JP3380059B2 - アルコキシシリル基含有アクリル系エマルジョン - Google Patents

アルコキシシリル基含有アクリル系エマルジョン

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JP3380059B2
JP3380059B2 JP21106094A JP21106094A JP3380059B2 JP 3380059 B2 JP3380059 B2 JP 3380059B2 JP 21106094 A JP21106094 A JP 21106094A JP 21106094 A JP21106094 A JP 21106094A JP 3380059 B2 JP3380059 B2 JP 3380059B2
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、加水分解性のアルコキ
シシリル基を有するアクリル系エマルジョンであって、
長期の貯蔵安定性が良好で、かつエマルジョンから形成
される皮膜の耐久性、耐候性等が優れ、塗料用、シーラ
ント用などのベースエマルジョンとして有用とされるア
クリル系エマルジョンに関するものである。 【0002】 【従来の技術】塗料用等のコーティング剤には耐水性、
耐酸性、耐アルカリ性、耐湿性をはじめ耐久性や耐候性
が求められており、その対応策のひとつとして溶液型の
加水分解性シリル基含有室温硬化性ポリマーを用いるこ
とがよく知られている。このポリマーとしては、特公昭
63-60046号公報に例示されている、1分子中に少なくと
も2個の加水分解性基を有するシリル基を導入した数平
均分子量 300〜30,000の溶液重合によるポリマーなどが
あげられる。しかし近年、低公害、省資源、安全衛生の
面から、これらのコーティング剤にも水系であるエマル
ジョンタイプが求められているが、加水分解性シリル基
が水系において加水分解及び縮合しやすく、貯蔵安定性
のよいエマルジョンタイプの製造が困難であった。 【0003】特開平 5-25354号公報には、貯蔵安定性向
上のため加水分解性シリル基とアミンイミド基を各々1
分子中に少なくとも1個有する樹脂を含有する反応型樹
脂エマルジョンが提案されているが、その製造には有機
溶媒中で溶液重合したのち溶液をトッピングして残った
樹脂を乳化する方法、または溶液のままで水を加えて乳
化したあとトッピングする方法がとられており、工程が
複雑で経済的不利はまぬがれない。さらに貯蔵中の加水
分解性シリル基の縮合反応の防止が十分できず、長期間
保存した場合に、エマルジョンのゲル化は見られないも
のの、エマルジョン粒子内の加水分解性シリル基の縮合
による粒子内架橋が進み、エマルジョンの造膜性が悪く
なり、室温下で良好な皮膜を形成するのが難しくなると
いう問題点があった。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】前記のような状況か
ら、本発明は、アルコキシシリル基による粒子内架橋を
著しく減少させることにより長期貯蔵安定性と造膜性が
良好で、かつ形成される皮膜の耐久性に優れたアルコキ
シシリル基含有アクリル系エマルジョンを提供しようと
してなされたものである。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者らは前記の課題
を解決するため鋭意検討の結果、エマルジョン粒子の芯
(コア)部を形成するポリマーの原料単量体中には、縮
合速度の大きいアルコキシシリル基を含有する単量体を
添加し、外殻(シェル)部を形成するポリマーの原料単
量体中には、縮合速度の極めて小さいアルコキシシリル
基を含有する単量体を添加して、反応性界面活性剤を用
いて乳化重合した、特定のコア・シェル型アルコキシシ
リル基含有アクリル系エマルジョンが課題解決の可能性
をもつことを見出し、さらにコアとシェルの各部分の単
量体及び反応性界面活性剤の種類、量について試験を行
い本発明に至った。 【0006】本発明は前記の課題を解決したものであ
り、本発明は、エマルジョン粒子の芯(コア)と外殻
(シェル)とで組成の異なるコア・シェル型エマルジョ
ンであって、そのコア部には (a)炭素数1〜18個のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエス テル 50〜99重量% (b)式R1SiX3(式中、R1は重合性二重結合を有する1価有機基、Xは炭素数 1〜4のアルコキシル基)で示される有機けい素化合物 1〜20重量% (c)上記(a)及び(b)と共重合可能な単量体 0〜30重量% [ただし、(a)、(b)及び(c)の合計は 100重量%] からなる単量体成分(I)を、シェル部には (A)炭素数1〜18個のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエス テル 50〜99重量% (B)式 R2R3 (3-n)SiYn(式中、R2は重合性二重結合を有する1価有機基、R3 は炭素数1〜4のアルキル基、Yは炭素数1〜4のアルコキシル基、nは1又 は2)で示される有機けい素化合物 1〜20重量% (C)上記(A)及び(B)と共重合可能な単量体 0〜30重量% [ただし、(A)、(B)及び(C)の合計は 100重量%] からなる単量体成分(II)を、その比率が(I)/(I
I)=50/50〜90/10(重量比)になるように用い、反
応性界面活性剤を使用して乳化重合してなるコア・シェ
ル型アルコキシシリル基含有アクリル系エマルジョン、
を要旨とするものである。 【0007】以下に本願発明についてさらに詳しく説明
する。本発明における(a)および(A)成分である
(メタ)アクリル酸アルキルエステルはアクリル系ポリ
マーの骨格を形成するための主成分単量体であり、炭素
数1〜18個の直鎖状もしくは分枝状アルキル基をもつア
ルコール又は環式アルキル基をもつアルコールとアクリ
ル酸又はメタクリル酸とのエステル化合物である。この
単量体としては例えば、アクリル酸又はメタクリル酸の
メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イ
ソブチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ラウリル、
ステアリル又はシクロヘキシルエステルなどをあげるこ
とができ、これらの群から選ばれる1種又は2種以上の
混合物を使用することができる。この(a)成分は、ア
クリル系ポリマーの特性を発揮させるために、単量体成
分(I)全量の50〜99重量%とし、同様に(A)成分は
単量体成分(II)全量の50〜99重量%とする。 【0008】(b)成分の式R1SiX3(式中のR1、Xは前
記に同じ)で示される有機けい素化合物は、縮合速度の
大きいアルコキシシリル基をアクリル系ポリマーへ側鎖
として導入するための単量体である。この単量体として
は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−
アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタク
リロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロ
キシプロピルトリブトキシシランなどが例示される。ま
た、必要に応じて上述以外のジアルコキシシリル基を有
する単量体を併用することができる。このような単量体
の例としては、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニル
メチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピル
メチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピル
メチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメ
チルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシメチルジブ
トキシシランなどがあげられる。これらの単量体は本発
明の効果を損なわないかぎり(b)成分単量体全量の30
重量%以下の範囲で使用することができる。これらの単
量体の1種又は2種以上の混合物がコア部を重合する
際、(b)成分として単量体成分(I)全量の1〜20重
量%用いられる。1重量%未満では形成された皮膜の架
橋密度が低く、耐水性、耐候性等の耐久性が不十分であ
るし、また20重量%を超えると架橋密度が高すぎ、形成
された皮膜がもろくなり、さらにはエマルジョンの貯蔵
安定性も損なわれる。 【0009】(B)成分の式 R2R3 (3-n)SiYn(式中の
R2、R3、Y、nは前記に同じ)で示される有機けい素化
合物は、縮合速度の極めて小さいアルコキシシリル基を
アクリル系ポリマーへ側鎖として導入するための単量体
である。この単量体としては、ビニルメチルジメトキシ
シラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジメチ
ルモノメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラ
ン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、γ−メタクリロキシプロピルジメチルモノメトキシ
シラン、γ−メタクリロキシプロピルジメチルモノエト
キシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキ
シシラン、γ−アクリロキシプロピルジメチルモノメト
キシシラン、γ−メタクリロキシメチルジブトキシシラ
ンなどが例示される。これらの単量体を共重合したシェ
ル部ポリマーは、水分の存在下でも非常に安定であり、
水が蒸発するとシラノール基同士の縮合あるいはシラノ
ール基とアルコキシシリル基との脱アルコール縮合が進
み、架橋密度の高い架橋皮膜を形成する。上記した単量
体の1種又は2種以上の混合物がシェル部を重合する
際、(B)成分として単量体成分(II)全量の1〜20重
量%用いられる。1重量%未満では形成された皮膜の架
橋密度が低く、耐水性、耐候性等の耐久性が不十分であ
るし、また20重量%を超えると架橋密度が高すぎ、形成
された皮膜がもろくなり、さらにはエマルジョンの貯蔵
安定性も損われる。 【0010】(c)成分は(a)及び(b)成分と共重
合可能な重合性単量体であり、(C)成分は(A)及び
(B)成分と共重合可能な重合性単量体である。これら
の単量体は必要に応じてエマルジョンの機械的安定性、
形成された皮膜の耐水性、光沢、その他の機能性付与に
用いられるが、本発明の目的を損わないため、(c)成
分は単量体成分(I)全量の30重量%以下の使用量と
し、(C)成分は単量体成分(II)全量の30重量%以下
の使用量とする。このような単量体としては、アクリル
酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基
又はその無水物含有単量体、2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレート等のヒドロキシル基含有単量体、(メタ)ア
クリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミ
ド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−
ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン
(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有単量体、ジメ
チルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミ
ノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有単量
体、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエ
チル(メタ)アクリレート等のアルコキシル基含有単量
体、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルアリ
ルエーテル等のグリシジル基含有単量体、ジビニルベン
ゼン、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレート等の1分子中にラジカル重合性不
飽和基を2個以上有する単量体、酢酸ビニル、プロピオ
ン酸ビニル等のビニルエステル単量体、スチレン、ビニ
ルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量
体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン
化ビニル単量体、塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン
化ビニル単量体などが例示され、これらの中から1種又
は2種以上の混合物が用いられる。 【0011】また、本発明のエマルジョンから形成され
る皮膜の耐水性等の耐久性を著しく向上させ、溶液重合
品に近い性能を得るためには、界面活性剤(乳化剤)と
して反応性界面活性剤を使用するとよいことが分った。
この反応性界面活性剤の例としては、 【化1】 【0012】 【化2】 等のアニオン性反応性界面活性剤、および 【0013】 【化3】等の非イオン性反応性界面活性剤、あるいは第4級アン
モニウム塩や第3級アミン塩と重合性基を含むカチオン
性反応性界面活性剤などが挙げられる。 【0014】この反応性界面活性剤は1種のみ用いても
2種以上を併用してもよいが、その量が少なすぎると製
造したエマルジョンに凝塊物が多く発生するようになる
し、得られる皮膜も良好な物性を示さないようになる。
また、多すぎる場合にもポリマーの粒径が細かくなって
エマルジョンの粘度が上がりすぎるし、皮膜の耐水性も
悪くなってくる。したがって、この反応性界面活性剤の
使用量は全単量体の 0.5〜15重量%が好ましく、特には
1〜7重量%が好ましい。また、本発明の目的を損なわ
ない限りにおいて、この反応性界面活性剤と組み合せて
通常の乳化重合に用いられる非反応性界面活性剤を使用
することが可能であり、界面活性剤全量の30重量%以下
の範囲で1種又は2種以上が併用されることがある。こ
れらの非反応性界面活性剤としてはアルキルまたはアル
キルアリル硫酸塩、アルキル又はアルキルアリルスルホ
ン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等のアニオン性界
面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウムクロライ
ド、アルキルベンジルアンモニウムクロライド等のカチ
オン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニ
ルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポ
リオキシエチレンカルボン酸エステル等のノニオン性界
面活性剤などが例示される。 【0015】本発明で使用されるラジカル重合開始剤と
しては過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸
塩、過酸化水素水、t−ブチルハイドロパーオキシド、
アゾビスアミジノプロパンの塩酸塩等の水溶性タイプ、
ベンゾイルパーオキシド、キュメンハイドロパーオキシ
ド、ジブチルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシ
ジカーボネート、クミルパーオキシネオデカノエート、
クミルパーオキシオクトエート、アゾビスイソブチロニ
トリル等の油溶性タイプなどが例示される。さらに必要
に応じ、酸性亜硫酸ナトリウム、ロンガリット、アスコ
ルビン酸等の還元剤を併用したレドックス系も使用する
ことができる。この重合開始剤の使用量は単量体に対し
て通常は 0.1〜10重量%とすればよいが、好ましくは
0.5〜5重量%である。 【0016】本発明のアルコキシシリル基含有コア・シ
ェル型アクリル系エマルジョンを製造するには、まず上
記した(a)、(b)及び(c)の各種単量体を混合
し、これに界面活性剤、重合開始剤等を加えて水系でコ
ア部を形成するエマルジョンを重合する。この場合一括
して仕込み重合する方法、各成分を連続供給しながら重
合する方法などの各種の方法を適用できる。コア部重合
の際、アルコキシシリル基の加水分解や縮合を抑えるた
め、pH緩衝剤を使用して、重合中のpHを 6.5〜7.5 の範
囲にするのが好ましい。重合は通常10〜90℃の温度で行
われる。コア部重合においては反応性界面活性剤がほと
んど完全に重合してコア部ポリマーエマルジョンの水相
中に実質的に残存していないことが肝要であり、もし残
存しておれば次段階のシェル部重合の際、シェル部モノ
マーによる新粒子が生成する可能性があり本発明の効果
を減殺する。次にこの系へさらに重合開始剤と上記した
(A)、(B)及び(C)の各種単量体を加え、重合し
てシェル部を形成させる。エマルジョン重合の最後に
は、そのポリマーの望ましくない架橋反応を防ぎ、本発
明の目的である貯蔵安定性をさらに良好とする為にも塩
基性物質を添加してpH6〜8に調整することが好まし
く、これらの物質としてアンモニア、アミン類、アルカ
ノールアミン類、苛性アルカリなどが例示される。 【0017】本発明のエマルジョンを塗料用等に利用し
た場合、エマルジョン粒子中のポリマー側鎖に導入され
たアルコキシシリル基が水分の蒸発により縮合して架橋
皮膜を形成するが、必要に応じて縮合反応触媒を添加し
て架橋による皮膜形成を促進することができる。縮合反
応触媒としては、イソプロピルトリイソステアロイルチ
タネート、イソプロピルトリ(ジオクチルピロホスフェ
ート)チタネート等の有機チタネート系化合物、アセト
アルコキシアルミニウムジイソプロピレート等の有機ア
ルミニウム系化合物、ジブチル錫ジラウレート、ジブチ
ル錫マレート、ジオクチル酸錫等のカルボン酸型錫化合
物、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド等
のジアルキル錫化合物、オクチル酸鉛、ナフテン酸コバ
ルト等のカルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル、カル
ボン酸及びその酸無水物、トリエチルアミン、ジブチル
アミン−2−ヘキソエート等のアミン及びその塩等が例
示される。これらの触媒は、水溶性であればそのまま添
加すれば良いが、油溶性のものは水分散体にして添加す
るのが好ましく、添加量は本発明のエマルジョンに対し
て0.01〜10重量%が好ましい。 【0018】本発明の効果の理由は明確ではないが、縮
合反応速度の極めて遅いモノあるいはジアルコキシシリ
ル基含有シェル部ポリマーが縮合速度の速いトリアルコ
キシシリル基含有コア部ポリマーの表面を被覆している
ため、エマルジョンの状態ではポリマー粒子内あるいは
粒子間の架橋反応を防ぎ、貯蔵安定性及び造膜性に優れ
たエマルジョンが得られたのであろうと推定される。一
方、エマルジョン中の水が揮発し、成膜後は、多官能エ
ポキシ化合物など他の架橋剤を併用しなくても、加水分
解したシラノール基の脱水縮合、或は脱アルコール縮合
が進み、室温で十分架橋する。この理由は不明だが、微
小粒子がそれぞれコア・シェル構造であること、水揮
発、成膜時に粒子間の融合を阻害する挟雑物である低分
子量の非反応性界面活性剤が零又は僅少であること等の
ため粒子間の融合と、コアポリマー/シェルポリマーの
相互拡散ないしは極めて微細な分散が達成され、縮合反
応速度の高いトリアルコキシシリル基を中心としてモノ
或はジアルコキシシリル基も巻き込んで十分縮合架橋す
るのであろうと想像される。 【0019】 【実施例】本発明を実施例および比較例に基づき具体的
に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではな
い。なお、例中の部および%はそれぞれ重量部と重量%
を示す。また、得られた各エマルジョンについて、製造
直後及び室温で3ヶ月又は6ヶ月貯蔵した後の特性を下
記の測定方法で評価した。 a.最低造膜温度 造膜しうる最低温度を理学工業製最低造膜温度測定機で
測定した。 b.エマルジョンの状態 エマルジョンの粘度変化あるいはゲル化の有無を観察
し、下記によって示した。 〇:変化の少ないもの、×:変化の大きいもの なお、ゲル化に至ったものは、「ゲル化」と表示した。 c.耐水性 ガラス板に乾燥膜厚が約25μmになるようにエマルジョ
ンを塗布し、23℃×68%RHの条件で7日間養生したも
のを80℃の温水に60分間浸漬した後の表面状態を観察
し、下記によって示した。 〇:異常なし、△:やや白化、×:白化、ブリスター発
生 d.ゲル分率 アルミ箔に乾燥膜厚が約25μmになるようにエマルジョ
ンを塗布し、23℃×68%RHの条件で7日間養生したも
のを細断し、メチルエチルケトンにて3時間ソックスレ
ー抽出し非抽出量からゲル分率を算出した。 【0020】実施例1 攪拌機、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入口を備
えた重合容器に、脱イオン水 1,033部及びpH緩衝剤とし
て炭酸ソーダ0.47部、ホウ酸4.70部を仕込み、攪拌しな
がら60℃に昇温したのち窒素置換した。これにロンガリ
ット1.75部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムの1
%水溶液0.12部、硫酸第1鉄の1%水溶液0.04部を添加
すると同時に、メタクリル酸メチル 280部、アクリル酸
ブチル 350部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキ
シシラン70部、t−ブチルハイドロパーオキシド(純分
69%) 2.1部、反応性界面活性剤アクアロンRN−20
[第一工業製薬(株)製、商品名]14.0部及びアクアロ
ンHS−10[第一工業製薬(株)製、商品名] 7.0部の
混合液 723.1部を内温を60℃に保持しながら 2.5時間か
けて均一に添加し、さらに60℃にて1時間反応させてコ
アエマルジョンを得た。これに同温度にてロンガリット
0.75部を添加し、同時にメタクリル酸メチル 105部、ア
クリル酸ブチル 150部、スチレン30部、γ−メタクリロ
キシプロピルメチルジメトキシシラン15部、反応性界面
活性剤アクアロンRN−20(前出) 6.0部、アクアロン
HS−10(前出) 3.0部及びt−ブチルハイドロパーオ
キシド(純分69%) 0.9部の混合液 309.9部を内温を60
℃に保持しながら1時間かけて均一に添加し、さらに60
℃にて1時間反応させて重合を終了した。得られたコア
−シェル型エマルジョンの固形分濃度は49.5%、pH 7.0
であった。重合に使用した反応性界面活性剤はアクアロ
ンRN−20が先に例示したうちの13)、アクアロンHS
−10が6)にそれぞれ属するものである。上記で得られ
たエマルジョンの特性は表1に示すとおりであった。 【0021】実施例2 攪拌機、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入口を備
えた重合容器に脱イオン水 1,033部及びpH緩衝剤として
炭酸ソーダ0.47部、ホウ酸4.70部を仕込み、攪拌しなが
ら60℃に昇温したのち窒素置換した。これにロンガリッ
ト1.75部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムの1%
水溶液0.12部、硫酸第1鉄の1%水溶液0.04部を添加す
ると同時に、アクリル酸ブチル 640部、アクリロニトリ
ル80部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン80部、t−ブチルハイドロパーオキシド(純分69%)
2.4部、反応性界面活性剤アクアロンRN−10[第一工
業製薬(株)製、商品名]16.0部及びアクアロンHS−
10(前出) 8.0部の混合液826.4部を内温を60℃に保持
しながら 2.5時間を要して均一に添加し、さらに60℃に
て1時間反応させてコアエマルジョンを得た。これに同
温度にてロンガリット0.75部を添加し、同時にメタクリ
ル酸メチル66部、アクリル酸ブチル90部、スチレン20
部、アクリル酸4部、γ−メタクリロキシプロピルジメ
チルモノメトキシシラン20部、t−ブチルハイドロパー
オキシド(純分69%) 0.6部、反応性界面活性剤アクア
ロンRN−10(前出) 4.0部及びアクアロンHS−10
(前出) 2.0部の混合液 206.6部を内温を60℃に保持し
ながら1時間かけて均一に添加し、さらに60℃にて1時
間反応させて重合を終了させ、30℃以下に冷却後直ちに
10%アンモニア水で中和した。得られたコア・シェル型
エマルジョンの固形分濃度は49.1%、pH 7.2であった。
さらに、このエマルジョン 100部に縮合反応触媒として
ジブチル錫ジラウレートのエマルジョン(有効成分30
%)2部を均一に混合しエマルジョンを得た。重合に使
用した反応性界面活性剤はアクアロンRN−10が先に例
示したうちの13)、アクアロンHS−10が6)にそれぞ
れ属するものである。上記で得られたエマルジョンの特
性は表1に示すとおりであった。 【0022】比較例1 攪拌機、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入口を備
えた重合容器に、脱イオン水 1,033部及びpH緩衝剤とし
て炭酸ソーダ0.47部、ホウ酸4.70部を仕込み、攪拌しな
がら60℃に昇温したのち窒素置換した。これにロンガリ
ット1.75部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムの1
%水溶液0.12部、硫酸第1鉄の1%水溶液0.04部を添加
すると同時に、メタクリル酸メチル 280部、アクリル酸
ブチル 350部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキ
シシラン70部、t−ブチルハイドロパーオキシド(純分
69%) 2.1部、非反応性界面活性剤ノイゲンEA−170
[第一工業製薬(株)製、商品名]14.0部及びエマール
O[花王(株)製、商品名] 7.0部の混合液 723.1部を
内温を60℃に保持しながら 2.5時間かけて均一に添加
し、さらに60℃にて1時間反応させてコアエマルジョン
を得た。これに同温度にてロンガリット0.75部を添加
し、同時にメタクリル酸メチル 105部、アクリル酸ブチ
ル 150部、スチレン30部、γ−メタクリロキシプロピル
メチルジメトキシシラン15部、非反応性界面活性剤ノイ
ゲンEA−170 (前出) 6.0部、エマールO(前出)
3.0部およびt−ブチルハイドロパーオキシド(純分69
%) 0.9部の混合液 309.9部を内温を60℃に保ちながら
1時間かけて均一に添加し、さらに60℃にて1時間反応
させて重合を終了した。得られたコア−シェル型エマル
ジョンの固形分濃度は49.6%、pH 6.9であった。上記で
得られたエマルジョンの特性は表1に示すとおりであっ
た。 【0023】比較例2 攪拌機、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入口を備
えた重合容器に、脱イオン水 1,033部及びpH緩衝剤とし
て炭酸ソーダ0.47部、ホウ酸4.70部を仕込み、攪拌しな
がら60℃に昇温したのち窒素置換した。これにロンガリ
ット 2.5部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムの1
%水溶液0.12部、硫酸第1鉄の1%水溶液0.04部を添加
すると同時に、メタクリル酸メチル 400部、アクリル酸
ブチル 500部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキ
シシラン 100部、t−ブチルハイドロパーオキシド(純
分69%) 3.0部、反応性界面活性剤アクアロンRN−20
(前出)20部、アクアロンHS−10(前出)10部の混合
液 1,033部を内温を60℃に保持しながら 3.5時間かけて
均一に添加し、さらに60℃にて1時間反応させて重合を
終了した。得られたエマルジョンの固形分濃度は49.7
%、pH 7.0であった。上記で得られたエマルジョンの特
性は表1に示すとおりであった。 【0024】比較例3 攪拌機、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入口を備
えた重合容器に、脱イオン水 1,033部を仕込み、攪拌し
ながら60℃に昇温したのち窒素置換した。これにロンガ
リット 2.5部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムの
1%水溶液0.12部、硫酸第1鉄の1%水溶液0.04部を添
加すると同時に、メタクリル酸メチル66部、アクリル酸
ブチル 730部、スチレン20部、アクリロニトリル80部、
アクリル酸4部、γ−メタクリロキシプロピルトリメト
キシシラン80部、γ−メタクリロキシプロピルジメチル
モノメトキシシラン20部、t−ブチルハイドロパーオキ
シド(純分69%) 3.0部、反応性界面活性剤アクアロン
RN−10(前出)20部、アクアロンHS−10(前出)10
部の混合液 1,033部を内温を60℃に保持しながら 3.5時
間かけて均一に添加し、さらに60℃にて1時間反応させ
て重合を終了させ、30℃以下に冷却後直ちに10%アンモ
ニア水で中和した。得られたエマルジョンの固形分濃度
は49.2%、pH 7.1であった。さらに、このエマルジョン
100部に縮合反応触媒としてジブチル錫ジラウレートの
エマルジョン(有効成分30%)2部を均一に混合しエマ
ルジョンを得た。上記で得られたエマルジョンの特性は
表1に示すとおりであった。 【0025】 【表1】 【0026】 【発明の効果】本発明のアルコキシシリル基含有アクリ
ル系エマルジョンはエマルジョン中でのアルコキシシリ
ル基の加水分解や縮合が大巾に抑えられるため、長期の
貯蔵安定性が良好であり、実用的に塗料、シーラント等
のベースエマルジョンとして有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−306123(JP,A) 特開 平8−20617(JP,A) 特開 平2−92974(JP,A) 特開 平6−128448(JP,A) 特開 平4−18404(JP,A) 特開 平2−289606(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 265/06 C09D 151/06

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 エマルジョン粒子の芯(コア)と外殻
    (シェル)とで組成の異なるコア・シェル型エマルジョ
    ンであって、そのコア部には (a)炭素数1〜18個のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエス テル 50〜99重量% (b)式R1SiX3(式中、R1は重合性二重結合を有する1価有機基、Xは炭素数 1〜4のアルコキシル基)で示される有機けい素化合物 1〜20重量% (c)上記(a)及び(b)と共重合可能な単量体 0〜30重量% [ただし、(a)、(b)及び(c)の合計は 100重量%] からなる単量体成分(I)を、シェル部には (A)炭素数1〜18個のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエス テル 50〜99重量% (B)式 R2R3 (3-n)SiYn(式中、R2は重合性二重結合を有する1価有機基、R3 は炭素数1〜4のアルキル基、Yは炭素数1〜4のアルコキシル基、nは1又 は2)で示される有機けい素化合物 1〜20重量% (C)上記(A)及び(B)と共重合可能な単量体 0〜30重量% [ただし、(A)、(B)及び(C)の合計は 100重量%] からなる単量体成分(II)を、その比率が(I)/(I
    I)=50/50〜90/10(重量比)になるように用い、反
    応性界面活性剤を使用して乳化重合してなるコア・シェ
    ル型アルコキシシリル基含有アクリル系エマルジョン。
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