JPH0689257B2 - 無機繊維強化プラスチック複合材料 - Google Patents

無機繊維強化プラスチック複合材料

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JPH0689257B2
JPH0689257B2 JP21720689A JP21720689A JPH0689257B2 JP H0689257 B2 JPH0689257 B2 JP H0689257B2 JP 21720689 A JP21720689 A JP 21720689A JP 21720689 A JP21720689 A JP 21720689A JP H0689257 B2 JPH0689257 B2 JP H0689257B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、主として炭素、珪素、酸素からなる、無機繊
維を強化材とする機械的性質の優れた無機繊維強化プラ
スチック複合材料(以下、複合材料と略記する)に関す
るものである。
(従来の技術及びその問題点) これまでにエポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ポリエス
テル樹脂、ポリイミド樹脂等のプラスチック類を強化す
る繊維としては、炭素繊維が広く用いられている。しか
しながら炭素繊維を用いる場合は、樹脂との濡れ性が劣
るため繊維の表面処理が必要である。しかし、表面処理
した炭素繊維を強化材として用いたプラスチック複合材
料であっても、層間剪断強度は最高約8kg/mm2であり、
繊維に垂直方向の引張強度は約4.5kg/mm2である。即
ち、樹脂と繊維との間の結合強度が弱く、繊維は樹脂か
ら剥離し易い。このため、例えば長期間の使用による繊
維と樹脂との剥離あるいは曲げ衝撃値が低いことによる
瞬間的な衝撃による破壊という実用上の問題を生じてい
る。
また、ポリカルボシランと呼ばれる誘起珪素重合体を紡
糸、不融化、焼成して得られる炭化珪素繊維は樹脂との
複合材料において、樹脂との濡れ性が良く、表面処理な
しで強化材として利用できることが特開昭52−14687号
公報に開示されている。しかし、上記無機繊維は高価で
あり、このことが同繊維の複合材への使用の妨げの一つ
となっている。
(問題点を解決するための手段) 本発明の目的は、上記問題点を解決し、機械的性質に優
れ、且つ安価な複合材料の提供にある。
本発明の他の目的は、プラスチックからなるマトリック
スと強化材である無機繊維との結合強さに優れた複合材
料の提供にある。
本発明の他の目的は、マトリックスと無機繊維との間の
適合性に優れ、無機繊維による強化効率に優れた複合材
料の提供にある。
本発明の他の目的は、疲労強度低下率の少ない複合材料
の提供にある。
本発明の他の目的は、安価にして、大量生産に適した複
合材料の提供にある。
さらに、本発明は、層間剪断強度が最高約8.5kg/mm2
上、繊維に垂直方向の引張強度及び曲げ強度がそれぞれ
約6kg/mm2以上及び約8kg/mm2以上であり、曲げ衝撃値が
200kg・cm/cm2以上である無機繊維強化プラスチック複
合材料を提供する。
本発明の複合材料は、無機繊維を強化材とし、プラスチ
ックをマトリックスとし、 a)前記無機繊維が珪素含有多環状芳香族重合体から得
られる無機繊維であって、その構成成分が、 i)該重合体を構成するメソフェーズ状態にある多環状
芳香族化合物から導かれるラジアル構造、オニオン構
造、ランダム構造、コアラジアル構造、スキンオニオン
構造及びモザイク構造からなる群から選ばれる少なくと
も一種の結晶配列状態を示す炭素質、 ii)該重合体を構成する誘起溶媒不溶分を含む光学的等
方性の多環状芳香族化合物から導かれる、無配向状態の
結晶質炭素及び/又は非晶質炭素、及び iii)Si、C及びOから実質的になる非晶質相及び/又
は粒径が500Å以下の実質的にβ−SiCからなる結晶質超
微粒子と非晶質のSiOX(0<x≦2)からなる集合体で
あり、 構成元素の割合が、Si;30〜70重量%、C;20〜60重量%
及びO;0.5〜10重量%であるSi−C−O物質 よりなる高強度・高弾性率無機繊維であり、 b)前記複合材料中の上記無機繊維含有率が10〜80体積
%、 であることを特徴とする無機繊維強化プラスチック複合
材料である。
本発明における無機繊維についてまず説明する。なお、
以下の記載において、「部」はすべて「重量部」であ
り、「%」はすべて「重量%」である。
本発明における無機繊維は前述した構成成分i)、ii)
及びiii)からなっており、Si;0.01〜29%、C;70〜99.9
%及びO;0.001〜10%、好ましくはSi;0.1〜25%、C;74
〜99.8%及びO;0.01〜8%から実質的に構成されてい
る。
この無機繊維の構成成分である結晶質炭素は500Å以下
の結晶子サイズを有し、1.5Åの分解能を有する高分解
電子顕微鏡において、繊維軸方向に配向した3.2Åの(0
02)面に相当する微細なラティスイメージ像が観察され
うる超微粒子のグラファイト結晶である。無機繊維中の
結晶質炭素は、ラジアル構造、オニオン構造、ランダム
構造、コアラジアル構造、スキンオニオン構造、モザイ
ク構造及び一部ラジアル構造を含むランダム構造等をと
ることができる。これは、原料中にメソフェーズ多環状
芳香族化合物(2)が存在することに起因する。
この無機繊維における構成成分i)及びii)の総和100
部に対する構成成分iii)の割合は0.015〜200部であ
り、且つ構成成分i)とii)との比率は1:0.02〜4であ
る。
構成成分i)及びii)は総和100部に対する構成成分ii
i)の割合が0.015未満の場合は、ほとんどピッチ繊維と
変わらず、耐酸化性や濡れ性の向上は望めず、上記割合
が200部を越えた場合はグラファイトの微細結晶が効果
的には生成せず、高弾性率の繊維が得られない。
この無機繊維では、層間隔が小さく三次元的配列が付与
された微結晶が効果的に生成している。
また、珪素の分布状態は、焼成時の雰囲気や原料中のメ
ソフェーズの大きさ、濃度によっても制御することがで
きる。例えば、メソフェーズを大きく成長させた場合、
珪素含有ポリマーは繊維表面相に押し出され易く、焼成
後繊維表面に珪素に富む層が生成する。
本発明における無機繊維は、 i)結合単位(Si−CH2)、または結合単位(SI−CH2
と結合単位(Si−Si)から主としてなり、珪素原子の側
鎖に水素原子、低級アルキル基、フェニル基及びシリル
基からなる群から選ばれる側鎖基を有し、結合単位(Si
−CH2)の全数対結合単位(Si−Si)の全数の比が1:0〜
20の範囲にある有機珪素重合体の珪素原子の少なくとも
一部が、石油系又は石炭系のピッチあるいはその熱処理
物の芳香族環と珪素−炭素連結基を介して結合したラン
ダム共重合体(1)100重量部、及び ii)石油系又は石炭系ピッチを熱処理して得られるメソ
フェーズ状態又はメソフェーズと光学的等方相との両相
からなる多環状芳香族化合物(以下両者を総称してメソ
フェーズ多環状芳香族化合物(2)と言うことがあ
る。)5〜50000重量部を、 200〜500℃の範囲の温度で加熱反応及び/又は加熱溶融
して、珪素含有多環状芳香族重合体を得る第1工程、 上記珪素含有多環状芳香族重合体の紡糸原液を調製して
紡糸する第2工程、 該紡糸原糸を張力下あるいは無張力下で不融化する第3
工程、及び 不融化した前記紡糸繊維を真空中あるいは不活性ガス雰
囲気中で800〜3000℃の範囲の温度で焼成する第4工程 からなる方法で製造することができる。
上記の各工程について説明する。
第1工程: 出発原料の一つである結合単位(Si−CH2)、または結
合単位(Si−CH2)と結合単位(Si−Si)からなる有機
珪素重合体は、例えば、ジメチルジクロロシランと金属
ナトリウムの反応により得られるポリメチルシランを不
活性ガス中で400℃以上に加熱することにより得られ
る。この有機珪素重合体の重量平均分子量(MW)は、一
般的には300〜1000で、MWが400〜800のものが、優れた
炭素系無機繊維を得るための中間原料であるランダム共
重合体(1)を調製するために特に好ましい。
もう一つの出発原料である多環状芳香族化合物は石油類
及び/又は石炭類から得られるピットで、特に石油類の
流動接触分解により得られる重質油、その重質油を蒸留
して得た留出成分又は残渣油及びそれらを熱処理して得
られるピッチが好ましい。
上記ピッチ中には、ベンゼン、トルエン、キシレン、テ
トラヒドロフランなどの有機溶媒に不溶の成分が5〜98
%含まれていることが好ましく、5%未満のピッチを原
料として用いた場合、強度、弾性率共に優れた無機質繊
維は得られず、また、98重量%より多いピッチをを原料
として用いた場合、共重合体の分子量上昇が激しく、一
部コーキングの起こる場合もあり、紡糸困難な状態にな
る。
このピッチの重量平均分子量(MW)は、100〜3000であ
る。
重量平均分子量は以下のようにして求めた値である。即
ち、ピッチが有機溶媒不溶分を含有しない場合はそのま
まゲルパーミュエーションクロマトグラフ(GPC)測定
し、ピッチが有機溶媒不溶分を含有する場合は、温和な
条件で水添処理し、有機溶媒不溶分を有機溶媒可能な成
分に変えて後GPC測定する。有機溶媒不溶分を含有する
重合体の重量平均分子量は、上記と同様の処理を施し求
めた値である。
ランダム共重合体(1)は、有機珪素重合体に、石油系
又は石炭系ピッチを添加し、不活性ガス中で好ましくは
250〜500℃の範囲の温度で加熱反応させることにより調
製される。
ピッチの使用割合は、有機珪素重合体100部当たり83〜4
900部であることが好ましい。ピッチの使用割合が過度
に小さい場合は、得られる無機繊維中の炭化珪素成分が
多くなり、高弾性率を有する無機繊維が得られなくな
り、また、その割合が過度に多い場合は、炭化珪素成分
が少なくなり、マトリックスに対する濡れ性や耐酸化性
に優れた無機繊維が得られなくなる。
上記反応の反応温度が過度に低いと、珪素原子と芳香族
炭素の結合が生成しにくくなり、反応温度が過度に高い
と、生成したランダム共重合体(1)の分解及び高分子
量化が激しく起こり好ましくない。
メソフェーズ多環状芳香族化合物(2)は、例えば、石
油系又は石炭系ピッチを不活性ガス中で300〜500℃に加
熱し、生成する軟質留分を除去しながら縮重合すること
によって調製することができる。
上記縮重合反応温度が過度に低いと縮合環の成長が充分
でなく、またその温度が過度に高いとコーキングにより
不融化物の生成が激しくなる。
上記のメソフェーズ多環状芳香族化合物(2)は、融点
が200〜400℃の範囲にあり、また、重量平均分子量
(MW)が200〜10000である。
メソフェーズ多環状芳香族化合物(2)の中でも、20〜
100%、特に40〜100%の光学的異方性度を有し、30〜10
0%のベンゼン、トルエン、キシレン又はテトラヒドロ
フランに対する不溶分を含むものが、機械的性能上優れ
た無機繊維を得るために好ましい。
第1工程では、ランダム共重合体(1)とメソフェーズ
多環状芳香族化合物(2)を200〜500℃の温度範囲で加
熱溶融及び/又は加熱反応し、珪素含有多環状芳香族重
合体からなる紡糸ポリマーを調製する。
メソフェーズ多環状芳香族化合物(2)の使用割合はラ
ンダム共重合体(1)100部当たり5〜50000部であるこ
とが好ましく、5部未満では、生成物におけるメソフェ
ーズ含有量が不足するため、高弾性の焼成糸が得られ
ず、また、50000部より多い場合は、珪素成分の不足の
ため焼成糸のマトリックスに対する濡れ性、耐酸化性に
優れた無機繊維が得られなくなる。
上記珪含有多環状芳香族重合体の重量平均分子量(MW
は200〜11000で、融点が200〜400℃である。
第2工程: 第1工程で得られる珪素含有多環状芳香族重合体である
紡糸ポリマーを加熱溶融させて、場合によってはこれを
濾過してミクロゲル、不純物等の紡糸に際して有害とな
る物質を除去し、これを通常用いられる合成繊維紡糸装
置により紡糸する。
紡糸する際の紡糸原液の温度は原料ポリマーの軟化温度
によって異なるが、220〜420℃の範囲の温度が有利であ
る。
前記紡糸装置において、必要に応じて紡糸筒を取付け、
該紡糸筒内の雰囲気を空気、不活性ガス、熱空気、熱不
活性ガス、スチーム、及びアンモニアガスからなる群か
ら選ばれる一種以上の雰囲気とした後、巻取り速度を大
きくすることにより細い直径の繊維を得ることができ
る。前記溶融紡糸における紡糸速度は原料の平均分子
量、分子量分布、分子構造によって異なるが、50〜5000
m/分の範囲であることが好ましい。
第3工程: 第2工程で得られる紡糸繊維を張力又は無張力の作用も
とで不融化する。
代表的な不融化方法は、紡糸繊維を酸化性雰囲気中で加
熱する方法である。不融化の温度は好ましくは50〜400
℃の範囲の温度である。不融化温度が過度に低いと紡糸
原糸を構成するポリマーのはしかけが起こらず、また、
この温度が過度に高いとポリマーが燃焼する。
不融化の目的は、紡糸繊維を構成するポリマーを三次元
構造の不融・不溶のはしかけ状態にし、次工程の焼成の
際に溶融せず、且つ隣接した繊維と融着しないようにす
ることである。不融化の際の酸化性雰囲気を構成するガ
スとしては、空気、オゾン、酸素、塩素ガス、臭素ガ
ス、アンモニアガス、及びこれらの混合ガスが挙げられ
る。
上記とは別の不融化方法として、紡糸繊維に酸化性雰囲
気あるいは非酸化性雰囲気で、張力あるいは無張力で必
要に応じて低温加熱しながら、r線照射、あるいは電子
線照射して不融化する方法も採用することができる。
このr線あるいは電子線を照射する目的は、紡糸繊維を
形成するポリマーを、さらに重合させることによって、
紡糸原糸が融解し、繊維形状を失うことを防ぐことにあ
る。
r線あるいは電子線の照射線量は106〜1010ラッドが適
当である。
照射は真空、不活性ガス雰囲気下、あるいは空気、オゾ
ン、酸素、塩素ガス、臭素ガス、アンモニアガス及びこ
れらの混合ガスのような酸化性ガス雰囲気で行うことが
できる。
照射による不融化は室温で行うこともでき、必要であれ
ば50〜200℃の温度範囲で加熱しながら行うことによっ
て不融化をより短時間で達成させることもできる。
不融化は、無張力下で行うと、前記紡糸繊維は収縮のた
め波状の形を呈するようになるが、次工程の焼成工程で
矯正できる場合もあり、張力は必ずしも必要ないが、張
力を作用させる場合には、その張力の大きさは不融化時
に紡糸繊維が収縮して波状となることを少なくとも防止
できる以上の張力を作用させると良い結果が得られる。
不融化の際に、作用させる張力としては、1〜500g/mm2
の範囲が好ましく、1g/mm2以下の張力を作用させても繊
維をたるませないような緊張を与えることができず、50
0g/mm2以上の張力を作用させると繊維が切断することが
ある。
第4工程: 第3工程で得られる不融化糸を、真空あるいは不活性ガ
ス雰囲気中で800〜3000℃の範囲の温度で焼成すること
によって、主として炭素、珪素、酸素からなる無機繊維
が得られる。
焼成工程において、張力を作用させることは必ずしも必
要ないが0.001〜100kg/mm2の範囲で張力を作用させなが
ら高温焼成すると屈曲を少なくした強度の高い無機繊維
を得ることができる。
加熱過程において、約700℃から無機化が激しくなり、
約800℃でほぼ無機化が完了するものと推定される。従
って、焼成は、800℃以上の温度で行うことが好まし
い。また、3000℃より高い温度を得るには高価な装置を
必要とするため、3000℃より高温での焼成は、コスト面
から見て実際的でない。
上記無機繊維は繊維そのものを単軸方向、多軸方向に配
合させる方法、あるいは平織、朱子織、模紗織、綾織、
からみ織、螺旋織、三次元織物などの各種織物にして使
用する方法、あるいはチョップドファイバーとして使用
する方法等がある。
本発明におけるプラスチックとしてはエポキシ系樹脂、
ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、
ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート
樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ナイロン樹脂、ポリ
フェニレンサルファイド、ポリブチレンテレフタレー
ト、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポ
リフェニレンオキサイド、ポリスチレン、ABS樹脂、塩
化ビニル樹脂、ポリエーテル・エーテルケトン樹脂、ビ
スマレイミド樹脂等が挙げられる。
これらのプラスチック複合材料はそれ自体公知の方法で
製造することができ、例えば(1)ハンドレイアップ
法、(2)マッチドメタルダイ法、(3)ブレークアウ
ェイ法、(4)フィラメント・ワインディング法、
(5)ホットプレス法、(6)オートクレーブ法、
(7)連続引抜き法等の方法を採用することができる。
(1)ハンドレイアップ法によれば、まず無機繊維を裁
断して型の上に敷き詰め、触媒を加えたプラスチックを
はけやローラでその上に塗り込めた後自然に硬化させ、
脱型して複合材料とすることができる。
(2)マッチドメタルダイ法によれば、あらかじめ無機
繊維にプラスチックと硬化剤、充填材、増粘剤を加えて
含浸したものを加熱加圧成形して複合材料とすることが
できる。成形時の材料の形態によりSMC法(Sheet Moldi
ng Compound)、BMC法(Bulk Molding Compound)のど
ちらかを選択して用いることができる。
(3)ブレークアウェイ法によれば、無機繊維のシート
にあらかじめプラスチックを含浸させ、予備硬化させた
プリプレグ(prepreg)を作り、これをテーパー付きの
心金に巻付けて、硬化後に抜取り複合材料とすることが
できる。複雑な中空製品はこの方法で作られる。
(4)フィラメント・ワインディング法によれば、エポ
キシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂のような熱硬化性樹
脂を含浸した無機繊維をマンドレルに巻付け、樹脂を硬
化させた後、脱型して複合材料とすることができる。こ
の方法には、湿式法、乾式法(プリプレグテープを使う
方法)などがある。
(5)ホットプレス法によれば、プリプレグシートを一
方向又は任意の角度に積層後、ホットプレスで加圧、加
熱して板状の複合材料とすることができる。
(6)オートクレーブ法によれば、プリプレグを成形金
型に積層し、特殊ラバーで包み、真空状態にして、高圧
釜に入れ、加熱、加圧して硬化させ複合材料とすること
ができる。複雑な成形に適している。
(7)連続引抜き法によれば、無機繊維とプラスチック
とを別々に分けて、成形機に供給し、成形金型の手前で
混合させ、途中で加熱炉のなかを通過させて連続的に長
尺な複合材料とすることができる。
無機繊維とプラスチックマトリックスとから製造された
複合材料の引張強度(σ)は下記式で表される。
σ=σVf+σM σ:複合材料の引張強度 σ:無機繊維の引張強度 σ:プラスチックマトリックスの引張強度 Vf:無機繊維の体積百分率 VM:プラスチックマトリックスの体積百分率 上記式で示されるように、複合材料の強度は、複合材料
中の無機繊維の体積割合が、多くなるにしたがって大き
くなる。従って、強度の大きい複合材料を製造するため
には、複合させる無機繊維の体積割合を多くする必要が
ある。しかしながら、無機繊維の体積割合が80%を超え
ると、プラスチックマトリックスの量が少ないため、無
機繊維の間隙を充分にプラスチックマトリックスで充填
することができなくなるため、複合材料を製造しても前
記式で示されるような強度が発揮されなくなる。また、
繊維の体積割合を低くしていくと前記式で示されるよう
に複合材料の強度は低下するから、実用性のある複合材
料とするためには10%以上の無機繊維を複合させること
が必要である。従って、本発明の無機繊維強化プラスチ
ック複合材料の製造において、複合させる無機繊維の体
積割合を10〜80%、さらに好ましくは30〜60%とすると
最も良い効果が得られる。
明細書における各種機械的特性は下記の測定法に従って
求めた。
(a)層間剪断強度 層間剪断応力を求めるための試験法で曲率半径6mmφの
2コのピン(長さ20mm)の上に10×12×2mmの無機繊維
を一軸方向に配向させた複合材料を置き、先端曲率半径
3.5mmRの圧子で圧縮、所謂3点曲げ方式で試験を行い、
層間剪断応力を測定する。剪断応力(kg/mm2)により表
示する。
(b)繊維垂直方向の引張強度及び引張弾性率 厚さ2mmの一軸方向繊維強化複合材料を製造し、これよ
り試験片の軸方向が繊維配列方向と直交するように19×
127mmの試験片を採取する。試験片の厚さは2mmで中央部
の板厚方向に125mmRの曲率を付け、厚さ約1mmに仕上げ
る。引張速度は1mm/分で行った。引張強度(kg/mm2)及
び引張弾性率(t/mm2)により表示する。
(c)繊維垂直方向の曲げ強度及び曲げ弾性率 厚さ2mmの一軸方向繊維強化複合材料を製造し、これよ
り試験片の軸方向が繊維配列方向と直交するように12.7
×85mmの試験片を採取する。試験片の厚さは2mmで中央
部の板厚方向に125mmRの曲率を付け、厚さ約1mmに仕上
げる。3点曲げ方式で試験を行い、曲げ強度(kg/mm2
及び曲げ弾性率(t/mm2)により表示する。
層間剪断強度、繊維垂直方向の引張強度及び繊維垂直方
向の曲げ強度はマトリックスと繊維との結合の強さを表
示する指標である。
(d)引張強度及び引張弾性率 厚さ2mmの一軸方向繊維強化複合材料を製造し、これよ
り試験片の軸方向が繊維配列方向と直交するように12.7
×85mmの試験片を採取する。試験片の厚さは2mmで中央
部の板厚方向に125mmRの曲率を付け、厚さ約1mmに仕上
げる。引張強度の測定は1mm/分の引張速度で行った。引
張強度(kg/mm2)及び引張弾性率(t/mm2)により表示
する。
(e)曲げ強度及び曲げ弾性率 厚さ2mmの一軸方向繊維強化複合材料を製造し、これよ
り試験片の軸方向が繊維配列方向と直交するように12.7
×85mmの試験片を採取する。試験片の厚さは2mmで中央
部の板厚方向に125mmRの曲率を付け、厚さ約1mmに仕上
げる。3点曲げ方式で試験を行い、曲げ強度(kg/mm2
及び曲げ弾性率(t/mm2)により表示する。
(f)曲げ衝撃値 3点曲げによるシャルビー試験法(JIS K7111)により
曲げ衝撃値を測定した。曲げ衝撃値(kg・cm/cm2)によ
り表示する。
曲げ衝撃値はプラスチックと繊維との間の結合の強さを
表示する指標であり、特に瞬間的な衝撃に対する抵抗の
強さを表示する指標である。曲げ衝撃値が低いと、樹脂
と繊維が剥がれやすく、瞬間的な衝撃による破壊が生じ
やすい。
本発明のプラスチック複合材料は、 a)層間剪断強度が8.5kg/mm2以上であり、 b)繊維垂直方向の引張強度が6kg/mm2以上であり、 c)繊維垂直方向の曲げ強度が8kg/mm2以上であり、 d)曲げ衝撃値が200kg・cm/cm2以上である。
(発明の効果) 本発明の無機繊維強化プラスチック複合材料は、本発明
で使用する無機繊維がプラスチックに対する濡れ性に優
れているため、無機繊維を特に表面処理する必要はな
く、さらにプラスチックとの間の結合強さに優れてい
る。このため、本発明は層間剪断強度、繊維垂直方向の
引張強度及び曲げ強度、曲げ衝撃値に優れた複合材料を
提供する。
一方、本発明における無機繊維は結晶配列状態にある炭
素質を含むため、アモルファス無機繊維に比べ高弾性で
ある。このため、本発明の無機繊維強化プラスチック複
合材料は、引張弾性率及び曲げ弾性率において優れた値
を示す。
また、本発明における無機繊維は、高価な有機珪素化合
物の使用が軽減されるため、従来の炭化珪素系繊維に比
べ安価に製造される。
以上のように、本発明に使用する無機繊維は、プラスチ
ック複合材料においてその強化効率に優れ、得られたプ
ラスチック複合材料は各種の機械的特性が優れ、長期間
の苛酷な環境下での使用に耐えるものである。このた
め、従来の無機繊維強化プラスチック複合材料では満足
に使用しえなかった各種分野で使用することができる。
例えば、合成繊維用材料、合成化学用材料、機械工業用
材料、建築機械用材料、海洋開発(含宇宙)用材料、自
動車用材料、食品用材料、電気材料、スポーツ用品、音
響用機器材料等における各分野における優れた機械的特
性を要求される分野である。
(実施例) 以下実施例によって本発明を説明する。
参考例1(有機珪素重合体の製法) 5lの三口フラスコに無水キシレン2.5l及びナトリウム40
0gを入れ、窒素ガス気流下でキシレンの沸点まで加熱
し、ジメチルジクロロシラン1を1時間で滴下した。
滴下終了後、10時間加熱還流し沈澱物を生成させた。沈
澱を濾過し、メタノールついで水で洗浄して、白色粉末
のポリジメチルシラン420gを得た。
このポリジメチルシラン400gを、ガス導入管、攪拌機、
冷却器及び留出管を備えた3lの三口フラスコに仕込み、
攪拌しながら50ml/分の窒素気流下に420℃で加熱処理し
て、留出受器に350gの無色透明な少し粘性のある液体を
得た。
この液体の数平均分子量は蒸気圧浸透法で測定したとこ
ろ470であった。
この物質の赤外線吸収スペクトルを測定したところ、65
0〜900cm-1と1250cm-1にSi−CH3の吸収、2100cm-1にSi
−Hの吸収、1020cm-1付近と1355cm-1にSi−CH2−Siの
吸収、2900cm-1と2950cm-1にC−Hの吸収が認められ、
またこの物質の遠赤外線吸収スペクトルを測定したとこ
ろ、380cm-1にSi−Siの吸収が認められることから、得
られた液状物質は、主として(Si−CH2)結合単位及び
(Si−Si)結合単位からなり、珪素の側鎖に水素原子及
びメチル基を有する有機珪素重合体であることが判明し
た。
核磁気共鳴分析及び赤外線吸収分析の測定結果から、こ
の有機珪素重合体は(Si−CH2)結合単位の全数対(Si
−Si)結合単位の全数の比率がほぼ1:3である重合体で
あることが確認された。
上記有機珪素重合体300gをエタノールで処理して低分子
量物を除去して、数平均分子量が1200の重合体40gを得
た。
この物質の赤外線吸収スペクトルを測定したところ、上
記と同様の吸収ピークが認められ、この物質は主として
(Si−CH2)結合単位及び(Si−Si)結合単位からな
り、珪素の側鎖に水素原子及びメチル基を有する有機珪
素重合体であることが判明した。
核磁気共鳴分析及び赤外線吸収分析の測定結果から、こ
の有機珪素重合体は(Si−CH2)結合単位の全数対(Si
−Si)結合単位の全数の比率がほぼ7:1である重合体で
あることが確認された。
参考例2(無機繊維Iの製法) 石油留分のうち、軽油以上の高沸点物をシリカ・アルミ
ナ系分解触媒の存在下、500℃の温度で流動接触分解・
精留を行い、その塔底より残渣を得た。以下、この残渣
をFCCスラリーオイルと呼ぶ。
このFCCスラリーオイルは、元素分析の結果、炭素原子
対水素原子の原子比(C/H)が0.75で、核磁気共鳴分析
による芳香炭素率が0.55であった。
上記のFCCスラリーオイル130gを1/分の窒素ガス気
流下450℃で1時間加熱し、同温度における留出分を留
去後、残渣を200℃にて熱時濾過を行い、同温度におけ
る不融部を除去し、軽質分除去ピッチ57gを得た。
この軽質分除去ピッチは60%のキシレン不溶分を含んで
いた。
この軽質分除去ピッチ57gに参考例1で得た有機珪素重
合体25g及びキシレン20mlを加え、攪拌しながら昇温
し、キシレンを留去後、400℃で6時間反応させ46gのラ
ンダム共重合体を得た。
この反応生成物は赤外線吸収スペクトル測定の結果、有
機珪素重合体中に存在するSi−H結合(1R:2100cm-1
の減少、及び新たなSi−C(ベンゼン環の炭素)結合
(1R:1135cm-1)の生成が認められることより有機珪素
重合体の珪素原子の一部が多環状芳香族環と直接結合し
た部分を有する共重合体であることがわかった。
また、この共重合体は、キシレン不溶部を含まず重量平
均分子量は1400、融点は265℃であった。
これを、300℃で加熱溶融静置し、比重差により軽質部
分を除去した残部40gを得た。これをポリマー(a)と
呼ぶ。
これと並行して、FCCスラリーオイル400gを、窒素ガス
気流下450℃に加熱し、同温度における留出分を留去
後、残渣を200℃にて熱時濾過を行い、同温度における
不融部を除去し、軽質分除去ピッチ180gを得た。得られ
た軽質分除去ピッチ180gを窒素気流下、反応により生成
する軽質分を除去しながら400℃で8時間縮重合を行
い、熱処理ピッチ80.3gを得た。
この熱処理ピッチは融点310℃、キシレン不溶分97%、
キノリン不溶分20%を含有しており、研磨面の偏光顕微
鏡観察による光学的異方性が95%のメソフェーズ多環状
芳香族化合物(2)であった。
これを再び、350℃に加熱溶融静置し、比重差により軽
質分を分離除去し、残部80gを得た。これと、ポリマー
(a)30gを混合し、窒素雰囲気下、350℃で一時間溶融
加熱し、均一な状態にある珪素含有多環状芳香族重合体
を得た。この重合体は、融点が290℃で、70%のキシレ
ン不溶分を含んでいた。
上記高分子量物を紡糸用原料とし、ノズル径0.15mmの金
属製ノズルを用い、360℃で溶融紡糸を行い、得られた
紡糸原糸を空気中、300℃で酸化、不融化し、更にアル
ゴン雰囲気中、1300℃で焼成を行い、直径10μの無機繊
維Iを得た。
この無機繊維Iは引張強度が300kg/mm2、引張弾性率30t
/mm2であり、破壊面の観察よりあきらかにラジアル構造
であった。
参考例3(無機繊維IIの製法) 参考例2で得られたFCCスラリーオイル200gを2l/分の窒
素ガス気流下450℃で0.5時間加熱し、同温度における留
出分を留去後、残渣を200℃にて熱時濾過を行い、同温
度における不融部を除去し、軽質分除去ピッチ57gを得
た。
この軽質分除去ピッチは25%のキシレン不溶分を含んで
いた。
この軽質分除去ピッチ57gに参考例1で得た有機珪素重
合体25g及びキシレン20mlを加え、攪拌しながら昇温
し、キシレンを留去後、400℃で6時間反応させ51gのラ
ンダム共重合体(1)を得た。
この反応生成物は赤外線吸収スペクトル測定の結果、有
機珪素重合体中に存在するSi−H結合(IR:2100cm-1
の減少、及び新たなSi−C(ベンゼン環の炭素)結合
(IR:1135cm-1)の生成が認められることより有機珪素
重合体の珪素原子の一部が多環状芳香族環と直接結合し
た部分を有する共重合体であることがわかった。
また、この共重合体は、キシレン不溶部を含まず重量平
均分子量が1400、融点が265℃、軟化点が310℃であっ
た。
一方、前記軽質分除去ピッチ180gを窒素気流下、反応に
より生成する軽質分を除去しながら400℃で8時間縮重
合を行い、熱処理ピッチ37.2gを得た。
この熱処理ピッチは融点263℃、軟化点308℃、キシレン
不溶分77%、キノリン不溶分31%を含有しており、研磨
面の偏光顕微鏡観察による光学的異方性が75%のメソフ
ェーズ多環状芳香族化合物(2)であった。
このメソフェーズ多環状芳香族化合物(2)90gと前記
ランダム共重合体(1)6.4gを混合し、窒素雰囲気下、
380℃で一時間溶融加熱し、均一な状態にある珪素含有
多環状芳香族重合体を得た。この重合体は、融点が267
℃で、軟化点315℃、70%のキシレン不溶分を含んでい
た。
上記高分子量物を紡糸用原料とし、ノズル径0.15mmの金
属製ノズルを用い、360℃で溶融紡糸を行い、得られた
紡糸原糸を空気中、300℃で酸化、不融化し、更にアル
ゴン雰囲気中、1300℃で焼成を行い、直径8μの無機繊
維IIを得た。
この無機繊維IIは引張強度が320kg/mm2、引張弾性率26t
/mm2であり、破壊面の観察よりあきらかにラジアル構造
であった。
この無機繊維IIを粉砕後アルカリ溶融、塩酸処理を施し
水溶液とした後、高周波プラズマ発光分光分析を行った
結果、この無機繊維II中の珪素含有率は0.95%であるこ
とがわかった。
参考例4(無機繊維IIIの製法) メソフェーズ多環状芳香族化合物(2)97gとランダム
共重合体(1)3gを混合し、400℃で溶融加熱した以外
は参考例3と同様にして珪素含有多環状芳香族重合体を
得た。この重合体は、融点が372℃で、軟化点319℃、71
%のキシレン不溶分を含んでいた。
上記高分子量物を紡糸用原料とし、ノズル径0.15mmの金
属製ノズルを用い、360℃で溶融紡糸を行い、得られた
紡糸原糸を空気中、300℃で酸化、不融化し、更にアル
ゴン雰囲気中、2000℃で焼成を行い、直径7.3μの無機
繊維IIIを得た。
この無機繊維IIIは引張強度が325kg/mm2、引張弾性率が
41t/mm2の高弾性繊維であった。
この無機繊維IIIを粉砕後アルカリ溶融、塩酸処理を施
し水溶液とした後、高周波プラズマ発光分光分析を行っ
た結果、この無機繊維III中の珪素含有率は0.47%であ
ることがわかった。
実施例1 ビスフェノールA型エポキシ樹脂(チバガイギー社製XB
2879A)100部及びジシアンジアミド硬化剤(チバガイギ
ー社製XB2879 B)20部を均一に混合した後に、混合物
を重量比で1:1のメチルセロソルブとアセトンとの混合
溶媒に溶解して、上記混合物の28%溶液を調製した。
参考例2で得られた無機繊維Iに上記溶液を含浸した後
に、ドラムワインダーを用いて一方向に引き取り、熱循
環オーブン中100℃で14分間加熱することによって、半
硬化状態の一方向に引き揃えられた無機繊維プリプレグ
を調製した。このプリプレグの繊維含有率は60体積%、
厚み0.15mmであった。
上記プリプレグ10枚を繊維方向を合わせて重ね、170
℃、7kg/cm2で4時間プレス成形することによって、250
mm×250mmの大きさの一方向強化エポキシ樹脂複合材料
を得た。
上記複合材料から幅12.7mm、長さ85mm、厚み2mmの曲げ
強度測定用のサンプルを切り出し、スパン/幅=32の三
点曲げ試験を試験速度2mm/分で行った。上記複合材料の
機械的特性を以下に示す。
引張強度(kg/mm2) 160 引張弾性率(t/mm2) 18 曲げ強度(kg/mm2) 220 曲げ弾性率(t/mm2) 17 繊維垂直方向引張強度(kg/mm2) 6.3 繊維垂直方向引張弾性率(t/mm2) 5.1 繊維垂直方向曲げ強度(kg/mm2) 8.9 繊維垂直方向曲げ弾性率(t/mm2) 5.0 層間剪断強度(kg/mm2) 8.6 曲げ衝撃値(kg・cm/mm2) 240 比較例1 本発明に使用する無機繊維のかわりに、引張強度280kg/
mm2、引張弾性率55t/mm2、繊維径10μの高弾性ピッチ系
炭素繊維を用いた他は実施例1と同様にして炭素繊維強
化エポキシ複合材料を製造した。この複合材料の繊維含
有率は60体積%であり、得られた複合材料の機械的特性
を以下に示す。
引張強度(kg/mm2) 150 引張弾性率(t/mm2) 28 曲げ強度(kg/mm2) 100 曲げ弾性率(t/mm2) 12 繊維垂直方向引張強度(kg/mm2) 3.0 繊維垂直方向引張弾性率(t/mm2) 0.5 繊維垂直方向曲げ強度(kg/mm2) 3.5 繊維垂直方向曲げ弾性率(t/mm2) 0.5 層間剪断強度(kg/mm2) 7.5 曲げ衝撃値(kg・cm/mm2) 70 比較例2 無機繊維Iのかわりに、引張強度300kg/mm2、引張弾性
率21t/mm2、繊維径7.5μのポリアクリロニトリル系高強
度炭素繊維を表面処理した繊維を用いた他は実施例1と
同様にして炭素繊維強化エポキシ複合材料を製造した。
この複合材料の繊維含有率は60体積%であり、得られた
複合材料の機械的特性を以下に示す。
引張強度(kg/mm2) 172 引張弾性率(t/mm2) 14 曲げ強度(kg/mm2) 170 曲げ弾性率(t/mm2) 13 繊維垂直方向引張強度(kg/mm2) 4.5 繊維垂直方向引張弾性率(t/mm2) 0.88 繊維垂直方向曲げ強度(kg/mm2) 6.2 繊維垂直方向曲げ弾性率(t/mm2) 0.87 層間剪断強度(kg/mm2) 8.1 曲げ緩衝値(kg・cm/mm2) 150 実施例2 マトリックスとしてエポキシ樹脂のかわりに、市販不飽
和ポリエステル樹脂を用いた以外は実施例1と同様にし
て無機繊維Iの繊維含有量が58体積%の無機繊維強化ポ
リエステル複合材料を製造した。
上記複合材料の機械的特性を以下に示す。
引張強度(kg/mm2) 150 引張弾性率(t/mm2) 18 曲げ強度(kg/mm2) 218 曲げ弾性率(t/mm2) 16.8 繊維垂直方向引張強度(kg/mm2) 6.0 繊維垂直方向引張弾性率(t/mm2) 4.8 繊維垂直方向曲げ強度(kg/mm2) 8.7 繊維垂直方向曲げ弾性率(t/mm2) 8.5 層間剪断強度(kg/mm2) 8.6 曲げ衝撃値(kg・cm/mm2) 238 実施例3 マトリックスとしてエポキシ樹脂のかわりに、ポリイミ
ド樹脂〔宇部興産(株)製〕を用いた以外は実施例1と
同様にして無機繊維Iの繊維含有量が60体積%の無機繊
維強化ポリイミド複合材料を製造した。
製造された複合材料の機械的特性を以下に示す。
引張強度(kg/mm2) 151 引張弾性率(t/mm2) 18 曲げ強度(kg/mm2) 217 曲げ弾性率(t/mm2) 16.6 繊維垂直方向引張強度(kg/mm2) 6.1 繊維垂直方向引張弾性率(t/mm2) 4.9 繊維垂直方向曲げ強度(kg/mm2) 8.8 繊維垂直方向曲げ弾性率(t/mm2) 5.0 層間剪断強度(kg/mm2) 8.6 曲げ衝撃値(kg・cm/mm2) 238 実施例4 ビスフェノールA型エポキシ樹脂(チバガイギー社製XB
2879A)100部及びジシアンジアミド硬化剤(チバガイギ
ー社製XB2879 B)20部を均一に混合した後に、混合物
を重量比で1:1のメチルセロソルブとアセトンとの混合
溶媒に溶解して、上記混合物の28%溶液を調製した。
参考例3で得られた無機繊維IIに上記溶液を含浸した後
に、ドラムワインダーを用いて一方向に引き取り、熱循
環オーブン中100℃で14分間加熱することによって、半
硬化状態の一方向に引き揃えられた無機繊維プリプレグ
を調製した。このプリプレグの繊維含有率は60体積%、
厚み0.15mmであった。
上記プリプレグ10枚を繊維方向に合わせて重ね、170
℃、7kg/cm2で4時間プレス成形することによって、250
mm×250mmの大きさの一方向強化エポキシ樹脂複合材料
を得た。
上記複合材料から幅12.7mm、長さ85mm、厚み2mmの曲げ
強度測定用のサンプルを切り出し、スパン/幅=32の三
点曲げ試験を試験速度2mm/分で行った。上記複合材料の
機械的特性を以下に示す。
引張強度(kg/mm2) 170 引張弾性率(t/mm2) 16 曲げ強度(kg/mm2) 232 曲げ弾性率(t/mm2) 16 繊維垂直方向引張強度(kg/mm2) 6.7 繊維垂直方向引張弾性率(t/mm2) 5.1 繊維垂直方向曲げ強度(kg/mm2) 9.2 繊維垂直方向曲げ弾性率(t/mm2) 5.0 層間剪断強度(kg/mm2) 9.0 曲げ衝撃値(kg・cm/mm2) 255 実施例5 無機繊維IIのかわりに、無機繊維IIIを用い、エポキシ
樹脂のかわりに、市販不飽和ポリエステル樹脂を用いた
以外は実施例4と同様にして繊維含有量が58体積%の無
機繊維強化ポリエステル複合材料を製造した。上記複合
材料の機械的特性を以下に示す。
引張強度(kg/mm2) 161 引張弾性率(t/mm2) 21 曲げ強度(kg/mm2) 234 曲げ弾性率(t/mm2) 20.5 繊維垂直方向引張強度(kg/mm2) 6.2 繊維垂直方向引張弾性率(t/mm2) 5.5 繊維垂直方向曲げ強度(kg/mm2) 9.1 繊維垂直方向曲げ弾性率(t/mm2) 8.7 層間剪断強度(kg/mm2) 9.0 曲げ衝撃値(kg・cm/mm2) 251 実施例6 エポキシ樹脂のかわりに、ポリイミド樹脂〔宇部興産
(株)製〕を用いた以外は実施例4と同様にして無機繊
維IIの繊維含有量が60体積%の無機繊維強化ポリイミド
複合材料を製造した。
製造された複合材料の機械的特性を以下に示す。
引張強度(kg/mm2) 162 引張弾性率(t/mm2) 16 曲げ強度(kg/mm2) 230 曲げ弾性率(t/mm2) 16 繊維垂直方向引張強度(kg/mm2) 6.3 繊維垂直方向引張弾性率(t/mm2) 4.9 繊維垂直方向曲げ強度(kg/mm2) 8.9 繊維垂直方向曲げ弾性率(t/mm2) 5.0 層間剪断強度(kg/mm2) 9.0 曲げ衝撃値(kg・cm/mm2) 251
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渋谷 昌樹 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇部 興産株式会社宇部研究所内 審査官 谷口 浩行

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無機繊維を強化材とし、プラスチックをマ
    トリックスとする無機繊維強化プラスチック複合材料に
    おいて、 a)前記無機繊維が珪素含有多環状芳香族重合体から得
    られる無機繊維であって、その構成成分が、 i)該重合体を構成するメソフェーズ状態にある多環状
    芳香族化合物から導かれるラジアル構造、オニオン構
    造、ランダム構造、コアラジアル構造、スキンオニオン
    構造及びモザイク構造からなる群から選ばれる少なくと
    も一種の結晶配列状態を示す炭素質、 ii)該重合体を構成する有機溶媒不溶分を含む光学的等
    方性の多環状芳香族化合物から導かれる、無配向状態の
    結晶質炭素及び/又は非晶質炭素、及び iii)Si、C及びOから実質的になる非晶質相及び/又
    は粒径が500Å以下の実質的にβ−SiCからなる結晶質超
    微粒子と非晶質のSiOX(0<x≦2)からなる集合体で
    あり、 構成元素の割合が、Si;30〜70重量%、C;20〜60重量%
    及びO;0.5〜10重量%であるSi−C−O物質 よりなる高強度・高弾性率無機繊維であり、 b)前記複合材料中の上記無機繊維含有率が10〜80体積
    %、 であることを特徴とする無機繊維強化プラスチック複合
    材料。
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