JPH078090U - 自動車のトノカバー装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 後部座席を折り畳み回動させて荷物室を拡大
した場合にも目隠し効果を損なうことのない操作性に優
れたトノカバー装置を提供する。 【構成】 車幅方向に沿う前後一対のリトラクタ７、８
を折り畳み可能に構成した後部座席４のシートバック４
ａの上端部直後に設ける。前部リトラクタ７に巻装した
前部カバーシート１０の先端を係止する前部ストッパ１
２を前部座席３のシートバック３ａの背面に格納可能に
設ける。後部リトラクタ８に巻装した後部カバーシート
１１の先端に係止する後部ストッパ１３を荷物室６の後
端部に設ける。前部ストッパ１２および後部ストッパ１
３の取付高さを前後一対のリトラクタ７、８の取付高さ
と略一致させたことにより、後部座席４の後方に形成さ
れた荷物室６を後部カバーシート１１で覆い、後部座席
４の折り畳みによって形成される荷物室を前部カバーシ
ート１０で覆うようにした。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は自動車のトノカバー装置に係り、詳しくは、折り畳み可能に構成され た後部座席を備えた自動車のトノカバー装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

後部座席とバックドアの間に形成された荷物室の上面を覆うトノカバー装置と しては、例えば実開昭５９−１０６７４９号公報、実開昭６２−１６１０５８号 公報あるいは実開平１−１４５３０号公報などに見られるように、後部座席のシ ートバックの背面に取り付けたリトラクタにカバーシートを巻装保持させるとと もに、このカバーシートの先端を係止するストッパをバックドアあるいは荷物室 の側壁に設けることにより、常時は荷物室の上面を覆っているカバーシートを開 けて荷物の出し入れを行うようにしたものがある。

【０００３】 しかしながら、折り畳み可能に構成された後部座席を備えた自動車に上記のよ うなトノカバー装置を適用した場合は、後部座席のシートバックを前方に折り畳 み回動させると、シートバックの折り畳み回動にともなってリトラクタが前方に 移動しつつ荷物室の底面に近接移動するために、荷物室の有効高さが実質的に減 少してしまう。また、後部座席を折り畳み回動させた場合は、カバーシートの引 き出し長さが大きくなって弛みが生じるためにリトラクタの巻込力を大きくする 必要がある。すると、これにともなってカバーシートの引き出し力が増大するた めに、カバーシートの開閉操作性が悪化するという不具合もある。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は上記実情に鑑みてなされたものであり、後部座席を折り畳み回動させ て荷物室を拡大した場合にも目隠し効果を損なうことのない操作性に優れたトノ カバー装置を提供することを課題としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決するために本考案は、車幅方向に沿う前後一対のリトラクタを 折り畳み可能に構成した後部座席のシートバックの上端部直後に設け、前部リト ラクタに巻装した前部カバーシートの先端を係止する前部ストッパを前部座席の シートバックの背面に格納可能に設けるとともに、後部リトラクタに巻装した後 部カバーシートの先端に係止する後部ストッパを荷物室の後端部に設けている。 そして、前部ストッパおよび後部ストッパの取付高さを前後一対のリトラクタの 取付高さと略一致させたことを特徴としている。

【０００６】

【作用】

後部座席を折り畳まない場合は、前部カバーシートを前部リトラクタに巻き込 み保持させるとともに、前部ストッパを前部座席のシートバック内に格納させる 。また、後部リトラクタから後部カバーシートを引き出してその先端を後部スト ッパに係止させれば後部座席の後方に形成されている荷物室が後部カバーシート で覆われる。なお、後部カバーシートの先端を後部ストッパから外して後部リト ラクタに接近移動させれば、この移動量だけ荷物室の上面を開けることができ、 これにともなって後部リトラクタが後部カバーシートを巻き込むために、該カバ ーシートに弛みが生じることがない。

【０００７】 一方、後部座席を折り畳んで荷物室を拡大した場合は、前部座席のシートバッ クに設けられている前部ストッパを引き出す。そして、前部リトラクタから前部 カバーシートを引き出してこれを前部ストッパに係止させると、後部座席の折り 畳みによって拡大された荷物室および折り畳まれた後部座席がともに前部カバー シートで覆われる。なお、前部ストッパおよび後部ストッパの取付高さを前後の リトラクタの取付高さと略同一にしているために、後部座席を折り畳んだ場合に も荷物室前部の有効高さが減少することがなく、目隠し効果が悪化することもな い。

【０００８】

【実施例】 以下に本考案の実施例を図に基づいて詳細に説明する。図１は本考案に係る自 動車のトノカバー装置の一実施例を示す概略側面図、図２は同じく後部座席を折 り畳み回動させた状態の概略側面図である。これらの図において、自動車１のフ ロア２に前部座席３および後部座席４を取り付けるとともに、後部座席４とバッ クドア５の間に荷物室６を形成している。

【０００９】 前部座席３および後部座席４はそれぞれシートクッション３ａ、４ａおよびシ ートバック３ｂ、４ｂなどで構成されている。そして、後部座席４のシートクッ ション４ａおよびシートバック４ｂをそれぞれピン４ｃ、４ｄを中心として前方 に回動させることにより、後部座席４を図２に示すように折り畳んで荷物室６の 床面積を拡大できるようにしている。

【００１０】 一方、車幅方向に沿う前後一対のリトラクタ７、８を後部座席４のシートバッ ク４ｂの上端部直後に固定したケース９の内部に取り付けている。前記リトラク タ７、８にはそれぞれカバーシート１０、１１を巻装保持させている。そして、 各カバーシート１０、１１の先端に固定した枠芯１０ａ、１１ａを引き出すと、 図示しないスプリングによる巻込力に抗してリトラクタ７、８からカバーシート １０、１１を引き出すことができるようにしている。

【００１１】 また、前部リトラクタ７に巻装された前部カバーシート１０の先端に設けた枠 芯１０ａを係脱自在に係止する前部ストッパ１２を前部座席３のシートバック３ ｂの背面の上端部に格納可能に設けるとともに、後部リトラクタ８に巻装された 後部カバーシート１１の先端に設けた枠芯１１ａを係脱自在に係止する後部スト ッパ１３を荷物室６の後端部側面に設けている。１４は荷物室６に収納した荷物 である。

【００１２】 以上のような構成になる自動車のトノカバー装置において、後部座席４を折り 畳まない場合は、前部カバーシート１０を前部リトラクタ７に巻き込み保持させ るとともに、前部ストッパ１２を図１に示したように前部座席３のシートバック ３ｂ内に格納させる。また、後部リトラクタ８から後部カバーシート１１を引き 出してその先端に設けた枠芯１１ａを後部ストッパ１３に係止させることにより 、後部座席４の後方に形成されている荷物室６を覆い隠す。なお、後部カバーシ ート１１の先端に設けた枠芯１１ａを後部ストッパ１３から外して後部リトラク タ８に接近移動させれば、この移動量だけ後部カバーシート１１が後部リトラク タ８に巻き込まれるために荷物室６の上面を開けることができる。

【００１３】 一方、後部座席４を折り畳んで荷物室６を拡大する場合は、ピン４ｃ、４ｄを 中心として後部座席４のシートクッション４ａおよびシートバック４ｂをそれぞ れ図２に示すように前方に回動させて後部座席４を折り畳んで荷物室６を拡大す る。そして、前部座席３のシートバック３ｂから引き出し、枠芯１０ａを掴んで 前部カバーシート１０を前部リトラクタ７から引き出した上で、この枠芯１０ａ を前部ストッパ１２に係止させる。すると、上記のようにして折り畳まれた後部 座席４およびこの折り畳みによって拡大された荷物室６が前部カバーシート１０ で覆われる。

【００１４】 また、上記のように折り畳まれた後部座席４および拡大された荷物室６を覆う 前部カバーシート１０は、後部カバーシート１１と同様に開閉操作することがで きる。このために、後部座席４とバックドア５の間に形成された荷物室６はもと より、後部座席４の折り畳みによって拡大された荷物室６のいずれをも必要量だ け開閉することができる。

【００１５】 なお、前部ストッパ１２および後部ストッパ１３の取付高さを前後のリトラク タ７、８の取付高さと略同一にしている。このために、前部カバーシート１１お よび後部カバーシート１２を略水平に張ることができ、後部座席４を折り畳み回 動させた場合にも荷物室前部の有効高さが減少することがない。

【００１６】 さらに、後部座席４の設置スペース（拡大される荷物室）と後部座席４より後 方に荷物室６を前後のリトラクタ７、８に巻装された前部カバーシート１１と後 部カバーシート１２で別々に覆うようにしているために、各カバーシート１１、 １２の引き出し長さを短縮することができる。よって、各リトラクタ７、８の巻 込力を必要以上に大きくしてカバーシート１１、１２の弛みを予防する必要性が なく、各カバーシート１１、１２の引き出し力を小さくしてその開閉操作性を改 善することもできる。

【００１７】 さらにまた、左右分割型の後部座席４を設けて一方の後部座席のみを折り畳ん で荷物室として利用しつつ、他方の後部座席を通常の座席として使用できるよう にした場合は、前部リトラクタ７および前部カバーシート１０を後部座席４の分 割位置から左右に分割することにより、後部座席４の折り畳みによって拡大され る前部の荷物室を左右独立して覆うようにすることが望まれる。

【００１８】

【考案の効果】

以上の説明から明らかなように本考案に係る自動車のトノカバー装置において は、後部座席を折り畳んで荷物室を拡大した場合にも荷物室の被覆効果が損なわ れることがない。また、後部座席の後方に形成されている荷物室と後部座席の折 り畳みによって形成（拡大）される荷物室を別のカバーシートで覆うようにして いるために、各カバーシートの分担長さを短くすることができ、リトラクタの巻 き込み力を必要以上に大きくしてカバーシートの弛みを予防する必要性がなく、 カバーシートの開閉操作性が高くなる。さらにまた、前部ストッパおよび後部ス トッパを前後のリトラクタと略同一高さに取り付けているために、後部座席の折 り畳みによって荷物室の有効高さが減少することもない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る自動車のトノカバー装置の一実施
例を示す概略側面図である。

【図２】図１の後部座席を折り畳み回動させた状態の概
略側面図である。

【符号の説明】

１ 自動車 ２ フロア ３ 前部座席 ３ａ シートクッション ３ｂ シートバック ４ 後部座席 ４ａ シートクッション ４ｂ シートバック ４ｃ、４ｄ ピン ５ バックドア ６ 荷物室 ７ 前部リトラクタ ８ 後部リトラクタ ９ ケース １０ 前部カバーシート １０ａ 枠芯 １１ 後部カバーシート １１ａ 枠芯 １２ 前部ストッパ １３ 後部ストッパ １４ 荷物

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 折り畳み可能に構成した後部座席とバッ
   クドアの間に設けた荷物室の上方をカバーシートで被覆
   するようにしたトノカバー装置であって、車幅方向に沿
   う前後一対のリトラクタを後部座席のシートバックの上
   端部直後に設け、前部リトラクタに巻装した前部カバー
   シートの先端を係止する前部ストッパを前部座席のシー
   トバックの背面に格納可能に設け、後部リトラクタに巻
   装した後部カバーシートの先端に係止する後部ストッパ
   を荷物室の後端部に設けるとともに、前部ストッパおよ
   び後部ストッパの取付高さを前後一対のリトラクタの取
   付高さと略一致させたことを特徴とする自動車のトノカ
   バー装置。