微粒子を単離するには、重合体組成物をDMSOに溶解希釈し、それを孔径0.1μm以下のメンビュレンフィルターなどを用いて濾過することによって、炭素系微粒子のみを抽出することができる。
本発明における炭素系微粒子の表面処理は、特開平11−148027号公報に示されている方法など、炭素系微粒子の酸化処理法であればいずれも使用できる。
本発明における炭素系微粒子は、重合体中に均一に分散し、かつ微少な粒径を維持できることから、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、フラーレンなどを用いることが好ましい。中でも安価であり、低剪断力において分散させることができるという観点からカーボンブラックが好ましく用いられる。
本発明において、表面酸化処理された炭素系微粒子を用いる場合、表面酸化処理の度合いが、炭素系微粒子を水に濃度5重量%となるように分散したときの水分散液のpHが2.5以上7未満、好ましくは2.5以上3以下となるものが良い。かかるpHが大きすぎると、表面酸化処理が不十分であることを意味し、上記溶媒に対する分散性が不十分となる可能性がある。またpHが小さすぎると、表面酸化処理が過剰であることを意味し、水との相互作用が強くなりすぎて紡糸溶液を湿式紡糸する際に凝固浴中に炭素系微粒子が流出してしまう可能性がある。
表面酸化処理の度合いは、炭素系微粒子の濃度が5重量%となるよう水に分散させ、その分散液のpHをpH試験器により測定することにより求めることができる。
本発明に用いる炭素系微粒子は、水素含有表面官能基量Cが3(μeq/m2)以上であることが好ましい。水素含有表面官能基量Cが3以下であると、表面酸化処理が不十分であり、分散性が悪化し、ひいては紡糸する際に口金フィルター詰まりや糸切れが起こる原因となる。なお、炭素系微粒子の水素含有表面官能基量は、特開平11−148027号に記載されている方法に従って求めることができる。
本発明において、重合体組成物中の炭素系微粒子の配合量は、炭素繊維の炭化収率や、紡糸を行う際の取り扱い性などの観点から、重合体100重量部に対して1〜100重量部、好ましくは50〜100重量部、より好ましくは80〜100重量部とするのが良い。炭素系微粒子の配合量が多すぎると、後述する紡糸溶液の流動性が低下するため口金フィルターの目詰まりや糸切れが発生しやすくなる。
本発明の炭素繊維前駆体繊維用重合体組成物には、炭素系微粒子をより均一に分散することができるようにする観点から、さらに塩基性化合物が含まれていることが好ましい。塩基性化合物は炭素系微粒子の表面を塩基性処理したものであっても良い。ここでいう塩基性化合物は、具体的には、アンモニア、またはアミノ基を有する化合物であることが好ましい。分子中に含まれるアミノ基は、一級アミノ基、二級アミノ基および三級アミノ基のいずれも使用可能である。アミノ基を有する化合物としては、脂肪族鎖についた脂肪族アミンと、芳香族環に直接ついた芳香族アミンがあり、本発明では脂肪族アミンおよび芳香族アミンいずれを用いても良い。
このようなアミノ基を持つ化合物としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、アミノメチルエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ベンジルアミン、フェニルエチルアミン、オクチルアミン、ノルボルナンジアミン、アニリン、ジメチルアニリン、ジエチルトルエンジアミン、グリシジルアニリン、グリシジルトルイジンおよびグリシジルアミノフェノール、テトラメチルグアニジン、グアニジン炭酸塩などが好ましく用いられる。
これら塩基性化合物の中でも少量でより炭素系微粒子を均一分散できる観点から、アンモニア、テトラメチルグアニジンがさらに好ましく用いられる。
本発明において、塩基性化合物を含有させる場合、その含有量は、炭素繊維前駆体繊維の耐熱性や緻密性の観点から、炭素系微粒子100重量部に対して0.05〜10重量部であることが好ましい。0.05重量部より低いと加えるカーボンブラックの分散性が不十分となる場合がある。また10重量部より高いと、加える塩基性化合物の含有率が高くなり、重合体組成物のDMSOに対する溶解性が低下し、製糸後の原糸緻密性が低下し、焼成後の炭素繊維の強度、弾性率の低下に繋がる可能性がある。
本発明において、重合体組成物に用いるポリアクリロニトリル系重合体は、炭素繊維前駆体繊維の耐熱性や緻密性の観点から、アクリロニトリルが95モル%以上、好ましくは98.5モル%以上、より好ましくは99モル%以上を重合したものが良い。また、耐炎化促進性を高めるために後述するような共重合成分である単量体を共重合する場合には、アクリロニトリルは99.9モル%以下用いるのが好ましい。
本発明で用いるポリアクリロニトリル系重合体は、共重合成分、分子量分布、立体規則性などに制約は無く、炭素繊維となすための耐炎化処理を促進させるために、共重合成分として、耐炎化促進作用を有する単量体を0.1〜1モル%共重合させるのが良い。耐炎化促進成分としては、カルボキシル基またはアミド基を一つ以上有するものが好ましく用いられる。また耐炎化反応が促進するほど、短時間で耐炎化処理でき、生産性を高めることができることから耐炎化促進成分の共重合量を多くすることが好ましい。しかし一方で、該共重合量が多くなるほど、発熱速度が大きくなり暴走反応の危険が生じることがあるため、1モル%を超えない範囲とすることが好ましく、0.15〜0.5モル%がより好ましく、0.2〜0.5モル%とすることがさらに好ましい。
耐炎化促進作用を有する単量体の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、シトラコン酸、エタクリル酸、マレイン酸、メサコン酸、アクリルアミド、メタクリルアミドなどが好ましく用いられる。少量でより高い耐炎化促進効果を得るという観点から、アミド基よりもカルボキシル基を有する単量体を用いることが好ましい。また含有されるアミド基、カルボキシル基の数については1つよりも2つ以上であることがより好ましく、その観点からは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、シトラコン酸、エタクリル酸、マレイン酸、メサコン酸がより好ましく、イタコン酸、マレイン酸、メサコン酸がさらに好ましく用いられる。
本発明で用いるポリアクリロニトリル系重合体を製造する方法としては、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などの重合方法を選択することができるが、共重合成分を均一に重合するためには溶液重合を用いることが好ましい。溶液重合に使用する溶媒としては、DMSO、DMF、ジメチルアセトアミドなどのポリアクリロニトリル系重合体が可溶な溶媒を用いる。中でも、ポリアクリロニトリル系重合体の溶解性の観点から、DMSOがより好ましく用いられる。
本発明における炭素繊維前駆体繊維用重合体組成物に含まれる炭素系微粒子は、ポリアクリロニトリル系重合体を作製した後に重合溶液に加え、均一分散させて分散液(紡糸原液)とすることが好ましい。炭素系微粒子を重合前に加えると、重合体の重合率や収率が低下してしまうおそれがある。
かかる分散液の調整方法は、超音波、自公転式ミキサー、プラネタリーミキサー、ホモミキサー、ホモジナイザー、ボールミルおよびビーズミルなど一般的な、固液混合用の方法のいずれでも可能であり、いくつかの方法を組み合わせて調製してもよい。
次に、本発明の炭素繊維前駆体繊維の製造方法について説明する。
本発明において、炭素繊維前駆体繊維は、前記した重合体組成物を用いて製造する。まず、前記した重合体組成物が、DMSO、DMF、ジメチルアセトアミドなどのポリアクリロニトリル系重合体が可溶な溶媒に溶解・分散した紡糸原液を製造する。紡糸原液中の重合体の濃度は、原液安定性の観点から、10〜40重量%であることが好ましい。
この紡糸原液を紡糸する前に、目開き1μm以下のフィルターに通し、ポリマー原料および各工程において混入した不純物を除去することが高強度な炭素繊維を得るためには好ましい。
紡糸原液を、湿式紡糸法または乾湿式紡糸法により口金から紡出し、凝固浴に導入して繊維を凝固せしめる。得られる炭素繊維前駆体繊維の緻密性を高め、また得られる炭素繊維の力学物性を高める目的からは、乾湿式紡糸法を用いることが、より好ましい。
本発明において、前記凝固浴には、紡糸原液の溶媒として用いたDMSO、DMF、ジメチルアセトアミドなどの溶媒と、いわゆる凝固促進成分が含まれている。凝固促進成分としては、前記重合体を溶解せず、かつ紡糸原液に用いる溶媒と相溶性があるものが使用できる。具体的には、水を使用するのが好ましい。
凝固浴中に導入して糸条を凝固せしめた後、必要に応じて、水洗工程、浴中延伸工程、油剤付与工程を経た後、乾燥熱処理工程、スチーム延伸工程を経ることによって、炭素繊維前駆体繊維が得られる。ただし、凝固後の糸条は、水洗工程を省略して直接浴中延伸を行っても良いし、溶媒を水洗工程により除去した後に浴中延伸を行っても良い。浴中延伸は、通常、30〜98℃に温調された単一又は複数の延伸浴中で行うことが好ましい。延伸倍率は、1〜5倍であることが好ましく、2〜4倍であることがより好ましい。
油剤付与工程では、単繊維同士の接着を防止する目的から、糸条にシリコーン等からなる油剤を付与することが好ましい。かかるシリコーン油剤は、変性されたシリコーンを用いることが好ましく、耐熱性の高いアミノ変性シリコーンを含有するものを用いることがより好ましい。
乾燥熱処理工程では、水分などを含む糸条を熱処理して乾燥する。特に、油剤を付与した糸条の場合には、速やかに乾燥させるのがよく、加熱された複数のローラーに直接接触させる方法が好ましく用いられる。乾燥温度が高いほど、シリコーン油剤の架橋反応が促進され、また生産性の観点からも好ましいので、単繊維間の融着が生じない範囲で高く設定できる。具体的には150℃以上が好ましく、180℃以上であればさらに好ましい。通常乾燥温度の上限は200℃程度である。乾燥時間は膨潤糸条が十分乾燥する時間をとることが好ましい。また糸条への加熱状態が均一になるように、糸条をできるだけ拡幅した状態でローラーに接触させるのがよい。
スチーム延伸工程では、通常加圧状態のスチーム中で延伸する。延伸倍率は、生産性および得られる炭素繊維の力学物性の観点から、好ましくは3倍以上、より好ましくは4倍以上、さらに好ましくは5倍以上とする。
本発明において、得ようとする炭素繊維前駆体繊維の単繊維繊度は、好ましくは0.5〜1.5dtex、より好ましくは0.55〜1.0dtex、さらに好ましくは0.6〜0.8dtexであることが良い。かかる単繊維繊度が小さすぎると、可紡性の低下、ローラー、ガイドとの接触による糸切れ発生などにより、製糸工程および焼成工程の工程通過安定性が低下することがある一方で、大きすぎると、耐炎化後の各単繊維における内外構造差が大きくなり、つづく炭化工程での工程通過性低下や、得られる炭素繊維の引張強度、引張弾性率が低下することがある。
また、本発明において、炭素繊維前駆体繊維は、通常複数本のフィラメントから構成される糸条であるが、その1糸条当たりのフィラメント数は、好ましくは1,000〜3,000,000、より好ましくは12,000〜3,000,000、さらに好ましくは24,000〜2,500,000、最も好ましくは36,000〜2,000,000であるのが良い。かかるフィラメント数は、生産性の向上の目的からは、多い方が好ましいが、あまりに多すぎると、束内部まで均一に耐炎化処理できないことがある。
次に、本発明の炭素繊維や黒鉛化繊維の製造方法について説明する。
本発明において、前記した炭素繊維前駆体繊維を、200〜300℃の空気中において耐炎化処理した後、300〜800℃の不活性雰囲気中において予備炭化処理し、1000〜2000℃の不活性雰囲気中において炭化処理することにより、炭素繊維を製造することができる。引き続き、上述の方法で得られた炭素繊維を不活性雰囲気中、2,000〜3,000℃で黒鉛化処理することによって、より高い弾性率を有した黒鉛化繊維とすることもできる。
このように焼成工程を段階的に行うことで、熱エネルギーによって繊維が分解、焼き飛ばされる重量を極力抑制することにより、得られる炭素繊維、黒鉛化繊維の炭化収率は50%以上と高いものとなる。なお、炭化収率の上限は69%程度であり、それを上回ることは通常困難である。
本発明では、耐炎化処理する際に、好ましくは0.9〜1.2、より好ましくは0.95〜1.15、さらに好ましくは0.97〜1.1の延伸比で延伸するのが良い。ここでの延伸比が小さすぎると、得られる耐炎化繊維の配向度が不十分となり、また得られる炭素繊維の力学物性が低下することがある一方で、大きすぎると、毛羽発生、糸切れ発生により工程通過性が低下することがある。
本発明において、耐炎化の処理時間は、10〜100分の範囲で適宜選択することができるが、得られる耐炎化繊維の比重が1.3〜1.38の範囲となるよう設定することが、つづく予備炭化工程の工程通過性、および得られる炭素繊維の力学物性向上の目的から好ましい。
本発明において、予備炭化処理工程、炭化処理工程、黒鉛化処理工程は不活性雰囲気中で行うが、かかる雰囲気を得るに用いる気体としては、窒素、アルゴン、キセノンなどが好ましく例示でき、経済的な観点からは窒素を好ましく用いることができる。
本発明において、予備炭化工程では、前記した温度範囲における昇温速度を500℃/分以下に設定することが好ましい。
本発明では、予備炭化処理を行う際に、好ましくは1.00〜1.3、より好ましくは1.05〜1.25、さらに好ましくは1.08〜1.20の延伸比で延伸するのが良い。ここでの延伸比が小さすぎると、得られる予備炭化繊維の配向度が不十分となり、炭素繊維の力学物性が低下することがある一方で、大きすぎると、毛羽発生、糸切れ発生により工程通過性が低下することがある。
本発明において、炭化工程における最高温度は、所望する炭素繊維の力学物性に応じて適宜設定するのがよい。一般に炭化工程の最高温度が高いほど、得られる炭素繊維の引張弾性率が高くなるものの、引張強度は通常1500℃付近で極大となる。引張強度と引張弾性率の両方を高めるという目的からは、炭化の最高温度は1200〜1700℃がより好ましく、1300〜1600℃であるのがさらに好ましい。
また、本発明では、炭化処理を行う際に、好ましくは0.97〜1.1、より好ましくは0.975〜1.005、さらに好ましくは0.98〜1の延伸比で延伸するのが良い。ここでの延伸比が小さすぎると、得られる炭素繊維の配向度や緻密性が不十分となり、力学物性が低下することがある一方で、大きすぎると毛羽発生、糸切れ発生により工程通過性が低下することがある。
本発明において、黒鉛化を行う場合には、好ましくは1.005〜1.150、より好ましくは1.010〜0.1.100の延伸比で延伸するのが良い。ここでの延伸比が小さすぎると、得られる黒鉛化繊維の配向度や緻密性が不十分となり、力学物性が低下することがある一方で、大きすぎると、毛羽発生、糸切れ発生により工程通過性が低下することがある。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明する。本実施例においては、各種特性を次のようにして測定した。
<炭素系微粒子の平均粒径>
炭素系微粒子をDMSO10mlに濃度0.5重量%となるように加え、5分間手で撹拌して分散させ測定液を得る。この測定液を、温度を25℃として、動的光散乱式流度分布測定装置を用いて、平均粒径を測定する。なお、本実施例では、動的光散乱式流度分布測定装置として、大塚電子(株)製 FPAR―1000を用いた。
<炭素系微粒子のpH>
炭素系微粒子5gを水100gに加え、撹拌しながら、pH試験機を用いてpHを測定する。なお、本実施例では、pH試験機として、DKK・TOA社製AUTO TITRATOR AUT―501を用いた。
<炭化収率>
まず、重合体または重合体組成物がDMSOなどの溶媒に溶解している場合には、それに水に加えて溶媒を除去して、重合体または重合体組成物を単離する。重合体または重合体組成物を、240℃で40分加熱し、さらに251℃で40分加熱して耐炎化物となし、それを粉砕して試験体を作製する。この試験体を示差熱熱重量(TG/DTA)測定器を用いて50℃/分の昇温速度で1100℃まで加熱した。このとき加熱後の試験体の重量a、測定前の試験体重量bとし、重量比a/b×100(%)を、その試験体の炭化収率とした。なお、本実施例では、TG/DTA測定器として、BLUKER社製TG−DTA2000SAを用いた。
<可紡性評価>
重合体または重合体組成物を、その濃度が20重量%となるようにDMSOに溶解して調製した紡糸原液を作製し、その紡糸原液を、口金ホール数500、口金孔径0.12mmの口金から、吐出量を10L/hr、口金と凝固浴液面との距離を3mmに調整し、DMSO30重量%、水70重量%の凝固浴に吐出する乾湿式紡糸を行う。その際、引き取り速度を徐々に上げていき、糸切れした糸が凝固浴中で観察されたときの速度を限界凝固浴速度として、可紡性の指標とする。
<炭素繊維のストランド引張強度およびストランド引張弾性率>
JIS R7601(1986)「樹脂含浸ストランド試験法」に従って求める。測定する炭素繊維の樹脂含浸ストランドは、3、4−エポキシシクロヘキシルメチル−3、4−エポキシ−シクロヘキサン−カルボキシレート(100重量部)/3フッ化ホウ素モノエチルアミン(3重量部)/アセトン(4重量部)を、炭素繊維または黒鉛化繊維に含浸させ、130℃、30分で硬化させて作製する。また、ストランドの測定本数は6本とし、各測定結果の平均値を、引張弾性率、引張強度とする。なお、本実施例では、3、4−エポキシシクロヘキシルメチル−3、4−エポキシ−シクロヘキサン−カルボキシレートとして、ユニオンカーバイド(株)製”ベークライト(登録商標)”ERL4221を用いた。
(実施例1)
アクリロニトリル99.5モル%とイタコン酸0.5モル%とを、DMSOを溶媒とする溶液重合法により、アゾビスイソブチロニトリルを開始剤としてラジカル重合し、重合体DMSO溶液を得た。この溶液にカーボンブラック(SUNBLACK(商標)X45、旭カーボン(株)製、親水性カーボンブラック)を、重合体100重量部に対して100重量部加え、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製、T.K HOMOMIXER F MODEL)にて5000rpmで15分撹拌し、目的とする重合体組成物を得た。なお、用いたカーボンブラックの平均粒径およびpHと、得られた重合体組成物の炭化収率および可紡性の測定結果を表1に併せて示す。その結果炭化収率は68.4%と非常に高く、また限界凝固浴速度は20m/minであり、可紡性も十分高かった。
また得られた重合体組成物中の重合体の濃度が、DMSO中、25重量%となるよう調製した後、アンモニアガスをpHが8.5になるまで吹き込むことで、イタコン酸を中和しつつ、アンモニウム基をポリアクリロニトリル系共重合体に導入し、紡糸原液を作製した。得られた紡糸原液を、目開き0.5μmのフィルター通過後、40℃で、単孔の直径0.15mm、孔数6,000の紡糸口金を用い、一旦空気中に吐出し、約4mmの空間を通過させた後、3℃にコントロールした35重量%DMSOの水溶液からなる凝固浴に導入する乾湿式紡糸法により凝固糸条とした。この凝固糸条を、常法により水洗した後、温水中で3.5倍に延伸し、さらにアミノ変性シリコーン系シリコーン油剤を付与して単繊維繊度2.6dtexの浴中延伸糸を得た。この浴中延伸糸を、165℃に加熱したローラーを用いて乾燥熱処理を行い、次に145℃の加圧スチーム中で3.7倍延伸し、全延伸倍率13倍、単繊維繊度0.7dtex、フィラメント数6,000の炭素繊維前駆体繊維を得た。得られた炭素繊維前駆体繊維を4本合糸し、トータルフィラメント数24,000とした上で、240〜260℃の空気中において延伸比1.0で延伸しながらで耐炎化処理し耐炎化繊維を得た。
続いて300〜700℃の窒素雰囲気中において、延伸比1.15で延伸しながら予備炭化処理を行い、さらに最高温度1500℃の窒素雰囲気中において、延伸比を0.99に設定して炭化処理を行い炭素繊維を得た。得られた炭素繊維のストランド引張強度およびストランド引張弾性率を、表1に併せて示す。
その結果ストランド引張強度、ストランド引張弾性率共に十分高い値を示した。
(実施例2)
加えるカーボンブラックの量を重合体100重量部に対して70重量部と変更した以外は実施例1と同様にして重合体組成物および炭素繊維を得た。なお、用いたカーボンブラックの平均粒径およびpHと、得られた重合体組成物の炭化収率および可紡性の測定結果を表1に併せて示す。炭化収率は61.8%と比較的高く、また可紡性21m/minであり十分に高かった。
また、得られた炭素繊維のストランド引張強度およびストランド引張弾性率を、表1に併せて示す。その結果ストランド引張強度、ストランド引張弾性率共に十分高い値を示した。
(実施例3)
加えるカーボンブラックの量を重合体100重量部に対して40重量部と変更した以外は実施例1と同様にして重合体組成物および炭素繊維を得た。なお、用いたカーボンブラックの平均粒径およびpH、ならびに、得られた重合体または重合体組成物の炭化収率および可紡性の測定結果を表1に併せて示す。炭化収率は51.2%と比較的高く、可紡性も21m/minであり十分に高かった。
また、得られた炭素繊維のストランド引張強度およびストランド引張弾性率を、表1に併せて示す。その結果ストランド引張強度、ストランド引張弾性率共に十分高い値を示した。
(実施例4)
加えるカーボンブラックを、SUNBLACK(商標)X45(旭カーボン(株)製)から、SUNBLACK(商標)X15(旭カーボン社製)に変更した以外は実施例1と同様にして重合体組成物および炭素繊維を得た。なお、用いたカーボンブラックの平均粒径およびpH、ならびに、得られた重合体または重合体組成物の炭化収率および可紡性の測定結果を表1に併せて示す。炭化収率68.2%と非常に高く、可紡性は17m/minであり比較的高かった。
また、得られた炭素繊維のストランド引張強度およびストランド引張弾性率を、表1に併せて示す。その結果ストランド引張強度、ストランド引張弾性率共に十分高い値を示した。
(実施例5)
加えるカーボンブラックの量を重合体100重量部に対して200重量部と変更した以外は実施例1と同様にして重合体組成物を得た。なお、用いたカーボンブラックの平均粒径およびpH、ならびに、得られた重合体または重合体組成物の炭化収率および可紡性の測定結果を表1に併せて示す。その結果炭化収率は十分高かったが紡糸原液の流動性が悪く、口金フィルターに分散しきれなかった高粒径のカーボンブラックによって目詰まりをおこし吐出不良となったため、可紡性が十分とは言えなかった。
(実施例6)
重合体組成物を得るに際し、カーボンブラック100重量に対して1重量部のテトラメチルグアニジンを、さらに重合体DMSO溶液に加えた以外は、実施例1と同様にして、重合体組成物および炭素繊維を得た。なお、得られた重合体組成物の炭化収率および可紡性の測定結果を表1に併せて示す。その結果炭化収率は68.4%、限界凝固浴速度は22m/minであり、炭化収率、可紡性共に非常に高かった。また、得られた炭素繊維のストランド引張強度およびストランド引張弾性率を、表1に併せて示す。その結果ストランド引張強度、ストランド引張弾性率共に十分高い値を示した。
(実施例7)
テトラメチルグアニジンの含有量をカーボンブラック100重量に対して0.01重量部に変更した以外は、実施例6と同様にして、重合体組成物および炭素繊維を得た。なお、得られた重合体組成物の炭化収率および可紡性の測定結果を表1に併せて示す。その結果炭化収率は68.4%と非常に高く、限界凝固浴速度は20m/minであり、可紡性共も十分高かった。また、得られた炭素繊維のストランド引張強度およびストランド引張弾性率を、表1に併せて示す。その結果ストランド引張強度、ストランド引張弾性率共に十分高い値を示した。
(実施例8)
テトラメチルグアニジンの含有量をカーボンブラック100重量に対して20重量部に変更した以外は、実施例6と同様にして、重合体組成物および炭素繊維を得た。なお、得られた重合体組成物の炭化収率および可紡性の測定結果を表1に併せて示す。その結果炭化収率は68.4%と非常に高く、限界凝固浴速度は20m/minであり、可紡性共も十分高かった。また、得られた炭素繊維のストランド引張強度およびストランド引張弾性率を、表1に併せて示す。その結果ストランド引張強度、ストランド引張弾性率共に十分高い値を示した。
Figure 2007182657
(比較例1)
実施例1で得た重合体DMSO溶液に水に加え、脱溶媒を行って得た重合体の炭化収率および可紡性の測定結果を表2に併せて示す。炭化収率は、あまり高いとは言えなかったが、可紡性は十分に高かった。
また得られた重合体組成物から、実施例1と同様にして炭素繊維を得た。得られた炭素繊維のストランド引張強度およびストランド引張弾性率を、表2に併せて示す。その結果ストランド引張強度、ストランド引張弾性率共に十分高い値を示した。
(比較例2)
カーボンブラックを、真球状シリカ粒子(品番:アドマファイン(商標)SO-C5、アドマテックス(株)製、粒径1.3〜2.0μm)に変更した以外は、実施例1と同様にして重合体組成物を得た。なお、用いたシリカ粒子の平均粒径およびpH、ならびに、得られた重合体組成物の炭化収率を表2に併せて示す。シリカ粒子が重合体DMSO溶液中で1〜5mm程度の大きな塊となってしまい、これ以上分散しなかったため、可紡性評価を行うことができなかった。
(比較例3)
加えるカーボンブラックを、SUNBLACK(商標)X45(旭カーボン(株)製)から、SUNBLACK(商標)605(旭カーボン社製)に変更した以外は実施例1と同様にして重合体組成物を得た。なお、用いたカーボンブラックの平均粒径およびpH、ならびに、得られた重合体または重合体組成物の炭化収率の測定結果を表2に併せて示す。カーボンブラックが重合体DMSO溶液中で1〜5mm程度の大きな塊となってしまい、これ以上分散しなかったため、可紡性評価を行うことができなかった。
Figure 2007182657

Claims (15)

  1. ポリアクリロニトリル系重合体と、動的光散乱式粒度分布測定法による平均粒径が200nm以下となる炭素系微粒子とを含むことを特徴とする炭素繊維前駆体繊維用重合体組成物。
  2. 前記炭素系微粒子は、それを溶解度パラメータ(SP値)が10以上の溶媒に対して分散させたときの平均粒径が200nm以下である、請求項1記載の炭素繊維前駆体繊維用重合体組成物。
  3. 前記炭素系微粒子は、それを水に濃度5重量%となるように分散したときの水分散液のpHが2.5以上7.0未満となる、請求項1または2に記載の炭素繊維前駆体繊維用重合体組成物。
  4. 前記炭素系微粒子は、その水素含有表面官能基量Cが3(μeq/m2)以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維前駆体繊維用重合体組成物。
  5. 前記炭素系微粒子がカーボンブラックである、請求項1〜4のいずれかに記載の炭素繊維前駆体用重合体組成物。
  6. 前記炭素系微粒子の含有量が、ポリアクリロニトリル系重合体100重量部に対して1〜100重量部である、請求項1〜5のいずれかに記載の炭素繊維前駆体繊維用重合体組成物。
  7. さらに塩基性化合物を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の炭素繊維前駆体繊維用重合体組成物。
  8. 前記塩基性化合物の含有量が炭素系微粒子100重量部に対して0.05〜10重量部である、請求項7に記載の炭素繊維前駆体用重合体組成物。
  9. ポリアクリロニトリル系重合体が、耐炎化促進成分としての単量体を共重合してなる、請求項1〜8のいずれかに記載の炭素繊維前駆体繊維用重合体組成物。
  10. ポリアクリロニトリル系重合体に、炭素系微粒子を加え、動的光散乱式粒度分布測定法による平均粒径が200nm以下となるよう分散させる炭素繊維前駆体繊維用重合体組成物の製造方法。
  11. 請求項1〜9のいずれかに記載の炭素繊維前駆体繊維用重合体組成物を湿式または乾湿式紡糸法により紡糸し、乾燥熱処理後、スチーム延伸する炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
  12. 請求項11に記載の方法により製造される炭素繊維前駆体繊維を200〜300℃の空気中において耐炎化処理した後、300〜800℃の不活性雰囲気中において予備炭化処理し、1000℃〜2000℃の不活性雰囲気中において炭化処理する炭素繊維の製造方法。
  13. 得られる炭素繊維の炭化収率が50%以上である、請求項12に記載の炭素繊維の製造方法。
  14. 請求項12または13に記載の方法により製造される炭素繊維を、2000℃〜3000℃の不活性雰囲気中において黒鉛化処理する黒鉛化繊維の製造方法。
  15. 得られる黒鉛化繊維の炭化収率が50%以上である、請求項14に記載の黒鉛化繊維の製造方法。
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