JP4875238B2 - 炭素繊維およびその前駆体の製造方法並びに油剤付着方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は炭素繊維、炭素繊維用前駆体繊維およびその製造方法、また、炭素繊維用前駆体繊維を製造する際に使用する油剤の付着方法に関するものである。さらに詳細には、品質、品位の優れた炭素繊維を製造するとともに、工程通過性に優れる炭素繊維用前駆体繊維とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
炭素繊維はその優れた力学的特性から、航空宇宙分野を始め、スポーツ、レジャー用途の高性能複合材料の補強繊維として広く利用されている。さらに産業用途への広がりが進む中でさらなる品質の安定化、高品位化が求められている。
【0003】
炭素繊維は前駆体であるアクリロニトリル系、レーヨン系、ピッチ系繊維などを紡糸し、200〜400℃の空気中や酸化窒素などの酸化性雰囲気中で加熱焼成して酸化繊維に転換した後、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性雰囲気中でさらに300〜2000℃の高温で加熱して炭化する方法によって得られている。
【0004】
しかしながら、上記炭素繊維製造法において、前記前駆体を酸化繊維にする耐炎化工程や、さらに後続する炭化工程において高温処理のため単繊維同士の融着が発生し、このため耐炎化工程、炭化工程での単繊維切れが発生し、ひいては毛羽、糸切れの原因にもなっていた。このような糸切れが発生すると、複合材料としたときに、強度利用率が低下したり、複合材料の外観不良さらにはそれが原因となって強度が低下することもあり品質でも問題であった。
【0005】
そこで、このような単繊維の融着を防止するための油剤が使用され、またその油剤については多くの改良がなされており、開示されてきた。
【0006】
例えば、特定のシリコーン系油剤を付着する方法(例えば、特開平6-220722号公報、特開平9-143824号公報、特許第2850676号公報)、あるいは付着時の油剤の温度をコンロトールする方法(特開平9-268478号公報)などが提案されている。
【0007】
しかしながら、これらは付着させる油剤を改質したり付着時の油剤の劣化を防ぐために温度をコントロールするものであり、付着させる繊維の状態と油剤エマルジョンの関係を適正化するものではなかった。そのためこれらの油剤を用いても実質的に繊維内部への油剤浸透をコントロールできず、その結果、繊維表面に存在する油剤の量が少なくなるため、単繊維同士の融着を引き起こすあるいは炭化工程において繊維内部に浸透した油剤が高温での分解反応で多量のガスを発生させ、異常反応を起こし、毛羽、糸切れの原因になり、ひいては繊維の強度を低下させるという問題があった。
【0008】
一方、特開平4−257313号公報には特定の細孔半径や空孔率を有する凝固糸や延伸糸に油剤処理して高性能の炭素繊維を得るための炭素繊維前駆体繊維の製造法が開示されているが、繊維の細孔のみを規定したものであり本発明のように細孔径半径と油剤エマルジョンの粒径との関係に着目したものではない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記課題を解決することであり、耐炎化、炭化工程での糸切れ、毛羽の発生を低下させることができ、また工程通過性にも優れる炭素繊維用前駆体繊維を提供することにあり、また、このような炭素繊維用前駆体繊維を得るための前駆体繊維の製造方法、あるいは油剤の付着方法を提供することにある。さらに、高強度の炭素繊維も提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、炭素繊維用前駆体繊維の製造において行われる、油剤が乳化されたエマルジョンを用いて油剤を繊維に付着させる油剤付着方法であって、油剤を付着しようとする繊維に存在する細孔の平均半径をD1とし、エマルジョン中の油剤の平均粒径直径をD2としたとき、式(1)の関係が成り立つ油剤付着方法である。
【0011】
【数1】
さらに本発明は、アクリロニトリル系重合体、好ましくは95%質量%以上のアクリロニトリル単位を共重合したアクリロニトリル系重合体を紡糸して凝固糸とし、該凝固糸を延伸浴中、好ましくは延伸浴沸水中で洗浄しながら延伸して繊維を得、油剤が乳化されたエマルジョンを用いて該繊維に油剤を付着させ、この後に乾燥を行なって炭素繊維用前駆体繊維を製造する方法であって、凝固糸が延伸された繊維に存在する細孔の平均半径をD1とし、エマルジョン中の油剤の平均粒径直径をD2としたとき、上記式(1)の関係が成り立つ炭素繊維用前駆体繊維の製造方法である。
【0012】
上記油剤付着方法および炭素繊維用前駆体繊維の製造方法においては、油剤がシリコーン系油剤であること、細孔の平均半径が12nm以上60nm以下であることが好ましい。
【0013】
さらに本発明は上記炭素繊維用前駆体繊維の製造方法によって得られた前駆体繊維を焼成する炭素繊維の製造方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明による炭素繊維前駆体繊維は、油剤が繊維内部に実質的に侵入していない、もしくは侵入量が極めて少ない炭素繊維前駆体繊維である。繊維表面の油剤量が少ないと、単糸間の接着を防止する効果が低い。しかし付着量が多すぎると、多量に付着した油剤が引き続く高温での耐炎化反応の妨げとなり断面二重構造の形成を促進したり、表面の油剤が異常反応を起こし、糸切れの原因となる恐れがある。
【0015】
本発明者らは鋭意研究の結果、このような表面のケイ素量である前駆体繊維を得るためには、油剤エマルジョン粒径が、油剤付着前の繊維細孔の径より大きいことが必要であることを見出した。
【0016】
炭素繊維前駆体繊維を製造する際には、まず一般に乾湿式紡糸、湿式紡糸により紡糸された凝固糸を得るが、この凝固糸には繊維表面から内部に連通する微細な細孔が多数存在する。これらの細孔は後に続く延伸工程でその細孔径が増大するが、最終的に乾燥工程でその細孔が焼き潰されて炭素繊維前駆体繊維となる。
【0017】
一般に繊維への油剤の付着は乾燥工程前の段階で行われるため、本発明者らはその段階における繊維に存在する微細孔と油剤エマルジョンの粒子径の関係に着目して本発明を完成させた。
【0018】
即ち、油剤付着前の繊維細孔平均半径より油剤エマルジョン粒子の半径が小さいものを付着すると、繊維内部に油剤が浸透し易くなるため、表面に存在する量が減少する。そのため引き続く乾燥緻密化、さらには耐炎化工程での単繊維同士の接着が起こり、工程通過性が悪くなる。エマルジョン粒子の半径が油剤付着前繊維細孔平均半径より小さい場合でも、エマルジョン濃度を高くして付着量を多くすることで繊維内部への浸透が多くても表面のケイ素量を上げることができるが、その場合には繊維内部へ浸透した油剤が乾燥緻密化の妨げになったり、構造欠陥の原因となったりするため好ましくない。また油剤の量も多くなるため過剰付着した油剤が焼成炉内に飛散し炉内の汚れの原因になったり装置トラブルの原因にもなったりして問題となる。
【0019】
また、油剤付着前の繊維の細孔平均半径を12nm以上60nm以下とすることが好ましい。油剤付着前の細孔平均半径は、紡糸工程における凝固条件と延伸工程における延伸倍率でコントロールできる。細孔平均半径が12nm未満の繊維では繊維中にボイドがなく緻密であるが、表面のスキン層を緻密にしすぎると、引き続く耐炎化工程での酸素拡散が妨げられ炭素繊維の性能が低下する恐れがあるという点で不利である。また細孔平均半径が60nm以上となると、引き続く乾燥緻密化工程でもそれ以前に形成されたボイドを焼きつぶすことが出来なくなり、疎な前駆体繊維しか得られず結果として炭素繊維の強度が低下する恐れがあるという点で不利である。
【0020】
このような油剤を付着することで、緻密かつ表面が適切な量の油剤で覆われた前駆体繊維を得ることが出来る。このようにして得た前駆体繊維を焼成することで品質の安定した、毛羽のない高品位の炭素繊維を得ることが出来、さらに複合材料としたときの強度発現性、品質の安定性が保たれ、広い用途で使用可能な炭素繊維が生産できるのである。
【0021】
以下、本発明の炭素繊維用前駆体繊維の製造例について説明する。
【0022】
本発明の炭素繊維用前駆体繊維の原料としては、アクリロニトリル系重合体を用いることができる。その重合方法は溶液重合、懸濁重合等公知の方法の何れをも採用することができる。
【0023】
次に得られた重合体(場合によっては共重合体)を溶剤に溶解し紡糸原液とする。溶剤としては、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドおよびジメチルホルムアミド等の有機溶剤や塩化亜鉛、チオシアン酸ナトリウム等の無機化合物の水溶液が使用できるが、繊維中に金属を含有せず、工程が簡略化される点で有機溶剤が好ましく、その中でも凝固糸の緻密性が高いという点でジメチルアセトアミドが最も好ましい。
【0024】
次の紡糸工程では、紡糸原液を円形断面を有するノズル孔より凝固浴中に吐出し凝固糸とする。凝固浴は、油剤付着前の繊維内に存在する細孔をコントロールするために凝固浴濃度、温度を設定する。
【0025】
凝固浴は、紡糸原液に用いられる溶剤を含む水溶液が好適に使用され、含まれる溶剤の濃度を調節する。使用する溶剤によって一般的に異なるが、例えばジメチルアセトアミドを使用する場合、その濃度は50〜80%、好ましくは60〜75%である。
【0026】
また、凝固浴の温度は、凝固糸の緻密性の観点からは温度が低い方が好ましいが、温度を下げすぎると所定の細孔が得られないため、通常好ましくは50℃以下、さらに好ましくは20℃以上40℃以下である。
【0027】
次に、上記凝固糸をまず、好ましくは2.0倍以下、さらに好ましくは1.3倍以下に空中延伸する。次いで、延伸浴中で凝固糸に含まれている溶媒を洗浄しながら延伸する。このときの延伸倍率は、好ましくは3倍以下、さらに好ましくは2倍以下で延伸する。また、この延伸方法として、2段以上の多段延伸方法を用いることも可能である。
【0028】
延伸浴に使用できる液としては、温水、沸水が好適に使用されるが、凝固浴と同じジメチルアセトアミドを含む水溶液を用いることも可能である。
【0029】
延伸浴温度は、単糸同士が融着しない範囲でできるだけ高温にすることが効果的である。この観点から、延伸浴の温度は70℃以上の高温とすることが好ましい。多段延伸の場合は、最終浴を90℃以上の高温にすることが好ましい。
【0030】
延伸浴に沸水を用いると、繊維に残存する溶媒を効率的に除去しながら細孔を形成させることができるため特に好ましい。
【0031】
このように空中延伸倍率、凝固浴に使用する液の成分とその温度、延伸浴中の延伸倍率を制御することにより、繊維に存在する細孔の細孔径半径をコントロールすることができる。
【0032】
本発明では、このように延伸、洗浄された後の繊維に油剤付着処理を行うが、その際、油剤付着前の細孔径平均半径(D1)を12nm以上60nm以下にし、引き続き油剤付着処理を行うことが好ましい。この際油剤エマルジョン粒子の直径(D2)が繊維細孔径の直径より大きいものであればどのような油剤を用いてもよいが、シリコーン系油剤が好ましく、アミノシリコーン系の油剤がより好ましい。焼成工程における耐熱性の観点からシリコーン系油剤が好ましく、さらに該アクリル繊維に均一に付着させるためにはアミノシリコーンが好ましい。
【0033】
油剤の乳化は、油剤、例えば一般的なアミノシリコーンを、乳化剤、例えばエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドなどと水中に乳化してエマルジョンとする。乳化した油剤の粒子径は、油剤と乳化剤との混合比率によってある範囲で変更させることが出来る。
【0034】
油剤処理後、乾燥緻密化が行われる。乾燥緻密化の温度は、繊維のガラス転移温度を越えた温度で行う必要があるが、実質的には含水状態から乾燥状態によって異なることもあり、温度は100〜200℃程度の加熱ローラーによる方法が好ましい。
【0035】
乾燥緻密化後、再度延伸を行うことで本発明の前駆体繊維が得られる。この延伸は、高温の加熱ローラー、熱盤ピン等による乾熱延伸、あるいは加圧スチームによるスチーム延伸等の種々の方式を用いることができる。延伸倍率としては1.1倍以上、さらに好ましくは2.0倍、最も好ましくは2.5倍以上である。
【0036】
かかる前駆体繊維を焼成することにより、高性能で高品質の炭素繊維とすることが出来る。焼成は耐炎化工程と炭化工程を主な工程として含む。
【0037】
耐炎化条件としては従来公知の方法を採用することができ、酸化性雰囲気中200〜300℃の範囲で緊張、あるいは延伸条件下が好ましく使用され、密度が好ましくは1.25g/cm3以上、より好ましくは1.30g/cm3以上に達するまで加熱処理される。この密度は1.40g/cm3以下にとどめるのが一般的であり、これ以上にすると物性が低下することがあるという点で不利である。
【0038】
耐炎化を完了した糸条は、従来公知の方法で不活性雰囲気中炭素化処理され、炭素繊維となる。炭化温度としては得られる炭素繊維の物性から1000℃以上が好ましく更に必要に応じて2000℃以上の温度で黒鉛化することができる。また、300〜600℃および1000〜1200℃における昇温速度は好ましくは500℃/分以下であり、より好ましくは300℃/分以下である。
【0039】
そして、このようにして得られた炭素繊維は酸またはアルカリ溶液からなる電解槽中で電解処理を施したり、気相または液相での酸化処理を施すことにより複合材料における炭素繊維マトリックス樹脂との親和性や接着性を向上させることが好ましい。
【0040】
電解処理または洗浄処理を行った後、従来公知の技術により水洗および乾燥させた後、必要に応じて従来公知の技術によりサイジング付与などを行うことが出来る。
【0041】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本文中および本文実施例中に用いた物性値は以下の方法により測定した。
【0042】
(イ)繊維の平均細孔径半径
延伸浴から出た糸条を採取し、t−ブタノールと洗浄液の混合液でt−ブタノールの濃度を7段階に渡り濃くした溶液に順次浸漬し、繊維構造の変化がないように糸条内の液を全てt−ブタノールに置換する。これを−20℃以下に冷却しながら24時間真空下(3Pa以下)で乾燥する。この乾燥試料を約0.2g精秤しディラトメーターに入れる。次に水銀注入装置を用いて容器内を真空(7Pa以下)にし、その後水銀を充填する。そして、ポロシメーターを用いて測定を行う。水銀圧入量より細孔体積を求める。圧力は最大400MPaまでかける。平均細孔半径は、以下のように算出した。
【0043】
各圧力における細孔半径を下式から求めた。次に、各圧力における細孔容積と細孔半径の細孔分布を求め、その50%の細孔容積を示すときの半径を平均半径とした。
【0044】
なお、水銀ポロシメーターはQuantachrome社製、PoreMaster−60を用いた。
【0045】
【数2】
σ:水銀の表面張力、4800dyn/cm(4.8N/m)
θ:接触角(140゜)
p:圧力
(ロ)エマルジョン粒径
油剤エマルジョン粒径は島津製レーザー回折式粒度分布測定装置、SAL-2000を用いて測定した。
【0046】
(ハ)ストランド強度
ビスフェノールA型エポキシ樹脂“エピコート828(油化シェル社製)”100重量部、無水メチルナジック酸90重量部、ベンジルジメチルアミン3重量部からなる組成を有する樹脂を用いて130℃、2時間加熱硬化し、 JIS-R7601に記載されているストランド試験方法に従って求めた。
【0047】
[実施例1]
アクリロニトリル96%、メタクリル酸1%、アクリルアミド3%で共重合したアクリロニトリル系共重合体を、ジメチルアセトアミドに溶解して紡糸原液(重合体濃度21%、原液温度60℃)を調整した。この紡糸原液を、直径0.075mm、孔数3000の口金を用いて、濃度67%、温度38℃のジメチルアセトアミド水溶液に吐出し凝固糸となし、これを空気中延伸倍率1.3倍で延伸し、さらに沸水中で2.0倍に延伸しながら洗浄・脱溶剤した後、表1に示す粒径のアミノ変性シリコーン油剤エマルジョンを1wt%濃度浴として油剤を付与した。この油剤エマルジョンはアミノ変性シリコーンとポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(乳化剤)とを90:10の割合(重量比)で予備混合した後、ゴーリンホモジナイザーを用いて乳化して得た。175℃の加熱ローラーにて乾燥緻密化した。油剤付着前の繊維の細孔は表1に示すとおりであった。引き続いて、加圧水蒸気中でトータル延伸倍率が13倍になるように延伸して、単糸繊度が1.2dtex、トータル繊度が3600dtexのアクリロニトリル系前駆体繊維を得た。この前駆体繊維の表面元素濃度は表1のとおりであった。
【0048】
得られた前駆体繊維を230℃〜280℃の空気中で延伸比1.05で加熱して密度1.35g/cm3の耐炎化糸を得た。ついで、窒素雰囲気中300℃〜600℃の温度領域での昇温速度を200℃/分とし、5%の延伸をおこなった後、さらに1400℃まで焼成した。ついでこの炭素繊維を陽極として8wt%の硝酸水溶液中、30c/gで電解処理を行った後、水洗し、150℃の加熱空気中で乾燥した。主な前駆体繊維処理の油剤付着前の細孔径平均半径と油剤エマルジョンの粒径、および前駆体繊維繊維のSi/C、さらに焼成工程での工程通過性を表1に示す。工程通過性は炭素化炉を出たところでの毛羽の量、ロールへの巻き付き量から相対的に比較した。
【0049】
[比較例1]
アミノ変性シリコーンとポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルの重量比を50:50として、アミノ変性シリコーン油剤エマルジョンの粒径を表1のように変更した以外は実施例1と同様にして前駆体繊維および炭素繊維を得た。主な前駆体繊維処理条件と前駆体繊維特性、および焼成工程での工程通過性を表1に示す。
【0050】
[実施例2]
凝固糸を空中延伸倍率1.0倍で延伸し、さらに沸水中で1.0倍に延伸した以外は実施例1と同様にして前駆体繊維および炭素繊維を得た。得られた結果をまとめて表1に示した。
【0051】
[比較例2]
凝固浴濃度を40%、温度を38℃にした以外は実施例1と同様にして前駆体繊維および炭素繊維を得た。結果を表1に示した。
【0052】
【表1】
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、耐炎化、炭化工程での糸切れ、毛羽の発生を低下させることができ、また工程通過性にも優れる炭素繊維用前駆体繊維が提供され、高強度の炭素繊維が提供される。また、このような炭素繊維用前駆体繊維を得るための前駆体繊維の製造方法、あるいは油剤の付着方法も提供される。
Claims (7)
- 炭素繊維用前駆体繊維の製造において行われる、油剤が乳化されたエマルジョンを用いて油剤を繊維に付着させる油剤付着方法であって、
油剤を付着しようとする繊維に存在する細孔の平均半径をD1とし、エマルジョン中の油剤の平均粒径直径をD2としたとき、
D1<D2/2
であることを特徴とする油剤付着方法。 - 該油剤がシリコーン系油剤である請求項1記載の油剤付着方法。
- 該細孔の平均半径D1が12nm以上60nm以下である請求項1又は2記載の油剤付着方法。
- アクリロニトリル系重合体を紡糸して凝固糸とし、該凝固糸を延伸浴中で洗浄しながら延伸して繊維を得、油剤が乳化されたエマルジョンを用いて該繊維に油剤を付着させ、この後に乾燥を行なって炭素繊維用前駆体繊維を製造する方法であって、
凝固糸が延伸された繊維に存在する細孔の平均半径をD1とし、エマルジョン中の油剤の平均粒径直径をD2としたとき、
D1<D2/2
であることを特徴とする炭素繊維用前駆体繊維の製造方法。 - 該油剤がシリコーン系油剤である請求項4記載の炭素繊維用前駆体繊維の製造方法。
- 該細孔の平均半径が12nm以上60nm以下である請求項4または5記載の炭素繊維用前駆体繊維の製造方法。
- 請求項4〜6のいずれかに記載の方法によって得られる炭素繊維用前駆体繊維を焼成することを特徴とする炭素繊維の製造方法。
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