JPH08208727A - 改良されたポリマー形成方法 - Google Patents

改良されたポリマー形成方法

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JPH08208727A JP7302240A JP30224095A JPH08208727A JP H08208727 A JPH08208727 A JP H08208727A JP 7302240 A JP7302240 A JP 7302240A JP 30224095 A JP30224095 A JP 30224095A JP H08208727 A JPH08208727 A JP H08208727A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水への溶解度が小さいモノマー又は最終ポリ
マーの溶解を促進する有機溶媒又は大量の界面活性剤を
添加することなく、重合単位として、水への溶解度が小
さい少なくとも一つのモノマーを含むポリマーを、溶液
又はエマルション重合によって、水性系中で形成する。 【解決手段】 本発明の改良されたポリマー形成方法
は、重合単位として、水への溶解度が小さい少なくとも
1つのモノマーを含むポリマーを水性系において形成す
る方法であって、(a)水への溶解度が小さい少なくと
も一つのモノマーを、疎水性キャビティを有する高分子
有機化合物と複合化する工程;及び、(b)ポリマーの
総重量を基準として、約0.1重量%〜約100重量%
の前記の複合化されたモノマーの水への溶解度の小さい
モノマーと、ポリマーの総重量を基準として、約0重量
%〜約99.9重量%の水への溶解度が大きい少なくと
も一つのモノマーとを、水性系において重合させる工
程:を含む方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の分野 本発明は改良されたポリマー形成方法に関し、特に、疎
水性キャビティを有する高分子有機化合物を用い、水性
系中で、重合単位として、水への溶解度が小さい少なく
とも一つのモノマーを含むポリマーを形成する改良され
た方法に関する。
【0002】発明の背景 溶液重合及びエマルション重合を含む水性重合は、一般
に、広く行われており、溶液重合の場合、原料モノマー
及び得られるポリマーは水溶性であり、エマルション重
合の場合、原料モノマーは、水への溶解度はそれほど低
いわけではない。しかしながら、水性重合が、(a)水
への溶解度が小さい少なくとも一つのモノマーの溶液重
合である場合;又は、(b)水への溶解度が非常に小さ
い少なくとも一つのモノマーのエマルション重合の場合
には、いくつかの問題がある。また、水性溶液重合の生
成物が、水への溶解度が小さい最終ポリマーである場合
も問題がある。
【0003】これらの問題には、 (1)攪拌シャフトの周囲でのモノマーだまり及び最終
製品中のモノマーの液滴の存在によって示される水への
溶解度が小さいモノマーの不十分な転化; (2)多量のゲル又は凝塊; (3)溶液重合中のエマルション若しくは懸濁ポリマー
の生成、又はエマルション重合中の大きな懸濁ポリマー
粒子の生成; (4)相分離又はモノマーの液滴若しくは大きな懸濁粒
子又はクリーミング;及び (5)示差走査熱量計により測定される複数のガラス転
移温度によって示される2つの型のモノマーの重合中の
不均一な分布に起因する、水への溶解度が大きいモノマ
ー及び水への溶解度が小さいモノマーの異常な(非動的
な)分布; が含まれる。
【0004】特にランダムな配置でポリマーを形成する
際のこれらの問題を克服するための: (a)(i)水への溶解度の小さい他のモノマー;又
は、(ii)水への溶解度の大きいモノマー;を有する
水への溶解度の小さいモノマーから、水性系中、水性溶
液重合又はエマルション重合によって; (b)水への溶解度が大きいモノマーから形成された場
合でも、水への溶解度が小さいポリマーを得る;という
試みは、従来、水への溶解度が小さいモノマー又は最終
ポリマーを溶解する際、次のような補助手段: (a)モノマーの総重量を基準として、少なくとも約5
〜30重量%の有機溶媒の添加; (b)水への溶解度の小さいモノマー用の溶媒として機
能するコモノマーの使用;又は、 (c)大量の界面活性剤の使用;の少なくとも一つがな
ければ満足するものにはならなかった。
【0005】例えば、米国特許4,268,641号
は、反応を容易にする芳香族、飽和脂肪族、脂環式及び
ハロゲン化溶媒を含む有機溶媒を必要とする溶液重合に
よる、アクリル酸と疎水性非イオン性界面活性アクリレ
ートとのコポリマー合成を開示している。また、米国特
許4,734,205号は、重合を生じさせるために大
量の界面活性剤を必要とする、アクリルアミド、アクリ
ル酸又はその塩と、疎水性アルキルアクリルアミド又は
アルキル(メタ)アクリレートとのコポリマーの合成を
開示している。
【0006】有機溶媒又は大量の界面活性剤の添加は、
安全性、健康及び環境問題を引き起こす。また、溶媒の
添加は、それが添加される水性系を不安定にさせること
もある。
【0007】本発明者は、水への溶解度が小さいモノマ
ー又は最終ポリマーの溶解を促進する有機溶媒又は大量
の界面活性剤を添加することなく、また、有機溶媒及び
大量の界面活性剤に伴う安全性、健康、環境及び安定性
の問題を生じさせることなく、重合単位として、水への
溶解度が小さい少なくとも一つのモノマーを含むポリマ
ーを、溶液又はエマルション重合によって、水性系中で
形成する方法を見い出した。
【0008】発明の概要 本発明は、重合単位として、水への溶解度が小さい少な
くとも1つのモノマーを含むポリマーを形成する水性重
合法であって、(a)水への溶解度が小さい少なくとも
一つのモノマーを、疎水性キャビティ(hydrophobic cav
ity)を有する高分子有機化合物と複合化する(complex)
工程;及び、(b)ポリマーの総重量を基準として、約
0.1重量%〜約100重量%の前記の複合化されたモ
ノマーの水への溶解度が小さいモノマー成分と、ポリマ
ーの総重量を基準として、約0重量%〜約99.9重量
%の水への溶解度が大きい少なくとも一つのをモノマー
とを、水性系において重合させる工程:を含む方法に関
する。
【0009】また、該方法は、水への溶解度が小さいポ
リマーの水性溶液の形成にも有用である。該方法は、従
来、水への溶解度が小さいモノマーの溶解を促進させる
有機溶媒、コモノマー又は大量の界面活性剤を添加しな
いとうまく製造できなかった、水への溶解度が小さいモ
ノマーの水溶液ポリマー又はエマルションポリマー、特
にランダムコポリマーを、水性系中で重合させるために
有用である。また、該方法は、水溶液及びエマルション
重合で使用される水への溶解度が小さい連鎖移動剤の効
率を改良するのに有用である。
【0010】発明の詳細な説明 本明細書で使用される用語”水溶性(water soluble)”
とは、水中で完全に溶解することを意味し;用語”水へ
の溶解度が小さい(having low water solubility)”と
は、水への溶解度が25〜50℃で200ミリモル/リ
ットル以下であることを意味し;用語”水への溶解度が
非常に小さい(having very low water solubility)”と
は、水への溶解度が25〜50℃で50ミリモル/リッ
トル以下であることを意味し;及び用語”水への溶解度
が大きい(having high water solubility)”とは、水へ
の溶解度が25〜50℃で200ミリモル/リットルよ
り大きいことを意味する。本明細書で使用される用語”
(メタ)アクリレート”とは、メタクリレート及びアク
リレートを意味し、用語”(メタ)アクリル”とは、メ
タクリル及びアクリルを意味し、及び用語”(メタ)ア
クリルアミド”とは、メタクリルアミド及びアクリルア
ミドを意味する。本明細書で使用される用語”水性系”
とは、水を連続相とし、ポリマーを形成し、又はポリマ
ーを貯蔵及び供給するために、有機溶媒又は大量の界面
活性剤を必要としない系で形成され、供給されるポリマ
ーを意味する。
【0011】重合方法 本発明は、重合単位として、水への溶解度が小さい少な
くとも1つのモノマーを含むポリマーを形成する水性重
合法であって、(1)水への溶解度が小さいモノマー
を、疎水性キャビティを有する高分子有機化合物と複合
化する工程;及び、(2)ポリマーの総重量を基準とし
て、約0.1重量%〜約100重量%の前記の複合化さ
れたモノマーの水への溶解度が小さいモノマー成分と、
ポリマーの総重量を基準として、約0重量%〜約99.
9重量%の水への溶解度が大きい少なくとも一つのをモ
ノマーとを、水性系において重合させる工程:を含む方
法である。
【0012】また、該方法は、水への溶解度が小さいポ
リマーの水性溶液の形成にとっても有用である。溶液ポ
リマーの場合、疎水性キャビティを有する高分子有機化
合物を、ポリマーが形成された後、任意の第3工程にお
いて該ポリマーから解離する(decomplex)ことができ
る。エマルションポリマーの場合、疎水性キャビティを
有する高分子有機化合物は、ポリマーが形成される際又
は前に、ポリマーから自動的に解離すると考えられてお
り、更なる解離は必要ではない。
【0013】本発明は、有機溶媒又は大量の界面活性剤
を使用することなくポリマーを製造する方法を提供する
ものであるが、これらの溶媒及び界面活性剤は重合中に
存在させることができる。しかしながら、重合中、溶媒
が存在せず、またより低量の界面活性剤しか存在しない
ことが好ましい。重合工程において、有機溶媒及び大量
の界面活性剤を含むことも可能である。
【0014】複合化工程 本発明の第1工程では、水への溶解度が小さいいずれか
のモノマーと疎水性キャビティを有する高分子有機化合
物とを複合化する。本発明の方法で有用な疎水性キャビ
ティを有する高分子有機化合物には、シクロデキストリ
ン及びシクロデキストリン誘導体;シクロイヌロヘキソ
ース(cycloinulohexose)、シクロイヌロヘプトース(cyc
loinuloheptose)及びシクロイヌロクトース(cycloinulo
ctose)などの疎水性キャビティを有する環状少糖類;カ
リキサレン(calyxarene);及びキャビタンド(cavitand)
が挙げられる。
【0015】本発明の方法において有用なシクロデキス
トリン及びシクロデキストリン誘導体は、個別の重合条
件のもとに選択されるシクロデキストリン及びシクロデ
キストリン誘導体の溶解度によってのみ制限される。本
発明の方法に有用である適当なシクロデキストリンに
は、制限されるものではないが、α−シクロデキストリ
ン、β−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリ
ンが挙げられる。本発明の方法に有用である適当なシク
ロデキストリン誘導体には、制限されるものではない
が、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン
及びγ−シクロデキストリンのメチル、トリアセチル、
ヒドロキシプロピル及びヒドロキシエチル誘導体が挙げ
られる。好ましいシクロデキストリン誘導体はメチル−
β−シクロデキストリンである。
【0016】本発明の方法で有用なシクロイヌロヘキソ
ース、シクロイヌロヘプトースなどの疎水性キャビティ
を有する環状少糖類は、Takaiなどの、Journal of Orga
nicChemistry, 1994, volume 59, number11, 2967-2975
ページに説明されている。本発明の方法で有用なカリキ
サレンは、米国特許第4,699,966号、国際公開
番号WO89/08092号、並びに日本国特許公開番
号1988/197544号及び1989/00783
7号に開示されている。
【0017】本発明の方法に有用なキャビタンドはイタ
リア特許出願22522A/89、及びMoranなどの、J
ournal of the American Chemical Society, volume18
4, 1982, 5826-5828ページに開示されている。
【0018】本発明の方法により重合を行うのに有用な
水への溶解度が小さいモノマーには、制限されるもので
はないが、第一アルケンなどのα,β−エチレン性不飽
和モノマー;スチレン及びアルキル置換スチレン;α−
メチルスチレン;ビニルトルエン;ビニル2−エチルヘ
キサノエート、ビニルネオデカノエートなどのC4〜C3
0カルボン酸のビニルエステル;塩化ビニル;塩化ビニ
リデン;オクチルアクリルアミド及びマレイン酸アミド
などのN−アルキル置換(メタ)アクリルアミド;ステ
アリルビニルエーテルなどの、(C3〜C30)アルキル
基を有するビニルアルキル又はビニルアリールエーテ
ル;メチルメタクリレート、エチル(メタ)アクリレー
ト、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル
(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレー
ト、ラウリル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)
アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステ
アリル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸
の(C1〜C30)アルキルエステル;脂肪酸及び脂肪ア
ルコールから誘導されるものなどのような(メタ)アク
リル酸の不飽和ビニルエステル;ペンタエリトリトール
(pentaerythritol)トリアクリレートなどの多官能性モ
ノマー;コレステロールから誘導されるモノマーなどが
挙げられる。疎水性モノマーは、ヒドロキシ、アミド、
アルデヒド、ウレイド、ポリエーテルなどの官能基を含
むことができる。また、本発明の方法は、モノマーの水
への溶解度が25〜50℃で少なくとも200ミリモル
/リットルであるが、それらの最終ホモポリマーは、水
への溶解度が25〜50℃で200ミリモル/リットル
以下であるもの、例えば、エチレン、酢酸ビニル、C18
37−(エチレンオキシド)20メタクリレート及びC12
25−(エチレンオキシド)23メタクリレートのよう
な、長鎖アルコキシ−又はアルキルフェノキシ(ポリア
ルキレンオキシド)(メタ)アクリレートなどの界面活
性剤モノマーを重合する場合に有用である。
【0019】疎水性キャビティを有する高分子有機化合
物は、2つの方法: (1)疎水性キャビティを有する高分子有機化合物を、
水への溶解度が小さいモノマーと別途混合し、他のモノ
マーと共に複合化された混合物を反応容器に充填する方
法;又は、(2)疎水性キャビティを有する高分子有機
化合物を、モノマー混合物の充填前、充填中、又は充填
後に、反応容器に添加する方法;のいずれかで、水への
溶解度が小さいモノマーと複合化することができる。
【0020】水への溶解度が小さいモノマーと複合化さ
れる、疎水性キャビティを有する高分子有機化合物のモ
ル比は、高分子有機化合物のタイプ及びモノマーのタイ
プにより変化する。一般に、高分子有機化合物とモノマ
ーとのモル比は、約5:1〜約1:5000、好ましく
は約1:1〜約1:1000、及びもっとも好ましくは
約1:1〜約1:500である。溶液中で会合するポリ
マーを形成する溶液重合の場合には、余分な高分子有機
化合物が最終ポリマー溶液の粘度の低減に役立つため、
化学量論の範囲、例えば約5:1〜約1:2のモル比を
有することが好ましい。もしそうでなければ、触媒量(c
atalytic range)、例えば約1:10〜約1:1000
のモル比でのみ一般に必要とされている。
【0021】重合化工程 本発明の第2工程は、ポリマーの総重量を基準として、
約0.1重量%〜約100重量%の複合化されたモノマ
ーの水への溶解度が小さいモノマー成分を、ポリマーの
総重量を基準として約0重量%〜約99.9重量%の水
への溶解度が大きい少なくとも一つのモノマー又は水へ
の溶解度が小さい他のモノマーと、水性系中で重合させ
ることである。
【0022】本発明の方法で有用である水への溶解度が
大きい適当な任意のモノマーには、制限されるものでは
ないが、アクリル酸及びメタクリル酸、アクリロキシプ
ロピオン酸、(メタ)アクリロキシプロピオン酸、イタ
コン酸、マレイン酸又は無水物、フマル酸、クロトン
酸、モノアルキルマレイン酸、モノアルキルフマル酸、
モノアルキルイタコン酸などの少なくとも一つのカルボ
ン酸基を含むモノマーのような酸官能基を有するα,β
−モノエチレン性不飽和モノマー;酸置換(メタ)アク
リレート及びスルホエチルメタクリレート;2−アクリ
ルアミド−2−メチルプロピルスルホン酸のような酸置
換(メタ)アクリルアミド;ジメチルアミノエチルメタ
クリレート、tert−ブチルアミノエチルメタクリレート
及びジメチルアミノプロピルメタクリルアミドなどを含
むアミン−置換メタクリレートのような、塩基性置換
(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリルアミド;ア
クリロニトリル;ジアセトンアクリルアミドのような
(メタ)アクリルアミド及び置換(メタ)アクリルアミ
ド;(メタ)アクロレイン;メチルアクリレートなどが
挙げられる。
【0023】反応混合物は、最低限: (a)疎水性キャビティを有する少なくとも一つの高分
子化合物; (b)水への溶解度が小さい少なくとも一つのモノマ
ー;及び (c)水;を含む。
【0024】本発明のポリマーは、当業者によく知られ
た公知のフリーラジカル水性溶液重合又はエマルション
重合手段によって調製することができる。該重合は、バ
ッチ、半連続又は連続反応で行うことができる。また、
該重合は、逐次重合の一部として行うこともできる。本
発明は、有機溶媒を使用することなくポリマーを製造す
る方法を提供するが、これらの溶媒は、実際には重合中
存在していてもよい。しかしながら、溶媒は重合中存在
しないことが好ましい。フリーラジカル開始剤は、水性
溶液及びエマルション重合中で利用される。適当なフリ
ーラジカル開始剤は、過酸化水素;tert−ブチルヒドロ
ペルオキシド;ナトリウム、カリウム、リチウム及びア
ンモニウムの過硫酸塩が挙げられる。還元剤、例えば、
アルカリ金属のピロ亜硫酸塩、ヒドロ亜硫酸塩、及び次
亜硫酸塩などの重亜硫酸塩;及びホルムアルデヒドスル
ホキシル酸ナトリウム又はアスコルビン酸などの還元糖
を、レドックス系を形成する開始剤と組み合わせて使用
することができる。開始剤の量は、充填されたモノマー
の0.01重量%〜約2重量%であり、これと対応して
0.01重量%〜約2重量%の範囲の還元剤を使用する
ことができる。鉄塩などの遷移金属触媒も使用すること
ができる。
【0025】重合温度としては、水性エマルション及び
溶液重合中、約10℃〜120℃の範囲である。過硫酸
塩系の場合、温度は60℃〜90℃の範囲が好ましい。
レドックス系においては、温度は20℃〜70℃の範囲
が好ましい。
【0026】エマルションポリマーの場合、モノマーエ
マルション又はポリマーエマルションを製造するために
使用される乳化剤又は分散剤は、アニオン性、カチオン
性、又は非イオン性である。また、いずれか2つの型の
混合物も使用することができる。適当な非イオン性乳化
剤には、制限されるものではないが、エトキシル化(eth
oxylated)オクチルフェノール、エトキシル化ノニルフ
ェノール、エトキシル化脂肪アルコールなどが挙げられ
る。適当なアニオン性乳化剤には、制限されるものでは
ないが、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンス
ルホン酸ナトリウム、ノニルフェノール、オクチルフェ
ノール及び脂肪アルコールの硫酸及びエトキシル化誘導
体、エステル化スルホ琥珀酸などが挙げられる。適当な
カチオン性乳化剤には、制限されるものではないが、塩
化ラウリルピリジニウム、酢酸セチルジメチルアミン、
(C8〜C18)塩化アルキルジメチルベンジルアンモニ
ウムなどが挙げられる。乳化剤の量は、充填されるモノ
マーの総量を基準として、約0.1重量%〜約10重量
%である。
【0027】解離工程(Decomplexation Step) 溶液重合によって形成されるポリマーの本発明の方法の
任意の第3工程では、解離剤(decomplexing agents)、
すなわち疎水性キャビティを有する高分子有機化合物に
親和性を有する材料を添加することによって、該ポリマ
ーから、疎水性キャビティを有する高分子有機化合物を
解離する。溶液重合の場合、疎水性キャビティを有する
高分子有機化合物は、ポリマーを形成した後、該ポリマ
ーから解離することができる。エマルションポリマーの
場合、疎水性キャビティを有する高分子有機化合物は、
ポリマーが形成される前に、ポリマーから自動的に解離
され、更なる解離は一般的には必要でない。
【0028】適当な解離剤には、制限されるものではな
いが、非イオン性、アニオン性及びカチオン性界面活性
剤を含む公知の界面活性剤;及び、例えば、エタノール
やTEXANOL(商品名)溶媒などの有機溶媒が挙げ
られる。有機溶媒は好ましくはない。本発明者は、解離
を完全に行うためには、ポリマーに添加された、疎水性
キャビティを有する高分子有機化合物1モル当たり、解
離剤を約1〜10モル用いることが好ましいことを見い
出した。
【0029】複合化工程及び解離工程は、いずれも、反
応体を添加、混合することによって容易に行われる。特
別な精製工程や分離工程は室温では要求されない。本発
明の方法によって製造されるポリマーを含む配合中に、
疎水性キャビティを有する高分子有機化合物を解離する
のに有効な量でいずれかの解離剤を含む場合には、解離
工程を行わせるための界面活性剤の更なる添加は不要で
ある。
【0030】会合性増粘剤として作用する、本発明の方
法によって製造される溶液コポリマーは、米国特許第
5,137,571号に説明されているように、有利に
使用することができる。この特許は、シクロデキストリ
ン及びシクロデキストリン誘導体を用いる会合性増粘剤
の粘度を抑制する方法を開示している。本発明の溶液コ
ポリマーを形成した後、それらがシクロデキストリン又
はシクロデキストリン誘導体から解離される前に、溶液
コポリマーを、コーティング組成物中に直接添加し、そ
こで解離を行わせることができる。
【0031】連鎖移動剤 他の態様において、本発明者はまた、本発明の方法が水
性溶液及びエマルション重合中で使用される、水への溶
解度が小さい連鎖移動剤の効率を改良するのに有用であ
ることを見い出した。本発明の方法は、エマルション重
合反応中、生成ポリマーの分子量を減らすのに必要な、
水への溶解度が小さい連鎖移動剤の使用量を減らす。該
方法には: (1) 水への溶解度の小さい連鎖移動剤を疎水性キャ
ビティを有する高分子有機化合物と複合化させる工程;
及び、(2) エマルション重合反応系に該複合体を添
加する工程;を含む。これら2つの工程は、その場で行
うことができ、別個の容器中で行う必要はない。
【0032】水への溶解度が小さい典型的な連鎖移動剤
としては、n−ドデシルメルカプタン、チオフェノール
のような疎水性メルカプタン;疎水性ポリメルカプタ
ン;ブロモトリクロロメタンのような疎水性ハロゲン化
合物などが挙げられる。水への溶解度が小さい連鎖移動
剤と複合化された疎水性キャビティを有する高分子有機
化合物とのモル比は、疎水性キャビティを有する高分子
有機化合物のタイプと水への溶解度が小さい連鎖移動剤
のタイプによって変化する。一般に、疎水性キャビティ
を有する高分子有機化合物と、水への溶解度が小さい連
鎖移動剤とのモル比は、約1:1〜約1:5000、好
ましくは約1:2〜1:1000である。
【0033】水への溶解度が小さいモノマーの添加本発
明の方法は、従来、疎水性モノマーの溶解を促進するた
めの、溶媒又は界面活性剤の添加なしでは製造すること
ができなかった、水への溶解度の小さいモノマーのコポ
リマー、特にランダムコポリマーを形成するために使用
することができる。本明細書で使用される”ランダムコ
ポリマー”とは、モノマー単位がランダムに配置され、
モノマー単位の反復ブロックを形成しない、少なくとも
2つの異なるモノマーから形成されるポリマーを意味す
る。エマルションポリマーの場合、ランダム性の有無
は: (1)攪拌機のシャフト付近にたまるモノマー及び最終
製品中のモノマーの液滴の存在によって示される、水へ
の溶解度が小さいモノマーの不十分な転化; (2)多量のゲル又は凝塊; (3)エマルション重合中の大きな懸濁ポリマーの生
成; (4)相分離又はモノマーの液滴若しくは大きな懸濁粒
子のクリーミング;及び、 (5)示差走査熱量計によって測定される複数のガラス
転移温度によって示される2つの型のモノマーの重合中
の不均一な分布に起因する、水への溶解度が大きいモノ
マーと水への溶解度が小さいモノマーとの異常な(非動
的な)分布;によって判定することができる。
【0034】溶液ポリマーの場合、ランダム性の有無
は、どのくらい効果的に溶液ポリマーが増粘できるかに
よって判定することができ、複合化されたものと解離さ
れたものとのポリマーの溶解された溶液の粘度を比較す
ることによって決定することができる。2つの溶液の粘
度がほぼ同じ場合は、水への溶解度が小さいモノマー
は、水への溶解度が大きいモノマーと共には、ポリマー
中に組み込まれていない。解離された溶解された溶液の
粘度が、複合化された溶液の粘度よりも大きい場合に
は、水への溶解度が小さいモノマーはポリマー中に組み
込まれており、疎水性キャビティを有する高分子有機化
合物を解離したときに、相互作用を起こし、増粘させる
ために使用できる。
【0035】本発明の方法によって形成されるコポリマ
ーは: (a)コポリマーの総重量を基準として、約1.0重量
%〜約99.0重量%の、水への溶解度の小さいモノマ
ー;及び、(b)コポリマーの総重量を基準として、約
1.0重量%〜約99.0重量%の、少なくとも一つの
水への溶解度の大きいモノマー;のランダム配列を有す
るが、ランダムコポリマーは、有機溶媒又は大量の界面
活性剤の非存在下に、水中で、水性溶液又はエマルショ
ン重合によって形成することができる。
【0036】本発明の新規なコポリマーは、疎水性基体
の耐水性及び接着性を改良する方法など、疎水性が望ま
れるいかなる方法においても有用であり、例えば、ペイ
ント、木材コーティング、インキを含む建築用及び工業
用コーティング;紙用コーティング;織布及び不織布用
結合剤及び仕上げ剤;接着剤;マスチック;床磨き剤;
皮革コーティング;プラスチック;プラスチック用添加
剤;石油添加剤などのような用途において有用である。
また、本発明の新規なコポリマーにより、例えば、増粘
剤、レオロジー改良剤、分散剤;配合用化学物質など、
水への溶解度が小さいモノマーと水への溶解度が大きい
モノマーのいずれも必要とされるポリマーを形成するこ
ともできる。
【0037】以下の実施例は本発明の特定の態様及び実
施態様を説明するものであり、それらによって本発明が
制限されるものと解釈してはならない。 注記: 以下の略語が実施例で使用される: LA ラウリルアクリレート LMA ラウリルメタクリレート BA ブチルアクリレート EA エチルアクリレート 2−EHA 2−エチルヘキシルアクリレート MMA メチルメタクリレート MAA メタクリル酸 AA アクリル酸 AM アクリルアミド VA 酢酸ビニル C1837−(EO)20MA C1837−(エチレンオ
キシド)20メタクリレート C1225−(EO)23MA C1225−(エチレンオ
キシド)23メタクリレート HEA ヒドロキシエチルアクリレート HEMA ヒドロキシエチルメタクリレート NVP n−ビニルピロリドン Tg(℃) ガラス転移温度(摂氏度) g グラム μ ミクロン
【0038】実施例1:溶液重合…モノマー混合物中の
シクロデキストリン 本実施例では、溶液重合を、メカニカルスターラー、温
度調整装置、コンデンサー、モノマー及び開始剤供給ラ
イン及び窒素供給口を備えた4つ口の4リットルの丸底
フラスコ中で行った。脱イオン水を、表1(H2O #
1)に示されたグラムで、室温で該反応フラスコに添加
した。内容物を、窒素をパージして攪拌しながら55℃
に加熱した。モノマー混合物、脱イオン水(H2O #
2)及びメチル−β−シクロデキストリンを表1に示さ
れたグラムで添加し、反応混合物を形成した。
【0039】
【表1】
【0040】注記*:C1837−(EO)20H及び3−
イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネ
ートから調製されたC1837−(EO)20MAの類似体
【0041】脱イオン水10g中に溶解された、6.7
gの硫酸第二鉄溶液(0.15%)及び0.2gの亜二
チオン酸ナトリウムからなる第1の開始剤混合物を反応
フラスコに添加した。脱イオン水55g中に溶解され
た、モノマーの総重量を基準として、0.2%の過硫酸
アンモニウムと0.2%の亜硫酸水素ナトリウムからな
るレドックス開始剤混合物を調製した。反応混合物及び
レドックス開始剤の混合物は、2時間かけて反応フラス
コに別々に供給された。最終ポリマー生成物は、粘稠な
溶液として得られた。次の表は、最終ポリマーの組成
(ポリマーの総重量を基準とした重量%で示す)を示
す。
【0042】
【表2】
【0043】実施例2:溶液重合…反応がまへ添加され
るシクロデキストリン 本実施例では、溶液重合を、メカニカルスターラー、温
度調整装置、コンデンサー、モノマー及び開始剤供給ラ
イン及び窒素供給口を備えた4つ口の4リットルの丸底
フラスコ中で行った。脱イオン水(H2O #1)及び
メチル−β−シクロデキストリンを、表3に示されたグ
ラムで、室温で該反応フラスコに添加した。内容物を、
窒素をパージして攪拌しながら60℃に加熱した。モノ
マー混合物及び脱イオン水(H2O #2)を表3に示
されたグラムで調製し、反応混合物を形成した。
【0044】
【表3】
【0045】脱イオン水10g中に溶解された、6.7
gの硫酸第二鉄溶液(0.15%)及び0.2gの亜二
チオン酸ナトリウムからなる第1の開始剤混合物を反応
フラスコに添加した。脱イオン水135g中に溶解され
た、モノマーの総重量を基準として、0.2%の過硫酸
アンモニウムと0.2%の亜硫酸水素ナトリウムからな
るレドックス開始剤混合物を調製した。反応混合物及び
レドックス開始剤の混合物は、2時間かけて反応フラス
コに別々に供給された。最終ポリマー生成物は、粘稠な
溶液として得られた。次の表は、最終ポリマーの組成
(ポリマーの総重量を基準とした重量%で示す)を示
す。
【0046】
【表4】
【0047】実施例3:溶液ポリマーの特性 実施例1及び2の水への溶解度の小さいモノマーが実際
に最終ポリマーに組み込まれているかどうか及びどのく
らいの量かを測定するため、複合化された最終ポリマー
の溶解された溶液の粘性(CSSV)及びドデシルベン
ゼンスルホネート又はラウリル硫酸ナトリウム界面活性
剤で解離された最終ポリマーの溶解された溶液の粘性
(DSSV)を、一定の粘度になるまで、解離剤で滴定
することによって測定した。結果を表5に示す。
【0048】
【表5】
【0049】ポリマーへの界面活性剤モノマーの実際の
添加は、解離剤(界面活性剤)を添加したときの粘度の
上昇によって示された。滴定によって測定された十分な
量の界面活性剤が、ポリマーを完全に解離するために加
えられた。メチル−β−シクロデキストリンを該ポリマ
ーから解離すると、該ポリマーの疎水性モノマー部が放
出され、該ポリマーが添加されている溶液を増粘させ
た。界面活性剤モノマーを含まない対照では、ポリマー
に疎水性成分が組み込まれていないため、変化がなかっ
た。比較例では、界面活性剤モノマーが、僅かながらポ
リマーに組み込まれているため、僅かな変化があった。
【0050】疎水性の量が増加したことは、増粘効果の
増大によって示された(溶液ポリマー1−S及び2−
S、並びに溶液ポリマー4−S、5−S及び6−S)。
【0051】疎水性部分の大きさの影響は、より大きな
疎水性部分の増粘効果の増大によって示された(溶液ポ
リマー3−S…より大きな疎水性物質と7−S…より小
さな疎水性物質との比較)。
【0052】実施例4:エマルション重合…反応がまに
添加されるシクロデキストリン 本実施例では、エマルション重合を、メカニカルスター
ラー、温度調整装置、コンデンサー、モノマー及び開始
剤供給ライン及び窒素供給口を備えた4つ口の4リット
ルの丸底フラスコ中で行った。
【0053】方法A 脱イオン水(H2O #1)及びTriton(商品
名)XN−45Sアニオン性界面活性剤(Triton
#1)を、表6に示されたグラムで、室温で該反応フラ
スコに添加した。内容物を、窒素をパージして攪拌しな
がら85℃に加熱した。脱イオン水(H2O #2)の
モノマーエマルション、Triton(商品名)XN−
45Sアニオン性界面活性剤(Triton#2)及び
モノマーを表6に示されたグラムで調製した。
【0054】85℃で、モノマーエマルションの総重量
の3重量%を反応がまに添加し、次に、脱イオン水25
g中の炭酸ナトリウム0.35重量%(モノマーの総重
量基準)及び脱イオン水30g中の過硫酸ナトリウム
0.35重量%(モノマーの総重量基準)を添加した。
発熱が収まった後、メチル−β−シクロデキストリン及
びTriton XN−45S(Triton#3)ア
ニオン性界面活性剤を、表6に示されたグラムで添加し
た。モノマーエマルションの残量を、3時間かけて、脱
イオン水210g中の過硫酸ナトリウム0.05%(モ
ノマーの総重量基準)からなる開始剤溶液と共に供給し
た。
【0055】方法B 脱イオン水(H2O #1)、Triton(商品名)
XN−45Sアニオン性界面活性剤(Triton#
1)、メチル−β−シクロデキストリン及び氷酢酸を、
表6に示されたグラムで、室温で反応フラスコに添加し
た。内容物を、窒素をパージ下、攪拌しながら75℃に
加熱した。脱イオン水(H2O #2)、Triton
(商品名)XN−45Sアニオン性界面活性剤(Tri
ton#2)及びモノマーのモノマーエマルションを表
6に示されたグラムで調製した。t−ブチルヒドロペル
オキシド1.7g、脱イオン水105g中の過硫酸アン
モニウム1.8g及び脱イオン水105g中の亜硫酸水
素ナトリウム2.7gを調製した。
【0056】75℃で、脱イオン水10g中の亜硫酸水
素ナトリウム0.2g、脱イオン水10g中の過硫酸ア
ンモニウム0.44g及び硫酸第一鉄の溶液15g
(0.15重量%)を反応フラスコに添加した。モノマ
ーエマルション及び開始剤溶液を3時間かけて温度を7
5℃で維持しながら供給した。表7は、最終ポリマーの
組成(ポリマーの総重量を基準とした重量%で示す)を
示す。 注記**:方法Bによって調製;その他は方法Aによっ
て調製
【0057】
【表6】
【0058】
【表7】
【0059】実施例5:エマルションポリマーのキャラ
クタリゼーション 実施例4の水への溶解度が小さいモノマーが実際に最終
ポリマーにランダムに組み込まれているかどうかを決定
するため、いくつかの手段を使用した。第1には、攪拌
渦周辺の、水への溶解度が非常に小さいモノマーだまり
の欠如が、水への溶解度が非常に小さいモノマーの最終
ポリマーへの良好な転化を示した。第2には、(そのま
まか、遠心分離によるか、あるいはクリーム相から)収
集され及び光学顕微鏡検査法によって特性決定される、
1〜10ミクロンの大きな粒子及びモノマーの液滴の欠
如が、水への溶解度が非常に小さいモノマーの最終ポリ
マーへの良好な組み込みを示した。第3には、ゲル(1
00メッシュの篩を通して収集される)の生成の欠如
が、重合が一般的に良好に行われたことを示した。最後
に、文献データを用いたコポリマーの計算値と、20℃
/分の加熱速度で示差走査熱量計によって測定されるも
のとがほぼ同じガラス転移温度であることが、非常に水
への溶解度の小さいモノマーが良好に組み込まれ、ラン
ダムコポリマーを形成したことを示した。結果を表8に
示す。
【0060】
【表8】
【0061】実施例6:連鎖移動剤 本実施例では、エマルション重合を、メカニカルスター
ラー、温度調整装置、コンデンサー、モノマー及び開始
剤供給ライン及び窒素供給口を備えた4つ口の5リット
ルの丸底フラスコ中で行った。1,200gの脱イオン
水、0.53gの炭酸ナトリウム、1.13gのSol
usol(商品名)スルホン化エステル界面活性剤(7
5%の水溶液)及び表9に示された量のメチルβ−シク
ロデキストリン(50.8%の水溶液)を反応フラスコ
に室温で添加した。
【0062】
【表9】
【0063】内容物を、窒素をパージして攪拌しながら
80℃に加熱した。1gの過硫酸ナトリウム及び174
gの脱イオン水からなる開始剤溶液を調製し、35gの
開始剤溶液を反応がまに充填した。252gの脱イオン
水、21.53gのSolusol(商品名)スルホン
化エステル界面活性剤(75%の水溶液)、250gの
n−ビニルピロリドン、740gのエチルアクリレート
及び20gのn−ドデシルメルカプタンからなる乳化さ
れたモノマー混合物を調製した。脱イオン水135g中
の10gのメタクリル酸からなるメタクリル酸溶液を調
製した。
【0064】80℃で、乳化されたモノマー混合物、メ
タクリル酸溶液及び開始剤溶液の残量を、4時間かけて
反応フラスコに添加した。乳化されたモノマー混合物、
メタクリル酸溶液及び開始剤溶液の残量を反応フラスコ
に供給した後、分散液を80℃で30分間保持し、次に
室温まで冷却した。最終ポリマーの組成は、25NVP
/74EA/1MAAであった。
【0065】各エマルションポリマーの分子量をゲル透
過クロマトグラフィーによって測定した。表10は分子
量のデータを示す。
【表10】
【0066】このデータから、メチルβ−シクロデキス
トリンをn−ドデシルメルカプタン(疎水性連鎖移動
剤)で複合化することにより、疎水性連鎖移動剤が添加
されるエマルションポリマーの重量平均及び数平均分子
量を減少させるという点で、n−ドデシルメルカプタン
の効率が改良されるということが分かった。メチルβ−
シクロデキストリン(疎水性連鎖移動剤)の量を増す
と、n−ドデシルメルカプタンの効率は更に改良され
た。
【0067】実施例7:用途試験 ラテックスフィルムを、エマルションポリマー19−
E、24−E、25−E及び26−Eから、それぞれ1
0gを直径4インチのペトリ皿中で乾燥することによっ
て調製した。小さな試験片を該フィルムから切り出し、
計量し、脱イオン水中に浸漬した。該試験片を定期的に
取り出し、表面水を軽くたたいて除去し、計量して、吸
収された水の量を測定した。結果を、フィルムの総重量
に基づく吸収された水の重量%で、表11に報告する。
【0068】
【表11】
【0069】このデータから、より疎水性のモノマーか
ら形成されたエマルションポリマー(2−EHAからの
エマルションポリマー25−E及びBAからのエマルシ
ョンポリマー26−Eに対する、LMAからのエマルシ
ョンポリマー19−E及び24−E)は、同一の条件下
でより少ない量の水を吸収するということが分かった。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合単位として、水への溶解度が小さい
    少なくとも1つのモノマーを含むポリマーを水性系にお
    いて形成する方法であって、(a)水への溶解度が小さ
    い少なくとも一つのモノマーを、疎水性キャビティを有
    する高分子有機化合物と複合化する工程;及び、(b)
    ポリマーの総重量を基準として、約0.1重量%〜約1
    00重量%の前記の複合化されたモノマーの水への溶解
    度の小さいモノマーと、ポリマーの総重量を基準とし
    て、約0重量%〜約99.9重量%の水への溶解度が大
    きい少なくとも一つのモノマーとを、水性系において重
    合させる工程:を含む前記方法。
  2. 【請求項2】 重合単位として、水への溶解度が大きい
    モノマーを含む、水への溶解度が小さいポリマーを水性
    系において形成する方法であって、 (a)(i)水への溶解度が大きいモノマー;及び、
    (ii)疎水性キャビティを有する高分子有機化合物;
    及び、(iii)水:を含む反応混合物を形成する工
    程、 (b)該反応混合物を重合させる工程、を含む前記方
    法。
  3. 【請求項3】 疎水性キャビティを有する前記高分子有
    機化合物が、シクロデキストリン、シクロデキストリン
    誘導体、シクロイヌロヘキソース、シクロイヌロヘプト
    ース及びシクロイヌロクトース、カリキサレン及びキャ
    ビタンドからなる群から選ばれる有機化合物である請求
    項1又は2記載の方法。
  4. 【請求項4】 疎水性キャビティを有する前記高分子有
    機化合物が、α−シクロデキストリン、β−シクロデキ
    ストリン及びγ−シクロデキストリンからなる群から選
    ばれるシクロデキストリンである請求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】 疎水性キャビティを有する前記高分子有
    機化合物が、α−シクロデキストリン、β−シクロデキ
    ストリン及びγ−シクロデキストリンのメチル、トリア
    セチル、ヒドロキシプロピル及びヒドロキシエチル誘導
    体からなる群から選ばれるシクロデキストリン誘導体で
    ある請求項4記載の方法。
  6. 【請求項6】 疎水性キャビティを有する前記高分子有
    機化合物が、メチル−β−シクロデキストリンである請
    求項5記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記ポリマーがエマルション重合によっ
    て形成される請求項1又は2記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記ポリマーが溶液重合によって形成さ
    れる請求項1又は2記載の方法。
  9. 【請求項9】 さらに、疎水性キャビティを有する前記
    高分子有機化合物を、前記ポリマーから解離する工程を
    含む請求項8記載の方法。
  10. 【請求項10】 水への溶解度が小さい連鎖移動剤の効
    率を改良する方法であって、(a)水への溶解度が小さ
    い連鎖移動剤を疎水性キャビティを有する高分子有機化
    合物と複合化する工程;及び、(b)水性溶液重合及び
    エマルション重合からなる群から選ばれる重合反応に、
    該複合体を添加する工程、を含む前記方法。
  11. 【請求項11】重合単位として以下を有するコポリマー
    であって、(a)該コポリマーの総重量を基準として、
    約1.0重量%〜約99.0重量%の水への溶解度が小
    さいモノマー;及び、(b)該コポリマーの総重量を基
    準として、約1.0重量%〜約99.0重量%の水への
    溶解度が大きい少なくとも一つのモノマー、エマルショ
    ン重合によって水中で形成され、示差走査熱量計によっ
    て20℃/分で測定すると単一のガラス転移温度を示す
    コポリマー。
  12. 【請求項12】(a)疎水性キャビティを有する少なく
    とも一つの高分子化合物; (b)水への溶解度が小さい少なくとも一つのモノマ
    ー;及び、 (c)水:を含む反応混合物。
  13. 【請求項13】(a)疎水性キャビティを有する少なく
    とも一つの高分子化合物;及び、(b)水への溶解度が
    小さい少なくとも一つのモノマー:を含む複合体。
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