JP2021139062A - 炭素繊維束の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】紡糸溶液中でのゲルの発生を抑制しつつ、緻密で高品位の凝固繊維束を得ることができ、それにより安定して高品位な炭素繊維束を得る。【解決手段】アクリロニトリル85mol%以上、カルボキシル基を有する共重合成分0.05mol%以上が共重合されてなるアクリロニトリル系共重合体を含む紡糸溶液を、乾湿式紡糸法または湿式紡糸法により凝固浴液中で凝固せしめて凝固繊維束を得た後、少なくとも水洗工程、延伸工程、油剤付与工程および乾燥工程を行って炭素繊維前駆体繊維束を得て、次いで炭素繊維前駆体繊維束を200〜300℃の温度の酸化性雰囲気中において耐炎化処理する耐炎化工程、500〜1200℃の最高温度の不活性雰囲気中において予備炭化処理する予備炭化工程および1200〜2000℃の最高温度の不活性雰囲気中において炭化処理する炭化工程を行う炭素繊維束の製造方法であって、凝固浴液がジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機溶剤と、水と、塩基を含み、凝固浴液中の有機溶剤濃度が60〜85%であり、凝固浴液のpHが8以上である炭素繊維束の製造方法。【選択図】なし
Description
本発明は、航空機部材、自動車部材および船舶部材をはじめとして、ゴルフシャフトや釣竿等のスポーツ用途およびその他一般産業用途に好適に用いられる炭素繊維束に関するものである。
炭素繊維束は、他の繊維に比べて高い比強度および比弾性率を有するため、複合材料用補強繊維として、従来からのスポーツ用途や航空・宇宙用途に加え、自動車や土木・建築、圧力容器および風車ブレードなどの一般産業用途にも幅広く展開されつつあり、更なる高性能化(特にストランド引張強度の向上)の要請が強い。
炭素繊維束の中で、最も広く利用されているポリアクリロニトリル系炭素繊維束は、アクリロニトリル系共重合体からなる紡糸溶液を湿式紡糸法や乾湿式紡糸法により紡糸して炭素繊維前駆体繊維束を得た後、それを200〜300℃の温度の酸化性雰囲気下で加熱して耐炎化繊維束へ転換し、少なくとも1200℃の温度の不活性雰囲気下で加熱して炭素化することによって工業的に製造されている。高性能の炭素繊維束を得るためには、毛羽発生、糸切れ等のない高品位の炭素繊維前駆体繊維束を作製する必要があり、特に、紡糸溶液・凝固条件の設定が重要である。
一般に、炭素繊維前駆体繊維束は、乾湿式紡糸法あるいは湿式紡糸法によって作製され、凝固浴液にて繊維化された凝固繊維束の内部は空隙を有した構造が形成される。この凝固繊維束の空隙は、その後の延伸工程・乾燥工程などの適正化である程度消失させることはできるが、一部は炭素繊維束になった後も穴状の欠陥として残存し、炭素繊維束の性能を低下させる要因となる。そのため、この穴状の欠陥を抑制するためには、凝固繊維束の段階での空隙の形成をできるだけ抑制することが非常に重要である。
空隙を抑制した緻密な凝固繊維束を得るための手段として、紡糸溶液のアクリロニトリル系共重合体を親水化する技術が提案されている。特許文献1には、凝固繊維束の空隙を抑制するために共重合成分としてカルボキシル基を導入し、紡糸溶液にアンモニアを添加することで、カルボキシル基をイオン化させ、アクリロニトリル系共重合体の親水性を向上させる技術が提案されている。共重合成分のイオン化はアクリロニトリル系共重合体の親水性を大幅に向上させることができるため、少量の共重合成分の添加で済むことから好適に用いられている。特許文献2にも同様に、カルボキシル基を共重合したアクリロニトリル系共重合体を溶解させた紡糸溶液に対してアンモニアを添加し、アクリロニトリル系共重合体の親水性を向上させ、凝固繊維束の緻密性を向上させる旨の記載がなされている。また、紡糸溶液だけでなく凝固浴液にもアンモニアを添加することも有効とする記載もある。
しかしながら、酸性共重合成分のイオン化のために、アンモニアなどの塩基を紡糸溶液へ添加することは、紡糸溶液の経時安定性を低下させる場合がある。特許文献1にはアンモニアを添加しすぎると原液粘度の経時変化が大きくなるとの記載があり、また、特許文献2においても、アクリロニトリル系共重合体のゲル化が進行するとの記載がある。紡糸溶液中に発生したゲルは、紡糸ノズル孔より吐出不良を発生させ、吐出直後の糸切れを発生させる要因になり、また、炭素繊維束になった後も炭素繊維束の性能・品位を低下させる欠陥の要因にもなってしまう。
紡糸溶液中のゲルを抑制する技術として、特許文献3には、紡糸溶液中の溶媒を混合溶媒とすることで溶解性を向上させ、ゲルを抑制する技術が提案されている。特許文献4には紡糸溶液への塩基添加量、紡糸溶液の保持温度、保持時間を設定することでゲルの発生を抑制する技術が提案されている。また、紡糸溶液中に発生したゲルはフィルターを適用することである程度除去することができるため、例えば、特許文献5のように多段で効率的に異物を除去する技術などを採用することもできる。
しかしながら、紡糸溶液に塩基を添加することで発生するゲルの中には、化学反応により生成するゲルが含まれる。そのため、単純に溶媒の溶解性を向上させる特許文献3に記載の技術や、特許文献4に記載の塩基添加量・温度・時間管理では、高品位・高性能の炭素繊維束を創出するには、十分とはいえなかった。また、特許文献5に記載のフィルターで除去する方法は、フィルターサイズよりも小さなナノスケールのゲルの除去が難しい。すなわち、紡糸溶液のアクリロニトリル系共重合体をイオン化し親水化することは凝固繊維束の緻密性を向上させる技術として非常に有用であるが、それにより生じる紡糸溶液中でのゲルの発生を十分に抑制できない課題があった。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成からなる。
すなわち、本発明の炭素繊維束の製造方法は、アクリロニトリルを85mol%以上含み、カルボキシル基を有する共重合成分を0.05mol%以上含んだアクリロニトリル系共重合体を含む紡糸溶液を、乾湿式紡糸法または湿式紡糸法により凝固浴液中で凝固せしめて凝固繊維束を得た後、少なくとも水洗工程、延伸工程、油剤付与工程および乾燥工程を行って炭素繊維前駆体繊維束を得て、次いで炭素繊維前駆体繊維束を200〜300℃の温度の酸化性雰囲気中において耐炎化処理する耐炎化工程、500〜1200℃の最高温度の不活性雰囲気中において予備炭化処理する予備炭化工程および1200〜2000℃の最高温度の不活性雰囲気中において炭化処理する炭化工程を行う炭素繊維束の製造方法であって、凝固浴液がジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機溶剤と、水と、塩基を含み、凝固浴液中の有機溶剤濃度が60〜85%であり、凝固浴液のpHが8以上であることを特徴とする。
本発明によれば、紡糸溶液中でのゲルの発生を抑制しつつ、緻密で高品位の凝固繊維束を得ることができ、それにより安定して高品位な炭素繊維束を得ることができる。
[炭素繊維束の製造方法]
(紡糸方法)
本発明における凝固繊維束を製造する際の紡糸方法としては、乾湿式紡糸法、湿式紡糸法のいずれでも効果を発現できるため、いずれの紡糸方法も採用することができる。乾湿式紡糸法とは、紡糸溶液を紡糸口金から空気中に押し出し、その後凝固溶液が貯留された凝固浴液中に浸漬させ、凝固浴液中から空気中に引き出して凝固繊維束を得る紡糸方法である。湿式紡糸法とは、紡糸溶液を紡糸口金から凝固溶液が貯留された凝固浴液中に押し出し、凝固浴液中から空気中に引き出して凝固繊維束を得る紡糸方法である。
(紡糸方法)
本発明における凝固繊維束を製造する際の紡糸方法としては、乾湿式紡糸法、湿式紡糸法のいずれでも効果を発現できるため、いずれの紡糸方法も採用することができる。乾湿式紡糸法とは、紡糸溶液を紡糸口金から空気中に押し出し、その後凝固溶液が貯留された凝固浴液中に浸漬させ、凝固浴液中から空気中に引き出して凝固繊維束を得る紡糸方法である。湿式紡糸法とは、紡糸溶液を紡糸口金から凝固溶液が貯留された凝固浴液中に押し出し、凝固浴液中から空気中に引き出して凝固繊維束を得る紡糸方法である。
(アクリロニトリル系共重合体)
本発明においてアクリロニトリル系共重合体とは、少なくともアクリロニトリル及びそれと共重合可能なカルボキシル基を有する共重合成分とを共重合してなる共重合体であり、アクリロニトリル85mol%以上、カルボキシル基を有する共重合成分0.05mol%以上が共重合されてなるものをいう。カルボキシル基を有する共重合成分は0.10〜5.00mol%が好ましく、0.10〜3.00mol%がより好ましく、0.10〜1.00mol%が更に好ましい。カルボキシル基量が少なすぎると、アクリロニトリル系重合体の親水性が低くなり、得られる凝固繊維束の緻密性が低下するため炭素繊維束になった後の穴状の欠陥を発生させてしまう。またカルボキシル基量が多すぎると、カルボキシル基には耐炎化促進効果があるため、耐炎化工程での発熱が大きすぎて、糸切れが生じやすくなる。カルボキシル基を有する共重合成分としてはアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、シトラコン酸、エタクリル酸、マレイン酸、メサコン酸およびその塩(例えば、アクリル酸アンモニム塩やアクリル酸ナトリウム塩など)が例示できるが、塩の場合はカルボキシル基がイオン化しているため紡糸溶液にした際に紡糸溶液中にゲルを発生させやすくなる。そのため、カルボキシル基を有する共重合成分としては塩を含まない方が好ましい。また、カルボキシル基を有する共重合成分の中でも耐炎化促進効果の高いアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸がより好ましい。
本発明においてアクリロニトリル系共重合体とは、少なくともアクリロニトリル及びそれと共重合可能なカルボキシル基を有する共重合成分とを共重合してなる共重合体であり、アクリロニトリル85mol%以上、カルボキシル基を有する共重合成分0.05mol%以上が共重合されてなるものをいう。カルボキシル基を有する共重合成分は0.10〜5.00mol%が好ましく、0.10〜3.00mol%がより好ましく、0.10〜1.00mol%が更に好ましい。カルボキシル基量が少なすぎると、アクリロニトリル系重合体の親水性が低くなり、得られる凝固繊維束の緻密性が低下するため炭素繊維束になった後の穴状の欠陥を発生させてしまう。またカルボキシル基量が多すぎると、カルボキシル基には耐炎化促進効果があるため、耐炎化工程での発熱が大きすぎて、糸切れが生じやすくなる。カルボキシル基を有する共重合成分としてはアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、シトラコン酸、エタクリル酸、マレイン酸、メサコン酸およびその塩(例えば、アクリル酸アンモニム塩やアクリル酸ナトリウム塩など)が例示できるが、塩の場合はカルボキシル基がイオン化しているため紡糸溶液にした際に紡糸溶液中にゲルを発生させやすくなる。そのため、カルボキシル基を有する共重合成分としては塩を含まない方が好ましい。また、カルボキシル基を有する共重合成分の中でも耐炎化促進効果の高いアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸がより好ましい。
(紡糸溶液)
紡糸溶液においてアクリロニトリル系共重合体を溶解する溶媒はジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドが好ましく、アクリロニトリル系共重合体の溶解性の点からジメチルスルホキシドが最も好ましい。
紡糸溶液においてアクリロニトリル系共重合体を溶解する溶媒はジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドが好ましく、アクリロニトリル系共重合体の溶解性の点からジメチルスルホキシドが最も好ましい。
本発明において、紡糸溶液中のアクリロニトリル系共重合体のカルボキシル基を塩基によりイオン化し、親水性を高めても良いが、紡糸溶液中にゲルが発生しやすくなる。そのため、紡糸溶液の塩基の含有量については、アクリロニトリル系共重合体のカルボキシル基量に対して0.5等量以下と少なめに設定することが好ましく、0.3等量以下がより好ましく、含有しないことが最も好ましい。塩基としては、アンモニア、アミン化合物、アンモニウム塩、水酸化ナトリウムなどが例示できる。
(凝固浴液)
本発明における凝固浴液には、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機溶剤と、水と、塩基を含む。ここで、有機溶剤としては、アクリロニトリル系重合体溶液で溶媒として用いたジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種と同じ有機溶剤を選択することが好ましい。凝固浴液に添加される水は凝固促進剤として使用される。また、本発明における凝固浴液は、塩基を含むことでpHが8以上に設定される。凝固浴液に添加される塩基は、アンモニア、アミン化合物、アンモニウム塩、水酸化ナトリウムなどが例示でき、安価かつ汎用性があることからアンモニアが特に好ましい。塩基の導入量は凝固浴液のpHが8以上になるように設定する必要があり、9〜12が好ましく、10〜12が更に好ましい。凝固浴液のpHが低いと凝固繊維束の緻密化が進行しにくくなり、大きすぎると、凝固浴液に対する危険性が高まってしまう。また、本発明における凝固浴液の有機溶剤濃度は60〜85質量%と高い濃度に設定する必要がある。凝固浴液の有機溶剤濃度が高いと、凝固速度が大幅に低下するため、凝固繊維束の内部構造が形成される前に、アクリロニトリル系共重合体のイオン化していないカルボキシル基がpHの高い凝固浴液中でイオン化し親水化することで、非常に緻密な凝固繊維束を得ることができることを本発明者らは初めて見出した。凝固浴液の有機溶剤濃度は70〜82%が好ましく、75〜82%がより好ましい。凝固浴液中の有機溶剤濃度が低いと、凝固速度が速くなるため、紡糸溶液中のイオン化していないカルボキシル基が凝固浴液中でイオン化することができないまま、凝固が進行するようになり、緻密な凝固繊維束を得ることができない。また、有機溶剤濃度が高すぎると凝固速度が遅すぎて繊維化することが難しくなる。
本発明における凝固浴液には、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機溶剤と、水と、塩基を含む。ここで、有機溶剤としては、アクリロニトリル系重合体溶液で溶媒として用いたジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種と同じ有機溶剤を選択することが好ましい。凝固浴液に添加される水は凝固促進剤として使用される。また、本発明における凝固浴液は、塩基を含むことでpHが8以上に設定される。凝固浴液に添加される塩基は、アンモニア、アミン化合物、アンモニウム塩、水酸化ナトリウムなどが例示でき、安価かつ汎用性があることからアンモニアが特に好ましい。塩基の導入量は凝固浴液のpHが8以上になるように設定する必要があり、9〜12が好ましく、10〜12が更に好ましい。凝固浴液のpHが低いと凝固繊維束の緻密化が進行しにくくなり、大きすぎると、凝固浴液に対する危険性が高まってしまう。また、本発明における凝固浴液の有機溶剤濃度は60〜85質量%と高い濃度に設定する必要がある。凝固浴液の有機溶剤濃度が高いと、凝固速度が大幅に低下するため、凝固繊維束の内部構造が形成される前に、アクリロニトリル系共重合体のイオン化していないカルボキシル基がpHの高い凝固浴液中でイオン化し親水化することで、非常に緻密な凝固繊維束を得ることができることを本発明者らは初めて見出した。凝固浴液の有機溶剤濃度は70〜82%が好ましく、75〜82%がより好ましい。凝固浴液中の有機溶剤濃度が低いと、凝固速度が速くなるため、紡糸溶液中のイオン化していないカルボキシル基が凝固浴液中でイオン化することができないまま、凝固が進行するようになり、緻密な凝固繊維束を得ることができない。また、有機溶剤濃度が高すぎると凝固速度が遅すぎて繊維化することが難しくなる。
本発明における凝固浴液の温度は、−20〜70℃とすることが好ましく、−15〜40℃がより好ましく、−15〜15℃が更に好ましい。凝固浴液温度が高すぎると、相分離速度が速くなるため凝固繊維束の緻密性が低下してしまう場合がある。また、凝固浴液の温度が低すぎると凝固浴液の粘度が高くなりすぎて、紡糸が難しくなる場合がある。
(水洗工程、延伸工程、油剤付与工程、乾燥工程)
本発明において、凝固繊維束を得た後、少なくとも水洗工程、延伸工程、油剤付与工程および乾燥工程を経て、炭素繊維前駆体繊維束が得られる。水洗工程は、凝固繊維束を水洗浴に導入し、凝固繊維束から有機溶剤を除去する目的で導入される。
本発明において、凝固繊維束を得た後、少なくとも水洗工程、延伸工程、油剤付与工程および乾燥工程を経て、炭素繊維前駆体繊維束が得られる。水洗工程は、凝固繊維束を水洗浴に導入し、凝固繊維束から有機溶剤を除去する目的で導入される。
延伸工程は、通常、30〜98℃の温度に温調された単一または複数の延伸浴中で延伸する工程である。延伸工程における浴中での延伸を浴中延伸といい、その倍率を浴中延伸倍率という。浴中延伸倍率は、2〜6倍になるように設定することが好ましい。油剤付与工程は、浴中延伸工程の後、繊維同士の接着を防止する目的から、油剤を付与する工程である。付与する油剤は、耐熱性の高いアミノ変性シリコーン等の変性されたシリコーンを含有するものを用いることが好ましい。
次の乾燥工程は、公知の方法を利用することができる。また、生産性の向上や結晶配向度の向上の観点から、乾燥工程後に加熱熱媒中で延伸することが好ましい。加熱熱媒としては、例えば、加圧水蒸気あるいは過熱水蒸気が操業安定性やコストの面で好適に用いられる。
(焼成工程)
次に、本発明の炭素繊維束の製造方法について説明する。本発明の炭素繊維束の製造方法では、前記した方法により製造された炭素繊維前駆体繊維束を、200〜300℃の温度の酸化性雰囲気中において耐炎化処理した後、500〜1200℃の最高温度の不活性雰囲気中において予備炭化処理し、次いで1200〜2000℃の最高温度の不活性雰囲気中において炭化処理して炭素繊維束を製造する。
次に、本発明の炭素繊維束の製造方法について説明する。本発明の炭素繊維束の製造方法では、前記した方法により製造された炭素繊維前駆体繊維束を、200〜300℃の温度の酸化性雰囲気中において耐炎化処理した後、500〜1200℃の最高温度の不活性雰囲気中において予備炭化処理し、次いで1200〜2000℃の最高温度の不活性雰囲気中において炭化処理して炭素繊維束を製造する。
耐炎化処理における酸化性雰囲気としては、空気が好ましく採用される。本発明において、予備炭化処理や炭化処理は不活性雰囲気中で行われる。不活性雰囲気に用いられるガスとしては、窒素、アルゴンおよびキセノンなどを例示することができ、経済的な観点からは窒素が好ましく用いられる。
(表面改質工程)
得られた炭素繊維束はその表面改質のため、電解処理をすることができる。電解処理により、得られる繊維強化複合材料において炭素繊維マトリックスとの接着性を適正化することができるためである。電解処理の後、炭素繊維束に集束性を付与するため、サイジング処理を施すこともできる。サイジング剤には、使用する樹脂の種類に応じて、マトリックス樹脂と相溶性の良いサイジング剤を適宜選択することができる。
得られた炭素繊維束はその表面改質のため、電解処理をすることができる。電解処理により、得られる繊維強化複合材料において炭素繊維マトリックスとの接着性を適正化することができるためである。電解処理の後、炭素繊維束に集束性を付与するため、サイジング処理を施すこともできる。サイジング剤には、使用する樹脂の種類に応じて、マトリックス樹脂と相溶性の良いサイジング剤を適宜選択することができる。
(実施例1)
アクリロニトリル99.5mol%とイタコン酸0.5mol%からなる共重合体を、ジメチルスルホキシドに溶解させ、紡糸溶液とした。得られた紡糸溶液を紡糸口金から一旦、空気中に押し出し、ジメチルスルホキシドを80質量%、凝固促進剤である水を19質量%、アンモニア1質量%の比率で混合し、温度を10℃にコントロールした凝固浴液に導入して凝固繊維束を得た。その後、水洗工程にて凝固繊維束を水洗した後、延伸工程では、90℃の温水中で浴延伸を施した。このときの浴延伸倍率は2.0倍とした。続いて、油剤付与工程では、この繊維束に対して、アミノ変性シリコーン油剤を付与した。その後、180℃の加熱ローラーを用いて、乾燥処理を行い、加圧スチーム中で6倍延伸することにより、製糸全延伸倍率を12倍とし、単繊維繊度0.9dtexの炭素繊維前駆体繊維束を得た。次に、得られた炭素繊維前駆体繊維束を、以下の焼成工程において処理し、炭素繊維束とした。耐炎化工程において、得られた炭素繊維前駆体繊維束を温度200〜300℃の空気中において耐炎化処理し、耐炎化繊維束を得た。予備炭化工程において、得られた耐炎化繊維束を、最高温度800℃の窒素雰囲気中において予備炭素化処理を行い、予備炭素化繊維束を得た。炭化工程において、得られた予備炭素化繊維束を、窒素雰囲気中において、最高温度1500℃で炭素化処理を行った。引き続いて硫酸水溶液を電解液として電解表面処理し、水洗、乾燥した後、サイジング剤を付与し、炭素繊維束を得た。紡糸条件および得られた炭素繊維束の物性を表1に纏めており、以後の実施例は表1に、比較例は表2に纏めた。ストランド引張強度は6.8GPaであり、凝固浴液にアンモニアを添加していない比較例1と比較して、ストランド強度が+1.5GPa向上した。凝固繊維束の緻密性が向上した効果により強度が向上したものと考えられる。
アクリロニトリル99.5mol%とイタコン酸0.5mol%からなる共重合体を、ジメチルスルホキシドに溶解させ、紡糸溶液とした。得られた紡糸溶液を紡糸口金から一旦、空気中に押し出し、ジメチルスルホキシドを80質量%、凝固促進剤である水を19質量%、アンモニア1質量%の比率で混合し、温度を10℃にコントロールした凝固浴液に導入して凝固繊維束を得た。その後、水洗工程にて凝固繊維束を水洗した後、延伸工程では、90℃の温水中で浴延伸を施した。このときの浴延伸倍率は2.0倍とした。続いて、油剤付与工程では、この繊維束に対して、アミノ変性シリコーン油剤を付与した。その後、180℃の加熱ローラーを用いて、乾燥処理を行い、加圧スチーム中で6倍延伸することにより、製糸全延伸倍率を12倍とし、単繊維繊度0.9dtexの炭素繊維前駆体繊維束を得た。次に、得られた炭素繊維前駆体繊維束を、以下の焼成工程において処理し、炭素繊維束とした。耐炎化工程において、得られた炭素繊維前駆体繊維束を温度200〜300℃の空気中において耐炎化処理し、耐炎化繊維束を得た。予備炭化工程において、得られた耐炎化繊維束を、最高温度800℃の窒素雰囲気中において予備炭素化処理を行い、予備炭素化繊維束を得た。炭化工程において、得られた予備炭素化繊維束を、窒素雰囲気中において、最高温度1500℃で炭素化処理を行った。引き続いて硫酸水溶液を電解液として電解表面処理し、水洗、乾燥した後、サイジング剤を付与し、炭素繊維束を得た。紡糸条件および得られた炭素繊維束の物性を表1に纏めており、以後の実施例は表1に、比較例は表2に纏めた。ストランド引張強度は6.8GPaであり、凝固浴液にアンモニアを添加していない比較例1と比較して、ストランド強度が+1.5GPa向上した。凝固繊維束の緻密性が向上した効果により強度が向上したものと考えられる。
(実施例2)
紡糸溶液のアクリロニトリル系共重合体のカルボキシル基に対して、塩基としてアンモニアを0.3等量添加した以外は実施例1と同一とした。ストランド強度は6.5GPaであり、実施例1と比較して低かった。紡糸溶液中への塩基の添加が紡糸溶液中でゲルを発生させ、強度低下させたものと考えられる。
紡糸溶液のアクリロニトリル系共重合体のカルボキシル基に対して、塩基としてアンモニアを0.3等量添加した以外は実施例1と同一とした。ストランド強度は6.5GPaであり、実施例1と比較して低かった。紡糸溶液中への塩基の添加が紡糸溶液中でゲルを発生させ、強度低下させたものと考えられる。
(実施例3)
紡糸溶液のアクリロニトリル系共重合体のカルボキシル基に対して、塩基としてアンモニアを0.5等量添加した以外は実施例1と同一とした。ストランド強度は6.4GPaであり、凝固浴液にアンモニアを添加していない比較例2と比較して+0.9GPa向上したが、実施例1と比較して向上幅は低下した。凝固繊維束の緻密性が向上した効果により、比較例2よりも強度が向上したが、紡糸溶液中への塩基の添加が紡糸溶液中でゲルを発生させ、強度向上効果が実施例1よりも低くなったと考えられる。
紡糸溶液のアクリロニトリル系共重合体のカルボキシル基に対して、塩基としてアンモニアを0.5等量添加した以外は実施例1と同一とした。ストランド強度は6.4GPaであり、凝固浴液にアンモニアを添加していない比較例2と比較して+0.9GPa向上したが、実施例1と比較して向上幅は低下した。凝固繊維束の緻密性が向上した効果により、比較例2よりも強度が向上したが、紡糸溶液中への塩基の添加が紡糸溶液中でゲルを発生させ、強度向上効果が実施例1よりも低くなったと考えられる。
(実施例4)
凝固浴液の温度を85℃とした以外は実施例1と同一とした。ストランド強度は5.8GPaであり、凝固浴液にアンモニアを添加していない比較例3よりも+0.8GPa向上した。
凝固浴液の温度を85℃とした以外は実施例1と同一とした。ストランド強度は5.8GPaであり、凝固浴液にアンモニアを添加していない比較例3よりも+0.8GPa向上した。
(実施例5)
凝固浴液の温度を70℃とした以外は実施例1と同一とした。ストランド強度は5.7GPaであり、凝固浴液にアンモニアを添加していない比較例4よりも+0.7GPa向上した。
凝固浴液の温度を70℃とした以外は実施例1と同一とした。ストランド強度は5.7GPaであり、凝固浴液にアンモニアを添加していない比較例4よりも+0.7GPa向上した。
(実施例6)
凝固浴液の温度を35℃とした以外は実施例1と同一とした。ストランド強度は6.3GPaであり、凝固浴液にアンモニアを添加していない比較例5よりも+1.1GPa向上した。
凝固浴液の温度を35℃とした以外は実施例1と同一とした。ストランド強度は6.3GPaであり、凝固浴液にアンモニアを添加していない比較例5よりも+1.1GPa向上した。
(実施例7)
凝固浴液の温度を−15℃とした以外は実施例1と同一とした。ストランド強度は7.0GPaであり、凝固浴液にアンモニアを添加していない比較例6よりも+1.4GPa向上した。
凝固浴液の温度を−15℃とした以外は実施例1と同一とした。ストランド強度は7.0GPaであり、凝固浴液にアンモニアを添加していない比較例6よりも+1.4GPa向上した。
(実施例8)
凝固浴液の温度を−25℃とした以外は実施例1と同一とした。ストランド強度は6.8GPaであり、凝固浴液にアンモニアを添加していない比較例7よりも+1.4GPa向上したが、実施例7と比較して低い値となった。浴温度が低すぎたため、凝固浴液粘度が高くなり、紡糸時の凝固浴液が実施例7と比較して変動し、糸も揺れていた。これにより、糸切れ等が生じ、ストランド強度が低下したものと考えられる。
凝固浴液の温度を−25℃とした以外は実施例1と同一とした。ストランド強度は6.8GPaであり、凝固浴液にアンモニアを添加していない比較例7よりも+1.4GPa向上したが、実施例7と比較して低い値となった。浴温度が低すぎたため、凝固浴液粘度が高くなり、紡糸時の凝固浴液が実施例7と比較して変動し、糸も揺れていた。これにより、糸切れ等が生じ、ストランド強度が低下したものと考えられる。
(実施例9)
ジメチルスルホキシドを80質量%、凝固促進剤である水を19.9質量%、アンモニア0.1質量%の比率で混合して凝固浴液とした以外は実施例1と同一とした。ストランド強度は6.6GPaであり、実施例1と同様に高い強度となった。凝固浴液にアンモニアを添加していない比較例1と比較して、+1.3GPa向上している。
ジメチルスルホキシドを80質量%、凝固促進剤である水を19.9質量%、アンモニア0.1質量%の比率で混合して凝固浴液とした以外は実施例1と同一とした。ストランド強度は6.6GPaであり、実施例1と同様に高い強度となった。凝固浴液にアンモニアを添加していない比較例1と比較して、+1.3GPa向上している。
(実施例10)
ジメチルスルホキシドを80質量%、凝固促進剤である水を19.95質量%、アンモニア0.05質量%の比率で混合して凝固浴液とした以外は実施例1と同一とした。ストランド強度は5.9GPaであり、凝固浴液にアンモニアを添加していない比較例1と比較して、+0.6GPa向上した。
ジメチルスルホキシドを80質量%、凝固促進剤である水を19.95質量%、アンモニア0.05質量%の比率で混合して凝固浴液とした以外は実施例1と同一とした。ストランド強度は5.9GPaであり、凝固浴液にアンモニアを添加していない比較例1と比較して、+0.6GPa向上した。
(実施例11)
ジメチルスルホキシドを80質量%、凝固促進剤である水を19.99質量%、アンモニア0.01質量%の比率で混合して凝固浴液とした以外は実施例1と同一とした。ストランド強度は5.9GPaであり、凝固浴液にアンモニアを添加していない比較例1と比較して、+0.6GPa向上した。
ジメチルスルホキシドを80質量%、凝固促進剤である水を19.99質量%、アンモニア0.01質量%の比率で混合して凝固浴液とした以外は実施例1と同一とした。ストランド強度は5.9GPaであり、凝固浴液にアンモニアを添加していない比較例1と比較して、+0.6GPa向上した。
(実施例12)
ジメチルスルホキシドを60質量%、凝固促進剤である水を39質量%、アンモニア1質量%の比率で混合して凝固浴液とした以外は実施例1と同一とした。ストランド強度は5.8GPaであり、凝固浴液にアンモニアを添加していない比較例12と比較して、+0.7GPa向上した。
ジメチルスルホキシドを60質量%、凝固促進剤である水を39質量%、アンモニア1質量%の比率で混合して凝固浴液とした以外は実施例1と同一とした。ストランド強度は5.8GPaであり、凝固浴液にアンモニアを添加していない比較例12と比較して、+0.7GPa向上した。
(実施例13)
ジメチルスルホキシドを72質量%、凝固促進剤である水を27質量%、アンモニア1質量%の比率で混合して凝固浴液とした以外は実施例1と同一とした。ストランド強度は6.4GPaであり、凝固浴液にアンモニアを添加していない比較例13と比較して、+1.2GPa向上した。
ジメチルスルホキシドを72質量%、凝固促進剤である水を27質量%、アンモニア1質量%の比率で混合して凝固浴液とした以外は実施例1と同一とした。ストランド強度は6.4GPaであり、凝固浴液にアンモニアを添加していない比較例13と比較して、+1.2GPa向上した。
(実施例14)
ジメチルスルホキシドを78質量%、凝固促進剤である水を21質量%、アンモニア1質量%の比率で混合して凝固浴液とした以外は実施例1と同一とした。ストランド強度は6.7GPaであり、凝固浴液にアンモニアを添加していない比較例14と比較して、+1.4GPa向上した。
ジメチルスルホキシドを78質量%、凝固促進剤である水を21質量%、アンモニア1質量%の比率で混合して凝固浴液とした以外は実施例1と同一とした。ストランド強度は6.7GPaであり、凝固浴液にアンモニアを添加していない比較例14と比較して、+1.4GPa向上した。
(実施例15)
ジメチルスルホキシドを84質量%、凝固促進剤である水を15質量%、アンモニア1質量%の比率で混合して凝固浴液とした以外は実施例1と同一とした。ストランド強度は6.6GPaであり、凝固浴液にアンモニアを添加していない比較例15と比較して、+1.4GPa向上した。
ジメチルスルホキシドを84質量%、凝固促進剤である水を15質量%、アンモニア1質量%の比率で混合して凝固浴液とした以外は実施例1と同一とした。ストランド強度は6.6GPaであり、凝固浴液にアンモニアを添加していない比較例15と比較して、+1.4GPa向上した。
(実施例16)
アクリロニトリル97mol%とイタコン酸3mol%からなる共重合体を、ジメチルスルホキシドに溶解させ、その溶液に対して紡糸溶液とした以外は実施例1と同一とした。ストランド強度は6.4GPaであり、凝固浴液にアンモニアを添加していない比較例16と比較して、+1.3GPa向上した。
アクリロニトリル97mol%とイタコン酸3mol%からなる共重合体を、ジメチルスルホキシドに溶解させ、その溶液に対して紡糸溶液とした以外は実施例1と同一とした。ストランド強度は6.4GPaであり、凝固浴液にアンモニアを添加していない比較例16と比較して、+1.3GPa向上した。
(実施例17)
アクリロニトリル99.9mol%とイタコン酸0.1mol%からなる共重合体を、ジメチルスルホキシドに溶解させ、その溶液に対して紡糸溶液とした以外は実施例1と同一とした。ストランド強度は6.0GPaであり、凝固浴液にアンモニアを添加していない比較例17と比較して、+0.9GPa向上した。
アクリロニトリル99.9mol%とイタコン酸0.1mol%からなる共重合体を、ジメチルスルホキシドに溶解させ、その溶液に対して紡糸溶液とした以外は実施例1と同一とした。ストランド強度は6.0GPaであり、凝固浴液にアンモニアを添加していない比較例17と比較して、+0.9GPa向上した。
(実施例18)
紡糸溶液の溶媒成分および凝固浴液の有機溶剤をジメチルホルムアミドとした以外は実施例1と同一とした。ストランド強度は6.7GPaであり、凝固浴液にアンモニアを添加していない比較例20と比較して、+1.5GPa向上した。
紡糸溶液の溶媒成分および凝固浴液の有機溶剤をジメチルホルムアミドとした以外は実施例1と同一とした。ストランド強度は6.7GPaであり、凝固浴液にアンモニアを添加していない比較例20と比較して、+1.5GPa向上した。
(実施例19)
共重合成分をメタクリル酸とした以外は実施例1と同一とした。ストランド強度は6.5GPaであり、凝固浴液にアンモニアを添加していない比較例21と比較して、+1.3GPa向上した。
共重合成分をメタクリル酸とした以外は実施例1と同一とした。ストランド強度は6.5GPaであり、凝固浴液にアンモニアを添加していない比較例21と比較して、+1.3GPa向上した。
(比較例1)
凝固浴液のジメチルスルホキシドを80質量%、凝固促進剤である水を20質量%とし、アンモニアを凝固浴液に添加しなかったこと以外は実施例1と同一とした。ストランド強度は5.3GPaであった。
凝固浴液のジメチルスルホキシドを80質量%、凝固促進剤である水を20質量%とし、アンモニアを凝固浴液に添加しなかったこと以外は実施例1と同一とした。ストランド強度は5.3GPaであった。
(比較例2)
凝固浴液のジメチルスルホキシドを80質量%、凝固促進剤である水を20質量%とし、アンモニアを凝固浴液に添加しなかったこと以外は実施例3と同一とした。ストランド強度は5.5GPaであった。
凝固浴液のジメチルスルホキシドを80質量%、凝固促進剤である水を20質量%とし、アンモニアを凝固浴液に添加しなかったこと以外は実施例3と同一とした。ストランド強度は5.5GPaであった。
(比較例3)
凝固浴液のジメチルスルホキシドを80質量%、凝固促進剤である水を20質量%とし、アンモニアを凝固浴液に添加しなかったこと以外は実施例4と同一とした。ストランド強度は5.0GPaであった。
凝固浴液のジメチルスルホキシドを80質量%、凝固促進剤である水を20質量%とし、アンモニアを凝固浴液に添加しなかったこと以外は実施例4と同一とした。ストランド強度は5.0GPaであった。
(比較例4)
凝固浴液のジメチルスルホキシドを80質量%、凝固促進剤である水を20質量%とし、アンモニアを凝固浴液に添加しなかったこと以外は実施例5と同一とした。ストランド強度は5.0GPaであった。
凝固浴液のジメチルスルホキシドを80質量%、凝固促進剤である水を20質量%とし、アンモニアを凝固浴液に添加しなかったこと以外は実施例5と同一とした。ストランド強度は5.0GPaであった。
(比較例5)
凝固浴液のジメチルスルホキシドを80質量%、凝固促進剤である水を20質量%とし、アンモニアを凝固浴液に添加しなかったこと以外は実施例6と同一とした。ストランド強度は5.2GPaであった。
凝固浴液のジメチルスルホキシドを80質量%、凝固促進剤である水を20質量%とし、アンモニアを凝固浴液に添加しなかったこと以外は実施例6と同一とした。ストランド強度は5.2GPaであった。
(比較例6)
凝固浴液のジメチルスルホキシドを80質量%、凝固促進剤である水を20質量%とし、アンモニアを凝固浴液に添加しなかったこと以外は実施例7と同一とした。ストランド強度は5.6GPaであった。
凝固浴液のジメチルスルホキシドを80質量%、凝固促進剤である水を20質量%とし、アンモニアを凝固浴液に添加しなかったこと以外は実施例7と同一とした。ストランド強度は5.6GPaであった。
(比較例7)
凝固浴液のジメチルスルホキシドを80質量%、凝固促進剤である水を20質量%とし、アンモニアを凝固浴液に添加しなかったこと以外は実施例8と同一とした。ストランド強度は5.4GPaであった。
凝固浴液のジメチルスルホキシドを80質量%、凝固促進剤である水を20質量%とし、アンモニアを凝固浴液に添加しなかったこと以外は実施例8と同一とした。ストランド強度は5.4GPaであった。
(比較例8)
凝固浴液のジメチルスルホキシドを25質量%、凝固促進剤である水を75質量%とし、アンモニアを凝固浴液に添加しなかったこと以外は実施例1と同一とした。ストランド強度は5.0GPaであった。
凝固浴液のジメチルスルホキシドを25質量%、凝固促進剤である水を75質量%とし、アンモニアを凝固浴液に添加しなかったこと以外は実施例1と同一とした。ストランド強度は5.0GPaであった。
(比較例9)
凝固浴液のジメチルスルホキシドを25質量%、凝固促進剤である水を74質量%とし、アンモニア1質量%とした以外は比較例8と同一とした。ストランド強度は5.2GPaであり、比較例8と比較して+0.2GPaの強度向上に留まった。凝固浴液にアンモニアを添加した場合であっても、凝固浴液の溶媒濃度が低い場合は、凝固繊維束の緻密化が上手く進行しないと考えられる。
凝固浴液のジメチルスルホキシドを25質量%、凝固促進剤である水を74質量%とし、アンモニア1質量%とした以外は比較例8と同一とした。ストランド強度は5.2GPaであり、比較例8と比較して+0.2GPaの強度向上に留まった。凝固浴液にアンモニアを添加した場合であっても、凝固浴液の溶媒濃度が低い場合は、凝固繊維束の緻密化が上手く進行しないと考えられる。
(比較例10)
凝固浴液のジメチルスルホキシドを55質量%、凝固促進剤である水を45質量%とし、アンモニアを凝固浴液に添加しなかったこと以外は実施例1と同一とした。ストランド強度は5.1GPaであった。
凝固浴液のジメチルスルホキシドを55質量%、凝固促進剤である水を45質量%とし、アンモニアを凝固浴液に添加しなかったこと以外は実施例1と同一とした。ストランド強度は5.1GPaであった。
(比較例11)
凝固浴液のジメチルスルホキシドを55質量%、凝固促進剤である水を44質量%とし、アンモニア1質量%とした以外は比較例10と同一とした。ストランド強度は5.2GPaであり、比較例10と比較して+0.1GPaの強度向上に留まった。凝固浴液にアンモニアを添加した場合であっても、凝固浴液の溶媒濃度が低い場合は、凝固繊維束の緻密化が上手く進行しないと考えられる。
(比較例12)
凝固浴液のジメチルスルホキシドを60質量%、凝固促進剤である水を40質量%とし、アンモニアを凝固浴液に添加しなかったこと以外は実施例12と同一とした。ストランド強度は5.1GPaであった。 (比較例13)
凝固浴液のジメチルスルホキシドを72質量%、凝固促進剤である水を28質量%とし、アンモニアを凝固浴液に添加しなかったこと以外は実施例13と同一とした。ストランド強度は5.2GPaであった。
凝固浴液のジメチルスルホキシドを55質量%、凝固促進剤である水を44質量%とし、アンモニア1質量%とした以外は比較例10と同一とした。ストランド強度は5.2GPaであり、比較例10と比較して+0.1GPaの強度向上に留まった。凝固浴液にアンモニアを添加した場合であっても、凝固浴液の溶媒濃度が低い場合は、凝固繊維束の緻密化が上手く進行しないと考えられる。
(比較例12)
凝固浴液のジメチルスルホキシドを60質量%、凝固促進剤である水を40質量%とし、アンモニアを凝固浴液に添加しなかったこと以外は実施例12と同一とした。ストランド強度は5.1GPaであった。 (比較例13)
凝固浴液のジメチルスルホキシドを72質量%、凝固促進剤である水を28質量%とし、アンモニアを凝固浴液に添加しなかったこと以外は実施例13と同一とした。ストランド強度は5.2GPaであった。
(比較例14)
凝固浴液のジメチルスルホキシドを78質量%、凝固促進剤である水を22質量%とし、アンモニアを凝固浴液に添加しなかったこと以外は実施例14と同一とした。ストランド強度は5.3GPaであった。
凝固浴液のジメチルスルホキシドを78質量%、凝固促進剤である水を22質量%とし、アンモニアを凝固浴液に添加しなかったこと以外は実施例14と同一とした。ストランド強度は5.3GPaであった。
(比較例15)
凝固浴液のジメチルスルホキシドを84質量%、凝固促進剤である水を16質量%とし、アンモニアを凝固浴液に添加しなかったこと以外は実施例15と同一とした。ストランド強度は5.2GPaであった。
凝固浴液のジメチルスルホキシドを84質量%、凝固促進剤である水を16質量%とし、アンモニアを凝固浴液に添加しなかったこと以外は実施例15と同一とした。ストランド強度は5.2GPaであった。
(比較例16)
凝固浴液のジメチルスルホキシドを80質量%、凝固促進剤である水を20質量%とし、アンモニアを凝固浴液に添加しなかったこと以外は実施例16と同一とした。ストランド強度は5.1GPaであった。
凝固浴液のジメチルスルホキシドを80質量%、凝固促進剤である水を20質量%とし、アンモニアを凝固浴液に添加しなかったこと以外は実施例16と同一とした。ストランド強度は5.1GPaであった。
(比較例17)
凝固浴液のジメチルスルホキシドを80質量%、凝固促進剤である水を20質量%とし、アンモニアを凝固浴液に添加しなかったこと以外は実施例17と同一とした。ストランド強度は5.1GPaであった。
凝固浴液のジメチルスルホキシドを80質量%、凝固促進剤である水を20質量%とし、アンモニアを凝固浴液に添加しなかったこと以外は実施例17と同一とした。ストランド強度は5.1GPaであった。
(比較例18)
アクリロニトリル99.6mol%とイタコン酸0.04mol%からなる共重合体を、ジメチルスルホキシドに溶解させ、その溶液に対して紡糸溶液とした以外は比較例1と同一とした。ストランド強度は4.8GPaであった。
アクリロニトリル99.6mol%とイタコン酸0.04mol%からなる共重合体を、ジメチルスルホキシドに溶解させ、その溶液に対して紡糸溶液とした以外は比較例1と同一とした。ストランド強度は4.8GPaであった。
(比較例19)
ジメチルスルホキシドを80質量%、凝固促進剤である水を19質量%、アンモニア1質量%の比率で混合して凝固浴液とした以外は比較例18と同一とした。ストランド強度は4.9GPaであり、比較例18と比較して+0.1GPaの強度向上となった。
ジメチルスルホキシドを80質量%、凝固促進剤である水を19質量%、アンモニア1質量%の比率で混合して凝固浴液とした以外は比較例18と同一とした。ストランド強度は4.9GPaであり、比較例18と比較して+0.1GPaの強度向上となった。
(比較例20)
凝固浴液のジメチルホルムアミドを80質量%、凝固促進剤である水を20質量%とし、アンモニアを凝固浴液に添加しなかったこと以外は実施例18と同一とした。ストランド強度は5.2GPaであった。
凝固浴液のジメチルホルムアミドを80質量%、凝固促進剤である水を20質量%とし、アンモニアを凝固浴液に添加しなかったこと以外は実施例18と同一とした。ストランド強度は5.2GPaであった。
(比較例21)
凝固浴液のジメチルスルホキシドを80質量%、凝固促進剤である水を20質量%とし、アンモニアを凝固浴液に添加しなかったこと以外は実施例19と同一とした。ストランド強度は5.2GPaであった。
凝固浴液のジメチルスルホキシドを80質量%、凝固促進剤である水を20質量%とし、アンモニアを凝固浴液に添加しなかったこと以外は実施例19と同一とした。ストランド強度は5.2GPaであった。
Claims (5)
- アクリロニトリル85mol%以上、カルボキシル基を有する共重合成分0.05mol%以上が共重合されてなるアクリロニトリル系共重合体を含む紡糸溶液を、乾湿式紡糸法または湿式紡糸法により凝固浴液中で凝固せしめて凝固繊維束を得た後、少なくとも水洗工程、延伸工程、油剤付与工程および乾燥工程を行って炭素繊維前駆体繊維束を得て、次いで炭素繊維前駆体繊維束を200〜300℃の温度の酸化性雰囲気中において耐炎化処理する耐炎化工程、500〜1200℃の最高温度の不活性雰囲気中において予備炭化処理する予備炭化工程および1200〜2000℃の最高温度の不活性雰囲気中において炭化処理する炭化工程を行う炭素繊維束の製造方法であって、凝固浴液がジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機溶剤と、水と、塩基を含み、凝固浴液中の有機溶剤濃度が60〜85%であり、凝固浴液のpHが8以上である炭素繊維束の製造方法。
- 凝固浴液の温度が−20〜70℃である請求項1に記載の炭素繊維束の製造方法。
- 紡糸溶液中の塩基の含有量が、共重合成分のカルボキシル基量に対して0.5等量以下である請求項1または2に記載の炭素繊維束の製造方法。
- 凝固浴液に含まれる塩基がアンモニアである請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維束の製造方法。
- カルボキシル基を有する共重合成分がイタコン酸である請求項1〜4のいずれかに記載の炭素繊維束の製造方法。
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Cited By (1)
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CN115976674A (zh) * | 2022-12-29 | 2023-04-18 | 江苏恒神股份有限公司 | 一种聚丙烯腈原丝及其制备方法和碳纤维 |
-
2020
- 2020-03-04 JP JP2020036540A patent/JP2021139062A/ja active Pending
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