JPH07254354A - 電界電子放出素子、電界電子放出素子の製造方法およびこの電界電子放出素子を用いた平面ディスプレイ装置 - Google Patents

電界電子放出素子、電界電子放出素子の製造方法およびこの電界電子放出素子を用いた平面ディスプレイ装置

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JPH07254354A
JPH07254354A JP6154798A JP15479894A JPH07254354A JP H07254354 A JPH07254354 A JP H07254354A JP 6154798 A JP6154798 A JP 6154798A JP 15479894 A JP15479894 A JP 15479894A JP H07254354 A JPH07254354 A JP H07254354A
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Japan
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electron emission
emitter electrode
emission device
resist
field electron
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JP6154798A
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Yoshiaki Akama
善昭 赤間
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J9/00Apparatus or processes specially adapted for the manufacture, installation, removal, maintenance of electric discharge tubes, discharge lamps, or parts thereof; Recovery of material from discharge tubes or lamps
    • H01J9/02Manufacture of electrodes or electrode systems
    • H01J9/022Manufacture of electrodes or electrode systems of cold cathodes
    • H01J9/025Manufacture of electrodes or electrode systems of cold cathodes of field emission cathodes
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J3/00Details of electron-optical or ion-optical arrangements or of ion traps common to two or more basic types of discharge tubes or lamps
    • H01J3/02Electron guns
    • H01J3/021Electron guns using a field emission, photo emission, or secondary emission electron source
    • H01J3/022Electron guns using a field emission, photo emission, or secondary emission electron source with microengineered cathode, e.g. Spindt-type

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  • Cathode-Ray Tubes And Fluorescent Screens For Display (AREA)
  • Electrodes For Cathode-Ray Tubes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 電子放出効率が良く、より低い駆動電力で作
動する電界電子放出素子を提供する。 【構成】 基板3と、この基板3に第1の絶縁膜4を介
して積層され、電子(−e)を放出するエミッタ電極7
と、このエミッタ電極7と所定隙間を存して対向配置さ
れると共に、このエミッタ電極7に電界を印加してこの
エミッタ電極7から電子を引き出すゲ−ト電極8とを有
する電界電子放出素子であって、上記エミッタ電極7の
上記ゲ−ト電極8側の部位には円弧状にえぐられること
で尖鋭化された電子放出部7aを有するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、真空マイクロエレクト
ロニクス技術を利用した微小の電界電子放出素子及びそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年の半導体微細加工技術の進歩にはめ
ざましいものがあり、今や0.5μmレベルの加工も可
能になってきている。
【0003】このような半導体微細加工技術の進歩に伴
い、最近、ミクロンサイズの微小真空管の開発が進めら
れている。その目的は、電子輸送媒体としての真空を見
直し、固体素子に駆逐された真空管が持っていた欠点を
克服した超高速で耐環境性の優れた電子素子(真空電界
電子放出素子)を開発することにある。
【0004】すなわち、微細加工技術を駆使することに
よって、ミクロンサイズ電界電子放出素子を基板上に集
積しようとするものである。
【0005】このような電界電子放出素子を実現するた
めには、熱的励起によらずに電子を固体から真空中に放
出でき、かつ高効率で安定的に電子を放出できる冷陰極
の開発が不可欠である。
【0006】従来から、様々な原理を利用した電界電子
放出素子が研究されているが、代表的な電界電子放出素
子には、エミッタ電極(フィ−ルドエミッタ)が、基板
から略鉛直方向に四角錐や円錐の形状を呈しているもの
(以下、スピント型と記す)と、電極面内方向に三角形
の飛び込み板形状、即ち楔形の形状を呈しているもの
(以下、平面型と記す)とがある。
【0007】スピント型の電界電子放出素子の作製は、
例えば東北大学電気通信研究所の横尾邦義氏が電気学会
雑誌 Vol.112,No.4 (1992) pp257-262(参考文献1)に
記しているようにスタンフォ−ド研究所のスピント(C.
A.Spint) 氏らの開発した回転させながら斜め方向から
陰極チップを蒸着する技術や、アメリカ海軍研究所のグ
レイ(H.F.Gray)氏らの開発したSi単結晶を選択的に異方
性エッチングする技術を基本にして行われる。
【0008】さらに、平面型の電界電子放出素子の作製
は、例えば工業技術院電子技術総合研究所の伊東順司治
氏及び金丸正剛氏がオプトロニクス誌 No.109 (1991) p
p193-198(参考文献2)に記しているように、はじめに
タングステン(元素記号:W)の薄膜(厚さ略0.3μ
m)をSi基板上にスパッタリングで堆積させたあとで、
一回の露光工程と、RIE(Reactive Ion Etching) 工程と
で楔形のエミッタ電極と他の二つの電極(ゲ−ト電極、
アノ−ド電極)とを加工し、最後に緩衝フッ酸(化学
式:BHF)でSi基板をエッチングして行われる。
【0009】このような電界電子放出素子の開発が意味
あるものになるかどうかは、各論文にも言及されている
ように、その電界電子放出素子の動作電圧をどれだけ下
げられるかにかかっている。
【0010】このためには、エミッタ電極の先端を鋭く
尖らせること、およびエミッタ電極の先端とこのエミッ
タ電極から電子を引き出すゲ−ト電極(引き出し電極)
とを可能なかぎり近付けることが必要となる。
【0011】すなわち、電界電子放出素子においてはエ
ミッタ電極の先端の形状が尖鋭であるほど、また、この
エミッタ電極とゲ−ト電極との間隔がせまい程、低い駆
動電圧で大きいエミッション電流を得ることができるの
である。
【0012】上述した平面型の電界電子放出素子の場合
には、エミッタ電極の先端の形状精度はマスクパタ−ニ
ングを行うステッパの解像度などに依存する。よって、
エミッタ電極の先端の形状精度を高くするためにはエミ
ッタ電極の先端の形状のマスクパタ−ニングを行うステ
ッパの解像度も高くする必要があるが、それにも限界が
ある。
【0013】しかし、最近は、平面型の電界電子放出素
子においても導電膜を選択的に等方性エッチングしてエ
ミッタ電極を電極厚さ方向に尖鋭化させることが可能と
なってきた。具体的には、前記の伊東順司氏及び金丸正
剛氏が日本学術振興会荷電粒子ビ−ムの工業へ応用第13
2 委員会第111 回研究会資料 (1990) pp7-13(参考文献
3)に記している。
【0014】この方法の概略を図53に示す。 SiO2
板上に堆積した厚さ1μmの W薄膜(図53(a))上
にレジストを塗布し(図53(b))一回の露光工程
と、RIE を用いた等方性エッチング工程(図53
(c))とでエミッタ電極を電極厚さ方向にナイフエッ
ジ状に加工して尖鋭化させるというものである。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】参考文献1で代表され
る方法でつくられるスピント型の電界電子放出素子の形
状は四角錐や円錐の形状であるので電界電子放出素子の
間隔が底面の大きさによって制限されてしまい、電界電
子放出素子の存在密度を高めるのが困難であった。そし
てエミッション電流の大きさはエミッタの数の影響を受
けることから、単位面積当たりのエミッション電流を大
きくするのも困難であった。
【0016】一方、電界電子放出素子においては、低い
駆動電圧で高いエミッション電流を放出できるように、
エミッタ電極の先端をできる限り尖らせる必要がある。
そして、平面型のエミッタ電極の場合、大きなエミッシ
ョン電流を放出するためには、エミッタ電極を面内方向
のみではなく電極厚さ方向にも、より尖鋭化することが
必要となる。
【0017】しかし、参考文献2・3の方法では平面型
のエミッタ電極と、このエミッタ電極に間隙を介して対
向するゲ−ト電極を備えた電界電子放出素子において、
前記エミッタ電極の厚さを前記エミッタ電極が前記ゲ−
ト電極の側に突出するほど電極厚さ方向に薄く変化させ
ることはできても、(特に、参考文献3の方法)等方性
エチング工程を介して尖鋭化を図っているために、尖鋭
化の度合いが不十分なものであった。よって同じ駆動電
圧当たりについて大きなエミッション電流を得ることが
できなかった。
【0018】更に参考文献2・3の方法では図53に示
すように前記エミッタ電極の突出方向に対して略垂直な
二方向のうち一方向の側の厚さしか前記エミッタ電極が
前記ゲ−ト電極の側に突出するほど電極厚さ方向に薄く
変化させることができなかった。このような加工しかで
きないと電流密度を増すことができないということがあ
る。
【0019】この発明は、以上述べたような事情に鑑み
てなされたもので、エミッタ電極をより尖鋭化すると共
に、エミッタ電極とゲ−ト電極とのギャップを小さくし
て、駆動電圧を小さくすることができる電界電子放出素
子を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記目的を解決するため
に、請求項1の発明は、電子を放出するエミッタ電極
と、このエミッタ電極と所定隙間を存して対向配置さ
れ、上記エミッタ電極に電界を印加することでこのエミ
ッタ電極の先端から電子を引き出すゲ−ト電極とを有す
る電界電子放出素子において、上記エミッタ電極は、円
弧状にえぐられることで尖鋭化された電子放出部を有す
ることを特徴とする電界電子放出素子である。
【0021】請求項2の発明は、一面および他面を有す
る基板と、上記基板の一面側に絶縁層を含む層を介して
積層され、電子を放出するエミッタ電極と、上記基板の
一面側に絶縁層を含む層を介して積層され、エミッタ電
極と所定隙間を存して対向配置されると共に、上記エミ
ッタ電極に電界を印加してこのエミッタ電極から電子を
引き出すゲ−ト電極とを有する電界電子放出素子におい
て、上記エミッタ電極は、円弧状にえぐられることで尖
鋭化された電子放出部を有することを特徴とする電界電
子放出素子である。
【0022】請求項5の発明は、請求項2記載の電界電
子放出素子を製造する電界電子放出素子の製造方法であ
って、基板の一面側に絶縁層を含む層を介して積層され
た導電膜にレジストを塗布する工程と、このレジストの
所定の部位に対して露光用光を照射し、このレジストの
上記所定の部位の一部に露光されない残留部が残るよう
に、このレジストの露光を行う工程と、このレジストお
よび上記残留部をマスクとして上記導電膜を異方性エッ
チングすることにより、上記導電膜の所定の部位をエッ
チング除去してエミッタ電極とゲ−ト電極とに分割する
と共に、上記エミッタ電極の上記ゲ−ト電極に対向する
部分を円弧状にえぐることで尖鋭化して電子放出部を形
成する工程とを有することを特徴とする電界電子放出素
子の製造方法である。
【0023】請求項8の発明は、請求項2記載の電界電
子放出素子を製造する電界電子放出素子の製造方法であ
って、基板の一面側に絶縁層を含む層を介して積層され
た導電膜に第1のレジストを塗布し露光を行った後、こ
の第1のレジストをマスクとしてエッチングを行うこと
で、上記導電膜をエミッタ電極とゲ−ト電極とに分割す
る工程と、上記エミッタ電極とゲ−ト電極とに第2のレ
ジストを塗布する工程と、この第2のレジストの所定の
部位に対して露光用光を照射し、このレジストの上記所
定の部位の一部に露光されない残留部が残るように、こ
のレジストの露光を行う工程と、この第2のレジストお
よび上記残留部をマスクとして上記導電膜を異方性エッ
チングすることにより、上記エミッタ電極の上記ゲ−ト
電極に対向する部分を円弧状にえぐることで尖鋭化し、
電子放出部を形成する工程とを有することを特徴とする
電界電子放出素子の製造方法である。
【0024】請求項11の発明は、一面および他面を有
する基板と、上記基板の一面側に第1の絶縁層を介して
積層され、電子を放出するエミッタ電極と、上記エミッ
タ電極に第2の絶縁層を介して積層されると共に、上記
エミッタ電極に電界を印加してこのエミッタ電極から電
子を引き出すゲ−ト電極とを有する電界電子放出素子に
おいて、上記エミッタ電極は、上記ゲ−ト電極側に曲成
されていると共に上記ゲ−ト電極から電界が印加される
ことで電子を放出する電子放出部を有することを特徴と
する電界電子放出素子である。
【0025】請求項12の発明は、一面および他面を有
する基板と、上記基板の一面側に第1の絶縁層を介して
積層され、電子を放出するエミッタ電極と、上記エミッ
タ電極に第2の絶縁層を介して積層されると共に、上記
エミッタ電極に電界を印加してこのエミッタ電極から電
子を引き出すゲ−ト電極とを有する電界電子放出素子に
おいて、上記エミッタ電極は、このエミッタ電極を円弧
状にえぐられることで尖鋭化されると共に、上記ゲ−ト
電極から電界が印加されることで電子を放出する電子放
出部を有することを特徴とする電界電子放出素子であ
る。
【0026】請求項19の発明は、請求項12記載の電
界電子放出素子を製造する電界電子放出素子の製造方法
であって、基板の一面側に第1の絶縁層、第1の導電
層、第2の絶縁層および第2の導電層を順次積層し、こ
の第2の絶縁層にレジストを塗布する工程と、このレジ
ストの所定の部位に対して露光用光を照射し、このレジ
ストの上記所定の部位の一部に露光されない残留部が残
るように、このレジストの露光を行う工程と、このレジ
ストおよび上記残留部をマスクとして上記第1の絶縁
層、第1の導電層、第2の絶縁層および第2の導電層を
異方性エッチングすることにより、上記第2の導電層の
所定の部位をエッチング除去してゲ−ト電極を成形し、
上記第1の導電層の所定の部位をエッチング除去してエ
ミッタ電極を成形すると共に、このエミッタ電極を厚さ
方向に円弧状にえぐることで尖鋭化して電子放出部を形
成する工程とを有することを特徴とする電界電子放出素
子の製造方法である。
【0027】請求項22の発明は、請求項12記載の電
界電子放出素子を製造する電界電子放出素子の製造方法
であって、基板の一面側に第1の絶縁層および第1の導
電層を順次積層し、この第1の導電層に第1のレジスト
を塗布する工程と、この第1のレジストの所定の部位に
対して露光用光を照射し、このレジストの上記所定の部
位の一部に露光されない残留部が残るように、このレジ
ストの露光を行う工程と、このレジストおよび上記残留
部をマスクとして上記導電膜を異方性エッチングするこ
とにより、上記導電膜の所定の部位をエッチング除去し
てエミッタ電極を成形すると共に、上記エミッタ電極を
円弧状にえぐることで尖鋭化して電子放出部を形成する
工程と、上記エミッタ電極に第2の絶縁層、第2の導電
層を順次積層した後、この第2の導電層に第2のレジス
トを塗布する工程と、この第2のレジストの所定の部位
に露光用光を照射し、このレジストを露光する工程と、
この第2のレジストをマスクとして、上記第2の導電膜
をエッチングすることで、上記第2の導電膜の所定の部
位をエッチング除去してゲ−ト電極を成形する工程と、
上記第1、第2の絶縁層の上記エミッタ電極およびゲ−
ト電極の周囲に位置する部位を選択的にエッチングする
工程とを有することを特徴とする電界電子放出素子の製
造方法である。
【0028】請求項27の発明は、一面および他面を有
する第1の基板と、電子を放出するエミッタ電極と、上
記エミッタ電極と絶縁層を介して積層されると共に、上
記エミッタ電極に電界を印加してこのエミッタ電極から
電子を引き出すゲ−ト電極と、このエミッタ電極と絶縁
層を介して積層されると共に、上記エミッタ電極から放
出された電子を受けるアノ−ド電極とを有する電界電子
放出素子において、上記エミッタ電極は、このエミッタ
電極を円弧状にえぐられることで尖鋭化されると共に、
上記ゲ−ト電極から電界が印加されることで電子を放出
する電子放出部を有することを特徴とする電界電子放出
素子である。
【0029】請求項31の発明は、基板と、この基板上
に設けられた平面型のエミッタ電極と、このエミッタ電
極に間隙を介して対向するゲ−ト電極とを備えた電界電
子放出素子において、前記エミッタ電極が前記ゲ−ト電
極の側に突出するにつれて、前記エミッタ電極の突出方
向に対して前記基板側とは逆側に前記エミッタ電極の厚
さが薄く変化していることを特徴とする電界電子放出素
子である。
【0030】請求項33の発明は、基板と、この基板上
に設けられた平面型のエミッタ電極と、このエミッタ電
極に間隙を介して対向するゲ−ト電極とを備えた電界電
子放出素子において、前記ゲ−ト電極が前記エミッタ電
極の側に突出するにつれて、前記ゲ−ト電極の突出方向
に対して前記基板側とは逆側にも前記ゲ−ト電極の厚さ
が薄く変化していることを特徴とする電界電子放出素子
である。
【0031】請求項40の発明は、基板と、この基板上
に設けられた平面型のエミッタ電極と、このエミッタ電
極に間隙を介して対向するゲ−ト電極とを備えた電界電
子放出素子の製造方法において、導電膜にレジストを塗
布する工程と、このレジストに残留部が残るように露光
する工程と、前記レジストをマスクとして前記導電膜を
異方性エッチングする工程とを具備したことを特徴とす
る電界電子放出素子の製造方法である。
【0032】請求項43の発明は、基板と、この基板上
に設けられた平面型のエミッタ電極と、このエミッタ電
極に間隙を介して対向するゲ−ト電極とを備えた電界電
子放出素子の製造方法において、導電膜にレジストを塗
布する工程と、前記レジストと前記導電膜とを異方性エ
ッチングする工程と、前記レジストをマスクとして前記
導電膜を等方性エッチングする工程とを具備したことを
特徴とする電界電子放出素子の製造方法である。
【0033】請求項46の発明は、基板と、この基板上
に設けられた平面型のエミッタ電極と、このエミッタ電
極に間隙を介して対向するゲ−ト電極とを備えた電界電
子放出素子の製造方法において、導電膜に第1のレジス
トを塗布する工程と、この第1のレジストと前記導電膜
とを異方性エッチングする工程と、前記導電膜に第2の
レジストを塗布する工程と、この第2のレジストを残留
部が残るように露光する工程と、前記第2のレジストを
マスクとして前記導電膜を異方性エッチングする工程と
を具備したことを特徴とする電界電子放出素子の製造方
法である。
【0034】
【作用】請求項1の発明によれば、エミッタ電極の円弧
状にえぐることで尖鋭化し電子放出部を形成したので、
より微細で尖鋭度の高い電子放出部をえることができ
る。
【0035】請求項2、5、8の発明によれば、エミッ
タ電極の円弧状にえぐることで尖鋭化し、電子放出部を
形成したので、より微細で尖鋭度の高い電子放出部をえ
ることができる。また、レジストの残留部を利用しての
異方性エッチングにより上記電子放出部を作成したの
で、露光の解像度に限界がある場合でも、それ以下の寸
法に上記電子放出部と上記ゲ−ト電極とを近付けること
ができる。
【0036】請求項11の発明によれば、エミッタ電極
の電子放出部を曲成してゲ−ト電極に近付けるようにし
たのでこのエミッタ電極の電子放出効率が良くなる。
【0037】請求項12、19、22の発明によれば、
エミッタ電極の円弧状にえぐることで尖鋭化し、電子放
出部を形成したので、より尖鋭度の高い電子放出部をえ
ることができる。また、エミッタ電極とゲ−ト電極とを
積層するようにしたので、このエミッタ電極の電子放出
部とゲ−ト電極とを近接させることができる。さらに、
ゲ−ト電極を第1、第2のゲ−ト電極に分割し、それぞ
れをエミッタ電極の電子放出部に近付けることができ
る。また、電子放出部はステッパ露光の解像度にかかわ
らず、上記第1、第2のゲ−ト電極に近付けることがで
きる。
【0038】請求項27の発明によれば、エミッタ電極
の円弧状にえぐることで尖鋭化し電子放出部を形成した
ので、より微細で尖鋭度の高い電子放出部をえることが
できる。したがって微細で、かつ動作電力の小さい三極
管を得ることができる。また、これを平面ディスプレイ
装置に適用した場合には、極めて薄い平面ディスプレイ
装置を得ることができる。
【0039】請求項31、33、40、43、46の発
明によれば、エミッタ電極を厚さ方向にも尖鋭化するこ
とができる。このことで、より微細で尖鋭度の高いエミ
ッタ電極を得ることができる。また、レジストの残留部
を利用しての異方性エッチングにより上記電子放出部を
作成したので、露光の解像度に限界がある場合でも、そ
れ以下の寸法に上記電子放出部と上記ゲ−ト電極とを近
付けることができる。
【0040】
【実施例】以下、この発明の各実施例を図1〜図52に
基づいて説明する。
【0041】まず、この発明の第1の実施例を図1〜図
5を参照して説明する。
【0042】図1(a)は、この発明の第1実施例を示
す電界電子放出素子アレイ2の平面図である。この電界
電子放出素子アレイ2は、面方向に連続的に形成された
複数の電界電子放出素子1…からなる。各電界電子放出
素子1は、同図に示すように、平面視略楔状(略三角形
状)に形成されたエミッタ電極7と、これに対向するゲ
−ト電極8とを具備する。
【0043】同図(b)は、各電界電子放出素子の縦断
面図である。各電界電子放出素子1…は、図に示すよう
に、三層構造を有しており、平坦な基板3の上に、絶縁
膜4(絶縁層)と、上記エミッタ電極及びゲ−ト電極を
構成する導電膜5(導電層)が順に積層されてなる。
【0044】上記基板3の材質としては例えばSiやガラ
ス等を、絶縁膜4としては SiO2等を、導電膜5として
は金属材料等を用いるのが一般的である。
【0045】上記導電膜5は、電子放出溝を構成するギ
ャップ6を介してエミッタ電極7とゲ−ト電極(対向電
極)8とに分離されている。上記エミッタ電極7および
ゲ−ト電極の互いに対向する縁部は、後述する成形方法
により上面側が円弧状にえぐられ、互いに対向する方向
に尖る形状となっている。この円弧状にえぐられた面の
ことを、以下「円弧面」10あるいは13と称する。
【0046】なお、上記エミッタ電極7は、上述したよ
うに楔状をなすことで面方向に尖鋭化されており、ま
た、上記円弧面10をこの楔状の縁部に沿って形成する
ことで厚さ方向にも尖鋭化されている。したがって、そ
の最先端部は3次元的に尖鋭化され微細な直線形状とな
っている。以下、このエミッタ電極7の最尖鋭部を電子
放出部7aと称する 一方、上記絶縁層4は、エミッタ電極7とゲ−ト電極8
との間において、絶縁膜4は厚さ方向に円弧状に除去さ
れており、電子放出溝9を構成している。上記エミッタ
電極7とゲ−ト電極8この電子放出溝9内に水平に突出
するようになっている。
【0047】次に、この電界電子放出素子の動作を説明
する。
【0048】この電界電子放出素子のエミッタ電極7に
負の電圧を与え、ゲ−ト電極8に正の電圧を与えると、
上記エミッタ電極7の電子放出部7aの先端に電界が印
加され、この電子放出部7aの先端から電子(−e)が
放出される。
【0049】このエミッタ電極7から放出された電子に
よる電流密度は、従来例の項で述べたように、電子放出
部7aの尖鋭度が高い程、また、エミッタ電極7とゲ−
ト電極8間のギャップ6(間隔)の値Aが小さいほど大
きい。
【0050】なお、図1(a)においては、電界電子放
出素子アレイ2に電界電子放出素子が一列のみ形成され
たものが図示されているが、これは、図が複雑になるこ
とを避けるためであり、実際には、多数列形成されてい
るものとする。
【0051】次に、上述の電界電子放出素子1(電界電
子放出素子アレイ)の製造方法を図2(a)〜(h)に
基づいて説明する。
【0052】本実施例では、化学増幅系レジスト、一例
として、IBM 社のMaltabes,J.G氏らがProc.SPIE Vol.12
62 (1990) (参考文献4)に、発表しているような化学
増幅系レジスト(この論文中では、Poly[4-((tertbutyi
oxycarbonyl)oxy)styrene]という化学物質と、tripheny
lsulfonium hexafluoroantimonate という物質との組合
わせ)を用いた際にこのレジストに対して難溶な層が形
成される現象を利用する。
【0053】すなわち、先ず図2(a)に示すように平
坦な基板3の上に絶縁膜4及び導電膜5を積層し、下地
21を作製する。さらに、この下地21の上に化学増幅
系ポジ型のエキシマレジスト22を塗布する。ついで、
このエキシマレジスト22にエキシマレ−ザ光を照射す
ることで、上記エキシマレジスト22を、上記のエミッ
タ電極7の形状に対応する楔状にパタ−ンニングする。
【0054】この実施例では、エキシマレジスト22を
用いているのでエキシマレ−ザ光(以下、レ−ザ光と称
する)23を用いるのであるが、この発明は、化学増幅
系レジストの難溶化層形成プロセスを利用するものであ
れば良いので、対応する波長帯の異なる他の種類のレジ
ストを用いる場合には、他の種類のレ−ザを用いても良
い。なお、このとき、レジスト22の上の雰囲気にはア
ミン化合物(例えば、NH3 など)を含むようにする。
【0055】レジスト22のレ−ザ光23が照射された
(露光工程)領域24(エミッタ電極7が図1に示すよ
うな楔形になるようにパタ−ニングされた領域)には
(b)に示すように、露光により酸( H+ ,proton な
ど)が発生する。
【0056】ここで露光には、ステッパや大面積露光装
置や電子ビ−ム描画装置等が用いられる。この第1の実
施例以降において同様の露光を行う場合についても同様
である。
【0057】さらに、この酸(protonなど)が生じた領
域24をしばらく放置しておくと、雰囲気中のアミン化
合物が酸を失活させ、レジスト現像液に対して難溶化な
層が生成される。
【0058】このため、レ−ザ光23が照射された領域
24には、(c)に示すように、レジスト現像液に対す
る難溶化性物質と溶化性物質とが混在する領域(混在領
域)25が生じる。この混在領域25は、レジスト22
の上面26の近傍や、レ−ザ光23の照射領域24の外
周部分に多く発生する。
【0059】この後、レジスト22を現像すると、レ−
ザ光23が照射された領域24の大部分は抜けて除去さ
れる。このことにより、図に27で示す溝が形成され、
この溝27から導電膜5が露出する。
【0060】しかし、混在領域25が現像後のレジスト
22の形状に影響を与える結果、図2(d)及び(e)
に示すようにレジスト22が完全には抜けきらず、レジ
スト22に残留部28が残る。
【0061】残留部28は溝27の幅方向に突出し、残
留部28は導電膜5に覆い被さる。残留部28の厚さは
レジスト22の上面26の側ほど大きく、導電膜5の側
へ徐々に小さく変化している。さらに、残留部28の断
面形状はテ−パ状(逆テ−パ状)である。そして、残留
部28の図に29で示す傾斜面は湾曲している。
【0062】この後、レジスト22をマスクとして異方
性エッチング(例えば、RIEなど)を行うと、上記導
電膜5は、上述したレジスト22の形状の影響を受け、
図2(f)及び(g)に示すようにエッチングされてい
く。
【0063】すなわち、導電膜5へのラジカルの供給量
は、レジスト22の残留部28によって制御される。こ
のため、エッチング終了すると、この導電膜5には、図
に30(10)で示す円弧面が形成されることとなる。
【0064】ついで、上記レジスト22を洗浄除去した
後、図2(h)に示すように、絶縁膜4の選択的等方性
エッチングを行う。このことで、上記絶縁膜4には、電
子放出溝9が形成される。
【0065】このような工程によって、上記エミッタ電
極7には、面方向に楔状あるいは三角形状に尖鋭化さ
れ、かつ厚さ方向に上記円弧面30(10)により上記
電子放出溝7に突出するにつれて尖鋭化された電子放出
部7aが形成されることとなる。
【0066】なお、エミッタ電極7とゲ−ト電極8間の
距離(ギャップ6の大きさ)は、上記露光の解像度には
依存せず、レジスト22がアミン化合物含有雰囲気にさ
らされる時間によって決定される。
【0067】つまり、図3(a)に示すように、露光寸
法(露光の解像度)がd4 である場合でも、混在領域2
5の形状(及び体積)は、レジスト22がアミン化合物
含有雰囲気にさらされる時間に応じて異なる。さらに、
混在領域25の形状は、現像後のレジスト22の形状
(残留部28の形状)を決定する。
【0068】残留部28の形状は導電膜5のエッチング
速度に影響を与え、導電膜5に生じたギャップ6の大き
さは、図3(a)〜(e)に示すように、エッチングの
進行に伴って徐々に大きく変化する(d1 〜d3 、d1
<d2 <d3 )。したがって、オ−バ−エッチングの時
間次第で、エミッタ電極7と−ゲ−ト電極8間の距離d
2 、d3 を制御でき、しかも、この寸法d2 、d3 を露
光の解像度d4 よりも小さくすることができる。
【0069】以上述べた電界電子放出素子によれば、以
下に説明する効果がある。
【0070】前述した動作の説明で、このエミッタ電極
7から放出された電子による電流密度は、印加する電圧
が等しい場合でも、従来例の項で述べたように、エミッ
タ電極7の電子放出部7aが尖鋭であるほど、また、エ
ミッタ電極7(電子放出部7a)とゲ−ト電極8間のギ
ャップ6の値Aが小さいほど大きいことを述べた。
【0071】すなわち、上記エミッタ電極7の電子放出
部7aが尖鋭であり、上記ギャップ6が小さければ小さ
いほど、電界電子放出素子の動作電力を下げられるので
ある。
【0072】まず、エミッタ電極7の電子放出部7aの
尖鋭度について説明すると、上述したこの発明の電界電
子放出素子1では、上述した方法により、エミッタ電極
7を面方向に楔状(三角形状)とするとともに、その楔
状の縁部に沿って円弧面7aを形成することで、最先端
部に微細直線状の電子放出部7aを形成することに成功
した。
【0073】つまり、図5(a)に示すようにエミッタ
電極7の縁部10が円弧状にえぐられている場合には、
(b)に示すように単に斜めに加工した場合に比べて先
端部の厚さが非常に薄くなる。また、上記円弧面10
は、上記エミッタ電極何の楔状の縁部に沿って設けられ
ているから、その最先端部は、厚さ方向および面方向に
も薄くなり図5(c)に示すように微細な直線形状とす
ることができるのである。
【0074】また、このような電界電子放出素子1の製
造方法として、導電膜5の上にエキシマレジスト22を
塗布し、化学増幅系ポジ型エキシマレジストの難溶化層
形成プロセスを利用して行うようにしたので、複雑な工
程を経ることなく比較的簡単に上記円弧面10を実現す
ることができる。
【0075】したがって、このような構成によれば、従
来例と比較して、上記エミッタ電極7の電子放出部7a
に電界が集中させやすくなり、低い電圧であっても高密
度の電子を引き出すことができる。すなわち動作電力を
小さくすることができる。
【0076】なお、(b)に示すように縁部を単に斜め
に加工しただけでも、化学増幅系レジストの難溶化層形
成プロセスを利用すれば従来の技術よりも、電極の三次
元的な尖鋭化は可能である。
【0077】次に、エミッタ電極7とゲ−ト電極8間の
距離(ギャップ6)について説明する。
【0078】このエミッタ電極とゲ−ト電極8間の距離
(図3(d)(e)に示すd2 、d3 )は、レジスト2
2の残留部28の形状に依存し、残留部28の形状は現
像前のレジスト22がアミン化合物含有雰囲気にさらさ
れる時間によって決定される。したがって、この時間を
制御するのみで、エミッタ電極7とゲ−ト電極8間の距
離を容易に制御することができる。
【0079】そして、上記エミッタ電極7とゲ−ト電極
8間の距離d2 、d3 (図3(d)、(e))は、ステ
ッパのパタ−ニング解像度が例えば図3(a)に示すd
4であっても、これにかかわらず小さくすることができ
る。(図ではd4 >d3 >d2 ) したがって、このような構成によれば、エミッタ電極7
の電子放出部7aをより尖鋭化でき、かつ、エミッタ電
極7とゲ−ト電極8とをより近付けることができるか
ら、微細でかつ動作電力の少ない電界電子放出素子を得
ることができる。
【0080】なお、この第1の実施例では、上記エミッ
タ電極7の上面側をえぐることで、上記円弧面10を成
形し、尖鋭化された電子放出部7aを得るようにしてい
るが、図5(d)に示すように、上記エミッタ電極7の
下面側を円弧状にえぐることで尖鋭化された電子放出部
7aを形成するようにしても良い。
【0081】次に、第2の実施例である電界電子放出素
子の製造方法を図6〜図10に基づいて説明する。な
お、この製造方法によって製造される電界電子放出素子
の形状は第1の実施例(図1)に示した電界電子放出素
子(電界電子放出素子アレイ)と略同じである。第1の
実施例と同様の構成要素については同一符号を付し、そ
の説明は省略する。
【0082】図6は電界電子放出素子1の製造方法を示
している。この実施例においては、先ず、基板3、絶縁
膜4、及び、導電膜5からなる下地21にレジスト31
を塗布する。ついで、図6(a)に示すように、このレ
ジスト31をステッパ露光することで、エミッタ電極7
の形状に対応する楔形となるようにパタ−ニングする。
【0083】なお、このとき、露光用光32の焦点位置
はレジスト31に合った状態(ジャストフォ−カスの状
態)になく、その焦点位置はレジスト31の上方にずら
されている。このため、同図(b)及び(c)に示すよ
うにレジスト31に残留部33が生じる。
【0084】つまり、レ−ザ光32をレジスト31にジ
ャストフォ−カスで照射した場合には、エッチングがレ
−ザ光32の照射方向に進み、図6(c)中に点線で示
すように、下地21に対して略垂直な壁面34が得られ
る。
【0085】しかし、上述のようにレ−ザ光32の焦点
位置を下地21よりも上方へシフトすることにより、レ
ジスト31が残留し、残留部33が形成される。この残
留部33は、レジスト31の上面35から下地31の側
へ狭まるように傾斜しており、その断面形状は窪みなが
ら湾曲している。
【0086】露光の焦点位置とレジスト31の形状との
関係を図9に示す。ジャストフォ−カスの場合には、図
9(a)のようにレジスト31の壁面34が平坦にな
る。しかし、焦点位置を上方(+側)にずらすとレジス
ト31の壁面34が窪み(同図(b))、下方(−側)
にずらすとレジスト31の壁面34が膨らむ(同図
(c))。
【0087】本実施例においては焦点位置が+側にずら
されているので、レジスト31に上述した形状の残留部
33を形成することができるのである。
【0088】次に、第1実施例と同様に図6(d)及び
(e)に示すようにレジスト31をエッチングマスクと
して、導電膜5及び絶縁膜4を異方性エッチング(例え
ばRIE など)する。
【0089】この場合、レジスト31の残留部33によ
り、導電膜5へのエッチングガス中のラジカルの供給量
が制御されるので、図6(e)、(f)に示すように上
面側が円弧状にえぐられ、厚さ方向に尖鋭化されたエミ
ッタ電極7とゲ−ト電極8とが得られる。
【0090】また、エミッタ−ゲ−ト間の距離(ギャッ
プ6の大きさ)は、第1の実施例と同様に、パタ−ニン
グ後のレジスト31の形状と導電膜5のエッチング時間
とによって制御される。つまり、レジスト31の残留部
33の形状は導電膜5のエッチング速度に影響を与え
る。そして、図7(a)〜(c)に示すように、レジス
ト31のエッチングの進行に伴って、導電膜5も徐々に
エッチングされ、ギャップ6の大きさが徐々に大きく変
化する(d1 <d2 )。
【0091】この第2の実施例によれば、以下の効果が
ある。
【0092】すなわち、上述のような製造方法によれ
ば、第1実施例と同様にエミッタ電極7を厚さ方向およ
び面方向に尖鋭化することができ、動作電力の少ない良
好な電界電子放出素子を得ることができる。
【0093】また、難溶化層形成プロセスを利用するこ
となくエミッタ電極7(及びゲ−ト電極8)を尖鋭化で
きるので、電極の作製がさらに容易となる効果がある。
【0094】さらに、第1の実施例と同様にエミッタ電
極7とゲ−ト電極8間の距離を容易に制御することがで
き、従来例の項で述べた従来の平面型エミッタ電極7と
異なり、ステッパのパタ−ニング解像度によって制限さ
れることなくエミッタ電極7とゲ−ト電極8を接近させ
ることが可能になる。
【0095】次に、第3の実施例を図10〜図12に基
づいて説明する。なお、前述の各実施例と同様の部分に
ついては同一番号を付し、その説明は省略する。
【0096】図10(a)は、この実施例の電界電子放
出素子40を示している。この電界電子放出素子40の
エミッタ電極42、及び、ゲ−ト電極43の先端面は、
それぞれの縁部に沿って面内方向に円弧状にえぐられ円
弧面46、47が形成されている。
【0097】つまり、各エミッタ電極42の先端部に
は、厚さ方向両端側に、それぞれ線状の電子放出部42
a、42bが形成されており、かつ各電子放出部42
a、42bに対向するように、上記ゲ−ト電極43側の
鋭く尖る一対の先端部が位置するようになっている。
【0098】この電界電子放出素子40は図11及び図
12に示すようにして作製される。
【0099】まず、図11(a)に示すように、下地2
1に塗布されたレジスト51がステッパ露光され、パタ
−ニングされて溝52が形成される。さらに、導電膜5
を、同図(b)に示すように溝52を通して異方性エッ
チング(例えば、RIE など)した後、同図(c)に示す
ように等方性エッチング(例えば、Chemical DryEtchin
g やWet Etching など)することにより図に46、47
で示す円弧面(凹部)を形成する。
【0100】ついで、上記レジスト51の剥離を行った
後、同図(d)に示すように絶縁膜4を等方性エッチン
グ(例えば、Chemical Dry EtchingやWet Etching な
ど)することにより電子放出溝9を形成する。
【0101】この第3の実施例によれば、以下の効果が
ある。
【0102】すなわち、上述のような電界電子放出素子
40によれば、第1の実施例と同様にエミッタ電極42
の電子放出部42a、42bが面内方向のみではなく、
厚さ方向にも尖鋭化されているので、従来よりも高いエ
ミッション電流を得ることが可能である。
【0103】さらに、この実施例においては、エミッタ
電極42は、下面側だけでなく上面側にも尖鋭化されて
おり、第1の実施例と比較して電子放出部42a、42
bがより高密度に形成されていることとなる。
【0104】すなわち、エミッタ電極42とゲ−ト電極
43とに与えられる電位が同じならば、上記各電子放出
部42a、42bからは、それぞれ上記第1の実施例の
電子放出部と同じ密度の電子が放出される。したがっ
て、同サイズの電界電子放出素子であっても略2倍の電
流値(エミッション電流値)を達成することができる。
【0105】さらに、このような構成によれば、難溶化
層形成プロセスを利用することなくエミッタ電極42
(及びゲ−ト電極43)を尖鋭化できるので、電極の作
製が容易である。
【0106】次に、この発明の第4の実施例を説明す
る。
【0107】図13に示すのは、この実施例の電界電子
放出素子である。この電界電子放出素子のエミッタ電極
7は上記第1の実施例と同様に先端部が尖鋭化され電子
放出部7aが形成されているが、ゲ−ト電極8の先端部
は尖鋭化されておらず略垂直な平面となっている。
【0108】このような形状の電界電子放出素子を作る
場合、図14及び図15に示す方法と、図16及び図1
7に示す方法とが上記第1〜第3の実施例で述べた製造
方法の組合わせから考えられる。
【0109】以下にその概要を詳解するが、ここでは、
上記図14および図15に示す方法を第4の実施例の電
界電子放出素子の製造方法とし、図16および図17に
示す方法を第5の実施例の製造方法とする。なお、すで
に述べた実施例と同じ構成要素には同一符号を付し、そ
の詳しい説明は省略する。
【0110】図14及び図15に示す第4の実施例で
は、まず図14(a)に示すように基板3、絶縁膜4、
導電膜5と積層された下地21の上にレジスト51を塗
布する。ついで、同図(b)に示すように、このレジス
ト51を上記エミッタ電極7に対応する楔状(図1に示
す)になるようにパタ−ニングし、溝52を形成する。
【0111】ついで、異方性エッチングを行うことによ
り、同図(c)に示すように、この溝52と同じパタ−
ンで導電膜5をエッチングする。この時点では、上記エ
ミッタ電極7とゲ−ト電極8の互いの対向面は、鉛直平
面となっている。
【0112】次に、上記ゲ−ト電極8を残して、上記エ
ミッタ電極7のみを尖鋭化するために、図14(e)〜
図15(i)の工程を行う。
【0113】まず、図14(e)に示すように、上記エ
ミッタ図に22で示すエキシマレジストを塗布する。つ
いで、このエキシマレジスト22に図に23で示すエキ
シマレ−ザ光を上記エミッタ電極7側にずらして照射す
ることで、図15(f)に示すように、第1実施例に記
載の化学増幅系ポジ型エキシマレジストの難溶化層形成
プロセスが行われる。
【0114】さらに、図15(g)に示すように等方性
エッチングを行う。この工程では、上記残留部28によ
って、エッチングの進行が制限され、第1の実施例と同
様に、エミッタ電極7の上面側が円弧状にえぐられて円
弧面10が形成され、尖鋭化された電子放出部7aが成
形される。なお、このとき、上記ゲ−ト電極8には、エ
ッチングが及ばないようになっている。
【0115】最後に図15(h)に示すようにレジスト
22を除去し、図15(i)に示すように、上記絶縁膜
4を等方性エッチングで選択的に削ることで、電子放出
溝9内にエミッタ電極7およびゲ−ト電極8が突出して
なる電界電子放出素子が作製される。
【0116】続いて図16及び図17に示す第5の実施
例を説明する。まず図16(a)〜(d)に示すように
基板3、絶縁膜4、導電膜5と積層された下地21の上
にレジスト51を塗布し、エミッタ電極7の楔形状に対
応するようにパタ−ニングで溝52を形成した後、異方
性エッチングで導電膜5を削る。この工程によって図1
6(d)に示すようにゲ−ト電極8とエミッタ電極7の
互いの対向面の形状は鉛直平面となる。
【0117】そして、同図(e)に31で示すレジスト
を塗布した後、図17(f)、(g)に示すようにエッ
チングを行う。なお、この際、ゲ−ト電極8にエッチン
グが及ぶことがないように、このステッパなどを用いた
露光の照射位置を上記エミッタ電極7側(図中左側)に
ずらす。
【0118】また、第2の実施例に記載の露光の焦点位
置の調節の手法により(ここでは+側)上記レジスト3
1に残留部33が生じるように重ね合わせ露光する。さ
らに、図17(g)に示すようにレジスト31をエッチ
ングマスクとして異方性エッチングを行う。この工程に
よって、レジスト31の残留部33によりエッチングガ
ス中のラジカル供給量が制御されるので、エミッタ電極
7の尖鋭化がなされる。
【0119】最後に図17(h)に示すように、上記レ
ジスト41を除去すると共に、図17(i)に示すよう
に、上記絶縁膜4を等方性エッチングで選択的に削るこ
とで、電子放出溝9内に電子放出部7aを突出させるエ
ミッタ電極7およびこれに対向するゲ−ト電極8が作製
される。
【0120】次に、第6の実施例について説明する。
【0121】この第6の実施例の電界電子放出素子を図
18に示す。
【0122】この電界電子放出素子のエミッタ電極7は
上記第1の実施例と同様に上面側が円弧状にえぐられ、
尖鋭化された電子放出部7aを具備するが、ゲ−ト電極
8の先端部は面内方向に円弧状にえぐられ上面側と下面
側とがそれぞれ尖鋭化された形状となっている。
【0123】このような形状の電界電子放出素子を作る
場合、図19及び図20に示す方法と、図21及び図2
2に示す方法とが上記第1〜第3の実施例で述べた製造
方法の組合わせから考えられる。
【0124】以下にその概要を詳解するが、ここでは、
上記図19および図20に示す方法を第6の実施例の電
界電子放出素子の製造方法とし、図21および図22に
示す方法を第7の実施例の製造方法とする。なお、すで
に述べた実施例と同じ構成要素には同じ符号を付すこと
で個々の構成の説明に代えるものとする。
【0125】図19及び図20に示すこの発明の第6の
実施例は、図19(a)〜(e)に示すように、まずこ
の発明の第3の実施例を利用する。すなわち、基板3、
絶縁膜4、導電膜5と積層された下地21の上にレジス
ト51を塗布し、エミッタ電極7が図1に示すように楔
形になるようにパタ−ニングし、溝52を形成する。つ
いで、異方性エッチングを行い、導電膜5を削る。この
工程によって同図(d)、(e)に示すようにゲ−ト電
極8とエミッタ電極7に互いに対向する面は円弧状にえ
ぐられ凹形状となる。
【0126】そして、ゲ−ト電極98となる部位をエッ
チングしないために図20(f)に示す重ね合わせ露光
がなされて、図20(g)に示すように第4の実施例に
記載の化学増幅系ポジ型エキシマレジストの難溶化層形
成プロセスが行われる。さらに、図20(h)に示すよ
うに等方性エッチングが行われる。この工程によっ上記
エミッタ電極7が上面側からえぐられ円弧面10が形成
されると共に、その先端部には尖鋭化された電子放出部
7aが形成される。
【0127】最後に図20(i)に示すようにレジスト
22を除去した後、図20(j)に示すように上記絶縁
膜4を等方性エッチングで選択的に削ることで電子放出
溝9を形成する。
【0128】このことで、この電子放出溝9内に突出す
るエミッタ電極7およびゲ−ト電極8が作製される。
【0129】続いて、図21及び図22に示す本発明の
第7実施例を説明する。まず、図21(a)〜(e)に
示す工程を経た後、図22(f)、(g)に示すよう
に、第2の実施例に記載のステッパ露光の焦点位置の調
節により、(ここでは+側)レジスト31に残留部33
が生じるような重ね合わせ露光を行う。
【0130】さらに、図22(h)に示すようにレジス
ト31をマスクとして異方性エッチングを行う。この工
程によって、レジスト31の残留部33によりエッチン
グガス中のラジカルの供給量が制御されるので、第5の
実施例と同様にエミッタ電極7の尖鋭化がなされ電子放
出部7aが成形される。
【0131】最後に図22(i)に示すようにレジスト
31を除去した後、、図22(j)に示すように上記絶
縁膜4を等方性エッチングで選択的に削ることで、電子
放出溝9を成形する。このことで、図18に示す電界電
子放出素子が作製される。
【0132】これら第4〜第7実施例によると、第1実
施例〜第3実施例よりも、上記エミッタ電極7の電子放
出部に対向するゲ−ト電極8の対向面積を大きくするこ
とができるので、より大きな電界を上記エミッタ電極7
に印加することができる。このことにより、より低い駆
動電圧で大きなエミッション電流を得ることができる効
果がある。
【0133】また、ゲ−ト電極8からの電界をエミッタ
電極7に集中させて、低い駆動電圧で大きなエミッショ
ン電流を得ることができるようにするにはパタ−ニング
で溝72(電子放出溝)を形成する際に、図23あるい
は図24の平面図に示されているような形状にすること
でも達成される。
【0134】これをそれぞれ第8実施例及び第9実施例
とすると、この第8実施例及び第9実施例の電界電子放
出素子のエミッタ電極7およびゲ−ト電極8は、第1実
施例〜第7実施例で説明した各エミッタ電極およびゲ−
ト電極の形状が適用可能である。
【0135】なお、前述の各実施例の電界電子放出素子
及び電界電子放出素子の製造方法の用途としては、例え
ば、電子銃、SEM(走査型電子顕微鏡)、真空IC、
平面ディスプレイ、電子ビ−ム直描装置などが考えられ
る。
【0136】次に、この発明の第10の実施例を示す。
【0137】なお、前述した第1〜第9の実施例の電界
電子放出素子は、上記エミッタ電極7とゲ−ト電極8と
が同じ高さに設けられていたものであった。しかし、こ
の第10の実施例以降に示す電界電子放出素子は、図に
67、68および69、70に示すように上記エミッタ
電極およびゲ−ト電極を2個ずつ有し、かつこのエミッ
タ電極67、68とゲ−ト電極69、70はそれぞれ異
なる高さに設けられており、前記実施例とは形式を異に
する。以下説明する。
【0138】図25(a)はこの第10の実施例を示す
電界電子放出素子アレイ60の平面図である。この電界
電子放出素子アレイ60は、面方向に連続的に形成され
た複数の電界電子放出素子61…からなる。なお、この
図には、図が複雑になることを避けるために、4個の電
界電子放出素子61のみを図示している。
【0139】図25(b)、(c)は、各電界電子放出
素子61のI−I線およびII−II線に沿う縦断面図
である。この電界電子放出素子61は5層構造を有して
おり、平坦な基板62上に、第1の絶縁膜63と、上記
エミッタ電極67、68を構成する第1の導電膜64
と、第2の絶縁膜65と、上記ゲ−ト電極69、70を
構成する第2の導電膜66とが順に積層されてなる。
【0140】すなわち、第1の導電膜64(エミッタ電
極67、68)は、第1の絶縁膜63によって上記基板
62と絶縁されており、第1の導電膜64と第2の導電
膜66(ゲ−ト電極69、70)は上記第2の絶縁膜6
5により所定の隙間を存した状態で互いに絶縁されてい
る。
【0141】上記基板62の材質としては例えばSiやガ
ラス等を、上記第1、第2の絶縁膜63、65の材質と
しては SiO2 等を、第1、第2の導電膜64、66の材
質としては金属材料等を用いるのが一般的である。
【0142】そして、上記第1の絶縁層63の中央部に
は図に72で示す電子放出溝が形成されており、この溝
72は上の三つの層64〜66を通過して、この電界電
子放出素子61の上面に解放している。
【0143】この電子放出溝72により、上記第1の導
電膜64は第1、第2のエミッタ電極67、68に分割
され、上記第2の導電膜66は第1、第2のゲ−ト電極
69、70に分割されている。
【0144】また、上記電子放出溝72は、上記エミッ
タ電極67、68の下面側に回り込んで広げられ、かつ
上記第2の絶縁膜65は、上記エミッタ電極67、68
とゲ−ト電極69、70との隙間に位置する部位を除去
されている。
【0145】したがって、上記エミッタ電極67、68
およびゲ−ト電極69、70の縁部は、上記電子放出溝
72内に所定寸法をもって突出し、かつ互いに対向する
ように構成されている。
【0146】なお、上記電子放出溝72は、図25
(a)に示すように、上記基板62の上面と平行な方向
に沿って蛇行するように形成されている。このことによ
り、上記第1のエミッタ電極67および第2のエミッタ
電極68の縁部は、上記基板62の上面と平行な方向に
沿って交互に楔状(三角形状)に突出するように形成さ
れ、かつ、上記第1のゲ−ト電極69と第2のゲ−ト電
極70の縁部も、これと同様に交互に楔状(三角形状)
となるように形成されている。
【0147】また、上記第1、第2のエミッタ電極6
7、68および第1、第2のゲ−ト電極69、70の楔
状に突出する縁部の間に位置する縁部は、図25(a)
に示すように、対向する他のエミッタ電極67、68あ
るいはゲ−ト電極69、70の楔状の縁部を囲む湾曲状
に形成されている。
【0148】一方、図25(b)、(c)に示すよう
に、上記第1、第2のエミッタ電極67、68の互いに
対向する縁部は、このエミッタ電極67、68の厚さ方
向上面側からえぐられて円弧面74、75が形成され、
上記電子放出溝72内に突出するにつれて尖鋭化されて
いる。
【0149】また、上記第1、第2のエミッタ電極6
7、68の楔状に形成された部位の先端部は、その形状
により面方向に尖鋭化され、かつ上記円弧面74、75
により厚さ方向にも尖鋭化されているから、その最先端
は微細な直線状となっている。この直線状に尖鋭化され
された部位は、第1、第2のエミッタ電極67、68の
電子放出部67a、68aとなる。
【0150】なお、この第1、第2の電子放出部67
a、68aは、図25(a)に示すように基板62の上
面と平行な方向に交互に設けられ、1つの電界放電素子
61にはどちらか1つ電子放出部(67aあるいは68
a)のみが位置するようになっている。
【0151】次に、この電界電子放出素子の動作を、図
25(c)に示す電界電子放出素子を例にとって説明す
る。
【0152】この電界電子放出素子の第1の導電膜64
に負の電圧を与え、第2の導電膜66に正の電圧を与え
ると、図26に点線で示すように、上記第1、第2のゲ
−ト電極69、70により上記第1のエミッタ電極67
の尖鋭化された電子放出部67aに電界が印加されるこ
とになる。このことによって、上記第1のエミッタ電極
67の電子放出部67aから電子(−e)が放出され
る。
【0153】この第1のエミッタ電極67から放出され
た電子による電流密度は、このエミッタ電極67の電子
放出部67aの先端が尖っている程、また、この電子放
出部67aと上記第1、第2のゲ−ト電極69、70間
のギャップが狭い程大きくなる。
【0154】次に、この電界電子放出素子の製造方法を
図27に基づいて説明する。
【0155】電界電子放出素子61の作製プロセスは、
大まかには、成膜、パタ−ニング、及び、エッチングの
各工程からなる。
【0156】この実施例においては、まず、27(a)
に示すように、基板62上に、第1の絶縁膜63、第1
の導電膜64、第2の絶縁膜65および第2の絶縁膜6
6が順次積層されてなる下地74にレジスト75を塗布
し、同図(b)に示すようにステッパや大面積露光装置
等を用いた露光によるパタ−ンニングを行う。
【0157】この露光の際の焦点位置はレジスト75に
合った状態(ジャストフォ−カスの状態)になく、焦点
位置は上方(レジスト75の側)にずらされている。こ
のため、図27(b)に示すようにレジスト75に残留
部76が生じ、レジスト75の断面形状は下端に向かう
にしたがって緩やかに狭まるように成形される。
【0158】なお、露光の焦点位置とレジスト75の形
状との関係は、前述した第2の実施例において、図9を
示して説明したのでここでは省略する。
【0159】この後は、第1実施例と同様に図25
(c)及び(d)に示すようにレジスト41をエッチン
グマスクとして、異方性エッチング(例えばRIE (反応
性イオンエッチング)など)を行う。
【0160】このことで、上記電子放出用溝72の上部
が形成される。また、このことにより、上記第1、第2
の導電膜64、66は、上記基板62の面方向に所定隙
間を存して対向する第1、第2のエミッタ電極67、6
8および第1、第2のゲ−ト電極69、70に分割され
る。
【0161】また、平面視では、図25(a)に示すよ
うに、上記第1、第2のエミッタ電極67、68および
第1、第2のゲ−ト電極69、70は、上記基板62の
面方向に沿って交互に楔状となるように形成される。
【0162】一方、厚さ方向には、レジスト75の残留
部76により、導電膜5へのエッチングガス中のラジカ
ルの供給量が制御されるので、図に示すようにエッチン
グが進行し、図6(d)に示すように縁部が上面側から
円弧状にえぐられ尖鋭化されてなる第1、第2のエミッ
タ電極67、68が得られる。
【0163】また、エミッタ電極67、68とこれに対
向するゲ−ト電極69、70間の距離(ギャップの大き
さ)は、第1の実施例と同様に、パタ−ニング後のレジ
スト75の形状とその後のエッチング時間とによって制
御される。
【0164】つまり、レジスト75の残留部76の形状
は上記第1の導電膜64のエッチング速度に影響を与え
る。そして、その後のレジスト75のエッチングの進行
に伴って、上記第1の導電膜64も徐々にエッチングさ
れ、ギャップ6の大きさが徐々に大きく変化する。
【0165】例えば絶縁性材料にSiO2 を用いるとと
もに導電性材料にWSiを用いた場合は、RIE用のガ
スとしてCF4 とO2 を導入すれば、エッチングが可能
である。
【0166】上記第1、第2の導電膜64、66のエッ
チングが終了したならば、例えばHFを用いたウエット
エッチングが行われ、図27(e)に示すようにSiO
2(第1、第2の絶縁層63、65)だけが選択的にエ
ッチングされる。
【0167】すなわち、上記第1、第2のエミッタ電極
67、68および第1、第2のゲ−ト電極69、70の
縁部の周辺に位置する上記第1、第2の絶縁膜63、6
5が除去され、上記エミッタ電極67、68およびゲ−
ト電極69、70は電子放出溝72内に突出することと
なる。
【0168】この工程において、エミッタ電極67、6
8及びゲ−ト電極69、70の十分な突出量が確保され
る。この工程は、真空中でエミッタ電極67、68の各
電子放出部67a、68aから効率良く電子を放出させ
るために必要な工程である。
【0169】以上の工程で製造された第10の実施例の
電界電子放出素子61によれば、以下に説明する効果が
ある。
【0170】前述した動作の説明(図26)で、第1の
エミッタ電極67の電子放出部67aから放出された電
子による電流密度は、印加する電圧が等しい場合でも、
電子放出部67aが尖鋭であるほど、また、この電子放
出部67aと第1、第2のゲ−ト電極69、70間のギ
ャップ6の値が小さいほど大きいことを述べた。このこ
とは、図25(b)に示す上記第2のエミッタ電極68
の電子放出部68aについても同様である。
【0171】すなわち、上記電子放出部67a(68
a)が尖鋭であり、上記ギャップ6が小さければ小さい
ほど、電界電子放出素子の動作電力を下げられるのであ
る。
【0172】まず、エミッタ電極67の尖鋭度について
説明すると、上述したこの発明の電界電子放出素子1で
は、上述した方法により、上記第1、第2のエミッタ電
極67、68の縁部に沿って円弧面74、75を形成
し、楔状部の先端部を微細直線状の電子放出部67a、
68aとするようにした。
【0173】つまり、図5(a)、(c)に示すよう
に、エミッタ電極67、68の縁部が円弧状に形成され
ている場合には、(b)に示すように単に斜めに加工し
た場合に比べて先端部の厚さを非常に薄くできる。
【0174】また、この円弧面74、75は、上記エミ
ッタ電極67、68の楔状の縁部に沿って設けられてい
るから、その最尖鋭部では厚さ方向および面方向にも薄
くなり、図5(c)を引用して示すような微細な直線状
の電子放出部67a、68aを成形することができるの
である。
【0175】したがって、従来例と比較して、上記エミ
ッタ電極67、68の電子放出部67a、68aの先端
部には、電界が集中しやすくなり、低い電圧であっても
高密度の電子を引き出すことができる。すなわち動作電
力を小さくすることができる。
【0176】また、電界電子放出素子61の製造方法と
しては、露光の焦点距離をずらすことで行うようにした
ので、上記エミッタ電極67、68の縁部の上面側に円
弧面74、75を形成することができ、先端を尖鋭化す
ることが可能である。
【0177】また、難溶化層形成プロセスを利用するこ
となくエミッタ電極67を製造するようにしたので、電
子放出部67aの尖鋭化を容易に行える効果がある。
【0178】次に、図26における上記第1のエミッタ
電極67と第1、第2のゲ−ト電極69、70間の距離
(ギャップ)について説明する。なお、第2のエミッタ
電極68については、この第1のエミッタ電極67と同
じであるので、その説明は省略する。
【0179】まず、上記第1のエミッタ電極67とその
直上に位置する第1のゲ−ト電極69間のギャップは、
第2の絶縁膜65の厚さによって決まる。この場合にお
いて、上記第2の絶縁膜65は、パタ−ニング技術では
なく、製膜技術により作製されるので、作製プロセスが
容易であるとともに、この第1のエミッタ電極67と第
1のゲ−ト電極69間のギャップの縮小化及び調整が容
易に行える。
【0180】一方、上記第1のエミッタ電極67と、こ
の第1のエミッタ電極67の対角線上に位置する上記第
2のゲ−ト電極70間のギャップの大きさはレジスト7
5の残留部76の形状に依存する。
【0181】この残留部76の形状は上記露光の焦点位
置をずらす量によって高精度に決定できるので、上記第
1のエミッタ電極67と第2のゲ−ト電極70間の距離
を容易に制御することができる。
【0182】すなわち、上記ステッパ露光のパタ−ンニ
ング解像度により、上記第1、第2のゲ−ト69、70
間の距離を小さくすることに限界がある場合であって
も、上記第1、第2のエミッタ電極67、68の先端部
間の距離はそれ以下に小さくすることが可能である。
【0183】したがって、その距離だけ、上記第1のエ
ミッタ電極67と上記第2のゲ−ト電極70を近付ける
ことができる効果がある。すなわち、ステッパのパタ−
ニング解像度によって制限されることなく、上記第1の
エミッタ電極76と第2のゲ−ト電極70を接近させる
ことが可能になる。
【0184】このように上記第1のエミッタ電極67の
電子放出部74に、上記第1、第2のゲ−ト電極69、
70を接近させたことにより以下の効果がある。
【0185】例えば、この電界電子放出素子を三極管と
して用いる場合を例にとって説明する。この電界電子放
出素子を三極管として用いる場合には、この電界電子放
出素子の上方に図示しない陽極を配置する。
【0186】仮に、上記第1のエミッタ電極67に対し
て第1のゲ−ト電極69しか存在しない場合には、図2
8(a)に示すように、上記第1のエミッタ電極67か
ら放出された電子の略半分が上記第1のゲ−ト電極69
にトラップされ上方に位置する図示しない陽極との間に
流れる電流量が小さくなる。
【0187】また、この第1のゲ−ト電極69だけであ
ると、上記第1のエミッタ電極67の尖鋭化された電子
放出部67aの先端部がこの第1のゲ−ト電極69の方
向に向いていないために電子の放出率が悪いということ
もある。
【0188】また、仮に、上記第2のゲ−ト電極70が
存在する場合であっても、図28(b)に示すように、
この第2のゲ−ト電極70と上記電子放出部67aの距
離が離れている場合には、この第2のゲ−ト電極70か
ら上記電子放出部67aに印加される電界が小さいため
に、やはり図(a)と同じ事態が生じる。
【0189】しかし、図26に示すこの発明の電界電子
放出素子のように、上記第1のエミッタ電極67に対し
て上記第1、第2のゲ−ト電極69、70を近付けるこ
とができる場合には、上記第1のエミッタ電極67の電
子放出部67aに上記第2のゲ−ト電極70からの電界
をかけることができる。また、この電子放出部67aの
延出方向に上記第2のゲ−ト電極70が位置することに
なるから、電子放出率を向上させることができる。さら
に、この第2のゲ−ト電極70により放出される電子を
偏向させて略100%上方へ向かわせることができる。
【0190】したがって、同じ電圧をかける場合であっ
ても、上記陽極に対して大きな電流を流すことができる
効果がある。
【0191】一方、この実施例では、上記第2のゲ−ト
電極70の縁部は、図25(a)に示すように、平面視
で上記第1のエミッタ電極67の電子放出部67aを囲
む湾曲状に形成されている。このことにより、電界集中
係数を高めることができ、上記第1のエミッタ電極67
からの電子放出率を向上させることができる効果もあ
る。
【0192】この理由について図29を参照して説明す
る。
【0193】今、上記第2のゲ−ト電極70の形状を図
29(a)〜(c)に示すように、三種類に変更させ
て、電界集中係数を比較する。
【0194】各種類について、等電位分布を考えると、
図に示す等高線のようになる。電子放出率は、エミッタ
電極67の電子放出部67aの先端にかかる電界の集中
係数が大きい程高くなるが、この電界集中係数は、上記
電子放出部67a近傍での電位分布線が急峻なほど大き
くなる。
【0195】したがって、対向電極に与える電圧および
電極間のギャップが等しい場合であっても、上記電子放
出部67aから放出される電子の密度すなわち電流量は
(a)、(b)、(c)の順に大きくなることが分か
る。
【0196】この実施例での上記第1のエミッタ電極6
7と第2のゲ−ト電極70の関係は図の(c)に該当す
ることとなるから、動作電圧を低くすることができる。
【0197】したがって、以上述べたことにより、この
電界電子放出素子およびこの電界電子放出素子の製造方
法によれば、エミッタ電極の先端をより尖鋭化でき、か
つ、エミッタ電極とゲ−ト電極とをより近付けることが
できるから、動作電力の少ない電界電子放出素子を得る
ことができる。
【0198】次に、第11の実施例について説明する。
【0199】なお、上記第10の実施例と同様の構成要
素には、同一符号を付してその説明は省略する。
【0200】図30はこの実施例の電界電子放出素子を
示す縦断面図である。この電界電子放出素子の平面視形
状は、図25に示す第10の実施例と同形であり、この
図30は、図25のII−II断面(図25(c))に
相当する。
【0201】この縦断面図に示すように、上記第1のエ
ミッタ電極67の尖鋭化された電子放出部67aは、上
方に向くように曲成されている。すなわち、上記電子放
出部67aの先端は、上記第1、第2のゲ−ト電極6
9、70と略同じかそれよりも高い位置にある。
【0202】次に、この実施例の電界電子放出素子の成
形方法について図31(a)〜(g)を参照して説明す
る。
【0203】まず、図31(a)に示すように、上記基
板62上に、第1の絶縁膜63および第1の導電膜64
を形成する。この形成は、上記基板62を所定の温度雰
囲気に保たれた真空チャンバ内におき、例えばスパッタ
リングによる成膜技術を施すことで行う。上記第1の絶
縁膜63と第1の導電膜64の形成は、同じ温度雰囲気
(形成条件)の中で行うようにする。
【0204】ついで、この第1の導電膜64上に第1の
レジスト80を塗布し、図31(b)に示すように露光
によるパタ−ンニングを行う。なお、この露光の際の焦
点位置はレジスト80に合った状態(ジャストフォ−カ
スの状態)になく、その焦点位置はこのレジスト80よ
りも上方にずらされている。このため、図31(b)に
示すようにレジスト80に残留部81が生じ、レジスト
80の断面形状は下端に向かうにしたがって緩やかに狭
まるように形成される。
【0205】なお、露光の焦点位置とレジスト80の形
状との関係は、前述した第2の実施例において図9を示
して説明したので、ここでは省略する。
【0206】この後は、図31(c)に示すようにこの
レジスト80をマスクとして異方性エッチング(例えば
RIE)を行う。
【0207】このことで、上記第1の導電膜は第1、第
2のエミッタ電極に分割されると共に、その楔状部の先
端部は、上面側から円弧状にえぐられて尖鋭化され電子
放出部(図に第1のエミッタ電極の電子放出部のみ示
す)となる。
【0208】次に、図31(c)に示すように上記第1
のレジスト80を除去した後、図31(d)に示すよう
に上記第1、第2のエミッタ電極67、68上に第2の
絶縁膜65および第2の導電膜66を形成する。この形
成も、同様にスパッタリングにより行うのであるが、上
記第1の絶縁膜63および第1の導電膜64とは異なる
温度雰囲気中で行うようにする。
【0209】ついで、上記第2の導電膜66上に第2の
レジスト82を塗布し、図31(e)に示すようにパタ
−ンニングを行う。ついで、図31(f)に示すよう
に、この第2のレジスト82をマスクとして、上記第2
の導電膜66および第2の絶縁膜65をステッパ露光す
る。この露光は、ジャストフォ−カスの状態で行う。
【0210】このことで、上記第2の導電膜66は、第
1、第2のゲ−ト電極69、70に分割されると共に、
上記第1、第2のゲ−ト電極69、70の互いの対向す
る縁部は、平面視で楔状およびこれを囲む湾曲状に形成
される。なお、このとき、上記第1、第2のゲ−ト電極
69、70の離間間隔は、上記第1、第2のエミッタ電
極67、68の離間間隔よりも大きくなるように設定さ
れる。
【0211】この後は、例えばHFを用いたウエットエ
ッチングが行われる。このことで、上記第1、第2の絶
縁膜63および65が選択的にエッチングされて除去さ
れ電子放出溝72が形成される。
【0212】なお、上記第1、第2の絶縁膜63、65
のエッチングが進行し、上記第1のエミッタ電極67の
縁部が上記電子放出用溝72内に突出するにつれて、上
記極第1のエミッタ電極67の電子放出部は内部応力に
より上方に反ることとなる。
【0213】すなわち、上記第1、第2の絶縁膜63、
65は、異なる温度雰囲気中で形成されたものであるか
ら、同一温度雰囲気に戻された場合には内部に熱応力が
残留し、かつこの熱応力は上記第1、第2の絶縁膜6
3、65とで異なる大きさになる。
【0214】このことによって、上記第1、第2の絶縁
膜63、65の境界に位置する第1の絶縁膜64すなわ
ち第1、第2のエミッタ電極67、68は上面および下
面に異なる大きさの力がかかることとになる。このこと
により、上記第1、第2のエミッタ電極67、68には
上方に曲成される方向に力が加わることとなる。
【0215】なお、図においては、図中左側に位置する
第1のエミッタ電極67は、楔状に尖鋭化され、また、
厚さ方向にも上記円弧面74によって突出するにつれて
薄くなるように尖鋭化されているから、先端にいく程剛
性が小さくなる。したがって、この第1のエミッタ電極
67の電子放出部67aは、先端に行く程曲成角度が大
きくなり、その最先端は略垂直に上方を向くようになっ
ている。
【0216】これに対して、上記第2のエミッタ電極6
8の縁部は、楔状ではなく湾曲状に形成され、尖鋭化さ
れていない。また、電子放出溝72内への突出量も上記
第1のエミッタ電極67に比べて小さい。したがって、
図に示すようにほとんど曲成されない。
【0217】次に、この電界電子放出素子の動作を説明
する。
【0218】この電界電子放出素子では、図30に示す
ように、上記第1のエミッタ電極67の電子放出部67
aは、上記第1、第2のゲ−ト電極69、70と略同じ
高さに位置し、この第1、第2のゲ−ト電極69、70
に挟まれるようになっている。
【0219】このような構成によれば、上記電子放出部
67aと上記ゲ−ト電極69、70間のギャップをより
小さくすることができるから、電子放出効率が良くな
る。また、この電界電子放出素子を三極管として用いる
場合には、上記電子放出部67aの先端が上方を向いて
いるので、より効率良く電子を放出することができる。
【0220】なお、この第11の実施例では、上記第
1、第2の絶縁膜63、65の形成温度を変更すること
で、上記第1のエミッタ電極67の電子放出部67aを
上方に曲成させたが、これに限定されるものではなく、
例えば、上記第1、第2の絶縁膜63、65の組成を変
更することで行うようにしても良い。
【0221】なお、上記第1、第2にエミッタ電極6
7、68および第1、第2のゲ−ト電極69、70の平
面視形状は、図25に示す上記第10および第11の実
施例に示したものに限定されるものではなく、図34
(a)〜(d)に示すような形状であっても良い。
【0222】このような形状であっても、上記第1、第
2のエミッタ電極の電子放出部に第1、第2のゲ−ト電
極を近接させることができるので、上記第10および第
11の実施例と略同様の効果を得ることができる。
【0223】なお、特に(d)に示す星形を採用した場
合には、鋭利なエッジが多くかつ高密度に形成されるか
ら、ト−タル電流値が高くなる。
【0224】また、上記第11の実施例の電界電子放出
アレイの平面視形状は図32(b)に示すような形状で
あっても良い。
【0225】上記第11の実施例の電界電子放出素子ア
レイは、前述したように図25(a)に示す平面視形状
を有していた。すなわち、上記エミッタ電極67、68
とゲ−ト電極69、70は上下方向に離間してはいるが
略同じ形状であった。
【0226】しかし、図32(b)に示す電界電子放出
素子アレイでは、上記ゲ−ト電極69、70の上記エミ
ッタ電極67、68の電子放出部67a、68aに対向
する部位が所定寸法切断され、平面視で上記電子放出部
67a、68aが露出するように構成されている。
【0227】このような電界電子放出素子を作製するに
は、まず、図31(a)に示す形状のエミッタ電極6
7、68を形成する。この工程は、図31(c)に示す
工程に相当する。ついで、図31(d)に示すようにこ
のエミッタ電極67、68上にレジスト82を塗布した
後、図31(e)、(f)に示す工程において、塗布さ
れたレジスト82を上記図32(b)に示すゲ−ト電極
69、70の形状と同じ形状にパタ−ンニングすると共
に露光する。
【0228】このことで、図32(b)に示す形状の電
界電子放出素子アレイを得ることができる。
【0229】このような構成によれば、上記電子放出部
を上方に曲成する場合に、上記電子放出部の上方にゲ−
ト電極が存在しないので、このゲ−ト電極がこの電子放
出部の曲成の邪魔になるということがない。したがっ
て、この電子放出部の曲成を安全に行うことができると
いう効果がある。
【0230】上記第11の実施例の実施例では、同じ目
的で図31(e)におけるゲ−ト電極の露光をエミッタ
電極の露光とは位置をずらして行っていたが、図32に
おける電界電子放出素子では、そのようにパタ−ンニン
グをずらさなくても上記エミッタ電極の電子放出部の曲
成を安全に行える効果がある。
【0231】また、図33(b)に示すような電界電子
放出素子であっても良い。
【0232】この図33(b)に示す電界電子放出素子
は、上記図32に示す電界電子放出素子と同一形状のエ
ミッタ電極67、68を具備する。すなわち、平面視楔
状に尖鋭化された電子放出部67a、68aと、この電
子放出部間に形成された湾曲部とを有する。
【0233】一方、このエミッタ電極67、68の上方
に形成されたゲ−ト電極69、70は、上記電子放出溝
72を挟む縁部が互いに平行な直線状となっている。そ
して、上記エミッタ電極67、68の電子放出部67
a、68aはこのゲ−ト電極69、70の縁部の内側に
露出している。
【0234】このような構成であっても、上記ゲ−ト電
極69、70が上記エミッタ電極67、68の電子放出
部67a、68aを曲成する場合の妨げになるというこ
とがないので、上記図32(b)に示した電界電子放出
素子と略同等の効果を得ることができる。
【0235】次に、この発明の第12の実施例を図35
を参照して説明する。なお、第10の実施例と同様の部
分については同一番号を付し、その説明は省略する。
【0236】この第12の実施例は、第10の実施例で
示した形状の電子放出源を利用した三極管である。この
三極管(真空菅)の構成を、例えば平面ディスプレイ装
置に適用した場合を例にとって説明する。
【0237】この三極管は、図35に示すように、第1
0の実施例で示した形状の電子放出源75と、この電子
放出源75の上方に対向配置されたアノ−ド電極76
(陽極)とを具備する。このアノ−ド電極76は、透明
基板77(石英ガラス等)と、この透明基板77の上記
電子放出源75に対向する側の表面に被着された透明導
電膜78とからなる。
【0238】ここでは、上記透明導電膜78として、例
えばITO(Indium Tin Oxide)膜を用いている。この
ITO膜は、酸化錫をド−プした酸化インジウム膜であ
り、導電性と透光性とを有する膜である。
【0239】このアノ−ド電極76の透明導電膜78の
表面には、低加速電子線用の蛍光体79が積層されてお
り、この蛍光体79の材質としてはZnO:Znなどが
利用されている。
【0240】一方、上記電子放出源75の基板62と上
記アノ−ド電極76を構成する透明基板77は図示しな
い位置で互いに接合されている。接合方法としては例え
ば静電接合が採用され以下のように行われる。
【0241】まず、透明基板77に例えばNaやKを含
むパイレックスガラスを用い、この透明基板77の表側
(蛍光体79が積層された側の面に対して反対の面)の
周辺に例えばAlなどの金属を着ける。ついで、この透
明基板77を上記電子放出源75側の基板62に重ね合
わせる。
【0242】透明基板77に着けられた金属と上記電子
放出源75側の基板62との間に電界を与えると、Na
イオンやKイオンが移動し、両基板77、62の界面に
電化からの層が生成する。このため両基板62、77は
静電力により密着する。
【0243】この工程を真空雰囲気内で行えば、この電
界電子放出素子を大気圧下に取り出した後であっても、
両基板77、62間に区画された空間内を真空に保つこ
とができる。また、真空引きのための孔を両基板77、
62に前もって設けておき、接合後に両基板77、62
内を真空引きする方法であっても、両基板77、62に
よって区画された空間内を真空に保つことができる。
【0244】また、図33中に示すように、第1、第2
のエミッタ電極67、68とアノ−ド電極76とは電源
81とスイッチ82とを介して接続されており、上記エ
ミッタ67、68と第1、第2のゲ−ト電極69、70
との間には別の電源83によって所定の電圧が印加され
るようになっている。
【0245】このような構成の三極管においては、各電
極67〜70、76に所定の電圧を印加することで、上
記第1のエミッタ電極67の電子放出部67aから電子
を放出させる。
【0246】第10の実施例で説明したように、上記電
子放出部67aから放出された電子は100%上方に向
かい、このアノ−ド電極76に引き寄せられる。この電
子はアノ−ド電極76の透明導電膜78に到達する直前
に蛍光体79に衝突して蛍光を発生させる。
【0247】したがって、このような三極管を各画素と
して多数個を配列すれば平面ディスプレイ装置が得られ
る。
【0248】なお、この種の平面ディスプレイ装置にお
いては、各画素を構成する三極管どうしを近接させて
も、各三極管の距離がエミッタ電極67、68とゲ−ト
電極69、70間の距離(ギャップ)よりもわずかでも
大きければ、影響はない。
【0249】このため、画素どうしの間隔を小さくして
画素を緻密に配設し、透明基板77側、及び、電子放出
源75側の基板62にそれぞれ直交する複数の配線を形
成してもクロスト−クなどの問題は生じない。したがっ
て、駆動方式に単純マトリクス方式を採用することが容
易である。
【0250】また、この実施例においては両基板62、
77の接合に上述したような静電接合を採用したので、
電界電子放出素子内の真空を保つことが容易に行える。
【0251】なお、第13の実施例として、図36に示
すように、第11の実施例の電界電子放出素子を、この
第12の実施例の電子放出源75´として用いるように
しても同等以上の効果を得ることができる。
【0252】次に、この発明の第14の実施例を図37
に基づいて説明する。なお、前述の各実施例と同様の部
分については同一番号を付し、その説明は省略する。
【0253】この実施例の電界電子放出素子は、五極管
である。この五極管は、アノ−ド電極76と、このアノ
−ド電極76に電子を放出する電子放出源85とからな
る。この電子放出源85は、第12の実施例に示した電
子放出源75の第1、第2のゲ−ト電極69、70の上
にさらに、絶縁膜と導電膜を交互に合計4層積層させ、
第3の絶縁膜86、加速電極87、第4の絶縁膜88、
及び、偏向電極89を順に形成したものである。
【0254】この五極管においては、上記加速電極87
でエミッタ電極67の電子放出部67aから放出された
電子に蛍光体79を励起するための適度なエネルギを与
えて加速する。そして、例えば蛍光体79をパタ−ニン
グによってR(赤)、G(緑)、B(青)の三色に分け
ておけば、上記偏向電極89を用い、そのうちの一色だ
けを選択して発光させることができる。
【0255】なお、このように、複数の電極を有する五
極管であっても、上記各電極67〜70、87、89お
よび絶縁膜63、65、86、86は、スパッタリング
等による成膜技術で成膜されているものであるから、非
常に薄く形成することが可能である。
【0256】なお、第15の実施例として、図38に示
す五極管を構成することもできる。この五極管は、第1
4の実施例に第12の実施例の電子放出源75を適用す
るかわりに、第13の実施例に示す電子放出源75´を
適用したものである。
【0257】すなわち、この五極管の第1のエミッタ電
極67の電子放出部67aは上方に曲成され、電子を効
率良く放出することができるように構成されている。
【0258】この実施例の五極管によれば、上記第14
の実施例と略同様の効果を奏する他、上記第1のエミッ
タ電極が曲成され効率良く電子を放出できる分、低い電
圧で駆動することが可能である。
【0259】なお、第16および第17の実施例とし
て、図39および図40に示す電界電子放出素子も考え
られる。
【0260】この第16および第17の実施例の電界電
子放出素子は、六極管であり、偏向電極89と加速電極
87との間に、収束可変電極90が挿入されている。収
束可変電極90は上記エミッタ電極67から放出され加
速された電子群に電界を作用させ、電子群の収束程度を
制御する。
【0261】すなわち、上記収束可変電極90は、例え
ば上記電子群に印加する電界を正負あるいは強弱に変化
させることによって、上記電子群を絞ったり拡げたりす
る。このことにより、この電子放出素子においては、例
えば上記R、G、Bの三色を同時に発光させたり、或い
はそのうちの二色を選択的に光らせたりすることがで
き、多色表示が可能となる効果がある。
【0262】しかも、各電極は、スパッタリングによる
成膜技術により形成されているから、膜厚制御により薄
型化を図ることは容易である。
【0263】つぎに、この発明の第18および第19の
実施例を図41および図42に基づいて説明する。
【0264】これまで述べてきた各種の電子放出素子は
光透過型のものであるが、この第18および第19の実
施例の電界電子放出素子は、反射型の電界電子放出素子
である。
【0265】この電界電子放出素子の構造の大部分は、
第12、13の実施例に示す透過型の三極管と同じであ
り、同様の作製プロセスで製作できる。図41に示す第
18の実施例は、第10の実施例の電界電子放出素子を
電子放出源92に適用したものであり、図42に示す第
19の実施例は、第11の実施例の電界電子放出素子を
電子放出源93に適用したものである。
【0266】以下、この第18の実施例の電界電子放出
素子について、透過型の電界電子放出素子と異なる構成
要素についてのみ説明する。この電界電子放出素子は、
電子放出源側92の基板94に、例えば石英ガラスなど
のように光透過性の高い材質を採用しており、アノ−ド
電極76側の基板95にはSiなどのような不透明な材
質を採用している。また、このSi基板95に被着され
る導電膜96としては、Auなどのように不透明で反射
率の高い材質を採用している。
【0267】上記エミッタ電極67の電子放出部67a
からの電子を受けた蛍光体79から発せられた光は、直
接に、或いは、アノ−ド電極76の導電膜96に反射し
て図に波線で示すように電子放出源92側の透明な基板
94側へ向かう。そして、蛍光体79から発せられた光
は、上記透明な基板94を透過して一方向へ送り出され
る。
【0268】ここで、エミッタ電極67、68やベ−ス
電極69、70に例えばITOなどの透明な材質を採用
すれば、光量の減少を抑えることができる。
【0269】このような電界電子放出素子によれば、透
過型の電界電子放出素子に比べて乱反射が少ないため高
い輝度が得られる。なお、上記電子放出源92において
は、基板94と第1の絶縁膜63とに透明な絶縁性材料
を採用すれば、この基板94と第1の絶縁膜63とを一
体化できる。
【0270】また、反射型の電子放出素子を利用した平
面ディスプレイにおいては、透過光と反射光との遅延時
間を短くすることができる効果もある。
【0271】一方、第19の実施例は、上述したよう
に、図42に示す電界電子放出素子である。
【0272】この電界電子放出素子は、第18の実施例
の反射型の電界電子放出素子と略同じ構成を有するもの
であるが、電子放出源93に設けられた上記第1のエミ
ッタ電極67の尖鋭化された電子放出部67aは上方に
曲成されている。
【0273】このような構成によれば、上記第18の実
施例と略同等の効果を奏することができる。ただし、こ
の実施例では、上記エミッタ電極67の電子放出部67
aが電子放出溝72の略中央に位置する。したがって、
上記アノ−ド電極76から反射光を妨げないようにこの
エミッタ電極67は透明材料で形成されていることが必
要条件になると考えられる。
【0274】つぎに、この発明の第20および第21の
実施例を図43および図44に基づいて説明する。
【0275】図43に示すように、第20の実施例の電
子放出素子は、前記第12実施例の電子放出素子と略同
様の構成を有する三極管である。ただし、図に97で示
す蛍光体に有機EL(Electro Luminescence)薄膜が採
用されている。有機EL薄膜97は、内部にホ−ルと電
子とが供給されると、励起子が生成し、これが基底準位
に戻る際に光を発する。
【0276】つまり、この電界電子放出素子は、エミッ
タ電極67の電子放出部67aに電界を印加することで
この電子放出部67aから電子を放出させ、この電子を
アノ−ド電極76側に引き寄せて有機EL薄膜97に供
給する。また、高い電界がエミッタ電極67とアノ−ド
電極76間に与えられることに伴い、ホ−ルが有機EL
薄膜97の内部に供給される。
【0277】ここで、アルミキノリノ−ル錯体にクマリ
ン誘導体を添加してなる8−キノリノ−ルAl錯体(A
lq3 )などのようにホ−ル輸送性のある有機EL薄膜
97を選択すれば、発光効率はより向上する。
【0278】有機EL薄膜97には、カラ−ディスプレ
イに必要な赤、青、緑などの色をもつものが豊富に存在
する。例えば、赤色のための物質にペリノン誘導体など
が在り、青色のための物質にTPD(トリフェニルアミ
ン誘導体)などが在る。また、緑色のための物質に12
−フタロペリノン誘導体などがある。
【0279】上述のような電子放出素子を一画素として
多数配列し、一画素ごとに赤、青、緑などの色をもつ有
機EL薄膜97をパタ−ニングによって区分けすれば、
カラ−表示が可能な平面ディスプレイ装置(平面カラ−
ディスプレイ装置)を得ることができる。
【0280】なお、ここでは有機EL薄膜を用いている
が、無機EL薄膜を用いても平面カラ−ディスプレイ装
置を得ることができる。ただし、無機EL薄膜は、有機
EL薄膜に比べて寿命は長いが発光効率が悪く、発光の
種類が少ないといった欠点を有する。
【0281】なお、図44に示す第21の実施例は、上
方に曲成された電子放出部67aを有するエミッタ電極
67を採用した電界電子放出素子である。
【0282】この電界電子放出素子も、上記蛍光体に有
機EL薄膜97を採用している。したがって、上記第2
0の実施例と略同じ効果を得ることができる。
【0283】次に、第22の実施例について図45を参
照して説明する。
【0284】第22の実施例の電界電子放出素子は、三
極管である。この三極管の動作は、第12の実施例と略
同じである。すなわち、エミッタ電極67、68とゲ−
ト電極69、70とに所定の電位差を与えることによっ
て、この図では第1のエミッタ電極67の電子放出部6
7aから電子を放出させ、その電子を図に76で示すア
ノ−ド電極76の透明導電膜78に引き寄せることで、
この透明導電膜78の表面に被着された蛍光体79を発
光させるようになっている。
【0285】ただし、この電界電子放出素子は、電子放
出源側に基板を具備せず、上記エミッタ電極67、68
およびゲ−ト電極69、70は、上記透明導電膜78お
よび蛍光体79と共に上記アノ−ド電極側76の透明基
板77に積層される構成となっている。
【0286】次に、この電界電子放出素子の製造方法に
ついて図47を参照して説明する。
【0287】まず、上記透明基板77の表面(下面)
に、透明導電膜78、蛍光体膜79、第1の絶縁膜99
および上記ゲ−ト電極69、70を構成する第1の導電
膜100を例えばスパッタリングにより被着し、順次積
層させる。
【0288】なお、このとき、上記蛍光体膜79と第1
の絶縁膜99との間に、図に101で示すように比較的
エッチングされにくい材質の絶縁材料を被着し、上記蛍
光体膜79を保護するようにする。なお、この絶縁材料
101は、透明であることが好ましい。
【0289】次に、上記第1の導電膜100の表面に第
1のレジスト103を塗布し、図47(a)に示すよう
に、この第1のレジスト103のパタ−ンニングを行
う。ついで、このパタ−ンニングされた第1のレジスト
103をマスクとして上記第2の導電膜をステッパ露光
することで、同図(b)に示すように第1、第2のゲ−
ト電極69、70を形成する。
【0290】ついで、この第1、第2のゲ−ト電極6
9、70の表面に第2の絶縁膜105および第2の導電
膜106を順次積層する。第2の絶縁膜105および導
電膜106を形成したならば、この第2の導電膜106
の表面に第2のレジスト107を塗布し、この第2のレ
ジスト107をスパッタ露光によりパタ−ンニングす
る。
【0291】この露光の際の焦点位置は、レジスト10
7に合った状態(ジャストフォ−カスの状態)になく、
その焦点位置は上記第2のレジスト107の下方にずら
されている。このため、同図(d)に示すように、この
第2のレジスト107に残留部108が生じ、このレジ
スト107のパタ−ンニングされた部位の断面形状は上
端に向かうにしたがって緩やかに狭まるように形成され
る。
【0292】なお、露光の焦点位置とレジスト107の
パタ−ンニング形状との関係は、前述した第2の実施例
において図9を示して説明したので、ここでは省略す
る。
【0293】この後は、上記第2のレジスト107をマ
スクとして異方性エッチングを行う。このことで、図4
7(e)、(f)に示すように、上記第2の導電膜10
6は、第1、第2のエミッタ電極67、68に分割され
ると共に、その対向する先端部の下面は円弧状に削られ
円弧面74、75が形成される。
【0294】このことによって上記第1、第2のエミッ
タ電極67、68には、平面視楔状に尖鋭化され(図2
5(a)参照)、上記円弧面74、75によって厚さ方
向にも尖鋭化された微細線状の電子放出部67a、68
aが形成される。なお、この図47には、上記第1のエ
ミッタ電極67の電子放出部67aのみ図示する。
【0295】次に、例えばHFを用いたウエットエッチ
ングを行い、図47(g)に示すように、上記第1、第
2の絶縁膜99、105だけが選択的にエッチングす
る。このことによて、上記蛍光体79と上記ゲ−ト電極
69、70との間に位置する第1の絶縁膜99、および
このゲ−ト電極69、70とエミッタ電極67、68と
の間に位置する第2の絶縁膜100が削られ、電子放出
溝72が形成される。
【0296】なお、上記蛍光体79の下面は、前述した
エッチングされにくい性質の絶縁材料101により保護
されているから、このウエットエッチングの際に削られ
てしまうことが有効に防止される。
【0297】これらの工程により、上記第1、第2のゲ
−ト電極69、70および第1、第2のエミッタ電極6
8、69は、この電子放出溝72内に突出し、この電界
電子放出素子は完成する。
【0298】このような構成によれば、上記第12の実
施例と略同等の効果を得ることができることに加え、電
子放出源側の基板が存在しないので、その分構成を簡略
化でき薄型化を図れる効果がある。
【0299】次に、第23の実施例を図46を参照して
説明する。なお、第22の実施例(図45)と同様の構
成要素には、同一符号を付してその説明は省略する。
【0300】この第23の実施例の電界電子放出素子
は、三極管であり、上記第22の実施例の電界電子放出
素子と略同じ構成を有する。ただし、第1、第2のエミ
ッタ電極67、68の電子放出部67a、68a(第2
のエミッタ電極68の電子放出部68aについては図示
せず)が上方に曲成されている点で、上記第22の実施
例と異なる。
【0301】すなわち、この第23の実施例の電界電子
放出素子では、上記電子放出部67aを上方に向かせて
アノ−ド電極に近接対向させ、かつ、この電子放出部6
7aを上記第1、第2のゲ−ト電極69、70とも近接
させることができるので、上記第22の実施例よりも電
子放出効率が高い構成となっている。
【0302】次に、この電界電子放出素子の製造方法を
図48を参照して説明する。
【0303】なお、この電界電子放出素子の製造方法
は、図47に示す上記第22の実施例の電界電子放出素
子の製造方法と略同じであるので、異なる工程のみ説明
する。
【0304】まず、上記エミッタ電極67、68の電子
放出部67a、68aを曲成する必要があることから、
図48(a)および(c)において、上記第2の絶縁膜
99および第2の導電膜105を常温と異なった温度条
件(例えば高温)の下で形成する。
【0305】すなわち、上記第1、第2の絶縁膜99、
105を形成するためのチャンバ内を常温とは異なった
温度に保つ。なお、上記第1の絶縁膜99と第2の絶縁
膜105の形成温度は同じものとする。
【0306】ついで、同図(f)、(g)に示すよう
に、上記第1、第2のエミッタ電極67、68および電
子放出溝72の成形を行ったあと、常温下に戻すと、上
記第2の絶縁膜105が収縮することにより上記エミッ
タ電極67、68の上面と下面にかかる応力間に差が生
じ、上記エミッタ電極67、68の電子放出部67a、
68aはその応力差により上方に反るように曲成され
る。なお、図46には、上記第1のエミッタ電極67の
電子放出部67aのみを図示している。
【0307】このことで、上記第23の実施例の電界電
子放出素子が完成する。
【0308】次に、第24および第25の実施例につい
て説明する。
【0309】この第24および第25の実施例の電界電
子放出素子は、前述した第12および第13の実施例と
同様に、第10あるいは第11の実施例の電界電子放出
素子を電子放出源に適用した三極管である。したがっ
て、上記第12あるいは第13の実施例と同一の構成要
素には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
【0310】第24の実施例の電界電子放出素子は、図
49に示すように、第10の実施例と同一の構成を有す
る電子放出源75と、この電子放出源75に対向配置さ
れたアノ−ド電極110とからなる。このアノ−ド電極
110は、例えば石英ガラス等からなる透明基板77
と、この透明基板77の表面に形成された第1〜第3の
透明導電膜片(ITO)111〜113とからなる。第
1〜第3の透明導電膜片111〜113は所定間隔で離
間して配置されていて、各透明導電膜片111〜113
の表面にはR、G、B三色の蛍光体がそれぞれ被着され
ている。そして、第1〜第3の透明導電膜片111〜1
13には、所定の電圧が選択的に印加されるようになっ
ている。
【0311】次に、この三極管の動作を説明する。
【0312】この三極管においては、各電極67〜7
0、76に所定の電圧を印加することで、上記第1のエ
ミッタ電極67の電子放出部67aから電子を放出させ
る。この電子放出部67aから放出された電子は上記ア
ノ−ド電極110に引き寄せられ上方に向かう。
【0313】一方、このアノ−ド電極110の上記第1
〜第3の透明導電膜片111〜113のうち電圧が印加
される導電膜は、発光させる色に応じて決定される。例
えば、第1の透明導電膜111に形成された蛍光体
(R)を発光させたい場合には、上記第1の透明導電膜
111にのみ電圧を印加する。
【0314】このことで、上記エミッタ電極67の電子
放出部67aから放出された電子は、上記第1の透明導
電膜111に引き寄せられる。このことで、この第1の
透明導電膜111に形成された蛍光体(R)を発光させ
ることができる。
【0315】また、上記第1の透明電極111と第2の
透明電極112の両方に電圧を印加すれば、蛍光体
(R)と蛍光体(G)とを同時に発光させることもでき
る。
【0316】一方、図50に示す第25の実施例の電界
電子放出素子は、上記第24の実施例と略同じ構成を有
する三極管であるが、上記電子放出源75´に第11の
実施例を適用するようにしたものである。
【0317】このような構成であっても上記第24の実
施例と略同様の効果を得ることができる。さらに、この
実施例の電子放出部67aは、上方を向いており、かつ
上記第1、第2のゲ−ト69、70とのギャップを小さ
くすることができるから、電子の放出効率を高めること
ができる。したがって、より動作電圧の低い三極管を得
ることができる。
【0318】次に、第26、第27の実施例を図51お
よび図52を参照して説明する。上記第11〜第25の
実施例では、上記第1、第2のエミッタ電極の電子放出
部は交互に位置をずらして形成されていたが、この実施
例では、上記第1、第2のエミッタ電極の電子放出部は
互いに対向して設けられている。
【0319】そして、図51に示す第26の実施例の電
界電子放出素子の第1、第2のエミッタ電極は厚さ方向
方向にえぐられた電子放出部を具備し、この電子放出部
は、上方に曲成されている。
【0320】また、この電界電子放出素子は、上記第
1、第2のエミッタ電極に絶縁層を介して積層され互い
平行に形成された縁部を有する第1、第2のゲ−ト電極
を具備する。
【0321】このような構成であっても、上記第1、第
2のエミッタ電極の電子放出部は、上記第1、第2のゲ
−ト電極から電界が印加されることで、上方に向けて電
子を放出することができる。
【0322】なお、この第26の実施例は、第11の実
施例と比較すると、個々の電子放出部からの電子放出量
は減ってしまうが、上記第1、第2のエミッタ電極の両
方を用いて略同じ位置から電子を放出することができ
る。
【0323】一方、図52に示す第27の実施例は、こ
の第26の実施例と異なり、上記電子放出部67a、6
8aの先端は厚さ方向に尖鋭化されていない。しかし、
このような構成であっても、上記第1、第2のゲ−ト電
極69、70と上記電子放出部67a、68aとを近付
けることができるので、効率の良い電子放出を行うこと
ができる。
【0324】以上、この発明の一実施例として第1〜第
27の実施例を説明したが、この発明は、上記一実施例
に限定されるものでない。発明の要旨を変更しない範囲
で種々変形可能である。
【0325】
【発明の効果】以上説明したように、この発明は、エミ
ッタ電極を化学増幅系レジストを利用したエッチング方
法あるいは、焦点距離をずらした等方性エッチング方法
により円弧状に削ることで、尖鋭化された電子放出部を
形成すると共にこのエミッタ電極の電子放出部とこの電
子放出部から電子を引き出すゲ−ト電極とを近接させる
ようにした。
【0326】また、楔状に尖鋭化されたエミッタ電極の
縁部を厚さ方向に円弧状にえぐることで、電子放出部を
3次元的に尖鋭化するようにした。
【0327】また、エミッタ電極とゲ−ト電極とを積層
して形成した場合には、このエミッタ電極の形成条件を
制御することで上記エミッタ電極の電子放出部を上記ゲ
−ト電極側に曲成するようにした。
【0328】このような構成によれば、エミッタ電極の
電子放出部をより尖鋭化することができるとと共に、エ
ミッタ電極とゲ−ト電極との間隔をより狭くすることが
できる。
【0329】したがって、電界集中係数が増し、電子放
出効率を向上させることができるがから、より小さい駆
動電圧で作動させることができる電界電子放出素子を得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、この発明の第1の実施例の電界電子
放出素子を示す平面図、(b)は(a)中のI −I 線に
沿った断面図。
【図2】(a)〜(h)は、同じく、電界電子放出素子
の製造方法を示す工程図。
【図3】(a)〜(e)は、同じく、エミッタ−ゲ−ト
間の距離の制御方法を示す工程図。
【図4】同じく、電界電子放出素子の製造方法を示すフ
ロ−チャ−ト。
【図5】(a)〜(d)は、同じく、エミッタ電極の尖
鋭度を説明する説明図。
【図6】(a)〜(f)は、この発明の第2の実施例の
電界電子放出素子の製造方法を示す工程図。
【図7】(a)〜(c)は、同じく、エミッタ電極とゲ
−ト電極間の距離の制御方法を示す工程図。
【図8】同じく、電界電子放出素子の製造方法を示すフ
ロ−チャ−ト。
【図9】(a)〜(c)は、同じく、レ−ザ光の焦点位
置とレジスト形状との関係を示す説明図。
【図10】(a)は、この発明の第3の実施例の電界電
子放出素子を示す斜視図、(b)は平面図。
【図11】(a)〜(d)は、同じく、第3の実施例の
電界電子放出素子の製造方法を示す工程図。
【図12】同じく、電界電子放出素子の製造方法を示す
フロ−チャ−ト。
【図13】この発明の第4の実施例の電界電子放出素子
を示す縦断面図。
【図14】(a)〜(e)は、同じく、電界電子放出素
子の製造方法を示す工程図。
【図15】同じく、電界電子放出素子の製造方法を示す
工程図。
【図16】(a)〜(e)は、この発明の第5の実施例
の電界電子放出素子の製造方法を示す工程図。
【図17】同じく、電界電子放出素子の製造方法を示す
工程図。
【図18】この発明の第6の実施例の電界電子放出素子
を示す断面図。
【図19】(a)〜(e)は、同じく、電界電子放出素
子の製造方法を示す説明図。
【図20】同じく、電界電子放出素子の製造方法を示す
説明図。
【図21】(a)〜(e)は、この発明の第7の実施例
の電界電子放出素子の製造方法を示す説明図。
【図22】同じく、電界電子放出素子の製造方法を示す
説明図。
【図23】この発明の第8の実施例の電界電子放出素子
を示す平面図。
【図24】この発明の第9の実施例の電界電子放出素子
を示す平面図。
【図25】(a)は、この発明の第10の実施例の電界
電子放出素子を示す平面図、(b)は(a)中のI−I
線に沿う縦断面図、(c)は(a)中のII−II線に
沿う縦断面図。
【図26】同じく、電界電子放出素子の動作を示す説明
図。
【図27】(a)〜(e)は、同じく、電界電子放出素
子の製造方法を示す工程図。
【図28】(a)、(b)は、同じく、電極の配置によ
る電界電子放出素子の電子放出効率の違いを説明する縦
断説明図。
【図29】(a)〜(c)は、同じく、電極の形状によ
る電界電子放出素子の電子放出効率の違いを説明する平
面説明図。
【図30】この発明の第11の実施例の電界電子放出素
子を示す縦断面図。
【図31】(a)〜(g)は、同じく、電界電子放出素
子の製造方法を示す工程図。
【図32】(a)はエミッタ電極を示す平面図、(b)
は電界電子放出素子を示す平面図。
【図33】(a)はエミッタ電極を示す平面図、(b)
は電界電子放出素子を示す平面図。
【図34】(a)〜(d)は、第10および第11の実
施例の変形例を示す平面図。
【図35】この発明の第12の実施例の電界電子放出素
子を示す縦断面図。
【図36】この発明の第13の実施例の電界電子放出素
子を示す縦断面図。
【図37】この発明の第14の実施例の電界電子放出素
子を示す縦断面図。
【図38】この発明の第15の実施例の電界電子放出素
子を示す縦断面図。
【図39】この発明の第16の実施例の電界電子放出素
子を示す縦断面図。
【図40】この発明の第17の実施例の電界電子放出素
子を示す縦断面図。
【図41】この発明の第18の実施例の電界電子放出素
子を示す縦断面図。
【図42】この発明の第19の実施例の電界電子放出素
子を示す縦断面図。
【図43】この発明の第20の実施例の電界電子放出素
子を示す縦断面図。
【図44】この発明の第21の実施例の電界電子放出素
子を示す縦断面図。
【図45】この発明の第22の実施例の電界電子放出素
子を示す縦断面図。
【図46】この発明の第23の実施例の電界電子放出素
子を示す縦断面図。
【図47】(a)〜(g)は、この発明の第22の実施
例の電界電子放出素子の製造方法を示す工程図。
【図48】(a)〜(g)は、この発明の第23の実施
例の電界電子放出素子の製造方法を示す工程図。
【図49】この発明の第24の実施例の電界電子放出素
子を示す縦断面図。
【図50】この発明の第25の実施例の電界電子放出素
子を示す縦断面図。
【図51】この発明の第26の実施例の電界電子放出素
子を示す平面図および縦断面図。
【図52】この発明の第27の実施例の電界電子放出素
子を示す平面図および縦断面図。
【図53】(a)〜(c)は、参考文献3の記載の従来
の技術による電界電子放出素子の製造方法を示す工程
図。
【符号の説明】
1…電界電子放出素子、3…基板、5…導電膜、6…ギ
ャップ、7…エミッタ電極、7a…電子放出部、8…ゲ
−ト電極、9…電子放出溝、10…円弧面、22…エキ
シマレジスト(化学増幅系レジスト、レジスト)、28
…残留部、31レジスト、40…電界電子放出素子、4
2…エミッタ電極、42a電子放出部、43…ゲ−ト電
極、46…円弧面、47…円弧面、51…レジスト、6
0…電界電子放出素子アレイ、61…電界電子放出素
子、62…基板、67…第1のエミッタ電極、67a…
電子放出部、68…第2のエミッタ電極、68a…電子
放出部、69…第1のゲ−ト電極、70…第2のゲ−ト
電極、72…電子放出溝、74…円弧面、75…レジス
ト、80…レジスト、76…アノ−ド電極、78…透明
導電膜、79…蛍光体、87…加速電極、89…偏向電
極、90…収束電極、97…有機EL薄膜、111…第
1の透明導電膜、112…第2の透明導電膜、113…
第3の透明導電膜。

Claims (48)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子を放出するエミッタ電極と、このエ
    ミッタ電極と所定隙間を存して対向配置され、上記エミ
    ッタ電極に電界を印加することでこのエミッタ電極の先
    端から電子を引き出すゲ−ト電極とを有する電界電子放
    出素子において、 上記エミッタ電極は、円弧状にえぐられることで厚さ方
    向に尖鋭化された電子放出部を有することを特徴とする
    電界電子放出素子。
  2. 【請求項2】 一面および他面を有する基板と、 上記基板の一面側に絶縁層を含む層を介して積層され、
    電子を放出するエミッタ電極と、 上記基板の一面側に絶縁層を含む層を介して積層され、
    エミッタ電極と所定隙間を存して対向配置されると共
    に、上記エミッタ電極に電界を印加してこのエミッタ電
    極から電子を引き出すゲ−ト電極とを有する電界電子放
    出素子において、 上記エミッタ電極は、円弧状にえぐられることで厚さ方
    向に尖鋭化された電子放出部を有することを特徴とする
    電界電子放出素子。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の電界電子放出素子におい
    て、 上記エミッタ電極は、厚さ方向に円弧状にえぐられるこ
    とで厚さ方向に尖鋭化された電子放出部を有することを
    特徴とする電界電子放出素子。
  4. 【請求項4】 請求項2記載の電界電子放出素子におい
    て、 上記エミッタ電極は、このエミッタ電極を上記基板の一
    面と平行な方向の寸法を次第に小さくすることで上記基
    板の一面と平行な方向に尖鋭化されかつこのエミッタ電
    極を厚さ方向に円弧状にえぐられることで厚さ方向にも
    尖鋭化された電子放出部を有することを特徴とする電界
    電子放出素子。
  5. 【請求項5】 請求項2記載の電界電子放出素子を製造
    する電界電子放出素子の製造方法において、 基板の一面側に絶縁層を含む層を介して積層された導電
    膜にレジストを塗布する工程と、 このレジストの所定の部位に対して露光用光を照射し、
    このレジストの上記所定の部位の一部に露光されない残
    留部が残るように、このレジストの露光を行う工程と、 このレジストおよび上記残留部をマスクとして上記導電
    膜を異方性エッチングすることにより、上記導電膜の所
    定の部位をエッチング除去してエミッタ電極とゲ−ト電
    極とに分割すると共に、上記エミッタ電極の上記ゲ−ト
    電極に対向する部分を円弧状にえぐることで厚さ方向に
    尖鋭化して電子放出部を形成する工程とを有することを
    特徴とする電界電子放出素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項6記載の電界電子放出素子の製造
    方法において、 上記導電膜に塗布するレジストは化学増幅系レジストで
    あることを特徴とする電界電子放出素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の電界電子放出素子の製造
    方法において、上記レジストの露光工程は、露光光の焦
    点距離を上記レジストの塗布された位置からずらして行
    うことを特徴とする電界電子放出素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項2記載の電界電子放出素子を製造
    する電界電子放出素子の製造方法において、 基板の一面側に絶縁層を含む層を介して積層された導電
    膜に第1のレジストを塗布し露光を行った後、この第1
    のレジストをマスクとしてエッチングを行うことで、上
    記導電膜をエミッタ電極とゲ−ト電極とに分割する工程
    と、 上記エミッタ電極とゲ−ト電極とに第2のレジストを塗
    布する工程と、 この第2のレジストの所定の部位に対して露光用光を照
    射し、このレジストの上記所定の部位の一部に露光され
    ない残留部が残るように、このレジストの露光を行う工
    程と、 この第2のレジストおよび上記残留部をマスクとして上
    記導電膜を異方性エッチングすることにより、上記エミ
    ッタ電極の上記ゲ−ト電極に対向する部分を円弧状にえ
    ぐることで厚さ方向に尖鋭化し、電子放出部を形成する
    工程とを有することを特徴とする電界電子放出素子の製
    造方法。
  9. 【請求項9】 請求項2記載の電界電子放出素子におい
    て、 上記エミッタ電極は、このエミッタ電極の先端から面内
    方向にえぐられることで上記基板側とその反対側とに厚
    さ方向に尖鋭化された一対の電子放出部を有することを
    特徴とする電界電子放出素子。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の電界電子放出素子を製
    造する電界電子放出素子の製造方法において、 基板の一面側に絶縁層を含む層を介して積層された導電
    膜に第1のレジストを塗布し露光を行った後、この第1
    のレジストをマスクとして等方性エッチングを行うこと
    で、上記導電膜をエミッタ電極とゲ−ト電極とに分割す
    る工程と、 異方性エッチングを行うことで、上記エミッタ電極をそ
    の先端から面内方向に円弧状にえぐり、上記基板側とそ
    の反対側とに厚さ方向に尖鋭化された一対の電子放出部
    を成形する工程とを有することを特徴とする電界電子放
    出素子の製造方法。
  11. 【請求項11】一面および他面を有する基板と、 上記基板の一面側に第1の絶縁層を介して積層され、電
    子を放出するエミッタ電極と、 上記エミッタ電極に第2の絶縁層を介して積層されると
    共に、上記エミッタ電極に電界を印加してこのエミッタ
    電極から電子を引き出すゲ−ト電極とを有する電界電子
    放出素子において、 上記エミッタ電極は、上記ゲ−ト電極側に曲成されてい
    ると共に上記ゲ−ト電極から電界が印加されることで電
    子を放出する電子放出部を有することを特徴とする電界
    電子放出素子。
  12. 【請求項12】一面および他面を有する基板と、 上記基板の一面側に第1の絶縁層を介して積層され、電
    子を放出するエミッタ電極と、 上記エミッタ電極に第2の絶縁層を介して積層されると
    共に、上記エミッタ電極に電界を印加してこのエミッタ
    電極から電子を引き出すゲ−ト電極とを有する電界電子
    放出素子において、 上記エミッタ電極は、このエミッタ電極を円弧状にえぐ
    られることで厚さ方向に尖鋭化されると共に上記ゲ−ト
    電極から電界が印加されることで電子を放出する電子放
    出部を有することを特徴とする電界電子放出素子。
  13. 【請求項13】 請求項12記載の電界電子放出素子に
    おいて、 上記エミッタ電極は、このエミッタ電極を厚さ方向に円
    弧状にえぐられることで厚さ方向に尖鋭化されると共に
    上記ゲ−ト電極側に曲成されこのゲ−ト電極から電界が
    印加されることで電子を放出する電子放出部を有するこ
    とを特徴とする電界電子放出素子。
  14. 【請求項14】 請求項12記載の電界電子放出素子に
    おいて、 上記エミッタ電極は、このエミッタ電極を厚さ方向に円
    弧状にえぐられることで厚さ方向にも尖鋭化されかつこ
    のエミッタ電極を上記基板の一面と平行な方向の寸法を
    次第に小さくすることで上記基板の一面と平行な方向に
    も尖鋭化された電子放出部を有することを特徴とする電
    界電子放出素子。
  15. 【請求項15】 請求項12記載の電界電子放出素子に
    おいて、 上記ゲ−ト電極は、 上記電子放出部を囲む所定の形状の縁部を有することを
    特徴とする電界電子放出素子。
  16. 【請求項16】 請求項12記載の電界電子放出素子に
    おいて、 上記ゲ−ト電極は、上記基板の一面と平行な方向に所定
    隙間を存して分割され、各々上記電子放出部に電界を印
    加する第1、第2のゲ−ト電極を有することを特徴とす
    る電界電子放出素子。
  17. 【請求項17】 請求項16記載の電界電子放出素子に
    おいて、 上記第1、第2のゲ−ト電極のいずれか一方は、上記電
    子放出部を囲む所定の形状の縁部を有することを特徴と
    する電界電子放出素子。
  18. 【請求項18】 請求項12記載の電界電子放出素子に
    おいて、 上記エミッタ電極は、上記基板の一面と平行な方向に所
    定隙間を存して分割された第1、第2のエミッタ電極を
    有し、 上記電子放出部は、上記第1のエミッタ電極に設けられ
    た第1の電子放出部と第2のエミッタ電極に設けられた
    第2の電子放出部とを有し、 この第1の電子放出部と第2の放出部は、上位基板の一
    面と平行な方向に沿って所定間隔で交互に設けられてい
    ることを特徴とする電界電子放出素子。
  19. 【請求項19】 請求項12記載の電界電子放出素子を
    製造する電界電子放出素子の製造方法において、 基板の一面側に第1の絶縁層、第1の導電層、第2の絶
    縁層および第2の導電層を順次積層し、この第2の絶縁
    層にレジストを塗布する工程と、 このレジストの所定の部位に対して露光用光を照射し、
    このレジストの上記所定の部位の一部に露光されない残
    留部が残るように、このレジストの露光を行う工程と、 このレジストおよび上記残留部をマスクとして上記第1
    の絶縁層、第1の導電層、第2の絶縁層および第2の導
    電層を異方性エッチングすることにより、上記第2の導
    電層の所定の部位をエッチング除去してゲ−ト電極を成
    形し、上記第1の導電層の所定の部位をエッチング除去
    してエミッタ電極を成形すると共に、このエミッタ電極
    を厚さ方向に円弧状にえぐることで尖鋭化して電子放出
    部を形成する工程とを有することを特徴とする電界電子
    放出素子の製造方法。
  20. 【請求項20】 請求項19記載の電界電子放出素子の
    製造方法において、上記第2の導電膜に塗布するレジス
    トは化学増幅系レジストであることを特徴とする電界電
    子放出素子の製造方法。
  21. 【請求項21】 請求項19記載の電界電子放出素子の
    製造方法において、上記レジストの露光工程は、露光光
    の焦点距離を上記レジストの塗布された位置からずらし
    て行うことを特徴とする電界電子放出素子の製造方法。
  22. 【請求項22】 請求項12記載の電界電子放出素子を
    製造する電界電子放出素子の製造方法において、 基板の一面側に第1の絶縁層および第1の導電層を順次
    積層し、この第1の導電層に第1のレジストを塗布する
    工程と、 この第1のレジストの所定の部位に対して露光用光を照
    射し、このレジストの上記所定の部位の一部に露光され
    ない残留部が残るように、このレジストの露光を行う工
    程と、 このレジストおよび上記残留部をマスクとして上記導電
    膜を異方性エッチングすることにより、上記導電膜の所
    定の部位をエッチング除去してエミッタ電極を成形する
    と共に、上記エミッタ電極を円弧状にえぐることで厚さ
    方向に尖鋭化して電子放出部を形成する工程と上記エミ
    ッタ電極に第2の絶縁層、第2の導電層を順次積層した
    後、この第2の導電層に第2のレジストを塗布する工程
    と、 この第2のレジストの所定の部位に露光用光を照射し、
    このレジストを露光する工程と、 この第2のレジストをマスクとして、上記第2の導電膜
    をエッチングすることで、上記第2の導電膜の所定の部
    位をエッチング除去してゲ−ト電極を成形する工程と、 上記第1、第2の絶縁層の上記エミッタ電極およびゲ−
    ト電極の周囲に位置する部位を選択的にエッチングする
    工程と、 を有することを特徴とする電界電子放出素子の製造方
    法。
  23. 【請求項23】 請求項22記載の電界電子放出素子の
    製造方法において、上記第1の導電膜に塗布する第1の
    レジストは化学増幅系レジストであることを特徴とする
    電界電子放出素子の製造方法。
  24. 【請求項24】 請求項21記載の電界電子放出素子の
    製造方法において、上記第1のレジストの露光工程は、
    露光光の焦点距離を上記レジストの塗布された位置から
    ずらして行うことを特徴とする電界電子放出素子の製造
    方法。
  25. 【請求項25】 請求項12または請求項13記載の電
    界電子放出素子を製造する電界電子放出素子の製造方法
    において、 上記第1の絶縁層と、第2の絶縁層の成形条件を異なら
    せ、この第1、第2の絶縁層に挟まれたエミッタ電極に
    内部残留応力を生じさせることで、このエミッタ電極の
    電子放出部を曲成させる工程を有することを特徴とする
    電界電子放出素子の製造方法。
  26. 【請求項26】 請求項25記載の電界電子放出素子の
    製造方法において、 上記異ならせる成形条件は、温度条件であることを特徴
    とする電界電子放出素子の製造方法。
  27. 【請求項27】 一面および他面を有する第1の基板
    と、 電子を放出するエミッタ電極と、 上記エミッタ電極と絶縁層を介して積層されると共に、
    上記エミッタ電極に電界を印加してこのエミッタ電極か
    ら電子を引き出すゲ−ト電極とこのエミッタ電極と絶縁
    層を介して積層されると共に、上記エミッタ電極から放
    出された電子を受けるアノ−ド電極とを有する電界電子
    放出素子において、 上記エミッタ電極は、このエミッタ電極を円弧状にえぐ
    られることで厚さ方向に尖鋭化されると共に上記ゲ−ト
    電極から電界が印加されることで電子を放出する電子放
    出部を有することを特徴とする電界電子放出素子。
  28. 【請求項28】 請求項27記載の電界電子放出素子に
    おいて、 上記アノ−ド電極は、上記エミッタ電極およびゲ−ト電
    極に対向する側に積層された蛍光体を有し、 上記エミッタ電極の電子放出部から放出した電子を上記
    蛍光体に供給することでこの蛍光体を発光させることを
    特徴とする電界電子放出素子。
  29. 【請求項29】 請求項28記載の電界電子放出素子を
    集積化してなることを特徴とする平面ディスプレイ装
    置。
  30. 【請求項30】 請求項29記載の平面ディスプレイ装
    置において、 上記蛍光体として有機EL素子を用いカラ−表示を可能
    としたことを特徴とする平面ディスプレイ装置。
  31. 【請求項31】 基板と、この基板上に設けられた平面
    型のエミッタ電極と、このエミッタ電極に間隙を介して
    対向するゲ−ト電極とを備えた電界電子放出素子におい
    て、 前記エミッタ電極が前記ゲ−ト電極の側に突出するにつ
    れて、前記エミッタ電極の突出方向に対して前記基板側
    とは逆側に前記エミッタ電極の厚さが薄く変化している
    ことを特徴とする電界電子放出素子。
  32. 【請求項32】 エミッタ電極がゲ−ト電極の側に突出
    するにつれて、前記エミッタ電極の突出方向に対して前
    記基板側にも前記エミッタ電極の厚さが薄く変化してい
    ることを特徴とする請求項31に記載の電界電子放出素
    子。
  33. 【請求項33】 基板と、この基板上に設けられた平面
    型のエミッタ電極と、このエミッタ電極に間隙を介して
    対向するゲ−ト電極とを備えた電界電子放出素子におい
    て、 前記ゲ−ト電極が前記エミッタ電極の側に突出するにつ
    れて、前記ゲ−ト電極の突出方向に対して前記基板側と
    は逆側にも前記ゲ−ト電極の厚さが薄く変化しているこ
    とを特徴とする電界電子放出素子。
  34. 【請求項34】 ゲ−ト電極がエミッタ電極の側に突出
    するにつれて、前記ゲ−ト電極の突出方向に対して前記
    基板側にも前記ゲ−ト電極の厚さが薄く変化しているこ
    とを特徴とする請求項33に記載の電界電子放出素子。
  35. 【請求項35】 エミッタ電極がゲ−ト電極の側に突出
    するにつれて、前記エミッタ電極の突出方向に対して前
    記基板側に前記エミッタ電極の厚さが薄く変化している
    ことを特徴とする請求項34に記載の電界電子放出素
    子。
  36. 【請求項36】 請求項31に記載のエミッタ電極と、
    請求項33に記載のゲ−ト電極とを組み合わせてなるこ
    とを特徴とする電界電子放出素子。
  37. 【請求項37】 請求項31に記載のエミッタ電極と、
    請求項35に記載のゲ−ト電極とを組み合わせてなるこ
    とを特徴とする電界電子放出素子。
  38. 【請求項38】 請求項32に記載のエミッタ電極と、
    請求項34に記載のエミッタ電極とを組み合わせてなる
    ことを特徴とする電界電子放出素子。
  39. 【請求項39】 エミッタ電極の平面形状は楔形である
    ことを特徴とする請求項31又は請求項32に記載の電
    界電子放出素子。
  40. 【請求項40】 基板と、この基板上に設けられた平面
    型のエミッタ電極と、このエミッタ電極に間隙を介して
    対向するゲ−ト電極とを備えた電界電子放出素子の製造
    方法において、 導電膜にレジストを塗布する工程と、このレジストに残
    留部が残るように露光する工程と、前記レジストをマス
    クとして前記導電膜を異方性エッチングする工程とを具
    備したことを特徴とする電界電子放出素子の製造方法。
  41. 【請求項41】 レジストは化学増幅系レジストである
    ことを特徴とする請求項40に記載の電界電子放出素子
    の製造方法。
  42. 【請求項42】 レジストは焦点距離をずらして露光さ
    れることを特徴とする請求項40に記載の電界電子放出
    素子の製造方法。
  43. 【請求項43】 基板と、この基板上に設けられた平面
    型のエミッタ電極と、このエミッタ電極に間隙を介して
    対向するゲ−ト電極とを備えた電界電子放出素子の製造
    方法において、 導電膜にレジストを塗布する工程と、前記レジストと前
    記導電膜とを異方性エッチングする工程と、前記レジス
    トをマスクとして前記導電膜を等方性エッチングする工
    程とを具備したことを特徴とする電界電子放出素子の製
    造方法。
  44. 【請求項44】 請求項43に記載の電界電子放出素子
    の製造方法を行った後に請求項41に記載の電界電子放
    出素子の製造方法を行うことを特徴とする電界電子放出
    素子の製造方法。
  45. 【請求項45】 請求項43に記載の電界電子放出素子
    の製造方法を行った後に請求項42に記載の電界電子放
    出素子の製造方法を行うことを特徴とする電界電子放出
    素子の製造方法。
  46. 【請求項46】 基板と、この基板上に設けられた平面
    型のエミッタ電極と、このエミッタ電極に間隙を介して
    対向するゲ−ト電極とを備えた電界電子放出素子の製造
    方法において、 導電膜に第1のレジストを塗布する工程と、この第1の
    レジストと前記導電膜とを異方性エッチングする工程
    と、前記導電膜に第2のレジストを塗布する工程と、こ
    の第2のレジストを残留部が残るように露光する工程
    と、前記第2のレジストをマスクとして前記導電膜を異
    方性エッチングする工程とを具備したことを特徴とする
    電界電子放出素子の製造方法。
  47. 【請求項47】 第2のレジストは化学増幅系レジスト
    であることを特徴とする請求項46に記載の電界電子放
    出素子の製造方法。
  48. 【請求項48】 第2のレジストは焦点距離をずらして
    露光されることを特徴とする請求項46に記載の電界電
    子放出素子の製造方法。
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