JPH0781209B2 - 高強度・高弾性率無機繊維及びその製造方法 - Google Patents

高強度・高弾性率無機繊維及びその製造方法

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JPH0781209B2
JPH0781209B2 JP22451189A JP22451189A JPH0781209B2 JP H0781209 B2 JPH0781209 B2 JP H0781209B2 JP 22451189 A JP22451189 A JP 22451189A JP 22451189 A JP22451189 A JP 22451189A JP H0781209 B2 JPH0781209 B2 JP H0781209B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、機械的性質が優れ、且つ耐酸化性、並びに複
合材用マトリックスに対する濡れ性が大幅に向上した炭
素系新規無機繊維及びその製造方法に関する。
(従来の技術及びその問題点) 炭素繊維は、軽量でしかも高強度、高弾性であるため、
スポーツ・レジャー用品をはじめ、航空機、自転車、建
材など広い分野に亙ってその利用が図られている。
炭素繊維としては、ポリアクリロニトリルを原料とした
PAN系炭素繊維と、石油系又は石炭系のピッチを原料と
する、所謂ピッチ系炭素繊維が知られている。
ピッチ系炭素繊維は、一般に強度がPAN系炭素繊維に比
べて劣るが、原料が安価なことから、強度を高める方法
について種々の検討がなされ、例えば、特開昭59−2233
16号公報には、効果的にメソフェーズを生成させ、紡糸
時に配向させる方法が開示されている。
しかし、基本的には、炭素繊維は結晶性の繊維であるた
め、硬く、毛羽が発生し易く、また複合材料とする際マ
トリックスとの濡れ性も劣るという欠点がある。
そこで種々の炭素繊維の表面処理法が考案され、現在知
られている方法として、繊維に柔軟性を付与するととも
に、毛羽発生を抑制する目的で、ポリビニルアルコー
ル、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂のようなサ
イジング剤を表面に塗布する方法や、マトリックスとの
接着性を向上させる目的でその表面を乾式又は湿式酸化
処理する方法等がある。
これらの処理のうち、特に表面酸化層を設ける方法で
は、酸化時に繊維に損傷を与えるため物性は低下する傾
向にある。更に、炭素繊維は500℃を超える酸化雰囲気
中では、燃焼するため使用できない。
このような背景から、高強度、高弾性率を有し、しかも
マトリックスとの濡れ性、接着性が良好で、従来広範囲
の分野で使用されているPAN系炭素繊維よりも安価な新
繊維の開発が強く要望されてきた。
また、炭素繊維のより高温での耐酸化性を向上させるこ
とが種々の分野で強く望まれている。
この要望を満たす方法として、例えば、特開昭62−2091
39号公報、特開昭62−215016号公報に記載された方法が
提案されている。
これらの公報には、石炭系又は石油系ピッチ中の有機溶
媒可溶成分とポリシランを混合・加熱反応させてオルガ
ノポリアリールシランを合成し、それを紡糸、不融化、
焼成することにより炭化珪素繊維と炭素繊維の中間の性
質を有する無機質繊維を製造する方法が記載されてい
る。
しかし、上記方法では、一方の出発物質として有機溶媒
不溶分を全く含まないピッチを選び、オルガノポリアリ
ールシラン製造においても前記不溶分が全く生成しない
条件下で反応を行っている。
従って得られる生成物である紡糸原料中には、炭素繊維
の強度発現に最も重要な成分と言われているメソフェー
ズ状態を含む前記不溶分が全く含まれていない。
上記紡糸原料を紡糸、不融化、焼成して得られる無機繊
維は、条件によっては炭素の黒鉛結晶に相当する(00
2)回折線は得られるものの、ピッチ繊維特有の配向は
認められず高弾性率のものは得られない。更に上記公報
の方法では、ピッチ成分が多くなる程、不活性ガス中の
耐熱性は向上するものの、耐酸化性は低下し、しかも機
械的特性が著しく低下するという問題点がある。
(問題点を解決するための手段) 本発明の目的は、上記問題点を解決した新規な高強度、
高弾性率を有する無機繊維及びその製造方法を提供する
ことにある。
本発明によれば、 チタン、ジルコニウム及びハフニウムからなる群から選
ばれる少なくとも一種類の元素及び珪素を含有する多環
状芳香族重合体から得られる無機繊維であって、その構
成成分が、 a)該重合体を構成するメソフェーズ状態にある多環状
芳香族化合物から導かれるラジアル構造、オニオン構
造、ランダム構造、コアラジアル構造、スキンオニオン
構造及びモザイク構造からなる群から選ばれる少なくと
も一種の結晶配列状態を示す炭素質、 b)該重合体を構成する有機溶媒不溶分を含む光学的等
方性の多環状芳香族化合物から導かれる、無配向状態の
結晶質炭素及び/又は非晶質炭素、及び c)Si、M、C及びOから実質的になる非晶質物質、
及び/又は 実質的にβ−SiC、MC、β−SiCとMCの固溶体及びMC
1-xからなる粒径が500Å以下の結晶超微粒子と、非晶質
のSiOy及びMOzとの集合体であり 構成元素の割合がSi;5〜70重量%、M;0.5〜45重量%、
C;20〜40重量%及びO;0.01〜30重量%である、Si−M−
C−O物質(上記式中、MはTi、Zr及びHfから選択され
る少なくとも一種の元素であり、0<x<1、0<y≦
2、0<z≦2である。) であることを特徴とする高強度・高弾性率無機繊維が提
供される。
さらに本発明によれば、 1)結合単位(Si−CH2)、又は結合単位(Si−CH2)と
結合単位(Si−Si)から主としてなり、珪素原子の側鎖
に水素原子、低級アルキル基、フェニル基あるいはシリ
ル基を有し、上記結合単位からなる主骨格の珪素原子
に、M(Mはチタン、ジルコニウム及びハフニウムから
なる群から選ばれる少なくとも一種類の元素である。)
が、直接又は酸素原子を介して、珪素原子の少なくとも
一部と結合している遷移金属含有有機珪素重合体の珪素
原子の少なくとも一部が、石油系又は石炭系のピッチあ
るいはその熱処理物であって、有機溶媒不溶分を含むピ
ッチより得られた多環状芳香族化合物の芳香族環の炭素
と結合したランダム共重合体及び、 2)石油系又は石炭系のピッチから得られる、メソフェ
ーズ又はメソフェーズと光学的等方相との両相からなる
多環状芳香族化合物(以下、両者を総称して「メソフェ
ーズ多環状芳香族化合物」と言うことがある。)とを、 200〜500℃の範囲の温度で加熱反応及び/又は加熱溶融
して、上記M及び珪素を含有する多環状芳香族重合体を
得る第1工程、 上記金属含有多環状芳香族重合体の紡糸原液を調製して
紡糸する第2工程、 該紡糸原糸を張力下あるいは無張力下で不融化する第3
工程、及び 不融化した前記紡糸繊維を真空中あるいは不活性ガス雰
囲気中で800〜3000℃の範囲の温度で焼成する第4工程 からなることを特徴とする実質的に炭素、珪素、M及び
酸素からなる高強度・高弾性率無機繊維の製造方法製造
方法が提供される。
まず、本発明の無機繊維について説明する。以下の記載
において、「部」はすべて「重量部」であり、「%」は
すべて「重量%」である。
本発明の無機繊維は前述した構成成分a)、b)及び
c)からなっており、Si;0.01〜30%、M;0.01〜10%、
C;65〜99.9%及びO;0.001〜10%、好ましくはSi;0.1〜2
5%、M;0.01〜8%、C;74〜99.8%及びO;0.01〜8%か
ら実質的に構成されている。
この無機繊維の構成成分である結晶質炭素は500Å以下
の結晶子サイズを有し、1.5Åの分解能を有する高分解
能電子顕微鏡において、繊維軸方向に配向した3.2Åの
(002)面に相当する微細なラティスイメージ像が観察
されうる超微粒子のグラファイト結晶である。無機繊維
中の結晶質炭素は、ラジアル構造、オニオン構造、ラン
ダム構造、コアラジアル構造、スキンオニン構造、モザ
イク構造及び一部ラジアル構造を含むランダム構造等を
とることができる。これは、原料中にメソフェーズ多環
状芳香族化合物が存在することに起因する。
この無機繊維における構成成分a)及びb)の総和100
部に対する構成成分c)の割合は0.015〜200部であり、
且つ構成成分a)とb)との比率は1:0.02〜4である。
構成成分a)及びb)の総和100部に対する構成成分
c)の割合が0.015未満の場合は、ほとんどピッチ繊維
と変わらず、耐酸化性や濡れ性の向上は望めず、上記割
合が200部を越えた場合はグラファイトの微細結晶が効
果的には生成せず、高弾性率の繊維が得られない。
次に本発明の製造方法を説明する。
第1工程: 有機珪素重合体とピッチを、不活性ガス中で、好ましく
は250〜500℃の範囲の温度で加熱反応させることにより
前駆重合体(1)が調製される。
前駆重合体(1)の出発原料の一つである有機珪素重合
体は、例えば、ジメチルジクロロシランと金属ナトリウ
ムの反応により得られるポリメチルシランを不活性ガス
中で400℃以上に加熱することにより得られる。
上記有機珪素重合体は、結合単位(Si−CH2)、又は結
合単位(Si−CH2)と結合単位(Si−Si)とから主とし
てなり、結合単位(Si−CH2)の全数対結合単位(Si−S
i)の全数の比率は1:0〜20の範囲内にある。
この有機珪素重合体の重量平均分子量(Mw)は、一般的
には300〜1000で、Mwが400〜800のものが、優れた炭素
系無機繊維を得るための中間原料であるランダム共重合
体(2)を調製するために特に好ましい。
前駆重合体(1)のもう一つの出発原料であるピッチ
は、石油類又は石炭類から得られるピッチで、特に好ま
しいピッチは、石油類の流動接触分解により得られる重
質油、その重質油を蒸溜して得た留出成分又は残渣油、
さらにはこれらの熱処理物である。
上記ピッチ中には、ベンゼン、トルエン、キシレン、テ
トラヒドロフランなどの有機溶媒に不溶の成分が5〜98
重量%、特に10〜80%含まれていることが好ましく、不
溶成分が5重量%未満のピッチを原料として用いた場
合、強度、弾性率共に優れた無機質繊維は得られず、ま
た、不溶成分が98重量%より多いピッチを原料として用
いた場合、共重合体が高融点となり、紡糸困難な状態に
なる。
この光学的等方性ピッチの重量平均分子量(Mw)は、10
0〜3000である。重量平均分子量は以下のようにして求
めた値である。即ち、ピッチが有機溶媒不溶分を含有し
ない場合はそのままゲルパーミュエーションクロマトグ
ラフ(GPC)測定し、ピッチが有機溶媒不溶分を含有す
る場合は、温和な条件で水添処理し、有機溶媒不溶分を
有機溶媒可溶な成分に変えて後GPC測定する。以下、有
機溶媒不溶分を含有する重合体の重量平均分子量は、上
記と同様の処理を施して求めた値である。
ピッチの使用割合は、有機珪素重合体100部当たり83〜4
900部であることが好ましい。ピッチの使用割合が過度
に小さい場合は、得られる無機繊維中の炭化珪素成分が
多くなり、高弾性率を有する無機繊維が得られなくな
り、また、その割合が過度に多い場合は、炭化珪素成分
が少なくなり、マトリックスに対する濡れ性や耐酸化性
に優れた無機繊維が得られなくなる。
また、前記反応の反応温度が過度に低いと、珪素原子と
芳香族炭素の結合が生成しにくくなり、反応温度が過度
に高いと、生成した前駆重合体(1)の分解及び高分子
量化が激しく起こり好ましくない。ここで言う前駆重合
体(1)には、有機珪素重合体とピッチが珪素−炭素連
結基を介して結合した共重合体に加え、有機珪素重合体
及びピッチの各々の重縮合物が含まれる。
不活性ガスとしては、窒素、アルゴン等が好適に使用さ
れる。
次に、前駆重合体(1)と式MX4で示される遷移金属化
合物とを100〜500℃の範囲の温度で反応させランダム共
重合体(2)を調製する。
前記MX4において、MはTi、Zr及びHfから選択される少
なくとも一種の元素であり、Xは縮合により、Mが前駆
重合体(1)の珪素と直接あるいは酸素原子を介して結
合し得るものであればよく、特に規定はないが、ハロゲ
ン原子、アルコキシ基又はβ−ジケトンのような錯体形
成基が好ましい。
反応温度が過度に低いと、前駆重合体(1)と式MX4
の縮合反応が進行せず、反応温度が過度に高いと、Mを
介した前駆重合体(1)の架橋反応が過度に進行しゲル
化が起こったり前駆重合体(1)自体が縮合し高分子量
化したり、あるいは、場合によってはMX4が揮散し好ま
しくない。
一例として、MがTiで、XがOC4H9の場合、反応温度は2
00〜400℃が適している。
この反応によって、前駆重合体(1)の珪素原子の少な
くとも一部を金属Mと直接あるいは酸素原子を介して結
合させたランダム共重合体(2)が調製される。
金属Mは前駆重合体(1)の珪素原子に−MX3あるいは
−O−MX3のような結合様式で側鎖状に結合することも
できるし、前駆重合体(1)の珪素原子に直接又は酸素
を介して架橋した結合様式もとり得る。
ランダム共重合体(2)を調製する方法としては、前述
の方法以外に、有機珪素重合体とMX4を反応させ、得ら
れた生成物にピッチをさらに反応させて調製する方法も
可能である。
第1工程においては最後にランダム共重合体(2)とメ
ソフェーズ多環状芳香族化合物を加熱反応及び/又は加
熱溶融して、金属含有多環状芳香族重合体を調製する。
メソフェーズ多環状芳香族化合物は、例えば、石油系又
は石炭系ピッチを不活性ガス中で300〜500℃に加熱し、
生成する軟質留分を除去しながら縮重合することによっ
て調製することができる。
上記縮重合反応温度が過度に低いと縮合環の成長が充分
でなく、またその温度が過度に高いとコーキングにより
不融化物の生成が激しくなる。
上記のメソフェーズ多環状芳香族化合物は、融点が200
〜400℃の範囲にあり、また、重量平均分子量が200〜10
000である。
メソフェーズ多環状芳香族化合物の中でも、20〜100
%、特に40〜100%の光学的異方性度を有し、30〜100%
のベンゼン、トルエン、キシレン又はテトラヒドロフラ
ンに対する不溶分を含むものが、機械的性能の優れた無
機繊維を得るために好ましい。
メソフェーズ多環状芳香族化合物の使用割合はランダム
共重合体(2)100部当たり5〜50000部、より好ましく
は5〜10000部であり、5部未満では、生成物における
メソフェーズ含有量が不足するため、高弾性の焼成糸が
得られず、また、50000部より多い場合は、珪素成分の
不足のため、マトリックスに対する濡れ性、耐酸化性に
優れた無機繊維が得られなくなる。
ランダム共重合体(2)とメソフェーズ多環状芳香族化
合物とを200〜500℃の温度範囲で加熱溶融及び/又は加
熱反応させることにより、ランダム共重合体(2)の少
なくとも一部がメソフェーズ多環状芳香族化合物と結合
した金属含有多環状芳香族重合体が得られる。ただし、
ここで言う結合とは、珪素と多環状芳香族化合物の炭素
との化学結合及び/又はランダム共重合体(2)中の珪
素と化学結合した多環状芳香族環部分とメソフェーズ多
環状芳香族化合物との間のファンデルワールス結合等の
物理的結合を意味する。
上記溶融混合温度が200℃より低いと不融部分が生じ、
糸が不均一となり、無機繊維の強度、弾性率に悪影響を
及ぼし、また、溶融混合温度が500℃より高いと縮合反
応が激しく進行し、生成重合体が高融点となり、重合体
の紡糸が著しく困難となる。
金属含有多環状芳香族重合体を調製する方法としては、
前述の方法以外に、有機珪素重合体とピッチを反応さ
せ、得られた生成物にメソフェーズピッチとMX4を同時
に又は順次添加し、さらに反応させて調製する方法も可
能である。
金属含有多環状芳香族重合体の重量平均分子量は200〜1
1000で、融点が200〜400℃である。
第2工程: 第1工程で得られる金属含有多環状芳香族重合体である
紡糸ポリマーを加熱溶融させて、場合によってはこれを
濾過してミクロゲル、不純物等の紡糸に際して有害とな
る物質を除去し、これを通常用いられる合成繊維紡糸装
置により紡糸する。
紡糸する際の紡糸原液の温度は原料ポリマーの軟化温度
によって異なるが、220〜420℃の範囲の温度が有利であ
る。
前記紡糸装置において、必要に応じて紡糸筒を取付け、
該紡糸筒内の雰囲気を空気、不活性ガス、熱空気、熱不
活性ガス、スチーム、及びアンモニアガスからなる群か
ら選ばれる一種以上の雰囲気とした後、巻取り速度を大
きくすることにより細い直径の繊維を得ることができ
る。前記溶融紡糸における紡糸速度は原料の平均分子
量、分子量分布、分子構造によって異なるが、50〜5000
m/分の範囲であることが好ましい。
第3工程: 第2工程で得られる紡糸繊維を張力又は無張力の作用も
とで不融化する。
代表的な不融化方法は、紡糸繊維を酸化性雰囲気中で加
熱する方法である。不融化の温度は好ましくは50〜400
℃の範囲の温度である。不融化温度が過度に低いと紡糸
原糸を構成するポリマーのはしかけが起こらず、また、
この温度が過度に高いとポリマーが燃焼する。
不融化の目的は、紡糸繊維を構成するポリマーを三次元
構造の不融・不溶のはしかけ状態にし、次工程の焼成の
際に溶融せず、且つ隣接した繊維と融着しないようにす
ることである。不融化の際の酸化性雰囲気を構成するガ
スとしては、空気、オゾン、酸素、塩素ガス、臭素ガ
ス、アンモニアガス、及びこれらの混合ガスが挙げられ
る。
上記とは別の不融化方法として、紡糸繊維に酸化性雰囲
気あるいは非酸化性雰囲気で、張力あるいは無張力で必
要に応じて低温加熱しながら、γ線照射、あるいは電子
線照射して不融化する方法も採用することができる。
このγ線あるいは電子線を照射する目的は、紡糸繊維を
形成するポリマーを、さらに重合させることによって、
紡糸原糸が融解し、繊維形状を失うことを防ぐことにあ
る。
γ線あるいは電子線の照射線量は106〜1010ラッドが適
当である。
照射は真空、不活性ガス雰囲気下、あるいは空気、オゾ
ン、酸素、塩素ガス、臭素ガス、アンモニアガス及びこ
れらの混合ガスのような酸化性ガス雰囲気で行うことが
できる。
照射による不融化は室温で行うこともでき、必要であれ
ば50〜200℃の温度範囲で加熱しながら行うことによっ
て不融化をより短時間で達成させることもできる。
不融化は、無張力下で行うと、前記紡糸繊維は収縮のた
め波状の形を呈するようになるが、次工程の焼成工程で
矯正できる場合もあり、張力は必ずしも必要ないが、張
力を作用させる場合には、その張力の大きさは不融化時
に紡糸繊維が収縮して波状となることを少なくとも防止
できる以上の張力を作用させると良い結果が得られる。
不融化の際に、作用させる張力としては、1〜500g/mm2
の範囲が好ましく、1g/mm2以下の張力を作用させても繊
維をたるませないような緊張を与えることができず、50
0g/mm2以上の張力を作用させると繊維が切断することが
ある。
第4工程: 第3工程で得られる不融化糸を、真空あるいは不活性ガ
ス雰囲気中で800〜3000℃の範囲の温度で焼成すること
によって、主として炭素、M、珪素、酸素からなる無機
繊維が得られる。
焼成工程において、張力を作用させることは必ずしも必
要ないが0.001〜100Kg/mm2の範囲で張力を作用させなが
ら高温焼成すると屈曲を少なくした強度の高い無機繊維
を得ることができる。
加熱過程において、約700℃から無機化が激しくなり、
約800℃でほぼ無機化が完了するものと推定される。従
って、焼成は、800℃以上の温度で行うことが好まし
い。また、3000℃より高い温度を得るには高価な装置を
必要とするため、3000℃より高温での焼成は、コスト面
から見て実際的でない。
なお、本発明の無機繊維の構成成分c)であるSi−M−
C−O物質の形態は、第1工程乃至第4工程で採用され
る製造条件によって決定される。一般的に言えば、第4
工程での焼成温度が例えば1000℃より低い場合、Si、
M、C、Oからなる非晶質より実質的に構成される。
一方、第4工程での焼成温度が例えば1700℃以上の場
合、実質的にβ−SiC、MC、β−SiCとMCの固溶体及びMC
1-x(ただし、0<x<1)からなる粒径500Å以下の超
微粒子及びSiOy(ただし、0<y≦2)、MOz(ただ
し、0<z≦2)からなる非晶質からなる集合体より実
質的に構成される。
上記温度の中間では、各集合体の混合系より構成されて
いる。また、無機繊維中の酸素量は、例えば第1工程に
おけるMX4の添加比率又は第3工程における不融化条件
により制御することができる。
また、構成成分c)の分布状態は、焼成時の雰囲気や原
料中のメソフェーズの大きさ、濃度によっても制御する
ことができる。例えば、メソフェーズを大きく成長させ
た場合、構成成分c)は繊維表面相に押し出されやすく
なる。
(効果) 本発明の無機繊維は、珪素原子の存在により炭素の結晶
化速度が増大し、しかも、結晶化速度の増大にもかかわ
らず結晶の粗大化が抑制され、結晶粒子はむしろ微細化
する。従って、本繊維は低温焼成においても高強度・高
弾性を示す。
また、本発明の無機繊維は珪素原子に加えて、チタン、
ジルコニウム、ハフニウムのうち少なくとも一種の原子
を含有するため、繊維の機械的特性がさらに向上し、か
つプラスチック等に対する濡れ性が大幅に向上するた
め、層間剪断強度及び90度方向の曲げ強度の大きいプラ
スチック複合材料を与えることができる。
加えて、本発明の無機繊維は、高温の酸化雰囲気下にお
いても、珪素原子の存在により炭素原子の引き抜きが抑
制され、通常のピッチ系、PAN系の炭素繊維よりも酸化
分解温度が200〜300℃高くなると言う特徴を有する。
(実施例) 以下実施例によって本発明を説明する。
参考例1(有機珪素重合体の製造) 5の三口フラスコに無水キシレン2.5及びナトリウ
ム400gを入れ、窒素ガス気流下でキシレンの沸点まで加
熱し、ジメチルジクロロシラン1を1時間で滴下し
た。滴下終了後、10時間加熱還流し沈澱物を生成させ
た。沈澱を濾過し、メタノールついで水で洗浄して、白
色粉末のポリジメチルシラン420gを得た。
このポリジメチルシラン400gを、ガス導入管、撹拌機、
冷却器及び留出管を備えた3の三口フラスコに仕込
み、撹拌しながら50ml/分の窒素気流下に420℃で加熱処
理して、留出受器に350gの無色透明な少し粘性のある液
体を得た。
この液体の数平均分子量は蒸気圧浸透法で測定したとこ
ろ470であった。
この物質の赤外線吸収スペクトルを測定したところ、65
0〜900cm-1と1250cm-1にSi−CH3の吸収、2100cm-1にSi
−Hの吸収、1020cm-1付近と1355cm-1にSi−CH2−Siの
吸収、2900cm-1と2950cm-1にC−Hの吸収が認められ、
またこの物質の遠赤外線吸収スペクトルを測定したとこ
ろ、380cm-1にSi−Siの吸収が認められることから、得
られた液状物質は、主として(Si−CH2)結合単位及び
(Si−Si)結合単位からなり、珪素の側鎖に水素原子及
びメチル基を有する有機珪素重合体であることが判明し
た。
核磁気共鳴分析及び赤外線吸収分析の測定結果から、こ
の有機珪素重合体は(Si−CH2)結合単位の全数対(Si
−Si)結合単位の全数の比率がほぼ1:3である重合体で
あることが確認された。
上記有機珪素重合体300gをエタノールで処理して低分子
量物を除去して、数平均分子量が1200の重合体40gを得
た。
この物質の赤外線吸収スペクトルを測定したところ、上
記と同様の吸収ピークが認められ、この物質は主として
(Si−CH2)結合単位及び(Si−Si)結合単位からな
り、珪素の側鎖に水素原子及びメチル基を有する有機珪
素重合体であることが判明した。
核磁気共鳴分析及び赤外線吸収分析の測定結果から、こ
の有機珪素重合体は(Si−CH2)結合単位の全数対(Si
−Si)結合単位の全数の比率がほぼ7:1である重合体で
あることが確認された。
参考例2(ピッチ(I)の製造) 石油留分のうち、軽油以上の高沸点物をシリカ・アルミ
ナ系分解触媒の存在下、500℃の温度で流動接触分解・
精留を行い、その塔底より残渣を得た。以下、この残渣
をFCCスラリーオイルと呼ぶ。
このFCCスラリーオイルは、元素分析の結果、炭素原子
対水素原子の原子比(C/H)が0.75で、核磁気共鳴分析
による芳香炭素率が0.55であった。
上記FCCスラリーオイル500gを1/分の窒素ガス気流
下450℃で1時間加熱し、同温度における留出分を留去
後、残渣を200℃にて熱時濾過を行い、同温度における
不融部を除去し、軽質分除去ピッチ225gを得た。
この軽質分除去ピッチは75%のキシレン不溶分を含む光
学的に特方性のピッチであった。
参考例3(ピッチ(II)の製造) 参考例2で得られたFCCスラリーオイル700gを2/分
の窒素ガス気流下450℃で0.5時間加熱し、同温度におけ
る留出分を留去後、残渣を200℃にて熱時濾過を行い、
同温度における不融部を除去し、軽質分除去ピッチ200g
を得た。
この軽質分除去ピッチは25%のキシレン不溶分を含む光
学的に特方性のピッチであった。
参考例4(メソフェーズ多環状芳香族化合物の製造) 参考例2で得られたFCCスラリーオイル400gを窒素ガス
気流下450℃に加熱し、同温度における留出分を留去
後、残渣を200℃にて熱時濾過を行い、同温度における
不融部を除去し、軽質分除去ピッチ180gを得た。得られ
た軽質分除去ピッチ180gを窒素気流下、反応により生成
する軽質分を除去しながら400℃で7時間縮重合を行
い、熱処理ピッチ85gを得た。
この熱処理ピッチは融点268℃、キシレン不溶分92%、
キノリン不溶分12%を含有しており、研磨面の偏光顕微
鏡観察による光学的異方性が89%のメソフェーズ多環状
芳香族化合物であった。以下これをメソフェーズ多環状
芳香族化合物(A)と言う。
FCCスラリーオイルを窒素ガス気流下420℃で留出分を除
去した後、さらに、400℃で5時間縮重合して、融点258
℃、キシレン不溶分65%、キノリン不溶分6%、光学的
異方性52%のメソフェーズ多環状芳香族化合物を得た。
以下これをメソフェーズ多環状芳香族化合物(B)と言
う。
参考例3で得られた軽質分除去ピッチ180gを窒素気流
下、反応により生成する軽質分を除去しながら400℃で
8時間縮重合を行い、熱処理ピッチ97.2gを得た。
この熱処理ピッチは融点263℃、軟化点308℃、キシレン
不溶分77%、キノリン不溶分31%を含有しており、研磨
面の偏光顕微鏡観察による光学的異方性が75%のメソフ
ェーズ多環状芳香族化合物であった。以下これをメソフ
ェーズ多環状芳香族化合物(C)と言う。
実施例1 参考例2で得られたピッチ(I)49gに参考例1で得た
有機珪素重合体21g及びキシレン20mlを加え、撹拌しな
がら昇温し、キシレンを留去後、400℃で6時間反応さ
せ39gの前駆重合体(1)を得た。
この前駆重合体(1)は赤外線吸収スペクトル測定の結
果、有機珪素重合体中に存在するSi−H結合(IR:2100c
m-1)の減少、及び新たなSi−C(ベンゼン環の炭素)
結合(IR:1135cm-1)の生成が認められることより有機
珪素重合体の珪素原子の一部が多環状芳香族環の炭素と
直接結合した部分を有する重合体であることがわかっ
た。
前駆重合体(1)39gにテトラオクトキシチタン〔Ti(O
C8H17〕2.75gのキシレン溶液(25%キシレン溶液11
g)を加え、キシレン留去後、340℃で2時間反応させ、
ランダム共重合体(2)38gを得た。
この重合体は、キシレン不溶部を含まず重量平均分子量
は1650、融点は272℃であり、キシレン可溶であった。
上記ランダム共重合体(2)35gとメソフェーズ多環状
芳香族化合物(A)70gを混合、窒素雰囲気下310℃で1
時間溶融加熱し、均一な状態にある金属含有多環状芳香
族重合体を得た。
この重合体の融点は272℃で、59%のキシレン不溶分を
含んでいた。
上記高分子量物を紡糸用原料とし、ノズル径0.15mmの金
属製ノズルを用い、340℃で溶融紡糸を行い、得られた
紡糸原糸を、空気中、300℃で酸化、不融化し、更にア
ルゴン雰囲気中、1300℃で焼成を行い、直径10μmの無
機繊維を得た。
この繊維は引張強度が320kg/mm2、引張弾性率32t/mm2
あり、破断面の走査型電子顕微鏡を用いた観察より、結
晶層が幾重にも重なった珊瑚様のランダムラジアル混在
構造であった。
上記繊維を空気中で加熱酸化したところ、700℃までほ
とんど重量減少を示さず、800℃においても全重量の7
%が消失したにすぎなかった。
実施例2 実施例1で得られた前駆重合体(1)39gにテトラキス
アセチルアセトナトジルコニウム5.4gのエタノール−キ
シレン溶液(1.5%)を加え、キシレン留去後250℃で1
時間重合し39.5gのランダム共重合体(2)を得た。
この重合体20gと参考例4により得たメソフェーズ多環
状芳香族化合物(A)50gを微粉砕混合し、紡糸筒内で3
50℃で溶融し、ノズル径0.2mmのノズルを用い、340℃で
紡糸し、得られた紡糸原糸を空気中250℃で不融化し、
更にアルゴン雰囲気中1400℃で焼成、直径11μの無機繊
維を得た。
この繊維の引張強度は325kg/mm2、引張弾性率35t/mm2
あった。
実施例3 ピッチ(I)及び有機珪素重合体の使用量をそれぞれ60
g及び40gに変えた以外は実施例1と同様にして、57gの
前駆重合体(1)を得た。
この前駆重合体(1)40gにハフニウムクロライド7.2g
のエタノール−キシレン溶液(1.5%)を加え、キシレ
ン留去後250℃で1時間重合し43.5gのランダム共重合体
(2)を得た。
この重合体20gとメソフェーズ多環状芳香族化合物
(A)80gを微冷粉砕混合した後に、紡糸筒内で350℃で
溶融脱泡を行い、350℃で溶融紡糸し、270℃で不融化
し、アルゴン中で1200℃で焼成することによって12.5μ
の無機繊維を得た。この繊維の引張強度は315kg/mm2
引張弾性率35t/mm2であった。
実施例4 実施例1と同様にして得たランダム共重合体(2)18g
とメソフェーズ多環状芳香族化合物(B)90gを、窒素
気流下300℃で1.5時間溶融混合し、融点265℃、キシレ
ン不溶分49%の紡糸ドープを得た。このドープをノズル
径0.15mmのノズルを用い、330℃で溶融紡糸後、300℃で
不融化後1700℃で焼成し、直径8μの無機繊維を得た。
この繊維の引張強度は305kg/mm2,引張弾性率38t/mm2
あった。
実施例5 実施例1で得た前駆重合体(1)39gに対してテトラブ
トキシチタン添加量を0.9として実施例1と同様の操作
によりランダム共重合体(2)38.5gを得た。
このランダム共重合体(2)18gとメソフェーズ多環状
芳香族化合物(A)90gを実施例2と同様の方法により3
45℃で溶融紡糸し、300℃で不融化した後アルゴン雰囲
気下2100℃で焼成した。
得られた無機繊維は直径が7.5μで、引張強度が290kg/m
m2、引張弾性率45t/mm2であった。
実施例6 テトラブトキシチタン添加量を9.0gとし、焼成温度を25
00℃とした以外は実施例5と同様にして無機繊維を得
た。
この無機繊維は直径が7.5μで、引張強度が335kg/mm2
引張弾性率55t/mm2であった。
実施例7 参考例3で得られたピッチ(II)57gに参考例1で得た
有機珪素重合体25g及びキシレン20mlを加え、撹拌しな
がら昇温し、キシレンを留去後、400℃で4時間反応さ
せ57.4gの前駆重合体(1)を得た。
この前駆重合体(1)は赤外線吸収スペクトル測定の結
果、有機珪素重合体中に存在するSi−H結合(IR:2100c
m-1)の減少、及び新たなSi−C(ベンゼン環の炭素)
結合(IR:1135cm-1)の生成が認められることより有機
珪素重合体の珪素原子の一部が多環状芳香族環の炭素と
直接結合した部分を有する重合体であることがわかっ
た。
前駆重合体(1)57.4gにテトラオクトキシチタン〔Ti
(OC8H17〕3.87gのキシレン溶液(25%キシレン溶
液15.5g)を加え、キシレン留去後、340℃で1時間反応
させ、ランダム共重合体(2)56gを得た。
この重合体は、キシレン不溶部を含まず重量平均分子量
は1580、融点は258℃、軟化点292℃であり、キシレン可
溶であった。
上記ランダム共重合体(2)6.4gと参考例4で得られた
メソフェーズ多環状芳香族化合物(C)90gを混合、窒
素雰囲気下380℃で1時間溶融加熱し、均一な状態にあ
る金属含有多環状芳香族重合体を得た。
この重合体の融点は264℃で、軟化点307℃、68%のキシ
レン不溶分を含んでいた。
上記高分子量物を紡糸用原料とし、ノズル径0.15mmの金
属製ノズルを用い、360℃で溶融紡糸を行い、得られた
紡糸原糸を、空気中、300℃で酸化、不融化し、更にア
ルゴン雰囲気中、1300℃で焼成を行い、直径7.5μmの
無機繊維を得た。
この繊維は引張強度が358kg/mm2、引張弾性率32t/mm2
あり、破断面の走査型電子顕微鏡を用いた観察より、結
晶層が幾重にも重なった珊瑚様のランダムラジアル混在
構造であった。
この無機繊維を粉砕後、アルカリ溶融、塩酸処理を施
し、水溶液とした後高周波プラズマ発光分光分析(IC
P)を行った結果、珪素含有率は0.95%、チタン含有率
は0.06%であった。
上記繊維を空気中で加熱酸化したところ、600℃におい
ても上記機械特性の低下は認められず、同温度において
酸化焼失する市販炭素繊維に比べ耐酸化性に優れている
ことが確認された。
実施例8 実施例7で得られた前駆重合体(1)39gにテトラキス
アセチルアセトナトジルコニウム5.4gのエタノール−キ
シレン溶液(1.5%)を加え、キシレン留去後250℃で1
時間重合し39.5gのランダム共重合体(2)を得た。
この重合体20gと参考例4により得たメソフェーズ多環
状芳香族化合物(C)50gを微粉砕混合し、360℃で1時
間溶融混合し、ノズル径0.2mmのノズルを用い、350℃で
紡糸し、得られた紡糸原糸を空気中250℃で不融化し、
更にアルゴン雰囲気中1400℃で焼成、直径11μの無機繊
維を得た。
この繊維の引張強度は345kg/mm2、引張弾性率35t/mm2
あった。
実施例9 ピッチ(II)及び有機珪素重合体の使用量をそれぞれ60
g及び40gに変えた以外は実施例7と同様にして、57gの
前駆重合体(1)を得た。
この前駆重合体(1)40gにハフニウムクロライド7.2g
のエタノール−キシレン溶液(1.5%)を加え、キシレ
ン留去後250℃で1時間重合し43.5gのランダム共重合体
(2)を得た。
この重合体20gとメソフェーズ多環状芳香族化合物
(C)80gを微粉砕混合した後に、360℃で1時間溶融混
合を行い、350℃で溶融紡糸し、270℃で不融化し、アル
ゴン中で1200℃で焼成することによって12.5μの無機繊
維を得た。この繊維の引張強度は335kg/mm2、引張弾性
率35t/mm2であった。
実施例10 実施例7と同様にして得たランダム共重合体(2)1.8g
とメソフェーズ多環状芳香族化合物(B)90gを、窒素
気流下400℃で1.5時間溶融混合し、融点265℃、キシレ
ン不溶分55%の紡糸ドープを得た。このドープをノズル
径0.15mmのノズルを用い、350℃で溶融紡糸後、300℃で
不融化後1700℃で焼成し、直径8μの無機繊維を得た。
この無機繊維を粉砕後、アルカリ溶融、塩酸処理を施
し、水溶液とした後高周波プラズマ発光分光分析(IC
P)を行った結果、珪素含有率は0.3%、チタン含有率は
0.015%であった。
この繊維の引張強度は335kg/mm2、引張弾性率40t/mm2
あった。
実施例11 実施例7で得た前駆重合体(1)39gに対してテトラブ
トキシチタン添加量を0.9gとして実施例7と同様の操作
によりランダム共重合体(2)38.5gを得た。
このランダム共重合体(2)18gとメソフェーズ多環状
芳香族化合物(C)90gを実施例2と同様の方法により3
55℃で溶融紡糸し、300℃で不融化した後アルゴン雰囲
気下2100℃で焼成した。
得られた無機繊維は直径が7.5μで、引張強度が290kg/m
m2、引張弾性率45t/mm2であった。
実施例12 テトラブトキシチタン添加量を9.0gとし、焼成温度を25
00℃とした以外は実施例11と同様にして無機繊維を得
た。
この無機繊維は直径が7.5μで、引張強度が335kg/mm2
引張弾性率59t/mm2であった。
実施例13 実施例1〜4及び実施例7〜10で得られた無機繊維を強
化材とした一方向強化エポキシ樹脂(ビスフェノールA
型)複合材料(Vf;60体積%)の曲げ強度を第1表に示
す。
なお、ピッチ系炭素繊維(引張強度280kg/mm2、引張弾
性率55t/mm2)を強化材とした一方向強化エポキシ樹脂
(ビスフェノールA型)複合材料(Vf;60体積%)の曲
げ強度を第1表に併記した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渋谷 昌樹 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇部 興産株式会社宇部研究所内 審査官 渕野 留香 (56)参考文献 特開 昭62−144482(JP,A)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】チタン、ジルコニウム及びハフニウムから
    なる群から選ばれる少なくとも一種類の元素及び珪素を
    含有する多環状芳香族重合体から得られる無機繊維であ
    って、その構成成分が、 a)該重合体を構成するメソフェーズ状態にある多環状
    芳香族化合物から導かれるラジアル構造、オニオン構
    造、ランダム構造、コアラジアル構造、スキンオニオン
    構造及びモザイク構造からなる群から選ばれる少なくと
    も一種の結晶配列状態を示す炭素質、 b)該重合体を構成する有機溶媒不溶分を含む光学的等
    方性の多環状芳香族化合物から導かれる、無配向状態の
    結晶質炭素及び/又は非晶質炭素、及び c)Si、M、C及びOから実質的になる非晶質物質、
    及び/又は 実質的にβ−SiC、MC、β−SiCとMCの固溶体及びMC
    1-xからなる粒径が500Å以下の結晶超微粒子と、非晶質
    のSiOy及びMOzとの集合体であり 構成元素の割合がSi;5〜70重量%、M;0.5〜45重量%、
    C;20〜40重量%及びO;0.01〜30重量%である、Si−M−
    C−O物質(上記式中、MはTi、Zr及びHfから選択され
    る少なくとも一種の元素であり、0<x<1、0<y≦
    2、0<z≦2である。) であることを特徴とする高強度・高弾性率無機繊維。
  2. 【請求項2】1)結合単位(Si−CH2)、又は結合単位
    (Si−CH2)と結合単位(Si−Si)から主としてなり、
    珪素原子の側鎖に水素原子、低級アルキル基、フェニル
    基あるいはシリル基を有し、上記結合単位からなる主骨
    格の珪素原子に、M(Mはチタン、ジルコニウム及びハ
    フニウムからなる群から選ばれる少なくとも一種類の元
    素である。)が、直接又は酸素原子を介して、珪素原子
    の少なくとも一部と結合している遷移金属含有有機珪素
    重合体の珪素原子の少なくとも一部が、石油系又は石炭
    系のピッチあるいはその熱処理物であって、有機溶媒不
    溶分を含むピッチより得られた多環状芳香族化合物の芳
    香族環の炭素と結合したランダム共重合体及び、 2)石油系又は石炭系のピッチから得られる、メソフェ
    ーズ又はメソフェーズと光学的等方相との両相からなる
    多環状芳香族化合物とを、200〜500℃の範囲の温度で加
    熱反応及び/又は加熱溶融して、上記M及び珪素を含有
    する多環状芳香族重合体を得る第1工程、 上記金属含有多環状芳香族重合体の紡糸源液を調製して
    紡糸する第2工程、 該紡糸原糸を張力下あるいは無張力下で不融化する第3
    工程、及び 不融化した前記紡糸繊維を真空中あるいは不活性ガス雰
    囲気中で800〜3000℃の範囲の温度で焼成する第4工程 からなることを特徴とする実質的に炭素、珪素、M及び
    酸素からなる高強度・高弾性率無機繊維の製造方法。
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