JPH0978340A - 炭素繊維前駆体アクリル繊維 - Google Patents

炭素繊維前駆体アクリル繊維

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JPH0978340A
JPH0978340A JP7233104A JP23310495A JPH0978340A JP H0978340 A JPH0978340 A JP H0978340A JP 7233104 A JP7233104 A JP 7233104A JP 23310495 A JP23310495 A JP 23310495A JP H0978340 A JPH0978340 A JP H0978340A
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fibers
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fiber
alkylene oxide
acrylic fiber
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JP7233104A
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Yoshitaka Kageyama
義隆 景山
Shoji Hayashi
省治 林
Tomoyuki Kotani
知之 小谷
Toshihiro Makishima
俊裕 槙嶋
Kozo Mise
興造 三瀬
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐炎化工程、炭素化工程で前駆体アクリル繊
維あるいは耐炎化繊維の融着を効果的に抑え、かつ、上
述したシリコン系油剤を使用する場合に発生する操業性
の低下が発生しない炭素繊維前駆体アクリル繊維を提供
する。 【解決手段】 (A)一般式(1)で表される化合物と
(B)ポリアミンと脂肪酸を反応して得られるアミド化
合物のアルキレンオキシド付加物との混合物を0.1〜
1重量%付与した炭素繊維前駆体アクリル繊維である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、品質および物性の
優れた炭素繊維を製造するのに好適で、炭素繊維の製造
に際して工程通過性が著しく改善された、炭素繊維前駆
体アクリル繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】アクリル繊維は炭素繊維製造の前駆体と
して広く利用されている。アクリル繊維を200〜40
0℃の酸性雰囲気中で加熱処理することにより耐炎化繊
維に転換し、引き続いて少なくとも1000℃の不活性
雰囲気中で炭素化する方法が炭素繊維の製造方法として
一般的である。このようにして得られた炭素繊維は、優
れた物性により繊維強化樹脂複合材料の好適な強化繊維
として広く利用されている。一方、上記の炭素繊維製造
において、アクリル繊維を耐炎化繊維に転換する耐炎化
工程においてアクリル単繊維同士の融着が発生し、焼成
が不均一となったり、毛羽、糸切れが発生したりといっ
た障害が発生する。
【0003】この融着を回避するためには、耐炎化前の
アクリル繊維に付与する油剤の選択が重要であることが
知られており、多くの油剤が紹介されている。高い耐熱
性を有し融着を効果的に抑えることからシリコン系油剤
は上記油剤の中で最もよく使用されている。しかしなが
ら、この油剤は融着回避には優れた性能を発揮するもの
の、耐炎化、炭素化それぞれの工程で、この油剤の分解
物である酸化珪素、窒化珪素が発生し、耐炎化、炭素化
の炉内壁や排ガス処理ラインに堆積し操業性の低下をも
たらすことが判明した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐炎
化工程、炭素化工程で前駆体アクリル繊維あるいは耐炎
化繊維の融着を効果的に抑え、かつ、上述したシリコン
系油剤を使用する場合に発生する操業性の低下が発生し
ない炭素繊維前駆体アクリル繊維を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の要旨
は、(A)一般式(1)で表される化合物と(B)ポリ
アミンと脂肪酸を反応して得られるアミド化合物のアル
キレンオキシド付加物との混合物を0.1〜1重量%付
与した炭素繊維前駆体アクリル繊維にある。
【0006】
【化2】
【0007】式(1)中、R1、R2はそれぞれ炭素数8
〜22の脂肪族カルボン酸残基、R3は炭素数4〜10
の飽和脂肪族ジカルボン酸残基、また、AOはアルキレ
ンオキシド残基である。さらに、n1〜n4はそれぞれ1
〜5の整数である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。本発明の炭素繊維前駆体アクリル繊維に使用するア
クリル繊維としては、アクリロニトリルを主成分として
含有するアクリル繊維であれが特に限定はしないが、ア
クリロニトリル95重量%以上とアクリロニトリルと共
重合可能なビニル系単量体5重量%以下からなるアクリ
ル繊維が好ましい。さらにこのビニル系単量体が耐炎化
反応を促進する作用を有するアクリル酸、メタクリル
酸、イタコン酸、または、これらのアルカリ金属塩もし
くはアンモニウム塩およびアクリルアミド等の単量体群
から選ばれる1種以上の単量体であることが耐炎化を促
進する上で好ましい。
【0009】本発明の成分(A)は、下記の一般式
(1)で示される化合物である。式(1)中、R1、R2
はそれぞれ炭素数8〜22の脂肪族カルボン酸残基、R
3は炭素数4〜10の飽和脂肪族ジカルボン酸残基、ま
た、AOはアルキレンオキシド残基である。さらに、n
1〜n4はそれぞれ1〜5の整数である。
【0010】
【化3】
【0011】成分(A)中のアルキレンオキシド残基と
しては、エチレンオキシド残基またはプロピレンオキシ
ド残基であることが必要であり、その付加モル数として
は1〜5が好ましい。これを越える付加モル数の場合は
耐熱性が損なわれる傾向にある。
【0012】成分(B)は、ポリアミンと脂肪酸を反応
して得られるアミド化合物のアルキレンオキシド付加物
である。ポリアミンとしてはエチレンジアミン、ジエチ
レンジアミン、トリエチレンテトラミン、フェニレンジ
アミン等が好適に用いられる。また、脂肪酸としては、
炭素数が8〜30の脂肪酸、好ましくは炭素数が12〜
22であり、さらに好ましくは飽和脂肪酸である。炭素
数が8未満の場合は成分(B)の耐熱性が低下し、30
を越えるとアクリル繊維への付与時に分散媒である水へ
の分散が悪くなり好ましくない。付加するアルキレンオ
キシドとしては、炭素数が2〜4のアルキレンオキシド
で、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブ
チレンオキシドが挙げられるこのアルキレンオキシドの
付加形態はランダムであってもブロックであってもよい
が、付加モル数は5〜100、好ましくは10〜30で
ある。付加モル数が5未満の場合は分散媒として用いる
水への分散性が低下する傾向があるし、100を越える
と耐熱性の低下、繊維への付与困難が顕著となる。
【0013】本発明の炭素繊維前駆体アクリル繊維への
成分(A)、成分(B)の付与割合は、アクリル繊維に
対して成分(A)+成分(B)を0.1〜1重量%付与
することが必要である。上記成分の付与割合は0.1重
量%未満では、ローラー、ガイドへの巻き付が発生しや
すく、1重量%を越えると融着が発生しやすくなる。な
お、成分(A)+成分(B)の繊維への付与量はソック
スレー抽出器でメチルエチルケトンを溶媒として1時間
抽出して決定する。
【0014】付与する成分(A)と成分(B)の比率
は、特に限定しないが、その中で成分(A)と成分
(B)が(A):(B)=9:1〜1:9含まれている
のが好ましい。成分(A)と成分(B)の比率は
(A):(B)=8:2〜5:5がさらに好ましい。本
発明では、成分(A)と成分(B)の機能発現を損なわ
ない範囲でシリコン系油剤、酸化防止剤を添加してもよ
い。
【0015】
【実施例】以下に本発明を実施例によりさらに具体的に
説明する。なお、融着数、耐炎化炭素化工程通過性およ
びストランド強度以下の方法により評価した。 (融着数)炭素繊維を3mm長に切断し、アセトン中に
分散し、マグネティックスターラーを用い10分間撹拌
した後の全単繊維数と融着数を計数し、繊維100本当
たりの融着数を算出した。 ◎:融着数(個/100本)<1 △:1≦融着数(個/100本)<10 ×:10≦融着数(個/100本)
【0016】(耐炎化炭素化工程通過性)各工程でのガ
イド、ローラーへの巻き付き、トウの広がりの有無によ
り、次の基準に従って評価した。 ◎:トウの広がりなし、巻き付きなし △:トウの広がりあり、巻き付きなし ×:トウの広がりあり、巻き付きあり
【0017】(ストランド強度)JIS R−7601
に準拠してエポキシ樹脂含浸ストランドの引張物性を6
点測定し、平均値で示した。
【0018】(合成例)アジピン酸1モルとポリオキシ
エチレン(2モル付加)ビスフェノールAモノラウレー
ト2モルをp−トルエンスルホン酸を触媒として用い、
200〜220℃で5時間反応してエステル化物(a)
を得た。これとは別にジエチレントリアミン1モルとス
テアリン酸2モル60部と反応して得られたアミド化合
物のエチレンオキシド10モル付加物(b)を得た。エ
ステル化物(a)を成分(A)、アミド化合物のエチレ
ンオキシド10モル付加物(b)を成分(B)として成
分(A)60重量部と成分(B)40重量部を混合し、
水中に分散、エマルション化した。
【0019】(実施例1)アクリロニトリル共重合体を
ジメチルアセトアミドに溶解し、重合体濃度21重量%
6、60℃における粘度が500ポイズの紡糸原液を調
整し、35℃の69重量%ジメチルアセトアミド水溶液
を満たした凝固浴中に孔径0.075mmφ、孔数12
000の紡糸口金より、ドラフト比0.8で吐出し凝固
糸とした。凝固糸は水洗槽中で脱溶媒するとともに5倍
延伸して水膨潤状態のアクリル繊維とした。
【0020】この水膨潤状態にあるアクリル繊維を合成
例で得られたエマルションを満たした槽に導き、エマル
ションを付与した後、表面温度130℃の加熱ロールで
乾燥緻密化、さらに表面温度170℃の加熱ロール間で
1.7倍延伸を施し前駆体アクリル繊維を得た。この前
駆体アクリル繊維は、単糸繊度1.1デニール、引張強
度7g/デニール、伸度10.5%で成分(A)、成分
(B)の繊維への付与量は0.4重量%であった。
【0021】この前駆体アクリル繊維を230〜270
℃の温度勾配を有する耐炎化炉に60分かけて通し、さ
らに窒素雰囲気で300〜1300℃の温度勾配を有す
る炭素化炉で焼成して炭素繊維とした。これら工程中の
工程通過性、得られた炭素繊維の融着数およびストラン
ド強度を表1に示した。
【0022】(実施例2)実施例1と同じ紡糸原液を紡
糸して得られた凝固糸を空気中で1.5%延伸した後、
水洗浴中3.5倍延伸した他は実施例1と同様に操作
し、水膨潤状態のアクリル繊維とした。
【0023】この水膨潤状態にあるアクリル繊維を合成
例で得られたエマルションを満たした槽に導き、エマル
ションを付与した後、表面温度130℃の加熱ロールで
乾燥緻密化、さらに加圧水蒸気中にて2.5倍延伸を施
し前駆体アクリル繊維を得た。この前駆体アクリル繊維
は、単糸繊度1.1デニール、引張強度7g/デニー
ル、伸度13%で成分(A)、成分(B)の繊維への付
与量は0.5重量%であった。
【0024】この前駆体アクリル繊維を実施例1と同様
の条件で耐炎化、炭素化して炭素繊維とした。これら工
程中の工程通過性、得られた炭素繊維の融着数およびス
トランド強度を表1に示した。
【0025】(実施例3)エマルションを満たした槽へ
の浸漬時間を長くして成分(A)、成分(B)の繊維へ
の付与量を0.7重量%とした他は実施例1と同様に操
作して炭素繊維を得た。耐炎化、炭素化工程中の工程通
過性、得られた炭素繊維の融着数およびストランド強度
を表1に示した。
【0026】(比較例1)エマルションを満たした槽へ
の浸漬時間をさらに長くして、成分(A)、成分(B)
の繊維への付与量を1.5重量%とした他は実施例1と
同様に操作して炭素繊維を得た。耐炎化、炭素化工程中
の工程通過性、得られた炭素繊維の融着数およびストラ
ンド強度を表1に示した。
【0027】
【表1】
【0028】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、耐炎化工
程、炭素化工程で前駆体アクリル繊維あるいは耐炎化繊
維の融着を効果的に抑え、かつ、シリコン系油剤を使用
する場合に発生する操業性の低下が発生しない炭素繊維
前駆体アクリル繊維が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 槙嶋 俊裕 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社大竹事業所内 (72)発明者 三瀬 興造 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社大竹事業所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)一般式(1)で表される化合物と
    (B)ポリアミンと脂肪酸を反応して得られるアミド化
    合物のアルキレンオキシド付加物との混合物を0.1〜
    1重量%付与した炭素繊維前駆体アクリル繊維。 【化1】 式(1)中、R1、R2はそれぞれ炭素数8〜22の脂肪
    族カルボン酸残基、R3は炭素数4〜10の飽和脂肪族
    ジカルボン酸残基、また、AOはアルキレンオキシド残
    基である。さらに、n1〜n4はそれぞれ1〜5の整数で
    ある。
  2. 【請求項2】 (A)と(B)との混合物中の(A)と
    (B)の混合比が(A):(B)=8:2〜5:5であ
    る請求項1記載の炭素繊維前駆体アクリル繊維。
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