JP3056040B2 - 薄型表示装置 - Google Patents

薄型表示装置

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JP3056040B2
JP3056040B2 JP6072139A JP7213994A JP3056040B2 JP 3056040 B2 JP3056040 B2 JP 3056040B2 JP 6072139 A JP6072139 A JP 6072139A JP 7213994 A JP7213994 A JP 7213994A JP 3056040 B2 JP3056040 B2 JP 3056040B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電界放出の原理に基づ
いて動作する電子源を用いた薄型表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体集積回路又は薄膜の分野等
で用いられている微細加工技術によって、高電界の影響
下で電子を放出する電界放出型電子源の製造技術の進歩
はめざましく、特に極めて小型の構造を有する電子源の
研究及び製造がなされている。この種の電子源は、三極
管型の超小型電子管、蛍光体の発光による薄型表示装
置、超小型発振管等を形成する上で最も重要かつ基本的
なデバイスである。
【0003】電界放出型電子源は、例えば薄型表示装置
や微小三極管の構成要素として考案されたものであり、
その動作及び製造方法は、特に、シー. エー. スピント
(C.A.Spindt)らによってスタンフォード リサーチ
インスティチュート(Stanford Research Institute)
で行われ、ジャーナル オブ アプライド フィジック
ス(Journal of Applied Physics)第47巻、12号、5248
〜5263頁(1976年12月)を含む様々な雑誌等に発表され
ている。また、エイチ. エフ. グレイ(H.F.Gray)ら
の米国特許第4 307 507号、及び米国特許第4 513 308号
等にも記載されている。
【0004】このような電子源からの放出電子を蛍光体
に照射し、その発光により表示を行う方法は、電子源を
アレイ状に形成した基板と、蛍光体を塗布した透明電極
基板とを至近距離で対向させた構造とすることで、薄型
で、かつ自発光の表示装置を構成できる。電界放出型電
子源による表示装置は、液晶を用いた表示装置のような
バックライト等の発光ユニットが不要であるというメリ
ットがあり、薄型化、軽量化が可能である上、原理的に
CRTと同等の見やすさ及び明るさが実現でき、さら
に、ミクロンオーダーである電子源の微細性を生かした
非常に高精細の表示装置を実現できる可能性がある。
【0005】以下、図8及び図9を参照しながら、従来
の電界放出型電子源を用いた表示装置について説明す
る。
【0006】電子放出側基板51及び蛍光側基板53は
スペーサ部材52を介して対向している。電子放出側基
板51、スペーサ部材52、及び蛍光側基板53によっ
て囲まれる空間は10ー5Pa以下の真空に封止されてい
る。
【0007】蛍光側基板53は、透明基板59と、基板
59上に形成された透明電極層60と、さらに電極層6
0の上に塗布された蛍光体61とからなる。電極層60
は、基板59上の全面に亘って形成されており、その上
に、R(レッド),G(グリーン),及びB(ブルー)
の蛍光体61が塗り分けられている。
【0008】電子放出側基板51は、絶縁基板50と、
絶縁基板50に形成されたエミッタ電極ライン54と、
エミッタ電極ライン54上に絶縁層56を挟んでゲート
電極ライン57とからなる。エミッタ電極ライン54及
びゲート電極ライン57の交差部においてゲート電極ラ
イン57には複数の円筒状の穴58が形成されており、
各穴58の中には円錐形状のエミッタコーン55が形成
されている。電極54及び電極57はマトリックス状に
夫々配列されており、互いに絶縁されている。
【0009】電子放出側基板51は、単結晶シリコン基
板又はガラス基板等からなり、エミッタコーン55は主
としてモリブデン、タングステン等の高融点金属材料で
作られ、絶縁層56は二酸化シリコン等で作られる。ま
た、透明基板59はガラス基板からなり、透明電極層6
0はITOで作られ、蛍光体61は酸化亜鉛及び硫化亜
鉛系材料で作られる。
【0010】このような構成において、エミッタ電極ラ
イン54に対し、ゲート電極ライン57に50V〜15
0V 程度の電圧を印加すると、エミッタコーン55の
先端部に 107V/cm 程度の高電界が発生し、電界放
出の原理に基づいてエミッタコーン55の先端部から電
子が放出される。放出された電子は、200〜1000
V程度の電圧が印加された透明電極層60によって加速
され、蛍光体61に衝突し、蛍光体61が発光する。
【0011】蛍光側基板53においては、全面に形成さ
れている透明電極層60に常に電圧が印加され、電子放
出側基板51においては、エミッタ電極ライン54とゲ
ート電極ライン57のマトリクスに対して選択的に電圧
が印加されると任意の交差部から電子が放出される。こ
れにより、電子放出部位に対向した蛍光体61が選択的
に発光され、エミッタ電極ライン54及びゲート電極ラ
イン57の全マトリクスをスキャンすることで全体の表
示が行われる。以下、図10を参照しながらエミッタコ
ーン55の作製工程を説明する。
【0012】図10中、エミッタ電極ライン64の上に
絶縁層66が形成されており、絶縁層66の上にゲート
電極ライン67が形成されている。フォトリソ工程、エ
ッチング工程によりゲート電極ライン67及び絶縁層6
6に円筒状の穴65が形成される(図10の(a)から
(c))。基板を回転させながら斜めからの真空蒸着法
による製膜を行うことによりエッチング除去層65を形
成した(図10の(d))後、さらに、エミッタ金属材
料を真空蒸着法によりコーン形状に堆積させてエミッタ
コーン55を形成する。その後、エッチング除去層65
ごと不要部68を除去する。これらは、先述のシー. エ
ー. スピント(C.A.Spindt)らの発表により公知の方法
である。
【0013】以下、前述のエミッタコーン作製法に基づ
いた電子放出側基板の作製方法について説明する。絶縁
基板50上にエミッタ電極金属を製膜し、エッチングの
ためのパターニングを行った後、エミッタ電極金属の不
要部分をエッチング除去し、エミッタ電極ライン54を
形成する。次に、絶縁層56の製膜、及びゲート電極金
属の製膜を行い、エッチングのためのパターニングを行
った後、ゲート電極金属の不要部分をエッチング除去
し、ゲート電極ライン57を形成する。その後、ゲート
電極ライン57とエミッタ電極ライン54の交差部に、
エッチングのための円形のパターンを形成し、それに従
って、ゲート電極金属のエッチング、及び絶縁層56の
エッチングを行い、エミッタ電極上面まで達する円筒状
の穴58を形成する。真空蒸着法等の方向性のある製膜
方法により、基板を回転させながら、斜めから、リフト
オフのためのエッチング除去層の製膜を行う。その後、
同様に方向性のある製膜方法により、基板上面からエミ
ッタコーン材料を堆積させる。ここで、目的とする円錐
のエミッタコーン55の形状を得るためには、エミッタ
コーン55を作製するための円筒状の穴の深さ、斜めか
らの製膜によるエッチング除去層により形成される円形
の開口部の大きさ、及びエミッタコーン材料の製膜条件
等のすべてを最適化する必要がある。最後に、エッチン
グ除去層上に堆積した、不要なエミッタコーン材料をエ
ッチング除去層と共にリフトオフ除去することで電子放
出側基板が作製され得る。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】以上の作製プロセスに
おいて、製膜工程が5回、エッチング工程が4回、パタ
ーニング工程が3回と、数多くの工程が必要である。
【0015】また、エッチング除去層形成時に行う基板
を回転させながらの斜めからの製膜プロセス、及びエミ
ッタコーン形状を得るための正面からの精度を必要とす
る製膜プロセスは、均一性の点で大型の基板を用いるの
に適していない。また、このような構造の電子放出側基
板51の複数を平面的に接続して大面積化することは、
エミッタ電極ライン54とゲート電極ライン57が積層
構造であるため、電気的接続の点で困難である。
【0016】一方、薄型表示装置において、電子放出側
基板51は、スペーサ部材52によって蛍光側基板53
と一定の間隔を保って配置される。そして、電子放出側
基板51のエミッタ電極ライン54とゲート電極ライン
57の交差部に形成されたエミッタコーン55に対向す
る位置に、蛍光側基板53に形成されたR(レッド)、
G(グリーン)、又はB(ブルー)の蛍光体61の領域
が配置されることで、表示のための画素が構成される。
ここで、電子放出部であるエミッタコーン55から放出
された電子が、その電子放出部に対応した蛍光体以外の
蛍光体61に照射された場合、クロストークが発生す
る。従来の型の薄型表示装置の場合、各々の蛍光体61
の領域はすべて同電位であるため、隣接した他の蛍光体
61の領域へ電子が照射され易く、クロストークが発生
しやすい。また、クロストークを低減するためには、エ
ミッタコーン55と蛍光体61の領域を高精度で位置合
わせして配置する必要がある。高精細表示のために画素
を小さくするほど、高精度の位置合わせ技術が必要にな
り、また、大画面表示のために基板を大きくするほど、
電子放出側基板51と蛍光側基板53に対しての基板間
の寸法精度が要求されるため、製造が難しくなる。
【0017】また、薄型表示装置に用いられる低電圧動
作が可能な低速電子線励起型の蛍光体61は、電子の加
速電圧が高いCRT用蛍光体に比較してR(レッド),
G(グリーン),B(ブルー)の各蛍光体61の発光効
率が大きく異なる。そのため、R(レッド),G(グリ
ーン),B(ブルー)の各蛍光体に対して、同一の印加
電圧、及び同一の蛍光体61の領域の大きさでは、R
(レッド),G(グリーン),B(ブルー)の各色の発
光輝度の揃った良好なカラー表示ができない。
【0018】本発明の目的は、作製のための工程数が少
なく、製造が容易で、かつ大面積化が容易であり、さら
に、組立時に高精度な位置合わせを必要としないでクロ
ストークの発生を防止できるとともに、R(レッド),
G(グリーン),B(ブルー)の各色の発光輝度が揃っ
た良好なカラー表示が可能な薄型表示装置、及びその駆
動方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、前述の
目的は、電子を放出する電子放出部を有する複数の電子
放出電極ラインが配置された電子放出基板と、電子放出
電極ラインとほぼ直交する方向に配置され、R(レッ
ド)、G(グリーン)、B(ブルー)、又は単色の蛍光
材料からなる蛍光層がそれぞれの透明電極の表面に形成
された複数の蛍光電極ラインを有する蛍光側基板とから
構成される薄型表示装置であって、蛍光側基板に、蛍光
電極ラインとほぼ平行な方向に配置され、蛍光層が形成
されていない透明電極からなる無蛍光電極ラインを設け
ことを特徴とする請求項1の薄型表示装置によって達
成される。
【0020】本発明によれば、前述の目的は、電子を放
出する電子放出部を有する複数の電子放出電極ラインが
配置された電子放出基板と、電子放出電極ラインとほぼ
直交する方向に配置され、R(レッド)、G(グリー
ン)、B(ブルー)、又は単色の蛍光材料からなる蛍光
層がそれぞれの透明電極の表面に形成された複数の蛍光
電極ラインを有する蛍光側基板とから構成される薄型表
示装置であって、電子放出電極ラインが一層構造であ
り、かつ、該電子放出電極ラインの電子放出部の互いに
隣接する二つにおける対向縁が、電子放出基板の面方向
に連続的な凹凸形状を有しており、当該凹凸形状の部分
が、電気的に絶縁された微小隙間を挟んで相互に噛み合
うように対向し、また蛍光側基板に、蛍光電極ラインと
ほぼ平行な方向に配置され、蛍光層が形成されていない
透明電極からなる無蛍光電極ラインを設けたことを特徴
とする請求項2に記載の薄型表示装置によって達成され
る。
【0021】本発明によれば、前述の目的は、蛍光電極
ラインの電極幅、蛍光層の幅の少なくとも一方の幅が、
蛍光電極ラインにより異なることを特徴とする請求項3
の薄型表示装置によって達成される。
【0022】本発明によれば、前述の目的は、薄型表示
装置の駆動方法であって、互いに隣接する三つの電子放
出ラインの内の中央に位置する電子放出電極ラインに、
該電子放出電極ラインの両側に隣接する電子放出電極ラ
インに対して正となる電圧を印加し、該両側に隣接する
電子放出電極ラインの電子放出部から電子を放出させる
ことを特徴とする請求項4の薄型表示装置の駆動方法に
よって達成される。
【0023】
【0024】
【0025】
【作用】請求項1の薄型表示装置は、蛍光材料が、R
(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)、又は単色
の蛍光材料からなり、蛍光側基板に、蛍光電極ラインと
ほぼ平行な方向に配置され、蛍光層が形成されていない
透明電極からなる無蛍光電極ラインを設けているが故
に、放出された電子は、蛍光側基板のR(レッド)、G
(グリーン)、B(ブルー)の蛍光材料が夫々表面に形
成された蛍光電極ライン、又は蛍光材料が形成されてい
ない無蛍光電極ラインへの電圧印加に従って選択的に照
射され、隣接した蛍光体領域間のクロストークがない発
光が得られる
【0026】請求項2の薄型表示装置は、電子放出電極
ラインが一層構造であり、かつ、該電子放出電極ライン
の電子放出部の互いに隣接する二つにおける対向縁が、
電子放出基板の面方向に連続的な凹凸形状を有してお
り、当該凹凸形状の部分が、電気的に絶縁された微小隙
間を挟んで相互に噛み合うように対向しているが故に、
電極構造上、電子放出側基板を平面的に接続することも
可能であるため、構造的に作製のための工程数を低減さ
せ得、製造を容易とし得、大面積化、大画面化も容易と
し得る。また蛍光材料が、R(レッド)、G(グリー
ン)、B(ブルー)、又は単色の蛍光材料からなり、蛍
光側基板に、蛍光電極ラインとほぼ平行な方向に配置さ
れ、蛍光層が形成されていない透明電極からなる無蛍光
電極ラインを設けているが故に、放出された電子は、蛍
光側基板のR(レッド)、G(グリーン)、B(ブル
ー)の蛍光材料が夫々表面に形成された蛍光電極ライ
ン、又は蛍光材料が形成されていない無蛍光電極ライン
への電圧印加に従って選択的に照射され、隣接した蛍光
体領域間のクロストークがない発光が得られる。
【0027】請求項3の薄型表示装置は、蛍光電極ライ
ンの電極幅、蛍光層の幅の少なくとも一方の幅が、蛍光
電極ラインにより異なるが故に、蛍光側基板を構成する
電極ラインの電極幅、及び蛍光材料幅をR(レッド),
G(グリーン),B(ブルー)の各蛍光体の発光効率に
合わせて差異をもたせることが可能で、また、同様に各
蛍光体の発光効率に合わせて互いに絶縁されている蛍光
電極ラインに対する印加電圧に差異をもたせることが可
能であるため、各色の発光の輝度を調整することが容易
となる。
【0028】請求項4の薄型表示装置の駆動方法によれ
ば、互いに隣接する三つの電子放出ラインの内の中央に
位置する電子放出電極ラインに、該電子放出電極ライン
の両側に隣接する電子放出電極ラインに対して正となる
電圧を印加し、該両側に隣接する電子放出電極ラインの
電子放出部から電子を放出させるが故に、中央に位置す
る電子放出電極ラインに正の電圧を印加することによ
り、両側に隣接する電子放出電極ラインからの電子放出
が得られる。
【0029】
【0030】
【0031】
【実施例】以下、図に示す好ましい実施例を参照しなが
ら本発明の薄型表示装置の一実施例について詳述する。
【0032】図1の薄型表示装置において、電子放出側
基板1及び蛍光側基板2はスペーサ部材3を介して対向
しており、それらによって囲まれる空間は 10-5Pa 以
下の真空、又は10-3〜10-4Pa 程度の特定のガスが
封入されている。また、電子放出側基板1及び蛍光側基
板2には、駆動回路接続用の接点4が設けられており、
それぞれ図示されていない駆動回路へ接続され得る。
【0033】図1のC部の関して、蛍光側基板2を透過
して見た電子放出側基板1の上面の拡大図が図2に示さ
れ、電子放出側基板1を透過して見た蛍光側基板2の下
面の拡大図が図3に示されている。
【0034】電子放出側基板1は、絶縁基板5と、基板
5の上に形成されており、微少隙間6により互いに絶縁
された電子放出電極ライン7’からなる。ここで、電子
放出電極ライン7’は、電極ライン7と、電極ライン7
の各上部に形成されており、楔型を連続的に配置した鋸
型の電子放出層8(図2)とからなる(図4)。本実施
例では、電極ライン7の厚さが0.5 〜 1.0μm 程
度、電子放出層8の厚さが0.1 〜 0.3 μm 程度、
微少隙間6が0.5〜1.0μm程度である。
【0035】本実施例によれば、電極構造上、電子放出
側基板1を平面的に接続することも可能であるため、構
造的に作製のための工程数を低減させ得、製造を容易と
し得、大面積化、大画面化も容易とし得る。
【0036】以下、図4を参照しながら電子放出側基板
1の電子放出方法について説明する。 図中の全ての電
子放出電極ライン7’は接地されており、蛍光側基板2
には100〜500V程度の電圧が印加されている。任
意の電子放出電極ライン7’に対して50〜100V程
度の電圧を印加すると、当該電子放出電極ライン7’に
隣接した電子放出電極ライン7’の電子放出層8の楔型
先端の近傍に 107V/cm 程度の高電界が発生し、当
該楔型先端の近傍から、図中矢印で模式的に表されるよ
うに電子が放出される。蛍光側基板2には100〜50
0V程度の電圧が印加されているので、放出された電子
は電圧を印加した電子放出電極ライン7’のほぼ上面の
方向に向かって移動する。同様にして、他の電子放出電
極ライン7’に電圧を印加すると、その両側に隣接した
電子放出電極ライン7’からの電子放出が得られる。本
実施例では、電子放出電極ライン7’を1ラインおきに
電子放出させた後、同様に残りの電子放出電極ラインを
1ラインおきに電子放出させて1画面の表示を行う。
【0037】以下、図5を参照しながら電子放出側基板
1の作製方法について説明する。ここに、本図は、図4
に示される電子放出側基板1のD部の部分拡大図であ
る。絶縁基板15上に電極材料層16及び電子放出材料
層17が順次製膜される。次に、エッチングのためのパ
ターニング18を行った後、電子放出材料層17及び電
極材料層16の不要部分を順次エッチングにより除去す
ることにより、電極ライン間の絶縁及び微少隙間19を
形成する。本実施例では、電極材料層16のエッチング
時に若干のサイドエッチングを行い、電子放出材料層1
7がオーバーハングするように形成されている。本実施
例の電子放出材料層17は、側縁部に楔型を連続的に配
置した鋸型であるが、これに限るものではなく、例え
ば、隣接した電子放出電極ライン7’の電子放出材料層
17と相互に噛み合うように側縁部に矩型を連続的に配
置した形状としてもよい。
【0038】ここで、絶縁基板15は、単結晶シリコン
基板上に熱酸化シリコン膜を形成した基板からなる。し
かし、絶縁基板15は、これに限るものでなく、石英基
板、その他ガラス基板等からなってもよい。電極材料層
16はNbで形成されている。しかし、電極材料層16
は、これに限るものでなく、導電性、放熱性、熱的安定
性等に優れた材料で形成してもよい。電子放出材料層1
7はTaを用いたが、これに限るものでなく、低仕事関
数材料、又は安定した電子放出が得られる材料で形成し
てもよい。これらの電極層の材料としては、他にも、化
学的安定性、対基板又は各電極層間の付着性、機械的安
定性等を考慮して選定され得る。
【0039】本実施例では、電子放出電極ライン7’
を、電極ライン7(電極材料層16)及び電子放出層8
(電子放出材料層17)の2層構造としたが、これらは
同一材料による単一層で構成してもよく、目的に応じて
3層以上の構造としてもよい。
【0040】以下、図6を参照しながら蛍光側基板2の
作製方法を説明する。
【0041】蛍光側基板2は、透明基板9と、透明基板
9上に形成されており、互いに絶縁された蛍光電極ライ
ン14とからなる。ここで、蛍光電極ライン14は、透
明電極ライン10と、透明電極ライン10上に塗布され
たR(レッド),G(グリーン)及びB(ブルー)の蛍
光体がそれぞれ塗布されてなる蛍光層11、12、13
とからなる。これらの蛍光電極ライン14のそれぞれの
間には、透明電極の表面に蛍光体が塗布されない無蛍光
電極ライン15が配置されている。
【0042】本実施例では、R(レッド)、G(グリー
ン)及びB(ブルー)の蛍光層11、12、13をもつ
蛍光電極ライン14の幅は、約70μm、40μm、80
μmであり、無蛍光電極ライン15の幅は20μmであ
る。蛍光電極ライン14は、透明電極ライン10上に蛍
光層11、12、13を形成した構造で、透明電極ライ
ン10の幅はそれらの表面に形成された蛍光層11、1
2、13の幅と同一である。透明電極ライン10上に形
成される蛍光層ラインの幅をR,G,Bの蛍光体の色に
よって差異をもたせてもよい。ここで、透明基板9はガ
ラス基板からなり、透明電極ライン10はITOからな
り、蛍光層11、12、13は酸化亜鉛又は硫化亜鉛系
材料からなる。
【0043】本実施例によれば、放出された電子は、蛍
光側基板2のR(レッド)、G(グリーン)、B(ブル
ー)の蛍光材料が夫々表面に形成された蛍光電極ライン
14、又は蛍光材料が形成されていない無蛍光電極ライ
ン15への電圧印加に従って選択的に照射され、隣接し
た蛍光体領域間のクロストークがない発光が得られる。
【0044】本実施例では、R(レッド)、G(グリー
ン)、B(ブルー)の蛍光電極ライン14の各間に、無
蛍光電極ライン15を形成したが、これに限るものでは
なく、例えば、R(レッド)、G(グリーン)、B(ブ
ルー)の蛍光電極ライン14の3本に対し、無蛍光電極
ライン15の1本の割合で構成してもよい。
【0045】これらの透明電極ライン10への印加電圧
は、R(レッド)、G(グリーン)及びB(ブルー)の
蛍光層11、12、13が形成された蛍光電極ライン1
4で、夫々0〜220V、0〜200V、0〜250V
であり、無蛍光電極ライン15で0〜250Vであり、
各蛍光層11、12、13が形成された蛍光電極ライン
14への印加電圧に差異をもたせることにより、各色の
発光の輝度が調整されている。
【0046】本実施例では、蛍光側基板2の透明電極ラ
イン10の幅に差異をもたせるとともに透明電極ライン
10への印加電圧に差異をもたせたが、どちらか一方に
差異をもたせるだけでも、R(レッド)、G(グリー
ン)及びB(ブルー)の各蛍光層11、12、13にお
ける各色の発光の輝度調整は可能である。
【0047】以下、図7を参照しながら電子放出側基板
1の変形例を説明する。
【0048】ここに、図7(a)は電子放出側基板1の
電子放出ラインの拡大上面図で図2に対応し、図7
(b)は図7(a)のE―E線断面の拡大図である。
【0049】電子放出側基板1は、蛍光側基板2の蛍光
電極ライン14とほぼ直交する方向に電子放出電極ライ
ンをもち、電子放出電極ラインは、エミッタ基板20
と、エミッタ基板20上に形成されたエミッタコーン2
1とからなる。また、ゲート電極23が、エミッタ基板
20上に絶縁層22を介してライン状に形成されてい
る。エミッタ基板20及びエミッタコーン21は低抵抗
単結晶シリコンで形成されている。絶縁基板上に導電性
のエミッタ電極層を形成し、さらにその上にエミッタコ
ーンを形成した構成としてもよい。なお、これらのエミ
ッタコーンは、従来例のものと基本的に同様であり、公
知の構造である。
【0050】このような構成で、ゲート電極ラインに、
エミッタ基板に対して正の電圧を印加すると、ゲート電
極に設けられた円筒状の穴の内部にあるエミッタコーン
から電子が放出される。放出された電子は、前述の実施
例と同様に、蛍光側基板の電極ラインに印加された電圧
に従い、R(レッド)、G(グリーン)及びB(ブル
ー)の蛍光体に選択的に照射され、蛍光体は発光する。
【0051】本実施例の薄型表示装置は、電子放出側基
板の電子放出電極ラインと、それとほぼ直交するように
対向して配置された蛍光側基板の電極ラインとの交差部
において発光表示が行われる。そのため、これらの他に
も、本実施例の薄型表示装置は、蛍光側基板をライン状
に電子放出部を有する他の電子放出側基板に対向して配
置させて構成してもよい。
【0052】
【発明の効果】請求項1の薄型表示装置によれば、蛍光
材料が、R(レッド)、G(グリーン)、B(ブル
ー)、又は単色の蛍光材料からなり、蛍光側基板に、蛍
光電極ラインとほぼ平行な方向に配置され、蛍光層が形
成されていない透明電極からなる無蛍光電極ラインを設
けているが故に、放出された電子は、蛍光側基板のR
(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の蛍光材料
が夫々表面に形成された蛍光電極ライン、又は蛍光材料
が形成されていない無蛍光電極ラインへの電圧印加に従
って選択的に照射され、隣接した蛍光体領域間のクロス
トークがない発光が得られる
【0053】請求項2の薄型表示装置によれば、電子放
出電極ラインが一層構造であり、かつ、該電子放出電極
ラインの電子放出部の互いに隣接する二つにおける対向
縁が、電子放出基板の面方向に連続的な凹凸形状を有し
ており、当該凹凸形状の部分が、電気的に絶縁された微
小隙間を挟んで相互に噛み合うように対向しているが故
に、電極構造上、電子放出側基板を平面的に接続するこ
とも可能であるため、構造的に作製のための工程数を低
減させ得、製造を容易とし得、大面積化、大画面化も容
易とし得る。また蛍光材料が、R(レッド)、G(グリ
ーン)、B(ブルー)、又は単色の蛍光材料からなり、
蛍光側基板に、蛍光電極ラインとほぼ平行な方向に配置
され、蛍光層が形成されていない透明電極からなる無蛍
光電極ラインを設けているが故に、放出された電子は、
蛍光側基板のR(レッド)、G(グリーン)、B(ブル
ー)の蛍光材料が夫々表面に形成された蛍光電極ライ
ン、又は蛍光材料が形成されていない無蛍光電極ライン
への電圧印加に従って選択的に照射され、隣接した蛍光
体領域間のクロストークがない発光が得られる。
【0054】請求項3の薄型表示装置によれば、蛍光電
極ラインの電極幅、蛍光層の幅の少なくとも一方の幅
が、蛍光電極ラインにより異なるが故に、蛍光側基板を
構成する電極ラインの電極幅、及び蛍光材料幅をR(レ
ッド),G(グリーン),B(ブルー)の各蛍光体の発
光効率に合わせて差異をもたせることが可能で、また、
同様に各蛍光体の発光効率に合わせて互いに絶縁されて
いる蛍光電極ラインに対する印加電圧に差異をもたせる
ことが可能であるため、各色の発光の輝度を調整するこ
とが容易となる。
【0055】請求項4の薄型表示装置の駆動方法によれ
ば、互いに隣接する三つの電子放出ラインの内の中央に
位置する電子放出電極ラインに、該電子放出電極ライン
の両側に隣接する電子放出電極ラインに対して正となる
電圧を印加し、該両側に隣接する電子放出電極ラインの
電子放出部から電子を放出させるが故に、中央に位置す
る電子放出電極ラインに正の電圧を印加することによ
り、両側に隣接する電子放出電極ラインからの電子放出
が得られる。
【0056】
【0057】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄型表示装置の実施例の斜視図であ
る。
【図2】図1の薄型表示装置のC部の上面部分拡大透視
図である。
【図3】図1の薄型表示装置のC部の下面部分拡大透視
図である。
【図4】図1の薄型表示装置の A−A’線の断面部分
拡大図である。
【図5】本発明の薄型表示装置を構成する電子放出側基
板の作製方法を示す断面部分拡大図である。
【図6】図1の薄型表示装置のB−B’線の断面部分拡
大図である。
【図7】本発明の薄型表示装置の他の実施例を示す部分
拡大図である。
【図8】従来の薄型表示装置の概略を示す斜視図であ
る。
【図9】図8の薄型表示装置のF部の部分拡大斜視図で
ある。
【図10】従来の薄型表示装置を構成するエミッタコー
ンの作製方法を示す断面部分拡大図である。
【符号の説明】
1 電子放出側基板 2 蛍光側基板 3 スペーサ基板 4 駆動回路接続用の接点 5 絶縁基板 6 微少隙間 7 電極ライン 7’ 電子放出電極ライン 8 電子放出層 9 透明基板 10 透明電極ライン 11、12、13 蛍光体 14 蛍光電極ライン 15 無蛍光電極ライン 19 微少隙間 20 エミッタ基板 21 エミッタコーン 22 絶縁層 23 ゲート電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−203743(JP,A) 特開 平5−89850(JP,A) 特開 平4−22038(JP,A) 特開 平2−46636(JP,A) 特開 平4−28138(JP,A) 特開 平2−174043(JP,A) 特開 昭51−38867(JP,A) 特開 昭49−52965(JP,A) 特開 平2−61946(JP,A) 特開 昭61−23479(JP,A) 特公 昭47−45699(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 31/12 G09G 3/30

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子を放出する電子放出部を有する複数
    の電子放出電極ラインが配置された電子放出基板と、前
    記電子放出電極ラインとほぼ直交する方向に配置され、
    R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)、又は単
    色の蛍光材料からなる蛍光層がそれぞれの透明電極の表
    面に形成された複数の蛍光電極ラインを有する蛍光側基
    板とから構成される薄型表示装置であって、前記蛍光側基板に、前記蛍光電極ラインとほぼ平行な方
    向に配置され、蛍光層が形成されていない透明電極から
    なる無蛍光電極ラインを設けた ことを特徴とする薄型表
    示装置。
  2. 【請求項2】 電子を放出する電子放出部を有する複数
    の電子放出電極ラインが配置された電子放出基板と、前
    記電子放出電極ラインとほぼ直交する方向に配置され、
    R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)、又は単
    色の蛍光材料からなる蛍光層がそれぞれの透明電極の表
    面に形成された複数の蛍光電極ラインを有する蛍光側基
    板とから構成される薄型表示装置であって、 前記電子放出電極ラインが一層構造であり、かつ、該電
    子放出電極ラインの電子放出部の互いに隣接する二つに
    おける対向縁が、前記電子放出基板の面方向に連続的な
    凹凸形状を有しており、当該凹凸形状の部分が、電気的
    に絶縁された微小隙間を挟んで相互に噛み合うように対
    向し、また 前記蛍光側基板に、前記蛍光電極ラインとほ
    ぼ平行な方向に配置され、蛍光層が形成されていない透
    明電極からなる無蛍光電極ラインを設けたことを特徴と
    する薄型表示装置。
  3. 【請求項3】 前記蛍光電極ラインの電極幅、前記蛍光
    層の幅の少なくとも一方の幅が、前記蛍光電極ラインに
    より異なることを特徴とする請求項1または請求項2に
    記載の薄型表示装置。
  4. 【請求項4】 請求項1から3のいずれか一項に記載の
    薄型表示装置の駆動方法であって、 互いに隣接する三つの電子放出ラインの内の中央に位置
    する電子放出電極ラインに、該電子放出電極ラインの両
    側に隣接する電子放出電極ラインに対して正となる電圧
    を印加し、該両側に隣接する電子放出電極ラインの電子
    放出部から電子を放出させることを特徴とする薄型表示
    装置の駆動方法。
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