JPH07243452A - クラッチカバー組立体 - Google Patents

クラッチカバー組立体

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JPH07243452A
JPH07243452A JP6037038A JP3703894A JPH07243452A JP H07243452 A JPH07243452 A JP H07243452A JP 6037038 A JP6037038 A JP 6037038A JP 3703894 A JP3703894 A JP 3703894A JP H07243452 A JPH07243452 A JP H07243452A
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clutch cover
pressing
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Yuji Mizukami
裕司 水上
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16DCOUPLINGS FOR TRANSMITTING ROTATION; CLUTCHES; BRAKES
    • F16D13/00Friction clutches
    • F16D13/58Details
    • F16D13/75Features relating to adjustment, e.g. slack adjusters
    • F16D13/757Features relating to adjustment, e.g. slack adjusters the adjusting device being located on or inside the clutch cover, e.g. acting on the diaphragm or on the pressure plate

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  • General Engineering & Computer Science (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 摩擦部材が磨耗してもストラッププレートの
付勢力を一定にする。 【構成】 クラッチカバー組立体は、クラッチカバー2
0と、プレッシャープレート21と、ファルクラムリン
グ24と、ダイヤフラムスプリングと、磨耗調整機構1
2と、ストラッププレート41とを備えている。ファル
クラムリング24は、プレッシャープレート21の押圧
面と反対側に、プレッシャープレート21から相対回転
不能にかつ軸方向に移動可能に配置されている。磨耗調
整機構12は、ファルクラムリング24とプレッシャー
プレート21とを連結するとともに、摩擦部材の磨耗量
に応じてファルクラムリング24をプレッシャープレー
ト21からダイヤフラムスプリング側に移動させる。ス
トラッププレート41は、ファルクラムリング24とク
ラッチカバー20とを相対回転不能に連結するととも
に、軸方向に弾性変形可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、クラッチカバー組立
体、特に摩擦部材の磨耗にかかわらず押圧荷重特性を維
持するための機構を備えたクラッチカバー組立体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】クラッチカバー組立体は、一般に、エン
ジンのフライホイールに装着され、フライホイールとの
間でクラッチディスクを挟持してエンジンの駆動力を変
速機側に伝達するために用いられている。このようなク
ラッチカバー組立体及びクラッチディスクでは、長寿命
化の要請がある。そこで、クラッチディスクにおいて
は、フェーシングをリベット等を用いずにクッショニン
グプレートに固定することによりフェーシングの有効使
用厚みを増加させるようにしている。
【0003】また、クラッチカバー組立体においては、
特開昭63−27092号公報に示されるように、フェ
ーシングが磨耗した場合にダイヤフラムスプリングのセ
ット荷重を初期荷重に自動的に復帰できるようにしたも
のが提供されている。このクラッチカバー組立体は、ダ
イヤフラムスプリングとプレッシャープレートとの間に
配置されたファルクラムリングと、フェーシングの磨耗
に応じてファルクラムリングをダイヤフラムスプリング
側に移動させる磨耗調整機構とを有している。磨耗調整
機構は、プレッシャープレートの溝内に配置された半径
方向外方に移動可能なスライド部材と前記スライド部材
を半径方向外方に付勢する弾性部材とを有している。前
記支持部材と前記スライド部材とは相補的に当接するく
さび面を有しており、フェーシングの磨耗が生じた後に
ダイヤフラムスプリングの押圧が解除されると、前記ス
ライド部材が前記支持部材を径方向外側に押して、ファ
ルクラムリングがダイヤフラムスプリングの押圧部側に
移動する。その結果、ダイヤフラムスプリングの押圧姿
勢は変化せず、ダイヤフラムスプリングのセット荷重は
初期荷重に維持される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の構成では、
プレッシャープレートは、複数のストラッププレートに
よりクラッチカバーに一体回転するように固定されてい
る。そして、ダイヤフラムスプリングによるファルクラ
ムリングに対する押圧が解除されると、プレッシャープ
レートがストラッププレートによってフライホイール側
から引き離される。このように、ストラッププレートが
プレッシャープレートに対してフライホイールから離れ
る方向に付勢力を与える。摩擦部材の磨耗が増加する
と、プレッシャープレートがフライホイール側に移動す
るために、ストラッププレートの前記付勢力が増加す
る。その結果、スライド部材をプレッシャープレートと
ファルクラムリングとの間で挟持する力が大きくなる。
挟持力が大きくなると、それに打ち勝つためにコイルス
プリングのバネ荷重を大きくしなければならない。その
結果、組付け性が悪くなり、コストが上昇する。
【0005】本発明の目的は、摩擦部材が磨耗してもス
トラッププレートの付勢力を一定にすることにある。本
発明の他の目的は、コストを下げることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係るクラッチカ
バー組立体は、出力側回転体に連結された摩擦部材を入
力側回転体に押圧あるいは押圧解除するためのものであ
り、皿状クラッチカバーと円環状プレッシャープレート
と支持部材と押圧部材と磨耗調整機構とストラッププレ
ートとを備えている。
【0007】皿状クラッチカバーは入力側回転体に外周
部が固定される。円環状プレッシャープレートはクラッ
チカバー内に配置され、一側面に摩擦部材を押圧するた
めの押圧面を有する。支持部材は、プレッシャープレー
トの押圧面と反対側に、プレッシャープレートと相対回
転不能にかつ軸方向に移動可能に配置される。押圧部材
は、支持部材を介してプレッシャープレートを入力側回
転体側に押圧する。磨耗調整機構は、支持部材とプレッ
シャープレートとを連結するとともに、摩擦部材の摩耗
量に応じて支持部材をプレッシャープレートから押圧部
材側に移動させる。ストラッププレートは、支持部材と
クラッチカバーとを相対回転不能に連結するとともに、
軸方向に弾性変形可能である。
【0008】ストラッププレートは、初期状態において
前記支持部材を前記入力側回転体から離れる方向に付勢
しているのが好ましい。摩耗調整機構は、支持部材が押
圧部材側に移動するようにプレッシャープレートから支
持部材を付勢する付勢機構と、支持部材の押圧部材側へ
の移動を規制しかつ摩擦部材の摩耗量に応じて支持部材
の前記移動を許容する規制機構とを含んでいるのが好ま
しい。
【0009】プレッシャープレートは軸方向孔を有して
おり、規制機構は、軸方向孔内に摩擦係止され、一端が
クラッチ連結時に前記入力側回転体に当接し、他端が支
持部材の押圧部材側への移動を規制している規制部材を
含んでいるのが好ましい。さらに、規制機構は、クラッ
チ連結時に摩擦部材が摩耗するとその摩耗量だけ入力側
回転体に押されて、プレッシャープレートに対して押圧
部材側に移動して、支持部材の前記移動を摩耗量だけ許
容する。
【0010】規制部材と前記プレッシャープレートの前
記軸方向孔との間で生じる最大摩擦力は、支持部材に対
する押圧部材の押圧力より小さく、支持部材に対する付
勢機構の付勢力とストラッププレートの付勢力との合計
より大きいのが好ましい。支持部材は、孔部を有する半
径方向外方突出部を有しているのが好ましい。さらに、
規制部材は、円筒部材と係止部材とを有しているのが好
ましい。円筒部材は、前記一端を有しており、外周が前
記軸方向孔内に嵌入しており、内周面が前記入力側回転
体から前記押圧部材側に向かって縮径する第1テーパ面
になっており、径方向への拡縮を可能にしするスリット
が形成されている。係止部材は、プレッシャープレート
の押圧部材側に位置して孔部より大きく形成された頭部
分と、円筒部材内周に配置され第1テーパ面に相補的に
当接する形状の第2テーパ面を外周に有するテーパ部分
と、孔部に挿通されて頭部分と前記テーパ部分とを連結
する連結部分とを含んでいるのが好ましい。それによ
り、支持部材の半径方向外方突出部が頭部分を押圧部材
側に付勢すると、テーパ部分の第2テーパ面が前記円筒
部材を半径方向に拡大して、円筒部材を軸方向孔に圧接
して係止させる。
【0011】プレッシャープレートは押圧面と反対側に
円周方向に延びる溝を有しているのが好ましい。さら
に、支持部材は前記溝内に配置され、付勢機構は、溝内
に支持部材より奥に収容された、各々の円周方向に延び
る主面が互いに当接する一対のくさび部材と、くさび部
材のいずれか一方を他方に円周方向に付勢してくさび部
材のいずれか一方を軸方向に移動させる付勢部材とを含
んでいるのが好ましい。
【0012】一対のくさび部材は、溝内に円周方向に移
動可能に配置され第1傾斜部を有する第1くさび部材
と、第1傾斜部に対して相補的に傾斜して当接する第2
傾斜部を有して支持部材に固定された第2くさび部材と
から構成されているのが好ましい。付勢部材はコイルス
プリングであるのが好ましい。
【0013】
【作用】本発明に係るクラッチカバー組立体では、押圧
部材が支持部材を押圧すると、プレッシャープレートが
摩擦部材を入力側回転体に押し付ける。このクラッチ連
結状態において、摩擦部材が磨耗するとプレッシャープ
レートが入力側回転体側に移動する。すると、磨耗調整
機構が磨耗量に応じて支持部材をプレッシャープレート
から押圧部材側に移動させる。その結果、押圧部材の押
圧姿勢は変化することなく、押圧部材の押圧荷重が初期
の荷重に維持される。さらに、支持部材の入力側回転体
に対する位置は変化しないために、支持部材に連結され
たストラップレートの姿勢は変化せず、一定に保たれ
る。その結果、ストラッププレートの付勢力が一定にな
る。
【0014】ストラッププレートが初期状態において支
持部材を入力側回転体から離れる方向に付勢している場
合には、摩擦部材が磨耗してもストラッププレートの姿
勢が一定であるために、ストラッププレートの付勢力は
変化しにくい。その結果、磨耗調整機構に影響を与える
ことなく、コストを下げることができる。摩耗調整機構
が付勢機構と規制機構とを含んでいる場合は、前記作用
がさらに有効になる。
【0015】規制部材がプレッシャープレートに形成さ
れた軸方向孔内に摩擦係止され、一端がクラッチ連結時
に前記入力側回転体に当接し、他端が支持部材の押圧部
材側への移動を規制している場合は、前記作用がさらに
有効になる。規制部材と前記プレッシャープレートの前
記軸方向孔との摩擦係止力は、支持部材に対する押圧部
材の押圧力より小さく、支持部材に対する付勢機構の付
勢力とストラッププレートの付勢力との合計より大きい
ので、前記作用がさらに有効になる。
【0016】規制部材が円筒部材と係止部材とを有して
いる場合には、前記作用がさらに有効になる。付勢部材
はコイルスプリングである場合には、前記作用がさらに
有効になる。
【0017】
【実施例】本発明の一実施例が採用されたクラッチを図
1に示す。クラッチは、エンジン側のクランクシャフト
53に連結されたフライホイール15から、トランスミ
ッション側から延びるメインドライブシャフト54にト
ルクを伝達または遮断するための装置である。図の左側
にはエンジン(図示せず)が配置され、図の右側にはト
ランスミッション(図示せず)が配置されている。
【0018】このクラッチは、主に、フライホイール1
5に固定されたクラッチカバー組立体51と、クラッチ
ディスク組立体52とから構成されている。クラッチデ
ィスク組立体52の中心は、メインドライブシャフト5
4にスプライン嵌合している。メインドライブシャフト
54の回りには、レリーズ装置のレリーズベアリング5
5が軸方向移動自在に配置されている。
【0019】本発明の一実施例としてのクラッチカバー
組立体51を図2に詳細に示す。この図において、クラ
ッチカバー組立体51は、クラッチカバー20と、プレ
ッシャープレート21と、プレッシャープレート21の
クラッチカバー20側に配置されたファルクラムリング
24と、プレッシャープレート21をフライホイール1
5側に押圧するためのダイヤフラムスプリング22とを
備えている。さらに、このクラッチカバー組立体51
は、磨耗調整機構12を備えている。
【0020】クラッチカバー20は概ね皿状の部材であ
り、外周端がフライホイール15に固定されている。ク
ラッチカバー20の外周壁には、図8に示すように、円
周方向に等間隔で切欠き20aが形成されている。各切
欠き20aに対応する位置には、図8に示すように、複
数の鋼帯からなり円周接線方向に延びるストラッププレ
ート41が配置されている。ストラッププレート41
は、円周方向に剛性は高いが、軸方向に弾性変形可能で
ある。ストラッププレート41は、一端がクラッチカバ
ー20にリベット42によって固定されている。ストラ
ッププレート41は、プレッシャープレート21をクラ
ッチカバー20とともに回転させるとともに、ダイヤフ
ラムスプリング22による押圧が解除されたときに、プ
レッシャープレート21をフェーシング23から引き離
すための部材である。
【0021】プレッシャープレート21は概ね円環状の
部材であり、クラッチカバー20内に配置されている。
プレッシャープレート21は、フライホイール15との
間でクラッチディスク組立体52のフェーシング23を
挟持するための押圧面21aをフライホイール15側に
有している。また、プレッシャープレート21のダイヤ
フラムスプリング22側の側面には、円周方向に延びる
複数の溝21bが形成されている。また、プレッシャー
プレート21の外周部には、クラッチカバー20の切欠
き20aに向かって突出する固定部21cが一体形成さ
れている。
【0022】ファルクラムリング24は一体の円板形状
であり、プレッシャープレート21の各溝21b内に円
周方向に移動不能にかつ軸方向に移動可能に配置されて
いる。各ファルクラムリング24のトランスミッション
側には円周方向に延びる頂部24aが形成されている。
各ファルクラムリング24は、円周方向外方に突出する
フランジ24bとストラッププレート固定部24cとを
有している。フランジ24bは複数の孔24dを有して
おり、後述する規制機構40に係合している。図8に示
すように、固定部24cの上端には、ストラッププレー
ト41の一端がボルト43により固定されている。この
ような状態で、ストラッププレート41は軸方向にたわ
んで、各ファルクラムリング24をプレッシャープレー
ト21から離れる方向に付勢している。
【0023】ダイヤフラムスプリング22は、クラッチ
カバー20と同心に配置されている。また、ダイヤフラ
ムスプリング22は、図1に示すように、その半径方向
中間部がクラッチカバー20側に支持されており、外周
部が各ファルクラムリング24の頂部24aに当接し、
ファルクラムリング24をフライホイール15側に付勢
している。レリーズベアリング55がダイヤフラムスプ
リング22の内周部をフライホイール15側に押圧する
と、ダイヤフラムスプリング22の外周端がファルクラ
ムリング24の頂部24aから離れる。
【0024】磨耗調整機構12は、プレッシャープレー
ト21の各溝21b内にファルクラムリング24より奥
に設けられた付勢機構25と、フルクラムリング24の
ダイヤフラムスプリング22側への突出量をフェーシン
グ23の磨耗量に応じて規制する規制機構40とを含ん
でいる。次に、図3及び図4を用いて付勢機構25につ
いて説明する。
【0025】これらの図に示すように、各溝21b内に
は、互いの斜面が当接する第1テーパブロック26と第
2テーパブロック27とが配置されている。第1テーパ
ブロック26は、2本のねじ28によりファルクラムリ
ング24の底面に固定されている。また第2テーパブロ
ック27は溝21b内において移動自在である。溝21
b内において、第2テーパブロック27の一端にはスプ
リング29が配置されており、このスプリング29が第
2テーパブロック27を第1テーパブロック26側に付
勢している。すなわち、第1テーパブロック26は常に
第2テーパブロック27により上方に力を受けている。
スプリング29の他端は、プレッシャープレート21に
係止された留め金具30によって支持されている。
【0026】図2に示す規制機構40は、プレッシャー
プレート21の固定部21cに設けられている。固定部
21cには、軸方向に貫通する複数の孔21dが形成さ
れている。規制機構40は、主に、ウェッジカラー31
と、ウェッジ32と、ボルト33とから構成されてい
る。ウェッジカラー31は、筒状のライナー34を介し
て孔21dに嵌入されており、軸方向にスライド自在で
ある。なお、ライナー34は、プレッシャープレート2
1がフライホイール15側へ移動する際に、ともに移動
するようになっている。ウェッジカラー31は、フライ
ホイール15から離れるしたがって縮径するテーパ状の
内周面31aを有している。ウェッジカラー31は、さ
らに、プレッシャープレート21のクラッチカバー20
側に当接する係止フランジ31bを有している。ウェッ
ジカラー31の円筒部分には、図5に示すように、対向
する2か所にスリット31cが形成されており、このた
めに径方向に拡縮可能である。図1に示すフェーシング
23がプレッシャープレート21とフライホイール15
とに挟持された初期状態において、ウェッジカラー31
の一端は、フライホイール15に対して当接している。
【0027】ウェッジ32は、ウェッジカラー31の内
周面31aに嵌合するテーパ状の外周面32aを有して
おり、内部にねじ孔を有している。このねじ孔内に、ボ
ルト33がねじ止めされている。なお、ウェッジ32の
フライホイール15側の一端は、フライホイール15に
は当接していない。ウェッジ32の他端には、円板状の
プレート35が、ボルト33の中間に螺合するナット3
3bにより固定されている。プレート35とウェッジカ
ラー31の係止フランジ31bとの間には、円錐コイル
スプリング36が配置されており、ウェッジ32はウェ
ッジカラー31に対して図2の上方に引っ張られてい
る。そのため、ウェッジカラー31とウェッジ32とは
相対移動不能なロック状態になっており、がたつきが防
止されている。ボルト33はファルクラムリング24の
フランジ24bに形成された孔24dを貫通しており、
その頭部33aがフランジ24bのクラッチカバー20
側に係止している。フランジ24bが頭部33aに係止
されることにより、ファルクラムリング24の軸方向外
方(図2上方)への移動が規制されている。
【0028】なお、ライナー34は各部材間の摩擦係数
調整のために配置されている。すなわち、ライナー34
には摩擦係数の大きい材料が用いられており、そのため
ライナー34を介するウェッジカラー31とプレッシャ
ープレート21との間の摩擦係止力が、ウェッジカラー
31とウェッジ32との間の摩擦係止力より大きくなっ
ている。
【0029】クラッチカバー20には、ボルト33の頭
部33aに対応する部分に、孔20bが形成されてい
る。次に、動作について説明する。図2に示す初期のセ
ット状態においては、ダイヤフラムスプリング22の外
周部がファルクラムリング24の頂部24aをフライホ
イール15側に押圧する。すると、プレッシャープレー
ト21がフェーシング23をフライホイール15に圧接
する。
【0030】レリーズ操作によってダイヤフラムスプリ
ング22の外周部を軸方向外方に移動させると、ストラ
ッププレート41の付勢力と付勢機構25の付勢力がフ
ァルクラムリング24に作用する。すると、ファルクラ
ムリング24のフランジ24bを介して頭部33aに力
が作用して、ボルト33を引き上げようとする力がウェ
ッジ32を介してウェッジカラー31に作用する。しか
し、ウェッジ32がウェッジカラー31により軸方向外
方に引っ張られると、外周面32aが内周面31aを押
し上げ、ウェッジカラー31が径方向外側に拡張され
る。そのため、ウェッジカラー31がライナー34(プ
レッシャープレート21)に対して係止される。ストラ
ッププレート41の付勢力と付勢機構25の付勢力との
合計は、ウェッジカラー31とライナー34との間で生
じる最大摩擦力を超えないように設定されている。その
ため、ボルト33及び頭部33aの位置はプレッシャー
プレート21に対して移動しない。この場合、ファルク
ラムリング24は、規制機構40に軸方向の移動を規制
されてプレッシャープレート21から移動することがで
きない。また、ストラッププレート41の付勢力は、フ
ァルクラムリング24、規制機構40を介してプレッシ
ャープレート21に作用することになるので、プレッシ
ャープレート21がファルクラムリング24とともにフ
ライホイール15から離れる方向に移動する。これによ
り、プレッシャープレート21がフェーシング23から
離れ、クラッチ連結が解除される。
【0031】以上の動作は、ライナー34によって、ウ
ェッジカラー31とウェッジ32との間に生じる摩擦力
がウェッジカラー31とプレッシャープレート21との
間に生じる摩擦力より大きく設定されていることで保証
されている。摩擦力の大きさの関係が逆の場合は、レリ
ーズ操作時にウェッジカラー31はウェッジ32に連れ
られてプレッシャープレート21に対して移動してしま
う。
【0032】クラッチの使用により、図6に示すように
フェーシング23に磨耗Wが生じると、ダイヤフラムス
プリング22の押圧力によって、ファルクラムリング2
4及びプレッシャープレート21がフライホイール15
側に移動する。このとき、規制機構40のウェッジカラ
ー31の一端がフライホイール15に当接しており、ウ
ェッジカラー31,ウェッジ32及びボルト33はフラ
イホイール15に対して移動しない。すなわち、規制機
構40がフライホイール15に押されて、プレッシャー
プレート21に対して移動する。この結果、ファルクラ
ムリング24のフランジ24bとボルト33の頭部33
aとの間に、磨耗Wに対応する隙間Wが生じる。
【0033】次に、レリーズ操作が行われると、ダイヤ
フラムスプリング22が図7に示すような姿勢となり、
ファルクラムリング24,プレッシャープレート21及
び規制機構40が一体的にダイヤフラムスプリング22
側に移動する。また、このレリーズ操作によってファル
クラムリング24へのダイヤフラムスプリング22の押
圧力が解除されるので、スプリング29の反発力により
第2テーパブロック27が第1テーパブロック26を押
し上げ、その結果ファルクラムリング24が軸方向外方
に突出する。これにより、ファルクラムリング24のフ
ランジ24bが、ボルト33の頭部33aに当接する。
このとき、ボルト33を引き上げようとする力がウェッ
ジ32を介してウェッジカラー31に作用する。しか
し、ウェッジ32がウェッジカラー31により軸方向外
方に引っ張られると、外周面32aが内周面31aを押
し上げ、ウェッジカラー31が径方向外側に拡張され
る。そのため、ウェッジカラー31がライナー34(プ
レッシャープレート21)に対して係止される。そのた
め、ボルト33及び頭部33aの位置はプレッシャープ
レート21に対して移動しない。
【0034】以上に説明したように、規制機構40がプ
レッシャープレート21に対して軸方向外方への移動を
規制されているので、ファルクラムリング24の軸方向
移動が規制される。この結果、ファルクラムリング24
がフェーシング23の磨耗Wの量だけダイヤフラムスプ
リング22側に突出し、停止することになる。次に、レ
リーズ操作を解除すると、ダイヤフラムスプリング22
の押圧力により、ファルクラムリング24は、プレッシ
ャープレート21及び規制機構40と一体的にフライホ
イール15側に移動する。このセット状態では、上述の
ように、ファルクラムリング24のフランジ24bが規
制機構40のボルト頭部33aに当接しているため、フ
ァルクラムリング24の軸方向高さが初期の高さ位置に
置かれている。これにより、ファルクラムリング24と
それに圧接するダイヤフラムスプリング22の被支持部
との軸方向間隔が一定に保たれる。すなわち、セット時
のダイヤフラムスプリング22の押圧姿勢は変化せず、
セット荷重が初期の荷重に維持される。
【0035】このように、移動機構25及び規制機構4
0により、ファルクラムリング24がフェーシング23
の磨耗量に応じてダイヤフラムスプリング22側に突出
するので、ダイヤフラムスプリング22が常時初期のセ
ット荷重に維持される。これにより、以下の効果が得ら
れる。 (a)フェーシング23の磨耗限界量まで十分に使用す
ることができ、クラッチの長寿命化を図ることができ
る。
【0036】(b)セット荷重が一定に保たれることか
ら、使用中にクラッチのトルク伝達性能を維持できる。 (c)レリーズ特性が変化することなく、常時同じレリ
ーズ荷重でレリーズ操作を行うことができる。 また、ファルクラムリング24の突出量が規制機構40
により規制されるため、エンジン回転による遠心力の作
用により第2テーパブロック27が第1テーパブロック
26により押し込まれることはなく、むしろ半径方向外
側に押し付けられることにより定位置で固定された状態
になる。したがって、エンジン回転数に影響されること
なく、ファルクラムリング24を磨耗量に応じた量だけ
精度良く突出させることができ、これによりセット荷重
が常時正確に維持される。
【0037】さらに、以上に説明したように、フェーシ
ング23が磨耗しても、ファルクラムリング24のクラ
ッチカバー20に対する位置は変化しない。すなわち、
各ストラップレート41の姿勢は一定に保たれており、
ストラップレプレート41がファルクラムリング24を
付勢する力は変化しにくい。ストラッププレートがプレ
ッシャープレートに連結されている従来例では、プレッ
シャープレートはフェーシングの磨耗につれてフライホ
イール側に移動してしまう。その結果、ストラップレプ
レートの付勢力が大きくなる。その結果生じる不具合と
しては、以下の様なものがある。
【0038】(a)プレッシャープレートに対する押圧
力が小さくなる。 (b)付勢機構のくさび部材を挟持する力が大きくな
り、そのため付勢部材のバネ荷重を大きくしなければい
けない。バネ荷重を大きくすると、組付け性が悪化する
し、規制機構での摺動荷重が高くなりすぎる。 本発明では、以上の問題を解決し、コストが下がってい
る。
【0039】〔変形例〕 (a)前記実施例では、初期にストラッププレートを軸
方向に撓ませてファルクラムリングに付勢力を与えてい
たが、フラットセットにして付勢力を与えない構造にし
てもよい。この場合、摩擦部材の磨耗にも関わらずスト
ラッププレートの姿勢は変化せず付勢力を与えない。
【0040】(b)ライナー34を省略してプレッシャ
ープレート21の孔21dに直接ウェッジカラー31外
周面を係合させてもよい。その場合は、たとえばウェッ
ジ外周面32aを固体潤滑剤で処理し、ウェッジカラー
31とウェッジ32との間の摩擦力がウェッジカラー3
1とプレッシャープレート21との間の摩擦力より小さ
くなるように調整する。
【0041】(c)プレッシャープレート21の固定部
21cを別部材で構成し、ボルト等によりプレッシャー
プレート21に固定してもよい。
【0042】
【発明の効果】本発明に係るクラッチカバー組立体で
は、ストラッププレートが、軸方向に位置が変化しない
支持部材に固定されているので、ストラッププレートの
姿勢が変化せず一定に保たれる。その結果、ストラップ
プレートの付勢力が変化しにくい。
【0043】ストラッププレートが初期状態において支
持部材を入力側回転体から離れる方向に付勢している場
合には、摩擦部材が磨耗してもストラッププレートの姿
勢が一定であるために、ストラッププレートの付勢力は
一定に保たれる。その結果、磨耗調整機構に影響を与え
ることなく、コストを下げることができる。摩耗調整機
構が付勢機構と規制機構とを含んでいる場合は、前記効
果がさらに有効になる。
【0044】規制部材がプレッシャープレートに形成さ
れた軸方向孔内に摩擦係止され、一端がクラッチ連結時
に前記入力側回転体に当接し、他端が支持部材の押圧部
材側への移動を規制している場合は、前記効果がさらに
有効になる。規制部材と前記プレッシャープレートの前
記軸方向孔との間で生じる最大摩擦力は、支持部材に対
する押圧部材の押圧力より小さく、支持部材に対する付
勢機構の付勢力とストラッププレートの付勢力との合計
より大きいので、前記効果がさらに有効になる。
【0045】規制部材が円筒部材と係止部材とを有して
いる場合には、前記効果がさらに有効になる。付勢部材
はコイルスプリングである場合には、前記効果がさらに
有効になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例が採用されたクラッチの縦断
面概略図。
【図2】本発明の一実施例としてのクラッチカバー組立
体の縦断面部分図。
【図3】調整機構の横断面図。
【図4】図3のIV−IV断面図。
【図5】ウェッジカラーの斜視図。
【図6】動作を説明するための図であり、図2に対応す
る図。
【図7】動作を説明するための図であり、図2に対応す
る図、
【図8】図2のVIII矢視図。
【符号の説明】
12 磨耗調整機構 15 フライホイール 20 クラッチカバー 21 プレッシャープレート 21a 押圧面 22 ダイヤフラムスプリング 23 フェーシング 24 ファルクラムリング 25 付勢機構 40 調整機構 41 ストラッププレート

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】出力側回転体に連結された摩擦部材を入力
    側回転体に押圧あるいは押圧解除するためのクラッチカ
    バー組立体であって、 前記入力側回転体に外周部が固定される皿状クラッチカ
    バーと、 前記クラッチカバー内に配置された、一側面に前記摩擦
    部材を押圧するための押圧面を有する円環状のプレッシ
    ャープレートと、 前記プレッシャープレートの前記押圧面と反対側に、前
    記プレッシャープレートと相対回転不能にかつ軸方向に
    移動可能に配置された支持部材と、 前記支持部材を介して前記プレッシャープレートを前記
    入力側回転体側に押圧する押圧部材と、 前記支持部材と前記プレッシャープレートとを連結する
    とともに、前記摩擦部材の摩耗量に応じて前記支持部材
    を前記プレッシャープレートから前記押圧部材側に移動
    させる摩耗調整機構と、 前記支持部材と前記クラッチカバーとを相対回転不能に
    連結するとともに、軸方向に弾性変形可能なストラップ
    プレートと、を備えたクラッチカバー組立体。
  2. 【請求項2】前記ストラッププレートは、初期状態にお
    いて前記支持部材を前記入力側回転体から離れる方向に
    付勢している、請求項1に記載のクラッチカバー組立
    体。
  3. 【請求項3】前記摩耗調整機構は、前記支持部材が前記
    押圧部材側に移動するように前記プレッシャープレート
    から前記支持部材を付勢する付勢機構と、前記支持部材
    の前記押圧部材側への移動を規制しかつ前記摩擦部材の
    摩耗量に応じて前記支持部材の前記移動を許容する規制
    機構とを含んでいる、請求項1または2に記載のクラッ
    チカバー組立体。
  4. 【請求項4】前記プレッシャープレートは軸方向孔を有
    しており、 前記規制機構は、前記軸方向孔内に摩擦係止され、一端
    がクラッチ連結時に前記入力側回転体に当接し、他端が
    前記支持部材の前記押圧部材側への移動を規制する規制
    部材を含んでいる、請求項3に記載のクラッチカバー組
    立体。
  5. 【請求項5】前記規制部材と前記プレッシャープレート
    の前記軸方向孔との間で生じる最大摩擦力は、前記支持
    部材に対する前記押圧部材の押圧力より小さく、前記支
    持部材に対する前記付勢機構の付勢力と前記ストラップ
    プレートの付勢力との合計より大きい、請求項4に記載
    のクラッチカバー組立体。
  6. 【請求項6】前記支持部材は、孔部を有する半径方向外
    方突出部を有しており、 前記規制部材は、 前記一端を有しており、外周が前記軸方向孔内に嵌入し
    ており、内周面が前記入力側回転体から前記押圧部材側
    に向かって縮径する第1テーパ面になっており、径方向
    への拡縮を可能にしするスリットが形成された第1円筒
    部材と、 前記プレッシャープレートの前記押圧部材側に位置して
    前記孔部より大きく形成された頭部分と、前記第1円筒
    部材内周に配置され前記第1テーパ面に相補的に当接す
    る形状の第2テーパ面を外周に有するテーパ部分と、前
    記孔部に挿通されて前記頭部分と前記テーパ部分とを連
    結する連結部分とを含む係止部材とを含んでおり、 それにより、前記支持部材の前記半径方向外方突出部が
    前記頭部分を前記押圧部材側に付勢すると、前記テーパ
    部分の前記第2テーパ面が前記第1円筒部材を半径方向
    に拡大して、前記第1円筒部材を前記軸方向孔に圧接し
    て係止させる、請求項4または5に記載のクラッチカバ
    ー組立体。
  7. 【請求項7】前記プレッシャープレートは前記押圧面と
    反対側に円周方向に延びる溝を有しており、 前記支持部材は前記溝内に配置され、 前記付勢機構は、前記溝内に前記支持部材より奥に収容
    された、各々の円周方向に延びる主面が互いに当接する
    一対のくさび部材と、前記くさび部材のいずれか一方を
    他方に円周方向に付勢して前記くさび部材のいずれか一
    方を軸方向に移動させる付勢部材とを含んでいる、請求
    項1ないし6のいずれかに記載のクラッチカバー組立
    体。
  8. 【請求項8】前記一対のくさび部材は、前記溝内に円周
    方向に移動可能に配置され第1傾斜部を有する第1くさ
    び部材と、前記第1傾斜部に対して相補的に傾斜して当
    接する第2傾斜部を有して前記支持部材に固定された第
    2くさび部材とから構成されている、請求項7に記載の
    クラッチカバー組立体。
  9. 【請求項9】前記付勢部材はコイルスプリングである、
    請求項7または8に記載のクラッチカバー組立体。
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