JPH0144350Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、自動車のヘツドレスト装置に関する
ものである。

（従来の技術） 従来より、自動車のヘツドレスト装置として、
ヘツドレストが支持部材を介してシートバツクあ
るいは車体ルーフに固定支持されてなるものが一
般によく知られている（実開昭51−55526号公報
等参照）。

一方、ワゴン型やバン型等の自動車において
は、荷台スペースを拡大可能とするために、リヤ
シートのシートクツシヨンが前方に起立可能に、
シートバツクが前倒可能にそれぞれ設けられてな
るいわゆる折り畳み式リヤシートが通常使用され
ている。また、リヤシート後方の荷台には該荷台
を上下に仕切るパツケージトレイが設けられてい
る。

（考案が解決しようとする課題） ところが、このような折り畳み式リヤシートに
対し上記従来のヘツドレスト装置をそのまま用い
た場合には次のような問題があつた。すなわち、
ヘツドレストを支持部材を介してリヤシートのシ
ートバツクに固定支持した場合には、リヤシート
の折り畳み時に上記ヘツドレストが起立状態にあ
るシートクツシヨンに当つてシートバツクを完全
に前倒させることができなくなる。また、ヘツド
レストを支持部材を介して車体ルーフに固定支持
した場合には、リヤシートを折り畳んで荷台スペ
ースを拡大したとき該荷台スペースへの積荷の出
し入れが上記ヘツドレストによつて邪魔され、そ
の作業性が悪くなるという問題である。このた
め、従来、折り畳み式リヤシートはヘツドレスト
のない状態で使用されているのが現状である。

本考案は、上述の如き折り畳み式リヤシートに
対し、その折り畳み操作および拡大された荷台ス
ペースへの積荷の出し入れに支障をきたすことな
くヘツドレストを設け得るようにすることを主た
る目的とする。

更に、本考案の目的は、上記ヘツドレストの収
納時に同時にパツケージトレイを収納し得るよう
にすることにある。

（課題を解決するための手段） 上記の目的を達成するため、本考案の解決手段
は、折り畳み式リヤシートのヘツドレストが揺動
部材を介して車体ルーフに回動自在に取付けられ
ており、該ヘツドレストの下部はリヤシートのシ
ートバツクに係脱可能に設けられ、ヘツドレスト
使用時に該シートバツクに固定支持されるととも
に、ヘツドレストの下端にはリヤシート後方の荷
台を上下に仕切るパツケージトレイの前端が回動
自在に連結されていて、パツケージトレイ不使用
時に該パツケージトレイがヘツドレスト裏面側に
折り畳まれて収納可能とされているものとする。

（作用） これにより、本考案では、リヤシートのヘツド
レスト使用時には、ヘツドレストをリヤシートの
シートバツク上方に位置させ、その下部をシート
バツクに係合させることで該シートバツクに固定
する。これにより、上記ヘツドレストは、上部が
車体ルーフに支持されるだけでなく、下部がシー
トバツクに支持されるため、ヘツドレストとして
の機能を十分に発揮できる。

一方、荷台のスペースを拡大する場合には、先
ず、上記ヘツドレストとシートバツクとの係合状
態を解除し、該ヘツドレストを車体ルーフ下面側
に回動して収納する。しかる後、リヤシートのシ
ートクツシヨンを前方に起立させ、かつシートバ
ツクを前方に倒すというリヤシートの折り畳み操
作を行うことにより、荷台のスペースがリヤシー
トの設置位置にまで拡大される。

この場合、上記リヤシートの折り畳み操作は、
シートバツクとヘツドレストとが完全に分離され
ているため、該ヘツドレストによつて邪魔されず
に容易にかつ確実に行うことができる。

また、上述の如き手順で拡大した荷台に対し積
荷を出し入れする場合には、ヘツドレストが車体
ルーフ下面に収納されているので、該ヘツドレス
トによつて邪魔されることなく、積荷の出し入れ
を容易に行うことができる。

さらに、荷台を上下に仕切るパツケージトレイ
は、その前端が上記ヘツドレストの下端に回動自
在に連結されていて、パツケージトレイ不使用時
にはヘツドレストの裏面側に折り畳まれて収納可
能とされているので、ヘツドレスト収納時には、
パツケージトレイを該ヘツドレスト裏面側に折り
畳まれた状態のままヘツドレストと共に車体ルー
フ下面に収納することができる。

（考案の効果） したがつて、本考案のヘツドレスト装置によれ
ば、折り畳み式リヤシートに、その折り畳み操作
および拡大された荷重スペースへの積荷の出し入
れに何等支承をきたすことなくヘツドレストを設
けることができる。よつてリヤシートに座わる者
に対しリラツクス感を与えることができるととも
に、衝突時等の安全性を向上させることができ
る。

さらに、ヘツドレスト収納時には、パツケージ
トレイを該ヘツドレスト裏面側に折り畳まれた状
態のままヘツドレストと共に車体ルーフ下面に収
納することができるので、パツケージトレイの収
納作業を容易に行うことができ、またその収納の
ための特別のスペースを不要にすることができ
る。

（実施例） 以下、本考案の技術的手段の具体例としての実
施例を図面に基づいて説明する。

第１図ないし第４図はハツチバツク型自動車の
車体後部を示し、１は車体、２は車体１のフロア
１ａ上に配置されたリヤシートである。該リヤシ
ート２は、前部が車体フロア１ａに回動自在に連
結されて前方に起立可能に設けられたシートクツ
シヨン３と、下部が車体フロア１ａに回動自在に
連結されて前傾可能に設けられたシートバツク４
とを備えていわゆる折り畳み式のものである。

５は上記シートバツク４上方に配置された左右
２つのリヤシート用ヘツドレストであつて、該ヘ
ツドレスト５，５は揺動部材６を介して車体１の
ルーフ１ｂ（詳しくは後述のルーフレール１１）
に回動自在に取付けられていて、リヤシート２の
折り畳み時にルーフ１ｂ下面に収納されるように
なつている。

上記揺動部材６は、車幅方向に水平に延びる２
本の中空状のアツパおよびロアバー７，８と、該
両バー７，８を互いに連結し、かつヘツドレスト
５，５を固定支持する複数本の連結バー９，９，
…とからなり、上記アツパバー７の左右両端部
は、第５図に詳示するようにそれぞれ軸受部材１
０を介して車体ルーフ１ｂ両側のルーフレール１
１に回転自在に支承されている。

また、上記ロアバー８は、第６図に詳示するよ
うに、中央部にて左右２つの部分８ａ，８ｂに分
割されている一方、その両部分８ａ，８ｂは連結
管１２によつて互いに連結されている。該連結管
１２は、その両端部がそれぞれロアバー８の左右
両部分８ａ，８ｂに外嵌されて該ロアバー８に沿
つて左右方向に摺動自在に設けられており、連結
管１２内の中央部にはワイヤ固定軸１３が装着さ
れている。また、上記ロアバー８の左右両端部に
はそれぞれロツク機構１４，１４が装着されてい
る。該各ロツク機構１４は、ロアバー８内に嵌挿
されたロツクケース１５と、該ロツクケース１５
内に揺動自在に嵌挿され、かつ外端側にロツクケ
ース１５外に出没自在に突出する突出部１６ａを
有する摺動体１６と、該摺動体１６と上記ロツク
ケース１５底面との間に縮装されて摺動体１６を
外側つまり摺動体１６の突出部１６ａがロツクケ
ース１５外に突出する方向に付勢するスプリング
１７と、一端が上記摺動体１６に連結されて該摺
動体１６を上記スプリング１７の付勢力に抗して
内側つまり摺動体１６の突出部１６ａがロツクケ
ース１５内に没する方向に摺動させる操作ワイヤ
１８とからなる。上記左側のロツク機構１４の操
作ワイヤ１８の他端はロアバー８の左側部分８ａ
内を通つて連結管１２のワイヤ固定軸１３に連結
されている。一方、右側のロツク機構１４の操作
ワイヤ１８の他端は、ロアバー８の右側部分８ｂ
内を通り、ロアバー８の左側部分８ａ内に装着し
たスライド軸１９を介して連結管１２のワイヤ固
定軸１３に連結されている。よつて、上記連結管
１２をロアバー８の中央位置より該ロアバー８上
を右側に摺動させたときには各ロツク機構１４の
摺動体１６の突出部１６ａが操作ワイヤ１８から
の張力によつてロツクケース１５内に没入する一
方、連結管１２をロアバー８の中央位置に戻した
ときには上記突出部１６ａがスプリング１７の付
勢力によつてロツクケース１５外に突出するよう
に構成されている。

一方、上記シートバツク４の上部には、第７図
にも示すようにその上部裏面側を凹陥してなる凹
部２０が上記ロアバー８に対応して形成されてい
るとともに、該凹部２０の左右両側壁にはそれぞ
れ上記各ロツク機構１４の摺動体１６の突出部１
６ａが嵌合可能な嵌合受部２１が形成されてい
る。よつて、上記各ロツク機構１４において連結
管１２の摺動操作によりロツクケース１５外に突
出した摺動体１６の突出部１６ａを上記嵌合受部
２１に嵌合させることにより揺動部材６のロアバ
ー８つまりヘツドレスト５の下部がシートバツク
４に係脱可能に設けられていて、ヘツドレスト５
の使用時には該ヘツドレスト５がシートバツク４
に固定支持されるようになつている。なお、ヘツ
ドレスト５の不使用時つまり車体ルーフ１ｂ下面
への収納時には上記のロツクケース１５外に突出
した摺動体１６の突出部１６ａを、車体１後端部
のリヤピラー２２に取付けた軸受部材２３に嵌合
係止することによりヘツドレスト５の下部がリヤ
ピラー２２に支持されるようになつている。

さらに、２４は上記リヤシート２後方の荷台２
５を上下に仕切る折り畳み式のパツケージトレイ
であつて、該パツケージトレイ２４の前端はフツ
ク部材２６を介して上記ロアバー８に回動自在に
連結されている。また、上記パツケージトレイ２
４の左右両側端部は、それぞれ車体１側壁内側に
取付けたサイドパツケージトレイ２７に対して、
第８図にも示すように前後２箇所にてロツク部材
２８により係脱可能に設けられている。よつて、
上記パツケージトレイ２４は使用時にはサイドパ
ツケージトレイ２７を介して車体１に支持される
一方、不使用時にはヘツドレスト５の裏面側に折
り畳まれ、前後両端同士が上記ロツク部材２８に
より互いに連結されかつ中央部が揺動部材６のア
ツパバー７に装着したフツク部材２９に係合され
て収納されるようになつている。尚、３０は車体
１背面に開閉自在に設けられたバツクドア、３１
は揺動部材６に装着されたパーテイシヨン部材で
ある。

次に、上記実施例の作用効果を説明するに、リ
ヤシート２のヘツドレスト５使用時には、ヘツド
レスト５をリヤシート２のシートバツク４上方の
所定位置に位置させ、かつ揺動部材６のロアバー
８両端部に装着した各ロツク機構１４の摺動体１
６の突出部１６ａを、連結管１２の摺動操作によ
りそれぞれ上記シートバツク４の嵌合受部２１に
嵌合してロツクする。これにより、上記ヘツドレ
スト５は、上部が車体ルーフ１ｂに支持されるだ
けでなく、下部がシートバツク４に支持されるた
め、ヘツドレストとしての機能を十分に発揮で
き、その結果、リヤシート２に座わる乗員に対し
リラツクス感を与えることができるとともに、衝
突時等における安全性を向上させることができ
る。

しかも、上記ヘツドレスト５は、リヤシート２
後方の荷台２５上に載置した積荷が急停止時等に
生じる慣性力によつて前方へ移動するとき、揺動
部材６やパーテンシヨン部材３１と共にパーテン
シヨンバーとして機能し、その前方移動を防止で
きるので、安全性の向上をより一層図ることがで
きる。

一方、荷台２５のスペースを拡大する場合に
は、先ず、上記ロツク機構１４によるヘツドレス
ト５とシートバツク４とのロツク状態を解除し、
該ヘツドレスト５を車体ルーフ１ｂ下面側に回動
して収納する。しかる後、リヤシート２のシート
クツシヨン３を前方に起立させ、かつシートバツ
ク４を前方に倒すというリヤシート２の折り畳み
操作を行うことにより、荷台２５のスペースがリ
ヤシート２の設置位置にまで拡大される。

この場合、上記リヤシート２の折り畳み操作
は、シートバツク４とヘツドレスト５とが完全に
分離されているため、該ヘツドレスト５によつて
邪魔されずに容易にかつ確実に行うことができ
る。

また、上述の如き手順で拡大した荷台２５に対
し積荷を出し入れする場合には、ヘツドレスト５
が車体ルーフ１ｂ下面に収納されているので、該
ヘツドレスト５によつて邪魔されることなく、積
荷の出し入れを容易に行うことができる。

さらに、荷台２５を上下に仕切る折り畳み式パ
ツケージトレイ２４は、その前端が上記ヘツドレ
スト５の下部（揺動部材６のロアバー８）に回動
自在に連結されていて、パツケージトレイ２４不
使用時には第９図の如くヘツドレスト５の裏面側
に折り畳まれて収納され、さらにヘツドレスト５
収納時には第１０図の如く該ヘツドレスト５裏面
側に折り畳まれた状態のままヘツドレスト５と共
に車体ルーフ１ｂ下面に収納されるので、パツケ
ージトレイ２４の収納作業を容易に行うことがで
き、またその収納のための特別のスペースを不要
にすることができる。

尚、上記実施例においては、本考案を、ハツチ
バツク型自動車の折り畳み式リヤシートに適用し
た場合について説明したが、ワゴン型やバン型等
その他の各種自動車の折り畳み式リヤシートにも
同様に適用できるのは勿論である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図は
ハツチバツク型自動車の車体後部を示す側面図、
第２図は同正面図、第３図および第４図は車体後
方より見た同斜視図であり、第５図は揺動部材の
車体ルーフ取付部を示す断面図、第６図は揺動部
材のロアバー部分の断面図、第７図はリヤシート
のシートバツク上部を示す斜視図、第８図は第３
図の−線における拡大断面図である。第９図
はパツケージトレイ不使用時における該パツケー
ジトレイの収納状態を示す概略側面図、第１０図
はリヤシート折り畳み時におけるパツケージトレ
イの収納状態を示す概略側面図である。 １……車体、１ｂ……ルーフ、２……リヤシー
ト、５……ヘツドレスト、６……揺動部材、８…
…ロアバー、１１……ルーフレール、１４……ロ
ツク機構、２１……嵌合受部、２４……パツケー
ジトレイ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 折り畳み式リヤシートのヘツドレストが揺動部
   材を介して車体ルーフに回動自在に取付けられて
   おり、該ヘツドレストの下部はリヤシートのシー
   トバツクに係脱可能に設けられ、ヘツドレスト使
   用時に該シートバツクに固定支持されるととも
   に、ヘツドレストの下端にはリヤシート後方の荷
   台を上下に仕切るパツケージトレイの前端が回動
   自在に連結されていて、パツケージトレイ不使用
   時に該パツケージトレイがヘツドレスト裏面側に
   折り畳まれて収納可能とされていることを特徴と
   する自動車のヘツドレスト装置。