JP2005525458A - 立体規則性極性ビニルポリマーおよびその作成方法 - Google Patents

立体規則性極性ビニルポリマーおよびその作成方法 Download PDF

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Abstract

ルイス酸の存在下での極性ビニルモノマーの重合は、立体規則性ビニルポリマーを製造する。極性ビニルモノマーはルイス酸と混合されて、モノマーおよびルイス酸の間で会合または錯体を形成する。混合物またはモノマー−ルイス酸錯体は重合されて、目的とする立体規則性ビニルポリマーを製造する。

Description

(関連出願の相互参照)
本出願は、2002年5月10日に提出され、PRODUCTION OF STEREOREGULAR POLAR VINYL POLYMERS(立体規則性極性ビニルポリマーの製造)という題の米国仮出願第60/379,470号の利益を請求し、参照として本明細書に組み込まれる。
[発明の分野]
本発明は、一般に、極性ビニルポリマーおよびその製造に関する。更に詳細には、本発明は、高度に立体規則性の極性ビニルポリマーを製造するプロセスおよび方法に関する。
極性ビニルポリマーは、極性側基を有するビニルポリマーである。これらは工業および量産プロセスにおいて重要な役割を果たす。例えば、ポリアクリロニトリル、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(メチルメタクリレート)およびポリアクリルアミドなどの極性ビニルポリマーは周知であり、工業プロセスで頻繁に使用される。理論的に、極性ビニルポリマーの微細構造の制御は、ポリマーの量および特性の制御を提供することができる。制御することが必要な極性ビニルポリマーの特性の一部は、立体規則性、分子量、鎖端およびモノマー分布を含む。
一般に、極性ビニルポリマーは、ラジカル重合プロセスを使用してモノマーを重合することによって調製される。ラジカル重合プロセスは非常に用途が広く、ポリマーを調製するために業界で一般に使用されている。しかしながら、特に極性ビニルモノマーを重合する場合、従来のプロセスに従って得られたポリマーの化学構造の規則性はほとんどない。これらのポリマーを成形してファイバー、フィルム、または成形物に形成する場合、ポリマー結晶性が低いために、機械的、化学的および熱的特性は必ずしも満足できるものではない。例えば、ポリアクリロニトリルの場合では、低い結晶性を有するファイバーまたはフィルムは、特に湿潤状態においては弱い耐熱性を示す。それゆえ、このようなポリマーを用いた高品位ファブリック物品の開発は制限されており、多くの工業または宇宙用途でのその使用は同様に制限されている。
非極性ポリオレフィンの場合では、立体規則性重合は、チーグラー−ナッタ、メタロセン、または後周期遷移金属錯体などの不均一または均一有機金属触媒を重合中に使用して実施される。しかしながら、これらの触媒の大半は、モノマー中の極性基が触媒を不活性化するために、極性ビニルモノマーの重合には有効ではない。希土類金属錯体などの少数の触媒(J.Am.Chem.Soc.1992,114,4908,Macromolecules 1996,29,8014)は、メタクリレートの立体特異性重合に首尾よく利用されてきたが、これらの触媒を用いても、アクリロニトリルなどの他の極性ビニルモノマーは、立体規則性方式においては言うまでもなく重合できない。その上、これらの触媒の一部は、空気および湿気の存在下では非常に不安定であり、それにより工業的なポリマー製造でのその開発を妨げてきた。
アニオン重合も、立体規則性ポリマー製造にとって有効な方法として報告されている。しかしながら、アニオン重合も、中間体の感度ならびに開始剤または伝搬アニオン種および極性基の間に発生する副反応による、耐久性ポリマーの低い効率(プロセスおよび/または収率)および低い分子量によって、工業上、非実用的である。例えば、tert−ブチルリチウム/トリアルキルアルミニウム開始剤およびアルキルアルミニウム/ホスフィン錯体の反応は、伝えられるところによれば、シンジオタクチック・メタクリレートを生成するが、この反応によって形成されて得られたポリマーは、10,000未満の低い分子量を有する。メソ−メソ(mm)トライアドを70%まで有するアイソタクチック・ポリアクリロニトリルは、Mgなどのアルキルアルカリ土類化合物を開始剤として使用して、アクリロニトリルが70℃にて重合されたときに得られる。あいにく、シアノ基および開始剤の間の著しい副反応が、ポリマー収率をほぼ10〜30%の範囲に限定する。
複数の研究が、ビニルモノマーの立体制御フリーラジカル重合に焦点を合わせてきた。モノマーが尿素−アクリロニトリルおよびデオキシコール酸−メタクリレートなどの複数の含有化合物に吸収され、X線照射を低温にて照射されると、立体規則性を有するポリマー、すなわちアイソタクチック・リッチ・ポリアクリロニトリルまたはシンジオタクチック・リッチ・ポリ(メチルメタクリレート)が得られる(すなわちJ.Am.Chem.Soc.,1960,2,5671)。近年、アイソタクチックまたはシンジオタクチック・ポリ(ビニルアルコール)が、水素結合を介したモノマーに対する錯体と考えられるかさ高のフルオロアルコールの存在下で、かさ高のビニルエステルのラジカル重合によって調製されている。アルコールに対して脱保護するために、次に鹸化が必要である(Macromolecules,1999,31,7598)。しかしながら、これらの系は、ホストモノマーの化合の特異性および重合プロセスの条件(例えば、−30℃以下の低温の必要性)および/または0℃以上の水素結合錯体の不安定性による光照射により、工業用途には、なお適していない。
数十年前に、塩化亜鉛などのルイス酸は、ラジカル共重合中のモノマー反応性および立体化学に著しく影響することが見出された。しかしながら、ルイス酸を用いたラジカルホモ重合中の立体化学は、立体規則性が観察されなかったたため、ごく近年まで報告されなかった。2001年に、スカンジウムトリフルオロメタンスルホネート(Sc(Otf)3)などのルイス酸を含有する特定の希少金属の触媒量(モノマー当たり0.1〜0.2当量)の使用が、アクリルアミドおよびN,N−2基置換アクリルアミドなどの一部の極性ビニルモノマーの立体特異性ラジカル重合に対して効果を示すことが報告された(すなわちJ.Am.Chem.Soc.2001,123,7180)。しかしながら、これらの特定の希少金属ルイス酸を用いても、メタクリレート、アクリロニトリルおよびビニルアセテートなどの他の従来のビニルモノマーの立体特異性重合に対する明確な効果は示されていない。その上、これらの希土類金属ルイス酸は高価であり、重合プロセスのどの改善も、希土類金属のリサイクルを含む必要があり、それは費用がかかり、望ましくない。
したがって、極性ビニルモノマーから立体規則性ビニルポリマーを製造するプロセスおよび方法が望ましい。
本発明は、ルイス酸と混合、錯化、または会合された極性ビニルモノマーからの立体規則性ビニルポリマーの形成に関する。本発明の各種の実施形態において、ビニルモノマーはルイス酸と約60℃以下の温度にて混合されて、モノマーおよびルイス酸の間に非共有分子間相互作用を形成する。モノマーおよびルイス酸の間の非共有分子間相互作用は、モノマー−ルイス酸錯体を生成する。モノマー−ルイス酸錯体は、ラジカル開始および/またはX線、紫外光、および/または熱などのエネルギー源を使用して重合される。重合は、不均一および/または均一重合を含むことがある。他の従来のモノマー重合方法も使用できる。モノマー−ルイス酸錯体から重合されたポリマーは、ポリマーからルイス酸を洗浄することによって、残りのルイス酸から分離できる。それに従って形成された立体規則性ポリマーは、ルイス酸の存在外で調製されたビニルポリマーと比較して、優れた化学的および物理的特性を示す。
本発明の他の実施形態において、モノマー−ルイス酸錯体は、式CH2=CRXによって表される極性ビニルモノマーによって形成され、式中、Rは、水素、1〜12炭素アルキル基、1〜12炭素アリール基、および1〜12炭素アルコキシ基であり、Xは−CN、−C65N、−CONR’R”、−OR’、−COOR’、−OCOR’、−COR’、−C65OH、−C65OR’、および/または−C65NR’R”である。R’およびR”は、1〜12炭素アルキル基である。ルイス酸は、周期律表の第Ia、Ib、IIa、IIb、IIIa、IIIb、およびVIII族から選択される元素を含有するルイス酸から選択される。
本発明の各種の実施形態は、モノマー−ルイス酸錯体の安定および規則正しい分子凝集を通じて、モノマー成長の立体規則を許容する。モノマー−ルイス酸錯体は、モノマーおよびルイス酸の間の非共有分子間相互作用によって特定の幾何構造を作る。一般に、これらの相互作用は、室温にて安定である。相互作用は、立体規則性の程度および生じるポリマーの組成が、モノマーおよび対応するルイス酸の割合および選択を変更することによって制御されるようにする。
本発明は、添付図と合わせて読んだ場合に、発明の以下の説明からより簡単に確認することができる。
〔発明を実施するための最良の形態〕
本発明は、添付図面を参照して以下で十分に説明される。本発明は、多くの異なる形式で具現され、本明細書で述べる実施形態に制限されると解釈すべきでない。むしろこれらの実施形態は、本開示が徹底的および完全となるように提供され、本発明の範囲を当業者に完全に伝達するであろう。
一般に、本発明は、立体規則性極性ビニルポリマーおよび極性ビニルモノマー立体規則性ラジカル重合に関する。本発明のプロセスおよび方法の各種の実施形態により、立体規則性極性ビニルポリマーは、ルイス酸の存在下で極性ビニルモノマーのラジカル重合によって形成される。極性ビニルモノマーおよびルイス酸を開始物質として使用すると、約35パーセント以上のアイソタクチック性および/またはシンジオタクチック性を所有する立体規則性ビニルポリマーは、工業的に実施可能なラジカル重合プロセスを用いて実施できる。
本発明の各種実施形態において、極性ビニルモノマーはルイス酸と混合されて、モノマーおよびルイス酸との間に非共有分子間相互作用を形成する。モノマーおよびルイス酸との間の非共有分子間相互作用は、モノマー−ルイス酸錯体を形成する。モノマーおよびルイス酸との間の錯体形成は、赤外またはIR分光法などの分光法によって判定できる。モノマー中の極性基の伸張モードは、極性基中の原子−原子結合の力定数がモノマーとのルイス酸ベースの相互作用によって変化するため、ルイス酸金属との錯体形成による明らかな波数変化を引き起こす。その上、液体モノマーの場合では、一般に、モノマーはルイス酸塩に吸収されて、乾燥した粉末状結晶を生じる錯体を形成する。モノマー−ルイス酸錯体へのラジカル重合開始剤の添加は、モノマーを重合させ、立体規則性極性ビニルポリマーを形成する。重合の後、生じたポリマーは、ポリマーからルイス酸を除去するためにポリマー−ルイス酸錯体を洗浄することによって、ルイス酸から分離される。
本発明のある実施形態において、式CH2=CRXによって表される極性ビニルモノマーは、ルイス酸の存在下で重合されて、立体規則性極性ビニルポリマーを形成する。式CH2=CRXによって表される極性ビニルモノマーは、Xが極性基であり、Rが、水素、1〜12炭素アルキル基、1〜12炭素アリール基、または1〜12炭素アルコキシ基であるモノマーを含む。1〜12炭素アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、およびドデシル基を含む。1〜12炭素アリール基の例は、フェニル、トルイル、およびナフチル基を含む。1〜12炭素アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、フェノキシ、およびナフトキシ基を含み、その一部は置換されることがある。極性基Xは、−CN、−C65N、−CONR’R”、−OR’、−COOR’、−OCOR’、−COR’、−C65OH、−C65OR’、および/または−C65NR’R”などの極性基を含み;ここで各R’およびR”は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、およびドデシル基などの1〜12炭素アルキル基である。
モノマー−ルイス酸錯体は、CH2=CRX極性ビニルモノマーをルイス酸と約60℃以下の温度にて混合することによって形成される。モノマーおよびルイス酸はより高い温度で混合できるが、60℃より高い温度で形成されたモノマー−ルイス酸錯体と共に、錯体の解離および/または制御されないモノマー重合などの好ましくない副反応が発生することがある。好ましくない副反応の回避を試みて、一般に、本発明のモノマー−ルイス酸錯体は60℃以下、更に好ましくは50℃以下、および最も好ましくは40℃以下で形成される。
本発明の実施形態により、モノマーはルイス酸と混合されて、溶媒の非存在下または溶媒の存在下でモノマー−ルイス酸錯体を形成されてもよい。溶媒の存在下でモノマーがルイス酸と混合されるこれらの実施形態では、低極性の非プロトン性溶媒が好ましい。モノマーおよびルイス酸の間の錯体形成を妨げるために不活性である溶媒も好ましい。例えば、本発明の各種の実施形態に適した溶媒には、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、およびテトラヒドロフランが挙げられる。ある実施形態において、十分な量の溶媒を用いてモノマー−ルイス酸錯体によるスラリーを形成することが好ましい。
モノマー−ルイス酸錯体の立体特異性および/または重合速度は、乳化剤または他の組成物の少量の添加によっても制御または変更できる。例えば、グリコール、ニトリル、アルコール、アミンおよび/またはその関連誘導体のモノマー−ルイス酸錯体への添加は、重合中に形成されたポリマーの立体規則性または収率を調節する。このような化合物の添加が重合系を変えることが見出されている。追加の化合物の存在はモノマー−ルイス酸錯体と共に、モノマーの配向を更に変えるトリ錯体を形成すると考えられる。モノマー配向の変化は、モノマーの重合を変化させる。例えば、アクリロニトリル/塩化マグネシウム錯体へのトリメチルアセトニトリルなどのかさ高のニトリルの添加は、重合中に形成されて得られたポリアクリロニトリルのアイソタクチック性を向上させることができる。ある実施形態において、追加の化合物は、モノマー−ルイス酸錯体にモノマーの約0.1モル当量〜モノマーの約5モル当量の量で添加される。
ルイス酸は、1つのルイス酸または1つ以上のルイス酸の混合物を含んでもよい。本発明の各種の実施形態に使用されるルイス酸は、周期律表の第Ia、Ib、IIa、IIb、 IIIa、IIIb、およびVIII族からの元素を含有するルイス酸を含む。例えば、本発明の各種の実施形態で使用されるルイス酸は、リチウム、ナトリウム、カリウム、銅、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ボロン、アルミニウム、ガリウム、インジウム、鉄、ニッケル、およびコバルトなどの金属を含有するルイス酸を含む。本発明の実施形態によるルイス酸は、塩化物、臭化物、ヨウ化物、スルホネート、ニトレート、トリフルオロメタンスルホネート、および各種の金属のアルキル、アリール、およびアルコキシ化合物などの有機金属も含む。例えば、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、トリフルオロメタンスルホン酸マグネシウム、塩化アルミニウム、および臭化リチウムは、本発明の実施形態でルイス酸として使用されてもよい。本発明の実施形態によって使用されるルイス酸は、弱酸または中程度の酸でもよい。
ルイス酸のCH2=CRXモノマーとの混合は、モノマー−ルイス酸錯体を形成する。窒素および/または酸素などのモノマー中のルイス塩基原子は、ルイス酸と配位結合して錯体を形成する。ルイス酸の十分な量はモノマーと混合されて、モノマー−ルイス酸錯体の形成を促進する。しかしながら、ルイス酸の過剰量とモノマーとの混合は好ましくは、ルイス酸の過剰量の存在によって引き起こされる好ましくない副反応を抑えるために回避される。ルイス酸の過剰量の存在を回避するために、ルイス酸は、モノマー1モル当たりルイス酸約0.1モル〜約10モルの量でモノマーに添加、またはモノマーと混合される。そえゆえ、ルイス酸のモルのモノマーのモルに対する比は0.1〜10である(1および10を含む)。モノマー1モル当たり0.1モル未満のルイス酸の添加は、生じたポリマーの立体規則性を促進するには不十分であることが見出されており、10モルを超えるルイス酸の添加は、モノマー−ルイス酸錯体においてルイス酸の過剰量を生じる。本発明のある実施形態において、モノマー1モル当たりルイス酸約0.2〜約4.0モルの比でルイス酸をモノマーと混合することが好ましい。
本発明の実施形態によって形成されたモノマー−ルイス酸錯体は、ラジカル開始剤を用いて重合されてもよい。モノマー−ルイス酸錯体の重合は、ポリマー−ルイス酸混合物を生じる。アゾ化合物、有機および/または無機過酸化物、および酸化還元系などの従来のラジカル開始剤がラジカル重合に使用される。アゾ化合物は、AIBN、2,2’−アゾビス(4−イソバレロニトリル)、および2,2’−アゾビス(4−メトキシバレロニトリル)などの化合物を含む。有機および/または無機過酸化物は、過酸化ベンゾイルおよびペルオキソ硫酸カリウムを含み、これに対して酸化還元系は、水素過酸化物/鉄系および有機ボロン/酸素系を含む。他の従来の重合方法も、本発明の実施形態によって使用できる。モノマー−ルイス酸錯体は、X線照射、電子ビーム暴露、紫外線光暴露、および熱暴露などの物理的開始技法を用いても重合できる。開始剤の組合せも、モノマー−ルイス酸錯体を重合するために使用できる。開始剤の組合せが使用される場合、これらは相互に反応したり、使用される他の開始剤を不活性化しないように選択されるべきである。
モノマー−ルイス酸錯体の重合は好ましくは、モノマー−ルイス酸錯体を解離または分解されない温度にて実施される。例えば、重合は、約60℃以下、好ましくは50℃以下、および最も好ましくは約40℃以下の温度で起こる。さらに重合は、低極性および非プロトン性溶媒などの溶媒を用いて、または用いずに起こる。例えば、モノマー−ルイス酸錯体を形成するためにモノマーおよびルイス酸の混合によって使用される溶媒などの溶媒が使用される。
モノマー−ルイス酸錯体の重合から生じた極性ビニルポリマーは、ルイス酸をポリマーから除去するために、ポリマー−ルイス酸混合物を溶液で洗浄することによって、ルイス酸から分離される。例えば、ポリマー−ルイス酸は、水および/またはメタノールなどのプロトン性極性有機溶媒によって洗浄してもよい。1個または複数の洗浄物質による複数の洗浄も使用できる。
本発明の各種の実施形態によって作成された極性ビニルポリマーは、極性ビニルモノマー中で35パーセントを超えるアイソタクチック性(トライアド)および/またはシンジオタクチック性(トライアド)を含有する立体規則性極性ビニルポリマーを提供する。本発明の実施形態における立体特異性重合の機構は明らかにされていないが、伝搬種のモノマー−ルイス酸錯体への攻撃の方法が制限されて、観察された立体規則性を生じるように、ルイス酸がモノマー中のルイス塩基へテロ原子と配位結合することが仮定される。
本発明で得られた立体規則性極性ビニルポリマーの微細構造は、アイソタクチックトライアドを、メソ−メソ(mm)配列によってもともに結合された隣接トライアドモノマーおよび/またはラセモ−ラセモ(rr)配列によって連結されたシンジオタクチック・トライアドとともに含有する。ヘテロタクチックトライアドは、メソ−ラセモ(mr)トライアド配列からなる。本発明のポリマー中のアイソタクチック・トライアドおよび/またはシンジオタクチック・トライアドの画分は、35パーセント以上である。得られたポリマー中の(rr)、(mm)、および/または(mr)結合画分の含有量または分率は、13C−NMRおよび/または1H−NMR分析を用いて決定することができる。このような分析は、図1および2に示すグラフを提供し、ピークはそれぞれポリマー中の(rr)、(mm)、および/または(mr)結合の画分を表す。図1のピークは、実施例1および本発明の実施形態を用いて形成されたポリアクリロニトリルに一致する。図2のピークは、比較例1に一致するのアタクチックポリアクリロニトリルを示す。
本発明の立体規則性極性ビニルポリマーは、ファイバー、フィルムまたは他の成形品に加工される。これらは、ブレンド、ハイブリダイゼーション、および/または共重合によって、調整剤として他の従来の物質とともに使用できる。これらは、従来の方法に従って形成される極性ビニルモノマーよりも良好な物理的および化学的特性も示す。本発明の実施形態によって形成された立体規則性ビニルモノマーの優れた物理的および化学的特性は、従来の極性ビニルモノマーに勝る追加の利点を提供し、高性能および機能性材料の形成に有利である。本発明の実施形態によって形成されたポリマーは、優れた機械的特性、耐熱性、耐溶媒性、および耐化学薬品性も示す。例えば、本発明の実施形態によって形成されたシンジオタクチック・ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(ビニルアルコール)およびアイソタクチック・ポリアクリロニトリルは、アタクチックポリマーと比較して優れた機械的および熱的特性を有する。その上、本発明のプロセスおよび方法は、低コストの重合プロセスであり、本発明の実施形態によって形成された立体規則性極性ビニルポリマーを望ましいものとする。
他の本発明の実施形態において、ルイス酸を極性ビニルモノマーの重合中に添加して、立体規則性極性ビニルポリマーなどの所望の立体規則性重合生成物を生じるモノマー−ルイス酸錯体を形成することができる。極性ビニルモノマーを包含する重合反応へのルイス酸の添加時に、ルイス酸は極性ビニルモノマーと錯体を形成する。混合物の連続重合は、ルイス酸の添加によって形成されたモノマー−ルイス酸錯体の重合を含む。モノマー−ルイス酸錯体の重合は、本発明の立体規則性極性ビニルポリマーを形成する。
本発明の他の実施形態において、コモノマーは、ラジカル重合プロセス中に極性ビニルモノマーと共重合される。コモノマーは、重合前または重合中にモノマー−ルイス酸錯体に添加されるか、あるいは重合反応中に添加される。本発明の実施形態によって共重合可能なコモノマーは、極性ビニルモノマーおよび非極性ビニルモノマーを含む。例えば、極性ビニルモノマーには、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ビニル酢酸、アリルアミン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルスルホン酸、ビニルスルホン酸の塩が挙げられる。共重合される非極性ビニルモノマーには、エチレン、ポリオレフィン、イタコン酸、マレイン酸、マレイン酸無水物などの2基置換ビニル化合物、およびジビニルベンゼンおよびビニルメタクリレートなどのジビニル化合物が挙げられる。
本発明の他の実施形態において、本発明の実施形態によって製造されたアイソタクチック極性ビニルポリマーは、金属の親水性選択吸着物質として有用である。
本発明の各種の実施形態によって使用される極性ビニルモノマーのある例には、ヒドロキシスチレン、アクリレート、メタクリレート、アルコキシメチルアクリレート、N,N−アルキルアクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−アルキルメタクリルアミド、およびアルキルビニルケトンが挙げられる。アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アミノスチレン、ビニルピリジン、ビニルアセテート、アセトキシスチレン、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジイソプロピルアクリルアミド、メタクリルアミド、およびN,N−ジメチルメタクリルアミドなどのモノマーは、本発明の実施形態にとって好ましい。
本発明の実施形態において、極性ビニルモノマーは、モノマーが式CH2=CRCNによって表されるようにアセチロニトリル基を含む。本発明の実施形態によるモノマーから形成される立体規則性ポリマーは、約35パーセントのアイソタクチック性および/またはシンジオタクチック性を示し、これは従来の方法を用いて得た結果よりも高い。別の実施形態において、本発明の実施形態によって重合された、式CH2=CRCOOR’によって表される極性ビニルモノマーポリマーは、約65パーセント以上のアイソタクチック性および/またはシンジオタクチック性を有するポリマーを生じる。
本発明の各種の実施形態は、以下の実施例で詳細に述べるが、例示の目的のためのみに述べられており、本発明に対する制限として解釈されるものではない。
スターラー、温度計および乾燥窒素パージを装着した三つ首反応容器に、乾燥ヘプタン6mLおよび塩化マグネシウム4.76gを加えた。容器を0℃に冷却し、次にアクリロニトリル1.65mLを加えた。発熱反応によって証明されるように、反応は直ちに起こり、30分間にわたり約10〜15℃まで上昇した。白色スラリーが形成された。このスラリーのFT−IRは、アクリロニトリルのC≡N部分の伸びピークが、バルク状態の2224cm-1からアクリロニトリル−塩化マグネシウム混合物の2265cm-1に移動することを示しており、アクリロニトリル/塩化マグネシウム錯体の形成を示す。2,2’−アゾビス(4−メトキシバレロニトリル)約40mgをこのスラリーに添加し、得られた反応混合物を20℃にて48時間続行させた。生じたポリマーをメタノール100mLおよび次に脱イオン温水200mLで洗浄することによって、ルイス酸(塩化マグネシウム)から除去した。ポリマーを次に真空中で50℃にて24時間乾燥させて、ポリアクリロニトリル395mgを得た。このポリマーを重水素化ジメチルスルホキシド中に5重量%の濃度で溶解させて、13C−NMR分析を実施した。mm、mrおよびrr画分はそれぞれ0.670、0.253、0.077であることが見出され、このポリマーがアイソタクチック・リッチ・ポリアクリロニトリルであることが示された。
アクリロニトリルモノマー3.30mLおよび2,2’−アゾビス(4−メトキシバレロニトリル)開始剤80mgを使用することを除いて、立体規則性ポリアクリロニトリル1.17gを実施例1に述べたのと同じ方法で調製した。得られたポリマーを重水素化ジメチルスルホキシド中にて5重量%の濃度で溶解させて、13C−NMR分析を実施した。mm、mrおよびrr画分はそれぞれ0.591、0.307および0.102であることが見出され、このポリマーがアイソタクチック・リッチ・ポリアクリロニトリルであることが示された。
臭化マグネシウム9.23gをルイス酸として使用し、アクリロニトリルモノマー3.30mlを使用し、そして2,2’−アゾビス(4−メトキシバレロニトリル)開始剤80mgを使用することを除いて、立体規則性ポリアクリロニトリル430mgを実施例1に述べたのと同じ方法で調製した。得られたポリマーを重水素化ジメチルスルホキシド中に5重量%の濃度で溶解させて、13C−NMR分析を実施した。mm、mrおよびrr画分はそれぞれ0.615、0.288および0.097であることが見出され、このポリマーがアイソタクチック・リッチ・ポリアクリロニトリルであることが示された。
マグネシウムトリフルオロメタンスルホネート3.22gをルイス酸として使用し、アクリロニトリルモノマー0.44mlを使用し、2,2’−アゾビス(4−メトキシバレロニトリル)開始剤10mgを使用することを除いて、立体規則性ポリアクリロニトリル220mgを実施例1に述べたのと同じ方法で調製した。スラリーのFT−IRは、アクリロニトリルのC≡N部分の伸びピークが、バルク状態の2224cm-1からアクリロニトリル/マグネシウムトリフルオロメタンスルホネート混合物の2235cm-1に移動することを示しており、アクリロニトリル/マグネシウムトリフルオロメタンスルホネート錯体の形成を示す。得られたポリマーを重水素化ジメチルスルホキシド中に5重量%の濃度で溶解させて、13C−NMR分析を実施した。mm、mrおよびrr画分はそれぞれ0.387、0.433および0.180であることが見出され、ポリマーがアイソタクチック・リッチ・ポリアクリロニトリルであることが示された。
スターラー、温度計および乾燥窒素パージを装着した三つ首反応容器に、塩化アルミニウム2.67gを加えた。容器を10℃に冷却し、メチルメタクリレート2.14mlを加えた。反応は2時間の期間にわたって徐々に起こり、無色結晶錯体が生じた。この錯体のFT−IRは、メチルメタクリレートのC=O部分の伸びピークが、バルク状態の1730cm-1からメチルメタクリレート/塩化アルミニウム混合物の1646cm-1に移動することを示しており、メチルメタクリレート−塩化アルミニウム錯体の形成を示す。ベンゼン1mLに溶解させた2,2’−アゾビス(4−メトキシバレロニトリル)(60mg)を次にこの錯体に添加し、重合を20℃にて48時間実施した。得られたポリマーをメタノール200mLで2回洗浄すること、脱イオン温水200mlで2回洗浄することによって、ルイス酸から分離し、次に真空中で40℃にて24時間乾燥させて、ポリ(メチルメタクリレート)1.2gを得た。得られたポリマーを重水素化クロロホルム中に1重量%の濃度で溶解させて、1H−NMR分析を実施した。mm、mrおよびrr画分はそれぞれ0.040、0.240および0.720であることが見出され、このポリマーがシンジオタクチック・リッチ・ポリ(メチルメタクリレート)であることが示された。
スターラー、温度計および乾燥窒素パージを装着した三つ首反応容器に、乾燥ヘプタン6mLおよび臭化リチウム2.17gを加えた。容器を10℃に冷却し、次に4−ビニルピリジン2.7mlを添加した。反応は円滑に生じた。温度範囲は30分間にわたり約3〜5℃まで変化し、薄黄色スラリー混合物が生成した。このスラリーのFT−IRは、4−ビニルピリジンのC=C部分の伸びピークが、バルク状態の1596cm-1から4−ビニルピリジン/臭化リチウム混合物の1608cm-1に移動することを示しており、4−ビニルピリジン−臭化リチウム錯体の形成を示す。次に、2,2’−アゾビス(4−メトキシバレロニトリル)(80mg)をこのスラリーに添加し、重合を20℃にて96時間実施した。得られたポリマーを脱イオン温水500mLで2回(2x)洗浄すること、エチルエーテル200mLで洗浄することによって、ルイス酸から分離し、次に、真空中で30℃にて24時間乾燥させて、ポリ(4−ビニルピリジン)2.0gを得た。このポリマーを重水素化クロロホルム中に5重量%の濃度で溶解させて、13C−NMR分析を実施した。mm、mrおよびrr画分はそれぞれ0.124、0.393および0.483であることが見出され、このポリマーがシンジオタクチック・リッチ・ポリ(4−ビニルピリジン)であることが示された。
スターラー、温度計および乾燥窒素パージを装着した三つ首反応容器に、マグネシウムトリフルオロメタンスルホネート3.22gを加えた。容器を10℃に冷却し、次に乾燥ベンゼン6mLに溶解させた4−アミノスチレン1.20gを加えた。反応は円滑に生じ、温度範囲は30分の期間にわたって約3〜5℃から変化し、薄黄色スラリー混合物が生成した。このスラリーのFT−IRは、4−アミノスチレンのN−H部分の伸びピークが、バルク状態の3396cm-1から4−アミノスチレン/トリフルオロメタンスルホネート混合物の3491cm-1に移動することを示しており、4−アミノスチレン−トリフルオロメタンスルホネート錯体の形成を示す。次に、2,2’−アゾビス(4−メトキシバレロニトリル)(36mg)をこのスラリーに添加し、重合を20℃にて96時間実施した。得られたポリマーを脱イオン温水500mLで2回洗浄すること、ヘキサン200モル中で洗浄することによって、ルイス酸から分離し、次に真空中で30℃にて24時間乾燥させてポリ(4−アミノスチレン)1.1gを得た。このポリマーを重水素化メタノール中に5重量%の濃度で溶解させて、13C−NMR分析を実施した。mm、mrおよびrr画分はそれぞれ0.703、0.111および0.186であることが見出され、このポリマーがアイソタクチック・リッチ・ポリ(4−アミノスチレン)であることが示された。
スターラー、温度計および乾燥窒素パージを装着した三つ首反応容器に、臭化リチウム微粉末2.61gを加えた。容器を10℃に冷却し、次にビニルアセテート2.58mlを添加した。反応は72時間にわたって徐々に発生し、乾燥ヘプタン5mlの添加後に、白色スラリー混合物が生じた。このスラリーのFT−IRは、ビニルアセテートのC=O部分の伸びピークが、バルク状態の1767cm-1からビニルアセテート/臭化リチウム混合物の1709cm-1に移動することを示しており、ビニルアセテート−臭化リチウム錯体の形成を示す。次に、2,2’−アゾビス(4−メトキシバレロニトリル)(95mg)をこのスラリーに添加し、重合を20℃にて96時間実施した。得られたポリマーを脱イオン温水500mLで2回洗浄すること、ヘキサン200mLで洗浄することによって、ルイス酸から分離し、次に真空中で40℃にて24時間乾燥させて、ポリ(ビニルアセテート)0.8gを得た。このポリマーを重水素化クロロホルムにて5重量%の濃度で溶解させて、13C−NMR分析を実施した。mm、mrおよびrr画分はそれぞれ0.356、0.421および0.223であることが見出され、このポリマーがシンジオタクチック・リッチ・ポリ(4−ビニルアセテート)であることが示された。
スターラー、温度計および乾燥窒素パージを装着した三つ首反応容器に、乾燥ヘプタン6mLおよび塩化マグネシウム4.76gを加えた。容器を0℃に冷却し、次にアクリロニトリル1.65mLを添加した。発熱反応によって証明されるように、反応は直ちに起こり、30分間にわたって約10〜15℃まで上昇した。白色スラリーが形成された。次に、トリメチルアセトニトリル2.15gをこのアクリロニトリル/塩化マグネシウム錯体に同じ方法で添加した。反応は、FT−IRによって証明されるように徐々に発生し、FT−IRは、アクリロニトリルのC≡N部分の伸びピークが、バルク状態の2224cm-1から2265cm-1に移動し、トリメチルアセトニトリルの伸びピークが、バルク状態の2236cm-1からアクリロニトリル/塩化マグネシウム/トリメチルアセトニトリル混合物の2281cm-1に移動することを示しており、錯体からのアクリロニトリルの解離のない、アクリロニトリル/塩化マグネシウム/トリメチルアセトニトリルトリ錯体の形成を示す。2,2’−アゾビス(4−メトキシバレロニトリル)をこのスラリーに添加し、得られた反応混合物を20℃にて48時間続行させた。生じたポリマーをメタノール100mLおよび次に脱イオン温水200mLで洗浄することによって、ルイス酸(塩化マグネシウム)およびトリメチルアセトニトリルから除去した。次にポリマーを真空中で50℃にて24時間乾燥させて、ポリアクリロニトリル395mgを得た。このポリマーを重水素化ジメチルスルホキシド中に5重量%の濃度で溶解させて、13C−NMR分析を実施した。mm、mrおよびrr画分はそれぞれ0.700、0.241、0.059であることが見出され、このポリマーがアイソタクチック・リッチ・ポリアクリロニトリルであることが示された。
[比較例1]
スターラー、温度計および乾燥窒素パージを装着した三つ首反応容器に、乾燥ヘプタン6mLおよびアクリロニトリル3.3mlを加えた。次に、2,2’−アゾビス(4−メトキシバレロニトリル)(120mg)をこの溶液に添加し、重合を20℃にて48時間実施した。得られたポリマーを濾過して、メタノール100mLで洗浄し、脱イオン温水200mLで洗浄し、次に真空中で50℃にて24時間乾燥させて、ポリアクリロニトリル1.78gを得た。このポリマーを重水素化ジメチルスルホキシド中に5重量%の濃度で溶解させて、13C−NMR分析を実施した。mm、mrおよびrr画分はそれぞれ0.268、0.474および0.258であることが見出され、このポリマーがアタクチック・ポリアクリロニトリルであることが示された。
[比較例2]
スターラー、温度計および乾燥窒素パージを装着した三つ首反応容器に、乾燥ヘプタン6mLおよびメチルメタクリレート2.14gを加えた。次に、2,2’−アゾビス(4−メトキシバレロニトリル)(60mg)をこの溶液に添加し、重合を20℃にて48時間実施した。得られたポリマーをメタノール200mLに注入し、濾過して、別のメタノール100mL、脱イオン温水200mLで洗浄し、次に真空中で50℃にて24時間乾燥させて、ポリ(メチルメタクリレート)1.90gを得た。このポリマーを重水素化クロロホルム中に1重量%の濃度で溶解させ、1H−NMR分析を実施した。mm、mrおよびrr画分はそれぞれ0.053、0.299および0.648であることが見出され、このポリマーがアタクチック・ポリ(メチルメタクリレート)であることが示された。
[比較例3]
スターラー、温度計および乾燥窒素パージを装着した三つ首反応容器に、乾燥ベンゼン6mL、4−ビニルピリジン(2.16ml)および2,2’−アゾビス(4−メトキシバレロニトリル)(63mg)を加えた。重合を20℃にて48時間実施した。得られたポリマースラリーをn−ヘキサン200mLに注入し、濾過して、別の水500mL、エチルエーテル300mLで洗浄し、次に真空中で50℃にて24時間乾燥させて、ポリ(4−ビニルピリジン)1.30gを得た。このポリマーを重水素化メタノール中に5重量%の濃度で溶解させて、13C−NMR測定を実施した。mm、mrおよびrr画分はそれぞれ0.340、0.355および0.305であることが見出され、このポリマーがアタクチック・ポリ(4−ビニルピリジン)であることが示された。
[比較例4]
スターラー、温度計および乾燥窒素パージを装着した三つ首反応容器に、乾燥ベンゼン6mLおよびアミノスチレン2.38gを加えた。次に、2,2’−アゾビス(4−メトキシバレロニトリル)(72mg)をこの溶液に添加し、重合を20℃にて48時間実施した。得られたポリマースラリーをn−ヘキサン200mLに注入し、濾過して、別のn−ヘキサン200mL、次に脱イオン温水300mLで洗浄した。次に、ポリマーを真空中で50℃にて24時間乾燥させて、ポリ(4−アミノスチレン)1.38gを得た。このポリマーを重水素化クロロホルム中にて5重量%の濃度で溶解させて、13C−NMR分析を実施した。mm、mrおよびrr画分はそれぞれ0.233、0.422および0.345であることが見出され、このポリマーがアタクチック・ポリ(4−アミノスチレン)であることが示された。
[比較例5]
スターラー、温度計および乾燥窒素パージを装着した三つ首反応容器に、乾燥ベンゼン6mLおよびビニルアセテート1.84mlを加えた。次に、2,2’−アゾビス(4−メトキシバレロニトリル)(52mg)をこの溶液に添加し、重合を20℃にて48時間実施した。得られたポリマー溶液を脱イオン水200mLに注入し、濾過して、別の水500mL、次にn−ヘキサン300mlで洗浄した。次に、ポリマーを真空中で50℃にて24時間乾燥させて、ポリ(4−ビニルアセテート)1.1gを得た。このポリマーを重水素化クロロホルム中にて5重量%の濃度で溶解させ、13C−NMR分析を実施した。mm、mrおよびrr画分はそれぞれ0.250、0.452および0.298であることが見出され、このポリマーがアタクチック・ポリ(4−ビニルアセテート)であることが示された。
ある好ましい本発明の実施形態がこのように述べられ、その多くの明確な変形が、以下に請求されるようにその精神および範囲を逸脱せずに可能であるために、添付請求項によって定義された本発明が上の説明で述べた特定の詳細事項によって制限されないことが理解されるものとする。
実施例1のポリマーに一致する、それぞれ0.670/0.253/0.077のmm/mr/rr画分とともにトライアド立体規則性を有するポリアクリロニトリルの共振ピークを示す、13C−NMRチャートを示す。 比較例1のポリマーに一致する、それぞれ0.268/0.474/0.258のmm/mr/rr画分とともにトライアド立体規則性を有するアタクチックポリアクリロニトリルの共振ピークを示す、13C−NMRチャートを示す。

Claims (29)

  1. 極性ビニルモノマーと、およびモノマー−ルイス酸錯体を形成するために前記極性ビニルモノマーと混合されたルイス酸とを含む組成物。
  2. 前記極性ビニルモノマーが式CH2=CRXによって表される極性ビニルモノマーであって、
    Rが、水素、1〜12炭素アルキル基、1〜12炭素アリール基、および1〜12炭素アルコキシ基からなる群から選択され、
    Xが、−CN、−C65N、−CONR’R”、−OR’、−COOR’、−OCOR’、−COR’、−C65OH、−C65OR’、および−C65NR’R”からなる群から選択され;
    ここでR’が1〜12炭素アルキル基であり、
    ここでR”が1〜12炭素アルキル基である、
    請求項1に記載のモノマー−ルイス酸錯体を含む組成物。
  3. Rが、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、フェニル、トルイル、ナフチル、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、フェノキシ、およびナフトキシ基からなる群から選択される、請求項2に記載のモノマー−ルイス酸錯体を含む組成物。
  4. R’およびR”が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、およびドデシル基からなる群から選択される、請求項2に記載のモノマー−ルイス酸錯体を含む組成物。
  5. 前記ルイス酸が、周期律表の第Ia、Ib、IIa、IIb、IIIa、IIIb、およびVIII族からなる群から選択される元素を含有する、少なくとも1つのルイス酸を含む、請求項1に記載のモノマー−ルイス酸錯体を含む組成物。
  6. 前記ルイス酸が、リチウム、ナトリウム、カリウム、銅、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ボロン、アルミニウム、ガリウム、インジウム、鉄、ニッケル、およびコバルトからなる群から選択される金属を含有する少なくとも1つのルイス酸を含む、請求項1に記載のモノマー−ルイス酸錯体を含む組成物。
  7. 前記ルイス酸が、塩素、臭素、ヨウ素、スルホネート、ニトラート、およびトリフルオロメタンスルホネートからなる群から選択される元素を含有する少なくとも1つのルイス酸を含む、請求項1に記載のモノマー−ルイス酸錯体を含む組成物。
  8. 前記ルイス酸が、アルキル有機金属、アリール有機金属、およびアルコキシ有機金属からなる群から選択される有機金属を含む少なくとも1つのルイス酸を含む、請求項1に記載のモノマー−ルイス酸錯体を含む組成物。
  9. 前記ルイス酸が、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、マグネシウムトリフルオロメタンスルホネート、塩化アルミニウム、および臭化リチウムからなる群から選択される少なくとも1つのルイス酸を含む、請求項1に記載のモノマー−ルイス酸錯体を含む組成物。
  10. 前記ルイス酸が、極性ビニルモノマーの約0.1〜約10当量の量で存在する、請求項1に記載のモノマー−ルイス酸錯体を含む組成物。
  11. 前記ルイス酸が、極性ビニルモノマーの約0.2〜約4当量の量で存在する、請求項1に記載のモノマー−ルイス酸錯体を含む組成物。
  12. 前記極性ビニルモノマーおよびルイス酸が約60℃以下の温度で混合される、請求項1に記載のモノマー−ルイス酸錯体を含む組成物。
  13. 前記モノマー−ルイス酸錯体が約60℃以下の温度である、請求項1に記載のモノマー−ルイス酸錯体を含む組成物。
  14. 前記極性ビニルモノマーが、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アミノスチレン、ビニルピリジン、ビニルアセテート、ヒドロキシスチレン、アセトキシスチレン、アクリレート、メタクリレート、アルコキシメチルアクリレート、アクリルアミド、N,N−アルキルアクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−アルキルメタクリルアミド、およびアルキルビニルケトンからなる群から選択される、請求項1に記載のモノマー−ルイス酸錯体を含む組成物。
  15. 少なくとも1つの溶媒を更に含む、請求項1に記載のモノマー−ルイス酸錯体を含む組成物。
  16. 前記溶媒が、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、およびテトラヒドロフランからなる群から選択される、請求項15に記載のモノマー−ルイス酸錯体を含む組成物。
  17. グリコール、グリコールの誘導体、ニトリル、ニトリルの誘導体、アルコール、アルコールの誘導体、アミン、およびアミンの誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を更に含む、請求項1に記載のモノマー−ルイス酸錯体を含む組成物。
  18. ビニルポリマーを製造する方法であって、
    モノマー−ルイス酸錯体を形成するために、極性ビニルモノマーを少なくとも1つのルイス酸と混合することと、
    ビニルポリマーを製造するために、モノマー−ルイス酸錯体を重合することと、
    を含む方法。
  19. 残余のルイス酸をビニルポリマーから除去するために、重合したモノマー−ルイス酸錯体を洗浄することを更に含む、請求項18に記載の方法。
  20. 極性ビニルモノマーと少なくとも1つのルイス酸との混合が、60℃以下の温度にて実施される、請求項18に記載の方法。
  21. 極性ビニルモノマーと少なくとも1つのルイス酸との混合が、40℃以下の温度にて実施される、請求項18に記載の方法。
  22. モノマー−ルイス酸錯体の重合が、60℃以下の温度にて実施される、請求項18に記載の方法。
  23. モノマー−ルイス酸錯体の重合が、ラジカル開始剤、照射、電子衝撃、紫外線光、または熱によって開始される、請求項18に記載の方法。
  24. 立体規則性ビニルポリマーを製造する方法であって、
    モノマー−ルイス酸錯体を形成するために、式CH2=CRXの極性ビニルモノマーを少なくとも1つのルイス酸の約0.1〜約10当量と混合することと、
    立体規則性ビニルポリマーを製造するために、モノマー−ルイス酸錯体を重合することと、を含み、
    式中、Rが、水素、1〜12炭素アルキル基、1〜12炭素アリール基、および1〜12炭素アルコキシ基からなる群から選択され、
    Xが、−CN、−C65N、−CONR’R”、−OR’、−COOR’、−OCOR’、−COR’、−C65OH、−C65OR’、および−C65NR’R”からなる群から選択され、
    ここでR’が1〜12炭素アルキル基であり、
    ここでR”が1〜12炭素アルキル基である、
    方法。
  25. 前記の少なくとも1つのルイス酸が、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、マグネシウムトリフルオロメタンスルホネート、塩化アルミニウム、および臭化リチウムからなる群から選択される少なくとも1つのルイス酸を含む、請求項24に記載の方法。
  26. 前記極性ビニルモノマーが、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アミノスチレン、ビニルピリジン、ビニルアセテート、ヒドロキシスチレン、アセトキシスチレン、アクリレート、メタクリレート、アルコキシメチルアクリレート、アクリルアミド、N,N−アルキルアクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−アルキルメタクリルアミド、およびアルキルビニルケトンからなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
  27. 極性ビニルモノマーおよび少なくとも1つのルイス酸の混合が、約60℃以下の温度で実施される、請求項24に記載の方法。
  28. モノマー−ルイス酸錯体の重合が、約60℃以下の温度で実施される、請求項24に記載の方法。
  29. 重合がラジカル開始剤によって開始される、請求項24に記載の方法。
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