JPH0849147A - 丸編機における3位置のカム装置、その選針方法およびカムタイミングの設定方法 - Google Patents

丸編機における3位置のカム装置、その選針方法およびカムタイミングの設定方法

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JPH0849147A
JPH0849147A JP6330682A JP33068294A JPH0849147A JP H0849147 A JPH0849147 A JP H0849147A JP 6330682 A JP6330682 A JP 6330682A JP 33068294 A JP33068294 A JP 33068294A JP H0849147 A JPH0849147 A JP H0849147A
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  • Knitting Of Fabric (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 比較的簡単な組合せと操作によってニット、
タック、ウエルトの3位置、好ましくはサポート位置を
合せて4位置、を得る。 【構成】 マスターバット1A,2Aと少なくとも2個
の選択バット1C、1E,2C、2Eとを有する少なく
とも2種類の編針1,2と、前記マスターバットをステ
ッチ形成レベルまで引き下げるステッチカム5と、前記
選択バットを制御すると共にニット、タック、ウエルト
の3位置が選択可能な選針手段を有する。さらに、前記
ステッチ形成レベルまで引き下げるための選択バットを
選択して係合・非係合にさせる前後移動可能に配置され
たニットカム7と、ステッチ形成レベルまで引き下げる
ための選択バットを選択して係合・非係合にさせる前後
移動可能に配置されたタックカム6と、ウエルト位置で
の編針の前進を規制するウエルトガードカム8と、これ
らのカムをそれぞれ個別的に選択する選針手段11とを
設けている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は丸編機における3位置の
カム装置およびその選針方法であって、特に、ニット、
タック、ウエルトの3位置が選択でき、しかも好ましく
は、両面編機において、リップル柄を編成するときに、
編目を編針フック部から脱出させるのを補助するための
サポート機能を備えた本出願人自身の先願である特開昭
63−282344号の改良発明およびそのカムタイミ
ングの設定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】この特開昭63−282344号の発明
では、図6に示すように、ダイヤルカムホルダー60に
配列されたアウターガードカム70に、編針がタック位
置まで前進した後に内方へ後退させるときの編針の動き
を規制する案内部70dと、編針がニット位置まで前進
した後に内方へ後退する編針の動きを規制するための案
内部70eとが設けられている。同様にステッチカム8
0には、編針の動きを規制して確実に給糸を行わせる案
内部80bが設けられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術では、前
記案内部70d、70e、80bを加工するのに複雑な
工程を必要としているので、加工コストが上昇する。ま
たこれらの案内部は微小部分であるために、通常の丸編
機の稼動中以外で取り外し後、外部圧力によって誤って
破損することがあった。
【0004】また、編針の4位置(ニット、タック、ウ
エルト、サポート)を選択するためにニッティングカム
90bとタッキングカム92bの2個のカムの位置を変
更しなければならなかった。
【0005】また、編針40、50の編成作用におい
て、例えば、ニット位置にカムが選択されている場合、
編針40が矢方向に回転すると、第1フィーダでは編針
40の第3バット44がタッキングカム92bのカム作
用面92aに係合し、破線で示すカム通路40Dのよう
に外方へ前進する。前進した編針40はニッティングカ
ム90bに係合が引き継がれ第1選択バット42により
最も外方へ前進する。編針40はその後、アウターガー
ドカム70の内向き傾斜部70fによって内方へ後退し
始め、さらにステッチカム80の内向き傾斜部80aに
沿って最も内方へ後退する。このようにニット位置へ前
進する編針40は、2種類の第1選択バット42と第3
バット44がタッキングカム92bとニッティングカム
90bに係合が引き継がれニット位置まで前進するよう
になっているため、丸編機の高速運転が困難であった。
【0006】同様にタック位置にカムが選択されている
場合、編針50が矢方向に回転すると第1フィーダで
は、第4バット55がタッキング93bのカム作用面9
3aに係合し、破線で示したカム通路50Eのごとく外
方へ前進する。前進した編針50は、第2選択バット5
3がニッティングカム91aに係合せず、それ以上は前
進しないので、破線のようにニッティングカム91aの
外側を横方向へ移動する。その後、編針50がステッチ
カムの内向き傾斜部80aに沿って内方へ最も後退す
る。この場合タック選針された編針50は、ニッティン
グカム91aの外側を横方向へ移動する際、編針の不必
要な外方への動きを規制するものが何ら考慮されていな
かった。
【0007】また、サポート位置にカムが選択されてい
る場合、第2フィーダに示すように、編針40の第3バ
ット44がタッキングカム92bのカム作用面92aに
係合し、破線で示したカム通路40Dのように外方へ前
進する。前進した編針40は、第1選択バット42がニ
ッティングカム90bのカム作用面90aに沿って前進
した直後、内方へ後退する。その後、アウターガードカ
ム70の直線部70cに沿って横方向へ移動する。この
場合サポート選針された編針1,2は、ステッチカム8
0の案内部80bと内向き傾斜部80aとの間は、開口
しているため、編針が外方へ前進し、ニット選針もしく
はタック選針された編針は、編糸の供給を前記編針によ
って妨げられる危険性があった。ウエルト位置にカムが
選択された場合でも、同様の危険性があった。
【0008】本願発明はこれらの問題点を解決するため
に行われたものであり、その目的とするところは比較的
に簡単な組み合わせと操作によってニット、タック、ウ
エルトの3位置が選択でき、しかも好ましくは、サポー
ト位置を有する丸編機におけるカム装置およびその選針
方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本願発明の丸編機におけ
るカム装置によれば、マスターバットとは別にバット位
置の異なる少なくとも2個の選択バットを有する少なく
とも2種類の編針と、前記全ての編針のマスターバット
をステッチ形成レベルまで引き下げるステッチカムと、
前記選択バットを制御すると共にニット、タック、ウエ
ルトの3位置が選択可能な選針手段とからなる丸編機に
おけるカム装置において、前記ステッチ形成レベルまで
引き下げるための選択バットに係合する出没可能に配置
されたタックカムと、ステッチ形成レベルまで引き下げ
るための選択バットに係合する出没可能に配置されたニ
ットカムと、ウエルト位置での編針の前進を規制するウ
エルトガードカムと、これらのカムをそれぞれ個別的に
選択可能な選針手段とを設けたことを特徴とする。
【0010】本願発明の丸編機における3位置の選針方
法によれば、マスターバットとは別にバット位置の異な
る少なくとも2個の選択バットを有する少なくとも2種
類の編針と、前記全ての編針のマスターバットをステッ
チ形成レベルまで引き下げるステッチカムと、前記選択
バットを制御すると共にニット、タック、ウエルトの3
位置が選択可能な選針手段とからなる丸編機におけるカ
ム装置において、前記選針手段によって個別的に選択さ
れるニットカムとタックカムとウエルトガードカムを有
し、ニット位置への編針の選択は、前記ニットカムを係
合位置にすると共にウエルトガードカムおよびタックカ
ムを非係合位置にし、タック位置の選択は、前記タック
カムを係合位置にすると共にウエルトガードカムおよび
タックカムを非係合位置にし、ウエルト位置の選択は、
前記ウエルトガードカムを係合位置にすると共にニット
カムおよびタックカムを非係合位置にして、それぞれ3
位置の何れかを選択可能にしたことを特徴とする。
【0011】本願発明のカムタイミングの設定方法は、
マスターバットとは別の位置に配されたバット位置の異
なる少なくとも2個の選択バットを有する少なくとも2
種類の編針と、前記すべての編針のマスターバットをス
テッチ形式レベルまで引き下げるステッチカムと、前記
選択バットを制御すると共にニット、タック、ウエルト
の3位置が選択可能な選針手段とからなる丸編機におけ
るカムタイミングの設定方法において、交互引きカムタ
イミング設定後、選針手段の操作により針の交差し始め
のタイミングを同時引きタイミングと同様なタイミング
を得られるようにしたことを特徴とする。
【0012】
【作用】本願発明によれば、マスターバットとは別にバ
ット位置の異なる2個の選択バットを有する2種類の編
針は、前記マスターバットがニット位置からウエルト位
置へ移行するとき、アウターガードカムおよびステッチ
カムによって制御される。前記選択バットは、選針手段
によってニットカムとタックカムとウエルトガードカム
のそれぞれを個別的に選択し、これによりニット、タッ
ク、ウエルト位置の3位置を得ることができる。また、
好ましくは、サポート位置の4位置を得る。また、本発
明のカムタイミングの設定方法によれば、交互引きカム
タイミング設定後、選針手段の操作により針の交差し始
めのタイミングを同時引きタイミングと同様なタイミン
グを得ることができる。
【0013】
【実施例】以下、添付図面に基づき本発明の実施例を説
明する。図1は、丸編機におけるニードルダイヤル(図
示しない)上に配設したダイヤルカム装置A,Bを示し
ている。図2は、図1に示したダイアルカム装置A,B
をさらに詳細に示したものである。
【0014】図1において、前記ニードルダイヤルの半
径方向の溝内には2種類の編針1,2が収容されてい
る。編針1,2は、ダイヤルカム装置A,Bの各種の編
針用カムによって半径方向に摺動可能であり、かつ、矢
方向へ回転する。
【0015】編針1は、マスターバット1Aと、バット
位置の異なる一対の第1,第2選択バット1C,1Eと
をそれぞれ有する。編針2は、前記マスターバット1A
と同じ位置にあるマスターバット2Aと、前記第1,第
2選択バット1C,1Eよりも離れた位置にある一対の
バット位置の異なる第1,第2選択バット2C,2Eを
それぞれ有する。編針1,2のマスターバットおよび第
1,2選択バット1A、1C、1E,2A、2C、2E
は、ダイヤルカム装置に形成されたカム通路(レース)
内を内方または外方へ案内される。
【0016】各ダイヤルカム装置A,Bには、次のよう
な編針用カムがダイヤルカムホルダー3によって支持さ
れている。すなわち、編針1、2のマスターバット1
A、2Aを案内するアウターガードカム4、編機の半径
方向に移動可能な度目を調整するステッチカム5が配さ
れている。
【0017】前記アウターガードカム4は、入口部4a
と、編針の外方への前進を制御する外向き傾斜部4b
と、編針のマスターバット1A、2Aをニット位置から
ステッチ部へ後退させる内向き傾斜部4cと、編針の内
方への後退を制御する直線部4dとからなる。
【0018】前記内向き傾斜部4cから引き継いで制御
するステッチカム5は、編針のマスターバット1A、2
Aをステッチ部に向けての後退を制御する内向き傾斜部
5aと、編針の内方への後退を制御する直線部5bと、
編針が最も内方へ後退したときの受け部5cとを有す
る。
【0019】さらに、アウターガードカム4及びステッ
チカム5の内方には、第1選択バット1C、2Cの内縁
部1d、2dに係合して案内するタックカム6と、第2
選択バット1E、2Eの内縁部1f、2fに係合して案
内するニットカム7および第1選択バット1C、2Cの
外縁部1c、2cに係合して案内するウエルトガードカ
ム8が配されている。
【0020】前記ウエルトガードカム8は、タック位置
に前進した直後において第1選択バット1C、2Cの外
縁部1c、2cと係合して編針をウエルト位置へ移行さ
せる内向き傾斜部8aと、この内向き傾斜部8aに引き
続いてウエルト位置にある第1選択バット1C、2Cの
外縁部1c、2cに係合して編針の不必要な外方への動
きを制止する実質上直線部8bとを有する。また、図7
に示すように、前記ウエルトガードカム8を2分割にし
たウエルトガードカム8Aとウエルトガードカム8Bを
設けることも可能である。この場合、カム作用面である
実質上曲線部8bと曲線部8eの繋ぎを連続させると共
にそれぞれ個別的または同時に前後移動可能なるように
する。
【0021】前記タックカム6は、アウターガードカム
4の入口部4aの直後において第1選択バット1C、2
Cの内縁部1d、2dに係合し編針をタック位置まで前
進させる外向き傾斜部6aと、この外向き傾斜部6aに
引き続いて編針の内方への後退を制御する前記ウエルト
ガードカム8の内向き傾斜部8aと平行な内向き傾斜部
6bと、タック位置に移行した直後の編針1の第2選択
バット1Eの外縁部1eに係合してタック状態を維持す
る直線部6cとを有する。
【0022】前記ニットカム7は、前記アウターガード
カム4の外向き傾斜部4bに平行であって、アウターガ
ードカム入口部4a直後に編針1、2の第1選択バット
1C、2Cの内縁部1d、2dに係合して編針をニット
位置まで前進させる外向き傾斜部7aと、前記アウター
ガードカム4の内向き傾斜部4cと前記ステッチカム5
の内向き傾斜部5aに平行であって、編針の内方への下
降を制御する内向き傾斜部7bとを有する。
【0023】図2において、前記したウエルトガードカ
ム8,タックカム6,ニットカム7は、それぞれカム部
分と矩形台座8f,6f,7fと一体的になっている。
しかし、カム部分と矩形台座を分割して取り付けること
も可能である。矩形台座7f,6f,8fは、図3に示
すように、カムホルダー3の凹所3aに収容されてい
る。凹所3aには、矩形台座7f,6f,8fを位置決
めするために矩形台座の長手方向と平行な直線部からな
る平行面が形成されている。
【0024】矩形台座8f,6f,7fは、長手方向の
側端面を案内として摺動可能であると共に長手方向の両
端部がプレート10によって可動範囲が規制されてい
る。プレート10はネジ9でダイアルカムホルダー3に
取り付けられている。
【0025】前記ウエルトガードカム8,タックカム
6,ニットカム7の反対側には、図3,図4に示すよう
に、選針手段11が設けられている。選針手段11は、
前記カムを個別的に選択する回動軸12と、この回動軸
の周囲に配された可動ピン8a,6a,7aとからな
る。なお、図7に示すように、ウエルトガードカム8が
ウエルトガードカム8A,8Bに2分割構成されている
場合、前記可動ピンの配置とは異にして、図7に示すよ
うな位置に可動ピン8c,8dを設ける必要がある。
【0026】回動軸12は、前記矩形台座7f,8f,
9fのほぼ中央部に設けられたダイアルカムホルダー3
の穴部3bに回動可能に収容されている。図5に示すよ
うに、回動軸12は、小径部12aと、中径部12b
と、大径部12cとを有する。小径部12aには、回動
軸12を回すための六角孔部12d又はドライバー溝が
形成されている。中径部12bと大径部12cの側端部
には、ほぼ90度をなす上下傾斜面(図3参照)によっ
て構成される開口切欠部(傾斜部)12eが形成されて
いる。この開口切欠部12eの下側傾斜面の端部には半
月状に切り欠いた直線部12fが形成されている。さら
に、大径部12cの底面には、図2に示すように、4個
のノッチ12g,12h,12i,12jが設けられて
いる。このノッチに対応してカムホルダー3の穴部3b
の底部にノッチボール13(図3参照)が設けられてい
る。このノッチボール13がノッチと選択的に係合する
ことによって、ニット,タック,ウエルト,後述するサ
ポート位置の4位置が決められるのである。
【0027】前記回動軸12の周囲において、カムホル
ダー3に設けられた各穴部3cに可動ピン6a,7a,
8aが配されている。可動ピン6aは第1軸部6bとほ
ぼ同じ直径の第2軸部6cを有し、この第2軸部にはカ
ムホルダー3に取り付けられたカバー14との間にスプ
リング15が設けられている。このスプリング15によ
って可動ピン6aの軸方向の運動が阻止されている。可
動ピン7a,8aについても同様に構成されている。各
々可動ピン6a,7a,8aは、前記ウエルトガードカ
ム8、タックカム6、ニットカム7のそれぞれの矩形台
座の背面に固着(例えば、ねじ止め)されている。
【0028】ニット選針手段11Kの操作は、図4に示
すように、回動軸12の傾斜部12eの回動によって可
動ピン6a,8aがバネ15に抗して大径部12c上に
乗り上げ可動ピン6a,8aが引き出されている状態を
示している。他方、可動ピン7aは傾斜部12eの底部
に位置し、したがって、バネ15によって押し下げられ
た状態を示している。すなわち、ニットカム7のみが編
針1と係合状態にあり、ウエルトガードカム8とタック
カム6は引っ込められた非係合状態にある。
【0029】ウエルト選針手段11Wは、回動軸12の
傾斜部12eの回動によって可動ピン6a,7aがバネ
15に抗して大径部12c上に乗り上げ可動ピン6a,
7aが引き出されている状態を示している。他方、可動
ピン8cのみが傾斜部12eの底部に位置し、したがっ
て、バネ15によって押し下げられた状態を示してい
る。すなわち、ウエルトガードカム8(図7のウエルト
ガードカム8A,8Bも含む)のみが押し出され編針1
と係合状態にあり、タックカム6とニットカム7が引っ
込められた非係合状態にある。
【0030】タック選針手段11Tは、回動軸12の傾
斜部12eの回動によって可動ピン7a,8cがバネ1
5に抗して大径部12c上に乗り上げ可動ピン7a,8
cが引き出されている状態を示している。他方、可動ピ
ン6aのみが傾斜部12eに底部に位置し、したがっ
て、バネ15によって押し下げられた状態を示してい
る。すなわち、タックカム6のみが押し出され編針2と
係合状態にあり、ウエルトガードカム8とニットカム7
は引っ込められた非係合状態にある。
【0031】サポート選針手段11Sは、回動軸12の
傾斜部12eの回動によって可動ピン7aがバネ15に
抗して大径部12c上に乗り上げ可動ピン7aが引き出
されている状態を示している。他方、可動ピン6a,7
aが傾斜部12eの底部に位置し、したがって、バネ1
5によって押し下げられた状態を示している。すなわ
ち、ウエルトガードカム8とタックカム6が押し出され
編針2と係合状態にあり、ニットカム7のみは引っ込め
られた非係合状態にある。このサポート選針は、シリン
ダー針のみで柄出しをする給糸口において、例えばリッ
プル柄を編成する場合、シリンダー針の上昇にともなう
ループの上昇を押さえ、ループが針フック部から脱出さ
せるのを助ける役割をするものである。
【0032】以下、編針1,2の編成作用を説明する。
図1において、選択バットと係合状態にあるカム部分を
実線で示し、非係合状態にあるカム部分を点線で示す。
【0033】編針1,2が矢方向に回転すると、カム装
置Aでは、編針1の第1,第2選択バット1C,1Eが
カム6,7,8と係合せず、マスターバット1Aのみが
アウターガードカム4の直線部4dに沿って、横方向へ
移行する(ウエルト位置)。
【0034】次いで、カム装置Bでは、編針1が第1選
択バット1Cの内縁部1dとタックカム6の外向傾斜部
6aに係合して外方へ前進する。さらに外向傾斜部6a
に沿って前進するとタックカム6の頂部に達し、その状
態のまま横方向へ移行し、(タック位置)マスターバッ
ト1Aが引き続きステッチカム5の内向き傾斜部5aに
よって最も内方へ後退する。
【0035】一方、編針2は、カム装置Aにおいて、第
2選択バット2Eがニットカム7の外向き傾斜部7aに
係合して外方へ前進する。さらに外向傾斜部7bに沿っ
て外方へ前進するとニットカム7の頂部に達する(ニッ
ト位置)。ニットカム7の頂部に達した直後、アウター
ガードカム4の内向き傾斜部4cによって内方へ後退す
る。引き続きそのステッチカム5の内向き傾斜部5aに
引き継がれて最も内方へ後退する(ウエルト位置)。次
いで、カム装置Bでは、編針2が第1選択バット2Cの
内縁部2dとタックカム6の外向傾斜部6aに係合して
外方へ前進する。さらに外向傾斜部6aに沿って外方へ
前進した編針2は、タックカム6の頂部に達した後、ウ
エルトガードカム8の内向き傾斜部8bに沿って内方へ
後退する(サポート位置)。
【0036】図8は本発明の別の実施例を示したもので
あって、同時引きカムタイミングを示した編成動作線図
であり、図9は図8の同時引きカムタイミングから交互
引きカムタイミングへの設定変更を示した編成動作線図
である。図8において、実線110はシリンダー針のフ
ック先端部の動作軌跡を示し、実線111はダイアル針
のフック先端部の動作軌跡を示したものである。
【0037】前記同時引きカムタイミングから交互引き
カムタイミングの設定は、図1のダイアルカムホルダー
3を支承するダイアルカムホルダー支承盤(図示せず)
上に設けられたスクリュー(図示せず)によって、ダイ
アルカムホルダー支承盤を円周方向に移動させて行なわ
れる。その後、通常、別に用意した交互引き用カムを張
り替えて編成を行なうのである。この交互引きカムタイ
ミングでは、シリンダー針が上昇した後、ダイアル針が
遅れて外方へ前進して来るので、シリンダーの上昇に伴
なって、特に、ネップ、糸の結び目などにより、編地が
突き出されることがあり、そこへダイアル針が外方へ前
進して来るので、編組織によっては編みづらい場合が生
じる。
【0038】本願発明では、上述した作業により交互引
きカムタイミングを設定した後、各選針手段(11K,
11W,11T,11S)の操作によりすべてのシリン
ダーカムを係合位置にさせ、他のすべてのカムシリンダ
ーカムを非係合位置の状態にする。これによって、交互
引きカムタイミングでありながら、同時引きカムタイミ
ングのような針の交差し始めのタイミングが得られ、図
9に二点鎖線113で示したように、ダイアル針の前進
と同時にシリンダー針を同時に上昇させることにより、
編地の突き出しを回避することができる。この結果、通
常行なわれている煩わしいカムの張り替えを必要とせ
ず、個々の選針手段を操作することにより、カムタイミ
ングの設定が簡便に実施できるのである。
【0039】上述の針、カム構成は単なる一実施例であ
って、本発明を制限するものではない。特許請求の範囲
内でさまざまな変更、改良、修正が可能である。例え
ば、上述実施例ではダイアルカム装置について説明した
が、シリンダーカム装置にも同様のカム装置を設けるこ
とも可能である。また、選針手段は可動部材を、例え
ば、矩形にすることも可能である。この場合、矩形に凹
所を設け、この矩形を移動させることにより凹所によっ
てローラが取り付けた可動ピンを前後移動させることも
可能である。
【0040】
【発明の効果】本発明は上記構成を有するので、従来の
微小カム部分を有する複雑なカム工程をなくすことによ
り、タック,ウエルト位置での編針の不必要な動きを規
制することが確実にできると共に通常の丸編機の稼動中
以外で取り外し後、外部圧力によって誤って破損するこ
とがなくなり、加工コストも廉価になった。
【0041】また、本発明では従来のニット位置へ前進
した編針が、タッキングカムとニッティングカムに係合
を引き継ぐようにして前進させるのでなく、1個のニッ
トカムのみによってニット位置へ前進するようになって
いるため、編機の安定した高速回転が可能になった。
【0042】また、本発明では従来のサポート位置に選
択された編針が、ステッチカムの微小カム部分によって
案内される不安定のものでなく、編針の選択バットで狭
持されたタックカムとこのタックカムに隣接してウエル
トガードカムをオーバラッブさせることにより、タック
カムを狭持持続する選択バットの一方で編針の不必要な
外方への動きをなくすことができる。この結果、ニット
選針もしくはタック選針された編針に対して、供給糸を
前記編針によって妨げられる危険性がなくなり、ウエル
ト位置に選択された場合でも、同様の危険性がなくなっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の丸編機におけるダイアルカム装置の一
部分を示した背面図である。
【図2】図1をさらに詳細に示したダイアルカム装置の
背面図である。
【図3】図2の3−3断面を示す側断面図である。
【図4】図2のダイアルカム装置の正面図である。
【図5】選針手段を抜粋して示した拡大斜視図である。
【図6】従来技術のダイアルカム装置の一部分を示した
背面図である。
【図7】本発明のウエルトガードカムを2分割にしたダ
イアルカム装置の一部分を示す背面図である。
【図8】本発明の同時引きカムタイミングを示した編成
動作線図である。
【図9】本発明の交互引きカムタイミングを示した編成
動作線図である。
【符号の説明】
1,2...編針 3...ダイアルカムホルダー 4...アウターガードカム 5...ステッチカム 6...タックカム 7...ニットカム 8...ウエルトガードカム 11...選針手段 12...可動部材(回動軸,矩形部材)

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マスターバット(1A,2A)とは別の
    位置に配されたバット位置の異なる少なくとも2個の選
    択バット(1C、1E,2C、2E)を有する少なくと
    も2種類の編針(1,2)と、前記全ての編針のマスタ
    ーバットをステッチ形成レベルまで引き下げるステッチ
    カム(5)と、前記選択バットを制御すると共にニッ
    ト、タック、ウエルトの3位置が選択可能な選針手段と
    からなる丸編機におけるカム装置において、 前記ステッチ形成レベルまで引き下げるための選択バッ
    トを選択して係合・非係合にさせる前後移動可能に配置
    されたニットカム(7)と、ステッチ形成レベルまで引
    き下げるための選択バットを選択して係合・非係合にさ
    せる前後移動可能に配置されたタックカム(6)と、ウ
    エルト位置での編針の前進を規制するウエルトガードカ
    ム(8)と、これらのカムをそれぞれ個別的に選択する
    選針手段(11)とを設けたことを特徴とする丸編機に
    おけるカム装置。
  2. 【請求項2】 ウエルトガードカム(8)が、2分割さ
    れ、かつ、個々に選択可能なるように設けられている請
    求項1記載の装置。
  3. 【請求項3】 前記3位置の他に、サポート位置を選択
    する選針手段(11)を有する請求項1又は2記載の装
    置。
  4. 【請求項4】 サポート位置では、タックカム(6)
    と、このタックカムに隣接して協働するウエルトガード
    カム(8)を同時に前進させて係合位置となるように配
    した請求項3記載の装置。
  5. 【請求項5】 ニット,タック,ウエルト又はサポート
    位置を一操作によって選択する選針手段(11)が、可
    動部材(12)と、可動部材に係合する複数個の可動ピ
    ン(6a,7a,8c,8d)と、バネ(15)からな
    る請求項1ないし3のいずれかに記載の装置。
  6. 【請求項6】 可動部材(12)が、円筒側部に開口傾
    斜部(12e)を有する回動軸(12)である請求項5
    記載の装置。
  7. 【請求項7】 ニットカム(7)とタックカム(6)と
    ウエルトガードカム(8)の摺動側端部とこれらのカム
    を収容する相手部材の凹所(3a)の摺動側端部が直線
    部である請求項1記載の装置。
  8. 【請求項8】 マスターバット(1A,2A)とは別の
    位置に配されたバット位置の異なる少なくとも2個の選
    択バット(1C、1E,2C、2E)を有する少なくと
    も2種類の編針(1,2)と、前記全ての編針のマスタ
    ーバットをステッチ形成レベルまで引き下げるステッチ
    カム(5)と、前記選択バットを制御すると共にニッ
    ト、タック、ウエルトの3位置が選択可能な選針手段と
    からなる丸編機における選針方法において、 前記選択バットの係合位置または非係合位置を選択する
    ニットカム(7)とタックカム(6)とウエルトガード
    カム(8)を前後移動可能なるように配し、 前記ニットカム(7)を前進させて係合位置にすると共
    にウエルトガードカム(8)およびタックカム(6)を
    後退させて非係合位置にするニット位置と、 前記タックカムを前進させて係合位置にすると共にウエ
    ルトガードカムおよびタックカムを後退させて非係合位
    置にするタック位置と、 前記ウエルトガードカムを前進させて係合位置にすると
    共にニットカムおよびタックカムを後退させて非係合位
    置にするウエルト位置と、 各々3位置を個別的に選択可能にしたことを特徴とする
    丸編機における3位置の選針方法。
  9. 【請求項9】 前記3位置の他に、サポート位置の選択
    が、前記タックカム(6)およびウエルトガードカム
    (8)を前進させて係合位置にすると共にニットカム
    (7)を後退させて非係合位置にすることにより行なわ
    れる請求項8記載の選針方法。
  10. 【請求項10】 タック位置において、一対の選択バッ
    ト(1C、1E,2C、2E)が、タックカム(6)を
    狭持すると共に選択バットの何れか一方によって編針の
    前進移動を規制するようにした請求項8記載の選針方
    法。
  11. 【請求項11】 ウエルト位置において、一対の選択バ
    ット(1C、1E,2C、2E)の何れか一方がウエル
    トガードカム(8)によって編針の前進移動を規制する
    ようにした請求項8記載の選針方法。
  12. 【請求項12】 マスターバット(1A,2A)とは別
    の位置に配されたバット位置の異なる少なくとも2個の
    選択バット(1C,1E,2C,2E)を有する少なく
    とも2種類の編針(1,2)と、前記すべての編針のマ
    スターバットをステッチ形式レベルまで引き下げるステ
    ッチカム(5)と、前記選択バットを制御すると共にニ
    ット、タック、ウエルトの3位置が選択可能な選針手段
    とからなる丸編機におけるカムタイミングの設定方法に
    おいて、 交互引きカムタイミング設定後、選針手段(11)の操
    作により針の交差し始めのタイミングを同時引きタイミ
    ングと同様なタイミングを得られるようにしたことを特
    徴とするカムタイミングの設定方法。
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