JPH0561351B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はプラスチツクスの金属めつき方法に関
するものであり、詳しくは、プラスチツクスの表
面に一定の高い触媒活性を有するパラジウムコロ
イドを付与し、次いで、化学めつきすることによ
り、上記プラスチツクスの表面に簡単な操作で密
着性の優れた金属めつき被膜を再現良く形成する
ことを可能とした金属めつき方法に関するもので
ある。

本発明に係る金属被膜が形成されたプラスチツ
クスの主な用途は、装飾用材料、形成される金属
被膜の種類により導電性や磁気的な機能を生じる
ことからEMI対策用材料、電磁波シールド材料、
コンデンサー材料、磁気記録用材料等である。

〔従来の技術〕

プラスチツクスは一般に不活性であるので、化
学めつきにより、プラスチツクスの表面に金属被
膜を形成させるためには、あらかじめプラスチツ
クスの表面をエツチング処理した後、金属イオン
の還元反応を起こすための触媒としてパラジウム
をプラスチツクス表面に付与することが一般に行
われている。

従来、プラスチツクス表面にパラジウムを付与
する方法としては、例えば米国特許第2702253号
公報及び米国特許第3011920号公報及び特開昭52
−117242号公報に記載の方法並びに本発明者らが
既に出願している特願昭60−140790号（特開昭62
−1877号）及び特願昭61−52046号に（特開昭62
−207876号）に記載の方法がある。

米国特許第2702253号公報に記載の方法は、被
めつき物を強酸性塩化第一錫溶液に浸漬した後水
洗い、次いで強酸性塩化パラジウム溶液に浸漬す
ることにより、被めつき物表面にパラジウムを析
出させる方法である。

前出米国特許第3011920号公報に記載の方法は、
基板を強酸性パラジウム−錫コロイド溶液に接触
させ、化学めつきのための触媒作用を行うパラジ
ウムを付与するものである。この強酸性のパラジ
ウム−錫コロイド溶液は、例えば、トランザクシ
ヨン オブ ジ インスチイチユート オブ メ
タル フイニイシング（Transaction of the
Institute of Metal Finishing）第51巻（1973年）
第63頁に記載されている通り、ABS樹脂などの
活性化処理に用いられている。特開昭52−117242
号公報に記載の方法は、絶縁体をパラジウム等の
貴金属の含水酸化物を含む酸性溶液で処理するこ
とにより、化学めつきのための触媒作用を行うパ
ラジウム等の貴金属の含水酸化物を付与するもの
である。特願昭和60−140790号に記載の方法は、
ポリエチレンテレフタレート成形体をあらかじめ
アルカリ金属水酸化物の水溶液でエツチング処理
するものであり、また、特願昭61−52046号に記
載の方法は、ポリ塩化ビニリデン成形体をあらか
じめアルカリ金属水酸化物の水溶液でエツチング
処理し、且つ、パラジウムの付与に際しては、前
処理を有さないものである。

〔発明が解決しようとする問題点〕

前出米国特許第2702253号公報に記載の方法に
よる場合には、塩化第一錫と塩化パラジウムの二
つの浴を必要とし、お互いの液が混入するのを防
ぐために、各処理行程毎に水洗をしなければなら
ないので行程が非常に複雑である。しかも、化学
めつきのための触媒活性が低いので、２〜３度同
じ処理を繰り返さなければ金属イオンの還元反応
を惹起させるに充分なパラジウムを付与すること
が出来ず、また、強酸によりプラスチツクス表面
が劣化する為、化学めつき処理の際の還元反応が
妨げられ金属を均一且つ強固に付与することが困
難である。

前出米国特許第3011920号公報に記載の方法に
よる場合には、化学めつきのための触媒作用を行
うパラジウム以外に錫水酸化物なども多量に基板
に付与され、また、強酸によりプラスチツクス表
面が劣化する為化学めつき処理の際の還元反応が
妨げられ、形成された金属被膜と基板との密着強
度を弱める原因となる。従つて、パラジウム以外
の不純物を取り除くため強酸性パラジウム−錫コ
ロイド溶液に基板を接触させた後、更に、酸やア
ルカリ溶液中に基板を浸漬する（促進化処理）等
の工程が必要となる。またこの強酸性パラジウム
−錫コロイドが調整後凝集沈澱や触媒活性の低下
等の経時変化を生起しやすく安定性、再現性に欠
けるという欠点がある。特開昭52−117242号公報
に記載の方法は、その組成に起因して、化学めつ
きのための触媒活性が不十分であるという欠点が
ある。

上述した通り、プラスチツクスの表面に簡単な
操作で一定の高い触媒活性を有するパラジウムを
付与し、次いで化学めつきすることにより、密着
性に優れた金属めつき被膜を再現良く形成する方
法の確立は現在最も要求されているところであ
る。

〔問題を解決する為の手段〕

本発明者は、プラスチツクスの表面に簡単な操
作で一定の高い触媒活性を有するパラジウムを付
与する方法について種々検討を重ねた結果、本発
明に到達したのである。

即ち、本発明は、対象とするプラスチツクスを
界面活性剤を含む溶液で処理した後、パラジウム
ヒドロゾル中に浸漬するか、又は、必要により陽
イオン性、陰イオン性及び非イオン性界面活性剤
から選ばれた一種又は二種以上を含むパラジウム
ヒドロゾル中に浸漬することにより、当該プラス
チツクスの表面にパラジウムコロイドを付与し、
次いで、化学めつきすることからなるプラスチツ
クスの金属めつき方法である。

〔作用〕

先ず、本発明において最も重要な点は、あらか
じめ界面活性剤を含む溶液で処理したプラスチツ
クスの表面に化学めつきの為の触媒作用を行うパ
ラジウムコロイドを付与するにあたり、パラジウ
ムヒドロゾルを用いる点である。

本発明においては、パラジウムヒドロゾルが弱
アルカリ性であり、且つ、触媒作用の妨げとなる
ような不純物を含有していないので被めつき物で
ある基体が劣化することなく、また、プラスチツ
クス表面にパラジウムコロイドを均一且つ強固に
吸着させることができる為、プラスチツクス表面
に均一且つ強固に化学めつきできるものであり、
また、従来法におけるエツチング処理を必要とせ
ず、単に界面活性剤を含む溶液で処理した後パラ
ジウムヒドロゾル中に浸漬するという簡単な操作
で一定の高い触媒活性を有するパラジウムコロイ
ドを付与することができる。

本発明において陽イオン性、陰イオン性及び非
イオン性界面活性剤から選ばれた一種又は二種以
上を含むパラジウムヒドロゾルを用いた場合に
は、パラジウムヒドロゾルが極めて安定であるこ
とに起因して長期に亘り保存可能で随時使用でき
るものであるので、プラスチツクスの表面にパラ
ジウムコロイドを一層均一且つ強固に吸着させる
ことができる為、プラスチツクスの表面に一層均
一且つ強固に化学めつきできる。

次に、本発明方法実施にあたつて諸条件につい
て述べる。

本発明におけるプラスチツクスとしては、ポリ
エチレン・フエノール樹脂、ABS樹脂、ポリ塩
化ビニリデン樹脂等を使用することができ、シー
ト状、フイルム状、粉末状、ペレツト状、糸状な
ど各種の形態のものが使用できる。

本発明における界面活性剤を含む溶液とは、陽
イオン性、陰イオン性及び非イオン性界面活性剤
の一種又は二種以上を含む溶液でありパラジウム
ヒドロゾル中に含まれる界面活性剤と反対の電荷
を有する界面活性剤を選択することが好ましい。

本発明におけるパラジウムヒドロゾルは、塩化
パラジウム（）などのパラジウム塩水溶液を、
水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジンなどの水溶
性還元剤で還元処理することにより、得ることが
できる。

また、界面活性剤を含むパラジウムヒドロゾル
は、上記パラジウムヒドロゾルの製造にあたり、
保護剤である陽イオン性、陰イオン性及び非イオ
ン性界面活性剤から選ばれた一種又は二種以上の
存在下で、還元処理をするこにとより、又は、上
記パラジウムヒドロゾル中に陽イオン性、陰イオ
ン性及び非イオン性界面活性剤を添加混合するこ
とにより得ることができる（例えば特開昭59−
120249号公報）。

界面活性剤としては、ステアリルトリメチルア
ンモニウムクロライドなどの四級アンモニウム塩
型の陽イオン性界面活性剤、ドデシルベンゼンス
ルホン酸ナトリウム等の陰イオン性界面活性剤及
びポリエチレングリコール−ｐ−ノニルフエニル
エーテルなどの非イオン性界面活性剤を用いるこ
とができる。

界面活性剤の濃度は、0.1％以下が好ましい。

0.1％以上の場合には、界面活性剤の安定作用
が強い為、パラジウムコロイドのプラスチツクス
表面への吸着が遅く実用的ではない。

本発明において用いるパラジウムヒドロゾル中
のパラジウム濃度は、0.01〜10mg−atom／の
範囲が好ましい。

0.01mg−atom／以下の場合には、安定なパ
ラジウムヒドロゾルの調製はできるが、パラジウ
ムコロイドの濃度が薄いので、プラスチツクス表
面にパラジウムコロイドを吸着させる為に長時間
を要し、実用的ではない。

10mg−atom／以上の場合には、安定なパラ
ジウムヒドロゾルを得ることが出来ない。

本発明におけるプラスチツクスの界面活性剤を
含むパラジウムヒドロゾル中への浸漬は、室温か
ら100℃の範囲の温度下で１分間以上好ましくは
10分間以上の浸漬後、引上げ水洗することにより
行うことができる。

本発明においては、プラスチツクス表面への吸
着に関与しない余分のパラジウムコロイドが付着
している場合には、その後の化学めつきに際し
て、余分のパラジウムコロイドが化学めつき液中
に単独分離して、その部分でプラスチツクス表面
とは別に化学めつきが生起するので、プラスチツ
クス表面にパラジウムコロイドを吸着させた後水
洗、過し、必要により更に乾燥することにより
余分のパラジウムコロイドを除去しておくことが
好ましい。

本発明における化学めつきは常法により行うこ
とができる。即ち、金属イオン及び還元剤を含む
溶液中において、パラジウムコロイド部分で該金
属イオンが還元されることにより金属が析出する
ものである。

本発明における化学めつきの為の金属イオン溶
液としては、電気的、磁気的性質を付与する為に
通常使用される中性又はアルカリ性のニツケル、
コバルト、銅、銀等の一種又は二種以上を使用す
ることができる。

本発明における化学めつきのための還元剤とし
ては、次亜リン酸ナトリウム、ホルムアルデヒ
ド、ぶどう糖等を使用することができる。

〔実施例〕

次に、実施例により本発明を説明する。

尚、実施例における磁性は、10K0eの磁場にお
いて測定したものである。

表面抵抗は、MCP−TESTER・LORESTA低
抵抗表面抵抗計（三菱油化(株)製）により測定した
ものである。

めつきの密着性は、めつき終了１時間後にスコ
ツチメンデイングテープ（住友スリーエム(株)製）
をめつき物上に強く貼り付け、引きはがすことに
より調べた。

実施例 １ 絶縁体（表面抵抗10⁷Ω以上）のフツソエチレ
ン繊維成形物（厚さ0.3mm，29mm×14mm、中尾フ
イルター工業(株)製）をステアリルトリメチルアン
モニウムクロライド１ｇを含む水溶液100ml中に
浸漬し、５分後に引き上げ水洗した。

これとは別に、塩化パラジウム（）50μmol
を、250μmolの塩化ナトリウムを含む水溶液2.5
mlに溶解し、次に、純水で95mlに希釈した。この
塩化パラジウム溶液を激しく撹拌しながら該溶液
中に水素化ホウ素ナトリウム200μmolを含む水溶
液５mlを滴下すると、溶液の色が急変し、黒褐色
透明なパラジウムヒドロゾルが得られた。

得られたパラジウムヒドロゾル中に陽イオン性
界面活性剤を含む水溶液で処理した上記フツソエ
チレン繊維成形物を室温下で60分間浸漬した後、
引き上げ水洗するとフツソエチレン繊維成形物表
面が薄く灰色になつており、化学めつきのための
パラジウムコロイドが付与されていた。

次いで、塩化ニツケル（）0.1molを2mol／
のアンモニア水溶液500に溶解し、0.2mol／
の次亜リン酸ナトリウム500mlを加えた後、濃
塩酸によりPHを8.9に調整して得られるニツケル
化学めつき液中に、上記パラジウムコロイドが付
与されたフツソエチレン繊維成形物を60℃の温度
下で浸漬した。浸漬約10秒後、フツソエチレン繊
維成形物の表面全体が黒くなりニツケルの析出が
始まつた。10分間経過後、繊維成形物を引き上
げ、水洗、乾燥すると、表面が均一にニツケルで
被われた金属光沢を示す繊維成形物が得られた。
めつき前後の繊維成形物の重量増加から求めた被
覆金属量は3.0％であり、電子顕微鏡観察の結果、
繊維成形物表面に均一且つ強固にめつきされてい
ることが確認された。

また、このフツソエチレン成形物の表面抵抗は
10Ωであり、この表面にメンデイングテープを強
く押しつけてはがしても全くニツケル被膜は剥離
しなかつた。

実施例 ２ 絶縁体（表面抵抗10⁷Ω以上）であるABS（ア
クリロニトリル ブタジエン スチレン共重合
物）ビーズ（球径0.3mm以下）10ｇをステアリル
トリメチルアンモニウムクロライド１ｇを含む水
溶液100ml中に浸漬し、５分後に引き上げ水洗し
た。

陽イオン性界面活性剤を含む水溶液で処理した
上記ABSビースを実施例１と同一のパラジウム
ヒドロゾル中に室温下で60分間浸漬した後、引き
上げ水洗し、パラジウムコロイドが付与された
ABSビーズを得た。

次いで、0.03molの硫酸コバルト（）７水
塩、0.25molの次亜リン酸ナトリウム0.5molの酒
石酸ナトリウム・２水塩及び0.50molのホウ酸を
純水に溶解して１とし、これに3.3mol／の
水酸化ナトリウム水溶液を加えてPHを9.0に調整
して得られるコバルト化学めつき液中に、上記パ
ラジウムコロイドが付与されたABSビーズを60
℃の温度下で60分間浸漬した後引き上げ、水洗、
乾燥した。

めつき前後のABSビーズの重量増加から求め
た被覆金属量は7.0％であり、電子顕微鏡観察の
結果、ABSビーズ表面に均一且つ強固にめつき
されていることが確認された。

また、このABSビーズの表面抵抗は1.2Ωであ
つて、保磁力Hcは6.30e、飽和磁化σs9.4emu／ｇ
であり、この表面にメンデイングテープを強く押
しつけてはがしても全くコバルト被膜は剥離しな
かつた。

実施例 ３ 絶縁体（表面抵抗10⁷Ω以上）であるポリ塩化
ビニル繊維成形物（厚さ0.5mm、17mm×14mm、中
尾フイルター工業(株)製）をポリエチレングリコー
ル−ｐ−ノニルフエニルエーテル（ポリエチレン
グリコールの重合度10）１ｇを含む水溶液100ml
中に浸漬し、10分後に引き上げ水洗した。

これとは別に、塩化パラジウム溶液を激しく撹
拌しながらステアリルトリメチルアンモニウムク
ロライド0.5mgを含む水溶液１mlを添加した以外
は実施例１と同様にしてパラジウムヒドロゾルを
得た。

非イオン性界面活性剤を含む水溶液で処理した
上記ポリ塩化ビニル繊維成形物を上記パラジウム
ヒドロゾル中に室温下で60分間浸漬した後、引き
上げ水洗し、パラジウムコロイドが付与されたポ
リ塩化ビニル繊維成形物を得た。

次いで、パラジウムコロイドが付与されたポリ
塩化ビニル繊維成形物を実施例１と同一のニツケ
ル化学めつき液中に60℃の温度下で60分間浸漬し
た後、引き上げ、水洗、乾燥した。

めつき前後のポリ塩化ビニル繊維成形物の重量
増加から求めた被覆金属量は5.2％であり、電子
顕微鏡観察の結果、ポリ塩化ビニル繊維成形物表
面に均一且つ強固にめつきされていることが確認
された。

また、ポリ塩化ビニル繊維成形物の表面抵抗は
20.0Ωであり、この表面にメンデイングテープを
強く押しつけてはがしても全くニツケル被膜は剥
離しなかつた。

実施例 ４ 絶縁体（表面抵抗10⁷Ω以上）であるポリエチ
レン繊維成形物（厚さ0.55mm、25mm×15mm、中尾
フイルター工業(株)製）をステアリルトリメチルア
ンモニウムクロライド0.7ｇを含む水溶液100ml中
に浸漬し、10分後に引き上げ水洗した。

これとは別に、塩化パラジウム溶液を激しく撹
拌しながらドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム１mgを含む水溶液１mgを添加した以外は実施例
１と同様にしてパラジウムヒドロゾルを得た。

陽イオン性界面活性剤を含む水溶液で処理した
上記ポリエチレン繊維成形物を上記パラジウムヒ
ドロゾル中に室温下で60分間浸漬した後、引き上
げ水洗し、パラジウムコロイドが付与されたポリ
塩化ビニル繊維成形物を得た。

次いで、パラジウムコロイドが付与されたポリ
エチレン繊維成形物を実施例１と同一のニツケル
化学めつき液中に60℃の温度下で60分間浸漬した
後、引き上げ、水洗、乾燥した。

めつき前後のポリエチレン繊維成形物の重量増
加から求めた被覆金属量は3.4％であり、電子顕
微鏡観察の結果、ポリエチレン繊維成形物表面に
均一且つ強固にめつきされているこが確認され
た。

また、このポリエチレン繊維成形物の表面抵抗
は150Ωであり、この表面にメンデイングテープ
を強く押しつけてはがしても全くニツケル被膜は
剥離しなかつた。

比較例 １〜４ 実施例１〜４の各実施例について、プラスチツ
クスを界面活性剤の水溶液で処理しなかつた場合
は、これに続くパラジウムヒドロゾル中での浸漬
においてパラジウムコロイドが全く付与されず、
化学めつきを施すことができなかつた。界面活性
剤水溶液処理の代わりにアルカリによるエツチン
グ処理を行つた場合には、次のように化学めつき
は起きるものの、密着性の悪いめつき被膜しか得
られなかつた。

実施例１〜４の各実施例のプラスチツクスを用
い、エタノールで10分間洗浄した後、水洗、乾燥
し、次いで、3.3mol／の水酸化カリウムを含
む80℃の水溶液中に浸漬し、60分後に引き上げ水
洗することによりエツチング処理を行つた。

上記エツチング処理した各プラスチツクスを塩
化第一錫1.13ｇ、濃塩酸２mlを含む水溶液100ml
に浸漬し、60分間放置した後、別した。得られ
た各プラスチツクスを塩化パラジウム0.09ｇ、濃
塩酸２mlを含む水溶液100mlからなる溶液に分散
混合し、60分間放置した後、別して活性化処理
を行つた。

活性化処理された各プラスチツクスを実施例１
〜４の各実施例と同一の化学めつき液を用いて同
一の手順で化学めつきを行つた。得られた化学め
つきされたプラスチツクスはいずれも電子顕微鏡
観察の結果、表面が凸凹状態で不均一であつた。
また、この表面にメンデイングテープを強く押し
つけてはがすといずれもめつきが剥離した。

〔効果〕

本発明に係るプラスチツクスの金属めつき方法
は、前出実施例に示した通り、本発明において用
いられるパラジウムヒドロゾルが弱アルカリ性で
あり、且つ化学めつきの触媒作用を妨げる不純物
を含有しておらず、また長期に亘り安定である
為、プラスチツクスが劣化することなく、一定の
高い触媒活性を有するパラジウムコロイドを付与
することが可能であることに起因して、プラスチ
ツクス表面に密着性の優れた金属めつき被膜を形
成することが可能であり、また、従来法における
エツチング処理を必要とせず、単に、界面活性剤
を含む溶液で処理した後パラジウムヒドロゾル中
に浸漬するという簡単な操作で一定の高い触媒活
性を有するパラジウムコロイドを付与することが
可能である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ プラスチツクスの表面に化学めつきによつて
   金属被膜を形成させるに当たつて、対象とするプ
   ラスチツクスを界面活性剤を含む溶液で処理した
   後、還元剤を加えて調整した金属パラジウムコロ
   イドを含むパラジウムヒドロゾル中に浸漬するこ
   とにより、当該プラスチツクスの表面に金属パラ
   ジウムを付与し、次いで、化学めつきすることを
   特徴とするプラスチツクスの金属めつき方法。 ２ プラスチツクスの表面に化学めつきによつて
   金属被膜を形成させるに当たつて、対象とするプ
   ラスチツクスを界面活性剤を含む溶液で処理した
   後、還元剤を加えて調整した金属パラジウムコロ
   イドを含み、さらに陽イオン性、陰イオン性及び
   非イオン性界面活性剤から選ばれた一種又は二種
   以上を含むパラジウムヒドロゾル中に浸漬するこ
   とにより、当該プラスチツクスの表面に金属パラ
   ジウムを付与し、次いで、化学めつきすることを
   特徴とするプラスチツクスの金属めつき方法。