JP3945549B2 - 炭素繊維前駆体用油剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、品質及び物性の優れた炭素繊維を製造するのに好適な、耐熱性の良好な炭素繊維前駆体用油剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
炭素繊維の製造は前駆体繊維を酸化性雰囲気中で 200〜 400℃で加熱処理することにより耐炎性繊維に転換する耐炎化工程、それに引き続いて少なくとも 1,000℃の不活性雰囲気中で炭素化を行ういわゆる炭素化工程などからなる方法で、従来から行われている。上記耐炎化工程において単繊維間融着が発生し、焼成が不均一になったり、毛羽や糸切れといった障害が発生する。この融着を回避するためには、耐炎化前の炭素繊維前駆体に付与する油剤の選択が重要なことが知られており、多くの油剤が紹介されている。
例えば良好な耐熱性を有し、単繊維間融着を効果的に抑えることから特開平5-140821号公報に開示されているシリコーン系油剤が、炭素繊維前駆体用油剤として広く使用されている。
【0003】
しかし炭素繊維前駆体用油剤には、耐炎化工程において単繊維間融着がないことが必要なばかりでなく、該炭素繊維前駆体繊維自身に融着がなく、実質的に毛羽を発生させないことも必要である。例えば、炭素繊維前駆体の紡糸工程に用いられる油剤には、紡糸ノズルから吐出された糸条を凝固浴中で凝固させ、水洗、もしくは、延伸−水洗した水膨潤状態の脆弱な繊維を乾燥、加熱して緻密化する乾燥工程において、単繊維間相互の融着を防止して、均一で緻密な繊維構造を形成せしめ、工程通過性の良好な繊維を与える性能が要求されるが、シリコーン系油剤は加熱処理したときにゲル化しやすく、前記乾燥工程において、ゲル化したシリコーン系油剤が、毛羽、糸切れを誘発することがあるので、炭素繊維前駆体用油剤としてシリコーン系油剤を使用する場合は、耐熱性が高く、ゲル化しにくいことが必要である。
一般に耐炎化工程においてシリコーン系油剤の分解物である酸化珪素等が生成し、耐炎化炉壁や排ガス処理ラインに堆積し、操業性の低下をもたらすため、上記性能に加えて炭素繊維前駆体用油剤に対しては、耐炎化工程での分解物量が少ないことが要求される。
しかし、以上のような性能を全て満足する炭素繊維前駆体用油剤は、これまでに報告されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、炭素繊維前駆体の段階で単糸間融着がなく、毛羽が実質的に存在せず、耐炎化工程での前駆体繊維の毛羽、糸切れ及び単糸間融着を効果的に抑え、且つ耐炎化工程でのシリコーン分解物の生成量を抑えることにより耐炎化工程での工程通過性が著しく改善された、炭素繊維前駆体用油剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、特定のアミノ変性シリコーンに特定の酸化防止剤及び界面活性剤を添加することにより、アミノ変性シリコーン混合物のゲル化温度が格段に向上し、炭素繊維前駆体の段階で単糸間融着がなく、毛羽が実質的に存在せず、また耐炎化工程での前駆体繊維の毛羽、糸切れ及び単糸間融着を効果的に抑え、耐炎化工程でのシリコーン分解物の生成量を抑えることにより耐炎化工程における工程通過性が著しく改善されることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
即ち本発明の要旨は、下記(A)〜(C)成分を水中に乳化分散してなる耐熱性アミノ変性シリコーン混合物からなる炭素繊維前駆体用油剤にある。
(A)下記一般式(化1)で示されるアミノ変性シリコーン、
【化5】
Figure 0003945549
[式中、Rは同一または異種の炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基、Xは一般式 -Q-(NH-Q')p-NH2で表され、Q及びQ’は同一または異種の炭素数1〜10の2価炭化水素基であり、YはX、R、炭素数1〜5のアルコキシ基、水酸基のいずれかであり、pは0、1、2のいずれかである。また10≦m≦10,000、0≦n≦100 である。]
(B)酸化防止剤 (A)の0.01〜20重量%、
(C)HLB6〜16の非イオン性界面活性剤 (A)の5〜 100重量%。
上記(C)成分としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル及びまたはポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどが挙げられる。
上記(B)成分としては芳香族アミノ基含有オルガノポリシロキサンなどが挙げられるが、特に好ましいものは下記一般式(化6)で示される芳香族アミノ基含有オルガノポリシロキサンである。
【化6】
Figure 0003945549
[式中、R’は同一または異種の炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基であり、ZはR’または-O-Ph-NH-Ph 、-O-Ph-NH-Ph-NH-Ph 、下記式(化7)および(化8)で示される基から選択される1価の芳香族アミノ基である。さらにq、rは1≦q≦50、0≦r≦10であるが、分子中に少なくとも1個以上の芳香族アミノ基を有する必要があることからr=0の場合に式中のZの少なくとも一方は上記の1価芳香族アミノ基である。]
【化7】
Figure 0003945549
【化8】
Figure 0003945549
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明における(A)成分の一般式(化1)において式中のRは同一または異種の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、テトラデシル基、オクタデシル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基等あるいはこれらの炭素原子に結合した水素原子の一部または全部をハロゲン原子、水酸基などで置換した1価の炭化水素基などが挙げられるが、好ましくはメチル基である。Xは一般式 -Q-(NH-Q')p-NH2で表されるアミノ基であり、Q及びQ’は同一または異種の炭素数1〜10の2価炭化水素基であり、具体的にはメチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基及びこれらの炭素原子の一部を酸素原子、硫黄原子のような他の原子で置換したもの、これらの炭素原子の有する水素原子の一部または全部をハロゲン原子、水酸基などで置換した置換炭化水素基等が挙げられる。好ましくは、ジメチレン基又はトリメチレン基である。Yは前出のX、Rまたは炭素数1〜5のアルコキシ基、水酸基のいずれかであり、炭素数1〜5のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、プロポキシ基等が挙げられる。pは0、1、2のいずれかである。製造面からpとしては0又は1が好ましい。また、10≦m≦10,000、0≦n≦100 であり、好ましくは50≦m≦1,000 、0≦n≦10である。
【0008】
このような(A)成分のアミノ変性シリコーンの具体例としては、下記一般式(化9)〜(化19)で示される化合物を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化9】
Figure 0003945549
【化10】
Figure 0003945549
【化11】
Figure 0003945549
【化12】
Figure 0003945549
【化13】
Figure 0003945549
【化14】
Figure 0003945549
【化15】
Figure 0003945549
【化16】
Figure 0003945549
【化17】
Figure 0003945549
【化18】
Figure 0003945549
【化19】
Figure 0003945549
【0009】
次に本発明における(B)成分の酸化防止剤はアミノ基の熱酸化性の劣化を抑制する為に使用するものであり、下記式(化20)、(化21)などで示されるヒンダードフェノール類、PhNHPhNHPh、PhNHPh、下記式(化22)及び(化23)などで示される芳香族アミン類、ヒンダードフェノール基含有オルガノポリシロキサン、芳香族アミノ基含有オルガノポリシロキサンなどが挙げられるが、特に好ましいものは一般式(化2)で示される芳香族アミノ基含有オルガノポリシロキサンである。
【化20】
Figure 0003945549
【化21】
Figure 0003945549
【化22】
Figure 0003945549
【化23】
Figure 0003945549
【0010】
本発明における(B)成分の添加量としては(A)成分のアミノ変性シリコーンの0.01〜20重量%である。0.01%未満では耐熱性の向上効果が弱く、20%を超えて添加しても耐熱性の向上効果は変わらず、かえってシリコーンエマルジョンの安定性が悪くなるため0.01〜20%が好ましく、より好ましくは、 0.1〜5%である。
【0011】
次に本発明における(C)成分のHLB6〜16の非イオン性界面活性剤は、(A)、(B)両成分を水中で乳化分散させるための界面活性剤であるが、このHLBが16を超えると、得られるシリコーンエマルジョンの耐熱性が不十分なものとなるし、HLBが6未満であるとシリコーンエマルジョンの乳化安定剤が悪くなるため、HLBは6〜16であることが好ましく、より好ましくは10〜14である。
【0012】
本発明における(C)成分の非イオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。中でもポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましい。この添加量は(A)成分のアミノ変性シリコーンの5から 100重量%である。5重量%未満ではアミノ変性シリコーンの乳化安定性が悪くなり、 100重量%を超えるとアミノ変性シリコーンの特性を阻害するおそれがあるから5〜 100重量%であることが好ましく、より好ましくは10〜50重量%である。
なお、これらの成分からなるシリコーンエマルジョン組成物にその特性向上のために各種添加剤として帯電防止剤、浸透剤、増粘剤、消泡剤、顔料、無機粉体、防腐剤等を適宜配合することは差し支えない。
【0013】
本発明の油剤を用いて処理する炭素繊維前駆体としては、公知のレーヨン繊維、アクリル繊維、ビニロン繊維、各種ピッチ糸繊維等が挙げられ、特に限定されるものではないがこれらの繊維とアクリル繊維との組み合わせがより好ましい。アクリル繊維としては、公知の炭素繊維前駆体アクリル繊維を例示することができ、特に限定されないが、アクリロニトリル単量体95重量%以上とアクリロニトリルと共重合可能なビニル系単量体5重量%以下から成るアクリル繊維が好ましい。さらにこのビニル系単量体が、耐炎化反応を促進する作用を有するアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、または、これらの酸のアルカリ金属塩もしくはアンモニウム塩及びアクリルアミド等の単量体群から選ばれる1種以上の単量体であることが耐炎化反応を促進する上で好ましい。このような繊維の製造方法も特に限定されるものではなく、公知の湿式、乾式及び乾湿式の各紡糸方法が採用される。
【0014】
【実施例】
以下に本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の炭素繊維前駆体用油剤はこれらによって限定されるものではない。
なお、油剤のゲル化度、重量保持率、融着数、耐炎化工程前工程通過性、シリコーン系油剤分解物飛散量及びストランド強度は以下の方法により評価した。
【0015】
[耐熱性の測定、評価方法(ゲル化度)]
アルミシャーレ(直径60mm、深さ10mm)に本発明の油剤エマルジョン2.0gを精秤し、 105℃で1時間予備乾燥後、 150℃で24時間加熱した後の残分について、クロロホルムへの不溶分含有率をゲル化度として算出し、耐熱性を評価した。ゲル化度が小さいほど、耐熱性に優れていて、油剤エマルジョン付着後の乾燥工程での工程通過性が良いこと、即ちゲル化したシリコーン系油剤により誘発される毛羽、糸切れが少ないことを示す。
【0016】
[分解飛散物の測定、評価方法(重量保持率)]
アルミシャーレ(直径60mm、深さ10mm)に本発明の油剤エマルジョン2.0gを精秤し、 105℃で1時間予備乾燥後、 250℃で1時間加熱した後の残分について重量保持率を算出し、分解物の飛散挙動を評価した。重量保持率が大きいほど耐炎化工程でのシリコーン系油剤の分解物の生成量の少ないことを意味する。
【0017】
[単繊維間融着の測定、評価方法(融着数)]
炭素繊維トウを3mm長に切断し、アセトン中に分散させ、マグネティックスターラーを用い10分間撹拌した後の全単繊維数と融着数を計数し、繊維 100本当たりの融着数を算出した。評価基準は下記の通りである。
○:融着数(個/100本)≦1
×:1<融着数(個/100本)
【0018】
[耐炎化工程前工程通過性]
炭素繊維前駆体のアクリル繊維を用いて、1週間連続サンプリングした時の耐炎化工程前、炭素繊維前駆体アクリル繊維の段階でのロール等への巻き付き回数により、前駆体アクリル繊維の段階での毛羽、糸切れの量を評価した。評価基準は下記の通りである。
○:巻き付き回数(回/1日)≦1
△:1<巻き付き回数(回/1日)≦10
×:10<巻き付き回数(回/1日)
【0019】
[シリコーン系油剤分解物飛散状況]
炭素繊維を1週間連続サンプリングした時の耐炎化炉の掃除頻度により、耐炎化炉内のシリコーン系油剤分解物量を表した。評価基準は下記の通りである。
○:掃除回数(回/1週間)≦1
×:1<掃除回数(回/1週間)
【0020】
[炭素繊維物性の測定、評価方法(ストランド強度)]
JIS−R−7601に規定されているエポキシ樹脂含浸ストランド法に準じて測定した値である。(なお、測定回数は10回であり、物性値はその平均値を以て示した。)
【0021】
(実施例1)
下記(化24)で示されるアミノ変性シリコーン150g、
【化24】
Figure 0003945549
酸化防止剤として下記(化25)で示される芳香族アミノ基含有オルガノポリシロキサン0.5g、
【化25】
Figure 0003945549
乳化剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル[EO:5モル、HLB:10.8]30g 、水820gの混合物をホモミキサーで乳化し、さらに高圧ホモジナイザーで、300kg/cm2 で2次乳化を行ない油剤エマルジョンを得た。
この油剤の耐熱性(ゲル化度、以下同様)を測定し、結果を表1に示した。
【0022】
(実施例2)
実施例1で使用した式(化24)で示されるアミノ変性シリコーン150g、式(化25)で示される芳香族アミノ基含有オルガノポリシロキサン0.5g、乳化剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル[EO:10モル、HLB:14.0]50g 、水800gの混合物を実施例1と同様の方法でホモミキサーで乳化し、さらに高圧ホモジナイザーで2次乳化を行ない油剤エマルジョンを得た。
この油剤の耐熱性を測定し、結果を表1に示した。
【0023】
(実施例3)
下記式(化26)で示されるアミノ変性シリコーン150g、
【化26】
Figure 0003945549
式(化25)で示される芳香族アミノ基含有オルガノポリシロキサン0.5g、乳化剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル[EO:5モル、HLB:10.8]50g 、水820gの混合物を実施例1と同様にしてホモミキサーで乳化し、さらに高圧ホモジナイザーで2次乳化を行ない油剤エマルジョンを得た。
この油剤の耐熱性を測定し、結果を表1に示した。
【0024】
(実施例4)
下記式(化27)で示されるアミノ変性シリコーン150g、
【化27】
Figure 0003945549
式(化25)で示される芳香族アミノ基含有オルガノポリシロキサン3g 、乳化剤としてポリオキシエチレントリデシルエーテル[EO:10モル、HLB:13.7]50g 、水797gの混合物を実施例1と同様にしてホモミキサーで乳化し、さらに高圧ホモジナイザーで2次乳化を行ない油剤エマルジョンを得た。
この組成物の耐熱性を測定し、結果を表1に示した。
【0025】
(実施例5)
下記式(化28)で示されるアミノ変性シリコーン150g、
【化28】
Figure 0003945549
式(化25)で示される芳香族アミノ基含有オルガノポリシロキサン3g 、乳化剤としてポリオキシエチレントリデシルエーテル[EO:10モル、HLB:13.7]50g 、水797gの混合物を実施例1と同様にしてホモミキサーで乳化し、さらに高圧ホモジナイザーで2次乳化を行ない油剤エマルジョンを得た。
この油剤耐熱性を測定し、結果を表1に示した。
【0026】
(実施例6)
下記式(化29)で示されるアミノ変性シリコーン150g、
【化29】
Figure 0003945549
式(化25)で示される芳香族アミノ基含有オルガノポリシロキサン3g 、乳化剤としてポリオキシエチレントリデシルエーテル[EO:10モル、HLB:13.7]50g 、水797gの混合物を実施例1と同様にしてホモミキサーで乳化し、さらに高圧ホモジナイザーで2次乳化を行ない油剤エマルジョンを得た。
この油剤の耐熱性を測定し、結果を表1に示した。
【0027】
(比較例1)
実施例1で使用した式(化24)で示されるアミノ変性シリコーン150g、式(化25)で示される芳香族アミノ基含有オルガノポリシロキサン0.5g、乳化剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル[EO:4モル、HLB:9.6 ]15g 、ポリオキシエチレンラウリルエーテル[EO:23モル、HLB:16.9]15g 、水820gの混合物を実施例1と同様にしてホモミキサーで乳化し、さらに高圧ホモジナイザーで2次乳化を行ない油剤エマルジョンを得た。
この油剤の耐熱性を測定し、結果を表1に示した。
【0028】
(比較例2)
実施例1で使用した式(化24)で示されるアミノ変性シリコーン150g、乳化剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル[EO:10モル、HLB:14.0]15g 、水835gの混合物を実施例1と同様にしてホモミキサーで乳化し、さらに高圧ホモジナイザーで2次乳化を行ない油剤エマルジョンを得た。
この油剤の耐熱性を測定し、結果を表1に示した。
【0029】
(比較例3)
実施例1で使用した式(化24)で示されるアミノ変性シリコーン150g、式(化25)で示される芳香族アミノ基含有オルガノポリシロキサン0.1g、乳化剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル[EO:10モル、HLB:14.0]5g 、水845gの混合物を実施例1と同様にしてホモミキサーで乳化し、さらに高圧ホモジナイザーで2次乳化を行ない油剤エマルジョンを得た。
この油剤の耐熱性を測定し、結果を表1に示した。
【0030】
(実施例7)
アクリロニトリル共重合体(アクリロニトリル/メタクリル酸/アクリルアミドの重量比97.1/0.9 /2.0 )をジメチルアセトアミドに溶解し、重合体濃度21重量%、60℃における粘度が 500ポイズの紡糸原液を調製し、孔径0.15mmφ、孔数 1,500の紡糸口金を通じて一旦空気中に吐出させ約5mm空間を通過させたのち、35℃の69重量%ジメチルアセトアミド水溶液を満たした凝固浴中を通過させて凝固糸とした。凝固糸は水洗槽中で脱溶媒するとともに 3.5倍に延伸して水膨潤状態のアクリル繊維とした。
この水膨潤状態にあるアクリル繊維を実施例1で示した油剤エマルジョンを満たした油浴に導き、エマルジョンを付着させた後、表面温度 130℃の加熱ロールで乾燥緻密化し、さらに表面温度 170℃の加熱ロール間で 2.0倍に延伸を施し前駆体アクリル繊維を得た。この前駆体アクリル繊維は、単糸繊度 1.1デニール、引張り強度7g/デニール、伸度12.5%で油剤の繊維への付与量は 1.0重量%であった。
この前駆体アクリル繊維を 230〜 270℃の温度勾配を有する耐炎化炉に60分かけて通し、さらに窒素雰囲気中で 300〜 1,300℃の温度勾配を有する炭素化炉で焼成して炭素繊維とした。ここで得られた炭素繊維の融着数及びストランド強度、耐炎化工程前工程通過性、耐炎化工程でのシリコーン分解物飛散量の評価(炉の掃除回数により評価、以下同様)を表2に示した。
【0031】
(比較例4)
実施例1と同じ(化24)で示されるアミノ変性シリコーン3kg、乳化剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル[EO:5モル、HLB:10.8]600g、水 16.4kg 、の酸化防止剤を含んでいない混合物を同様に乳化し油剤エマルジョンを得た。
この油剤エマルジョンを実施例7と同じ紡糸原液を調製し、同様に操作して得られた繊維に付着させて、前駆体アクリル繊維を得た。この前駆体アクリル繊維は、単糸繊度 1.1デニール、引張り強度6.8g/デニール、伸度11.8%で油剤の繊維への付着量は 1.0重量%であった。
この前駆体アクリル繊維を実施例7と同様の操作で焼成して炭素繊維とした。ここで得られた炭素繊維の融着数及びストランド強度、耐炎化工程前工程通過性、耐炎化工程でのシリコーン分解物飛散量の評価を表2に示した。
【0032】
(比較例5)
実施例5で使用した式(化28)で示されるアミノ変性シリコーン3kg、乳化剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル[EO:5モル、HLB:10.8]600g、水 16.4kg 、の酸化防止剤を含んでいない混合物を同様に乳化し油剤エマルジョンを得た。
この油剤エマルジョンを実施例7と同じ紡糸原液を調製し、同様に操作して得られた繊維に付与したエマルジョン前駆体アクリル繊維を得た。この前駆体アクリル繊維は、単糸繊度 1.1デニール、引張り強度6.7g/デニール、伸度11.5%で油剤の繊維への付与量は 1.0重量%であった。この前駆体アクリル繊維を実施例7と同様の操作で焼成して炭素繊維とした。ここで得られた炭素繊維の融着数及びストランド強度、耐炎化工程前工程通過性、耐炎化工程でのシリコーン分解物飛散量の評価を表2に示した。
【0033】
(実施例8)
実施例7と同じ紡糸原液を調製し、35℃の69重量%ジメチルアセトアミド水溶液を満たした凝固浴中に孔径 0.075mmφ、孔数12,000の紡糸口金より吐出し凝固糸とした。凝固糸は水洗槽中で脱溶媒するとともに5倍に延伸して水膨潤状態のアクリル繊維とした。
この水膨潤状態にあるアクリル繊維を実施例1で示したエマルジョンを満たした油浴に導き、エマルジョンを付着させた後、表面温度 130℃の加熱ロールで乾燥緻密化し、さらに表面温度 170℃の加熱ロール間で 1.7倍延伸を施し前駆体アクリル繊維を得た。この前駆体アクリル繊維は、単糸繊度 1.1デニール、引張り強度7g/デニール、伸度10.5%で油剤の繊維への付着量は 1.0重量%であった。 この前駆体アクリル繊維を実施例7と同様の操作で焼成して炭素繊維とした。ここで得られた炭素繊維の融着数及びストランド強度、耐炎化工程前工程通過性、耐炎化工程でのシリコーン分解物飛散量の評価を表2に示した。
【0034】
【表1】
Figure 0003945549
【表2】
Figure 0003945549
【0035】
【発明の効果】
本発明の炭素繊維前駆体用油剤は耐熱性が良好なため、炭素繊維前駆体の段階で単糸間融着がなく、毛羽が実質的に存在せず、耐炎化工程での前駆体繊維の毛羽、糸切れ及び単糸間融着を効果的に抑え、耐炎化工程でのシリコーン分解物の飛散量が少ないため、該工程での工程通過性が著しく改善される。

Claims (5)

  1. 下記(A)〜(C)成分を水中に乳化分散してなる炭素繊維前駆体用油剤
    (A)下記一般式(化1)で示されるアミノ変性シリコーン、
    Figure 0003945549
    [式中、Rは同一または異種の炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基、Xは一般式 -Q-(NH-Q')p-NH2で表され、Q及びQ’は同一または異種の炭素数1〜10の2価炭化水素基であり、YはX、R、炭素数1〜5のアルコキシ基、水酸基のいずれかであり、pは0、1、2のいずれかである。また10≦m≦10,000、0≦n≦100 である。]
    (B)酸化防止剤 (A)の0.01〜20重量%、
    (C)HLB6〜16の非イオン性界面活性剤 (A)の5〜 100重量%。
  2. 炭素繊維前駆体がポリアクリロニトリル系繊維であることを特徴とする請求項1に記載の炭素繊維前駆体用油剤。
  3. (C)成分がポリオキシエチレンアルキルエーテル及びまたはポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルであることを特徴とする請求項1および2に記載の炭素繊維前駆体用油剤。
  4. (B)成分が芳香族アミノ基含有オルガノポリシロキサンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の炭素繊維前駆体用油剤。
  5. (B)成分が下記一般式(化2)で示される芳香族アミノ基含有オルガノポリシロキサンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の炭素繊維前駆体用油剤。
    Figure 0003945549
    [式中、R’は同一または異種の炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基、ZはR’または-O-Ph-NH-Ph 、-O-Ph-NH-Ph-NH-Ph 、下記式(化3)および(化4)で示される基から選択される1価の芳香族アミノ基、q、rは1≦q≦50、0≦r≦10であり、分子中に少なくとも1個以上の芳香族アミノ基を有する必要があることからr=0の場合に、式中のZの少なくとも一方は上記の1価芳香族アミノ基である。但しPhはフェニル基を示す。]
    Figure 0003945549
    Figure 0003945549
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