JPH0210260B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、２つの針床内でそれぞれ縦方向移動
可能な編針と、編針の間にあつて共通な縦軸線の
周りに後方位置と前方位置との間で揺動可能でキ
ヤリジのカムにより制御されるシンカとを持ち、
シンカが編目形成範囲に突起とこの突起の下方に
形成された編目保持喉部と編目形成縁とを備えて
いる、２針床横編機およびその使用方法に関す
る。

〔従来の技術〕

このような特徴を持つ横編機は公知である（ス
イス国特許第73088号明細書及びドイツ連邦共和
国特許出願公開第1585083号明細書）。ここでは、
揺動可能なシンカは針床にある編目形成縁の代り
になり、その編目保持喉部は編針の押出し運動の
際編針に掛かる編目を拘束する。高速動作する最
近の横編機では、新しい編目又はタツク編目を形
成するため糸を捕える際、いわゆる古い編目が編
針頭部の動作範囲から引下げられることが、大き
い問題となる。今までは、横編機のキヤリジと共
に動かされて横編機の歯口間隙へ入り込む押下げ
片を使用して、古い編目を編物引出し装置の方へ
押下げることが試みられた。しかし押下げ片は方
向に関係し、従つてキヤリジ反転の際切換えねば
ならないという欠点を持つている。異なる種類の
編物には異なる形状の押下げ片が必要なので、押
下げ片を頻繁に交換せねばならない。別の欠点
は、押下げ片が常に複数の横に並んだ編目に同時
に影響を及ぼし、一般に線から作られる押下げ片
が曲り易く、それにより糸を動かなくする。押下
げ片は歯口間隙を見るのを困難にし、横編機の針
舌開き刷子に頻繁に衝突する。針床の振りを必要
にする模様では、押下げ片を切離して、全く作用
しないようにせねばならない。

横編機の２つの針床の編針と共同作用する今ま
で公知のシンカは、糸の編目形成や編目を形成さ
れた糸の処理が困難なので、生ずる問題の最適な
解決を可能にしない。公知のシンカでは、糸の編
目形成は編物引出し方向に見て編目保持喉部の前
で、即ち編目保持喉部を区画するシンカ突起上で
行なわれる。それにより編目形成された糸が編目
保持喉部を区画するシンカ突起を越えて下方へ滑
ることができねばならないので、シンカの制御の
可能性は限られる。２つの針床の互いに共同作用
するシンカの間には、編目形成れた糸がシンカ上
を滑るのを可能にする間隙が残らねばならない。
しかし編目保持喉部の存在にもかかわらず、押出
し位置にある編針により古い編目が歯口間隙から
上方へ引出されるという、高速機では少なからぬ
危険が残る。

〔発明が解決しようとする問題点〕

本発明の基礎になつている課題は、通常の編成
運転を妨げたり制限する必要なしに、編針の押出
し範囲における編目の拘束が確実に保証されるよ
うに、最初にあげた種類の２針床横編機のシンカ
を構成することである。

〔問題点を解決するための手段〕

この課題を解決するため本発明によれば、シン
カの編目形成縁が編物引出し方向において編目保
持喉部の後で下方に形成され、両針床のシンカが
互いに対向し、その前方位置で歯口間隙を覆う橋
を形成してその突起を互いに接触させている。

〔発明の効果〕

本発明によれば、シンカの編目形成縁が編物引
出し方向において編目保持喉部の後で下方に形成
されているので、編目形成縁で形成された編目
は、針の押出しの際編目保持喉部へ滑り込み、そ
の際前方位置へ揺動される両シンカの突起が互い
に接触して上方を閉じているため、この編目は歯
口間隙から上方へ滑り出ることなく、編目保持喉
部に確実に保持される。こうして編成を妨げたり
制限することなく、編針の押出し範囲における編
目の拘束が確実に行なわれる。

さらに編目形成過程の終了後、形成された編目
は自由になつており、シンカにより引下げられて
いないので、針床の振り及び編目の目移しを支障
なく行なうことができる。

〔実施例〕

本発明により構成される横編機の実施例を、添
付図面により、本発明にとつて重要な部分につい
て説明する。

横編機の図示しないキヤリジの編成カムの第１
図における概略図は、横編機の前部針床２２の編
針２１又は後部針床２３（第２図）の編針２１．
１の制御用カム通路２０を示している。カム通路
２０は、公知のように固定カム２４，２５，２
６，２７と２つの可動カム２８，２９とにより区
画される。更に編成カムは、前部針床２２のシン
カ３３又は後部針床２３の同じに構成されるシン
カ３３．１用にカム３１と３２との間に形成され
るカム通路３０を持ち、このシンカの制御バツト
３４又は３４．１がシンカカム通路３０へ入り込
んでいる。両針床２２，２３の編針２１，２１．
１及びシンカ３３，３３．１はそれぞれ整列され
ている。第１図は矢印３５で示すキヤリジ移動方
向のカム設定で編成カムを示している。キヤリジ
反転の際は、引込みカム２８，２９が逆に動かさ
れる。更にシンカカム３１，３２は全体として第
１図に記入した矢印３６の方向に動かされるの
で、シンカカム通路範囲３０．１は引込みカム２
８の高さへ達する。第１図には更に糸道３７が示
され、シンカカム通路範囲３０．１において糸３
８を横編機の編針２１及び／又は２１．１へ供給
する。

第３図に示すように、シンカ３３は針床２２又
は２３のすべてのシンカ３３に対して共通な縦軸
線としての揺動軸３９又は３９．１（第２図）用
の穴を持ち、この軸上に、第４図に示す編目脱出
片突起４０も並べられて、針床２２及び２３のシ
ンカ３３の間にそれぞれ設けられている。シンカ
３３は更に縁の閉じた短い円弧状スリツト４１を
持ち、編目脱出片突起４０により保持されてそれ
ぞれ針床の編目脱出縁を形成する線４２がこのス
リツトに通されている。円弧状スリツト４１は、
共通な軸３９の周りに第３図に示す後方位置から
矢印４３の方向に前方位置へシンカカム通路範囲
３０．１でシンカが行なう揺動運動を規定する。
円弧状スリツト４１は、シンカの編目保持喉部４
５に続く編目形成縁４４の後方にあり、この編目
保持喉部４５は矢印で示す編物引出し方向５３に
おいてシンカ３３の突起４６の下方に形成されて
いる。

第１図には、鎖線の垂直線で種々のカム個所
，Ｖ，，，及びが示されている。第２
図、第５図、第６図、第７図、第８図及び第９図
は、前部針床２２の編針２１のみが糸３８を処理
する片面編物の製造の際における、これらのカム
個所にある両針床２２及び２３のシンカ３３及び
３３．１の位置と編針２１及び２１．１の位置と
を示している。

第２図では、カム個所で、前部針床２２のシ
ンカ３３と後部針床２３のシンカ３３．１がその
後方位置にあつて、横編機の歯口間隙５０へ入り
込んでいない。編針２１の頭部には古い編目４７
が掛かつている。

第５図は編針押出しの前に第１図のカム図の個
所Ｖにある編成工具の位置を示している。両針床
２２及び２３のシンカ３３及び３３．１は、シン
カカム通路３０により同時に矢印４３の方向にそ
の前方位置へ揺動され、この位置でその突起４６
と４６．１が互いに接触している。

歯口間隙５０はシンカ３３及び３３．１により
覆われるので、続いて前部針床２２の編針２１が
第１図の個所でとる第６図の位置へ押出される
際、古い編目４７が対応するシンカ３３の編目保
持喉部４５へ滑り込み、歯口間隙５０から上方へ
滑り出ることはない。針床２３ではシンカ３３．
１のみが制御される。針床２１．１は不動作のま
まである。

糸挿入の開始前に、両針床２２及び２３のシン
カ３３及び３３．１が、シンカカム通路範囲３
０．１へ移行する際カム通路３０により、カム個
所に相当する第７図に矢印４３で示すように、
その後方位置へ戻し揺動される。横編機の歯口間
隙５０は再び開かれ、糸３８は糸道３７（第１
図）から支障なく前部針床２２の編針２１の移動
範囲へもたらされる。古い編目４７は編針２１の
針幹上に掛かり、前部針床２２の編目脱出縁４２
を形成する線に接している。続いて針編２１が第
１図のカム個所に相当する第８図の位置へ引込
められる間、シンカ３３及び３３．１はシンカカ
ム通路３０．１によりその後方位置に保持され
る。カム個所において、編針２１の頭部により
捕えられる糸３８は古い編目４７へ引込まれる。
この引込み位置から前部針床２２の編針２１が第
９図に示す最も深い位置まで更に引込められる
間、第１図によるカムの個所において、シンカ
がカム通路３０により再びその前方位置へ第９図
の矢印４３のように揺動される。後方位置から前
方位置へこの揺動の際、新しく形成される編目４
８の引込まれる糸３８が載るようになるシンカ３
３及び３３．１の編目形成縁４４（第３図）は歯
口間隙５０内で動かされ、それにより新しく形成
される編目４８の長さの増大が、シンカ３３によ
る糸３８の補助編目形成によつて行なわれる。第
１０図は、この個所において、針床２２の編針２
１及びシンカ３３を介して新しい編目４８となる
ように引込まれる糸３８の経過を示している。わ
かり易くするため、古い編目４７はもはや第１０
図には示してない。

第１１図ないし第１７図は、前部針床２２の編
針２１と後部針床２３の編針２１．１がシンカ３
３及び３３．１と共に動作して両面編物と製造す
る際の第２図及び第５図ないし第１０図と同じも
のを示している。第１１図は第２図従つて第１図
のカム個所における制御状態に対応している。
第１２図は第５図従つて第１図のカム個所Ｖにお
ける制御状態に対応している。第１３図は第６図
従つて第１図のカム個所における制御状態に対
応している。第１４図は第７図従つて第１図のカ
ム個所における制御状態に対応している。第１
５図は第８図従つて第１図のカム個所における
制御状態に対応している。第１６図は第９図従つ
て第１図のカム個所における制御状態に対応し
ている。最後に第１７図は第１０図に対応してい
る。第１１図ないし第１７図の詳細な説明は省略
する。第１１図及び第１２図は両針床の編針２１
及び２１．１により保持される古い編目の間にあ
る結合糸円弧４９を示している。第１３図は、編
針２１及び２１．１の押出しの際、古い編目がこ
の結合糸円弧４９の所で前方位置にあるシンカ３
３及び３３．１により拘束されている状態を示し
ている。第１４図は挿入された新しい糸３８を示
し、この糸から第１６図において新しい編目５１
及び５２が両針床２２及び２３上で引張られてい
る。ここでも歯口間隙５０へ入り込むシンカ３３
及び３３．１の編目形成縁４７により、新しい編
目５１の長さを補償する付加編目形成が行なわれ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は付属するシンカ制御カムを持つ横編機
の編成カムの概略正面図、第２図は第１図のカム
個所にある横編機の歯口間隙の範囲における両
針床の断面図、第３図は横編機のシンカの側面
図、第４図は針床の編目脱出片突起の側面図、第
５図は第１図のカム個所Ｖにおける第２図に対応
する断面図、第６図は片面編物の製造の際第１図
のカム個所における第２図に対応する断面図、
第７図は片面編物の製造の際第１図のカム個所
における第２図に対応する断面図、第８図は片面
編物の製造の際第１図のカム個所における第２
図に対応する断面図、第９図は片面編物の製造の
際第１図のカム個所における第２図に対応する
断面図、第１０図は両面編物の製造の際第１図の
カム個所における横編機の歯口間隙の一部の平
面図、第１１図ないし第１６図は両面編物の製造
の際第１図のカム個所，Ｖ〜における第２図
に対応する断面図、第１７図は両面編物の製造の
際第１図のカム個所における横編機の歯口間隙
の一部の平面図である。 ２１，２１．１……編針、２２，２３……針
床、２４〜２９，３０，３１……カム、３３，３
３．１……シンカ、３９……縦軸線（揺動軸）、
４４……編目形成縁、４５……編目保持喉部、４
６，４６．１……突起、５０……歯口間隙、５３
……編物引出し方向。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ２つの針床内でそれぞれ縦方向移動可能な編
   針と、編針の間にあつて共通な縦軸線の周りに後
   方位置と前方位置との間で揺動可能でキヤリジの
   カムにより制御されるシンカとを持ち、シンカが
   編目形成範囲に突起とこの突起の下方に形成され
   た編目保持喉部と編目形成縁とを備えているもの
   において、シンカ３３，３３．１の編目形成縁４
   ４が編物引出し方向５３において編目保持喉部４
   ５の後で下方に形成され、両針床２２，２３のシ
   ンカ３３，３３．１が互いに対向し、その前方位
   置で歯口間隙５０を覆う橋を形成してその突起４
   ６，４６．１を互いに接触させていることを特徴
   とする、編針の間に設けられたシンカを持つ２針
   床編機。 ２ シンカ３３，３３．１が編目形成縁４４のほ
   ぼ後で下方に縁の閉じた短い円弧状スリツト４１
   を持ち、対応する針床２２，２３の編目脱出縁を
   形成する線がこのスリツト４１に通されているこ
   とを特徴とする、特許請求の範囲第１項に記載の
   ２針床横編機。 ３ シンカ３３，３３．１を制御するカム３１，
   ３２が、編針２１，２１．１を制御するカム２４
   〜２９に対し全体として移動可能にキヤリジに設
   けられていることを特徴とする、特許請求の範囲
   第１項又は第２項に記載の２針床横編機。 ４ 針床内で縦方向移動可能な編針と、編針の間
   にあつて共通な縦軸線の周りに後方位置と前方位
   置との間で揺動可能でキヤリジのカムにより制御
   されるシンカとを持ち、シンカが編目形成範囲に
   突起とこの突起の下方に形成された編目保持喉部
   と編目形成縁とを備え、シンカの編目形成縁が編
   物引出し方向において編目保持喉部の後で下方に
   形成され、両針床のシンカが互いに対向し、その
   前方位置で歯口間隙を覆う橋を形成してその突起
   を互いに接触させている横編機において (a) 編針２１，２１．１を引込み位置に案内し、
   シンカ３３，３３．１をその後方位置に保持
   し、 (b) 編針２１，２１．１の押出し運動が始まる前
   に、歯口間隙５０を覆う前方位置へシンカ３
   ３，３３．１を揺動させて、シンカの編目保持
   喉部４５に古い編目が保持されている場合、編
   針２１，２１．１の全押出し運動期間中、シン
   カ３３，３３．１を前方位置に保持し、 (c) 糸３８の挿入が行なわれて、編針２１，２
   １．１の引込み運動が始まる前に、シンカ３
   ３，３３．１をその後方位置へ戻り揺動させ、 (d) 挿入された糸３８を保持する編針２１，２
   １．１の頭部が、引込み運動の際シンカ３３，
   ３３．１の編目形成縁４４の高さを通過して、
   古い編目４７に通されるまで、シンカ３３，３
   ３．１を後方位置に保持し、 (e) 挿入された糸３８がシンカの編目形成縁４４
   に接する時、編針２１，２１．１の残りの引込
   み運動期間中、シンカ３３，３３．１を前方位
   置へ揺動させる ことを特徴とする、２針床横編機の使用方法。