JPH0649108A - コア・シェル型エマルジョンの製造方法 - Google Patents

コア・シェル型エマルジョンの製造方法

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JPH0649108A
JPH0649108A JP22495592A JP22495592A JPH0649108A JP H0649108 A JPH0649108 A JP H0649108A JP 22495592 A JP22495592 A JP 22495592A JP 22495592 A JP22495592 A JP 22495592A JP H0649108 A JPH0649108 A JP H0649108A
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鴻二 木下
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和弘 深草
Takeshi Fukuzumi
武司 福住
Nobuyuki Takahata
信之 高畑
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】得られる皮膜の耐水性、接着性が改善された、
簡便で優れた新規なコア・シェル型エマルジョンの製造
方法を提供する。 【構成】非反応性界面活性剤を一切使用しないで、反応
性界面活性剤のみを用いて重合することを特徴とするコ
ア・シェル型エマルジョンの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はラジカル重合可能な不飽
和基を含有する反応性界面活性剤(以下、単に反応性界
面活性剤と記す)のみを用いて重合することを特徴とす
るコア・シェル型エマルジョンの製造方法に関するもの
であり、得られたエマルジョンはその機能を利用して接
着剤及び塗料用、製紙用、繊維用などに有用とされるも
のである。
【0002】
【従来の技術】一般に、疎水性−親水性の異なる2種類
のモノマーを別々に2段階で重合すると両高分子成分が
相分離を起こし、粒子の芯(コア)と外殻(シェル)で
組成の異なるコア・シェル型エマルジョンが生成され
る。
【0003】その製造方法としては、まず第1段目で例
えばアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニ
ルエーテルジスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、
高級脂肪酸塩等のアニオン界面活性剤、ポリオキシエチ
レンアルキルフェニルエーテル等の非イオン界面活性剤
などの非反応性界面活性剤(以下、単に界面活性剤と記
す)を単独あるいは混合物として原料モノマーに対して
0.5〜5重量%使用し通常の乳化重合法でコアポリマ
ーエマルジョンを合成する。次にこのエマルジョン中に
含まれる過剰の界面活性剤を透析法等でていねいに除去
し、2段目の原料モノマーの重合を触媒のみ添加して行
う方法が知られている。(高分子加工Vol.34,No.3,p5〜
11参照)
【0004】この際、過剰の界面活性剤が完全に除去さ
れず余分に系内に存在すれば2段目のシェル部重合時に
シェル部用モノマーによる単独新粒子が生成し、コア・
シェル型でなくコア部粒子とシェル部粒子の混合エマル
ジョンとなる。さらにこのエマルジョン製造のために使
用した界面活性剤は不揮発性であるため、エマルジョン
から水分が蒸発した後もポリマー中に残存することにな
り、界面活性剤は親水基を有する低分子物質であるため
ポリマーとの相溶性が乏しく、ポリマー皮膜内で局部的
に濃縮されて偏在したり、ポリマー皮膜と被着体の界面
へ移行したりして、その皮膜の耐水性、接着性等の低下
の原因となっている。
【0005】また、このような乳化重合時の重合開始剤
として特に過硫酸塩を用いると、その分解によって生じ
たイオン性ラジカルが開始剤となり、ポリマー末端にイ
オン性末端基として残り、それが重合安定性とさらに重
合後のエマルジョンの安定性に大きく寄与することを利
用して、界面活性剤を使用しない重合法も知られている
が、エマルジョンの安定性を保つためには多量の過硫酸
塩を使用せねばならず、得られたポリマー皮膜の耐水性
を損なう結果になっているし、この方法ではコア・シェ
ル構造のエマルジョンを製造することも極めて困難であ
る。
【0006】特開平2-117982号公報には、不飽和カルボ
ン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー等をその他の
モノマーと共にアルコール系溶剤中で重合し、中和剤を
加え続いて水を加えた後、溶剤を留去して水系に転相し
たソープフリーエマルジョンをコア部とした感圧性接着
剤組成物が提案されているが、その製造法が極めて煩雑
であると共に、実施例によるとコア部粒子のほぼ半量が
不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸モノマーによる単
位を含むため、皮膜の耐水性、接着性等の低下は避けら
れない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記した従
来技術が有するような問題点がなく、得られる皮膜の耐
水性、接着性が改善された、簡便で優れた新規なコア・
シェル型エマルジョンの製造方法を提供するためになさ
れたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記の課題
を解決するため鋭意検討の結果、反応性界面活性剤の使
用がキーポイントとなることを見出して本発明に至っ
た。すなわち、本発明は前記の課題を解決したものであ
り、非反応性界面活性剤を一切使用しないで、反応性界
面活性剤のみを用いて重合することを特徴とするコア・
シェル型エマルジョンの製造方法、を要旨とするもので
ある。
【0009】以下に本発明について詳しく説明する。本
発明で使用する反応性界面活性剤の例としては、
【化1】
【0010】
【化2】 などのアニオン性反応性界面活性剤、および
【0011】
【化3】 などの非イオン性反応性界面活性剤などが挙げられる。
【0012】この反応性界面活性剤は1種類のみ用いて
も2種類以上を併用してもよいが、その量が少なすぎる
と製造したエマルジョンに凝塊物が多く発生するように
なるし、得られる皮膜も良好な物性を示さないようにな
る。また、多すぎる場合にもポリマーの粒径が細かくな
ってエマルジョンの粘度が上がりすぎ重合率が低下する
ようになるし、皮膜の耐水性も悪くなってくる。したが
って、この反応性界面活性剤の使用量は全モノマーの
0.5〜15重量%、特には1〜7重量%が好ましい。
【0013】本発明の方法には重合可能な不飽和結合を
有するモノマーを公知のもののうちから、コア部、シェ
ル部各々1種類のみ用いても2種類以上を同時に用いて
もよいが、コア部とシェル部を構成するモノマーの組合
せはコア部をより疎水性モノマーとすることが好まし
い。それには25℃の水100グラムに溶解するモノマ
ーのグラム数を基に以下に分類したモノマー群を参考に
選択すると良い。
【0014】A:25℃の水100グラムに溶解するグ
ラム数が0.1未満のモノマー類 アクリル酸−2-エチルヘキシル、アクリル酸イソノニ
ル、アクリル酸デシル、メタクリル酸ブチル、スチレ
ン、α−メチルスチレン、クロルメチルスチレン、塩化
ビニル* 、塩化ビニリデン* など(* 飽和蒸気圧に於
る) B:同上溶解グラム数が0.1以上1未満のモノマー類 アクリル酸ブチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸
イソプロピルなど C:同上溶解グラム数が1以上10未満のモノマー類 アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メ
チル、酢酸ビニルなど D:同上溶解グラム数が10以上のモノマー類 アクリロニトリル、無水マレイン酸、アクリル酸、メタ
クリル酸、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒド
ロキシアルキル(メタ)アクリレート類、(メタ)アク
リルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N-
メチロール(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アク
リルアミド類、アクリル酸ジメチルアミノエチルなどの
(メタ)アクリル酸第3アミン類、ビニルスルホン酸、
スチレンスルホン酸、2-アクリルアミド−2-メチルプロ
パンスルホン酸などのモノエチレン性不飽和スルホン酸
及びその塩類など
【0015】上記のほか、ポリマーの架橋を意図して少
量の多官能性モノマーを用いることができる。この例と
してジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート、
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロール
プロパントリ(メタ)アクリレート、グリシジル(メ
タ)アクリレート、グリシジルアリルエーテルなどが挙
げられる。多官能性モノマーは疎水・親水性に関係なく
コア部、シェル部を構成するモノマーとして使用される
が、コア部に5重量%以下の量を使用することが本発明
では好ましい。
【0016】コア部ポリマーとシェル部ポリマーの重量
比率は1:0.01〜3が好ましく、より好ましくは
1:0.02〜1である。
【0017】このほかに必要に応じてロジン系、石油樹
脂系、クマロンインデン樹脂系、フェノール樹脂系等の
粘着付与樹脂などをモノマーに添加して使用することが
できる。
【0018】本発明の方法に使用されるラジカル重合開
始剤としては過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の
過硫酸塩、過酸化水素水、t-ブチルハイドロパーオキシ
ド、アゾビスアミジノプロパンの塩酸塩等の水溶性タイ
プ、ベンゾイルパーオキシド、キュメンハイドロパーオ
キシド、ジブチルパーオキシド、ジイソプロピルパーオ
キシジカーボネート、クミルパーオキシネオデカノエー
ト、クミルパーオキシオクトエート、アゾビスイソブチ
ロニトリル等の油溶性タイプなどが例示される。さらに
必要に応じ、酸性亜硫酸ナトリウム、ロンガリット、ア
スコルビン酸等の還元剤を併用したレドックス系も使用
することができる。この重合開始剤の使用量はモノマー
に対して通常は0.1〜10重量%とすればよいが、好
ましくは0.5〜5重量%である。
【0019】コア・シェル型エマルジョンを製造するに
は、まず上記した各種モノマーを混合しこれに反応性界
面活性剤、重合開始剤等を加えて水系でコア部を形成す
るエマルジョンを重合する。この場合一括して仕込み重
合する方法、各成分を連続供給しながら重合する方法な
どの各種の方法を適用できる。重合は通常10〜90℃
の温度で攪拌下に行うとよい。コア部重合においては反
応性界面活性剤がほとんど完全に重合してコア部ポリマ
ーエマルジョンの水相中に実質的に残存していないこと
が肝要であり、もし残存しておれば次段階のシェル部重
合の際、シェル部モノマーによる新粒子が生成する可能
性があり本発明の効果を減殺する。次にこの系へさらに
重合開始剤と各種モノマーを加え、重合してシェル部を
形成させる。
【0020】
【実施例】本発明を実施例および比較例に基づき具体的
に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではな
い。なお、例中の部および%はそれぞれ重量部と重量%
を示す。
【0021】実施例1 攪拌機、コンデンサー、温度計および窒素ガス導入口を
備えた重合容器に脱イオン水156部、反応性界面活性
剤エレミノールJS−2[三洋化成工業(株)製、商品
名]3.3部、反応性界面活性剤アデカリアソープNE
−10[旭電化工業(株)製、商品名]5部を仕込み、
攪拌しながら50℃に昇温して溶解したのち窒素置換し
た。これに過酸化水素水0.2部、硫酸第1鉄0.07
部を添加し、さらにアスコルビン酸の1%水溶液20部
を添加と同時にアクリル酸ブチル167部を3時間を要
して均一に滴下させ、さらに50℃で2時間反応させ重
合を終えた。このコア部重合終了時のエマルジョンの固
形分、pH、粘度および平均粒子径を測定したところ、
順に49.9%、3.8、560cps、251nmで
あった。なお、平均粒子径の測定はコールター社のサブ
ミクロンパーティクルアナライザーによった。さらに系
内に残存する反応性界面活性剤をエプトン法(アニオン
タイプ)、液体クロマトグラフィ法(ノニオンタイプ)
により定量し0.1%以下であることを確認した。
【0022】コア部重合に使用した反応性界面活性剤は
下記の構造を有するものである。
【化4】
【0023】続いて重合容器に脱イオン水62部を仕込
み再度窒素置換後、過酸化水素水0.1部、硫酸第1鉄
0.03部を添加し、さらにアスコルビン酸の1%水溶
液10部を添加と同時にメタクリル酸メチル72部を1
時間を要して均一に滴下させ、さらに50℃で2時間反
応させ重合を完結させてコア・シェル型エマルジョンを
製造した。このシェル部重合終了時のエマルジョンの固
形分、pH、粘度および平均粒子径を測定したところ、
順に49.9%、3.3、340cps、278nmで
あった。
【0024】上記で得たコア・シェル型エマルジョンの
安定性およびフィルムの物性を評価した。評価は下記の
ようにして行ない、結果は表2に示すとおりであった。 (エマルジョンの安定性)エマルジョンを1滴掌に落し
反対の手の指でそれをこすり続け、ボロボロの粒子状に
なるまでの時間をもとに3段階で評価した。 ○:10秒以上 △:5〜10秒 ×:5秒以下 (指触タック)エマルジョンをガラス板上に乾燥皮膜の
厚みが20g/m2 になるように塗布したのち、100
℃で2分間乾燥してフィルムを作成し試験片とした。こ
のフィルムの表面のタックの有無を手触により評価し
た。 (耐水性)上記試験片を水に浸漬し、一定時間ごとに取
り出しながら膜を通して新聞紙の字が読めなくなるまで
の時間を測定し3段階評価した。 ○:7日以上 △:2時間〜7日間 ×:2時間以下 (透明性)上記試験片の透明性を目視で評価した。 透明性良○〜△〜×透明性不良
【0025】実施例2〜4 実施例1と同様にして表1に示される反応性界面活性剤
およびコア部、シェル部に使用するモノマー、添加剤の
種類、量で重合し、コア・シェル型エマルジョンを製造
した。得られたエマルジョンの安定性、フィルム試験片
の物性についても同様にして評価し結果を表2に示し
た。
【0026】比較例1 反応性界面活性剤エレミノールJS−2、アデカリアソ
ープNE−10に代えてアニオン性界面活性剤エマール
0[花王(株)製、商品名]1.7部、非イオン性界面
活性剤ノイゲンEA−170[第一工業製薬(株)製、
商品名]3.3部を使用した以外は実施例1と同様にし
てエマルジョンを得た。得られたエマルジョンの安定
性、フィルム試験片の物性についても同様にして評価し
結果を表2に示した。
【0027】比較例2 攪拌機、コンデンサー、温度計および窒素ガス導入口を
備えた重合容器に脱イオン水135部を仕込み、窒素置
換したのち内温を80℃に昇温した。ついで過硫酸アン
モニウムの20%水溶液40部の添加と同時にアクリル
酸ブチル167部を3時間を要して均一に滴下させ、さ
らに80℃で2時間反応させ重合を終えた。その後脱イ
オン水44.6部を仕込み再度窒素置換後、内部を80
℃に昇温し、過酸化水素水0.1部、硫酸第1鉄0.0
3部を添加し、さらにアスコルビン酸の1%水溶液10
部を添加と同時にメタクリル酸メチル72部を1時間を
要して均一に滴下させ、さらに80℃で2時間反応させ
重合を完結させてエマルジョンを得た。得られたエマル
ジョンの安定性、フィルム試験片の物性について実施例
1と同様にして評価し結果を表2に示した。
【0028】
【表1】
【0029】表1中の反応性界面活性剤は下記の構造を
有するものである。
【化5】
【0030】
【表2】
【0031】指触タックの評価結果から、実施例ではシ
ェル部に使用したモノマーからなるポリマーの特徴のみ
が現れているのに対し、比較例ではコア部に使用したモ
ノマーからなるポリマーの特徴と思われる特性が現れて
いる。このことにより、実施例では完全なコア・シェル
構造のエマルジョンが製造されていることが示されてい
る。また、透明性の評価が実施例ではよいことから、シ
ェル部重合で新粒子が生成されず完全なコア・シェル構
造であることが推察される。
【0032】
【発明の効果】本発明により重合方法が簡便で安定なコ
ア・シェル構造を有する新規なコア・シェル型エマルジ
ョンの製造方法が提供された。この製造方法により得ら
れたエマルジョンはその皮膜が遊離界面活性剤が存在し
ないため耐水性に優れ、シェル部のポリマー特性をその
表面特性として顕著に示すものであり、このような機能
を利用して接着剤、塗料、製紙、繊維用に極めて有用で
ある。
フロントページの続き (72)発明者 高畑 信之 福井県武生市北府2丁目17番33号 日信化 学工業株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非反応性界面活性剤を一切使用しない
    で、反応性界面活性剤のみを用いて重合することを特徴
    とするコア・シェル型エマルジョンの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002256202A (ja) * 2001-02-28 2002-09-11 Dainippon Toryo Co Ltd 水性塗料用樹脂組成物
JP2006299260A (ja) * 2005-04-15 2006-11-02 Rohm & Haas Co 多段エマルジョンポリマーの水性分散物を製造する方法
WO2013118697A1 (ja) * 2012-02-07 2013-08-15 株式会社カネカ 硬化性樹脂用靭性改質剤および硬化性樹脂組成物

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