JP2008063705A - 炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】炭素繊維前駆体アクリル繊維束の段階で単糸間融着がなく、毛羽が実質的に存在せず、耐炎化工程での毛羽、糸切れ及び単糸間融着を効果的に抑え、且つ耐炎化工程においてシリコーン系化合物由来の微粉体の生成量を抑えることにより耐炎化工程での工程通過性が著しく改善された、炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤を提供する。
【解決手段】(A)式(I)の芳香族エステル化合物、(B)式(II−1)の低粘度、高アミノ当量を有するアミノ変性シリコーン、(C)式(II−2)の高粘度、低アミノ当量を有するアミノ変性シリコーン、(D)式(III)のシリコーン結合を有する化合物を特定比率で含む油剤組成物を用いる。
Figure 2008063705

【選択図】なし

Description

本発明は、品質及び物性の優れた炭素繊維を製造するのに好適な炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤に関する。
一般に、炭素繊維前駆体アクリル繊維束を用いて炭素繊維束を製造する方法としては、ポリアクリロニトリル系単繊維を数千から数万本束ねた繊維束を、200〜300℃の酸化性雰囲気下で加熱処理(以下、耐炎化処理あるいは耐炎化工程)を行って耐炎化繊維束を得た後、300〜1000℃の不活性ガス雰囲気下で加熱処理(以下、前炭素化処理あるいは前炭素化工程)し、次いで1000℃以上の不活性ガス雰囲気下で加熱処理(以下、炭素化処理あるいは炭素化工程)を行う方法が知られている。
最初に行う耐炎化処理は、発熱を伴う酸化反応であるため、処理時の温度や酸化反応に伴う多量の発熱のために単繊維間に融着現象が発生し易い。この融着現象が発生した耐炎化繊維束の品質は著しく低下し、例えば、その後の炭素化工程における毛羽発生や糸切れといった障害が発生する。
この融着を回避するためには、耐炎化前のポリアクリルニトリル系繊維束に付与する油剤の選択が重要であることが知られており、多くの油剤が検討されてきている。例えば、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等を配合したシリコーン系油剤は、高い耐熱性を有し、融着を効果的に抑えることから、油剤組成物としてよく使用されている(例えば、特許文献1等)。
しかし炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤には、耐炎化工程において発生する単繊維間の融着現象を抑制するだけでなく、該炭素繊維前駆体アクリル繊維自身に融着がなく、実質的に毛羽を発生させないことも要求される。
例えば、炭素繊維前駆体アクリル繊維束の紡糸工程に用いられる油剤には、紡糸ノズルから吐出された糸条を凝固浴中で凝固させ、水洗、もしくは、延伸−水洗した水膨潤状態の脆弱な繊維を乾燥、加熱して緻密化する乾燥工程において、単繊維間相互の融着を防止して、均一で緻密な繊維構造を形成せしめ、工程通過性の良好な繊維を与える性能が要求される。
しかしながら、シリコーン系油剤は加熱処理したときにゲル化しやすく、前記乾燥工程において、炭素繊維前駆体アクリル繊維表面上でゲル化したシリコーン系油剤自体が単繊維間相互の融着の原因となり、毛羽や糸切れを誘発することがある。あるいは油剤付与後の紡糸工程や、炭素繊維前駆体アクリル繊維束を耐炎化繊維束に転換する耐炎化工程において、繊維表面から脱落した油剤がロールに堆積し、その堆積物が長時間、高温に曝されることによりゲル化し、毛羽や糸切れなどの工程トラブルを誘発することもある。そのため、炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤としてシリコーン系油剤を使用する場合は、長時間高温に曝されてもゲル化しにくい、すなわち耐熱性が高い(以下、耐ゲル化性能、と表すこともある)ことが非常に重要である。
一方、炭素繊維前駆体アクリル繊維束を耐炎化繊維束に転換する耐炎化工程においては、ヒ−タ−などで加熱した酸化性気体をファンにより耐炎化処理炉内を循環させる方式が一般的である。このような構造を有する炉内では、上記シリコ−ン系油剤で処理された炭素繊維前駆体アクリル繊維束の耐炎化において、該シリコ−ン系油剤の一部は、耐炎化工程中に酸化性気体中へ揮発し、揮発したシリコ−ン系化合物は、耐炎化炉内に長期間滞留することになる。
繊維束に残留するシリコ−ン系化合物が、耐炎化工程中の単繊維間の融着を防止し、さらに繊維束の収束性を維持し、単糸切れを抑制する一方で、耐炎化工程中に揮発し、耐炎化炉中に長時間滞在化したシリコ−ン系化合物は、固化し、それが微粉体として処理中の繊維束にも付着する。さらに、微粉体の付着点は、その後の高温炭素化工程で毛羽の発生や単糸切れの発生起点となり、得られる炭素繊維の性能を著しく低下させることも明らかになった。
また、シリコーン以外の油剤成分やポリアクリロニトリル成分由来のタール成分、炭素繊維前駆体アクリル繊維束が炉外から持ち込む粉塵や供給雰囲気に含まれている粉塵なども炭素繊維の強度を低下させる要因となるが、シリコーン系油剤に起因した前記シリコーン系化合物の微粉体(以下、シリコーン系化合物由来の微粉体、あるいはシリカ化合物微粉体とあらわす)による影響が特に顕著である。
したがって、長期にわたって耐炎化処理工程を稼動させ続けることは困難であり、頻繁に稼動を停止して、炉内清掃を行う必要がある。しかし、粒径が数μm程度の微粒子を完全に除去することは困難であり、とくに大型設備の場合には、炉内清掃に要する人員、時間を多大に費やすこととなる。
また、炉内を清掃した後の後再稼動時の初期に得られる耐炎化繊維束の単繊維表面には、微粉体が多く存在し、さらにはその耐炎繊維束を炭素化して得られる炭素繊維の強度が著しく低下する現象が確認されている。
すなわち、炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤に対しては、上記の耐ゲル化性能に加えて、シリコーン系化合物由来の微粉体の発生量を極力少なくすることも要求される。
上記の課題を同時に解決する方法としては、例えば、アミノ変性シリコーン等を配合しない非シリコーン系の油剤について、古くから様々なものが提案されている。例えば、ポリブテン(特許文献2参照)、ポリオキシエチレン高級脂肪族アルキルエーテルと酸化防止剤の配合品(特許文献3参照)、ネオペンチルアルコール誘導体(特許文献4参照)、アルキル又はアルケニルチオ脂肪酸エステル(特許文献5参照)、高分子アミド化合物(特許文献6参照)、脂肪酸エステルのアンモニウム塩(特許文献7参照)、フッ素系界面活性剤(特許文献8参照)、芳香族複合エステルとアミド化合物(特許文献9参照)などがある。
しかしながら、非シリコーン系油剤は、焼成時に酸化珪素等の発生がないことや原料が安価なことなど有利な点もあるが、シリコーン系油剤に比べて熱安定性が劣るものが多く、これにより焼成工程での融着による毛羽・束切れトラブルの原因になると共に、ストランド強度など炭素繊維の性能もシリコーン系油剤を使用した場合に比べて劣るため、プレカーサーに使用される機会は一部の品種に限られていた。
あるいは、シリコーン系化合物と非シリコーン系化合物とを組み合わせて、焼成工程中に発生するシリコーン系化合物由来の微粉体量を削減する技術が提案されている(特許文献10参照)が、シリコーン成分と非シリコーン成分との相容性が低く、繊維表面上にシリコーン成分と非シリコーン成分の混和物を均一に付着させる事ができないという問題があった。そのため、シリコーン成分が偏在した部位においてゲル化が進行しやすくなり、炭素繊維前駆体アクリル繊維束の紡糸工程における乾燥工程において、単繊維間相互の融着を回避できず、工程通過性を低下させる恐れがあった。また非シリコーン成分が偏在した部位、すなわちシリコーン成分が少ない、あるいは実質的に存在しない部位においては、上記のように非シリコーン成分を単独で用いた場合に生じやすい焼成工程での融着による毛羽・束切れ、あるいはストランド強度の低下が起こりやすくなるため、結果としてシリコーン成分の耐熱性、単繊維間の平滑性および剥離性といった性能を十分発揮させるためには油剤の付着量を上げるか、シリコーン成分の含有量を増やす必要があり、焼成工程中に発生するシリコーン系化合物量を削減することは困難であった。
特開平11−12855号公報 特開昭54−73999号公報 特開昭58−120819号公報 特開昭62−231078号公報 特開昭58−214581号公報 特開平8−260254号公報 特開昭57−112410号公報 特開昭59−228069号公報 特開平9−78340号公報 特開2000−199183号公報
本発明の目的は、炭素繊維前駆体アクリル繊維束の段階で単糸間融着がなく、毛羽が実質的に存在せず、耐炎化工程での毛羽、糸切れ及び単糸間融着を効果的に抑え、且つ耐炎化工程においてシリコーン系化合物由来の微粉体の生成量を抑えることにより耐炎化工程での工程通過性が著しく改善された、炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤を提供することにある。
発明者らは、特定のアミノ変性シリコーン、特定の非シリコーン成分、及び特定の化合物を添加することにより、油剤の耐ゲル化性能が格段に向上し、炭素繊維前駆体アクリル繊維束の段階で単糸間融着がなく、毛羽が実質的に存在せず、また耐炎化工程での毛羽、糸切れ及び単糸間融着を効果的に抑え、かつ耐炎化工程でのシリコーン系化合物由来の微粉体の生成量を抑えることにより工程通過性が著しく改善され、かつ強度の高い炭素繊維が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明の要旨は、以下の成分;
(A)式(I)で示される芳香族エステル化合物を20〜85質量%;
Figure 2008063705
(式(I)において、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数7〜21のアルキル基であり、AおよびAはそれぞれ独立してエチレン基またはプロピレン基であり、mおよびnはそれぞれ独立して1〜5である)
(B)25℃における粘度が80〜250cSt、アミノ当量が4500〜7500g/molである式(II)で示される1級側鎖タイプのアミノ変性シリコーンを0〜64質量%;
Figure 2008063705
(式(II−1)において、“j”は0.8〜1.5である。また、“k”は0〜5である。)
(C)25℃における粘度が1500〜2500cSt、アミノ当量が3000〜4500g/molである式(II−2)で示される1級側鎖タイプのアミノ変性シリコーンを5〜13質量%;
Figure 2008063705
(式(II−2)において、“p”は3〜15である。また、“q”は0〜5である。)
(D)式(III)で示される化合物を5〜13質量%;
Figure 2008063705
(式(III)において、Rは炭素数3のアルキル基であり、“a”は10〜30である。また、“b”は10〜200である。)
を含有する混合物を主成分とする炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤組成物であり、この炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤組成物100質量部と界面活性剤10〜35質量部とを水中に分散してなる、炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤である。
本発明の炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤組成物を用いることにより、油剤の耐ゲル化性能が格段に向上し、炭素繊維前駆体アクリル繊維束の段階で単糸間融着がなく、毛羽が実質的に存在せず、また耐炎化工程での毛羽、糸切れ及び単糸間融着を効果的に抑え、かつ耐炎化工程でのシリコーン系化合物由来の微粉体の生成量を抑えることにより工程通過性が著しく改善され、かつ強度の高い炭素繊維が得られる。
炭素繊維前駆体アクリル繊維束は、アクリロニトリル系重合体を有機溶剤あるいは無機溶剤に溶解し、通常用いられる方法にて紡糸して得られるもので、紡糸の方法、条件には特に制限はない。
アクリロニトリル系重合体は、好ましくはアクリロニトリル85質量%以上、より好ましくは90質量%以上を含有する重合体を使用する。このアクリロニトリル系重合体としては、アクリロニトリルの単独重合体または共重合体あるいはこれらの重合体の混合重合体を使用し得る。
アクリロニトリル系共重合体は、アクリロニトリルと共重合しうる単量体とアクリロニトリルとの共重合生成物であり、アクリロニトリルと共重合しうる単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸等の酸類およびそれらの塩類や、マレイン酸イミド、フェニルマレイミド、(メタ)アクリルアミド、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、スチレンスルホン酸ソーダ、アリルスルホン酸ソーダ、β−スチレンスルホン酸ソーダ、メタアリルスルホン酸ソーダ等のスルホン基を含む重合性不飽和単量体、2−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン等のピリジン基を含む重合性不飽和単量体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
重合法については、従来公知の溶液重合、懸濁重合、乳化重合などを適用することができる。得られたアクリル系重合体を、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、塩化亜鉛水溶液、硝酸などに溶解して、紡糸口金を通して凝固液に吐出して凝固糸を得る。
凝固糸を得る紡糸方法は、湿式紡糸法、乾湿式紡糸法、乾式紡糸法などを採用できる。得られた凝固糸を延伸する。この際、凝固糸を凝固浴中または延伸浴中で延伸してもよいし、一部空中延伸した後に、浴中延伸してもよい。浴中延伸は通常50〜98℃の延伸浴中で1回あるいは2回以上の多段に分割するなどして行われ、その前後、あるいは同時に洗浄を行ってもよい。
この紡糸工程において、炭素繊維前駆体アクリル繊維束に油剤を付与すると、紡糸工程での炭素繊維前駆体アクリル繊維束の収束性、柔軟性、平滑性を改善でき、帯電を防止することができる。紡糸工程で付与する油剤は、均一に付与せしめるために、浴中延伸、洗浄後の水膨潤状態にある繊維束に対して付与することが好ましい。
油剤の付与方法は特に制限はなく、一般に用いられているように、油剤を水に分散させた処理液が入った油剤処理槽に炭素繊維前駆体アクリル繊維束を浸漬し、油剤を付着させる方法が工業的観点から好ましい。
油剤を付着させた凝固糸を、例えば加熱ローラーを用いて乾燥して緻密化する。乾燥温度、時間は適宜選択することができるが、120℃〜190℃の加熱ローラーにより乾燥緻密化することが好ましい。加熱ローラーの温度が120℃以上であれば、加熱ローラーの本数を多くする必要がなく、また、加熱ローラーの温度が190℃以下であれば、単繊維間融着が生じることがなく、炭素繊維の性能を低下させることがない。
高倍率の延伸が可能であること、より最終紡速を高くすることができること、得られる繊維の緻密性や配向度向上に寄与することから、上記乾燥緻密化により得られた繊維を更に乾熱延伸またはスチーム延伸を施してもよい。乾熱延伸は2本の熱ロール間で行ってもよいし、更にその熱ロール間に設置したホットプレートに繊維を接触させて行ってもよい。スチーム延伸は加圧水蒸気雰囲気中で延伸を行う加圧水蒸気延伸法により行うことが好ましい。
本発明の炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤組成物(以下、油剤組成物という)には、成分Aとして式(I)で示される芳香族エステル化合物が含まれる。
Figure 2008063705
(式(I)において、R1およびR2はそれぞれ独立して炭素数7〜21のアルキル基であり、A1およびA2はそれぞれ独立してエチレン基またはプロピレン基であり、mおよびnはそれぞれ独立して1〜5である)
上記のR1部またはR2部を形成するカルボン酸としては、一価の飽和脂肪族カルボン酸が好ましく、さらに好ましくは鎖状高級脂肪酸で、具体的にはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等が挙げられる。また、“m”および“n”が上述の範囲を超えると、耐熱性が低下し、乾燥工程で単繊維間の接着が起きる場合がある。A1及びA2は、複数存在する場合、エチレン基とプロピレン基が混在していても良い。なお、式(1)で示される芳香族エステルは、複数の化合物の混合物である場合もあり、したがって、“m”および“n”は整数でない場合もあり得る。
本発明の油剤組成物には、成分Bとして式(II−1)及び成分Cとして式(II−2)で示されるアミノ変性シリコーンが含まれる。なお、成分Bは任意成分であり、含まれない場合もある。
Figure 2008063705
(式(II−1)において、“j”は0.8〜1.5である。また、“k”は0〜5である。)
Figure 2008063705
(式(II−2)において、“p”は3〜15である。また、“q”は0〜5である。)
上記の式(II−1)及び(II−2)のアミノ変性部が、アミノプロピル基(−C36NH2)、すなわち、式(II−1)及び(II−2)のアミノ変性部において“k”=3及び“q”=3であることが特に好ましい。
なお、式(II−1)及び(II−2)で示されるアミノ変性シリコーンは、複数の化合物の混合物である場合もあり、したがって、“i,j,k”、“o,p,q”はそれぞれ整数でない場合もあり得る。
式(II−1)で示されるアミノ変性シリコーンの粘度は、25℃で測定して80〜250cStである。好ましくは120〜200cStである。
80cSt以上であれば、耐炎化工程で容易に分解、揮発することがなく、単繊維間の融着防止効果を発揮させることができる。
また、250cSt以下であると水中への分散性や、あるいは溶解性が容易であり、繊維の表面に均一に付与することができる。また、紡糸工程や耐炎化工程における加熱処理の際に、ゲル化を効果的に抑制する事ができる。
式(II−1)で示されるアミノ変性シリコーンのアミノ当量は、4500〜7500g/molである。好ましくは5000〜7000g/molである。4500g/mol以上であれば、耐炎化工程においてシリコーン骨格が分解することがない。また、7500g/mol以下であれば、耐炎化工程における融着に起因するストランド強度の低下等の、炭素繊維の物性低下をもたらすことがない。
式(II−1)の“j”の範囲は油剤のゲル化を防止するために、0.8〜1.5であることが重要である。好ましくは0.9〜1.3である。
本発明で用いられる式(II−1)で示されるアミノ変性シリコーンは、上記の“j”の範囲”、“粘度の範囲”、“アミノ当量の範囲”の3つの条件を同時に満たす事が重要である。これらが満足されるアミノ変性シリコーンを用いると、加熱処理における油剤のゲル化を効果的に防止することができる。
また、本発明で用いられる式(II−1)で示されるアミノ変性シリコーンは、上記の“jの範囲”、“粘度の範囲”、“アミノ当量の範囲”の3つの条件を同時に満たしていれば、“i”の範囲は、50〜140の範囲で適宜選択する事ができる。
式(II−2)で示されるアミノ変性シリコーンの粘度は、25℃で測定して1500〜2500cStである。
式(II−2)で示されるアミノ変性シリコーンのアミノ当量は、3000g/mol〜4500g/molである。3000g/mol以上であれば、耐炎化工程においてシリコーン骨格が分解することがなく、良好な機械的物性を発現する炭素繊維を得ることができる。また、4500g/mol以下であれば、耐炎化工程における融着に起因するストランド強度の低下等の、炭素繊維の物性低下をもたらすことがない。
式(II−2)の“p”の範囲は3〜15であることが良好な機械的物性を発現する炭素繊維を得るために重要である。好ましくは5〜13である。“p”が15よりも大きくなると油剤のゲル化を防止することが困難となる。
式(II−2)で示されるアミノ変性シリコーンは、上記の“pの範囲”、“粘度の範囲”、“アミノ当量の範囲”の3つの条件を同時に満たす事が重要である。これらが満足されるアミノ変性シリコーンを用いると、良好な機械的物性を発現する炭素繊維を得ることができる。
また、本発明で用いられる式(II−2)で示されるアミノ変性シリコーンは、上記の“pの範囲”、“粘度の範囲”、“アミノ当量の範囲”の3つの条件を同時に満たしていれば、“o”の範囲は、500〜750の範囲で適宜選択する事ができる。
本発明の油剤組成物には、成分Dとして式(III)で示される化合物が含まれる。
Figure 2008063705
(式(III)において、Rは炭素数3のアルキル基であり、“a”は10〜30である。また、“b”は10〜200である。)
式(III)で示される化合物は、分子構造中に珪素原子を含む化合物であることが必要である。珪素原子を含まない化合物では、シリコーン成分と非シリコーン成分との相容性が十分なものにはならず、繊維表面上にシリコーン成分と非シリコーン成分の混和物を均一に付着させる事ができず、結果としてシリコーン成分が偏在した部位においてゲル化が進行しやすくなり、炭素繊維前駆体の紡糸工程(乾燥工程)において、単繊維間相互の融着を回避できず、工程通過性を低下させる事となる。
式(III)の“a”の範囲は10〜30であることが好ましい。“a”がこの範囲にあれば非シリコーン成分との間で十分な相容性が得られる。
また“b”の範囲は10〜200であることが好ましい。より好ましくは“b”の範囲は15〜150であり、さらに好ましくは“b”の範囲は15〜100であることが油剤のゲル化を防止するために重要である。“b”がこの範囲にあればシリコーン成分との間で十分な相容性が得られる。
式(III)で示される化合物としては、具体的にはGelest社製商品名「DBL−C31」、信越化学工業株式会社製商品名「X−22−6133」,「X−22−6132」などが挙げられる。
本発明の油剤組成物における式(I)で示される上記芳香族エステル化合物の含有率は20〜85質量%の範囲内である。20質量%より少ないとシリコーン系化合物由来の微粉体発生量を減じるという目的を達成するには不十分である。また、85質量%より多いと炭素繊維前駆体アクリル繊維束の製糸工程や高温焼成処理における接着を抑制する効果が不十分で、工程通過性や炭素繊維束の性能が低下する可能性があるため好ましくない。
本発明の油剤組成物において、式(II−1)で示されるアミノ変性シリコ−ンの含有率は0〜64質量%の範囲内である。64質量%を超えると上記芳香族エステル、あるいは式(II−1)で示されるアミノ変性シリコ−ンの含有割合が少なくなる事により、耐炎化工程におけるシリコーン系化合物由来の微粉体発生量を減じる事や、良好な機械的物性を発現する炭素繊維を得るには不十分となる。
式(II−2)で示されるアミノ変性シリコ−ンの含有率は5〜13質量%の範囲内である。5質量%以上あれば、良好な機械的物性を発現する炭素繊維を得ることができる。13質量%以上では、紡糸工程や耐炎化工程における加熱処理の際に、ゲル化を抑制する事が困難となり、毛羽・糸切れといった工程トラブルの原因となる。
油剤組成物中の式(III)で示される化合物の含有量は、5〜13質量%である。5質量%以上であれば、シリコーン成分と非シリコーン成分の相容効果が十分に得られ、繊維表面上にシリコーン成分と非シリコーン成分の混和物を均一に付着させる事ができ、結果とし紡糸工程や耐炎化工程における加熱処理の際に、ゲル化を抑制する事ができ、毛羽・糸切れといった工程トラブルを抑制することができる。13質量%よりも多くなると、耐炎化炉内におけるシリコーン系化合物由来の微粉体発生量を増加させてしまい、得られる炭素繊維の性能を著しく低下させるため好ましくない。
本発明では、上記成分A、成分C、成分Dを必須成分とし、成分Bを任意成分として、これらの成分を上記の質量比で含有する混合物を主成分とする炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤組成物とすることが非常に重要である。これらの成分を上記の質量比で、かつ繊維表面に均一に存在させることにより、炭素繊維前駆体アクリル繊維の段階で単糸間融着がなく、毛羽が実質的に存在せず、また耐炎化工程での前駆体繊維の毛羽・糸切れ、及び単糸間融着を効果的に抑制する、といったアミノ変性シリコーン本来の性能を発現しつつ、紡糸工程や耐炎化工程における加熱処理における油剤のゲル化を効果的に抑制する事ができ、さらには耐炎化炉内におけるシリコーン系化合物由来の微粉体発生が抑制され、高品位で良好な機械的物性を発現する炭素繊維を得ることが可能となる。
油剤中の上記成分Aの芳香族エステル化合物の熱劣化を防止することを目的として、酸化防止剤を用いても良い。ここで、酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル‐ジトリデシルホスファイト)等並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
酸化防止剤は、油剤組成物全体量に対し1〜10質量%であることが好ましい。1質量%以上であれば、熱劣化の防止効果が十分に得られ、また、10質量%以下であれば、油剤の乳化安定性が損なわれることもなく、炭素繊維前駆体アクリル繊維束の焼成工程において酸化防止剤の残渣が炭素繊維に残存することもない。
本発明の油剤は、油剤組成物を水に分散させた処理液として用いる。その際、水に油剤組成物を例えば0.1〜数10μmの大きさの細かい粒子として均一に分散させるため、界面活性剤を用いる。界面活性剤にはイオン型、非イオン型があり、イオン型はアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤がある。本発明に用いる界面活性剤は、焼成工程で欠陥の形成点となる金属を含まない非イオン型界面活性剤が好ましく用いられる。
非イオン型界面活性剤としては、例えば高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物が挙げられ、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物が好ましく、中でもポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物が更に好ましい。ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物の構造は、ブロック共重合型ポリエーテルが好ましい。
界面活性剤の量は、油剤組成物100質量部に対し10〜35質量部であることが好ましい。10質量部よりも少ないと油剤乳化物の安定性が低下して繊維への付着斑(ムラ)が生じる傾向があり、また、35質量部より多いと炭素繊維の性能が低下する傾向がある。
油剤組成物と界面活性剤からなる油剤の付着量は、乾燥繊維束に対して油剤が0.1〜3.0質量%含まれるようにすることが好ましい。油剤の付着量は、例えば油剤組成物を水に分散させた後の油剤の濃度を調整したり、ニップロールなどによる液の絞りを調整したりすることにより調整できる。
その他、油剤には、炭素繊維前駆体アクリル繊維束および炭素繊維の特性向上のために帯電防止剤、浸透剤、消泡剤、防腐剤などを適宜配合してもよい。
炭素繊維前駆体アクリル繊維束を耐炎化工程に導入して耐炎化繊維束を得る。耐炎化条件としては、200〜300℃の酸化性雰囲気中、緊張あるいは延伸条件下で、耐炎化処理後の耐炎化繊維の密度が1.30g/cm3〜1.50g/cm3になるまで加熱するのことが好ましい。耐炎化工程での加熱方法、炉の構造としては、熱風循環方式、多孔板表面を有する固定熱板方式などを用いることができる。
こうして得られた耐炎化繊維束を、不活性ガス雰囲気下で前炭素化、炭素化処理することにより、炭素繊維束を得ることができる。耐炎化繊維束の前炭素化条件としては、最高温度が550〜800℃の不活性雰囲気中、緊張下で、300〜500℃の温度領域においては、500℃/分以下、好ましくは300℃/分以下の昇温速度で前炭素化処理をすることが炭素繊維の機械的特性を向上させるために有効である。雰囲気については、窒素、アルゴン、ヘリウム、など公知の不活性雰囲気を採用できるが、経済性の面から窒素が望ましい。
前炭素化繊維束の炭素化条件としては、1200〜3000℃の不活性雰囲気中、1000〜1200℃の温度領域において、500℃/分以下、好ましくは300℃/分以下の昇温速度で炭素化処理をすることが炭素繊維の機械的特性を向上させるために有効である。雰囲気については、窒素、アルゴン、ヘリウム、など公知の不活性雰囲気を採用できるが、経済性の面から窒素が望ましい。
得られた炭素繊維束は、電解液中で電解酸化処理を施したり、気相又は液相での酸化処理を施したりすることによって、複合材料における炭素繊維とマトリックス樹脂との親和性や接着性を向上させることが好ましい。さらに、必要に応じてサイジング剤を付与することができる。
以下に本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
<実施例1>
なお、実施例中の評価は次の方法に拠った。
〔油剤の耐熱性測定、評価方法(ゲル開始時間とゲル化度)〕
アルミシャーレ(直径45mm、深さ10mm)に本発明の油剤2.0gを精秤し、105℃で1時間予備乾燥後、空気中250℃で5時間加熱する。一定時間毎に観察を行い(目視)、ゲルが発生し始めるまでの時間(ゲル開始時間)と5時間経過後のゲル化した部位の割合(ゲル化度)を評価した。ゲルが発生し始めるまでの時間が長く、かつゲル化度が小さいほど、耐熱性に優れていて、油剤エマルジョン付着後の乾燥工程や耐炎化工程での工程通過性が良いこと、即ちゲル化したシリコーン系油剤により誘発される毛羽、糸切れが少ないことを意味する。
〔炭素繊維前駆体アクリル繊維への油剤付着量〕
105℃で2時間乾燥させた試料を約2g精秤(W1)し、次いでソックスレー抽出器によりメチルエチルケトンを用いて95℃、8時間で油剤を抽出後、試料を再度105℃で2時間乾燥させてから精秤(W2)し、下記式により油剤付着量を算出した。
(W1−W2)/W2=油剤付着量(%)
〔単繊維間融着の測定、評価方法(融着数)〕
炭素繊維トウを3mm長に切断し、アセトン中に分散させ、マグネティックスターラーを用い10分間撹拌した後の全単繊維数と融着数を計数し、繊維100本当たりの融着数を算出した。評価基準は下記の通りである。
○:融着数(個/100本)≦1
×:1<融着数(個/100本)
〔シリコーン系化合物由来のシリカ化合物飛散量評価〕
シリコーン系化合物由来のシリカ化合物飛散量の評価は、炭素繊維前駆体アクリル繊維の珪素(Si)含有量と、耐炎化繊維のSi含有量との差から計算されるSi量の変化を、Si飛散量として評価した。炭素繊維前駆体アクリル繊維の耐炎化処理は、単繊維繊度1.2dtex、フィラメント数12000の炭素繊維前駆体アクリル繊維束に対し、2kgの荷重を付与しつつ、空気中230℃で10分間加熱処理して耐炎化繊維束を得る。このときの加熱処理に用いたバッチ式耐炎化路炉の構造は、繊維束に対して垂直に熱風が循環する熱風循環炉であり、熱風の循環量は0.5m/秒である。次に、鋏で細かく粉砕した試料(炭素繊維前駆体アクリル繊維、耐炎化繊維)を密閉るつぼに50mg秤量し、粉末状としたNaOH、KOHを各0.25g加え、マッフル炉にて210℃で150分間加熱分解する。これを蒸留水で溶解し100mlに定容したもの測定試料としてICP発光分析法にてSi含有量を求めた。ICP発光分析装置として、サーモエレクトロン(株)社製「IRIS Advantage AP」を用いた。
〔樹脂含浸炭素繊維ストランドの強度、弾性率(CF強度、弾性率)〕
JIS−R−7601に準じたエポキシ樹脂含浸炭素繊維ストランドについて、強度、弾性率を測定した。測定回数n=10の平均から求めた値である。
<炭素繊維前駆体アクリル繊維の製造>
アクリロニトリル共重合体を、共重合体濃度21質量%となるようにジメチルアセトアミドに溶解して紡糸原液とした。この紡糸原液を、12000のノズル孔を有する紡糸口金を用いて濃度70質量%、温度35℃のジメチルアセトアミド水溶液中に吐出して湿式紡糸した。次に、凝固繊維を空中にて1.5倍の延伸を施し、沸水中で3倍延伸しながら洗浄、脱溶剤して凝固糸を得た。
その後、表1に示した組成の油剤の水分散液が入った油剤処理槽に凝固糸を浸漬し、紡糸工程油剤を付着させた後、140℃の加熱ローラーにて乾燥緻密化し、加圧水蒸気中にて3倍延伸し、単繊維繊度1.2dtexの炭素繊維前駆体アクリル繊維束を得た。
油剤は、表1[実施例1]に示す各成分を混合したものにイオン交換水を加え、ホモミキサーで乳化し、さらに乳化粒径が0.3μm程度になるよう高圧ホモジナイザーで圧力を調整し二次乳化を行うことによって得た。
この炭素繊維前駆体アクリル系繊維束を空気中230〜260℃で緊張下に加熱し密度1.35g/cm3の耐炎化繊維束を得た。
こうして得た耐炎化繊維束を、窒素雰囲気中、700℃で緊張下に加熱し前炭素化繊維束とした。この前炭素化処理での300〜500℃での昇温速度は200℃/分とした。得られた前炭素化繊維束を窒素雰囲気中1300℃で緊張下に加熱し炭素化繊維束とした。この炭素化処理での1000〜1200℃での昇温速度は400℃/分とした。得られた炭素化繊維束を表面処理後、サイジング剤を付与し、炭素繊維束を得た。
油剤のゲル化度評価では、5時間経過後もゲル化は起こらず、紡糸工程中及び焼成工程中において単繊維切れ・毛羽の発生はほとんど認められなかった。炭素繊維前駆体アクリル系繊維のSi含有量と耐炎化繊維のSi含有量から計算されるバッチ式耐炎化炉へのSi飛散量は、炭素繊維前駆体アクリル系繊維1kg当たり0.118gであり、油剤組成物がシリコーン系化合物だけで構成された比較例6の場合と比較して、Si飛散量は約59%減少した。単繊維間の融着数の評価結果も良好であり、CF強度も高かった。評価結果を表1に示す。
<実施例2>
表1[実施例2]に示した油剤の組成とした以外は、実施例1と同様の方法で炭素繊維前駆体アクリル繊維束、耐炎化繊維束、並びに炭素化繊維束を製造し評価した。
油剤のゲル化度評価では、5時間経過後もゲル化は起こらず、紡糸工程中及び焼成工程中において単繊維切れ・毛羽の発生はほとんど認められなかった。Si飛散量は、炭素繊維前駆体アクリル系繊維1kg当たり0.120gであり、油剤組成物がシリコーン系化合物だけで構成された比較例6の場合と比較して、Si飛散量は約59%減少した。単繊維間の融着数の評価結果も良好であり、CF強度も非常に優れた値となった。評価結果を表1に示す。
<実施例3>
表1[実施例3]に示した油剤の組成とした以外は、実施例1と同様の方法で炭素繊維前駆体アクリル繊維束、耐炎化繊維束、並びに炭素化繊維束を製造し評価した。
油剤のゲル化度評価では、5時間経過後もゲル化は起こらず、紡糸工程中及び焼成工程中において単繊維切れ・毛羽の発生はほとんど認められなかった。Si飛散量は、炭素繊維前駆体アクリル系繊維1kg当たり0.043gであり、油剤組成物がシリコーン系化合物だけで構成された比較例6の場合と比較して、Si飛散量は約85%減少した。単繊維間の融着数の評価結果も良好であり、CF強度も非常に優れた値となった。評価結果を表1に示す。
<実施例4>
表1[実施例4]に示した油剤の組成とした以外は、実施例1と同様の方法で炭素繊維前駆体アクリル繊維束、耐炎化繊維束、並びに炭素化繊維束を製造し評価した。
油剤のゲル化度評価では、240分経過後に一部ゲル化が生じたものの、5時間経過後のゲル化部割合は10%と少なく、紡糸工程中及び焼成工程中において単繊維切れ・毛羽の発生はほとんど認められなかった。Si飛散量は、炭素繊維前駆体アクリル系繊維1kg当たり0.147gであり、油剤組成物がシリコーン系化合物だけで構成された比較例6の場合と比較して、Si飛散量は約50%減少した。単繊維間の融着数の評価結果も良好であり、CF強度も高かった。評価結果を表1に示す。
<実施例5>
表1[実施例5]に示した油剤の組成とした以外は、実施例1と同様の方法で炭素繊維前駆体アクリル繊維束、耐炎化繊維束、並びに炭素化繊維束を製造し評価した。
油剤のゲル化度評価では、220分経過後に一部ゲル化が生じたものの、5時間経過後のゲル化部割合は20%と少なく、紡糸工程中及び焼成工程中において単繊維切れ・毛羽の発生はほとんど認められなかった。Si飛散量は、炭素繊維前駆体アクリル系繊維1kg当たり0.134gであり、油剤組成物がシリコーン系化合物だけで構成された比較例6の場合と比較して、Si飛散量は約54%減少した。単繊維間の融着数の評価結果も良好であり、CF強度も高かった。評価結果を表1に示す。
<実施例6>
表1[実施例6]に示した油剤の組成とした以外は、実施例1と同様の方法で炭素繊維前駆体アクリル繊維束、耐炎化繊維束、並びに炭素化繊維束を製造し評価した。
油剤のゲル化度評価では、220分経過後に一部ゲル化が生じたものの、5時間経過後のゲル化部割合は20%と少なく、紡糸工程中及び焼成工程中において単繊維切れ・毛羽の発生はほとんど認められなかった。Si飛散量は、炭素繊維前駆体アクリル系繊維1kg当たり0.035gであり、油剤組成物がシリコーン系化合物だけで構成された比較例6の場合と比較して、Si飛散量は約88%減少した。単繊維間の融着数の評価結果も良好であり、CF強度も高かった。評価結果を表1に示す。
<実施例7>
表1[実施例7]に示した油剤の組成とした以外は、実施例1と同様の方法で炭素繊維前駆体アクリル繊維束、耐炎化繊維束、並びに炭素化繊維束を製造し評価した。
油剤のゲル化度評価では、230分経過後に一部ゲル化が生じたものの、5時間経過後のゲル化部割合は10%と少なく、紡糸工程中及び焼成工程中において単繊維切れ・毛羽の発生はほとんど認められなかった。Si飛散量は、炭素繊維前駆体アクリル系繊維1kg当たり0.119gであり、油剤組成物がシリコーン系化合物だけで構成された比較例6の場合と比較して、Si飛散量は約59%減少した。単繊維間の融着数の評価結果も良好であり、CF強度も高かった。評価結果を表1に示す。
<実施例8>
表1[実施例8]に示した油剤の組成とした以外は、実施例1と同様の方法で炭素繊維前駆体アクリル繊維束、耐炎化繊維束、並びに炭素化繊維束を製造し評価した。
油剤のゲル化度評価では、220分経過後に一部ゲル化が生じたものの、5時間経過後のゲル化部割合は20%と少なく、紡糸工程中及び焼成工程中において単繊維切れ・毛羽の発生はほとんど認められなかった。Si飛散量は、炭素繊維前駆体アクリル系繊維1kg当たり0.106gであり、油剤組成物がシリコーン系化合物だけで構成された比較例6の場合と比較して、Si飛散量は約64%減少した。単繊維間の融着数の評価結果も良好であり、CF強度も高かった。評価結果を表1に示す。
<実施例9>
表1[実施例9]に示した油剤の組成とした以外は、実施例1と同様の方法で炭素繊維前駆体アクリル繊維束、耐炎化繊維束、並びに炭素化繊維束を製造し評価した。
油剤のゲル化度評価では、220分経過後に一部ゲル化が生じたものの、5時間経過後のゲル化部割合は20%と少なく、紡糸工程中及び焼成工程中において単繊維切れ・毛羽の発生はほとんど認められなかった。Si飛散量は、炭素繊維前駆体アクリル系繊維1kg当たり0.048gであり、油剤組成物がシリコーン系化合物だけで構成された比較例6の場合と比較して、Si飛散量は約83%減少した。単繊維間の融着数の評価結果も良好であり、CF強度も高かった。評価結果を表1に示す。
<実施例10>
表1[実施例10]に示した油剤の組成とした以外は、実施例1と同様の方法で炭素繊維前駆体アクリル繊維束、耐炎化繊維束、並びに炭素化繊維束を製造し評価した。
油剤のゲル化度評価では、5時間経過後もゲル化は起こらず、紡糸工程中及び焼成工程中において単繊維切れ・毛羽の発生はほとんど認められなかった。Si飛散量は、炭素繊維前駆体アクリル系繊維1kg当たり0.132gであり、油剤組成物がシリコーン系化合物だけで構成された比較例6の場合と比較して、Si飛散量は約55%減少した。単繊維間の融着数の評価結果も良好であり、CF強度も非常に優れた値となった。評価結果を表1に示す。
<実施例11>
表1[実施例11]に示した油剤の組成とした以外は、実施例1と同様の方法で炭素繊維前駆体アクリル繊維束、耐炎化繊維束、並びに炭素化繊維束を製造し評価した。
油剤のゲル化度評価では、220分経過後に一部ゲル化が生じたものの、5時間経過後のゲル化部割合は10%と少なく、紡糸工程中及び焼成工程中において単繊維切れ・毛羽の発生はほとんど認められなかった。Si飛散量は、炭素繊維前駆体アクリル系繊維1kg当たり0.119gであり、油剤組成物がシリコーン系化合物だけで構成された比較例6の場合と比較して、Si飛散量は約59%減少した。単繊維間の融着数の評価結果も良好であり、CF強度も高かった。評価結果を表1に示す。
<実施例12>
表1[実施例12]に示した油剤の組成とした以外は、実施例1と同様の方法で炭素繊維前駆体アクリル繊維束、耐炎化繊維束、並びに炭素化繊維束を製造し評価した。
油剤のゲル化度評価では、220分経過後に一部ゲル化が生じたものの、5時間経過後のゲル化部割合は10%と少なく、紡糸工程中及び焼成工程中において単繊維切れ・毛羽の発生はほとんど認められなかった。Si飛散量は、炭素繊維前駆体アクリル系繊維1kg当たり0.049gであり、油剤組成物がシリコーン系化合物だけで構成された比較例6の場合と比較して、Si飛散量は約84%減少した。単繊維間の融着数の評価結果も良好であり、CF強度も高かった。評価結果を表1に示す。
<比較例1>
表1[比較例1]に示した油剤の組成とした以外は、実施例1と同様の方法で炭素繊維前駆体アクリル繊維束、耐炎化繊維束、並びに炭素化繊維束を製造し、評価した。
油剤のゲル化度評価では、5時間経過後もゲル化は起こらず、紡糸工程中及び焼成工程中において単繊維切れ・毛羽の発生はほとんど認められなかった。また、Si飛散量は、炭素繊維前駆体アクリル系繊維1kg当たり0.131gであり、油剤組成物がシリコーン系化合物だけで構成された比較例6の場合と比較して、Si飛散量は約55%減少した。得られた炭素繊維束の単繊維間の融着数も少なかったが、CF強度は低く満足できるものではなかった。評価結果を表1に示す。
<比較例2>
表1[比較例2]に示した油剤の組成とした以外は、実施例1と同様の方法で炭素繊維前駆体アクリル繊維束、耐炎化繊維束、並びに炭素化繊維束を製造し、評価した。
油剤のゲル化度評価では、60分経過後にゲル化が起こり、5時間経過後のゲル化部の割合は50%と多く、紡糸工程中及び焼成工程中において単繊維切れ・毛羽の発生が認められた。Si飛散量は、炭素繊維前駆体アクリル系繊維1kg当たり0.118gであり、油剤組成物がシリコーン系化合物だけで構成された比較例6の場合と比較して、Si飛散量は約60%減少したが、得られた炭素繊維束の単繊維間の融着数は多かった。CF強度は高かったが、工程安定性は悪く、得られた炭素繊維の品位も低かった。評価結果を表1に示す。
<比較例3>
表1[比較例3]に示した油剤の組成とした以外は、実施例1と同様の方法で炭素繊維前駆体アクリル繊維束、耐炎化繊維束、並びに炭素化繊維束を製造し、評価した。
油剤のゲル化度評価では、30分経過後にゲル化が起こり、5時間経過後のゲル化部の割合は70%と多く、紡糸工程中及び焼成工程中において単繊維切れ・毛羽の発生が認められた。Si飛散量は、炭素繊維前駆体アクリル系繊維1kg当たり0.066gであり、油剤組成物がシリコーン系化合物だけで構成された比較例6の場合と比較して、Si飛散量は約77%減少したが、得られた炭素繊維束の単繊維間の融着数は多かった。CF強度は高かったが、工程安定性は悪く、得られた炭素繊維の品位も低かった。評価結果を表1に示す。
<比較例4>
表1[比較例4]に示した油剤の組成とした以外は、実施例1と同様の方法で炭素繊維前駆体アクリル繊維束、耐炎化繊維束、並びに炭素化繊維束を製造し、評価した。
油剤のゲル化度評価では、200分経過後にゲル化が起こり、5時間経過後のゲル化部の割合は40%であった。紡糸工程中及び焼成工程中において単繊維切れ・毛羽の発生が認められた。Si飛散量は、炭素繊維前駆体アクリル系繊維1kg当たり0.106gであり、油剤組成物がシリコーン系化合物だけで構成された比較例6の場合と比較して、Si飛散量は約64%減少したが、得られた炭素繊維束の単繊維間の融着数は多かった。CF強度は高かったが、工程安定性は悪く、得られた炭素繊維の品位も低かった。評価結果を表1に示す。
<比較例5>
表1[比較例5]に示した油剤の組成とした以外は、実施例1と同様の方法で炭素繊維前駆体アクリル繊維束、耐炎化繊維束、並びに炭素化繊維束を製造し、評価した。
油剤のゲル化度評価では、180分経過後にゲル化が起こり、5時間経過後のゲル化部の割合は40%であった。紡糸工程中及び焼成工程中において単繊維切れ・毛羽の発生が認められた。Si飛散量は、炭素繊維前駆体アクリル系繊維1kg当たり0.120gであり、油剤組成物がシリコーン系化合物だけで構成された比較例6の場合と比較して、Si飛散量は約59%減少したが、得られた炭素繊維束の単繊維間の融着数は多かった。CF強度は高かったが、工程安定性は悪く、得られた炭素繊維の品位も低かった。評価結果を表1に示す。
<比較例6>
表1[比較例6]に示した油剤の組成とした以外は、実施例1と同様の方法で炭素繊維前駆体アクリル繊維束、耐炎化繊維束、並びに炭素化繊維束を製造し、評価した。
油剤のゲル化度評価では、5時間経過後もゲル化は起こらず、紡糸工程中及び焼成工程中において単繊維切れ・毛羽の発生は認められなかった。得られた炭素繊維束の単繊維間の融着数は少なく、CF強度の低下は認められなかったものの、Si飛散量は、炭素繊維前駆体アクリル系繊維1kg当たり0.291gと多く、工程安定性は満足できるものではなかった。評価結果を表1に示す。
<比較例7>
表1[比較例7]に示した油剤の組成とした以外は、実施例1と同様の方法で炭素繊維前駆体アクリル繊維束、耐炎化繊維束、並びに炭素化繊維束を製造し、評価した。
油剤のゲル化度評価では、5分経過後にゲル化が起こり、5時間経過後のゲル化部の割合は100%であった。紡糸工程中及び焼成工程中において単繊維切れ・毛羽の発生が認められた。CF強度は高かったが、Si飛散量は、炭素繊維前駆体アクリル系繊維1kg当たり0.291gと多く、さらには得られた炭素繊維束の単繊維間の融着数も多かったため、工程安定性は満足できるものではなかった。評価結果を表1に示す。
Figure 2008063705
Figure 2008063705
なお表1に記載された油剤の各成分A、B、C、D(d1、d2、d3)及び界面活性剤については以下の通りである。
成分A:式(I)においてA1およびA2が共にエチレン基であり、“m”が1,“n”が1であり、R1部,R2部を形成するカルボン酸が共にラウリン酸である芳香族エステル
成分B:式(II−1)において側鎖1級アミノ変性シリコーン(25℃での粘度110cSt、アミノ当量5000)
成分C:式(II−2)において側鎖1級アミノ変性シリコーン(25℃での粘度1800cSt、アミノ当量3800)
成分d1:Gelest社製商品名 「DBL−C31」
成分d2:信越化学工業株式会社製商品名 「X−22−6133」
成分d3:信越化学工業株式会社製商品名 「X−22−6132」
成分d4:式(III)においてRが炭素数3のアルキル基であり、aが15、bが100となるポリジメチルシロキサン化合物を合成した。
界面活性剤:ポリオキシエチレンステアリルエーテル[EO(エチレンオキサイド):12モル、HLB:13.9]

Claims (2)

  1. 以下の成分;
    (A)式(I)で示される芳香族エステル化合物を20〜85質量%;
    Figure 2008063705
    (式(I)において、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数7〜21のアルキル基であり、AおよびAはそれぞれ独立してエチレン基またはプロピレン基であり、mおよびnはそれぞれ独立して1〜5である)
    (B)25℃における粘度が80〜250cSt(センチストークス)、アミノ当量が4500〜7500g/molである式(II−1)で示される1級側鎖タイプのアミノ変性シリコーンを0〜64質量%;
    Figure 2008063705
    (式(II−1)において、“j”は0.8〜1.5である。また、“k”は0〜5である。)
    (C)25℃における粘度が1500〜2500cSt、アミノ当量が3000〜4500g/molである式(II−2)で示される1級側鎖タイプのアミノ変性シリコーンを5〜13質量%;
    Figure 2008063705
    (式(II−2)において、“p”は3〜15である。また、“q”は0〜5である。)
    (D)式(III)で示される化合物を5〜13質量%;
    Figure 2008063705
    (式(III)において、Rは炭素数3のアルキル基であり、“a”は10〜30である。また、“b”は10〜200である。)
    を含有する混合物を主成分とする炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤組成物。
  2. 請求項1記載の炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤組成物100質量部と界面活性剤10〜35質量部とを含み、水中に分散して使用される、炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤。
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