JPH0757710B2 - 炭素系無機繊維強化セラミックス複合材料 - Google Patents

炭素系無機繊維強化セラミックス複合材料

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JPH0757710B2
JPH0757710B2 JP1231757A JP23175789A JPH0757710B2 JP H0757710 B2 JPH0757710 B2 JP H0757710B2 JP 1231757 A JP1231757 A JP 1231757A JP 23175789 A JP23175789 A JP 23175789A JP H0757710 B2 JPH0757710 B2 JP H0757710B2
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泰広 塩路
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、主として炭素、珪素及び酸素からなる無機繊
維を強化材とする機械的性質の優れた無機繊維強化セラ
ミックス複合材料(以下、セラミックス複合材料と呼ぶ
ことがある。)に関するものである。
(従来の技術及びその問題点) 耐熱性セラミックスは、超高温下、超高圧下あるいは腐
食性環境下などの苛酷条件下で使用されている。しか
し、これら耐熱性セラミックスは通常機械的衝撃に弱
く、高温になると機械的強度や耐蝕性が低下する欠点を
有している。これらの欠点を補うため、金属とセラミッ
クスを複合させたサーメット複合材料、あるいは溶融石
英、アルミナ、炭素などからなる連続繊維もしくは炭化
珪素などからなる短繊維やウィスカーとセラミックスと
を複合させた複合材料が開発されている。
サーメット複合材料は、それを構成する金属が高温にお
いて酸化されやすく、また軟化温度がセラミックスに比
べて低いので、充分な高温強度が得られないため、寿命
が短い上にその使用範囲が著しく制限されている。
一方、溶融石英、アルミナなどからなる連続繊維との複
合材料は、これら繊維の製造コストが非常に高いのが最
大の欠点である上に、溶融石英にあっては弾性率が低
く、アルミナにあっては耐熱衝撃性に劣るため材料とし
てその用途が制限されている。
また、大量に生産でき、経済的にも比較的使用し易い炭
素繊維複合材料は高温酸化性環境では使用することがで
きない欠点がある。
また、炭化珪素などの炭化物や窒化物よりなる短繊維及
びウィスカーとの複合材料は、高温酸化性環境において
も、最も耐久性があるが、これらの繊維やウィスカーは
均一な太さのものが得られず、また均一性に欠けるた
め、これらを用いた複合材料は強度などの特性に均一性
がないため材料の信頼性が低く、またこれらの繊維やウ
ィスカーは大量生産できないため製造コストが高い等、
経済的に未解決の問題点が残されている。
前記した従来のセラミックス複合材料を改善した複合材
料を製造する方法として、炭化物セラミックス又は窒化
物セラミックスを基材とし、有機珪素高分子化合物から
得られる炭化珪素繊維をもって補強してなる耐熱性セラ
ミックス複合材料の製造方法が特開昭52−81309号公報
に開示されており、又種々のガラスあるいはアルミノシ
リケート類を基材とし、上記の炭化珪素繊維をもって補
強してなるセラミックス複合材料の製造方法が特公昭58
−33196号公報、特開昭56−169186号公報等に開示され
ている。しかし、この有機珪素高分子化合物から得られ
る炭化珪素繊維を用いたセラミックス複合材料は破壊靭
性、耐スポール性、強度及び耐熱性がかならずしも充分
ではない。
(問題を解決するための手段) 本発明の目的は、上記問題点を解決した新規な無機繊維
強化セラミックス複合材料の提供にある。
本発明の他の目的は、高温下での強度低下が少なく、耐
熱衝撃性に優れたセラミックス複合材料の提供にある。
本発明の他の目的は、機械的強度特性において均質性に
優れ、材料としての信頼性に優れたセラミックス複合材
料の提供にある。
本発明の他の目的は、複合材料形成時における無機繊維
の強度低下が少ないセラミックス複合材料の提供にあ
る。
さらに本発明の他の目的は、大量生産に適し、製造コス
トを軽減できるセラミックス複合材料の提供にある。
さらに本発明の他の目的は、各種の用途に適し、使用寿
命の長いセラミックス複合材料の提供にある。
本発明の無機繊維強化セラミックス複合材料は、無機繊
維を強化材とし、セラミックスをマトリックスとし、 a)前記無機繊維が、珪素含有多環状芳香族重合体から
得られる無機繊維であって、その構成成分が、 i)該重合体を構成するメソフェーズ状態にある多環状
芳香族化合物から導かれるラジアル構造、オニオン構
造、ランダム構造、コアラジアル構造、スキンオニオン
構造及びモザイク構造からなる群から選ばれる少なくと
も一種の結晶配列状態を示す炭素質、 ii)該重合体を構成する有機溶媒不溶分を含む光学的等
方性の多環状芳香族化合物から導かれる、無配向状態の
結晶質炭素及び/又は非晶質炭素、及び iii)Si、C及びOから実質的になる非晶質相及び/又
は粒径が500Å以下の実質的にβ−SiCからなる結晶質超
微粒子と非晶質のSiOx(0<x≦2)からなる集合体で
あり、 構成元素の割合が、Si;30〜70重量%C;20〜60重量%及
びO;0.5〜10重量%であるSi−C−O物質 よりなる炭素質連続無機繊維であり、 b)前記セラミックスは、炭化物、窒化物、酸化物及び
ガラスセラミックスからなる群より選ばれた少なくとも
一種である。
本発明における無機繊維についてまず説明する。なお、
以下の記載において、「部」はすべて「重量部」であ
り、「%」はすべて「重量%」である。
本発明における無機繊維は前述した構成成分i)、ii)
及びiii)からなっており、Si;0.01〜29%、C;70〜99.9
%及びO;0.001〜10%、好ましくはSi;0.1〜25%、C;74
〜99.8%及びO;0.01〜8%から実質的に構成されてい
る。
この無機繊維の構成成分である結晶質炭素は500Å以下
の結晶子サイズを有し、1.5Åの分解能を有する高分解
能電子顕微鏡において、繊維軸方向に配向した3.2Åの
(002)面に相当する微細なラティスイメージ像が観察
されうる超微粒子のグラファイト結晶である。無機繊維
中の結晶質炭素は、ラジアル構造、オニオン構造、ラン
ダム構造、コアラジアル構造、スキンオニオン構造、モ
ザイク構造及び一部ラジアル構造を含むランダム構造等
をとることができる。これは、原料中にメソフェーズ多
環状芳香族化合物(2)が存在することに起因する。
この無機繊維における構成成分i)及びii)の総和100
部に対する構成成分iii)の割合は0.015〜200部であ
り、且つ構成成分i)、ii)の比率は1:0.02〜4であ
る。
構成成分i)及びii)の総和100部に対する構成成分ii
i)の割合が0.015未満の場合は、ほとんどピッチ繊維と
変わらず、耐酸化性や複合材における靭性の向上は望め
ず、上記割合が200部を越えた場合はグラファイトの微
細結晶が効果的には生成せず、高弾性率の繊維が得られ
ない。
本発明における連続無機繊維では、層間隔が小さく三次
元的配列が付与された微結晶が効果的に生成しており、
その微細結晶を包み込むように珪素原子が非常に均一に
分布している。
また、珪素の分布状態は、焼成時の雰囲気や原料中のメ
ソフェーズの大きさ、濃度によっても制御することがで
きる。例えば、メソフェーズを大きく成長させた場合、
珪素含有ポリマーは繊維表面相に押し出され易く、焼成
後繊維表面に珪素に富む層を生成させることができる。
本発明における無機繊維は、 i)結合単位(Si−CH2)、又は結合単位(Si−CH2)と
結合単位(Si−Si)から主としてなり、珪素原子の側鎖
に水素原子、低級アルキル基、フェニル基及びシリル基
からなる群から選ばれる側鎖基を有し、結合単位(Si−
CH2)の全数対結合単位(Si−Si)の全数の比が1:0〜20
の範囲にある有機珪素重合体の珪素原子の少なくとも一
部が、石油系又は石炭系のピッチあるいはその熱処理物
の芳香族環と珪素−炭素連結基を介して結合したランダ
ム共重合体100部及び ii)石油系又は石炭系ピッチを熱処理して得られるメソ
フェーズ状態又はメソフェーズと光学的等方相との両相
からなる多環状芳香族化合物(以下両者を総称して「メ
ソフェーズ多環状芳香族化合物」という。)5〜50000
部を、 200〜500℃の範囲の温度で加熱反応及び/又は加熱溶融
して、珪素含有多環状芳香族重合体を得る第1工程、 上記珪素含有多環状芳香族重合体の紡糸原液を調製して
紡糸する第2工程、 該紡糸原糸を張力下あるいは無張力下で不融化する第3
工程、及び 不融化した前記紡糸繊維束を真空中あるいは不活性ガス
雰囲気中で800〜3000℃の範囲の温度で焼成する第4工
程 よりなる製造方法により提供される。
上記の各工程について説明する。
第1工程: 出発原料の一つである有機珪素重合体は、公知の方法で
合成することができ、例えば、ジメチルジクロロシラン
と金属ナトリウムの反応により得られるポリメチルシラ
ンを不活性ガス中で400℃以上に加熱することにより得
られる。
上記有機珪素重合体は結合単位(Si−CH2)、又は結合
単位(Si−CH2)と結合単位(Si−Si)より主としてな
り、結合単位(Si−CH2)の全数対結合単位(Si−Si)
の全数の比率は1:0〜20の範囲内にある。
有機珪素重合体の重量平均分子量(MW)は、一般的には
300〜1000で、MWが400〜800のものが、優れた炭素系無
機繊維を得るための中間原料であるランダム共重合体
(1)を調製するために特に好ましい。
もう一つの出発原料である多環状芳香族化合物は石油類
及び/又は石炭類から得られるピッチで、特に好ましい
ピッチは、石油類の流動接触分解により得られる重質
油、その重質油を蒸留して得た留出成分又は残渣油及び
それらを熱処理して得られるピッチである。
上記ピッチ中には、ベンゼン、トルエン、キシレン、テ
トラヒドロフランなどの有機溶媒に不溶の成分が5〜98
重量%含まれていることが好ましい。上記の不溶成分が
5重量%未満のピッチを原料として用いた場合、強度、
弾性率共に優れた無機質繊維は得られず、また、98重量
%より多いピッチを原料として用いた場合、共重合体の
分子量上昇が激しく、一部コーキングの起こる場合もあ
り、紡糸困難な状態になる。
このピッチの重量平均分子量(MW)は、100〜3000であ
る。
重量平均分子量は以下のようにして求めた値である。即
ち、ピッチがベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒ
ロフラン、クロロホルム及びジクロロベンゼン等のゲル
パーミュエーションクロマトグラフ(GPC)測定用有機
溶媒不溶分を含有しない場合はそのままGPC測定し、ピ
ッチが上記有機溶媒不溶分を含有する場合は、温和な条
件で水添処理し、上記有機溶媒不溶分を上記有機溶媒可
溶な成分に変えて後GPC測定する。上記有機溶媒不溶分
を含有する重合体の重量平均分子量は、上記と同様の処
理を施し求めた値である。
ランダム共重合体(1)は、有機珪素重合体に、石油系
又は石炭系ピッチを添加し、不活性ガス中で好ましくは
250〜500℃の範囲の温度で加熱反応させることにより調
製される。
ピッチの使用割合は、有機珪素重合体100部当たり83〜4
900部であることが好ましい。ピッチの使用割合が過度
に小さい場合は、得られる無機繊維中の炭化珪素成分が
多くなり、高弾性率を有する無機繊維が得られなくな
り、また、その割合が過度に多い場合は、炭化珪素成分
が少なくなり、複合材における靭性や耐酸化性に優れた
無機繊維が得られなくなる。
上記反応の反応温度が過度に低いと、珪素原子と芳香族
炭素の結合が生成しにくくなり、反応温度が過度に高い
と、生成したランダム共重合体(1)の分解及び高分子
量化が激しく起こり好ましくない。
メソフェーズ多環状芳香族化合物(2)は、例えば、石
油系又は石炭系ピッチを不活性ガス中で300〜500℃に加
熱し、生成する軟質留分を除去しながら縮重合すること
によって調製することができる。
上記縮重合反応温度が過度に低いと縮合環の成長が充分
でなく、またその温度が過度に高いとコーキングにより
不融化物の生成が激しくなる。
上記のメソフェーズ多環状芳香族化合物(2)は、融点
が200〜400℃の範囲にあり、また、重量平均分子量が20
0〜10000である。
メソフェーズ多環状芳香族化合物(2)の中でも、20〜
100%の光学的異方性度を有し、30〜100%のベンゼン、
トルエン、キシレン又はテトラヒドロフランに対する不
溶分を含むものが、機械的性能上優れた無機繊維を得る
ために特に好ましい。
第1工程では、ランダム共重合体(1)とメソフェーズ
多環状芳香族化合物(2)を200〜500℃の温度範囲で加
熱溶融及び/又は加熱反応し、珪素含有多環状芳香族重
合体からなる紡糸ポリマーを調製する。
メソフェーズ多環状芳香族化合物(2)の使用割合はラ
ンダム共重合体(1)100部当たり5〜50000部であるこ
とが好ましく、5部未満では、生成物におけるメソフェ
ーズ含有量が不足するため、高弾性の焼成糸が得られ
ず、また、50000部より多い場合は、珪素成分の不足の
ため焼成糸の複合材における靭性、耐酸化性に優れた無
機繊維が得られなくなる。
上記珪素含有多環状芳香族重合体の重量平均分子量は20
0〜11000で、融点が200〜400℃である。
第2工程: 第1工程で得られる珪素含有多環状芳香族重合体である
紡糸ポリマーを加熱溶融させて、場合によってはこれを
濾過してミクロゲル、不純物等の紡糸に際して有害とな
る物質を除去し、これを通常用いられる合成繊維紡糸装
置により紡糸する。紡糸する際の紡糸原液の温度は原料
ポリマーの軟化温度によって異なるが、220〜420℃の範
囲の温度が有利である。
前記紡糸装置において、必要に応じて紡糸筒を取付け、
該紡糸筒内の雰囲気を空気、不活性ガス、熱空気、熱不
活性ガス、スチーム、及びアンモニアガスからなる群か
ら選ばれる一種以上の雰囲気とした後、巻取り速度を大
きくすることにより細い直径の繊維を得ることができ
る。前記溶融紡糸における紡糸速度は原料の平均分子
量、分子量分布、分子構造によって異なるが、50〜5000
m/分の範囲であることが好ましい。
第3工程: 第2工程で得られる紡糸繊維を張力又は無張力の作用も
とで不融化する。
代表的な不融化方法は、紡糸繊維を酸化性雰囲気中で加
熱する方法である。不融化の温度は好ましくは50〜400
℃の範囲の温度である。不融化温度が過度に低いと紡糸
原糸を構成するポリマーのはしかけが起こらず、また、
この温度が過度に高いとポリマーが燃焼する。
不融化の目的は、紡糸繊維を構成するポリマーを三次元
構造の不融・不溶のはしかけ状態にし、次工程の焼成の
際に溶融せず、且つ隣接した繊維と融着しないようにす
ることである。不融化の際の酸化性雰囲気を構成するガ
スとしては、空気、オゾン、酸素、塩素ガス、臭素ガ
ス、アンモニアガス、及びこれらの混合ガスが挙げられ
る。
上記とは別の不融化方法として、紡糸繊維に酸化性雰囲
気あるいは非酸化性雰囲気で、張力あるいは無張力で必
要に応じて低温加熱しながら、γ線照射、あるいは電子
線照射して不融化する方法も採用することができる。
このγ線あるいは電子線を照射する目的は、紡糸繊維を
形成するポリマーを、さらに重合させることによって、
紡糸原糸が融解し、繊維形状を失うことを防ぐことにあ
る。
γ線あるいは電子線の照射線量は106〜1010ラッドが適
当である。
照射は真空、不活性ガス雰囲気下、あるいは空気、オゾ
ン、酸素、塩素ガス、臭素ガス、アンモニアガス及びこ
れらの混合ガスのような酸化性ガス雰囲気で行うことが
できる。
照射による不融化は室温で行うこともでき、必要であれ
ば50〜200℃の温度範囲で加熱しながら行うことによっ
て不融化をより短時間で達成させることもできる。
不融化は、無張力下で行うと、前記紡糸繊維は収縮のた
め波状の形を呈するようになるが、次工程の焼成工程で
矯正できる場合もあり、張力は必ずしも必要ないが、張
力を作用させる場合には、その張力の大きさは不融化時
に紡糸繊維が収縮して波状となることを少なくとも防止
できる以上の張力を作用させると良い結果が得られる。
不融化の際に、作用させる張力としては、1〜500g/mm2
の範囲が好ましく、1g/mm2以下の張力を作用させても繊
維をたるませないような緊張を与えることができず、50
0g/mm2以上の張力を作用させると繊維が切断することが
ある。
第4工程: 第3工程で得られる不融化糸を、真空あるいは不活性ガ
ス雰囲気中で800〜3000℃の範囲の温度で焼成すること
によって、主として炭素、珪素、酸素からなる無機繊維
が得られる。
焼成工程において、張力を作用させることは必要ずしも
必要ないが0.001〜100Kg/mm2の範囲で張力を作用させな
がら高温焼成すると屈曲を少なくした強度の高い無機繊
維を得ることができる。
加熱過程において、約700℃から無機化が激しくなり、
約800℃でほぼ無機化が完了するものと推定される。従
って、焼成は、800℃以上の温度で行うことが好まし
い。また、3000℃より高い温度を得るには高価な装置を
必要とするため3000℃より高温での焼成は、コスト面か
らみて実際的でない。
本発明のセラミックス複合材料内において、無機繊維は
繊維そのものを単軸方向、多軸方向に配向させる方法、
あるいは平織、朱子織、模紗織、綾織、らせん織物、三
次元織物などの各種織物にして使用する方法、あるいは
チョップドファイバーとして使用する方法等がある。
本発明において使用することのできる炭化物セラミック
スとしては、炭化珪素、炭化チタン、炭化ジルコニウ
ム、炭化バナジウム、炭化ニオブ、炭化タンタル、炭化
硼素、炭化クロム、炭化タングステン、炭化モリブデン
などが挙げられる。窒化物セラミックスとしては、窒素
珪素、窒素チタン、窒素ジルコニウム、窒素バナジウ
ム、窒素ニオブ、窒素タンタル、窒化硼素、窒化アルミ
ニウム、窒化ハフニウムなどが挙げられる。酸化物セラ
ミックスとしては、アルミナ、シリカ、マグネシア、ム
ライト、コージライトなどが挙げられる。ガラスセラミ
ックスとしては、硼珪酸塩ガラス、高シリカ含有ガラ
ス、アルミノ珪酸塩ガラスなどが挙げられる。これらの
セラミックス母材として粉体を用いる場合は、繊維との
密着性を良くするため、少なくとも最大粒径が300μm
以下の、できるだけ細かい粉粒体を用いるのが有利であ
る。
本発明に係わる無機繊維のマトリックス中の混合割合は
10〜70体積%が好ましい。上記混合割合が10体積%より
少ないと無機繊維による補強効果が充分に発現されず、
また70体積%を超えるとセラミックスの量が少ないた
め、無機繊維の間隙を充分にセラミックスで充填するこ
とができない。
本発明のセラミックス複合材料を製造するに当たって
は、セラミックス粉状母材を高密度に焼結するための結
合材(焼結助剤)及び/またはセラミックス粉状母材と
無機繊維の密着性を高めるための結合剤を使用すること
ができる。
前者はそれぞれ炭化物、窒化物、酸化物、ガラスセラミ
ックスを焼結する際に用いられる通常の結合剤を使用す
ることができる。例えば、炭化珪素の結合剤としては硼
素、炭素、炭化硼素等が挙げられる。窒化珪素の結合剤
としては酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化イ
ットリウム、窒化アルミニウム等が挙げられる。
後者の好ましい例としては、ジフェニルシロキサン、ジ
メチルシロキサン、ポリボロジフェニルシロキサン、ポ
リボロジメチルシロキサン、ポリカルボシラン、ポリジ
メチルシラザン、ポリチタノカルボシラン、ポリジルコ
ノカルボシランなどの有機珪素ポリマー及びジフェニル
シランジオール、ヘキサメチルジシラザンなどの有機珪
素化合物が挙げられる。
セラミックス粉状母材と無機繊維の密着性を高めるため
の結合剤は、加熱により主として、SiCまたはSi3N4に転
換するが、これらはセラミックス粉状母材の表面で反応
を起こし、新たな炭化物、窒化物または酸化物を形成す
るため、セラミックス粉状母材と無機繊維の密着性がき
わめて優れたものとなる。また、これらの有機珪素化合
物、有機珪素ポリマーは前者の通常の結合剤と同様にセ
ラミックス粉状母材の焼結性をも高める働きをする。こ
のため、これらの添加は高密度、高強度の複合材料を製
造するためには大変有利である。しかし、セラミックス
粉状母材と無機繊維の強固な密着を得ることが可能な場
合には結合剤を添加する必要はない。
以上述べた結合剤の添加量はその添加効果を充分得るこ
とのできる範囲でよく通常セラミックス粉状母材に対し
て0.5〜20wt%が好ましい。
本発明に係わる無機繊維強化セラミックス複合材料は、
例えば下記の方法により製造することができる。
セラミックス粉状母材と無機繊維との集合体を得る方法
は種々あり、特にセラミックス粉状母材またはセラミッ
クスと結合剤よりなる混和体に繊維を埋設する方法や、
繊維と上記セラミックス粉状母材または上記混和体を交
互に配設する方法や、あらかじめ繊維を設置しておき、
その間隙に上記セラミックス粉状母材または上記混和体
を充填する方法などによれば比較的容易に集合体を得る
ことができる。
これらの集合体を焼結する方法としては、ラバープレ
ス、金型プレスなどを用いて前記集合体を50〜5000kg/c
m2の圧力で加圧成形した後、加熱炉で800℃〜2400℃の
範囲の温度で焼結する方法や、50〜5000kg/cm2の圧力で
加圧したままで800℃〜2400℃の範囲の温度でホットプ
レス焼結する方法などがあり、本発明においても使用す
ることができる。
上記焼結方法における雰囲気としては、真空中、あるい
は、窒素、アルゴン、一酸化炭素、水素などから選ばれ
る少なくとも1種以上の不活性ガスからなる雰囲気とす
る。
実施例5に示すように、上記の無機繊維強化セラミック
ス複合材料の製造方法において、無機繊維の代わりにそ
の前駆体(プレカーサー繊維)を用いることもできる。
このようにして得られた複合材料焼結体は以下に述べる
一連の処理を少なくとも一回以上施すことにより、さら
により高密度な焼結体を得ることができる。すなわち、
焼結体を減圧下で有機珪素化合物または有機珪素ポリマ
ーの溶融液、または必要により該化合物または該ポリマ
ーを有機溶媒に溶解させた溶液に浸して、該溶融液また
は該溶液を焼結体の粒界および気孔に含浸させ、前記含
浸後の焼結体を加熱する一連の処理により、より高密度
な焼結体を得ることができる。含浸した有機珪素化合物
または有機珪素ポリマーは、加熱により、主としてSiC
またはSi3N4に転換する。これらは複合焼結体の粒界及
び気孔に存在し、気孔を減少させると同時にセラミック
ス母材中に強固な結合を形成するため機械的強度を向上
させる。
また上記の有機珪素化合物または有機珪素ポリマーをそ
のまま、または必要により有機溶媒に希釈させた溶液を
塗布して、開気孔をなくしたり、表面コーティングを
し、上記と同じように熱処理をすることによっても機械
的強度を向上させることができる。
必要に応じて用いられる有機溶媒としては上記の化合物
を溶解する溶媒、例えばベンゼン、トルエン、キシレ
ン、ヘキサン、エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキ
サンクロロホルム、メチレンクロリド、リグロイン、石
油エーテル、石油ベンジン、ジメチルスルホキシド、ジ
メチルホルムアミドなどが挙げられる。前記の有機珪素
化合物または有機珪素ポリマーは、上記有機溶媒に溶解
され、より粘性の少ない溶液として使用することができ
る。
加熱処理は800℃〜2400℃で、真空中あるいは窒素、ア
ルゴン、一酸化炭素、水素などから選ばれる少なくと1
種の不活性ガスからなる雰囲気で行われる。
また、上記一連の含浸あるいは塗布はこの操作が可能な
限り何回でも繰り返し実施することができる。
なお、前記繊維強化セラミックス材料の製造にあたって
は、原料セラミックスの形態、複合材の製造法に関し、
前記形態、製法に限定されるものではなく、通常用いら
れる原料、製法を採用しても不都合ではない。
例えば、原料セラミックスとしては、ゾル・ゲル法によ
り得られる超微粉、焼成によりセラミックスに転換しう
るプレカーサーポリマー等を用いることが可能であり、
成形法としては、強化繊維が短繊維の場合、射出成形、
押出成形、鋳込成形を採用することができる。焼成に際
しては、HIP(熱間静水圧加圧)等を併用することによ
り複合材の高性能化が可能となる。一方、CVD,CVI法等
の気相法によっても優れた複合材を得ることができる。
本発明のセラミックス複合材料は、限界応力拡大係数
(KIC)が無機繊維を含まないマトリックスのみのKIC
対する比(以下「KIC比」という。)が約2〜7であ
り、熱衝撃破壊抵抗法により測定した曲げ強度の低下率
(以下「曲げ強化低下率」という。)は約10%以下であ
る。さらに前記複合材料中の無機繊維または、複合材料
製造時における初期反応劣化速度が約0.35kg/mm2・sic
-1以下であり、繊維強度低下率は約40%以下である。
限界応力拡大係数(KIC)は、A.G.エバンらのアメリカ
セラミック協会誌(J.Am.Ceram.Soc.,59,371,1976)に
記載されているIF法(Indentation Fracture Method)
により測定した。
曲げ強度低下率は、3×3×40mmのサイズに切断したセ
ラミックス複合材料を800℃〜1300℃の範囲の温度にお
いて空気中または窒素中で20分間熱処理し、ついで直ち
に25℃の水中に浸漬した後乾燥し、3点曲げ強度試験法
により測定して求めた曲げ強度と、上記熱処理などを施
していないセラミックス複合材料の曲げ強度とから求め
た。
繊維初期反応劣化速度(以下単に「劣化速度」とい
う。)は、下記のようにして求めた。
すなわち、無機繊維、炭化珪素繊維またはアルミナ繊維
などをセラミックス粉状母材中に埋設し、ついでアルゴ
ン雰囲気中で所定の温度(複合材製造時の温度)で5分
間加熱し、ついで繊維を取り出し、引張強度の測定を行
い、前処理の繊維の引張強度との差を加熱時間(秒)で
除することによって求めた。
(発明の効果) 本発明のセラミックス複合材料は、従来の炭素繊維を強
化材としたセラミックス複合材料と比べ酸化雰囲気中で
高温使用を可能とすると共に、他の無機繊維を強化材と
したセラミックス複合材料と比べても、KICの向上によ
りセラミックスが本来有している脆さや機械的強度の不
均一性を大幅に改良するものであり、構造材料としての
使用に適したものとなっている。また、耐熱衝撃性の改
良は、高温から低温に至る温交変動の厳しい環境下での
使用を可能としている。また、本発明の無機繊維は、マ
トリックスとなるセラミックスに対して安定であり、無
機繊維による強化という本来の目的を充分に達成するも
のである。
(実施例) 以下実施例によって本発明を説明する。
参考例1(無機繊維Iの製造) 5の三口フラスコに無水キシレン2.5及びナトリウ
ム400gを入れ、窒素ガス気流下でキシレンの沸点まで加
熱し、ジメチルジクロロシラン1を1時間で滴下し
た。滴下終了後、10時間加熱還流し沈澱物を生成させ
た。沈澱を濾過し、メタノールついで水で洗浄して、白
色粉末のポリジメチルシラン420gを得た。
このポリジメチルシラン400gを、ガス導入管、撹拌機、
冷却器及び留出管を備えた3の三口フラスコに仕込
み、撹拌しながら50ml/分の窒素気流下に420℃で加熱処
理して、留出受器に350gの無色透明な少し粘性のある液
体を得た。
この液体の数平均分子量は蒸気圧浸透法で測定したとこ
ろ470であった。
この物質の赤外線吸収スペクトルを測定したところ、65
0〜900cm-1と1250cm-1にSi−CH3の吸収、2100cm-1にSi
−Hの吸収、1020cm-1付近と1355cm-1にSi−CH2−Siの
吸収、2900cm-1と2950cm-1にC−Hの吸収が認められ、
またこの物質の遠赤外線吸収スペクトル測定したとこ
ろ、380cm-1にSi−Siの吸収が認められることから、得
られた液状物質は、主として(Si−CH2)結合単位及び
(Si−Si)結合単位からなり、珪素の側鎖に水素原子及
びメチル基を有する有機珪素重合体であることが判明し
た。
核磁気共鳴分析及び赤外線吸収分析の測定結果から、こ
の有機珪素重合体は(Si−CH2)結合単位の全数対(Si
−Si)結合単位の全数の比率がほぼ1:3である重合体で
あることが確認された。
上記有機珪素重合体300gをエタノールで処理して低分子
量物を除去して、数平均分子量が1200の重合体40gを得
た。
この物質の赤外線吸収スペクトルを測定したところ、上
記と同様の吸収ピークが認められ、この物質は主として
(Si−CH2)結合単位及び(Si−Si)結合単位からな
り、珪素の側鎖に水素原子及びメチル基を有する有機珪
素重合体であることが判明した。
核磁気共鳴分析及び赤外線吸収分析の測定結果から、こ
の有機珪素重合体は(Si−CH2)結合単位の全数対(Si
−Si)結合単位の全数の比率がほぼ7:1である重合体で
あることが確認された。
一方、石油留分のうち、軽油以上の高沸点物をシリカ・
アルミナ系分解触媒の存在下、500℃の温度で流動接触
分解・精留を行い、その塔底より残渣を得た。以下、こ
の残渣をFCCスラリーオイルと呼ぶ。
このFCCスラリーオイルは、元素分析の結果、炭素原子
対水素原子の原子比(C/H)が0.75で、核磁気共鳴分析
による芳香炭素率が0.55であった。
上記FCCスラリーオイル100gを1/分の窒素ガス気流
下420℃で2時間加熱し、同温度における留出分を留去
後、残渣を150℃にて熱時濾過を行い、同温度における
不融部を除去し、軽質分除去ピッチ57gを得た。
この軽質除去ピッチは60%のキシレン不溶分を含んでい
た。
この軽質分除去ピッチ57gに前記有機珪素重合体25g及び
キシレン20mlを加え、撹拌しながら昇温し、キシレンを
留去後、400℃で6時間反応させ43gのランダム共重合体
(1)を得た。
この反応生成物は赤外線吸収スペクトル測定の結果、有
機珪素重合体中に存在するSi−H結合(IR:2100cm-1
の減少、及び新たなSi−C(ベンゼン環の炭素)結合
(IR:1135cm-1)の生成が認められることより有機珪素
重合体の珪素原子の一部が多環状芳香族環の炭素と直接
結合した部分を有する共重合体であることがわかった。
このランダム共重合体(1)は、キシレン不溶部を含ま
ず重量平均分子量が1400で、融点が265℃であった。
これを、300℃で加熱溶融静置し、比重差により軽質分
を除去し、残部40gを得た。これをポリマー(a)と呼
ぶ。
これと並行して、FCCスラリーオイル400gを、窒素ガス
気流下450℃に加熱し、同温度における留出分を留去
後、残渣を200℃にて熱時濾過を行い、同温度における
不融部を除去し、軽質分除去ピッチ180gを得た。得られ
た軽質分除去ピッチ180gを窒素気流下、反応により生成
する軽質部分を除去しながら400℃で8時間縮重合を行
い、熱処理ピッチ80.3gを得た。
この熱処理ピッチは融点310℃、キシレン不溶分97%、
キノリン不溶分20%を含有しており、研磨面の偏光顕微
鏡観察による光学的異方性が95%のメソフェーズ多環状
芳香族化合物(2)であった。
これを再び、350℃で加熱溶融静置し、比重差により軽
質分を分離除去し、残部80gを得た。
これと、ポリマー(a)40gを混合し、窒素雰囲気下350
℃で1時間溶融加熱し、均一な状態にある珪素多環状芳
香族重合体を得た。
この重合体の融点は290℃で、70%のキシレン不溶分を
含んでいた。
上記高分子量物を紡糸用原料とし、ノズル径0.15mmの金
属製ノズルを用い、360℃で溶融紡糸を行い、得られた
紡糸原糸を、空気中、300℃で酸化、不融化し更にアル
ゴン雰囲気中、1300℃で焼成を行い、直径10μmの無機
繊維Iを得た。
この繊維は引張強度が295kg/mm2、引張弾性率26t/mm2
あり、破壊面の観察よりラジアル構造であった。
参考例2(無機繊維IIの製造) 参考例1と同様にして得た不融化糸をアルゴン雰囲気
中、2500℃で焼成し、直径9.2μの無機繊維IIを得た。
この繊維の引張強度は300kg/mm2、引張弾性率53t/mm2
あった。
参考例3(無機繊維IIIの製造) 参考例1で得られたFCCスラリーオイル200gを2/分
の窒素ガス気流下450℃で0.5時間加熱し、同温度におけ
留出分を留去後、残渣を200℃にて熱時濾過を行い、同
温度における不融部を除去し、軽質分除去ピッチ57gを
得た。
この軽質分除去ピッチは25%のキシレン不溶分を含んで
いた。
この軽質分除去ピッチ57gに前記有機珪素重合体25g及び
キシレン20mlを加え、撹拌しながら昇温し、キシレンを
留去後、400℃で6時間反応させ51gのランダム共重合体
(1)を得た。
この反応生成物は赤外線吸収スペクトル測定の結果、有
機珪素重合体中に存在するSi−H結合(IR:2100cm-1
の減少、及び新たなSi−C(ベンゼン環の炭素)結合
(IR:1135cm-1)の生成が認められることより有機珪素
重合体の珪素原子の一部が多環状芳香族環の炭素と直接
結合した部分を有する共重合体であることがわかった。
このランダム共重合体(1)は、キシレン不溶部を含ま
ず重量平均分子量が1400で、融点が265℃で、軟化点が3
10℃であった。
一方、前記軽質分除去ピッチ180gを窒素気流下、反応に
より生成する軽質部分を除去しながら400℃で8時間縮
重合を行い、熱処理ピッチ97.2gを得た。
この熱処理ピッチは融点263℃、軟化点308℃、キシレン
不溶分77%、キノリ不溶分31%を含有しており、研磨面
の偏光顕微鏡観察による光学的異方性が75%のメソフェ
ーズ多環状芳香族化合物(2)であった。
このメソフェーズ多環状芳香族化合物(2)90gと前記
ランダム共重合体(1)6.4gを混合し、窒素雰囲気下38
0℃で1時間溶融加熱し、均一な状態にある珪素多環状
芳香族重合体を得た。
この重合体の融点は267℃で、軟化点は315℃で、70%の
キシレン不溶分を含んでいた。
上記高分子量物を紡糸用原料とし、ノズル径0.15mmの金
属製ノズルを用い、360℃で溶融紡糸を行い、得られた
紡糸原糸を、空気中、300℃で酸化、不融化し、更にア
ルゴン雰囲気中、1300℃で焼成を行い、直径8μmの無
機繊維IIIを得た。
この繊維は引張強度が320kg/mm2、引張弾性率26t/mm2
あり、破壊面の観察よりラジアル構造であった。
この無機繊維IIIを粉砕後アルカリ溶融、塩酸処理を施
し水溶液とした後、高周波プラズマ発光分光分析を行っ
た結果、この無機繊維III中の珪素含有率は0.95%であ
ることがわかった。
参考例4(無機繊維IVの製造) メソフェーズ多環状芳香族化合物(2)97gとランダム
共重合体(1)3gを混合し、400℃で溶融加熱した以外
は参考例3と同様にして珪素含有多環状芳香族重合体を
得た。
この重合体は、融点が272℃で、軟化点が319℃で、71%
のキシレン不溶分を含んでいた。
上記高分子量物を参考例3と同様に紡糸、不融化後、ア
ルゴン雰囲気中、2500℃で焼成し、直径7.2μの無機繊
維IVを得た。
この繊維の引張強度は335kg/mm2、引張弾性率53t/mm2
あった。
この無機繊維IVを粉砕後アルカリ溶融、塩酸処理を施し
水溶液とした後、高周波プラズマ発光分光分析を行った
結果、この無機繊維IV中の珪素含有率は0.42%であるこ
とがわかった。
参考例5(炭化珪素繊維の製造) 比較例で使用するポリカルボシランのみから得られる炭
化珪素繊維は下記のようにして製造した。
ジメチルジクロロシランを金属ナトリウムで脱塩素縮合
して合成されるポリジメチルシラン100重量部に対しポ
リボロシロキサン3重量部を添加し、窒素中、350℃で
熱縮合して、式(Si−CH2)のカルボシラン単位から主
としてなる主鎖骨格を有し、該カルボシラン単位の珪素
原子に水素原子およびメチル基を有しているポリカルボ
シランを得た。このポリマーを溶融紡糸し、空気中190
℃で不融化処理し、さらに引きつづいて窒素中1300℃で
焼成して、繊維径13μ、引張強度が3000Kg/mm2、引張弾
性率16t/mm2の主として珪素、炭素及び酸素からなる炭
化珪素繊維を得た。
実施例1 平均粒径0.2μmのβ−炭化珪素粉末に3%の炭化硼素
および10%のポリチアノカルボシラン粉末を添加し良く
混合したものと、長さ50mmの一方向に均一に配列させた
無機繊維Iとを無機繊維Iの繊維含有率が40体積%とな
るよう交互に積層させ、金型プレス500kg/cm2でプレス
成形した。この成形をアルゴン雰囲気中で200℃/hrの昇
温速度で1950℃に加熱し、1時間保持して無機繊維強化
炭化珪素複合焼結体を得た。
比較例1 無機繊維1の代わりに参考例5で製造したポリカルボシ
ランのみから得られる炭化珪素繊維を用いた以外は実施
例1同様な方法で炭化珪素繊維強化炭化珪素複合焼結体
を製造した。
比較例2 繊維径7.0μm、引張強度300Kg/mm2及び引張弾性率21t/
mm2の市販PAN系炭素繊維を用いて実施例1と同様な方法
で炭化繊維強化炭化珪素複合焼結体を製造した。
比較例3 無機繊維Iとポリチタノカルボシラン粉末を含まない以
外は実施例1と同様の方法で炭化珪素単味焼結体を製造
した。
実施例2 強化繊維として無機繊維IIを用いた以外は実施例1と同
様にして無機繊維強化炭化珪素複合焼結体を得た。
実施例1〜2及び比較例1〜3で得られた焼結体の機械
的強度を第1表に示す。表中の抗折力は繊維に直角な方
向で測定した値である。
実施例3 平均粒径0.5μmのα−窒化珪素粉末に2%のアルミ
ナ、3%のイットリア、3%の窒化アルミニウムを良く
混合した粉末と、長さ50mmの一方向に均一配列させた無
機繊維Iとを繊維含有率が約10体積%となるよう交互に
積層させた。この時無機繊維を0度/90度の2軸方向に
積層させてホットプレス装置により1750℃、300kg/cm2
で30分間保持して、無機繊維強化窒化珪素複合焼結体を
得た。
焼結体の室温及び1400℃での抗折強度等を第2表に示
す。
比較例4 無機繊維Iを使用しなかった以外は実施例3と同様の方
法で焼結体を得た。結果を第2表に併記する。
実施例4 平均粒径44μmのコーニングガラス製の硼珪酸塩ガラス
(7740)粉末に、45容量%の無機繊維Iを10mmの長さに
切断したチョップドファイバーを添加し、イソプロパノ
ール中で良く分散させ混合したスラリーを、無機繊維I
を一方向に均一に配列させたものと交互に積層させて、
乾燥後、ホットプレス装置により1300℃、750kg/cm2
約10分間アルゴン雰囲気下に処理することにより無機繊
維強化ガラス複合材料を得た。結果を第3表に示す。
比較例5 無機繊維Iに代えて市販の炭化珪素繊維を用いた以外は
実施例4と同様の方法でガラスセラミックスを得た。結
果を第3表に併記する。
実施例5 平均粒径0.5μmのアルミナに酸化チタン2重量%を混
合し、無機繊維Iのプレカーサーである有機金属重合体
繊維を15容量%アルミナ製ボールミル中でよく混合し
た。プレカーサー繊維の平均長さは約0.5mmであった。
このものをホットプレス装置によりアルゴン雰囲気下20
00℃で焼結させた。得られた焼結体のスポーリング試験
を平板(40×10×3mm)を用いて窒素雰囲気下1300℃に
保持した炉内に入れ20分間急熱後取り出して20分間強制
空冷を行うサイクルを繰り返して亀裂が発生するサイク
ル数を調べた。
サイクル数及び焼結体の各種機械強度を第4表に示す。
比較例6 プレカーサー繊維を入れない他は実施例5と同様の方法
で焼結体を得た。
結果を第4表に併記する。
実施例6 平均粒径0.2μmのβ−炭化珪素粉末に3%の炭化硼素
および10%のポリチタノカルボシラン粉末を添加し良く
混合したものと、長さ50mmの一方向に均一に配列させた
無機繊維IIIとを無機繊維IIIの繊維含有率が40体積%と
なるよう交互に積層させ、金型プレスで500kg/cm2でプ
レス成形した。この成形体をアルゴン雰囲気中で200℃/
hrの昇温速度で1950℃に加熱し、1時間保持して無機繊
維強化炭化珪素複合焼結体を得た。
実施例7 強化繊維として無機繊維IVを用いた以外は実施例6と同
様にして無機繊維強化炭化珪素複合焼結体を得た。
実施例6〜7及び前記比較例1〜3で得られた焼結体の
機械的強度を第5表に示す。表中の抗折力は繊維に直角
な方向で測定した値である。
実施例8 平均粒径0.5μmのα−窒化珪素粉末に2%のアルミ
ナ、3%のイットリア、3%の窒化アルミニウムを良く
混合した粉末と、長さ50mmの一方向に均一配列させた無
機繊維IIIとを繊維含有率が約10体積%となるよう交互
に積層させた。この時無機繊維を0度/90度の2軸方向
に積層させてホットプレス装置により1750℃、300kg/cm
2で30分間保持して、無機繊維強化窒化珪素複合焼結体
を得た。
焼結体の室温及び1400℃での抗折強度等を前記比較例4
の結果と共に第6表に示す。
実施例9 平均粒径44μmのコーニングガラス製の硼珪酸塩ガラス
(7740)粉末に、45容量%の無機繊維IIIを10mmの長さ
に切断したチョップドファイバーを添加し、イソプロパ
ノール中で良く分散させ混合したスラリーを、無機繊維
IIIを一方向に均一に配列させたものと交互に積層させ
て、乾燥後、ホットプレス装置により1300℃、750kg/cm
2で約10分間アルゴン雰囲気下に処理することにより無
機繊維強化ガラス複合材料を得た。結果を前記比較例5
の結果と共に第7表に示す。
実施例10 平均粒径0.5μmのアルミナに酸化チタン2重量%を混
合し、無機繊維IIIのプレカーサーである有機金属重合
体繊維を15容量%アルミナ製ボールミル中でよく混合し
た。プレカーサー繊維の平均長さは約0.5mmであった。
このものをホットプレス装置によりアルゴン雰囲気下20
00℃で焼結させた。得られた焼結体のスポーリング試験
を平板(40×10×3mm)を用いて窒素雰囲気下1300℃に
保持した炉内に入れ20分間急熱後取り出して20分間強制
空冷を行うサイクルを繰り返して亀裂が発生するサイク
ル数を調べた。
サイクル数及び焼結体の各種機械強度を前記比較例6の
結果と共に第8表に示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渋谷 昌樹 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇部 興産株式会社宇部研究所内 審査官 小島 隆

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無機繊維を強化材とし、セラミックスをマ
    トリックスとする無機繊維強化セラミックス複合材料に
    おいて a)前記無機繊維が、珪素含有多環状芳香族重合体から
    得られる無機繊維であって、その構成成分が、 i)該重合体を構成するメソフェーズ状態にある多環状
    芳香族化合物から導かれるラジアル構造、オニオン構
    造、ランダム構造、コアラジアル構造、スキンオニオン
    構造及びモザイク構造からなる群から選ばれる少なくと
    も一種の結晶配列状態を示す炭素質、 ii)該重合体を構成する有機溶媒不溶分を含む光学的等
    方性の多環状芳香族化合物から導かれる、無配向状態の
    結晶質炭素及び/又は非晶質炭素、及び iii)Si、C及びOから実質的になる非晶質相及び/又
    は粒径が500Å以下の実質的にβ−SiCからなる結晶質超
    微粒子と非晶質のSiOx(0<x≦2)からなる集合体で
    あり、 構成元素の割合が、Si;30〜70重量%C;20〜60重量%及
    びO;0.5〜10重量%であるSi−C−O物質 よりなる炭素質連続無機繊維であり、 b)前記セラミックスは、炭化物、窒化物、酸化物及び
    ガラスセラミックスからなる群より選ばれた少なくとも
    一種 であることを特徴とする無機繊維強化ラミックス複合材
    料。
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