JPH1193078A - 炭素繊維およびその製造方法 - Google Patents
炭素繊維およびその製造方法Info
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- JPH1193078A JPH1193078A JP9250277A JP25027797A JPH1193078A JP H1193078 A JPH1193078 A JP H1193078A JP 9250277 A JP9250277 A JP 9250277A JP 25027797 A JP25027797 A JP 25027797A JP H1193078 A JPH1193078 A JP H1193078A
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Abstract
維およびその製造方法を提供する。 【解決手段】X線光電子分光法により測定される炭素繊
維の表面酸素濃度O/Cが0.02以上0.20以下、
化学修飾X線光電子分光法により測定される炭素繊維の
表面カルボキシル基濃度COOH/Cが0.2%以上
3.0%以下であって、末端不飽和基と極性基を共に有
する化合物がサイジングされてなることを特徴とする炭
素繊維。
Description
の製造方法、特に不飽和マトリックス樹脂との接着性に
優れた炭素繊維およびその製造方法に関する。
なる複合材料として利用されているが、炭素繊維の特性
を複合材料に生かすには、マトリックス樹脂との接着性
が重要である。一般に炭素繊維は表面処理を施さないと
マトリックス樹脂に対して接着性が十分でなく、複合材
料の剥離強度や剪断強度が低くなる。また、炭素繊維あ
るいは黒鉛繊維は本質的に剛直で脆く、収束性、耐屈曲
性や耐擦過性に乏しいために、高次加工工程において、
毛羽、糸切れを発生しやすいので、通常炭素繊維には各
種サイジング剤が付与されて、このサイジングによって
炭素繊維に集束性を付与し、耐屈曲性や耐擦過性を改良
するとともに、マトリックスに対する接着性がある程度
改良されてきた(例えば、特開平1−272867号公
報、特公平4−8542号公報)。
は、近年、エポキシ樹脂に加えて、不飽和ポリエステル
樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂の需要も高く
なっている。特に小型船舶、ボート、ヨット、漁船、浄
化槽、各種タンク等に用いられ、成形サイクルが短く、
成形コストの低い、不飽和ポリエステル樹脂やビニルエ
ステル樹脂と炭素繊維複合材料が重要となっている。こ
れらのマトリックス樹脂の場合には、従来のエポキシ樹
脂サイジング剤では、炭素繊維と不飽和ポリエステルま
たはビニルエステルとのなじみがエポキシ樹脂に比較し
て低く、接着性特に剪断強度が低くて、実用化できない
場合があった。
脂とのなじみを良くし、接着性を向上させる技術が開示
されている。例えば、不飽和基を有するウレタン化合物
(特開昭56−167715、特開昭63−50573
号公報)、末端不飽和基を有するエステル化合物(特開
昭63−105178号公報)など、サイジング剤にカ
ップリング剤の役割を持たせることによって、炭素繊維
と不飽和ポリエステル樹脂との接着性を向上させること
が開示されている。しかし、全ての炭素繊維に対して常
に優れた接着特性を得られるとは限らない。
従来技術では達成し得なかった不飽和マトリックスとの
接着性に優れた炭素繊維およびその製造方法を提供する
ことにある。
発明の構成は以下のとおりである。すなわち、 (1)X線光電子分光法により測定される炭素繊維の表
面酸素濃度O/Cが0.02以上0.20以下、化学修
飾X線光電子分光法により測定される炭素繊維の表面カ
ルボキシル基濃度COOH/Cが0.2%以上3.0%
以下であって、末端不飽和基と極性基を共に有する化合
物がサイジングされてなることを特徴とする炭素繊維。
レート基、およびメタクリレート基から選ばれたもので
あることを特徴とする前記(1)記載の炭素繊維。
合、ウレタン結合、ウレア結合、イソシアネート基、お
よびスルホ基から選ばれたものであることを特徴とする
前記(1)または(2)に記載の炭素繊維。
る化合物が、不飽和アルコールまたは不飽和カルボン酸
とポリイソシアネート化合物を反応せしめた不飽和ポリ
ウレタン化合物であることを特徴とする前記(1)〜
(3)のいずれかに記載の炭素繊維。
繊維表面上で重合せしめられてなることを特徴とする前
記(4)に記載の炭素繊維。
る化合物が、脂肪族ポリイソシアネート化合物であるこ
とを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の
炭素繊維。
個以上であることを特徴とする前記(1)〜(6)のい
ずれかに記載の炭素繊維。
10-3以上であることを特徴とする前記(1)〜(7)
のいずれかに記載の炭素繊維。
炭素繊維の表面酸素濃度O/Cが0.02以上0.20
以下、化学修飾X線光電子分光法により測定される炭素
繊維の表面カルボキシル基濃度COOH/Cが0.2%
以上3.0%以下の炭素繊維に、極性基と末端不飽和基
とを共に有する化合物をサイジング処理し、次いで熱処
理することを特徴とする炭素繊維の製造方法。
特徴とする前記(9)記載の炭素繊維の製造方法。
分光により測定される表面酸素濃度O/Cが0.02以
上、好ましくは0.04以上、さらに好ましくは0.0
6以上のものである。O/Cが0.02に満たないと、
後述するサイジング剤の極性基構造との親和性が低下
し、ひいてはコンポジットの接着特性の向上が望めない
場合がある。さらに、0.20以下、好ましくは0.1
5以下、さらに好ましくは0.10以下とするものであ
る。O/Cが0.20を超えると、サイジング剤の極性
基と炭素繊維最表面との化学結合は強固になるものの、
本来炭素繊維基質自身が有する強度よりもかなり低い酸
化物層が炭素繊維表層を被うことになるため、結果とし
て得られるコンポジットの接着特性は低いものとなって
しまう。
により測定される表面カルボキシル基濃度COOH/C
が0.2%以上、好ましくは0.5%以上のものであ
る。COOH/Cが0.2%に満たないと、後述するサ
イジング剤の極性基構造との親和性が低下し、ひいては
コンポジットの接着特性の向上が望めない場合がある。
さらに、3.0%以下、好ましくは2.0%以下とする
ものである。COOH/Cが3.0%を超える場合に
は、本来炭素繊維基質自身が有する強度よりもかなり低
い強度を有する酸化物層が炭素繊維表層が被うことにな
るため、結果として得られるコンポジットの接着特性は
低いものとなる場合があり、また、マトリックス樹脂の
硬化速度を遅延させることがある。
めの製造方法については後述する。また、本発明の炭素
繊維は上記特性を有し、さらに末端不飽和基と極性基を
共に有する化合物がサイジングされてなるものである。
ート基、およびメタクリレート基から選ばれたものであ
ることが好ましい。また、極性基とは、アミド結合、イ
ミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、イソシアネート
基、およびスルホ基から選ばれたものであることが好ま
しい。
ち、高分子量化させ、炭素繊維表面に該化合物を被覆化
することにより、コンポジット成型時にサイジング剤の
拡散を抑制し、かつ特定の炭素繊維官能基とサイジング
剤と極性基の親和性によってコンポジット接着性が確保
され、過剰の不飽和基によりマトリックス樹脂との反応
によってカップリング効果が現れて接着力が高くなった
ものと考えられる。
分子量を容易に均一に行い皮膜化し、かつ不飽和ポリエ
ステル樹脂およびビニルエステル樹脂と反応させるた
め、一分子当たり末端不飽和基の数は2個以上とするこ
とが好ましく、3個以上とするのがさらに好ましい。
ときに特定量の炭素繊維表面官能基との相互作用を確保
するため、分子量当たりの極性基の数は1×10-3以上
とすることが好ましく、3×10-3以上とするのがさら
に好ましい。
覆、コーティングされているのが好ましい。
基を有する化合物としては、不飽和アルコール、不飽和
カルボン酸とイソシアネート化合物を反応せしめた化合
物が挙げられ、不飽和アルコールとしては、例えばアリ
ルアルコール、不飽和カルボン酸としてはアクリル酸、
メタクリル酸等、イソシアネート化合物としてはヘキサ
メチレンジシソシアネート、イソホロンジイソシアネー
ト、トリレンジイソシアネート、ジトリレンジイソシア
ネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の公知の
不飽和ポリウレタン化合物が挙げられる。
飽和基がアクリレート基およびメタクリレート基である
化合物が好ましく、フェニルグリシジルエーテルアクリ
レートヘキサメチレンジイソシアネート化合物、フェニ
ルグリシジルエーテルアクリレートトリレンジイソシア
ネート化合物、ペンタエリスリトールアクリレートヘキ
サメチレンジイソシアネート化合物、フェニルグリシジ
ルエーテルトリアクリレートイソホロンジイソシアネー
ト化合物、グリセリンジメタクリレートトリレンジイソ
シアネート化合物、グリセリンジメタクリレートイソホ
ロンジイソシアネート化合物、ペンタエリスリトールト
リアクリレートトリレンジイソシアネート化合物、ペン
タエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシ
アネート、トリアリルイソシアヌレート化合物から選ば
れる少なくとも1種の化合物が好ましい。
としては、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−
ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチル
アミノプロピルアクリルアミド、アクリロイルモルホリ
ン、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチ
ルアクリルアミド等が挙げられる。スルホ基と末端不飽
和基を有する化合物としてはビスフェノールS型ジグリ
シジルジアクリレート、ビスフェノールS型ジグリシジ
ルジメタクリレート等が挙げられる。
素繊維表面での高分子量化を容易にし、炭素繊維とマト
リックス樹脂との界面に剛直で立体的に大きな化合物を
介在させない、芳香環を有さない分子鎖が直線状で柔軟
性を有する脂肪族化合物、特に末端不飽和基と極性基を
有する脂肪族ポリイソシアネート化合物、すなわちポリ
エチレングリコール骨格およびポリアルキレン骨格であ
るポリイソシアネート化合物が好ましい。
が高くなって集束剤としての取り扱い性が悪化するのを
防ぐ観点から、300以上2000以下が好ましく、5
00以上1000以下がより好ましい。
のサイジング剤の高分子量化による皮膜を均一にし、か
つ樹脂との接着性改善幅を大とし、一方、サイジング剤
の高分子量化による炭素繊維束が硬くならないようにす
る観点から、炭素繊維単位重量当たり0.02%以上5
%以下が好ましく、0.05%以上2%以下付与するの
がより好ましい。
性、耐毛羽性を向上させるための乳化剤や界面活性剤等
の補助成分をサイジング剤に添加しても良い。さらに集
束性などをより向上させるために、ポリウレタン、ポリ
エステル、エポキシ樹脂など他の化合物が加えられても
よい。
トランド強度が好ましくは3500MPA以上、より好
ましくは400MPa以上、さらに好ましくは450M
Pa以上のものである。また、炭素繊維の弾性率は22
0GPa以上が好ましく、290GPa以上がより好ま
しい。ストランド強度あるいは弾性率がそれぞれ、35
00MPa未満あるいは222GPa未満の炭素繊維の
場合には、コンポジットとしたときに、構造材として所
望の特性が得られない場合がある。
ンド強度、弾性率とは、JIS−R−7601の樹脂含
浸ストランド試験法に準じ、樹脂処方としてはユニオン
カーバイト社製ベークライト(登録商標)ERL422
1/3フッ化ホウ素モノエチルアミン/アセトン=10
0/3/4(重量部)を用いて測定した強度、弾性率を
いう。
ついて説明する。炭素繊維の表面処理およびサイジング
処理については次に記載するとおりであるが、炭素繊維
の重合、製糸、焼成条件については拘束されるものでは
ない。
しては、アクリル系、ピッチ系、レーヨン系等の公知の
炭素繊維を適用できる。高強度の炭素長繊維が得られや
すいアクリル系炭素繊維がなかでも好ましい。アクリル
系炭素繊維の場合を例にとって以下詳細に説明する。
を採用できるが、高強度糸が得られ易い湿式あるいは乾
湿式が好ましく、特に乾湿式が好ましい。紡糸原液には
ポリアクリロニトリルのホモポリマーあるいは共重合成
分の溶液あるいは懸濁液等を用いることができる。凝
固、水洗、延伸、油剤付与して前駆体原糸とし、さらに
耐炎化、炭化、さらに必要に応じて黒鉛化処理を行な
う。炭化あるいは黒鉛化条件として、本発明炭素繊維を
得るには不活性雰囲気中最高温度は1200℃以上が好
ましく、1300℃以上がより好ましく、1400℃以
上がさらに好ましい。強度および弾性率を向上するには
細繊度の炭素繊維が好ましく、炭素繊維の単糸径で7μ
m以下が好ましく、6μm以下がより好ましく、5.5
μm以下がさらに好ましい。得られた炭素繊維はさらに
表面処理およびサイジング処理がなされて炭素繊維とな
る。
素濃度O/Cが0.02以上0.20以下、化学修飾X
線光電子分光法により測定される表面カルボキシル基濃
度COOH/Cが0.2%以上3.0%以下である炭素
繊維を製造する方法は、以下の通りである。
ルカリ水溶液中のどちらでも良いが、カルボキシル基濃
度COOH/Cを容易に増加できる酸性水溶液中の電解
処理が好ましい。
ものであればよく、硫酸、硝酸、塩酸、燐酸、ホウ酸、
炭酸等の無機酸、酢酸、酪酸、シュウ酸、アクリル酸、
マレイン酸等の有機酸、または硫酸アンモニウム、硫酸
水素アンモニウム等の塩が挙げられる。これらのなかで
も強酸性を示す硫酸、硝酸が好ましい。
カリ性を示すものであればよく、具体的には水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム等の水酸化
物、アンモニア、または、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナ
トリウム等の無機塩類、酢酸ナトリウム、安息香酸ナト
リウム等の有機塩類の水溶液、さらにこれらのカリウム
塩、バリウム塩あるいは他の金属塩、およびアンモニウ
ム塩、またヒドラジン等の有機化合物が挙げられるが、
好ましくは樹脂との硬化阻害を起こすアルカリ金属を含
まない炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム等の無
機アルカリが好ましい。さらに好ましくは強アルカリ性
を示す水酸化テトラアルキルアンモニウム塩類が良い。
/lが好ましく、0.1〜1モル/lがより好ましい。
電解温度としては0〜100℃が好ましく、室温がより
好ましい。
せて最適化することが好ましく、高弾性率糸はより大き
な電気量が必要である。表層の結晶性の低下を進ませ、
生産性を向上させる一方、炭素繊維基質の強度低下を防
ぐ観点から、電解処理は低い電気量処理を繰り返し行う
のが好ましい。具体的には、電解槽1槽当たりの通電電
気量は5クーロン/g・槽(炭素繊維1g当たりのクー
ロン数)以上、100クーロン/g・槽以下が好まし
く、10クーロン/g・槽以上、80クーロン/g・槽
以下がより好ましく、20クーロン/g・槽以上、60
クーロン/g・槽以下がさらに好ましい。また、表層の
結晶性の低下を適度な範囲とする観点からは通電処理の
総電気量は5〜1000クーロン/gとするのが好まし
く、10〜500クーロン/gの範囲とするのがさらに
好ましい。
酸化し、かつ安全性を損なわない観点から、電解処理液
中の炭素繊維の表面積1m2 当たり1.5アンペア/m
2 以上1000アンペア/m2 以下が好ましく、3アン
ペア/m2 以上がより好ましい。処理時間は、数秒から
十数分が好ましく、さらには10秒から2分程度がより
好ましい。
好ましく、さらには0.5〜20Vがより好ましい。電
解処理時間は電気量、電解質濃度により最適化すべきで
あるが、生産性の面から数秒〜10分、好ましくは10
秒〜2分程度がよい。電解処理方式としてはバッチ式、
連続式いずれでもよいが、生産性がよくバラツキが小さ
くできる連続式が好ましい。通電方法としては、炭素繊
維を電極ローラに直接接触させて通電させる直接通電、
あるいは炭素繊維と電極の間に電解液等を介して通電さ
せる間接通電のいずれも採用することができるが、電解
処理時の毛羽立ち、電気スパーク等が抑えられる間接通
電が好ましい。また、電解処理方法は、電解槽を必要槽
数並べて1度通糸しても、1槽の電解槽に必要回数通糸
してもよい。更に、電解槽の陽極長は5〜100mmが
好ましく、陰極長は300〜1000mm、さらには3
50〜900mmが好ましい。
ことが好ましい。この場合、乾燥温度が高すぎると炭素
繊維の最表面に存在する官能基、特にカルボキシル基は
熱分解により消失し易いため、できる限り低い温度で乾
燥することが好ましく、具体的には乾燥温度が250℃
以下が好ましく、さらに210℃以下、さらに180℃
以下で乾燥することがより好ましい。
されるものではないが、例えばローラを介してサイジン
グ液に浸漬する方法、サイジング液の付着したローラに
接する方法、サイジング液を霧状にして吹き付ける方法
などがある。また、バッチ式、連続式いずれでもよい
が、生産性がよくバラツキが小さくできる連続式が好ま
しい。この際、炭素繊維に対するサイジング剤有効成分
の付着量が適正範囲内で均一に付着するように、サイジ
ング液濃度、温度、糸条張力などをコントロールするこ
とが好ましい。また、サイジング剤付与時に炭素繊維を
超音波で加振させても良い。
特に特定しない。
ノール、エタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチル
アセトアミド、アセトン等が挙げられるが、取扱いが容
易で防災の観点から水が好ましい。従って、水に不溶、
若しくは難溶の化合物をサイジング剤として用いる場合
には乳化剤、界面活性剤等を添加し水分散性にして用い
るのが良い。
分子量化させるため、熱処理温度は180℃以上350
℃以下が好ましく、200℃以上300℃以下がより好
ましく、230℃以上280℃以下がさらに好ましい。
処理時間は、熱処理温度によるが30秒以上30分以下
が好ましく、50秒以上15分以下がより好ましい。サ
イジング剤の熱処理は、乾燥工程と分離して行ってもよ
く、さらにサイジング剤の乾燥工程と熱処理工程を同時
に行っても良い。
樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、
フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の熱可塑性
樹脂や、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリアセター
ル、ポリカーボネート、線状ポリエステル等の熱可塑性
樹脂等を挙げることができるが、これらの中でも、特に
サイジング剤が有する二重結合と架橋し得る不飽和ポリ
エステル樹脂、ビニルエステル樹脂のマトリックス樹脂
が好ましい。
説明する。本発明におけるコンポジット接着力の指標と
して層間剪断強度(ILSS)を用いた。なお、実施例
中、表面酸素濃度(O/C)、表面カルボキシル基濃度
(COOH/C)、およびILSSは以下の方法により
求めた。
Cは、次の手順に従ってESCAにより求めた。先ず、
溶媒でサイジング剤などを除去した炭素繊維束をカット
してステンレス製の試料支持台上に拡げて並べた後、光
電子脱出角度を90゜とし、X線源としてMgKα1,2
を用い、試料チャンバー内を1×10-8Torrの真空
度に保つ。測定時の帯電に伴うピークの補正として、ま
ずC1Sの主ピークの結合エネルギー値B.E.を28
4.6eVに合わせる。C1Sピーク面積は、282〜2
96eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより
求め、O1Sピーク面積は、528〜540eVの範囲で
直線のベースラインを引くことにより求めた。表面酸素
濃度O/Cは、上記O1Sピーク面積とC1Sピーク面積の
比を、装置固有の感度補正値で割ることにより算出した
原子数比で表した。なお、本実施例では島津製作所
(株)製ESCA−750を用い、上記装置固有の感度
補正値は2.85であった。
表面カルボキシル基濃度COOH/Cは、次の手順に従
って化学修飾ESCAにより求めた。先ず、溶媒でサイ
ジング剤などを除去した炭素繊維束をカットして白金製
の試料支持台上に拡げて並べ、0.02モル/lの3弗
化エタノール気体,0.001モル/lのジシクロヘキ
シルカルボジイミド気体及び0.04モル/lのピリジ
ン気体を含む空気中に60℃で8時間さらし、化学修飾
処理した後、X線光電子分光装置に光電子脱出角度を3
5゜としてマウントし、X線源としてAlKα1,2 を用
い、試料チャンバー内を1×10-8Torrの真空度に
保つ。測定時の帯電に伴うピークの補正として、まずC
1Sの主ピークの結合エネルギー値B.E.を284.6
eVに合わせる。C1Sピーク面積[C1S]は、282〜
296eVの範囲で直線のベースラインを引くことによ
り求め、F1Sピーク面積[F1S]は、682〜695e
Vの範囲で直線のベースラインを引くことにより求め
た。また、同時に化学修飾処理したポリアクリル酸のC
1Sピーク分割から反応率rを、O1Sピーク分割からジシ
クロヘキシルカルボジイミド誘導体の残存率mを求め
た。
下式により算出した値で表した。
1S]−(2+13m)[F1S])r}〕×100(%) なお、kは装置固有のC1Sピーク面積に対するF1Sピー
ク面積の感度補正値であり、本実施例では、米国SSI
社製モデルSSX−100−206を用い、上記装置固
有の感度補正値は3.919であった。
巻き付け金枠を金型にセットし、ビニルエステル樹脂
(昭和高分子社製リポキシR806)100部、ナフテ
ン酸コバルト(昭和高分子社製コバルトN)0.5部、
メチルエチルケトンパーオキサイド(日本油脂製パーメ
ックN)1.0部を金型に注入し、真空脱泡後、プレス
成形(室温×24時間)した。引き続き120℃、2時
間で後硬化して試験片を得た。2.5mm厚×6mm幅
×16mm長さの一方向CFRP試験片を、通常の3点
曲げ試験治具(圧子10mmφ、支点4mmφ)を用い
て支持スパンを14mmに設定し、歪速度2.0mm/
minでILSSを測定した。
説明する。
9.4モル%とメタクリル酸0.6モル%からなる共重
合体を用いて、乾湿式紡糸方法により単繊維デニール1
d,フィラメント数12000のアクリル系繊維を得
た。得られた繊維束を240〜280℃の空気中で、延
伸比1.05で加熱し、耐炎化繊維に転換し、ついで窒
素雰囲気中300〜900℃の温度領域での昇温速度を
200℃/分とし10%の延伸を行なった後、1300
℃まで焼成した。得られた炭素繊維の目付は0.800
g/m、比重は1.80であった。
として、電気量5クーロン/gで処理した。この電解処
理を施された炭素繊維を続いて水洗し、150℃の加熱
空気中で乾燥した。
グリセリンジメタクリレートヘキサメチレンジイソシア
ネート化合物(共栄社化学製UA101H)をアセトン
で希釈してサイジング剤母液を調整し、浸漬法により炭
素繊維にサイジング剤を付与し、230℃、60秒で乾
燥後、230℃、120℃熱処理を行なった。付着量は
1.1%であった。
ンド強度5.20GPa、弾性率240GPa、Si/
C=0.05であり、表面酸素濃度O/C、表面カルボ
キシル基濃度COOH/C、ILSSの測定結果を表1
に示した。
リスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシ
アネート(共栄社化学製UA306H)、フェニルグリ
シジルエーテルアクリレートヘキサメチレンジイソシア
ネート化合物(共栄社化学製AH600)にそれぞれ変
更した以外は実施例1と同様に処理し、付着量1.0%
および1.2%の炭素繊維を得た。結果を表1に示し
た。
有するフェニルグリシジルエーテルアクリレートトリレ
ンジイソシアネート化合物(共栄社化学製AT−60
0)に変更した以外は実施例1と同様に処理し、付着量
は1.2%の炭素繊維を得た。結果を表1に示した。
持たないトリメチロールプロパントリアクリレートを付
与した以外は実施例1と同様に処理し、付着量1.0%
の炭素繊維を得た。ILSSは75MPaであった。
外は実施例1と同様に処理し、炭素繊維を得た。ILS
Sは76MPaであった。
ロン/gと変更した以外は、実施例1と同様に処理して
炭素繊維を得た。付着量はそれぞれ1.2%,1.3%
であった。結果を表1に示した。
0℃と変更した以外は、実施例1と同様に処理し、付着
量1.1%の炭素繊維を得た。結果を表1に示した。
180℃、150℃、80℃と変更した以外は、実施例
1と同様に処理し、炭素繊維を得た。付着量はそれぞれ
1.2%,1.2%、1.1%であった。結果を表2に
示した。
ジグリシジルジメタクリレート、N,N−ジメチルアミ
ノエチルアクリレート、末端アクリル変性液状ブタジエ
ン(日本曹達製TE2000)にそれぞれ変更した以外
は実施例1と同様に処理し、炭素繊維を得た。付着量は
それぞれ1.2%,0.9%、1.3%であった。結果
を表3に示した。
り、不飽和マトリックスとの接着性に優れた炭素繊維お
よびその製造方法を提供することができた。
が、炭素繊維表面上で重合せしめられてなることを特徴
とする請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維。
物が、不飽和アルコールまたは不飽和カルボン酸とポリ
イソシアネート化合物を反応せしめた不飽和ポリウレタ
ン化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
かに記載の炭素繊維。
面上で重合せしめられてなることを特徴とする請求項5
記載の炭素繊維。
物が、脂肪族ポリイソシアネート化合物であることを特
徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の炭素繊維。
であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載
の炭素繊維。
以上であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに
記載の炭素繊維。
繊維の表面酸素濃度O/Cが0.02以上0.20以
下、化学修飾X線光電子分光法により測定される炭素繊
維の表面カルボキシル基濃度COOH/Cが0.2%以
上3.0%以下の炭素繊維に、極性基と末端不飽和基と
を共に有する化合物をサイジング処理し、次いで熱処理
することを特徴とする炭素繊維の製造方法。
する請求項10記載の炭素繊維の製造方法。
繊維表面上で重合せしめられてなることを特徴とする前
記(1)〜(3)のいずれかに記載の炭素繊維。
繊維表面上で重合せしめられてなることを特徴とする前
記(5)に記載の炭素繊維。
る化合物が、脂肪族ポリイソシアネート化合物であるこ
とを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の
炭素繊維。
個以上であることを特徴とする前記(1)〜(7)のい
ずれかに記載の炭素繊維。
10-3以上であることを特徴とする前記(1)〜(8)
のいずれかに記載の炭素繊維。
る炭素繊維の表面酸素濃度O/Cが0.02以上0.2
0以下、化学修飾X線光電子分光法により測定される炭
素繊維の表面カルボキシル基濃度COOH/Cが0.2
%以上3.0%以下の炭素繊維に、極性基と末端不飽和
基とを共に有する化合物をサイジング処理し、次いで熱
処理することを特徴とする炭素繊維の製造方法。
特徴とする前記(10)記載の炭素繊維の製造方法。
せて最適化することが好ましく、高弾性率糸はより大き
な電気量が必要である。表層の結晶性の低下を進ませ、
生産性を向上させる一方、炭素繊維基質の強度低下を防
ぎ、表層の結晶性の低下を適度な範囲とする観点からは
通電処理の総電気量は3〜1000クーロン/gとする
のが好ましく、5〜300クーロン/gの範囲とするの
がさらに好ましい。
に説明する。
グリセリンジメタクリレートヘキサメチレンジイソシア
ネート化合物(共栄社化学製UA101H)をアセトン
で希釈してサイジング剤母液を調整し、浸漬法により炭
素繊維にサイジング剤を付与し、230℃、60秒で乾
燥後、230℃、120秒熱処理を行なった。付着量は
1.1%であった。
ンド強度5.20GPa、弾性率240GPaであり、
表面酸素濃度O/C、表面カルボキシル基濃度COOH
/C、ILSSの測定結果を表1に示した。
180℃、150℃、80℃と変更した以外は、実施例
1と同様に処理し、炭素繊維を得た。付着量はそれぞれ
1.2%,1.2%、1.1%であった。結果を表2に
示した。
ジグリシジルジメタクリレート、N,N−ジメチルアミ
ノエチルアクリレート、末端アクリル変性液状ブタジエ
ン(日本曹達製TE2000)にそれぞれ変更した以外
は実施例1と同様に処理し、炭素繊維を得た。付着量は
それぞれ1.2%,0.9%、1.3%であった。結果
を表3に示した。
以外は実施例1と同様に処理し炭素繊維を得た。付着量
は1.0%で、ILSSは83MPaであった。
Claims (10)
- 【請求項1】X線光電子分光法により測定される炭素繊
維の表面酸素濃度O/Cが0.02以上0.20以下、
化学修飾X線光電子分光法により測定される炭素繊維の
表面カルボキシル基濃度COOH/Cが0.2%以上
3.0%以下であって、末端不飽和基と極性基を共に有
する化合物がサイジングされてなることを特徴とする炭
素繊維。 - 【請求項2】末端不飽和基が、ビニル基、アクリレート
基、およびメタクリレート基から選ばれたものであるこ
とを特徴とする請求項1記載の炭素繊維。 - 【請求項3】極性基が、アミド結合、イミド結合、ウレ
タン結合、ウレア結合、イソシアネート基、およびスル
ホ基から選ばれたものであることを特徴とする請求項1
または2に記載の炭素繊維。 - 【請求項4】末端不飽和基と極性基をともに有する化合
物が、不飽和アルコールまたは不飽和カルボン酸とポリ
イソシアネート化合物を反応せしめた不飽和ポリウレタ
ン化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
かに記載の炭素繊維。 - 【請求項5】不飽和ポリウレタン化合物が、炭素繊維表
面上で重合せしめられてなることを特徴とする請求項4
記載の炭素繊維。 - 【請求項6】末端不飽和基と極性基をともに有する化合
物が、脂肪族ポリイソシアネート化合物であることを特
徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維。 - 【請求項7】末端不飽和基の数が、一分子当り2個以上
であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載
の炭素繊維。 - 【請求項8】分子量当たりの極性基密度が、1×10-3
以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに
記載の炭素繊維。 - 【請求項9】X線光電子分光法により測定される炭素繊
維の表面酸素濃度O/Cが0.02以上0.20以下、
化学修飾X線光電子分光法により測定される炭素繊維の
表面カルボキシル基濃度COOH/Cが0.2%以上
3.0%以下の炭素繊維に、極性基と末端不飽和基とを
共に有する化合物をサイジング処理し、次いで熱処理す
ることを特徴とする炭素繊維の製造方法。 - 【請求項10】水溶媒系でサイジングすることを特徴と
する請求項9記載の炭素繊維の製造方法。
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