JP2547110B2 - ハイブリッド繊維強化炭素質複合材料 - Google Patents

ハイブリッド繊維強化炭素質複合材料

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JP2547110B2 JP2025279A JP2527990A JP2547110B2 JP 2547110 B2 JP2547110 B2 JP 2547110B2 JP 2025279 A JP2025279 A JP 2025279A JP 2527990 A JP2527990 A JP 2527990A JP 2547110 B2 JP2547110 B2 JP 2547110B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はハイブリッド繊維を強化材とする機械的性質
の優れたハイブリッド繊維強化炭素質複合材料に関する
ものである。
(従来の技術及びその問題点) 無機繊維で強化した炭素材料のうち、強化繊維として
炭素繊維を用いた、所謂C/Cコンポジットは比強度、比
弾性、比酸化性雰囲気中における耐熱性、靱性及び摩擦
特性に優れ、耐熱構造材、ブレーキ材として有望なもの
である。特にブレーキ用途においては、航空機、レーシ
ングカー用として実用化が進められている。
しかし、C/Cコンポジットでは、強化材とマトリック
ス炭素との界面に致命的な亀裂や剥離を生じやすく、充
分な機械的強度が得られていなかった。
この欠点を改善し、炭素繊維とマトリックス炭素との
界面接着力の向上を図ることを目的として、炭素繊維表
面を種々の処理剤でサイジングする方法やCVD等の方法
によりコーティングする方法が行われている。
しかし、上記のサイジングによる方法では、炭素繊維
とマトリックス炭素との界面接着性の問題を根本的に解
決することは難しく、処理剤と繊維又はマトリックス間
で新たな欠陥、剥離を生じ、また、処理剤によっては複
合材中に不純物として残存するため、C/Cコンポジット
の優れた特性のうち、耐食性、耐熱性等が失われること
になる。
一方、繊維一本一本にコーティング処理を施す方法
は、CVD工程等の生産性の低い工程を追加する必要があ
り、複合材を高コストなものとし、かつ、得られた繊維
の繊維径が太くなるため、しなやかさを失わせ、複合材
設計の自由度を大きく減ずるものであった。
一方、強化繊維として市販のアモルファス炭化珪素繊
維を用いた場合、強化繊維の炭素マトリックスとの接着
性は改善されるが、上記無機繊維は炭素マトリックスが
充分結晶化する温度では、機械的強度を充分保持出来な
いため、複合材料としての機械的特性を向上させること
はできなかった。
また、炭素繊維以外の無機繊維を強化材とし、炭素を
マトリックスとする複合材料については、現在まで積極
的な研究開発が進められていなかった。それは、一般
に、無機繊維は非酸化雰囲気下での耐熱性に劣る等の欠
点があるためである。また、ガラス繊維を除き、ボロン
繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、窒化珪素繊維等の
無機繊維は炭素繊維に比べ効果であることも上記研究開
発が進まなかったことの一因であった。
本出願人は、特願平1-236932号明細書及び特願平1-23
6933号明細書において上記問題点を解決した繊維強化炭
素材料を開示した。
(問題点を解決するための手段) 本発明の目的は、上記提案の繊維強化炭素材料の強化
繊維の少なくとも一種を成分とするハイブリッド繊維を
強化材とする繊維強化炭素質複合材料の提供にある。
本発明の他の目的は、機械的特性に優れたハイブリッ
ド繊維強化炭素質複合材料の提供にある。
本発明の他の目的は、耐食性、耐熱性、耐酸化性に優
れた繊維強化炭素質複合材料の提供にある。
本発明のハイブリッド繊維強化炭素質複合材料は、無
機繊維I、無機繊維II、炭素繊維、ガラス繊維、ボロン
繊維、アルミナ繊維、窒化珪素繊維、アラミド繊維、炭
化珪素繊維、カーボンを芯線とする炭化珪素繊維及びSi
−M−C−O繊維(MはTi又はZrを示す。)からなる群
から選ばれた少なくとも二種の繊維からなり、かつ該繊
維の構成成分として無機繊維I、無機繊維IIの少なくと
も一方を含有するハイブリッド繊維を強化材とし、炭素
をマトリックスとする複合材料であって、 前記無機繊維Iは、珪素含有多環状芳香族重合体から
得られる無機繊維であり、その構成成分が i) 該重合体を構成するメソフェーズ状態にある多環
状芳香族化合物から導かれるラジアル構造、オニオン構
造、ランダム構造、コアラジアル構造、スキンオニオン
構造及びモザイク構造からなる群から選ばれる少なくと
も一種の結晶配列状態を示す炭素質、 ii) 該重合体を構成する光学的等方性の多環状芳香族
化合物から導かれる、無配向状態の結晶質炭素及び/又
は非晶質炭素、及び iii) Si、C及びOから実質的になる非晶質相及び/
又は粒径が500Å以下の実質的にβ−SiCからなる結晶質
超微粒子と非晶質のSiOx(0<x≦2)からなる集合体
であり、 構成元素の割合が、Si;30〜70重量%C;20〜60重量%及
び0;0.5〜10重量%であるSi−C−O物質 よりなる無機繊維であり、 前記無機繊維IIは、チタン、ジルコニウム及びハフニ
ウムからなる群から選ばれる少なくとも一種類の元素及
び珪素を含有する多環状芳香族重合体から得られる無機
繊維であって、その構成成分が、 a) 該重合体を構成するメソフェーズ状態にある多環
状芳香族化合物から導かれるラジアル構造、オニオン構
造、ランダム構造、コアラジアル構造、スキンオニオン
構造及びモザイク構造からなる群から選ばれる少なくと
も一種の結晶配列状態を示す炭素質、 b) 該重合体を構成する光学的等方性の多環状芳香族
化合物から導かれる、無配向状態の結晶質炭素及び/又
は非晶質炭素、及び c) Si、M、C及びOから実質的になる非晶質物
質、及び/又は 実質的にβ−SiC、MC、β−SiCとMCの固溶体及びMC
1-xからなる粒径が500Å以下の結晶超微粒子と、非晶質
のSiOy及び及びMOzとの集合体であり 構成元素の割合がSi;5〜70重量%、M;0.5〜45重量%、
C;20〜40重量%及びO;0.01〜30重量%である、Si−M−
C−O物質(上記式中、MはTi、Zr及びHfから選択され
る少なくとも一種の元素であり、0<x<1、0<y≦
2、0<z≦2である。) よりなる無機繊維である。
本発明における無機繊維I及び無機繊維IIについてま
ず説明する。以下の説明における「部」は全て「重量
部」であり、「%」は「重量%」である。
本発明における無機繊維Iは前述した構成成分i)、
ii)及びiii)からなっており、Si;0.01〜29重量%、C;
70〜99.9重量%及びO;0.001〜10重量%、好ましくはSi;
0.1〜25重量%、C;74〜99.8重量%及びO;0.01〜10重量
%から実質的に構成されている。
無機繊維IIは前述した構成成分a)、b)及びc)か
らなっており、Si;0.01〜30%、M;0.01〜10%、C;65〜9
9.9%及びO;0.001〜10%、好ましくはSi;0.1〜25%、M;
0.01〜8%、C;74〜99.8%及びO;0.01〜8%から実質的
に構成されている。
無機繊維I及び無機繊維IIの構成成分である結晶質炭
素は500Å以下の結晶子サイズを有し、1.5Åの分解能を
有する高分解電子顕微鏡において、繊維軸方向に配向し
た3.2Åの(002)面に相当する微細なラティスイメージ
像が観察されうる超微粒子のグラファイト結晶である。
無機繊維中の結晶質炭素は、ラジアル構造、オニオン構
造、ランダム構造、コアラジアル構造、スキンオニオン
構造、モザイク構造及び一部ラジアル構造を含むランダ
ム構造をとることができる。これは、原料中にメソフェ
ーズ多環状芳香族化合物が存在することに起因する。
無機繊維Iにおける構成成分i)及びii)の総和100
部に対する構成成分iii)の割合は0.015〜200部であ
り、且つ構成成分i)、ii)の比率は1:0.02〜4であ
る。
構成成分i)及びii)の総和100部に対する構成成分i
ii)の割合が0.015未満の場合は、ほとんどピッチ繊維
と変わらず、耐酸化性やマトリックス炭素との界面接着
力の向上は望めず、上記割合が200部を越えた場合はグ
ラファイトの微細結晶が効果的には生成せず、高弾性率
の繊維が得られない。
無機繊維IIにおける構成成分a)及びb)の総和100
部に対する構成成分c)の割合は0.015〜200部であり、
且つ構成成分a)とb)との比率は1:0.02〜4である。
構成成分a)及びb)の総和100部に対する構成成分
c)の割合が0.015未満の場合は、ほとんどピッチ繊維
と変わらず、耐酸化性や濡れ性の向上は望めず、上記割
合が200部を越えた場合はグラファイトの微細結晶が効
果的には生成せず、高弾性率の繊維がえられない。
無機繊維I及び無機繊維IIにおいては、層間隔が小さ
く三次元的配列が付与された微結晶が効果的に生成して
おり、その微細結晶を包み込むように珪素原子が非常に
均一に分布している。
また、珪素の分布状態は、焼成時の雰囲気や原料中の
メソフェーズの大きさ、濃度によっても制御することが
できる。例えば、メソフェーズを大きく成長させた場
合、珪素含有ポリマーは繊維表面相に押し出され易く、
焼成後繊維表面に珪素に富む層を生成させることができ
る。
次に、本発明における無機繊維I及び無機繊維IIの製
造方法について説明する。
無機繊維Iは、以下の第1工程〜第4工程で製造する
ことができる。
第1工程: 出発原料の一つである有機珪素重合体は、公知の方法
で合成することができ、例えば、ジメチルジクロロシラ
ンと金属ナトリウムの反応により得られるポリメチルシ
ランを不活性ガス中で400℃以上に加熱することにより
得られる。
上記有機珪素重合体は、結合単位(Si−CH2)、又は
結合単位(Si−CH2)と結合単位(Si−Si)より主とし
てなり、結合単位(Si−CH2)の全数対結合単位(Si−S
i)の全数の比率は1:0〜20の範囲内にある。
有機珪素重合体の重量平均分子量(Mw)は、一般的に
は300〜1000で、Mwが400〜800のものが、優れた炭素系
無機繊維を得るための中間原料である前駆重合体(1)
を調製するために特に好ましい。
もう一つの出発原料である多環状芳香族化合物は石油
類及び/又は石炭類から得られるピッチで、特に好まし
いピッチは、石油類の流動接触分解により得られる重質
油、その重質油を蒸留して得た留出成分又は残渣油及び
それらを熱処理して得られるピッチである。
上記ピッチ中には、ベンゼン、トルエン、キシレン、
テトラヒドロフランなどの有機溶媒に不溶の成分が5〜
98重量%含まれていることが好ましい。上記の不溶成分
が5重量%未満のピッチを原料として用いた場合、強
度、弾性率共に優れた無機質繊維は得られず、また、98
重量%より多いピッチを原料として用いた場合、共重合
体の分子量上昇が激しく、一部コーキングの起こる場合
もあり、紡糸困難な状態になる。
このピッチの重量平均分子量(Mw)は、100〜3000で
ある。
重量平均分子量は以下のようにして求めた値である。
即ち、ピッチがベンゼン、トルエン、キシレン、テトラ
ヒドロフラン、クロロホルム及びジクロロベンゼン等の
ゲルパーミュエーションクロマトグラフ(GPC)測定用
有機溶媒不溶分を含有しない場合はそのままGPC測定
し、ピッチが上記有機溶媒不溶分を含有する場合は、温
和な条件で水添処理し、上記有機溶媒不溶分を上記有機
溶媒可溶な成分に変えて後GPC測定する。以下、上記有
機溶媒不溶分を含有する重合体の重量平均分子量は、上
記と同様の処理を施し求めた値である。
前駆重合体(1)は、有機珪素重合体に、石油系又は
石炭系ピッチを添加し、不活性ガス中で好ましくは250
〜500℃の範囲の温度で加熱反応させることにより調製
される。
ピッチの使用割合は、有機珪素重合体100部当たり83
〜4900部であることが好ましい。ピッチの使用割合が過
度に小さい場合は、得られる無機繊維中の炭化珪素成分
が多くなり、高弾性率を有する無機繊維が得られなくな
り、また、その割合が過度に多い場合は、炭化珪素成分
が少なくなり、マトリックス炭素との界面接着性、耐酸
化性に優れた無機繊維が得られなくなる。
上記反応の反応温度が過度に低いと、珪素原子と芳香
族炭素の結合が生成しにくくなり、反応温度が過度に高
いと、生成した前駆重合体(1)の分解及び高分子量化
が激しく起こり好ましくない。
メソフェーズ多環状芳香族(2)は、例えば、石油系
又は石炭系ピッチを不活性ガス中で300〜500℃に加熱
し、生成する軟質留分を除去しながら縮重合することに
よって調製することができる。
上記縮重合反応温度が過度に低いと縮合環の成長が充
分でなく、またその温度が過度に高いとコーキングによ
り不融化物の生成が激しくなる。
上記のメソフェーズ多環状芳香族化合物(2)は、融
点が200〜400℃の範囲にあり、また、重量平均分子量が
200〜10000である。
メソフェーズ多環状芳香族化合物(2)の中でも、20
〜100%の光学的異方性度を有し、30〜100%のベンゼ
ン、トルエン、キシレン又はテトラヒドロフランに対す
る不溶分を含むものが、機械的性能上優れた無機繊維を
得るために特に好ましい。
第1工程では、前駆重合体(1)とメソフェーズ多環
状芳香族化合物(2)とを200〜500℃の温度範囲で加熱
溶融及び/又は加熱反応し、珪素含有多環状芳香族重合
体からなる紡糸ポリマーを調製する。
メソフェーズ多環状芳香族化合物(2)の使用割合は
前駆重合体(1)100部当たり5〜50000部であることが
好ましく、5部未満では、生成物におけるメソフェーズ
含有量が不足するため、高弾性の焼成糸が得られず、ま
た、50000部より多い場合は、珪素成分の不足のためマ
トリックス炭素との界面接着性、耐酸化性に優れた無機
繊維が得られなくなる。
上記珪素含有多環状芳香族重合体の重量平均分子量は
200〜11000で、融点が200〜400℃である。
第2工程: 第1工程で得られる珪素含有多環状芳香族重合体であ
る紡糸ポリマーを加熱溶融させて、場合によってはこれ
を濾過してミクロゲル、不純物等の紡糸に際して有害と
なる物質を除去し、これを通常用いられる合成繊維紡糸
装置により紡糸する。紡糸する際の紡糸原液の温度は原
料ポリマーの軟化温度によって異なるが、220〜420℃の
範囲の温度が有利である。
前記紡糸装置において、必要に応じて紡糸筒を取付
け、該紡糸筒内の雰囲気を空気、不活性ガス、熱空気、
熱不活性ガス、スチーム、及びアンモニアガスからなる
群から選ばれる一種以上の雰囲気とした後、巻取り速度
を大きくすることにより細い直径の繊維を得ることがで
きる。前記溶融紡糸における紡糸速度は原料の平均分子
量、分子量分布、分子構造によって異なるが、50〜5000
m/分の範囲であることが好ましい。
第3工程: 第2工程で得られる紡糸繊維を張力又は無張力の作用
もとで不融化する。
代表的な不融化方法は、紡糸繊維を酸化性雰囲気中で
加熱する方法である。不融化の温度は好ましくは50〜40
0℃の範囲の温度である。不融化温度が過度に低いと紡
糸原糸を構成するポリマーのはしかけが起こらず、ま
た、この温度が過度に高いとポリマーが燃焼する。
不融化の目的は、紡糸繊維を構成するポリマーを三次
元構造の不融・不溶のはしかけ状態にし、次工程の焼成
の際に溶融せず、且つ隣接した繊維と融着しないように
することである。不融化の際の酸化性雰囲気を構成する
ガスとしては、空気、オゾン、酸素、塩素ガス、臭素ガ
ス、アンモニアガス、及びこれらの混合ガスが挙げられ
る。
上記とは別の不融化方法として、紡糸繊維に酸化性雰
囲気あるいは非酸化性雰囲気で、張力あるいは無張力で
必要に応じて低温加熱しながら、γ線照射、あるいは電
子線照射して不融化する方法も採用することができる。
このγ線あるいは電子線を照射する目的は、紡糸繊維
を形成するポリマーを、さらに重合させることによっ
て、紡糸原糸が融解し、繊維形状を失うことを防ぐこと
にある。
γ線あるいは電子線の照射線量は106〜1010ラッドが
適当である。
照射は真空、不活性ガス雰囲気下、あるいは空気、オ
ゾン、酸素、塩素ガス、臭素ガス、アンモニアガス及び
これらの混合ガスのような酸化性ガス雰囲気で行うこと
ができる。
照射による不融化は室温で行うこともでき、必要であ
れば50〜200℃の温度範囲で加熱しながら行うことによ
って不融化をより短時間で達成させることもできる。
不融化は、無張力下で行うと、前記紡糸繊維は収縮の
ため波状の形を呈するようになるが、次工程の焼成工程
で矯正できる場合もあり、張力は必ずしも必要ないが、
張力を作用させる場合には、その張力の大きさは不融化
時に紡糸繊維が収縮して波状となることを少なくとも防
止できる以上の張力を作用させると良い結果が得られ
る。
不融化の際に、作用させる張力としては、1〜500g/m
m2の範囲が好ましく、1g/mm2以下の張力を作用させても
繊維をたるませないような緊張を与えることができず、
500g/mm2以上の張力を作用させると繊維が切断すること
がある。
第4工程: 第3工程で得られる不融化糸を、真空あるいは不活性
ガス雰囲気中で800〜3000℃の範囲の温度で焼成するこ
とによって、主として炭素、珪素、酸素からなる無機繊
維が得られる。
焼成工程において、張力を作用させることは必ずしも
必要ないが、0.001〜100Kg/mm2の範囲で張力を作用させ
ながら高温焼成すると屈曲を少なくした強度の高い無機
繊維を得ることができる。
加熱過程において、約700℃から無機化が激しくな
り、約800℃でほぼ無機化が完了するものと推定され
る。従って、焼成は、800℃以上の温度で行うことが好
ましい。また、3000℃より高い温度を得るには高価な装
置を必要とするため3000℃より高温での焼成は、コスト
面からみて実際的でない。
無機繊維IIは以下の第1工程〜第4工程で製造するこ
とができる。
第1工程: 無機繊維I製造の第1工程の前駆重合体(1)の調製
方法と同様にして、有機珪素重合体とピッチより前駆重
合体(1)が調製される。
次に、前駆重合体(1)と式MX4で示される遷移金属
化合物とを100〜500℃の範囲の温度で反応させランダム
共重合体(2)を調製する。
上記MX4において、MはTi、Zr及びHfから選択される
少なくとも一種の元素であり、Xは縮合により、Mが前
駆重合体(1)の珪素と直接あるいは酸素原子を介して
結合子得るものであればよく、特に規定はないが、ハロ
ゲン原子、アルコキシ基又はβ−ジケトンのような錯体
形成基が好ましい。
反応温度が過度に低いと、前駆重合体(1)と式MX4
との縮合反応が進行せず、反応温度が過度に高いと、M
を介して前駆重合体(1)の架橋反応が過度に進行しゲ
ル化が起こったり、前駆重合体(1)自体が縮合し高分
子量化したり、あるいは、場合によってはMX4が揮散し
好ましくない。
一例として、MがTiで、XがOC4H9の場合、反応温度
は200〜400℃が適している。
この反応によって、前駆重合体(1)の珪素原子の少
なくとも一部を金属Mと直接あるいは酸素原子を会して
結合させたランダム共重合体(3)が調製される。
Mは前駆重合体(1)の珪素原子に−MX3あるいは−
O−MX3のような結合様式で側鎖状に結合するともでき
るし、前駆重合体(1)の珪素原子に直接又は酸素を介
して架橋した結合様式もとり得る。
ランダム共重合体(3)を調製する方法としては、前
述の方法以外に、有機珪素重合体とMX4を反応させ、得
られた生成物にピッチをさらに反応させて調製する方法
も可能である。
第1工程においては最後にランダム共重合体(3)と
メソフェーズ多環状芳香族化合物(2)を加熱反応及び
/又は加熱溶融して、金属含有多環状芳香族重合体を調
製する。
メソフェーズ多環状芳香族化合物(2)は、無機繊維
I製造の第1工程に記載の調製方法と同様にして調製さ
れる。
メソフェーズ多環状芳香族化合物(2)は、融点が20
0〜400℃の範囲にあり、また、重量平均分子量200〜100
00である。
メソフェーズ多環状芳香族化合物の中でも、20〜100
%、特に40〜100%の光学的異方性度を有し、30〜100%
のベンゼン、トルエン、キシレン又はテトラヒドロフラ
ンに対する不溶分を含むものが、機械的性能の優れた無
機繊維IIを得るために好ましい。
メソフェーズ多環状芳香族化合物(2)の使用割合は
ランダム共重合体(3)100部当たり5〜50000部、より
好ましくは5〜10000部であり、5部未満では、生成物
におけるメソフェーズ含有量が不足するため、高弾性の
焼成糸が得られず、また、50000部より多い場合は、珪
素成分の不足のため、マトリックスに対する濡れ性、耐
酸化性に優れた無機繊維が得られなくなる。
ランダム共重合体(3)とメソフェーズ多環状芳香族
化合物(2)とを200〜500℃の温度範囲で加熱溶融及び
/又は加熱反応させることにより、ランダム共重合体
(3)の少なくとも一部がメソフェーズ多環状芳香族化
合物(2)と結合した金属含有多環状芳香族重合体が得
られる。ただし、ここで言う結合とは、珪素と多環状芳
香族化合物の炭素との化学結合及び/又はランダム共重
合体(2)中の珪素と化学結合した多環状芳香族環部分
とメソフェーズ多環状芳香族化合物との間のファンデル
ワールス結合等の物理的結合を意味する。
上記溶融混合温度が200℃より低いと不融部分が生
じ、糸が不均一となり、無機繊維の強度、弾性率に悪影
響を及ぼし、また、溶融混合温度が500℃より高いと縮
合反応が激しく進行し、生成重合体が高融点となり、重
合体の紡糸が著しく困難となる。
金属含有多環状芳香族重合体を調製する方法として
は、前述の方法以外に、有機珪素重合体とピッチを反応
させ、得られた生成物にメソフェーズピッチとMX4を同
時に又は順次添加し、さらに反応させて調製する方法も
可能である。
金属含有多環状芳香族重合体の重量平均分子量は200
〜11000で、融点が200〜400℃である。
第2工程: 第1工程で得られる金属含有多環状芳香族重合体であ
る紡糸ポリマーを前記した無機繊維I製造の第2工程と
同様にして紡糸する。
第3工程: 第2工程で得られる紡糸繊維を前記した無機繊維I製
造の第3工程と同様にして不融化する。
第4工程: 第3工程で得られる不融化糸を、前記した無機繊維I
製造の第4工程と同様にして焼成することによって、主
として炭素、M、珪素及び酸素からなる無機繊維IIが得
られる。
なお、無機繊維IIの構成成分c)であるSi−M−C−
O物質の形態は、第1工程乃至第4工程で採用される製
造条件によって決定される。一般的に言えば、第4工程
での焼成温度が例えば1000℃より低い場合、Si、M、
C、Oからなる非晶質より実質的に構成される。
一方、第4工程での焼成温度が例えば1700℃以上の場
合、実質的にβ−SiC、MC、β−SiCとMCの固溶体及びMC
1-x(ただし、0<x<1)からなる粒径500Å以下の超
微粒子及びSiOy(ただし、0<y≦2)、MOz(ただ
し、0<y≦2)からなる非晶質からなる集合体より実
質的に構成される。
上記温度の中間では、各集合体の混合系より構成され
ている。また、無機繊維中の酸素量は、例えば第1工程
におけるMX4の添加比率又は第3工程における不融化条
件により制御することができる。
また、構成成分c)の分布状態は、焼成時の雰囲気や
原料中のメソフェーズの大きさ、濃度によっても制御す
ることができる。例えば、メソフェーズを大きく成長さ
せた場合、構成成分c)は繊維表面相に押し出されやす
くなる。
本発明において上記無機繊維I及び/又は無機繊維II
と共にハイブリッド繊維を構成する繊維は、炭素繊維、
ガラス繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、窒化珪素繊
維、炭化珪素繊維、カーボンを芯線とする炭化珪素繊維
及びSi−M−C−O繊維(MはTi又はZrを示す。)が挙
げられる。
上記のSi−M−C−O繊維は、 (i) Si、M、C、及びOから実質的になる非晶質、
又は (ii) 実質的にβ−SiC、MC、β−SiCとMCの固溶体及
びMC1-xの粒径が500Å以下の各結晶質超微粒子、及び非
晶質のSiO2とMO2からなる集合体、又は (iii) 上記(i)の非晶質と上記(ii)の結晶質超
微粒子集合体の混合系、 (ただし、上式中のMはTi又はZrを示し、0<x<1を
示す) からなる無機繊維である。この無機繊維は、例えば、特
公昭60-1405号公報、同58-5286号公報、同60-20485号公
報、同59-44403号公報に記載の方法によって調製するこ
とができる。
本発明において強化材として用いる繊維は繊維そのも
のを単軸方向、多軸方向に配合させる方法、あるいは平
織、朱子織、模紗織、綾織、からみ織、らせん織、三次
元織物などの各種織物にして使用する方法、あるいはチ
ョップドファイバーとして使用する方法等がある。
ハイブリッド繊維中の本発明で限定した無機繊維の割
合は10体積%以上、好ましくは20体積%〜90体積%であ
る。10%より低いと無機繊維によるマトリックスとの間
の結合強さの向上、強化効率の向上という本発明の目的
とする機械的性質の改善効果に乏しい。
ハイブリッド繊維のハイブリッド状態を形態別にみる
と(1)ある種の繊維の層と別種の繊維の層を積層した
層間ハイブリッド(2)一つの層の中ですでにハイブリ
ッド化されている層内ハイブリッドの2種類が基本で、
(3)それらの組合せがある。組合せの主な型は以下の
6種である。
(a) 単層テープの積層(層単位で異質繊維を交互に
積層したもの) (b) サンドウィッチ型(層単位で異質繊維をサンド
ウィッチに積層したもの) (c) リブ補強 (d) 混織トウ(単繊維単位で異質の繊維をハイブリ
ッドしたもの) (e) 混織テープの積層(糸条単位で異質の繊維を層
内でハイブリッドしたもの) (f) 混織表層 本発明に係わるハイブリッド繊維のマトリックス中の
混合割合は10〜70体積%が好ましい。上記混合割合が10
体積%より少ないとハイブリッド繊維による補強効果が
充分に発現されず、また70体積%を越えるとマトリック
スの量が少ないため、ハイブリッド繊維の間隙を充分に
マトリックスで充填することができない。
従来の炭素繊維に比べ本発明のハイブリッド繊維を強
化材として用いることは、以下のような利点がある。
即ち、複合材としての用途として、一部の面又は部分
としての優れた特性が要求される場合、例えば、複合材
表面の耐磨耗性が要求される場合、無機繊維I及び/又
は無機繊維IIとボロン繊維、アルミナ繊維、窒化珪素繊
維、炭化珪素繊維、カーボンを芯線とする炭化珪素繊維
またはSi−M−C−O繊維とハイブリド化して用いるこ
とが有利であり、逆に潤滑性を要求される場合、無機繊
維I及び/又は無機繊維IIと炭素繊維とをハイブリッド
することが有利である。また、ある方向にのみ引張強度
が要求される場合、高強度炭素繊維を強度方向に配列し
高強度化し、他の方向には無機繊維I及び/又は無機繊
維IIで強化することにより圧縮破壊や層間剥離を防止す
るといった方法も有効である。
本発明の複合材料のマトリックス用炭素母材として
は、通常のC/Cコンポジットのマトリックス用炭素母材
を用いることができる。一例を挙げれば、フェノール樹
脂、フラン樹脂当接熱硬化性樹脂、ピッチ等熱可塑性高
分子等で焼成により炭素に転換できるもの、成形可能な
炭素粉末、及び炭素粉末と前記樹脂との混合物等が、マ
トリックス用炭素母材として使用できる。マトリックス
用炭素母材として炭素粉末を用いる場合、マトリックス
と繊維との密着性向上のため結合剤を使用すると、さら
に効果的である。
上記結合剤としては、ジフェニルシロキサン、ジメチ
ルシロキサン、ポリボロジフェニルシロキサン、ポリボ
ロジメチルシロキサン、ポリカルボシラン、ポリジメチ
ルシラザン、ポリチタノカルボシラン、ポリジルコノカ
ルボシランなどの有機珪素ポリマー及びジフェニルシラ
ンジオール、ヘキサメチルジシラザンなどの有機珪素化
合物が挙げられる。
炭素母材とハイブリッド繊維との集合体を成形する方
法としては、強化繊維に、必要により結合剤を添加した
炭素粉末を添加し、ラバープレス成形、金型プレス成形
及びホットプレス成形する方法や、繊維束又は織物を熱
硬化性又は熱可塑性樹脂の溶液に含浸後、溶媒を乾燥・
除去して得たプリプレグシートを、通常のFRPの成形方
法、例えばプリプレグシートを金型中に積層し、ホット
プレスにより成形する方法等を用いることができる。
上記成形体は、必要により不融化を行った後、不活性
雰囲気下で、800℃〜3000℃に加熱し、マトリックス成
分の炭素化を行う。
得られたハイブリッド繊維強化複合材料は、そのまま
種々の用途に使用してもよいし、さらに熱硬化又は熱可
塑性樹脂等の融液又は溶液を含浸後、無機化する工程を
繰り返しさらに高密度化、高強度化して使用することも
できる。また、特に機械的特性を要求される場合、CVI
法など気相法による高密度化も効果的である。
(発明の効果) 本発明のハイブリッド繊維強化炭素材料は、炭素マト
リックスとの接着性が改善されるため、高強度、高弾性
にして靱性に優れた炭素材料を得ることができるととも
に、耐摩耗性等実用上の機械特性も向上することができ
る。
従って、えられた複合材料は、各種ブレーキ類、耐熱
構造材料として優れたものである。
また、本発明のハイブリッド繊維強化炭素質複合材料
は、要求特性に合致した複合材として提供することがで
きる。
即ち、無機繊維I及び/又は無機繊維IIとボロン繊
維、アルミナ繊維、窒化珪素繊維、炭化珪素繊維、カー
ボンを芯線とする炭化珪素繊維またはSi−M−C−O繊
維等とハイブリド化して得た複合材は耐磨耗性に優れて
いる。また、無機繊維I及び/又は無機繊維IIと炭素繊
維とハイブリッド化して得た複合材は潤滑性に優れてい
る。さらに、高強度炭素繊維を強度方向に配列し高強度
化し、他の方向には無機繊維I及び/又は無機繊維IIで
強化したハイブリッド繊維強化炭素質複合材料は、高強
度炭素繊維の配列方向の引張強度の優れた、しかも圧縮
破壊や層間剥離の起きにくい複合材である。
(実施例) 以下実施例によって本発明を説明する。
参考例1(無機繊維Iの製造) 5lの三口フラスコに無水キシレン2.5l及びナトリウム
400gを入れ、窒素ガス気流下でキシレンの沸点まで加熱
し、ジメチルジクロロシラン1を1時間で滴下した。
滴下終了後、10時間加熱還流し沈澱物を生成させた。沈
澱を濾過し、メタノールついで水で洗浄して、白色粉末
のポリジメチルシラン420gを得た。
このポリジメチルシラン400gを、ガス導入管、攪拌
機、冷却器及び留出管を備えた3lの三口フラスコに仕込
み、攪拌しながら50ml/分の窒素気流下に420℃で加熱処
理して、留出受器に350gの無色透明な少し粘性のある液
体を得た。
この液体の数平均分子量は蒸気圧浸透法で測定したと
ころ470であった。
この物質の赤外線吸収スペクトルを測定したところ、
650〜900cm-1と1250cm-1にSi−CH3の吸収、2100cm-1にS
i−Hの吸収、1020cm-1付近と1355cm-1にSi−CH2−Siの
吸収、2900cm-1と2950cm-1にC−Hの吸収が認められ、
またこの物質の遠赤外線吸収スペクトルを測定したとこ
ろ、380cm-1にSi−Siの吸収が認められることから、得
られた液状物質は、主として(Si−CH2)結合単位及び
(Si−Si)結合単位からなり、珪素の側鎖に水素原子及
びメチル基を有する有機珪素重合体であることが判明し
た。
核磁気共鳴分析及び赤外線吸収分析の測定結果から、
この有機珪素重合体は(Si−CH2)結合単位の全数対(S
i−Si)結合単位の全数の比率がほぼ1:3である重合体で
あることが確認された。
上記有機珪素重合体300gをメタノールで処理して低分
子量物を除去して、数平均分子量が1200の重合体40gを
得た。
この物質の赤外線吸収スペクトルを測定したところ、
上記と同様の吸収ピークが認められ、この物質は主とし
て(Si−CH2)結合単位及び(Si−Si)結合単位からな
り、珪素の側鎖に水素原子及びメチル基を有する有機珪
素重合体であることが判明した。
核磁気カード共鳴分析及び赤外線吸収分析の測定結果
から、この有機珪素重合体は(Si−CH2)結合単位の全
数対(Si−Si)結合単位の全数の比率がほぼ7:1である
重合体であることが確認された。
一方、石油留分のうち、軽油以上の高沸点物をシリカ
・アルミナ系分解触媒の存在下、500℃の温度で流動接
触分解・精留を行い、その塔底より残渣を得た。以下、
この残渣をFCCスラリーオイルと呼ぶ。
このFCCスラリーオイルは、元素分析の結果、炭素原
子対水素原子の原子比(C/H)が0.75で、核磁気カード
共鳴分析による芳香炭素率が0.55であった。
上記FCCスラリーオイル200gを2l/分の窒素ガス気流下
450℃で0.5時間加熱し、同温度における留出分を留去
後、残渣を200℃にて熱時濾過を行い、同温度における
不融部を除去し、軽質分除去ピッチ57gを得た。
この軽質分除去ピッチは25%のキシレン不溶分を含ん
でいた。
この軽質分除去ピッチ57gに先に合成した有機珪素重
合体25g及びキシレン20mlを加え、攪拌しながら昇温
し、キシレンを留去後、400℃で6時間反応させ51gno前
駆重合体(1)を得た。
この反応生成物は赤外線吸収スペクトル測定の結果、
有機珪素重合体中に存在するSi−H結合(IR:2100c
m-1)の減少、及び新たなSi−C(ベンゼン環の炭素)
結合(IR:1135cm-1)の生成が認められることより有機
珪素重合体の珪素原子の一部が多環状芳香族環と直接結
合した部分を有する共重合体であることがわかった。
この前駆重合体(1)は、キシレン不溶部を含まず重
量平均分子量が1400で、融点が265℃で、軟化点が310℃
であった。
一方、前記軽質分除去ピッチ180gを窒素気流下、反応
により生成する軽質分を除去しながら400℃で8時間縮
重合を行い、熱処理ピッチ97.2gを得た。
この熱処理ピッチは融点263℃、軟化点308℃、キシレ
ン不溶分77%、キノリン不溶分31%を含有しており、研
磨面の偏光顕微鏡観察による光学的異方性が75%のメソ
フェーズ多環状芳香族化合物(2)であった。
このメソフェーズ多環状芳香族化合物(2)90gと前
記ランダム共重合体(1)6.4gを混合し、窒素雰囲気
下、380℃で一時間溶融加熱し、均一な状態にある珪素
含有多環状芳香族重合体を得た。
この重合体は、融点が267℃で、軟化点が315℃で、70
%のキシレン不溶分を含んでいた。
上記高分子量物を紡糸用原料とし、ノズル径0.15mmの
金属製ノズルを用い、360℃で溶融紡糸を行い、鰓得た
紡糸原糸を、空気中、300℃で酸化、不融化し、更にア
ルゴン雰囲気中、1300℃で焼成を行い、直径8μmの無
機繊維Iを得た。
この繊維は引張強度が320kg/mm2、引張弾性率26t/mm2
であり、破壊面の観察よりラジアル構造であった。
この無機繊維Iを粉砕後アルカリ溶融、塩酸処理を施
し水溶液とした後、高周波プラズマ発光分光分析を行っ
た結果、この無機繊維I中の珪素含有率は0.95%である
ことがわかった。
参考例2(無機繊維IIの製造) 参考例1で得られた軽質分除去ピッチ57gに参考例1
で得た有機珪素重合体25g及びキシレン20mlを加え、攪
拌しながら昇温し、キシレンを留去後、400℃で4時間
反応させ57.4gの前駆重合体(1)を得た。
この前駆重合体(1)は赤外線吸収スペクトル測定の
結果、有機珪素重合体中に存在するSi−H結合(IR:210
0cm-1)の減少、及び新たなSi−C(ベンゼン環の炭
素)結合(IR:1135cm-1)の生成が認められることより
有機珪素重合体の珪素原子の一部が多環状芳香族環の炭
素と直接結合した部分を有する重合体であることがわか
った。
前駆重合体(1)57.4gにテトラオクトキシチタン〔T
i(OC8H17)4〕3.87gのキシレン溶液(25%キシレン溶液
15.5g)を加え、キシレン留去後、340℃で1時間反応さ
せ、ランダム共重合体(2)56gを得た。
この重合体は、キシレン不溶部を含まず重量平均分子
量は1580、融点は258℃、軟化点292℃であり、キシレン
可溶であった。
上記ランダム共重合体(2)6.4gと参考例1で得られ
たメソフェーズ多環状芳香族化合物(2)90gを混合、
窒素雰囲気下380℃で1時間溶融加熱し、均一な状態に
ある金属含有多環状芳香族重合体を得た。
この重合体の融点は264℃で、軟化点307℃、68%のキ
シレン不溶分を含んでいた。
上記高分子量物を紡糸用原料とし、ノズル径0.15mmの
金属製ノズルを用い、360℃で溶融紡糸を行い、得られ
た紡糸原糸を、空気中、300℃で酸化、不融化し、更に
アルゴン雰囲気中、1300℃で焼成を行い、直径7.5μm
の無機繊維を得た。
この繊維は引張強度が358kg/mm2、引張弾性率32t/mm2
であり、破断面の走査型電子顕微鏡を用いた観察より、
結晶層が幾重にも重なった珊瑚様のランダムラジアル混
在構造であった。
この無機繊維を粉砕後、アルカリ溶融、塩酸処理を施
し、水溶液とした後高周波プラズマ発行分光分析(IC
P)を行った結果、珪素含有率は0.95%、チタン含有率
は0.06%であった。
参考例3(Si−Ti−C−O繊維の製造) ジメチルジクロロシランを金属ナトリウムで脱塩素縮
合して合成されるポリジメチルシラン100部に対しポリ
ボロシロキサンを3部の割合で添加し、窒素中、350℃
で熱縮合し、式(Si−CH2)のカルボシラン単位から主
としてなる主鎖骨格を有し、該カルボシラン単位の珪素
原子に水素原子及びメチル基を有しているポリカルボシ
ランを調製した。このポリカルボシランに、チタンアル
コキシドを加えて、窒素中、340℃で架橋重合すること
により、カルボシラン単位100部と式(Ti−O)のチタ
ノキサン10部とからなるポリチタノカルボシランを得
た。このポリマーを溶融紡糸し、空気中190℃で不融化
処理し、さらに引き続いて窒素中1300℃で焼成して、繊
維径13μ、引張強度310kg/mm2、弾性率16t/mm2(モノフ
ィラメント法)の主として珪素、チタン、炭素及び酸素
からなるチタン元素3%含有の無機繊維を得た。得られ
た無機繊維はSi、Ti、C及びOからなる非晶質と、β−
SiC、TiC、β−SiCとTiCの固溶体及びTiC1-x(ただし、
0<x<1)の粒径が約50Åの各結晶質長鎖微粒子及び
非晶質のSiO2とTiO2からなる集合体との混合系からなる
Si−Ti−C−O繊維であった。
実施例1 参考例1で得た無機繊維Iと参考例3で得たSi−Ti−
C−O繊維との混織トウ(無機繊維IとSi−Ti−C−O
繊維との体積割合は8:2であった。)より製造した平織
織物にレゾールタイプのフェノール樹脂(明和化成
(株)製MRW-3000)のメタノール溶液に浸し引き上げた
後、メタノールを除去後、乾燥し、プリプレグシートを
得た。このプリプレグシートより一辺が5cmの正方形シ
ートを切り出し、金型中に重ね、200℃、50kg/cm2でプ
レスし、フェノール樹脂を硬化させ、成形体を得た。こ
の成形体を炭素粉末中に埋め、窒素気流中5℃/hの昇温
速度で1000℃まで昇温し、無機繊維強化炭素複合材料を
得た。
この複合材料に参考例1に記載のメソフェーズ多環状
芳香族化合物(2)の粉末を加え、オートクレーブ中、
窒素雰囲気下、350℃に加熱し、溶融後、減圧し、気孔
中にメソフェーズ多環状芳香族化合物(2)を含浸させ
た後、100kg/cm2で加圧含浸処理後、空気中で、5℃/h
の昇温速度で300℃まで昇温し、不融化後、1300℃で炭
素化した。上記メソフェーズ多環状芳香族化合物(2)
の含浸、炭素化をさらに3回繰り返した。
得られた複合材の嵩密度は、1.75g/cm3、曲げ強度28k
g/mm2、繊維体積含有率(Vf)は60体積%であった。
この複合材の摩擦係数及び磨耗量を測定し、その結果
を第1表に示した。
比較例1 引張強度300kg/mm2、引張弾性率24t/mm2のポリアクリ
ロニトリル系炭素繊維を強化材とした以外は実施例1と
同様にしてC/Cコンポジットを製造した。このコンポジ
ットの特性を第1表に示した。
比較例2 参考例3に記載のSi−Ti−C−O繊維を強化材とした
以外は実施例1と同様にして、Si−Ti−C−O/Cコンポ
ジットを製造した。このコンポジットの特性を第1表に
示した。
ただし、ダイナモメーターによる磨耗量の測定条件は
以下の通りであった(相手材はいずれの場合も同複合材
であった)。
慣性量 0.06〜0.08kgf・m・sec2 回転数 3000〜5000rpm 摺動初速度 10〜20m/sec 押付圧力 5〜10kg/cm2 第1表から明らかなように、実施例1で得られた複合
材の摩擦係数は0.4〜0.6、磨耗量が0.6〜1.0×10-4mm/s
top/surfであり、比較例1のC/Cコンポジットと比べ耐
磨耗性に優れている。
また、比較例2で得られたコンポジットは、摩擦係数
が0.8〜1.0と大きく、C/Cコンポジットに比べ摺動性
(自己潤滑性)に劣るのに対し、実施例1で得られた複
合材は、C/Cコンポジットの摩擦係数と同程度であっ
た。
実施例2 参考例2で得た無機繊維IIと引張強度570kg/mm2、引
張弾性率30t/mm2のポリアクリロニトリル系高強度炭素
繊維に実施例1と同様のフェノール樹脂を用いて処理し
たテープを一方向に引き揃えたものを90°ずつずらして
交互に積層し、以下実施例1と同様にして複合材料を製
造した。
得られた複合材料の繊維体積含有率(Vf)は、無機繊
維IIが20体積%、炭素繊維が20体積%、合計40体積%で
あった。
この複合材料の炭素繊維強化方向の引張強度は51kg/m
m2無機繊維II強化方向の曲げ強度は35kg/mm2であり、強
化方向により特異性のある材料であった。
フロントページの続き (72)発明者 渋谷 昌樹 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇 部興産株式会社宇部研究所内 審査官 柳 和子

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無機繊維I、無機繊維II、炭素繊維、ガラ
    ス繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、窒化珪素繊維、炭
    化珪素繊維、カーボンを芯線とする炭化珪素繊維及びSi
    −M−C−O繊維(MはTi又はZrを示す。)からなる群
    から選ばれた少なくとも二種の繊維からなり、かつ該繊
    維の構成成分として無機繊維I、無機繊維IIの少なくと
    も一方を含有するハイブリッド繊維を強化材とし、炭素
    をマトリックスとする繊維強化複合材料において、 上記無機繊維Iが珪素含有多環状芳香族重合体から得ら
    れる無機繊維であって、その構成成分が、 i) 該重合体を構成するメソフェーズ状態にある多環
    状芳香族化合物から導かれるラジアル構造、オニオン構
    造、ランダム構造、コアラジアル構造、スキンオニオン
    構造及びモザイク構造からなる群から選ばれる少なくと
    も一種の結晶配列状態を示す炭素質、 ii) 該重合体を構成する光学的等方性の多環状芳香族
    化合物から導かれる、無配向状態の結晶質炭素及び/又
    は非晶質炭素、及び iii) Si、C及びOから実質的になる非晶質相及び/
    又は粒径が500Å以下の実質的にβ−SiCからなる結晶質
    超微粒子と非晶質のSiOx(0<x≦2)からなる集合体
    であり、 構成元素の割合が、Si;30〜70重量%C;20〜60重量%及
    び0;0.5〜10重量%であるSi−C−O物質 よりなる無機繊維であり、 上記無機繊維IIがチタン、ジルコニウム及びハフニウム
    からなる群から選ばれる少なくとも一種類の元素及び珪
    素を含有する多環状芳香族重合体から得られる無機繊維
    であって、その構成成分が、 a) 該重合体を構成するメソフェーズ状態にある多環
    状芳香族化合物から導かれるラジアル構造、オニオン構
    造、ランダム構造、コアラジアル構造、スキンオニオン
    構造及びモザイク構造からなる群から選ばれる少なくと
    も一種の結晶配列状態を示す炭素質、 b) 該重合体を構成する光学的等方性の多環状芳香族
    化合物から導かれる、無配向状態の結晶質炭素及び/又
    は非晶質炭素、及び c) Si、M、C及びOから実質的になる非晶質物
    質、及び/又は 実質的にβ−SiC、MC、β−SiCとMCの固溶体及びMC
    1-xからなる粒径が500Å以下の結晶超微粒子と、非晶質
    のSiOy及びMOzとの集合体であり、 構成元素の割合がSi;5〜70重量%、M;0.5〜45重量%、
    C;20〜40重量%及びO;0.01〜30重量%である、Si−M−
    C−O物質(上記式中、MはTi、Zr及びHfから選択され
    る少なくとも一種の元素であり、0<x<1、0<y≦
    2、0<z≦2である。) よりなる無機繊維であることを特徴とするハイブリッド
    繊維強化炭素質複合材料。
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