JPH1193078A - 炭素繊維およびその製造方法 - Google Patents

炭素繊維およびその製造方法

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JPH1193078A
JPH1193078A JP9250277A JP25027797A JPH1193078A JP H1193078 A JPH1193078 A JP H1193078A JP 9250277 A JP9250277 A JP 9250277A JP 25027797 A JP25027797 A JP 25027797A JP H1193078 A JPH1193078 A JP H1193078A
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等 西山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】不飽和マトリックスとの接着性に優れた炭素繊
維およびその製造方法を提供する。 【解決手段】X線光電子分光法により測定される炭素繊
維の表面酸素濃度O/Cが0.02以上0.20以下、
化学修飾X線光電子分光法により測定される炭素繊維の
表面カルボキシル基濃度COOH/Cが0.2%以上
3.0%以下であって、末端不飽和基と極性基を共に有
する化合物がサイジングされてなることを特徴とする炭
素繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭素繊維およびそ
の製造方法、特に不飽和マトリックス樹脂との接着性に
優れた炭素繊維およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維は各種マトリックス樹脂とから
なる複合材料として利用されているが、炭素繊維の特性
を複合材料に生かすには、マトリックス樹脂との接着性
が重要である。一般に炭素繊維は表面処理を施さないと
マトリックス樹脂に対して接着性が十分でなく、複合材
料の剥離強度や剪断強度が低くなる。また、炭素繊維あ
るいは黒鉛繊維は本質的に剛直で脆く、収束性、耐屈曲
性や耐擦過性に乏しいために、高次加工工程において、
毛羽、糸切れを発生しやすいので、通常炭素繊維には各
種サイジング剤が付与されて、このサイジングによって
炭素繊維に集束性を付与し、耐屈曲性や耐擦過性を改良
するとともに、マトリックスに対する接着性がある程度
改良されてきた(例えば、特開平1−272867号公
報、特公平4−8542号公報)。
【0003】炭素繊維強化複合材料のマトリックス樹脂
は、近年、エポキシ樹脂に加えて、不飽和ポリエステル
樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂の需要も高く
なっている。特に小型船舶、ボート、ヨット、漁船、浄
化槽、各種タンク等に用いられ、成形サイクルが短く、
成形コストの低い、不飽和ポリエステル樹脂やビニルエ
ステル樹脂と炭素繊維複合材料が重要となっている。こ
れらのマトリックス樹脂の場合には、従来のエポキシ樹
脂サイジング剤では、炭素繊維と不飽和ポリエステルま
たはビニルエステルとのなじみがエポキシ樹脂に比較し
て低く、接着性特に剪断強度が低くて、実用化できない
場合があった。
【0004】そこで、炭素繊維と不飽和ポリエステル樹
脂とのなじみを良くし、接着性を向上させる技術が開示
されている。例えば、不飽和基を有するウレタン化合物
(特開昭56−167715、特開昭63−50573
号公報)、末端不飽和基を有するエステル化合物(特開
昭63−105178号公報)など、サイジング剤にカ
ップリング剤の役割を持たせることによって、炭素繊維
と不飽和ポリエステル樹脂との接着性を向上させること
が開示されている。しかし、全ての炭素繊維に対して常
に優れた接着特性を得られるとは限らない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
従来技術では達成し得なかった不飽和マトリックスとの
接着性に優れた炭素繊維およびその製造方法を提供する
ことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決する本
発明の構成は以下のとおりである。すなわち、 (1)X線光電子分光法により測定される炭素繊維の表
面酸素濃度O/Cが0.02以上0.20以下、化学修
飾X線光電子分光法により測定される炭素繊維の表面カ
ルボキシル基濃度COOH/Cが0.2%以上3.0%
以下であって、末端不飽和基と極性基を共に有する化合
物がサイジングされてなることを特徴とする炭素繊維。
【0007】(2)末端不飽和基が、ビニル基、アクリ
レート基、およびメタクリレート基から選ばれたもので
あることを特徴とする前記(1)記載の炭素繊維。
【0008】(3)極性基が、アミド結合、イミド結
合、ウレタン結合、ウレア結合、イソシアネート基、お
よびスルホ基から選ばれたものであることを特徴とする
前記(1)または(2)に記載の炭素繊維。
【0009】(4)末端不飽和基と極性基をともに有す
る化合物が、不飽和アルコールまたは不飽和カルボン酸
とポリイソシアネート化合物を反応せしめた不飽和ポリ
ウレタン化合物であることを特徴とする前記(1)〜
(3)のいずれかに記載の炭素繊維。
【0010】(5)不飽和ポリウレタン化合物が、炭素
繊維表面上で重合せしめられてなることを特徴とする前
記(4)に記載の炭素繊維。
【0011】(6)末端不飽和基と極性基をともに有す
る化合物が、脂肪族ポリイソシアネート化合物であるこ
とを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の
炭素繊維。
【0012】(7)末端不飽和基の数が、一分子当り2
個以上であることを特徴とする前記(1)〜(6)のい
ずれかに記載の炭素繊維。
【0013】(8)分子量当たりの極性基密度が、1×
10-3以上であることを特徴とする前記(1)〜(7)
のいずれかに記載の炭素繊維。
【0014】(9)X線光電子分光法により測定される
炭素繊維の表面酸素濃度O/Cが0.02以上0.20
以下、化学修飾X線光電子分光法により測定される炭素
繊維の表面カルボキシル基濃度COOH/Cが0.2%
以上3.0%以下の炭素繊維に、極性基と末端不飽和基
とを共に有する化合物をサイジング処理し、次いで熱処
理することを特徴とする炭素繊維の製造方法。
【0015】(10)水溶媒系でサイジングすることを
特徴とする前記(9)記載の炭素繊維の製造方法。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の炭素繊維は、X線光電子
分光により測定される表面酸素濃度O/Cが0.02以
上、好ましくは0.04以上、さらに好ましくは0.0
6以上のものである。O/Cが0.02に満たないと、
後述するサイジング剤の極性基構造との親和性が低下
し、ひいてはコンポジットの接着特性の向上が望めない
場合がある。さらに、0.20以下、好ましくは0.1
5以下、さらに好ましくは0.10以下とするものであ
る。O/Cが0.20を超えると、サイジング剤の極性
基と炭素繊維最表面との化学結合は強固になるものの、
本来炭素繊維基質自身が有する強度よりもかなり低い酸
化物層が炭素繊維表層を被うことになるため、結果とし
て得られるコンポジットの接着特性は低いものとなって
しまう。
【0017】本発明において、化学修飾X線光電子分光
により測定される表面カルボキシル基濃度COOH/C
が0.2%以上、好ましくは0.5%以上のものであ
る。COOH/Cが0.2%に満たないと、後述するサ
イジング剤の極性基構造との親和性が低下し、ひいては
コンポジットの接着特性の向上が望めない場合がある。
さらに、3.0%以下、好ましくは2.0%以下とする
ものである。COOH/Cが3.0%を超える場合に
は、本来炭素繊維基質自身が有する強度よりもかなり低
い強度を有する酸化物層が炭素繊維表層が被うことにな
るため、結果として得られるコンポジットの接着特性は
低いものとなる場合があり、また、マトリックス樹脂の
硬化速度を遅延させることがある。
【0018】このような特性を有する炭素繊維を得るた
めの製造方法については後述する。また、本発明の炭素
繊維は上記特性を有し、さらに末端不飽和基と極性基を
共に有する化合物がサイジングされてなるものである。
【0019】末端不飽和和基とは、ビニル基、アクリレ
ート基、およびメタクリレート基から選ばれたものであ
ることが好ましい。また、極性基とは、アミド結合、イ
ミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、イソシアネート
基、およびスルホ基から選ばれたものであることが好ま
しい。
【0020】この化合物を炭素繊維表面に付与したの
ち、高分子量化させ、炭素繊維表面に該化合物を被覆化
することにより、コンポジット成型時にサイジング剤の
拡散を抑制し、かつ特定の炭素繊維官能基とサイジング
剤と極性基の親和性によってコンポジット接着性が確保
され、過剰の不飽和基によりマトリックス樹脂との反応
によってカップリング効果が現れて接着力が高くなった
ものと考えられる。
【0021】末端不飽和基の数は、炭素繊維表面上の高
分子量を容易に均一に行い皮膜化し、かつ不飽和ポリエ
ステル樹脂およびビニルエステル樹脂と反応させるた
め、一分子当たり末端不飽和基の数は2個以上とするこ
とが好ましく、3個以上とするのがさらに好ましい。
【0022】極性基は、炭素繊維表面上に皮膜化された
ときに特定量の炭素繊維表面官能基との相互作用を確保
するため、分子量当たりの極性基の数は1×10-3以上
とすることが好ましく、3×10-3以上とするのがさら
に好ましい。
【0023】本発明においてサイジング剤は一様に被
覆、コーティングされているのが好ましい。
【0024】また、本発明における極性基と末端不飽和
基を有する化合物としては、不飽和アルコール、不飽和
カルボン酸とイソシアネート化合物を反応せしめた化合
物が挙げられ、不飽和アルコールとしては、例えばアリ
ルアルコール、不飽和カルボン酸としてはアクリル酸、
メタクリル酸等、イソシアネート化合物としてはヘキサ
メチレンジシソシアネート、イソホロンジイソシアネー
ト、トリレンジイソシアネート、ジトリレンジイソシア
ネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の公知の
不飽和ポリウレタン化合物が挙げられる。
【0025】特に、不飽和ポリウレタン化合物の末端不
飽和基がアクリレート基およびメタクリレート基である
化合物が好ましく、フェニルグリシジルエーテルアクリ
レートヘキサメチレンジイソシアネート化合物、フェニ
ルグリシジルエーテルアクリレートトリレンジイソシア
ネート化合物、ペンタエリスリトールアクリレートヘキ
サメチレンジイソシアネート化合物、フェニルグリシジ
ルエーテルトリアクリレートイソホロンジイソシアネー
ト化合物、グリセリンジメタクリレートトリレンジイソ
シアネート化合物、グリセリンジメタクリレートイソホ
ロンジイソシアネート化合物、ペンタエリスリトールト
リアクリレートトリレンジイソシアネート化合物、ペン
タエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシ
アネート、トリアリルイソシアヌレート化合物から選ば
れる少なくとも1種の化合物が好ましい。
【0026】アミド結合と末端不飽和基を有する化合物
としては、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−
ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチル
アミノプロピルアクリルアミド、アクリロイルモルホリ
ン、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチ
ルアクリルアミド等が挙げられる。スルホ基と末端不飽
和基を有する化合物としてはビスフェノールS型ジグリ
シジルジアクリレート、ビスフェノールS型ジグリシジ
ルジメタクリレート等が挙げられる。
【0027】好ましいサイジング剤の構造としては、炭
素繊維表面での高分子量化を容易にし、炭素繊維とマト
リックス樹脂との界面に剛直で立体的に大きな化合物を
介在させない、芳香環を有さない分子鎖が直線状で柔軟
性を有する脂肪族化合物、特に末端不飽和基と極性基を
有する脂肪族ポリイソシアネート化合物、すなわちポリ
エチレングリコール骨格およびポリアルキレン骨格であ
るポリイソシアネート化合物が好ましい。
【0028】また、かかる化合物の分子量は、樹脂粘度
が高くなって集束剤としての取り扱い性が悪化するのを
防ぐ観点から、300以上2000以下が好ましく、5
00以上1000以下がより好ましい。
【0029】サイジング剤の付着量は、炭素繊維表面へ
のサイジング剤の高分子量化による皮膜を均一にし、か
つ樹脂との接着性改善幅を大とし、一方、サイジング剤
の高分子量化による炭素繊維束が硬くならないようにす
る観点から、炭素繊維単位重量当たり0.02%以上5
%以下が好ましく、0.05%以上2%以下付与するの
がより好ましい。
【0030】また、炭素繊維の取り扱い性や、耐擦過
性、耐毛羽性を向上させるための乳化剤や界面活性剤等
の補助成分をサイジング剤に添加しても良い。さらに集
束性などをより向上させるために、ポリウレタン、ポリ
エステル、エポキシ樹脂など他の化合物が加えられても
よい。
【0031】本発明の炭素繊維の機能的物性としてはス
トランド強度が好ましくは3500MPA以上、より好
ましくは400MPa以上、さらに好ましくは450M
Pa以上のものである。また、炭素繊維の弾性率は22
0GPa以上が好ましく、290GPa以上がより好ま
しい。ストランド強度あるいは弾性率がそれぞれ、35
00MPa未満あるいは222GPa未満の炭素繊維の
場合には、コンポジットとしたときに、構造材として所
望の特性が得られない場合がある。
【0032】ここで、本発明において炭素繊維のストラ
ンド強度、弾性率とは、JIS−R−7601の樹脂含
浸ストランド試験法に準じ、樹脂処方としてはユニオン
カーバイト社製ベークライト(登録商標)ERL422
1/3フッ化ホウ素モノエチルアミン/アセトン=10
0/3/4(重量部)を用いて測定した強度、弾性率を
いう。
【0033】次に本発明の炭素繊維を得るための方法に
ついて説明する。炭素繊維の表面処理およびサイジング
処理については次に記載するとおりであるが、炭素繊維
の重合、製糸、焼成条件については拘束されるものでは
ない。
【0034】本発明の方法に供せられる原料炭素繊維と
しては、アクリル系、ピッチ系、レーヨン系等の公知の
炭素繊維を適用できる。高強度の炭素長繊維が得られや
すいアクリル系炭素繊維がなかでも好ましい。アクリル
系炭素繊維の場合を例にとって以下詳細に説明する。
【0035】紡糸方法としては、湿式、乾式、乾湿式等
を採用できるが、高強度糸が得られ易い湿式あるいは乾
湿式が好ましく、特に乾湿式が好ましい。紡糸原液には
ポリアクリロニトリルのホモポリマーあるいは共重合成
分の溶液あるいは懸濁液等を用いることができる。凝
固、水洗、延伸、油剤付与して前駆体原糸とし、さらに
耐炎化、炭化、さらに必要に応じて黒鉛化処理を行な
う。炭化あるいは黒鉛化条件として、本発明炭素繊維を
得るには不活性雰囲気中最高温度は1200℃以上が好
ましく、1300℃以上がより好ましく、1400℃以
上がさらに好ましい。強度および弾性率を向上するには
細繊度の炭素繊維が好ましく、炭素繊維の単糸径で7μ
m以下が好ましく、6μm以下がより好ましく、5.5
μm以下がさらに好ましい。得られた炭素繊維はさらに
表面処理およびサイジング処理がなされて炭素繊維とな
る。
【0036】X線光電子分光法により測定される表面酸
素濃度O/Cが0.02以上0.20以下、化学修飾X
線光電子分光法により測定される表面カルボキシル基濃
度COOH/Cが0.2%以上3.0%以下である炭素
繊維を製造する方法は、以下の通りである。
【0037】本発明の方法において、酸性水溶液中、ア
ルカリ水溶液中のどちらでも良いが、カルボキシル基濃
度COOH/Cを容易に増加できる酸性水溶液中の電解
処理が好ましい。
【0038】酸性電解液としては水溶液中で酸性を示す
ものであればよく、硫酸、硝酸、塩酸、燐酸、ホウ酸、
炭酸等の無機酸、酢酸、酪酸、シュウ酸、アクリル酸、
マレイン酸等の有機酸、または硫酸アンモニウム、硫酸
水素アンモニウム等の塩が挙げられる。これらのなかで
も強酸性を示す硫酸、硝酸が好ましい。
【0039】アルカリ性電解液としては水溶液中でアル
カリ性を示すものであればよく、具体的には水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム等の水酸化
物、アンモニア、または、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナ
トリウム等の無機塩類、酢酸ナトリウム、安息香酸ナト
リウム等の有機塩類の水溶液、さらにこれらのカリウム
塩、バリウム塩あるいは他の金属塩、およびアンモニウ
ム塩、またヒドラジン等の有機化合物が挙げられるが、
好ましくは樹脂との硬化阻害を起こすアルカリ金属を含
まない炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム等の無
機アルカリが好ましい。さらに好ましくは強アルカリ性
を示す水酸化テトラアルキルアンモニウム塩類が良い。
【0040】電解液の濃度としては、0.01〜5モル
/lが好ましく、0.1〜1モル/lがより好ましい。
電解温度としては0〜100℃が好ましく、室温がより
好ましい。
【0041】電気量は被処理炭素繊維の焼成温度に合わ
せて最適化することが好ましく、高弾性率糸はより大き
な電気量が必要である。表層の結晶性の低下を進ませ、
生産性を向上させる一方、炭素繊維基質の強度低下を防
ぐ観点から、電解処理は低い電気量処理を繰り返し行う
のが好ましい。具体的には、電解槽1槽当たりの通電電
気量は5クーロン/g・槽(炭素繊維1g当たりのクー
ロン数)以上、100クーロン/g・槽以下が好まし
く、10クーロン/g・槽以上、80クーロン/g・槽
以下がより好ましく、20クーロン/g・槽以上、60
クーロン/g・槽以下がさらに好ましい。また、表層の
結晶性の低下を適度な範囲とする観点からは通電処理の
総電気量は5〜1000クーロン/gとするのが好まし
く、10〜500クーロン/gの範囲とするのがさらに
好ましい。
【0042】電流密度としては、炭素繊維表面を有効に
酸化し、かつ安全性を損なわない観点から、電解処理液
中の炭素繊維の表面積1m2 当たり1.5アンペア/m
2 以上1000アンペア/m2 以下が好ましく、3アン
ペア/m2 以上がより好ましい。処理時間は、数秒から
十数分が好ましく、さらには10秒から2分程度がより
好ましい。
【0043】電解電圧は安全性の観点から25V以下が
好ましく、さらには0.5〜20Vがより好ましい。電
解処理時間は電気量、電解質濃度により最適化すべきで
あるが、生産性の面から数秒〜10分、好ましくは10
秒〜2分程度がよい。電解処理方式としてはバッチ式、
連続式いずれでもよいが、生産性がよくバラツキが小さ
くできる連続式が好ましい。通電方法としては、炭素繊
維を電極ローラに直接接触させて通電させる直接通電、
あるいは炭素繊維と電極の間に電解液等を介して通電さ
せる間接通電のいずれも採用することができるが、電解
処理時の毛羽立ち、電気スパーク等が抑えられる間接通
電が好ましい。また、電解処理方法は、電解槽を必要槽
数並べて1度通糸しても、1槽の電解槽に必要回数通糸
してもよい。更に、電解槽の陽極長は5〜100mmが
好ましく、陰極長は300〜1000mm、さらには3
50〜900mmが好ましい。
【0044】洗浄処理を行った後、水洗および乾燥する
ことが好ましい。この場合、乾燥温度が高すぎると炭素
繊維の最表面に存在する官能基、特にカルボキシル基は
熱分解により消失し易いため、できる限り低い温度で乾
燥することが好ましく、具体的には乾燥温度が250℃
以下が好ましく、さらに210℃以下、さらに180℃
以下で乾燥することがより好ましい。
【0045】サイジング剤の付与手段としては特に限定
されるものではないが、例えばローラを介してサイジン
グ液に浸漬する方法、サイジング液の付着したローラに
接する方法、サイジング液を霧状にして吹き付ける方法
などがある。また、バッチ式、連続式いずれでもよい
が、生産性がよくバラツキが小さくできる連続式が好ま
しい。この際、炭素繊維に対するサイジング剤有効成分
の付着量が適正範囲内で均一に付着するように、サイジ
ング液濃度、温度、糸条張力などをコントロールするこ
とが好ましい。また、サイジング剤付与時に炭素繊維を
超音波で加振させても良い。
【0046】乾燥温度と乾燥時間は溶媒を除去できれば
特に特定しない。
【0047】サイジング剤に使用する溶媒は、水、メタ
ノール、エタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチル
アセトアミド、アセトン等が挙げられるが、取扱いが容
易で防災の観点から水が好ましい。従って、水に不溶、
若しくは難溶の化合物をサイジング剤として用いる場合
には乳化剤、界面活性剤等を添加し水分散性にして用い
るのが良い。
【0048】さらにサイジング剤を炭素繊維表面上で高
分子量化させるため、熱処理温度は180℃以上350
℃以下が好ましく、200℃以上300℃以下がより好
ましく、230℃以上280℃以下がさらに好ましい。
処理時間は、熱処理温度によるが30秒以上30分以下
が好ましく、50秒以上15分以下がより好ましい。サ
イジング剤の熱処理は、乾燥工程と分離して行ってもよ
く、さらにサイジング剤の乾燥工程と熱処理工程を同時
に行っても良い。
【0049】対象となるマトリックス樹脂は、エポキシ
樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、
フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の熱可塑性
樹脂や、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリアセター
ル、ポリカーボネート、線状ポリエステル等の熱可塑性
樹脂等を挙げることができるが、これらの中でも、特に
サイジング剤が有する二重結合と架橋し得る不飽和ポリ
エステル樹脂、ビニルエステル樹脂のマトリックス樹脂
が好ましい。
【0050】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。本発明におけるコンポジット接着力の指標と
して層間剪断強度(ILSS)を用いた。なお、実施例
中、表面酸素濃度(O/C)、表面カルボキシル基濃度
(COOH/C)、およびILSSは以下の方法により
求めた。
【0051】〈表面酸素濃度O/C〉表面酸素濃度O/
Cは、次の手順に従ってESCAにより求めた。先ず、
溶媒でサイジング剤などを除去した炭素繊維束をカット
してステンレス製の試料支持台上に拡げて並べた後、光
電子脱出角度を90゜とし、X線源としてMgKα1,2
を用い、試料チャンバー内を1×10-8Torrの真空
度に保つ。測定時の帯電に伴うピークの補正として、ま
ずC1Sの主ピークの結合エネルギー値B.E.を28
4.6eVに合わせる。C1Sピーク面積は、282〜2
96eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより
求め、O1Sピーク面積は、528〜540eVの範囲で
直線のベースラインを引くことにより求めた。表面酸素
濃度O/Cは、上記O1Sピーク面積とC1Sピーク面積の
比を、装置固有の感度補正値で割ることにより算出した
原子数比で表した。なお、本実施例では島津製作所
(株)製ESCA−750を用い、上記装置固有の感度
補正値は2.85であった。
【0052】〈表面カルボキシル基濃度COOH/C〉
表面カルボキシル基濃度COOH/Cは、次の手順に従
って化学修飾ESCAにより求めた。先ず、溶媒でサイ
ジング剤などを除去した炭素繊維束をカットして白金製
の試料支持台上に拡げて並べ、0.02モル/lの3弗
化エタノール気体,0.001モル/lのジシクロヘキ
シルカルボジイミド気体及び0.04モル/lのピリジ
ン気体を含む空気中に60℃で8時間さらし、化学修飾
処理した後、X線光電子分光装置に光電子脱出角度を3
5゜としてマウントし、X線源としてAlKα1,2 を用
い、試料チャンバー内を1×10-8Torrの真空度に
保つ。測定時の帯電に伴うピークの補正として、まずC
1Sの主ピークの結合エネルギー値B.E.を284.6
eVに合わせる。C1Sピーク面積[C1S]は、282〜
296eVの範囲で直線のベースラインを引くことによ
り求め、F1Sピーク面積[F1S]は、682〜695e
Vの範囲で直線のベースラインを引くことにより求め
た。また、同時に化学修飾処理したポリアクリル酸のC
1Sピーク分割から反応率rを、O1Sピーク分割からジシ
クロヘキシルカルボジイミド誘導体の残存率mを求め
た。
【0053】表面カルボキシル基濃度COOH/Cは、
下式により算出した値で表した。
【0054】COOH/C=〔[F1S]/{(3k[C
1S]−(2+13m)[F1S])r}〕×100(%) なお、kは装置固有のC1Sピーク面積に対するF1Sピー
ク面積の感度補正値であり、本実施例では、米国SSI
社製モデルSSX−100−206を用い、上記装置固
有の感度補正値は3.919であった。
【0055】<ILSS測定方法>炭素繊維を一方向に
巻き付け金枠を金型にセットし、ビニルエステル樹脂
(昭和高分子社製リポキシR806)100部、ナフテ
ン酸コバルト(昭和高分子社製コバルトN)0.5部、
メチルエチルケトンパーオキサイド(日本油脂製パーメ
ックN)1.0部を金型に注入し、真空脱泡後、プレス
成形(室温×24時間)した。引き続き120℃、2時
間で後硬化して試験片を得た。2.5mm厚×6mm幅
×16mm長さの一方向CFRP試験片を、通常の3点
曲げ試験治具(圧子10mmφ、支点4mmφ)を用い
て支持スパンを14mmに設定し、歪速度2.0mm/
minでILSSを測定した。
【0056】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。
【0057】(実施例1)アクリロニトリル(AN)9
9.4モル%とメタクリル酸0.6モル%からなる共重
合体を用いて、乾湿式紡糸方法により単繊維デニール1
d,フィラメント数12000のアクリル系繊維を得
た。得られた繊維束を240〜280℃の空気中で、延
伸比1.05で加熱し、耐炎化繊維に転換し、ついで窒
素雰囲気中300〜900℃の温度領域での昇温速度を
200℃/分とし10%の延伸を行なった後、1300
℃まで焼成した。得られた炭素繊維の目付は0.800
g/m、比重は1.80であった。
【0058】濃度0.1モル/lの硫酸水溶液を電解液
として、電気量5クーロン/gで処理した。この電解処
理を施された炭素繊維を続いて水洗し、150℃の加熱
空気中で乾燥した。
【0059】続いて、樹脂成分が2重量%になるように
グリセリンジメタクリレートヘキサメチレンジイソシア
ネート化合物(共栄社化学製UA101H)をアセトン
で希釈してサイジング剤母液を調整し、浸漬法により炭
素繊維にサイジング剤を付与し、230℃、60秒で乾
燥後、230℃、120℃熱処理を行なった。付着量は
1.1%であった。
【0060】このようにして得られた炭素繊維はストラ
ンド強度5.20GPa、弾性率240GPa、Si/
C=0.05であり、表面酸素濃度O/C、表面カルボ
キシル基濃度COOH/C、ILSSの測定結果を表1
に示した。
【0061】(実施例2,3)サイジング剤をペンタエ
リスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシ
アネート(共栄社化学製UA306H)、フェニルグリ
シジルエーテルアクリレートヘキサメチレンジイソシア
ネート化合物(共栄社化学製AH600)にそれぞれ変
更した以外は実施例1と同様に処理し、付着量1.0%
および1.2%の炭素繊維を得た。結果を表1に示し
た。
【0062】(実施例4)サイジング剤を芳香環骨格を
有するフェニルグリシジルエーテルアクリレートトリレ
ンジイソシアネート化合物(共栄社化学製AT−60
0)に変更した以外は実施例1と同様に処理し、付着量
は1.2%の炭素繊維を得た。結果を表1に示した。
【0063】(比較例1)サイジング剤として極性基を
持たないトリメチロールプロパントリアクリレートを付
与した以外は実施例1と同様に処理し、付着量1.0%
の炭素繊維を得た。ILSSは75MPaであった。
【0064】(比較例2)サイジング剤を付与しない以
外は実施例1と同様に処理し、炭素繊維を得た。ILS
Sは76MPaであった。
【0065】(実施例5,6)電気量を10、40クー
ロン/gと変更した以外は、実施例1と同様に処理して
炭素繊維を得た。付着量はそれぞれ1.2%,1.3%
であった。結果を表1に示した。
【0066】(実施例7)電解処理後の乾燥温度を25
0℃と変更した以外は、実施例1と同様に処理し、付着
量1.1%の炭素繊維を得た。結果を表1に示した。
【0067】
【表1】 (実施例8〜10)サイジング剤付与後の熱処理温度を
180℃、150℃、80℃と変更した以外は、実施例
1と同様に処理し、炭素繊維を得た。付着量はそれぞれ
1.2%,1.2%、1.1%であった。結果を表2に
示した。
【0068】
【表2】 (実施例11〜13)サイジング剤をビスフェノールS
ジグリシジルジメタクリレート、N,N−ジメチルアミ
ノエチルアクリレート、末端アクリル変性液状ブタジエ
ン(日本曹達製TE2000)にそれぞれ変更した以外
は実施例1と同様に処理し、炭素繊維を得た。付着量は
それぞれ1.2%,0.9%、1.3%であった。結果
を表3に示した。
【0069】
【表3】
【0070】
【発明の効果】本発明は、上記の構成とすることによ
り、不飽和マトリックスとの接着性に優れた炭素繊維お
よびその製造方法を提供することができた。
【手続補正書】
【提出日】平成9年10月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【請求項末端不飽和基と極性基を共に有する化合物
が、炭素繊維表面上で重合せしめられてなることを特徴
とする請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維。
【請求項】末端不飽和基と極性基をともに有する化合
物が、不飽和アルコールまたは不飽和カルボン酸とポリ
イソシアネート化合物を反応せしめた不飽和ポリウレタ
ン化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
かに記載の炭素繊維。
【請求項】不飽和ポリウレタン化合物が、炭素繊維表
面上で重合せしめられてなることを特徴とする請求項
記載の炭素繊維。
【請求項】末端不飽和基と極性基をともに有する化合
物が、脂肪族ポリイソシアネート化合物であることを特
徴とする請求項1〜のいずれかに記載の炭素繊維。
【請求項】末端不飽和基の数が、一分子当り2個以上
であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載
の炭素繊維。
【請求項】分子量当たりの極性基密度が、1×10-3
以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに
記載の炭素繊維。
【請求項10】X線光電子分光法により測定される炭素
繊維の表面酸素濃度O/Cが0.02以上0.20以
下、化学修飾X線光電子分光法により測定される炭素繊
維の表面カルボキシル基濃度COOH/Cが0.2%以
上3.0%以下の炭素繊維に、極性基と末端不飽和基と
を共に有する化合物をサイジング処理し、次いで熱処理
することを特徴とする炭素繊維の製造方法。
【請求項11】水溶媒系でサイジングすることを特徴と
する請求項10記載の炭素繊維の製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正内容】
【0009】(4)不飽和ポリウレタン化合物が、炭素
繊維表面上で重合せしめられてなることを特徴とする前
記(1)〜(3)のいずれかに記載の炭素繊維。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】()不飽和ポリウレタン化合物が、炭素
繊維表面上で重合せしめられてなることを特徴とする前
記()に記載の炭素繊維。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】()末端不飽和基と極性基をともに有す
る化合物が、脂肪族ポリイソシアネート化合物であるこ
とを特徴とする前記(1)〜()のいずれかに記載の
炭素繊維。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】()末端不飽和基の数が、一分子当り2
個以上であることを特徴とする前記(1)〜()のい
ずれかに記載の炭素繊維。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】()分子量当たりの極性基密度が、1×
10-3以上であることを特徴とする前記(1)〜(
のいずれかに記載の炭素繊維。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】(10)X線光電子分光法により測定され
る炭素繊維の表面酸素濃度O/Cが0.02以上0.2
0以下、化学修飾X線光電子分光法により測定される炭
素繊維の表面カルボキシル基濃度COOH/Cが0.2
%以上3.0%以下の炭素繊維に、極性基と末端不飽和
基とを共に有する化合物をサイジング処理し、次いで熱
処理することを特徴とする炭素繊維の製造方法。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正内容】
【0015】(11)水溶媒系でサイジングすることを
特徴とする前記(10)記載の炭素繊維の製造方法。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正内容】
【0041】電気量は被処理炭素繊維の焼成温度に合わ
せて最適化することが好ましく、高弾性率糸はより大き
な電気量が必要である。表層の結晶性の低下を進ませ、
生産性を向上させる一方、炭素繊維基質の強度低下を防
ぎ、表層の結晶性の低下を適度な範囲とする観点からは
通電処理の総電気量は〜1000クーロン/gとする
のが好ましく、300クーロン/gの範囲とするの
がさらに好ましい。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正内容】
【0056】下、実施例により本発明をさらに具体的
に説明する。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正内容】
【0059】続いて、樹脂成分が2重量%になるように
グリセリンジメタクリレートヘキサメチレンジイソシア
ネート化合物(共栄社化学製UA101H)をアセトン
で希釈してサイジング剤母液を調整し、浸漬法により炭
素繊維にサイジング剤を付与し、230℃、60秒で乾
燥後、230℃、120熱処理を行なった。付着量は
1.1%であった。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正内容】
【0060】このようにして得られた炭素繊維はストラ
ンド強度5.20GPa、弾性率240GPaであり、
表面酸素濃度O/C、表面カルボキシル基濃度COOH
/C、ILSSの測定結果を表1に示した。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0067
【補正方法】変更
【補正内容】
【0067】
【表1】 (実施例8〜10)サイジング剤付与後の熱処理温度を
180℃、150℃、80℃と変更した以外は、実施例
1と同様に処理し、炭素繊維を得た。付着量はそれぞれ
1.2%,1.2%、1.1%であった。結果を表2に
示した。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0068
【補正方法】変更
【補正内容】
【0068】
【表2】 (実施例11〜13)サイジング剤をビスフェノールS
ジグリシジルジメタクリレート、N,N−ジメチルアミ
ノエチルアクリレート、末端アクリル変性液状ブタジエ
ン(日本曹達製TE2000)にそれぞれ変更した以外
は実施例1と同様に処理し、炭素繊維を得た。付着量は
それぞれ1.2%,0.9%、1.3%であった。結果
を表3に示した。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0069
【補正方法】変更
【補正内容】
【0069】
【表3】 (実施例14) サイジング剤乾燥後、30秒熱処理した
以外は実施例1と同様に処理し炭素繊維を得た。付着量
は1.0%で、ILSSは83MPaであった。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】X線光電子分光法により測定される炭素繊
    維の表面酸素濃度O/Cが0.02以上0.20以下、
    化学修飾X線光電子分光法により測定される炭素繊維の
    表面カルボキシル基濃度COOH/Cが0.2%以上
    3.0%以下であって、末端不飽和基と極性基を共に有
    する化合物がサイジングされてなることを特徴とする炭
    素繊維。
  2. 【請求項2】末端不飽和基が、ビニル基、アクリレート
    基、およびメタクリレート基から選ばれたものであるこ
    とを特徴とする請求項1記載の炭素繊維。
  3. 【請求項3】極性基が、アミド結合、イミド結合、ウレ
    タン結合、ウレア結合、イソシアネート基、およびスル
    ホ基から選ばれたものであることを特徴とする請求項1
    または2に記載の炭素繊維。
  4. 【請求項4】末端不飽和基と極性基をともに有する化合
    物が、不飽和アルコールまたは不飽和カルボン酸とポリ
    イソシアネート化合物を反応せしめた不飽和ポリウレタ
    ン化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    かに記載の炭素繊維。
  5. 【請求項5】不飽和ポリウレタン化合物が、炭素繊維表
    面上で重合せしめられてなることを特徴とする請求項4
    記載の炭素繊維。
  6. 【請求項6】末端不飽和基と極性基をともに有する化合
    物が、脂肪族ポリイソシアネート化合物であることを特
    徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維。
  7. 【請求項7】末端不飽和基の数が、一分子当り2個以上
    であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載
    の炭素繊維。
  8. 【請求項8】分子量当たりの極性基密度が、1×10-3
    以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに
    記載の炭素繊維。
  9. 【請求項9】X線光電子分光法により測定される炭素繊
    維の表面酸素濃度O/Cが0.02以上0.20以下、
    化学修飾X線光電子分光法により測定される炭素繊維の
    表面カルボキシル基濃度COOH/Cが0.2%以上
    3.0%以下の炭素繊維に、極性基と末端不飽和基とを
    共に有する化合物をサイジング処理し、次いで熱処理す
    ることを特徴とする炭素繊維の製造方法。
  10. 【請求項10】水溶媒系でサイジングすることを特徴と
    する請求項9記載の炭素繊維の製造方法。
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