JP2002371476A - 炭素繊維用シリコーン油剤および炭素繊維の製造方法 - Google Patents
炭素繊維用シリコーン油剤および炭素繊維の製造方法Info
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Abstract
することができる炭素繊維用シリコーン油剤およびコス
トパフォーマンスに優れた炭素繊維の製造方法を提供せ
んとするものである。 【解決手段】本発明の炭素繊維用シリコーン油剤は、ア
ミノ変成シリコーンとポリオキシエチレン系化合物を必
須成分とし、かつ、該アミノ変性シリコーンに含まれる
アミノ基(Ma)に対する該ポリオキシエチレン系化合
物のポリオキシエチレン部分(Mp)のモル比(M)が
12〜35の範囲で含有されていることを特徴とするも
のである。また、本発明の炭素繊維の製造方法は、かか
るシリコーン油剤を、水膨潤状態の糸条に付与した後、
150〜200℃の温度で熱処理した炭素繊維用前駆体
繊維を、200〜300℃の酸化性雰囲気において耐炎
化した後、300〜800℃の不活性雰囲気において予
備炭化し、さらに、800〜2000℃の不活性雰囲気
において炭化することを特徴とするものである。
Description
な炭素繊維を提供することができる炭素繊維用シリコー
ン油剤および炭素繊維の製造方法に関する。
比強度および比弾性率を有するため、その優れた機械的
特性を利用して複合材料用補強繊維として工業的に広く
利用されている。その適用範囲は、従来からのスポー
ツ、航空宇宙用途に加え、土木・建築など一般産業用途
へも大きく拡がりつつあり、市場の要求は、単なる高性
能化だけではなく、低コスト化した上でのさらなる高性
能化へと、より厳しいものとなってきている。
リル系炭素繊維は、アクリルプリカーサーを200〜4
00℃の酸化性雰囲気下で耐炎化繊維へ転換する耐炎化
工程、少なくとも1000℃の不活性雰囲気下で炭素化
する炭化工程を経て、工業的に製造される。これら焼成
工程においては、単繊維同士の融着が発生し、得られる
炭素繊維の品質、品位を低下させるという問題があっ
た。この、問題に対し耐熱性の高いシリコーン油剤をア
クリルプリカーサーに付与する技術が多数提案され、工
業的に広く適用されている。例えば、特公平3−401
52号公報には、特定のアミノ変性シリコーン、エポキ
シ変性シリコーン、アルキレンオキサイド変性シリコー
ンを混合した油剤により、空気中および窒素中での加熱
時の減量が少なく融着防止効果が高いことが開示されて
いる。しかしながら、本発明者らの検討したところ、こ
のような従来公知のシリコーン油剤は、確かに単繊維同
士の融着を防止する効果は十分に有しているが、単繊維
間に介在し耐炎化反応に必須となる酸素の供給の妨げと
なり、その結果、耐炎化反応の進行度むら、いわゆる焼
成むらの発生を誘起していることが、明らかとなった。
このような焼成むらは、続く炭化工程において糸切れや
毛羽発生の原因となり、生産性向上、品質向上の大きな
障害となる。高性能な炭素繊維を生産性よく製造するた
めには、より表面が平滑なプリカーサーを高糸条密度か
つ高張力で焼成することが有利であるが、このような条
件においては、上記焼成むらの悪影響がより一層顕著と
なり、糸条密度、張力、処理速度を低下せざるを得ない
のが現状である。
らは、特定の表面粗さを有するアクリルプリカーサーを
適用する技術など(特開平11−217734号公報)
を提案したが、得られる炭素繊維の強度向上に有利な、
より平滑な表面を有するアクリルプリカーサーにおいて
は、必ずしもその抑制効果は十分ではないことが、その
後の検討により顕在化し、より効果的な焼成むら抑制手
段が求められているのが実状である。
技術の背景に鑑み、耐炎化工程における焼成むらがな
く、焼成の高張力化、高糸条密度化を同時に達成し、低
コストで高品質な炭素繊維を提供することができる炭素
繊維用シリコーン油剤およびコストパフォーマンスに優
れた炭素繊維の製造方法を提供せんとするものである。
解決するために、次のような手段を採用するものであ
る。すなわち、本発明の炭素繊維用シリコーン油剤は、
アミノ変成シリコーンとポリオキシエチレン系化合物を
必須成分とし、かつ、該アミノ変性シリコーンに含まれ
るアミノ基に対する該ポリオキシエチレン系化合物のポ
リオキシエチレン部分のモル比(M)が下記式を満たす
形で含有されていることを特徴とするものである。
リコーンの末端アミノ基のモル数 Mp:シリコーン油剤100gに含まれるポリオキシエ
チレン部分のモル数 また、本発明の炭素繊維の製造方法は、かかるシリコー
ン油剤を、水膨潤状態の糸条に付与した後、150〜2
00℃の温度で熱処理した炭素繊維用前駆体繊維を、2
00〜300℃の酸化性雰囲気において耐炎化した後、
300〜800℃の不活性雰囲気において予備炭化し、
さらに、800〜2000℃の不活性雰囲気において炭
化することを特徴とするものである。
炎化工程における焼成むらがなく、焼成の高張力化、高
糸条密度化を同時に達成し、低コストで高品質な炭素繊
維を提供することについて、鋭意検討し、まず、耐炎化
における焼成むらと、製糸工程で付与されるシリコーン
油剤の熱処理時の硬化挙動に相関があることを見出し、
特定な組成のシリコーン油剤を炭素繊維用前駆体繊維に
採用してみたところ、かかる課題を一挙に解決すること
を究明したものである。
を表面に有する炭素繊維用前駆体繊維、たとえばアクリ
ル前駆体繊維を耐炎化することにより、焼成むらの少な
い耐炎化繊維が得られ、続く炭化工程での糸切れ、毛羽
発生の抑制が可能となることを究明したものである。そ
の結果、従来焼成技術に比べ生産性を低下させることな
く、より高張力化、高糸条密度化、高速化でき、コスト
パフォーマンスに優れた炭素繊維を得ることができるこ
とを究明したのである。
ミノ変成シリコーンとポリオキシエチレン系化合物を必
須成分とし、かつ、該アミノ変性シリコーンに含まれる
末端アミノ基に対する該ポリオキシエチレン系化合物の
ポリオキシエチレン部分のモル比(M)が下記式を満た
すものを使用するのが必須である。すなわち、該モル比
(M)として、12〜35であることが必須であり、好
ましくは15〜33、より好ましくは18〜30である
のがよい。
リコーンの末端アミノ基のモル数 Mp:シリコーン油剤100gに含まれるポリオキシエ
チレン部分のモル数 ここで、ポリオキシエチレン系化合物とは、全部または
一部がポリオキシエチレンからなる化合物のことであ
る。また、アミノ基のモル数とは、アミノ変成シリコー
ンのアミノ変性基末端にある−NH2 のモル数のことで
ある。
とは、該シリコーン油剤中に含まれる全ての−CH2 C
H2 O−のモル数のことである。つまり、乳化剤、防腐
剤および安定剤などに含まれる−CH2 CH2 O−のモ
ル数をも含むことを意味するものである。
処理時のシリコーン油剤の架橋が促進され、本発明の目
的とする耐炎化工程での焼成むら抑制に有効に作用する
のである。モル比Mが12未満であったり、35を越え
ると、架橋が生じにくく本発明の効果を得にくくなる。
の焼成むらが抑制できる理由は、必ずしも明らかではな
いが、以下のように推定される。耐炎化の焼成むらは、
糸束内への酸素の透過が阻害され十分供給されない部分
が生じることが原因であり、単繊維間に存在するシリコ
ーン油剤がその阻害要因の一つとして考えられる。すな
わち、シリコーン油剤が単繊維間に入り込み、シーリン
グ剤のようなはたらきをするのである。一般に、シリコ
ーン油剤は、製糸工程の乾燥工程直前で付与され、熱処
理を受ける。この乾燥熱処理時に架橋せず流動性を有す
るオイル状態を保持すると、その後、単繊維間の空間に
合わせて自由に変形できるため、単繊維間に厚く堆積す
る可能性が高く、結果としてシーリング効果が高まると
考えられる。一方、速やかに架橋し流動性が低く抑えら
れれば、単繊維間への堆積が防止され、また、単繊維間
の拘束も小さくなり、焼成むらが生じにくいと考えられ
る。
性シリコーンは、ポリジメチルシロキサンを基本構造と
し、側鎖のメチル基の一部がアミノ基で変性されたもの
が好ましく用いられる。アミノ基の他にさらに別の変性
基が付加されているものも用いることができる。変性基
としてのアミノ基はモノアミンタイプでもポリアミンタ
イプでもよいが、架橋促進の観点からはポリアミンタイ
プが好ましく、中でもジアミンタイプがさらに好ましく
使用される。
ものと考えられ、変性量が高いほど架橋反応が促進され
るが、ローラーへの脱落堆積量、いわゆるガムアップ量
が増加することもあるため、その変性量は、末端アミノ
基量を−NH2 の重量に換算して、0.05〜10重量
%が好ましく、0.1〜5重量%がより好ましい。ま
た、アミノ変性シリコーンの25℃における粘度は、低
いほど反応性が高くなり、架橋反応が促進されるが、耐
熱性の観点からは高いほうが好ましく、従って500〜
10000cStが好ましく、700〜7000cSt
がより好ましく、1000〜4000cStがさらに好
ましい。
ンに対するアミノ変性シリコーンの割合は20重量%以
上であるのが好ましく、30重量%以上であるのがより
好ましく、40重量%以上であるのが特に好ましい。2
0重量%を下回ると、シリコーン油剤の架橋が不十分と
なり、十分な焼成むら抑制効果が得られないことがあ
る。
シエチレン系化合物の構造および組成は、モル比(M)
を前述した特定の範囲とすることが可能であれば、特に
限定されないが、均一な架橋反応を実現する観点から、
シリコーンとの相溶性が高いことが好ましい。
例としては、ポリオキシエチレンエーテルやポリオキシ
エチレン変性シリコーンなどが好ましく使用されるが、
これらに限定されるものではない。従来、ポリオキシエ
チレンエーテルやポリオキシエチレン変性シリコーンは
シリコーン油剤を水に分散させるための乳化剤や、乳化
安定性向上の目的で用いられることはあったが、架橋促
進の目的で用いられている例はなく、アミノ変性シリコ
ーンと組合せ、上記特定組成とすることで始めて本発明
の効果を発現するのである。
式1で示されるものが好ましく例示することができる。
炭素数1〜100の有機基 n1:1〜100の整数 さらに好ましくは、ポリオキシエチレンアルキルエーテ
ル、ポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル、ポリ
オキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどが使用さ
れる。
1 としては、より好ましくは2〜50、特に好ましくは
3〜20であるのがよい。
は、ポリジメチルシロキサンを基本構造とし、側鎖のメ
チル基の一部がポリオキシエチレンで変性されたものが
好ましく用いられる。その際、変性量は、好ましくは1
0〜80重量%、より好ましくは20〜70重量%、さ
らに好ましくは30〜60重量%がよい。また、25℃
における粘度は、20〜1000cStが好ましく、5
0〜800cStがより好ましく、100〜500cS
tが特に好ましい。
リコーンおよびポリオキシエチレン系化合物を必須成分
とするものであるが、アミノ変性シリコーンとポリオキ
シエチレン系化合物の合計100重量部に対して、15
0重量部を超えない範囲で、アミノ変性シリコーンとポ
リオキシエチレン系化合物以外の化合物を加えることも
できる。かかる化合物の合計量は100重量部を超えな
いのがより好ましく、50重量部を超えないのがさらに
好ましい。アミノ変性シリコーンとポリオキシエチレン
系化合物以外の化合物が150重量部を超えると、該シ
リコーン油剤の架橋が十分促進されないことがある。こ
こでいうアミノ変性シリコーンとポリオキシエチレン系
化合物以外の化合物には、該シリコーン化合物を希釈す
るための溶媒、および該シリコーン化合物を分散させる
ための分散媒は含まれない。ここでいう分散媒とは、該
シリコーン化合物を分散させている媒質のことであり、
例えば、水エマルジョンの場合には水のことをいう。
熱性向上の観点から、エポキシ変性シリコーンを含むこ
とが好ましい。その場合、ポリジメチルシロキサンを基
本構造とし、側鎖のメチル基の一部が変性されたものが
好ましく用いられる。エポキシ変性基は、脂環式でもグ
リシジル型でもよいが、長期安定性の観点から脂環式の
化合物であるのが好ましい。変性量は、0.05〜10
重量%が好ましく、0.1〜5重量%がより好ましい。
また、エポキシ変性シリコーンの25℃における粘度
は、耐熱性の観点からは高いほうがよく、1000〜3
0000cStが好ましく、5000〜20000cS
tがより好ましく、8000〜15000cStがさら
に好ましい。また、エポキシ変性シリコーンの含有量
は、多いと焼成むら抑制効果を低下させることがあり、
少ないと耐熱性向上効果が小さくなることがあるため、
アミノ変性シリコーン100重量部に対して、エポキシ
変性シリコーンは10〜300重量部が好ましく、20
〜200重量部がより好ましく、30〜100重量部が
さらに好ましい。
該シリコーン油剤の架橋を遅延させる可能性があること
から、酸化防止剤は加えないことが好ましい。
も、有機溶媒などを用いて希釈した溶液の状態でも、エ
マルジョンの状態でもよいが、炭素繊維用前駆体繊維、
たとえばアクリルプリカーサーへの均一付与性、付与簡
便性の観点から、水系のエマルジョンとするのが好まし
い。水系のエマルジョンとする際には、該シリコーン化
合物に適当な乳化剤を加えることもできるが、該シリコ
ーン化合物100重量部に対して、乳化剤は40重量部
以下とするのが好ましい。乳化剤の種類は特に限定され
ないが、ノニオン系、アニオン系の乳化剤が好ましく用
いられる。中でも、乳化安定性の観点からノニオン系の
乳化剤がより好ましく、具体例としては前述したポリオ
キシエチレンエーテルを用いるのが好ましい。
を使用し、水エマルジョンとすることにより、シリコー
ン油剤内でのアミノ変性シリコーンとポリオキシエチレ
ン部分の混合状態が、より均一かつ微細なものとなり、
本発明の効果を発現する上から好ましい。
剤は、耐熱性が高いことが焼成工程での融着防止の観点
から好ましい。耐熱性の指標としては、後述する方法で
測定される加熱残存率(R)が、40〜90%であるの
が好ましく、50〜85%であるのがより好ましく、6
0〜80%であるのがさらに好ましい。40%を下回る
と本発明の効果が得にくくなる上に、融着により最終的
に得られる炭素繊維の強度低下が生じることがある。9
0%を上回ると、複合材料として用いたときの炭素繊維
とマトリックスとの接着強度が低下することがある。
て説明する。本発明に用いるプリカーサーとしては、ア
クリル系、ピッチ系、レーヨン系などが好ましく例示で
きるが、高性能な炭素繊維を得るという観点からはアク
リル系がより好ましい。以下、本発明の炭素繊維用前駆
体繊維をアクリルプリカーサーに代表させて説明する。
かかるアクリルプリカーサーの成分としては、少なくと
も95モル%以上、より好ましくは98モル%以上のア
クリロニトリルと、5モル%以下、より好ましくは2モ
ル%以下の、耐炎化を促進し、かつ、アクリロニトリル
と共重合性のある、耐炎化促進成分を共重合したものを
好適に使用することができる。
含有化合物(以下ビニル系モノマーという)からなる共
重合体が好適に使用される。ビニル系モノマーの具体例
としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸など
使用することができるが、これらに限定されるものでは
ない。また、一部または全量をアンモニア中和したアク
リル酸、メタクリル酸、またはイタコン酸のアンモニウ
ム塩からなる共重合体は、耐炎化促進成分としてより好
適に使用される。
法、懸濁重合法、乳化重合法などを採用し得る。紡糸原
液に使用される溶媒としては、有機、無機の従来公知の
溶媒を使用することができる。特に有機溶媒を使用する
のが好ましく、具体的には、ジメチルスルホキシド、ジ
メチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどが使用
され、特にジメチルスルホキシドが好ましく使用され
る。
好ましく採用されるが、より表面が平滑な原糸を、生産
性よく製造することができることから、前者がより好ま
しく使用される。
原液を吐出し、凝固糸を得る。凝固浴液は、紡糸原液に
使用する溶媒と凝固促進成分とから構成するのが、簡便
性の点から好ましく、凝固促進成分として水を用いるの
がさらに好ましい。凝固浴中の紡糸溶媒と凝固促進成分
の割合、および凝固浴液温度は、得られる凝固糸の緻密
性、表面平滑性および可紡性などを考慮して適宜選択し
て使用される。
れた単数または複数の水浴中で水洗、延伸するのがよ
い。延伸倍率は、糸切れや単繊維間の接着が生じない範
囲で、適宜設定することができるが、より表面が平滑な
アクリルプリカーサーを得るためには、5倍以下が好ま
しく、4倍以下がより好ましく、3倍以下がさらに好ま
しい。また、得られるアクリルプリカーサーの緻密性を
向上させる観点から、延伸浴の最高温度は、50℃以上
とするのが好ましく、70℃以上がより好ましい。
に、前述したシリコーン油剤を付与するのが好ましい。
付与方法としては、糸条内部まで均一に付与できること
を勘案し、適宜選択して使用すればよいが、具体的に
は、糸条の油剤浴中への浸漬、走行糸条への噴霧および
滴下などの手段が採用される。
乾燥重量に対する純分の割合が、0.1〜5重量%が好
ましく、0.3〜3重量%がより好ましく、0.5〜2
重量%がさらに好ましい。0.1重量%を下回ると、単
繊維同士の融着が生じ、得られる炭素繊維の引張強度が
低下することがある。また、5重量%を超えると、本発
明の効果が得にくくなることがある。
れるのがよい。乾燥の方法は、特に限定されないが、加
熱された複数のローラーに直接接触させる方法が好まし
く用いられる。乾燥温度は、高いほどシリコーン油剤の
架橋反応を促進し、また、生産性の観点からも好ましい
ので、単繊維間の融着が生じない範囲で高く設定でき
る。具体的には、150℃以上が好ましく、180℃以
上がより好ましい。通常、乾燥温度の上限は200℃程
度である。乾燥時間は、膨潤糸条が乾燥するのに十分な
時間とするのがよい。また、糸条への加熱状態が均一に
なるよう、糸条をできるだけ拡幅した状態でローラーに
接触させるのがよい。
または乾熱下で後延伸されるのが、得られるアクリルプ
リカーサーの緻密性や生産性の観点から好ましい。後延
伸時のスチーム圧力または温度や後延伸倍率は、糸切
れ、毛羽発生のない範囲で適宜選択して使用するのがよ
い。
該表面が平滑であることが高性能な炭素繊維を得る観点
から好ましい。平滑度は後述する方法でAFM(原子間
力顕微鏡)により測定される表面積比を指標とし、該表
面積比が1.00〜1.05であることが好ましく、
1.00〜1.02であることがより好ましく、1.0
0〜1.01がさらに好ましい。平滑であるほど、本発
明のシリコーン油剤の適用効果が顕著に発現しやすく、
1.05を超えると、本発明の効果が得にくくなること
がある。
ーの単糸繊度は、0.1〜2.0dTexであることが
好ましく、0.3〜1.5dTexであることがより好
ましく、0.5〜1.2dTexがさらに好ましい。該
繊度は小さいほど、得られる炭素繊維の引張強度や弾性
率の点で有利であるが、生産性は低下するため、性能と
コストのバランスを勘案し選択するのがよい。
て説明する。
リルプリカーサーが製造され、さらに以下に述べるよう
な方法で、該アクリルプリカーサーを焼成することによ
り、コストパフォーマンスに優れた炭素繊維を製造する
ことができる。
糸条が反応熱の蓄熱によって糸切れが生じる温度より
も、10〜20℃低い温度で耐炎化するのがコスト削減
および得られる炭素繊維の性能を高める観点から好まし
い。耐炎化進行度は、後述する方法で測定される耐炎化
糸の炎収縮保持率を指標とし、70〜90%の範囲とす
るのが好ましく、74〜86%がより好ましく、76〜
84%がさらに好ましい。耐炎化時間は、生産性および
得られる炭素繊維の性能を高める観点から、10〜10
0分間が好ましく、30〜60分間がより好ましい。こ
の耐炎化時間とは、糸条が耐炎化炉内に滞留している全
時間をいう。この時間が30分を下回ると、各単繊維の
二重構造が全体的に顕著となり、本発明の効果が得にく
くなることがある。耐炎化工程の延伸比は0.85〜
1.05が良く、0.87〜1.02がより好ましく、
0.90〜1.00がさらに好ましい。
800℃がよい。また、延伸比は、好ましくは0.98
〜1.10、より好ましくは0.99〜1.05、特に
好ましくは1.00〜1.02であるのが、得られる炭
素繊維の性能を高める観点からよい。
るのがよい。また、その最高温度は、所望する炭素繊維
の要求特性に応じて適宜選択して使用されるが、100
0℃を下回ると、得られる炭素繊維の引張強度、弾性率
が低下することがある。炭化工程の延伸比は、所望する
炭素繊維の要求特性に応じて、毛羽発生など品位低下の
生じない範囲で適宜選択するのがよい。
には、炭化工程に続き黒鉛化を行うこともできる。黒鉛
化工程の温度は2000〜2800℃であるのがよい。
また、その最高温度は、所望する炭素繊維の要求特性に
応じて適宜選択して使用される。黒鉛化工程の延伸比
は、所望する炭素繊維の要求特性に応じて、毛羽発生な
ど品位低下の生じない範囲で適宜選択するのがよい。
り複合材料としたときのマトリックスとの接着強度をよ
り高めることができる。表面処理方法としては、気相、
液相処理を採用できるが、生産性、品質ばらつきを考慮
すると、液相処理における電解処理が好ましく適用され
る。
酸、硝酸、塩酸といった酸、水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドとい
ったアルカリあるいはそれらの塩を用いることができる
が、より好ましくはアンモニウムイオンを含む水溶液が
好ましい。例えば、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウ
ム、過硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、臭化アン
モニウム、燐酸2水素アンモニウム、燐酸水素2アンモ
ニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、あ
るいは、それらの混合物を用いることができる。
より異なり、例えば、炭化度の高い炭素繊維ほど、高い
通電電気量が必要となる。表面処理量としては、X線光
電子分光法(ESCA)により測定される炭素繊維の表
面酸素濃度O/Cおよび表面窒素濃度N/Cが、それぞ
れ0.05以上0.40以下、および、0.02以上
0.30以下の範囲になることが、接着特性の上から好
ましい。
繊維とマトリックスとの接着が、適正なレベルとなり、
したがって接着が強すぎて非常にブリトルな破壊となっ
て強度が低下してしまうという欠点も、あるいは、強度
は強いものの接着力が低すぎて、非縦方向の機械的特性
が発現しないといった欠点も防止することができ、縦お
よび横方向にバランスのとれたコンポジット特性を有す
る特徴が発現される。
て、サイジング処理がなされる。サイジング剤には、マ
トリックスとの相溶性の良いサイジング剤が好ましく、
マトリックスに合せて選択して使用される。
中での各測定値は、以下の方法により測定した。 <アクリルプリカーサーおよび炭素繊維のAFMによる
表面積比>測定に供するアクリルプリカーサーまたは炭
素繊維を試料台に固定し、原子間力顕微鏡としてDig
ital Instruments社製NanoSco
peIIIを用い、下記条件にて3次元表面形状の像を得
る。
学工業社製、バネ定数0.7N/m) 測定環境:室温大気中 観察モード:コンタクトモード(力一定) 走査速度:0.2〜0.5Hz 走査範囲:2.4μm×2.4μm 得られた像について、前記装置付属ソフトウェア(Na
noScopeIIIバージョン4.22r2、1次Fl
attenフィルタ、Lowpassフィルタ、3次P
lane Fitフィルタ使用)によりデータ処理し、
実表面積と投影面積を算出する。なお、投影面積につい
ては、繊維断面の曲率を考慮し近似した2次曲面などへ
の投影面積を算出して用いる。表面積比は以下の式で定
義される。
コーン油剤を240℃の空気中で60分間熱処理した
後、引き続いて450℃の窒素中で30秒間した後の残
存率のことを言う。測定は、次の手順による。付与する
シリコーンが油剤が、エマルジョンや溶液の場合には、
直径が約60mm、高さが約20mmのアルミ製の容器
に、エマルジョンまたは溶液約1gを採取し、オーブン
により、105℃で5時間乾燥し、得られたシリコーン
分について、次の条件で、熱天秤(TG)により、その
耐熱残存率を測定する。
m、高さ5mm サンプル量:15〜20mg 空気中熱処理条件:空気流量30ml/分、昇温速度1
0℃/分、240℃ 熱処理時間:60分 雰囲気変更:240℃のまま空気から窒素へ変更して5
分間保持 窒素中熱処理条件:窒素流量30ml/分、昇温速度
は、10℃/分、450℃ 熱処理時間:30秒 この熱処理における、トータルの重量保持率を、加熱残
存率Rとする。 <剛体振り子の自由減衰振動法によるシリコーン油剤の
振動周期>剛体振り子の自由減衰振動法に基づき、株式
会社エーアンドディ社製剛体振り子型物性試験機RPT
−3000を用いて振動周期を測定する。測定に供する
シリコーン油剤がエマルジョンまたは溶液の場合には、
直径が約60mm、高さが約20mmのアルミ製の容器
に、エマルジョンまたは溶液約1gを採取し、50℃で
乾燥および/または真空乾燥により溶媒を除去してお
く。水エマルジョンは、50℃で10時間乾燥する。次
に、長さ5cm、幅2cm、厚み0.5mmの亜鉛メッ
キ鋼板製塗布基板(株式会社エーアンドディ社製 ST
P−012)の上に、測定に供するシリコーン油剤を厚
みが20〜30μmとなるように基板幅方向全面に塗布
する。塗布後速やかに、試験機にセットし測定を開始す
る。試験機は予め30℃に温調しておき、塗布板および
振り子をセットした後、50℃/分の速度で180℃ま
で昇温し、180℃で10分間ホールドする。その間、
7秒間隔で連続的に周期の測定を行う。なお、振り子
は、下記のものを使用する。
エーアンドディ社製RBE−160) 振り子重量/慣性能率:15g/640g・cm(株式
会社エーアンドディ社製FRBー100) 振動周期差Tは下記式により求められる。
(秒) 剛体振り子の自由減衰振動法の原理は、例えば、色材、
51(1978)、403pなどに解説されているが、
該測定方法により測定される振動周期は、シリコーン油
剤の架橋度に対応し、小さいほど架橋度が高いことを示
す。従って、振動周期差Tは、加熱時の硬化挙動に対応
し、大きくなるほど架橋しやすいことを示している。 <炭素繊維の強度および弾性率>炭素繊維の強度は、日
本工業規格(JIS)−R−7601「樹脂含浸ストラ
ンド試験法」に記載された手法により、求められる。た
だし、測定する炭素繊維の樹脂含浸ストランドは、”B
AKELITE”ERL4221(100重量部)/3
フッ化ホウ素モノエチルアミン(3重量部)/アセトン
(4重量部)を、炭素繊維に含浸させ、130℃、30
分で硬化させて形成する。また、ストランドの測定本数
は、10本とし、各測定結果の平均値を、その炭素繊維
の強度、弾性率とする。 <耐炎化糸の炎収縮保持率>耐炎化糸束を約40cm採
取し、試長20cmとなるようにクリップなどの不燃物
でマークをつける。次に、一端を固定し、もう一端に3
300dTexあたり10gの張力をかけ、マークした
試長間をブンセンバーナーの炎によって加熱する。この
際、ブンセンバーナーの炎の高さは約15cmとし、炎
の上部約1/3の部分を用い、マーク間を約15秒/2
0cmの速さで1往復半移動させながら加熱する。その
後、マーク間の長さを測定し、これをWb(mm)とす
ると、炎収縮保持率(%)は以下の式で定義される。
100 <予備炭化工程での延伸性>耐炎化糸を、昇温速度50
0℃/分で最高温度650℃まで昇温する条件下におい
て、予備炭化工程を連続的に通過させ、糸切れが発生す
る限界延伸比を測定する。
的に説明する。
アミノ変性シリコーン、ポリエチレングリコール(PE
G)、ポリオキシエチレン(POE)ラウリルエーテ
ル、ポリオキシエチレン(POE)変性シリコーン、エ
ポキシ変性シリコーンはそれぞれ下記に示すものを用い
た。
有するジメチルシリコーンの側鎖の一部を、下記化学式
2で示したアミノ基で置換したものを用いた。アミノ基
の変性量は、末端アミノ基のアミノ当量に換算して40
00とした。また、25℃における粘度は3000cS
tとした。
た。
示したものを用いた。
有するジメチルシリコーンの側鎖の一部を、下記化学式
5で示したポリオキシエチレン基で置換したものを用い
た。ポリオキシエチレン基の変性量は、POE変性シリ
コーンの重量に対するポリオキシエチレン基の重量の割
合に換算して50重量%とした。また、25℃における
粘度は500cStとした。
を有するジメチルシリコーンの側鎖の一部を、下記化学
式6で示したエポキシ基で置換したものを用いた。エポ
キシ基の変性量は、エポキシ当量に換算して4000と
した。また、25℃における粘度は15000cStと
した。
た結果は、表1〜5にまとめて示す。
Gを表1の1〜3に示した組成比に混合し、トルエンで
希釈することで純分30重量%のシリコーン油剤を作製
した。
の架橋度の指標として剛体振り子の自由減衰振動法によ
る振動周期差Tを測定した。
ーを作製した。
ン酸0.5モル%からなる共重合体をジメチルスルホキ
シドを溶媒とする溶液重合法により重合し、濃度22重
量%の紡糸原液を得た。重合後、アンモニアガスをpH
8.5になるまで吹き込み、イタコン酸を中和して、ア
ンモニウム基をポリマー成分に導入することにより、紡
糸原液の親水性を向上させた。
0.15mm、孔数4000の紡糸口金を用いて、一旦
空気中に吐出し、約4mmの空間を通過させた後、3℃
にコントロールした35%ジメチルスルホキシド水溶液
からなる凝固浴に導入する乾湿式紡糸により凝固させ
た。
水中で3倍に延伸し、さらに油剤浴中を通過させること
により、作製したシリコーン油剤を付与した。油剤浴中
の濃度は、純分2.0%となるようにトルエンで希釈し
て調整した。さらに180℃の加熱ローラーを用いて、
接触時間40秒の乾燥処理を行った。
圧スチーム中で延伸することにより、製糸全延伸倍率を
14倍とし、単糸繊度0.8dTex、単繊維本数24
000本のアクリルプリカーサーを得た。なお、得られ
たアクリルプリカーサーのシリコーン油剤付着量は、純
分で1.0%、アクリルプリカーサーの表面積比は1.
01であった。
〜280℃の空気中で、炎収縮保持率が80%の耐炎化
糸に転換した。耐炎化時間は40分、耐炎化工程の延伸
比は0.90とした。得られた耐炎化糸について、焼成
むらの指標となる予備炭化工程の延伸性を測定した。
1の4〜6であることの他は、実施例1と同様にシリコ
ーン油剤を作製し、振動周期差T、耐炎化糸の予備炭化
工程での延伸性を測定した。
は、実施例1のものに比して、シリコーン油剤の熱処理
時の架橋度が低く、得られた耐炎化糸の予備炭化工程で
の延伸性も低いものであることがわかる。
比をもつ、アミノ変性シリコーンとPOEラウリルエー
テルに水を加え、ホモミキサー、ホモジナイザーを用い
て乳化を行い、純分30重量%のシリコーン油剤とし
た。
剤浴中の濃度を水で希釈して調整した他は、実施例1と
同様の方法で振動周期差T、耐炎化糸の予備炭化工程で
の延伸性を測定した。
2の12、13であることの他は、実施例2と同様にシ
リコーン油剤を作製し、振動周期差T、耐炎化糸の予備
炭化工程での延伸性を測定した。
は、実施例2のものに比して、シリコーン油剤の熱処理
時の架橋度が低く、得られた耐炎化糸の予備炭化工程で
の延伸性も低いものであることがわかる。
表3の14〜18であることの他は、実施例2と同様に
シリコーン油剤を作製し、振動周期差T、耐炎化糸の予
備炭化工程での延伸性を測定した。
3の19、20であることの他は、実施例2と同様にシ
リコーン油剤を作製し、振動周期差T、耐炎化糸の予備
炭化工程での延伸性を測定した。
は、実施例3のものに比して、シリコーン油剤の熱処理
時の架橋度が低く、得られた耐炎化糸の予備炭化工程で
の延伸性も低いものであることがわかる。
表4の21〜27であることの他は、実施例2と同様に
シリコーン油剤を作製し、振動周期差T、耐炎化糸の予
備炭化工程での延伸性を測定した。
4の28、29であることの他は、実施例2と同様にシ
リコーン油剤を作製し、振動周期差T、耐炎化糸の予備
炭化工程での延伸性を測定した。
は、実施例4のものに比して、シリコーン油剤の熱処理
時の架橋度が低く、得られた耐炎化糸の予備炭化工程で
の延伸性も低いものであることがわかる。
4に示した9、16、24を用い、それぞれ実施例2、
3、4で作製した耐炎化糸について、300〜800℃
の不活性雰囲気中で予備炭化した後、最高温度1500
℃で炭化した。予備炭化工程の延伸比は、1.05とし
た。さらに、得られた炭素繊維を硫酸水溶液中で、10
クーロン/g-CFの陽極酸化処理を行い炭素繊維を作
製した。得られた炭素繊維の強度、弾性率、炭素繊維2
0m当たりの毛羽個数、AFMによる表面積比を測定し
た。該表面積比は、すべて1.00であった。
示した28を用いて比較例4で作製した耐炎化糸を用い
たことと、予備炭化工程の延伸比を0.95としたこと
の他は、実施例5と同様に炭素繊維を作製し強度、弾性
率、炭素繊維20m当たりの毛羽個数、AFMによる表
面積比を測定した。該表面積比は、1.00であった。
は、実施例5のものに比して、予備炭化工程の延伸比を
低く設定せざるを得ないため、得られる炭素繊維の強
度、弾性率ともに低いものであることがわかる。また、
比較例のものは、延伸比を低く設定しているにもかかわ
らず毛羽個数が多いことがわかる。
4に示した9、16、24を用い、それぞれ実施例2、
3、4で作製した耐炎化糸について、300〜800℃
の不活性雰囲気中で予備炭化した後、最高温度1900
℃で炭化し、さらに最高温度2600℃で黒鉛化した。
予備炭化工程の延伸比は、1.05とした。さらに、得
られた炭素繊維を硫酸水溶液中で、250クーロン/g
-CFの陽極酸化処理を行い炭素繊維を作製した。得ら
れた炭素繊維の強度、弾性率、炭素繊維20m当たりの
毛羽個数、AFMによる表面積比を測定した。該表面積
比は、全て1.00であった。
示した28を用いて比較例4で作製した耐炎化糸を用い
たことと、予備炭化工程の延伸比を0.95としたこと
の他は、実施例6と同様に炭素繊維を作製し強度、弾性
率、炭素繊維20m当たりの毛羽個数、AFMによる表
面積比を測定した。該表面積比は、1.00であった。
は、実施例6のものに比して、予備炭化工程の延伸比を
低く設定せざるを得ないため、得られる炭素繊維の強
度、弾性率ともに低いものであることがわかる。また、
比較例のものは、延伸比を低く設定しているにもかかわ
らず毛羽個数が多いことがわかる。
成むらを効果的に抑制することができ、高性能な炭素繊
維を生産性よく提供することができる。
Claims (8)
- 【請求項1】アミノ変成シリコーンとポリオキシエチレ
ン系化合物を必須成分とし、かつ、該アミノ変性シリコ
ーンに含まれるアミノ基に対する該ポリオキシエチレン
系化合物のポリオキシエチレン部分のモル比(M)が下
記式を満たす形で含有されていることを特徴とする炭素
繊維用シリコーン油剤。 12≦M≦35 M=Mp/Ma Ma:シリコーン油剤100gに含まれるアミノ変成シ
リコーンの末端アミノ基のモル数 Mp:シリコーン油剤100gに含まれるポリオキシエ
チレン部分のモル数 - 【請求項2】該モル比(M)が、15〜33であること
を特徴とする請求項1に記載の炭素繊維用シリコーン油
剤。 - 【請求項3】該モル比(M)が、18〜30であること
を特徴とする請求項1に記載の炭素繊維用シリコーン油
剤。 - 【請求項4】該シリコーン油剤が、ポリオキシエチレン
エーテルを含むものである請求項1〜3のいずれかに記
載の炭素繊維用シリコーン油剤。 - 【請求項5】該シリコーン油剤が、ポリオキシエチレン
変性シリコーンを含むものであることを特徴とする請求
項1〜4のいずれかに記載の炭素繊維用シリコーン油
剤。 - 【請求項6】該シリコーン油剤が、エポキシ変性シリコ
ーンを含むものであることを特徴とする請求項1〜5の
いずれかに記載の炭素繊維用シリコーン油剤。 - 【請求項7】請求項1〜6のいずれかに記載のシリコー
ン油剤を、水膨潤状態の糸条に付与した後、150〜2
00℃の温度で熱処理した炭素繊維用前駆体繊維を、2
00〜300℃の酸化性雰囲気において耐炎化した後、
300〜800℃の不活性雰囲気において予備炭化し、
さらに、800〜2000℃の不活性雰囲気において炭
化することを特徴とする炭素繊維の製造方法。 - 【請求項8】請求項7において得られた炭素繊維を、さ
らに2000〜2800℃の不活性雰囲気で黒鉛化する
ことを特徴とする炭素繊維の製造方法。
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