JPH0798849B2 - 硬化性水性樹脂分散液 - Google Patents
硬化性水性樹脂分散液Info
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- JPH0798849B2 JPH0798849B2 JP62093229A JP9322987A JPH0798849B2 JP H0798849 B2 JPH0798849 B2 JP H0798849B2 JP 62093229 A JP62093229 A JP 62093229A JP 9322987 A JP9322987 A JP 9322987A JP H0798849 B2 JPH0798849 B2 JP H0798849B2
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Description
(産業上の利用分野) 本発明は硬化性水性樹脂分散液に関し、さらに詳しくは
良好な貯蔵安定性を示し、水を飛散させて被膜とした際
には乳化剤と乳化重合樹脂が架橋反応して特に耐水性に
優れた透明な硬化被膜を形成しうる硬化性水性樹脂分散
液に関する。 (従来の技術) 水性樹脂分散液は、従来より各種乳化剤を用いて乳化重
合法により製造されており、その無公害性、作業性の良
さ、省資源といった利点を生かして、塗料、接着剤、紙
加工剤、繊維加工剤、モルタル改質剤など広範な応用用
途を持っている。 しかしながら、乳化重合に用いた親水性の乳化剤は水を
飛散させて被膜とした後も被膜中に残存し、しかも1日
粒子界面に局在化し易いために、被膜の耐水性など諸物
性に悪影響を及ぼす原因となっている。この様な水性樹
脂分散液の本質的な欠点を改良するために、過硫酸カリ
ウムなどを多量に用いるソープフリー乳化重合法、高分
子乳化剤を用いた乳化重合法、重合性不飽和基を分子内
に有する反応性乳化剤を用いた乳化重合法等が提案され
ているが、耐水性に関してはいまだ不十分である。 一方、従来より各種架橋反応により被膜の耐溶剤性及び
強度の向上が図られている。最も広く行なわれている方
法としては、N−メチロール(メタ)アクリルアミドや
N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の官能性
単量体を共重合成分に用いる方法があるが、この方法に
より得られる水性樹脂分散液は一般に液の安定性が悪
く、また架橋被膜を形成する過程でホルマリンを発生す
る問題点を有する。 (発明が解決しようとする問題点) 本発明は、従来の水性樹脂分散液が有していた前記問題
点を解消するものであり、従ってその目的は水分散液の
状態では極めて安定で、しかも被膜を形成するに際して
はホルマリン等の有害物質を発生することなく硬化し
て、耐水性、耐溶剤性、強度に優れた被膜を与える硬化
性水性樹脂分散液を提供することにある。 (問題点を解決するための手段および作用) 本発明者らは、下記〜の解決目標: 乳化重合樹脂の水分散液の安定性が良好であるこ
と、 その水分散液から水を飛散させた際には、乳化剤と
乳化重合樹脂粒子とができるだけ均一に反応して架橋が
起こること、 乳化剤と乳化重合樹脂粒子とができるだけ均一に反
応するために、水を飛散させた際に乳化剤が乳化重合樹
脂粒子の界面から内部に拡散すること、 架橋反応により、乳化剤と乳化重合樹脂粒子の有す
る親水性基が消費されること、および、 架橋反応により、ホルマリンのような有害物質が副
生しないこと、 を設定し、乳化剤と共重合成分の両方に着目して鋭意研
究を進めた結果特定の方法により得られる末端アルキル
基を有する重合体を乳化剤に用い、特定成分の重合性単
量体を乳化重合して得られる硬化性水性樹脂分散液が、
前記目的を達成しうるものであることを見いだし、本発
明を完成するに至った。 即ち、本発明は不飽和カルボン酸を必須成分として含む
重合性単量体成分(A)を炭素数が6〜18のアルキルメ
ルカプタン(B)の存在下に重合して得られる酸価が20
0以上の水溶性もしくは水分散性の末端アルキル基を有
する重合体〔I〕および/またはその塩を乳化剤に用い
て、前記重合体〔I〕および/またはその塩の有するカ
ルボキシル基との反応性を有する基を含有重合性単量体
(a)0.5〜40重量%および他の重合性単量体(b)60
〜99.5重量%(但し、重合性単量体(a)および(b)
の合計は100重量%である。)からなる重合性単量体成
分〔II〕を水性媒体中で乳化重合して得られることを特
徴とする硬化性水性樹脂分散液に関するものである。 本発明において乳化剤に用いる集合体〔I〕は前記の手
順で得られるものであるが、乳化重合時の安定性や得ら
れる樹脂の被膜の耐水性、耐溶剤性、強度等の諸物性の
面で、酸価が200以上でなければならない。また、その
分子量は300〜7000、特に400〜4000の範囲とするのが好
適である。分子量がこの範囲以外のものを使用すると十
分に乳化安定性が得られなかったり、耐水性、耐溶剤
性、強度のすべてに優れた樹脂の被膜が得られなかった
りする場合がある。 重合体〔I〕の合成に用いる不飽和カルボン酸は、重合
体〔I〕にカルボキシル基を導入して親水性を付与する
と共に、得られる硬化性樹脂を硬化する際の官能基とす
るために使用するものであり、分子内にカルボキシル基
および/またはその塩と重合性不飽和基とを有するもの
であれば特に制限されず、例えば(メタ)アクリル酸、
クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸もしく
はこれらの半エステルまたはこれらの塩等が挙げられ、
これらの1種または2種以上の混合物を使用できる。 重合体〔I〕を合成する際の重合性単量体成分(A)
は、不飽和カルボン酸だけから構成されてもよいが、必
要により不飽和カルボン酸以外の重合性単量体を併用し
てもよい。使用できる重合性単量体としては、不飽和カ
ルボン酸と共重合性のあるものであれば特に制限され
ず、例えばスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチ
レン、クロルメチルスチレン、スチレンスルホン酸及び
その塩などのスチレン誘導体類;(メタ)アクリルアミ
ド、N−モノメチル(メタ)アクリルアミド、N−モノ
エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メ
タ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド誘導
体類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸
エチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどの(メタ)アク
リル酸とC1〜C18のアルコールのエステル化により合成
される(メタ)アクリル酸エステル類;アクリル酸2−
ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ
プロピル、(メタ)アクリル酸とポリプロピレングリコ
ールもしくはポリエチレグリコールとのモノエステルな
どのヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル
類;(メタ)アクリル酸2−スルホン酸エチル及びその
塩、ビニルスルホン酸及びその塩、酢酸ビニル、(メ
タ)アクリロニトリル等を挙げることができ、これらの
1種または2種以上の混合物を使用できる。不飽和カル
ボン酸以外の重合性単量体は得られる重合体〔I〕の酸
価が200未満とならない量で使用する。また、得られる
重合体〔I〕を用いて乳化重合する際に生成するポリマ
ー成分との相溶性を考慮して、その種類と量を選択する
ことが好ましい。 本発明に使用できるアルキルメルカプタン(B)として
は、例えばn−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメ
ルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシル
メルカプタン、セチルメルカプタン、ステアリルメルカ
プタン等を挙げることができ、これらの1種または2種
以上の混合物が使用できる。アルキルメルカプタン
(B)は、重合体〔I〕の末端にアルキル基を導入して
界面活性能を付与するために使用するもので、炭素数が
6未満のアルキルメルカプタンは乳化重合時の安定性及
び貯蔵安定性の面で使用することができない。アルキル
メルカプタン(B)の使用量は所望する重合体〔I〕の
分子量により決定するものであるが、通常重合性単量体
成分(A)100重量部に対し、2〜300重量部の範囲で使
用する。 重合生単量体成分(A)の重合に用いる重合開始剤は、
周知の油溶性、水溶性の重合開始剤が使用できるが、末
端アルキル基を有する重合体〔I〕を効率よく製造する
ために、その使用量はアルキルメルカプタン(B)1モ
ルに対し1モル以下、より好ましくは0.1モル以下の割
合とするのが好適である。 重合体〔I〕は、その性状により塊状重合、溶液重合、
懸濁重合いずれの方法でも製造することができる。重合
温度としては50〜150℃、重合時間は1〜8時間が良
い。溶液重合の溶剤としては、重合性単量体成分
(A)、アルキルメルカプタン(B)、ラジカル重合開
始剤が溶解し、ラジカル重合を阻害しないものであるな
らば何でも使用することができる。 重合体〔I〕は、それ自体十分な界面活性能を有する
が、乳化重合に用いて目的とする重合時の安定性及び貯
蔵安定性の良好な硬化性水性樹脂分散液を得るために、
カルボキシル基の一部もしくは全量を中和して重合体
〔I〕の塩として使用に供するのが好ましい。 中和剤としては、通常のものを使用することができ、例
えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ
金属化合物;水酸化カルシウム、炭酸カルシウムなどの
アルカリ土類金属化合物;アンモニア;モノメチルアミ
ン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルア
ミン、ジエチルアミン、トリエチルモノアミン、モノプ
ロピルアミン、ジメチルプロピルアミン、モノエタノー
ルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミ
ン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンなどの水
溶性有機アミン類が挙げられ、これらの群から選ばれる
1種または2種以上の混合物で使用することができる。
硬化被膜の耐水性をより向上させたい場合は、常温ある
いは加熱により飛散する、例えばアンモニア、モノメチ
ルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミンなどの低
沸点アミン類を使用することが好ましい。 本発明の硬化性水性樹脂分散液の製造に用いられる、重
合体〔I〕および/またはその塩の有するカルボキシル
基との反応性を有する基を含有する重合性単量体(a)
としては、例えば(メタ)アクリル酸グリシジル、(メ
タ)アクリル酸2−メチルグリシジル、アリルグリシジ
ルエーテルなどのエポキシ基含有重合性単量体類;(メ
タ)アクリロイルアジリジン、(メタ)アクリル酸2−
アジリジニルエチルなどのアジリジニル基含有重合性単
量体類;2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−ビ
ニル−2−オキサゾリンなどのオキサゾリン基含有重合
性単量体類等を挙げることができ、これらの1種または
2種以上の混合物を使用することができる。重合性単量
体(a)の使用量は、乳化重合に用いる重合性単量体成
分〔II〕中0.5〜40重量%であり、より好ましくは3〜1
5重量%である。重合性単量体(a)の使用量が0.5重量
%未満では、乳化剤として用いた重合体〔I〕のカルボ
キシル基が未反応して多量に残ると共に架橋が不十分と
なるため、耐水性、耐溶剤性、強度に改善が認められな
い。一方、40重量%を越えて使用すると、乳化重合時の
安定性及び貯蔵安定性が悪くなるので好ましくない。 本発明の乳化重合に用いられる重合性単量体(a)以外
の重合性単量体(b)は、重合性のものであれば特に限
定されないが、目的、用途に応じてその中の1種あるい
は2種以上を組合わせて使用することができる。これら
重合性単量体としては、例えば、重合体〔I〕の合成に
用いた前記重合性単量体成分〔A〕がそのまま挙げられ
る他、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、ジメ
チルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルア
ミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジ
ン、ビニルイミダゾール、ビニルピロリドンなどの塩基
性不飽和単量体類;(メタ)アクリル酸とエチレングリ
コール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、1,6−ヘキサングリコール、ネオペンチルグリコ
ール、ポリエチレングリコール、ポリプルピレングリコ
ール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトー
ル、ジペンタエリスリトールなどの多価アルコールとの
エステルなどの分子内に重合性不飽和基を2個以上有す
る多官能(メタ)アクリル酸エステル類;N−メチロール
(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)
アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類;ビニ
ルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロ
ピルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、
トリメトキシシリルプロピルアリルアミンなどの有機ケ
イ素基含有不飽和単量体類;及び弗化ビニル、弗化ビニ
リデン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ジビニルベンゼ
ン、ジアリルフタレートなどを挙げることができる。 本発明は、前記重合体〔I〕および/またはその塩を乳
化剤として、重合性単量体(a)および他の重合性単量
体(b)からなる重合性単量体成分〔II〕を水性媒体中
で乳化重合してなる硬化性樹脂分散液に関するものであ
り、その重合方法については従来公知のあらゆる乳化重
合法が適用できる。例えば、重合触媒、水、前記重合体
〔I〕および/またはその塩、重合性単量体(a)を含
む重合性単量体成分〔II〕を一括混合して重合する方法
もしくはいわゆるモノマー滴下法、プレエマルシヨン法
などの方法により本発明の硬化性水性樹脂分散液を合成
することができる。重合温度としては0〜100℃、好ま
しくは50〜80℃、重合時間は1〜10時間である。乳化重
合の際、親水性溶媒を加えること及び他の公知の乳化
剤、添加剤を加えることは、その被膜の物性に悪影響を
及ぼさない範囲において可能である。 重合体〔I〕および/またはその塩の使用量は重合性単
量体成分〔II〕100重量部に対して0.5〜200重量部の範
囲が好ましく、より好ましくは1〜15重量部である。0.
5重量部未満の使用量では乳化重合の安定性が悪く、200
重量部を越して使用すると重合中にゲル化が起こるな
ど、やはり安定性が悪くなる。 重合触媒としては、従来公知のものならば何でも使用す
ることができる。ただし、更に耐水性に優れた被膜を与
える硬化性樹脂分散液を得るためには、過酸化水素、ジ
−t−ブチルパーオキサイド、過酢酸、2,2′−アゾビ
ス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、4,4′−アゾビ
ス(4−シアノペンタン酸)などの硫酸根を残さない重
合触媒の1種または2種以上の混合物を使用するのが好
ましい。より好ましくは、重合性単量体(a)の反応性
基に対して高い反応性を有するアミジノ基、カルボキシ
ルなどを分子内に含有する2,2′−アゾビス(2−アミ
ジノプロパン)二塩酸塩、4,4′−アゾビス(4−シア
ノペンタン酸)などが挙げられる。重合触媒の使用量
は、通常重合性単量体成分〔II〕100重量部に対して0.0
1〜5重量部の範囲である。 乳化重合に際して、重合性単量体成分〔II〕を1種以上
の重合性単量体(a)を含む重合性単量体成分〔II−
a〕と1種以上の該重合性単量体(a)を含まぬ重合性
単量体成分〔II−b〕とに分割し、これらを多段重合す
ることは、このようにして得られた硬化性水性樹脂分散
液の被膜の耐水性、耐溶剤性、強度の向上が特に著しい
ので好ましい。その際、重合性単量体成分〔II−a〕及
び重合性単量体成分〔II−b〕をそれぞれ何段階に分け
て乳化重合しても良く、重合する順序をもとわない。 多段重合は、硬化被膜の耐水性、耐溶剤性、強度を著し
く向上させるものであるが、特に最後段に重合する成分
として重合性単量体成分〔II−b〕を用いると、硬化被
膜の上記物性をより向上させるばかりでなく、貯蔵安定
性を飛躍的に向上させるので好ましい。 以上のようにして製造された硬化性水性樹脂分散液は、
それ自体常温もしくは加熱により自己架橋として耐水
性、耐溶剤性の良好な高強度の硬化被膜を形成するもの
であるが、必要によりアミノプラスト樹脂、多官能ブロ
ックイソシアネート、エポキシ樹脂、顔料、消泡剤、成
膜助剤などを添加して使用することができる。 (発明の効果) 本発明の硬化性水性樹脂分散液は、不飽和カルボン酸を
含む重合性単量体成分(A)を炭素数が6〜18のアルキ
ルメルカプタン(B)存在下、ラジカル重合して得られ
る酸価が200以上の水溶性もしくは水分散性の末端アル
キル基を有する重合体〔I〕および/またはその塩を乳
化剤に用いて、前記重合体〔I〕および/またはその塩
の有するカルボキシル基との反応性を有する基を含有す
る重合性単量体(a)0.5〜40重量%を含み残部が他の
重合性単量体(b)である重合性単量体成分〔II〕を水
性媒体中で乳化重合して得られるものであるので下記
〜の作用を有する。 水分散液の状態では重合体〔I〕が乳化重合樹脂粒
子の界面のみに付着していて乳化重合樹脂粒子を水性媒
体中に安定に保持する。 該水分散液から水を飛散させた際には、重合体
〔I〕および/またはその塩が乳化重合樹脂粒子の界面
から内部に拡散して均一になり、重合体〔I〕の有する
カルボキシル基および/またはその中和基と乳化重合樹
脂粒子の有する反応性基とが反応する。 このカルボキシル基および/またはその中和基と反
応性基との反応により、乳化重合樹脂粒子内および乳化
重合樹脂粒子間で架橋構造が形成される。 架橋反応により、親水性基である、カルボキシル
基、その中和基や前記反応性基が消費される。 架橋反応が付加反応であり、有害物質を副生しな
い。 このため、この発明の硬化性水性樹脂分散液は、貯蔵安
定性が良好で、ホルマリンを発生することなく、耐水
性、耐溶剤性、強度など諸物性の非常に優れた被膜を与
えるものである。それ故、当硬化性水性樹脂分散液は、
塗料、接着剤、紙加工剤、繊維加工剤、モルタル改質剤
など広範な用途、特に耐水性、耐溶剤性の要求される分
野において有用なものである。 (実施例) 以下実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明
の範囲がこれら実施例のみに限定されるものではない。
尚、実施例中に特にことわりのない限り%は重量%を、
部は重量部をそれぞれ示すものとする。 参考例1 撹拌機、還流冷却器、窒素導入管、温度計、滴下ロート
を備えたフラスコにイソプロピルアルコール180部を仕
込み、窒素を吹き込みながら81℃まで内温を上昇させ
て、イソプロピルアルコールを10分間還流させた。次に
予め用意しておいた、アクリル酸174部、n−ドデシル
メルカプタン36部、及び2,2′−アゾビスイソブチロニ
トリル0.42部からなる重合性単量体混合物を1時間かけ
て滴下、重合した。滴下終了後、還流状態で1時間熟成
を行い、固形分53.9%の重合体(1)の溶液を得た。該
重合体(1)は、下記一般式にて代表される構造を有す
る、酸価645、数平均分子量1200の白色粉末状物であっ
た。 参考例2 参考例1と同様のフラスコに、イソプロピルアルコール
180部を仕込み、窒素を吹き込みながら81℃まで内温を
上げて、イソプロピルアルコールを10分間還流させた。
続いて予め用意しておいたアクリル酸86部、アクリル酸
2−ヒドロキシエチル139部、n−ドデシルメルカプタ
ン36部、イソプロピルアルコール30部及び2,2′−アゾ
ビスイソブチロニトリル0.30部からなる重合性単量体混
合物を1時間かけて滴下、重合した。滴下終了後、還流
状態で1時間熟成を行い固形分55.4%の重合体(2)の
溶液を得た。該重合体(2)は、下記一般式にて代表さ
れる構造を有する、酸価256数平均分子量1500の白色粘
稠であった。 比較参考例1 参考例1と同様のフラスコに、イソプロピルアルコール
180部を仕込み、窒素を吹き込みながら81℃まで内温を
上げて、イソプロピルアルコールを10分間還流させた。
続いて予め用意しておいたアクリル酸10部、メタクリル
酸2−ヒドロキシエチル20部、メタクリル酸メチル40
部、アクリル酸n−ブチル20部、スチレン10部及び2,
2′−アゾビスイソブチロニトリル4部からなる重合性
単量体混合物を3時間かけて滴下、重合した。滴下終了
後、還流状態で1時間熟成を行い、固形分52.9%の比較
用の重合体(1′)の溶液を得た。該重合体(1′)
は、酸価38、数平均分子量7500の白色樹脂状物であっ
た。 比較参考例2 参考例1と同様のフラスコに、イソプロピルアルコール
180部を仕込み、窒素を吹き込みながら81℃まで内温を
上げて、イソプロピルアルコールを10分間還流させた。
続いて予め用意しておいたアクリル酸86部、アクリル酸
2−ヒドロキシエチル139部、チオグリコール14部及び
2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.30部からなる重
合性単量体混合物を1時間かけて滴下、重合した。滴下
終了後、還流状態で1時間熟成を行い、固形分56.9%の
比較用重合体(2′)溶液を得た。該重合体(2′)
は、下記一般式にて代表される構造を有する酸価280、
数平均分子量1400の白色粘稠部であった。 実施例1 滴下ロート、撹拌機、窒素導入管、温度計及び還流冷却
器を備えたフラスコに純水150部、参考例1で得られた
重合体(1)の溶液5.6部を仕込み、28%アンモニア水
2.1部を加えて中和し、乳化を剤とした。ゆるやかに窒
素ガスを吹き込みながら65℃に加熱した。滴下ロートに
アクリル酸ブチル55部、メタクリル酸メチル35部、メタ
クリル酸グリシジル10部からなる重合性単量体混合物を
調製し、その内10%量をフラスコに滴下した。続いて2,
2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩の5
%水溶液4部を注入した。10分後、残りの重合性単量体
混合物の滴下を始め、1.5時間で完全に滴下を終了し
た。滴下中は、温度を65〜70℃に保持し、さらに滴下終
了後同温度で1時間撹拌して重合を終了させ、不揮発分
39.5%pH=8.3の硬化性水性樹脂分散液〔I〕を得た。 実施例2〜5 実施例1において、重合体の溶液の量及び種類、中和剤
の量及び種類、重合性単量体混合物の種類を第1表に示
した通りとする他は実施例1と同様の操作を繰返して硬
化性水性樹脂分散液〔2〕〜〔5〕を得た。その結果を
まとめて第1表に示した。 実施例6 実施例1において、2,2′−アゾビス(2−アミジノプ
ロパン)二塩酸塩の5%水溶液の代わりに、過硫酸カリ
ウムの5%水溶液を同量使用する他は、実施例1と同様
の操作を繰返して硬化性水性樹脂分散液〔6〕を得た。
その結果を第1表に示した。 比較例1 実施例1において、カルボキシル基との反応性を有する
重合性単量体(a)〔メタクリル酸グリシジル〕を含ま
ない、アクリル酸ブチル55部、メタクリル酸メチル45部
よりなる重合性単量体混合物を使用した他は、実施例1
と同様の操作を繰り返して比較用水性樹脂分散液
〔1′〕を得た。その結果を第1表に示した。 比較例2〜3 実施例1において、乳化剤として重合体(1)のアンモ
ニア中和物の代わりに、市販の乳化剤を使用する他は実
施例1と同様の操作を繰返して比較用水性樹脂分散液
〔2′〕〜〔3′〕を得た。その結果をまとめて第1表
に示した。 比較例4 実施例1において、重合体(1)の溶液の代わりに比較
用重合体(1′)の溶液を同量、28%アンモニア水の代
わりにジメチルエタノール0.18部を使用する他は同様の
操作を繰返して乳化重合を行なった。しかしながら、滴
下の後半で凝集物が多量に生成し、重合続行が不可能な
状態となった。 比較例5 実施例1において、重合体(1)の溶液の代わりに比較
用重合体(1′)の溶液を35部、28%アンモニア水の代
わりにジメチルエタノールアミン1.12部を使用し、重合
性単量体の使用量を第1表に示した通りとする他は同様
の操作を繰返して比較用水性樹脂分散液〔5′〕を得
た。その結果を第1表に示した。 比較例6 実施例1において、重合体(1)の溶液の代わりに比較
用重合体(2′)の溶液を同量、28%アンモニア水を1.
6部使用する以外は同様の操作を繰返して乳化重合を行
なった。しかしながら、滴下の後半で凝集物が多量に生
成し、重合続行が不可能な状態となった。 比較例7 実施例1において、重合性単量体混合物としてアクリル
酸ブチル55部、メタクリルグリシジル45部からなる混合
物を使用する以外は同様の操作を繰返して乳化重合を行
なった。しかしながら、滴下の後半で凝集物が多量に生
成し、重合続行が不可能な状態となった。 実施例7 実施例1と同様のフラスコに純水150部、参考例1で得
られた重合体(2)の溶液5.6部を仕込み、28%アンモ
ニア水2.1部を加えて中和した。ゆるやかに窒素ガスを
吹き込みながら65℃に加熱した。滴下ロートにアクリル
酸ブチル20部、メタクリル酸グリシジル10部からなる重
合性単量体(a)を含んでなる重合性単量体混合物
〔イ〕を調整し、その内10部をフラスコに滴下した。続
いて2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸
塩の5%水溶液4部を注入した。10分後、残りの重合性
単量体混合物〔イ〕の滴下を始め、20分間で完全に滴下
を終了した。30分間撹拌を続けた後、第2段の重合とし
て滴下ロートにアクリル酸ブチル35部、メタクリル酸メ
チル35部からなる重合性単量体(a)を含まない重合性
単量体混合物〔ロ〕を調整し、1時間かけて滴下した。
重合中は、温度の65〜70℃に保持し、さらに第2段の滴
下終了後同温度で1時間撹拌して重合を終了させ、不揮
発分39.4%、pH=8.4の硬化性水性樹脂分散液〔7〕を
得た。 実施例8〜9 実施例7と同様にして、重合性単量体(a)を含んでな
る重合性単量体混合物〔イ〕を重合した後、第2段の重
合として重合性単量体(a)を含まない重合性単量体混
合物〔ロ〕の重合を行い、硬化性水性樹脂分散液〔8〕
〜
良好な貯蔵安定性を示し、水を飛散させて被膜とした際
には乳化剤と乳化重合樹脂が架橋反応して特に耐水性に
優れた透明な硬化被膜を形成しうる硬化性水性樹脂分散
液に関する。 (従来の技術) 水性樹脂分散液は、従来より各種乳化剤を用いて乳化重
合法により製造されており、その無公害性、作業性の良
さ、省資源といった利点を生かして、塗料、接着剤、紙
加工剤、繊維加工剤、モルタル改質剤など広範な応用用
途を持っている。 しかしながら、乳化重合に用いた親水性の乳化剤は水を
飛散させて被膜とした後も被膜中に残存し、しかも1日
粒子界面に局在化し易いために、被膜の耐水性など諸物
性に悪影響を及ぼす原因となっている。この様な水性樹
脂分散液の本質的な欠点を改良するために、過硫酸カリ
ウムなどを多量に用いるソープフリー乳化重合法、高分
子乳化剤を用いた乳化重合法、重合性不飽和基を分子内
に有する反応性乳化剤を用いた乳化重合法等が提案され
ているが、耐水性に関してはいまだ不十分である。 一方、従来より各種架橋反応により被膜の耐溶剤性及び
強度の向上が図られている。最も広く行なわれている方
法としては、N−メチロール(メタ)アクリルアミドや
N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の官能性
単量体を共重合成分に用いる方法があるが、この方法に
より得られる水性樹脂分散液は一般に液の安定性が悪
く、また架橋被膜を形成する過程でホルマリンを発生す
る問題点を有する。 (発明が解決しようとする問題点) 本発明は、従来の水性樹脂分散液が有していた前記問題
点を解消するものであり、従ってその目的は水分散液の
状態では極めて安定で、しかも被膜を形成するに際して
はホルマリン等の有害物質を発生することなく硬化し
て、耐水性、耐溶剤性、強度に優れた被膜を与える硬化
性水性樹脂分散液を提供することにある。 (問題点を解決するための手段および作用) 本発明者らは、下記〜の解決目標: 乳化重合樹脂の水分散液の安定性が良好であるこ
と、 その水分散液から水を飛散させた際には、乳化剤と
乳化重合樹脂粒子とができるだけ均一に反応して架橋が
起こること、 乳化剤と乳化重合樹脂粒子とができるだけ均一に反
応するために、水を飛散させた際に乳化剤が乳化重合樹
脂粒子の界面から内部に拡散すること、 架橋反応により、乳化剤と乳化重合樹脂粒子の有す
る親水性基が消費されること、および、 架橋反応により、ホルマリンのような有害物質が副
生しないこと、 を設定し、乳化剤と共重合成分の両方に着目して鋭意研
究を進めた結果特定の方法により得られる末端アルキル
基を有する重合体を乳化剤に用い、特定成分の重合性単
量体を乳化重合して得られる硬化性水性樹脂分散液が、
前記目的を達成しうるものであることを見いだし、本発
明を完成するに至った。 即ち、本発明は不飽和カルボン酸を必須成分として含む
重合性単量体成分(A)を炭素数が6〜18のアルキルメ
ルカプタン(B)の存在下に重合して得られる酸価が20
0以上の水溶性もしくは水分散性の末端アルキル基を有
する重合体〔I〕および/またはその塩を乳化剤に用い
て、前記重合体〔I〕および/またはその塩の有するカ
ルボキシル基との反応性を有する基を含有重合性単量体
(a)0.5〜40重量%および他の重合性単量体(b)60
〜99.5重量%(但し、重合性単量体(a)および(b)
の合計は100重量%である。)からなる重合性単量体成
分〔II〕を水性媒体中で乳化重合して得られることを特
徴とする硬化性水性樹脂分散液に関するものである。 本発明において乳化剤に用いる集合体〔I〕は前記の手
順で得られるものであるが、乳化重合時の安定性や得ら
れる樹脂の被膜の耐水性、耐溶剤性、強度等の諸物性の
面で、酸価が200以上でなければならない。また、その
分子量は300〜7000、特に400〜4000の範囲とするのが好
適である。分子量がこの範囲以外のものを使用すると十
分に乳化安定性が得られなかったり、耐水性、耐溶剤
性、強度のすべてに優れた樹脂の被膜が得られなかった
りする場合がある。 重合体〔I〕の合成に用いる不飽和カルボン酸は、重合
体〔I〕にカルボキシル基を導入して親水性を付与する
と共に、得られる硬化性樹脂を硬化する際の官能基とす
るために使用するものであり、分子内にカルボキシル基
および/またはその塩と重合性不飽和基とを有するもの
であれば特に制限されず、例えば(メタ)アクリル酸、
クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸もしく
はこれらの半エステルまたはこれらの塩等が挙げられ、
これらの1種または2種以上の混合物を使用できる。 重合体〔I〕を合成する際の重合性単量体成分(A)
は、不飽和カルボン酸だけから構成されてもよいが、必
要により不飽和カルボン酸以外の重合性単量体を併用し
てもよい。使用できる重合性単量体としては、不飽和カ
ルボン酸と共重合性のあるものであれば特に制限され
ず、例えばスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチ
レン、クロルメチルスチレン、スチレンスルホン酸及び
その塩などのスチレン誘導体類;(メタ)アクリルアミ
ド、N−モノメチル(メタ)アクリルアミド、N−モノ
エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メ
タ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド誘導
体類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸
エチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどの(メタ)アク
リル酸とC1〜C18のアルコールのエステル化により合成
される(メタ)アクリル酸エステル類;アクリル酸2−
ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ
プロピル、(メタ)アクリル酸とポリプロピレングリコ
ールもしくはポリエチレグリコールとのモノエステルな
どのヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル
類;(メタ)アクリル酸2−スルホン酸エチル及びその
塩、ビニルスルホン酸及びその塩、酢酸ビニル、(メ
タ)アクリロニトリル等を挙げることができ、これらの
1種または2種以上の混合物を使用できる。不飽和カル
ボン酸以外の重合性単量体は得られる重合体〔I〕の酸
価が200未満とならない量で使用する。また、得られる
重合体〔I〕を用いて乳化重合する際に生成するポリマ
ー成分との相溶性を考慮して、その種類と量を選択する
ことが好ましい。 本発明に使用できるアルキルメルカプタン(B)として
は、例えばn−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメ
ルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシル
メルカプタン、セチルメルカプタン、ステアリルメルカ
プタン等を挙げることができ、これらの1種または2種
以上の混合物が使用できる。アルキルメルカプタン
(B)は、重合体〔I〕の末端にアルキル基を導入して
界面活性能を付与するために使用するもので、炭素数が
6未満のアルキルメルカプタンは乳化重合時の安定性及
び貯蔵安定性の面で使用することができない。アルキル
メルカプタン(B)の使用量は所望する重合体〔I〕の
分子量により決定するものであるが、通常重合性単量体
成分(A)100重量部に対し、2〜300重量部の範囲で使
用する。 重合生単量体成分(A)の重合に用いる重合開始剤は、
周知の油溶性、水溶性の重合開始剤が使用できるが、末
端アルキル基を有する重合体〔I〕を効率よく製造する
ために、その使用量はアルキルメルカプタン(B)1モ
ルに対し1モル以下、より好ましくは0.1モル以下の割
合とするのが好適である。 重合体〔I〕は、その性状により塊状重合、溶液重合、
懸濁重合いずれの方法でも製造することができる。重合
温度としては50〜150℃、重合時間は1〜8時間が良
い。溶液重合の溶剤としては、重合性単量体成分
(A)、アルキルメルカプタン(B)、ラジカル重合開
始剤が溶解し、ラジカル重合を阻害しないものであるな
らば何でも使用することができる。 重合体〔I〕は、それ自体十分な界面活性能を有する
が、乳化重合に用いて目的とする重合時の安定性及び貯
蔵安定性の良好な硬化性水性樹脂分散液を得るために、
カルボキシル基の一部もしくは全量を中和して重合体
〔I〕の塩として使用に供するのが好ましい。 中和剤としては、通常のものを使用することができ、例
えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ
金属化合物;水酸化カルシウム、炭酸カルシウムなどの
アルカリ土類金属化合物;アンモニア;モノメチルアミ
ン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルア
ミン、ジエチルアミン、トリエチルモノアミン、モノプ
ロピルアミン、ジメチルプロピルアミン、モノエタノー
ルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミ
ン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンなどの水
溶性有機アミン類が挙げられ、これらの群から選ばれる
1種または2種以上の混合物で使用することができる。
硬化被膜の耐水性をより向上させたい場合は、常温ある
いは加熱により飛散する、例えばアンモニア、モノメチ
ルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミンなどの低
沸点アミン類を使用することが好ましい。 本発明の硬化性水性樹脂分散液の製造に用いられる、重
合体〔I〕および/またはその塩の有するカルボキシル
基との反応性を有する基を含有する重合性単量体(a)
としては、例えば(メタ)アクリル酸グリシジル、(メ
タ)アクリル酸2−メチルグリシジル、アリルグリシジ
ルエーテルなどのエポキシ基含有重合性単量体類;(メ
タ)アクリロイルアジリジン、(メタ)アクリル酸2−
アジリジニルエチルなどのアジリジニル基含有重合性単
量体類;2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−ビ
ニル−2−オキサゾリンなどのオキサゾリン基含有重合
性単量体類等を挙げることができ、これらの1種または
2種以上の混合物を使用することができる。重合性単量
体(a)の使用量は、乳化重合に用いる重合性単量体成
分〔II〕中0.5〜40重量%であり、より好ましくは3〜1
5重量%である。重合性単量体(a)の使用量が0.5重量
%未満では、乳化剤として用いた重合体〔I〕のカルボ
キシル基が未反応して多量に残ると共に架橋が不十分と
なるため、耐水性、耐溶剤性、強度に改善が認められな
い。一方、40重量%を越えて使用すると、乳化重合時の
安定性及び貯蔵安定性が悪くなるので好ましくない。 本発明の乳化重合に用いられる重合性単量体(a)以外
の重合性単量体(b)は、重合性のものであれば特に限
定されないが、目的、用途に応じてその中の1種あるい
は2種以上を組合わせて使用することができる。これら
重合性単量体としては、例えば、重合体〔I〕の合成に
用いた前記重合性単量体成分〔A〕がそのまま挙げられ
る他、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、ジメ
チルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルア
ミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジ
ン、ビニルイミダゾール、ビニルピロリドンなどの塩基
性不飽和単量体類;(メタ)アクリル酸とエチレングリ
コール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、1,6−ヘキサングリコール、ネオペンチルグリコ
ール、ポリエチレングリコール、ポリプルピレングリコ
ール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトー
ル、ジペンタエリスリトールなどの多価アルコールとの
エステルなどの分子内に重合性不飽和基を2個以上有す
る多官能(メタ)アクリル酸エステル類;N−メチロール
(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)
アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類;ビニ
ルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロ
ピルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、
トリメトキシシリルプロピルアリルアミンなどの有機ケ
イ素基含有不飽和単量体類;及び弗化ビニル、弗化ビニ
リデン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ジビニルベンゼ
ン、ジアリルフタレートなどを挙げることができる。 本発明は、前記重合体〔I〕および/またはその塩を乳
化剤として、重合性単量体(a)および他の重合性単量
体(b)からなる重合性単量体成分〔II〕を水性媒体中
で乳化重合してなる硬化性樹脂分散液に関するものであ
り、その重合方法については従来公知のあらゆる乳化重
合法が適用できる。例えば、重合触媒、水、前記重合体
〔I〕および/またはその塩、重合性単量体(a)を含
む重合性単量体成分〔II〕を一括混合して重合する方法
もしくはいわゆるモノマー滴下法、プレエマルシヨン法
などの方法により本発明の硬化性水性樹脂分散液を合成
することができる。重合温度としては0〜100℃、好ま
しくは50〜80℃、重合時間は1〜10時間である。乳化重
合の際、親水性溶媒を加えること及び他の公知の乳化
剤、添加剤を加えることは、その被膜の物性に悪影響を
及ぼさない範囲において可能である。 重合体〔I〕および/またはその塩の使用量は重合性単
量体成分〔II〕100重量部に対して0.5〜200重量部の範
囲が好ましく、より好ましくは1〜15重量部である。0.
5重量部未満の使用量では乳化重合の安定性が悪く、200
重量部を越して使用すると重合中にゲル化が起こるな
ど、やはり安定性が悪くなる。 重合触媒としては、従来公知のものならば何でも使用す
ることができる。ただし、更に耐水性に優れた被膜を与
える硬化性樹脂分散液を得るためには、過酸化水素、ジ
−t−ブチルパーオキサイド、過酢酸、2,2′−アゾビ
ス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、4,4′−アゾビ
ス(4−シアノペンタン酸)などの硫酸根を残さない重
合触媒の1種または2種以上の混合物を使用するのが好
ましい。より好ましくは、重合性単量体(a)の反応性
基に対して高い反応性を有するアミジノ基、カルボキシ
ルなどを分子内に含有する2,2′−アゾビス(2−アミ
ジノプロパン)二塩酸塩、4,4′−アゾビス(4−シア
ノペンタン酸)などが挙げられる。重合触媒の使用量
は、通常重合性単量体成分〔II〕100重量部に対して0.0
1〜5重量部の範囲である。 乳化重合に際して、重合性単量体成分〔II〕を1種以上
の重合性単量体(a)を含む重合性単量体成分〔II−
a〕と1種以上の該重合性単量体(a)を含まぬ重合性
単量体成分〔II−b〕とに分割し、これらを多段重合す
ることは、このようにして得られた硬化性水性樹脂分散
液の被膜の耐水性、耐溶剤性、強度の向上が特に著しい
ので好ましい。その際、重合性単量体成分〔II−a〕及
び重合性単量体成分〔II−b〕をそれぞれ何段階に分け
て乳化重合しても良く、重合する順序をもとわない。 多段重合は、硬化被膜の耐水性、耐溶剤性、強度を著し
く向上させるものであるが、特に最後段に重合する成分
として重合性単量体成分〔II−b〕を用いると、硬化被
膜の上記物性をより向上させるばかりでなく、貯蔵安定
性を飛躍的に向上させるので好ましい。 以上のようにして製造された硬化性水性樹脂分散液は、
それ自体常温もしくは加熱により自己架橋として耐水
性、耐溶剤性の良好な高強度の硬化被膜を形成するもの
であるが、必要によりアミノプラスト樹脂、多官能ブロ
ックイソシアネート、エポキシ樹脂、顔料、消泡剤、成
膜助剤などを添加して使用することができる。 (発明の効果) 本発明の硬化性水性樹脂分散液は、不飽和カルボン酸を
含む重合性単量体成分(A)を炭素数が6〜18のアルキ
ルメルカプタン(B)存在下、ラジカル重合して得られ
る酸価が200以上の水溶性もしくは水分散性の末端アル
キル基を有する重合体〔I〕および/またはその塩を乳
化剤に用いて、前記重合体〔I〕および/またはその塩
の有するカルボキシル基との反応性を有する基を含有す
る重合性単量体(a)0.5〜40重量%を含み残部が他の
重合性単量体(b)である重合性単量体成分〔II〕を水
性媒体中で乳化重合して得られるものであるので下記
〜の作用を有する。 水分散液の状態では重合体〔I〕が乳化重合樹脂粒
子の界面のみに付着していて乳化重合樹脂粒子を水性媒
体中に安定に保持する。 該水分散液から水を飛散させた際には、重合体
〔I〕および/またはその塩が乳化重合樹脂粒子の界面
から内部に拡散して均一になり、重合体〔I〕の有する
カルボキシル基および/またはその中和基と乳化重合樹
脂粒子の有する反応性基とが反応する。 このカルボキシル基および/またはその中和基と反
応性基との反応により、乳化重合樹脂粒子内および乳化
重合樹脂粒子間で架橋構造が形成される。 架橋反応により、親水性基である、カルボキシル
基、その中和基や前記反応性基が消費される。 架橋反応が付加反応であり、有害物質を副生しな
い。 このため、この発明の硬化性水性樹脂分散液は、貯蔵安
定性が良好で、ホルマリンを発生することなく、耐水
性、耐溶剤性、強度など諸物性の非常に優れた被膜を与
えるものである。それ故、当硬化性水性樹脂分散液は、
塗料、接着剤、紙加工剤、繊維加工剤、モルタル改質剤
など広範な用途、特に耐水性、耐溶剤性の要求される分
野において有用なものである。 (実施例) 以下実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明
の範囲がこれら実施例のみに限定されるものではない。
尚、実施例中に特にことわりのない限り%は重量%を、
部は重量部をそれぞれ示すものとする。 参考例1 撹拌機、還流冷却器、窒素導入管、温度計、滴下ロート
を備えたフラスコにイソプロピルアルコール180部を仕
込み、窒素を吹き込みながら81℃まで内温を上昇させ
て、イソプロピルアルコールを10分間還流させた。次に
予め用意しておいた、アクリル酸174部、n−ドデシル
メルカプタン36部、及び2,2′−アゾビスイソブチロニ
トリル0.42部からなる重合性単量体混合物を1時間かけ
て滴下、重合した。滴下終了後、還流状態で1時間熟成
を行い、固形分53.9%の重合体(1)の溶液を得た。該
重合体(1)は、下記一般式にて代表される構造を有す
る、酸価645、数平均分子量1200の白色粉末状物であっ
た。 参考例2 参考例1と同様のフラスコに、イソプロピルアルコール
180部を仕込み、窒素を吹き込みながら81℃まで内温を
上げて、イソプロピルアルコールを10分間還流させた。
続いて予め用意しておいたアクリル酸86部、アクリル酸
2−ヒドロキシエチル139部、n−ドデシルメルカプタ
ン36部、イソプロピルアルコール30部及び2,2′−アゾ
ビスイソブチロニトリル0.30部からなる重合性単量体混
合物を1時間かけて滴下、重合した。滴下終了後、還流
状態で1時間熟成を行い固形分55.4%の重合体(2)の
溶液を得た。該重合体(2)は、下記一般式にて代表さ
れる構造を有する、酸価256数平均分子量1500の白色粘
稠であった。 比較参考例1 参考例1と同様のフラスコに、イソプロピルアルコール
180部を仕込み、窒素を吹き込みながら81℃まで内温を
上げて、イソプロピルアルコールを10分間還流させた。
続いて予め用意しておいたアクリル酸10部、メタクリル
酸2−ヒドロキシエチル20部、メタクリル酸メチル40
部、アクリル酸n−ブチル20部、スチレン10部及び2,
2′−アゾビスイソブチロニトリル4部からなる重合性
単量体混合物を3時間かけて滴下、重合した。滴下終了
後、還流状態で1時間熟成を行い、固形分52.9%の比較
用の重合体(1′)の溶液を得た。該重合体(1′)
は、酸価38、数平均分子量7500の白色樹脂状物であっ
た。 比較参考例2 参考例1と同様のフラスコに、イソプロピルアルコール
180部を仕込み、窒素を吹き込みながら81℃まで内温を
上げて、イソプロピルアルコールを10分間還流させた。
続いて予め用意しておいたアクリル酸86部、アクリル酸
2−ヒドロキシエチル139部、チオグリコール14部及び
2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.30部からなる重
合性単量体混合物を1時間かけて滴下、重合した。滴下
終了後、還流状態で1時間熟成を行い、固形分56.9%の
比較用重合体(2′)溶液を得た。該重合体(2′)
は、下記一般式にて代表される構造を有する酸価280、
数平均分子量1400の白色粘稠部であった。 実施例1 滴下ロート、撹拌機、窒素導入管、温度計及び還流冷却
器を備えたフラスコに純水150部、参考例1で得られた
重合体(1)の溶液5.6部を仕込み、28%アンモニア水
2.1部を加えて中和し、乳化を剤とした。ゆるやかに窒
素ガスを吹き込みながら65℃に加熱した。滴下ロートに
アクリル酸ブチル55部、メタクリル酸メチル35部、メタ
クリル酸グリシジル10部からなる重合性単量体混合物を
調製し、その内10%量をフラスコに滴下した。続いて2,
2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩の5
%水溶液4部を注入した。10分後、残りの重合性単量体
混合物の滴下を始め、1.5時間で完全に滴下を終了し
た。滴下中は、温度を65〜70℃に保持し、さらに滴下終
了後同温度で1時間撹拌して重合を終了させ、不揮発分
39.5%pH=8.3の硬化性水性樹脂分散液〔I〕を得た。 実施例2〜5 実施例1において、重合体の溶液の量及び種類、中和剤
の量及び種類、重合性単量体混合物の種類を第1表に示
した通りとする他は実施例1と同様の操作を繰返して硬
化性水性樹脂分散液〔2〕〜〔5〕を得た。その結果を
まとめて第1表に示した。 実施例6 実施例1において、2,2′−アゾビス(2−アミジノプ
ロパン)二塩酸塩の5%水溶液の代わりに、過硫酸カリ
ウムの5%水溶液を同量使用する他は、実施例1と同様
の操作を繰返して硬化性水性樹脂分散液〔6〕を得た。
その結果を第1表に示した。 比較例1 実施例1において、カルボキシル基との反応性を有する
重合性単量体(a)〔メタクリル酸グリシジル〕を含ま
ない、アクリル酸ブチル55部、メタクリル酸メチル45部
よりなる重合性単量体混合物を使用した他は、実施例1
と同様の操作を繰り返して比較用水性樹脂分散液
〔1′〕を得た。その結果を第1表に示した。 比較例2〜3 実施例1において、乳化剤として重合体(1)のアンモ
ニア中和物の代わりに、市販の乳化剤を使用する他は実
施例1と同様の操作を繰返して比較用水性樹脂分散液
〔2′〕〜〔3′〕を得た。その結果をまとめて第1表
に示した。 比較例4 実施例1において、重合体(1)の溶液の代わりに比較
用重合体(1′)の溶液を同量、28%アンモニア水の代
わりにジメチルエタノール0.18部を使用する他は同様の
操作を繰返して乳化重合を行なった。しかしながら、滴
下の後半で凝集物が多量に生成し、重合続行が不可能な
状態となった。 比較例5 実施例1において、重合体(1)の溶液の代わりに比較
用重合体(1′)の溶液を35部、28%アンモニア水の代
わりにジメチルエタノールアミン1.12部を使用し、重合
性単量体の使用量を第1表に示した通りとする他は同様
の操作を繰返して比較用水性樹脂分散液〔5′〕を得
た。その結果を第1表に示した。 比較例6 実施例1において、重合体(1)の溶液の代わりに比較
用重合体(2′)の溶液を同量、28%アンモニア水を1.
6部使用する以外は同様の操作を繰返して乳化重合を行
なった。しかしながら、滴下の後半で凝集物が多量に生
成し、重合続行が不可能な状態となった。 比較例7 実施例1において、重合性単量体混合物としてアクリル
酸ブチル55部、メタクリルグリシジル45部からなる混合
物を使用する以外は同様の操作を繰返して乳化重合を行
なった。しかしながら、滴下の後半で凝集物が多量に生
成し、重合続行が不可能な状態となった。 実施例7 実施例1と同様のフラスコに純水150部、参考例1で得
られた重合体(2)の溶液5.6部を仕込み、28%アンモ
ニア水2.1部を加えて中和した。ゆるやかに窒素ガスを
吹き込みながら65℃に加熱した。滴下ロートにアクリル
酸ブチル20部、メタクリル酸グリシジル10部からなる重
合性単量体(a)を含んでなる重合性単量体混合物
〔イ〕を調整し、その内10部をフラスコに滴下した。続
いて2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸
塩の5%水溶液4部を注入した。10分後、残りの重合性
単量体混合物〔イ〕の滴下を始め、20分間で完全に滴下
を終了した。30分間撹拌を続けた後、第2段の重合とし
て滴下ロートにアクリル酸ブチル35部、メタクリル酸メ
チル35部からなる重合性単量体(a)を含まない重合性
単量体混合物〔ロ〕を調整し、1時間かけて滴下した。
重合中は、温度の65〜70℃に保持し、さらに第2段の滴
下終了後同温度で1時間撹拌して重合を終了させ、不揮
発分39.4%、pH=8.4の硬化性水性樹脂分散液〔7〕を
得た。 実施例8〜9 実施例7と同様にして、重合性単量体(a)を含んでな
る重合性単量体混合物〔イ〕を重合した後、第2段の重
合として重合性単量体(a)を含まない重合性単量体混
合物〔ロ〕の重合を行い、硬化性水性樹脂分散液〔8〕
〜
〔9〕を得た。その結果をまとめて第2表に示した。 比較例8〜9 実施例7と同様にして、重合性単量体混合物〔イ〕、
〔ロ〕の種類及び量を第2表に示した通りとする他は実
施例7と同様の操作を繰り返して比較用水性樹脂分散液
〔8′〕〜〔9′〕を得た。その結果をまとめて第2表
に示した。 実施例10 実施例1〜9及び比較例1〜9で得られた硬化性水性樹
脂分散液〔1〕〜
〔ロ〕の種類及び量を第2表に示した通りとする他は実
施例7と同様の操作を繰り返して比較用水性樹脂分散液
〔8′〕〜〔9′〕を得た。その結果をまとめて第2表
に示した。 実施例10 実施例1〜9及び比較例1〜9で得られた硬化性水性樹
脂分散液〔1〕〜
〔9〕、比較用水性樹脂分散液
〔1′〕〜〔9′〕をテフロン板上で乾燥時の膜厚が0.
2〜0.3mmになるようにキャスティングし、20℃で1日乾
燥して成膜させ、次いで120℃で3分間加熱して試験フ
ィルムを作成した。 得られたフィルムについて下記の性能試験を行い、各水
性樹脂分散液の性能を評価した。その結果、当該重合体
(I)及びカルボキシル基との反応性を有する重合性単
量体(a)の共存系において、当該重合体(I)もしく
は重合性単量体(a)の単独使用系には見られない著し
い耐水性、耐溶剤性、強度の向上が認められた。また、
重合性単量体(a)を含んでなる重合性単量体混合物を
乳化重合した後、第2段の重合として重合性単量体
(a)を含まない重合性単量体混合物の乳化重合を行な
った系は、さらに耐水性、耐溶剤性、強度の優れたもの
であり、かつ貯蔵安定性が飛躍的に良いものであった。
詳細な結果は第3表に示す。 1.耐水性 試験フィルムを約20mm角に切り取り秤量した(W0)。フ
ィルムを3日間脱イオン水に浸漬し、引上げてフィルム
表面の水分を軽くふき取った後秤量した(W1)。さらに
そのフィルムを100℃で1時間乾燥し、放冷後秤量した
(W2)。 下記計算式により吸水率及び溶出率を求め試験フィルム
の耐水性を評価した。 フィルム外観:3日間脱イオン水に浸漬したフィルムの透
明性を評価した。 ○…透明のまま変化なし △…青白くなる ×…白化する 2.耐溶剤性 試験フィルムを2mm角に切り取り、50℃メチルセロルソ
ルブ中に15分間浸漬した。しかる後にフィルムを取り出
し面積膨潤率を測定した。また、試験後フィルムを乾燥
して溶出率を算出した。 3.フィルム強度 JIS K−6732記載の試験方法に基づきフィルムの引張強
度を測定した。 4.貯蔵安定性 硬化性水性樹脂分散液を50℃、30日間放置した前後での
最低造膜温度の変化 ○…全く変化がなかった。 △…0℃〜5℃の範囲で変化した。 ×…5℃以上変化した。
〔1′〕〜〔9′〕をテフロン板上で乾燥時の膜厚が0.
2〜0.3mmになるようにキャスティングし、20℃で1日乾
燥して成膜させ、次いで120℃で3分間加熱して試験フ
ィルムを作成した。 得られたフィルムについて下記の性能試験を行い、各水
性樹脂分散液の性能を評価した。その結果、当該重合体
(I)及びカルボキシル基との反応性を有する重合性単
量体(a)の共存系において、当該重合体(I)もしく
は重合性単量体(a)の単独使用系には見られない著し
い耐水性、耐溶剤性、強度の向上が認められた。また、
重合性単量体(a)を含んでなる重合性単量体混合物を
乳化重合した後、第2段の重合として重合性単量体
(a)を含まない重合性単量体混合物の乳化重合を行な
った系は、さらに耐水性、耐溶剤性、強度の優れたもの
であり、かつ貯蔵安定性が飛躍的に良いものであった。
詳細な結果は第3表に示す。 1.耐水性 試験フィルムを約20mm角に切り取り秤量した(W0)。フ
ィルムを3日間脱イオン水に浸漬し、引上げてフィルム
表面の水分を軽くふき取った後秤量した(W1)。さらに
そのフィルムを100℃で1時間乾燥し、放冷後秤量した
(W2)。 下記計算式により吸水率及び溶出率を求め試験フィルム
の耐水性を評価した。 フィルム外観:3日間脱イオン水に浸漬したフィルムの透
明性を評価した。 ○…透明のまま変化なし △…青白くなる ×…白化する 2.耐溶剤性 試験フィルムを2mm角に切り取り、50℃メチルセロルソ
ルブ中に15分間浸漬した。しかる後にフィルムを取り出
し面積膨潤率を測定した。また、試験後フィルムを乾燥
して溶出率を算出した。 3.フィルム強度 JIS K−6732記載の試験方法に基づきフィルムの引張強
度を測定した。 4.貯蔵安定性 硬化性水性樹脂分散液を50℃、30日間放置した前後での
最低造膜温度の変化 ○…全く変化がなかった。 △…0℃〜5℃の範囲で変化した。 ×…5℃以上変化した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 泉林 益次 大阪府吹田市西御旅町5番8号 日本触媒 化学工業株式会社中央研究所内 (56)参考文献 特開 昭53−21224(JP,A) 特開 昭60−53552(JP,A) 特開 昭54−80334(JP,A)
Claims (3)
- 【請求項1】不飽和カルボン酸を必須成分として含む重
合性単量体成分(A)を炭素数が6〜18のアルキルメル
カプタン(B)の存在下に重合して得られる酸価が200
以上の水溶性もしくは水分散性の末端アルキル基を有す
る重合体〔I〕および/またはその塩を乳化剤に用い
て、前記重合体〔I〕および/またはその塩の有するカ
ルボキシル基との反応性を有する基を含有する重合性単
量体(a)0.5〜40重量%および他の重合性単量体
(b)60〜99.5重量%(但し、重合性単量体(a)およ
び(b)の合計は100重量%である。)からなる重合性
単量体成分〔II〕を水性媒体中で乳化重合して得られる
ことを特徴とする硬化性水性樹脂分散液。 - 【請求項2】重合性単量体成分〔II〕を、1種以上のカ
ルボキシル基との反応性を有する基を含有する重合性単
量体(a)を含む重合性単量体成分〔II−a〕と1種以
上の該重合性単量体(a)を含まぬ重合性単量体成分
〔II−b〕とに分割し、これらを多段重合する特許請求
の範囲第1項記載の硬化性水性樹脂分散液。 - 【請求項3】少なくとも最後段目に重合する成分が重合
性単量体成分〔II−b〕である特許請求の範囲第2項記
載の硬化性水性樹脂分散液。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62093229A JPH0798849B2 (ja) | 1987-04-17 | 1987-04-17 | 硬化性水性樹脂分散液 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62093229A JPH0798849B2 (ja) | 1987-04-17 | 1987-04-17 | 硬化性水性樹脂分散液 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS63258913A JPS63258913A (ja) | 1988-10-26 |
JPH0798849B2 true JPH0798849B2 (ja) | 1995-10-25 |
Family
ID=14076713
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62093229A Expired - Fee Related JPH0798849B2 (ja) | 1987-04-17 | 1987-04-17 | 硬化性水性樹脂分散液 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0798849B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0715042B2 (ja) * | 1990-11-22 | 1995-02-22 | 株式会社日本触媒 | エポキシ樹脂組成物及びその製造方法 |
EP0621312B1 (en) * | 1991-08-13 | 2001-05-09 | Nippon Shokubai Co., Ltd. | Epoxy resin composition and production thereof |
JP2546216B2 (ja) * | 1991-11-18 | 1996-10-23 | 株式会社日本触媒 | 高耐候性一液架橋型エマルション |
US5691416A (en) * | 1992-11-05 | 1997-11-25 | Nippon Shokubai Co., Ltd. | (Meth)acrylate polymer particles dispersed in epoxy resin |
JP3314319B2 (ja) * | 1994-07-11 | 2002-08-12 | 鐘淵化学工業株式会社 | 常温硬化性組成物 |
KR101198080B1 (ko) | 2003-02-28 | 2012-11-05 | 소켄 케미칼 앤드 엔지니어링 캄파니, 리미티드 | 에멀젼형 감압 접착제 및 그 제조방법 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5811903B2 (ja) * | 1976-08-10 | 1983-03-05 | 日本ペイント株式会社 | 被覆用組成物 |
JPS5480334A (en) * | 1977-12-08 | 1979-06-27 | Dainippon Ink & Chem Inc | Thermosetting aqueous coating composition |
JPS6053552A (ja) * | 1983-09-02 | 1985-03-27 | Dainippon Ink & Chem Inc | 感圧接着剤用合成樹脂水分散液 |
-
1987
- 1987-04-17 JP JP62093229A patent/JPH0798849B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS63258913A (ja) | 1988-10-26 |
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Legal Events
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LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |