JPH0757713B2 - 繊維強化炭素質複合材料 - Google Patents

繊維強化炭素質複合材料

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JPH0757713B2
JPH0757713B2 JP1244981A JP24498189A JPH0757713B2 JP H0757713 B2 JPH0757713 B2 JP H0757713B2 JP 1244981 A JP1244981 A JP 1244981A JP 24498189 A JP24498189 A JP 24498189A JP H0757713 B2 JPH0757713 B2 JP H0757713B2
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泰広 塩路
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は機械的特性に優れた、耐熱性、耐摩耗性炭素質
無機複合材料に関するものである。
(従来の技術及びその問題点) 無機繊維で強化した炭素質無機複合材料のうち、強化繊
維として炭素繊維、無機質マトリックスとして炭素を用
いた、所謂C/Cコンポジットは比強度、比弾性、非酸化
性雰囲気中における耐熱性、靭性、摩擦特性に優れ、耐
熱構造材、ブレーキ材として有望なものである。特にブ
レーキ用途においては、航空機、レーシングカー用とし
て実用化が進められている。
しかし、C/Cコンポジットでは、強化材とマトリックス
炭素との界面に致命的亀裂や剥離を生じやすく、充分な
機械的強度が得られず、また、C/Cコンポジットはマト
リックスが炭素のみからなるため、酸化性雰囲気中での
長時間の使用は困難であり、また、摩擦特性においても
潤滑性には優れているものの、耐摩耗性は必ずしも充分
ではなかった。
この欠点を改善し、炭素繊維とマトリックス炭素との界
面接着力の向上を図ることを目的として、炭素繊維表面
を種々の処理剤でサイジングする方法やCVD等の方法に
よりコーティングする方法が行われている。
しかし、上記のサイジングによる方法では、炭素繊維と
マトリックス炭素との界面接着性の問題を根本的に解決
することは難しく、処理剤と繊維又はマトリックス間で
新たな欠陥、剥離を生じ、また、処理剤によっては複合
材中に不純物として残存するため、C/Cコンポジットの
優れた特性のうち、耐食性、耐熱性等が失われることに
なる。
一方、繊維一本一本にコーティング処理を施す方法は、
CVD工程等の生産性の低い工程を追加する必要があり、
複合材を高コストなものとし、かつ、得られた繊維の繊
維径が太くなるため、しなやかさを失わせ、複合材設計
の自由度を大きく減ずるものであった。
一方、強化繊維として炭化珪素繊維等のアモルファス無
機繊維を用いた場合、強化繊維の炭素マトリックスとの
接着性は改善されるが、上記無機繊維は炭素マトリック
スが充分結晶化する温度では、機械的強度を充分保持出
来ないため、複合材料としての機械的特性を向上させる
ことはできなかった。
一方、マトリックス炭素の耐酸化性、耐磨耗性を向上さ
せる方法として、Am.Ceram.Soc.Bull.62(1983)916に
おいて、ウォーカー(B.E.Walker.Jr)らは、C/Cコンポ
ジットに有機珪素高分子を含浸後、熱分解し、マトリッ
クスへの炭化珪素成分の導入を図るという方法について
記載しているが、得られた複合材の曲げ強度は158MPと
低強度である。
また、Proc.of Int.Symp.on Ceramic,Compon.for Engin
e,1983,Japan,p505において、フィッツアー(E.Fitze
r)らは、C/Cコンポジットに珪素融液を含浸し、マトリ
ックスの炭化珪素化を図るという方法について記載して
いるが、得られた複合材は、そのマトリックス粒子間に
未反応のまま残存する金属珪素のため、1300℃以上の高
温ではクリープ変成を生じ、C/Cコンポジットの有する
高温特性を有していない。
上記のいずれのプロセスも、従来の複雑なC/Cコンポジ
ット製造過程に加え、さらに煩雑なプロセスが付加さ
れ、工業的利用の困難なものであった。
(問題を解決するための手段) 本発明の目的は、上記問題点を解決した新規な無機繊維
強化炭素材料の提供にある。
本発明の他の目的は、機械的特性に優れた無機繊維強化
炭素材料の提供にある。
本発明の他の目的は、耐食性、耐熱性、耐酸化性に優れ
た炭素材料の提供にある。
本発明の無機繊維強化炭素質複合材料は、無機繊維を強
化材とし、無機物質をマトリックスとする複合材料であ
って、上記無機繊維が、珪素含有多環状芳香族重合体か
ら得られる無機繊維であって、その構成成分が i)該重合体を構成するメソフェーズ状態にある多環状
芳香族化合物から導かれるラジアル構造、オニオン構
造、ランダム構造、コアラジアル構造、スキンオニオン
構造及びモザイク構造からなる群から選ばれる少なくと
も一種の結晶配列状態を示す炭素質、 ii)該重合体を構成する有機溶媒不溶分を含む光学的等
方性の多環状芳香族化合物から導かれる、無配向状態の
結晶質炭素及び/又は非晶質炭素、及び iii)Si、C及びOから実質的になる非晶質相及び/又
は粒径が500Å以下の実質的にβ−SiCからなる結晶質超
微粒子と非晶質のSiOx(0<x≦2)からなる集合体で
あり、構成元素の割合がSi;30〜70重量%、C;20〜60重
量%及びO;0.5〜10重量%であるSi−C−O物質 よりなる高強度・高弾性率無機繊維であり、 前記無機物質が金属含有多環状芳香族重合体から得られ
る無機物質であって、その構成成分が、 a)該重合体を構成するメソフェーズ状態にある多環状
芳香族化合物から導かれる結晶質炭素、又は結晶質炭素
と非晶質炭素、 b)該重合体を構成する光学的等方性の多環状芳香族化
合物から導かれる、無配向状態の結晶質炭素及び/又は
非晶質炭素、及び c)Si、M、C及びOから実質的になる非晶質物質、
及び/又は 実質的にβ−SiC、MC、β−SiCとMCの固溶体及びMC
1-xからなる粒径が500Å以下の結晶超微粒子と、非晶質
のSiOy及びMOzとの集合体であり、 構成元素の割合がSi;5〜70重量%、M;0.5〜45重量%、
C;20〜40重量%及びO;0.01〜30重量%であるSi−M−C
−O物質(上記式中、MはTi、Zr及びHfから選択される
少なくとも一種の元素であり、0<x<1、0<y≦
2、0<z≦2である。) よりなる炭素質無機物質である。
まず、本発明における無機繊維について詳細に説明す
る。以下の説明において「部」は「重量部」であり、
「%」は「重量%」である。
本発明における無機繊維は、前述した構成成分i)、i
i)及びiii)からなっており、Si;0.01〜29%、C;70〜9
9.9%及びO;0.001〜10%、好ましくはSi;0.1〜25%、C;
74〜99.8%及びO;0.01〜8%から実質的に構成されてい
る。
この無機繊維の構成成分である結晶質炭素は500Å以下
の結晶子サイズを有し、1.5Åの分解能を有する高分解
能電子顕微鏡において、繊維軸方向に配向した3.2Åの
(002)面に相当する微細なラティスイメージ像が観察
されうる超微粒子のグラファイト結晶である。無機繊維
中の結晶質炭素は、ラジアル構造、オニオン構造、ラン
ダム構造、コアラジアル構造、スキンオニオン構造、モ
ザイク構造及び一部ラジアル構造を含むランダム構造等
をとることができる。これは、原料中にメソフェーズ多
環状芳香族化合物(2)が存在することに起因する。
この無機繊維における構成成分i)及びii)の総和100
部に対する構成成分iii)の割合は0.015〜200部であ
り、且つ構成成分i)、ii)の比率は1:0.02〜4であ
る。
構成成分i)及びii)の総和100部に対する構成成分ii
i)の割合が0.015未満の場合は、ほとんどピッチ繊維と
変わらず、耐酸化性やマトリックスとの界面接着力の向
上は望めず、上記割合が200部を越えた場合はグラファ
イトの微細結晶が効果的には生成せず、高弾性率の繊維
が得られない。
本発明における連続無機繊維では、層間隔が小さく三次
元的配列が付与された微結晶が効果的に生成しており、
その微細結晶を包み込むように珪素原子が非常に均一に
分布している。
本発明における無機繊維は、 1)結合単位(Si−CH2)、又は結合単位(Si−CH2)と
結合単位(Si−Si)から主としてなり、珪素原子の側鎖
に水素原子、低級アルキル基、フェニル基及びシリル基
からなる群から選ばれる側鎖基を有し、結合単位(Si−
CH2)の全数対結合単位(Si−Si)の全数の比が1:0〜20
の範囲にある有機珪素重合体の珪素原子の少なくとも一
部が、石油系又は石炭系のピッチあるいはその熱処理物
の芳香族環の炭素と結合した前駆重合体100部及び 2)石油系又は石炭系ピッチを熱処理して得られるメソ
フェーズ状態又はメソフェーズと光学的等方相との両相
からなる多環状芳香族化合物(以下、両者を総称して
「メソフェーズ多環状芳香族化合物」と言うことがあ
る。)5〜50000部を、 200〜500℃の範囲の温度で加熱反応及び/又は加熱溶融
して、珪素含有多環状芳香族重合体を得る第1工程、 上記珪素含有多環状芳香族重合体の紡糸原液を調製して
紡糸する第2工程、 該紡糸原糸を張力下あるいは無張力下で不融化する第3
工程、及び 不融化した前記紡糸繊維束を真空中あるいは不活性ガス
雰囲気中で800〜3000℃の範囲の温度で焼成する第4工
程 よりなる製造方法により提供される。
上記各工程についてさらに具体的に説明する。
第1工程: 出発原料の一つである有機珪素重合体は、公知の方法で
合成することができ、例えば、ジメチルジクロロシラン
と金属ナトリウムの反応により得られるポリメチルシラ
ンを不活性ガス中で400℃以上に加熱することにより得
られる。
上記有機珪素重合体は、組合単位(Si−CH2)、又は結
合単位(Si−CH2)と結合単位(Si−Si)より主として
なり、結合単位(Si−CH2)の全数対結合単位(Si−S
i)の全数の比率は1:0〜20の範囲内にある。
有機珪素重合体の重量平均分子量(MW)は、一般的には
300〜1000で、MWが400〜800のものが、優れた炭素系無
機繊維を得るための中間原料である前駆重合体(1)を
調製するために特に好ましい。
もう一つの出発原料である多環状芳香族化合物は石油類
及び/又は石炭類から得られるピッチで、特に石油類の
流動接触分解により得られる重質油、その重質油を蒸留
して得た留出成分又は残渣油及びそれらを熱処理して得
られるピッチである。
上記ピッチ中には、ベンゼン、トルエン、キシレン、テ
トラヒドロフランなどの有機溶媒に不溶の成分が5〜98
重量%含まれていることが好ましい。上記の不溶成分が
5重量%未満のピッチを原料として用いた場合、強度、
弾性率共に優れた無機質繊維は得られず、また、98重量
%より多いピッチを原料として用いた場合、共重合体の
分子量上昇が激しく、一部コーキングの起こる場合もあ
り、紡糸困難な状態になる。
このピッチの重量平均分子量(MW)は、100〜3000であ
る。
重量平均分子量は以下のようにして求めた値である。即
ち、ピッチがベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒ
ドロフラン、クロロホルム及びジクロロベンゼン等のゲ
ルパーミュエーションクロマトグラフ(GPC)測定用有
機溶媒不溶分を含有しない場合はそのままGPC測定し、
ピッチが上記有機溶媒不溶分を含有する場合は、温和な
条件で水添処理し、上記有機溶媒不溶分を上記有機溶媒
可溶な成分に変えて後GPC測定する。上記有機溶媒不溶
分を含有する重合体の重量平均分子量は、上記と同様の
処理を施し求めた値である。
前駆重合体(1)は、有機珪素重合体に、石油系又は石
炭系ピッチを添加し、不活性ガス中で好ましくは250〜5
00℃の範囲の温度で加熱反応させることにより調製され
る。
ピッチの使用割合は、有機珪素重合体100部当たり83〜4
900部であることが好ましい。ピッチの使用割合が過度
に小さい場合は、得られる無機繊維中の炭化珪素成分が
多くなり、高弾性率を有する無機繊維が得られなくな
り、また、その割合が過度に多い場合は、炭化珪素成分
が少なくなり、マトリックス炭素との界面接着性、耐酸
化性に優れた無機繊維が得られなくなる。
上記反応の反応温度が過度に低いと、珪素原子と芳香族
炭素の結合が生成しにくくなり、反応温度が過度に高い
と、生成した前駆重合体(1)の分解及び高分子量化が
激しく起こり好ましくない。
メソフェーズ多環状芳香族化合物(2)は、例えば、石
油系又は石炭系ピッチを不活性ガス中で300〜500℃に加
熱し、生成する軟質留分を除去しながら縮重合すること
によって調製することができる。
上記縮重合反応温度が過度に低いと縮合環の成長が充分
でなく、またその温度が過度に高いとコーキングにより
不溶、不融の生成物が生ずる。
メソフェーズ多環状芳香族化合物(2)は、融点が200
〜400℃の範囲にあり、また、重量平均分子量が200〜10
000である。
メソフェーズ多環状芳香族化合物(2)の中でも、20〜
100%の光学的異方性度を有し、30〜100%のベンゼン、
トルエン、キシレン又はテトラヒドロフランに対する不
溶分を含むものが、機械的性能の優れた無機繊維を得る
ために特に好ましい。
第1工程では、前駆重合体(1)とメソフェーズ多環状
芳香族化合物(2)を200〜500℃の温度範囲で加熱溶融
及び/又は加熱反応し、珪素含有多環状芳香族重合体か
らなる紡糸ポリマーを調製する。
メソフェーズ多環状芳香族化合物(2)の使用割合は前
駆重合体(1)100部当たり5〜50000部であることが好
ましく、5部未満では、生成物におけるメソフェーズ含
有量が不足するため、高弾性の焼成糸が得られず、ま
た、50000部より多い場合は、珪素成分の不足のためマ
トリックス炭素との界面接着性、耐酸化性に優れた無機
繊維が得られなくなる。
上記珪素含有多環状芳香族重合体の重量平均分子量は20
0〜11000で、融点が200〜400℃である。
第2工程: 第1工程で得られる珪素含有多環状芳香族重合体である
紡糸ポリマーを加熱溶融させて、場合によってはこれを
濾過してミクロゲル、不純物等の紡糸に際して有害とな
る物質を除去し、これを通常用いられる合成繊維紡糸装
置により紡糸する。紡糸する際の紡糸原液の温度は原料
ポリマーの軟化温度によって異なるが、220〜420℃の範
囲の温度が有利である。
前記紡糸装置において、必要に応じて紡糸筒を取付け、
該紡糸筒内の雰囲気を空気、不活性ガス、熱空気、熱不
活性ガス、スチーム、及びアンモニアガスからなる群か
ら選ばれる一種以上の雰囲気とした後、巻取り速度を大
きくすることにより細い直径の繊維を得ることができ
る。前記溶融紡糸における紡糸速度は原料の平均分子
量、分子量分布、分子構造によって異なるが、50〜5000
m/分の範囲であることが好ましい。
第3工程: 第2工程で得られる紡糸繊維を張力又は無張力の作用も
とで不融化する。
代表的な不融化方法は上記成形体を酸化性雰囲気中で加
熱する方法である。不融化の温度は好ましくは50〜400
℃の範囲の温度である。不融化温度が過度に低いとマト
リックスを構成するポリマーのはしかけが起こらず、ま
た、この温度が過度に高いとポリマーが燃焼する。
不融化の目的は、紡糸繊維を構成するポリマーを三次元
構造の不融・不溶のはしかけ状態にし、次工程の焼成の
際に溶融せず、且つ隣接した繊維と融着しないようにす
ることである。不融化の際の酸化性雰囲気を構成するガ
スとしては、空気、オゾン、酸素、塩素ガス、臭素ガ
ス、アンモニアガス、及びこれらの混合ガスが挙げられ
る。
上記とは別の不融化方法として、紡糸繊維に酸化性雰囲
気あるいは非酸化性雰囲気で、張力あるいは無張力で必
要に応じて低温加熱しながら、γ線照射、あるいは電子
線照射して不融化する方法も採用することができる。
このγ線あるいは電子線を照射する目的は、紡糸繊維を
形成するポリマーを、さらに重合させることによって、
紡糸原糸が融解し、繊維形状を失うことを防ぐことにあ
る。
γ線あるいは電子線の照射線量は106〜1010ラッドが適
当である。
照射は真空、不活性ガス雰囲気下、あるいは空気、オゾ
ン、酸素、塩素ガス、臭素ガス、アンモニアガス及びこ
れらの混合ガスのような酸化性ガス雰囲気で行うことが
できる。
照射による不融化は室温で行うこともでき、必要であれ
ば50〜200℃の温度範囲で加熱しながら行うことによっ
て不融化をより短時間で達成させることもできる。
不融化は、無張力下で行うと、前記紡糸繊維は収縮のた
め波状の形を呈するようになるが、次工程の焼成工程で
矯正できる場合もあり、張力は必ずしも必要ないが、張
力を作用させる場合には、その張力の大きさは不融化時
に紡糸繊維が収縮して波状となることを少なくとも防止
できる以上の張力を作用させると良い結果が得られる。
不融化の際に、作用させる張力としては、1〜500g/mm2
の範囲が好ましく、1g/mm2以下の張力を作用させても繊
維をたるませないような緊張を与えることができず、50
0g/mm2以上の張力を作用させると繊維が切断することが
ある。
第4工程: 第3工程で得られる不融化糸を、真空あるいは不活性ガ
ス雰囲気中で800〜3000℃の範囲の温度で焼成すること
によって、主として炭素、珪素、酸素からなる無機繊維
が得られる。
焼成工程において、張力を作用させることは必ずしも必
要ないが0.001〜100Kg/mm2の範囲で張力を作用させなが
ら高温焼成すると屈曲を少なくした強度の高い無機繊維
を得ることができる。
加熱過程において、約700℃から無機化が激しくなり、
約800℃でほぼ無機化が完了するものと推定される。従
って、焼成は、800℃以上の温度で行うことが好まし
い。また、3000℃より高い温度を得るには高価な装置を
必要とするため3000℃より高温での焼成は、コスト面か
らみて実際的でない。
なお、本発明の無機繊維中の珪素の分布状態は、焼成時
の雰囲気や原料中のメソフェーズの大きさ、濃度によっ
ても制御することができる。例えば、メソフェーズを大
きく成長させた場合、珪素含有ポリマーは繊維表面相に
押し出され易く、焼成後繊維表面に珪素に富む層を生成
させることができる。
尚、前記無機繊維の構成成分iii)であるSi−C−O物
質の形態は、第4工程における無機化温度により制御で
きる。
実質的にSi、C、Oからなる非晶質を得たい場合、無機
化温度を800〜1000℃とすることが好適であり、実質的
にβ−SiC及び非晶質のSiOx(ただし、0<x≦2)を
得たい場合、1700℃以上の温度が適している。
また、各集合体の混合系を望む場合、上記中間温度より
適宜選択することができる。
また、本発明の無機繊維中の酸素量は、例えば、第4工
程における不融化条件により制御することができる。
次に、本発明の繊維強化炭素質複合材料のマトリックス
の原料となる金属含有多環状芳香族重合体の製造法につ
いて説明する。
上記金属含有多環状芳香族重合体は 1)結合単位(Si−CH2)、または結合単位(Si−CH2
と結合単位(Si−Si)とから主としてなり、珪素の側鎖
に水素原子、低級アルキル基、フェニル基あるいはシリ
ル基を有し、上記結合単位からなる主骨格の珪素原子
に、Ti、Zr及びHfから選択される少なくとも一種の原子
が直接あるいは酸素原子を介して結合している遷移金属
含有有機珪素重合体の珪素原子の少なくとも一部が、石
油系又は石炭系のピッチあるいはその熱処理物であっ
て、有機溶媒不溶分を含むピッチより得られた多環状芳
香族化合物の芳香族環の炭素と結合したランダム共重合
体(3)及び 2)石油系又は石炭系のピッチから得られる、メソフェ
ーズ又はメソフェーズと光学的等方相との両相からなる
多環状芳香族化合物とを、 200〜500℃の範囲の温度で加熱反応及び/又は加熱溶融
することにより製造される。
上記ランダム共重合体(3)は、前記無機繊維製造第一
工程において製造された前駆重合体(1)と式MX4で示
される遷移金属化合物とを100〜500℃の温度の範囲で反
応させて調製する。なお、金属含有多環状芳香族重合体
は、繊維化することが要求されないため、前記無機繊維
製造の場合と比べ、珪素及び炭素の構成比をいくぶん広
範囲に設定しても差し支えない。すなわち、前記前駆重
合体(1)製造におけるピッチの使用割合は、有機珪素
重合体100部当たり10〜4900部が好ましくい。
前記MX4において、Mは、Ti、Zr及びHfから選択される
少なくとも一種の元素であり、Xは縮合により、Mが前
駆重合体(1)の珪素と直接あるいは酸素原子を介して
結合し得るものであればよく、特に規定はないが、ハロ
ゲン原子、アルコキシ基又はβ−ジケトンのような錯体
形成基が好ましい。
反応温度が過度に低いと、前駆重合体(1)と式MX4
の縮合反応が進行せず、反応温度が過度に高いと、Mを
介した前駆重合体(1)の架橋反応が過度に進行しゲル
化が起こったり、前駆重合体(1)自体が収縮し高分子
量化したり、あるいは、場合によっては、MX4が揮散し
好ましくない。一例を挙げれば、MがTiで、XがOC4H9
の場合、反応温度は200〜400℃が適している。
この反応によって、前駆重合体(1)の珪素原子の少な
くとも一部を金属Mと直接あるいは酸素原子を介して結
合させたランダム共重合体(3)が調製される。
金属Mは前駆重合体(1)の珪素原子に−MX3あるいは
−O−MX3のような結合様式で側鎖状に結合することも
できるし、前駆重合体(1)の珪素原子に直接又は酸素
を介して架橋した結合様式もとり得る。
ランダム共重合体(3)を調製する方法としては、前述
の方法以外に、有機珪素重合体とMX4を反応させて、得
られた生成物にピッチをさらに反応させて調製する方法
も可能である。
ランダム共重合体(3)と前記無機繊維製造第一工程に
おいて製造されたメソフェーズ多環状芳香族化合物を加
熱反応及び/又は加熱溶融して、金属含有多環状芳香族
重合体を調製する。
メソフェーズ多環状芳香族化合物の使用割合は、ランダ
ム共重合体(3)100部当たり5〜50000部であることが
好ましく、5部未満では、生成する重合体におけるメソ
フェーズ含有量が不足するため、得られた重合体を無機
化しても高弾性の繊維や成形体は得られず、また、5000
0部より多い場合は、珪素成分の不足のため重合体を無
機化してもマトリックスに対する濡れ性、耐酸化性等の
特性が充分に発揮されない。
ランダム共重合体(3)とメソフェーズ多環状芳香族化
合物とを200〜500℃で加熱反応及び/又は加熱溶融させ
ることにより、ランダム共重合体(3)の少なくとも一
部がメソフェーズ多環状芳香族化合物と結合した金属含
有多環状芳香族重合体が得られる。ただし、ここで言う
結合とは、珪素と多環状芳香族化合物の炭素との化学結
合及び/又はランダム共重合体(3)中の光学的等方性
ピッチ部分とメソフェーズ多環状芳香族化合物との間の
ファンデルワールス結合等の物理的結合を意味する。
上記溶融混合温度が200℃より低いと不融部分が生じ、
系が不均一となり、また、溶融混合温度が500℃より高
いと縮合反応が激しく進行し、生成重合体が高融点とな
り、重合体の流動性が失われる 金属含有多環状芳香族重合体を調製する方法としては、
前述の方法以外に、有機珪素重合体とピッチを反応さ
せ、得られた生成物にメソフェーズピッチとMX4を同時
に又は順次添加し、さらに反応させて調製する方法も可
能である。
次に、本発明の繊維強化炭素質複合材料の製造方法につ
いて説明する。
まず、前記無機繊維の平織、朱子織、模紗織、綾織、ら
せん織物、三次元織物などの各種織物に前記金属含有多
環状芳香族重合体の粉末を加え加熱プレスし成形する方
法、前記織物に金属含有多環状芳香族重合体の溶液又は
スラリーを含浸後、溶媒を除去、乾燥したプリプレグシ
ートを加熱成形する方法、前記無機繊維の短繊維、又は
チョップドファイバーと金属含有多環状芳香族重合体を
溶融混練し、プレス成形、又は射出成形等により繊維含
有成形体を製造する。その際、成形体中の無機繊維の含
有率は10〜70体積%が好ましい。
また、繊維含有成形体の製造に当たっては、上記金属含
有多環状芳香族重合体に、この重合体を例えば不活性ガ
ス雰囲気中、800〜1000℃で焼成、無機化した仮焼体粉
末を混合し、使用しても差し支えない。
この仮焼体粉末は、Si:0.01〜69.9%、M:0.005〜30.0
%、C:29.9〜99.9%及びO:0.001〜10%から実質的に構
成されていることが好ましい。
次に、上記成形体に、必要に応じて不融化処理を施す。
不融化処理の方法は、前記無機繊維製造第3工程の方法
をそのまま採用することができる。
不融化された成形体は、真空あるいは不活性ガス中で、
800〜3000℃の範囲の温度で焼成し、無機化され、繊維
強化された、炭素、珪素、M及び酸素からなるマトリッ
クスを有する複合材料が得られる。
加熱過程において、約700℃から無機化が激しくなり、
約800℃でほぼ無機化が完了するものと推定される。従
って、焼成は、800℃以上の温度で行うことが好まし
い。また、3000℃より高い温度を得るには高価な装置を
必要とするため3000℃より高温での焼成は、コスト面か
らみて実際的でない。
なお、本工程における無機化の昇温速度を極めて遅くす
ることや、成形体保形用治具、パウダーヘッド等の保形
手段を用いること等により、不融化工程を省略すること
もできるし、成形方法として高温ホットプレスを用いる
ことにより一工程で高密度複合材を得ることも可能であ
る。
焼成、無機化によって得られた繊維強化炭素質複合材料
は、多少とも開気孔を含んでいるため、必要により、前
記金属含有多環状芳香族重合体の融液、溶液又はスラリ
ーを含浸後必要により不融化、焼成し、無機化すること
により複合体を高密度化、高強度化することができる。
含浸は、金属含有多環状芳香族重合体の融液、溶液又は
スラリーのいずれを用いてもさしつかえないが、微細な
開気孔への浸透を図るため、この複合材に前記重合体の
溶液又はスラリーを含浸後減圧下で微細気孔への浸透を
促進後溶媒を留去しつつ昇温し、10〜500kg/mm2に加圧
することにより、前記重合体の融液を気孔に充填させ
る。
得られた含浸体は、第3工程と同様にして、不融化し、
焼成し、無機化することができる。この操作を2〜10回
繰り返すことにより高密度、高強度な繊維強化複合材を
得ることができる。
(発明の効果) 本発明の繊維強化炭素質複合材料は、強化繊維が高強
度、高弾性であり、しかも、炭素マトリックスとの接着
性が改善されるため、高強度、高弾性で靭性に優れた炭
素質複合材料を得ることができる。また、繊維、マトリ
ックス中に含まれる炭化珪素成分及び炭化チタン成分の
効果により耐酸化性、耐摩耗性に優れた材料を得ること
ができる。
従って、得られた複合材料は機械的物性、耐酸化性、耐
磨耗性に優れ、各種のブレーキ類、耐熱構造材料として
優れたものである。
(実施例) 以下実施例によって本発明を説明する。
参考例1(ポリマーIの製造) 5の三口フラスコに無水キシレン2.5及びナトリウ
ム400gを入れ、窒素ガス気流下でキシレンの沸点まで加
熱し、ジメチルジクロロシラン1を1時間で滴下し
た。滴下終了後、10時間加熱還流し沈澱物を生成させ
た。沈澱を濾過し、メタノールついで水で洗浄して、白
色粉末のポリジメチルシラン420gを得た。
このポリジメチルシラン400gを、ガス導入管、撹拌機、
冷却器及び留出管を備えた3の三口フラスコに仕込
み、撹拌しながら50ml/分の窒素気流下に420℃で加熱処
理して、留出受器に350gの無色透明な少し粘性のある液
体を得た。
この液体の数平均分子量は蒸気圧浸透法で測定したとこ
ろ470であった。
この物質の赤外線吸収スペクトルを測定したところ、65
0〜900cm-1と1250cm-1にSi−CH3の吸収、2100cm-1にSi
−Hの吸収、1020cm-1付近と1355cm-1にSi−CH2−Siの
吸収、2900cm-1と2950cm-1にC−Hの吸収が認められ、
またこの物質の遠赤外線吸収スペクトルを測定したとこ
ろ、380cm-1にSi−Siの吸収が認められることから、得
られた液状物質は、主として(Si−CH2)結合単位及び
(Si−Si)結合単位からなり、珪素の側鎖に水素原子及
びメチル基を有する有機珪素重合体であることが判明し
た。
核磁気共鳴分析及び赤外線吸収分析の測定結果から、こ
の有機珪素重合体は(Si−CH2)結合単位の全数対(Si
−Si)結合単位の全数の比率がほぼ1:3である重合体で
あることが確認された。
上記有機珪素重合体300gをエタノールで処理して低分子
量物を除去して、数平均分子量が1200の重合体40gを得
た。
この物質の赤外線吸収スペクトルを測定したところ、上
記と同様の吸収ピークが認められ、この物質は主として
(Si−CH2)結合単位及び(Si−Si)結合単位からな
り、珪素の側鎖に水素原子及びメチル基を有する有機珪
素重合体であることが判明した。
核磁気共鳴分析及び赤外線吸収分析の測定結果から、こ
の有機珪素重合体は(Si−CH2)結合単位の全数対(Si
−Si)結合単位の全数の比率がほぼ7:1である重合体で
あることが確認された。
一方、石油留分のうち、軽油以上の高沸点物をシリカ・
アルミナ系分解触媒の存在下、500℃の温度で流動接触
分解・精留を行い、その塔底より残渣を得た。以下、こ
の残渣をFCCスラリーオイルと呼ぶ。
このFCCスラリーオイルは、元素分析の結果、炭素原子
対水素原子の原子比(C/H)が0.75で、核磁気共鳴分析
による芳香炭素率が0.55であった。
上記FCCスラリーオイル200gを窒素ガス気流下450℃に加
熱し、同温度における留出分を留去後、残渣を200℃に
て熱時濾過を行い、同温度における不融部を除去し、軽
質分除去ピッチ57gを得た。
この軽質分除去ピッチは25%のキシレン不溶分を含んで
いた。
この軽質分除去ピッチ57gに有機珪素重合体25g及びキシ
レン20mlを加え、撹拌しながら昇温し、キシレンを留去
後、400℃で6時間反応させ51gの前駆重合体(1)を得
た。
この前駆重合体(1)は赤外線吸収スペクトル測定の結
果、有機珪素重合体中に存在するSi−H結合(IR:2100c
m-1)の減少、及び新たなSi−C(ベンゼン環の炭素)
結合(IR:1135cm-1)の生成が認められることより有機
珪素重合体の珪素原子の一部が多環状芳香族環の炭素と
直接結合した部分を有する共重合体であることがわかっ
た。
この前駆重合体(1)は、キシレン不溶部を含まず重量
平均分子量が1400で、融点が265℃で、軟化点が310℃で
あた。
一方、前記軽質分除去ピッチ180gを窒素気流下、反応に
より生成する軽質分を除去しながら400℃で8時間縮重
合を行い、熱処理ピッチ97.2を得た。
この熱処理ピッチは融点263℃、軟化点308℃、キシレン
不溶分77%、キノリン不溶分31%を含有しており、研磨
面の偏光顕微鏡観察による光学的異方性が75%のメソフ
ェーズ多環状芳香族化合物であった。
このメソフェーズ多環状芳香族化合物90gと前記前駆重
合体(1)6.4gとを混合、窒素雰囲気下380℃で1時間
溶融加熱し、均一な状態にある珪素含有多環状芳香族重
合体を得た。
この重合体の融点は267℃で、軟化点315℃、70%のキシ
レン不溶分を含んでいた。
参考例2(ポリマーIIの製造) メソフェーズ多環状芳香族化合物97gと前記前駆重合体
(1)3gを混合し、400℃で溶融加熱した以外は参考例
1と同様にして珪素含有多環状芳香族重合体を得た。
この重合体の融点は272℃で、軟化点319℃、71%のキシ
レン不溶分を含んでいた。
参考例3(ポリマーIIIの製造) 前駆重合体(1)57.4gにテトラオクトキシチタン〔Ti
(OC8H17〕3.87gのキシレン溶液(25%キシレン溶
液15.5g)を加え、キシレン留去後、340℃で1時間反応
させ、ランダム共重合体(2)56gを得た。
得られたランダム共重合体(2)と参考例1で得たメソ
フェーズ多環状芳香族化合物を1:1の割合で窒素雰囲気
下380℃で溶融混合しポリマーIIIを製造した。
参考例4(ポリマーIVの製造) 参考例1で得られた前駆重合体39gにテトラキスアセチ
ルアセトナトジルコニウム5.4gのエタノール−キシレン
溶液(1.5%)を加え、キシレン留去後250℃で1時間重
合し39.5gのランダム共重合体(2)を得た。
得られたランダム共重合体(2)と参考例1で得たメソ
フェーズ多環状芳香族化合物を1:1の割合で窒素雰囲気
下380℃で溶融混合しポリマーIVを製造した。
参考例5(ポリマーVの製造) 軽質分除去ピッチ及び有機珪素重合体の使用量をそれぞ
れ60g及び40gに変えた以外は実施例1と同様にして57g
の前駆重合体を得た。
この前駆重合体(1)40gにハフニウムクロライド7.2g
のエタノール−キシレン溶液(1.5%)を加え、キシレ
ン留去後250℃で1時間重合し43.5gのランダム共重合体
(2)を得た。
得られたランダム共重合体(2)と参考例1で得られた
メソフェーズ多環状芳香族化合物を1:1の割合で窒素雰
囲気下380℃で溶融混合しポリマーVを製造した。
参考例6(無機繊維の製造) 参考例1で得られたポリマーIを紡糸用原料とし、ノズ
ル径0.15mmの金属製ノズルを用い、360℃で溶融紡糸を
行い、得られた紡糸原糸を、空気中、300℃で酸化、不
融化し、更にアルゴン雰囲気中、1300℃で焼成を行い、
直径8μmの無機繊維Iを得た。
この繊維は引張強度が320kg/mm2、引張弾性率26t/mm2
あり、破断面の走査型電子顕微鏡を用いた観察より、あ
きらかにラジアル構造であった。
この無機繊維Iを粉砕後、アルカリ溶融、塩酸処理を施
し、水溶液とした後高周波プラズマ発光分光分析(IC
P)を行った結果、珪素含有率は0.95%であった。
参考例2で得られたポリマーIIを上記と同様に紡糸、不
融化後、アルゴン雰囲気中、2500℃で焼成を行い、直径
7.2μmの無機繊維IIを得た。
この繊維の引張強度は335kg/mm2、引張弾性率53t/mm2
あった。
この無機繊維IIを粉砕後、アルカリ溶融、塩酸処理を施
し、水溶液とした後高周波プラズマ発光分光分析(IC
P)を行った結果、珪素含有率は0.42%であった。
参考例7(炭化珪素繊維の製造) 比較例2で使用するポリカルボシランのみから得られる
炭化珪素繊維は下記のようにして製造した。
ジメチルジクロロシランを金属ナトリウムで脱塩素縮合
して合成されるポリジメチルシラン100重量部に対しポ
リボロシロキサン3重量部を添加し、窒素中、350℃で
熱縮合して、式(Si−CH2)のカルボシラン単位から主
としてなる主鎖骨格を有し、該カルボシラン単位の珪素
原子に水素原子およびメチル基を有しているポリカルボ
シランを得た。このポリマーを溶融紡糸し、空気中190
℃で不融化処理し、さらに引きつづいて窒素中1300℃で
焼成して、繊維径13μ、引張強度が300Kg/mm2、引張弾
性率16t/mm2の主として珪素、炭素及び酸素からなる炭
化珪素繊維を得た。
実施例1 参考例6で得た無機繊維Iの2次元平織織布を直径7cm
の円板状に切り、ポリマーIIIの30%キシレンスラリー
に含浸後乾燥し、プリプレグシートを作成した。金型内
で、プリプレグシート間にポリマーIIIの微粉末を充填
し、各プリプレグシートを、強化繊維の繊維方向を45゜
ずつ順次ずらしながら30枚積層し、50kg/cm2の加圧化、
350℃にてホットプレスし円板状成形体を得た。この成
形体を炭素粉末のパウダーベッド中に埋め保形し、窒素
気流中で5℃/hの速度で800℃まで昇温後、さらに1300
℃へ昇温しマトリックスを無機化した。得られた複合材
料の嵩密度は1.19g/cm3であった。
この複合材料をポリマーIIIの50%キシレンスラリーに
浸し、減圧下キシレンを留去しながら350℃に昇温、そ
の後100kg/cm2に加圧含浸した後、空気中で5℃/hの速
度で300℃まで昇温し、不融化した後1300℃で無機化し
た。この含浸・無機化処理を、さらに3回繰り返し嵩密
度が1.96g/cm3、の材料を得た。得られた複合材料の曲
げ強度は57kg/mm2であった。
実施例2 ポリマーIVを窒素中、1300℃で仮焼した無機物質50部と
ポリマーIVの粉末50部を混合したものと参考例6で得た
無機繊維IIの2次元平織織布とを交互に敷き詰め、400
℃、100kg/cm2でホットプレスし成形体を得た。この成
形体を実施例1と同様に無機化し、さらにポリマーIVを
用い、実施例1と同様に含浸、無機化を、さらに4回繰
り返した。得られた複合材は嵩密度が2.03g/cm3、曲げ
強度が58kg/mm2で、この複合材をさらに、アルゴン中、
2200℃で焼成したところ、嵩密度が2.06g/cm3、曲げ強
度が63kg/mm2に向上した。
実施例3 プリプレグシート製造用ポリマー、金型充填用ポリマ
ー、含浸用ポリマーとして、参考例5のポリマーVを用
いた以外実施例1と同様にして複合材を得た。得られた
複合材の嵩密度が2.10g/cm3、曲げ強度が54kg/mm2であ
った。
比較例1 強化繊維として、参考例6の無機繊維の代わりに、繊維
径7μm、引張強度300kg/mm2及び引張弾性率21t/mm2
市販PAN系炭素繊維を用い、ポリマーIIIの代わりに、軟
化点が150℃で、残炭率が60%の石油系熱処理ピッチを
用い、実施例1と同様にして炭素繊維強化炭素材料を得
た。この材料は嵩密度が1.67g/cm3と低く、曲げ強度も1
5kg/mm2であった。
比較例2 参考例7で得た炭化珪素繊維を用い、無荷重時の嵩密度
が0.15g/cm3の人造黒鉛と比較例1に使用したと同様の
ピッチの粉末の等重量混合物をマトリックス原料とし
て、実施例2と同様、ホットプレス法により成形体とし
た後、無機化し、さらに、上記ピッチによる含浸、無機
化処理を4回繰り返し施したところ、嵩密度が1.90g/cm
3で、曲げ強度が21kg/mm2の複合材料が得られた。この
複合材料を2200℃で黒鉛化を試みたが、強化繊維が劣化
し、強度は5kg/mm2まで低下した。
実施例4 実施例1、2、3、比較例1、2の複合材を、600℃の
大気雰囲気のオーブン中で1時間加熱処理後曲げ強度を
測定した。
比較例1、2の複合材は強度測定ができないほど酸化劣
化が進行していたが、実施例1、2、3の複合材は、ま
ったく強度低下が認められなかった。
フロントページの続き (72)発明者 渋谷 昌樹 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇部 興産株式会社宇部研究所内 審査官 小島 隆

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無機繊維を強化材とし、無機物質をマトリ
    ックスとする繊維強化複合材料において、上記無機繊維
    が、珪素含有多環状芳香族重合体から得られる無機繊維
    であって、その構成成分が、 i)該重合体を構成するメソフェーズ状態にある多環状
    芳香族化合物から導かれるラジアル構造、オニオン構
    造、ランダム構造、コアラジアル構造、スキンオニオン
    構造及びモザイク構造からなる群から選ばれる少なくと
    も一種の結晶配列状態を示す炭素質、 ii)該重合体を構成する有機溶媒不溶分を含む光学的等
    方性の多環状芳香族化合物から導かれる、無配向状態の
    結晶質炭素及び/又は非晶質炭素、及び iii)Si、C及びOから実質的になる非晶質相及び/又
    は粒径が500Å以下の実質的にβ−SiCからなる結晶質超
    微粒子と非晶質のSiOx(0<x≦2)からなる集合体で
    あり、構成元素の割合がSi;30〜70重量%、C;20〜60重
    量%及びO;0.5〜10重量%であるSi−C−O物質 よりなる高強度・高弾性率無機繊維であり、 前記無機物質が金属含有多環状芳香族重合体から得られ
    る無機物質であって、その構成成分が、 a)該重合体を構成するメソフェーズ状態にある多環状
    芳香族化合物から導かれる結晶質炭素、又は結晶質炭素
    と非晶質炭素、 b)該重合体を構成する光学的等方性の多環状芳香族化
    合物から導かれる、無配向状態の結晶質炭素及び/又は
    非晶質炭素、及び c)Si、M、C及びOから実質的になる非晶質物質、
    及び/又は 実質的にβ−SiC、MC、β−SiCとMCの固溶体及びMC
    1-xからなる粒径が500Å以下の結晶超微粒子と、非晶質
    のSiOy及びMOzとの集合体であり、 構成元素の割合がSi;5〜70重量%、M;0.5〜45重量%、
    C;20〜40重量%及びO;0.01〜30重量%であるSi−M−C
    −O物質(上記式中、MはTi、Zr及びHfから選択される
    少なくとも一種の元素であり、0<x<1、0<y≦
    2、0<z≦2である。) よりなる炭素質無機物質であることを特徴とする繊維強
    化炭素質複合材料。
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