JP2003027378A - 炭素繊維前駆体用シリコーン油剤、炭素繊維用前駆体繊維および炭素繊維の製造方法 - Google Patents

炭素繊維前駆体用シリコーン油剤、炭素繊維用前駆体繊維および炭素繊維の製造方法

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JP2003027378A
JP2003027378A JP2001216329A JP2001216329A JP2003027378A JP 2003027378 A JP2003027378 A JP 2003027378A JP 2001216329 A JP2001216329 A JP 2001216329A JP 2001216329 A JP2001216329 A JP 2001216329A JP 2003027378 A JP2003027378 A JP 2003027378A
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carbon fiber
oil agent
silicone oil
weight
precursor
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Takeshi Ito
壮史 伊藤
Mitsutoshi Ozaki
充利 尾崎
Makoto Kobayashi
真 木林
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】コストパフォーマンスに優れた炭素繊維を製造
するのに好適な炭素繊維用シリコーン油剤、および炭素
繊維の製造方法を提供すること。 【解決手段】40℃で2週間経過した際の樹脂化率の変
化量が0.1重量%以上5.0重量%以下である炭素繊
維前駆体用シリコーン油剤である。また、かかる炭素繊
維前駆体用シリコーン油剤を、水を吸収して膨潤状態の
糸条に付与した後、150〜200℃の温度で熱処理し
て得た炭素繊維用前駆体繊維を、200〜300℃の酸
化性雰囲気において耐炎化した後、300〜800℃の
不活性雰囲気において予備炭化し、さらに、800〜1
800℃の不活性雰囲気において炭化する炭素繊維の製
造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、長期の保存安定性
および物性の安定性に優れた炭素繊維製造用シリコーン
油剤、それを付与してなる前駆体繊維、さらにはこの前
駆体繊維を焼成することにより得られる炭素繊維の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維はその優れた比強度および比弾
性率のため、樹脂の補強用繊維として幅広い用途におい
て用いられるようになっている。その用途は、スポーツ
用具、土木・建築物の補強材等が挙げられる。さらに
は、大型構造材、船舶、航空宇宙等その用途が大きく拡
がってきている。これら広範囲にわたる用途での炭素繊
維に求められる特性として、先に挙げた優れた比強度、
比弾性率等の更なる向上のみならず、コスト、品位等幅
広い要件について要求がなされてきている。
【0003】炭素繊維は、その原料となる前駆体繊維に
よりポリアクリロニトリル系、ピッチ系、セルロース系
等が知られている。その中で、最も広く利用されている
ポリアクリロニトリル系炭素繊維は、アクリロニトリル
系重合体を湿式または乾湿式紡糸法により紡糸して得た
繊維を前駆体として用いている。このポリアクリロニト
リル系前駆体繊維を、酸化性雰囲気中200〜400℃
の高温で耐炎化し、不活性雰囲気中1000℃以上の高
温下で炭素化する炭化工程を経て工業的に製造される。
焼成工程においては、その高温故に単繊維同士の融着が
発生し、得られる炭素繊維の物性、品位が低下するとい
う問題があった。この問題に対し耐熱性の高いシリコー
ン油剤を前駆体繊維に付与する技術が広く開示されてい
る。このシリコーン系油剤としては、ジメチルアミノシ
リコーンでも良いが、さらに耐熱性をさらに高める目的
で、自己架橋性の変性シリコーンを用いる手法が多数提
案され、工業的に広く適用されている。
【0004】特公平3−40152号公報には、特定の
アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、アル
キレンオキサイド変性シリコーンを混合した油剤におい
て、空気中および窒素中での加熱時の減量が少なく融着
防止効果が高いことを開示している。しかしながら、こ
のような従来公知のシリコーン油剤は、前駆体繊維上に
て自己架橋により皮膜化し、焼成工程における融着を抑
制する効果は確かに見られるものの、その自己架橋性に
より保存時および/または付与時に架橋反応の進行を抑
制するため、低温にて保存および/または付与を行う必
要がある。付与後の乾燥工程にて自己架橋を進行させて
も完全に反応しきらず、残ったシリコーン上の残基が保
存時に自己架橋することにより物性の安定性が低下して
糸切れが多発する等、プロセス性低下の原因となる問題
を有していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の背景に鑑み、長期の保存安定性に富み、高い融着
抑制効果を発現するシリコーン油剤を提供するものであ
る。さらには、該シリコーン油剤を付与することによ
り、長期保存性および物性安定性の高い前駆体繊維およ
び炭素繊維を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために、次の構成を有する。すなわち、40℃
で2週間経過した際の樹脂化率の変化量が0.1重量%
以上5.0重量%以下である炭素繊維前駆体用シリコー
ン油剤である。
【0007】また、本発明は次の構成を有する。すなわ
ち、かかる炭素繊維前駆体用シリコーン油剤が付与され
てなる炭素繊維用前駆体繊維である。
【0008】さらに本発明は、次の構成を有する。すな
わち、かかる炭素繊維前駆体用シリコーン油剤を、水を
吸収して膨潤状態の糸条に付与した後、150〜200
℃の温度で熱処理して得た炭素繊維用前駆体繊維を、2
00〜300℃の酸化性雰囲気において耐炎化した後、
300〜800℃の不活性雰囲気下において予備炭化
し、さらに、800〜1800℃の不活性雰囲気下にお
いて炭化処理する炭素繊維の製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明でいうシリコーン油剤と
は、シリコーンつまりケイ素−酸素結合を骨格に持つポ
リジメチルシロキサン成分を少なくとも0.1重量%含
む油剤のことであり、ポリジメチルシロキサンを基本構
造とし、メチル基の一部が変性されたものが好ましく用
いられる。該変性基としては、アミノ基、エポキシ基、
アルキレンオキサイド基などが好ましく、さらに加熱に
より架橋反応を生じるものが好ましく使用される。複数
の変性基を有するシリコーンでもよく、また、異なる変
性基をもつシリコーンを混合して用いてもよい。さらに
は目的に応じて、これらシリコーン成分および混合物
に、たとえば未変性ジメチルポリシロキサンのような自
己架橋性の無いシリコーン油剤、さらには種々の添加剤
を加えたものを用いることができる。前駆体繊維への均
一付与性の観点から、アミノ変性シリコーンを使用する
のが好ましく、耐熱性の観点から、アミノ変性シリコー
ンとエポキシ変性シリコーンを併用するのがより好まし
い。
【0010】本発明でいうシリコーン油剤は、40℃で
2週間経過した際の樹脂化率の変化量が0.1重量%以
上5.0重量%以下であり、好ましくは0.2重量%以
上4.0重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以
上3.0重量%以下である。
【0011】樹脂化率の変化量が0.1重量%未満であ
る場合、アクリロニトリル系前駆体繊維製造工程中、シ
リコーン系油剤を付与後に行う乾燥工程での反応性が低
いシリコーン油剤となる傾向があり、焼成工程に入った
時点での未反応の官能基が多く残存して、焼成工程中で
架橋反応が進行するため、該焼成工程中での増粘・粘着
により、ローラー、ガイドへ粘着物が付着したり脱落し
たりする、いわゆるガムアップにより糸切れが多発する
等のプロセス性低下の原因となることがあるので好まし
くない。逆に、5.0重量%より大きい場合、保存環境
での反応性が高くなる傾向となり、時間変化と共に油剤
の架橋反応が進行するため、焼け斑を引き起こし、得ら
れる炭素繊維の物性が低下し易くなることがあるため好
ましくない。
【0012】本発明者らは、焼け斑を引き起こす原因に
ついて鋭意検討を行った結果、前駆体繊維を製造する工
程にて付与されるシリコーン系を代表とする油剤の特性
に大きく依存することを見いだした。
【0013】油剤付与後の乾燥工程を通過した後の前駆
体繊維上の油剤は、自己架橋性のものであってもその架
橋反応は完全に完了しておらず、反応性の官能基が残存
している。製造された前駆体繊維は、特に夏場において
は40℃程度の温度環境にて保存されることがある。こ
の様な環境下に放置された場合、残存している官能基
が、時間の経過と共に少しずつ架橋反応を進行させる。
結果としてボビン等に巻かれた状態で架橋反応が進行す
ることによって糸条が硬くなり、束内への酸素の透過が
阻害されて、焼成工程での焼け斑を引き起こす原因とな
ると推定される。さらに、この放置状態にて長期保存し
た場合、シリコーン油剤の架橋反応進行度が高くなりす
ぎるため油剤の皮膜が強固となりすぎ、耐炎化工程での
酸素透過性が阻害され、さらに焼け斑を助長する原因と
なることを見いだし、本発明を見いだすに至った。
【0014】原糸を放置する環境および焼成工程に通す
までの期間は適宜選択されることが多い。原糸上シリコ
ーン油剤の架橋反応の進行を抑制することを考慮した場
合、製造した前駆体繊維を、低温貯蔵庫に保管すること
も改善の方法として上げられる。しかし、低温貯蔵庫を
作成するコスト的なデメリットがあり、工業的な解決策
として好ましいものではない。さらに、製造してから焼
成工程に通すまでの期間を短くする等の改良によっても
改善されるものの、長期保存が出来ないことから生産の
フレキシビリティが低下し、工業的に用いる改善策とし
て好ましいものではない。
【0015】コスト、生産性を考慮した場合、長期の保
存安定性は、本発明の、40℃で2週間経過した際の樹
脂化率の変化量が0.1重量%以上5.0重量%以下と
なる特性を有するシリコーン油剤を付与することにより
初めて達成し得るものである。
【0016】40℃で2週間程度の油剤の樹脂化率変化
量を測定することで、炭素繊維の製造工程で要求される
保存安定性を好適に表現出来るが、4週間経過した際
の、40℃での樹脂化率の変化量は3重量%以上25重
量%以下であることが好ましい。
【0017】長期保存安定性は、上述の特徴を有する油
剤を付与することにより初めて達成し、焼け斑を十分に
抑制しうる。しかし、焼成工程を経て得られる炭素繊維
の物性を考慮した場合、必ずしも十分なものではなく、
炭化工程での融着を抑制するために十分な皮膜を形成し
ていることが必要である。通例、前駆体繊維は、油剤付
与後の乾燥工程にて150℃以上200℃以下程度の温
度で乾燥される。これら高温に曝されることにより油剤
の架橋反応が進行する。この乾燥工程での油剤の架橋反
応の進行度が早いほうが、残存の官能基を減少させるこ
とになり、ひいてはシリコーン油剤の時間変化、原糸上
油剤の架橋進行度の斑を減少させることとなるため好ま
しい。この乾燥工程中の進行度は、80℃で1週間経過
した際の樹脂化率の変化量が好ましくは50%以上90
%以下であり、より好ましくは55%以上85%以下、
さらに好ましくは60%以上80%以下である炭素繊維
用シリコーン油剤を付与することにより影響される。8
0℃で1週間経過した際の樹脂化率の変化量が50%未
満の場合、加熱時の架橋反応の進行度が低いことを示
し、十分な耐熱性が得られず高性能な炭素繊維を得るこ
とが難しくなるため好ましくない。90%を越える場
合、架橋反応の進行が速すぎ、皮膜が強固になるため焼
成工程の耐炎化工程にて酸素透過性が低下する傾向とな
り、同様に焼け斑の原因となるため好ましくない。
【0018】架橋反応の進行度の指標としては、後述す
る方法で測定される剛体振り子の自由減衰振動周期差を
見ることもできる。剛体振り子の自由減衰振動法の原理
は、例えば、色材、51(1978)、403頁などに
解説されているが、一般的なレオメーターと異なり、開
放系、薄膜の状態で粘弾性挙動を測定できる。該測定方
法により測定される振動周期は、シリコーン油剤の架橋
度に対応し、小さいほど架橋度が高いことを示す。従っ
て、振動周期差T(=T30-T180)は、加熱時の硬化挙
動に対応し、大きくなるほど硬化しやすい、すなわち架
橋しやすいことを示している。架橋反応の進行度は振動
周期差Tが0.03〜0.4であるのが好ましく、0.
05〜0.35であるのがより好ましく、0.10〜
0.30であるのがさらに好ましい。
【0019】さらに、本発明のシリコーン油剤は、耐熱
性が高いことが焼成工程での融着防止の観点からも好ま
しい。耐熱性の指標としては、後述する方法で測定され
る加熱残存率Rが、40〜90%であるのが好ましく、
50〜85%であるのがより好ましく、60〜80%で
あるのがさらに好ましい。40%を下回ると本発明の効
果が得にくくなる上に、融着により最終的に得られる炭
素繊維の強度低下が生じることがある。90%を上回る
と、残存成分がマトリックスとの接着を阻害し、複合材
料として用いたときの炭素繊維とマトリックスとの接着
強度が低下することがある。
【0020】本発明のシリコーン油剤は、有機溶媒など
を用いた溶液の状態でもよいが、界面活性剤等を添加し
て水系のエマルジョンの状態とすることが前駆体繊維へ
の均一付与性、付与簡便性の観点から好ましい。水系の
エマルジョンとする際に用いる界面活性剤として、ノニ
オン系、カチオン系、アニオン系等が挙げられるが、付
与の均一性、エマルジョンの安定性等の点からノニオン
系を好適に用いることができる。ノニオン系界面活性剤
としては例えば、アルキレンオキサイド含有界面活性
剤、具体的には、ポリオキシエチレンノニルフェニルエ
ーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオ
キシエチレンノニルエーテル、ポリオキシエチレンオク
チルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン等を好適に
用いることができる。カチオン系界面活性剤としては、
例えばアルキルアンモニウムクロライド等を好適に用い
ることができる。アニオン系界面活性剤としては脂肪族
高級アルコール硫酸エステル金属塩等を好適に用いるこ
とができる。しかし、前述した特性を満足するものであ
れば特に限定されるものではないが、炭素繊維の物性を
考慮すると金属を含有しないものが好ましい。
【0021】ノニオン系界面活性剤及びアルキレンオキ
サイド変性シリコーン中のアルキレンオキサイド基は、
シリコーン油剤中のアミノ変性シリコーンと反応性を有
するため、ノニオン系界面活性剤の添加量はアルキレン
オキサイド変性シリコーン油剤と併せて油剤中に含まれ
るすべての不揮発成分に対して好ましくは30重量%以
下とするのがよい。アルキレンオキサイド変性シリコー
ンの含量が多く、ノニオン系界面活性剤の添加量が少な
い場合、エマルジョンの安定性が低下するため好ましく
ない。逆にノニオン系界面活性剤の含量が多い場合、前
駆体繊維上での均一性が低下し、油剤の耐熱性が低下す
るため好ましくない。好適に用いる範囲としてノニオン
系界面活性剤の添加量は油剤中に含まれるすべての不揮
発分に対してより好ましくは2重量%以上25重量%以
下、さらには5重量%以上20重量%以下であることが
好ましい。また、長期安定性の観点から、酸化防止剤な
どを加えることもできるが、シリコーンの架橋反応を阻
害しないものを選択することが好ましい。
【0022】また、水系のエマルジョンの場合には、乳
化安定性の観点から、アルキレンオキサイド変性シリコ
ーンを使用するのが好ましいが、その際には、25℃に
おける粘度が20〜1000cStが好ましく、50〜
800cStであればより好ましく、100〜500c
Stであればさらに好ましい。また、その割合は、全て
のシリコーン系化合物100重量部に対して0.5〜1
0重量部とするのが好ましく、1〜7重量部とするのが
より好ましく、1.5〜5重量部とするのがさらに好ま
しい。10重量部を超えると、他のシリコーンの架橋反
応を遅延し本発明の効果を得にくくなったり、耐熱性が
低下することがある。また、0.5重量部を下回ると、
乳化安定性向上効果が顕著に得られないことがある。
【0023】アミノ変性シリコーンを使用する場合、変
性基はモノアミンタイプでもポリアミンタイプでもよ
い。アミノ基は架橋反応の起点となると考えられ、変性
量が高いほど架橋反応が促進されるが、油剤の皮膜が強
固となりすぎ、耐炎化工程での酸素透過性が阻害され、
さらに焼け斑を助長する原因となる。また変性量が低い
ほど加熱時の架橋反応の進行度が低くなり、十分な耐熱
性が得られず高性能な炭素繊維を得ることが難しくなる
ため、その変性量は、末端アミノ基量を−NH2の重量
に換算して、0.05〜10%が好ましく、0.1〜5
%がより好ましい。また、アミノ変性シリコーンの25
℃における粘度は、低いほど反応性が高くなり架橋反応
が促進されるが、上記の架橋反応進行度の影響を考慮す
ると、500〜10000cStが好ましく、700〜
7000cStがより好ましく、1000〜4000c
Stがさらに好ましい。
【0024】エポキシ変性シリコーンを使用する場合、
エポキシ変性基は、脂環式でもグリシジル型でもよい
が、長期安定性の観点から脂環式が好ましい。エポキシ
基はアミノ基と架橋反応を生じるため、変性量が高いほ
ど架橋反応が促進されるが、前述の架橋進行度の影響を
考慮すると変性量は、0.05〜10%が好ましく、
0.1〜5%がより好ましい。また、エポキシ変性シリ
コーンの25℃における粘度は、耐熱性の観点からは高
いほうがよく、1000〜30000cStが好まし
く、5000〜20000cStがより好ましく、80
00〜15000cStがさらに好ましい。また、アミ
ノ変性シリコーンとエポキシ変性シリコーンの割合は、
架橋反応が不足することによる耐熱性低下と、架橋反応
が過剰進行することによって、油剤の皮膜が強固となり
すぎ、耐炎化工程での酸素透過性が阻害され、さらに焼
け斑を助長することを考慮し、アミノ変性シリコーン1
00重量部に対して、エポキシ変性シリコーンは10〜
80重量部が好ましく、20〜70重量部がより好まし
く、30〜60重量部がさらに好ましい。
【0025】さらに、本発明の炭素繊維の製造方法につ
いて説明する。
【0026】本発明の炭素繊維の製造方法は、上述のシ
リコーン油剤を水を吸収して膨潤状態の糸条に付与した
後、150〜200℃の温度で熱処理して得た炭素繊維
用前駆体繊維を、200〜300℃の酸化性雰囲気にお
いて耐炎化し、300〜800℃の不活性雰囲気におい
て予備炭化し、さらに、800〜1800℃の不活性雰
囲気において炭化処理するものである。
【0027】本発明に用いる前駆体繊維の成分として
は、少なくとも95モル%以上、より好ましくは98モ
ル%以上のアクリロニトリルと、好ましくは5モル%以
下、より好ましくは2モル%以下の、耐炎化を促進し、
かつ、アクリロニトリルと共重合性のある、耐炎化促進
成分を共重合したものを好適に使用することができる。
【0028】かかる耐炎化促進成分としては、ビニル基
含有化合物(以下、ビニル系モノマーという)からなる
共重合体が好適に使用される。ビニル系モノマーの具体
例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸な
ど使用することができるが、これらに限定されるもので
はない。また、一部または全量をアンモニア中和したア
クリル酸、メタクリル酸、またはイタコン酸のアンモニ
ウム塩からなる共重合体は、耐炎化促進成分としてより
好適に使用される。
【0029】紡糸原液は、従来知られている溶液重合
法、懸濁重合法、乳化重合法などを採用し得る。紡糸原
液に使用される溶媒としては、有機、無機の従来公知の
溶媒を使用することができる。特に有機溶媒を使用する
のが好ましく、具体的には、ジメチルスルホキシド、ジ
メチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどを使用
することができ、特にジメチルスルホキシドを好ましく
使用することができる。
【0030】紡糸方法は、乾湿式紡糸法や湿式紡糸法が
好ましく用いることができる。この中で乾湿式紡糸法の
方が、より平滑な表面を得やすく、高物性な炭素繊維が
得られやすいため好ましい。また、乾湿式紡糸法は、そ
の接触点の多さから焼成工程の融着を生じやすく、本発
明の効果が顕著に現れる。
【0031】本発明においては、口金から直接または間
接に凝固浴中に紡糸原液を吐出し、凝固糸を得ることが
できる。凝固浴液は、紡糸原液に使用する溶媒と凝固促
進成分とから構成するのが、簡便性の点から好ましく、
凝固促進成分として水を用いるのがさらに好ましい。凝
固浴中の紡糸溶媒と凝固促進成分の割合、および凝固浴
液温度は、得られる凝固糸の緻密性、表面平滑性および
可紡性などを考慮して適宜選択して使用することができ
る。
【0032】得られた凝固糸は、20〜98℃に温調さ
れた単数または複数の水浴中で水洗、延伸するのがよ
い。延伸倍率は、糸切れや単繊維間の接着が生じない範
囲で、適宜設定することができるが、効果的に単糸間の
接着を防止するためには、5倍以下が好ましく、4倍以
下がより好ましく、3倍以下がさらに好ましい。また、
得られる前駆体繊維の緻密性を向上させる観点から、延
伸浴の最高温度は、50℃以上とするのが好ましく、7
0℃以上がより好ましい。
【0033】水洗、延伸された後の水を吸収して膨潤状
態の糸条に、本発明のシリコーン油剤を付与するのが好
ましい。付与方法としては、糸条内部まで均一に付与で
きることを勘案し、適宜選択して使用すればよいが、具
体的には、糸条の油剤浴中への浸漬、走行糸条への噴霧
および滴下などの手段を好ましく用いることができる。
【0034】かかるシリコーン油剤の付着量は、繊維の
乾燥重量に対する純分の割合が、0.1〜5重量%が好
ましく、0.3〜3重量%がより好ましく、0.5〜2
重量%がさらに好ましい。0.1重量%を下回ると、単
繊維同士の融着が生じ、得られる炭素繊維の引張強度が
低下することがあるので好ましくない。また、5重量%
を超えると、本発明の効果が得にくくなることがあるの
で好ましくない。
【0035】本発明の油剤を付与した糸条は、速やかに
乾燥されるのがよい。乾燥の方法は、特に限定されない
が、加熱された複数のローラーに直接接触させる方法が
好ましく用いられる。乾燥温度は、高いほどシリコーン
油剤の架橋反応を促進し、また、生産性の観点からも好
ましいので、単繊維間の融着が生じない範囲で高く設定
できる。具体的には、150℃以上が好ましく、180
℃以上であればより好ましい。通常、乾燥温度の上限は
200℃程度である。乾燥時間は、膨潤糸条が乾燥する
のに十分な時間とするのがよい。また、糸条への加熱状
態が均一になるよう、糸条をできるだけ拡幅した状態で
ローラーに接触させるのがよい。
【0036】乾燥された糸条は、さらに加圧スチーム中
または乾熱下で後延伸されるのが、得られる前駆体繊維
の緻密性や生産性の観点から好ましい。後延伸時のスチ
ーム圧力または温度や後延伸倍率は、糸切れ、毛羽発生
のない範囲で適宜選択して使用するのがよい。
【0037】また、本発明に用いる前駆体繊維の単糸繊
度は、0.1〜2.0dtexであることが好ましく、
0.3〜1.5dtexであることがより好ましく、
0.5〜1.2dtexがさらに好ましい。該繊度は小
さいほど、得られる炭素繊維の引張強度や弾性率の点で
有利であるが、生産性は低下するため、性能とコストの
バランスを勘案し選択するのがよい。
【0038】以上のような好ましい方法により、前駆体
繊維が製造され、さらに以下に述べるような方法で焼成
することにより、コストパフォーマンスに優れた炭素繊
維を製造することができる。
【0039】本発明の炭素繊維の製造方法において耐炎
化温度は、200〜300℃がよく、糸条が反応熱の蓄
熱によって糸切れが生じる温度よりも、10〜20℃低
い温度で耐炎化するのがコスト削減および得られる炭素
繊維の性能を高める観点から好ましい。耐炎化進行度
は、後述する方法で測定される耐炎化糸の炎収縮率を指
標とし、70〜90%の範囲とするのが好ましく、74
〜86%がより好ましく、76〜84%がさらに好まし
い。耐炎化時間は、生産性および得られる炭素繊維の性
能を高める観点から、10〜100分間が好ましく、3
0〜60分間がより好ましい。この耐炎化時間とは、糸
条が耐炎化炉内に滞留している全時間をいう。この時間
が10分を下回ると、各単繊維の二重構造が全体的に顕
著となり、本発明の効果が得にくくなることがある。耐
炎化工程の延伸比は0.80〜1.05が好ましく、
0.85〜1.02がより好ましく、0.90〜1.0
0がさらに好ましい。
【0040】予備炭化工程の温度は300〜800℃が
好ましい。また、延伸比は0.95〜1.10であるの
が好ましく、0.97〜1.05であるのがより好まし
く、1.00〜1.02であるのがさらに好ましい。
【0041】炭化工程の温度は800〜1800℃であ
れば好ましい。800℃を下回ると、得られる炭素繊維
の引張強度、弾性率が低下することがあるので好ましく
ない。また1800℃を上回ると、得られる炭素繊維の
引張強度が低下することがあるので好ましくない。炭化
工程の延伸比は、所望する炭素繊維の要求特性に応じ
て、毛羽発生など品位低下の生じない範囲で適宜選択す
るのがよい。
【0042】得られた炭素繊維に対して、好ましくは表
面処理を行うと、複合材料としたときのマトリックスと
の接着強度をより高めることができる。表面処理方法と
しては、例えば気相、液相処理における電解処理が好ま
しく適用される。
【0043】かかる電解処理に用いられる電解液として
は、硫酸、硝酸、塩酸といった酸、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム、テトラエチルアンモニウムヒドロキシ
ドといったアルカリあるいはそれらの塩を用いることが
できるが、より好ましくはアンモニウムイオンを含む水
溶液が好ましい。例えば、硝酸アンモニウム、硫酸アン
モニウム、過硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、臭
化アンモニウム、燐酸2水素アンモニウム、燐酸水素2
アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウ
ム、あるいは、それらの混合物を用いることができる。
【0044】電解処理の電気量は、使用する炭素繊維に
より異なり、例えば、炭化度の高い炭素繊維ほど、高い
通電電気量が必要となる。表面処理量としては、X線光
電子分光法(ESCA)により測定される炭素繊維の表
面酸素濃度O/Cおよび表面窒素濃度N/Cが、それぞ
れ0.05以上0.40以下、および、0.02以上
0.30以下の範囲になることが好ましい。
【0045】これらの条件を満足することにより、炭素
繊維とマトリックスとの接着が、適正なレベルとなり、
したがって接着が強すぎて非常にブリトルな破壊となっ
て強度が低下してしまうという欠点も、あるいは、強度
は強いものの接着力が低すぎて、非縦方向の機械的特性
が発現しないといった欠点も防止することができ、縦お
よび横方向にバランスのとれたコンポジット特性を有す
る特徴が発現される。
【0046】得られた炭素繊維は、さらに、必要に応じ
て、サイジング処理がなされる。サイジング剤には、マ
トリックスとの相溶性の良いサイジング剤が好ましく、
マトリックスに合わせて選択して使用することができ
る。
【0047】
【実施例】以下、実施例を用いて、本発明をさらに具体
的に説明する。
【0048】前述した各測定値、および後述する実施例
中での各測定値は、以下の方法により測定した。 <樹脂化率>重量約5g、直径約45mmの円形のアル
ミ容器に、純分として油剤を約1g(W1)となるよう
にサンプリングする。熱風乾燥機にて105℃で5時間
乾燥させる。乾燥後、所定温度±1℃にて所定時間保持
させた後、該アルミ容器にテトラヒドロフラン(以下、
THFという)を注ぎ、液状物を数回洗浄除去する。樹
脂化した油剤分を濾過し、さらにTHFにて洗浄する。
洗浄後の樹脂化油剤を50℃の熱風乾燥機にて20分乾
燥させた後のシリコーン油剤分の重量(W2)を測定す
る。得られた各重量から、以下の式により算出した。
【0049】本評価法において、アルミ容器中の油剤の
厚みが均一になるように注意する必要がある。
【0050】樹脂化率(%)=(W2/W1)×100 所定温度設定直後の樹脂化率(R1)および14日後の
樹脂化率(R2)を上記方法にて測定する。各測定値か
ら、樹脂化率の変化量を以下の式にて計算上求めた。
【0051】樹脂化率の変化率(%)=R2−R1 <剛体振り子の自由減衰振動法によるシリコーン油剤の
振動周期>剛体振り子の自由減衰振動法に基づき、株式
会社エーアンドディ社製剛体振り子型物性試験機RPT-30
00を用いて振動周期を測定する。長さ5cm、幅2c
m、厚み0.5mmの亜鉛メッキ鋼板製塗布基板(株式
会社エーアンドディ社製 STP-012)の上に、測定に供す
るシリコーン油剤を純分換算で厚みが20〜30μmと
なるように基板幅方向全面に塗布する。塗布後速やか
に、試験機にセットし測定を開始する。予め30℃に温
調しておき、塗布板および振り子をセットした後、50
℃/分の速度で180℃まで昇温し、180℃で10分
間ホールドする。その間、7秒間隔で連続的に周期の測
定を行う。なお、振り子は、下記のものを使用する。
【0052】使用エッジ:ナイフ形状エッジ(株式会社
エーアンドディ社製RBE−160) 振り子重量/慣性能率:15g/640g・cm(株式
会社エーアンドディ社製FRB−100) 振動周期差Tは以下の式で定義される。
【0053】振動周期差T=T30−T180 T30:30℃における振動周期(秒) T180:180℃で10分間熱処理後の振動周期(秒) <シリコーン油剤の加熱残存率R>加熱残存率は、シリ
コーン油剤を240℃の空気中で60分間熱処理した
後、引き続いて450℃の窒素中で30秒間熱処理した
後の残存率のことを言う。測定は、次の手順による。付
与するシリコーン油剤が、エマルジョンや溶液の場合に
は、直径が約60mm、高さが約20mmのアルミ製の
容器に、エマルジョンまたは溶液約1gを採取し、オー
ブンにより、105℃で5時間乾燥し、得られたシリコ
ーン分について、次の条件で、熱天秤(TG)により、
その耐熱残存率を測定する。
【0054】 サンプルパン:アルミニウム製、直径5mm、高さ5mm サンプル量:15〜20mg 空気中熱処理条件:空気流量30ml/分、昇温速度10℃/分、240℃ 熱処理時間:60分 雰囲気変更:240℃のまま空気から窒素へ変更して5分間保持 窒素中熱処理条件:窒素流量30ml/分 昇温速度10℃/分、450℃ 熱処理時間:30秒 この熱処理後における、トータルの重量保持率を、加熱
残存率Rとする。 <酸化繊維の炎収縮保持率>耐炎化糸束を約40cm採
取し、試長20cmとなるようにクリップなどの不燃物
でマークを付ける。次に、一端を固定し、もう一端に3
300dtex当たり10gの張力をかけ、マークした
試長間をブンセンバーナーの炎によって加熱する。この
際ブンセンバーナーの炎の高さは約15cmとし、炎の
上部約1/3の部分を用い、マーク間を約15秒/20
cmの速さで1往復半移動させながら加熱する。その
後、マーク間の長さを測定し、これをWb(mm)とす
ると、炎収縮保持率(%)は以下の式で定義される。
【0055】 炎収縮保持率(%)=(Wb/200)×100 <炭素繊維の強度および弾性率>炭素繊維の強度は、日
本工業規格JIS−R−7601「樹脂含浸ストランド
試験法」に記載された手法により、求める。ただし、測
定する炭素繊維の樹脂含浸ストランドは、”BAKEL
ITE”ERL4221(100重量部)/3フッ化ホ
ウ素モノエチルアミン(3重量部)/アセトン(4重量
部)を、炭素繊維に含浸させ、130℃、30分で硬化
させて形成する。また、ストランドの測定本数は、6本
とし、各測定結果の平均値を、その炭素繊維の強度、弾
性率とする。
【0056】実施例1〜4 表1に示したシリコーン組成比をもつシリコーン油剤を
作製し、樹脂化率の変化量、振動周期差T、加熱残存率
Rを測定した。油剤作製に用いたシリコーン成分は、末
端にメチル基を有するジメチルシリコーンの側鎖の一部
を、下記化学式1で示したアミノ基、下記化学式2で示
したエポキシ基、下記化学式3で示したエチレンオキサ
イド基でそれぞれ置換した3種類を用いた。変性量はそ
れぞれ、1.0%、1.0%、50%とした。上記3種
類のシリコーン100重量部に対して、20重量部のノ
ニオン系界面活性剤および水を加え、ホモミキサー、ホ
モジナイザーを用いて、純分30%のシリコーン油剤と
し、上記測定に供した。
【0057】
【化1】
【0058】
【化2】
【0059】
【化3】
【0060】さらに、アクリロニトリル99.5モル%
とイタコン酸0.5モル%からなる共重合体をジメチル
スルホキシドを溶媒とする溶液重合法により重合し、濃
度22%の紡糸原液を得た。重合後、アンモニアガスを
pH8.5になるまで吹き込み、イタコン酸を中和し
て、アンモニウム基をポリマー成分に導入することによ
り、紡糸原液の親水性を向上させた。得られた紡糸原液
を40℃として、直径0.15mm、孔数4000の紡
糸口金を用いて、一旦空気中に吐出し、約4mmの空間
を通過させた後、3℃にコントロールした35%ジメチ
ルスルホキシド水溶液からなる凝固浴に導入する乾湿式
紡糸により凝固させた。得られた凝固糸を水洗したのち
70℃の温水中で3倍に延伸し、さらに油剤浴中を通過
させることにより、表1に示したシリコーン油剤を付与
した。油剤浴中の濃度は、純分2.0%となるように水
で希釈して調整した。さらに180℃の加熱ローラーを
用いて、接触時間40秒の乾燥処理を行った。得られた
乾燥糸を、0.4MPa-Gの加圧スチーム中で延伸す
ることにより、製糸全延伸倍率を14倍とし、単糸繊度
0.8dtex、単繊維本数24000本の前駆体繊維
を得た。なお、得られた前駆体繊維のシリコーン油剤付
着量は純分で1.0%であった。
【0061】得られた前駆体繊維を、240〜280℃
の空気中で、炎収縮保持率が80%の耐炎化糸に転換し
た。耐炎化時間は40分、耐炎化工程の延伸比は0.9
5とした。さらに、同じ耐炎化糸について、300〜8
00℃の不活性雰囲気中で予備炭化した後、最高温度1
500℃で炭化した。予備炭化工程の延伸比は1.05
とした。さらに、得られた炭化糸を硫酸水溶液中で、1
0クーロン/g-CFの陽極酸化処理を行った後、強
度、弾性率を測定した。
【0062】比較例1〜2 表1に示した油剤のシリコーン組成比をもつシリコーン
油剤を作製し、実施例1と同様に樹脂化率の変化量、振
動周期差T、加熱残存率R、強度、弾性率を測定した。
【0063】表2に、各油剤の特性を示す。
【0064】表3に示すように、40℃で2週間経過し
た際の樹脂化率の変化量が0.1重量%以上5.0重量
%以下であること、80℃で1週間経過した際の樹脂化
率の変化量が50重量%以上90重量%以下である炭素
繊維用シリコーン油剤を付与した実施例1〜4では原糸
保存期間2ヶ月間の条件においても糸切れが少なく良好
なプロセス性を示した。
【0065】これに対して、40℃で2週間経過した際
の樹脂化率の変化量が高い比較例1では、実施例のもの
に比して長期保管原糸の焼成工程でのプロセス性が悪
く、強度が小さいものであった。また、40℃、80℃
いずれの条件でも樹脂化率変化量の低い比較例2では、
糸切れが多く生じ炭素繊維が生産できなかった。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】
【発明の効果】本発明によれば、長期の保存安定性に富
み、高い融着抑制効果を発現するシリコーン油剤を提供
し、さらには、このシリコーン油剤を付与することによ
る、長期保存/物性安定性の高い前駆体繊維および炭素
繊維を提供することができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 83:12) Fターム(参考) 4J002 CP052 CP091 CP183 GK00 GK01 4L033 AA05 AB01 AC06 AC08 AC09 AC15 CA60 CA61 CA64 4L037 AT02 CS03 FA01 FA08 PA55 PA65 PC09 PF27 PF45 PF50 PF52 PF54 PS12

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】40℃で2週間経過した際の樹脂化率の変
    化量が0.1重量%以上5.0重量%以下であることを
    特徴とする炭素繊維前駆体用シリコーン油剤。
  2. 【請求項2】80℃で1週間経過した際の樹脂化率の変
    化量が50重量%以上90重量%以下であることを特徴
    とする炭素繊維前駆体用シリコーン油剤。
  3. 【請求項3】シリコーン油剤が、25℃における粘度が
    500〜10000cStのアミノ変性シリコーンと、
    25℃における粘度が1000〜30000cStのエ
    ポキシ変性シリコーンと、25℃における粘度が20〜
    1000cStのアルキレンオキサイド変性シリコーン
    の少なくとも3種以上が含まれてなる水エマルジョンで
    あって、かつ、アミノ変性シリコーン100重量部に対
    するエポキシ変性シリコーンの割合が10〜80重量部
    であり、該油剤中に含まれる全ての不揮発分中に占める
    アルキレンオキサイド変性化合物の割合が10〜30重
    量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の
    炭素繊維前駆体用シリコーン油剤。
  4. 【請求項4】シリコーン油剤が、25℃における粘度が
    700〜7000cStのアミノ変性シリコーンと、2
    5℃における粘度が5000〜20000cStのエポ
    キシ変性シリコーンと、25℃における粘度が50〜8
    00cStのアルキレンオキサイド変性シリコーンの少
    なくとも3種以上が含まれてなる水エマルジョンである
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の炭素繊維前
    駆体用シリコーン油剤。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載の炭素繊維
    前駆体用シリコーン油剤が付与されてなることを特徴と
    する炭素繊維用前駆体繊維。
  6. 【請求項6】請求項1〜4のいずれかに記載の炭素繊維
    前駆体用シリコーン油剤を、水を吸収して膨潤状態の糸
    条に付与した後、150〜200℃の温度で熱処理して
    得た炭素繊維用前駆体繊維を、200〜300℃の酸化
    性雰囲気において耐炎化した後、300〜800℃の不
    活性雰囲気下において予備炭化し、さらに、800〜1
    800℃の不活性雰囲気下において炭化処理することを
    特徴とする炭素繊維の製造方法。
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