JP2559637B2 - 耐熱性繊維強化無機複合材料 - Google Patents

耐熱性繊維強化無機複合材料

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JP2559637B2 JP2025280A JP2528090A JP2559637B2 JP 2559637 B2 JP2559637 B2 JP 2559637B2 JP 2025280 A JP2025280 A JP 2025280A JP 2528090 A JP2528090 A JP 2528090A JP 2559637 B2 JP2559637 B2 JP 2559637B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は無機繊維で強化された、耐熱性、耐酸化性及
び耐熱衝撃性に優れた無機複合材料に関する。
(従来の技術及びその問題点) 無機繊維で強化した炭素質無機複合材料のうち、強化
繊維として炭素繊維、無機質マトリックスとして炭素を
用いた、所謂C/Cコンポジットは比強度、比弾性、非酸
化性雰囲気中における耐熱性、靭性、摩擦特性に優れ、
耐熱構造材、ブレーキ材として実用化が進められてい
る。
しかし、将来の高速輸送システムとして期待されてい
る超音速機、スペースプレーンへの用途を考えた場合、
空力加熱による機体表面の最高温度は超音速機で1200
℃、スペースプレーンでは1700〜1800℃に達すると予測
されており、通常のC/Cコンポジットでは燃焼してしま
い使用できない。
この問題を解決する手段として、米国では、C/Cコン
ポジット表面をCVI、CVDにより炭化珪素でコーティング
する技術が開発された。
この耐酸化処理C/Cコンポジットは、米国のスペース
シャトルのノーズコーンやウィングリーディングエッジ
に使用された例がある。
最近では、コーティング技術の進歩により、上記の炭
化珪素コーティングC/Cコンポジットは、長時間高温空
気雰囲気下での使用が可能となったが、温交変動が激し
い条件下では、炭化珪素と炭素との熱膨張率・熱収縮率
の差により表面コーティング層の剥離、ピンホール、ク
ラック等が生じる。コーティング層に微小であっても亀
裂を生じた場合、内部のC/Cコンポジットの酸化劣化は
急速に進行し、該材料は構造材として使用できないもの
となってしまう。
調音速機、スペースプレーンとも、離着陸を繰り返す
ため上記熱応力によるコーティング層の破壊は避けられ
ず、前記耐酸化処理C/Cコンポジットは要求物性を充分
満足できる材料とはいえない。この熱応力を緩和するた
め耐熱性が高く、かつ、隣接する層間の熱膨張係数の差
異が少ない中間層を幾層も形成させた傾斜材料の研究が
進められているが、充分に要求を満足する材料は得られ
ていない。また、傾斜材料の製造には高度な技術と高価
な装置が必要であり、生産性が極めて低いため非常に高
コストとなる。
一方、C/Cコンポジットの耐酸化性を向上させる別の
方法として、特開平1−167290号公報には、C/Cコンポ
ジットにポリカルボシランやポリシラスチレン等熱分解
により炭化珪素に転換しうる有機珪素化合物を含浸後、
無機化し、さらに表面をSiC又はSi3N4層でコーティング
する方法が開示されている。この方法によれば、熱分解
によるSiC層の形成のため炭素マトリックスと表面コー
ティング層間の熱膨張・熱収縮率の差が緩和され、コー
ティング層でのマイクロクラックの発生が軽減されるこ
とが示されている。しかし、この方法では、炭素層とSi
C層とが直接接触しており、熱応力によるクラックの進
展を完全に抑制することはできず、一度クラックが炭素
層まで達すると急速に酸化劣化が進行する。また、炭素
層に直接ポリカルボシラン等を塗布し、無機化すること
はポリカルボシラン等の分解ガスによる炭素層の劣化は
避けられず、新たな欠陥の原因となる。
また、フランス特許FR2611198号明細書には、炭素繊
維表面を炭素及びSiCでコーティング後、炭素に転換し
うる、フェノール樹脂等の有機ポリマーとシリコン類と
の混合物を含浸し、焼成してC/SiCマトリックスを生成
させ、さらにシリケートポリマーの塗布、焼成によりSi
C表層を設ける。さらに、その上にSiO2層、SiO2+B2O3
層をコーティングすることにより、熱応力により発生す
るクラックに表面ガラスが流れ込み耐酸化性を向上させ
る方法が開示されている。この方法は、クラックの発生
を前提としているため表面ガラス層が充分クラックを埋
めなければ効果がなく、またマトリックス表面及び内部
に耐熱性の低いガラス層を含むため高温下での機械特
性、例えば、熱間強度等に悪影響を及ぼす。
(問題を解決するための手段) 本発明の目的は、上記問題点を解決した新規な耐熱性
繊維強化無機複合材料の提供にある。
本発明の他の目的は、高温酸化雰囲気下で劣化の少な
い耐熱耐酸化性繊維強化無機複合材料の提供にある。
本発明の他の目的は、熱応力の発生の少ない耐熱衝撃
性に優れた繊維強化無機複合材料の提供にある。
本発明の他の目的は、上記特性を兼ね備えた低コスト
の繊維強化無機複合材料の提供にある。
本発明の繊維強化無機複合材料は、無機繊維を強化材
とし、無機物質をマトリックスとする複合材料であっ
て、上記無機繊維が、珪素含有多環状芳香族重合体から
得られる無機繊維であって、その構成成分が i)該重合体を構成するメソフェーズ状態にある多環状
芳香族化合物から導かれるラジアル構造、オニオン構
造、ランダム構造コアラジアル構造、スキンオニオン構
造及びモザイク構造からなる群から選ばれる少なくとも
一種の結晶配列状態を示す炭素質、 ii)該重合体を構成する光学的等方性の多環状芳香族化
合物から導かれる、無配向状態の結晶質炭素及び/又は
非晶質炭素、及び iii)Si、C及びOから実質的になる非晶質相及び/又
は粒径が500Å以下の実質的にβ−SiCからなる結晶質超
微粒子と非晶質のSiOx(0<x≦2)からなる集合体で
あり、構成元素の割合がSi;30〜70重量%、C;20〜60重
量%及びO;0.5〜10重量%であるSi−C−O物質 であり、 前記無機物質が主として a)該重合体を構成するメソフェーズ状態にある多環状
芳香族化合物から導かれる結晶質炭素、又は結晶質炭素
と非晶質炭素、 b)該重合体を構成する光学的等方性の多環状芳香族化
合物から導かれる、無配向状態の結晶質炭素及び/又は
非晶質炭素、及び c)c1)Si、C及びOから実質的になる非晶質相及び/
又は粒径が500Å以下の実質的にβ−SiCからなる結晶質
超微粒子と非晶質のSiOx(0<x≦2)からなる集合体
及び/または、 c2)Si、M、C及びOから実質的になる非晶質物質、
及び/又は 実質的にβ−SiC、MC、β−SiCとMCの固溶体及びMC
1-xからなる粒径が500Å以下の結晶超微粒子と、非晶質
のSiOy及びMOz との集合体(上記式中、MはTi、Zr及びHfから選択され
る少なくとも一種の元素であり、0<x<1、0<y≦
2、0<z≦2である。) より構成され、 強化繊維表面から遠ざかるほど珪素含有率が高くなるよ
う制御された傾斜組織を有するマトリックス であることを特徴とする耐熱性繊維強化無機複合材料で
ある。
まず、本発明における無機繊維について詳細に説明す
る。
以下の説明において「部」は「重量部」であり、
「%」は「重量%」である。
無機繊維は前述した構成成分i)、ii)及びiii)か
らなっており、Si;0.01〜29%、C;70〜99.9%及びO;0.0
01〜10%、好ましくはSi;0.1〜25%、C;74〜99.8%及び
O;0.01〜8%から実質的に構成されている。
この無機繊維の構成成分である結晶質炭素は500Å以
下の結晶子サイズを有し、1.5Åの分解能を有する高分
解能電子顕微鏡において、繊維軸方向に配向した3.2Å
の(002)面に相当する微細なラティスイメージ像が観
察されうる超微粒子のグラファイト結晶である。無機繊
維中の結晶質炭素は、ラジアル構造、オニオン構造、ラ
ンダム構造、コアラジアル構造、スキンオニオン構造、
モザイク構造及び一部ラジアル構造を含むランダム構造
等をとることができる。これは、原料中にメソフェーズ
多環状芳香族化合物が存在することに起因する。
この無機繊維における構成成分i)及びii)の総和10
0部に対する構成成分iii)の割合は0.015〜200部であ
り、且つ構成成分i)、ii)の比率は1:0.02〜4であ
る。
構成成分i)及びii)の総和100部に対する構成成分i
ii)の割合が0.015未満の場合は、ほとんどピッチ繊維
と変わらず、耐酸化性やマトリックスとの界面接着力の
向上は望めず、上記割合が200部を越えた場合はグラフ
ァイトの微細結晶が効果的には生成せず、高弾性率の繊
維が得られない。
本発明における連続無機繊維では、層間隔が小さく三
次元的配列が付与された微結晶が効果的に生成してお
り、その微細結晶を包み込むように珪素原子が非常に均
一に分布している。
本発明における無機繊維は、 1)結合単位(Si−CH2)、又は結合単位(Si−CH2)と
結合単位(Si−Si)から主としてなり、珪素原子に水素
原子、低級アルキル基、フェニル基及びシリル基からな
る群から選ばれる側鎖基を有し、結合単位(Si−CH2
の全数対結合単位(Si−Si)の全数の比が1:0〜20の範
囲にある有機珪素重合体の珪素原子の少なくとも一部
が、石油系又は石炭系のピッチあるいはその熱処理物の
芳香族環と珪素−炭素連結基を介して結合した前駆重合
体100部及び 2)石油系又は石炭系ピッチを熱処理して得られるメソ
フェーズ状態又はメソフェーズと光学的等方相との両相
からなる多環状芳香族化合物(以下、両者を総称して
「メソフェーズ多環状芳香族化合物」と言うことがあ
る。)5〜50000部を、 200〜500℃の範囲の温度で加熱反応及び/又は加熱溶融
して、珪素含有多環状芳香族重合体を得る第1工程、 上記珪素含有多環状芳香族重合体の紡糸原液を調製し
て紡糸する第2工程、 該紡糸原糸を張力下あるいは無張力下で不融化する第
3工程、及び 不融化した前記紡糸繊維束を真空中あるいは不活性ガ
ス雰囲気中で800〜3000℃の範囲の温度で焼成する第4
工程 よりなる製造方法により提供される。
上記各工程についてさらに具体的に説明する。
第1工程: 出発原料の一つである有機珪素重合体は、公知の方法
で合成することができ、例えば、ジメチルジクロロシラ
ンと金属ナトリウムの反応により得られるポリジメチル
シランを不活性ガス中で400℃以上に加熱することによ
り得られる。
上記有機珪素重合体は、結合単位(Si−CH2)、又は
結合単位(Si−Si)と結合単位(Si−CH2)より主とし
てなり、結合単位(Si−CH2)の全数対結合単位(Si−S
i)の全数の比率は1:0〜20の範囲内にある。
有機珪素重合体の重量平均分子量(Mw)は、300〜100
0、特に400〜800であることが、優れた無機繊維を得る
ための中間原料である前駆重合体(1)を調製するため
に好ましい。
もう一つの出発原料である多環状芳香族化合物は石油
類及び/又は石炭類から得られるピッチで、特に好まし
いぴっちは、石油類の流動接触分解により得られる重質
油、その重質油を蒸留して得た留出成分又は残渣油及び
それらを熱処理して得られるピッチである。
上記ピッチ中には、ベンゼン、トルエン、キシレン、
テトラヒドロフランなどの有機溶媒に不溶の成分が5〜
98%含まれていることが好ましい。上記の不溶成分が5
%未満のピッチを原料として用いた場合、強度、弾性率
共に優れた無機質繊維は得られず、また、98%より多い
ピッチを原料として用いた場合、共重合体の分子量上昇
が激しく、一部コーキングの起こる場合もあり、紡糸困
難な状態になる。
このピッチの重量平均分子量(Mw)は、100〜3000で
ある。
重量平均分子量は以下のようにして求めた値である。
即ち、ピッチがベンゼン、トルエン、キシレン、テトラ
ヒドロフラン、クロロホルム及びジクロロベンゼン等の
ゲルパーミュエーションクロマトグラフ(GPC)測定用
有機溶媒不溶分を含有しない場合はそのままGPC測定
し、ピッチが上記有機溶媒不溶分を含有する場合は、温
和な条件で水添処理し、上記有機溶媒不溶分を上記有機
溶媒可溶な成分に変えて後GPC測定する。以下、上記有
機溶媒不溶分を含有する重合体の重量平均分子量は、上
記と同様の処理を施し求めた値である。前駆重合体
(1)は、有機珪素重合体に、石油系又は石炭系ピッチ
を添加し、不活性ガス中で好ましくは250〜500℃の範囲
の温度で加熱反応させることにより調製される。
ピッチの使用割合は、有機珪素重合体100部当たり83
〜1900部であることが好ましい。ピッチの使用割合が過
度に小さい場合は、得られる無機繊維中の炭化珪素成分
が多くなり、高弾性率を有する無機繊維が得られなくな
り、また、その割合が過度に多い場合は、炭化珪素成分
が少なくなり、マトリックスとの界面接着性、耐酸化性
に優れた無機繊維が得られなくなる。
上記反応の反応温度が過度に低いと、珪素原子と芳香
族炭素の結合が生成しにくくなり、反応温度が過度に高
いと、生成した前駆重合体(1)の分解及び高分子量化
が激しく起こり好ましくない。
メソフェーズ多環状芳香族化合物は、例えば、石油系
又は石炭系ピッチを不活性ガス中で300〜500℃に加熱
し、生成する軟質留分を除去しながら縮重合することに
よって調製することができる。
上記縮重合反応温度が過度に低いと縮合環の成長が充
分でなく、またその温度が過度に高いとコーキングによ
り不溶、不融の生成物が生ずる。
メソフェーズ多環状芳香族化合物は、融点が200〜400
℃の範囲にあり、また、重量平均分子量が200〜10000で
ある。
メソフェーズ多環状芳香族化合物の中でも、20〜100
%の光学的異方性度を有し、30〜100%のベンゼン、ト
ルエン、キシレン又はテトラヒドロフランに対する不溶
分を含むものが、機械的性能上優れた無機繊維を得るた
めに特に好ましい。
第1工程では、前駆重合体(1)とメソフェーズ多環
状芳香族化合物を200〜500℃の温度範囲で加熱溶融及び
/又は加熱反応し、珪素含有多環状芳香族重合体からな
る紡糸ポリマーを調製する。
メソフェーズ多環状芳香族化合物の使用割合は前駆重
合体(1)100部当たり5〜50000部であることが好まし
く、5部未満では、生成物におけるメソフェーズ含有量
が不足するため、高弾性の焼成糸が得られず、また、50
000部より多い場合は、珪素成分の不足のためマトリッ
クスとの界面接着性、耐酸化性に優れた無機繊維が得ら
れなくなる。
珪素含有多環状芳香族重合体の重量平均分子量は200
〜11000で、融点が200〜400℃である。
第2工程: 第1工程で得られる珪素含有多環状芳香族重合体であ
る紡糸ポリマーを加熱溶融させて、場合によってはこれ
を濾過してミクロゲル、不純物等の紡糸に際して有害と
なる物質を除去し、これを通常用いられる合成繊維紡糸
装置により紡糸する。
紡糸する際の紡糸原液の温度は原料ポリマーの軟化温
度によって異なるが、220〜420℃の範囲の温度が有利で
ある。
前記紡糸装置において、必要に応じて紡糸筒を取付
け、該紡糸筒内の雰囲気を空気、不活性ガス、熱空気、
熱不活性ガス、スチーム、及びアンモニウムガスからな
る群から選ばれる一種以上の雰囲気とした後、巻取り速
度を大きくすることにより細い直径の繊維を得ることが
できる。前記溶融紡糸における紡糸速度は原料の平均分
子量、分子量分布、分子構造によって異なるが、50〜50
00m/分の範囲であることが好ましい。
第3工程: 第2工程で得られる紡糸繊維を張力又は無張力の作用
もとで不融化する。
代表的な不溶化方法は上記紡糸繊維を酸化性雰囲気中
で加熱する方法である。不融化の温度は好ましくは50〜
400℃の範囲の温度である。不融化温度が過度に低いと
紡糸原子を構成するポリマーのはしかけが起こらず、ま
た、この温度が過度に高いとポリマーが燃焼する。
不融化の目的は、紡糸繊維を構成するポリマーを三次
元構造の不融・不溶のはしかけ状態にし、次工程の焼成
の際に溶融せず、且つ隣接した繊維と融着しないように
することである。不融化の際の酸化性雰囲気を構成する
ガスとしては、空気、オゾン、酸素、塩素ガス、臭素ガ
ス、アンモニアガス、及びこれらの混合ガスが挙げられ
る。
上記とは別の不融化方法として、紡糸繊維に酸化性雰
囲気あるいは非酸化性雰囲気で、張力あるいは無張力で
必要に応じて低温加熱しながら、γ線照射、あるいは電
子線照射して不融化する方法も採用することができる。
このγ線あるいは電子線を照射する目的は、紡糸繊維
を形成するポリマーを、さらに重合させることによっ
て、紡糸原糸が融解し、繊維形状を失うことを防ぐこと
にある。
γ線あるいは電子線の照射線量は106〜1010ラッドが
適当である。
照射は真空、不活性ガス雰囲気下、あるいは空気、オ
ゾン、酸素、塩素ガス、臭素ガス、アンモニアガス及び
これらの混合ガスのような酸化性ガス雰囲気で行うこと
ができる。
照射による不融化は室温で行うこともでき、必要であ
れば50〜200℃の温度範囲で加熱しながら行うことによ
って不融化をより短時間で達成させることもできる。
不融化は、無張力下で行うと、前記防糸繊維は収縮の
ため波状の形を呈するようになるが、次工程の焼成工程
で矯正できる場合もあり、張力は必ずしも必要ないが、
張力を作用させる場合には、その張力の大きさは不融化
時に防糸繊維が収縮して波状となることを少なくとも防
止できる以上の張力を作用させると良い結果が得られ
る。
不溶化の際に、作用させる張力としては、1〜500g/m
m2の範囲が好ましく、1g/mm2以下の張力を作用させても
繊維をたるませないような緊張を与えることができず、
500g/mm2以上の張力を作用させると繊維が切断すること
がある。
第4工程: 第3工程で得られる不融化系を、真空あるいは不活性
ガス雰囲気中で800〜3000℃の範囲の温度で焼成するこ
とによって、主として炭素、珪素、酸素からなる無機繊
維が得られる。
焼成工程において、張力を作用させることは必ずしも
必要ないが0.001〜100Kg/mm2の範囲で張力を作用させな
がら高温焼成すると屈曲を少なくした強度の高い無機繊
維を得ることができる。
加熱過程において、約700℃から無機化が激しくな
り、約800℃でほぼ無機化が完了するものと推定され
る。従って、焼成は、800℃以上の温度で行うことが好
ましい。また、3000℃より高い温度を得るには高価な装
置を必要とするため3000℃より高温での焼成は、コスト
面からみて実際的でない。
ただし、該繊維を短繊維として用いる場合は、不融化
糸または800℃以下の仮焼糸を後述するマトリックス母
材と混合成形後マトリックス母材とともに焼成し、マト
リックスとの接着性をより強くする方法も採用される。
なお、本発明の無機繊維中の珪素の分布状態は、焼成
時の雰囲気や原料中のメソフェーズの大きさ、濃度によ
っても制御することができる。例えば、メソフェーズを
大きく成長させた場合、珪素含有ポリマーは繊維表面相
に押し出され易く、焼成後繊維表面に珪素に富む層を生
成させることができる。
次に、本発明の繊維強化無機複合材料の製造方法につ
いて説明する。
(1)繊維含有成形体の製造 前記無機繊維の平織、朱子織、模紗織、綾織、らせん
織物、三次元織物などの各種織物にマトリックス母材の
粉末を加え加熱プレスし成形する方法、前記織物にマト
リックス母材の溶液又はスラリーを含浸後、溶媒を除
去、乾燥したプリプレグシートを加熱成形する方法、前
記無機繊維の短繊維、又はチョップドファイバーとマト
リックス母材を溶融混練し、プレス成形、又は射出成形
する方法等により、繊維含有成形体を製造する。
成形体中の無機繊維の含有率は10〜70体積%が好まし
い。
本発明におけるマトリックス母材としては、前記無機
繊維のプレカーサーポリマーである珪素含有多環状芳香
族重合体及び/又はチタン、ジルコニウム、ハフニウム
より選ばれる少なくとも一種類の元素及び珪素を含有す
る金属含有多環状芳香族重合体が適している。
珪素含有多環状芳香族重合体の製造は前記無機繊維製
造の第一工程により行うことができる。また、金属含有
多環状芳香族重合体は、以下に記載する方法により得る
ことができる。
まず、前記無機繊維製造の第一工程で得た前駆重合体
(1)と式MX4で示される遷移金属化合物とを100〜500
℃の範囲の温度で反応させる。
前記MX4において、MはTi、Zr及びHfから選択される
少なくとも一種の元素であり、Xは縮合により、Mが前
駆重合体(1)の珪素と直接あるいは酸素原子を介して
結合し得るものであればよく、特に規定はないが、ハロ
ゲン原子、アルコキシ基又はβ−ジケトンのような錯体
形成基が好ましい。
反応温度が過度に低いと、前駆重合体(1)と式MX4
との縮合反応が進行せず、反応温度が過度に高いと、M
を介した前駆重合体(1)の架橋反応が過度に進行しゲ
ル化が起こったり、前駆重合体(1)自体が縮合し高分
子量化したり、あるいは、場合によってはMX4が揮散し
好ましくない。
一例として、MがTiで、XがOC4H9の場合、反応温度
は200〜400℃が適している。
この反応によって、前駆重合体(1)の珪素原子の少
なくとも一部を金属Mと直接あるいは酸素原子を介して
結合させたランダム共重合体(2)が調製される。
金属Mは前駆重合体(1)の珪素原子に−MX3あるい
は−O−MX3のような結合様式で側鎖状に結合すること
もできるし、前駆重合体(1)の珪素原子に直接又は酸
素を介して架橋した結合様式もとり得る。
ランダム共重合体(2)を調製する方法としては、前
述の方法以外に、有機珪素重合体とMX4を反応させ、得
られた生成物にピッチをさらに反応させて調製する方法
も可能である。
前駆重合体(1)の代わりにランダム共重合体(2)
を用い、前記無機繊維製造の第一工程と同様にしてメソ
フェーズ多環状芳香族化合物と加熱反応及び/又は加熱
溶融させて、金属含有多環状芳香族重合体を調製するこ
とができる。
また、繊維含有成形体の製造にあたっては、上記重合
体に上記重合体の仮焼粉末及び/又グラファイト、炭化
珪素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウ
ム、硼化チタン、硼化ジルコニウム、硼化ハフニウム等
の耐熱性セラミックス微粉末を少量混合使用しても差し
支えない。また、繊維とマトリックスとの密着性を向上
させる目的で結合剤を使用することもできる。
上記結合剤としては、ジフェニルシロキサン、ジメチ
ルシロキサン、ポリボロジフェニルシロキサン、ポリボ
ロジメチルシロキサン、ポリカルボシラン、ポリジメチ
ルシラザン、ポリチタノカルボシラン、ポリジルコノカ
ルボシランなどの有機珪素ポリマー及びジフェニルシラ
ンジオール、ヘキサメチルジシラザンなどの有機珪素化
合物が挙げられる。
(2)繊維含有成形体の不融化 次に、上記成形体に、必要に応じて不融化処理を施
す。
不融化処理の方法は、前記無機繊維製造の第3工程の
方法をそのまま採用することができる。
(3)繊維含有成形体の焼成 不融化された成形体は、真空あるいは不活性ガス中
で、800〜3000℃の範囲の温度で焼成し、無機化され、
繊維強化された、炭素、珪素及び酸素、及び/又は炭
素、M、珪素及び酸素からなるマトリックスを有する複
合材料が得られる。
加熱過程において、約700℃から無機化が激しくな
り、約800℃でほぼ無機化が完了するものと推定され
る。従って、焼成は、800℃以上の温度で行うことが好
ましい。また、3000℃より高い温度を得るには高価な装
置を必要とするため3000℃より高温での焼成は、コスト
面からみて実質的でない。
なお、本工程における無機化の昇温速度を極めて遅く
することや、成形体保形用治具、パウダーヘッド等の保
形手段を用いること等により、不融化工程を省略するこ
ともできるし、成形方法として高温ホットプレスを用い
ることにより一工程で高密度複合材を得ることも可能で
ある。
得られる複合材料におけるマトリックスの組成は、強
化繊維と同組成又は類似組成が好ましい。
強化繊維組成とマトリックス組成が大幅に異なる場
合、界面の接着性が劣り、また、激しい温交変動下では
熱膨張率、熱収縮率の差による熱応力発生により剥離が
生じ好ましくない。
(4)複合材料の高密度化、高強度化 焼成、無機化により得られた繊維強化複合材料は、開
気孔を含んでいるため、前記珪素含有多環状芳香族重合
体、又は金属含有多環状芳香族重合体の融液、溶液又は
スラリーを含浸後、必要により不融化、焼成し、無機化
することにより複合体を高密度化、高強度化することが
できる。含浸は、珪素含有多環状芳香族重合体の融液、
溶液又はスラリーのいずれを用いてもさしつかえない
が、微細な開気孔への浸透を図るため、この複合材に前
記重合体の融液、溶液又はスラリーを含浸後、減圧下で
微細気孔への浸透を促進後溶媒を留去しつつ昇温し、10
〜500kg/cm2に加圧することにより、前記重合体の融液
を気孔に充填させる。
得られた含浸体は、第3工程と同様にして、不融化
し、焼成し、無機化することができる。この操作を繰り
返すことにより高密度、高強度な繊維強化複合材を得る
ことができる。含浸回数及びその際の嵩密度、気孔率の
変化は、含浸に用いる溶液、融液の組成、分子量分布、
含浸、不融化、無機化のプロセスの選択、条件の選択に
伴う無機化残存率により決定され、特に規定はないが、
2〜10回が好ましい。
この含浸工程では、繊維含有成形体製造と同様に前記
重合体の仮焼粉末及び/又は耐熱性セラミックス微粉末
を添加してもさしつかえない。
以後の含浸では、工程を重ねるに従い、珪素又は珪素
とMの比率が増大するように含浸母材の組成を変化さ
せ、最終回含浸は、焼結によりほぼ構成成分c)に変わ
る母材を選択することが好ましい。
このように、酸化含浸を受けやすい表面相は、構成成
分c)に富むため耐酸化性に優れ、強化繊維に向かって
傾斜組織をなしているため熱応力によるクラックの発生
のない繊維強化複合材料を得ることができる。
この複合材料の耐酸化性をより向上させるため、複合
材料表面に耐熱性セラミックス層をコーティングしても
よい。
耐熱性セラミックスとしては、炭化珪素、炭化チタ
ン、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム、炭化バナジウ
ム、炭化ニオブ、炭化タンタル、炭化硼素、炭化クロ
ム、炭化タングステン、炭化モリブデン等の炭化物セラ
ミックス、窒化珪素、窒化チタン、窒化ジルコニウム、
窒化バナジウム、窒化ニオブ、窒化タンタル、窒化硼
素、窒化アルミニウム、窒化ハフニウム等の窒化物セラ
ミックス、アルミナ、シリカ、マグネシア、酸化硼素、
ムライト、コージライト等の酸化物セラミックス、硼化
チタン、硼化ジルコニウム等の硼化物セラミックスを用
いることができるが、耐熱性、耐酸化性に優れ、内部マ
トリックスとの熱膨張率差の小さい炭化珪素が特に適し
ている。
コーティング方法としては、CVD法、溶射法等通常の
コーティング方法、焼成により上記セラミックスに変換
しうるプレカーサーを表面に塗布後焼成する方法等が挙
げられる。なお、上記プレカーサーとして、ポリカルボ
シラン、ポリチタノカルボシラン、ポリシラザン、ポリ
カルボシラスチレン、ポリシラスチレンを使用すること
がげきる。
(発明の効果) 本発明の耐熱性繊維強化無機複合材料においては、繊
維表面から、マトリックスのSiC/Cの組成比率を連続的
に制御できること、及びマトリックス層は後述するよう
に単一の珪素含有多環状芳香族重合体及び/又は金属含
有多環状芳香族重合体より製造されるため、SiC/Cの均
一性は微視的に極めて優れていることにより熱応力によ
るクラックの発生が殆どなく、しかも、マトリックス、
強化繊維ともに従来技術より格段に優れた耐酸化性を示
す新規物質を用いているため、何らかの原因により酸素
がマトリックス層内部へ到達しても、極めて優れた酸化
抵抗性を示すものである。
本発明の繊維強化複合材料は、強度、弾性率及び靭性
に優れるとともに、耐熱性、耐酸化性、耐食性、耐磨耗
性、耐熱衝撃性に優れているため、例えば、各種のブレ
ーキ類や、炉材、断熱材、耐熱ベルト等の耐熱構造材料
など通常のC/Cコンポジットの代替材料としての用途を
有するのはもちろん、超音速機、スペースプレーン、宇
宙往環材等の外壁材、エンジン周辺部材等極めて過酷な
条件下での使用が可能である。
(実施例) 以下実施例によって本発明を説明する。
参考例1(ポリマーIの製造) 5の三口フラスコに無水キシレン2.5及びナトリ
ウム400gを入れ、窒素ガス気流下でキシレンの沸点まで
加熱し、ジメチルジクロロシラン1を1時間で滴下し
た。滴下終了後、10時間加熱還流し沈澱物を生成させ
た。沈澱を濾過し、メタノールついで水で洗浄して、白
色粉末のポリジメチルシラン420gを得た。
このポリジメチルシラン400gを、ガス導入管、撹拌
機、冷却器及び留出管を備えた3の三口フラスコに仕
込み、撹拌しながら50ml/分の窒素気流下に420℃で加熱
処理して、留出受器に350gの無色透明な少し粘性のある
液体を得た。
この液体の数平均分子量は蒸気圧浸透法で測定したと
ころ470であった。
この物質の赤外線吸収スペクトルを測定したところ、
650〜900cm-1と1250cm-1にSi−CH3の吸収、2100cm-1にS
i−Hの吸収、1020cm-1付近と1355cm-1にSi−CH2−Siの
吸収、2900cm-1と2950cm-1にC−Hの吸収が認められ、
またこの物質の遠赤外線吸収スペクトルを測定したとこ
ろ、380cm-1にSi−Siの吸収が認められることから、得
られた液状物質は、主として(Si−CH2)結合単位及び
(Si−Si)結合単位からなり、珪素の側鎖に水素原子及
びメチル基を有する有機珪素重合体であることが判明し
た。
核磁気共鳴分析及び赤外線吸収分析の測定結果から、
この有機珪素重合体は(Si−CH2)結合単位の全数対(S
i−Si)結合単位の全数の比率がほぼ1:3である重合体で
あることが確認された。
上記有機珪素重合体300gをエタノールで処理して低分
子量物を除去して、数平均分子量が1200の重合体40gを
得た。
この物質の赤外線吸収スペクトルを測定したところ、
上記と同様の吸収ピークが認められ、この物質は主とし
て(Si−CH2)結合単位及び(Si−Si)結合単位からな
り、珪素の側鎖に水素原子及びメチル基を有する有機珪
素重合体であることが判明した。
核磁気共鳴分析及び赤外線吸収分析の測定結果から、
この有機珪素重合体は(Si−CH2)結合単位の全数対(S
i−Si)結合単位の全数の比率がほぼ7:1である重合体で
あることが確認された。
一方、石油留分のうち、軽油以上の高沸点物をシリカ
・アルミナ系分解触媒の存在下、500℃の温度で流動接
触分解・精留を行い、その塔底より残渣を得た。以下、
この残渣をFCCスラリーオイルと呼ぶ。
このFCCスラリーオイルは、元素分析の結果、炭素原
子対水素原子の原子比(C/H)が0.75で、核磁気共鳴分
析による芳香炭素率が0.55であった。
上記FCCスラリーオイル200gを窒素ガス気流下450℃に
加熱し、同温度における留出分を留去後、残渣を200℃
にて熱時濾過を行い、同温度における不融部を除去し、
軟質分除去ピッチ57gを得た。
この軟質分除去ピッチは25%のキシレン不溶分を含ん
でいた。
この軟質分除去ピッチ57gに有機珪素重合体25g及びキ
シレン20mlを加え、撹拌しながら昇温し、キシレンを留
去後、400℃で6時間反応させ51gの前駆重合体(1)を
得た。
この前駆重合体(1)は赤外線吸収スペクトル測定の
結果、有機珪素重合体中に存在するSi−H結合(IR:210
0cm-1)の減少、及び新たなSi−C(ベンゼン環の炭
素)結合(IR:1135cm-1)の生成が認められることより
有機珪素重合体の珪素原子の一部が多環状芳香族環の炭
素と直接結合した部分を有する共重合体であることがわ
かった。
この前駆重合体(1)は、キシレン不溶部を含まず重
量平均分子量が1400で、融点が265℃で、軟化点が310℃
であた。
一方、前記軟質分除去ピッチ180gを窒素気流下、反応
により生成する軟質分を除去しながら400℃で8時間縮
重合を行い、熱処理ピッチ97.2を得た。
この熱処理ピッチは融点263℃、軟化点308℃、キシレ
ン不溶分77%、キノリン不溶分31%を含有しており、研
磨面の偏光顕微鏡観察による光学的異方性が75%のメソ
フェーズ多環状芳香族化合物であった。
このメソフェーズ多環状芳香族化合物90gと前記前駆
重合体(1)6.4gとを混合、窒素雰囲気下380℃で1時
間溶融加熱し、均一な状態にある珪素含有多環状芳香族
重合体(ポリマーI)を得た。
この重合体の融点は267℃で、軟化点315℃、70%のキ
シレン不溶分を含んでいた。
参考例2(ポリマーIIの製造) メソフェーズ多環状芳香族化合物97gと前記前駆重合
体(1)3gを混合し、400℃で溶融加熱した以外は参考
例1と同様にして珪素含有多環状芳香族重合体(ポリマ
ーII)を得た。
この重合体の融点は272℃で、軟化点319℃、71%のキ
シレン不溶分を含んでいた。
参考例3(ポリマーIIIの製造) メソフェーズ多環状芳香族化合物66gと前記前駆重合
体(1)34gを360℃で溶融加熱した以外は、参考例1と
同様にして珪素含有多環状芳香族重合体(ポリマーII
I)を得た。
この重合体の融点は266℃で、軟化点314℃、57%のキ
シレン不溶分を含んでいた。
参考例4(ポリマーIVの製造) 参考例1で得た前駆重合体(1)39gにテトラオクト
キシチタン〔Ti(OC8H17〕2.75gのキシレン溶液(2
5%キシレン溶液11g)を加え、キシレン留去後、340℃
で2時間反応させ、ランダム共重合体(2)38.8gを得
た。
このランダム共重合体(2)34gに参考例1で得たメ
ソフェーズ多環状芳香族化合物66gを加え、窒素雰囲気
下380℃で溶融混合し金属含有多環状芳香族重合体(ポ
リマーIV)を得た。
この重合体の融点は274℃で、軟化点322℃、61%のキ
シレン不溶分を含んでいた。
参考例5(強化繊維の製造) 参考例1、2及び3により得たポリマーI、II及びII
Iを紡糸用原料とし、ノズル径0.15mmの金属製ノズルを
用い、360℃で溶融紡糸を行い、得られた紡糸原糸を、
空気中、300℃で酸化、不融化し、更にアルゴン雰囲気
中、所定の温度で焼成し、強化繊維を製造した。得られ
た強化繊維は、引張強度、引張弾性率の測定を行うとと
もに、高周波プラズマ発光分光分析により繊維中の珪素
含有率の測定を行った。これらの測定結果を第1表に示
す。
実施例1 参考例5で得た無機繊維Iの2次元平織織布を直径7c
mの円板状に切り、ポリマーIの30%キシレンスラリー
に含浸後乾燥し、プリプレグシートを作成した。金型内
で、プリプレグシート間にポリマーIの微粉末を充填
し、各プリプレグシートを、強化繊維の繊維方向を45゜
ずつ順次ずらしながら30枚積層し、50kg/cm2の加圧下、
350℃にてホットプレスし円板状成形体を得た。
この成形体を炭素粉末のパウダーヘッド中に埋め保形
し、窒素気流中で5℃/hの速度で800℃まで昇温後、さ
らに1300℃へ昇温しポリマーIを無機化し、珪素含有率
が0.95%の第1のマトリックス層を形成させた。
得られた複合材料の嵩密度は1.32g/cm3であった。
この複合材料をポリマーIの50%キシレンスラリーに
浸し、減圧下キシレンを留去しながら350℃に昇温、そ
の後100kg/cm2に加圧含浸した後、空気中で5℃/hの速
度で300℃まで昇温し、不融化した後1300℃で無機化
し、第1のマトリックス層と同じ珪素含有率の第2のマ
トリックス層を形成させた。
さらに、含浸ポリマーをポリマーIIIに替え、上記と
同様にして第2回目の含浸、無機化を行い、珪素含有率
が4.8%の第3のマトリックス層を形成させた。
第3回目の含浸には、参考例1における前駆重合体
(1)を用い上記と同様にして含浸、無機化を行い、珪
素含有率が15.1%の第4のマトリックス層を形成させ
た。
第4回目の含浸には参考例1における有機珪素重合体
と軟質分除去ピッチの仕込比率を70:30として合成した
前駆重合体(1)を用い上記と同様にして含浸、無機化
を行い、珪素含有率が27.1%の第5のマトリックス層を
形成させた。
5回目の含浸には、参考例1で得られたポリジメチル
シラン100部に対しポリボロシロキサン3部を添加し、
窒素中、350℃で熱縮合して得たポリカルボシランを用
い上記と同様にして、含浸、無機化を行い、珪素含有率
が50.8の第6のマトリックス層を形成させた。
得られた複合材の嵩密度は1.70g/cm3であり、ほとん
ど開気孔を含んでいなかった。また、その複合材の繊維
体積含有率(Vf)は61%であた。
得られた複合材に四塩化珪素とメタンを原料とし50mm
Hgの減圧下1300℃でCVDコーティングを施し厚さ約10μ
の炭化珪素のコーティング層を形成させた。得られた複
合材の3点曲げ強度試験法による曲げ強度は32kg/mm2
あった。
実施例2 参考例5で得た無機繊維IIを強化材とし、実施例1と
同様にしてポリマーIIを含浸させプリプレグシートを作
った。得られたプリプレグシート間にポリマーIIの微粉
末を充填し、圧力を20kg/cm2とした以外は実施例1と同
様にして成形、無機化後最終的に2500℃で焼成し、嵩密
度1.20g/cm3の複合材を得た。
この複合材に実施例1と同様にして、1回目、ポリマ
ーI、2回目、ポリマーIII、3回目、参考例1におけ
る前駆重合体(1)、4回目、有機珪素重合体と軟質分
除去ピッチの仕込比を70:30として得られた前駆重合体
(1)、5回目、ポリカルボシランを用い含浸、無機化
を行った。その際、無機化は1900℃で行った。
その結果、嵩密度は1.90g/cm3の複合材を得た。な
お、この複合材のVfは42%であった。
得られた複合材に実施例1と同様にしてCVDコーティ
ングを施し、約10μの炭化珪素コーティング層におおわ
れた複合材料を得た。この複合材の曲げ強度は35kg/mm2
であった。
実施例3 参考例5で得た無機繊維IIIの二次元平織織布にポリ
マーIIIの20%キシレン溶液に含浸後乾燥したシートを
用い、このシートとポリマーIIIの微粉末を交互に積層
し実施例1と同様にホットプレス成形し、無機化し珪素
含有率が4.8%の第1のマトリックス層を形成させた。
得られた複合材の嵩密度は1.23g/cm3であった。
この複合材に実施例1と同様にして、1回目、ポリマ
ーIII、2回目、ポリマーIV、3回目、参考例4におけ
るランダム共重合体(2)、4回目、有機珪素重合体と
軟質分除去ピッチの仕込比を70:30として得られた前駆
重合体(1)100部にテトラオクトキシチタン〔Ti(OC8
H17〕15部を添加し合成したランダム共重合体
(2)、5回目、実施例1で得たポリカルボシランにチ
タンテトラブトキシドを添加し、340℃で架橋重合する
ことにより得られたカルボシラン単位100部と式(Ti−
O)のチタノキサン単位10部からなるポリチタノカルボ
シランを用い含浸、無機化を行った。その際、無機化温
度は、すべて1300℃で行った。なお、1回目の処理で形
成される第2のマトリックス層の珪素含有率は4.8%、
2回目の処理で形成される第3のマトリックス層の珪素
含有率は5.1%、3回目の処理で形成される第4層目の
珪素含有率は15.2%、4回目の処理で形成される第5の
マトリックス層の珪素含有率は27.2%、5回目の処理で
形成される第6のマトリックス層の珪素含有率は50.8%
であった。
その結果、嵩密度が1.74g/cm3の複合材を得た。な
お、この複合材のVfは51%であった。
得られた複合材を実施例1と同様にしてCVDコーティ
ングを施し、約10μの炭化珪素コーティング層を有する
複合材料を得た。この複合材料の曲げ強度は29kg/mm2
あった。
比較例1 強化繊維として、市販PAN系炭素繊維のうち、高弾性
タイプの炭素繊維であるトレカM−40(「トレカ」は東
レ株式会社製炭素繊維の商品名)の平織織物を用い、フ
ェノール樹脂をマトリックス母材とし、180℃でホット
プレスし硬化させ、さらに250℃で4時間ポストキュア
ーして繊維強化成形体を得た。この成形体を900℃で無
機化後フェノール樹脂の含浸、無機化を4回繰り返した
後1800℃で焼成し、C/Cコンポジットを得た。このコン
ポジットを実施例1と同様にして表面炭化珪素コーティ
ングを施した。
比較例2 マトリックス母材として、フェノール樹脂に10%のシ
リコンを加えたものを用いた以外は比較例1と同様にし
て、表面が炭化珪素コーティングされた炭素繊維強化炭
素/炭化珪素複合材料を得た。
実施例4 実施例1〜3の複合材を空気中1300℃に保持した炉内
に入れ20分間加熱後取り出し、20分間強制空冷を行うサ
イクルを5回繰り返した後、空気中1500℃に保持して酸
化消耗速度を測定した。その結果、各複合材の酸化消耗
速度は実施例1の材料では0.0006kg/m2/h、実施例2の
材料では0.0018kg/m2/h、実施例3の材料では0.0012kg/
m2/h、であった。
比較例3 比較例1、2の材料を用い実施例4と同様にして酸化
消耗速度を測定した。その結果、各複合材の酸化消耗速
度は、比較例1の材料では0.45kg/m2/h、比較例2の材
料では0.15kg/m2/hであった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渋谷 昌樹 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇 部興産株式会社宇部研究所内 審査官 板橋 一隆

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無機繊維を強化材とし、無機物質をマトリ
    ックスとする繊維強化複合材料において、 上記無機繊維が、珪素含有多環状芳香族重合体から得ら
    れる無機繊維であって、その構成成分が i)該重合体を構成するメソフェーズ状態にある多環状
    芳香族化合物から導かれるラジアル構造、オニオン構
    造、ランダム構造、コアラジアル構造、スキンオニオン
    構造及びモザイク構造からなる群から選ばれる少なくと
    も一種の結晶配列状態を示す炭素質、 ii)該重合体を構成する光学的等方性の多環状芳香族化
    合物から導かれる、無配向状態の結晶質炭素及び/又は
    非晶質炭素、及び iii)Si、C及びOから実質的になる非晶質相及び/又
    は粒径が500Å以下の実質的にβ−SiCからなる結晶質超
    微粒子と非晶質のSiOx(0<x≦2)からなる集合体で
    あり、構成元素の割合がSi;30〜70重量%、C;20〜60重
    量%及びO;0.5〜10重量%であるSi−C−O物質 であり、 前記無機物質が主として a)該重合体を構成するメソフェーズ状態にある多環状
    芳香族化合物から導かれる結晶質炭素、又は結晶質炭素
    と非晶質炭素、 b)該重合体を構成する光学的等方性の多環状芳香族化
    合物から導かれる、無配向状態の結晶質炭素及び/又は
    非晶質炭素、及び c)c1)Si、C及びOから実質的になる非晶質相及び/
    又は粒径が500Å以下の実質的にβ−SiCからなる結晶質
    超微粒子と非晶質のSiOx(0<x≦2)からなる集合体
    及び/または、 c2)Si、M、C及びOから実質的になる非晶質物質、
    及び/又は 実質的にβ−SiC、MC、β−SiCとMCの固溶体及びMC
    1-xからなる粒径が500Å以下の結晶超微粒子と、非晶質
    のSiOy及びMOz との集合体(上記式中、MはTi、Zr及びHfから選択され
    る少なくとも一種の元素であり、0<x<1、0<y≦
    2、0<z≦2である。) より構成され、 無機繊維表面から遠ざかるほど珪素含有率が高くなるよ
    う制御された傾斜組織を有するマトリックス であることを特徴とする耐熱性繊維強化無機複合材料。
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