JP2547108B2 - 繊維強化炭素質複合材料 - Google Patents

繊維強化炭素質複合材料

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JP2547108B2
JP2547108B2 JP2018087A JP1808790A JP2547108B2 JP 2547108 B2 JP2547108 B2 JP 2547108B2 JP 2018087 A JP2018087 A JP 2018087A JP 1808790 A JP1808790 A JP 1808790A JP 2547108 B2 JP2547108 B2 JP 2547108B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は無機繊維で強化された耐熱性、耐摩耗性炭素
質無機複合材料に関するものである。
(従来の技術及びその問題点) 無機繊維で強化した炭素質無機複合材料のうち、強化
繊維として炭素繊維、無機質マトリックスとして炭素を
用いた、所謂C/Cコンポジットは比強度、比弾性、非酸
化性雰囲気中における耐熱性、靭性、摩擦特性に優れ、
耐熱構造材、ブレーキ材として有望なものである。特に
ブレーキ用途においては、航空機、レーシングカー用と
して実用化が進められている。
しかし、C/Cコンポジットはマトリックスが炭素のみ
からなるため、酸化性雰囲気中での長時間の使用は困難
であり、また、摩擦特性においても潤滑性には優れてい
るものの、耐摩耗性に必ずしも充分ではなかった。
これら炭素マトリックスの持つ本質的欠点を補う方法
として、Am.Ceram.Soc.Bull.62(1983)916において、
ウォーカー(B.E.Walker.Jr)らは、C/Cコンポジットに
有機珪素高分子を含浸後、熱分解し、マトリックスへの
炭化珪素成分の導入を図るという方法について記載して
いるが、得られた複合材の曲げ強度は158MPと低強度で
ある。
また、Proc.of Int.Symp.on Ceramic,Compon.for Eng
ine,1983,Japan,p505において、フィッツアー(E.Fitze
r)らは、C/Cコンポジットに珪素融液を含浸し、マトリ
ックスの炭化珪素化を図るという方法について記載して
いるが、得られた複合材は、そのマトリックス粒子間に
未反応のまま残存する金属珪素のため、1300℃以上の高
温ではクリープ変成を生じ、C/Cコンポジットの有する
高温特性を有していない。
上記のいずれのプロセスも、従来の複雑なC/Cコンポ
ジット製造過程に加え、さらに煩雑なプロセスが付加さ
れ、工業的利用の困難なものであった。
一方、アモルファスの無機繊維を用いた場合には、マ
トリックス炭素の結晶化温度が高温であるため強化繊維
の劣化が避けられないという欠点があった。
(問題を解決するための手段) 本発明の目的は、上記問題点を解決した新規な無機繊
維強化炭素質複合材料の提供にある。
本発明の他の目的は、高温酸化雰囲気下で劣化の少な
い、耐酸化性炭素質複合材料の提供にある。
本発明の他の目的は、耐磨耗性に優れた炭素質複合材
料の提供にある。
本発明の他の目的は、低温下で製造可能な炭素質複合
材料の提供にある。
本発明の無機繊維強化炭素質複合材料は無機繊維を強
化材とし、無機物質をマトリックスとする繊維強化複合
材料であって、前記無機マトリックスは、珪素含有多環
状芳香族重合体から導かれる無機物質であって、その構
成成分が、 i) 該重合体を構成するメソフェーズ状態にある多環
状芳香族化合物から導かれる結晶質炭素、又は結晶質炭
素と非晶質炭素、 ii) 該重合体を構成する光学的等方性の多環状芳香族
化合物から導かれる、無配向状態の結晶質炭素及び/又
は非晶質炭素、及び iii) Si;30〜70重量%、C;20〜60重量%及びO;0.5〜1
0重量%から実質的になる非晶質相及び/又は粒径が500
Å以下の実質的にβ−SiCからなる結晶質超微粒子と非
晶質のSiOx(xは2以下)からなる集合体 よりなる炭素質無機物質である)。
また、本発明における無機繊維強化炭素質複合材料
は、 1) 結合単位(Si-CH2)、又は結合単位(Si-CH2)と
結合単位(Si-Si)から主としてなり、珪素原子に水素
原子、低温アルキル基、フェニル基及びシリル基からな
る群から選ばれる側鎖基を有し、結合単位(Si-CH2)の
全数対結合単位(Si-Si)の全数の比が1:0〜20の範囲に
ある有機珪素重合体の珪素原子の少なくとも一部が、石
油系又は石炭系のピッチあるいはその熱処理物の芳香族
環と珪素−炭素結合基を介して結合したランダム共重合
体及び 2) 石油系又は石油系ピッチを熱処理して得られるメ
ンフェーズ状態又はメソフェーズと光学的等方相との両
相からなる多環状芳香族化合物(以下、両者を総称して
「メソフェーズ多環状芳香族化合物」と言うことがあ
る。)を、 200〜500℃の範囲の温度で加熱反応及び/又は加熱溶融
して、珪素含有多環状芳香族重合体を得る第1工程、 上記珪素含有多環状芳香族重合体を溶融状態におい
て、無機繊維と混合又は含浸し、成形する第2工程、 上記成形体を必要により不融化処理を行った後、真空
中あるいは不活性ガス中で800℃〜3000℃の温度で焼成
し、無機化する第3工程、 上記工程により得られた無機繊維強化炭素質複合材料
の空孔に必要により珪素含有多環状芳香族重合体の融
液、又は溶液を含浸せしめ、焼成し、無機化させる処理
を繰り返し行うことにより高密度化する第4工程 よりなる製造方法により提供される。
なお、高温ホットプレス等により上記第2〜第4工程
を一つの工程として製造することも可能である。
次に、上記各工程について具体的に説明する。以下の
説明において「部」は「重量部」であり、「%」は「重
量%」である。
第1工程: 出発原料の一つである有機珪素重合体は、公知の方法
で合成することができ、例えば、ジメチルジクロロシラ
ンと金属ナトリウムの反応により得られるポリメチルシ
ランを不活性ガス中で400℃以上に加熱することにより
得られる。
上記有機珪素重合体は、結合単位(Si-CH2)、又は結
合単位(Si-Si)と結合単位(Si-CH2)より主としてな
り、結合単位(Si-CH2)の全数対結合単位(Si-Si)の
全数の比率は1:0〜20の範囲内にある。
有機珪素重合体の重合平均分子量(Mw)は、一般的
には300〜1000で、Mwが400〜800のものが、優れた炭素
質マトリックスを得るための中間原料であるランダム共
重合体i)を調製するために特に好ましい。
もう一つの出発原料である多環状芳香族化合物ii)は
石油類及び/又は石炭類から得られるピッチで、特に石
油類の流動接触分解により得られる重質油、その重質油
を蒸留して得た留出成分又は残渣油及びそれらを熱処理
して得られるピッチである。
上記ピッチ中にはベンゼン、トルエン、キシレン、テ
トラヒドロフランなどの有機溶媒に不溶の成分が5〜98
重量%含まれていることが好ましい。上記有機溶媒不溶
分が5%未満のピッチを原料として用いた場合、無機化
時の残存率が低くなり、空孔が残存しやすく、また結晶
化しにくいため複合材物性も低いものとなり、一方98%
より高い場合、不溶、不融のコーキング物が生じやすく
成形上不利が生ずる。
このピッチの重量平均分子量(Mw)は、300〜3000
で、融点は70〜200℃である。
重量平均分子量は以下のようにして求めた値である。
即ち、ピッチがベンゼン、トルエン、キシレン、テトラ
ヒドロフラン、クロロホルム及びジクロロベンゼン等の
ゲルパーミュエーションクロマトグラフ(GPC)測定用
有機溶媒不溶分を含有しない場合はそのままGPC測定
し、ピッチが上記有機溶媒不溶分を含有する場合は、温
和な条件で水添処理し、上記有機溶媒不溶分を上記有機
溶媒可溶な成分に変えて後GPC測定する。(上記有機溶
媒不溶分を含有する重合体の重量平均分子量は、上記と
同様の処理を施し求めた値である)。
ランダム共重合体i)は、有機珪素重合体に、石油系
又は石炭系ピッチを添加し、不活性ガス中で好ましくは
250〜500℃の範囲の温度で加熱反応させることにより調
製される。
ピッチの使用割合は、有機珪素重合体100部当たり10
〜1900部であることが好ましい。ピッチの使用割合が過
度に小さい場合は、得られる無機物質中の炭化珪素成分
が多くなり、炭素の持つ潤滑性、非酸化性雰囲気中での
高温特性が失われ、また、その割合が過度に多い場合
は、炭化珪素成分が少なくなり、複合材の耐酸化性、耐
摩耗性が低下する。
上記反応の反応温度が過度に低いと、珪素原子と芳香
族炭素の結合が生成しにくくなり、反応温度が過度に高
いと、生成したランダム共重合体の分解及び高分子量化
が厳しく起こり好ましくない。
メンフェーズ多環状芳香族化合物ii)は、例えば、石
油系又は石炭系ピッチを不活性ガス中で300〜500℃に加
熱し、生成する軟質留分を除去しながら縮重合すること
によって調製することができる。
上記縮重合反応温度が過度に低いと縮合環の成長が充
分でなく、またその温度が過度に高いとコーキングによ
り不溶、不融の生成分が生ずる。
メンフェーズ多環状芳香族化合物ii)は、融点が200
〜400℃の範囲にあり、また、重合平均分子量が200〜10
000である。
メンフェーズ多環状芳香族化合物ii)の中でも、20〜
100%の光学的異方性度を有し、2〜60%のキノリン不
溶分並びに30〜100%のベンゼン、トルエン、キシレン
又はテトラヒドロフランに対する不溶分を含むものが、
複合材の機械的特性を向上させるために特に好ましい。
第1工程では、ランダム共重合体i)とメソフェーズ
多環状芳香族化合物ii)を200〜500度の温度範囲で加熱
溶融及び/又は加熱反応し、珪素含有多環状芳香族重合
体を調製する。
メソフェーズ多環状芳香族化合物ii)の使用割合はラ
ンダム共重合体i)100部当たり5〜1900部であること
が好ましく、5部未満では、生成物におけるメソフェー
ズ含有量が不足するため、高温特性が低下し、1900部よ
り多い場合は、炭化珪素成分が不足するため耐酸化性、
耐磨耗性が低下する。
上記珪素含有多環状芳香性重合体の重合平均分子量は
200〜11000で、融点が200〜400℃である。
第2工程: 無機繊維と第1工程で得られた珪素含有多環状芳香族
重合体より通常のFRPの成形法と類似の方法により成形
体を得ることができる。
無機繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、ポロン繊
維、アルミナ繊維、窒化珪素繊維、炭化珪素繊維、カー
ボンを芯線とする炭化珪素繊維及びSi−M−C−O繊維
(宇部興産(株)製チラノ繊維:登録商標)が挙げら
れ、これらの繊維は単独又は組み合わせて用いることが
できる。
上記のSi−M−C−O繊維は、例えば特公昭60-1405
号公報、同58-5286号公報、同60-20485号公報、同59-44
403号公報に記載の方法によって調製することができ
る。式、MはTi又はZrである。
成形法の具体例としては、上記無機繊維の平織、朱子
織、模沙織、綾織、螺旋織、三次元織等の織物に珪酸含
有多環状芳香族重合体の粉末を加え加熱プレスし成形す
る方法;前記織物に珪素含有多環状芳香族重合体の溶液
又はスラリーを含浸後、溶媒を除去し、乾燥したプリプ
レグを加熱成形する方法;前記無機繊維の短繊維、又は
チョップドファイバーと珪素含有多環状芳香族重合体を
溶融混練し、プレス成形、又は射出成形により成形体を
得る方法が挙げられる。その際、成形体中の無機繊維の
割合は10〜70体積%であることが好ましい。
第3工程: 上記成形体に必要により不融化処理を施す。
代表的な不融化方法は上記成形体を酸化性雰囲気中で
加熱する方法である。不融化の温度は好ましくは50〜40
0℃の範囲の温度である。不融化温度が度に低いとマト
リックスを構成するポリマーのはしかけが起こらず、ま
た、この温度が過度に高いとポリマーが燃焼する。
不融化の目的は、前記成形体のマトリックスを構成す
るポリマーを三次元構造の不融・不溶のはしかけ状態に
し、次工程の無機化の際に溶融せず、成形体形状を保持
させることにある。不融化の際の酸化性雰囲気を構成す
るガスとしては、空気、オゾン、酸素、塩素ガス、臭素
ガス、アンモニアガス、及びこれらの混合ガスが挙げら
れる。
上記とは別の不融化方法として、前記成形体を酸化性
雰囲気あるいは非酸化性雰囲気で、必要に応じて低温加
熱しながら、γ線照射、あるいは電子線照射して不融化
する方法も採用することができる。
このγ線あるいは電子線を照射する目的は、前記成形
体のマトリックスを形成するポリマーを、さらに重合さ
せることによって、マトリックスが融解し、成形体形状
を失うことを防ぐことにある。
γ線あるいは電子線の照射線量は106〜1010ラッドが
適当である。
照射は真空、不活性ガス雰囲気下、あるいは空気、オ
ゾン、酸素、塩素ガス、臭素ガス、アンモニアガス及び
これらの混合ガスのような酸化性ガス雰囲気で行うこと
ができる。
照射による不融化は室温で行うこともでき、必要であ
れば50〜200℃の温度範囲で加熱しながら行うことによ
って不融化をより短時間で達成させることもできる。
不融化された成形体は、真空あるいは不活性ガス中
で、800〜3000℃の範囲の温度で焼成し、無機化され、
繊維強化された、炭素、珪素及び酸素からなるマトリッ
クスを有する複合材料が得られる。
加熱過程において、約700℃から無機化が激しくな
り、約800℃でほぼ無機化が完了するものと推定され
る。従って、焼成は、800℃以上の温度で行うことが好
ましい。また、3000℃より高い温度を得るには高価な装
置を必要とするため3000℃より高温での焼成は、コスト
面からみて実際的でない。
得られる複合材のマトリックス成分は前述した構成成
分i)、ii)及びiii)からなっており、Si;0.5〜50
%、C;40〜97%及びO;0.1〜10%から実質的に構成され
ている。
このマトリックス成分の構成成分である結晶質炭素は
500Å以下の結晶子サイズを有し、1.5Åの分解能を有す
る高分解能電子顕微鏡において、繊維軸方向に配向した
3.2Åの(002)面に相当する微細なラティスイメージ像
が観察されうる超微粒子のグラファイト結晶である。
このマトリックスにおける構成成分i)及びii)の総
和100部に対する構成成分iii)の割合は0.5〜500部であ
り、且つ構成成分i)、ii)の比率は1:0.02〜4であ
る。
構成成分i)及びii)の総和100部に対する構成成分i
ii)の割合が0.5未満の場合は、ほとんど炭素マトリッ
クスと変わらず、耐酸化性や耐磨耗性の向上は望めず、
上記割合が500部を越えた場合は炭化珪素マトリックス
と変わらず、高温特性、潤滑性が低下する。
本発明における複合材中のマトリックスは、層間隔が
小さな微結晶が効果的に生成しており、その微結晶を包
み込むように珪素原子が非常に均一に分布している。な
お、本工程における無機化の昇温速度を極めて遅くする
ことや、成形体保形用の治具、パウダーヘッド等の保形
手段を用いること等により不融化工程を省略することも
できるし、また第2工程の成形において、高温ホットプ
レス法を用いることにより第3工程自体を省略すること
もできる。
第4工程: 第3工程で得られた繊維強化炭素質無機材料は必要に
より、前記珪素含有多環状芳香族重合体の融液、溶液又
はスラリーを含浸後必要により不融化、焼成し、無機化
することにより複合体を高密度化、高強度化することが
できる。含浸は、珪素含有多環状芳香族重合体の融液、
溶液又はスラリーのいずれを用いてもさしつかえない
が、微細な開気孔への浸透を図るため、この複合材に前
記重合体の溶液又はスラリーを含浸後減圧下で微細気孔
への浸透を促進後溶媒を留去しつつ昇温し、10〜500kg/
mm2に加圧することにより、前記重合体の融液を気孔に
充填させる。
得られた含浸体は、第3工程と同様にして、不融加
し、焼成し、無機化することができる。この操作を2〜
10回繰り返すことにより高密度、高強度な繊維強化複合
材を得ることができる。
(発明の効果) 本発明の繊維強化炭素質複合材料は、マトリックスの
炭素中に非常に均一に分散、一体化した炭化珪素成分を
含む。この成分の存在が、低温における炭素の微結晶化
の促進、炭素の酸化による消耗の抑制、強化繊維との濡
れ性、接着性の制御、摩耗抵抗の向上をもたらす。
従って、得られた複合材料は機械的物性、耐酸化性、
耐磨耗性に優れ、各種のブレーキ類、耐熱構造材料とし
て優れたものである。
(実施例) 以下実施例によって本発明を説明する。
参考例1(マトリックス用ポリマーIの製法) 5lの三口フラスコに無水キシレン2.5l及びナトリウム
400gを入れ、窒素ガス気流下でキシレンの沸点まで加熱
し、ジメチルジクロロシラン1を1時間で滴下した。
滴下終了後、10時間加熱還流し沈澱物を生成させた。沈
澱を濾過し、メタノールついで水で洗浄して、白色粉末
のポリジメチルシラン420gを得た。
このポリジメチルシラン400gを、ガス導入管、攪拌
機、冷却器及び留出管を備えた3lの三口フラスコに仕込
み、攪拌しながら50ml/分の窒素気流下に420℃で加熱処
理して、留出受器に350gの無色透明な少し粘性のある液
体を得た。
この液体の数平均分子量は蒸気圧浸透法で測定したと
ころ470であった。
この物質の赤外線吸収スペクトルを測定したところ、
650〜900cm-1と1250cm-1にSi-CH3の吸収、2100cm-1にSi
−Hの吸収、1020cm-1付近と1355cm-1にSi-CH2−Siの吸
収、2900cm-1と2950cm-1にC−Hの吸収が認められ、ま
たこの物質の遠赤外線吸収スペクトルを測定したとこ
ろ、380cm-1にSi-Siの吸収が認められることから、得ら
れた液状物質は、主として(Si-CH2)結合単位及び(Si
-Si)結合単位からなり、珪素の側鎖に水素原子及びメ
チル基を有する有機珪素重合体であることが判明した。
核磁気共鳴分析及び赤外線吸収分析の測定結果から、
この有機珪素重合体は(Si-CH2)結合単位の全数対(Si
-Si)結合単位の全数の比率がほぼ1:3である重合体であ
ることが確認された。
上記有機珪素重合体300gをエタノールで処理して低分
子量物を除去して、数平均分子量が1200の重合体40gを
得た。
この物質の赤外線吸収スペクトルを測定したところ、
上記と同様の吸収ピークが認められ、この物質は主とし
て(Si-CH2)結合単位及び(Si-Si)結合単位からな
り、珪素の側鎖に水素原子及びメチル基を有する有機珪
素重合体であることが判明した。
核磁気共鳴分析及び赤外線吸収分析の測定結果から、
この有機珪素重合体は(Si-CH2)結合単位の全数対(Si
-Si)結合単位の全数の比率がほぼ7:1である重合体であ
ることが確認された。
一方、石油留分のうち、軽油以上の高沸点物をシリカ
・アルミナ系分解触媒の存在下、500℃の温度で流動接
触分解・精留を行い、その搭底より残渣を得た。以下、
この残渣をFCCスラリーオイルと呼ぶ。
このFCCスラリーオイルは、元素分析の結果、炭素原
子対水素原子の原子比(C/H)が0.75で、核磁気共鳴分
析による芳香炭素率が0.55であった。
上記FCCスラリーオイル100gを窒素ガス気流下420℃に
加熱し、同温度における留出分を留去後、残渣を150℃
にて熱時濾過を行い、同温度における不融部を除去し、
軽質分除去ピッチ57gを得た。
この軽質分除去ピッチは60%のキシレン不溶分を含ん
でいた。
この軽質分除去ピッチ57gに先に合成した有機珪素重
合体25g及びキシレン20mlを加え、攪拌しながら昇温
し、キシレンを留去後、400℃で6時間反応させ43gのラ
ンダム共重合体を得た。
この反応生成物は赤外線吸収スペクトル測定の結果、
有機珪素重合体中に存在するSi−H結合(IR:2100c
m-1)の減少、及び新たなSi−C(ベンゼン環の炭素)
結合(IR:1135cm-1)の生成が認められることより有機
珪素重合体の珪素原子の一部が多環状芳香族環と直接結
合した部分を有するランダム共重合体であることがわか
った。また、この共重合体は、キシレン不溶部を含まず
重量平均分子量は1400、融点は265℃であった。
これを、300℃で加熱溶融静置し、比重差により軽質
部分を除去した残部40gを得た。これをポリマー(a)
と呼ぶ。
これと並行して、FCCスラリーオイル400gを、窒素ガ
ス気流下450℃に加熱し、同温度における留出分を留去
後、残渣と200℃にて熱時濾過を行い、同温度における
不融部を除去し、軽質分除去ピッチ180gを得た。得られ
た軽質分除去ピッチ180gを窒素気流下、反応により生成
する軽質分を除去しながら400℃で8時間縮重合を行
い、熱処理ピッチ80.3gを得た。
この熱処理ピッチは融点310℃、キシレン不溶分97
%、キノリン不溶分20%を含有しており、研磨面の偏光
顕微鏡観察による光学的異方性が95%のメソフェーズピ
ッチであった。
これを再び、350℃に加熱溶融静置し、比重差により
軽質分を分離除去し、残部80gを得た。
これと、ポリマー(a)40gを混合し、窒素雰囲気
下、350℃で一時間溶融熱し、均一な状態にある珪素含
有多環状芳香族重合体を得た。この重合体は、融点が29
0℃で、70%のキシレン不溶分を含んでいた。
参考例2(マトリックス用ポリマーIIの製法) 参考例1で得た有機珪素重合体50gに軽質分除去ピッ
チ50gを加え、420℃で4時間反応させ48gのランダム共
重合体を得た。
これと並行して、軽質分除去ピッチを430℃で4時間
反応させメソフェーズピッチを得た。
等重量の上記ランダム共重合体とメソフェーズピッチ
を混合、溶融し均一な状態にある珪素含有多環状芳香族
重合体を得た。
実施例1 繊維径7μm、引張強度300kg/mm2、引張弾性率21t/m
m2の市販PAN系炭素繊維の2次元平織織布を直径7cmの円
板状に切り、マトリックス用ポリマーIの30%キシレン
スラリーに含浸後乾燥し、プリプレグシートを作成し
た。金型内で、プリプレグシート間にマトリックス用ポ
リマーIの微粉末を充填し、各プリプレグシートを、強
化繊維の繊維方向を45°ずつ順次ずらしながら30枚積層
し、50kg/mm2の加圧化、350℃にてホットプレスし円板
状成形体を得た。この成形体を炭素粉末のパウダーベッ
ド中に埋め保形し、窒素気流中で5℃/hの速度で800℃
まで昇温後、さらに1300℃へ昇温しマトリックスを無機
化した。得られた複合材料の嵩密度は1.35g/cm3であっ
た。
この複合体をポリマーIの50%キシレンスラリーに浸
し、減圧下キシレンを留去しながら350℃に昇温、その
後100kg/mm2に加圧含浸した後、空気中で5℃/hの速度
で300℃まで昇温し、不融化した後1300℃で無機化し
た。この含浸操作を3回繰り返し嵩密度が1.76g/cm3
材料を得た。得られた複合材料の曲げ強度は45kg/mm2
あった。
比較例1 マトリックス用ポリマーとして、軟化点が150℃で、
残炭率が60%の石油系熱処理ピッチを用い、実施例1と
同様にして炭素繊維強化炭素材料を得た。この材料は嵩
密度が1.67g/cm3と低く、曲げ強度も15kg/mm2であっ
た。
実施例2 Si−M−C−O繊維(宇部興産(株)製チラノ繊維:
登録商標)の三次元織物に参考例2で得られたマトリッ
クス用ポリマーIIの50%キシレン溶液をオートクレーブ
中で含浸後、キシレンを留去し、400℃にて、100kg/mm2
で加圧し、成形体を得た。この成形体を280℃で不融化
し、1300℃で無機化し、焼成した。上記操作を合計4回
繰り返し、嵩密度1.88g/cm3、曲げ強度38kg/mm2の複合
材料を得た。
実施例3 繊維径10μm、引張強度300kg/mm2、引張弾性率50t/m
m2の市販ピッチ系炭素繊維を一方向に引き揃えたものと
マトリックス用ポリマーIを800℃にて無機化した微粉
末を交互に積層し、500kg/mm2の圧力で、2000℃でホッ
トプレスした。得られた複合材の嵩密度は2.05g/cm
3で、曲げ強度は58kg/mm2であった。
実施例4 実施例1〜3の複合材及び比較例1の複合材を600℃
の大気雰囲気のオーブン中で1時間加熱後、曲げ強度を
測定した。
比較例1の複合材は強度測定ができないほど酸化劣化
が進行していたが、実施例1の複合材の曲げ強度は10%
減少したに過ぎず、実施例2、3の複合材では強度低下
は認められなかった。
実施例5 実施例1で用いたPAN系炭素繊維と実施例2で用いたS
i−M−C−O繊維との混織トウより製造した平織織物
を用いた以外は実施例1と同様にして複合材を製造し
た。
なお、上記混織トウは、PAN系炭素繊維とSi−M−C
−O繊維との体積割合が1:1であった。
得られた複合材の嵩密度は1.70g/cm3で、曲げ強度は3
6kg/mm2であったが、ダイナモメーターによる耐磨耗性
試験の結果、摩擦係数が0.5〜0.7、磨耗量が0.5〜0.7×
10-4mm/stop/surfの耐磨耗性に優れた材料を得た。
なお、耐磨耗性試験条件は以下の通りであった。
慣性量 0.06〜0.08kgf・m・sec2 回転数 3000〜5000rpm 摺動初速度 10〜20m/sec 押付圧力 5〜10kg/cm2
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渋谷 昌樹 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇 部興産株式会社宇部研究所内 審査官 柳 和子

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無機繊維を強化材とし、無機物質をマトリ
    ックスとする繊維強化複合材料において、上記無機物質
    が珪素含有多環状芳香族重合体から得られる無機物質で
    あって、その構成成分が、 i) 該重合体を構成するメソフェーズ状態にある多環
    状芳香族化合物から導かれる結晶質炭素、又は結晶質炭
    素と非晶質炭素、 ii) 該重合体を構成する光学的等方性の多環状芳香族
    化合物から導かれる、無配向状態の結晶質炭素及び/又
    は非晶質炭素、及び iii) Si;30〜70重量%、C;20〜60重量%及びO;0.5〜1
    0重量%から実質的になる非晶質相及び/又は粒径が500
    Å以下の実質的にβ−SiCからなる結晶質超微粒子と非
    晶質のSiOx(xは2以下)からなる集合体 よりなる炭素質無機物質であることを特徴とする繊維強
    化炭素質複合材料。
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