JPH0642542U - 自動車の上部車体構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ダッシュパネルとフロントピラーとの結合強
度を増大させ、フロントピラーの捩れ剛性を向上させる
ことのできる自動車の上部車体構造を提供することであ
る。 【構成】 ピラーアウタパネル２と、フロントピラーレ
インフォースメント１７と、ヒンジピラーレインフォー
スメント１８と、ピラーインナパネル３とを順次接合し
てフロントピラー１を形成するものであり、フロントピ
ラー１の湾曲部内部に第２ガセット１９を配設し、第２
ガセット１９の取付フランジ１９４とピラーインナパネ
ル３及びピラーインナパネル３の車室内側面に配設した
第１ガセット１３を重合させてボルト２０で固定してい
る。第２ガセット１９は、縦壁部１９１と、縦壁部１９
１に略直交して延びる略矩形の横壁部１９２と、車体内
側に位置する反対側縁の一部を折曲して形成された取付
フランジ１９４とを備えている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、自動車の上部車体構造、特にフロントピラー周りの構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、自動車のフロントピラー部の構造として、ピラーアウタパネルとピラー インナパネルとを接合して形成したフロントピラーにおいて、ピラーアウタパネ ルの内壁面に沿ってピラーレインフォースメントを配設し、ヒンジ取付位置のピ ラーアウタパネルの内壁面にガセットを配設し、このガセットを介してドア用の ヒンジブラケットを取り付けるものが知られている。

【０００３】 例えば、実開昭63−122175号公報に記載された自動車の上部車体構造は、図10 に示すように、ピラーインナパネルとピラーアウタパネルとを接合して形成した フロントピラーピラーの略中央部に上半部が後方に傾斜した屈曲部を形成し、該 屈曲部においてピラーインナパネル及びピラーアウタパネルの後縁フランジを後 方に張り出して接合することにより、略三角形の補強部を形成しており、上記屈 曲部の下部に断面略コ字形のガセットを配設している。 ガセットは、ピラーアウタパネルの内壁及びピラーインナパネルの前面内壁に 接して設けられ、後側部が延長されて上記補強部内に延長されてピラーインナパ ネルの後縁フランジ及びピラーアウタパネルの後縁フランジの間に挟まれて接合 されている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記従来の自動車の上部車体構造においては、ダッシュパネル とフロントピラーとの間の結合強度が不足し、フロントピラーの上半部が捩れを 生じた時には、フロントピラーの補強部及びガセットとにより剛性を確保しなく てはならず、捩れに対する剛性が不足するという問題があった。

【０００５】 本考案の目的は、ダッシュパネルとフロントピラーとの結合強度を増大させ、 フロントピラーの捩れ剛性を向上させることのできる自動車の上部車体構造を提 供することである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために本考案の自動車の上部車体構造は、ダッシュパネル 特にダッシュアッパパネルと、ピラーインナパネル及びピラーアウタパネルを接 合して中空閉断面に形成されたフロントピラーとを結合する構造において、ダッ シュアッパパネルに設けられた車幅方向に延びる第１ガセットと、フロントピラ ー上部内閉断面を前後方向に分割する縦壁を有し、この縦壁からピラーインナパ ネルに沿って延びる取付フランジを有した第２ガセットとを備え、ダッシュアッ パパネルとピラーインナパネルとを第１ガセット及び第２ガセットを介して結合 したものであり、ダッシュパネルとフロントピラーとの結合強度を増大させ、フ ロントピラーの後方への屈曲を防止するとともに、フロントピラーの捩れ剛性を 向上させることができる。 第２ガセットに、フロントピラー内閉断面を上下方向に分割する横壁を設けた ことにより、フロントピラーの捩れ剛性を一層向上させることができる。 第２ガセットのピラーインナパネルに沿った取付フランジを縦壁と横壁の両者 に跨がって設けたことにより、さらに一層の効果が得られる。

【０００７】

【実施例】

本考案の実施例について図を参照して説明する。 図１において、ピラーアウタパネル２と、フロントピラーレインフォースメン ト１７と、ヒンジピラーレインフォースメント１８と、ピラーインナパネル３と を順次接合してフロントピラー１を形成するものであり、フロントピラー１の湾 曲部（ドアヒンジ取付部）内部に第２ガセット１９を配設し、第２ガセット１９ とピラーインナパネル３及びピラーインナパネル３の車室内側面に配設した第１ ガセット１３を重合させてボルト２０で固定している。 ドアヒンジ取付部にドアヒンジ２１が取付けられ、第１ガセット１３にはイン ストルメントパネルブラケット１２が取り付けられる。

【０００８】 以下に、実施例について詳述する。 図２において、フロントピラー１はピラーアウタパネル２とピラーインナパネ ル３とを接合して閉断面構造に形成され、その下端がサイドシル２に、上端がル ーフ５に連結されており、フロントピラー１の上半部は後方に傾斜し、下半部は 概ね垂直方向に延設されて中間に湾曲部６が形成され、該湾曲部６の外側に上部 ドアヒンジ取付部７が形成され、その下方に下部ドアヒンジ取付部８が形成され ている。 図３において、上部ドアヒンジ取付部７に対応する位置のフロントピラー１の 内面即ちピラーインナパネル３の外側面に、ダッシュアッパパネル１４の端部に 接合された第１ガセット１３の先端側フランジ１３０をボルト１３３で固定し、 インストルメントパネルブラケット１２を第１ガセット１３の膨出部１３１にボ ルト１２１で固定するとともに、ピラーインナパネル３の外側面にボルト１２２ で固定し（図４参照）、インストルメントパネルブラケット１２にインストルメ ントパネル支持メンバ１０の端部を固定ブラケット１１により固定する。 なお、第１ガセット１３の上下に形成された側縁フランジ１３２は、ピラーイ ンナパネル３の外側面に、後述する第２ガセット１９を介してボルト２０で固定 される。 ここで、９はフェンダー、１５はダッシュロアパネル、１６はフロアパネルで ある。

【０００９】 図５において、フロントピラー１のピラーアウタパネル２とピラーインナパネ ル３はそれぞれ前縁フランジ２ａと３ａ、後縁フランジ２ｂと３ｂが接合されて 閉断面構造に形成されており、この閉断面構造内には、略ピラーアウタパネル２ の内面に沿って上下方向にフロントピラーレインフォースメント１７とヒンジピ ラーレインフォースメント１８とが配設され、湾曲部６に対応する位置には第２ ガセット１９が配設されている。

【００１０】 第２ガセット１９は、図６に示すように、先細り形状の縦壁部１９１と、縦壁 部１９１の下端に連続して形成され、縦壁部１９１に略直交して延びる略矩形の 横壁部１９２と、縦壁部１９１の上端に突設された上端固定フランジ１９３と、 縦壁部１９１の上半部の車体外側に位置する一側縁の一部を折曲して形成された 中間固定フランジ１９４と、縦壁部１９１の下半部即ち中間固定フランジ１９４ よりも下方位置から下端まで延び、車体内側に位置する反対側縁の一部を折曲し て形成されたボルト孔１９５を有する取付フランジ１９４と、横壁部１９２の縦 壁部１９１との接合部に対向する側縁を下方に折曲して形成された前部下端固定 フランジ１９６と、横壁部１９２の中間固定フランジ１９４と同じ側の側縁を下 方に折曲して形成された側部下端固定フランジ１９７とを備えている。

【００１１】 図７乃至図１０を参照して第２ガセット１９の固定状態について説明する。 縦壁部１９１の上端固定フランジ１９３がヒンジピラーレインフォースメント １８の前面１８１に接合され（図１０）、中間固定フランジ１９４がヒンジピラ ーレインフォースメント１８の側面１８２に接合され（図８）、縦壁部１９１の 下半部がヒンジピラーレインフォースメント１８の後面１８３に接合されている （図７、図９及び図１０）。 取付フランジ１９４はピラーインナパネル３の内面に接し、ピラーインナパネ ル３の外面に接している第１ガセット１３の側縁フランジ１３２と一致してボル ト２０で固定されている、即ちフロントピラー１の内側から第２ガセット１９の 取付フランジ１９４と、ピラーインナパネル３と、第１ガセット１３の側縁フラ ンジ１３２との３枚を重ねてボルト２０で固定している（図７）。

【００１２】 この構成により、湾曲部６における車体前後方向の曲げに対する強度が大きく なるとともに、ダッシュアッパパネル１４とフロントピラー１との結合強度が大 きくなり、捩じり剛性も増大する。

【００１３】 第２ガセット１９の横壁部１９２の平面形は、設置位置のフロントピラー１の 断面において、ピラーインナパネル３の内面とヒンジピラーレインフォースメン ト１８の内面とで形成する閉断面形状と一致しており（図７）、前部下端固定フ ランジ１９６はヒンジピラーレインフォースメント１８の前面１８１に接合され （図６及び図１０）、側部下端固定フランジ１９７はヒンジピラーレインフォー スメント１８の側面１８２に接合されており（図６及び図９）、フロントピラー １内の閉断面を上下に分割している、即ちピラーインナパネル３とヒンジピラー レインフォースメント１８とで形成する閉断面を上下に分割している。 なお、２２はカウルサイドレインフォースメントアッパ、２３はカウルサイド レインフォースメントロア、２４はカウルサイドプレートアッパ、２５はカウル パネルである。

【００１４】 この構成によると、フロントピラー１内の閉断面を上下に分割することによっ て箱型構造と成し、捩じりに対する剛性を増大させることができる。

【００１５】

【考案の効果】

本考案は上述のとおり構成されているから、以下に述べるとおりの効果を奏す る。 フロントピラーの湾曲部における車体前後方向の曲げに対する強度が大きくな るとともに、ダッシュパネルとフロントピラーとの結合強度が大きくなり、捩じ り剛性も増大する。 また、フロントピラー内の閉断面を上下に分割することによって箱型構造と成 し、捩じりに対する剛性を一層増大させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案に係るフロントピラー部の分解斜視図
である。

【図２】 フロントピラー部近傍の外側斜視図である。

【図３】 フロントピラー部近傍の内側斜視図である。

【図４】 フロントピラーの要部拡大内側斜視図であ
る。

【図５】 フロントピラーの要部拡大外側斜視図であ
る。

【図６】 第２ガセットの斜視図である。

【図７】 図５におけるVII −VII 線断面図である。

【図８】 図５におけるVIII−VIII線断面図である。

【図９】 図５におけるIX−IX線断面図である。

【図１０】 図５におけるＸ−Ｘ線断面図である。

【符号の説明】

１ フロントピラー、２ ピラーアウタパネル、３ ピ
ラーインナパネル ６ 湾曲部、７ 上部ドアヒンジ取付部、８ 下部ドア
ヒンジ取付部 １２ インストルメントブラケット、１３ 第１ガセッ
ト １７ フロントピラーレインフォースメント １８ ヒンジピラーレインフォースメント、１９第２ガ
セット ２１ ドアヒンジ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 加藤 ゆかり 広島県安芸郡府中町新地３番１号 マツダ 株式会社内 (72)考案者 江島 勝美 広島県安芸郡府中町新地３番１号 マツダ 株式会社内 (72)考案者 好井 登 広島県安芸郡府中町新地３番１号 マツダ 株式会社内

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ダッシュアッパパネルと、ピラーインナ
   パネルとピラーアウタパネルを接合して中空閉断面に形
   成されたフロントピラーとを結合する構造において、ダ
   ッシュアッパパネルに配設された車幅方向に延びる第１
   ガセットと、フロントピラー上部内閉断面を前後方向に
   分割する縦壁を有し、この縦壁からピラーインナパネル
   に沿って延びる取付フランジを有する第２ガセットとを
   備え、ダッシュアッパパネルとピラーインナパネルとを
   第１ガセット及び第２ガセットを介して結合したことを
   特徴とする自動車の上部車体構造。
2. 【請求項２】 第２ガセットに、フロントピラー内閉断
   面を上下方向に分割する横壁を設けたことを特徴とする
   請求項１記載の自動車の上部車体構造。
3. 【請求項３】 第２ガセットのピラーインナパネルに沿
   った取付フランジを縦壁と横壁の両者に跨がって設けた
   ことを特徴とする請求項２記載の自動車の上部車体構
   造。