JPH07245394A - 絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ - Google Patents

絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ

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JPH07245394A
JPH07245394A JP6033985A JP3398594A JPH07245394A JP H07245394 A JPH07245394 A JP H07245394A JP 6033985 A JP6033985 A JP 6033985A JP 3398594 A JP3398594 A JP 3398594A JP H07245394 A JPH07245394 A JP H07245394A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】制限電流値の電源電圧に対する依存性を低減し
て安定した過電流保護が行えるようにした電流検出機能
付き絶縁ゲート型バイポーラトランジスタを提供する。 【構成】多数の主セル(IGBT)6を集積形成した半
導体基板5の一部に電流検出用のセンスセル(IGB
T)9を形成し、かつセンスセルのエミッタ電極10を
外部の過電流保護回路に接続して電流検出,過電流保護
を行うようにした絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ
において、センスセルと隣接の主セルとの間に、電子の
拡散距離を考慮して少なくとも100μm以上の間隔を
設定して両者間を電気的に隔離し、さらにセンスセルの
周囲に沿った領域に、主セルのエミッタ電極に接続した
正孔電流引抜き用のPウェル11を形成し、主セルとセ
ンスセル相互間のキャリア干渉を抑えて電流比率の安定
化を図る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インバータ装置などに
適用するパワースイッチングデバイスとしての絶縁ゲー
ト型バイポーラトランジスタ(IGBT)に関する。
【0002】
【従来の技術】絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ
(以下「IGBT」と称する)は、比較的低いオン電圧
で、高速ターンオフが可能な電圧駆動の半導体スイッチ
ングデバイスであり、インバータ装置などのパワーエレ
クトロニクスの分野で広く採用されている。
【0003】ところで、IGBT出力形のインバータ装
置では、電動機の起動時突入電流,負荷短絡,アーム短
絡などの事故が発生した際にIGBTに過電流が流れる
ことから、IGBTには高電圧,大電流に対する厳しい
責務が課せられ、その際に要求される電気特性の項目の
一つに短絡耐量と呼ばれる破壊耐量がある。一方、イン
バータ装置では、短絡事故が発生した際にこれを検出し
て電源をしゃ断する保護回路が組み込まれているが、こ
の保護回路が過電流を検出して機能するまでには約10
〜20μsec の時間がかかり、この期間内にIGBTは
破壊しないことが要求されている。
【0004】そこで、最近の高性能なIGBTモジュー
ルでは、前記したインバータ装置の保護回路とは別に、
短絡事故発生時にIGBTに流れる過電流を高速で検出
し、この過電流検出信号を基にゲート制御により前記保
護回路で電源が遮断される以前にIGBTの電流を自己
制限して素子の短絡耐量内に抑えるようにした過電流保
護方式が多く採用されている。
【0005】図5は前記保護方式によるIGBTの過電
流保護回路を示すものであり、図において、1は主素子
(IGBT),2は主素子1に並列接続した電流検出用
の副素子(主素子1と別なIGBT)、3は副素子2に
直列接続した電流検出抵抗、4は主素子1,副素子2の
ゲート駆動回路に接続し、かつ前記電流検出抵抗3の両
端に発生した電圧に対応してオン,オフ動作するスイッ
チング素子(MOSFET)である。
【0006】かかる構成で、負荷短絡事故などによる過
電流が主素子1,副素子2に流れ、これに伴って電流検
出抵抗3の両端に発生した電圧がスイッチング素子4の
しきい値電圧を超えると、スイッチング素子4がオン動
作して主素子1,および電流検出用の副素子2のゲート
電圧を絞り込み、主素子IGBTに流れる主電流を低め
るように制限する。この場合に、電流検出抵抗3の抵抗
値,スイッチング素子4のしきい値電圧を適宜設定する
ことにより、被保護素子のIGBTに流れる主電流をI
GBT素子の短絡耐量以内に抑えることができる。
【0007】ところで、前記のように被保護対象である
主素子1のIGBTに対して、電流検出用副素子2のI
GBTを含む過電流保護回路を独立した外部回路として
構成したものでは、チップの温度上昇などの点で主素子
1と副素子2の間で動作特性の比例性を持たせることが
困難である。しかも、インバータでの短絡現象にはアー
ム短絡,直列短絡,出力短絡,地絡などがあり、その短
絡モードの違いによって被保護素子のIGBTに加わる
コレクタ−エミッタ間電圧VCEが変動することが予想さ
れることから、前記のように主素子1と副素子2の動作
特性が異なると、IGBTのコレクタ−エミッタ間電圧
CEが変化した場合には、主素子1と副素子2との電流
比率が変動してその電流制限値も大きく変化することに
なるため、安定した過電流保護動作を実現することが難
しい。
【0008】そこで、半導体基板に集積形成したIGB
Tセルの一部を電流検出用のセンスセルとして用い、該
センスセルのエミッタ電極を同じ基板上に形成した主セ
ルのエミッタ電極から切り離して過電流保護回路の電流
検出抵抗に接続するよう構成したものが、本発明と同一
出願人より特願平5−256197号として既に提案さ
れている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記のよう
に同一半導体基板に主セル(IGBT)と電流検出用の
センスセル(IGBT)を組み込んだ構成のものについ
て、様々な実験,考察を行った結果、次記のような特性
上の不具合が生じることが明らかになった。すなわち、
半導体基板上におけるセンスセルの組み込み位置によっ
ては、主セルとセンスセルとの境界領域でキャリアの相
互干渉が生じ、これが基で主セルに流れる主電流とセン
スセルに流れる電流の比率が変化するようになる。しか
も、IGBT素子では過電流保護回路の電流検出抵抗に
よりエミッタ電位の上昇したセンスセルとエミッタがア
ース電位である主セルとでは、各々のゲート電位が異な
るために電流密度に差が生じ、この結果としてコレクタ
−エミッタ間電圧VCEが変化すると過電流保護による主
電流の制限電流値も変動し、その傾向はコレクタ−エミ
ッタ間電圧VCEが低い低電圧領域では制限電流値が増大
するようになる。
【0010】しかも、このような制限電流値の電圧依存
性が大きくなると、IGBTをインバータ装置に適用す
る場合には過電流保護動作の面で不都合が生じることか
ら、できる限り制限電流値の電圧依存性を低く抑えるこ
とが要求される。本発明は上記の点にかんがみなされた
ものであり、その目的は様々な動作環境下でも主電流と
検出電流との比率を一定に保ち、過電流保護回路と組合
わせて負荷短絡時における制限電流値の電圧依存性を抑
えて安定した過電流保護が行えるようにした電流検出機
能付きの絶縁ゲート型バイポーラトランジスタを提供す
ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的は、本発明によ
り、多数の主セルを集積形成した半導体基板の一部に電
流検出用のセンスセルを形成し、かつ該センスセルのエ
ミッタ電極を主セルのエミッタ電極と分離して過電流保
護回路に接続した絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ
において、前記センスセルを主セルから電気的に隔離し
てレイアウトすることにより達成される。
【0012】また、センスセルを主セルから電気的に隔
離するための具体的な手段としては、次記のような態様
がある。 (1)センスセルと該センスセルに隣接する主セルとの
間に電子の拡散距離よりも大なる間隔、具体的に100
μm以上の間隔距離を設定する。 (2)前項(1)において、センスセルの周囲に沿った
領域に、主セルのエミッタ電極に接続した正孔電流引抜
き用のPウェルを形成する。
【0013】(3)センスセルと該センスセルに隣接す
る主セルとの間に分離領域を形成する。
【0014】
【作用】上記の構成において、IGBTに流れる電流
は、主セルと同一基板に形成した電流検出用のセンスセ
ルを通じてそのエミッタ電極に接続した過電流保護回路
の電流検出抵抗により検出され、負荷短絡などで過電流
が流れた際には、保護回路の動作により主電流をIGB
Tの短絡耐量以内に制限してセルを破壊から保護する。
この過電流保護動作は従来の方式と同様であるが、その
場合にセンスセルを主セルとの間に電流の影響が及ばな
い程度に間隔をあけるか、あるいはセンスセルと主セル
との間に分離領域(トレンチ分離,誘電分離など)を設
けるなどして、センスセルを主セルから電気的に隔離し
て半導体基板上にレイアウトすることにより、主セルと
センスセルとの間の電流干渉を抑えて主セルとセンスセ
ルとの間の電流比率を一定に保つことができ、かつ電流
比率の変化に起因する制限電流値の電圧依存性も小さく
抑えられる。
【0015】また、センスセルの周囲に沿った領域に、
主セルのエミッタ電極に接続した正孔電流引抜き用のP
ウェルを形成することにより、主セル/センスセルの境
界領域でのキャリア相互干渉を回避できる。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1(a),(b)はIGBTチップの平面図,セ
ル構造の断面図、図2は図1におけるセンスセル部の拡
大平面図を示すものである。すなわち、半導体基板5に
は多数の主セル6としてnチャネル形IGBTがストラ
イプ状に並列して作り込まれており、かつ主セル6のI
GBTに対して主エミッタ電極7,およびゲート電極8
が形成されている。また、半導体基板5の一部には電流
検出用センスセル9として主セル6と同様なIGBTが
作り込まれており、該センスセル9には主セル6のエミ
ッタ電極7と分離独立した電流検出用エミッタ電極10
が形成されている。さらに、センスセル9を取り囲むよ
うに該セルの周囲に沿った領域には、主セル6のエミッ
タ電極7に接続した正孔電流引抜き用のPウェル11が
作り込まれている。
【0017】ここで、センスセル9と該センスセルに隣
接して並ぶ主セル6との間には、エミッタ側から注入さ
れる電子の拡散距離を考慮して少なくとも100μm以
上の間隔Lを確保するようにセンスセル9が半導体基板
5にレイアウトされており、例えば半導体基板5が比抵
抗80Ωcm,n- ドリフト層の層厚80μmであり、電
源電圧400Vで使用するものでは、前記間隔Lは20
0μm程度離してレイアウトするのがよい。
【0018】さらに、図1(b)において、12は主エ
ミッタ端子、13は電流検出用エミッタ端子、14はゲ
ート端子、15はコレクタ端子であり、電流検出用エミ
ッタ端子13を図5に示した電流検出抵抗3に接続して
主セルに対する過電流保護回路を構成している。なお、
過電流検出回路の電流検出抵抗3,副スイッチング素子
5は、IGBTと分離した外部回路として構成するか、
あるいは前記半導体基板5のゲート電極周辺に形成して
実施することもできる。
【0019】上記構成によるIGBTの過電流保護動作
は図5で述べたとほぼ同様であるが、特に主セル6とセ
ンスセル9との間に100μm以上の間隔Lを設定して
隔離し、さらにセンスセル9の周域を囲むように主セル
6側には正孔電流引抜き用のPウェル10を形成したこ
とにより、主セルとセンスセルとの境界領域でのキャリ
アの干渉が殆どなくなる。これにより、主電流と検出電
流との間の電流比率が一定に保たれ、負荷短絡時に過電
流制限を行った際の主電流の制限電流値を、コレクタ−
エミッタ間電圧の変化に左右されることなく短絡耐量以
内でほぼ一定の電流値に制限できる。
【0020】なお、センスセル9と主セル6との間を電
気的に隔離する手段としては、図示実施例のように両者
の間に電子の拡散距離を考慮した距離を設定して隔離す
る手段のほかに、センスセル9と主セル6との間に、例
えばトレンチ分離,誘電分離などによる分離領域を形成
して電気的に隔離することもできる。なお、この場合に
はセンスセル9を主セル6に近づけてレイアウトするこ
とが可能である。
【0021】次に、前記構成のIGBT(耐圧600
V,定格電流100A)に過電流保護回路を接続し、電
源電圧を400Vとして行った短絡試験での主電流IC
と電圧VCEの波形を図3に示す。この波形図から明らか
なように、IGBTの主電流は数μsec の間に制限電流
値が定格電流100Aに対して短絡耐量以内の250A
に制限されていることが判る。
【0022】また、図4はコレクタ−エミッタ間に加え
る電源電圧が変化した場合における過電流の制限電流値
を、前記実施例と、センスセル/主セル間の間隔を20
μm以内に近づけてレイアウトした従来例とを対比して
表した特性図である。なお、ここでの供試IGBTはゲ
インの大きな素子を例にとっており、このような素子を
用いた場合に、従来例では特性線Aで表すように低電圧
領域では制限電流値が増大する傾向を示すのに対し、本
発明によれば特性線Bで表すように高電圧から低電圧領
域まで制限電流値のほぼ同じ値を示す。つまり制限電流
値の電圧依存性が大幅に改善されていることが判る。こ
れにより、IGBTをインバータ装置へ適用した際に
は、短絡モードの如何にかかわらず、過電流保護をより
一層安定よく行うことができる。
【0023】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、多
数の主セルを集積形成した半導体基板の一部に電流検出
用のセンスセルを形成し、かつ該センスセルを主セルか
ら電気的に隔離してレイアウトしたことにより、主セル
とセンスセルとの間の電流比率を安定に保ちつつ、セン
スセルを通じてIGBTに流れる電流を過電流保護回路
にて精度よく検出することができ、これにより制限電流
値の電源電圧に対する依存性を低く抑えて安定した過電
流保護を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による絶縁ゲート型バイポーラ
トランジスタの構成を表す図であり、(a)はチップの
平面図、(b)はチップ内に形成したIGBTの構造断
面図
【図2】図1におけるセンスセル部分のチップ拡大図
【図3】図1のIGBTに保護回路を接続して行った負
荷短絡テストでの電圧,電流波形図
【図4】本発明実施例と従来例とを対比して表した電源
電圧と制限電流値との関係を表す特性図
【図5】IGBTの過電流保護回路図
【符号の説明】
3 過電流保護回路の電流検出抵抗 5 半導体基板 6 主セル(IGBT) 7 主エミッタ電極 8 ゲート電極 9 センスセル(IGBT) 10 電流検出用エミッタ電極 11 Pウェル L センスセルと主セルとの間の間隔距離
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年5月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 29/78 321 W

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多数の主セルを集積形成した半導体基板の
    一部に電流検出用のセンスセルを形成し、かつ該センス
    セルのエミッタ電極を主セルのエミッタ電極と分離して
    過電流保護回路に接続した絶縁ゲート型バイポーラトラ
    ンジスタにおいて、前記センスセルを主セルから電気的
    に隔離してレイアウトしたことを特徴とする絶縁ゲート
    型バイポーラトランジスタ。
  2. 【請求項2】センスセルと該センスセルに隣接する主セ
    ルとの間に電子の拡散距離よりも大なる間隔を設定した
    ことを特徴とする請求項1記載の絶縁ゲート型バイポー
    ラトランジスタ。
  3. 【請求項3】センスセルと該センスセルに隣接する主セ
    ルとの間に100μm以上の間隔を設定したことを特徴
    とする請求項2記載の絶縁ゲート型バイポーラトランジ
    スタ。
  4. 【請求項4】センスセルの周囲に沿った領域に、主セル
    のエミッタ電極に接続した正孔電流引抜き用のPウェル
    を形成したことを特徴とする請求項2記載の絶縁ゲート
    型バイポーラトランジスタ。
  5. 【請求項5】センスセルと該センスセルに隣接する主セ
    ルとの間に分離領域を形成したことを特徴とする請求項
    1記載の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ。
JP03398594A 1994-03-04 1994-03-04 絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ Expired - Lifetime JP3156487B2 (ja)

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