JPH0781232B2 - 複合材料用繊維体並びにその製造方法 - Google Patents

複合材料用繊維体並びにその製造方法

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JPH0781232B2
JPH0781232B2 JP1234795A JP23479589A JPH0781232B2 JP H0781232 B2 JPH0781232 B2 JP H0781232B2 JP 1234795 A JP1234795 A JP 1234795A JP 23479589 A JP23479589 A JP 23479589A JP H0781232 B2 JPH0781232 B2 JP H0781232B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は複合材料用繊維体とその製造方法、さらに詳し
くは繊維強化金属、繊維強化プラスチック又は繊維強化
セラミック等の複合材料に用いる繊維体とその製造方法
に関する。
(従来の技術) 近年、各種機械部品や構造材などにおいて、種々の複合
材料、例えば金属を繊維で強化した繊維強化金属(FR
M)などが使用されている。
FRMなどの製造に用いられる強化繊維はマトリックス金
属、特にアルミニウム合金やマグネシウム合金などとは
濡れにくい反面、一旦濡れると反応して繊維が劣化す
る。この為、一般には強化繊維に表面処理が行われる。
処理方としては例えばCVD法、メッキ法が挙げられる。
これらの方法では強化繊維の表面に金属やセラミックを
均一に膜状に被覆するが、強化繊維との間の熱膨張係数
の差による剥離が生じて表面処理の効果が減少したり、
また、皮膜を厚くすると強化繊維のしなやかさが失わ
れ、硬く、脆くなるため繊維が損傷し易くなるなどの問
題が多い。さらに、繊維一本一本に表面処理を行うため
には複雑な装置を必要とし、コスト的にも不利である。
また、これらの強化繊維を使用して高圧凝固鋳造法によ
ってFRMを製造すると、繊維が片寄り繊維の分布が粗な
部分と密な部分が生じ易い。このため、FRM中の繊維体
積率(Vf)の制御が困難であり、特にVfが小さい場合に
は強化繊維が均一に分散したFRM本来の特色である設計
の自由度が損なわれていた。
この問題点を解決する方法及び繊維体として、特開昭61
−266666号公報には、短繊維、ウィスカまたは粉末を懸
濁した溶液中に連続繊維束を浸漬することにより繊維の
一本一本の表面に短繊維、ウィスカまたは粉末を付着さ
せた繊維体及びそれらの製造方法か開示されている。し
かし、上記公報において、例えば、連続繊維として炭素
繊維を用いた場合、炭素繊維はマトリックス金属との濡
れ性が充分でなく、炭素繊維を用いて得た繊維体を強化
材としたFRMは期待される強度を与えず、また、連続繊
維として炭化珪素繊維を用いた場合は、炭化珪素繊維
は、炭素繊維等に比べ弾性率が低く、従って炭化珪素繊
維を用いて得た繊維体を強化材としたFRMは、用途によ
っては、機械的強度が充分とは言えない。
本発明の繊維体を強化材として用いることにより機械的
強度の優れたFRMを得ることができる。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明は上記従来技術における問題点を解決するための
ものであり、その目的とするところは、複合材料用繊維
体をFRMの製造に使用した場合に金属マトリックスとの
濡れ性を改善し、同時にマトリックス中の添加元素との
反応によって連続繊維の強度が低下することを防ぎ、更
に複合材中に連続繊維を均一に分散させて繊維体積率を
制御することにより複合材の機械特性を向上させること
ができる複合材料用繊維体とその製造方法を提供するこ
とにある。
(問題点を解決するための手段) 本発明の複合材料用炭素質無機繊維体は、珪素含有多環
状芳香族重合体から得られる無機繊維であって、その構
成成分が、 i)該重合体を構成するメソフェーズ状態にある多環状
芳香族化合物から導かれるラジアル構造、オニオン構
造、ランダム構造、コアラジアル構造、スキンオニオン
構造及びモザイク構造からなる群から選ばれる少なくと
も一種の結晶配列状態を示す炭素質、 ii)該重合体を構成する有機溶媒不溶分を含む光学的等
方性の多環状芳香族化合物から導かれる、無配向状態の
結晶質炭素及び/又は非晶質炭素、及び iii)Si、C及びOから実質的になる非晶質相及び/又
は粒径が500Å以下の実質的にβ−SiCからなる結晶質超
微粒子と非晶質のSiOx(0<x≦2)からなる集合体で
あり、 構成元素の割合がSi;30〜70重量%、C;20〜60重量%及
びO;0.5〜10重量%であるSi−C−O物質 よりなる炭素質連続無機繊維の表面に耐熱物質の微粒
子、短繊維及びウィスカからなる群より選ばれる少なく
とも一種(以下「付着物質」と言うことがある。)が付
着されている連続繊維束あるいは該連続繊維束よりなる
織布からなることを特徴とする。
本発明の複合材料用繊維体の構成要素である連続繊維束
はそれ自体新規であり、以下の第1〜4工程からなる製
法で調製することができる。
第1工程: i)結合単位(Si−CH2)、又は結合単位(Si−CH2)と
結合単位(Si−Si)から主としてなり、珪素原子の側鎖
に水素原子、低級アルキル基、フェニル基及びシリル基
からなる群から選ばれる側鎖基を有し、結合単位(Si−
CH2)の全数対結合単位(Si−Si)の全数の比が1:0〜20
の範囲にある有機珪素重合体の珪素原子の少なくとも一
部が、石油系又は石炭系のピッチあるいはその熱処理物
の芳香族環と珪素−炭素連結基を介して結合したランダ
ム共重合体(1)100重量部及び ii)石油系又は石炭系ピッチを熱処理して得られるメソ
フェーズ状態又はメソフェーズと光学的等方相との両相
からなる多環状芳香族化合物(以下両者を総称して「メ
ソフェーズ多環状芳香族化合物」と言うことがある。)
5〜50000重量部を、 200〜500℃の範囲の温度で加熱反応及び/又は加熱溶融
して、珪素含有多環状芳香族重合体を得る。
第2工程: 上記珪素含有多環状芳香族重合体の紡糸原液を調製して
紡糸する。
第3工程: 該紡糸原糸を張力下あるいは無張力下で不融化する。
第4工程: 前記不融化糸を真空中あるいは不活性ガス雰囲気中で80
0〜3000℃の範囲の温度で焼成する。
本発明の繊維体製法の好ましい実施態様としては例えば
以下の方法が挙げられる。
上記各工程について具体的に説明する。以下の説明にお
ける「部」は全て重量部であり、「%」は重量%であ
る。
第1工程: 出発原料の一つである有機珪素重合体は、公知の方法で
合成することができ、例えば、ジメチルジクロロシラン
と金属ナトリウムの反応により得られるポリメチルシラ
ンを不活性ガス中で400℃以上に加熱することにより得
られる。
上記有機珪素重合体は、結合単位(Si−CH2)、又は結
合単位(Si−Si)と結合単位(Si−CH2)より主として
なり、結合単位(Si−CH2)の全数対結合単位(Si−S
i)の全数の比率は1:0〜20の範囲内にある。
有機珪素重合体の重量平均分子量(Mw)は、一般的には
300〜1000で、Mwが400〜800のものが、優れた炭素系無
機繊維を得るための中間原料であるランダム共重合体
(1)を調製するために特に好ましい。
もう一つの出発原料である多環状芳香族化合物は石油類
及び/又は石炭類から得られるピッチで、特に石油類の
流動接触分解により得られる重質油、その重質油を蒸留
して得た留出成分又は残渣油及びそれらを熱処理して得
られるピッチが好ましい。
上記ピッチ中には、ベンゼン、トルエン、キシレン、テ
トラヒドロフランなどの有機溶媒に不溶の成分が5〜98
重量%含まれていることが好ましく、5重量%未満のピ
ッチを原料として用いた場合、強度、弾性率共に優れた
無機質繊維は得られず、また、98重量%より多いピッチ
を原料として用いた場合、共重合体の分子量上昇が激し
く、一部コーキングの起こる場合もあり、紡糸困難な状
態になる。
このピッチの重量平均分子量(Mw)、100〜3000であ
る。
重量平均分子量は以下のようにして求めた値である。即
ち、ピッチがベンゼン、トルエン、キシレン、テロラヒ
ドロフラン、クロロホルム及びジクロロベンゼン等のゲ
ルパーミュエーションクロマトグラフ(GPC)測定用有
機溶媒不溶分を含有しない場合はそのままGPC測定し、
ピッチが上記有機溶媒不溶分を含有する場合は、温和な
条件で水添処理し、上記有機溶媒不溶分を上記有機溶媒
可溶な成分に変えて後GPC測定する。上記有機溶媒不溶
分を含有する重合体の重量平均分子量は、上記と同様の
処理を施し求めた値である。
ランダム共重合体(1)は、有機珪素重合体に、石油系
又は石炭系ピッチを添加し、不活性ガス中で好ましくは
250〜500℃の範囲の温度で加熱反応させることにより調
製される。
ピッチの使用割合は、有機珪素重合体100部当たり83〜4
900部であることが好ましい。ピッチの使用割合が過度
に小さい場合は、得られる無機繊維中の炭化珪素成分が
多くなり、高弾性率を有する無機繊維が得られなくな
り、また、その割合が過度に多い場合は、炭化珪素成分
が少なくなり、マトリックスに対する濡れ性、耐酸化性
に優れた無機繊維が得られなくなる。
上記反応の反応温度が過度に低いと、珪素原子と芳香族
炭素の結合が生成しにくくなり、反応温度が過度に高い
と、生成したランダム共重合体(1)の分解及び高分子
量化が激しく起こり好ましくない。
メソフェーズ多環状芳香族化合物(2)は、例えば、石
油系又は石炭系ピッチを不活性ガス中で300〜500℃に加
熱し、生成する軟質留分を除去しながら縮重合すること
によって調製することができる。
上記縮重合反応温度が過度に低いと縮合環の成長が充分
でなく、またその温度が過度に高いとコーキングにより
不融化物の生成が激しくなる。
メソフェーズ多環状芳香族化合物(2)は、通常、融点
が200〜400℃の範囲にあり、また、重量平均分子量が20
0〜10000である。
メソフェーズ多環状芳香族化合物(2)の中でも、20〜
100%の光学的異方性度を有し、30〜100%のベンゼン、
トルエン、キシレン又はテトラヒドロフランに対する不
溶分を含むものが、機械的性能上優れた無機繊維を得る
ために特に好ましい。
第1工程では、ランダム共重合体(1)とメソフェーズ
多環状芳香族化合物(2)を200〜500℃の温度範囲で加
熱溶融及び/又は加熱反応し、珪素含有多環状芳香族重
合体からなる紡糸ポリマーを調製する。
メソフェーズ多環状芳香族化合物(2)の使用割合はラ
ンダム共重合体(1)100部当たり5〜50000部であるこ
とが好ましく、5部未満では、生成物におけるメソフェ
ーズ含有量が不足するため、高弾性の焼成糸が得られ
ず、また、50000部より多い場合は、珪素成分の不足の
ため、マトリックスに対する濡れ性、耐酸化性に優れた
無機繊維が得られなくなる。
上記珪素含有多環状芳香族重合体の重量平均分子量は20
0〜11000で、融点が200〜400℃である。
第2工程: 第1工程で得られる珪素含有多環状芳香族重合体である
紡糸ポリマーを加熱溶融させて、場合によってはこれを
濾過してミクロゲル、不純物等の紡糸に際して有害とな
る物質を除去し、これを通常用いられる合成繊維紡糸装
置により紡糸する。紡糸する際の紡糸原液の温度は原料
ポリマーの軟化温度によって異なるが、220〜420℃の範
囲の温度が有利である。
前記紡糸装置において、必要に応じて紡糸筒を取付け、
該紡糸筒内の雰囲気を空気、不活性ガス、熱空気、熱不
活性ガス、スチーム、及びアンモニアガスからなる群か
ら選ばれる一種以上の雰囲気とした後、巻取り速度を大
きくすることにより細い直径の繊維を得ることができ
る。前記溶融紡糸における紡糸速度は原料の平均分子
量、分子量分布、分子構造によって異なるが、50〜5000
m/分の範囲であることが好ましい。
第3工程: 第2工程で得られる紡糸繊維を張力又は無張力の作用も
とで不融化する。
代表的な不融化方法は、紡糸繊維を酸化性雰囲気中で加
熱する方法である。不融化の温度は好ましくは50〜400
℃の範囲の温度である。不融化温度が過度に低いと紡糸
原糸を構成するポリマーのはしかけに起こらず、また、
この温度が過度に高いとポリマーが燃焼する。
不融化の目的は、紡糸繊維を構成するポリマーを三次元
構造の不融・不溶のはしかけ状態にし、次工程の焼成の
際に溶融せず、且つ隣接した繊維と融着しないようにす
ることである。不融化の際の酸化性雰囲気を構成するガ
スとしては、空気、オゾン、酸素、塩素ガス、臭素ガ
ス、アンモニアガス、及びこれらの混合ガスが挙げられ
る。
上記とは別の不融化方法として、紡糸繊維に酸化性雰囲
気あるいは非酸化性雰囲気で、張力あるいは無張力で必
要に応じて低温加熱しながら、γ線照射、あるいは電子
線照射して不融化する方法も採用することができる。
このγ線あるいは電子線を照射する目的は、紡糸繊維を
形成するポリマーを、さらに重合させることによって、
紡糸原糸が融解し、繊維形状を失うことを防ぐことにあ
る。
γ線あるいは電子線の照射線量は106〜1010ラッドが適
当である。
照射は真空、不活性ガス雰囲気下、あるいは空気、オゾ
ン、酸素、塩素ガス、臭素ガス、アンモニアガス及びこ
れらの混合ガスのような酸化性ガス雰囲気で行うことが
できる。
照射による不融化は室温で行うこともでき、必要であれ
ば50〜200℃の温度範囲で加熱しながら行うことによっ
て不融化をより短時間で達成させることもできる。
不融化は、無張力下で行うと、前記紡糸繊維は収縮のた
め波状の形を呈するようになるが、次工程の焼成工程で
矯正できる場合もあり、張力は必ずしも必要ないが、張
力を作用させる場合には、その張力を大きさは不融化時
に紡糸繊維が収縮して波状となることを少なくとも防止
できる以上の張力を作用させると良い結果が得られる。
不融化の際に、作用させる張力としては、1〜500g/mm2
の範囲が好ましく、1g/mm2以下の張力を作用させても繊
維をたるませないような緊張を与えることができず、50
0g/mm2以上の張力を作用させると繊維が切断することが
ある。
第4工程: 第3工程で得られる不融化糸を、真空あるいは不活性ガ
ス雰囲気中で800〜3000℃の範囲の温度で焼成すること
によって、主として炭素、珪素、酸素からなる無機繊維
が得られる。
焼成工程において、張力を作用させることは必ずしも必
要ないが0.001〜100Kg/mm2の範囲で張力を作用させなが
ら高温焼成すると屈曲を少なくした強度の高い無機繊維
を得ることができる。
加熱過程において、約700℃から無機化が激しくなり、
約800℃でほぼ無機化が完了するものと推定される。従
って、焼成は、800℃以上の温度で行うことが好まし
い。また、3000℃より高い温度を得るには高価な装置を
必要とするため3000℃より高温での焼成は、コスト面か
らみて実際的でない。
得られる無機繊維は前述した構成成分i)、ii)及びii
i)からなっており、Si;0.01〜29%、C;70〜99.9%及び
O;0.001〜10%、好ましくはSi:0.1〜25%、C;74〜99.8
%及びO;0.01〜8%から実質的に構成されている。
この無機繊維の構成成分である結晶質炭素は500Å以下
の結晶子サイズを有し、1.5Åの分解能を有する高分解
能電子顕微鏡において、繊維軸方向に配向した3.2Åの
(002)面に相当する微細なラティスイメージ像が観察
されうる超微粒子のグラファイト結晶である。無機繊維
中の結晶質炭素は、ラジアル構造、オニオン構造、ラン
ダム構造、コアラジアル構造、スキンオニオン構造、モ
ザイク構造及び一部ラジアル構造を含むランダム構造等
をとることができる。これは、原料中にメソフェーズ多
環状芳香族化合物(2)が存在することに起因する。
この無機繊維における構成成分i)及びii)の総和100
部に対する構成成分iii)の割合は0.015〜200部であ
り、且つ構成成分i)、ii)の比率は1:0.02〜4であ
る。
構成成分i)及びii)の総和100部に対する構成成分ii
i)の割合が0.015未満の場合は、ほとんどピッチ繊維と
変わらず、耐酸化性や濡れ性の向上は望めず、上記割合
が200部を越えた場合はグラファイトの微細結晶が効果
的には生成せず、高弾性率の繊維が得られない。
本発明における連続無機繊維では、層間隔が小さく三次
元的配列が付与された微結晶が効果的に生成しており、
その微細結晶の間に珪素原子が非常に均一に分布してい
る。
また、珪素の分布状態は、焼成時の雰囲気や原料中のメ
ソフェーズの大きさ、濃度によっても制御することがで
きる。例えば、メソフェーズを大きく成長させた場合、
珪素含有ポリマーは繊維表面相に押し出され易く、焼成
後繊維表面に珪素に富む層が生成する。
本発明における連続無機繊維は高強度・高弾性率であ
り、繊維中の珪素成分により、マトリックスに対する適
度な濡れ性及び低い反応性を示す。
次に、炭素質連続無機繊維の表面に耐熱物質の微粒子、
短繊維及びウィスカからなる群より選ばれる少なくとも
一種である付着物質を付着する方法について説明する。
耐熱物質としては、金属、セラミック、炭素などが挙げ
られる。
耐熱物質のうち、金属の具体例としては、鋼、ステンレ
ス鋼、モリブデン及びタングステンが挙げられ、セラミ
ックの具体例としては、SiC、TiC、WC、B4Cのような炭
化物、Si3N4、BN、AlNのような窒化物、TiB2、ZrB2のよ
うな硼化物、及びAl2O3、B2O3、MgO、ZrO2、SiO2のよう
な酸化物が挙げられる。セラミックの他の例としては、
ポリカルボシラン、ポリメタロカルボシランの焼成物、
前記した本発明における連続無機繊維の紡糸原料である
珪素含有多環状芳香族重合体(第1工程の生成物)の焼
成物、さらには上記焼成物中にMC(MはTi、Zr及びHfか
ら選ばれる元素である)が均一に分散したものが挙げら
れる。
付着物質の形状は、連続無機繊維との組合せや要求特性
によって種々異なるが、短繊維、ウィスカは連続繊維の
平均直径の1/3000〜1/5の平均直径およびアスペクト比5
0〜1000であるものが、また、微粒子は連続繊維の平均
直径の1/5000〜1/2の平均直径を有するものが望まし
い。
連続繊維に付着させる付着物質の量は両者の性状や製造
した繊維体の用途等によっても異なるが、FRMに用いる
場合には付着物質の連続繊維に対する体積率は0.1〜500
%程度とするのが好ましい。
付着物質は単独で使用してもよく、2種以上を組み合わ
せて使用してもよいが、例えば本発明の炭素質無機繊維
体を、Cu、Si、Mg、Znを添加したAlの強化に使用する場
合は、連続繊維の表面近傍に微粒子を付着させ、その外
側に短繊維及び/またはウィスカーを付着させることが
連続繊維表面での添加元素のミクロ偏析を防止する意味
で特に好ましい。この場合、微粒子と短繊維及び/また
はウィスカーとの比率は0.1〜5〜40:1の範囲が適して
いる。
本発明の繊維体は、付着物質の懸濁液に連続繊維を浸漬
することが、簡便さ及び適用範囲の広さ等の点で好まし
い。
第1図は、本発明の繊維体の製造において使用される装
置の概略の一例を示す。
ボビン5に巻き付けた連続繊維束4(連続繊維束の代わ
りに連続繊維束からなる織布を用いることもできる。)
は巻戻され、可動ローラ6及び7に導かれて付着物質が
懸濁した液体3中を通された後、圧力ローラ8及び9に
よって押圧され、再びボビン10に巻き取られる。このよ
うにして得られた繊維束または織布は連続繊維一本一本
の表面に付着物質が付着した状態となる。この場合、処
理液3を入れた処理槽1は、1つでもよいが、種々の変
法のため異なる組成の処理液を入れた処理槽を2つ以上
用いてもよい。
連続繊維への付着物質の付着を促進させる目的で、処理
液3に超音波振動2を付与することができる。また、2
種以上の付着物質を連続繊維に付着させる場合には、処
理液としては、微粒子と短繊維及び/またはウィスカと
を同時に懸濁したものを使用してもよく、あるいは微粒
子を懸濁した処理液と短繊維及び/またはウィスカを懸
濁した処理液を2種の処理槽に入れて使用してもよい。
後者の場合、連続繊維束または織布を浸漬する順序は、
微粒子を懸濁した処理液からでも、短繊維及び/または
ウィスカを懸濁した処理液からでもよい。
(発明の効果) 上述のように本発明の複合材料用炭素質無機繊維体は、
高強度・高弾性率無機繊維のそれぞれの表面に付着物質
を付着させた連続繊維束よりなるものであるため、複合
材料中にそれぞれの連続繊維を均一に分散させることが
でき、繊維の体積率を非常に広範囲に制御することが可
能である。また連続繊維同士の接触が減少し、かつ複合
材を形成した場合その組成が均一となるため強さなどの
機械特性も改善される。
また、本発明の製造方法は前記の付着させるべきものを
懸濁した処理液中に連続繊維またはその束あるいはその
織布を例えば巻戻し、巻き取る手段により浸漬する方法
であるため簡便で生産効率が高い。更に処理液に超音波
を付加することにより付着物質の連続繊維束あるいは織
布中への分散が容易となる。さらに処理液として有機溶
剤を使用するなどの各種変法が可能であり、これにより
付着量が制御できるため同一設備で各種の複合材料繊維
体を製造することができる。
(実施例) 以下実施例によって本発明を説明する。
参考例1(有機珪素重合体の製造) 5の三口フラスコに無水キシレン2.5及びナトリウ
ム400gを入れ、窒素ガス気流下でキシレンの沸点まで加
熱し、ジメチルジクロロシラン1を1時間で滴下し
た。滴下終了後、10時間加熱還流し沈澱物を生成させ
た。沈澱を濾過し、メタノールついで水を洗浄して、白
色粉末のポリジメチルシラン420gを得た。
このポリジメチルシラン400gを、ガス導入管、撹拌機、
冷却器及び留出管を備えた3の三口フラスコに仕込
み、撹拌しながら50ml/分の窒素気流下に420℃で加熱処
理して、留出受器に350gの無色透明な少し粘性のある液
体を得た。
この液体の数平均分子量は蒸気圧浸透法で測定したとこ
ろ470であった。
この物質の赤外線吸収スペクトルを測定したところ、65
0〜900cm-1と1250cm-1にSi−CH3の吸収、2100cm-1にSi
−Hの吸収、1020cm-1付近と1355cm-1にSi−CH2−Siの
吸収、2900cm-1と2950cm-1にC−Hの吸収が認められ、
またこの物質の遠赤外線吸収スペクトルを測定したとこ
ろ、380cm-1にSi−Siの吸収が認められることから、得
られた液状物質は、主として(Si−CH2)結合単位及び
(Si−Si)結合単位からなり、珪素の側鎖に水素原子及
びメチル基を有する有機珪素重合体であることが判明し
た。
核磁気共鳴分析及び赤外線吸収分析の測定結果から、こ
の有機珪素重合体は(Si−CH2)結合単位の全数対(Si
−Si)結合単位の全数の比率がほぼ1:3である重合体で
あることが確認された。
上記有機珪素重合体300gをエタノールで処理して低分子
量物を除去して、数平均分子量が1200の重合体40gを得
た。
この物質の赤外線吸収スペクトルを測定したところ、上
記と同様の吸収ピークが認められ、この物質は主として
(Si−CH2)結合単位及び(Si−Si)結合単位からな
り、珪素の側鎖に水素原子及びメチル基を有する有機珪
素重合体であることが判明した。
核磁気共鳴分析及び赤外線吸収分析の測定結果から、こ
の有機珪素重合体は、(Si−CH2)結合単位の全数対(S
i−Si)結合単位の全数の比率がほぼ7:1である重合体で
あることが確認された。
参考例2(無機繊維Iの製造) 石油留分のうち、軽油以上の高沸点物をシリカ・アルミ
ナ系分解触媒の存在下、500℃の温度で流動接触分解・
精留を行い、その塔底より残渣を得た。以下、この残渣
をFCCスラリーオイルと呼ぶ。
このFCCスラリーオイルは、元素分析の結果、炭素原子
対水素原子の原子比(C/H)が0.75で、核磁気共鳴分析
による芳香炭素率が0.55であった。
上記FCCスラリーオイル100gを1/分の窒素ガス気流
下420℃で2時間加熱し、同温度における留出分を留去
後、残渣を150℃にて熱時濾過を行い、同温度における
不融部を除去し、軽質分除去ピッチ57gを得た。
この軽質分除去ピッチは60%のキシレン不溶分を含んで
いた。
この軽質分除去ピッチ57gに参考例1で得た有機珪素重
合体25g及びキシレン20mlを加え、撹拌しながら昇温
し、キシレンを留去後、400℃で6時間反応させ43gのラ
ンダム共重合体(1)を得た。
この反応生成物は赤外線吸収スペクトル測定の結果、有
機珪素重合体中に存在するSi−H結合(IR:2100cm-1
の減少、及び新たなSi−C(ベンゼン環の炭素)結合
(IR:1135cm-1)の生成が認められることにより有機珪
素重合体の珪素原子の一部が多環状芳香族環と直接結合
した部分を有する共重合体であることがわかった。
また、このランダム共重合体(1)は、キシレン不溶部
を含まず重量平均分子量が1400で、融点が265℃であっ
た。
これを、300℃で加熱溶融静置し、比重差により軽質部
分を除去し、残部40gを得た。これをポリマー(a)と
呼ぶ。
これと並行して、前記FCCスラリーオイル400gを、窒素
ガス気流下450℃に加熱し、同温度における留出分を留
去後、残渣を200℃にて熱時濾過を行い、同温度におけ
る不融部を除去し、軽質分除去ピッチ180gを得た。得ら
れた軽質分除去ピッチ180gを窒素気流下、反応により生
成する軽質分を除去しながら400℃で8時間縮重合を行
い、熱処理ピッチ80.3gを得た。
この熱処理ピッチは融点310℃、キシレン不溶分97%、
キノリン不溶分20%を含有しており、研磨面の偏光顕微
鏡観察による光学的異方性が95%のメソフェーズ多環状
芳香族化合物(2)であった。
これを、350℃で加熱溶融静置し、比重差により軽質部
分を分離除去し、残部80gを得た。
これとポリマー(a)40gを混合し、窒素雰囲気下、350
℃で一時間溶融加熱し、均一な状態にある珪素含有多環
状芳香族重合体を得た。この重合体は、融点が290℃
で、70%のキシレン不溶分を含んでいた。
上記高分子量物を紡糸用原料とし、ノズル径0.15mmの金
属製ノズルを用い、360℃で溶融紡糸を行い、得られた
紡糸原糸を、空気中、300℃で酸化、不融化し、更にア
ルゴン雰囲気中、1300℃で焼成を行い、直径10μmの無
機繊維Iを得た。
この繊維は引張強度が295Kg/mm2、引張弾性率26t/mm2
あり、破壊面の観察よりあきらかにラジアル構造であっ
た。
参考例3(無機繊維IIの製造) 参考例1と同様にして得たFCCスラリーオイル200gを2
/分の窒素ガス気流下450℃で0.5時間加熱し、同温度
における留出分を留去後、残渣を200℃にて熱時濾過を
行い、同温度における不融部を除去し、軽質分除去ピッ
チ57gを得た。
この軽質分除去ピッチは25%のキシレン不溶分を含んで
いた。
この軽質分除去ピッチ57gに参考例1で得た有機珪素重
合体25g及びキシレン20mlを加え、撹拌しながら昇温
し、キシレンを留去後、400℃で6時間反応させ51gのラ
ンダム共重合体(1)を得た。
この反応生成物は赤外線吸収スペクトル測定の結果、有
機珪素重合体中に存在するSi−H結合(IR:2100cm-1
の減少、及び新たなSi−C(ベンゼン環の炭素)結合
(IR:1135cm-1)の生成が認められることより有機珪素
重合体の珪素原子の一部が多環状芳香族環と直接結合し
た部分を有する共重合体であることがわかった。
また、このランダム共重合体(1)は、キシレン不溶部
を含まず重量平均分子量が1400で、融点が265℃で、軟
化点が310℃であった。
一方、前記軽質分除去ピッチ180gを窒素気流下、反応に
より生成する軽質分を除去しながら400℃で8時間縮重
合を行い、熱処理ピッチ97.2を得た。
この熱処理ピッチは融点263℃、軟化点308℃、キシレン
不溶分77%、キノリン不溶分31%を含有しており、研磨
面の偏光顕微鏡観察による光学的異方性が75%のメソフ
ェーズ多環状芳香族化合物(2)であった。
このメソフェーズ多環状芳香族化合物(2)と前記ラン
ダム共重合体(1)6.4gを混合し、窒素雰囲気下、380
℃で一時間溶融加熱し、均一な状態にある珪素含有多環
状芳香族重合体を得た。この重合体は、融点が267℃
で、軟化点が315℃で、70%のキシレン不溶分を含んで
いた。
上記高分子量物を紡糸用原料とし、ノズル径0.15mmの金
属製ノズルを用い、360℃で溶融紡糸を行い、得られた
紡糸原糸を、空気中、300℃で酸化、不融化し、更にア
ルゴン雰囲気中、1300℃で焼成を行い、直径8μmの無
機繊維IIを得た。
この繊維は引張強度が320Kg/mm2、引張弾性率26t/mm2
あり、破壊面の観察よりあきらかにラジアル構造であっ
た。
この無機繊維IIを粉砕後、アルカリ溶融、塩酸処理を施
し、水溶液とした後高周波プラズマ発光分光分析(IC
P)を行った結果、珪素含有率は0.95%であった。
参考例4(無機繊維IIIの製造) メソフェーズ多環状芳香族化合物(2)97%とランダム
共重合体(1)3gを混合し、400℃で溶融加熱した以外
は参考例3と同様にして珪素含有多環状芳香族重合体を
得た。この重合体は、融点が372℃で、軟化点319℃、71
%のキシレン不溶分を含んでいた。
上記高分子量物を紡糸用原料とし、ノズル径0.15mmの金
属製ノズルを用い、360℃で溶融紡糸を行い、得られた
紡糸原糸を空気中、300℃で酸化、不融化し、更にアル
ゴン雰囲気中、2000℃で焼成を行い、直径7.3μの無機
繊維IIIを得た。
この無機繊維IIIは引張高度が325kg/mm2、引張弾性率が
41t/mm2の高弾性繊維であった。
この無機繊維IIIを粉砕後アルカリ溶融、塩酸処理を施
し水溶液とした後、高周波プラズマ発光分光分析を行っ
た結果、この無機繊維III中の珪素含有率は0.47%であ
ることがわかった。
実施例1 第1図の装置を用いて繊維体を製造した。
炭化珪素微粒子(平均粒径0.28μm)250gをエチルアル
コール5000ccの入った処理槽1に投入後、超音波付加器
2により超音波振動を与えて懸濁させ、処理液3を調製
した。
参考例2により得た連続繊維束4をボビン5から巻戻
し、浸漬時間が約15秒となるよう可動ローラ6及び7に
よって調節して処理液3中に浸漬しながら通し、同時に
処理液3に超音波を付加して、更に、空気を吹き込んで
撹拌し、次いで、圧力ローラ8及び9によって押圧した
後再びボビン10に巻取り、室温、大気中で乾燥させた。
図中11はブロワ、12は乾燥炉を示し、必要に応じて使用
する。また、13は撹拌機を示す。
処理前、黒色であった繊維は処理後灰緑色を帯び、処理
後秤量の結果、6体積%の微粒子が付着していた。
実施例2 処理槽1中の処理液として炭化珪素ウィスカ(平均直径
約0.2μm、平均長さ約100μm)100gと炭化珪素微粒子
(平均粒径0.28μm)250gをエチルアルコール5000ccに
懸濁させたスラリーを用いた以外は実施例1と同様にし
て処理した。
処理前、黒色であった繊維は処理後灰緑色を帯び、電子
顕微鏡(SEM)観察の結果、連続繊維の表面に主に微粒
子が、更にその外側に主にウィスカが付着しているのが
認められた。また、処理後秤量の結果、9体積%の微粒
子とウィスカが付着していた。
実施例3 炭化珪素ウィスカの代わりに窒化珪素ウィスカ(平均直
径約0.3μm,平均長さ約200μm)100gと前述の炭化珪素
微粒子100gを水5000cc中に懸濁した液を用いて、実施例
1と同様の方法により参考例2より得た連続繊維束4を
処理したところ、約4体積%の微粒子とウィスカーが付
着した。
実施例4 炭化珪素微粒子100gのエタノール500cc中に撹拌して懸
濁した液に超音波を付加しながら、参考例2より得た連
続繊維束4を連続的に浸漬した後に、次いで窒化珪素ウ
ィスカ150gをエタノール500cc中に撹拌して懸濁した液
を用いて同様の方法で浸漬処理して乾燥させたところ、
約12体積%の微粒子とウィスカが付着した。
実施例5 参考例2により得られた珪素含有多環状芳香族重合体を
微粉砕後、アルゴン気流中で1300℃において焼成し、平
均粒径0.5μmの結晶質炭素、非晶質炭素及びSi−C−
Oから主としてなる非晶質から構成された微粉末を得
た。この微粉末100gをエタノール500cc中に撹拌して懸
濁した液に超音波を付加しながら、参考例2より得た連
続繊維束4を連続的に浸漬した後、次いで窒化珪素ウィ
スカ150gをエタノール500cc中に撹拌して懸濁して液を
用いて同様の方法で浸漬処理して乾燥させたところ、約
10体積%の微粒子とウィスカが付着した。
比較例1 連続繊維として、市販アクリロニトリル系炭素繊維(HM
−35)を用い、実施例1の方法に準じて炭化珪素粉末を
付着させた繊維体及び炭化珪素ウィスカを付着させた繊
維体を得た。
実施例6 実施例1の繊維体を用いアルミニウムをマトリックスと
して一方向強化FRMを作製した。このFRMの繊維体積率
(Vf)は50%で、曲げ強度は165kg/mm2であった(ROM値
は175kg/mm2である。)。
比較例2 比較例1で得られた炭化珪素粉末を付着させた繊維体を
用い、アルミニウムをマトリックスとして一方向強化FR
Mを作製した。このFRMの繊維体積率(Vf)は60%で、曲
げ強度は130kg/mm2であった。ROM値(160kg/mm2)に比
べかなり強度低下が認められた。
実施例7 実施例2の繊維体を用い、銅とマグネシウムを総量で5
%含有したアルミニウムをマトリックスとして一方向強
化FRMを作製した。得られたFRMの繊維体積率は、50%体
積%であった。このFRMの曲げ強度は170kg/mm2であり、
ROM値(175.0kg/mm2)とほとんど差がなかった。
比較例3 比較例1で得た繊維体を用い、実施例7のマトリックス
を用いてFRMを作製した。炭化珪素粉末を付着させた繊
維体の場合、得られたFRMの繊維体積率(Vf)は60%
で、曲げ強度は125kg/mm2であった(ROM値は160kg/mm2
である。)。炭化珪素ウィスカを付着させた繊維体の場
合、得られたFRMの繊維体積率(Vf)は50%で、曲げ強
度は100kg/mm2であった(ROM値は130kg/mm2であ
る。)。いずれの場合もROM値に比べかなり強度低下が
認められた。
実施例8 第1図の装置を用いて繊維体を製造した。
炭化珪素微粒子(平均粒系0.28μm)250gをエチルアル
コール5000ccの入った処理槽1に投入後、超音波付加器
2により超音波振動を与えて懸濁させ、処理液3を調製
した。
参考例3により得た無機繊維IIの連続繊維束4をボビン
5から巻戻し、浸漬時間が約15秒となるよう可動ローラ
6及び7によって調節して処理液3中に浸漬しながら通
し、同時に処理液3に超音波を付加して、更に、空気を
吹き込んで撹拌し、次いで、圧力ローラ8及び9によっ
て押圧した後再びボビン10に巻取り、室温、大気中で乾
燥させた。図中11はブロワ、12は乾燥炉を示し、必要に
応じて使用する。また、13は撹拌機を示す。
処理前、黒色であった繊維は処理後灰緑色を帯び、処理
後秤量の結果、6体積%の微粒子が付着していた。
実施例9 処理槽1中の処理液として炭化珪素ウィスカ(平均直径
約0.2μm、平均長さ約100μm)100gと炭化珪素微粒子
(平均粒径0.28μm)250gをエチルアルコール5000ccに
懸濁させたスラリーを用いた以外は実施例8と同様にし
て処理した。
処理前、黒色であった繊維は処理後灰緑色を帯び、電子
顕微鏡(SEM)観察の結果、連続繊維の表面に主に微粒
子が、更にその外側に主にウィスカが付着しているのが
認められた。また、処理後秤量の結果、9体積%の微粒
子とウィスカが付着していた。
実施例10 連続繊維として、参考例4で得た無機繊維IIIを用いた
以外は実施例9と同様な処理を行い約8%の微粒子、ウ
ィスカの付着した繊維体を得た。
実施例11 炭化珪素ウィスカの代わりに窒化珪素ウィスカ(平均直
径約0.3μm,平均長さ約200μm)100gと前述の炭化珪素
微粒子100gを水5000cc中に懸濁した液を用いて、実施例
8と同様の方法により参考例3より得た無機繊維IIの連
続繊維束4を処理したところ、約4体積%の微粒子とウ
ィスカーが付着した。
実施例12 炭化珪素微粒子100gをエタノール500cc中に撹拌して懸
濁した液に超音波を付加しながら、参考例3より得た無
機繊維IIの連続繊維束4を連続的に浸漬した後に、次い
で窒化珪素ウィスカ150gをエタノール500cc中に撹拌し
て懸濁した液を用いて同様の方法で浸漬処理した乾燥さ
せたところ、約12体積%の微粒子とウィスカが付着し
た。
実施例13 参考例3により得られた珪素含有多環状芳香族重合体を
微粉砕後、アルゴン気流中で1300℃において焼成し、平
均粒径0.5μmの結晶質炭素、非晶質炭素及びSi−C−
Oから主としてなる非晶質から構成された微粉末を得
た。この微粉末100gをエタノール500cc中に撹拌して懸
濁した液に超音波を付加しながら、参考例3より得た無
機繊維IIの連続繊維束4を連続的に浸漬した後に、次い
で窒化珪素ウィスカ150gをエタノール500cc中に撹拌し
て懸濁した液を用いて同様の方法で浸漬処理して乾燥さ
せたところ、約10体積%の微粒子とウィスカが付着し
た。
実施例14 実施例8の繊維体を用いアルミニウムをマトリックスと
して一方向強化FRMを作製した。このFRMの繊維体積率
(Vf)は50%で、曲げ強度は165kg/mm2であった(ROM値
は185kg/mm2である。)。
実施例15 実施例9及び実施例10の繊維体を用い、銅とマグネシウ
ムを総量で5%含有したアルミニウムをマトリックスと
して一方向強化FRMを作製した。得られたFRMの繊維体積
率は、いずれも50体積%であった。このFRMの曲げ強度
は、実施例10の繊維体を用いた場合170kg/mm2(ROM値は
185kg/mm2である。)、実施例11の繊維体を用いた場合1
65kg/mm2(ROM値は187kg/mm2である。)であった。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の複合材料用繊維体の製造に用いる製造
装置の一例を示す概略構成図である。 1……処理槽、2……超音波付加器 3……処理液、4……連続繊維束 5、10……ボビン、6、7……可動ローラ 8、9……圧力ローラ、11……ブロワ 12……乾燥炉、13……撹拌機
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // D06M 101:00 (72)発明者 渋谷 昌樹 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇部 興産株式会社宇部研究所内 審査官 門前 浩一

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】珪素含有多環状芳香族重合体から得られる
    無機繊維であって、その構成成分が、 i)該重合体を構成するメソフェーズ状態にある多環状
    芳香族化合物から導かれるラジアル構造、オニオン構
    造、ランダム構造、コアラジアル構造、スキンオニオン
    構造及びモザイク構造からなる群から選ばれる少なくと
    も一種の結晶配列状態を示す炭素質、 ii)該重合体を構成する有機溶媒不溶分を含む光学的等
    方性の多環状芳香族化合物から導かれる、無配向状態の
    結晶質炭素及び/又は非晶質炭素、及び iii)Si、C及びOから実質的になる非晶質相及び/又
    は粒径が500Å以下の実質的にβ−SiCからなる結晶質超
    微粒子と非晶質のSiOx(0<x≦2)からなる集合体で
    あり、 構成元素の割合がSi;30〜70重量%、C;20〜60重量%及
    びO;0.5〜10重量%であるSi−C−O物質 よりなる炭素質連続無機繊維の表面に耐熱物質の微粒
    子、短繊維及びウィスカからなる群より選ばれる少なく
    とも一種が付着されている連続繊維束あるいは該連続繊
    維束よりなる織布からなることを特徴とする複合材料用
    繊維体。
  2. 【請求項2】i)結合単位(Si−CH2)、又は結合単位
    (Si−CH2)と結合単位(Si−Si)から主としてなり、
    珪素原子の側鎖に水素原子、低級アルキル基、フェニル
    基及びシリル基からなる群から選ばれる側鎖基を有し、
    結合単位(Si−CH2)の全数対結合単位(Si−Si)の全
    数の比が1:0〜20の範囲にある有機珪素重合体の珪素原
    子の少なくとも一部が、石油系又は石炭系のピッチある
    いはその熱処理物の芳香族環と珪素−炭素連結基を介し
    て結合したランダム共重合体100重量部及び ii)石油系又は石炭系ピッチを熱処理して得られるメソ
    フェーズ状態又はメソフェーズと光学的等方相との両相
    からなる多環状芳香族化合物5〜50000重量部を、 200〜500℃の範囲の温度で加熱反応及び/又は加熱溶融
    して、珪素含有多環状芳香族重合体を得る第1工程、 上記珪素含有多環状芳香族重合体の紡糸原液を調製して
    紡糸する第2工程、 該紡糸原糸を張力下あるいは無張力下で不融化する第3
    工程、及び 不融化した前記紡糸繊維を真空中あるいは不活性ガス雰
    囲気中で800〜3000℃の範囲の温度で焼成する第4工程 からなることを特徴とする実質的に炭素、珪素及び酸素
    からなる炭素質連続無機繊維からなる繊維束、あるいは
    該連続繊維束よりなる織布を耐熱物質の微粒子、短繊維
    及びウィスカからなる群より選ばれる少なくとも一種を
    懸濁した処理液中に浸漬し、該連続繊維一本一本の表面
    に、耐熱物質の微粒子、短繊維及びウィスカからなる群
    より選ばれる少なくとも一種を付着させることを特徴と
    する複合材料用繊維体の製造方法。
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